アルカディア争奪戦㉑〜惑いの歌は泡沫の夢に溶けてゆく
「人魚。泡になって消えたとか、食えば不老不死になるとか言うが」
ごめん何の話?
集まった猟兵たちのそんな視線を受けた山立・亨次(人間の猟理師・f37635)は、思い出したように続けた。
「『天帝』――冬のアスタルシャ。その身に降りかかる悲劇の連鎖に曝され続けて、その連鎖を断ち切るために動いた。言うまでもなく強敵だ」
己の悲劇を詠み、危機を未然に回避してしまうその力も然ることながら、現象や伝承を元に創造された強力な『幻想武装群』を生み出すことにより、自身は愚か配下である天帝騎士団の精兵たちをも大幅に強化している。
その幻想武装群に対処できなければ、アスタルシャの下に辿り着くことすら叶わないだろう。一様に幻想武装群を下賜された騎士団の精兵たちにより、忽ちの内に撃退されてしまうことは想像に難くない。
無論、それはアスタルシャ自身にも同じことが言える。幻想武装群の生みの主であれば当然、同じ武装で猟兵たちを待ち構えているのだから。
ならば、その肝心の幻想武装群とは具体的にどのようなものなのか。
「人魚が愛した男のために、命と引き換えに贈った『全てを魅了する音色を奏でる|竪琴剣《ソードハープ》』だ」
今、この男に少なくとも現状一番似つかわしくないワードがその口から連発された気がするのだが。
ともあれ成程、精神攻撃の類である。また、この音色は呪歌と似たような性質であるらしいので、呪いを打ち破るのと同じ対処法でも突破はできそうだ。
「何度も言うが、そこを越えられてもアスタルシャは強敵だからな。油断するなよ」
そう告げる亨次の掌で、輝ける|導きの狼《グリモア》が吠える。
猟兵たちを、戦場へと送り出す。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
その場限りの魅了を打ち破ることに浪漫を感じるMS。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:ボス戦『『天帝』冬のアスタルシャ』
幻想武装群に対処し、武装する騎士団の精兵を突破することでプレイングボーナスがつきます。
今回の武装についてはオープニングの通り『全てを魅了する音色を奏でる竪琴剣』となります。
攻略のヒントもまたオープニングに。また、それ以外でも有効そうな手を試す価値もあるでしょう。
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 ボス戦
『『天帝』冬のアスタルシャ』
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POW : 絶凍剣
【自身の持つ絶凍剣】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【天帝の凍気】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD : 白雪剣舞
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【氷属性の魔法剣】で包囲攻撃する。
WIZ : 氷獄凍土
戦場全体に【五感を奪う魔の吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【吹雪と共に飛来する幻想武装群】による攻撃力と防御力の強化を与える。
イラスト:仁吉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第二『静かなる者』破魔使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:四天霊障
ああ、私は馬県義透と申します。
さて、まずは先制攻撃の要領で『桃花琴弓』による鳴弦を。
魅了も誘惑の内でしょう。元々は対妲己用宝貝だったのですし。
UCを発動して…以後は攻撃とかは受け続けていきましょう。
(四悪霊の前に団体置くとこうなる)
ええ、認識は敵の皆様が。そうでなくとも、影にいる二匹がいますので。
そして、私自身は四天霊障での押し潰しを。そもそも見えませんからね、これは。避けようがなく。
私自身、司るのが氷雪なので…少し、『冬のアスタルシャ』自身の攻撃が気になってたのですよ。
●
黄金の翼を纏う、冬色の偉丈夫は。
片手で大剣を担ぎながらも、片手に竪琴剣を携える。
それこそが幻想武装群がひとつ。人魚の命より生まれた音色の伝説。
彼を囲む騎士団もまた、ある者は剣の柄に、ある者は竪琴の弦に手を掛ける。一様に下賜された、伝説の複製だった。
「――何者だ!」
その、翼持つ騎士らが怒号を上げた。
眼前に佇むのは、結び目四つ括られた祟縄提げた一人の武士。雪のように儚げで、しかし凛と強かな。
「ああ、私は馬県義透と申します」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が一人――静かなる者。
騎士らが動き出すのに先んじて、桃花琴弓を弾き鳴らす。その鳴弦は魔を祓い、穢を清めるために。
(「元々は対妲己用に拵えた宝具が、このようなところで役に立つとは」)
万物を魅了する『蠱毒の贄』。望むと望まざるとに拘らず、堕落と淫蕩を振り撒く穢れながらも清らかな仙女。
その香気に比べれば、何と生温い呪詛か。
時を移さず魅了の音色は力を失う。
「では、改めて。四悪霊、馬県・義透――参ります」
重ねて名乗り上げ、己への『認識』を敵へと植えつけて。
影に潜む陰海月と霹靂により既に確立されているそれは、しかし集団を介することでより強固なものとなる。
忽ち力へ還元し、縄を繰り、騎士らを悉く薙ぎ払う。時折刃を弾き、群衆を突き抜けてゆく。
天帝の眼前へ。昏く重き四悪霊の無念の壁――四天霊障にて押し迫る。
ただならぬ気配と共に、人魚の歌は効かぬと見るや、天帝はその手に掲げた大剣で、不可視の筈の四天霊障ごと断ち切らんと振り翳し、殴り砕くように振り下ろす――!
「く、うッ……!!」
それはどちらの呻き声だったか。
――やがて、弾け飛んだのは大剣だった。
鎧の隙間から、天帝は確かに血を流していた。竪琴剣の切っ先を義透へと向けたまま、大剣を握り直す。
競り勝った。しかし、悪霊たるその身にさえ、痺れが走り腕には氷の欠片が蝕むように貼りついていた。
義透――静かなる者自身、氷雪を司る身である。玲瓏にして静謐、その性質はまさに雪、故に。
(「少し、『冬のアスタルシャ』自身の攻撃が気になってたのですが。――これは、」)
成程、確かに。
――強い。
成功
🔵🔵🔴
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです
|守護稲荷《きこやん》、白鈴晶燈を灯して、呪詛の効果を防ぐよ!オーラの結界術も同時にお願いね。
まとめてくるなら、ユーベルコヲド、新世界ユウトピア……!
改変で剣を泡沫に……!戦う意思も何処か思いびとのところへ!
一対一最強角とは聞いているけど、勝てないとは思っていないよ。
鎧の隙間を通す弾幕や制圧射撃、わずかにでも部位破壊を狙った直接ダメージの出る射撃で挑むよ。
そして、ダメージと距離が詰まったら、再度ユーベルコヲドで改変化、内容は限定領域を真空化させること!
傷を負っていればそこから液体が漏れてしまう。傷を庇ったなら、それが最大の隙になる……!
射撃術の粋を見せるよ!
●
冬纏う男と、彼に仕える騎士団、その精兵。
彼らが一様に携える竪琴剣の音色は全てを魅了する。その性質は人魚の呪歌に近い――。
予め聞き及んでいたヒントに、またしても|天才《ジイニアス》たる国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は閃いた。
「|守護稲荷《きこやん》、白鈴晶燈を灯して、呪詛の効果を防ぐよ! オーラの結界術も同時にお願いね」
――コン、と一鳴き何処からか。鈴鹿に憑いた黄金の耳と尾が微かに揺れた。
鈴蘭の灯火が真白を金色丹色に染めて。ふわり、清らかに世界を照らせば触れた呪いは溶けるように消え失せた。
「竪琴が無効化されている……?」
「くっ……だが敵は一人、騎士道には反するが団長をお守りしろ! かかれ!」
騎士団は竪琴から指を離して剣を取り、鈴鹿の下へと殺到する。
しかし臆することはない。天才は予知に頼らずとも、常に一手も二手も先を読んでいるものだ。
「ユーベルコヲド、新世界ユウトピア……! 改変で剣を泡沫に……! 戦う意思も何処か思いびとのところへ!」
愛する者を護るための剣よ。
歌も刃も諸共に、泡沫の夢に溶けてゆけ。
理想世界構築型ハイカラさん後光領域が、ここに在る全ての目を眩ませ――塗り替えられた世界は泡の昇る水底の|白昼夢《せかい》。
人魚の|竪琴剣《いのち》もまた、泡と化す。想いの彼方を目指して次の世界へ。
戸惑う騎士団を掻き分けて、鈴鹿は波間を泳ぐように天帝の元へと駆け出した。
(「一対一最強角とは聞いているけど、勝てないとは思っていないよ」)
引き抜かれたのは双式機関銃ナアサテイヤ・ダスラ。接敵する間にも、弾幕斉射、制圧射撃で天帝の鎧の隙間を狙い、付け入る隙を与えない。
襲い来る無数の氷柱の如き氷の刃は、時に銃身で受け流し、時に騎士団を防壁替わりに進み、立ち止まることもない。
「む……」
そうしている内、特に一点、攻撃を重ね続けた部位にぴしり、氷が割れるように罅が入る。そこに血が滲むのを、鈴鹿は確かに目視した。
「距離は充分、出血も確認――新世界ユウトピア、|再度改変《アンコヲル》!」
「!」
水の夢が引く。
――途端、天帝の傷口から噴水のように鮮血が噴き出した。
限定領域を真空化させたのだ。傷を負っていればそこから液体が漏れ出るように。傷を庇ったなら、それが最大の隙になるように!
「射撃術の粋、とくと御覧あれ、ってね!」
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
愛の形見が武器か
人魚て苛烈だな
実際戦場で魅了で浮き足立てば死体へ直行だしお相手は将かねえ
兵>分割した七葉隠を【念動力】で防壁とし飛ばし敵兵と接触で琴の弦を切断狙いと鎧隙間に捻込み傷つける
この不意打ちも二度は無い
次は即念で七葉隠を合体
前衛を巨刀で【傷口をえぐる】様に薙ぎ返す刃で【足払い】
迎撃されたら【カウンター】分割させ七方向反撃
敵将>初手と同時にオレはUCの空気を練り【念動力】で手にしたクナイと自分にも空気を纏う
弦の音を空気で遮断し敵将へ【忍び足】で疾走
視覚確保が難なので【野生の勘】活用
敵UC被弾を避けるため足場を跳躍や敵兵足場に三角跳びで常に変え正面避け横からUCで【串刺し/暗殺】
アドリブ可
●
(「愛の形見が武器か……人魚て苛烈だな」)
人魚と想い人の間に何があったのか、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)には解らない。
けれど、命を擲ってでも愛する者のためにと贈られ、伝説となるに至るまでの武具――決して侮れないと、気を引き締める。
(「実際戦場で魅了で浮き足立てば死体へ直行だし、お相手は将かねえ」)
騎士団の長が皇帝として統治する国だ。ならばその伝説の謂れは騎士に関するもの、それも一団を率いる立場の者であってもおかしくはない。
ならば尚のこと、気は抜けない。
柱の物陰から騎士団の動向を窺う。隙はなく、長の身に危険が及ばぬよう、厳重な警戒網を敷いている。
トーゴは杖のように突いていた番傘の骨を解体する。そこにあったのは、七振りの刀。仕込み刀――号 を『七葉隠』と言う。
(「――動け、」)
繰る刃の盾を纏ってひらりと躍り出た。
応戦に当たろうとした騎士らの竪琴の弦が、刃鳴りと共にぷつりと切れる。驚愕の気配が消えぬ間に鎧の隙間にも刃を捻じ込んだ。
奇襲は成った。だがこれで終わりではなく。
(「この不意打ちも二度は無い――」)
同じ手が二度通用する相手ではないだろう。
ばらばらに動いていた七振りの刃は今、重なり合ってトーゴの――否、天帝の身の丈をも越える一振りの忍刀へと変貌した。
対応される前に、防衛線たる前衛を、抉り込むように纏めて薙ぎ払う。返す刃でその足を払った。
後衛に斬り込む。反撃に際しては再び散開した七の刃で受け止め、斬り返す。
――遂にトーゴは群衆の中、天帝の懐へ至らんとする。
「視ずの鳥其の嘴は此の指す先に――」
振動すら遮断して音を掻き消す、圧縮された空気を手にした苦内ごと鎧として纏う。
騎兵らの壁を音もなくするり抜けて、疾走。定まらぬ視界は培ってきた勘で整えて。
――瞬間、猛々しくも真っ直ぐに放たれる、鋭く冷たい凍気の刃!
咄嗟に横合いへと滑り込んだトーゴは、阻もうとする騎兵の肩を蹴って、背中から後方に跳ぶ。その先の柱をも足場としてまた跳ぶ。
狙うは、天帝の側面!
「穿て大鉄嘴」
「!」
大剣を携えるその腕を、その鎧の隙間を穿つように、鶴嘴の如く鋭く、鉄塊の如く重い空圧の一撃を、叩き込む!
「く――」
「おっと」
深手――その寸前、竪琴剣の刃がトーゴの瞳を掠めようとして、離脱。
「暗殺剣か」
トーゴは口元に微かな笑みの形を作り、返すのみに留めた。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
ジャーンジャーンジャーン!
惑わす魔性を打ち破り、浄化する銅鑼型宝貝『猛忍👍』!
竪琴よりも派手な音で、幻想武装の呪歌を退けマース!
銅鑼で天帝騎士団の攻撃を受け流し、カウンターのファルシオンで斬り倒し、アスタルシャ殿の元へ突撃デース!
銅鑼の音が騒々しくてソーリー、しかし精神攻撃に対抗するには必要なことなのデース!
それでは、いざ尋常にUC起動!
「六式武装展開、雷の番!」
全身を迸る電撃で覆い、音を置き去りにする超高速飛翔でアスタルシャ殿を翻弄!
絶凍剣を放たれても、空中機動で回避して剣を振り下ろした隙を狙ってカウンターアタック!
猛忍👍を構えて体当たり、吹き飛ばすであります!
●
ジャーンジャーンジャーン!
――あれ、竪琴ってこんな封神武侠界に響き渡ってそうな豪快な音してたっけ。
その疑問はすぐに晴れる。バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が銅鑼――否、銅鑼型宝具『|猛忍👍《モーニングッ》』を盛大に鳴らしていたのである。
「竪琴よりも派手な音で、幻想武装の呪歌を退けマース!」
成程、音そのものをより大きな音で打ち消してしまおうという算段。更に補足すると、この猛忍👍の音には魔を破り邪を清める効果があると言う。意外と念入りだった。
勿論、効果は覿面。そもそも騎士らは皆『うるせえ!!』と言わんばかりに耳を塞いでいるのである。鼓膜にダイレクトアタック。いいんか精兵それで。
それでもバルタンが突破を試みていると見るや、流石にはたと我に返り迎撃の構えを取る騎士団だが。
「突撃デース!」
ファルシオンによる受け流しからの、返す刃で斬り倒し、着実に道を切り開いていく。
勿論、猛忍👍を鳴らし続けるのも忘れない。
「銅鑼の音が騒々しくてソーリー、しかし精神攻撃に対抗するには必要なことなのデース!」
「……確かに何やら消魂しい予見があったが。成程、貴殿か」
先見可能範囲に入るのか、これ。
ともあれ、ここからが天帝との、真っ向勝負だ!
「それでは、いざ尋常に――六式武装展開、雷の番!」
蒼雷がバルタンの全身を奔り、迸る。|気合《ボルテージ》も今や最高潮。
音をも置き去りにする超高速飛翔で、歴戦の天帝にすらその動きを捉えさせない。予見できても、防げなければ意味がないのだから!
「――そこか」
だが、攻撃のために一瞬、ほんの一瞬動きを止めたバルタンへと、神をも殺す凍気を纏った刃が迫る――!
「残像デース」
が、その動きが止まる。
これは攻撃ではないと、天帝は先を見たからだ。
果たしてその通りにバルタンは既に、構えた猛忍👍を振り下ろすと見せかけて、身体を捻り虚空を蹴って、更に上へと飛翔している!
そして、返す刃も間に合わせはしない。
今度こそ、バルタンは構え直した猛忍👍ごと天帝へと、全体重を乗せた超高速の体当たりで突撃する!
「ぐ……おおおおおおっ!!」
遂に、あの天帝の身体が大きく吹き飛び、その背から壁へと激突した。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…悲劇を止めたいと願うお前の望みは痛いほど理解できる
…だけどね。たとえ如何なる理由があろうとも、
私の心を玩弄しようとした者の運命は一つだけよ
脳内の精神安定物質を増加して狂気耐性を強化する肉体改造術式で敵の誘惑を受け流しUC発動
瞬間的な吸血鬼化により血の魔力を溜めた香気のオーラで防御を無視して敵軍の洗脳を行う
…さあ、騎士達よ。その忠誠を見せてみなさい。その生命でね?
敵UCを騎士達を盾に回避した隙に「黄金の楔」を投擲する早業のカウンターで敵を捕縛し、
生命力を吸収し傷の治癒を阻害する呪詛を纏う大鎌で敵を乱れ撃ちする闇属性攻撃を行う
…これが私を怒らせた報いよ。消えるがいい天帝、この世界から永遠に…。
●
己と国に降り注ぎ続ける悲劇。
ならば自らの手で止めて見せる――その一心で、天帝は起った。
「……悲劇を止めたいと願うお前の望みは痛いほど理解できる」
天帝の悲願に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は一定の理解を示した。
だが、それでも、己の流儀を曲げてでも、立ちはだかり、討ち滅ぼさんと決めたのは、この世界が着実に追い詰められつつあるから――それもある。
けれど、それだけではなく。
「――たとえ如何なる理由があろうとも、私の心を玩弄しようとした者の運命は一つだけよ」
人心惑わす音色、と言の葉だけで紡がれるその響きにすら嫌悪感を覚える。故に――竪琴が歌い始める前に、肉体改造術式を起動。リーヴァルディの脳内から狂気耐性を強化する精神安定物質が分泌、増加してゆく。
そして、人の心を弄ぶ者共には、同じ苦しみを。
「……限定解放。ひれ伏しなさい」
「! いかん」
「……さあ、騎士達よ。その忠誠を見せてみなさい。その生命でね?」
「あ……ああ、団長! 申し訳ございません……!」
リーヴァルディが何をしようとしているのか。詠めた天帝は瞬時に彼女へ無数の刃を差し向けるも。
騎士団の心が、蝕まれる方が僅かに早かった。彼らの心は今やリーヴァルディへと傾き、自らの身を以て盾となる。
「……残るはお前だけ」
「!」
何かが、天帝へと恐るべき速さで飛来する。
咄嗟に身を躱した天帝。だが、執念がそうさせるのか。それは――黄金の楔は、その芯を天帝の本来の武器、つまり大剣を携える腕へと深々突き刺さり、繋がる形で現れた鎖がそれを締め上げるように巻き取る。
そこへ、リーヴァルディは迫った。
――『精神を掌握する』性質の武装を持ち出したこと。
そのことが、リーヴァルディを完全に怒らせた。
きっとその時点で、結末は決まっていた――。
|過去を刻むもの《グリムリーパー》。
生命を蝕み、治癒を拒む呪詛を孕んだ闇纏うその大鎌の、冷たい刃が、天帝の巨躯を切り刻む。
慈悲はなく。同情もなく。
何度も、何度も、徹底的に拒むように。
天帝は、悲鳴も断末魔も上げなかった。
代わりにごぼりと大量の血を吐いて、よろめき、膝を着く。
「……これが私を怒らせた報いよ。消えるがいい天帝、この世界から永遠に……」
項垂れたように動かなくなった天帝の骸を、リーヴァルディは冷ややかな一瞥だけくれて――踵を返した。
大成功
🔵🔵🔵