アルカディア争奪戦⑮〜放て、必勝の砲
●敵の大艦隊を穿て
「屍人帝国の本拠地まであと少しってところまで来たけど……ここで問題発生よ」
ブリーフィング開始と同時に、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がスクリーンに情報を表示する。
写し出されたのはいくつもの浮遊島と、その周囲に展開する屍人帝国の艦隊……その数はかなりの物であった。
「天帝騎士団配下の屍人帝国が、ここを通すまいと防衛線を敷いているの。厄介な事に数が多く、その上で圧倒的な遠距離火力を保持しているみたい」
その事もあって、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》はここで足止めを喰らっているそうだ。
このままでは屍人帝国がアルカディアの玉座に到達する時間を稼がれてしまう。
どうにかして敵艦隊を突破しなければ、アルカディア争奪戦の勝利は厳しいだろう。
「そこで|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》は敵艦隊を突破する作戦を計画したわ。その要となるのが……みんなって訳ね」
この作戦を成功させるカギが猟兵にあるとなれば、失敗は許されない。
果たしてどんな手段で攻めるのだろうか?
「その勝利の鍵がこれになるわ」
アヤカがスクリーンを切り替えると、大がかりな大砲のような設計図が表示される。
これは一体?
「勇士達のエンジニアが開発した、『超距離ユーベルコード砲』。なんでも『この砲にユーベルコードを籠めて放つ』事で、屍人帝国艦隊と互角以上の砲撃戦を行えるそうよ」
しかもこの超距離ユーベルコード砲の一番の強みとして、敵艦隊長距離砲のアウトレンジより攻撃が可能らしい。
これがあれば相手の優位を突き崩せる、まさに必勝の策と言う事か。
詳しくは現地のエンジニアが教えてくれるそうなので到着次第、直ちに話を聞いておいた方がいいだろう。
「この超距離ユーベルコード砲で、敵艦隊にどれだけの打撃を与えられるかはみんな次第よ。上手く行けば、向こうの戦力を大幅に削る事も決して不可能じゃないはず……!」
要は超距離ユーベルコード砲で敵艦隊を攻撃し、艦隊の戦力を削る。
やる事は実にシンプルだが、失敗は許されないのは先に語った通りだ。
全力で挑まなければならないのは言うまでもないだろう。
「ここを抜ければ、いよいよ屍人帝国の本拠地に攻め込めるわ。みんな、頑張ってね!」
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
いよいよ敵の本拠地が見えてきたと言った感じでしょうか。
戦争四本目となります、今回もよろしくお願いします。
●目的
超距離ユーベルコード砲を駆使しつつ、屍人帝国艦隊の戦力を削る。
プレイングボーナス:超距離ユーベルコード砲を使い、敵艦隊を砲撃する。
詳しくは章の導入部にも書きますが、この超距離ユーベルコード砲(以下、超ユ砲)は気軽にバンバン撃てるような物ではありません。
確実にユーベルコード砲撃を命中させましょう。
当然ですが超ユ砲を使うなら攻撃系ユーベルコードが望ましいです。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部を書いてから開始となります。
戦争シナリオは戦況にも影響するため、なる早で完結を目標としております。
そのため、リプレイは出来るだけ早めにお返し出来ればと思います。
また、クリアに必要な人数が集まり次第プレイング受付を締め切る方針です。
その際には『プレイング受付〆切』とタグに表記します。
もし参加人数が多い場合、不採用も出る事を予めご了承の上でご参加下さい。
それでは超距離ユーベルコード砲で敵艦隊に風穴を開けてやりましょう。
第1章 集団戦
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』
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POW : 我ら聖なる槍を振りかざし
【ロケット噴射】によりレベル×100km/hで飛翔し、【狂える信仰心】×【狂える正義】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 神は己のものを知り給う
自身が戦闘不能となる事で、【攻撃中の】敵1体に大ダメージを与える。【己が信仰する神への祈りと願い】を語ると更にダメージ増。
WIZ : 神の御業は偉大なり
【不屈の覚悟と不屈の信仰を込めた言葉】によって【天から射す聖なる光】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:スダチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ブッ放せ、ユーベルコード砲!
猟兵達は超距離ユーベルコード砲が搭載された飛空艇にやってくると、早速一人のエンジニアらしき者が駆け付けてきた。
「キヒヒヒ! よう来たよう来た!! お前さん達がやってくるのを待っとったゾイ」
現れたのは、いかにもマッドな風貌をした(ヤバそうな)エンジニアの老人だ。
おそらく超距離ユーベルコード砲を作った一人なのだろう。
甲板上には大型の、それも人がニ、三人は入れそうなサイズの大砲……超距離ユーベルコード砲が既に設置されていた。
「時間もないので、手短に使い方を説明するゾイ! この中にお前さん達が入って、ユーベルコードを放つ! そうすれば、内部の天使核がパワーを受けて、こう……ピカー! バリバリー! ズドーン! ……って感じで、放ったユーベルコードが炸裂する寸法じゃ! 超簡単じゃろう! キヒヒッ!!」
原理はよく分からないが、とにかくこの中に入ってユーベルコードを放つ。
それだけで発射出来る……で、いいのだろうか?
「んむ。ただ問題があるとしたら……こいつは突貫制作かつ試作品レベルでのぅ。制作出来た数や耐久性には限りがあって、ハデにバンバン撃てんのじゃよ。すまんのー」
つまり何発も撃てるような代物ではなく、一発を確実に当てる事が要求されるようだ。
世の中そう上手くは行かない物と言う事か。
「じゃが、お前さん達ならまー何とかなるじゃろ。デカいのを一発、頼んだぞォ! キヒヒッ!!」
そう言いマッドな笑いを浮かべるエンジニアの老人。
見た目はアレだが、技術力は確か……なのだろうか?
ともかく、準備が出来た者から超距離ユーベルコード砲を発射と行こう。
この必勝の砲で敵の大艦隊を叩くのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
そういうことでしたら、やってみますぅ。
砲塔内で遠距離攻撃可能な『F●S』全てを展開し【斂抛】を発動、[砲撃]に乗せ発射しますねぇ。
此方は『祭器による攻撃』に大質量を宿し射出する【UC】、攻撃に回す『祭器』の数を増やせば、『散弾』の様な大量発射が可能ですぅ。
更に『合計Lv回』まで軌道を操作可能ですから、[空中戦]の経験を元に『突撃』して来る相手の経路や回避行動に合わせて操作すれば、高い命中率が得られるでしょう。
弾種も『砲弾』『爆撃』『レーザー』他様々ですので、性質の異なる全てを防ぐのは困難ですぅ。
出来る限り敵方が多数集まっている位置を狙い[範囲攻撃]、一気に叩きますねぇ。
●第一射:夢ヶ枝・るこる
「わぁ、広いですねぇ……」
早速ユーベルコード砲の後方から内部に入り込んだ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、その広さに思わず感心する。
天井部分まではおよそ6メートルくらい……ウォーマシンや巨人も入れる程のサイズだ。
因みにエンジニア曰く、飛空艇に搭載出来るギリギリの大きさとの事らしい。
「これだけ大きければ、祭器を展開する余裕もありそうですねぇ」
内部スペースを上手く利用する形で、るこるは浮遊武装である祭器各種……遠距離攻撃が可能な物全てを砲の中で展開。
更に『|豊乳女神の加護・斂抛《チチガミサマノカゴ・ギョウシュウセシウチカタ》』でその数を爆発的に増加させる。
ここにユーベルコードを乗せ、一斉射を行うつもりのようだ。
「う、さすがにちょっと狭くなったような気もしますねぇ……」
だがいくらスペースに余裕はあれど、さすがに祭器の数を増やしすぎたのもあってか少しばかり狭そうな様子のるこる。
これだけの数を乗せて発射するともなると、砲身の耐久力も不安材料だ。
「……多分、大丈夫でしょう。それでは、行きますよぉ……!」
それでもここまで来たらやるしかないと、るこるは覚悟を決める。
ここからでは豆粒程度にしか見えない浮遊大陸と敵艦隊に向け、祭器が火を噴いた。
次の瞬間、砲内部の天使核が一斉に反応すると砲身内部がスパークを起こす。
まずは極太のレーザーが何もない空間より発射され、それから少し遅れて大小様々な砲弾が轟音と共に放たれる。
やがて、それらは敵陣へと高速で飛んでいき……
「定時報告。敵影は確認され……ん、なんだ? 今空の向こうが光って……」
――同刻、敵艦隊の観測手が望遠鏡越しに|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》のいる空域を監視していた際、何かに気付く。
その直後、飛んできた光が戦艦を貫き、大爆発を起こし雲海へと落ちていった。
轟沈である。
「敵襲!? 一体どこから!? ……ええい、直ちに迎撃と偵察部隊を派遣せよ!」
その様子を見ていた別の艦の艦長が、急ぎロケット・クルセイダーを出撃させる。
命令を受け、次々と甲板から飛び立っていくクルセイダーであったが……
「敵はどこかにいるはずだ、発見次第報告と攻撃を……ぐァッ!?」
レーザーから遅れて飛んできた砲弾の嵐に晒され、クルセイダー隊は空中で爆散する。
中には慌てて回避を試みようとする者もいたが、まるでこちらの動きが見えているかのような軌道を描き、砲弾が直撃・撃破されていく。
そして、飛び交う数多の砲弾と爆撃に敵艦隊の被害は拡大し……
「……お嬢ちゃん、聞こえとるか? どうやら一発目は上手く行ったようじゃ。奴ら、大慌てのようじゃぞ! キヒヒッ!」
発射から数分後、伝声管からエンジニアの戦果報告がるこるに伝えられた。
その嬉しそうな声を聞く限り、いくつもの敵艦が大破・轟沈したと見てよさそうだ。
「ふぅ、とりあえずは上手く行きましたねぇ」
まずは第一射が成功して一安心と言った様子のるこる。
この攻撃が敵を混乱させる、痛烈なファーストアタックとなった事であろう。
大成功
🔵🔵🔵
アストラ・テレスコープ
敵艦隊にもロケット使いがいるんならこっちも負けてられないね!
どっちのロケットが強いか勝負だよ!
ふむふむ……ピカー!バリバリー!ズドーン!……って感じね!
おっけー、説明は完璧に把握したよ!
ユーベルコード砲の中に入って、ユーベルコードを発動した私自身を発射してもらうね!
突撃して敵を蹴散らしちゃおう!
じゃあ行ってきまーす!
●第二射:アストラ・テレスコープ
「ふむふむ……ピカー! バリバリー! ズドーン! ……って感じね! おっけー、説明は完璧に把握したよ!」
エンジニアの説明を即座に理解したとばかりに、アストラ・テレスコープ(夢望む天体望遠鏡・f27241)が元気よく答える。
本当に理解したのかどうかについては若干疑問を覚えるが、本人がそう言っているのならそうなのだろう。
「とりあえず、あの中でユーベルコードを撃てば威力が凄くなって発射って事だよね?」
「まあ平たく言えばそうじゃのう!」
「んー……それじゃあ私自身が弾になって、砲から発射してもらう事も出来る?」
そして第二射の直前、アストラはエンジニアにとんでもない事を聞いていた。
自身が弾になるとは彼女も割とマッドな発想である。
「お前さんが弾に? ……キヒヒッ、そりゃあ面白い! いいデータが取れるぞォ!」
だが、マッドなエンジニアは彼女の提案をあっさりと飲んだ。
真っ先に命の心配をするかと思われたが、どうやらデータ収集の方が大事なようだ。
……何と言うか、色々な意味で大丈夫であろうか。
「こっちの準備は出来たよー!」
「よぉし、5カウントで撃ち出すぞ! タイミングがズレんようにな!」
砲の緊急メンテが終わってすぐ、伝声管でアストラの出撃準備が完了した事を外のエンジニアに伝える。
「カウントを始めるゾイ! 5……4……3……2……1……発射じゃ!」
「じゃあ行ってきまーす!」
カウント0の発射タイミングと同時に、アストラは『ロケットブレットハートビート』を起動、腰に付けた4つのロケットがいつもの倍以上に大きくなると、砲が超高速で彼女を射出、ロケットがブースターとなって敵艦隊へ向けて突撃していく。
「……敵影確認! 大型のロケットでこちらに突っ込んできます!」
「砲撃だ! 撃ち落としてしまえ!」
その数秒後、敵艦がアストラの姿を遠距離で確認するや、早々に砲撃で出迎える。
「あいたたっ!? でも、この程度じゃ私は止められないよー!」
……だが強力な砲撃を受けてもなお、彼女の突撃は止まらない。
ユーベルコード砲で、打たれ強さもいつもの倍以上強化されたのが幸いしたようだ。
すると今度は敵艦から迎撃部隊として、ロケット・クルセイダーが飛び立っていく。
「おっと、敵艦隊にもロケット使いがいるんならこっちも負けてられないね! どっちのロケットが強いか勝負だよ!」
同じロケット相手に対抗心を燃やしたか、アストラの目に炎が宿る。
やる気は十分のようだ。
「来たな、愚か者め。我らの信仰心と正義……なッ、早い!?」
「どっせーい!」
「グワーッ!?」
打ち上げ速度もいつもの倍以上となったアストラを捉える事は出来ず、クルセイダー隊がピンクの流星となったアストラの強烈な体当たりを喰らい、次々と落ちていく。
ユーベルコード砲で強化された彼女は、もう誰にも止められなかった。
「……ク、クルセイダー隊の半数以上が壊滅しました!」
「バカな、まだ数分も経って……あッ、奴が、こっちに……う、うわぁぁぁーッ!?」
そして敵艦の艦長が最後に見たのは、艦橋部へ突撃してくるアストラの姿であった。
それから彼女は突撃だけで次々と敵艦を落として戦場を荒らし回り、超高速で|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》へ戻っていったと言う。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェルンド・ラスリス
※アドリブ共闘歓迎
あの爺さん本当に大丈夫なんだろうな?…だがこれを使えば、攻撃が増幅されるんだな…ならば使わぬ手は無いだろう。
さて、どのUCが良いだろうか?一撃の火力の『灼砲』、弾幕数ならば『怨嗟の血杭』、拘束も考えるなら『炎巣』、命中を考えるなら『炎颯』だろうか?
とりあえず、放つぞ!
※上記の『』内のUCのどれかをおまかせします。
●第三射:ヴェルンド・ラスリス
「キヒヒッ! まさかここまでの戦果を挙げるとは、実に楽しくなってきたわい!」
二射目を終え、ユーベルコード砲の緊急メンテナンスを行っているエンジニアの老人は上機嫌であった。
相変わらずのテンションの高さだ。
(あの爺さん本当に大丈夫なんだろうな?)
その様子を見たヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は不安を覚えていた。
主にマッドすぎる性格と、ぶっつけ本番上等辺りが原因のようだ。
(……だがこれを使えば、攻撃が増幅されるんだな……ならば使わぬ手は無いだろう)
僅か二射で敵艦隊が次々と落ちていく様は、飛空艇上から彼も確認している。
ならば自分も出来るはずだと。
「よし、緊急メンテは終わりじゃ。これでまた撃てるようになったゾイ……多分!」
多分と言ってしまう辺りがやはり不安だが、あまり時間をかける訳にもいかない。
ヴェルンドは意を決して砲の中へと入る。
「さて、どのユーベルコードを放つか……」
砲内部でヴェルンドは一人考える。
一撃を重視するか手数で攻めるか、はたまた拘束で行くか命中を重視するか。
放つならパッと思い付いた、これら四択と言う事になるだろう。
「爺さん、一つ聞きたい。連続して砲を放つ事は出来るか?」
「んー、多分厳しいかのう。連続発射は天使核が焼け溶けてしまいかねんわい」
伝声管で気になった事を尋ねるヴェルンドであったが、連続発射は不可能らしい。
やはりここは一発に賭けろ、と言う事か。
「そうか、分かった。……とりあえず、放つぞ!」
そう上手く行く物ではないかと思いつつも、ヴェルンドがユーベルコードを放つ。
砲身から放たれたのは発火する無数の血の杭……『|怨嗟の血杭《ヴァンパイア・ブラッドパイル》』であった。
普段の何十倍もの燃え盛る弾が威力を増して屍人帝国艦隊へと牙を剥くと、船体に次々と突き刺さり延焼し、炎に包まれる。
「火災発生だと!? ……消火作業を優先だ! 救援を回すように通達しろ!!」
「ダ、ダメです! 他の艦も同様に火災が発生し、こちらに手が回りません!」
副官が報告した通り、艦隊一個部隊の大半が炎上と言う混迷の事態となっていた。
甲板上ではクルセイダー隊が必死で消火作業に当たっているものの、火の回りが早く、消火作業は思うようにいかないようだ。
「他の艦もだと!? 敵は我々に攻撃が届かないのではなかったのか!?」
数はおろか火力と射程もこちらが上だと言うのに、一体どうやってこちらに攻撃を……そして多くの艦を炎上させたと言うのか?
だが、そんな事を考えている間にも火の手は容赦なく回っていき……
「おお、艦隊が次々と爆発を起こしておる! 脆い船じゃのう、キヒヒヒッ!」
「……どうやら火薬庫にまで火が回り、誘爆したと見て良さそうだな」
炎上から爆沈していく屍人帝国艦隊の様子を、安全な場所からヴェルンド達は望遠鏡で確認していた。
艦隊の広範囲で火災が発生してしまえば、いずれ火薬庫へ引火・誘爆が起きる。
そう踏んで、手数の多い怨嗟の血杭で攻撃すると言う彼の狙いは見事に的中。
その結果が敵艦隊の一個部隊ほぼ壊滅と言う大戦果である。
(まさかあれだけの威力が出るとはな……ユーベルコード砲、大したものだ)
自らの戦果を直接目にして、ヴェルンドは改めてその威力に感心するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
プレゼナ・ハイデッカー
成程、つまりは一発で可能な限り多くの成果を挙げる必要がある、ということですね。
でしたら、私が籠めるユーベルコードはこれが良さそうです。
蓮月流怒龍拳奥義「嵐」。
これを籠め、出来るだけ敵の多く存在するエリアへと撃ち放てば…恐らく、着弾地点で普段使った場合と同様の竜巻と稲妻が発生することでしょう。
当たりさえすれば効果は発動しますが、当てられなければ意味が無いので、比較的当てやすい大型の艦艇を狙って撃つと良いでしょうか。
範囲内に味方はいませんから、遠慮なく三回攻撃も可能かと。
とはいえ、広範囲攻撃が可能と見れば敵も散開するでしょう。その前に、可能な限りの砲撃を行い、少しでも多くの敵を殲滅したい処です。
●第四射:プレゼナ・ハイデッカー
「成程、つまりは一発で可能な限り多くの成果を挙げる必要がある、ということですね」
いかにして効率よく敵艦隊を叩くかを改めて確認するプレゼナ・ハイデッカー(ロストエクシード・フェアリーテイル・f32851)。
ここまで発射された三発全てが敵艦隊に大きな損害を与えてきている事から、自分も負けられないと気を引き締めているようだ。
向こうがあれだけ派手にやられても、こちらのいる空域に艦隊を進めてこないのは天帝騎士団の命令で、あの場から動く事が出来ずにいるのかもしれない。
「防衛線に穴は開けられんのかもしれんのう。ま、それが命取りとなる訳じゃがな!」
その気になれば艦隊を進めてこちらを撃ち落とす事など容易なはず。
なのにそれをしてこないのは、きっとそう言う事なのだろう。
いずれにせよ、エンジニアの言うように奴らが動けない今がチャンスだ。
「さ、四射目の準備は出来たゾイ。いっちょ派手にブチかましてやれい! キヒヒッ!」
最終確認を済ませたエンジニアの見送りにプレゼナが親指を立てて返す、砲の中へ。
内部に入り込んですぐ、構えを取りつつ目を閉じて精神を集中させる。
「……私が籠めるユーベルコードはこれが良さそうです」
そして静かに目を開くと、盛大に拳を突き上げたプレゼナの『|蓮月流怒龍拳奥義「嵐」《エクシードフォース・バットテンペスト》』が炸裂する。
次の瞬間、砲内部の天使核が一気に反応すると砲身内部が派手にスパークし、稲妻を伴った竜巻が撃ち出された。
屍人帝国艦隊に向けて放たれた破壊の竜巻は、旗艦の一つと思しき大型艦に直撃。
そこを起点に巨大な竜巻と稲妻が複数発生する事で、周囲の砲艦を破壊していく。
先程まで晴天だったはずの空域がいきなりの荒天に変わり、なおかつそれが周囲に大きな被害を及ぼしている事から敵艦隊は大混乱の様子だ。
「凄まじい竜巻と稲妻に敵艦隊も打つ手なしか! 奴ら慌てて散開しておるわ!」
発射後、伝声管からエンジニアの報告を聞く限り攻撃は成功のようだ。
だが、プレゼナはまだ押しが足りないと思ったのかエンジニアに尋ねる。
「敵艦隊へ可能な限り追撃を行いたいのですが、まだ撃てますか?」
「二発目とな!? じゃが一発だけでも天使核がオーバーヒート寸前じゃからのう」
「無茶は承知の上、少しでも多くの敵を殲滅したい処ですので……」
プレゼナの本気を聞いたエンジニアは少し考えた後、こう返した。
「……ふむ、なら耐久テストと行くか! ただし壊れる寸前が限度じゃ、よいな?」
「はい。言ったからには、やってみせます」
エンジニアからの受諾を受け、プレゼナが直ちに二発目を放つ。
再び打ち出された竜巻は散開した敵艦隊に向けて飛び、破壊の限りを尽くす。
続いて三発目。
今度は二発目とは別の方向に散開した敵艦隊に向け、巨大な竜巻を叩き付けた。
「むぅ、これ以上は天使核が持たん! ここでストップじゃ!」
そして、エンジニアからもストップがかかった事で追撃は停止。
砲の内部からプレゼナが出てくる。
「成果はどうなりましたか?」
「それはお前さんが直で確かめた方が早かろう。ほい」
そう言われてエンジニアから望遠鏡を受け取ると、覗いて確かめてみる。
……浮遊大陸周辺に布陣する、敵艦隊の数が攻撃前より更に減った。
それが答えであった。
大成功
🔵🔵🔵
アポリト・アペルピシア
ぴかー、ばりばり……?
う、うむ……ともかく急造にしては中々いい仕事をするではないか
では遠慮なく使わせてもらうとしよう
さて、あの老技師いわくこの砲はそう何度も撃てる代物ではないそうだな
ではどうすれば良いか?
放たれる弾の方が無数に増殖すればいいのよ、我が『魔王千手』によってな!
しかもこれはただ数を増やすだけではない…それぞれが複雑な軌道を描きながら標的を包囲殲滅するのだ!
そのような攻撃が自らの手の届かぬ場所より飛来すれば、いかに精強な艦隊も為す術もあるまい
フハハハハ!!さあ、絶望せよ!!
そして魔王アポリトの名を魂に刻み骸の海に還るがよい!!
●第五射:アポリト・アペルピシア
「ぴかー、ばりばり……?」
エンジニアの説明が未だよく飲み込めていないアポリト・アペルピシア(魔王アポリト・f31726)は、今も疑問の表情を浮かべていた。
「そう、お前さんのユーベルコードを受けてな! こう、派手にピカーっとな!!」
そんなアポリトの疑問に対して、エンジニアは笑って答える。
やはりよく分からない人物であるが、そう言う人間だと割り切るしかないようだ。
「う、うむ……ともかく急造にしては中々いい仕事をするではないか」
「キヒヒ! こいつはワシのエンジニア人生の集大成みたいなモンじゃからのう!」
彼曰く、そろそろ隠居しようかと思っていた矢先、今回のアルカディア争奪戦が起きた事で『最後に一花咲かせよう』と奮起し、他のエンジニア達と共にこのユーベルコード砲を制作したのだと言う。
「この世界を屍人帝国の好きにさせるのは許せんでな、ワシらも徹底的に足掻いてやろうと思ったんじゃ……ま、出来る事はお前さん達の手助けくらいじゃがのう!」
「否。その心意気あればこそ、我らは戦えると言うもの。ならば応えてみせよう」
最初は頭のネジが何本もブッ飛んだ老技師とばかり思っていたが、彼の世界を守りたいと言う気持ちが確かである事に感心したアポリトはハッキリ宣言する。
「……そして見るがいい、魔王アポリトの真の力を!」
そう上手くセリフを〆てから、アポリトが砲の中へと入るのであった。
「さて、あの老技師いわくこの砲はそう何度も撃てる代物ではないそうだな」
砲の内部で、アポリトが自身の腕であるアポリトアームを組んで考える。
既に四射分を済ませた事で、砲の負担も大分かかっている事だろう。
「ではどうすれば良いか? 放たれる弾の方が無数に増殖すればいいのよ、我が『魔王千手』によってな!」
決め手はこれだとばかりに、アポリトが『|魔王千手《ヘカトンケイレス》』を発動させると、砲身から複製したアポリトアームが敵艦隊へ向けて発射される。
おびただしい数の『腕のような何か』がブルーアルカディアの空を飛ぶと言う実に奇妙な光景は、向こうもすぐに気付く事となった。
「な、なんだあれは!? ……腕が空を……飛んでいる!?」
「なんだっていい、あれは敵だ! 敵ならすぐに撃ち落とせ!」
混乱しつつも屍人帝国艦隊が砲撃の一斉射で応戦する。
強力な砲撃が襲い来る腕に直撃するも、その勢いは落ちる事なく……幾何学模様を描きながら艦隊を包囲すると、そのまま無数の腕が四方八方から艦を次々と引き裂く。
砲撃戦にも耐えうる強靭な装甲の戦闘艦が、一瞬で鉄屑に変わっていく……まさに向こうからすれば悪夢のような光景であった。
「わ、我々の艦隊が……こうも簡単に……こんなバカな事が……」
「……フハハハハ!! さあ、絶望せよ!! そして魔王アポリトの名を魂に刻み骸の海に還るがよい!!」
「なッ、だ、誰だ!? どこから……!?」
更にこの地獄に花を添えるかのように、アポリトは悪のカリスマと念動力を組み合わせる事で、威厳溢れる死の宣告を戦場に響かせ屍人帝国艦隊を恐怖させる。
ユーベルコード砲でその力を増したアポリトアームが死の宣告と共に飛び交う様は、まさにオブリビオンに対して破壊と死を呼ぶ存在そのものであった。
大成功
🔵🔵🔵
レイシャン・ラディスティ
NSマスターにおまかせします。かっこいいレイシャン・ラディスティをお願いします!
寒冷地域の海生まれ育ちの人魚系深海人です
普段の口調は「ゆるゆる丁寧(わたし、あなた、~さん、ですー、ますー、でしょうー、でしょうかー?)」
ゆるゆるふんわりした性格です
武器などは振るわず、感覚で範囲魔法を使ってどーんってします
狙撃は苦手です
自分で動くのは苦手なので、大体サーちゃん(飛べる。泳げる。速い。堅い。)に乗っています
痛いのは好きではありません
UCは指定した物をどれでも使用し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功の為でも、公序良俗に反する行動はしません
後はお任せ
宜しくお願いします!
●第六射:レイシャン・ラディスティ
「色々な物がどーん、きらきらー、びゅびゅーんって出てくるの凄いですねー」
彼女にはこれが珍しい物として映ったのであろうか?
ここまでユーベルコード砲の砲撃を近くで見続けていた、レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)が目を輝かせながら言った。
「キヒヒ、そうじゃろうそうじゃろう! ……どうじゃ、お前さんもやってみんか?」
「わたしもー、ですかー? うーん、出来ますでしょうかー……?」
ユーベルコード砲に興味を持ってくれた事に反応し、誘いの言葉をかけるエンジニア。
その問いにどこか不安そうな、或いはそうでもなさそうな様子でレイシャンが答える。
……もしかしなくても何も考えていないだけな気もするが。
「ですがー、わたしにも出来る事があるのでしたらー、やってみようと思いますー」
それでも猟兵であるレイシャンは、単にここへ遊びにやって来た訳ではない。
彼女は屍人帝国艦隊を討つべく、ユーベルコード砲を放つ要員としてやってきたと目的があるのだ……多分。
「うむ、幸い敵艦隊の数もあと少しじゃ。仕上げは頼んだゾイ!」
「これは責任重大ですねー。ではサーちゃんー、行きましょうかー」
早速レイシャンはお供である|氷海龍《アイスサーペント》のサーちゃんに乗ったまま、ユーベルコード砲の中へと入る。
砲の内部は広々とした空間で、サーちゃんも余裕で収まる程であった。
「ええっとー、確かこの中でユーベルコードを使えばー、いいんでしたっけー?」
入って早々、若干分かってなさそうな感じで首を傾げるレイシャン。
サーちゃんも『多分そうじゃないかな?』と言う顔をする。
「とにかくー、やってみましょうー。それー、ばっしゃーん」
考えるよりもまずは行動だとばかりに、レイシャンが『|凍てついて流るる《アイストゥス・グラキエス・マル》』で詠唱を始めると、砲の内部に埋め込まれたいくつもの天使核が反応するかのように光り輝く。
続いて砲身部にあるユーベルコード増幅器がスパークを起こし、その威力を倍増。
最後に射出用の大型天使核が力を解放するかのように、増幅されたユーベルコード――氷塊混じりの水の奔流が、鉄砲水のごとく発射された。
それはまるで、全てを呑み込む大津波のように空を突き進んでいき……
「……つ、津波!? おいここは空中だぞ、一体何がどうなって……」
「か、回避! 回避ィィィーッ!!」
「ダメだ間に合わん……うわあぁぁぁぁ……!」
海上ではなく空中を大津波が押し寄せると言う、なんとも荒唐無稽な光景を目の当たりにしながら、残存する屍人帝国艦隊は大量の氷塊混じりの水の奔流に流されるか、或いは押し潰されて雲海の底へと消えていった。
奇しくも『武器は振るわず、感覚で範囲魔法を使ってどーんとやる』と言うレイシャンの戦闘スタイルが、今回これほどまでにマッチするとは彼女自身も思わなかったであろう。
「んー、静かですねー、サーちゃんー? 上手く行ったのでしょうかー?」
その一方で、自身の攻撃が残りの屍人帝国艦隊を全て|完全一掃《ワイプアウト》したとは露とも思わず、またも首を傾げるレイシャン。
……残った敵艦隊が全滅したと聞かされて喜んだ(?)のは、それから少し後の事であったとか。
かくして、屍人帝国艦隊の一つは超距離ユーベルコード砲の前に壊滅した。
まだ奴らを完全に退けた訳ではないが、この勝利が屍人帝国本拠地突入の大きな一歩となるのは言うまでもないだろう。
大成功
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