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アルカディア争奪戦⑯〜雲海を繰る道化師

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #宿敵撃破

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●予知:雲海を繰る道化師。
 ブルーアルカディアの戦争、アルカディア争奪戦は猟兵たちの活躍と|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たちの奮闘により、六大屍人帝国の支配していた浮遊大陸を一つ、また一つと制圧していき、ついには帝国本土にまで手が届く状況になっていた。
 そんな中、屍人帝国『オーデュボン』が発見した、アルカディアの玉座を隠していた『雲海の聖域』のひとつ『アルカディア・スカイゲート』にて、一体のオブリビオンが飛空艇艦隊の前に立ちはだかっていた。

「おー、おー。遠路はるばる、たくさん集めてきたものだ。
 これだけの大艦隊なら、生前のオレなら両手を上げて降伏していたかもな。
 ……今のオレなら、絶好の遊び相手だが」

 不敵に笑みを浮かべるオブリビオンは、『躯の道化師』オペレッタ。
 かつて在った浮遊大陸の闇市で、絶大なカリスマを誇っていた元貴族である。
 オペレッタは今オーデュボンの傘下に与しており、『アルカディア・オブリビオン』としてスカイゲートを守護する役目を任じられていた。

「オーデュボンに従っていれば、結構好き勝手できるだろう。
 皇帝様は、俺のような小物に目くじらを立てるような奴じゃなさそうだしね。
 こいつらを殺した後は……暇になったら、近場のトリリアあたりで遊んでみようか」

 オペレッタは、人の心や女子供に年寄りなど、綺麗と思ったものや弱者を踏み躙ることに悦楽を感じる、破壊衝動と嗜虐志向の持ち主だ。
 刹那主義者にして快楽主義者であるオペレッタは、楽しむ為なら自分の生命も当然対価に数えるという常人には度し難い考えを持っている。
 少し扱いを誤れば、自分自身も消滅してしまうだろう『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を手繰り、手のひらで弄ぶ様子からも、その異常な精神性が伺えるだろう。

「さぁ、勇猛果敢に空を駆ける勇士たち。
 その飛空艇を失ったら、どんな顔をするんだろう。
 その命が摘み取られるとき、どんな断末魔を聞かせてくれるんだろう。
 ああ……本当に、楽しみだ」

 『拒絶の雲海』を放出する能力を駆使して、オペレッタは敵対する者を消滅に誘おうとしている。
 そう……ここまで進軍してきた飛空艇艦隊に『拒絶の雲海』を叩きつけ、勇士たちの命を奪おうとしている。
 悪辣に微笑んだ道化師が、手の中の『拒絶の雲海』を艦隊に放出する……。

●招集:スカイゲートを制圧せよ!
「ハーイ、エブリワン!
 アルカディア争奪戦もそろそろ半分くらいでありますかな?
 そろそろ屍人帝国へ切り込む人もいるデショー!」

 全体の戦況の推移はともかくとして、グリモア猟兵のバルタン・ノーヴェは自身の予知した戦場をプロジェクターで投影し、猟兵たちに参戦を求めている。

「今回の敵は、『躯の道化師』オペレッタ!
 生前から闇市で活躍する有能な貴族だったそうデスガ、弱い人や綺麗なものを傷つけたり壊したりすることを好む、ひどいオブリビオンとなっているようであります!
 どうやら精神を揺さぶる攻撃を得意とするようデスネ!」

 映し出されているオブリビオン、『躯の道化師』オペレッタが雲海を足場にして青空を漂っている。
 オペレッタは通常のユーベルコードに加え、『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を放出し操作する能力を有している。
 放たれた雲海に包まれてしまえば、飛空艇も勇士たちも全て消滅し、オブリビオン化してしまうことだろう。

 予知では、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たちがオペレッタになぶり者にされ、ことごとく雲海に飲まれて消滅していく様子が投影されている。
 戦闘に時間をかけてしまえば、放たれた『拒絶の雲海』が飛空艇艦隊を包み込んでいき、予知の内容が現実のものとなってしまうだろう。
 勇士たちと連携して、速攻で撃破しなければならない。

「現地は大陸ではない空の上であるため、足場がありマセン。
 しかし、飛空艇艦隊の勇士たちが戦場に駆け付けてくれているので、便乗すれば飛行能力がない方でも参戦可能でありますよ!」

 今回の戦場はオーデュボンが発見した『雲海の聖域』の一つ。
 アルカディア・スカイゲートと呼ばれる大空の上だ。
 だが、飛空艇艦隊の上にグリモアのゲートを開けば、問題なく戦場に赴き戦うことはできるだろう。
 その場合、艦隊を守る方法も考慮した方が、勇士たちは安全かもしれない。

「それでは皆様、スカイゲートの番人を撃破し、アルカディアの玉座に通じる一手を打ち込んできてくだサーイ!
 よろしくお願いしマース!」

 そういって、バルタンはグリモアを起動してゲートを起動する。
 その先では、猟兵たちと共に戦い、命を賭ける覚悟を決めた勇士たちの操縦する飛空艇が待っている。
 彼らを雲海に沈めないためにも、猟兵たちの奮闘が求められる……。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回のシナリオは一章構成です。ブルーアルカディアの戦争シナリオとなります。
 『躯の道化師』オペレッタを撃破することが目的です。
 オペレッタは自身のユーベルコードのほかに、『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』の放出能力を持ち、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》を飲み込もうとしています。
 戦闘に時間をかけてしまえば、艦隊に被害が出る可能性があります。

 プレイングボーナスは、『飛空艇艦隊の勇士達と協力し、速攻を仕掛ける』です。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『『躯の道化師』オペレッタ』

POW   :    継ぎ接ぎの道化共(フリッケライ・ピュップフェン)
自身が【綺麗だから壊したいという破壊衝動】を感じると、レベル×1体の【人体の皮や部位を継ぎ合わせた人工魔獣】が召喚される。人体の皮や部位を継ぎ合わせた人工魔獣は綺麗だから壊したいという破壊衝動を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    舞台脚本『恒久喜劇』(エテルノ・トラジェディア)
攻撃が命中した対象に【精神を侵蝕する呪詛刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【本人のトラウマを刺激する幻覚と幻聴】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    純然たる悪意(マリス)
【相手の壊れていく様が見たいという悪意】を籠めた【揺さぶりの言葉か精神干渉の魔術】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【意志や感情などの心の構成要素】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠地籠・凌牙です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たち。

 猟兵たちがゲートを抜けた先には、蒼穹が広がっていた。
 移動中の飛空艇艦隊の甲板に転移したのだ。
 青く澄み渡った空、強い風が身体を打つ。

 艦隊の進行方向では、雲海が少しずつ嵩を増し、広がりつつある。
 それは、『躯の道化師』オペレッタの繰る『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』だ。
 オブリビオンではない勇士たちが触れてしまえば、飲み込まれてしまえば。
 死体も残すことなく、消滅してしまうだろう。

「来た! 猟兵さんたちが来てくれたぞ!」
「よし、全速前進! 天使核エンジンを回せぇ!」
「行くぞ! 俺たちの空を取り戻すために!」

 その事実を知らぬはずがない勇士たちは、恐れる様子も見せず意気揚々と飛空艇を飛翔させる。
 爛々とした瞳を燃やし、猟兵たちを乗せて『拒絶の雲海』へ舳先を向けて疾走する。
 勇士たちは、己の命を軽んじている訳ではない。
 生きて帰るための準備も、戦いに勝つための武装も用意してきている。
 浮遊大陸を、守るべき人々を想い、屍人帝国と戦う意思を持ってこの場に集っている。
 たとえ、猟兵たちがこの場に現れなかったとしても、彼らはオブリビオンに向かって行っていただろう。

「敵影、目視確認! 相手は一人です!」
「警戒しろっ! 油断するなよ! ……俺たちは、俺たちにできることをするんだ!」

 勇敢な空の戦士たちと轡を並べ、猟兵たちは『アルカディア・スカイゲート』を守護するオペレッタとの戦いに突入する。
メルヒオール・ツァーベル
【脅威】 連携不可
速攻仕掛けるんやったら、俺とロスの出番やんな。
っつーことで、行ったろーやないか!!

まず勇士達との協力するためにUC【記憶が頼りの創造主】発動。
大砲の構造って……アレやんな、なんか火薬入れて砲弾入れたら勝手に吹っ飛ぶやつよな。
記憶力よくなれー言われてもなー。大砲触ったの何年前やと思うてん。
まあいい感じに、最大級の大砲作ってそれを勇士達に使わせたろ。
砲弾足りなくなったら言ってやー。

で、ロスが先に進むやろし俺はシュトラール構えて援護。
勇士達が大砲を撃つ中で敵の攻撃を阻害する形でスナイパー。

俺が敵の攻撃受けて引き起こされるトラウマはー……。
兄貴達と姐さんに怒られたこと……かな……。


ロス・ウェイスト
※他連携不可
【脅威】

んふふ、お、お、おれにもわかる、あいつ、わる、悪いやつや
悪いやつはこ、殺してええって先生もみんなもい、言ってたから、
じゃあ、殺すな!(満面の笑み)

「メル、い、い、今だけ記憶力よくなれー!」

メ、メルが勇士と協力してる間におれはワスプウイングで飛んで敵に近づく
「こ、こ、こんにちは!お前は殺したらたらあかんやつ?」
「……だ、誰も、あかんって言わんね」
「ほ、ほんならお前は、殺すな!」
あかんて言われてても残響使えるんやけど、ひ、ひみつひみつ!
高速移動して
狙うのは目、喉

トラウマは、研究所にいたとき、白衣きたやつらにいっぱい痛いこととかひどいことされたこと
でも平気やもん 殺せばええから



●脅威の二人組。

「んふふ、お、お、おれにもわかる、あいつ、わる、悪いやつや」
「速攻仕掛けるんやったら、俺とロスの出番やんな。
 っつーことで、行ったろーやないか!!」

 二人組の猟兵が、雲海を操るオブリビオンを見つめていた。
 とある実験施設から逃げ延び、ある機関に所属していた仲間たちと共に猟兵となって働くフラスコチャイルドの男、メルヒオール・ツァーベル(トリック&スピードスター・f36178)と、
 残機制の不死実験の被験体兼殺人兵器として扱われ、ヴィラン組織【鋼の鷲】に拾われて人の心を育んだ強化人間の青年、ロス・ウェイスト(Jack the Threat・f17575)だ。
 二人は他の猟兵たちに先んじて、機動力のある飛空艇に乗り込み青空を進んでいた。

 眼前に佇むオブリビオン『躯の道化師』オペレッタを鋭い眼光で睨みつけ、そして満面の笑みを向けて、先制攻撃を叩き込む獲物として狙いを定めている。

「相手は女子供も殺すような輩やって話やし、容赦は要らんな!」
「悪いやつはこ、殺してええって先生もみんなもい、言ってたから、じゃあ、殺すな!」
「頼りにしてるぜ、猟兵さん方ぁ! 全速前進っ!」

 高速で飛行する船の中で、メルヒオールとロスは戦闘準備を始める。
 ロスが空を飛ぶために『シャドウスーツ』に巨大な蜂の羽根『ワスプウイング』を取り付けている間、メルヒオールは甲板で攻撃手段の構築を始めた。

「大砲の構造って……アレやんな、なんか火薬入れて砲弾入れたら勝手に吹っ飛ぶやつよな」
「メル、い、い、今だけ記憶力よくなれー!」
「記憶力よくなれー言われてもなー。大砲触ったの何年前やと思うてん」

 《記憶が頼りの創造主(クリエイター・ツァーベル)》。
 メルヒオールは合計でおよそ100立方メートルまでの実物を模した偽物を作ることができるユーベルコードを用いて、飛空艇の上に大砲を作り始める。
 その造りは荒くなるのだが、メルヒオールが自身の記憶のみを頼りとして作り上げることで、記憶による上向補正を受けて極めて精巧になるのだ。なるはずなのだ。

「意外と記憶って当てにならんからな。
 精巧に作りたきゃまずは見せてからにして欲しいわ!!」
「あのー、艦載砲なら船にもあるんだが、それを手本にしたら……」
「いや、なぁ……それやと同じもんにしかならんからな。火力がちょっと不安でなぁ。
 まあ大丈夫や、いい感じに、最大級の大砲作って……やったで!」
「おお、これが……すごく、でっかいですね……」「ふっと……!?」

 出現したのは、メルヒオールの記憶にある高威力高破壊力の大砲だった。
 砲弾も随時、メルヒオールが創り出していく。

「遠慮せんでええ、ガンガン使いや。砲弾足りなくなったら言ってやー」
「おお、ありがとう!」「よし、やるぞー!」「ヒャッハー!」
「そ、それ、じゃ、おれ、行くな!」「おう、行ってきぃ!」

 そうしてメルヒオールが勇士たちと大砲を準備している間に、ロスは『ワスプウイング』を広げて空中戦に突入した。
 拒絶の雲海を飛空艇に向けられないよう、まっすぐに滑空してオペレッタの元に急行する。

「こ、こ、こんにちは! お、お前は殺したら、たら、あかんやつ?」
「おやおや……猟兵だと聞いていたが、なんだ。
 オレと同じ香りのする輩がいるじゃないか。良い顔をしている!」

 オペレッタはロスの言動に宿る殺人鬼の性質を嗅ぎ取り、笑みを溢す。
 同好の士を苦しめることができるのかと、喜色を浮かべてユーベルコードを発動させようと力を高める。
 すなわち、殺し殺し合うことを肯定している。

「……だ、誰も、あかんって言わんね。ほ、ほんならお前は、殺すな!」
「ははっ! 悪い子だなぁ! そんなキミは、どんな悲劇を見せてくれるのか!
 開演しろ、『恒久喜劇』!」

 オペレッタが展開するユーベルコードは、《舞台脚本『恒久喜劇』(エテルノ・トラジェディア)》。
 その魔術攻撃が命中した対象に精神を侵蝕する呪詛刻印を付与し、攻撃の射程範囲内に対象がいる間、本人のトラウマを刺激する幻覚と幻聴による追加攻撃を与え続ける精神攻撃だ。
 メンフィスの黒い炎を想起させる、恐るべき呪詛刻印がロスを蝕んでいく。

「さあ、思い出せ……キミの過去を。キミの闇を!」
「ああ……研究所にいたやつら……白衣を着たやつら……。
 いっぱい、痛いこととか、ひどいこととか、された……」

 実験の被検体として苦しめられてきた日々が、幻覚と幻聴となってロスを取り囲む。
 手を伸ばし、何かしら呟く幻影がロスに覆いかぶさっていく。
 その様子を笑って眺めていたオペレッタだったが……幻の中で、ロスもまた笑っていることに気づく。

「でも平気やもん。殺せばええから」
「なに……?」
「殺せば、殺したら、もう何も、怖くない!」

 一瞬の隙に、幻影たちが切り裂かれる。
 そしてオペレッタにロスが肉薄する。
 その所以は、ユーベルコード《残響(アンスタン)》!
 敵対している対象の殺害の許可を問う事で高速戦闘モードに変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大されたロスがオペレッタの認識するよりも速く接近し、攻撃を繰り出していく。
 『スローイングナイフ』をグローブで握り締め、オペレッタの目を、喉を狙って振りかぶり投擲する。
 かろうじて防御が間に合うオペレッタは、仮面を使ってロスのナイフから急所を守る。
 防ぎしれない刺突が、オペレッタの右手に傷を作る。

「あは! こいつ、こいつも! 殺してええんやな!」
「くっ、こいつ! すでに心が……! だが、この距離なら……!」
「で、ロスが先に進むやろし、そうなるやろと思っとったわ」

 オペレッタは拒絶の雲海を操り、迫るロスを包み込もうとする。
 広がった雲海の隙間を狙い、メルヒオールがスナイパーライフル『シュトラール』を構えて援護射撃を行う。
 普段は普通のライフルだが、メルヒオールが力を込めることで光線の如き一撃を放てる魔弾の射手となり、オペレッタの右肩を貫いた。
 それを合図に、ロスが素早くオペレッタから距離を取る。

「猟兵さんに続くぞ! 一斉発射、撃てー!」

 丸見えとなったオペレッタに向けて、勇士達が特製大砲を乱れ撃つ。
 オペレッタの動きを阻害する形で振るわれるメルヒオールの射撃と勇士たちの砲撃に、オペレッタはたまらず歓喜の声を上げる。

「アッハッハ! すごいな、イェーガー! こんな殺意と、破壊を見せてくれるとは!
 これなら、もっともっと、楽しめそうだ……! さあ、まだ幕は上がったばかりだ!」
「あ、こん野郎……!」「な、猟兵さん!?」

 オペレッタが周囲にばら撒いた雲海の隙間から、飛空艇に向けて《舞台脚本『恒久喜劇』》の魔法攻撃を放つ。
 それを見たメルヒオールが、勇士たちの盾となってそのユーベルコードを受け止める。
 船を操縦する勇士たちを恐慌に落としてはならないためだ。
 そしてオペレッタは雲海を広く拡散させて、再度放たれるロスの『スローイングナイフ』を掻い潜り、大きく距離を開けていく。

「う、少しと、遠い……メル……!」

 ロスは追撃しよと考えたが、《残響》は解除するまで毎秒寿命を削るリスクがある。
 長期戦は、割に合わない。
 それに何よりも、メルヒオールと勇士たちの安全を優先したほうが良さそうだと、ロスはユーベルコードを解除して飛空艇に帰ってくる。

「猟兵さん、しっかりしろ!」
「メル、無事か? だ、大丈夫、か?」
「う、うう……」

 トラウマを引き起こされているメルヒオールは、頭を抱えてうずくまっている。

「堪忍、堪忍してくれ、姐さん……!
 ごめんて、兄貴も、エミさんも、そない怒らんといてくれぇ……!」
「あ、だ、大丈夫、だな、うん」「ふぅ、無事でよかったぜ……」

 大切な身内に怒られている恐怖を思い起こし、苦しむメルヒオールが回復するまでロスと飛空艇の勇士たちは空域を安全に飛翔する。
 他の猟兵と勇士たちが無事にオペレッタとの戦いを終わらせるのを見届けるまで、空域に留まるのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
うわー性格悪いなー。何とかに刃物、道化師に雲海生成能力?
勇士達嬲り殺しは絶対嫌だし邪悪退治頑張ろっか。

UCで空シャチ召喚、20体ずつ合体させその一体の背に乗って勇士達の飛空艇と共に仕掛けるよ。
空シャチは散開して色んな角度から攻めて的を絞らせないように牽制。
俺は空シャチの上から高速、多重詠唱で風の魔法使って気流を操作、飛空艇や空シャチを急加速させたり強引に軌道変えて回避させたり援護。
荒っぽいけど命第一、幻覚より今迫る危機のが大事!
距離を詰め銛の間合いに入ったら全力で投擲。
それと同時空シャチ達に一気に攻めさせ空に弾き玩具にしたり食い散らかしたり。
邪悪の末路に相応しい感じにね?

※アドリブ絡み等お任せ


国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです

ユーベルコヲド、苦集滅道リヰンカネイシヨン。

ヨナ、最大船速、きこやん、物理防御結界を前方に集中。
わざと穴があるように見せておくこと。これが今回のポイントだね。

精神攻撃が来たらそのまま反射して吹き飛ばす!

雲海で阻止しようとしたら、前方の結界陣を斜面にして急上昇!
砲撃とレーザー、自動射撃、全火力をお見舞いしよう!

相手が思い通りに動いてる時こそ、相手の思い通りに動かされてる……高くついたけど、良い勉強になっただろう?

そのまま堕ちていきなよ。



●大空を制す大海の猛者たち。

「ヨナ、最大船速。きこやん、物理防御結界を前方に集中」

 先陣に続くように青空を進むのは、空飛ぶ鯨を意匠した20m級のスカイクルーザー。
 ソラクヂラ型航空巡航艇『ヨナ』を操縦するのは、天才発明家にして特級パーラーメイド。
 国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)である。
 先行して交戦した猟兵たちによって手傷を負った『躯の道化師』オペレッタへと接近していく。

「わざと穴があるように見せておくこと。これが今回のポイントだね。
 こんな奴には容赦はしないからね」

 普段は鈴鹿の身体に宿り狐耳と尻尾になって共にいる稲荷狐『きこやん』が、『ヨナ』の前方に物理防御耐性の結界を展開してガードを固めて、正面から向かって来るオペレッタが操る拒絶の雲海を防ぎ、距離を詰めて行く。
 そして、鈴鹿と戦列を並べて進む複数のシャチがいた。

「うわー性格悪いなー。何とかに刃物、道化師に雲海生成能力?」

 シャチたちの上にいるのは、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)。
 温厚的で紳士的に見える、力加減は不得手なパワーファイターの精霊術師だ。
 ヴィクトルが従えているシャチたちは、《空泳ぎたちの狂宴(スカイ・オルカ)》によって召喚された戦闘用の空中を泳ぐ空のシャチである。

「勇士達嬲り殺しは絶対嫌だし、邪悪退治頑張ろっか。
 海ばかりと思ってたら痛い目見るよ」

 シャチたちの尾ビレの腹側には数字の刻印があり、合体すると数字が合計され、数が大きくなるほど強くなる性質を持っている。
 召喚した126体を20体ずつ合体させて、20の数字を刻まれた6体のシャチを引き連れて、ヴィクトルはそのうちの一体の背に乗っていた。
 余った6体は、飛空艇艦隊に随伴させているようだ。

 ヴィクトルと空シャチの集団は、鈴鹿の『ヨナ』や飛空艇艦隊と共に陣形を組み、オペレッタへと向かって進んでいく。

「俺たちは回り込んで、けん制するよ」
「オッケー! ぼくは……奴のユーベルコードを跳ね返す!」

 鈴鹿が煌めく笑顔と後光を光らせ、勢いよくオペレッタに向かって行く。
 互いに顔が認識できる距離まで近づいて、オペレッタが笑みを浮かべる。

「次は……後光差す娘にシャチのキマイラか!
 面白い、果たしてどんな|恐怖体験《トラウマ》を持っているのだろう!
 ……開演、『恒久喜劇』!」

 オペレッタが展開する、《舞台脚本『恒久喜劇』(エテルノ・トラジェディア)》。
 それは、オペレッタの攻撃が命中した対象に精神を侵蝕する呪詛刻印を付与し、攻撃範囲内に対象がいる間、本人のトラウマを刺激する幻覚と幻聴による追加攻撃を与え続ける精神攻撃系ユーベルコードだ。
 数多くの戦い、数多くの悲劇を見て来た猟兵には、酷な術であろう。
 だが、それはまかり通らない。
 ジヰニアスなハイカラさんが通さない。

「世界に満ちる、艱難辛苦を祓う時! ぼくの光は全てを糺す!
 《苦集滅道リヰンカネイシヨン(ニルバーナ・リベレヰション)》!」

 鈴鹿が放つ眩い後光が、『ヨナ』と勇士たち、ヴィクトルと空シャチたちを包み込む。
 光の届く味方が状態異常や行動制限を受けた時、自動的にその悪影響を放った対象へと置換し、その効果を反射するカウンターユーベルコードだ!
 オペレッタの放った呪詛刻印が、そっくりそのままオペレッタへと跳ね返されていく。
 攻撃対象が多かった分、倍々に増幅された|恐怖の幻影《トラウマ》がオペレッタに降りかかる。

「む……! 驚いた、な……! まさか、オレの術を……!
 いい、実にいいね! 面白い!」
「キミに褒められても全然嬉しくないよ!」

 自分自身の術が精神を苛ませているだろうに、オペレッタは愉快そうに笑い続けて拒絶の雲海を放つ。
 歪な精神を持つオブリビオンは精神ダメージを感受したまま、雲海を操作して鈴鹿の後ろを行くシャチや飛空艇艦隊を飲み込もうと画策する。
 鈴鹿のユーベルコードがオペレッタのユーベルコードを反射しているならば、雲海を防ぐことはできないだろうという判断だ。

「さあ、どうする少女よ! 身を挺して庇うかい、それとも見捨てるかい!」
「どっちも必要ないよ! ……後ろにはヴィクトルがいるからね!」

 だが、その目論見はヴィクトルに阻まれる。
 ヴィクトルの多重詠唱により、大量に発生した風魔法で気流を操って空シャチたちや飛空艇艦隊の機動力と回避性能を支援する。
 風に乗ったシャチと船は、雲海に触れることなく華麗に滑空する。

「荒っぽいけど人命第一、幻覚より今迫る危機のが大事!」
「は!? あのシャチ……! その図体で、魔術師だというのか!?」

 ヴィクトルは的を絞らせないように空シャチたちを速やかに散開させ、オペレッタの左右から背後へと回り込んでいく。
 そして鈴鹿は、『ヨナ』の前方の結界陣を斜めにして、ヴィクトルの創り出した気流を利用して一気に急上昇する。
 オペレッタの頭上を取る形となった。

「くっ……! オレが、後ろを狙うことを読んでいたのか……!」
「相手が思い通りに動いてる時こそ、相手の思い通りに動かされてる……。
 高くついたけど、良い勉強になっただろう?」

 見下ろす鈴鹿は自信に満ち溢れた笑顔を浮かべ、照準をオペレッタに合わせる。
 全方位を囲まれたオペレッタに逃げ場はなく、雲海で身を護ることもできない。
 鈴鹿が『ヨナ』の有するありったけの砲撃とレーザー射撃の全力火力を、眼下のオペレッタに放つ。
 制圧射撃に身動きを封じられ、次々に貫かれていくオペレッタ。

「くっ、ぐおおおお!!」

 同時に、強化された6体の空シャチたちが一気に攻めにかかる。
 飛空艇と勇士たちが艦載砲を放ち、ヴィクトルが銛を投擲する。
 集中砲火により、オペレッタに痛烈な打撃を叩き込んだ。

「効いてる、効いてるぞー!」
「この勢いで叩きのめそうか。邪悪の末路に相応しい感じにね?」
「そのまま堕ちていきなよ、道化師」
「くぅ! 何と甘美な殺意か……! だが、このまま死ぬのは、もったいない……!」

 胴体の脇腹を銛で抉られ、オペレッタは苦痛に喘ぎながら、急降下していく。
 濃い雲海に阻まれ追撃はできなかったが、痛烈なダメージは与えられただろう。
 鈴鹿とヴィクトルは深追いは避け、攻撃を終えた飛空艇艦隊を警護しながら戦線から引きあげていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スキアファール・イリャルギ
さてどうするか…ん?
しょーちゃんさん?
(任せろーと言いたげなジンベエさん
…なるほど

勇士の皆さん、しょーちゃんさんが敵にビームを撃ちます
ビームの勢いで雲海もそれなりに散らせると思うので
援護射撃をお願いします
…何言ってんだって顔はやめてください
私も何言ってんだって思ってます

UC効果で飛翔するしょーちゃんさんに騎乗し
あえて存在感を放ち敵の標的をこちらに向かせる
万一に備え破魔の力を載せたオーラの防壁でしょーちゃんさんを護衛

あー、何か言いました?
今しょーちゃんさんとの出会いのことを思い出しててね
敵を呪瘡包帯でうるさい口を即刻縛って
魔術とやらも包帯を伝って流す呪詛で邪魔してやりましょう

ヨシ、皆さん今です!


レイシャン・ラディスティ
んんー、なんだか嫌なかたですねー
壊すだなんてー…しょうもないことに勤勉で、本当にしょうもないかたですー
わたしたちは壊されるのは嫌なのでー、ひとりで勝手に壊れててくださいー

常にサーちゃん(アイスサーペント)に騎乗ですー
【雪と氷、優しく荒れて】を使いますねー
これで勇士の皆さんを加速、拒絶の雲海と人工魔獣を減速
さーちあんどですとろいあんどあうぇい?でさくさくいっちゃいましょうー

サーちゃんの氷属性ブレスで援護もしますよー
あ、この凍った人工魔獣の氷像、綺麗じゃないですか?壊したくないですか?
ってきいてみますー
標的が逸れたらありがたいかもですし、乗ってくれなくてもだめもとなので残念ではないですー



●甚兵衛鮫と氷海龍の輪舞。

「破壊衝動と嗜虐志向の持ち主、ですか」
「んんー、なんだか嫌なかたですねー。
 壊すだなんてー……しょうもないことに勤勉で、本当にしょうもないかたですー」
「まったくもって同意です。さてどうするか……ん?」

 通称"影人間"とも呼び称される怪奇人間、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は飛空艇艦隊の船に乗り込んでいた。
 その飛空艇の隣では、|氷海龍《アイスサーペント》の『サーちゃん』に乗る極寒の海で生まれ育った人魚系深海人、レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)が佇んでいる。
 二人が肩を並べて眼前の雲海に潜むオブリビオン『躯の道化師』オペレッタへの対処法を検討していると、随伴しているもう一つ大きな存在がスキアファールに視線を向ける。

「しょーちゃんさん?」
「……」
「どうされましたか?」

 25m級の超大型ジンベイザメ『しょーちゃん』が、スキアファールに任せろーと言いたげな視線を向けてくる。
 飛空艇と並行して空を飛べるのは、ユーベルコード《試されるウペッカー(ツッコミハヤボダヨ)》による効果だ。
 126体の浮遊生物を召喚し、食べることで『しょーちゃん』はあらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を獲得するのである。
 なので、ジンベイザメが空を飛んでいても問題はない。メガリスも食べていることだし。

「……なるほど。そういうことなら」

 スキアファールは、飛空艇を操縦している勇士に向き直って頭を下げる。

「勇士の皆さん、しょーちゃんさんが敵にビームを撃ちます。
 ビームの勢いで雲海もそれなりに散らせると思うので、援護射撃をお願いします」
「えっ」

 ジンベイザメがビームを撃つことに、何故か勇士たちは困惑しているようだ。
 《試されるウペッカー》によって浮遊生物を食べた『しょーちゃん』は、当然レーザー射撃技能をレベル×10、すなわち1260レベルで所持しているのだ。
 たぶん体内のメガリスが何か反応するのであろう。
 よくわからないが、なにも不思議ではない。

「……何言ってんだって顔はやめてください。私も何言ってんだって思ってます。
 でも、信じてください。……お願いします」
「いいぜ」「わかった」「了解!」

 勇士たちは困惑しつつも、スキアファールの頼みを快諾した。
 『しょーちゃん』のビームの出力が足りなければ、拒絶の雲海を散らすことができずに飛空艇が吞み込まれるかもしれない。
 そんなリスクを考える素振りも見せず、勇士たちは船を動かす。

「猟兵さんがそう言うんなら、言うとおりにするさ!」
「アンタたちは信じられる、実績があるからな! 頼んだぜ!」
「……ああ……心の平穏を試されてる気がします。
 けど……信頼されたのなら、応えなければなりませんね」

 勇士たちの信頼を受けて、スキアファールは息を飲んだ。
 彼らの命を、『しょーちゃん』が……スキアファールが預かったのだ。
 スキアファールが『しょーちゃん』の背に騎乗したのを見つめ、レイシャンが微笑みかける。

「ふふ、勇士の皆さん、みんないい人ですね。それではわたしも。
 それー、びゅおー」
「お、おお!?」「嵐が……いや、涼風か……!」

 レイシャンはユーベルコード《雪と氷、優しく荒れて(グラキエス・インペトゥス・ウェンティー)》を起動する。
 およそ122m半径内を吹き荒れる氷雪嵐で覆い、範囲内のあらゆる物質を涼やかな氷雪の追い風で加速するか、もしくは凍てつく氷雪の逆風で減速できる。
 拒絶の雲海の接近を減速させ、勇士たちと『しょーちゃん』『サーちゃん』の動きを加速させる。
 レイシャンが戦場をコントロールする。

「スキアファールさん、飛空艇はわたしも守ります。
 安心して、行きましょうー」
「レイシャンさん……ええ、行きましょう」

 レイシャンの後押しを受けて、スキアファールは存在感を放つ。

 相手を揺さぶり、相手の壊れていく様が見たいという悪意を籠めて、意志や感情などの心の構成要素を攻撃する魔術系ユーベルコード《純然たる悪意(マリス)》と、
 オペレッタが綺麗だから壊したいという破壊衝動を感じることで召喚される、人体の皮や部位を継ぎ合わせた数十体の人工魔獣《継ぎ接ぎの道化共(フリッケライ・ピュップフェン)》から飛空艇の勇士たち守るために、『しょーちゃん』と自分自身に意識を向けさせるべく、オーラを放出させて進む。
 破魔の力を載せたオーラの防壁で『しょーちゃん』を守り、スキアファールはオペレッタの相手をするべく正面から向かって行く。

「オペレッタ。あなたの相手はこの私ですよ」
「ほう、君は……人間じゃないな? 人の姿をして、人に紛れて、楽しいかい?」

 ニヤリと嗤うオペレッタが、スキアファールを揺さぶろうと妖言を繰り出す。
 だが、それくらいの言葉では、スキアファールには傷つかない。
 呪詛耐性を有する『黒包帯』を身に着けて、スキアファールは心地良い思い出を反芻する。

「ふふ……あー、何か言いました?
 今しょーちゃんさんとの出会いのことを思い出しててね」
「……強がりを。ならその思い出を壊してやろう!」

 『しょーちゃん』を破壊しようと、オペレッタが召喚した《継ぎ接ぎの道化共》を差し向けた、その時。
 拒絶の雲海を潜り抜け、追い風で急加速してきたレイシャンと『サーちゃん』が割り込んだ。

「はーい、サーちゃんも氷属性のブレスで援護しますよー」
「なっ」

 『サーちゃん』の氷属性のブレスが、人工魔獣たちを氷像へと変えていく。
 飛べなくなった魔獣たちはそのまま眼下の雲海へと落ちて行く。

「あ、この凍った人工魔獣の氷像、綺麗じゃないですか? 壊したくないですか?」
「オレの芸術品を台無しにしておいて! なかなか良いセンスしているじゃないか!」
「えっ、喜ぶんですか……こわいですねー」

 オペレッタの魔術の餌食にならないよう、レイシャンは『サーちゃん』のブレスでけん制しながら凍てつく氷雪の逆風で拒絶の雲海の動きを鈍らせていく。
 速度が落ちた雲海を、『しょーちゃん』が極太のレーザービームで散らしていく。
 オペレッタの身を護るものが、なくなっていく。
 そこへ、スキアファールとレイシャンを信じて進んで来た飛空艇が合流する。

「待たせたな、猟兵さん!」「快適な運航をありがとよ!」
「ヨシ、皆さん今です!」
「ははっ、有象無象をよくもまあ……そこまで信頼できるもんだ」
「うるさいですね、その口縛って差し上げましょうか」
「わたしたちは壊されるのは嫌なのでー、ひとりで勝手に壊れててくださいー」

 砲撃に巻き込まれないようにオペレッタから離れる『しょーちゃん』と『サーちゃん』。
 その傍を通り過ぎる際に、スキアファールはオペレッタの顔にめがけて『黒包帯』を放った。
 念じれば一瞬で全て解け、一瞬で全て巻き付くそれがオペレッタの顔に巻き付き、包帯を伝って流し込まれる呪詛により魔術の行使を阻害する。
 無防備となったオペレッタに、飛空艇艦隊の砲撃が叩き込まれる。

「う、ぐっ……! この、この程度じゃ……まだ、満足できやしない……!」

 勇士たちの攻撃は、オペレッタに十分なダメージを与えることに成功した。
 あとは、飛空艇艦隊の被害を出さないように立ち回り、続く猟兵たちの手でオブリビオンが退治される様子を見届けるだけだ。
 強烈な打撃を与え、ふらつくオペレッタを見下ろしながら、スキアファールとレイシャンは飛空艇に合流して撤退を開始するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…どのようにして『拒絶の雲海』を操っているのか分からないけど、
どうやら一度に戦場全ての雲海を操作できる訳では無いみたいね

…それならそれで、やりようはある
派手な術だから、あまり好みでは無いけど…敵が対処する前に船ごと接近するわ

全身を「影精霊装」のオーラで防御して陽光を遮りUCを発動
吸血鬼化して増幅した血の魔力を溜めて全長18mの竜体変化する肉体改造術式を施し、
最高速度マッハ11の推進力と竜の怪力を頼りに猟兵達が同乗する飛空艇を後ろから押して加速し、
敵の攻撃は生命力を吸収する呪詛のブレスを乱れ撃ちする闇属性攻撃のカウンターで迎撃する

…振り落とされないように、しっかり掴まっていて。加減は効かないから


尾守・夜野
(あー手前の命なんざ面白さの前には…っての理解しちまうんだが
他人は巻き込まんよ…俺だとトラウマが…)
「んじゃ任せたわ別の俺」
「別にいいが後で文句垂れんなよ別の俺様」
ってぇわけで破壊大好きな俺様が出張るぜ
手前の船を動かすが足らんからUCで手数増やす
元より俺様一人だし足元の床以外の床を植物にし武装を操作

黒いし昼間は目立つだろうが小回り効くしUCでエンジン以外部変形して無理やり避ける
中央に穴開こうがUC切れば戻るし問題ねぇよ
派手に暴れりゃ他の奴らも暴れやすいんでね?
「ざぁんねん俺様の中の何人かがおっ死んでも別に関係ぇねぇんだよ
その歪んだ顔が見たかった」

雲海ぎりぎりチキンレース上等鉄砲玉マインドでゴー



●黒船と紅竜の協奏曲。

「……どのようにして『拒絶の雲海』を操っているのか分からないけど。
 どうやら一度に戦場全ての雲海を操作できる訳では無いみたいね」

 視線の先、遠くで拒絶の雲海を操っているオブリビオンを見つめて、全身を陽光を遮断する物質化した闇で編まれた精霊衣『影精霊装』のオーラで保護した、ダンピールの少女、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は大型の飛空艇の上で思案していた。

「派手な術だから、あまり好みでは無いけど……。
 ……限定解放。真紅の鱗、鮮血の躯体、悪しき光を羽撃かせ―――」

 この大空という戦場に適した術を施すべく、リーヴァルディは詠唱を紡ぐ。
 彼女が準備をしている間に、独自に飛空艇を持ち込んで同道している猟兵が頭を掻いて思考を巡らせていた。

「(あー……手前の命なんざ面白さの前には……っての理解しちまうんだが。
 他人は巻き込まんよ……俺だとトラウマが……) よし。
 んじゃ任せたわ別の俺」
「別にいいが後で文句垂れんなよ別の俺様」

 多重人格者のグールドライバーである尾守・夜野(|墓守《うせものさがし》・f05352)は、基本となる『俺』とは別に数多の人格を内包している。
 そのうちの一つ、破壊衝動の塊である『俺様』が『躯の道化師』オペレッタへの対応するために表層に意識を浮上させた。
 黒塗装されている夜戦特化の一人用飛空艇『黒船』の上で、夜野は獰猛な笑みを浮かべた。

「ってぇわけで思いっきり暴れるか。
 黒いし昼間は目立つだろうが、小回り効くし何とかなるだろ。
 まずは、手前の船を動かすが足らんから……手数を増やす」

 夜野が船にユーベルコードを走らせる。
 それは、半径129m以内の無機物を同じ特性を持つ植物に変換するユーベルコード。
 《【襲】穫祭(ハーヴェスト)》である!

 鉄なら頑丈な植物に、黒い船なら漆黒の植物に変換される《【襲】穫祭》により、夜野が立つ『黒船』の足元の床以外のすべてを植物に変えていく。
 積んである大量の武装に絡みつき、植物が操舵と砲雷撃を担う形になった。

「派手に行こうか! それじゃ、俺様が先に行くぜっ!」

 準備を終えた夜野はリーヴァルディに一声かけて、突進を開始する。
 正面から突進してくる蠢く『黒船』を見つめ、そこに乗る夜野の目を見たオペレッタが、喜色満面の笑みを浮かべて相対する。

「お前が刈り取られるんだよ! さぁ! 収穫祭の始まりだ!」
「ああ、わかるとも、キミは同胞だ! 思う存分、壊し合おう」

 オペレッタが相手の壊れていく様が見たいという悪意を籠めた精神干渉の魔術攻撃《純然たる悪意(マリス)》を放つ。
 肉体を傷つけずに対象の意志や感情などの心の構成要素のみを攻撃する精神攻撃は本来飛空艇には影響のないものだが、《【襲】穫祭》で植物となった『黒船』には支障をきたす。
 夜野は、オペレッタの放つ魔術攻撃を『黒船』が無理矢理に変形して避けていく。
 エンジン部分さえ無事ならば、植物と化した『黒船』は落ちることはない。
 縦横無尽に変形し、中央に穴が開こうとも元に戻っていく。

「だが……キミの防護がおざなりだぞ!」
「いってっ」

 『黒船』を守るために、避け切れなかった夜野の身に《純然たる悪意》が突き刺さる。
 精神を傷つける悪意が夜野の心に入り込み……だが、夜野は眉一つ揺らぐことなく航空戦を続行する。

「な……!? たしかに当たったはずだ!
 たとえ耐えられるとしても、微塵も揺らがないなどあり得るはずがない!」
「ははっ! ざぁんねん!
 俺様の中の何人かがおっ死んでも別に関係ぇねぇんだよ。
 ああ、お前のその歪んだ顔が見たかった!」

 オペレッタの攻撃は夜野に通用しない。だが、夜野は『黒船』の操縦で手いっぱいだ。
 《【襲】穫祭》の植物たちが船の武装を操って攻撃を繰り出すも、雲海に阻まれ手傷を負わせるには及ばない。
 互いに決定打に至れない、千日手となる状況。
 だが、この状況は夜野の狙い通りだった。

「なかなか、しぶとい……! そろそろ屈したらどうだ……!」
「んー、やっぱ手が足りねぇか……ま、これでいい。
 派手に暴れりゃ、あいつらも暴れやすいんでね?」
「なに……?」
「―――現れ出でよ血の魔竜」

 後方にいた大型飛空艇が、突如出現した一騎の竜によって、戦列を押し上げてくる。
 最高速度マッハ11の推進力と竜の怪力を頼りに、強引に戦線へと火力を補充してきた。
 経験したことのない急加速に、勇士たちもたまらず悲鳴を上げている。

「うわぁあぁあわわあああ!?」
「……振り落とされないように、しっかり掴まっていて。加減は効かないから」
「はいぃぃぃいいいいぃぃ!!」

 オペレッタは夜野への攻撃に夢中になっていたため、接近する飛空艇とそれを物理的に押している竜に気づかなかった。
 気づいた時には、すぐ目の前に竜が……リーヴァルディがいた。
 リーヴァルディは、竜体変化の魔法《限定解放・血の魔竜(リミテッド・ブラッドドラゴン)》によって全長18mの血色の魔力の光翼を持つ真紅の魔竜に変身して、飛空艇を連れて戦線に突入してきたのだ!

「こいつは、驚いた! 日蝕帝国のドラグナー……では、ないな、|猟兵《イェーガー》か!」
「……一緒にされるのは心外よ。さあ……行くわよ」
「ははは……! 良い、実に美しい!
 いいな、これほどならば、たっぷり楽しめる!
 来い、《継ぎ接ぎの道化共(フリッケライ・ピュップフェン)》!
 全戦力を尽くして、あの美しい竜を食い破れ!」

 オペレッタが綺麗だから壊したいという破壊衝動を感じると召喚される、数十体の人工魔獣。
 人体の皮や部位を継ぎ合わせた《継ぎ接ぎの道化共(フリッケライ・ピュップフェン)》たちが、破壊衝動を与えた対象を追跡して攻撃を行う。
 すなわち、強大なパワーを持つ真紅の魔竜リーヴァルディを対象として、醜悪な様相の人工魔獣たちが爪牙を伸ばして殺到する。

「……そちらから来てくれるのね……好都合よ」

 小さく呟き、飛空艇から離れるリーヴァルディが人工魔獣を引き付ける。
 速度を抑えて飛翔し、あえて追いやすく《継ぎ接ぎの道化共》を引き寄せ集めていく。
 そして、高度を稼ぎ人工魔獣たちが直線に並んだタイミングを見計らって、リーヴァルディは反転して大きく口を開く。
 そこから放たれるのは、吸血鬼化した魔力を用いる事により生命力を吸収する呪詛のブレス。
 乱れ撃ちする闇属性の竜の息吹が、断末魔諸共人工魔獣たちを飲み込み、この世から消し去っていく。

「ハハハッ! 何という破壊の力か! 見事だ、何としてでも壊したい……!」
「リーヴァルディにばっかり夢中になって、まぁ。
 俺様のことをもう忘れちまったのか、寂しいぜ!」
「っ!?」

 人工魔獣を召喚してリーヴァルディを襲わせ、その攻防に意識を持っていかれたオペレッタ。
 それはすなわち、夜野と繰り広げていた一進一退の攻防に大きな隙が生じることとなる。
 リーヴァルディが連れて来た飛空艇の砲門も、オペレッタに照準を合わせている。

「落ちろ、仮面野郎!」
「全砲門、一斉発射! 撃てー!」

 広がった雲海をぎりぎりで潜り抜け、大型飛空艇の放つ砲弾を背に聞きながら、チキンレース上等の鉄砲玉マインドで夜野がオペレッタに接近する。
 至近距離から浴びせかけた『黒船』の武装がオペレッタを叩きのめし、急速離脱する。
 夜野と『黒船』を巻き込まないベストなタイミングで撃ち込まれた飛空艇の砲撃が、オペレッタを包み込んだ。

「どうだ、思う存分暴れただろう?」
「ん……どうやら、有効打を与えられたみたいね」
「は―――ははははは! ああ、愉快だ!
 それほどの破壊、それだけの美しさ、必ずキミを砕いてみせる!」

 硝煙が晴れると、オペレッタは笑いながら雲海の中に身を隠して離れていく。
 命を費やしてでもリーヴァルディを破壊しようという衝動は、リーヴァルディのブレスによってすべての人工魔獣を失いながらも健在のようだが、この場において劣勢のまま無理に戦いを続けるつもりはない。
 離脱していくオペレッタの捨て台詞を、夜野とリーヴァルディは切り捨てる。

「はっ。今ここでできないことが次にできる訳ねーだろ」
「……お前は、私が手を下すまでもないわ。
 ……因縁のあるあの人たちが、ここに来ているもの」

 遠くに存在する既知の猟兵の気配を感じ取り、リーヴァルディは魔竜の姿を解いて飛空艇へと戻っていく。
 宿業を果たすのは、彼らの役目であると信じているために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
友達のノア(f30572)と一緒に戦いに参加するね
ミフェットは乗機がないからノアのキャバリア《ガンド》に相乗りさせてもらうよ
最初に会った時から何度も乗せてもらって、もうなれっこ!

髪の先を端子に変えてガンドに接続、[情報収集・操縦]の技術で、雲海の流れを読むノアのサポートをしながら
[ハッキング]の技術を応用して飛空艇艦隊のみんなと通信をつなげるよ

UC【田園を照らす暖かな陽の光の歌】
敵のUCに合わせて、通信網を借りてみんなに歌声を届けるね
雲海に遮られない強い光でみんなを照らすよ
飛空艇が失いたくない居場所なら、それがみんなを守ってくれるはず

もちろん他の猟兵たちとの連携も大歓迎!アドリブで頑張るね


ノア・クレムリィ
 ミフェット殿(f09867)との共同戦線です。
 人の心を弄ぶ道化師に、この世界を渡すわけにはいきません。サポートは任せました。共に行きましょう、ミフェット。

 【UC:アドバンテージ・アンサー】(WIZ)を発動。気流や飛空艇の動きに加え、雲海の流れや道化師の振舞から、最適な攻撃ルートを〈戦闘知識〉〈瞬間思考力〉で導き出し、最大の火力を最高のタイミングで叩き込みます。爆雷の〈爆撃〉で雲を散らして道を拓き、〈弾幕〉を張って艦隊と共に攻撃です。

 守るべきものが、そして心強い|戦友《とも》がいるなら、私はどんな悪夢にでも立ち向かえます。道化師、お覚悟!

(愛機搭乗/アドリブ等々大歓迎)



●竜騎士と歌姫の交響曲。

「人の心を弄ぶ道化師に、この世界を渡すわけにはいきません。
 サポートは任せました。共に行きましょう、ミフェット」
「うん。ミフェットは乗機がないから、ノアの『ガンド』に相乗りさせてもらうよ。
 最初に会った時から何度も乗せてもらって、もうなれっこ!」

 スペースシップワールドにて兵器の実験体として捕獲されていたブラックタールの少女、ミフェット・マザーグース(造り物の歌声・f09867)と、
 非合法なアンサーヒューマン製造施設で生まれ、海賊として、殉じんとして、戦場を巡った騎士然とした淑女、ノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)。

 友誼を結んだ戦友である二人は、ノアの所有する量産型キャバリア、水陸の境界を駆けるというコンセプトを持つ親衛海軍工廠製 MCC-041 汎用装甲竜騎士『ガンド』に乗り込み、推力移動による空中戦へと突入していた。
 エネルギー出力を自動調整することで高燃費を実現した、親衛海軍工廠製飛行ユニット EP-080『航空機動戦機構』を装着したことで、『ガンド』は大空での戦闘を可能にしているのだ。

「ノア、見つけたよ! この先の雲の奥に隠れてる!」
「雲海に飲まれないよう、取り囲むようにして身を潜めていますか」

 ミフェットが髪の先を端子に変えて『ガンド』に接続している。
 こまかいお仕事ができる触手に変形させたミフェットの髪は、『機械に繋がるべんりなコネクタ』としても利用できるのだ。
 機械に接続してデータのやりとりする、ハッキング技術を応用して飛空艇艦隊の勇士たちと通信を繋げている。

 そして、『ガンド』と飛空艇たちの索敵・情報収集能力を合わせたことで、拒絶の雲海の中に身を隠しているオブリビオン『躯の道化師』オペレッタの姿を捉えた。
 ここに至るまで、数多くの猟兵たちと飛空艇艦隊の勇士たちによって、大打撃を与えている。
 もう一押し。その一助となるべく、ミフェットとノアは力を合わせて攻勢に出る。

「飛空艇艦隊のみんな、合図をするまでここで待っててね!」
「それでは、戦闘開始です!」

 ノアがアンサーヒューマンの有するユーベルコード《アドバンテージ・アンサー》を起動させる。
 ノアは気流や飛空艇の動きに加え、拒絶の雲海の流れや道化師の振る舞いから、最適な攻撃ルートを導き出す。
 蓄えてきた戦闘知識と瞬間思考能力は、決してオペレッタには劣らない!
 敵より戦術的に有利な地形にいるために、オペレッタに対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
 性能が飛躍的に向上した『ガンド』を操縦して、ノアは機敏な動きで雲海を避けてオペレッタに威嚇射撃を開始する。

「くっ、速い、上にデカいな……! そいつが噂の、キャバリアか……!
 そいつが雲海に包まれて壊れていったら……どうなるのだろうな!」

 邪な笑顔に満ちたオペレッタが、雲海の隙間から《純然たる悪意(マリス)》を放つ。
 相手の壊れていく様が見たいという、悪意を籠めた揺さぶりの言葉。
 精神干渉の魔術による一撃は相手の肉体を傷つけず、意志や感情などの心の構成要素のみを傷つける。
 少しでも長く相手を苦しめたいという、オペレッタの悪意を象徴する技だ。
 『ガンド』に、ひいては『ガンド』に搭乗しているノアとミフェットに、悪意が突き刺さる。

「そのような戯言、私たちには届きません!」

 だが、それは効果を為さない。
 通信網を通してミフェットの歌声が、……そして、拒絶の雲海でも遮られないほどの強い光が、飛空艇艦隊と『ガンド』を照らしている。

「目を閉じて ほんの少しだけ 思い出して
 胸のそこにしずんでる 暖かいばしょ
 その陽の光は いつでもみんなを照らしてる」
「オイ……なんだ、その光は……!」

 《田園を照らす暖かな陽の光の歌(デンエンヲテラスアタタカナヒカリノウタ)》。
 ミフェットの歌による共感の感情を与える事に成功した対象に、具現化させた心を癒やす風景のイメージから、高命中力の肉体の疲労と精神の摩耗を癒す光を飛ばすユーベルコードである。
 守るべき故郷を想う勇士たちの心とつながり、そして生じた心象風景から照らされる光が、《純然たる悪意》の精神ダメージを撥ね退けているのだ。

「守るべきものが、そして心強い|戦友《とも》がいるなら!
 私はどんな悪夢にでも立ち向かえます!」
「ふ、ふざけるな!
 こんな生温い明かりなんかで、オレの楽しみを邪魔するんじゃねぇ!
 オレは、もっと! 綺麗なものを踏み躙って、壊して、潰して……!」
「飛空艇が失いたくない居場所なら、それがみんなを守ってくれるはず。
 オペレッタには、そういう場所はなかったの?」
「っ!」

 一瞬の狼狽。
 オブリビオンとなる以前の、とある浮遊大陸の闇市で権勢を奮っていたかつての記憶。
 流れて来た美しい奴隷を虐げて、借金で落ちぶれた庶民を家族まとめて嬲り殺し、媚びへつらう商人や下級貴族と笑いながら団らんする栄光の日々。
 懐かしい思い出が、オペレッタの脳裏をよぎったのだ……。
 救いがたい。だが、隙が出来た。

「今だよ、みんな!」
「兵装展開、一斉射! 撃てーっ!」

 ミフェットの号令の下、飛空艇艦隊の砲撃が火を噴いた。
 ノアは、『ガンド』に取り付けている連邦国営造兵廠製の装備、連射力と取り回しに長けたRS-GMP27|汎用短機関銃《サブマシンガン》『メルビレイ』による弾幕を張り、複数の爆雷を括り付けた単純かつ使い勝手が良いRX-RGC300 対潜投擲爆雷『モーニングスター』を投擲する。
 銃弾に、砲弾に、爆雷が叩き込まれる。
 オペレッタの好む破壊が、オペレッタを飲み込んでいく

「ぐあああああ!!」
「やっちゃえ、みんなー!」
「道化師、お覚悟!」

 『ガンド』と飛空艇艦隊の一斉攻撃を浴びて、オペレッタは這う這うのていで雲海の中に潜り込み、再び逃走する。
 ミフェットのもたらす暖かな光から逃れようとするその顔には、かつての……以前から邪悪だったわ。

「ふぅ……私たちの役目は、ここまでですね。あとは、彼らに託しましょう」
「うん! みんな、ありがとう! お疲れ様ー!」

 雲海を操る能力が健在である以上、深追いをして飛空艇艦隊に被害が及ぶことは避けるべきだ。
 十分な戦果を上げられたと判断して、ノアとミフェットは通信越しに共に戦った勇士たちに労いの言葉をかける。
 このアルカディア・スカイゲートを守護しているオブリビオンは、残る猟兵たちの手によって間もなく撃破されるだろう。
 飛空艇の甲板に着艦した『ガンド』から降りたノアとミフェットは、集まった勇士たちの歓声に迎えられるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

地籠・凌牙
【双竜と白猫】アドリブ歓迎
――ついに見つけた。
いつ何時たりとて、忘れたことはねえ……!
もう誰にも俺たちみたいな想いはさせねえ為に、あんたたち飛空士の力が必要だ。
どうか俺たちに力を貸してくれ……!

まずはあいつの好きな展開にさせねえ為に、『穢れを喰らう黒き竜性』で全員から"弄ばれる不運"を産む"穢れ"を喰らい、
それを陵也に浄化してもらう。
飛空士には人一人二人乗せられる程度の小型艇を借りて、エインセルが引き付けてる間に奴に近づいてオーバーロードと同時に【指定UC】。
【貫通攻撃】と【グラップル】で捉え、こっちのフィールドに引きずり出す!
あとは陵也のUCを合図に一気に全員で畳み掛けるが、簡単に死にはしねえだろう。死ぬまでぶっ叩き続ける!

残していきやがったピエロの仮面を叩きつける。
てめえの言葉通りまた会いにきてやったぜ。
先生を……弟妹たちを……陵也の心を奪ったてめえのことを!多くの人を弄んだてめえを!!
例えてめえが死んだとしても俺は絶対許さねえ!!
人の生命とその心……両方を弄んだ報いを受けろッ!!!


地籠・陵也
【双竜と白猫】アドリブ歓迎
心を喰われた後でも、奴の顔は嫌でも覚えていたさ。
……正直に言うと怖い。また誰かを奪われるんじゃないかと足が竦む。
でも――だからこそ、ここで終わらせないといけない。
もう誰も失いたくない、だからみんなの力であいつを倒すんだ!

凌牙が喰らった"穢れ"を『穢れを清める白き竜性』で極限まで【浄化】する。
ここにいる全員に【高速/多重詠唱】で【結界術】と【オーラ防御】、【継戦能力】と【狂気耐性】を高める強化(【肉体改造】)術式を施す。

エインセルが覚悟を決めているんなら、俺たちはそれを尊重するよ。
大丈夫だ、何せあらゆる不運を覆す【幸運】があるんだから。
みんなの守りは任せたぞ。

凌牙と一緒に小型艇に乗る。
途中で気取られる"不運"は俺が浄化して極限まで死角から迫り、
凌牙が捉えたところでオーバーロード。
【指定UC】と【破魔】の【全力魔法】で追撃、さらに【レーザー射撃】で畳み掛ける!

これでもう逃げられねえぞ!
先生の……真麻の……ちびたちの仇!!
何が何でも絶対にここでてめえはぶっ倒すッ!!


エインセル・ティアシュピス
【双竜と白猫】アドリブ歓迎
あのオブリビオンは、こどもをきずつけるのがすきなんだよね?
じゃあ、ぼくがまえにでたら、こっちにむちゅーになるよね?
ぼくがてきさんのこうげきをふせいでひくうしさんたちをまもるから、りょーやとりょーがはいっぱいいーっぱいこうげきしてほしいにゃーん!
ぜったいにあいつをたおさにゃいとだもん!
ぼくでできることをせーいっぱいがんばるよ!

【式神使い】でにゃんげいざーをよぶよ!
ひくうていのまんまえにたって、【指定UC】でにゃんげいざーをぴかーってさせてこうげきはぜんぶこっちに【おびき寄せ】て、【全力魔法】で【結界術】をつかってぼうぎょするの!
ぼくたちがまんまえにいればひくうしさんたちはみんな【かばう】ことができるし、わるいまぼろしはぼくが【浄化】するよ!


ぼくすっごくおこってるよ!
りょーやがずっとゆめのなかでもつらいつらいって、ないてたもん!
りょーがもずっと、おもいだすたびにつらそうにしてたんだもん!
だいすきなふたりにつらいおもいさせたの、ぜーーーったいゆるさないんだからー!!



●双竜と白猫と勇士たち。

 アルカディア・スカイゲートを守護しているオブリビオン『躯の道化師』オペレッタは、猟兵たちの度重なる攻撃により疲弊していた。
 伴っていた《|継ぎ接ぎの道化共《フリッケライ・ピュップフェン》》はすべて破壊され、その身と『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を操る能力のみで蒼穹を漂っていた。
 それでも、その顔に浮かぶのは焦燥感や屈辱感ではなく……愉悦と余裕。
 武力ではなく、口先による翻弄と精神を侵食する魔術によって惨劇を撒き散らすオペレッタは、多少の負傷は気に留めない。

 その脳裏はただ、自分自身をここまで追い詰める猟兵たちの力を打ち破り、連携して展開する|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士の心を踏み躙り、それらすべてを破壊することを想像している。
 負けることも、死ぬことも恐れず、拒絶の雲海を手繰りながら笑って空に立っている。

「ははは……ああ、いい、実にいい! 血沸き肉躍る、まさに|謝肉祭《カーニバル》だ!
 オレが死ぬのが先か、飛空艇艦隊を落とすのが先か、それとも猟兵、お前たちが果てるのが先か!
 面白くなってきたじゃないか! はははははは!」

 そして。
 高らかに笑うオペレッタの姿を、飛空艇に同乗する三人の猟兵が睨みつける。
 宿業の糸が今、引き寄せ合ったのだ。 

「―――ついに見つけた」

 黒燐蟲使いのドラゴニアン、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は雲海を操る道化師の顔睨みつけ、奥歯を噛み締めた。
 いつ何時たりとて忘れたことはない。
 家族を皆殺しにし、そして双子の兄の心を食ったオブリビオン。
 大事な者を奪われた力なき人々の無念と怒りが、凌牙を猟兵へと覚醒させたのだ。
 その復讐の対象、『躯の道化師』オペレッタを、ようやく捉えることができたのだ。

「心を喰われた後でも、奴の顔は嫌でも覚えていたさ。
 ……正直に言うと怖い。また誰かを奪われるんじゃないかと足が竦む」

 凌牙の兄、白燐蟲使いのドラゴニアンである地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は、オペレッタに心を食われ、"喪失"に対する"恐怖"だけが残されていた。
 その恐怖を誰にも味わわせたくないという優しい思いが、陵也を猟兵へと覚醒させた切っ掛けとなったが……。
 家族を奪ったオペレッタを、赦すことは絶対にない。

「でも―――だからこそ、ここで終わらせないといけない。
 もう誰も失いたくない、だからみんなの力であいつを倒すんだ!」
「ああ……! ……みんな、聞いてくれ!」

 決意を込めた陵也の顔に、凌牙が勢い良く頷く。
 そして二人は揃って飛空艇艦隊の勇士たちに向き直る。
 その双眸には、一片の曇りはない。
 恐れは有れども、この期に及んで迷いなどは在りはしない。

「もう誰にも俺たちみたいな想いはさせねえ為に、あんたたち飛空士の力が必要だ。
 みんな、どうか俺たちに力を貸してくれ……!」

「ああ! 勿論だ、猟兵の兄ちゃん! 任せとけ!」
「俺たちであの仮面野郎をぶっ飛ばしてやろうぜ!」

 勇士たちは、地籠兄弟の信念のこもった眼差しを見て、躊躇うことなく頷く。
 決戦を前に拳を突き合わせ、気合を込めた猟兵と勇士が戦闘準備に入るその時。
 同行していた可愛らしい|人の姿になった子猫《守護神霊》が手を上げる。

「あのオブリビオンは、こどもをきずつけるのがすきなんだよね?
 じゃあ、ぼくがまえにでたら、こっちにむちゅーになるよね?」

 凌牙と陵也に拾われ、可愛がられながら共い戦っていくうちにグリモア猟兵として覚醒した、小さな少年。
 エインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)はふんすと意気込み、囮になることを提案した。

「な、エインセル、それは……!」
「……エインセルが覚悟を決めているんなら、俺たちはそれを尊重するよ。
 大丈夫だ、何せあらゆる不運を覆す【幸運】があるんだから」
「うん! ぼくがてきさんのこうげきをふせいでひくうしさんたちをまもるから、りょーやとりょーがはいっぱいいーっぱいこうげきしてほしいにゃーん!」

 その発案に一瞬凌牙が面喰うも、陵也はエインセルの眼を見て、その意気を汲みとる。
 エインセルは、守られるだけの子どもではない。
 『書架の王』に敗れた凌牙と陵也のやりとりを見て決意したあの日から、みんなを守る立派な猟兵の一人なのだ。

「……わかったぜ、エインセル! 囮役、任せた!」
「にゃーん! ぜったいにあいつをたおさにゃいとだもん!
 ぼくでできることをせーいっぱいがんばるよ!」
「ああ、頑張ろうな。みんなの守りは任せたぞ」

 固い絆で結ばれた地籠の家族が、飛空艇から飛び立つ。
 邪悪な魂を持つ道化師との決戦が、幕を開ける。


●頑張れ、僕らの希望の光!

 凌牙は自分自身の固有能力、不運や呪いの原因になる穢れを喰い自らの力にする『|穢れを喰らう黒き竜性《ファウルネシヴォア・ネグロドラゴン》』を発揮して一同全員の"弄ばれる不運"を産む"穢れ"を喰らった。
 オペレッタが相手を綺麗と思ったものを踏み躙り、弱い者を虐げることに悦楽を感じる邪悪な存在であることは誰よりもよく知っている。
 その毒牙が及ばないよう、その身に集約させていったのだ。

 そして、そのままでは凌牙が弄ばれることになるため、陵也が有する能力、不運や呪いの原因になる穢れを浄化する『|穢れを清める白き竜性《ピュリフィケイト・ブランシュドラゴン》』を用いて凌牙が喰らった"穢れ"を浄化する。
 互いの特徴を活かし合う双子の竜の御業によって、勇士たちは少なくともこの戦場に置いて、”不運”とは縁が無くなった。

「準備は終えた、行ってくる!」
「みんな、段取り通りに頼む」

 行ってこいと送り出す飛空士たちから借りた|小型飛空艇《ガンシップ》に乗り込み、凌牙と陵也は一緒に青空を駆けていく。
 エインセルがオペレッタを引き付けている間に回り込む作戦だ。
 飛び出した小型飛空艇がオペレッタの目につかないように。
 そして、飛空艇艦隊が拒絶の雲海に飲まれないように。
 エインセルが空中を浮遊して、真正面からオペレッタの前に立ちふさがる。

「ほう……小さく、綺麗で、愛くるしい猟兵だ。とても好ましいよ……。
 傷つけたら、どんな顔で泣くのか。どんな声で鳴くのか! 楽しみだ!」
「にゃーん……! ぼく、すっごくおこってるよ!
 りょーやがずっとゆめのなかでもつらいつらいって、ないてたもん!
 りょーがもずっと、おもいだすたびにつらそうにしてたんだもん!」

 エインセルはずっと凌牙と陵也を見て来た。共に過ごしてきた。
 凌牙の悔恨も、陵也の苦悩も、誰よりも知っている。
 だから、エインセルは大切な人たちを傷つけたオブリビオンに怒っているのだ。

「それはそれは……素晴らしいね! その苦しみを、見せてもらおうか!
 上演しろ、《舞台脚本『恒久喜劇』(エテルノ・トラジェディア)》!」

 オペレッタが、魔術攻撃をエインセルに向けて放つ。
 その攻撃は、命中すれば対象の精神を侵蝕する呪詛刻印を付与して、本人のトラウマを刺激する幻影による追加攻撃を与え続けるユーベルコードだ。
 幼いエインセルであっても、その心を侵されては平静ではいられない。
 だが、避けては後ろにいる飛空艇艦隊の勇士たちに被害が及ぶかもしれない。
 受け止めるしかない。
 ゆえに、エインセルは対抗する力を呼び起こす。

「いくよ、にゃんげいざー!」
『人々を苦しめる悪しき者、このニャンゲイザーが許さない!』

 オペレッタとエインセルの間に、古代魔法帝国時代の技術が使われている優しき意思を持つロボット……『鋼鉄猫帝ニャンゲイザー』を召喚する!
 立ち塞がった『ニャンゲイザー』がその巨体でエインセルを守り、《舞台脚本『恒久喜劇』》を引き受ける!
 そして『ニャンゲイザー』はロボットであるために、精神攻撃を受けても影響は軽微である! ダメージはあるようだが。

「は? 何だ、この、……なんだこいつは!?」
「にゃーん! ぼくたちでみんなをまもるよ!」
『このニャンゲイザーを倒さぬ限り、誰一人とて傷つけられると思うなよ!』

 《ニャンゲイザー・シャインヴァンガードモード》!
 眩く光り輝く『ニャンゲイザー』! 凄く目立つその輝きは敵の意識を自分に誘発させる効果がある!
 そのレベル、実に1150!
 オペレッタは、『ニャンゲイザー』に、そして『ニャンゲイザー』と共にいるエインセルに釘付けになった!
 そして、エインセルの放つ清らかな浄化の力が、オペレッタの悪意ある呪詛を打ち消していく。
 『ニャンゲイザー』はトラウマを刺激されずに済んだようだ。

「ぼくたちがまんまえにいればひくうしさんたちはみんなかばうことができるし、わるいまぼろしはぼくがじょーかするよ! がんばれ、ニャンゲイザー!」
『ニャンゲイザー、シャインヴァンガードモード!』
「眩しっ! くそ、こいつ目くらましか! 鬱陶しいな! この!」

 そして、エインセルが十分に時間を稼いだことで。
 凌牙と陵也がオペレッタの背後に回り込んだ。
 その距離は……二人のユーベルコードの射程範囲内だ。


●仇敵を討ち断つ刻!

 |超克の力《オーバーロード》。
 猟兵の埒外の力を発揮して、真の姿へと変貌する凌牙と陵也が宿敵へと迫る。

 オペレッタの死角から突進する小型飛空艇。
 そこから飛び出した凌牙が拳を握り、ユーベルコードを起動する。

「頼む! 俺に力を貸してくれッ!」
 
 《絆の力、今こそ巨悪を穿つ鉾と成れ(ワンフォーオール・オールフォーワン)》!
 射程距離半径125m内に存在する自分に気づいていない敵を、仲間との連携で攻撃する際にほぼ必ず狙った部位に命中する力!
 それ単体には火力はない。
 だが、誰よりも長く共に生きて来た|兄《陵也》との連携では、絶大な威力を発揮する!

 そして、攻撃の途中で気付かれるという"不運"を浄化しつつ、凌牙の攻撃に合わせて陵也もユーベルコードを起動する。

「“捉えた”ぜ……もう、俺達からは逃げられない! 一気に畳みかけるぞ!!」

 《絆の輝き、今こそ巨悪を屠る氷槍と成れ(リレイションシップ・ライク・ザ・ホワイトランス)》!
 攻撃が命中した対象に穢れを清める白き竜性を帯びた魔法陣を付与し、半径125m以内に対象がいる間、仲間との連携による追加攻撃を与え続ける力!
 白い魔法陣がオペレッタを縛り、氷の槍が矛先を向ける。
 これもまた……|弟《凌牙》との連携において、追加攻撃に強力な氷属性を付与していく!

 オペレッタの身を守るように蒼穹に蔓延っていた拒絶の雲海も、それに触れて呑まれるという"不運"は黒き竜に吸われ、白き竜により浄化されていく。
 拒絶の雲海は、"不運"にもオペレッタの制御から離れていった。
 オペレッタが攻撃に気づいた時には、《氷槍》に手足を貫かれ、その背に凌牙の拳が叩き込まれていた!

「かはっ―――!?」
「てめえの言葉通りまた会いにきてやったぜ!」

 オペレッタが振り返り、ユーベルコードを、揺さぶりの言葉により対象の意志や感情などの心の構成要素を破壊する《純然たる悪意(マリス)》を放とうとする。
 だが、肺の中の空気を吐き出させられたことで、一言を呟くことも叶わない。
 凌牙が容赦なく、その拳でオペレッタを叩き続ける。
 今度こそ、逃げる隙など与えない。

「これでもう逃げられねえぞ! みんな! 今だ!」
「こいつは簡単には死にはしねぇ! 全員で畳み掛けるぞ!」
「だいすきなふたりにつらいおもいさせたの、ぜーーーったいゆるさないんだからー!!
 ニャンゲイザー!」
『ニャンゲイザー、ノーマルビーム!』
「行くぜ野郎共! ありったけの全部を叩き込めー!」

 そして、陵也が展開した白き竜性を帯びた魔法陣が輝く時。
 それが勇士たちと打ち合わせていた、一斉攻撃の合図だ。
 『ニャンゲイザー』がビームを放ち、飛空艇艦隊が砲撃を開始する。

 ガレオン船の大砲が飛来し、光線がオペレッタに突き刺さる。
 爆風が凌牙を巻き添えにするという"不運"も、陵也がすべて浄化する。
 道化師得意の悪意を籠めた巧言を溢す猶予を与えず、殴打と氷の槍、レーザーと砲撃が、オペレッタの命を削り落としていく。

「っ! ……!! ぁっ!」
「喋らせねぇ、何も言わせねぇ! ずっと、死ぬまで黙ってろ!」

 オペレッタが、凌牙の……そして、陵也の表情を見て、その感情を見て、嗤う。
 手にしていた仮面は砕け、オペレッタは心から愉しいという風に踊るように翻弄される。
 このオブリビオンにとっては……自分自身の死すらもが、破壊と嗜虐の対象なのだろう。

「先生の……真麻の……ちびたちの仇!!
 何が何でも絶対にここでてめえはぶっ倒すッ!!
 消えろ、オペレッターッ!!」

 陵也の破魔の属性を籠めた全力の攻撃魔法が、聖なるビームとなってオペレッタを討ち貫く。
 不快なピエロの言葉など、断末魔ですら聞く気はない。
 最期に言い残す遺言だろうと、取って付けたような謝罪の言葉だろうと、生き残る猟兵に傷を残そうという戯言に違いはないのだから。

「先生を……弟妹たちを……陵也の心を奪ったてめえのことを!
 多くの人を弄んだてめえを! 例えてめえが死んだとしても俺は絶対許さねえ!!
 人の生命とその心……両方を弄んだ報いを受けろッ!!!」

 凌牙が、オペレッタの顔にピエロの仮面を叩きつける。
 それは、家族を殺したオペレッタが残していった手掛かり。
 もう、それは必要ない。
 凌牙の渾身のストレートパンチが、仮面ごとオペレッタの頭を叩き潰した。


●宿縁、粉砕!

 『躯の道化師』オペレッタが、消えて逝く。
 自らの娯楽を追求するために数多くの命を、心を奪ってきた畜生は、最後まで死を楽しみながら消滅していく。
 だが、その意志を、思想を記憶に残す者は、ここには誰もいない。
 悪辣な行いの報いは、ただ縁を無くして消え去るというものとなった。

 宿敵を討ち果たした凌牙と陵也が、肩で息をして小型飛空艇の中で寄り添っている。
 一つの大きな目的を達成した二人の胸に去来する思いは、果たして如何なるものなのか。
 ただ、確実にわかることはある。
 迎えに来る飛空艇艦隊の勇士たちに、そして二人の胸に飛び込んでくるエインセルに向ける二人は、間違いなく笑顔を浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月22日
宿敵 『『躯の道化師』オペレッタ』 を撃破!


挿絵イラスト