アルカディア争奪戦⑭〜我らガレオンフリート
「うーん、現地に適応してるなあ。僕も人のことは言えないけれど……」
何やら苦笑しているグリモア猟兵、カレル・レグロリエン(緑の夢に星を灯す・f36720)。呼び出された猟兵たちが作戦概要の説明を促すと、彼ははっとしたように続けた。
「あ、済みません。新たな航路も着実に繋がりつつありますが……皆さんにはその最前線に向かって貰いたいんです」
即ち、ゴドフレド竜拝帝国。
|日蝕帝国《イクリプス》を信奉し、その傘下に加わりながらも、六大屍人帝国にも匹敵する軍事力を有する脅威の属国だ。
更に厄介なのが、この帝国に所属するオブリビオンは須く『闇竜騎士化』していると言うのだ。
「この闇竜騎士と言うのは、日蝕帝国を支配する『太陽を喰らうもの』と呼ばれるドラゴンから、特別な|竜言語《ドラゴンロア》を授かることによって、闇の幻影ドラゴンの召喚と使役が可能になったオブリビオンのことです。皆さんには今回、その掃討に当たっていただきたくて」
幻影ドラゴンはその名の通り実態を持たないため、物理的な干渉を一切受け付けない。つまり、攻撃は一切通らない――のだが、その召喚者である|闇竜騎士《オブリビオン》であれば話は別。
つまり、早い話が大本を叩け、と言うこと。
「召喚者であるオブリビオンはエルフの女の子たちです。元はこちらに転移してきた時に、故郷ごと雲海に沈んでしまったらしくて。同族として可哀想だなと思う気持ちは、正直あるんですけど」
空賊行為を働き、尚且つこの世界を滅ぼしかねない屍人帝国に与するなら情けをかけてはいられないと。
それに結構、空賊が性に合ってるみたいですしね――と再び苦笑するカレル。成程、先程の呟きの理由はそれか。
ともあれ、彼女らは一人用の|小型飛空艇《セイルフローター》を駆り、自らが召喚した幻影ドラゴンの傍で哨戒を行っていると言う。
彼女ら自身は自衛程度の攻撃しか行わないため、然程強敵ではないのだが、厄介なのが幻影ドラゴンによる守りだ。奴らは敵の排除は勿論だが、主を護ることを優先に動いている。
「だから、危険ですけどこっちも小型飛空艇やそれに近しい何かで幻影ドラゴンの合間を縫って、オブリビオンに接敵もしくは射線を確保するのがいいと思います」
簡単に言ってくれるが、そのような手段がない者はどうすればいいのか。まさか飛空艇艦隊に準備があると言うのか。
そもそも仮にあったとして、操縦に慣れていない者もいるのだ。その点はどうカバーすればよいのか。
「それは、僕らに任せてくれないか」
カレルの隣に進み出たのは、同じくエルフの男だった。壮年ほどの年齢に見えるが、金髪碧眼の美しい男だ。しかしそれ以上に目を引くのが、背に負っている大きな竪琴。
「彼らはこの戦いの中で、飛空艇艦隊の仲間に加わってくれた吟遊詩人です。小型飛空艇の操縦だけでなく、音楽による支援にも長けています」
「|強化《バフ》に|弱化《デバフ》、|鼓舞《エール》に|回復《ヒール》。サポート面でも手助けが出来ると自負しているよ」
爽やかに笑う詩人勇士。
「因みに野郎と空の旅はちょっと、という御仁のために、うちには花も恥じらう女の子たちもいるからね。彼女たちも喜んで協力するよ」
凄まじくどうでもいい――いや、一部猟兵には非常に重要か――情報をありがとう。
――ともあれ。
「こほん。彼らの操縦する二人乗りの小型飛空艇に乗って、敵に対応するのがいいと思います。勿論、自分の小型飛空艇を所有している方は、そちらで向かって貰って差し支えありません」
その場合でも、吟遊詩人たちは並走して支援を行ってくれると言う。
彼らと力を合わせ、この激戦区を乗り切るのだ。
「それでは、戦場で会おう!」
グリモアの転移が及ばない詩人は自身の小型飛空艇にひらりと飛び乗ると、現地へ向けて颯爽と翔けてゆく。
「僕らも行きましょうか」
カレルもまた、煌めく台本をその手に掲げる。
それは猟兵たちの活劇と勝利を描いた|戯曲《グリモア》――。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
タイトルが長くてルビが入らなかったシリーズ第二弾(第一弾は前回の戦争)。
※Attention!!
今回、筆者のスケジュールがかなり過密なため、万が一想定以上のご参加をいただけた場合は全員採用がお約束できない場合がございます。
また、そうなった場合の採用は先着順ではありません。
私事で大変恐縮ですが、ご了承いただければ幸いです。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:集団戦『エルフの空賊』
勇士たちと共闘したり、闇の幻影ドラゴンへ上手いこと対処することでプレイングボーナスがつきます。
因みに共闘する勇士は指定あれば性別と種族(人間かエルフ)か選べます。モチベーション大事。
(指定がなければランダムになります+特に詳細に描写もされません)
なお、この詩人たちは拙作『アルカディア争奪戦②〜Rising stars』で仲間に加わった詩人たちです。
が、特に内容を確認していただく必要はございません。あくまでもフレーバー。
また、今回踊り子はおりません。詩人のみです。
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 集団戦
『空賊エルフ』
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POW : ペネトレイトショット
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【貫通】属性の【魔術装填弾】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD : アサシネイトバレット
【敵の視覚を惑わす魔法の木の葉纏った歩法】で敵の間合いに踏み込み、【呪・影・闇・魔の弾丸】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : ダブルトリガー
【天使核マスケットと天使核リボルバー】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:にこなす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
稷沈・リプス
普段は自称:人間な男だが、日蝕帝国関連ならば関係ない『蝕神』
関わり続けた身からすると、俺は『同一視されたくねぇ』ってやつなんすよ、日蝕帝国。
だから、ここに俺はいるんすよ!
小型のは持ってないっすから…よろしくっすよ!
あ、幻影避けるときには、念のために蝕属性結界も張ってあるっすよ。誤認できたら御の字くらいのっすけど。
そして攻撃時には強化がほしいっすね!
このときも小回りが効く方がいいのなら、俺は【外つ国よりの騎馬戦術】で突撃できるっすし!
…小型飛空艇から600いく神馬が突撃するって、凄い絵面っすよね…。
いや、加減する理由なんてなくて、アクセル踏むくらいの理由があるんすけど。
●
「――日蝕帝国」
稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)の密やかな呟きは、身を切る風に溶けて消えた。
詩人の操縦する小型飛空艇に乗り、幻影のひしめく空を駆る彼は、今までの日蝕帝国との戦いを思い返していた。
太陽を喰らうものを信奉し、太陽の名を冠する王国に滅ぼされ、|太陽《いのち》を憎むもの。
同じく、光への侵『蝕』を司る神であるリプスには、しかしその在り方を是とすることは、到底できなかった。彼は、今を生きる|太陽《いのち》が好きだから。
今日この日まで、日蝕帝国絡みの事件に関わり続け、戦い抜いてきた身からすれば。
(「『同一視されたくねぇ』ってやつなんすよ。だから――ここに俺はいるんすよ!」)
平素は人間を自称する彼も、今は関係ない。
『蝕神』として、雌雄を決するのみだ!
「――高度、上げていくわよ!」
「よろしくっすよ! 操縦、頼りにしてるっす!」
ぐん、と機体が上を向く。
幻影の群れを、暗雲を切るように突き抜けてゆく。
リプスもただ身を任せているばかりではない。自らの属性を結界として飛空艇の周囲に張ることで、敵の視界の誤認を狙う。
功を奏して飛空艇は、敵前まで無傷。
「強化、お願いするっすよ!」
「任せて」
朗々と、清らかに高らかに響く声は凱歌を唱する。戦意を高揚させ、身体の底から力が湧いてくるような感覚。
それで気づいた。エルフの少女が、はっとしてリプスたちを見る。驚愕の瞳は、すぐに敵意を宿した。
一発、二発――放たれた弾丸は、しかしぐにゃりと曲がるように逸れた。否、実際は直前で飛空艇が紆曲したのだ。しかし蝕の結界の前に、視界は捻じ曲がる。
「小回り効いた方がいいっすかね? 大丈夫っすよ、俺なら『コレ』で突撃できるっすし!」
嘶きを上げて、六百を超える神馬たちが走り出す。
戦女神から借り受けた彼らは凱歌に昂り突撃する。小型飛空艇とその操舵手など、一溜りもなく弾かれ空の彼方へ跳んでゆく!
「きゃーっ!」
「まずは一人!」
神馬たちは悠々旋回し、再び勝利に嘶いた。
「……しかし自分で喚んでおいてなんすけど、小型飛空艇から六百いく神馬が突撃するって、凄い絵面っすよね……」
尤も、だからと言って加減する理由などなくて、アクセル踏むくらいの理由があってのこの選出なのだが。
ともあれ、まだ戦いは終わらない。
日蝕帝国の尖兵らを遍く蹴散らすべく、飛空艇は再び天高く突き抜ける!
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
詩人さん達の助けがあるとは頼もしいですね
小型飛空艇の一つに乗せて頂いて接敵します
申し訳ありませんが操縦はお任せします…
敵が射程に入り次第
桜花燐光撃を使用
蟲笛で白燐蟲を呼び出し
なるべく多くの敵に刻印を刻みます
刻印の付与に成功した際は
相手から射程から外れないよう
距離を調節して貰います
万一敵が射程外に逃れた場合は
距離を詰めて頂き
UCを再使用します
余裕があれば
蟲笛を使い白燐蟲で追い打ちを
その際は各個撃破を念頭に置き
最も傷付いている敵を狙います
敵の動きは常時警戒
こちらの飛空艇を操縦して下さっている
勇士が負傷しないよう
狙われた際は斜線に立ち
攻撃を阻むようにします
こちらは大丈夫ですから
操縦に専念して下さいね
●
「おや、君は……」
「詩人さん達の助けがあるとは、頼もしいですね」
よろしくお願いします、と小型飛空艇に乗り込む神臣・薙人(落花幻夢・f35429)。
彼らは互いに面識があった。この戦いが始まったばかりの頃、星空の下で出会い、言葉を交わし、共に戦うことを約した者同士。
「申し訳ありませんが、操縦はお任せします……」
「はは、勿論。大船に乗ったつもりでいてくれ。小型だけどね」
行くよ、と短く告げられ、飛空艇は空高く。
幻影の隙間、蒼の残る道を突き抜ける。幾重にも重なる闇を抜けて、竜ではない小さな影を見つける。
黒塗りの蟲笛に、薙人の薄い唇が落ちる。清く高らかに奏でれば、白桜の如く蟲たちの燐光が舞う。
(「多く。一人でも多くの敵に消えない刻印を――」)
旋回する飛空艇から戦場に広がる白光の花弁。
花吹雪が空賊たちを襲い、傷つけてゆく。
「きゃっ!」
「射程、お願いします」
「了解!」
ニ、と詩人が笑えば再び飛空艇はぐるり向きを変え。
薙人の奏でる音色に導かれ、白燐蟲たちは娘たちを巻き込み絶えず吹き荒ぶ花嵐。その名の通り残花として、留まり続ける。
一人、また一人、蒼空に堕ちてゆく。
「――この!」
「! 危ない」
仲間の仇と言わんばかりに放たれた二発の弾丸を、薙人は身を呈して止めた。
一発目は、薄紅天女はためき曖昧に。しかし二発目が鋭く、薙人の肩を掠めた。
「おっと済まない! 痛かっただろう」
「いえ、こちらは大丈夫ですから。操縦に専念して下さいね」
「いいや、そういうわけにもいくまい! 竪琴はなくとも歌えるからね!」
朗々と、楽しげな男の声がそよ風の如く、風に乗って広がる。
癒しの魔力が込められた詩は、じわり、少しずつだが確実に、薙人の傷を塞いでいった。
「――ありがとうございます」
これは、負けられない。
再び、蟲笛が旋律を紡いだ。今度はいつぞやのように、詩人の声に合わせるように。
曲調の変化を聡く感じ取り、花吹雪は特に消耗の激しい少女を一息に呑み込んだ。
「きゃああ!」
また一人、堕ちる。
その度に暗雲晴れるかのようにして、幻影ドラゴンも掻き消える。
空が、蒼を取り戻しつつある。
「あちらには、まだ敵が多そうですね」
幻影ドラゴンが未だひしめく空。
主たるオブリビオンも、まだ多く残る証。
「次の行き先は決まったね?」
「はい、よろしくお願いします」
空を、再び晴れ渡らせるべく。
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ
幻影ドラゴンとはすごいのもいたものだ。
こちらの攻撃が効かないとか反則でしょ。
これは確かに操るエルフを倒すしかないね。
しかし、ジェット吹かして近づけばバレバレだから、飛空艇があった方が助かるな。
で、早速この前スカウトしてきた(食ってただけだけど)勇士達が手伝ってくれるというわけか。
これは頼もしいね。頼りにしてるよ!
まず飛空艇で近づいて、UC【影朧隠爪】を発動。
魔法の影で姿を消そう。
そして、エルフを影で捕まえて。
そこからジェットで飛び立ち、一気に距離を詰めて黒槍『新月極光』で袈裟がけ【吹き飛ばし】。
また飛空艇に戻る一撃離脱で、エルフを落としていこう。
●
(「幻影ドラゴンとは、すごいのもいたものだ。こちらの攻撃が効かないとか反則でしょ」)
はえー……と、ただただ空を見上げて感心するばかりのシモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)。
その名の通り幻影たるドラゴンたちは、物理的な攻撃を全て素通りしてしまう。
だが、シモーヌは決して悲観しているわけではなかった。
「これは確かに操るエルフを倒すしかないね」
問題は、遥か高く雲の上、ドラゴンの影に存在する彼女らに、どう接敵するかだ。シモーヌの武装にもジェット機能が搭載されてはいるのだが――、
(「ジェット吹かして近づけばバレバレだから、やっぱり飛空艇があった方が助かるな」)
しかし、シモーヌは小型飛空艇を所持していない。万事休すか――と思われたが。
「で、早速この前スカウトしてきた勇士達が手伝ってくれるというわけか」
既に詩人の女性の乗る小型飛空艇が、シモーヌの乗る艦隊に接舷している。
と言っても自分は宴を楽しんでいただけだけど――とシモーヌは苦笑するが、こうして絆を結ぶことで、助けになる縁もあるのだ。
「これは頼もしいね。頼りにしてるよ!」
「ふふ、よろしくね」
早速、ひょいと飛び乗ったシモーヌを乗せて、小型飛空艇は蒼空を切り裂き高度を上げた。
山の如く聳え立つ幻影の群れを越えて、目的のオブリビオンの姿を捉える。しかしこれ以上近づこうとするならば、確実にドラゴンたちの目に曝される。
「――地に這いし影よ。天まで昇りて我に従い我を守れ」
だから、|影朧《シルエット》を纏う。
魔法の影に包まれて、蒼空に差す陽の光に掻き消えるかのように、シモーヌの姿が溶けてゆく。
「誰っ!?」
小型飛空艇が、敵の少女の双眸に捕捉される。
だが、その銃口が操舵手の詩人へと向く前に。
「……えっ!?」
不可視の何かが、その身を縛る。
何が起きたか理解もできぬままの敵の懐へと、シモーヌはジェットで飛び込んで。
「――墜ちろッ!!」
今はその輝き隠した|新月極光《オーロラ》が袈裟掛けに振り下ろされ。
敵の足が、飛空艇を離れた。そのまま、大きく吹き飛び言葉通りに真っ逆さま。
「よし、次だ!」
目的を果たしたら、長居は無用。即座に元の飛空艇へと戻り、次の標的の元へと飛び去った。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はっはっは、自前で空飛ぶ手段は無いこともないが、ここは手を借りるとしよう
なんせ妾は応援されると嬉しくて無限に強くなる!
とゆーことで、イイ感じの音楽とか飛空艇の操縦はよろしく頼むぞ!
最初はできるだけ目立つように戦場を飛び回ってもらいたいのう
妾は銃弾を左腕で迎撃するとしよう
妾への注目の仕込みが十分となったら…右手を上げ、指を鳴らし、さあエモく降り注げ花々よ!
なるほど攻撃が通らぬとは実に強敵!
だがダメージ入らんだけで、視界の阻害を無効化はできまい?
そして降り積もる花弁の過積載、なんて悠長な沈め方はせんよ
はーっはっはっは! たかが小型の飛空艇、突っ込んで乗り手ごとまとめてブッ飛ばしてくれよう!
●
「はっはっは、蒼穹の世界に妾、推っ参!」
靭やかに艶めく肢体と、爬虫類始めあらゆる人外の因子を惜しげもなく曝し、蛇の邪神――御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は高らかに嗤う。
その背には、黒く大きな翼を負っているけれど。
「自前で空飛ぶ手段は無いこともないが、ここは手を借りるとしよう。なんせ妾は応援されると嬉しくて無限に強くなる!」
故に、詩で味方を鼓舞する詩人との相性は抜群だ。
「とゆーことで、イイ感じの音楽とか飛空艇の操縦はよろしく頼むぞ!」
「任せて頂戴。最高の|舞台《ステージ》にしてあげるわ!」
そしてどうやら派手好き同士が運命のマッチングを果たした模様。
「最初はできるだけ目立つように戦場を飛び回ってもらいたいのう!」
すると詩人は心得たと、菘の強さと美しさを讃える狂詩曲を声高に歌い上げ、敢えて幻影ドラゴンを煽るよう旋回と接近を繰り返す。
見せつけるように激突寸前まで近づかれた少女らが慌てて多段射撃を試みるも、大きく振りかぶり威容を見せつける、菘の左腕に阻まれる。其は神殺しの腕、矮小な弾丸如きに御せる筈もなく。
少女らは慄き、ドラゴンらが庇うように前線を張り直そうと動く、その視線の全てが菘と、彼女を乗せた|飛空艇《ステージ》へと向けられた時こそ、クライマックス!
掲げられた菘の右手、その指先がぱちんと小気味よく鳴り響くと――遥か天高く魔法陣が描かれて。
「――さあエモく降り注げ、花々よ!」
ぶわり、数え切れぬほどの真っ赤な|花弁《プロテア》が、帳のように広がり降り注ぐ!
しかし如何に巨躯と言えど、敵は幻影。花々はその泰山の如き身体をすり抜けてしまうが。
「なるほど攻撃が通らぬとは実に強敵! だが、ダメージ入らんだけで、視界の阻害を無効化はできまい?」
幻影と言えど、敵を捕捉する視覚を有しているのなら、花の嵐に惑うこともあろうと言うもの。
「そして降り積もる花弁の過積載――なんて悠長な沈め方はせんよ」
花に溺れる骸を愛でるより、もっと『映える』バトルがある!
「はーっはっはっは! たかが小型の飛空艇、突っ込んで乗り手ごとまとめてブッ飛ばしてくれよう!」
「えっこっち来……いやーっ!?」
花のカーテン突き破って肉薄。
弾ける花弁を貫いて、飛空艇ごと空賊討伐!
「さぁさ、次は誰が花と散るかのう?」
蒼空が暗雲ではなく、花で埋め尽くされるまで、邪神様は止まらない!
大成功
🔵🔵🔵