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アルカディア争奪戦⑰〜新緑大天使と混沌竜

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #コルディリネ #『大天使』エンケロニエル

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#『大天使』エンケロニエル


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●無限の新緑と喰らう混沌
 ブルーアルカディア、『コルディリネ』。
 エンジェル狩りを行っていた謎の屍人帝国にて、その主たる大天使と混沌竜が対峙していた。
 豊穣の大地において無限増殖する植物怪獣軍団を操る大天使『エンケロニエル』、しかし対する『スーパーカオスドラゴン』は混沌魔法『カオスヘッダー』によって自身を増やし続け植物怪獣軍団を喰らい続け抑えこんでいた。
『……何という能力! あなたが万全であったなら全ての植物怪獣を食べ尽くしていたかもしれません』
『ゲヒャ〜ッヒャッヒャ!』
 だが、スーパーカオスドラゴンは本調子ではない。徐々に、徐々に植物怪獣軍団は喰われる以上に増え続け、数を増していく。
 しかしその高笑いに些かの衰えもなく、スーパーカオスドラゴンは植物怪獣軍団を喰らい続ける。
 ――彼らデビルキングワールドの王たる無敗の『7thKING』、即ち|猟兵《イェーガー》が到来すると信じているからだ。

「アルカディア争奪戦も六大屍人帝国との戦いに差し掛かっていますね」
 グリモアベース、白き獅子の姿をしたサーマ・マルヴァス(華やかな獅子王・f37974)という魔王は集まった猟兵達にそんな風に切り出す。
「今回私も一つ予知を得られましたのでちょっと力を貸して頂きたいのです。向かって貰いたいのはコルディリネ、その浮遊大陸の地上で戦っている大天使エンケロニエルの討伐です」
 そしてサーマは今回の作戦の詳細を語り始める。
「エンケロニエルは彼女が『わが主』と呼ぶアルカディアにまみえるべく玉座に向かおうとしています。しかし、それを危惧していたスーパーカオスドラゴンによって能力である植物怪獣軍団の無限増殖を阻止され足止めを喰らっています」
 とはいえ、スーパーカオスドラゴンも本調子でないので次第に押され始めています、と白き獅子王は続ける。
「そこでスーパーカオスドラゴンと連携し、植物怪獣軍団の守りを突破してエンケロニエルを撃破してきてください。彼女は太陽光レーザーを放つ歩くひまわりの植物怪獣、生命力を共有する歩く若き世界樹の召喚、そして自身の装備した天使核を飛翔しながら生命力を活性化させる温かな風を放つ天使核植獣に変えてきます。酷く数が多いので、スーパーカオスドラゴンに喰らって貰い突破口を切り開いてから攻撃を叩き込まなければ届かせる事も難しいでしょう」
 当然エンケロニエルもそれは承知しているから妨害を仕掛けてくるだろうとサーマは言う。
「……相手は元3rdKINGと同じ名前のようですが、それに見合う実力はあるようです。決して油断ないよう、確実に撃破してきてください」
 それではよろしくお願いします。そうサーマは締め括ると、オカリナの形をしたグリモアを輝かせ、新緑に満ちたコルディリネへと猟兵達を導いたのであった。。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 スーパーカオスドラゴンさんナイスガイ。

 このシナリオはブルーアルカディアの『コルディリネ』で『『大天使』エンケロニエル・怪獣女王形態』と戦うシナリオとなります。
 本来は時間経過で無限増殖する植物怪獣軍団を操りますが、彼女を危惧していたスーパーカオスドラゴンの混沌魔法『カオスヘッダー』による妨害により増殖する端から植物怪獣軍団を喰われ苦戦しています。
 スーパーカオスドラゴンはエンケロニエルへの道を切り拓こうとしてくれるので、連携できれば上手くエンケロニエルへ攻撃を届かせる事もできるかもしれません。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……スーパーカオスドラゴンと連携して戦う。
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 皆様のご参加をお待ちしております。
86




第1章 ボス戦 『『大天使』エンケロニエル・怪獣女王形態』

POW   :    向日葵怪獣パラボラス
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【ひまわりの植物怪獣】が出現し、指定の敵だけを【太陽光レーザー】と【足を生やしての引き撃ち】で攻撃する。
SPD   :    世界樹の仔
X体の【幹と根を鞭及び脚とする『若き世界樹』】を召喚する。[幹と根を鞭及び脚とする『若き世界樹』]は自身と同じ能力を持つが、生命力を共有し、X倍多くダメージを受ける。
WIZ   :    天使核植獣
装備中のアイテム「【天使核】」が自我を持つ【天使核植獣】に変身し、ユーベルコード「【不滅の羽ばたき】」を使用するようになる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルテミシア・アガメムノン
スーパーカオスドラゴンさん、こんにちは!
良いところに現れましたわねえ。流石です。さすすぱですわよ。
エンケロニエルさんは元3rdKINGとのこと。
魔界出身の者が他の世界に迷惑をかけるのは見逃せません。
一緒に倒してしまいましょう!

『光神の再来』を発動。無敵の黄金竜に。
戦場全体に滅びの光を齎して、スーパーカオスドラゴンさんとの相乗効果で植物怪獣軍団を滅ぼしましょう。ダブルドラゴン!(数はダブルどころではない)

エンケロニエルさん、ごきげんよう!
他の世界の方に迷惑をかけてはいけません。そろそろ骸の海に還りましょうね!

大天使に滅びの光を収束したブレスを放ちます。



●|猟兵たち《7thKING》の到来
 新しく増殖し続けるスーパーカオスドラゴンの放つ属性を変え続ける混沌の炎がエンケロニエルの植物怪獣軍団を焼き払い、そして混沌物質で自身を癒しながら押しとどめている。
 だが、植物怪獣達は仲間の焼け跡を踏み越え混沌竜を押し潰さんとする。
 混沌魔法カオスヘッダーの弱点は増殖個体の一体でも倒された場合、増殖した他の個体全ても消滅してしまう事。一度消滅してしまえばそのまま一気に押し切られることは想像に難くない。
 このまま押し通す――大天使エンケロニエルが配下の植物怪獣に一気に攻めさせんと号令をかけようとしたその時。
「良いところに現れましたわねえ。流石です。さすすぱですわよ」
『何者!?』
 突如響いた女の声、エンケロニエルがスーパーカオスドラゴンの群れの向こうに黄金に輝く猟兵の姿を見た。
「スーパーカオスドラゴンさん、こんにちは!」
『ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! 噂をすれば7thKINGサマじゃネぇか!』
 混沌竜に機嫌よさげに挨拶をしている堕天使、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は7thKING決定戦を勝ち残り7thKINGとなった猟兵である。
 元3rdKING『堕天使エンケロニエル』と同じ名を持つあの大天使がなぜこのような場所にいるのかは分からない。しかし魔界出身の者が他の世界に迷惑をかける事を見逃せる7thKINGではなかった。
「一緒に倒してしまいましょう!」
『イイゼぇ! 大天使サマへの道を切り開いてやるゼぇ!』
 混沌竜の合意を取ったアルテミシアは、すぐさまユーベルコードを起動。すると彼女の体は全長22メートルもの巨大黄金竜へと変身し、空へと飛翔した。
「滅びをもたらす光を受けなさい」
 言葉と共に戦場全体に光を光を降り注がせる。それは増殖した混沌竜を回避して、植物怪獣のみを焼き払い戦線を押し返していく。
 それに加え混沌竜の炎が追撃、植物怪獣は見る見るうちに炎に包まれていく。
 ダブルドラゴン――混沌竜の数が多いのはさておいて、二種の竜は阿吽の呼吸で植物怪獣を焼き払い、その勢いはエンケロニエルにも迫る程。
「エンケロニエルさん、ごきげんよう! 他の世界の方に迷惑をかけてはいけません。そろそろ骸の海に還りましょうね!」
 怪獣たちが減り射線を防ぐものが無くなった状態で、空の黄金竜が大天使に向けて光を収束したような強烈なブレスを放つ。
 そのブレスに身を焼かれつつも、大天使はまだ余裕の表情。
『……まだ私は主にまみえていませんので、お断りします』
 そう答えた彼女の周囲にひまわりの植物怪獣が数百体出現。その標的はアルテミシアで、一斉に空の黄金竜に太陽光レーザーを照射する。
 無敵の黄金竜といえどひまわり怪獣の群れの一斉攻撃をまともに受けきる事は叶わない。
 飛翔し太陽光レーザーを回避すると、その間にエンケロニエルは足を生やした植物怪獣に乗って移動しつつ再び植物怪獣を召喚し始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
カオスドラゴンさん、確か炎も使えたよね?
カオスフレイム、だっけ
いっそ全部スッキリ燃やし尽くしてみない?

【オーラ防御】を纏いつつ翼での【空中戦】
不滅の羽ばたきは飛行速度が上がるのは面倒だけど回復が主なら
その回復が追い付かないくらい素早く、全力で

【指定UC】発動
バラバラに操る【破魔】の鳥で植獣達を焼き払い
更に【高速詠唱】で風魔法の【範囲攻撃】を組み合わせる事で
風で炎を煽り
自分とカオスドラゴンさんの炎、双方の火力と効果範囲の底上げ

鳥達は敵を何体燃やそうと
攻撃でかき消されるか僕の魔力が尽きない限り減らないから
せめてエンケロニエルさんまでの道を作って
最後はエンケロニエルさんに残った鳥をぶつけて攻撃


フォー・トラン
スーパーカオスドラゴン(以下SCD)さん、良いのありますよ。
一発で元気の出るやつが。

●SCDとの連携
【賦活魔法】を使い、あたし自身と本調子ではない様子のSCDを回復、パワーアップさせる。
無数にいるSCDを回復できるように[天候操作]で雷を伴う嵐を呼んで影響範囲を拡大しておこう。
SCDが元気になり戦いの潮目が変わったらタイミングを逃さずに進撃するぞ。

●戦闘
「ゲイルタクト」で激しい風を吹かせて、天使核植獣の【不滅の羽ばたき】をかき消すと同時に、その強風にあたし自身も吹き飛ばされるようにしてエンケロニアルに接近する。
取り巻きに攻撃を遮られない距離まで近付いたら[電撃]の[全力魔法]でを放つぞ。



●嵐の焦熱地獄
 引き撃ちにかかるひまわりの植物怪獣を、無数に分裂したスーパーカオスドラゴンが次々に襲い掛かり喰らっていく。
 標的を一人にしか絞れないひまわり怪獣達は、混沌竜の攻撃に対応しきれず少しずつ数を減らしていく。
「カオスドラゴンさん、確か炎も使えたよね?」
 頑張ってひまわりの植物怪獣を喰らい続ける混沌竜に対し、問いかけるのは金蓮花のオラトリオ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
『ゲヒャ〜ッヒャッヒャ、その通りだゼぇ!!』
 その問いにスーパーカオスドラゴンは可能だと答え、
「いっそ全部スッキリ燃やし尽くしてみない?」
『イイゼぇ? だがちょ~っと力が足りねえナぁ』
 猟兵が加勢に来るまでずっとエンケロニエルを抑え続けてきた混沌竜だ。その体力は割と限界が近いようだ。
 と、そこに。
「スーパーカオスドラゴンさん、良いのありますよ」
 人狼のフォー・トラン(精霊術士・f12608)がすすす、と近づいてくる。
「一発で元気の出るやつが!」
 そしてフォーのサンダーロッドより電撃が迸り、スーパーカオスドラゴン達とフォーの周囲に火花が散る。
 ユーベルコード【賦活魔法】、それによってフォーが放った電撃は、胃もたれと連戦の疲労に弱った混沌竜の肉体を改造、活性化し能力を増強する。
『オオっ!? こりゃイ~イモンくれたナア! オイっ!』
 更にフォーの術は終わらない。いつの間にか空に黒雲が広がっていて、フォーがその雲に向けて雷撃を放てば、直後混沌竜だけを狙って落雷が周囲に降り注いだ。
 増殖速度が徐々に減退し、植物怪獣達に押されかけていた混沌竜達が一気に持ち直して戦線を押し返す。
「さあ、今が攻め時だ!」
 潮目の変化を見逃さずにフォーはゲイルタクトを取り出し、先程エンケロニエルの姿が見えた方角へと指揮をするように風を操り始め。
 そしてそれと同時、澪がオーラを身に纏いつつ翼羽ばたかせ空へと飛翔する。
 エンケロニエルより放たれた天使核植獣は、澪を落とさんと天使の如き翼を羽ばたかせ飛翔していく。
「結構速いね?」
 速度もそこそこあり、普段から空に親しんでいるとはいえユーベルコードなしの澪では振り切る事は出来ない。だが、それは承知の上。
 寧ろ澪が面倒に思うのは羽ばたきと共に大天使や他の植物怪獣を癒す風を送るその力。
(「回復が追い付かないくらい素早く、全力で……」)
 向かってくる天使核植獣へと聖なる杖を向け、ユーベルコード【浄化と祝福】を起動する。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 すると130もの破魔の炎が澪の杖から放たれ、鳥の形を象って天使核植獣へとバラバラに襲い掛かる。
 更に嵐が天使核植獣を横殴りにし、その羽ばたきの風を吹き散らす。
 生命力を活性化させる不滅の羽ばたきの風も、植物怪獣に届かなければ意味はない。
 その嵐はフォーのものだけではない。澪も高速で風の魔法を唱え炎を煽る為の強風を引き起こしているのだ。破魔の炎のみならず、混沌の炎をも煽る風により戦場は灼熱地獄と化す。
 天使核植獣が逃れんと飛翔する中、混沌の炎を突っ切り大型の猛禽類を象った破魔の炎鳥が突進する。
 フォーはその灼熱地獄の上空、嵐に乗じて天使核植獣にフック付きワイヤーを絡まらせながら跳ぶようにしてエンケロニエルへと距離を詰めていく。
 ――天使核植獣の飛び立つ位置、そこにエンケロニエルはいる。
 空から戦場の様子を見ていた澪も、大天使の位置を把握し炎鳥を放つ。かき消されるか魔力が尽きぬ限り消えぬ炎の鳥達は、澪の操作通りに天使核植獣に襲い掛かり、大天使への道を切り開く。
「見えた!」
 澪が叫ぶと同時、炎鳥が切り拓いた空間にフォーが飛び込む。
「くっ……」
 天使核植獣を差し向けるエンケロニエル、しかしフォーはゲイルタクトを振るい風を操って迎撃を潜り抜け、そして愛用のサンダーロッドを再び取り出すと全力の電撃を大天使に叩きつけた。
 電撃が大天使を貫き全身をほんの一瞬硬直させる。そしてそこに、残る隼の如き炎鳥を澪が放つ。
 逃れる余裕もないエンケロニエルに炎鳥が命中し、その身を炎に包み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
カオスさんは本当にナイスですね♪
大天使さんと怪獣軍団を海へと還しましょう

今日はペロペロ祭りです
自身とカオスさん達を片っ端からペロペロ

摩擦抵抗をいい感じに操作すれば
敵の鞭攻撃をツルッとして受け流したり
戒めから脱出できます

勿論カオスさんだけではありません
世界樹の子さんをペロっとすれば
まともに動けなくなります

地の彼方まで滑っていってもらったり
子さん同士でぶつかったりしていただきます

そんなこんなで混乱させて突破口を開き
大天使さんの元へ滑走

同じくペロっとすれば
歩けず飛べず(翼の摩擦を奪いました
アイテムも落としまくって
もう戦えません

海へとお還しします

終幕
大天使さんへの鎮魂と
カオスさんへの感謝を込めて演奏


アレッシア・リベラ
【SPD】

あらあら、スーパーカオスドラゴンさんカッコいいわね
その気概に敬意を表しつつ、私も微力ながら助太刀するわ

セイルフローターでの「空中戦」前提

召喚された大量の若き世界樹を全部食べてもらうには
ちょっと数が多すぎるかしら?
天使核マスケット銃から「属性攻撃(炎)」の「誘導弾」を大量にばら撒き「援護射撃」して適度に足止めしつつ数を減らしましょう

あら、エンケロニエルとやら
若い世界樹を食べられるたびに顔色が悪くなっているわよ?
「空中機動」で一気に接近しスカイソードから「属性攻撃(炎)、斬撃波」を放ち牽制しつつ
指定UCの4回連続攻撃を首筋に叩き込んであげるわね

あら残念
これでアルカディアには行けないわね



●大天使、失墜
 混沌と破魔の炎に焼かれる嵐の戦場で、大天使エンケロニエルは未だ立ち続け巨大な植物怪獣の群れを召喚し続けていた。
『私は主の元へ……!』
 端正な顔を僅かに歪めながら、大天使はその目的のために権能を行使し続ける。
「あらあら、スーパーカオスドラゴンさんカッコいいわね」
 増殖したスーパーカオスドラゴン、その本体と思われるドラゴンに、一人乗りのセイルフローターに乗ったアレッシア・リベラ(空賊はセイルフローターと共にあり・f34149)が空から声をかける。
「カオスさんは本当にナイスですね♪」
 彼女と同時にやってきた箒星風の飾りがついた帽子の黒いケットシー、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)も同意する。
「その気概に敬意を表しつつ、私も微力ながら助太刀するわ」
 義侠心に溢れるアレッシアはセイルフローターを空へと上昇させていく。
 そして仄々ははぺこりと混沌竜に一礼してあの大天使や植物怪獣を海へと、雲海へと還すために混沌の炎と混沌物質に満ちた戦場へと駆け出した。

 大天使が新たに召喚した巨大な若き世界樹は、その幹と根を地上に現し歩行を開始する。
 食らいつかんとする混沌竜を鞭のようにしならせた根で打ち据え吹き飛ばし、戦線を押し返すその力は術者である大天使エンケロニエルと同等の力量だ。
「……ちょっと数が多すぎるかしら?」
 この質でこの数、セイルフローターで空から状況を見遣るアレッシアはそう判断する。この強さと大きさは増殖した混沌竜でも喰いきれなさそうで、故に。
「援護するわ!」
 アレッシアが天使核マスケットから若き世界樹の群れに弾丸を放つ。炎を纏ったそれは軌道を変えつつ世界樹達の幹にぶち当たり、炎上させていく。
『ナイスな援護だゼぇ~!!』
 炎に怯み足を止めた若き世界樹達に混沌竜達が襲い掛かり、倒して幹を喰らっていく。
 空からの攻撃に世界樹が幹を伸ばし鞭のように打ち据えんとするが、歴戦の飛空艇パイロットであるアレッシアはその技量で攻撃を回避する。
 彼女のセイルフローターは故郷が寿命を迎えた日に託された大切な飛空艇だ。易々と撃墜されていいものではない。
 そして空へと警戒が向く一方、大きな緑の瞳の黒い星が戦場を駆け抜けていく。
 まず最前線で戦う混沌竜の頭をすれ違いざまにぺろりと舐めつつ、さらに若き世界樹達へと駆けていくのは仄々。
 偶然気づいた世界樹の一体が巨大な根を振り上げ鞭のように叩きつけ押し潰さんとする。が、仄々の体に触れた瞬間、つるりと滑り地面を砕くだけに留まってしまう。
 ユーベルコードによって舐めたものの摩擦を極限まで減らしている仄々、自分の体も舐めてとっくに摩擦はなくしてしまっている。
 そして攻撃を滑らせた衝撃をも利用し小柄な仄々の体はさらに加速、次の世界樹の根元に滑り込むと同じようにペロっと舐めて。
 脚としている根を舐められ摩擦を消されたた世界樹は溜まったものではない。氷上に立たされているかのような若き世界樹は、今いる場所に留まるので精一杯。
 そこに空からの誘導弾が直撃し、その衝撃で炎上しながら吹っ飛んでいく若き世界樹。
 その先には障害物となってくれそうなものはなくこの浮遊大陸の果て、更には雲海まで一直線かもしれない。
 更に根の摩擦を奪われた若き世界樹は思った通りに動けずに、互いに衝突すらしてしまって戦場は大混乱。そこにスーパーカオスドラゴンの群が喰らいついてくるのだからたまらない。
 根の鞭で打ち据えようとしても、仄々に舐められ摩擦がなくなった混沌竜の体表で受け流されてまともにダメージが通らなっているのだから。
「あら、エンケロニエルとやら若い世界樹を食べられるたびに顔色が悪くなっているわよ?」
『……元からこのような感じですよ』
 空からのアレッシアの皮肉にやや顔色を悪くした大天使は平坦な声で返す。
 この若き世界樹達は術者と同等の力量をもつ代償として若き世界樹達の生命力を共有、そのダメージが召喚した数だけ倍増してしまっているのだ。
『ゲ~ッヒャッヒャヒャ!! 一気に押し込むゼェっ!』
「いきますよっ!」
 混沌とした状況の中スーパーカオスドラゴンが道を切り開き、そこに仄々が切り込んでいく。
 細身の魔法剣を手にした仄々を大天使はその身に装備した天使核で迎撃せんとするが、猫の楽士は足をペロっと舐めて摩擦をさらに減らしつつ加速。
 反撃が外れた感覚と同時に響くりん、と軽やかな土鈴の音色。直後、エンケロニエルの裸身に登られペロっと舐められる感覚。
『これは……!』
 摩擦を奪われ体の正中線や掌、装備した天使核が体から滑り落ちていく。そして空へ羽ばたき窮地を脱しようにも足の摩擦が奪われ地面を蹴って飛び立てず、翼の表面で空気が滑っていく感覚のみ。
「もう戦えません……!」
 仄々の剣の一撃が大天使の肌を切り裂き、痛みに怯んだエンケロニエルに更にアレッシアが突っ込んでくる。
 手にしているのはマスケット銃ではなく蒼く透き通った刀身の刃だ。
 炎を纏わせた飛ぶ斬撃がエンケロニエルの顔を狙い、大天使は反射的に手で防ぐ。
 だがその一瞬の隙にセイルフローターを加速させたアレッシアはユーベルコード【薔薇の剣撃】を起動しつつ大天使の眼前――間合いにまで飛び込んでいて、薔薇の花弁を放ちながらすれ違いざまに首筋に四連撃を刻み込む。
 逃げる手段も駒も奪われた大天使エンケロニエルにそれらを防ぐ術はない。
 そしてアレッシアのユーベルコードはその効果通りに大天使エンケロニエルの命を刈り取ったのであった。
 「あら残念。これでアルカディアには行けないわね」
 セイルフローターを旋回させながら、倒れる大天使の背を見アレッシアはそう呟いた。

 植物怪獣達も消滅し、静けさを取り戻したコルディリネの浮遊大陸に竪琴の音が響く。
 海へと還した大天使への鎮魂の静かなメロディーをしっとりと奏で。
 続けざまにスーパーカオスドラゴンへの感謝の為の、即興で混沌とした賑やかなメロディーが奏でられた。
 その演奏に混沌竜は上機嫌のようで、高笑いがコルディリネの大地に響く。
 かくして六大屍人帝国の一つの支配者、大天使エンケロニエルは討たれ、アルカディアの玉座への道筋の一つが開かれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月23日


挿絵イラスト