アルカディア争奪戦㉓〜リュカーオーンの幸運、不朽
●象神爆殖核
『アルカディアの玉座』に通じる空中庭園に奇妙な存在が立っていた。
象の獣人。
そう思えるほどには、その存在は奇妙な姿をしていた。かろうじてそう見えるのは長い鼻と大きな耳があるからに他ならない。
『植物と一体化した象獣人』は金剛杖を持ち、蓮の花を周囲に咲かせ続けていた。
名を『レプリゼンタ・カンギ』。
『『ミドガルズオルム召喚儀式』は、失敗に終わったか。私の意図を見破られたのか、或いは、彼らも『絶空獣の使徒』なのか」
彼の疑問は尽きない。
けれど、やらねばならないことを明確であった。
彼が座すのは崩壊した機械じかけの黄金ピラミッド。
此処には彼の植物群は存在しない。失敗に終わった儀式は、恐らく猟兵に感づかれ、素子されたのだろう。
だが、彼にとって『ミドガルズオルム』の存在は必要不可欠ではない。
「この世界で新たに編成した戦士団はよくやっているようあ。アルカディアは全ての世界樹の主……招かれたからには、死力を尽くして支えねばなるまい」
『レプリゼンタ・カンギ』は静かに『金剛杖アンクーシャ』を打ち鳴らす。
崩壊した機械じかけの黄金ピラミッドは最早動かない。
これから彼が相対する存在、世界の悲鳴に応える戦士、猟兵。
それに対する恐怖はない。
「しかし……玉座で願いを叶える、か」
『レプリゼンタ・カンギ』にとって、それは見解の相違ではなく誤りであった。
確かにアルカディアは全ての世界樹の主。
故に、招来された己もまた支えようとする。それは圧倒的な力を見せるものであったし、それゆえに万能の神として幻視するのもまた致し方ないものであったのかもしれない。
六大屍人帝国は『アルカディアの玉座』に至ることによって己たちの望みを叶えようとしていた。
けれど、逆なのだ。
「願いを叶えてほしいのはアルカディアの方であろう。世界樹は、この青空は、彼の願いを叶えるために生まれたのだから……」
示すは虚偽にあらず。
示すは徒労。
結果は同じであったとしても、その過程は異なる。
故に『レプリゼンタ・カンギ』は己の招来された意味を果たす。己の意図を打破し、此処に迫る者たちを迎え撃たねばならない。
恐れることはない。
「私の『幸運力』の前には如何に強力な攻撃であろうと無意味。彼らも知るだろう。私に攻撃することの愚かさを――。
●アルカディア争奪戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ついに『アルカディアの玉座』へ至る空中庭園の一つへと辿り着くことができました。ですが、この空中庭園は今はや『無限増殖する植物群』に覆われているのです」
道が閉ざされているという意味であろう。
だが、ここに来てただの植物が道を塞ぐように生い茂っていた所で意味など無い。
立ち止まることは許されないのだから。
「これは『爆植核』と呼ばれ、謎のオブリビオン『レプリゼンタ・カンギ』の支配下にあるのです。彼はアルカディアを守護すべく魔獣戦士団と共にこの空中庭園を守っています」
だが、ナイアルテは頭を振る。
今回は魔獣戦士団を相手にするのではなく、直接『レプリゼンタ・カンギ』のもとに転移することができるのだ。
それは喜ばしいことだ。
消耗無く敵と戦えるのは、正直に行って楽な戦いとなる。けれど、彼女の表情がそれを否定する。
「皆さんを送り届けた『崩壊した機械じかけの黄金ピラミッド』の内部は確かに無限増殖する植物群、魔獣戦士団に邪魔されることはありません。ですが……」
ナイアルテが危惧するのは、『レプリゼンタ・カンギ』の不可解な力だ。
彼女の予知では『レプリゼンタ・カンギ』そのものに攻撃を当てることができないようだった。
いかなる理由からか『何故か』『偶然』に攻撃を回避されてしまうのだ。
説明が吐かないのだ。
見切っているわけでもなければ、達人の如き業でもなければ人知を超えた動体視力でもない。
「導き出されるのは『超常的な幸運力』ということだけです。そうでなければ説明がつきまえん」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは、その恐ろしさを知るだろう。
経験も業も、何もかもを超えていく『幸運力』。
どんなものも偶然に『レプリゼンタ・カンギ』を助けるだろう。これに対抗するにはどうすればいいのだろうか。
「……どんなに強力な攻撃でも『何故か』『偶然に』回避されてしまうというのであれば、それを越えるしかありません。急所を狙い、位置取りを完璧にし、『レプリゼンタ・カンギ』のユーベルコードをいなし、彼の想定を越える|致命的な一撃《クリティカルヒット》をきめなければなりません」
それがどんなに困難なことかを猟兵たちは知っているだろう。
凌駕しなければならないのだ。
『超常的な幸運』を持つ『レプリゼンタ・カンギ』を。その『幸運力』を凌駕しなければ猟兵に勝機はない。
「征きましょう。力も、技も経験も、何もかも『幸運』という名の偶然に遮られるというのならば。残るは、その『幸運』すら恐れぬ勇気だけが皆さんの力です――」
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオとなります。
屍人帝国の首魁たちを倒し、ついに『アルカディアの玉座』に繋がる駆虫庭園へと皆さんはたどり着きました。
ですが、ここに来て招来された謎のオブリビオン『レプリゼンタ・カンギ』の驚異的な力が皆さんを襲います。
それは『幸運力』。
幸運の前には如何なる力も『運良く』『何故か』『偶然に』いなされてしまうでしょう。
攻撃を届かせるために必要なのは、急所を狙い、位置取りを上手く行い、『レプリゼンタ・カンギ』の想定を覆す一撃、即ち万難を排して持して放つ|致命的な一撃《クリティカルヒット》だけなのです。
例え、ユーベルコードでなくても、『レプリゼンタ・カンギ』の『幸運力』を凌駕すればダメージを与えることができるのです。
ですが、それは途方もなく難しいことです。
たった一つだけでは届かず、多くを積み重ねてもなお届かないかも知れません。それほどの強敵難敵であるということでしょう。
プレイングボーナス………致命的な一撃を放つための作戦を考え、実行する。
それでは『アルカディア争奪戦』、屍人帝国の野望を打ち砕くべく雲海を進む皆さんの冒険と戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『レプリゼンタ・カンギ』
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POW : 歓喜天聖雷衝
自身が装備する【金剛杖アンクーシャ】から【放電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【パラライズ】の状態異常を与える。
SPD : 歓喜自在鼻
自身の【自在に伸びる象の鼻】に【超重力】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
WIZ : 歓喜攻性蓮華
【蓮華の花】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【肉体の植物化と世界樹への忠誠心】を誘発する効果」を付与する。
イラスト:桜木バンビ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルトリウス・セレスタイト
要は他力本願か
それで図に乗れるとは、大層丈夫な面の皮だ
状況は『天光』で逐一把握
先制含め守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
周囲に味方がいないことを確認し行動
己が本質を呼び込み境界を以て世界を染め、『絶理』『天冥』を繰りカンギのみをその内へ落とし込む
世界の外は全が故に凪いだ空虚
個の規模故にお前はいくらかの間、形を保ち得るかもしれんが、言えばそれだけのこと
全存在を賭けて抗うが良い
無限量の全に呑まれれば例外なく絶無へ戻るのみ
万象の根底に触れたとき幸運という概念は無いも同じ
「全」は文字通り全てを内包する
幸運がそれから外れる道理もない
既にあるものが如何に働こうと、波紋を起こすにすら足りぬものと知れ
この絶無が俺故に俺は何も困らぬが
まあ何をするまでもあるまい
仮に消えず耐え切ったとして、猟兵ならば「幸運」程度は状況の誤差
大道芸一つで天敵は超えられんぞ、オブリビオン
※アドリブ歓迎
語るにこの大空の世界は『アルカディア』の願いを叶えるためにあるものであるという。
六大屍人帝国の首魁たちは、己の願いを叶えるために『アルカディアの玉座』に至らんとしていた。
だが、それは誤りであるという。
誰が言うのかと問われれば、それは謎のオブリビオン『レプリゼンタ・カンギ』。
植物で出来た体に象頭。
ともすれば、神話の神の如き姿である。
象の頭と認識できるのは、それが大きな耳と長い鼻を形成しているからに他ならず、その眼球は数多。
彼が見るは猟兵という己の敵。
「アルカディアこそが願いを叶えて欲しいと思うもの。逆なのだ。結局の所。大いなる神を見れば、それにすがりたくなるのが矮小なる生命の性。故に誤解そのものである」
彼の手にした黄金杖が打ち鳴らされ、その植物の体に蓮の花が咲き乱れる。
それによって彼の体は固く、強靭な物となっていく。
「要は他力本願か。それで図に乗れるとは、たいそう丈夫な面の皮だ」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は蒼光をまといながら『レプリゼンタ・カンギ』と相対する。
最終生存体。
それが意味するところは即ち何をおいても生き延びるということ。逆を言えば殺せぬということ。
「己の力だけで願いを全て叶えられると思っているものは傲慢にして不遜。そんなことなど空たる者はなにも思うまい」
振るわれる黄金杖。
その一撃をアルトリウスは纏う原理の十一を持って守りを固める。
守りを固めるという言葉すら似合わないのかもしれない。
目の前に振るわれた黄金杖はいつまで経っても振り下ろされることはなかった。無限に回る原理。
尋常ならざる魔力が必要とされるも、それらは世界の外から組み上げるもの。
周囲に味方の影を確認し、アルトリウスは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
己の本質。
境界を持って世界を染め上げる。
力を操り、己と『レプリゼンタ・カンギ』を落とし込む。
隔絶された世界。
黄金のプラミッドの中にありて、そこは世界とは切り離された場所。外は虚無。
凪いだ世界にいるからこそ、『レプリゼンタ・カンギ』とアルトリウスは対峙する。
「個の規模故にお前はいくらかの間、形を持ち得るかもしれんが、言えばそれだけのこと。前存在を賭けて抗うが良い。無限量の全に飲み込まれれば例外無く絶無に戻るのみ」
「今も、これからも、過去にも。全ての個は常に全に内包されているものである。個とは即ち全。個は輪郭そのもの。なられば、それは杞憂である」
「そのとおりだ。『全』は文字通り全てを内包する。貴様の言うところの『個』としての『幸運力』がそれから外れる道理もない」
アルトリウスの瞳がユーベルコードに輝く。
淡青色の光の雪が降り積もり戦場の中、空虚だけが広がっていく。
境界(キョウカイ)に在りて、互いに存在できているのは適応した者と、適応しながら、そのままに在ることのできる個のみ。
故に『レプリゼンタ』。
『レプリゼンタ・カンギ』にとって、それは当然の孤独。
アルトリウスが、
「この絶無が俺故に俺は何も困らぬが、まあ何をするまでもあるまい」
「すでにこの状況こそが波紋という名のゆらぎ一つ起こさぬもの。故に、何もする気がないと」
「ああ、それに」
アルトリウスは笑うでもなく、ただ万象を虚無へと飲み込む光の雪の中に佇む。
謂わばこれは千日手。
個と全。
内包するがゆえに個は全の範囲より逸脱することは出来ず。
そして『レプリゼンタ・カンギ』は耐えきるのだとしても、その膨大な『幸運力』を消費するだろう。
どちらにせよ、アルトリウス。ひいては猟兵の勝利は揺らがぬものである。
「だが、無駄なことだ。私の『幸運力』は、あらゆるものから回避せしめるもの。生命を存続させるために必要なのは、数多の偶然の積み重ね」
故に己はここまであるのだと蓮の花でもって身を覆う。
「幸運か」
ぽつりとアルトリウスは呟く。
絶無の中から逸脱するものはない。しかして、ユーベルコードの範囲から逃れるは『幸運』。偶然ともいえる運命を掴むのが『レプリゼンタ・カンギ』であるというのならば、それもまた頷けるものである。
「猟兵ならば『幸運』程度は状況の誤差」
謂わばそれは大道芸の類であるとアルトリウスは言う。
『レプリゼンタ・カンギ』が一つ誤算を持っているのだとすれば、猟兵を彼の『敵』だと認識している事実である。
「猟兵はオブリビオンの『天敵』。それは超えられんぞ、オブリビオン」
過去の化身である限り。
世界に選ばれた猟兵という名の『天敵』は必ずや喉元に迫る。
淡い青光の雪に佇み、アルトリウスは『レプリゼンタ・カンギ』の行く末を幻視するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
これは…ラック極振り…
くしゃみをすれば攻撃が頭の上をすり抜け
足元にコインを見つけてはすり抜け
バナナの皮に滑って攻撃が外れるタイプ…
キャラを作れば常に最高値、遊びで買ったくじは大当たり
1石投げれば100羽は落ちる!
何て奴だ…!
畜生人類の敵!GM泣かせ!!
そんなラッキーマンの相手、したくないけどしなきゃいけないお仕事事情
…
超克、オーバーロード
外装展開、模造神器全抜刀
【Load[Summon Data]】起動
不死鳥、雷龍、機神召喚!
全部避けるなら、飽和攻撃で機会を作る!
カンギの放電は雷龍の雷の『ブレス攻撃』で相殺
そのままブレス攻撃を続けて動きを制限!
130体の不死鳥はそのまま突撃してカンギを直接狙う!
私もタイミングを合わせて4剣で『斬撃波』を放ってさらに追撃
機械腕を『念動力』で浮かせて操作、大振りのパンチで此方も攻撃
それらを回避するカンギの動きを『情報収集』し、タイミングを計算
隙を見計らって手持ちの剣全てを投擲してカンギを『串刺し』にしてやろう
これだけの飽和攻撃、全部避けられると思わないでよね
なんとしても生きなければならないというのが生命に課せられた命題であるというのならば、『レプリゼンタ・カンギ』の持つ『幸運力』というものは、尋常ならざるものであったことだろう。
「然り。故に私は生きる。そして、招来されたのならばこそアルカディアを支えなければならない」
どれだけ『幸運力』を奪うのだとしても、泉が枯れることはない。
目減りしたように見えたとしても、それは些細なことであることを月夜・玲(頂の探究者・f01605)は理解していた。
これは謂わば、ステータス的に言うのならばLUK極振り。
極まれば、それ自体が生存するために最も必要なものであることがいえるだろう。どれだけ強大な腕力を持っていたとしても、どれだけ頑強なる肉体を持っていたのだとしても、『運が悪ければ』、即ち|致命的な一撃《クリティカルヒット》を受けてしまうものであるから。
「くしゃみをすれば攻撃が頭の上をすり抜け、足元のコインを見つけてはすり抜け」
「然り」
『レプリゼンタ・カンギ』は目の前の猟兵が何を言っているのか理解していた。
彼の『幸運力』とは、まさしくその言葉の通りの事象を引き起こすものであったからだ。
どうあっても生き残るための手段。
「バナナの皮に滑って攻撃が外れるタイプ……キャラを作れば常に最高値、遊びで勝ったくじは大当たり。一石投じれば百羽は落ちる! なんて奴だ……!」
「……」
『レプリゼンタ・カンギ』は少し戸惑ったかもしれない。
なんの話をしているのか理解できなかったからだ。
目の前の猟兵、即ち『敵』は何を言っているのだと、彼は思っただろう。しかして、その手にした黄金杖『アンクーシャ』を打ち鳴らし、とりあえず撃滅しておこうと思ったのだ。
ノールック、ノータイム放電であった。
その放電の一撃を玲は、いやさ、玲さんは外装展開に寄って呼び出された副腕による模造神器より放つ雷撃で持って相殺する。
「畜生人類の敵! GM泣かせ!! そんなラッキーマンの相手、したくないけどしなきゃいけないお仕事事情……」
ゆらりと雷撃迸る戦場にありて玲さんは、模造神器の振るう。
雷の龍が次々に召喚され、不死鳥が飛ぶ。
彼女が選んだのは飽和攻撃であった。どんな強力な攻撃も、全てが『幸運力』によって『偶然』にもかわされてしまうというのならば、躱す、外れるという状況事態を造らなければいい。
どんな『幸運』であったとしても、戦場を埋める12の雷の龍と130を数える不死鳥の前には意味を成さない。
だが、しかして『レプリゼンタ・カンギ』はただ、悠然と黄金杖を振るう。
猛然と戦うこともできただろう。
されど、彼は『幸運』という名の運命に身を委ねた。彼が最も意識しなければならないのは、『アルカディア』のみ。
招来されたがゆえに支えなければならないという使命感。
ただそのために『幸運力』を使うのだ。
「なんていう理不尽! どうやっても当たんないじゃん! こんなのクソゲー以下だよ!」
だが、そのクソゲーをなんとかするのが彼女のお仕事である。
飽和攻撃すら、『レプリゼンタ・カンギ』はまるで雑踏を抜けるように歩み、肩と肩とが一つもぶつからぬように玲に迫るのだ。
「私にとって、全ての攻撃は攻撃と認識されない。私の生命に、それらは届かない」
ならば、と四振りの斬撃波が『レプリゼンタ・カンギ』を襲う。
だが、それすらも交わす。
巨腕の一撃すらもまるで、あちらに気まぐれに歩んでみようかという程度の動きでかわされてしまうのだ。
「あーもー!」
玲はうめいた。
本当にうめいた。
ここに台があったのならば、バンバン叩いていたかも知れない。
そんでもって『レプリゼンタ・カンギ』のあの余裕な態度が最早、玲さんには煽りにしか見えなくなっていた。
もうなんていうか、このくそやろうおふざけになってますの!? というレベルであった。
玲さんはこんなこと言わない。
だから、玲さんは計算する。『レプリゼンタ・カンギ』の動き。
意識していないがゆえの無意識の『幸運』。
ならば、その『幸運』を意識させればいい。
「全部ギリッギリを攻めて!」
走る雷龍。飛ぶ不死鳥。放たれる斬撃波。振り落とされる巨腕。
その全てが『レプリゼンタ・カンギ』のスレスレを狙う。意識していない『幸運』ほど強いものはない。
ならば、意識してしまったのならば、尋常ならざる『幸運』とて、一枚落ちる。
故に、玲さんは全てを緻密な計算で持って放ち、『レプリゼンタ・カンギ』に『幸運』を自覚させる。
「……ッ! これは……!」
「徹底的に追い込む飽和攻撃さえ意識しないで躱すなら、躱したと意識した瞬間の其処にこそ隙が生まれるてもの! これだけの飽和攻撃全て避けられると思わないでよね。再計算するの面倒だから、これで何とか!」
放たれるは模造神器の投擲。
四振り全てを打ち込む。それは最後のピースだった。
ピタゴラスイッチ。
パズルのように汲み上げられた、絶対に躱せない至高の一撃。この一撃のために費やしたリソースを忘れはしない。
「なれ――!」
打ち込まれた模造神器の刀身が『レプリゼンタ・カンギ』の体を貫いた――。
大成功
🔵🔵🔵
鉄・弥生
※連携、アドリブ歓迎
レプリゼンタ…どうしてかな
絶対倒さなきゃいけない気がする
何処かの世界で沢山の命を犠牲にしてきた存在
…そんな気がするの
UC発動
この世界の中では私に逆らうたび
貴方は幸運に見放されていく
猟兵に危害を加えないで
世界樹に従わないで
攻撃をやめて
動かないで
抵抗しないで
畳み掛けるように命令を続ける
きっとカンギは従わない
逆らい続けて…必ずボロを出す
その時こそ攻めに転じるよ
ガンナイフに魔力をチャージ
『誘導弾』で少しずつカンギを追い詰める
何処を庇うように
動いているかを『見切り』
撃ち抜くか、近距離なら魔力の刃で『切断』を
会うのは初めてだけど
私、どうしても貴方を許せない
悲しみを生み出し続ける、貴方を
放たれた刀身が『レプリゼンタ・カンギ』の植物の如き体を貫く。
その一撃に蹌踉めくが、されど『レプリゼンタ・カンギ』は笑う。『幸運力』を凌駕するほどの計算された一撃。
ただこの一撃を打ち込むためだけに己の敵たる猟兵がどれだけのリソースを費やしたのかを知るからこそ、笑うのだ。
「これほどまでの力を費やしてなお、私には届かない。この程度の傷しかつけられない。徒労だとは思わないのか」
その言葉を前にしてなお、迫る『敵』。
猟兵である、鉄・弥生(鉄家次女・f35576)は小さくつぶやいた。
「『レプリゼンタ』……どうしてかな。絶対倒さなきゃいけない気がする」
彼女は『レプリゼンタ・カンギ』を見据える。
その瞳に輝くのはユーベルコード。
生み出されるのは『影の城』。
貴種ヴァンパイアが住まう城の内部に崩れた黄金ピラミッドすらも飲み込んでいく。
「世界すら塗り替えるユーベルコードか。だが、私の『幸運力』は」
あらゆる『偶然』を味方につける。
どんな攻撃も、どんな運命も『レプリゼンタ・カンギ』の持つ『幸運』を超えなければ届かない。
「何処かの世界でたくさんの生命を犠牲にしてきた存在……そんな気がするの」
「何一つ犠牲にしない生命など存在しない。私も、キミらも、彼らも。誰もが生命を犠牲にして生きている。瑣末事だ。そんなことに感傷を覚えているようでは、生きているものも生きてはいけまい」
「そう……でも、此処では私がクイーンで、キングで、ジョーカー。私こそが“絶対”よ」
広がるは、紅血の世界(ワールドイズマイン)。
彼女の言葉通り、この『影の城』の主は弥生だけだ。
彼女の命令は絶対。
その法則を持つ世界に『レプリゼンタ・カンギ』は落とし込められたのだ。どれだけ『幸運』が彼に味方をするのだとしても。
彼女の絶対法則が世界を凌駕する。
『猟兵に危害を加えないで』
『世界樹に従わないで』
『攻撃をやめて』
『動かないで』
『抵抗しないで』
その全てが理不尽な命令そのものであった。全てにおいて『レプリゼンタ・カンギ』の行動を縛るものであった。否、違う。
意識せずとも破ってしまう。
こちらに攻撃しない理由はなく、世界樹に従うことこそが招来されたオブリビオンである『レプリゼンタ・カンギ』の存在理由。
そして、『幸運』にも彼は猟兵の攻撃に抵抗しようとする。動いてしまう。
ならばこそ、弥生のユーベルコードは、違反者たる『レプリゼンタ・カンギ』にペナルティを課していくのだ。
「あなたは私に従わない。逆らい続ける。私とあなたは滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかないから」
「そのとおりだ。従う謂れなどない。全てが思い通りになると思っているのなら……」
弥生の手にしたガンナイフから放たれる弾丸は、全てが『偶然』にも『レプリゼンタ・カンギ』からそれていく。
理由のつかない弾道。
全てが『幸運』であるからという言葉で説明されるのならば、それはなんたる理不尽であったことだろうか。
けれど、弥生にはわかっていた。
「逆らい続けるから……ボロが出る。あなたの行動は全て……『悲運』であったからと言い訳できないほどに落ちている」
弥生は走る。
『レプリゼンタ・カンギ』が手にした黄金杖の動きを見切る。
生き残るために『幸運力』を使っているのならば、その攻撃の軌跡は散漫そのものであった。
振るったガンナイフの刀身が黄金杖を跳ね上げる。
「会うのは初めてだけど。私、どうしてもあなたを許せない」
それは猟兵としての直感であったのだろう。
目の前の存在がオブリビオンであるという以前に。
「哀しみを生み出し続ける、貴方を」
その感情に従うままに弥生は、この世界の女王として、王として、そして切り札として『絶対』たる斬撃の一撃を『レプリゼンタ・カンギ』に叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです
そういえば、『アレ』はっと……!(ユーベルコヲド)
『ガネーシャパズル!』
これはよくわからないけど、たぶん、予測不可能な攻撃が特徴のパズル型の魔法武器、かな!
『ドラゴンサンダー』
『カーリーレイジ』
『ガネーシャスタンピード』
この三種類から読みづらい攻撃を組み合わせて戦おう!
カーリーレイジで女神の怒りで気を乱すのも良いかも!
ガネーシャスタンピードの象兵は色んな武器が持てるから、剣から光線銃まで色々武装させちゃおう!
敵の鼻攻撃は紅路夢の空中機動でかわしつつ、きこやんの結界術とオーラ防御で防いでいこうか。
幸運を超えるかどうか!このパズルで勝負だ!
謎のオブリビオン『レプリゼンタ・カンギ』に与えられる傷。
それは浅からぬものであったが、それでも元より強大なオブリビオンである。例え己の『幸運力』を上回る攻勢を猟兵が仕掛けてきたとして、それだけのことである。
彼の生命は既の処で繋がっている。
それが『幸運力』であるというのならば、まさしくそのとおりであった。
「私には絶対に生き残らねばならぬという力の集約がある。あらゆる災厄、あらゆる攻撃、それら全てを私の『幸運力』は全て跳ね除けるのではなく、風にそよぐ葉のように躱すのだ」
『レプリゼンタ・カンギ』の『幸運力』は言うまでもない。
あらゆる攻撃に対して、躱そうとしなくても『偶然』に攻撃がそれたり、『幸運』にも敵の攻撃を妨げる障害物が飛来し防ぐ。
「だったら!」
国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女・f23254)の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女のテクノロヰの粋を結集した超機械が、その手に舞い降りる。
「こんなこともあろうかと『アレ』を用意していたのさ!」
手に在るのはパズル。
黄金のピラミッド型のようなパズルであった。オブジェと言ってもいい。
それが一体どのような力を発露するのか、多くの猟兵は知らなかったことだろう。
鈴鹿も同じだった。
「『ガネーシャパズル』!」
テレレッテッテテー!
そんなサウンドエフェクトがどこからか聞こえてくるようであった。
正直に言って、それが戦いの役に立つのか疑問であった。
一体全体何故、それが『レプリゼンタ・カンギ』に有効であるのか。鈴鹿もよくわかんないって思っていた。
けれど、彼女は即座にパズルの立体的なピースを組み替える。
空中で光放ちながら回転する『ガネーシャパズル』。それは、組み合わせによって異なる攻撃を放つ超機械。
「何故、それを……やはり『絶空獣の使徒』……!」
放たれる伸縮事態たる巨大な花を鈴鹿はフロートバイクで空を飛びながら躱す。やはり、敵である『レプリゼンタ・カンギ』にとって、手にした『ガネーシャパズル』は脅威なのだ。
ならば、と彼女は『ガネーシャパズル』を組み替えていく。
「組み替える度に攻撃が出るってことは!」
『幸運力』はあらゆる攻撃を躱す。
『レプリゼンタ・カンギ』を排除せんとすれば、その敵意を感知して自動的に躱すようにできているのだろう。
ならば、彼に予測できないランダムな攻撃を放てばどうなるか。
「処理しきれないランダムな攻撃。混沌の前に確率という名の『幸運』は屈するしかないのさ!」
パズルが輝き、放たれるのは竜をかたどった雷が迸り、女神カーリーの怒りを体現するかのような現影が『レプリゼンタ・カンギ』に襲いかかる。
「くっ……! だが、まだ私の『幸運力』は尽きていない……! あの『ガネーシャパズル』を彼女はまだ完全に理解できていないと見た……!」
「えーと、えーと、三種類の攻撃を出す組み合わせがあって、こうやって、あーやって、ーん、と!」
鈴鹿はあちこち弄り回しながら『ガネーシャパズル』を組み替えていく。
その度に攻撃が走り、『レプリゼンタ・カンギ』は困惑しながらも、おのれの『幸運力』を持って躱す。
これ以上打撃を受けてはならないのだ。
「あっ」
その時鈴鹿の困惑した声が響く。
なんだ、と見た時、そこにあったのは真っ二つになった『ガネーシャパズル』であった。壊した。あーあ。
だが、違う。
それは壊されたのではない。分かたれたのだ。
2つのパズルの影が生み出すは、『ガネーシャ軍団』の現影。
彼らは一斉に『レプリゼンタ・カンギ』に殺到する。様々な武器を手にして走る象兵たち。
それは『レプリゼンタ・カンギ』も予測できない攻撃の嵐そのものであった。
「幸運を超えるかどうか! このパズルで勝負だ!」
再びがっちゃんこした2つのパズルを一つにし、鈴鹿は掲げる。
光り輝く雷の竜が空を走り、『レプリゼンタ・カンギ』の幸福を上回る攻勢となって、その身を撃つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
まったく、単純に幸運なだけとは厄介ね
さて、どう詰ませたものかしら……
「コード・ハイペリア」
真の姿の封印を解き、超重力を纏って赤い髪を靡かせる
爪先に斥力を帯び、地を蹴って超加速
一息に踏み込んで、奴への肉薄を狙う
反撃に対しては、ギリギリで見切り回避を試み、放電に対しては超重力を纏った両掌で廻し受け。四方八方に受け流したい
本命は、防御を重ねて相手の大技を誘い、一際大きな放電を狙って、大きく踏み込んでのジャストーガードだ
「お返しよ、食らいなさい」
そのまま電撃を纏った、超重力の拳を解き放つ
相手を動かし、それを捌いて死に体にする、剣術で言う活人拳
超幸運に対するには、そもそもサイコロを振らせない事に限る
雷の竜が『レプリゼンタ・カンギ』を捉える。
植物の巨体であったことが幸いであったのかもしれない。地に張り巡らせた根の如き足は、アースのように電流を大地に受け流す。
けれど、それも十全ではない。
植物の肉体は焼け焦げ、黒煙を上げている。
「この私に雷でもって相対するか。黄金杖『アンクーシャ』よ!」
放たれる雷撃。
それを躱しながら、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は手に浮かぶ紋章の力をほどき、超重力を纏て戦場を走り抜ける。
「まったく、単純に幸運なだけとは厄介ね」
「それが『レプリゼンタ』たる私の『幸運力』。この力の前には如何なる攻撃とて!」
だが、まったくの無敵というわけではないのだ。
現に猟兵たちは『幸運力』を上回る|致命的な一撃《クリティカルヒット》 でもって、『レプリゼンタ・カンギ』に一太刀浴びせているのだ。
ならば、紅葉にそれができぬ道理はない。
知るに、それは位置取りや飽和攻撃といった『どうあっても躱せない決定的な』攻撃でなければならない。
僅かに逃れるパーセンテージがあれば、『レプリゼンタ・カンギ』は、その隙を縫うようにして攻撃を躱していく。
ならば、彼女は爪先に斥力を発生させ戦場たる崩壊した黄金ピラミッドの地面をける。
急加速。
風に赤い髪がなびく。
「さて、どう詰ませたものかしら……」
「言ったはずだ。私には攻撃は届かないと。直線的な動きであれば!」
放たれる黄金杖の雷撃。
それを躱しながら、超重力をまとった両手で回し受ける。それは超常の如き光景であったことだろう。
雷撃を素手で、まるで物理的に触れることができるかのように受け流すのだ。
「……! なんだ……超重力で雷撃そのものを曲げたのか?」
四方八方に飛び散る雷撃。
その雷撃が砕く地面から飛び散る破片の中、紅葉は『レプリゼンタ・カンギ』へと迫る。
「ならば、受け流せぬ出力で!」
極大の雷撃。
紅葉はそれを待っていた。大きな放電。ならばこそ、そこに大きな隙が生まれるおは必定。
同じ様に大きく踏み込んで紅葉は放たれた直前の雷撃を受け流す。
黄金杖より放たれるのならば、その放たれる最初の瞬間こそ最も出力の弱い時。それさえ方向性をもたせて受け流せば、後に続く雷撃もまた同じ様にそれていく。
「お返しよ、喰らいなさい」
これこそが、ハイペリア重殺術・乾坤(ケンコン)。
至近距離で行われる攻防。
その攻防の最中に最も適したタイミングで放たれるカウンターの一撃。
それは打ち込まれた攻撃の威力を上乗せして放たれる乾坤たる拳。今や、紅葉の拳に乗るのは超重力と雷撃。
「天地の型……! だっけ……?」
何故疑問形なのだと『レプリゼンタ・カンギ』は叫ぶだろう。
けれど、彼女の拳は解き放たれる。
流れ込む力は『レプリゼンタ・カンギ』の『幸運力』を遥かに上回る一撃。
まさに|致命的な一撃《クリティカルヒット》。
「『レプリゼンタ・カンギ』、その厄介な『幸運力』。確かに超幸運と呼ぶにふさわしい。けれど、それに太鼓するには、そもそもサイコロを振らせないことに尽きる。
回避すら間に合わぬカウンターの一撃。
謂わば、百パーセント決まるカウンターアタック。
サイコロを振る前から確定した因果を手繰り寄せることに寄って実現する一撃は、『レプリゼンタ・カンギ』の胴を撃ち抜き、その紫電と共に黄金ピラミッドをさらに崩壊させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…完璧な位置取りに、急所を狙い、致命的な一撃を
…なるほど、あれこれ悩む必要は無いわね。要するに、いつも通り戦うだけだもの
運命の精霊を降霊した「精霊石の耳飾り」により敵の運命力を暗視しつつUCを発動
高位幻術により実体化した無数の「写し身の呪詛」の●残像で敵を乱れ撃ち、
分身達の幻属性攻撃を●迷彩に超絶技法の●忍び足で気配を遮断して敵の索敵から逃れ、
吉兆を示した●足場を習熟した●軽業の歩法により高速で駆け抜けて死角から切り込み、
生命力を吸収し治癒を阻害する呪詛の大鎌で首をなぎ払う●暗殺を試みるわ
…お前がどんな存在で、どんな過去があったとしても私には縁の無い事よ
…お消えなさい、この世界から永遠に…。
如何なる攻撃も『幸運力』によって『偶然』にも躱してしまう『レプリゼンタ・カンギ』。
その力は猟兵達が相対しても変わることはなかった。
どんな攻撃も躱す。
謂わば、存在していることそのものが『幸運』であると言わんばかりの力。
それを凌駕するために必要なことは、即ち。
「……完璧な位置取りに、急所を狙い、|致命的な一撃《クリティカルヒット》を」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、なるほどと呟く。いつもどおりのことだと思ったのだ。
もったいつけた『幸運力』などというから悩まなくてはならない。
リーヴァルディにとって、戦いとは常にそういうことであった。最善を、最高を、最適をもって相対する。
オブリビオンは個として猟兵に勝る存在である。
故に繋ぎ、紡ぐことで打倒することができる。
これまでとなんら変わることはない。
ただ、目の前の敵の形が変わるだけなのだ。
彼女の耳飾りが輝く。
運命の精霊を宿した耳飾りは、彼女の視界を『運命力』という流れを見せる。
「……その首、貰う受ける」
「そう易易と許すものか。私はアルカディアに招来された者。ならば全力で支えねばなるまい!」
放たれるは、その長い鼻。
収縮自在たる鼻は超重力を纏い、リーヴァルディに迫る。
「……遅い。『幸運力』は、攻撃を躱すことだけに費やされているようね。絶対に生き残るための力、とでも言うべきかしら……」
だが、それはリーヴァルディの前では無意味である。
彼女は、戦場の足場を熟知している。崩壊した黄金ピラミッドの内部を、無数の残像でもって走り抜ける。
残像は分身に変わり、『レプリゼンタ・カンギ』を取り囲む。
その斬撃は全てが実態を持っている。
「偽りではない……! これすべてが写し身だというのか」
答えはない。
だが、それらの斬撃の尽くを『レプリゼンタ・カンギ』は躱す。ただ歩くだけで、リーヴァルディの分身が放つ必殺の一撃を躱すのだ。
かすめることすらできない。
本来ならば在りえぬ光景。
だが、一つ『レプリゼンタ・カンギ』は見落としていたし、例え理解できていたとしても、それを見つけることはできなかった。
いや、見分けることができなかった、というべきだろう。
『レプリゼンタ・カンギ』にとって、迫りくるリーヴァルディの分身たちはどれも本物に見えた。
けれど、『幸運力』の前にはどれが分身でどれが本物かなど関係ない。
どんな場所から斬撃を放とうとも、これを回避できる絶対的な自身があった。
「……お前がどんな存在で、どんな過去があったっとしても私には縁のないことよ」
リーヴァルディの声が不意に『レプリゼンタ・カンギ』の背後から聞こえる。
振り返った瞬間、その斬撃は『レプリゼンタ・カンギ』の首から胴に掛けて薙ぎ払う。何故、と彼は思っただろう。
『幸運力』はどうしたのだと。
そう、『完璧な位置取り』。
そして、『急所』たる首への斬撃。
なによりも|致命的な一撃《クリティカルヒット》。
リーヴァルディは、残像で生み出した分身達による飽和攻撃に寄って『レプリゼンタ・カンギ』を謀った。
斬撃全ては『幸運力』の前にかわされるだろう。
だが、それを隠れ蓑にして彼女は『レプリゼンタ・カンギ』の背後という完璧な位置を取り、さらには急所を狙うことができたのだ。
「……回避不能だったというのか! 私の『幸運力』を持ってしても! それを超える緻密なる計算だったと!」
「……お消えなさい、この世界から永遠に……」
リーヴァルディには『レプリゼンタ・カンギ』に対する興味は完全に失せていた。
ただいつもどおりに滅ぼすのみ。
その斬撃は違えず、『レプリゼンタ・カンギ』を追い込む一撃となって、深々と植物の体を切り裂くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
類いまれな幸運ですかー。ふむ…いやはや、困りましたねー。
しかし、手はありますねー。
UCを使用。少しでも幸運が削れるように。
さらに、陰海月と霹靂も出てきて…鼻を避けつつ、体当たりしてますねー。追い込みの一貫ですねー。
そうしていけば、与えた不運とこちらに加わった幸運が合わさるときがあるでしょう。
そこへ漆黒風を投擲していきますねー。
幸運すら些事にする。それが、猟兵っていうものですよー。
※
陰海月と霹靂、本気の体当たり!でないと、勘づかれちゃうから!
ぷきゅ!クエ!
猟兵たちの攻撃はどれもが『レプリゼンタ・カンギ』にとっては問題のないものであった。
ユーベルコードを使おうとも、さしたる脅威ではない。
何故ならば、彼には尋常ならざる『幸運力』があるからである。
あらゆる偶然が彼の味方だ。
どんな攻撃も『偶然』にも躱してしまう。外れてしまう。
様々な要因が彼の味方をする。
ならばこそ、猟兵との戦いはすでに決着していなければならない。
けれど、未だ猟兵たちは倒れず。そして、『レプリゼンタ・カンギ』もまた勝利を得ていない。
「どういうことだ。私の『幸運力』が上回られている……?」
困惑を得てなお、『レプリゼンタ・カンギ』は改めない。
偶然であると切って捨てる。その切って捨てた可能性をこそ彼は知るべきであったのだろう。
「類まれなる『幸運』ですかー」
ふむ、と一息つきながら、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『疾き者』は思う。
確かに困り果てたことだ。
因果は収束する。
全てが『幸運力』というものによって『レプリゼンタ・カンギ』へと戦局は傾いていく。どうあがいても『偶然』の一言で片付けられてしまうのだ。
如何なる攻撃も彼を捉えられない。
捉えることができたのは、他の猟兵達が見せたように用意周到なる位置取り、綿密な計算、急所を的確に狙う鋭さ、そうした積み重ねによって得られる|致命的な一撃《クリティカルヒット》であった。
だからこそ、手はあるのだと『疾き者』は走る。
『陰海月』や『霹靂』たちも影から飛び出して体当たりをもって『レプリゼンタ・カンギ』を追い込んでいく。
だが、伸縮自在たる巨大な鼻を持って放たれる超重力の一撃が彼らを弾き飛ばす。
「……悪霊なり」
四悪霊・『解』(シアクリョウ・ホドキ)。
瞳がユーベルコードに輝く。
彼らの本気の体当たりは『レプリゼンタ・カンギ』にこちらの意図を悟らせぬため。
追い込みの一貫である。
だからこそ、このユーベルコードが生きてくる。
四悪霊が封じてきた呪詛。
開放されたそれは、人知れず『レプリゼンタ・カンギ』の運気を吸い上げていく。『幸運』を吸い上げ、不幸を与える。
そして、奪った幸運をおのれに付与するのだ。
膨大な運気。
それを手繰り寄せ、因果すら収束させてしまう『レプリゼンタ・カンギ』の力は恐るべきものだ。
「ですが、それを。幸福すら些事にする」
「こちらの『幸運』を吸い上げ、不幸を押し付けるか。それが……!」
「ええ、それが猟兵っていうものですよー」
不運と幸運。
それらに質量はない。けれど、たしかに因果は束ねられていく。逆転する。
その時放たれる棒手裏剣の一刀は『レプリゼンタ・カンギ』にとって、偶然に躱せるものであった。
けれど、そうはならなかった。
すでに運気は傾いている。
「天秤は釣り合いがとれていることが肝要。されど、些細なことで傾くものですよー。それが幸運か不運かなどというものであればなおさらのこと」
放たれる棒手裏剣が『レプリゼンタ・カンギ』の瞳へと吸い込まれ、血潮を吹き出させる。
傾いた天秤、その皿においたものは、須らく溢れさる運命なのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
高天原・光明
戦いとは幸運に恵まれた者が勝利する。だが、その幸運を念頭に置いているならば、射貫くべき急所となる。さぁカンギ、狩りを始めよう。
UC発動、知恵ある猛獣相手の〈狩猟〉を始めよう。蠢く植物群を〈地形の利用〉で遮蔽に使い、〈罠使い〉で罠をばら撒きながら奴を射撃で翻弄しよう。狙いは奴の行動の限定、俺を追うなら動きが判り易い。業を煮やして動きが単調になったら好機、〈早業〉でありったけの矢弾をくれてやる。全てが濃密な〈呪殺弾〉だ。
九割九分九厘の攻撃を躱すとはいえ、一厘でも可能性があるならば、俺はそれを最大まで引き上げる。俺は狩人、必ず来ると信じて一瞬の好機を待つに慣れているさ。
(アドリブ等々大歓迎)
血潮が黄金ピラミッドの内部に飛び散る。
それは猟兵の放った|致命的な一撃《クリティカルヒット》であった。
尋常ならざる『幸運』すらも覆した一撃。
されど、未だ『幸運』は『レプリゼンタ・カンギ』の味方である。あらゆる因果をおのれの都合の良い方向へと収束させる。
それが『レプリゼンタ・カンギ』の持つ『幸運力』。
『偶然』は彼の味方である。
「馬鹿な……ありえない。私の『幸運力』を上回るだと……!? それほどまでに猟兵は精密精緻なる攻撃を積み重ねてくるというのか……!」
『レプリゼンタ・カンギ』は、それゆえにユーベルコードでなくても傷を追う。
血潮溢れる眼球が、その証左。
追い込める。どれだけ強大な『幸運』を持つのだとしても不可能ではないのだ。
だからこそ、高天原・光明(彼方より禍を射貫くもの・f29734)は頷く。
「戦いとは幸運に恵まれた者が勝利する。だが、その幸運を念頭に置いているならば、射抜くべき急所となる」
光明は、その瞳をユーベルコードの輝かせる。
敵は象頭獣人。
ならば、植物で人の如き体躯を作っているのだとしても、獣そのものである。光明にとて、それはあまりにも当然のことである。
これは戦いですらない。
そう、敵が獣ならば光明は狩猟をするだけなのだ。
「ほざけ、猟兵。私の『幸運』は未だ頭上に燦然と輝いている」
蓮の花が咲き誇り『レプリゼンタ・カンギ』の身を覆っていく。
「さぁカンギ、狩りを始めよう」
光明は駆ける。
うごめく植物群を躱しながら『レプリゼンタ・カンギ』の視線を遮り、罠をばら撒く。放つ矢の一撃は『幸運力』によってかわされる。
当たり前のように『レプリゼンタ・カンギ』は光明の矢を、まるで『偶然』そのものように躱していくのだ。
驚異的な回避。
これを意識していないというのだから恐ろしい。
「だが、知恵ある猛獣程度。その程度の相手ならば」
光明は遮蔽物を利用しながら走る。駆ける。飛ぶ。
それはあまりにも防戦一方であったことだろう。此方からの攻撃は当たらない。だが、『レプリゼンタ・カンギ』の攻撃は光明を確実に追い込んでくるのだ。
九割九分九厘、おのれの矢は外れる。
もはや理解したことであった。
今まで放った矢は尽くが外れた。こんなことは初めてであった。当たる、と確信していたとしても、まるで因果を捻じ曲げられたかのように矢がそれていくのだ。
これはもう『偶然』とは呼べない。
逆転した因果。
外れると決定した矢を光明は射掛けているにすぎない。
だが、敵が知恵ある猛獣であればこそ、これまで猟兵たちの与えた打撃が効いてくる。
確かに『幸運』は未だ彼の味方。
だというのに、彼は傷つき始めている。その事実が焦りを生むだろう。じりじりと自身が追い込まれているのを理解しているはずだ。
植物群の動きが単調になってきた。
わかりやすいものだと光明は笑むことをしない。物事が己の善きように傾いて笑むのは三流のやることだ。
ならばこそ、彼の瞳は見据える。
ユーベルコード。
思い出せ、狩場の原則(フォン・ヤァクト)を。何故自分が『レプリゼンタ・カンギ』の攻勢を躱しながら逃げていたのか。
逃げていたのではない。
彼より高所に立つためだ。そして、それは今成ったのだ。
「此処なら射抜くに不足ない」
呟く。
ただ、それだけでよかった。
九割九分九厘外れる。
ならば、残り一厘は当たるのである。その可能性を光明は知っている。その一厘を射抜くのが己である。
「狩人の原則は、俺の中にある。俺は狩人だ。かならず来る一瞬を――」
それを待つのには慣れている。
これは『幸運』と『不運』の戦いではない。
「これはただの根比べだ、カンギ」
放つ一射。
それはすでに決定した事柄。
当たるという結果は収束する。如何なる『偶然』も『幸運』も介在することを許さぬ一射が、『レプリゼンタ・カンギ』の喉を貫く――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
ステラさんが|やべー《通常運転》ままですが、
理不尽には理不尽で対抗しましょう。
『光の勇者ルクスちゃん』の、
「いまのステラさんのやべー力をぶつければいける」
という助言に従って、今回はステラさんの突撃を提案しましょう!
さ、ステラさん。
ガン無視で萌えからの一連で得た、暗黒パワー力をいまここに!
ドリルに込めてあいつ抉りましょう!
サポートはわたしがします!
そう言って【クラリネット狂詩曲】でステラさんを回復です!
愛が重い……って、えぇ!?
なんでわたしのせいなんですかー!?
それにステラさんとエイルさんが逢瀬出来る幸運量なんて、
たぶんブルアカ沈みますよ!?
ああっ! わたしの幸運吸わないでー!?
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
|エイル様《主人様》の!香りがしません…(しくしくしく)
エイル様ーどこー?あなたの|メイド《犬》が迷子ですよー?
誰がやべーメイドですか
えー私ですかー?
こういうのは勇者のルクス様の役目なのでは?
行けと言われれば行きますが
【バトラーズ・ブラック】発動で闇を纏いつつ
ところでカンギ様?
さっき『やべーなこのメイド』という顔をしてましたね?
ということは私の『エイル様への愛』は回避できていない
つまり『エイル様への愛』である【押しかけメイドの本気】はかわせませんね?
ルクス様がそう言うのならこの闇全てぶつけましょう
ええ、全部あの勇者のせいです
私がエイル様と逢瀬できるだけの幸運量をよこしなさい!!!
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はしょんぼりしていた。
しおしおな顔をしていて、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はなんとかステラが回復できたらいいなぁって思っていたが、その必要はないのかも知れないなぁと思いを改める。
「|『エイル』様《ご主人様》の! 香りがしません……」
しくしくと、さめざめと鳴くメイド。
「『エイル』様ーどこー? あなたの|メイド《犬》が迷子ですよー?」
やべーメイドである。
ルクスはやっぱりね、と思ったしいまさらであるが押しかけメイドの本気(マワリトノニンシキノチガイ)を見たような気がした。
いやさ、それは|やべー《通常運転》ままである。
とは言え、対するオブリビオン、『レプリゼンタ・カンギ』は理不尽の如き『幸運力』を持つ。
ルクスは最初から当初からステラと『レプリゼンタ・カンギ』のどちらがやべーのかを考えていた。どっちもどっちな気がしないでもない。
どうしよう。
割と本気でステラは悩む。
『レプリゼンタ・カンギ』は、ただ『幸運』のままに『偶然』攻撃を躱し続ければいい。
そんなルクスに『光の勇者ルクスちゃん』がささやく。
本当に光の勇者なのか? と疑わしいレベルで非常識なことをささやく彼女。
「いまのステラさんのやべー力をぶつければいける」
本当にぃ?
だが、その助言にしたがっていて間違ったことはない。
前提問題がそもそもからして間違っている気がしないでもないが、それでもなんとなしにうまいこと転がってきたのだから、大丈夫なのである。
それが勇者の特権(ユウシャノトッケン)というものだ。
万事塞翁が馬。
「さ、ステラさん。ガン無視で萌えからの一連で得た、暗黒パワー力を今此処に!」
はい、これドリル! とルクスはステラをけしかける。
「えー私ですかー? こういうのは勇者のルクス様の役目なのでは?」
まあ、行けと言われたら行くのがメイドの嗜みというやつである。闇を纏いつつ、ステラは釈然としないままにドリルを手にして走る。
『レプリゼンタ・カンギ』は困惑していた。
彼の『幸運力』は疑いようのないものであった。けれど、猟兵たちの誰もが己の『幸運』を上回ってきた。
時に緻密な計算による位置取りで。時に偶然すら味方につける|致命的な一撃《クリティカルヒット》でもって。
一撃一撃が重たくなくとも、積み重なっていく。
「何故だ。何故私の『幸運力』を上回る……!」
「ところでカンギ様?」
ひっ。
いきなり暗いところからでてくるんじゃねー! と思わないでもなかったが、ステラがにゅっと闇から出てくる。
軽くホラーである。
だが、『レプリゼンタ・カンギ』はうろたえない。
いや、おもくそ狼狽えていたが大丈夫か。
「さっき『ヤベーなこのメイド』という顔をしていましたね?」
にこりと微笑むステラ。
いいのである。自分がどれだけヤベーメイドであると思われた処で、なんの支障もない。
それほどまでに彼女の愛は重いのである。
「ということは私の『エイル様への愛』は回避できていない。つまり『エイル様の愛』である押しかけメイドの本気(マワリトノニンシキノチガイ)は、回避不可。ならば、あなたの『幸運力』の及ぶところではないものであると同義。つまり私の愛は!」
「――っ」
ひゅっ、と『レプリゼンタ・カンギ』の息がかすれる音が聞こえた。
まじのドン引きである。
献身的なメイドの想いならぬ狂気が迸る。
これがユーベルコードとか、まじでどうかしてるとしか言いようがないが、しかして現実なのである。『レプリゼンタ・カンギ』はあまりのことに動きを止めてしまっていた。
そこに飛び込むルクス。
「愛が重い……」
「ええ、全部あの勇者のせいです! 『エイル』様をくんかくんかもできなければ、ペロペロも出来やしないこの現実なんていうのは!!」
あんなことそんなこといっぱいあるけど、まあ、それはステラの脳内で修めておくことにする。全体敵にピンクっていうか蛍光ピンクな感じがするが、それは気にするな!
「……え、えぇ……なんで私のせいなんですかー!?」
「ごちゃごちゃと分けのわからぬことを!」
放たれる雷撃をルクスは躱しながら、ルクスはステラからドリルを受け取る。ステラの役目は愛を叫ぶこと。愛っていうか狂気っていうか、妄執っていうか。
「私が『エイル』さまと逢瀬できるだけの幸運量をよこしなさい!!!」
「なんの話だ!?」
「本当ですよ!? ステラさんと『エイル』さんが逢瀬できる幸運量なんて、多分世界が沈みますよ!?」
ルクスの一撃が『レプリゼンタ・カンギ』の困惑する背中に打ち込まれる。
えぐられる植物の肉体。
もはや、『幸運』とか『偶然』とか関係ない一撃。
それを超越したのは、ルクスの光の勇者ちゃんから得た非常識な助言とステラの『やべーメイド』たる所以。
「世界が例え沈むのだとしても! それでも私は添い遂げるのです!!」
「ああっ! わたしの幸運が吸い取られるー!?」
そんな力はないんどえある。
しかしながら、『レプリゼンタ・カンギ』は思った。
この二人組みに関わるのは得策ではないと。
確実に別の意味で嵌め殺されると、戦慄するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
祓戸・多喜
インドの象神様は幸運の神様って言われるらしわねー。
弓矢主体の私は相性悪そうだけど根性で当ててみせる…!
蓮華の花に警戒して遠距離を狙う。
可能なら屋内の構造確認し特に狭まってる直線通路を探しておく。
矢を束ね一斉に発射して出方を伺う…何か矢があり得ない軌道で逃げてる!?
空中浮遊で後退しながら矢で牽制しつつ最大の矢を番えUC発動し詠唱…集中開始。
その前に距離詰めてきたら詠唱継続しつつ念動力で通連操り蓮華を切り飛ばすか弾き飛ばす!
花つけて洗脳しようとするなんてアウトもアウト!
ある程度長い直線までひきつけたらたっぷり高めた力でぶっ放す!
更にその直後に通連で追撃、回避後の隙を狙う。
※アドリブ絡み等お任せ🐘
ある世界のインドと呼ばれる国において象頭の神たるガネーシャは幸運の神と呼ばれている。
故に『レプリゼンタ・カンギ』の植物の体に象頭の獣人たる姿は、それを想起させるものであったことだろう。
事実『レプリゼンタ・カンギ』は尋常ならざる『幸運力』によって迫る猟兵たちの攻撃の尽くを躱し続けていた。
「私とは相性が悪そう」
祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は、その象頭の獣人の如き姿で、その考えを振り払う。『幸運』に恵まれ、それによってこちらの攻撃の一切合財を躱す『レプリゼンタ・カンギ』。
彼に攻撃を当てるのは至難の業。
『偶然』という名の事柄の因果を逆転させる力は、弓を武器とする彼女にとっては相性が最悪であった。
けれど、彼女は根性を持つ。
『幸運』が『偶然』を味方につけるのならば、『根性』は『必然』を手繰り寄せる力。
「ほう、私と同じ姿をしたものが猟兵にも居るのか……懐かしき姿。だが! すでに猟兵であるというのならば、オブリビオンたる私の敵。それ以上にアルカディアに招来されたのならば、滅ぼさねばならぬ!」
せめてもの情けと言わんばかりに『レプリゼンタ・カンギ』は蓮の花をもって多喜を洗脳しようとする。
だが、彼女は走る。
すでに情報は得ているのだ。あの蓮の花によって洗脳されて植物化してしまえば、もはや己の自我はなくなる。
そうなってしまえば、勝機など何処にもない。
だからこそ、黄金ピラミッドの内部を走る。多くの猟兵が此処まで戦いを繋いできたのだ。後は自分が紡ぐだけだ。
狭い通路を走る。
己と同じ姿をしているというだけで、こちらへの興味は惹かれているはずだ。
「なら、誘い込めば……!」
放つ矢。
それは牽制であったが、いずれも必中。
宙を駆ける矢は、しかして『レプリゼンタ・カンギ』を躱すように軌道を変えて壁に当たって音を立てる。
「なんかありえない軌道で矢が逃げてる!?」
多喜は『レプリゼンタ・カンギ』の『幸運力』の凄まじさを知るだろう。これが『レプリゼンタ』たる所以。
どんな行動も『レプリゼンタ・カンギ』に味方していく。
空中に飛び、矢をつがえる。
牽制の一射では尽くがかわされる。否、外れてしまう。
「集中して一射に懸けるつもりか。だが、それを許す私ではない!」
雷撃が走り、蓮の花が飛ぶ。
それを念動力によって空を舞う日本刀が切り裂く。蓮の花は確実に自分を洗脳しようとしている。
猟兵達が『レプリゼンタ・カンギ』の『幸運力』を上回ってくるのならば、壁を一枚増やせばいい。
邪悪なる者ではない猟兵たちにとって、味方の猟兵が操られているという事実は、それだけで多くの者の足を、手を止めるだろう。
「花をつけて洗脳しようとするなんてアウトもアウト!」
多喜が立つのは一直線の通路。
敵の攻撃を遮るものはない。対峙する己の姿も丸見えである。だからこそ、彼女は此処を選んだのだ。
己の一射。
偶然を必然に変える集中。
「この一矢で決めるわよ!」
これまでの集中は詠唱の時間を稼ぐため。無限に威力が上昇するユーベルコード。
射法・弓張月(フネオトシ)は、この狭まった一本道であれば躱すことなどできない。完璧な位置取り。
放たれる一条の矢は『レプリゼンタ・カンギ』を捉える。
だが、その一条すらも『幸運力』は捻じ曲げる。ありえないほどの光景。まっすぐに飛ぶことを定められた矢は、『レプリゼンタ・カンギ』の目の前で歪み黄金ピラミッドの壁面を吹き飛ばす。
「言ったであろう。私の『幸運力』はあらゆる偶然を味方につけると! 恐らく同種! 猟兵である以上、滅ぼすのは気が引けるが!」
「そうよね。あの一撃を捻じ曲げるなんて凄まじい『幸運』。けれど」
その捻じ曲げた因果のしわ寄せは必ず訪れる。
そう、多喜の本命は一条の矢ではない。
砕けた壁面の瓦礫の影から飛び出すのは念動力で制御された日本刀。
その斬撃が走る。
「その隙を生み出すためのもの!」
放たれる一撃が『レプリゼンタ・カンギ』に迫る。完璧な位置取り。回避など不可能なる斬撃が、その植物の肉体を切り裂く――。
大成功
🔵🔵🔵
西院鬼・織久
全て捩じ伏せます
その程度できねば闇の種族には届かないでしょう
我等が怨念未だ届かず
故に我等は牙を研がねばならぬ
幸運など喰らってくれよう
【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ敵攻撃の前兆や軌道を見切り、戦闘知識+瞬間思考力で常に戦況の変化と隙を見切る
UCに怨念の炎を宿し範囲攻撃、面制圧を仕掛けつつ怨念の炎を撒く
それ自体は焼却+呪詛+生命力吸収の継続ダメージで徐々に消耗させるのみで直接的な命の危機はなく「幸運」も発動しにくいと予想
影の腕+怪力で自身の体を敵に引き寄せダッシュ+なぎ払+切断で首を狙う
「幸運」発動と油断と怨念の炎での損耗による僅かな反応の遅れを逃さず追撃、串刺し+UCで傷口をえぐる
全てねじ伏せる。
その言葉は力強いものであった。
確信があったわけではないのかもしれない。けれど、そうしなければならないと彼は思っていたし、そうあるげきだと内なる者たちが叫ぶのを感じていた。
オブリビオンとは怨敵そのもの。
滅ぼさなければならないもの。
確実に。どれだけの『幸運力』を持っていようとも、どれだけ個としての力が勝るのだとしても。
「その程度できねば闇の種族には届かないでしょう」
西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は殺意と狂気に爛々と輝く赤い瞳で『レプリゼンタ・カンギ』を見据える。
その狂気を前に『レプリゼンタ・カンギ』は頭を振る。
「その怨念、執念そのものが私の『幸運』の前には無意味。徒労であることを理解せず、徒に時を重ねるのならば」
黄金杖が打ち鳴らされ、雷撃が走る。
その一撃を織久は瞬間的に躱す。雷撃は早い。けれど、その軌跡を見切る。野生の勘と言ってもいいほどの直感と共に彼は、崩壊した黄金ピラミッドの内部を蹴る。
「我等が怨念未だ届かず。故に我等は牙を研がねばならぬ」
「それが無意味だと言ったのだ。どんな強い感情も、どんなに強い力とて、当たらなければ意味など無い!」
放たれる黒い影を『偶然』にも躱す『レプリゼンタ・カンギ』。
意識すらしていないだろう。
攻撃を躱すという意識すらない。
彼にとって己に迫る脅威全てが無視できるものであった。これが『幸運』。なんとしても生き残らせるという種族全ての怨念めいた力が宿る『レプリゼンタ・カンギ』にとって、黒い影など意味をなさない。
だが、それでも織久は走る。
雷撃を躱し、掠めながらもその瞳に宿る狂気と怨念のみを武器にして走るのだ。
止まれるわけがない。
己の中にくすぶるものは、もうどうしようもない。
自分でも制御などできようはずもない。ただ、滅ぼす。そのためだけに己たちの牙は練磨されてきたのだ。
怨敵を食い破る牙。
その牙を研ぎ澄ませるために必要なのは、敵の血肉、骨のみ。
「何人たりとも死の影より逃れること能わず」
狂気に彩られた赤い瞳がユーベルコードに輝く。広がる黒い影。一点を射抜くのではなく、面。
張り手のように広げられた黒い影が『レプリゼンタ・カンギ』に迫る。
だが、それすら五指の間に挟まるようにしてかわされてしまう。黒い炎が撒き散らされる。
「これ自体が、呪詛……おぞましいな。この執念、妄執と呼ぶに相応さしい!」
怨念の炎は呪詛に寄って燃え、生命力を吸い上げていく。
消耗させられていると理解している。
そうでなくても先んじて戦った猟兵たちによって消耗激しいのだ。一撃とは言え、それは確実に『レプリゼンタ・カンギ』を蝕んでいる。
「直接的な脅威でなければ『幸運』も続かない……」
影の腕が『レプリゼンタ・カンギ』を取り囲み、そこに織久は己の手を貫手にして放つ。
消耗した幸運。
そして、この状況。
周囲は黒い炎に包まれ、退路はなく。
迫る炎は消えず。放つ一撃は|致命的な一撃《クリティカルヒット》。これがユーベルコードの一撃でなくてもいい。
ただ、一太刀浴びせればいいのだ。
僅かにも幸運を上回れば、それだけで届く。
「幸運など喰らってくれよう」
全てを噛み砕き、牙を研ぎ澄まし、己の怨敵を殺す。
ただそのためだけに放たれる貫手の一撃が、猟兵に寄って潰された隻眼へと走る。
「私の、幸運を……ただの試金石とするか!」
「そうでなければ届かぬ敵が居ると言うだけの話。我等の怨念、その報いは、その傷を深めることで贖ってもらう」
打ち込まれた貫手が『レプリゼンタ・カンギ』の潰れた眼、その眼窩をさらに抉り、血潮の如き雨を降らせる――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
運っていうのはつまり蓋然性に干渉する力だよね
テュケちゃんや何かの加護とも言うね
キミの幸運は誰の加護かな?
自分に都合のいい出来事を引き寄せる、それこそ都合がいいものだね!
でも…幸運もまた蓋然的であって、キミを必ず救う必然的なものじゃない
もしそうなら、ここでこんなことにはなってないものね!
●当たるまで引けば確率100%
運ていうのはどこまでも続くものかな?
運の尽き、とかとか言うよね?
さてそれでキミは今までどれだけ運を使ったかな?
後どれだけ運が残ってる?
そんなものじゃないって?
いいや、運は使えば減るものさ!
―――そしてこの会話が何度目か、気付いてる?
●屁理屈:運は使えば減る
●理不尽な世界改変:運はターンを超越して使えば減る
●時間遡行:運が尽きるまで同じターンを繰り返す
●UC『神論』
ボクの力だけじゃ届かないかもしれない
でももう一度言おう
キミは、ここまで、どれだけ運を使ったかな!
必然レベルで当たる超クソデカ[白昼の霊球]くん(象くんにだけ当たる設定)を上からドーーーンッ!!
『幸運』とは即ち、蓋然性に干渉する力であるとロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は理解していた。
実際にそれが起こるか起こらないか。
真か否か。
確実性の度合い。
それを引き寄せる力であるといえるだろう。
「キミの幸運は誰の加護かな?」
「重なる因果の果てであるといえるだろう。私自身が最後に残るものであるからこそ、宿る者である。唯一無二を気取る神性には理解できぬものであろうがな!」
『レプリゼンタ・カンギ』はえぐられた眼窩から血潮の如き色をした体液を流しながら吼える。
これまで猟兵たちの攻勢は彼の持つ尋常ならざる『幸運』を凌駕してきた。
どうしようもないほどの『幸運』。
『偶然』を『必然』に変える豪腕の如き力。
「自分に都合のいい出来事を引き寄せる、それこそ都合がいいものだね! でも……幸運もまた蓋然的であって、キミを必ず必然的なものじゃない」
「ほざけ!」
放たれる伸縮自在たる超重力の力を宿した長い鼻。
それがロニに走り、その超重力の力が迸る。
跳ねるようにして彼はそれを躱して言うのだ。
「もし、そうなら、ここでこんなことになってないものね!」
過去の化身であるオブリビオン。
即ち、滅びた後に滲み出た者。どれだけの『幸運』を持つのだとしても、一度滅びている。ならばこそ、そこに永遠性はない。
故に、ロニは走るのだ。
どんな『幸運』であろうと凌駕できぬ理由など無いのだというように。
「運ていうのはどこまでも続くものなのかな? 運の尽き、とかとか言うよね? さて、それでキミは今までどれだけの運を使ったかな?」
「小蝿のようにたかることしかできぬ弱き者たちが!」
己に一撃を与えた程度で調子づかれている。
そんなふうに『レプリゼンタ・カンギ』には理解できただろう。確かに猟兵たちは己の『幸運』を凌駕してきた。
けれど、それでもなお一撃、一撃、と軽いものしか与えられていない。
己を隻眼にし、肉体を切り裂いてもなお、今此処に自身が居ることが証左。
「どれだけ言葉を弄しようともな!」
「そんなものじゃないって? いいや、運は使えば減るものさ!」
「膨大な幸運は、未だ私とともにある! 現に貴様は!」
「――この会話何度目か気づいてる?」
その言葉に『レプリゼンタ・カンギ』は訝しむ。
どういうことだと、そのやり取りに違和感を覚える。
いや、覚えている。
「なんだ、これは」
「ボクの力だけじゃ届かないかもしれない」
これも聞き覚えが在る。
奇妙な感覚が『レプリゼンタ・カンギ』を支配していく。
まるで子供の屁理屈に付き合っているような感覚。いや、理不尽さを感じている。どういうことだと考えるこの思考さえ、何度目かという既視感。
「貴様、何をした!」
「じゃあ、もう一度言おう。キミは、ここまで、どれだけ運を使ったかな!」
それは時間遡行。
神論(ゴッドクィブル)は、幾度でもそれを重ねてきた。論じるに値しないことであったのかもしれないが、それでも数を重ねれば、この刹那の間に何十、何百、何千という問いかけの輪廻を繰り返してきた。
「――これはボクの力だけじゃ届かない。でももう一度言おう。キミは、ここまで」
「それはもう聞いた――……聞いた、だと?」
そう、幸運は量。
目減りする。
そして、数千に及ぶ遡行によって削られた幸運は、即ち必然を手繰り寄せるロニにとっての豪腕そのもの。
「どれだけ運を使ったかな!」
必然にまで手繰り寄せた拳の一撃。否、躱す事の出来ぬ|致命的な一撃《クリティカルヒット》たる巨大な球体が空より落ちる。
これほどまでに巨大で、躱しようがない一撃であっても、これまでの数千のループの中で『偶然』にもかわされてきた。
『レプリゼンタ・カンギ』が巻き込まれてきたのは、空前絶後のリセットループ。
何度も何度も何度も何度も。
飽きるほどにロニは同じ言葉を重ねてきた。
目減りした運は、ついに『偶然』を味方につけることすらできなくなっていたのだ。
「はい、これで最後! もう面倒だから、これでいいよね! はい、ド――ンッ!!」
落ちる球体。
同しようもないほどの巨大な球体が黄金ピラミッドをさらなる崩壊に導き、『レプリゼンタ・カンギ』を押しつぶすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
穂藤・野々
確率ってどんなに高くても100%で頭打ちなの
ゲームルール適用
レプリゼンタ・カンギをプレーヤー指定します
こっそりUCを発動したらスカイカナルで【空中戦】
少しの段差で大ダメージを受けるような難易度だけど、幸運な象さんを自滅させるのは難しそう
でも、ありえない脆さに気付けば強化UCを使うはず
精神感応は【狂気耐性】で抵抗
強化UC……脆弱主人公から逸脱しようなんて、明らかな法則違反なの
象さんの戦闘力は能力値の高さじゃなくて運……つまり成功率の高さ
運に胡坐をかいていた象さんは、その確率自体が下がる事態を想定していたかな?
ここからは真っ向勝負ね
何て言うんだっけ……そうそう
あなたに当たるまで、殴るのをやめない!
巨大な球体が『レプリゼンタ・カンギ』の肉体を押しつぶす。
だが、それでもオブリビオンである以上、まだ立っている。隻眼と成り果て、その身を猟兵たちの『幸運』を上回る攻勢によって傷つけられてきた。
「私は『レプリゼンタ』。必ずや生き残らねばならない。そのための『幸運』。そのための……私だ。如何にしてもアルカディアを支えねばならないのだ」
蓮の花が咲く。
植物の体は、その花によって見る者を洗脳するだろう。
だが、空に描かれるは色彩の魔法。
いや、違う。空に線を引くように彩るのは、フロートボード。軽やかな色が空に軌跡となって残っていく。
「確率ってどんなに高くても100%で頭打ちなの」
穂藤・野々(虹を描く少女・f36805)は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
世界を彩る魔法の如きユーベルコード。
ワールドハック「薄っペランカー」(ワールドハックウスッペランカー)。バーチャルキャラクターである野々にとって、それはあまりにも理不尽なゲームであった。
「主人公は君。迂闊に進まないほうがいいよ。これワンポイントアドバイスね」
「何を言っている。私にとって『幸運』とは……!」
あらゆる危機を回避するものであった。
これまでもそうであったように。既の所で、首の皮一枚で猟兵たちの攻勢を躱してきたのだ。これからもそうであるというように、己の肉体に咲く蓮の花が、彼の肉体事態を強化していく。
だが、それがルール違反。
主人公に指定されたのは『レプリゼンタ・カンギ』。
これはゲーム。
世界を交換したのだ。何と、とは今更言うまでもない。
『薄っぺランカー』。
空前絶後。もはやこれより後には、このゲームの主人公以上に虚弱な主人公は出てくるまいと言われるほどの難易度を誇るゲーム。
「少しの段差にも気をつけて。ちょっと石に躓くだけでダメージ受けるような難易度なの」
野々は微笑む。
とっても難しいゲームであるから、と注釈したのは優しさではなかった。そう聞けば『レプリゼンタ・カンギ』は己の肉体を強化するだろう。
あまりにもありえない脆さ。
己の『幸運力』が発動し、小石すら『偶然』にも回避するのに戦慄したはずだ。
なにかに躓いただけでダメージが入るなど、この現実世界には在りえぬ事象。故に彼は強化しようとする。
それこそが罠だ。
『主人公に指定されたプレイヤーは、このゲームの主人公の法則を持つ』
違反者は言うまでもなくペナルティを追う。
即ち、行動の成功率の低下。
「私自身を書き換える、だと……こんな、ユーベルコードが!」
「それって明らかな法則違反なの。象さんの戦闘力は能力値の高さ、即ちATKとかDEFとかSPDとかじゃないの」
即ちこれまで『レプリゼンタ・カンギ』が猟兵たちを相手取ってなお、首の皮一枚繋がった状態を維持してこれたのは、その成功率。
生き残るという行動に対しての圧倒的な成功率の高さにあったのだ。
ならば、その運にあぐらをかいていた『レプリゼンタ・カンギ』の成功率が低下するのならば。
「その確率事態が下がる事態を想定していたかな?」
しているわけがない。
『幸運』とは絶対である。『偶然』を『必然』にまで手繰りより、因果さえも逆転させる力。
故に、負ける要素はない。
「ここからは真っ向勝負ね」
微笑む野々。
彼女にはもうわかっていた。
猟兵達がこれまで多く削った『幸運』。『幸運』は目減りする。さらにそこに確率を下げるルールを付与することに寄って『レプリゼンタ・カンギ』は最早、強大なオブリビオンではない。
世界すら交換せしめるユーベルコードに寄って野々は、『レプリゼンタ・カンギ』を引きずる下ろす。
「私の、『幸運』を……! 否定するか! させぬ! この窮地を切り抜けてこそ……!」
「なんて言うんだっけ……そうそう」
思い出した、と野々はフロートボードと共に空より飛来する。
描く軌跡は色彩。
万色に煌めくように軌跡を描いた野々は、その手にフロートボードを取り、振りかぶりながら『レプリゼンタ・カンギ』に急降下する。
最早『偶然』にも躱すことなど万が一にもありえない確率。
「あなたに当たるまで、殴るのをやめない!」
振り抜いたフロートボードの一撃が『レプリゼンタ・カンギ』を打ち据える。
虚弱な主人公に設定された『レプリゼンタ・カンギ』にとって、その一撃は絶命に至らしめるには十分すぎた。
空には色彩が宿り、目の前のオブリビオンは霧消していく。
終わることのない『幸運』などない。
確率は100%を超えることはない。そして逆にマイナスに至ることもない。
故に、野々は笑うのだ
「この世界はキャンバス。何処までも描けるよ。だから、それを|世界《キャンバス》を壊すことなんてさせないの――」
大成功
🔵🔵🔵