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アルカディア争奪戦⑳〜封印の女皇

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #マグナ聖帝国 #『聖女皇』ベアトリクス・マグナ

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#『聖女皇』ベアトリクス・マグナ


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●託した祈りは絶望へ
 ――かつて、ブルーアルカディア世界に存在していた世界最大の宗教国家『マグナ聖帝国』。
 飢えも苦しみもなく、愛し合う人々がいつまでも幸せに暮らすその国を、強力な封印の力を持る『聖女皇』ベアトリクス・マグナは慈愛と共に統治していた。
 しかし、その聖帝国は帝竜の襲撃を受けてしまった。
 襲い来る帝竜に立ち向かう事が出来なかった聖女皇は苦渋の決断として、何者にも害されぬよう愛する国土全てを自身の力で封印した。
 いつの日か、帝竜のいない平和な時代に封印を解く事を望みながら。
『……わたくしは、弱かったのです』
 願いは、果たされなかった。
 封印されたマグナ聖帝国の浮遊大陸が雲海に沈んでしまったのだ。
 封印されたままの帝国は、屍人帝国の一つとして再び浮上を果たす。
 既に生を喪った聖女皇は考える。
 オブリビオンに成り果てたとしても永遠を手にする事は出来るのだと、そして臣民にもまだ幸せに暮らす権利はある筈だと。
 故にオブリビオンと成り果てた彼女は願う。
 誰よりも強くなる事――帝竜が襲撃してきても封印に頼らず皆を守り切る力をこそ求める。
『わたくしは、今度こそ諦めません』
 数多の勇士や猟兵の屍を積み上げてでもアルカディアへ辿り着くのだと、『聖女皇』ベアトリクス・マグナは固く、固く決意していた。

 グリモアベース。
「六大屍人帝国の攻略も進んでる所だけど、アタシもマグナ聖帝国の『聖女皇』ベアトリクス・マグナについて予知を掴んだわ」
 白象のグリモア猟兵、祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が大きな声で猟兵達に呼びかけた。
「戦場となるのはマグナ聖帝国のでっかいお城みたいな大聖堂、そこにいる聖女皇に襲撃をかけて倒してきてほしいんだけど……一筋縄ではいかない相手よ。彼女の願いはかつてこの世界で最大を誇った宗教国家である自身の帝国を、今度こそ護るために誰よりも強くなることを願っているわ。……雲海に沈む前は帝竜の襲撃を受けた彼女は封印の力で帝国全土を封印して、平和な世界になった時に復活するように仕掛けていたみたいだけど、そのまま雲海に沈んで聖帝国ごとオブリビオンとして復活しちゃったみたい。力へのこだわりはそこから来ているみたい。それで最近依り代として女の子の体使ってその願いを叶えようとしたんだけど失敗、だから間に合わせの体を使ってアルカディアの玉座を目指しているみたいね」
 今のベアトリクスは力を求め、自身の強力なユーベルコードを帝国には向かうものを滅ぼす為の刃として使おうとしているのだと、多喜は説明する。
「それで能力として大規模封印ユーベルコードを使ってくるんだけど、その範囲はマグナ聖帝国全域を封印する程に巨大で、おまけに武装やユーベルコードどころか肉体も魂そのものさえ封じてくる程に強力よ。その封印を破る事が出来なければ勝つことは難しいと思うわ。でも、皆ならきっと突破口を見つけられるって信じてる」
 そして多喜は、オブリビオンとして蘇りし聖帝国へと猟兵達を転送する為にグリモアを取り出す。
 封印の女皇を打倒する為の戦いが、始まろうとしていた。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 これは死んでも死にきれないような。

 このシナリオはブルーアルカディアの『マグナ聖帝国』で『『聖女皇』ベアトリクス・マグナ』と戦うシナリオとなります。
 ベアトリクスは帝国全土を封印できるほどの大規模封印ユーベルコードの使い手で、敵対する者の武器やユーベルコード、それどころか肉体や魂そのものさえ封じる封印術を破る策がなければ勝つことは困難と思われます。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス:敵の「大規模封印ユーベルコード」に対処する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『聖女皇』ベアトリクス・マグナ』

POW   :    封印術「黄金沃野」
【黄金翼の輝き 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    封印術「武装崩壊」
【光輝く慈愛の波動 】を解放し、戦場の敵全員の【武器攻撃力】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    封印術「神聖庇護」
レベルm半径内を【マグナ聖帝国 】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【ベアトリクスに敬意を持つ者の行為】が強化され、【ベアトリクスに敬意を持たない者の行動】が弱体化される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&総括役武士
一人称:わし 質実剛健古風

ふむ、封印なあ…厄介ではあるが。四人総意で、限界突破の早業により封印を解いていく。
故郷なくした『我ら』であるし、今回は帝竜の一角とも矛を交えたからの…貴殿の思いはわかるがな?
もう、貴殿は終わっておるのよ。

そうして扱うのがこのUCである。叩きつけるようにな。
ああ、そういえば。常に封印は解き続けておるから…たまに四天霊障が暴走するやもしれぬな。そちらの制御に神経を割けぬ。
が、この四天霊障はオブリビオンを恨む『わしら』の無念…呪詛塊。明確に害するは相手のみぞ。UCの先にくっつくかもしれぬな。



●悪霊と聖女皇
 荘厳な大聖堂を思わせるマグナ聖王国の白き床を走る猟兵達。
 その中の一人、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)という武士の如き男――正確には複合型悪霊の彼の表出している人格は移動しながら『聖女皇』ベアトリクス・マグナの能力に思案を巡らせる。
「ふむ、封印なあ……厄介ではあるが」
 悪霊である彼ら四つの人格は既にどうするかは定めている。後はそれを為せるかどうか、だ。
 ――最奥の大聖堂に、猟兵達は神々しい輝きを放つ聖女帝の姿を見る。
 酷く穏やかな表情で、けれど決して人の話を聞かない頑迷さを感じさせる彼女こそがこの浮遊大陸の指導者『聖女皇』ベアトリクス・マグナである。
「……しあわせを望んでいるだけなのに、なぜ貴方達は邪魔をするのですか」
 それは独り言のようで、純粋な問いでもあった。
 理不尽に滅ぼされ、復活の機会があるならば全力でそれに縋りつこうとするだろう。それはよく分かる。
「故郷なくした『我ら』であるし、今回は帝竜の一角とも矛を交えたからの……貴殿の思いはわかるがな?」
 帝竜の襲撃がなければ、力があれば故郷たるこの大陸を失うことなく生を謳歌できただろうベアトリクスに、義透は思う事もある。
 それでも、悪霊であるからこそ。彼らはベアトリクスに告げる。
「もう、貴殿は終わっておるのよ」
『……まだです。ここに私がいる限り、希望は失われていないのです』
 義透の言葉を否定し、ベアトリクスは体に生やした黄金翼より輝きを放つ。
 彼女の非常に強力な大規模封印ユーベルコードは、如何に義透であろうと回避する事は出来ない。
 故に即座に四人がかりで解除にかかる。強引に封印しようとするベアトリクスの光が義透の身体を傷つけていく。
 しかしそれでも、義透はどうにか解除に成功する。
「今度はこちらの番か」
 ユーベルコードを起動、そして義透は不可視の呪詛を叩きつけるように放つ。
『これは……!』
 いわゆるポルターガイストだ。義透ら四人の悪霊としての力を行使して聖女帝の生命力を奪い取っているのだ。
 そして更に。
 そのポルターガイスト以外の霊障が突如生じる。普段より抑え込んでいる四天霊障の暴走――封印解除に全力を向け続けている為、そちらの制御が甘くなったのだ。
 それは生命を害する者でなく、オブリビオンを恨む『四人』の無念――呪詛が質量を伴う程に濃縮され、不可視の呪詛と共に聖女皇を侵す。
『ですがこの程度!』
 しかし、聖女皇はその呪詛に傷つきながらも大規模封印ユーベルコードにより呪詛を封印する。
 十分に呪い、ダメージを与える事は出来たが、これ以上追撃は難しい。そう判断した義透は一旦大聖堂より離脱するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
興味・好感のある方だよ
それ故に今回ほど世界の敵と化すオブリビオンという呪いを感じたことはない

四王稲荷符による闇属性攻撃とオーラ防御を組み合わせた結界術で慈愛の波動を防ぎながら突き進む
封印を解く術式も合わせてじわじわとでもベアトリクスへの距離を詰めるぜ
最後に使う読符の符だけは夢匣に入れて慈愛の波動からとことん保護するよ

至近距離に入ったら読符で少しだけでも聖帝国の成り立ちや理念を読み取りながら精神攻撃でダメージを入れる
良いと思うところはアタシ個人で出来る範囲で受け継いであげたいんだ

助けられない無力を詫びる
痛みを与えず眠るように斃すよ

ベアトリクスと聖帝国が確かに存在した証明として天使核を確保したいぜ



●妖狐のささやかな願い
 灰髪の四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)という妖狐の猟兵にとって、聖女皇ベアトリクスは好感を持てる方であった。
 理不尽な滅び、それを回避する為に自身で致命的な選択をしてしまった善良なるひと。
 だからこそ、今回ほど世界の敵と化すオブリビオンという呪いを痛感していた。
 大聖堂の聖女皇は呪詛に体を蝕まれながらも、足取りはしっかりとしている。
『次は貴女ですか』
 一言そう言って、慈愛の波動で大聖堂を満たす聖女皇。
 即座に手製の四王稲荷符から符を選び、闇の力を乗せてオーラで結界を展開して慈愛の波動を防ぐ。
「重っ……」
 だが、その慈愛は酷く強烈だ。少しでも油断をしたならば一気に押し込まれてしまうだろう。
 封印を解く術式を汲み上げながら、燦は前へと一歩一歩進み距離を詰めていく。
『……ここまで来ましたか』
 見下ろす聖女皇、符を封印されながらそれでも進んできた燦だが、ここに来るまでにすべてが浄化されてしまっている。
 その事実を認識していたからこそ、僅かな油断があったのだろう。
 ただ一つだけ想定外だったのは、燦は魔法の小箱にもう一つだけ符を入れていた事、そしてそれだけは波動の影響を受けぬよう徹底的に保護していた事だ。
 箱からその一枚の符を取り出し、ユーベルコードを起動する。
「御狐・燦が命ず。符よ、かのものの真実を暴け!」
 言葉と共に符が聖女皇に触れ、電撃を流しつつ精神にダメージを与えると共に、聖女皇の思念や過去の一部が燦に流れ込んでくる。
 聖帝国の成り立ちとその理念、一番詳しい聖女皇から伝わるその記憶。それを求めたのは彼女ができる範囲で良い所を受け継ぎたいから。
「……ワリぃ、助けられなくて」
 心底からの言葉、それに虚を突かれたような聖女皇。
『まだ、倒れる訳にはいかないのです』
 封印ユーベルコードを起動して、危険を察知した燦は即座に後退する。
 痛みを与えず倒し切れればよかったが、それにはまだ早すぎたようだ。
 それでも彼女の願いは変わらない。少しでも安らかに眠れるよう祈りつつ、彼女の天使核を狙う為に次の行動の機会を伺うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
苦渋の決断が
屍人帝国へ変貌という最悪を齎すとは
その後悔は如何程か
察するにも余りあります

強さを求めるのも判ります
けれど絶対の強さは
弱きものへの憐れみや優しさを奪い
聖女皇さんが守りたい存在を
切り捨てることになるのでは?

海へとお還しし
安らぎを得ていただきたいです

恐るべき封印術です
けれど帝国が雲海に沈んだことで明かなように
綻びがあります

竪琴を奏で
魔法の根源を直接制御する
シンフォニアの旋律で
世界そのものへ働きかけ
封印の力を破ります

緋蒼翠の魔力の輝きで防御力を高め
黄金の輝きを防いだら
状態異常力:封印へ切り替えて
三魔力を乗せた音色で聖女皇さんの力を封じながら
海へと還します

終幕
演奏を続けて鎮魂に
おやすみなさい



●黒猫は奏で眠りを願う
「苦渋の決断が屍人帝国へ変貌という最悪を齎すとは……」
 その後悔は如何程か、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)がその立場であれば察するに余りある程の苦しみがあったのだろうと思う。
 故に強さを求めるという動機自体は理解もできる。
 できる、が。
「けれど絶対の強さは弱きものへの憐れみや優しさを奪い、聖女皇さんが守りたい存在を切り捨てることになるのでは?」
 そう問いかけるケットシーに対し、聖女皇ベアトリクスは微笑んで答える。
『それは仮定ですよ。私が護りたいのはこの大陸の民たち……彼らが幸福に過ごせるのなら、それ以外に何故構う必要があるのでしょうか』
 その答えに仄々は無理だ、と思ってしまう。
 オブリビオンに成り果て歪んでしまっているからなのだろう、彼女は既に生者である仄々とは相容れない存在となってしまっているのだ。
「海へとお還しし、安らぎを得ていただきたいです」
 仄々のそれは、聖女皇の願いを諦めて欲しいという事。当然それを受け入れるはずもなく、聖女皇は大規模封印ユーベルコードにより黄金翼の光で戦場を満たす。
「……っ! 恐るべき封印術です」
 だがその封印に守られた帝国は雲海に沈んでしまった、つまりどこかしらには綻びがある。
 愛用の竪琴を爪弾き、歌を歌う。
 魔法の根源を直接制御するというのがシンフォニアの旋律だ。世界そのものに働きかけ、封印術を構成する力を弱めんと歌い上げていく。
 封印術は強力であり、世界そのものに働きかけても力が衰える気配はない。
 それでも仄々は諦めずに歌い上げ、どうにか自身のユーべルコード【トリニティ・エンハンス】を起動し魔力の輝きで防御力を高める。
 そして黄金の輝きを突っ切って、その先の聖女皇へと飛び込んで至近距離から竪琴の演奏を行う。
 駆ける間に防御から状態異常力を重視する形で力を変化させている仄々の狙いは、魔力を乗せた歌による封印術。
 魔曲を奏で押し切らんとする仄々、しかし聖女皇はそうやすやすと倒れない。
『美しい歌、ですが私の慰めにはならないのです』
 少し悲しそうに聖女皇は言って、黄金翼を羽ばたかせ仄々を吹き飛ばした。
 空中でくるりと回転し着地するが、封印の力はさらに強まっている。
 有効打を与えた感覚はあったが、ユーベルコードの相性自体が悪かったのか、封印術を防ぎきれず竪琴や歌での魔力自体が封印されている感覚がある。解除したとてもう一度、は難しいだろう。
 それでも仄々は演奏を止めない。あの聖女皇に安らぎがある事を願い、奏で続けるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ絡み歓迎

聖女皇ベアトリクスさん、貴女の気持ちわかるよ
守るための力を求めて、平和な世まで永らえようとしたその判断と悲しみも

この封印術から感じる慈愛、非戦の願い…
貴女が目指したものは、ぼくが目指してるもの
今ぼくを封じるこの結界も、ぼくの理想の形なのかもしれない

生前なら、ぼくは貴女に協力したかった
だけど、それは叶わない
オブリビオンになって貴女は望む力を手に入れたのかもしれない
だけど、貴女はそれを「滅ぼす」為に使ってる
それは、貴女の望みじゃない

望みを叶えて上げられないけど、間違わない様に止めてあげたい
偉大な先達に敬意を以て、ぼくは貴女を討つ
UC発動
その気高い心を汚させたりしない!



●人狼の少年は誓いを胸に
 次に大聖堂へやってきたロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)という少年は、真っすぐに聖女皇を見据える。
「聖女皇ベアトリクスさん、貴女の気持ちわかるよ。守るための力を求めて、平和な世まで永らえようとしたその判断と悲しみも」
 その封印術からロランが感じ取れるのは慈愛、そして非戦の願いだ。
 彼女の目指したものは、ロラン自身が目指しているものである。
 ――聖女皇は既に周囲をマグナ聖帝国としている。
 彼女に敬意を持つ者の行為は強化され、逆は弱体化されるという封印術。
 魂をも縛られるような感覚ではあるが、このロランを封じる結界は理想の形なのかもしれないと思う。
「……生前なら、ぼくは貴女に協力したかった」
 その言葉に聖女皇は何も言わない。その先の否定を知っているかのように。
「だけど、それは叶わない。オブリビオンになって貴女は望む力を手に入れたのかもしれない……だけど、貴女はそれを『滅ぼす』為に使ってる」
 封印術を外敵に対する刃として操る、それは生前のベアトリクスならばそうしなかったのだろうとロランは思い、それは貴女の望みじゃないと断ずる。
『――では、どうすると』
「望みを叶えて上げられないけど、間違わない様に止めてあげたい。偉大な先達に敬意を以て、ぼくは貴女を討つ」
 真っすぐ見据えた人狼の少年の敬意に曇りはなく、故にユーベルコードを発動させるに足る。
「ぼくの魔術、受けてみて!」
 機械的に詠唱し、そして照準器型の魔術陣の向こうの聖女皇を見据え、
「その気高い心を汚させたりしない!」
 狼の手を突き出し術を発動すれば、熱波と冷気からなる破壊消滅の光がベアトリクスへと発射される。
 即座にベアトリクスは封印術でその術式を眼前で防ぐが、その余波を完全に無効化する事は出来ない。
 けれどロランも既に限界だ。敬意を抱いているとはいえ、強引に抑え込んでくる封印術を解除しながら術式を構築したのだから。
 故にロランは一旦大聖堂を離脱する。
 彼女を止めてくれると、他の猟兵を信じながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルカ・トラモント
連携アドリブ歓迎
「あれがマグナ聖帝国の女皇……」
「たとえいくら強大な敵だって、先輩猟兵さんは立ち向かってるんだ。俺だって!」
大規模封印ユーベルコードは封印や不幸も状態異常の一つである筈とユーベルコードにより自動反射されることに賭け
凌ぎきれればこっちのもの、反射できたなら攻撃力も強化されるわけだし
「武器の攻撃力が奪われたとしても俺にはこの身体があるんだっ!」
「婆ちゃん、町長、町のみんな……俺っ」
スーパーよいこランドにある故郷の皆のことを胸に超人スーパーよいことしての肉体を🍄を食べることでさらに強化
「いっけーっ!」
反射で怯んでいればその隙を突く形でジャンプからのキックをお見舞いします



●スーパーよいこと聖女皇
「あれがマグナ聖帝国の女皇……」
 初めての戦場で相手をするのは六大屍人帝国の皇帝の一人――ルカ・トラモント(スーパーよいこの猟理師・f38575)という中性的に見えるエンジェルの少女は、そんな状況に置かれていた。
 この世界のスーパーよいこランド出身の超人、スーパーよいこの一人であるが、魔獣狩りの経験はあるが、実際のオブリビオンと戦うのは初めての彼女。
 ――あの聖女皇の力は見ているだけで分かる。あっさりと吹き飛ばされてしまう可能性が圧倒的に高いだろう。
 だが、ルカは前に一歩足を踏み出す。ここで後退してしまえばm旅立ちを応援してくれた先輩猟兵達のようにはなれないのだから。 
「たとえいくら強大な敵だって、先輩猟兵さんは立ち向かってるんだ。俺だって!」
『可愛らしい子。ですが私の願いを阻むのであれば……容赦はしません』
 慈愛溢れる気配とはまるで違う冷徹な言葉、同時に大規模封印ユーベルコードが発動し、戦場全体を光り輝く慈愛の波動が覆う。
 しかしそれこそがルカの狙いであった。
 封印、不幸、これらは状態異常とみなす事ができる。
 それに対して自動的に発動するユーベルコードを、ルカは準備していたのだ。
「それっ、お返しだ!」
 光の壁がルカの眼前に展開され、慈愛の波動をベアトリクスへと反射する。
 即座にベアトリクスはその波動を封印しようとするが、この状態では武器の力も幸運も奪う事は出来ない。
 一方でルカの力は光壁の発動と同時に超強化されていて――、
「武器の攻撃力が奪われたとしても俺にはこの身体があるんだっ!」
 故郷のヒアウィーきのこを食し、肉体をさらに強化したルカは、波動を封印せんとしている聖女皇へと跳躍。
「婆ちゃん、町長、町のみんな……俺っ」
 故郷の皆の事を胸に抱きながら、聖女皇へと飛び蹴りを喰らわせた。
 しかし聖女皇も支配者の一人である。ルカの攻撃と同時に封印術を放ち、飛び蹴りの威力を幾分か低減させていた。
 そしてルカ自身も力量差から、弾かれた反動で大聖堂入り口の扉へと吹き飛ばされてしまう。
 だが、聖女皇に確かにダメージは通っている実感はあった。
 これ以上追撃するのは難しいが、後は先輩猟兵を信じれば大丈夫だろう。
 かくしてスーパーよいこなエンジェルの少女は初陣の感覚に胸をどきどきさせながら撤退したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
貴女の思い
願い
とても素敵なものだったと思う
だからこそ僕は…僕なりの戦い方で
貴女とぶつかりたい

敵も味方も等しく救う
それが僕の信条だから

武器は持たない
【オーラ防御】で自分を守り
【空中戦】で敵の攻撃は基本回避に専念
時折地に降りては足場に【破魔】を乗せた★花園を広げ

魔法は、素手でも撃てるんだよ

【高速詠唱】で風魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】
舞い上げた花嵐の斬撃で動きを封じ
【浄化】の力で一瞬でも良い
彼女の力を弱められたら【祈り】を捧げ【指定UC】

本来の…聖女である貴女になら効かなかっただろう技
けれど目的のためなら手段を選ばないと言うのなら
もはや悪に他ならない

せめて、痛みは与えないから
それが僕なりの慈悲だよ



●オラトリオの祈りと聖女皇の祈り
「貴女の思い、願い……とても素敵なものだったと思う」
 そう言って聖女皇の前に現れたのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)というオラトリオだ。
 敵も味方も関係なく、一人でも多くの心を等しく救いたいという信条を持つ彼にとって、聖女皇の願いも理解できてしまう。
 だが、聖女皇はオブリビオンだ。存在するだけで世界を滅びに晒し、アルカディアの玉座を求める為に犠牲を重ねてきた存在。
「だからこそ僕は……僕なりの戦い方で、貴女とぶつかりたい」
『……そうですか。それでも立ちはだかるのでしたら、私はあなたを封印しましょう』
 大規模封印ユーベルコードを発動させる。光り輝く慈愛の波動は大聖堂全体を満たし、存在する武器の攻撃力を奪い取る。
 しかし澪は今回武器を持ち込んできていない。ただ、オーラで身を守り空中に羽ばたいて、風の魔法を高速で放つ。
 素手で撃てる魔法のみを攻撃手段として備えてきた澪、だが聖女皇は封印術で風の刃を防ぎ、決定打にはならない。
 着地し魔力を籠めて聖痕を振るい、足元を花園に変えて再び空へと舞う澪。
(「もう少し……」)
 距離を取りつつ封印されぬように警戒する澪、そして数度目に着地したのは最初に展開した花園。
 破魔の力を帯びた花園の花弁を風の魔法で舞い上げて、視界を晦ましつつ花嵐で聖女皇を切り裂く。
 宿した浄化の力にほんの一瞬封印の力が弱まり、それを見逃さず澪は祈りを捧げ言葉を紡ぐ。
「全ての者に光あれ」
 その言葉はユーベルコードを起動させるための詠唱、澪の身体から放出される魔を浄化する光は聖女皇の肌を焼いてしまう。
 ――それを、悲しく思った。
「本来の……聖女である貴女になら効かなかっただろう技」
 それが効いた、効いてしまったという事はもはやあの聖女皇は。
「けれど目的のためなら手段を選ばないと言うのなら……もはや悪に他ならない」
 それを悟った澪は未練を振り切るように放出する光を強める。
 せめて痛みを与えず逝けるように――澪の慈悲であった。

 聖女皇を喪った大聖堂に、鎮魂のメロディが奏でられる。
 ――おやすみなさい。
 それはこの不幸な大陸への、安らかな眠りを願う猟兵の言葉であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月23日


挿絵イラスト