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銀河帝国攻略戦㉕~カウンターアタック

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●王手
「みんな、調子どう?」
 相も変わらず慌ただしいグリモアベース。忙しなく準備に追われる猟兵達に、ミレナリィドールの少女から声がかけられる。
 ナナ・モーリオン(眠れる森の代理人形・f05812)。戦時下と言う状況ではいささか不釣り合いなのんびりした調子だが、これでも彼女もれっきとしたグリモア猟兵。
 決して遊びに来ているわけではない。
「戦いは、順調みたいだよ。みんなの頑張りのおかげで、かいほーぐんの人たちも、敵の親玉と戦いを始められたみたい」
 そう言うナナの後ろの景色が歪み、戦いの様子が映し出された。
 漆黒の宇宙を縦横無尽に駆け巡る光芒。
 解放軍の艦隊が、帝国旗艦インぺリウムに砲撃を仕掛け、対する帝国側も、インぺリウムの艦砲射撃や護衛部隊が迎撃を仕掛ける。
 熾烈な艦隊戦。
「で、ボクたちの今度の仕事は、この『いんぺりうむ』?に、直接入りこんじゃって、内側からやっつけちゃおう、って事なの」
 旗艦インぺリウムの内部にグリモア猟兵の力で直接転送。船内にて破壊活動を行い、外で戦う解放軍への支援とする、とのこと。
 あまり悠長にはしていられない。強大な帝国、それも旗艦となれば、戦闘力も相応に高いのは考えなくてもわかる。
 正面から戦って、解放軍に被害が出ないわけが無い。
 故の、猟兵達の機動力を生かした奇襲作戦……と言うことだ。
 さっそく始めるぞと言わんばかりに開かれる転送ゲート。
 一人また一人と猟兵達が飛び込んでいくその背中に、ナナの声が投げかけられる。
「そういえば、聞いた話だと向こうには『しんえーたい』って言う、すごく強い人たちがいるんだって。うっかり出会わないように、気を付けてね」

 おい。
 猟兵の一人が思わず振り返ったものの、時すでに遅し。
 その視界に広がっていたのはグリモアベースとゴスロリ幼女の姿などではなく、機械的な広い廊下。
 まぁ、転移してしまったものは仕方ないし、行動を起こさねば始まらない。
 気を取り直して猟兵が前を向きなおそうとした、丁度その時――。
「敵地に入って余所見とは、悠長な事だな」
 低く、くぐもった声と共に、紅の凶刃が閃いた。


ふねこ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 初日以来の戦争シナリオ。ふねこです。たまには私もやりますよ!
 今回は戦争と言うことで、特に執筆開始時は定めず書けるタイミングでどんどん書き、クリアしたら早々に完結させちゃう形になると思います。
 そのため、採用人数は絞られてしまう可能性が高いのでご了承ください。

 さて、状況補足ですが。
 旗艦の内部破壊と言う任務だったはずが、なぜだか親衛隊に転移が予見されており先制攻撃されてしまいました。
 よって予定を変更し、親衛隊の帝国騎士を迎撃、撃破が今回の目的となります。
 内部破壊する余裕はありませんが、強力な戦力である親衛隊を撃破するのも大きな戦果なのでまぁいいことにしてあげましょう。
 いきなり攻撃放ってますが、演出の都合なので普通のボス戦と思っていただいて大丈夫です。

 それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィン・スターニス
流石に乗り込む事は予測されていましたか。
遅かれ早かれ、戦う事は避けられなかったでしょうし、
ならば、ここで戦力を削らせて頂きましょう。

七彩の灯火を召喚し、自身の周囲に付き従えます。
強敵相手ですが、退く訳にいきません。
自身を強化し、攻撃を仕掛けます。

基本は薙刀での突きとなぎ払い。
フェイントや二回攻撃を駆使して攻め込みます。
また、袖に仕込んだ流星魔鎚での奇襲や、
天井や壁に張り付けて、空中機動も行います。

敵の攻撃には、
第六感や、動きを見切っての回避を優先。
負傷した際は、召喚しておいた灯火で、即座に治療します。


マハティ・キースリング
予知を予見された…?
いや、敵陣転送を多用していれば偶然そういう事もあるか

こちらの体勢が整っていない
まずは防御策からだ
防具改造でプルートリング、液体金属アンブリスを盾として
大気と合金、二重の被膜を張り
最低限の攻撃を受け流したい
繋がれた念動鎖はそのままでいい

力比べで鎖を手繰り寄せ、叩きつけて初期出現位置までヤツを移動させる

そこに可能ならグリモア猟兵殿に支援要請
ベースから私の装備品、急いでいて持って来られなかった戦車を
私の初期出現位置・もしくは敵頭上に落として貰って身動きを封じたい

防御中に動力コアを災厄砲に装着、拘束具破壊、充填開始し
隙を見て【報いの火】の砲撃で戦車ごと吹き飛ばす

連携アドリブ歓迎です



「乗り込むことは予測されている、とは思っていましたが……!」
 転送した猟兵を出迎えた帝国騎士の光刃。
 咄嗟に薙刀を割り込ませながら、フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)は呻く。
 直撃こそ免れたものの、まともな防御姿勢も取れぬままに渾身の一撃を受け止めれば、衝撃を殺しきるのは難しい。
 床にブーツを擦らせながら後退を余儀なくされるフィンへ、更に騎士の光刃が迫る。
 だが、一撃目は凌いだ。
 その時間は決して長いものではないが、猟兵達が動き出すには十分なものだ。
 二人の間に割って入る人影がある。
 マハティ・キースリング(はぐれ砲兵・f00682)。凝縮した窒素大気の壁と、液体金属、自らが身に纏うそれらを、二つ前面に重ねて、騎士の追撃を受け止めた。
 攻め急いではならない。
 転送早々の敵からの攻撃で、初動こそ耐えたものの猟兵の戦闘態勢は未だ不十分。
 まずは迎撃態勢を整えることから……と、マハティは踏んだ。
「(敵陣転送を多用していれば、偶然そういう事もあるだろうが……)」
 これまでの戦闘で、猟兵達は確かにこの転送による奇襲で多大な損害を帝国に与えた。この事実は疑いようもないだろう。
 だが、今までこのような転送後即会敵と言うことは無かったはずだ。
 普段は転送地点を安全な場所にしていたというのを差し引いても。
 予知を予見された……?
 その可能性が脳裏をよぎるも、深く思考する暇は与えては貰えそうにない。
 騎士の一撃を防ぎはした、が、避けたわけでもない。
 光波の一撃に伴う念動力の鎖は、既にマハティに確りと絡み付いている。
 逃げることはできない。マハティとて、それは承知している。
「力比べと行くか……!」
 この状況下で、再度転送ゲートを開くのはあまりにも危険だ。下手をするとグリモアベースに敵を招き入れる事態になりかねない。
 手持ちの装備でやるしかない、と覚悟を決めて、銃砲の砲身で光刃を強引に受け止める。
 本来砲手であるマハティにとって、接近戦は分が悪いものだ。このまま一対一を演じれば負けは目に見えているだろう、が。
「遅かれ早かれ、戦う事は避けられなかったでしょうし……ならば、ここで戦力を削らせて頂きましょう……!」
 彼女が攻撃態勢に移るまでの時間を稼ぐには、それで十分だった。
 勇気、希望。それらを体現したかのような七色に煌めく燈火を身に纏ったフィンが、手にした薙刀を横合いから突き入れに行く。
 対する帝国騎士も、フォースセイバーを握った側とは逆の手で、念動力の帝国機を生み出し薙刀を受け止めに行くが、既にマハディと鍔迫り合いを演じている状態でそんな真似をするには、いかんせん腕の立つ親衛隊と言えど少なからず動きの精度は鈍ろうと言うもの。
 初撃の突きは旗の前に防がれる。だが、それはフェイント。受けさせるべくして打ったもの。
 本命は――すぐさま刃を返し、振り上げられる一閃。
 白霧の刃が、帝国騎士の鎧、その肩口を断ち割った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・リシュフォー
守るものがある騎士は、強敵です
可能なら敵に回すのは避けろと教わりましたが……
「そうも言っていられないですっ!是が非でも負けられないこの戦の為に!――シャルロット・リシュフォー参ります!」

【ハーモニックワールド】で突撃、真っ向から剣戟をあびせますっ
エンチャントは……炎属性です!
「届いて、私の歌声っ!この世界の未来のために!」
敵UCも無理に回避はせず、武器で撃墜することを狙いますっ
相手の投擲する旗も切り裂いて燃やす、その為の炎エンチャントです
純粋な剣技では太刀打ち出来ないですけど……魔法と歌との三重奏、完全に防ぎきれるとは思わないことですっ!

【アドリブ歓迎】


赤星・緋色
うぇっへっへー
出てきたね帝国騎士め
飛んで火にいるなんとやらで今日ここがお前の命日だー

かもーんガジェット!(指パチンをエフェクトパーツで表現)
今回ご紹介するのは魔導蒸気で駆動する振動カッター!
かたーい帝国軍騎士の鎧もサクサク切ることができちゃうよ
すごい!
(技能鎧砕き)

相手の電撃は防具の電撃耐性でそれっぽくなんやかんやで大体防げそう
オーラをまとった移動攻撃もオーラ防御で防ぐよ!
あとは相手の高速移動をフェイントと見切りに第六感で狙ってタイミングよく切断していこうかな
フェイントで一瞬でも止まってくれるといいけど

近くに他の猟兵がいたらうまく連携して戦うよ



 一撃。
 出会い頭の猛攻をしのぎ、押し返す猟兵達。
 奇襲を許した戦術的不利はここに帳消しを見た。
 しかし、この程度で撤退を選ぶ帝国騎士ではない。
 そもそも、既にこのインぺリウム――皇帝の座す旗艦にまで攻め入られているのだ。
 これ以上、どこへ退けと言うのか。親衛隊たるもの、ここで命を賭さずしてなんだと言うのか。
「守るものがある騎士は、強敵です。可能なら敵に回すのは避けろと教わりましたが……」
 退くそぶりも見せずにフォースセイバーを構え直す帝国騎士を見やり、シャルロット・リシュフォー(歌声アステリズム・f00609)は双剣を握る手に力を込めた。
 退けないのは、こちらも同じであるが故。
「そうも言っていられないですっ!是が非でも負けられないこの戦の為に!――シャルロット・リシュフォー参ります!」
 その叫びに呼応するように、轟と双剣に炎が宿る。
 ――大地と星と祈りの名において。この世界の未来のために。
 その想いを、祈りと、魔法と、剣に込めて。
 斬り込む。
 交差させるように振り下ろされる二振りの炎剣。騎士はフォースセイバーの一刀を以て受け止める。
 力任せに振り抜かれた光刃の勢いに乗って身体を跳ね上げ、もう一度の振り下ろし。騎士はそれを半身を翻し避け、旗の穂先を突き出せば、シャルロットはそれを掻い潜り。
 騎士はそこで自身の視界の隅、何かが飛来するのを見た。
「飛んで火にいるなんとやらで、今日ここがお前の命日だー!」
 突き出した旗を返して防いだそれは、振動剣を振り下ろした赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)だった。
 むしろ火に入ったのは猟兵の側じゃないのかと言うツッコミをする人は残念ながらいない。
 騎士とかノッてくれたら隙になったかもしれないが、流石に近衛騎士、そこまで甘くは無かった。
 とは言えそのハイテンションな言動とは裏腹に、手にした振動カッターは生半可な鎧など物ともしない切れ味を誇り、その武器選択には言動の裏に隠された底の知れなさを伺わせる。
 騎士もそれを感じ取ったのか、先のように鍔迫り合いに持ち込む愚は犯さなかった。
 すぐさま身を翻すとシャルロットの放った刺突をフォースセイバーで受け流し――次の札を切った。
「!……速いっ!?」
 シャルロットが息を呑む。その『息を呑んだ』一瞬の時間で、帝国騎士の姿は彼女の背後にいた。
 振り返りざまの剣の一撃で騎士の振り下ろしを受けるものの、膂力の差と咄嗟の体勢の差は覆せず、弾き飛ばされる。
 下手に踏ん張ろうとしなかったのは正解だった。吹き飛ばされてできた間合いに咄嗟に緋色が割り込み、追撃に放たれた電撃を代わりに受ける。耐電性に優れた防具故に致命傷にはならない。
 騎士の舌打ちが聞こえたような気がしたが、それを気にする余裕もなく、踏み出したフォースセイバーの一撃と緋色の振動剣が交錯。
 騎士も警戒していたのか鍔迫り合いにはならず、お互いの剣が弾かれて、すぐさま騎士に放たれた顔面狙いの切り上げも捌かれ。
「気ーとられたね!」
 その、『顔に迫る一撃』こそが、こちらに注意を向けるための緋色の策。
 その間に、彼女の態勢は整った。
「……届いて、私の歌声!」
 無機質な廊下に響き渡るシャルロットの浄化の歌。
 過去から滲み出た淀みであるオブリビオンにとって、その歌は力を削ぐに足るものだっただろう。
 鬼神の如き動きを見せていた帝国騎士の動きが、確かに揺らぎを見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィン・スターニス
まだ、終わりではありません。
勢いを少しでも緩めれば、
すぐに防戦一方になりそうな気がします。
この近距離を維持し、攻め続けます。

薙刀を囮にし、
薙刀の攻撃範囲から更に一歩踏込み、
手放すと同時に格闘戦に持込みます。
相手の動きを見切り、第五災禍・青の拘束を発動し、叩き込みましょう。
相討ちになっても、この一撃は、確実に打ち込みます。
拘束できる時間は僅かですが、
その隙を逃す人はいないはずです。


ミハエラ・ジェシンスカ
敵の方が一枚上手だった、という事か。これは

まずは体勢を整えなければ始まるまい
敵の飛ぶ斬撃に私の念動力をぶつけ、周辺の障害物あるいは地形そのものに逸らして防ぐ
それと奴が鎖で繋がれて動きが鈍れば占めたものだ
尤も、障害物は逆に武器として利用される可能性もある
隠し腕による迎撃、フォースシールドによる防御も駆使
とにかくなんとかして対艦魔剣の使用に持ち込む
出し惜しみは無しだ

ああ、先に一つだけ忠告しておく
死ぬ気で防げよ。でなければ皇帝陛下の大事な旗艦が内側から真っ二つだぞ
これも一種の地形の利用というヤツ……違う? そうか

フォースセイバー、全段直結。超過駆動(オーバードライブ)
形成した長大な光の剣を振り下ろす



「敵の方が一枚上手だった、という事だろうがな……!」
 だが、猟兵達の力を甘く見ないことだと、ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が躍り出る。
 身の不調を自身も感じ取ったのか、帝国騎士も距離を取ってフォースセイバーから飛ぶ斬撃を放ってくる。
 それをミハエラは念動力をぶつけ、防御。相殺とは行かないまでも、多少の軌道を逸らすことは簡単でこそないにしても、敵の弱った現状では可能である。
「貴様……」
「ほう、私に見覚えがあるか?」
 忌々しげにつぶやく騎士に対し、意地悪く笑って見せる『元』帝国製のウォーマシン。
 だが、お互いそれ以上の問答をする気はなかったし、その余裕もなかった。
「まだ、終わりではありません」
「……!」
 フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)の薙刀が走る。
 騎士のフォースセイバーがそれを受け止めるも、フィンの猛攻は止まらない。
 敵の覚悟は本物だ。だからこそ、勢いを少しでも緩めれば、すぐに防戦一方になりかねない。
 現に騎士は、防戦一方に追い込まれながらも、いまだに猟兵達の猛攻を凌いでいるのだ。
 どす黒い血が流れ出る右腕を物ともせず、縦横無尽にフォースセイバーを振り回してフィンの薙刀との斬り合いを演じ、その傍らで、流れ弾によって生まれた瓦礫を念動力で弾丸のように打ち出し、ミハエラの自由を許さない。
「ちぃ……!」
 高速で迫る瓦礫を隠し腕で弾き飛ばしながら、ミハエラは舌打ちをこぼす。
 せめて、一撃。一撃入れる隙さえ作れれば。
 その様子は、フィンにも見てとれていた。隙さえあれば手はあるのだろう、と。
 眼帯に隠れたフィンの表情は、傍目にはわからない。
 だがその口元は、わずかに笑みを浮かべているようにも見えた。
 踏み込む。これまでよりも深く、鋭く。
 長柄武器である薙刀において、懐はむしろ不得手な間合いと言える。一見すると愚策に違いない。
 迎撃に振り抜かれるフォースセイバーを柄の中心で受ける羽目になり、あえなく薙刀が手元から離れる。
 だが、それでいい。
 自由になった手を、剣を振り抜いてがら空きになった騎士の腹に押し当てて。
「封印解除。青色の魔力を糧とし、第五の災い、此処に発現せよ……!」
 ――フュンフト・ユーベル・ブラウ・ツヴァング!
 フィンの手を媒介に、直接騎士の身体に叩き込まれる、青い魔力の楔。
 それは僅かであろうとも、確かに騎士をその場に縫い付ける。
 そして、その『僅か』で十分だった。
 後は、彼女がやってくれる。
「フォースセイバー、全段直結。超過駆動……」
 ミハエラが手にするのは、四本のフォースセイバー。それを総て繋げ、動力を直結。
 形成するは、巨大な光の刃。
「死ぬ気で防げよ。でなければ皇帝陛下の大事な旗艦が内側から真っ二つだぞ」
 その言葉が、騎士の耳に届いていたかはわからない。
 確かなのは、それを避けることも防ぐことも叶わなかったという事実のみである。

「……派手にやりすぎたか?」
「戦力は削れました。今のうちに退きましょう……!」
 騎士を倒しても、猟兵達に静寂は訪れない。
 あちこちで戦闘音が聞こえてくる。きっと、インぺリウム各所で似たようなことが起こっているのだろう。
 そして、こちらに近づいてくるように思える物音も。
 このままでは連戦になりかねない。幸い、会敵まではまだわずかではあるが時間がある。
 比較的手早く対処できたことに安堵しながらも、戦闘終了を察知したグリモア猟兵の転送によって、猟兵達はベースへと退いていく。
 まだ、戦争は簡単には終わりそうもない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト