アルカディア争奪戦⑩〜ウサギ坑道襲撃!
●日の当たらぬ地に空跳ねるウサギ
ブルーアルカディア、『バルクラ竜拝帝国』。
『日蝕帝国イクリプス』を信奉する二大屍人帝国の片割れであるこの浮遊大陸には、大陸内部全域に魔法洞穴が張り巡らされていた。
その洞穴の名は『竜脈坑道』。かの地の力によりドラグナー化したオブリビオン達は、仇為す敵を殲滅する為にその暴力をふるうのだ。
その一角に白いウサギの群れがいた。可愛らしい――わけではなく、筋骨隆々なそれらは本来自在に空を跳躍する蛮族。
だが今はいるのは地下深くの坑道。有り余る力を持て余すかのように、蛮力をぶつけるべき侵入者の到来を求めていた。
「さてさて、アルカディア争奪戦も順調に進んでいるみたいだね」
グリモアベース、男装の騎士猫クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は集まった猟兵達にそんな風に切り出した。
「今回向かって貰いたいのはバルクラ竜拝帝国って屍人帝国、その浮遊大陸の地下に張り巡らされた地下洞穴になる。そこにいるゴツメウサギってオブリビオン達を退治してきて欲しいんだ」
そしてクーナは今回の作戦の詳細を語り始める。
「まずこの竜脈坑道のオブリビオンは洞穴の魔力によってドラグナー化オブリビオンになっていて、普通の個体よりも強化されている。おまけに暗くそこまで広くない洞穴だから大人数で攻める事も難しいだろうね」
しかも所々に落とし穴があるみたいでうっかりすると迷ってしまう危険もあると、クーナは言う。
「それでゴツメウサギなんだけど……一言で言えば蛮族だね。かつて大陸の一つを支配し、勇士とも屍人帝国とも争ってきた『空を跳躍する者』と称されていたんだとか。その高い身体能力は空ではなく洞穴でも厄介なものになるだろう」
それから今回は|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たちが援護してくれるのだとケットシーは付け加える。
「勇士達も猟兵と共に討伐に向かってくれるから、彼らと力を合わせれば上手く戦えると思う。直接攻撃よりはそれ以外の部分で助けになってくれそうな感じだよ。その中にはオルダナ円環島から出発した勇士達もその中にいるみたいだから、もし知り合いがいたらより連携もやり易いかも。あと、場合によっては洞穴崩落させてオブリビオン達を分断したり生き埋めにしたり、なんてやった方がやり易い場面もあるかもね」
それじゃ頑張ってね、とクーナは締め括り灯篭のグリモアを輝かせる。
そして猟兵達を包んだ光は、彼らを竜脈坑道へと到着せんとする飛空艇へと導いた。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
どこかで聞いた事のあるような名前かも。
このシナリオはブルーアルカディアの『バルクラ竜拝帝国』という屍人帝国の各所に張り巡らされた『竜脈坑道』でドラグナー化『ゴツメウサギ』を撃破するシナリオとなります。
ドラグナー化によって通常よりも強化されているゴツメウサギ達ですが、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士達と共に攻め入って上手く連携すれば十分勝機はあるでしょう。
因みにこのシナリオでは|円環世界《リングワールド》から出発した勇士達も参戦しているようです。プレイングで指定がありましたらできる限り反映いたします。
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス……飛空艇艦隊ガレオンフリートの勇士達と協力して戦う/坑道の崩落に敵を巻き込む。
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それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『ゴツメウサギ』
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POW : ゴツメウサギ流解錠術
【鍵による刺突】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 空を跳躍する者
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 恐怖感染
【なす術もなく墜ちていく恐怖心】によって【胸からモザイクの濁流】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●いざ、竜脈坑道へ
飛空艇から降りて目的の洞穴へと向かう猟兵と勇士達。
既にある程度の状況を説明している為、最低限の連携は可能だろう。
『ゴツメウサギ……魔獣かは知らねえがドラグナー化? してんなら魔獣でいいんでねえか』
がっしりとした体型の若き魔獣解体士のドワーフは斧を担ぎ直しつつ敵の事を考えていて、
『荒事は苦手ですけど……探知なら少しはお手伝いできますから』
天使核動力のレーダーらしき機械を持った黒い毛並の時計ウサギは控えめにそう言って。
『多少の怪我は気にするな! 俺が全部|治療《なお》すからよ!』
えらく自信満々な蒼鱗のドラゴニアンが言ったが、それが一番不安なのだと他の勇士達の目はちょっとばかり死んでいる。
ともあれ、勇士達はそれぞれの決意を以てドラグナー化ゴツメウサギ蔓延る竜脈坑道に挑まんとしている。
猟兵達はそんな彼らと共に、暗き魔法洞穴へと足を踏み入れた。
メニス・ソルタ
うわぁ、強そうなウサギさん達だね…って言うか実際強いんだよね。
こういう時は、うまく罠にハメてやっつけるのが一番、だね。
勇士さんにポケットから取り出したビスケットをあげつつ、UCを発動。
これでウサギさん達の動きが鈍くなるハズだから、闘いやすくなると思うよ!
ビスケットが切れると勇士さん達も遅くなっちゃうから、出来るだけ味わって食べてね。
散らばってる敵は勇士さん達にお任せして、ボクは数の纏まってる敵の対処に行くよ。
動きが遅くなってる処に、坑道を支えてる木組みを魔術で【爆破】!
落盤を起こして一網打尽にできればと!
●少年ウサギと蛮族ウサギ
竜脈坑道の中は薄暗く、勇士達は道を灯りで照らしながら進んでいた。
魔力坑道――本来誰かが採掘でも行っていたからか、壁や天井が人為的に補強されている個所もあるようだ。
そんな勇士達に混じって進む中性的な時計ウサギの少年、メニス・ソルタ(リトルヴィジランテ・f19811)の耳に荒々しい足音が響いてくる。
その音は一直線にメニス達の方へと近づいてきて、そして坑道の過度の先から姿を現しいきなり襲い掛かってきた。
「うわぁ、強そうなウサギさん達だね……って言うか実際強いんだよね」
小柄で可愛らしいメニスに対し、筋骨隆々で鍵のような鈍器を手にしたゴツメウサギ。空中を跳ねながら距離を詰めてくるオブリビオン達はドラグナー化により強化されていて、その武器で殴られれば大変な事になる事は間違いない。
「こういう時は、うまく罠にハメてやっつけるのが一番、だね」
と、高速で迫りくるゴツメウサギ達にも慌てずにメニスはポケットをごそごそと探り、
「ビスケット、食べる?」
ビスケットを取り出して、臨戦態勢の勇士達に振る舞いはじめる。
その行動は戦闘に似つかわしくないように思われる。だが、その行動こそが彼のユーベルコード【|ポケットの焼き菓子《メニイ・メニイ・ビスケッツ》】に必要な事。
メニスの給仕を受けた勇士達が訝しがる中、空を跳ねるゴツメウサギの動きに変化が生じる。
『遅くなってる……?』
目で追い切れない速度で迫ってきていたゴツメウサギは、メニスのユーベルコードの影響によって五分の一の速度に減速させられている。
「これでウサギさん達の動きが鈍くなるハズだから、闘いやすくなると思うよ!」
ビスケットが切れると遅くなっちゃうから、出来るだけ味わって食べてね、とメニスが付け加えて給仕しながら周囲を確認する。
バラバラに攻めてくるのなら勇士達が対抗してくれるだろうが、纏まって来られてはかなり厳しい。
天井を支える複数の木組みを見出して、それぞれに魔法の木の枝を向けて。
「爆破するよ! 下がって!」
勇士達に警告の後、木組みを爆発させる。途端、天井が重さに耐えきれず落盤が発生。
爆破魔法の為にメニスが給仕を止めた事でゴツメウサギ達の減速は解除されているが、急な感覚の変化に対応しきれずに群れの一部はそのまま落盤に飲み込まれてしまう。
そして土砂と大岩が坑道の一部を埋めた事により、無事だったゴツメウサギも一部が群れから分断、この数なら勇士達後は倒すだけだ。
メニスが給仕を再開して再び蛮族ウサギの動きが鈍った所に、ビスケットを口に含んだ勇士達が各々の武器で仕掛けていく。
そして程なく、メニスを襲ったドラグナー化ゴツメウサギの群れは全て撃破された。
しかし、まだまだこの坑道にはゴツメウサギが存在している気配は漂い続けている。
それらを撃破する為にメニスと勇士達は坑道奥へと進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
出たなー、可愛くない方の兎さん
洞窟内ならあんまり飛べないね
落とし穴が怖いから念のため微妙な【空中浮遊】で
兎って本来の性質では近視だから
勇士の皆さんは適度に離れていれば狙いが僕に向いていいかも
代わりに僕が怪我した時は回復任せるね
…皆の目線が不安になるけど
★杖(常に淡く発光している)を魔法具として
時に物理として使用し
頃合いを見て【高速詠唱】で光魔法発動
近視とはいえ見えないわけじゃないと思うし
暗い場所で急な明かりは視力を奪うから
瞬時に【紅色鎌鼬】を発動
控え目に増殖させた鎌で【なぎ払い】攻撃
更に炎魔法の【属性攻撃】で壁を撃ち
崩落を起こして進軍阻止
皆離れてもらってるし
僕も巻き込まれないように気を付けます
●金蓮花は鎌を振るう
崩落した道から引き返し、別の道へと進む勇士達と猟兵。
かなり構造は入り組んでおり、こまめにマッピングしている勇士も大変そうだ。
「あっ、ここ落とし穴あるから気を付けて」
淡く光る杖を手に先頭を進んでいた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)というオラトリオが、後続の勇士達に警告する。
澪の足元には地面がない。落とし穴を警戒して少しだけ空中浮遊しているからだ。
勇士達はそうではないから澪の注意通りに落とし穴を避けて慎重に進んでいく。
そうしてしばらく進んだ澪と勇士達の前に、歩いてきた坑道とほぼ同じ横幅の大きな落とし穴。
大規模な崩落で下に崩れてしまったのだろうか――そんな事を考えていると、
「……皆下がって。下から来るよ」
穴の下から気配を感じとった澪が後方の勇士達に警告すると、ゴツメウサギの群れが穴の側面の壁を蹴り登ってくる。
「出たなー、可愛くない方の兎さん」
ふわふわ愛らしさを真っ向から否定しているようなゴツメウサギには、澪はこれまでの戦いで何度か遭遇している。
ドラグナー化しているからかよく分からないが、他の地で交戦した時よりも一回りごついようにも思える。
「さっき言った通り、ちょっと下がってて」
澪がそう言って穴から飛び出してきたゴツメウサギの着地に合わせ、清浄な光を放つ杖で真っ向から殴り飛ばす。
熟練の猟兵である澪の一撃、けれどドラグナー化により強化されたゴツメウサギはそれだけでは倒れない。
よろめき落とし穴の縁にまで後退したゴツメウサギの胸部からモザイクの濁流が放たれて、周囲のゴツメウサギの傷が治療。そして更に追撃を仕掛ける活力を与える。
――活力というよりも恐怖に駆られた馬鹿力、のが正解かもしれないが。
いずれにせよ一番落とし穴に近い位置にいた澪を狙い、ウサギたちは鍵型の鈍器を手に襲い掛かってくる。
空中浮遊で足を地に着かせず回避する澪、普段であるならもっと高くを飛び戦うのが澪の戦法ではあるが、この坑道ではそれもやり辛い。
後方から勇士達が砲撃や癒しの術で支援しているが、ゴツメウサギ達は地の利を活かしつつ数の暴力で制圧せんとしてくる。
何とか凌ぐ澪を討たんと蛮族ウサギ達の注目は完全に澪へと向かっていて、それこそが澪の狙い。
(「頃合いかな」)
勇士達との距離は十分、敵の注意は自分に向いている。
そう判断した澪は、ゴツメウサギが一斉に襲い掛かってきたタイミングで高速詠唱、光魔法を唱え周囲を光に包み込む。
本来の兎は目があまりよくないが、この暗所に適応したゴツメウサギにはそれは強烈だったようで、反射的に腕を顔にかざし光を遮ろうとする。
その隙を、澪は見逃さない。
「これでも鎌使いなんだよね」
視界を光に染めた瞬間、澪がゴツメウサギ達に抱く敵意がユーベルコードにより紅き鎌の形を成して足を止めたゴツメウサギ達を瞬時に切り刻む。
澄んだ刃の数はいつもより控えめではあるが、鋭さはドラグナーの強化をも切り裂く程。
増殖した紅刃が澪に近接していたゴツメウサギを刻み薙ぎ払うと、彼は後方にふわりと移動しながら炎の魔法を壁に炸裂させる。
増援、反撃を避けるための澪の攻撃はその狙い通りに壁を崩落させ、ゴツメウサギ達と勇士達の間、そして巨大落とし穴に土砂が大量に崩れ落ち、道を完全に遮った。
予め作戦を勇士達に伝え距離を取っていたから勇士達に被害はない。そのことに安心しつつ、
「さ、いこっか」
澪は勇士達を促し、探索を再開した。
大成功
🔵🔵🔵
久留米・圓太郎
■WIZ
ドワーフに攻撃、時計ウサギには索敵を、回復はドラゴニアンに頼むとすると、あとはオレが楯役をやればバランス的には良さそうだな
体力を増す方法は無いけれども【UC】で回避率を上げておけば、そうそう当たるまい!
勇士達との協力関係の構築から。[鼓舞、コミュ力]で連携をお願いしよう。(先の編成案で行動していただければ有難いが、オレの態度が傲岸不遜と思われては拙い)
[集中力、オーラ防御、結界術、情報収集、野生の勘]で守りを固めて、情報収集だぜ(作戦中、坑道崩落させて退却の際にも使用)
■戦闘
基本守りだが隙あれば[高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、援護射撃]で持てる攻撃魔法駆使するぜ!
※連携・アドリブ共歓迎
●|円環世界《リングワールド》より来た勇士達とキマイラと
勇士と猟兵達の暗き坑道探索、ドラグナー化オブリビオン掃討は続いていく。
複雑に入り組んでいるから見落としがないように、戦力に注意し数組に別れそれぞれ坑道を進むことにした。
その一つの組は四人、|円環世界《リングワールド》よりこの地に来た勇士三人とキマイラの猟兵一人。
『ここはちょっと落とし穴が多いみたいです』
小柄な黒い時計ウサギ、名をヘイズという彼は周囲の地形をレーダーで探知しながら他の勇士に注意を呼び掛ける。
布陣はドラゴニアンの闇医者と時計ウサギを後方に、前方に戦士タイプのドワーフとキマイラの猟兵、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)。
作戦としては後方の二人が索敵と回復、残る二人が前衛を務める形でバランスのいい形となっている。
提案したのは圓太郎だが、彼の人当たりの良さとよい協力関係を構築したいという想いが伝わり
『……しかしいいのか? 楯役は任せていいと言っていたが』
「大丈夫です。それよりあのゴツメウサギは見た目以上に頑丈、シュラーゲさんも全力でやらねえと足元掬われるかも」
年上――と言っても二十歳を越えたばかりらしいドワーフの青年に丁寧にそう返しつつ、圓太郎は前方の闇を見遣る。
勘が告げている。この先に危険が待ち構えていると。
『多少の怪我なら俺が治す! 心置きなく戦ってくれ!』
後方の白衣の竜人アーネストが医療用ノコギリ片手に自信たっぷりに言ってくる。腕は確かなのだろうが、絵面的にあまりお世話にはならない方がいいような気がする。
そんな事を考えていると、ヘイズが慌てて警告を発する。
『……反応あり、来ます!』
数泊置いて目を充血させたゴツメウサギ達が闇の向こうからダッシュで迫ってくる。
『切り込む!』
対して飛び出したのはシュラーゲと圓太郎。後方のヘイズは増援を警戒しレーダーに意識を向けたままで、アーネストが天使核マスケットを抜いて発砲し援護する。
援護射撃に足を止めた先頭ののゴツメウサギにドワーフが両手で斧を振りかぶり、ゴツメウサギの胴に全力で叩きつけ致命傷を刻み込む。
即座に別のゴツメウサギが鍵型の鈍器を高速で叩きつけてくるが、キマイラの鳩の翼広げた圓太郎がシュラーゲの腕を掴み敵の強打から彼を逃す。
入れ違いに圓太郎が高速で呪文を詠唱、ウィザードロッドから毒の魔法を放ち、ゴツメウサギ達の突撃を躊躇させた。
連携の取れた勇士達と猟兵の攻撃、だがドラグナー化ゴツメウサギ達は胸からモザイクの濁流を溢れ出させ傷を癒し、即座に反撃にかかる。
その狙いは圓太郎、だが圓太郎は鳩のような翼を広げ羽ばたかせてその一撃を回避する。
「この翼は、飾りじゃないぜ!」
ユーベルコードにより魔力で翼の浮力を高めた今の圓太郎は非常に攻撃が当たりにくくなっている。飛翔能力は上手く活用し難いが、今回の彼の狙いを考えるなら此方の効果だけで十分。
圓太郎がゴツメウサギ達の反撃を一手に引き受けながら華麗に羽ばたき直撃を躱し、攻撃で隙を見せたゴツメウサギにシュラーゲが斧を叩きつけアーネストがマスケットで足を撃ち抜き動きを妨害する。
守りは圓太郎一人ではあるが、回避に特化した今の彼が回避楯に集中するならば易々と倒れる事はない。
仮に多少攻撃を喰らったとしても纏うオーラで多少は緩和されるだろうし、アーネストの改造、もとい治療があれば万全だろう。
(「こりゃ明日筋肉痛だな……」)
ただこのユーベルコードは使用に少々体に負担がかかる、ある意味諸刃の剣だ。多数の蛮族の攻撃を凌ぎきる程に無茶苦茶な動きをしているのだから仕方ないが。
そしてそのまま致命打を受けることなくゴツメウサギ達の数を徐々に削っていく。
そして圓太郎が全力の魔法を叩き込み吹き飛ばした個体が襲ってきた群れの最後の一体、勇士達もほぼ無傷の状態だ。
まだもう少しこの坑道には敵がいるだろう。圓太郎と勇士達はもう少し頑張ろうかと互いに鼓舞しながら坑道を進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
篝・倫太郎
【兎鬼】
勇士達が普段通りなのは安心だな
変に気負われると動きに出るだろ
あ、ハイ
ザクロさんはいつだっていつも通りダネ
はいはい、しょこさん(しょこら:兎幻獣)もいつも通りダネ
肩の羽根付黒兎を撫でぽふして坑道を進む
さって、探知は任せて良いか?
Loreleiのソナー機能で罠の探索フォロー入れつつそう告げて進む
……その、可愛くない!みたいな顔止めようよ、ウッ友ず(ザクロ&しょこら)
敵に遭遇と同時にイ゛ーッ!って顔をする二人に笑う
大丈夫!しょことザクロのが可愛いから!
敵が射程範囲内なのを確認して鎖での先制攻撃からの拘束
可能なら勇者たちと協力して罠まで誘導
敵の攻撃は天井に射線誘導して崩落を誘発
ザクロ、任せた!
ザクロ・シャハブ
【兎鬼】
『兎狩りするぞー(勇士とえいえいおーしてる)』
勇士が怯えないのは良いことだ
怯えは負けフラグだからな
しょこも頑張ろうな
さて、俺は電飾を身体に巻き付けてゴツメウサギを探そう
『明るくなったろう
ついでにおびき寄せられるだろう』(悪目立ち使用)
『か…可愛くない(ガーン)可愛いは作れるんだぞ』
誘導で来たらキャロリング・ポッカンで乱れ撃ちしよう近づいてきたやつは黒縁でなぎ払う
ある程度攻撃をしたらUCで罠に引っ掛かりやすい不幸を強くさせよう
『いらっしゃい。回復は間に合うか?』
●うさうさ兎狩り
そして別れた別の組。
「兎狩りするぞー」
『おー!』
黒い兎耳をぴん、と伸ばした黒スーツ姿のザクロ・シャハブ(懐中兎計・f28253)に野太い勇士達が同意し、えいえいおー、と気勢を挙げる。
何故かスーツの上から電飾を巻きつけているが、勇士達はそれにツッコまない方向らしい。
「勇士達が普段通りなのは安心だな」
そんな勇士たちの様子を見、篝・倫太郎(災禍狩り厄を狩り還す者・f07291)という緑髪の羅刹がザクロに呟く。
変に気負いがあるとそれが動きに出る、それはよろしくない。
「勇士が怯えないのは良いことだ。怯えは負けフラグだからな」
倫太郎の言葉にザクロは表情を変えずに返して、
「あ、ハイ。ザクロさんはいつだっていつも通りダネ」
ザクロにちょっと空々しく返す倫太郎。そこに肩に乗っていたラビットグリフォンのしょこらまでずい、と倫太郎に迫ってくる。
まるで自分はいつも通りですよーと主張しているかのようだ。
「はいはい、しょこさんもいつも通りダネ」
羽付黒兎の背をぽふぽふ撫でて、
「しょこも頑張ろうな」
ザクロも無表情のまま少しやわらかな雰囲気で言って、そして二人の猟兵は勇士達と共に坑道を進み始める。
「さって、探知は任せて良いか?」
ザクロに倫太郎が問うと、ザクロは全身に巻き付けた電飾を輝かせ、暗い坑道を照らして見せる。
「明るくなったろう。ついでにおびき寄せられるだろう」
ぴかぴかと光る電飾を全身に巻き付けているザクロの姿はこの薄暗い坑道では非常に目立つ。
念のため倫太郎は超高度コンピュータを内蔵したバイザータイプのゴーグル『Lorelei』をかけてソナー機能で坑道を探り、その後方に勇士達が続く形で進んでいく。
「おおっと、ここは気をつけた方がいいね」
光が進路上の大きな落とし穴を照らす。どうやらこの一帯は土が柔らかいようで、周囲をソナーで探れば補強の柱や板が幾つも感知された。
「……罠、ここでいいかな?」
ザクロが倫太郎と仲間達へと振り返り問うた。
そしてぴかぴか光るザクロとゴーグルの倫太郎の二人は坑道を悪目立ちしながら進んでいく。
少し歩いていると、侵入者に怒る柄の悪いゴツメウサギの群れと遭遇する事になったのだが。
「……その、可愛くない! みたいな顔止めようよ、ウッ友ず」
――その見た目は少しばかり、ザクロとしょこらのウッ友ずの好みには合わないようで、イ゛ーッ! といった風な渋い顔になっている。
「か……可愛くない……」
特にザクロは膝から崩れ落ちている。時計ウサギの彼だから、ウサギという分類でいうならアレと同じとも言える事がショックなのかもしれない。
因みに倫太郎もツッコんでいるが、彼の方はウッ友ずの表情につい笑って吹き出しかけてしまっていて、
「大丈夫! しょことザクロのが可愛いから!」
フォローの言葉をかける間に、蛮族ウサギ共は『喧嘩でも売ってんのかゴラァ』とでも言わんばかりに鍵型鈍器の先を手でトントンと叩きつつじりじり迫ってくる。
「……縛めをくれてやる」
そんな物騒なオブリビオン達に倫太郎が先制でユーベルコード【拘束術】を発動、不可視の鎖がゴツメウサギ達だけに襲い掛かり打ち据え縛り付けた。
「一旦退くぞ!」
倫太郎が膝から崩れ落ちているザクロに言ってダッシュで来た道を引き返し始める。
「可愛いは作れるんだぞ!」
ザクロがどこかに向けて主張しながら倫太郎を追い走り始め、彼らをゴツメウサギ達は凄まじい速度で追いかけ始めた。
ドラグナー化している上にここを住処にしているウサギ達の足は速く、あっという間に距離が縮んでいく。
そしてもう一歩で鈍器が届く間合いまでに迫り、そこで倫太郎とザクロは大きくジャンプした。
直後、反応が遅れたゴツメウサギ達の足元がふっと抜けて、宙に投げ出される。
先ほどザクロ達が発見した落とし穴、そこに勇士達が布を被せ隠蔽していたのだ。
とはいえゴツメウサギは空跳ねる種族、ドラグナー化により強化された身体能力はこの程度ものともしない。
だが、隙ができた事に間違いはなく。落とし穴の縁ではザクロと勇士達が巨大ニンジンにしか見えないガトリングガン『キャロリング・ポッカン』と天使核マスケットで照準を合わせていた。
「いらっしゃい。回復は間に合うか?」
どこか悪戯を仕掛けるような楽し気な声色でザクロは言い、ゴツメウサギにポン菓子型の弾丸をばら撒いた。
落下による恐怖をモザイクとして胸から溢れ出させたゴツメウサギだが、傷を癒し切る前に無数の弾丸が貫き絶命、どうにか弾幕を突破した個体も負傷は免れない。
そしてその負傷個体に対し倫太郎が不可視の鎖を放ち打ち据える。
ソナーで距離の把握は十分。ゴツメウサギ達の速度は多少想像よりは上だがまだ想定の範囲内。
嵌められた怒りに奇声を発しながらゴツメウサギ達は勇士達と猟兵に襲い掛かるが、その数体の足元が崩れる。
この場所を罠として誘導する事にしたザクロと倫太郎は、勇士達に頼みこの大きな落とし穴の周囲に突貫で小さな落とし穴をいくつも掘って貰ったのだ。
先程ポン菓子型の弾丸を撃ち込まれ言えない傷痕を刻まれたゴツメウサギは|不幸な事に《・・・・・》それに引っかかり足を取られ、致命的な隙を晒してしまう。
それらをポン菓子型の弾丸と天使核の魔導砲が撃ち抜いていき、近接戦を得意とする勇士達が切り込んでいく。
ザクロのユーベルコードにより招き寄せられる不幸により蛮族ウサギも思うように攻撃を仕掛けられず、万全の状態の勇士達が冷静に迎撃していく。
そんな様子を見ながら不可視の鎖でゴツメウサギ達を拘束していく倫太郎。しかし、その一体が鎖の戒めを解いて羅刹に飛びかかる。
ドラグナー化による強化による強引な突破、鍵型鈍器が倫太郎を殴打せんとしたその時、ザクロが間に割り込んでくる。
彼は『黒縁』という銘の刀でカウンター気味に蛮族ウサギを切り裂き、ウサギの巨体は坑道の土に崩れ落ちた。
「ザクロ、ナイス!」
倫太郎は礼を言いつつ、別の方向から迫って来ていたゴツメウサギの足に不可視の鎖を巻き付け、全力で天井へと投げ飛ばした。
あまりに綺麗な流れで放り上げたからか、ゴツメウサギはまだ敵を貫く為の体勢で、そのまま天井――支えとなっている梁らしき木材に鍵型鈍器を突き刺してしまった。
同時、ぴしりと音が響く。
命中した箇所を破壊する鍵が、やわらかで不安定な坑道を支える建材を砕いたのだ。当然の結果として、その位置から崩落が始まる。
「逃げるよ!」
ザクロの警告と同時、勇士達と倫太郎は一斉に駆け出す。
ゴツメウサギは背を向けた敵対者を追おうとするが、天井の崩落はそれ以上の速度でゴツメウサギ達を大量の土砂で埋めていく。
そして暫くして崩落が収まった時、無事なゴツメウサギは一体も残っていなかった。
その後、倫太郎がソナーで周囲を確認しながら暫く探索を続けたが、動くものは何もなかった。
その事を確認した後に彼らが入口へ戻れば、途中で分かれた他の勇士達も既にこの場所へ帰還していた。
誰一人欠けることなく、ドラグナー化ゴツメウサギ達を撃破した猟兵と勇士達は、次なる戦いへと向けて|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》へと帰還したのであった。
大成功
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