アルカディア争奪戦⑥〜海鳥の領域
●海の屍人帝国の巨大鳥
「アルカディア争奪戦も中盤戦に差し掛かってくる頃だね」
グリモアベース、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は集まった猟兵達にそう切り出す。
「今回向かって貰いたいのは『海珠帝国グリード』って屍人帝国だ。大陸の9割が海水でできた屍人帝国なんだけど……なんかこの帝国のオブリビオンは全員が『巨大化』してるみたいなんだ。おまけに『大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君』とかいう謎の存在を崇拝してるみたいだよ」
どっかで聞いたような人? だけどまあ、それは置いておこうとシャチのキマイラは言う。
「それで今回は残り一割の陸地……と言っても岩礁だね。海底から柱のように伸びてる幾つかの大岩の先端が海面から突き出てる感じで、それ以外に足場になりそうなものはなさそうだ。その海域の水中に巨大化した大量の『雲渡り』って鳥型のオブリビオンが巣を作ってるみたいで、それらが次々に襲い掛かってくるからそれを迎撃して欲しいんだ」
ちなみに鳥だが水中にある程度は適応しているようで、水中でもある程度は動けるようだと彼は言う。
「攻撃方法は固めた雲とか天候操作だね。水の抵抗気にせず雲固めて放ってきたり迷宮にしたり、天候操作で間接的に海を荒れ模様に変えたりとか色々やってくるみたい。因みに雲で出来た巣や迷宮の中には水は侵入しないみたいだけど……雲自体が有害だからそこで長時間戦うのは何か対策しないと厳しいかもしれないね。いずれも水中だからちょっと本来の性能は出し切れてない感じかな」
水上ではその全ての能力をフルに発揮してくるという事で、水中で戦うのが結果的にはやり易いだろうと、ヴィクトルは言って首元の鍵型グリモアを手に取る。
「向こうは巨大化していて翼広げた端から端までで平均6メートル位はあるみたいだよ。その大きさにも注意した方がいいかもしれないね」
それじゃ海鳥退治頑張ってね、とヴィクトルは締め括ると手にした鍵型のグリモアから光が溢れ出した。
光に包み込まれた猟兵達が次に見た光景は足元の頼りない岩礁と一面どこまでも広がる水平線、そして水中から感じる多数の巨大鳥の敵意であった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
雲海も海が文字に入ってるから海鳥でいいと思う。
このシナリオはブルーアルカディアの『海珠帝国グリード』で巨大化した『雲渡り』の群れを撃破するシナリオとなります。
本来は中型で雲海に住んでいるようですが、このシナリオでは海中に巣を作っており侵入者がくると迎撃してきます。
下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス:海中での戦いに適応する。
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それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『雲渡り』
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POW : 雲海装
自身と武装を【固めた雲海の雲】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[固めた雲海の雲]を飛ばして遠距離攻撃も可能。
SPD : 災害招き
自身の【魔力による天候操作能力が数倍】になり、【敵を妨害する雷や嵐、豪雪を操る】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ : 巣を作る
戦場全体に、【雲渡り以外の侵入した生物に有害な雲】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィゼア・パズル
今度は鳥狩り、ですか。水中は不得手ですが…お前と一緒なら何処でも潜れそうですよ。行きましょうか、Dunkule(ダンクル)
深海魚形態Dunkuleの口内に乗り込み、風の精霊に依り呼吸を確保。水中戦・水中機動・深海適応の技能を発揮して巨大な鳥の群れを迎え撃つ
「…ご存知ですか?冷え過ぎた水は動きを得て凍り付く事を。故に『其の在り方に、制限は無い』」
雲の迷宮に囚われるなら全てを凍て付かせよう。属性攻撃の全力魔法に範囲攻撃を上乗せした、絶対零度の虹衣を発動。丸ごと氷漬けに。幸い海の中なのでダメージに加え動きを鈍らせて、仲間への支援に繋げられる
まだ動ける敵へは2回攻撃のカウンターとして氷槍を喰らわせよう
●風の猟犬は深海へ
「今度は鳥狩り、ですか」
岩礁へと転移したヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)というケットシーは普段から鋭い目を更に眇め水中を見遣る。
海中から感じる敵意――縄張りを侵された雲渡りという魔獣が浮上してくるまでそう時間もないだろう。
黒い深海魚がヴィゼア周囲の宙を泳ぐ。呪われた秘宝を喰らったそれは生きたバイクへ変身もできるが、今からの目的にはこの深海魚形態のままでいい。
「水中は不得手ですが……お前と一緒なら何処でも潜れそうですよ」
行きましょうか、|Dunkule《ダンクル》と深海魚に呼びかけ、その開いた口へとケットシーは滑り込んで潜水を開始する。
呼吸の為の空気は風の精霊の力を借りて確保している。潜水する魚の口の隙間からヴィゼアが外の様子を伺えば、暗い海底から浮上してくる白い巨大な影が複数見える。
その白い影――雲渡りは潜水してくる敵を発見した瞬間、複数体で水中に白雲の迷路を構築していく。
雲渡り以外の侵入者に有害な雲の迷路は即座にヴィゼアの周囲に立体的に展開し、その迷路を抜けて巨大魔獣は侵入者を捕えその嘴で引き裂かんとする。
だが、それを読んでいたヴィゼアは|Dunkule《ダンクル》に指示を出し雲の壁の間を通り抜けながら器用に雲渡りの攻撃を躱していく。
適応しているとはいえど水中であるなら、鳥より魚の方に分があるのは道理。
「……ご存知ですか? 冷え過ぎた水は動きを得て凍り付く事を」
回答を期待せず、呟いたヴィゼアが手にした精霊を統括する指揮杖に全魔力を籠める。
「故に『其の在り方に、制限は無い』」
そして、その魔力を以てユーベルコードを発動させる言葉を唱えれば、周囲の雲も取り巻く海水も全て凍結させる絶対零度の空間へと変貌した。
広範囲を凍結させる氷精霊の加護による力はヴィゼアと|Dunkule《ダンクル》の力を高め、敵対する雲渡りを雲の迷路と海水ごと氷漬けにする。
その凍気を豊かな羽毛で凌ぎきった雲渡りがヴィゼア目掛け襲い掛かってくるが、その動きは寒さによって鈍らされている。
精霊の加護を受けた深海魚その突撃を雲の迷路の間の空間をすいすい泳ぐように躱し、そしてその口内からヴィゼアが魔術で氷槍を発射し、巨大な真白き鳥の中心を貫いた。
周囲の雲渡りが掃討された事で雲の迷路が解除され、景色が白から深青へと戻っていく。
まだ深海から浮上してくる気配を感じつつ、氷の精霊の加護を得たままに深海魚は主と共により海深くにある雲渡りの巣を目指すのであった。
大成功
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杓原・潤
海の中の大きな鳥……不思議な光景だけど、まぁ空で戦うよりは楽そうかな。
海の中で大物相手なら、やっぱりキミの出番!
行こうテルビューチェ!
まずはこの迷路を抜けなきゃね。
巣なのに迷路にしちゃって迷わないのかな……ま、こっちはスマホの骸魂に頼ってズルしちゃおう!
ヘイ黒猫!【道案内】お願い!
道が分かったら【水中機動】でさっさと抜けて、敵をやっつけに行こう。
【水中戦】なら、スピードでも負けないはず。
相手がいっぱいいるから、ユーベルコードでサメを呼んで一緒に戦うぞ!
噛み付いても良いしノコギリで切っても良い、今なら【暴力】的な攻撃も許してあげる!
行けー!うるうのサメ達とテルビューチェ!
●少女はサメと共に
ケットシーと深海魚が巨大雲渡りを迎撃する中、別の位置から一機のキャバリアが潜水を開始しようとしていた。
「海の中の大きな鳥……不思議な光景だけど、まぁ空で戦うよりは楽そうかな」
パイロットスーツを纏った杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は退治すべき雲渡りという魔獣について思考を巡らせていた。
海に棲んでいるという事だが構造的にどう考えても空中戦の方を得手とするのだろう。ならばその得意領域でわざわざ戦う必要もない。
相手は普段より巨大と言う事だが、幸い海で戦う為の広さは十分にある。大物狙いならば矢張りこのオブリビオンマシン『テルビューチェ』の出番であろう。
「行こうテルビューチェ!」
魔力を通し命令を下せば、丸っこいボディが海へと飛び込んで大きな水飛沫を上げ沈んでいく。
鋼鉄のキャバリアは頭を下に向け深海へと沈んでいく。それは獲物を捕らえる為に潜航するサメのよう。
青く暗い海を潜る中、潤が注意深く周囲を観察していると白い巨大な影が高速で浮上してくる。
「きたっ!」
反応して『ヌイ・ロア・レイ・オ・マノ』という名の頑丈な武器を構えると、雲渡り達は一斉に雲の迷路を展開する。
天敵――という訳ではないのだろうが、同等に近い大きさのキャバリアがやってきたのだ。警戒するのは無理もないだろう。
「まずはこの迷路を抜けなきゃね」
グリモア猟兵に聞いた話ではこの雲渡りの巣もこのような雲の迷路になっているという事だ。迷わないのか少々気になるが、それはさておいてコクピットの潤は猫耳付のスマホを取り出す。
「ヘイ黒猫! 道案内お願い!」
魔法使いである潤のスマホは当然ただのスマホではなく、黒猫の骸魂が組み込まれた特製だ。それに要請する事で展開された立体迷路の構造をスマホに表示した潤は、テルビューチェを思考で操り出口への最短ルートを辿り脱出を目指す。
それを阻止する為に巨大な雲渡りが飛ぶように雲の迷路の間を泳いでくる。高速で接近した雲渡りはキャバリアを爪で掴もうとするが、テルビューチェは外見通り水中戦はお手の物。
雲渡りより自在に雲の迷路を泳ぎ攻撃を躱すとそのまま加速し一気に引き離す――と、ここで新たな雲渡りが迷路の先から合流してきた。
挟み撃ちの形になった状況、強引に突破するしかないと即座に判断し潤はユーベルコードを発動し、回転ノコギリを生やした117体のサメを召喚する。
あらゆる環境での戦闘能力をもつサメ達は、この有害な雲の迷路内であっても当然戦闘可能であり、
「行けー! うるうのサメ達とテルビューチェ!」
潤の号令と共にその牙をむき出しに雲渡りへと襲い掛かる!
雲の迷路という逃げ場を封じられている状況で、白き羽はサメの牙と回転ノコギリに引き裂かれて次々に血に染まり貪られていく。
テルビューチェの方もその体型に見合わぬ速度で逃走を図る雲渡りへと追いつき、ヌイ・ロア・レイ・オ・マノでぶん殴り雲の迷路の壁に叩きつけていく。
暴力を体現したかのようなサメとオブリビオンマシンの大暴れに、潤に襲い掛かった雲渡りはあっという間に殲滅されてしまい雲の迷路は解除される。
「うんうん、いい調子!」
潤は機嫌よく周囲を見渡し、周囲の巨大雲渡り全てが倒された事を確認すると、まだまだいるだろう雲渡りを捜索する為テルビューチェを操りより深い場所への潜水を再開するのであった。
大成功
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タビタビ・マタタビ
最近、苦手だった水の中でも頑張れるようになってきたんだ。
行こう、キャバリア『焔獅子』! キミの【水中戦】【水中機動】を披露する時だよ!
『雲渡り』 の群れに接近したら、ユーベルコード発動!
敵もユーベルコードでこっちを妨害して回避しようとするだろうけど、数でその確率を越えて見せる!(下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる理論)
「いけー、ネコ騎士達! 海なのは気にしないで!」
『にゃーん!!(やったるぞー)』
相手の力に押し切られそうなら、ネコ騎士達も合体してパワーアップ、攻撃の手は止めないよ!
『焔獅子』に乗ったボクも、【重量攻撃】で体当たりを仕掛ける。
少しずつでも確実に敵の数を減らしてくよ! てやー!
●聖騎士は力を束ね
サメとキャバリアが大暴れしている海域から少し離れた地点を静かに潜水していく赤きキャバリアがあった。
通常の物と比べると少々頭身が低い、2.5頭身のサイキックキャバリア『焔獅子』の主はタビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)。
ケットシーの彼は元々は水の中での戦いを苦手としていたが、最近は努力もあって頑張れるようになっていた。
それも水中での機動を得意とするタビタビの契約精霊を宿した愛機のおかげもあるのだろう。
「行こう、キャバリア『焔獅子』! キミの力を披露する時だよ!」
そう愛機に呼びかけたタビタビは巨大雲渡りを討つ為に、暗い海の底へと潜航していく速度を上げた。
幾許かの時間を潜り続け、上方ではまだ戦いが繰り広げられている気配がしていた。
別方向から浮上して戦闘音に惹きつけられているのか、中々群に遭遇しないタビタビ。
けれど緊張感は緩めずに、異空間となっているコクピットから周囲に油断なく金の瞳を瞬かせ、視線を向けている。
すると突然、穏やかだった海流が嵐の海のように突如荒れ始めた。
ゴロゴロとなる雷の音に、タビタビの長い黒い尾も思わず逆立ってしまう。
直後、深海から白い影の群れが焔獅子に向けて浮上、突撃してきた。
慌てて焔獅子を操作して突進を回避するタビタビ、けれど白い影――巨大雲渡りは即座に切り返して浮上から急降下に切り替えてくる。
その動きは増幅された天候操作能力によって間接的に海の状態を操作し操っているからこその機動力なのだろう。
荒れた海流は焔獅子の動きを妨げ、此方の回避は難しく向こうの回避は容易という状況を作り出していた。
だが、タビタビは怯んだりはしなかった。
「集って、猫さん達! この剣の元に!」
キャバリアのコクピットでタビタビが『ゆうしゃのつるぎ(仮)』を掲げると、キャバリアの周囲にキャバリアと比べ小型の兜のネコ騎士たちが召喚される。
その数95体――十倍躱しやすくなっているのであれば、十倍以上の数で当ててしまえばいいという理屈で発動したユーベルコード【ナイツオブネコチャン】。
「いけー、ネコ騎士達! 海なのは気にしないで!」
『にゃーん!!』
タビタビの動作に合わせ焔獅子が巨大雲渡りを指させば、ネコ騎士たちは水中なのも気にする事無く気合十分に泳ぎ、雲渡りの群れに立ち向かっていく。
だが、向こうの巨体はキャバリアよりは小さいが、ネコ騎士と比べれば十分すぎる程に巨大である。
騎士の剣は突き立てる前に豊かな羽毛に弾かれて、更には嵐の海流という悪条件も重なってネコ騎士達はぐるぐると流されそうになってしまう。
このままでは雲渡りに攻撃を当てるどころか海流突破も難しい、そう判断してタビタビは、
「力を合わせて!」
そう号令をかけると、ぐるぐる海流に流されそうになっているネコ騎士達は近くの者同士で寄り集まり、合体して力を束ね上げた。
すると兜の数字は1から10へとそれぞれ増えて、海流を強引に泳ぎ切って雲渡りに剣を向ける。
躱そうとする雲渡りだが、強化されたネコ騎士達は四体がかりの阿吽の連携で追い込むと、逃がす前に的確な一撃を首に喰らわせて撃破する事に成功する。
同時にもう一羽の雲渡りが加速してネコ騎士達から逃れんとしていた。だが、その先には赤きキャバリアが待ち構えていて。
「てやー!」
焔獅子の全速力で巨大雲渡りにぶちかます。大きさはやや焔獅子が大きい位だが、金属製の焔獅子と空を飛ぶようにできている雲渡りでは体重差も頑丈さも雲泥の差がある。
吹き飛ばされてぐったりとなった雲渡りを横目に、タビタビはネコ騎士達に呼びかける。
「少しずつでも確実に敵の数を減らしてくよ!」
その言葉にネコ騎士達も武器を掲げ、気合十分に怯む雲渡りへと焔獅子と共に息を合わせて泳ぎ突撃していくのであった。
大成功
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鳳凰院・ひりょ
水中に適応しちゃった鳥なのか…
まぁ、確かに戦うなら水上よりは水中の方がマシなのかな
生身のままじゃ、水中ですぐに息が出来なくなっちゃう…
命なき物(無機物)よ、力を貸してくれ!
飴を媒体にUCを発動、【高速詠唱】+【多重詠唱】で風+水+地の疑似精霊を同時召喚
まずは風の疑似精霊の力で自分を囲うように風の球状結界を形成
この中に入っていれば、とりあえず呼吸は可能だし、そのまま水中にも入れるかな
迷路内の有害な雲もこの風の結界内に入れば遮断は出来るだろう
雲渡りとの戦闘は地の疑似精霊の力で岩弾生成、水中だから普通に射出しても水の摩擦で速度が出ないだろうけど
水の疑似精霊に摩擦なくしてもらえば、いけるかな?
●精霊の力を借りて
海中で激戦繰り広げられる中、急に嵐に変わった水上の岩礁では一人の猟兵が今まさに飛び込まんとしていた。
「水中に適応しちゃった鳥なのか……」
彼、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は猟兵である以外は普通の人間である。
水中での長期戦ではすぐに息が続かなくなる位には普通の彼は、先に潜った猟兵達の深海魚やキャバリアのような手段は持ち合わせがない。
ただ、それを差し引いても戦うなら水上よりは水中の方がマシなのかなとも思えてしまう。
適応したとはいえ構造的に無理のありそうな水中でこれだけ動き回れている巨大雲渡り達、体の構造的にも適した空中に逃げられればより厄介になるのだろうから。
故にひりょも水中戦を挑むこととして、懐から術の媒体としての飴をその為の手段――ユーベルコードを発動する。
「場よ変われ! |命なき物《無機物》よ、力を貸してくれ!」
ユーベルコードの詠唱と共に周囲の無機物――海水が変換され、風と水、そして地の疑似精霊が召喚される。
風の疑似精霊がその力でふわりとひりょを覆えば、彼の周囲に球状の結界が形成される。
そして、そのままひりょは海へと飛び込む。
(「この中に入ってれば呼吸も大丈夫」)
潜水しながらそれを確認したひりょは、安心して深みへと潜っていく。
絶対零度の領域、サメの海域、ネコ騎士達が嵐に負けず抗う領域――それらを遠く、或いは近くに感じながら、ひりょは浮上してくる敵に意識を集中する。
そんな彼を迎撃する為、数も少なくなった巨大鳥が数羽高速で浮上。獲物を足止めする為にか海域に雲の立体迷路を展開する。
雲渡り以外に有害なその迷路だが、ひりょを覆う風の結界は有害な雲の侵入を遮断し彼を守り続けている。
その巨体でよくもまあ、と思えるほどに機敏な動きで雲渡りは迷路の間をすり抜けるようにしてひりょに襲い掛かる。
即座にひりょは高速で詠唱を重ね地の精霊の力により岩の弾丸を生成、更に水の精霊の力で周囲の岩弾水流を操作し摩擦、抵抗を無くしつつ雲渡りに発射する。
水中でありながら高速で放たれた岩弾は高速で飛び込んでくる巨大な雲渡りに正面から命中し、見事撃破する事に成功した。
続けてやってくる雲渡りの攻撃も躱しながら反撃の岩弾を叩き込んでいく。
そして、十羽近くの雲渡りを撃破したタイミングで雲の迷路が解除され、元の海の風景が戻ってきた。
耳を澄ませても他の戦いの音はせず、感じていた深海からの敵意も既に消失していた。
その事を確認したひりょは、精霊の力を借りて海面へと浮上していく。
かくして海珠帝国グリードの巨大化オブリビオンを退けた猟兵達は、次なる戦いへと向かう為にグリモアベースへと帰還したのであった。
大成功
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