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アルカディア争奪戦⑲〜病める花園

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #オーデュボン #『皇帝』パッセンジャー

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●落日の屍人帝国
 屍人帝国『オーデュポン』。
 侵略を行う屍人帝国に似つかわしくない美しき庭園があり、そこに無敵機械に接続された『皇帝』パッセンジャーは静かに佇んでいた。
 彼はこれまで一つの目的のために暗躍してきたが、その自分が死ぬという目的は猟兵に阻止されてしまった。
 しかしその望みはアルカディアの玉座、或いは他の屍人帝国の皇帝であっても託すことはできる。
 ――例え猟兵であったとしても。
『来るがいい。そして、俺を殺せるものなら殺してみせよ』
 無敵機械が静かに駆動し、主であるパッセンジャーの為に周囲から生命やエネルギーを吸い上げ始める。小鳥や虫は地に落ちあっという間に干からび絶命し、何一つ損なわれていない草木だけが風に揺れていた。

 グリモアベース。
「予知を得た。アルカディア争奪戦に纏わるモノである」
 龍神である水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は静かに告げ、集まった猟兵達に説明を開始する。
「今回向かうは六大屍人帝国の一、『オーデュポン』。そこの指導者である『皇帝』パッセンジャーというオブリビオンを補足した。彼奴は己の死を目的としてアルカディアの玉座を目指しているが……接続した無敵機械の能力が酷く厄介で、パッセンジャーを酷く死ににくくしているようじゃ」
 その能力とは、あらゆる生命およびエネルギーを吸い上げる力なのだと龍神は言う。
「そこにいるだけで全てを吸い上げ回復し続ける能力は、ユーベルコードとは別に常に作用し続けている。攻撃手段としては周囲を光の檻で覆って触れた敵から檻を形成するエネルギーを吸収したり、着弾点周囲に攻撃型魔導ドローンを展開して攻撃し続ける魔導砲撃、更に無敵機械を抹殺形態に変えて一つの能力を半減させる代わりに別の能力を強化するものがある。ただ、いずれもエネルギー吸収能力を超えねば有効打は与えられぬじゃろう」
 対抗手段としては回復量以上の攻撃を与え続けるのが真っ当な手段になる、と多摘は言う。
「ただ、この戦いの前に幾人かの猟兵による|強襲作戦《ファーストアタック》で隠された弱点の情報が得られておる。それを上手く利用できれば強烈な攻撃をより叩き込みやすくなると、そう予想されておる」
 強敵になるがどうか頼む、と龍神は締め括ってその手に持つ宝珠を輝かせる。
 猟兵を包み込んだその光が止んだ時、猟兵達の視界には不自然に美しき庭園の景色と、物々しき機械に接続された皇帝の姿があった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 無尽蔵に吸う無敵。

 このシナリオはブルーアルカディアの『オーデュポン』で『『皇帝』パッセンジャー』と戦うシナリオとなります。
 無敵機械と接続されたパッセンジャーは、自動的に周囲のあらゆる生命やエネルギーを吸い上げ無限に生命力を回復し続けます。その為回復量以上のダメージを絶えず叩き込み続ける必要があるでしょう。
 ただし『強襲作戦ファーストアタック』によって暴かれた隠された弱点を知っているのであれば、それを利用する事もできるでしょう。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス:無敵機械の無限吸収に対処する/敵の『隠されていた弱点』を突いて戦う。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『皇帝』パッセンジャー』

POW   :    パッセンジャー・ケイジ
レベルm半径内を【急激に狭くなる光の檻】で覆い、[急激に狭くなる光の檻]に触れた敵から【檻を構成するエネルギー】を吸収する。
SPD   :    パッセンジャー・レイ
着弾点からレベルm半径内を爆破する【魔導砲撃】を放つ。着弾後、範囲内に【攻撃型魔導ドローン】が現れ継続ダメージを与える。
WIZ   :    インビンシブル・チェンジ
自身の【無敵機械】を【抹殺形態】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リアラ・アリルアンナ
自らの死を幸福と考えるのは貴方の自由であり、権利です
しかしその為に無関係な市民の幸福まで犠牲にする事は許されない!
故に我々が処罰します!

事前情報に基づき、「リアラを攻撃すれば周辺の草花を巻き込む」位置取りを維持する事で敵に攻撃を躊躇わせます
無限吸収は厄介ですが、プログラムに基づいた機械の動作である以上は対処可能です
ハッキングによるプログラムの改竄や処理能力を超えるデータ攻撃で装置を機能不全に陥らせ、機能を停止ないし出力を低下させます
そして復旧される前に【断罪の雷霆】を発動
電撃自体のダメージに加えて感電の状態異常を与え、ダメ押しに持てる火力を叩き込みます
さあ、反逆者に望み通りの死を与えましょう!



●あなたの幸福は
 大理石の如き材質で作られた庭園の前に、異形の機械に繋がれた少女と見まごう美しき少年がいた。
 幼さすら感じられる翡翠色の瞳の彼こそ、このオーデュポンの支配者『皇帝』パッセンジャー。
「自らの死を幸福と考えるのは貴方の自由であり、権利です」
 彼の前には猟兵達。その一人、リアラ・アリルアンナ(リアライズユアハピネス・f36743)は皇帝の願いを肯定するように告げる。
「しかしその為に無関係な市民の幸福まで犠牲にする事は許されない!」
 バーチャルキャラクターである彼女にとって、敵対者ではない市民と呼ぶ人々の幸福は義務であり、そして権利だ。
 だからこそ数多の侵略を行って他人の幸福を奪い、願いを叶えんとするパッセンジャーのやり方は断じて肯定できるものではない。
「故に我々が処罰します!」
 花園にリアラの声が響き、開戦の合図となった。

 辛うじて人型と認識できる異形の機械が拳を振り上げリアラに振り下ろす。
 その一撃を躱したリアラは走る。目的の場所へと辿り着くために、後方から追いかけてくる無敵機械に追いつかれぬように。
 こうしているだけでもドレインされていく感覚はある。長期戦は不可能だろう。
 金属の擦れる音を立て疾走する無敵機械から逃れんとする彼女を、皇帝は無機質な瞳で睨んでいる。
 この距離なら魔導砲を放てばいい――いや。
『そういうことか』
 魔導砲を放たんと無敵機械に収束しつつあった光が、パッセンジャーの意志で霧散する。
(「……間に合った!」)
 リアラが立つのは花園を背にした石畳、この位置で砲撃などを行えば花園も吹き飛ばされてしまうだろう場所だ。
『……ならばこうしよう』
 パッセンジャーは呟き、無敵機械を操作してその大きな腕をリアラの頭部の高さで横薙ぎにする。
 しかし花園を避けている事は見え見えだ。屈んで回避しながら、生命力をドレインされる虚脱感に耐えつつ無敵機械へのハッキングを開始。
 機械である以上何らかのプログラムで動作している事は間違いなく、一部のみでも改竄や処理能力を超えるデータを送り込めば動作不良を起こす。
 特にエネルギー吸収を行っているプログラムーーそれを探り当て、誤データを大量に送り込めば、ドレインの出力は狙い通り低下し虚脱感が薄れていく。
「市民の幸福をおびやかす反逆者に裁きを!」
 ユーベルコードを起動し、手のひらを天に掲げれば、それを号令に空中庭園のあちこちに断罪の雷が降り注ぐ。
 敵味方を識別する電撃はパッセンジャーのみを貫き、無敵機械の動きが感電したかのように鈍る。
「さあ、反逆者に望み通りの死を与えましょう!」
 それを見逃さずリアラは破壊光線照射銃を抜いてパッセンジャーを撃つ、撃つ、撃つ。
『……舐めるなっ!』
 光線の雨を受ける中、パッセンジャーは鈍った無敵機械を再起動させ、破壊光線を無敵機械の腕で防ぎ、致命傷を回避する。
 それでも何発かはパッセンジャー本体に命中し、その肌が鮮血に濡れている。
 エネルギー吸収でも癒し切れないダメージを刻んだリアラは、|反逆者《敵対者》を処刑する為に次なる攻撃の為の行動を開始するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

さて、|高速詠唱早業先制攻撃《タイムフォールダウン》で自身の時を加速し|マヒ攻撃、気絶攻撃、時間稼ぎ《敵の時を停滞させる》。
|リミッター解除、限界突破、オーバーロード《『幼年期の夢で見た魅惑つきせぬ領域。時間と空間を超越するただ一つの窮極的かつ永遠の“アリス”』》
|継戦能力《魂が肉体を凌駕する》
多重詠唱結界術で位相ずらし回避や空間の切断と切断部位の接続で|空間ジャンプ《転移》で急激に狭くなる光の檻からの脱出。
報告書によればパッセンジャーは『草花、木に当たるような攻撃をしようとしない』のだったかしら?なら、|式神使い、召喚術《攻性植物も呼びましょうか》。
先制攻撃を凌いだら|逢魔ヶ時《エレメンタル・クリエイション》。草花属性の自然現象は皇帝親衛隊は取り憑き発芽し|大食い、エネルギー充填《そのエナジーを糧に急速に成長していく》。
|息止め《『死』》もまた自然現象、さぁパッセンジャー草花に抱かれ眠るように息を引き取りなさい。
えっちなのうみそおいしいです❤



●混沌と無敵と
 そしてその間にドレス姿のダンピール、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔王少女・f05202)は術式を展開していた。
 彼女自身の時を加速させ、対峙するパッセンジャーの時を引き伸ばし停滞させる|術《タイムフォールダウン》。
 それは異世界の九柱の神の如きオブリビオンのユーべルコードに類似した効果を発揮して無敵機械の吸収速度を鈍らせる。
 だが、無敵機械はさらに加速し接続する主の生命維持を図ろうとし動作を加速させそれに対抗、そしてその時に干渉する術を使用したアリスを捕獲する光の檻を瞬時に形成し、高速で圧縮する。
 360°どこにも逃げ場のない結界の如き檻、それに触れればアリスと言えど戦闘不能は免れぬ勢いでエネルギーを吸収され、そしてパッセンジャーの体力は回復してしまう事だろう。
 ――なれば限界を超えねばなるまい。
 超克――それは幼年期の夢で見た魅惑つきせぬ領域。時間と空間を超越するただ一つの窮極的かつ永遠の“アリス”の姿。それを晒した彼女の詠唱は一層冴え渡り、構築された術式は空間を切断し別の空間へと繋ぎ、彼女の位相を光檻の外へと跳躍させる。
『奇術染みているな』
 理解する事を諦めたようにパッセンジャーは光檻を狭め切って消滅させる。それと同時にアリスは別の術式を展開し、攻性植物を召喚する。
 草花、樹に当たるような攻撃を行えないパッセンジャーの性質を突く為のそれに、明らかに敵であると理解しているが無敵機械の動作が一瞬停止、そこにアリスがユーベルコードを起動。
「|属性《アリス》な|自然現象《私》、それは|『夜』《デモン》。世界を構成する|現象《エレメンタル》。彩るは|幻想《ファンタジア》」
 韻を踏んだ詠唱と共に放たれるのは生命を宿せし自然現象、この場に皇帝親衛隊こそいないが、故に狙われるは無敵機械とその操縦者。
 無敵機械、そしてパッセンジャーの肉体のあちこちに植物が発芽し、エネルギーを吸い上げていく。
 それだけではない、呼吸が極端に苦しくなっている。息を止めること、『死』もまた自然現象。それが、パッセンジャーを襲っているのだ。
「さぁパッセンジャー草花に抱かれ眠るように息を引き取りなさい」
 鈴を転がすような声色でアリスが微笑み、
「生憎俺はこの程度では死ねないんだ」
 けれどパッセンジャーは表情を歪めながらもそれを否定する。無敵機械が強引にパッセンジャーの生命を維持しているのだ。
 死という安らぎすら与えられぬ皇帝は、ダンピールを掴まんと無敵機械の腕を伸ばす。
 空間を切断し繋ぎ直し跳躍、一旦距離を取った瞬間無敵機械の植物がみるみる枯死し、消滅していく。
 術が切れたからなのだろうか。しかし、アリスはそれを顧みない。
 ただ、次はどう楽しもうか――その混沌のような思考を巡らせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

…死にたいなら引導を渡してやる
貴様もオブリビオンであることに変わりはないからな

無敵機械が生命力を吸収するなら
こちらが生命力を吸収し返すのもひとつの手もな
千日手になりかねないけど

指定UC発動、白い靄を纏いながら行動
パッセンジャーにUC効果の高速移動で一気に迫ったら
有無を言わさず「2回攻撃、生命力吸収」で斬りつけてやる

魔導砲撃の爆破は「ダッシュ、地形の利用」+高速移動で一気に走り抜け距離を取り回避
攻撃型魔導ドローンが現れたら黒剣から「属性攻撃(雷)、生命力吸収、吹き飛ばし」を乗せた「衝撃波」を発射し一掃

…俺がただの剣士と思ったか
魂と生命力を喰らう黒騎士の業、受けてみろ!



●黒騎士は躊躇いなく
「……死にたいなら引導を渡してやる」
 庭園に現れた黒騎士、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は黒剣を構え、そう冷徹に告げる。
 この『皇帝』パッセンジャーもオブリビオンであることに変わりはなく、つまり討たねばならぬ敵であるのだから。
『……俺に死を与えられるならやってみろ』
 その言葉と共に、接続された無敵機械があらゆるエネルギーを吸い上げていく。
(「こちらが生命力を吸収し返すのもひとつの手もな」)
 生命力をも吸い上げていく感覚に耐えつつ、敬輔はそんな事を考える。
 だが無敵機械の吸い上げる速度は尋常ではない。何らかのユーベルコードならそれ以上にドレインできるかもしれないが、やったとしても千日手になりかねないだろう。
 故に敬輔はユーベルコード【魂魄解放】を起動する。
「喰らった魂を、力に替えて」
 その詠唱と共に、黒剣より白い靄が噴出し敬輔の鎧に纏わりついていく。
 それはかつて黒剣が喰らった魂、白き靄を纏った彼は、先程までと段違いの速度でパッセンジャーへと距離を詰めていく。
 即座に迎撃にかかる無敵機械、魔導砲が敬輔を狙い放たれるが、彼はそれが着弾する前に爆風の範囲外――パッセンジャーの懐まで高速で走り抜ける。
 後方で爆発する音が聞こえる中、黒騎士は裸身の皇帝を黒剣で切り裂き、容赦なく生命力を奪いとる。
『それがどうした』
 皇帝は何の感情もないような声で無敵機械を操作、敬輔は咄嗟に後方に跳ねて無敵機械の腕の一撃を回避する。
 そこに迫るは無敵機械より放たれた攻撃型魔導ドローン、魔導砲の炸裂した周囲を攻撃し、破壊する代物が敬輔を標的に襲い掛かる。
 だが、裂帛の気合と共に敬輔は空中で黒剣に雷を纏わせ横薙ぎにし、迫るドローンを衝撃波で吹き飛ばす。
「……俺がただの剣士と思ったか」
 彼はただの剣士ではない。魂と生命力を喰らう黒騎士なのだ。
 着地した敬輔は即座に反転しパッセンジャーに追撃の刃を喰らわせる。
「魂と生命力を喰らう黒騎士の業、受けてみろ!」
 今度こそ苦痛に耐えるように僅かに顔を顰め、無敵機械は荒々しく敬輔を殴り飛ばす。
 その一撃を回避し距離を取った敬輔に魔導砲の追撃が襲い掛かる。
 それを白き靄を纏った敬輔は高速で爆発範囲を走り抜け、次なる攻撃の機会を伺うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
既にこの戦場の趨勢はこちらに傾き、
アルカディア争奪戦そのものに新たな展開が発生しています
それでも
オーデュボン皇帝パッセンジャー
あなたを無視して先に進めるほど
私は潔くは無いのです
私は1年にわたってオーデュボンと戦い続けて来たのですから
さあ、戦いに終止符を打ちましょう

【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態に変身
草花を巻き込まないように飛翔!
空からただ1点、パッセンジャーのみを狙って
敵攻撃の回避も含めて
1点に留まらないように空中機動
そして【エールプティオー・プルウィア】ファイアッ!!!
1200発を超えるミサイルの総攻撃
1回で終わると思わないことです
天使核誘導弾再装填
さあ私と踊っていただきましょうか!



●『皇帝』の終焉
 黒騎士がパッセンジャーの攻撃を高速で躱す間、少し離れた拓けた石畳の上でステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思考していた。
 ――既にこの戦場の趨勢はこちらに傾き、アルカディア争奪戦そのものに新たな展開が発生している。
 はっきり言ってしまえば、ここで『皇帝』パッセンジャーを優先する必要性は薄い。
 ――それでも。
「オーデュボン皇帝パッセンジャー、あなたを無視して先に進めるほど私は潔くは無いのです」
 ブルーアルカディアの世界が発見されて一年が経った今日、それまで何度もオーデュポンの暗躍する事件にステラは関わり、戦い続けてきた。
 そんな彼女だからこそ、あの皇帝に終焉を与えねばという決意は固い。
「さあ、戦いに終止符を打ちましょう」
 次の瞬間、ガレオノイドであるステラの姿が全長19メートルもの飛空艇に変身する。
 周囲に、飛翔した先にも草花がない事は確認している。
 だから躊躇いなく蒼き空へと、無敵機械の上空へとステラは飛翔した。

 狙いはただ一つ、あのパッセンジャーのみだ。
『あの飛空艇は……猟兵か』
 落ちた影に気付いたパッセンジャーは、異形の無敵機械を抹殺形態へと変形させて砲を空へと向ける。
 恐らくは射程を強化しているのだろう、庭園から上空のステラへと正確に凝縮した魔力弾を発射する。
 パッセンジャーの砲撃を一点に留まらずステラは回避に専念する。垂直距離で百メートルは離れているが、これだけ距離があっても生命力が吸われていく感覚がある。 
 早く仕留めねば――魔力弾の嵐が止んだ瞬間、反抗のためのユーベルコード【エールプティオー・プルウィア】を起動する。
「天使核誘導弾、装填。さあ、サーカスの開幕です!」
 その言葉と同時に彼女の天使核より生成された大量のミサイルが飛空艇の砲に装填されていく。
 ――いける、ステラはその瞬間、確信を覚えた。
「ファイアッ!!」
 号令と共に一斉にミサイルが放たれる。
 その数1250――ただ一人の敵である無敵機械の真上から包囲するように幾何学的な軌道で散開、展開。
 そして、タイミングを合わせたかのように一斉に無敵機械に殺到した。
 射程を強化している無敵機械は代償として移動能力を半減させていた。故に移動して包囲から逃れる事は出来ず、その腕を振るい砲を放ち撃墜しようとする。
 だが、あまりに数が多い。全周から襲い掛かるミサイル全てはこれまでの猟兵の攻撃で弱っていた無敵機械では迎撃できなかったのだ。
 半数以上のミサイルが突き刺さり、盛大に炸裂し無敵機械を破壊していく。
 そして数秒後、ミサイルの嵐が止み、それでもまだパッセンジャーと無敵機械は立っていた。
『……とんでもない攻撃だな』
 そう呟くパッセンジャー。
 だが、凌ぎきった。後は反撃を――そう考えているだろう彼を、空のステラは見下ろしつつ既に次の行動にかかっていた。
「1回で終わると思わないことです」
 ミサイルを放った直後、天使核誘導弾を砲に再装填。標的は変わらず、あの無敵機械とパッセンジャーのみ。
 翡翠色の瞳と目が合った。次に起こる事を理解したのか、パッセンジャーの表情は険しい物からどこか諦めたような表情に変化していく。
「さあ私と踊っていただきましょうか!」
 次弾が発射され、パッセンジャーは無敵機械を操りできる限りの迎撃を行った。
 できる限りの、まるで生を求めるかのように足掻き切り、限界を超えた無敵機械の崩壊と共に、『皇帝』パッセンジャーもその運命を共にしたのであった。

 ――支配者を喪い、猟兵が立ち去ったオーデュポンに、風が吹く。
 その風は花園の草木を揺らし、そのまま吹き抜けていった。
 何者にも縛られず、どこまでも、どこまでも。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月24日


挿絵イラスト