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アルカディア争奪戦⑯〜オープン・ザ・スカイゲート

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦

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 どうあっても勝てない相手と遭遇したときの絶望感を彼らは味わっている。皆、己の腕には自信を持つ勇士ばかりだ。大物の魔獣を狩ったことは何度もある。にも関わらず、目の前にいるのは過去に遭遇したどの魔獣とも違う。
「右旋回! 避けろ――……ッ」
 慌てて船首を転回する|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の一角を雲海が呑み込んだ後には何も残らなかった。
「愚かなる勇士よ。悪足掻きは無駄と知れ」
「げひゃひゃ、うひゃ! しんだ! しんだ!」
「姦しいぞ、右の頭」
「かし? まし?」
「……もうよい」
 双頭の怪獣が吐き出す白雲こそ、『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』そのもの。触れたものを消滅させる禍々しき力を手にした怪獣の前に飛空艇艦隊を率いる指揮官は決断を迫られていた。

 仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は右手と左手をそれぞれ、ぱくぱくと開いたり閉じたりする。
「左の頭は理性的、右の頭は感情的。一方は狡猾かつ冷酷で、一方は獰猛かつ残虐というまったく別な性格を持った双頭のオブリビオンがアルカディア・スカイゲートを守っている」

 スカイゲートとは、オーデュポンが発見した『雲海の聖域』のひとつでアルカディアの王座を隠していたとされる場所だ。
「場所にちなみ、このオブリビオンは『アルカディア・オブリビオン』と呼称される。通常のユーベルコードに加えて『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を放出することで敵性生物を消滅する力を持つ、ちょっとやっかいな相手だね。同空域で交戦中の|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》は全艦による一斉特別攻撃を検討中」
 つまり、このままだと|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》がオブリビオンに向かって体当たりを仕掛けてしまうという状況だ。
「この飛空艇艦隊《ガレオンフリート》は精鋭揃いで、君たちが協力を要請すれば身の危険を顧みる事無く、可能な限り叶えようとしてくれるだろう。むざむざ特攻を許して玉砕する様を見届けるのはあまりにも無為に過ぎる」

 おあつらえ向きにも、敵の弱点は真逆の個性を持つ双頭の仲が悪いことだ。|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》と協力してそこを突けば速攻で撃破することも不可能ではない。
「『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を吐く個体というからには戦いが長引くほどこちらが不利だ。空域が雲海で満たされる前にアルカディア・オブリビオンを倒さないと……まあ、地獄が見られるね」
 平然と言って猟兵を現地へ送り出す。
 ――玉座へ続く聖域、アルカディア・スカイゲートへ。


ツヅキ
 フォームからプレイングが送れる間は常時受付中です。

●第1章
 『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』を口から吐き出す双頭のオブリビオンとの戦いです。|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たちと共闘し、速攻を仕掛けることができればプレイングボーナスです。
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第1章 ボス戦 『双児宮魔竜ヴォルスカスドン』

POW   :    暴竜激闘
単純で重い【暴力】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    星痕覚醒
全身を【星座の魔法力】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    溶岩熱線
【体内のマグマぶくろ】から、戦場全体に「敵味方を識別する【溶岩熱線】」を放ち、ダメージと【火だるま】の状態異常を与える。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

双頭の竜め!
この暗黒騎士たるベルト・ラムバルドが相手だ!
勇士達!共闘を頼むぞ!行くぞー!

キャバリア操縦して出撃
勇士達には左の頭を、私は右の頭を攻撃しよう

バーカバーカ!この右頭~!
左の頭のほうがお前より頭も力も超つよーい!
お前なんか頭も力もちっちゃなトカゲだ~!

ハイカラオーラでピカピカ光って存在感で敵を挑発して攻撃!
二刀の剣でちくちく攻撃しながら空を飛び回って攻撃を回避しよう

そしてサークランサーを振り回し右の頭に突き刺して串刺し攻撃!
災いの一撃で巨大荷電粒子ビーム砲をぶっ放して
左の頭もろとも鎧無視攻撃と貫通攻撃で貫いてやるー!

一石二鳥…いや一発二鳥だー!喰らえー!


卯乃巫・八香
邪魔な奴、やっつける。

Cabalierに跨って敵に接近。
左の頭がなんか言ってるけど、うるさい。右の頭、こいつ鬱陶しくない?

とか言って仲間割れを誘った隙に、九死殺戮刃で攻撃開始。
分割形態にした「偉天」を振り回して、敵の左半身を中心に切り刻んでいく。右の頭がそのザマを煽る感じにできれば良いかも。
雲が吐き出されてきたら距離を取って、その隙に勇士達の艦から敵の右半身へ砲撃を仕掛けてもらう。砲撃後はすぐ離脱するようにも言っておく。
そっちを放っておいたのはこの時の為。どっちも最終的には殺すのに、片方だけ放置するわけがない。



「――こうなったら、特」
 |飛空艇艦隊《ガレオンフリート》を率いる旗艦から一斉突撃の命令がくだされようとしたまさにその時だった。
 ベルト・ラムバルド(自称、光明纏う暗黒騎士・f36452)の駆るクロムキャバリア『パロメデス』と箒代わりの掃除機に跨った卯乃巫・八香(夢中の狗・f29763)が戦場へ飛来し、すんでのところで彼らの玉砕を引き留めたのである。
 ふたりの姿はひと目で勇士たちの注目を惹きつけた。片や暗黒騎士風のキャバリアを駆り、片や魔術と機械を組み合わせたかのような外観のスタンド式掃除機に跨って、じっと目を凝らすように双頭の魔獣を眺めている。
「邪魔な奴」
 八香はすいすいと飛空艇の間を避けて敵に近づき、耳元へ掃除機を寄せた。
「ん?」
 くいくい、と耳を貸せというジェスチャーをされた左の頭が首を傾げる。八香は右の頭を指で示した。
「こいつ鬱陶しくない?」
 右の頭はきょとんとした後で、猛烈に頷く。
「うん! うん!」
 それを見ていた左の頭が憤慨して言った。
「貴様、敵に共感するとは恥知らずめ。そのような空っぽの頭だから暴れるしか能がないのだ」
「ほらね」
 確かに左の頭は口うるさい。
 言質をとった八香がしてやったりと頷けば、右の頭はさらに激しいヘッドバンキングで応えた。
「あたってる!」
「ええい、痴れ者めが」
 まんまと八香の策略に嵌った双頭が言い争いをしている間にベルトは旗艦に近づいて挨拶代わりにキャバリアのライトを点滅させる。
「あの双頭の竜はこの暗黒騎士たるベルト・ラムバルドが相手する! 勇士達! 共闘を頼むぞ!」
「了解した」
 指揮官はベルトに先陣を譲り渡し、『パロメデス』の後に艦を並べる。彼らを率いたベルトが勇ましく叫んだ。
「行くぞー!」
「ああ!」
「私は右の頭を攻撃する。左の頭を頼んだぞ!」
「了解!」
 こうして『偉天』を操る八香と共に飛空艇の攻撃を同時に引き受ける事になった左の頭は挟み撃ちを避けようと試みるも、右の頭との連携を欠いた巨体は思うように動いてくれない。
「そこ」
 ――八香の胡乱な瞳が輝いた刹那、戦場にばらけた『偉天』の刃が螺旋状に魔獣の左半身を切り刻む。
「ぬ……ッ」
「あれ? やっぱり弱い?」
 八香が同意を求めるように右の頭にたずねると、嬉しそうな煽り文句がその口から飛び出した。
「やーいやーい! よわい、よわい!」
「貴様!」
 飛空艇から発射された砲撃が魔獣を直撃して爆ぜる。八香は器用に掃除機を操って余波を避けながら、怒った左の頭が撒き散らす雲海から逃れるために後退して距離を取った。
「黙れ、黙らんか。貴様と話していると馬鹿になる」
「そうだそうだ!」
 反対側に回り込んだベルトが両者の喧嘩にすかさず口を出した。
「バーカバーカ! この右頭~! いいか、左の頭のほうがお前より頭も力も超つよいんだぞ。お前なんかその逆だ。頭も力もちっちゃなただのトカゲだ~!」
 ……と、こんな風にベルトが左の頭の肩を持てば、八香はさらに右の頭をそそのかす。
「あんなこと言ってる。言い返したら?」
「ばーかばーか!」
「カーバカーバ!」
 もの凄く同レベルな罵り合いを繰り広げるベルトはさっきからやけに光るハイカラオーラで存在感を増しながら敵を斬りつけてゆく。
「黙れ、黙らんか」
「かかったなー!」
 ベルトは重い一撃を紙一重に躱し、サークランサーを右の頭の眉間に突き立てる。深々と貫く槍に手ごたえあり。それはそのまま荷電粒子ビーム砲を放つ砲門となって眩い光の中に右半身を呑み込んだ。
「ぐああ!?」
「お? お?」
 八香が軽く手を挙げ、飛空艇に主砲の発射を促すと右半身はさらに砲撃の嵐に包まれる。わざともう片方の頭を放っておいたのはこの時、勇士の助力を得ての奇襲を仕掛けるためだったのだ。
「お生憎さま。どっちも最終的には殺すのに、片方だけ放置するわけがない」
「一石二鳥……いや一発二鳥だー! 喰らえー!」
 ベルトの叫びに呼応するかの如く、やがて爆発は連なり、残る左半身も道連れの形で薙ぎ払われてゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
なんだか大変そうな竜ですね…

そうですね…あっ、良いこと思いつきましたっ!勇士の方達は飛空艇で飛空艇に変身した私の後をついてきてください
そして敵と接敵したら私は全速力で敵の右の頭の側面へ回り込みますので左の頭の側面から攻撃してくださいっ

我が級の足の速さををお見せましょう!突撃です!
頭が二つでも身体は一つ…感情的な右の頭が私を追いかける…冷静な左の頭は後続の飛空艇に気が付いてそちらを対処しようとすれば二つの頭が一つの体を逆に操作しようとして体に大混乱が起きるはずですっ!ユーベルコードも拒絶の雲海もすぐには使えないでしょうしその間に砲撃開始です!味方の艦隊にも砲撃して貰って挟み撃ちにしましょうっ!


九十九・静香
まあ頭がお二つもある恐竜様とは
筋肉も凄まじい体ですわね
ですがこれ以上勇士の皆様に被害を出す訳には参りません
此処で討ち果させて頂きましょう

全身筋骨隆々状態に変化
UCでマッスルポーズを取り(◆パフォーマンス)
こちらに視線を釘付けにしましょう
頭が二つならば視線の数も2人分
視線の数で強化した筋肉で雲に触れない様距離を取りつつ
熱線を◆ジャンプで回避
回避が難しい熱線や雲は超筋肉斗雲を呼び踏み台にして回避

可能な限り引きつけこちらに注目させた所で
勇士の皆様に死角から一気に攻撃を仕掛けて頂きます
ふふ、全てはわたくしに注目させその間に勇士に準備してもらう策
隙が出来た所で一気に接近し◆怪力の拳を叩きこみますわ


ヴィクトル・サリヴァン
うーむ双頭の…恐竜?怪獣?
長引かせて雲に満たされるのも厄介だ。
とにかく、勇士の特攻玉砕は以ての外だし全力で勇士達と協力してあの怪獣倒そっか。

小回りの利く飛空艇の勇士達に協力を依頼。
囮作戦になるけど勝算は十分にある…俺達があの雲もぶち抜いてやるから。
怪獣右頭の方の尾とか噛みつきの近接攻撃を受けない距離を旋回しつつ挑発をお願い。
本当に頭悪くて感情的だから直球の悪口オススメだねー。
左は理性的だから乗らないだろうが右は乗ろうとする、つまり齟齬ができる。
その隙を狙い別の飛空艇で背後に回り込んで二つの首の間狙って銛を投擲、反応する前にUC発動。
雲吐かれる前に水シャチに喰らわせようか。

※アドリブ絡み等お任せ



「うーむ双頭の……恐竜? 怪獣?」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は腕を組み、不思議そうな顔で首を傾げる。なんというか、冒険的な見た目であった。しかも危険な雲海を吐き出すとなれば放っておけない。
「話に聞いていた通り、頭同士はあまり仲がよくないみたいだねー」
「性格が真逆の頭がふたつあるなんて、なんだか大変そうな竜ですね……」
 ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)も少しの間考えてから、ふとぴんと来たように両手を打ち鳴らす。何か思いついたようで、さっそく準備に取りかかった。
「見慣れぬ飛空艇だな」
 左の頭が首をめぐらせる先には飛空艇艦隊を引き連れたヴォルフスブルクが自らも飛空艇となって戦場を駆ける姿があった。
「では、打ち合わせ通りにお願いしますねっ」
「了解だ!」
 ヴォルフスブルクは飛空艇艦隊と魔獣の眼前で左右に分かれ、左の頭は彼らに任せて自らは敵の右側面を取るような軌跡で回り込んでゆく。
「すげー! はえー!」
「ええ、我が級の足の速さをお見せしましょう!」
 さらに加速するヴォルフスブルクに反応する右の頭だが、そちらへいくには飛空艇に気を取られている左の頭が邪魔になる。
「何をやっている。先に飛空艇艦隊を落とすのだ。おい、言う事を聞け」
 これでは右と左に泣き別れも同然だ。
 互いに別の方面を対処したがる双頭の魔獣はどちらも譲らずに無謀な引っ張り合いを始めてしまう。
「まあ、頭がお二つもあると大変ですわね。それにしても凄まじい筋肉ですこと」
 九十九・静香(怪奇!筋肉令嬢・f22751)が披露する筋肉拝礼のフロントダブルバイセップスは鍛え抜かれた肉体美そのものであった。
「ひゅー!」
「ほう……」
 興奮する右の頭と感嘆する左の頭。
 誰かに見られれば見られるほど、視線を集めれば集めるほどに静香の肉体はさらにムキムキと滾って見る者を唸らせる循環をつくりあげる。これだけ注目を集めればしめたものだ。静香は強化された脚力で飛び退き、迸る熱線を走り高跳びみたいに躱してみせた。
「おいでませ、超筋肉斗雲!」
 浮遊する雲に着地し、一斉攻撃を仕掛けるタイミングを待つ。実はこの時、ヴィクトルの要請を受けた囮部隊の艦隊が右の頭に向かって陽動を仕掛けていたのだ。
「直球の悪口か……」
 飛空艇の甲板から身を乗り出した勇士は一生懸命考え、できるだけわかりやすい言葉をかける。
「あ……あほー!」
「間抜けめー!」
 これに怒った右の頭が強引に飛空艇を振り返ろうとするのをヴィクトルは見た。もちろんこのような悪口など智恵がある左の頭は意に介さない。
 とすれば、こうなるのは自明の理であった。
「愚か者、待て、こら――」
 ぐいぐいと右の頭に引きずられ、左の頭が体勢を崩す。
「総攻撃をかけるなら今ですわ!」
 静香の号令に合わせ、死角に潜んでいた飛空艇艦隊が一斉に砲門を開いて激しい攻撃を浴びせかける。
 全てはこの時のためにあったのだ。
 タイミングを過たず、静香は渾身の力を拳に乗せて叩き込んだ。超筋肉斗雲で一気に近づいての一撃であった。
「ぐはッ……」
 殴り飛ばされた左の頭が血を吐きながら倒れる。
「お、お?」
 今度はそちらに引っ張られ、右の頭もぐらりと傾いだ。ヴォルフスブルクはその隙を見逃さない。
「挟み撃ちにしましょうっ!」
 ヴォルフスブルクと飛空艇艦隊の艦載砲が前後から魔獣を貫き、誘爆を引き起こした。爆煙の中を泳ぐようにもがく魔獣の元へヴィクトルを届けた飛空艇から一本の銛が擲たれる。双つの頭が分かれる間の部分に突き刺さったそこへ水でできたシャチが殺到して追撃を与えた。
「やったぞ!」
 空にシャチが弾く水飛沫によってかかる虹が蒼空に映え、飛空艇艦隊の勇士が歓声を上げる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです

仲が悪い。
良いこと思いついちゃった。

ユーベルコヲド、厭穢欣浄パラダヰムシフト。
認識改変……ぼくと勇士からの攻撃が『仲間のせい』になる認識。
ぼくたちを『仲間』とは思わないけど、攻撃をされるのは『仲間のせい』と思う事で、どこまで正気を保っていられるかな?

隙を見せたところで、頭を狙った部位破壊と砲撃、レーザー射撃スナイプで両方の頭をいっぺんに破壊していこう。

仲が悪いのを利用するのは気が引けるけど、うまくいって何よりだよ。

……もうそろそろ帝国が近いね。
(遠くの空を睨めつけて)


レモン・セノサキ
頼もしいな、飛空艇艦隊!
キミたちの腕を見込んで頼みがある
二手に分かれて、奴の周りを全速力で周りながら攻撃して欲しい
利口な頭は狙いに気付いても
お馬鹿な方は目に付いた方を追い回したがる筈
二頭の動きが嚙み合わない内に、私が接近戦で畳掛ける

雲海を回避しながらの全力旋回だ
危険な賭けに乗ってくれるかい?

▲迷彩で空に紛れつつ飛空艇から飛ぶ
「仕掛鋼糸」を撃出し▲ロープワーク+▲空中機動で敵に高速接近
飛空艇艦隊に気を取られている隙に
「Forte.50」の発砲の反動を利用した斬撃を利口な頭に叩き込む

敵のUC発動の瞬間、▲先制攻撃でUC発動
熱線が放たれる前に開いた口へ魔弾をぶち込み
体内のマグマぶくろを爆発させたいね



「ふーん……なるほどね」
 双頭の魔獣が中心に居座る空域を遠巻きに眺め渡した国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)は独り言みたいな呟きをもらした。戯れめいた、けれどそれ以上に勝利を掴むためにひたむきな瞳の色をして。
「良いこと思いついちゃった。行こう、紅路夢」
 白く長い軌跡を残しながら向かう飛空艇艦隊とレモン・セノサキ(Gun's Magus魔砲使い・f29870)は軽く敬礼して互いの連携を約束し合う。
「では、我々は二手に分かれて敵を周回しながら砲撃を行います!」
「ああ、期待してる」
 レモンは頼もしい返事に胸を熱くさせながらも、彼らに危険な役目を担ってもらうことを手放しでは喜べなかった。
「危険な賭けだが、本当にいいんだね?」
「無論。覚悟なら出来ている」
 そう指揮官は約束し、艦橋へと姿を消す。
 レモンは勇士たちに見送られながら、飛空艇の甲板から――飛んだ。迷彩の効果で雲に紛れながら射出する鋼糸を魔獣の首に巻き付けて一気に手繰り寄せる。飛空艇艦隊は約束通りに敵の熱線を紙一重で潜り抜けつつ、周囲を飛び回って彼らの注意を引き付け続けた。
「げひゃひゃ!」
「もっとよく狙え、愚か者が……ん? ぬおッ――」
 さっきまで右の頭を叱っていた左の頭が不自然に呻いた。不意打ちか? どこからともなく撃たれたことで疑惑の眼差しに変わる。
「いま、誰がやった? 敵ではない……まさか貴様か?」
「あひゃ?」
「その間抜け面によると違うのか……いや、しかし|貴様のせいで《・・・・・》危機に陥っているのは間違いないはず」
 動揺を隠せない左の頭の混乱を察した鈴鹿は双式機関銃を両手に構えた格好で肩を竦めた。
「うまくいったのはよかったけど、騙し討ちはやっぱりちょっとだけ、気が引けるかな」
 全ては鈴鹿の仕掛けたパラダヰムシフトの罠。確かに敵を敵と認識しながら仲間を疑わされる二重の矛盾に左の頭の知性はどこまで耐えられるだろう。 
「いくよ」
 勇士たちの一斉砲撃に合わせて鈴鹿も狙いをつける。やるなら同時だ。双頭を一度に破壊できる時を見定める。
「くそ、なぜだ? なぜ敵は攻撃せず、なのに貴様のせいで傷を受け続けているのだ」
 混乱が最高潮に達した刹那、レモンの愛銃が火を噴いた。反動を乗せた剣閃が狙うのは左の頭そのもの。
「もらった!」
「それはこちらの台詞だ」
 至近距離まで近づいたレモンを狙い、熱線を吐こうと大口を開けるまでが狙いだとも知らずに攻撃態勢に入った左の頭へ文字通りに喰らわせる蒼の魔弾。
「さあ、召し上がれ!」
「がッ――」
 大量にぶちこまれた魔弾状の蒼雷が体内で爆ぜ、外からでもその発光が見えるほどであった。マグマぶくろに引火して爆発する炎を目がけ、鈴鹿はしっかりと狙いをつけて引き金を絞る。
 迸る鋭いレーザー光。右の頭を貫き、勇士たちによる援護射撃が容赦なくばらばらに砕いていった。
「……もうそろそろ帝国が近いね」
 構えていた銃を下ろした鈴鹿ははるか広がる空の果てを見晴るかす。あの先に何が待っているのか……もう、あと少しで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月15日


挿絵イラスト