アルカディア争奪戦⑥〜熾火は赫く昌盛・ラルゴ
●海珠帝国グリード
その大陸は浮遊大陸でありながら、九割が海水で出来ていた。
屍人帝国『ジェード王国』と同盟関係にある『海珠帝国グリード』。その帝国は屍人帝国の例にもれず、全てがオブリビオンである。
だが、この地に足を踏み入れた猟兵たちは驚愕するだろう。
オブリビオンの全てが『巨大化』しているのだ。
人型のオブリビオンは全てが巨人と同じ体躯を持ち、彼らよりも元より大きな魔獣は、さらに巨大化している。
自分たちがミニマムなサイズになったのかと見紛うほどの光景。
「大いなる神に我らの信仰を」
「偉大なる王のために我らの欲望はあり」
「麗しの姫君にこそ捧げられるべきである」
彼らは皆、こぞって三柱の存在を崇拝している。謎の存在であり、何を意味するのかわからない。
いや、猟兵であれば何かを察することができたかもしれない。
「そう、我らの信仰も、欲望も、何もかも捧げられるべきは、この三柱。ゆえにこの地に踏み入れた猟兵や勇士たちは私達が滅ぼす。さあ、産声を上げなさい魔獣『ウィングスパイダー』!」
一人の巨大化したオブリビオン『カーラ・ヴォス』は、その奇妙な杖を掲げる。
魔獣召喚のユーベルコードに寄って呼び出されたのは、巨大化した彼女よりも更に巨大な偉業の存在。
翼の生えた蜘蛛。
そう形容するしかないほどの異形の存在を従え、『カーラ・ヴォス』は『海珠帝国グリード』にて声を上げる。
「全て蹂躙し破壊する。我らの進軍は止められはしないのよ――!」
●アルカディア争奪戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『アルカディア争奪戦』は、徐々に多くの浮遊大陸へと道が繋がり、屍人帝国の全容を覆い隠す雲を晴らしています」
だが、まだ『アルカディアの玉座』には至れておらず、6つの屍人帝国は未だ健在だ。
屍人帝国の皇帝たちが何を望むのか。
どのような願いであれ、それを防がねば世界はカタストロフによって滅びてしまう。
だからこそ、敵の戦力は多く削ぎ落とさなければならない。
屍人帝国の一つ『ジェード王国』と同盟関係にある『海珠帝国グリード』。
その大陸は奇妙なことに、大空の世界にありながら大陸の九割が海水で出来た大陸だ。雲海でもなく、大地でもなく、海水によって存在する大陸。
「この帝国のオブリビオンたちは全てが『巨大化』しているらしいのです。言う成れば、人型のオブリビオンは巨人のみなさんと同じ体躯に。そして、彼らが手繰る魔獣は、さらに巨大化しているのです」
ナイアルテが見た予知。
そこにあったのは『カーラ・ヴォス』と呼ばれる魔導師のオブリビオン。
彼女は魔獣を召喚する力を持ち、また同時に巨大化した魔獣である『ウィングスパイダー』と呼ばれる翼持つ蜘蛛に騎乗している。
「彼女自身が巨大化することによってユーベルコードの力も拡大されています。また巨大化した魔獣『ウィングスパイダー』による突撃は、質量と速度を併せ持っているため、まさに一撃必殺レベルの攻撃となっているのです」
それは困難を伴う戦いになることを予想させるだろう。
まともに打ち合っていては、突撃に寄って容易に崩されてしまう。
ならば、猟兵達がしなければならないことは明白だ。
「はい。乗騎である『ウィングスパイダー』。翼を持つ蜘蛛の魔獣でありますが、翼は飛ぶのではなく、加速させるためのブースターのような役割を持っています。本領は、蜘蛛の脚力に寄る圧倒的な速度と方向転換能力です」
蜘蛛――雲。
その言葉に由来するかのように凄まじい速度を持つ『ウィングスパイダー』。
手繰る『カーラ・ヴォス』もまた強敵そのもの。
「ならばこそ、彼女が騎乗する魔獣の足を止めることが肝要となるでしょう。もしも、これに対する対策を打ち出せぬまま戦いに挑めば、みなさんと言えど、一撃で戦闘不能にされてしまうことでしょう」
魔獣の足を止める。
行動の起点はこれになるしかない。多くを制限されることになるだろう。
だが、それでもこれしか方法がない。
「そして、更に悪いことには周囲は海水ばかり。九割が海水であり、残り一割は無数に点在する岩場のような足場ばかりなのです。『ウィングスパイダー』はこの岩場を的確に脚部で捉え、皆さんに突撃してくるのです」
敵の突撃ルートは岩場によって制限されない。
地の利もオブリビオンにある。難しい戦いとなるだろう。
だが、徒に時間を掛けることは許されない。
この巨大化した魔獣を駆る『海珠帝国グリード』が他の浮遊大陸に侵攻をするのを許せば、人々は無事では済まない。
これは世界を守る戦いであると同時に、人々を守るための戦いでもあるのだ。
「困難な道であることは承知の上です」
だが、それでもナイアルテは微笑んで送り出す。
猟兵たちならばと期待しているのではない。信じているからこそ、彼らを送り出すのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオとなります。
屍人帝国『ジェード』と同盟関係にある『海珠帝国グリード』との戦いになります。
大陸の九割が海水で出来ており、巨大化した魔獣を駆るオブリビオン『カーラ・ヴォス』は点在する小さな岩場のような足場を使って圧倒的な速度で巨大化した魔獣『ウィングスパイダー』を手繰り、突撃してきます。
その突撃は一撃必殺レベルです。
皆さんでも受ければ即座に戦闘不能になるでしょう。
周囲が海水ばかりで、魔獣が突撃するために必要な足場のような岩場は無数に点在しています。
これらの状況を利用し、皆さんはなんとしてでも魔獣の足を止めなければ勝機を掴むことはできません。
プレイングボーナス……オブリビオンが騎乗する魔獣の足を止める。
それでは『アルカディア争奪戦』、屍人帝国の野望を打ち砕くべく雲海を進む皆さんの冒険と戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『カーラ・ヴォス』
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POW : カオス・バースト
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【暗黒】属性の【破壊光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD : ソード・バレット
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【魔法剣】で包囲攻撃する。
WIZ : 魔獣召喚・ウィングスパイダー
自身の【魔力】を代償に、1〜12体の【翼の生えた蜘蛛】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
イラスト:オギモトズキン
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルコ・アーラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リントブルム】に騎乗)
……すごく大きい……そしてその大きさを最大限利用した質量攻撃ね……強みを判ってる厄介な攻撃だ…
…でも…その質量が仇にもなる…岩場を利用しているなら脚を乗せる場所は明白…
…【支え能わぬ絆の手】を発動…突進ルート上にある岩場の摩擦係数をほぼ0にしてしまおう…
速度や質量があるからこそ…転倒したときのダメージも大きい…なにより岩場が点在しているからダメージはより大きくなるだろうね…
…そして相手が起き上がるまえに重奏強化術式【エコー】で効果を高めた氷の矢の術式を多重発動…スパイダーとカーラに無数の氷の矢を叩付けてしまおう……
『海珠帝国グリード』のオブリビオンは全てが巨大化してる。
『カーラ・ヴォス』もまた同様である。人型であるがゆえに巨人の如き体躯。振るういびつな蜘蛛を模したであろう杖を振るい、彼女は己の乗騎たる魔獣『ウィングスパイダー』を手繰る。
「我らが大いなる神、偉大なる王、そして麗しの姫君のために!」
翼持つ蜘蛛である巨躯がいななくように、その強靭な足を蠢かせる。
魔獣『ウィングスパイダー』は速度に優れる魔獣である。
翼に見えるのはブースターのような役割果たす器官であろう。さらに『カーラ・ヴォス』の瞳がユーベルコードに輝く。
周囲に浮かぶ魔法剣が魔獣『ウィングスパイダー』を護り、大質量を乗せた圧倒的な速度による突撃を鉄壁のものとしていた。
「……すごく大きい……そしてその大きさを最大限利用した質量攻撃ね……強みを分かってる厄介な攻撃だ……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は飛行式箒『リンドブルム』に腰掛けながら、その威容を見やる。
確かに隙のない布陣だ。
騎獣としての『ウィングスパイダー』はもちろんのこと、それを手繰る『カーラ・ヴォス』もまた手練。
巨大化した巨人のような体は、そのユーベルコードすらも巨大化させている。
魔法剣は巨大であり、付け入る隙を与えないようでもあった。
だが、メンカルはこれ以上の難題をこなしてきた猟兵である。
彼女は『海珠帝国グリード』の極端な地形をこそ利用すべきであると理解していた。この『海珠帝国グリード』は、この大空の世界ブルーアルカディアにおいて稀有な九割が海水で満たされた大陸だ。
残り一割の大地は、岩場ばかり。
つまり、『ウィングスパイダー』は、その岩場を足場にして突撃してくる。無数にある岩場を計算にいれれば、そのルートを割り出すことはできる。
「だからどうだというの? 仮にルートがわかったとしても!」
『カーラ・ヴォス』が『ウィングスパイダー』を手繰り、箒によって浮かぶメンカルへと突進してくる。
凄まじい速度。
ルートがわかっていたとしても反応するので精一杯であった。
だが、メンカルの瞳に焦りはない。
輝くのはユーベルコードのみ。
「繋ぎ止める絆よ、弱れ、停まれ。汝は摺動、汝は潤滑。魔女が望むは寄る辺剥ぎ取る悪魔の手」
支え能わぬ絆の手(フリクション・ゼロ)は、ルート上にある足場である岩場の摩擦係数を極限まで減らす。
情報を改ざんすることによって、『ウィングスパイダー』が踏み込んだ足場は普段のゴツゴツした取っ掛かりのある岩場ではなくなっていた。
「――ギギィッ!?」
『ウィングスパイダー』は己の脚部が、いや、己の頭部が傾ぐのを感じただろう。奇妙な感覚。
なんだ、と理解することもできなかった。
その脚部でふんばろうと別の足場に足を掛けた瞬間、さらに体が横滑りする。
「摩擦係数を……!」
「……そう、その質量が仇にもなる……確かにその魔獣の突進は恐ろしい。けど、岩場を利用して加速してくるのなら、脚を乗せる場所は明白……」
メンカルは見下ろす。
箒に乗っているからではない。彼女の保つ高度は『カーラ・ヴォス』たちにとって通常の目線。
だが、今彼女たちは岩場から滑り落ちるようにして転倒しているのだ。
「ギギィッ!!!」
『ウィングスパイダー』が鳴く。細い脚は確かに凄まじい速度を生み出す。だが、その速度故に滑った時のダメージは尋常ならざるものとなる。
「……お前たちが起き上がる頃にはもう術式は完成している……」
メンカルの掌が掲げられた瞬間、多重展開された術式が空より『カーラ・ヴォス』たちを睥睨している。
魔法剣が走る。
だが、遅い。全ては遅きに失するものであった。
魔法剣が飛ぶより速く、展開された氷の矢の術式が『カーラ・ヴォス』と『ウィングスパイダー』を巻き込むように叩き込まれる。
「ぐっ、くっ……! だが、この程度で……!『ウィングスパイダー』!!」
だが、『カーラ・ヴォス』は見ただろう。
メンカルの放った氷の矢はこの九割が海水で出来た『海珠帝国グリード』の立地を最大限に活かし、その巨大魔獣の足元を凍りつかせ、その最大の武器である突進を殺す。
放たれる矢の雨が次々と『カーラ・ヴォス』を貫き、メンカルは悠然と空にて飛ばぬ翼在る者を下すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェルンド・ラスリス
※アドリブ共闘歓迎
自分の都合で、他者を傷つける。そのしっぺ返しを食らう覚悟は出来てるんだろうな!
蜘蛛だろうが、なんだろうが容赦はしない!
自分からこっちに突っ込んでくるというのなら、好都合だ。
岩と岩を結ぶように、UC『炎巣』を発動。蜘蛛を絡めとって見せよう。
無様だな。蜘蛛が蜘蛛の巣に引っかかる様ってのは。
身動き取れなくなった蜘蛛ごと、カーラヴォスを、黒焔で灼き斬ろう
氷の矢が『カーラ・ヴォス』と巨大魔獣『ウィングスパイダー』の足を止める。
凍りついた海水。
摩擦係数を限りなく0に近づけられた岩場。
けれど、『ウィングスパイダー』の細くも強靭な脚は踏み砕くようにして摩擦を強引に取り戻す。
砕けた氷を踏み砕きながら翼をブースターのように羽撃かせ、さらに突進するために加速する。
まるで水切り石のように飛ぶようにして『ウィングスパイダー』は、その蜘蛛たる名の由来のとおりに疾駆するのだ。
「まだ! この程度で止まるものか!」
さらに『ウィングスパイダー』の小型版とでも言うべき魔獣達が『カーラ・ヴォス』によって召喚され猟兵たちに迫る。
その小型魔獣たちを前にヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は立ちふさがる。
「自分の都合で、他者を傷つける。そのしっぺ返しを喰らう覚悟はできてるんだろうな!」
「己のためではないよ! 私は大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君のためにこそ戦うのだ! これこそが私の信仰の形! お前たちの言うところの自分の都合などではないのだ! 大いなる神と偉大なる王、麗しの姫君のためになるのならばな!」
突進してくる『ウィングスパイダー』の速度は目に捉えるのがやっとであった。
「そうかよ! なら蜘蛛だろうが、なんだろうが容赦はしない」
ヴェルンドの瞳がユーベルコードに輝く。
だが、それは自殺行為であった。
大型魔獣『ウィングスパイダー』の速度は凄まじく、その大質量に寄る突撃の一撃は、受ければ猟兵と言えど即座に戦闘不能にさせられてしまう。
それほどまでに凄まじい一撃なのだ。
それを真っ向からヴェルンドは受け止めようとしている。
「血迷ったか!」
「いいや……自分からこっちに突っ込んでくるというのなら好都合だ」
全身から放たれるのは蜘蛛の巣状の地獄の炎。
それは岩場と岩場の間に飛び、迫る『ウィングスパイダー』を受け止める。地獄の炎の巣は、『ウィングスパイダー』の突進を止めるも、ぶちぶちと嫌な音を立てて引きちぎられていく。
止められない。
魔獣『ウィングスパイダー』の突進能力は群を抜いていたのだ。
「止まるものか……!『ウィングスパイダー』、ぶち抜け!!」
「無様だな。蜘蛛が蜘蛛の巣に引っかかる様ってのは」
だが、脚は止まった。
ヴェルンドの姿は最早、『ウィングスパイダー』の正面にはない。巨大化したオブリビオン『カーラ・ヴォス』の頭上に飛ぶ姿こそ、彼女たちが見たヴェルンドの姿であった。
吹き荒れる獄炎。
手にする大剣は、たしかに巨大化した『カーラ・ヴォス』たちにとっては小さき剣のように思えただろう。
だが、彼の復讐心が燃え上がる。
オブリビオンを許さないと。己の中にある復讐は、果たし切るまで燃え尽きることがないと示すように、その黒き大剣を振り下ろす。
一閃が『カーラ・ヴォス』の顔面を捉え、袈裟懸けに傷を刻み込む。
「ああああっ――!? 私の、この私の顔に傷を……!」
「捉えた! 言っただろう! そのしっぺ返しを受けてもらうと! その傷を抱えて獄炎に包まれろ、オブリビオン!」
ヴェルンドの咆哮と共に地獄の炎の巣が巨大な『ウィングスパイダー』ごと『カーラ・ヴォス』を包み込み、その身を焼く。
立ち上る炎は、海水ばかりの『海珠帝国グリード』においては似つかわしい光景であったこだろう。
だが、それでいいのだ。
屍人帝国に与する帝国を滅ぼす。
これがヴェルンドの掲げる復讐の炎。
獄炎による滅びの兆しであったのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
蜘蛛か…大きいと怖いよねー。
突進後そのまま食べられちゃいそうだし。
どうにか足を止めないと…
敢えて海に飛び込んで水中から仕掛けよう。
高速、多重詠唱で水と氷の魔法を使用、周囲の海水を凍らせ砲弾のようにして蜘蛛を狙う。
糸とか翼生えた蜘蛛での反撃は海に潜り回避。
水の抵抗で追いかけてくる速度は落ちるだろうし水中は俺の得意領域だ。
水中機動や高速泳法で翻弄しつつ反撃。
多少の傷はUCで治療、生命活動を加速させより速く泳いでやる。
痺れを切らせて本体が飛び込んできたなら水の魔法で水流操作し大渦を形成。
陸上の生物は大層逃れ難いだろうし動きも悪くなるだろうね。
その隙にカーラに銛を投擲してやろう。
※アドリブ絡み等お任せ
猟兵の放った斬撃の一撃が『カーラ・ヴォス』の顔に袈裟懸けに振るわれる。
血潮が迸り、その傷が浅からぬものであることを知らしめるだろう。
「この私の顔に傷を……! よくも!」
彼女の瞳は憤怒に燃える。
その憤怒に呼応するかのように巨大魔獣である『ウィングスパイダー』の細い足が岩場を打ち鳴らす。
「蜘蛛か……大きいと怖いよねー」
ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はシャチのキマイラである。彼の体躯は確かに逞しく雄々しいものであったが、この『海珠帝国グリード』においては、その体躯もまた小さきものであると言わざるを得なかった。
何せ、全てのオブリビオンが巨大化しており、彼らが操る魔獣もまた、彼らを上回る巨体であったのだ。
魔獣『ウィングスパイダー』は、その威容もまた恐ろしさを助長させる。
ヴィクトルはどうにか足を止めなければと、大陸の九割が海水であることを利用し、飛び込む。
水中であれば、足場を利用して突進してくる『ウィングスパイダー』の追跡を躱す事ができると分だからだ。
「ちょこまかと! 我らが大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君に捧げるための場所において水中戦を仕掛けようなどと!」
ヴィクトルは海中から多重詠唱で水と氷の魔法を砲弾のように『ウィングスパイダー』へと放つ。
「その魔獣は海中には踏み込めないだろう。なら、俺はこちらのほうが得意なのでね」
ヴィクトルは海中を飛ぶようにして泳ぐ。
流線型の肉体は、水の抵抗などなんのそのである。水中機動による高速泳法。シャチのキマイラならでの方法で『ウィングスパイダー』を翻弄する。
「ギギィッ!」
「狙いが定まらないか……だが!」
ヴィクトルが水中より飛び出した瞬間を狙うように小型の魔獣が襲いかかる。
だが、それこそがヴィクトルのし掛けたブラフであった。自分が海中より飛び出す瞬間を『カーラ・ヴォス』は狙うだろう。
厄介な敵である自覚はある。
だからこそ、飛び出した瞬間に魔獣で拘束。そして、そこに――。
「魔獣を突撃させる。そう来るだろうと思っていたよ!」
ヴィクトルの魔法が輝く。
それは水流操作。魔法に寄ってヴィクトルと『カーラ・ヴォス』たちを繋ぐ直線上に発生した大渦が『ウィングスパイダー』の足を止める。
海中に飛び込むことができないのならばこそ、足を止めるとヴィクトルは理解していたのだ。
小型の魔獣たちに組み付かれてなお、ヴィクトルの瞳はユーベルコードに輝く。
食い込んだ傷口から雷撃が迸った。
「ちょっと痺れるよ」
活力の雷(ガルバニズム)。
それは生命活動の速度を操作する雷撃。
迸る雷はヴィクトルの傷を癒やし、その手にした銛を掲げる。
「足は止めた。なら、狙い所だ」
ヴィクトルの手にした銛が『カーラ・ヴォス』を狙う。
放たれる投擲は、如何に速度に優れる魔獣に騎乗していたとしても、足を止めた瞬間であれば的と同義である。
放たれる三又銛は狙い過たず『カーラ・ヴォス』の巨体を貫く。
「ゴ、はっ……!?」
「さらにおまけだ」
ヴィクトルの魔法が走る。
海水を凍らせた砲弾。その魔法が巨大なる彼女を狙う。何せ、材料となる海水は、ヴィクトルの支配下にある。
銛を道しるべにするように氷の弾丸が放たれ『カーラ・ヴォス』はしたたかに打ちのめされるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
では始末するか
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
自身を物理法則から断絶、無限加速して目標に近接し白打で一撃
それを以て天印起動
そのまま封殺を図る
行動と能力発露を封じればただの的
周囲の蜘蛛諸共に存在原理から消し去るゆえ、後腐れもあるまい
オブリビオンは終わったもの
早々に退場しろ
※アドリブ歓迎
氷の弾丸が巨人の体躯を持つオブリビオン『カーラ・ヴォス』と、さらにそれよりも巨大な大型魔獣『ウィングスパイダー』を打ちのめす。
だが、それでもなお巨人の如き体躯であるからか、規格外のタフネスを持ち『カーラ・ヴォス』は叫ぶ。
「我らが大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君にご照覧頂く戦いを! 猟兵などに汚されてたまるものか!」
叫ぶ『カーラ・ヴォス』の手にした奇妙な蜘蛛を模した杖がユーベルコードに輝く。
放たれるは『ウィングスパイダー』を小型にした魔獣。
とは言え、小型と言っても彼女が騎乗している大型魔獣に比べれば小型であるということでしかない。
「ギギィ!!」
一気に走る小型魔獣達。
彼らが目指すのは猟兵。
蜘蛛とは巣を張り巡らせ、獲物を待ち伏せするだけが取り柄ではない。彼らは根からの狩猟性を持っている。
迫る猟兵たちを槍の如き鋭い脚部で突き刺し撃滅せんと足場たる岩場を跳ねて飛ぶ。
それをアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は息一つ吐き出すことなく、周囲にまとう蒼い淡光でもって拒絶する。
断絶された攻勢の全て。
十一の原理は無限にまわり、己に害あるものを無限に破壊していく。
「では始末するか」
短く告げる。
小型魔獣たちが断絶され、アルトリウスとの距離が開いていく。
到達出来ぬ無限の彼方にあればアルトリウスは最早手を下す必要などないと背を向ける。
「大質量で押しつぶすのみ!」
空より飛び込んでくるのは大型魔獣『ウィングスパイダー』。
その脚部の先は槍というより、もはや鉄槌のようであった。
その一撃をアルトリウスは拳で持って相対する。それは自殺行為であった。まともにぶつかりあえば、圧倒的な質量差でもって押しつぶされるのは自明の理である。
だが、それを覆すのがユーベルコードである。
「下せ、天印(テンイン)」
きらめくユーベルコードは、行動と能力を封じる静止の原理。
あらゆる原理を崩壊することによって、大質量差を覆す。落下するという動きを止めたアルトリウスは静かに拳を構える。
「――、動かない……なぜだ。落下しているということはわかるのに、落下が終わらないのはどういうことだ!」
『カーラ・ヴォス』は理解できなかった。
今まさに体感しているのは落下しているという感覚。
だが、それが終わらない。
落下しているということは着地する、ということだ。だが、その落下の衝撃が伝わってこない。
浮遊感だけが己の臓腑を持ち上げ続けているような奇妙な感覚。
怖気が走る。
「これは、ユーベルコードか!」
「オブリビオンは終わったもの」
放たれるアルトリウスの拳の一撃が『ウィングスパイダー』の脚部をカチあげる。弾くようにして打ち上げられた『ウィングスパイダー』の一脚が跳ね上がり、根本からへし折れていく。
体液が雨のように降り注ぎ、海へと雨のように降り注ぐ中、アルトリウスは原理に寄ってそれらを寄せ付けずへし折った脚部を海面に放り投げた。
「早々に退場しろ――」
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「巨大な魔獣。あれでも蜘蛛か。
自然界では巨大さは強さに直結する。
単純なだけに厄介な相手だ。」
龍翼の翔靴を使い【残像】を発生させながら
海面や岩場を走り敵の攻撃を逃れ
フレイムテイルの炎で蜘蛛を攻撃。
与えるダメージは低くとも攻撃を続け
時に海水を蒸発させた蒸気をぶつけ
熱気攻撃と目晦ましを行う。
その後真羅天掌を発動し凍結属性の雨を発生させ
辺りを氷漬けにする。
蜘蛛にも浴びせた蒸気を凍らせ凍結攻撃をするが
巨体による力で氷を砕かれても術を継続。
真の狙いは氷での拘束ではなく
先の炎攻撃との温度差で蜘蛛の体に負荷を与え
温度低下によって蜘蛛を休眠状態にさせる事。
成功したら雨をカーラ・ヴォスに集中
今度こそ氷漬けにする。
猟兵に寄ってへし折られた大型魔獣『ウィングスパイダー』の一脚が海中に没し、波間に波紋を刻む。
「ギギィ――!!!!」
痛みに喘ぐような鳴き声が響き渡り、オブリビオン『カーラ・ヴォス』は己の魔獣の突進がことごとく猟兵たちに止められただけでなく、自身にも魔獣にも手傷を与えられたことに怒り狂う。
「よくも、よくもよくもよくも! 我らが三柱の神々に奉ずる信仰を邪魔立てする異物どもが!!」
咆哮と共に放たれる小型魔獣。
いや、小型と言っても大型魔獣の『ウィングスパイダー』と比べれば小型であるというだけであって、ブルーアルカディアに存在する巨大な魔獣と同等の大きさを誇る12の魔獣が猟兵たちに迫る。
「巨大な魔獣。あれでも蜘蛛か。自然界では巨大さは強さに直結する。単純なだけに厄介な相手だ」
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は風の精霊力が込められたブーツから発生する風後からによって海面を疾駆する。
岩場を走り、迫る小型魔獣の追跡を躱しながら本命である『カーラ・ヴォス』へと迫る。
放たれる炎が小型魔獣たちを焼滅しながら、その海水が炎によって水蒸気へと変わるのを見届ける。
これならば目隠しになるかもしれない。
だが、敵は巨大だ。
どれだけ水蒸気を発生させたのだとしても、それを振り払うことができる。
「無駄だ! ちょこまか逃げようとも! 私と『ウィングスパイダー』から逃れられるものか! 轢き潰してくれる!」
足場たる岩場を跳ねるようにして駆け抜ける『ウィングスパイダー』の突進は凄まじいものである。
そこにフォルクの炎が飛ぶ。
「無駄だと言った!」
「そうだな。確かに無駄だ。だが――!」
フォルクの瞳がユーベルコードに輝く。
それは氷。
水蒸気を冷やし氷の礫として、さらに連鎖するように『ウィングスパイダー』の足場を凍りつかせる。
ここが海面であるがために『ウィングスパイダー』を覆う湿気も手伝い、その体を霜が覆うようにして凍結させていく。
これを狙っていたのだろう。
動きを止める。
凍結に寄って動けぬ状況を作り出し、突撃攻撃をさせぬのだ。
「愚かだな、猟兵! この程度で『ウィングスパイダー』が止まるものか!」
凄まじい音を立てて『ウィングスパイダー』が凍結を打ち破り、フォルクへと迫る。
だが、フォルクは立ち止まったままだった。
「本当の狙いはそれではない。氷の拘束ではなく、先の炎と今の氷。温度差による生体への負荷……寒さと暑さ。急激な温度差は蜘蛛にとって大敵だろう」
その言葉通り、フォルクの目の前で『ウィングスパイダー』が止まる。
ゆっくりと、きしむように動きを止めるのだ。生物である以上、その体を巡っている体液が存在している。
熱せられ、凍らされ、その急激な温度差に体内の液体は急激に膨張し、その肉体を手繰る神経すら狂わせるのだ。
「今度こそ氷漬けにする」
フォルクは真羅天掌(シンラテンショウ)によって制御された氷の雨でもって『カーラ・ヴォス』を凍結させる。
大型魔獣の脅威はもちろんのこと。
それ以上にオブリビオンを打倒することこそが、フォルクの狙いであった。
猟兵たちの与えた打撃は消耗に繋がる。
例え、今フォルクが倒しきれなくても『カーラ・ヴォス』が消耗していけば、必ず続く猟兵が倒してくれる。
「その氷の棺を解こうとも、次なる猟兵が君を滅ぼす。猟兵とはそういうものだ――」
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
で、でかい
流石にこの大きさだと、ちょっとした恐怖感を感じるな
周囲が海水で満たされた空間なら、水の疑似精霊の得意空間か
よしそれならば…、無機物(命なき物)よ疑似精霊となれ!
ここなら飴を使わなくとも豊富な水が力を貸してくれる
さぁ、水の疑似精霊、全力で行くよ!
【全力魔法】力を注ぎ込んで水面を凍結させ、無数の針のごとく蜘蛛の体に突き立ててやる
最低でも障害物が一気に増える事で蜘蛛の加速力を削ぐ事が出来るだろう
蜘蛛の足止めに成功したら飛翔衣の力で【空中戦】開始
風の【属性攻撃】付与した護符の【乱れ撃ち】で敵を切り刻み
【オーラ防御】で刀を【武器改造】、刀身の伸びた【破魔】付与の刀で蜘蛛もろとも敵を切り裂く
猟兵のユーベルコードによって氷漬けにされた大型魔獣『ウィングスパイダー』とオブリビオン『カーラ・ヴォス』。
彼女たちは通常のサイズよりも更に巨大化している。
これが『海珠帝国グリード』のオブリビオンの特徴だ。
全てが巨人の如き体躯を誇り、手繰る魔獣すらも同じように巨大化している。
その大質量に寄る突撃の一撃は脅威そのものであった。
今まさに猟兵のユーベルコードが彼女たちを氷漬けにしたのだが、その棺の如き氷すらも内側から強引に突き破るようにして『カーラ・ヴォス』と魔獣『ウィングスパイダー』は食い破る。
放たれる12の小型魔獣たちが海面にある足場たる岩場を駆け抜ける。
小型と言っても通常の魔獣と同じサイズだ。
その数は鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)にとって脅威そのものであったが、それ以上に巨大な『カーラ・ヴォス』と『ウィングスパイダー』の姿こそが、恐怖を感じさせた。
「で、でかい」
流石にこれほどまでにサイズ差があるのは生命としての本能が恐怖として実感させる。
だが、ひりょたち猟兵はこれよりも巨大な敵と戦ってきたのだ。
ならばこし、ひりょの瞳はユーベルコードに輝く。
「場よ変われ! 無機物よ、疑似精霊となれ!」
放たれるユーベルコードの輝きが、固有結界・黄昏の間(コユウケッカイ・タソガレノマ)となって展開する。
此処は海面。
普段は飴玉を使って疑似精霊たちの力を借り受けるものだが、海面ならば水の精霊の得意な空間であるがゆえに、その必要もない。
「力を貸してくれ、水の疑似精霊」
「止められるものか! 我らが突進を! 轢き潰し、貴様らの躯を我らが三柱の神々に奉ずる!!」
迫る『ウィングスパイダー』の突進。
猟兵たちの攻撃に寄って一脚を失い、その体躯に傷を刻まれてなお突進の力は衰えなかった。
凄まじい突進能力。
だが、ひりょの求めに答えた水の疑似精霊たちは『ウィングスパイダー』の突進経路の海面を凍結させる。
無数の針のごとく屹立した氷は『ウィングスパイダー』の胴部を貫く。
「氷の攻撃……一つ覚えで!」
バキバキと音を立てながら氷の針を折り『ウィングスパイダー』は走る。
止められない。
けれど、加速も十分に得られていない。
ひりょの衣が翻り、空へと舞い上がる。
突進の力が弱いのであれば、躱すことだってできるのだ。
「ここが海面でよかった。九割が海だなんて凄まじい大陸だと思うよ……けどさ!」
空を舞うひりょが風の精霊力を付与した護符をばら撒く。
放たれる風は旋風そのもの。風の刃となった力が『ウィングスパイダー』を切り裂き、 『カーラ・ヴォス』に迫るのだ。
「魔獣に掛かりっきりで、俺たちを止められると思うな!」
伸びるオーラの力。
それは刀の刀身へと代わり、破魔の力が付与された斬撃となって『カーラ・ヴォス』へと放たれる。
杖と刀の刀身がぶつかり合い、その力の激突が奔流を生んで周囲に飛び散っていく。
火花散るような鍔迫り合い。
「我らが信仰を否定するか!」
「『今』を滅ぼすというのなら、そうなる!」
ひりょは渾身の力を持って破魔の力宿す刀を振り抜く。巨大な『カーラ・ヴォス』を袈裟懸けに切り裂き、その杖すら両断しながらひりょは海面に飛び込み、水の疑似精霊たちの力を借りて、凍りついた海面を滑るようにして『ウィングスパイダー』の腹部に斬撃を見舞うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だけど、また関係ない
ついたら即UC使用。そして水中へ
陰海月「ぷっきゅ!」
…陰海月語を翻訳します…
水中はぼくの陣地!なんか故郷(グリードオーシャン)に似てるよね、ここ。
たがらなおさら、ぼくがやった方がいいもん!
じゃ、さっそく。さむさむおじーちゃん(『静かなる者』)の力・氷雪属性を借りて。付近の岩場を、水中からぺちぺち叩いていくね!
そして…その近くの空中に、ざばって出てみよう。
うん、こっち来るよね?でもね、さっきぺちぺちしたお陰で、岩場は氷に覆われたんだ。
つまりは滑るよ!岩場のスケートリンク。
さらに、そこへ光珠もぽいぽい投げてるから…さらにさむさむな冷たい攻撃がいくよ!
『海珠帝国グリード』は、九割が海水の大陸である。
残る一割は岩場。
それは『カーラ・ヴォス』が手繰る大型魔獣『ウィングスパイダー』の足場となっていた。
だが猟兵たちはその足場を逆手に取って突撃のルートを割り出し、また時には足場そのものを不安定なものへと変えて突撃を阻んでいた。
「私の『ウィングスパイダー』の突撃に対処している……これが猟兵の戦い方。初見では確実に殺せるというのに……!」
大質量による突撃。
轢き潰すかのような一撃は猟兵であっても防ぎようがない。
正面から相対すれば、一撃必殺となり得る一撃なのだ。
巨人の如き体躯『カーラ・ヴォス』は傷ついている。さらに大型魔獣である『ウィングスパイダー』もまた同様だ。
「ここまで消耗していては、我らが信仰を捧げる神々に申し訳がたたぬ!」
放たれる小型魔獣たち。
それは小型と言っても大型魔獣である『ウィングスパイダー』と比較すればの話である。通常の魔獣と変わらぬ巨体でもって小型魔獣たちは疾駆し、猟兵たちを阻む。
「ぷっきゅ!」
その鳴き声が響いたかと思った瞬間、海中に巨大なクラゲが飛び込む。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の影より飛び出した『陰海月』は即座に四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって合体し、1680万色に輝きながら、呪詛をまとう。
ここは海中。
ならば己の陣地であると主張するように光り輝く呪詛と共に光珠を解き放つ。
彼にとって此処は故郷である『グリードオーシャン』に似ているように思えたのだ。だからこそ、自分の出番であると四柱の一柱『静かなる者』の氷雪の力を借り受け、触腕を振るう。
「嫌に目立つクラゲ!」
『カーラ・ヴォス』はその叩き折られた杖を振るう。そこに敵がいるのならば、これを討ち果たすのがオブリビオンである己の使命である。
魔獣『ウィングスパイダー』が走り、海中に在る存在を滅ぼさんとする。
しかし、その小型魔獣たちが次々と凍りついていくのだ。
『陰海月』の力は四柱の氷雪の力によって、周囲の足場を氷漬けにする。
「うん、こっちに来るよね? でもね」
『陰海月』は自身の周囲が凍りつき、蜘蛛の細い脚部では踏ん張れぬことを知っている。
覆われた氷により、さらには猟兵に寄って傷つけられた大型魔獣『ウィングスパイダー』は踏ん張ることができないだろう。
岩場のスケートリンクへと変えた『陰海月』は光珠を解き放つ。
1680万色に輝く光珠は、滑りかく座するように突っ伏す『ウィングスパイダー』を打ち据える。
あの巨体は確かに脅威そのものだ。
けれど動きを止めてしまえばこっちのものであるし、何より騎乗するオブリビオン『カーラ・ヴォス』を仕留めてしまえば、この戦いはこちらに優位になる。
「『ウィングスパイダー』……!」
鞭打つように叱咤する『カーラ・ヴォス』。
その巨体を頼みにしていたからこそ、その一点が崩れれば後は脆いものである。どんなにあがいた所で、彼女を襲うゲーミングカラーの光珠は躱せるものではない。
撃ち込まれた光珠が『カーラ・ヴォス』をしたたかに打ち据え、その巨体を吹き飛ばし、再び『陰海月』は故郷の海を思い起こさせるような『海珠帝国グリード』の海中をにぎやかに輝きながら揺蕩うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
蜘蛛……!
あんまり得意じゃないけど、ここまで大きいと逆に気持ち悪くないかも。
ここはテルビューチェの力を借りて、海の中から仕掛けよう!
まずは水中に隠れて、岩場を渡る蜘蛛の様子を下から伺おう。
上手く近付けたらユーベルコード発動!
岩を纏めてサメロボットに変化させて、足場を奪うと同時に噛み付かせて重石にする!
更にテルビューチェにも【怪力】で蜘蛛の足を掴ませて【重量攻撃】!
海の中に引きずり込んでやる!
ここなら蜘蛛が幾ら大きくても、敵のユーベルコードでいっぱい出て来ても有利なはず。
【水中機動】で翻弄して、岩で作ったサメと一緒に噛み付いてバラバラにしてやるんだから!
蜘蛛。
その奇怪なる姿を得意としない者もいるだろう。
時として生命としての機能美に溢れた姿をしている昆虫達であったとしても、見慣れぬ者、苦手な者にとってはおぞましき存在に映ることだろう。
それを否定することはできようもない。
だが、杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は『海珠帝国グリード』に立ち、巨大な魔獣である『ウィングスパイダー』の威容を前に震えることはなかった。
「蜘蛛……!」
正直に言えば、あんまり得意ではない。
だがしかし、ここまで大きいと逆に気持ち悪くないかもしれない。
いや、やっぱり無理かもしれない。
拡大して見た実物の蜘蛛そのものなのだ。いや違う違う。あれは動く魔獣なのだからと潤は必死に頭を振る。
「我らの奉ずる神の邪魔立てをする猟兵など!」
脚部の一つを失いながらも魔獣『ウィングスパイダー』は立ち上がる。転倒によるダメージもそこそこにオブリビオン『カーラ・ヴォス』が手繰る巨体は嘶くように奇怪な鳴き声を響かせるのだ。
「ギギィ!!」
「うー、やっぱり気持ち悪いかも! でもでも!」
彼女は巨大な魔獣、そして巨大化したオブリビオンに対抗するために『テルビューチェ』と呼ばれるキャバリア……体高5m級の戦術兵器を借り、海中を往く。
敵の突撃は猟兵であっても倒されるほどの一撃必殺の力を持つ。
まともに戦っては駄目なのだ。
だから彼女はキャバリアに乗って海中から『カーラ・ヴォス』の手繰る『ウィングスパイダー』を伺い、そして他の猟兵たちの攻勢によって一度は転倒したものの、立ち上がる姿を認める。
「さー・むぇふぁー・どぅ・あー!」
潤の瞳がユーベルコードに輝き、呼応するように『テルビューチェ』のアイセンサーがきらめく。
彼女のユーベルコード、クライシスシャークは、無機物を寄せ集め、組み合わせた鮫の形のロボットを生み出す。
岩をまとめてサメロボットに変形させた潤は、足場を『カーラ・ヴォス』たちから奪うのと同時に、その乗騎たる魔獣『ウィングスパイダー』の足にへと噛みつかせるのだ。
「海中から……!?」
「ギッ!」
だが、その噛みつき攻撃も有効打には至らない。鋼鉄の如き脚部は細くとも凄まじい強度を持っている。
鮫ロボトットが噛み付いても怯むことはないのだ。
だが、潤の目的はそれではない。
彼女の目的は鮫ロボトットを重石にすることだ。
「わかってたよ、潤にはね! きっとサメロボットたちじゃ、あなたの魔獣を傷つけられないって! だけどね」
潤はサメロボットたちを重石にした。
脚部に噛み付いたサメロボットたちは容易には引き剥がせない。どれだけ巨大な脚部を振るっても、決して離れないのだ。
「なら、小型魔獣たちで……!」
「遅いよ!『テルビューチェ』!」
潤の言葉に応えるように『テルビューチェ』が『ウィングスパイダー』の巨体に海中から飛び出し組み付く。
それは岩場から海中に押し込むような動作であった。
本来の力を出せるのであれば『ウィングスパイダー』は『テルビューチェ』の突進に耐えただろう。
けれど度重なる猟兵の攻勢、何より潤の魔法たるユーベルコードに寄って噛み付いたサメロボットが重石となって『ウィングスパイダー』を懐中へと引きずり込むのだ。
「間に合わないったら!」
押し込み、さらに岩場から生み出されるサメロボットたちが小型魔獣たちを海に引きずり込むように叩き落としていく。
「いっけぇ! このまま海の中に落ちちゃえ!」
『テルビューチェ』の怪力の如き出力でもって『ウィングスパイダー』が海中へと叩き落される。
敵の攻勢は此処で押し止める。潤は『テルビューチェ』と共に『カーラ・ヴォス』へと迫る。
如何に巨大化していたとしても、キャバリアと同等の体格しかないのだ。
振るう『テルビューチェ』の拳が『カーラ・ヴォス』の顔面を捉え、鉄拳に寄る一撃でもって『ウィングスパイダー』諸共、海中へと叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…何やら何処かで聞いたことがある名前だけど、私には関係無い
…たとえお前がどんな存在で、どんな過去があったとしても、
今を生きる人々を害する存在を討つ。それが私の使命よ
UCを発動して光学●迷彩術式により周囲の風景を写す●残像で全身を覆い、
水上の●足場に習熟し音や波紋を立てない超絶技法の●忍び足で気配を遮断し、
動きを止めた魔獣に察知されない影のごとき●軽業で敵の死角から切り込み、
生命力を吸収する呪詛を纏う大鎌で敵の首を怪力任せになぎ払う闇属性攻撃の●暗殺を仕掛ける
…確かに、その蜘蛛の突進を喰らえば一溜りもないわね。当たれば…の話だけど
…闇雲に攻撃しても無駄よ。此処はもう、私の間合いだもの
猟兵によって海中に叩き込まれた大型魔獣『ウィングスパイダー』が強靭な脚部でもって再び岩場へと舞い戻る。
その巨体は度重なる攻撃に寄って徐々に劣勢を強いられていることを示すように傷だらけとなっていっていた。
「此処までやるとは……! だが! 我らが奉ずる三柱の神々の手前、貴様たち猟兵を退けられぬのは背信そのもの!」
『カーラ・ヴォス』の瞳がユーベルコードに輝き、巨大な魔法剣が周囲を飛ぶ。
それは盾のように大型魔獣『ウィングスパイダー』を護るように飛ぶ。
しかし、吸血鬼狩りの業・刃心影の型(カーライル)は、そんなオブリビオンの抵抗を嘲笑うかのように、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の姿を隠すのだ。
光学迷彩術式による周囲の風景を映し出す残像で己の体を覆い隠すリーヴァルディ。
例え、どれだけ足場が海上にある岩場しかないのだとしても、彼女は自身の動きでもって気配を悟らせない。
「どこだ……! どこに隠れている、猟兵!! 大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君のために貴様たちの躯を捧げるのだ! でてこい!!」
『カーラ・ヴォス』の怒声が響き渡る。
だが、リーヴァルディは応えなかった。
いや、応える必要性を感じられなかったのだ。
大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君。
「……何やら何処かで聞いたことがある名前だけど、私には関係ない」
『カーラ・ヴォス』という名前であってもそうだ。
如何なる神を信奉しているのかなどどうでもいい。だた、一つだけ確かなことがある。
リーヴァルディは駆ける。
波の一つも立てず、音一つ立てず。
海水ばかりが満ちる世界にあって、彼女は己の気配を完全に殺す。まるで彼女が元より存在していないかのような、そんな完全な気配遮断。
標的を見つけられなければ大型魔獣『ウィングスパイダー』の突撃は行えない。
影のようにリーヴァルディは『カーラ・ヴォス』たちの死角を飛ぶ。
「……例えお前がどんな存在で、どんな過去があったとしても、『今』を生きる人々を害する存在を討つ。それが――」
そう、ただそれだけがリーヴァルディの使命であると彼女は己に命じるのだ。
死角より飛びかかるリーヴァルディの大鎌の一閃が『ウィングスパイダー』の翼を切り裂く。
「ギッ、ギィッ!?」
死角よりの斬撃に『ウィングスパイダー』が奇怪な声を上げる。
『カーラ・ヴォス』にとっては、完全に虚を突かれたことだろう。翼の根本が辛うじて繋がっている。
だが、次の瞬間には根本から翼が切り裂かれ、海中に没するのだ。
「……ど、どこだ! どこに! 姿を見せろ!!」
だが、その怒声には応えない。
『ウィングスパイダー』が足場を蹴って飛ぶ。逃げるようでも合ったが、リーヴァルディはその速度こそ脅威に値すると理解していた。
己の姿が見えないからこそ、その攻撃は無意味。
逃げることにしか速度を用いることができない以上、すでに勝負は決したも同然であった。
見えぬ斬撃に怯える『ウィングスパイダー』を『カーラ・ヴォス』は御するのに精一杯である。
だからこそ、隙だらけなのだ。
「この『ウィングスパイダー』の突進さえ受ければ、猟兵とて!」
「……確かに、その蜘蛛の突進を喰らえばひとたまりもないわね。当たれば……の話だけれど」
リーヴァルディのささやきを『カーラ・ヴォス』は直近で聞いただろう。
怖気が走る。
殺気。
リーヴァルディの大鎌の一閃が生命を吸収する呪詛を伴い、『カーラ・ヴォス』の背後から一気に切り裂く。
痛みが走り、生命を奪われるのを彼女は感じただろう。
「……闇雲に攻撃しても無駄よ」
暴れるように走る『ウィングスパイダー』。
けれど、リーヴァルディはすでに間合いを詰めている。
「此処はもう、私の間合いだもの」
それはまるで闇夜に浮かぶ月光のような煌めき。
彼女の振るう大鎌の一閃が再び『ウィングスパイダー』の名を示す片翼の翼を、切り裂き名を失墜せるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノア・クレムリィ
如何に敵が巨大であろうと、我らの得意とする海上であるなら遅れは取りません。それに、巨大化しているなら狙いやすくもあります。撃って当たるなら、大抵は制圧できるのですから。
【UC:海龍軍団】(WIZ)を発動。野郎共と魚雷艇を召喚し、〈集団戦術〉を駆使して足場となっている岩場めがけて魚雷を撃ち込みましょう。二度、三度と繰り返せば、突撃するにしても大きな跳躍を余儀なくされるでしょう。その隙を逃しません。逃れようのない滞空中に爆雷を〈投擲〉、周囲を飛行する翼持つ蜘蛛ごと吹き飛ばします。
我ら海龍、蜘蛛をも屠らん。如何に巨大であれど、我ら海龍に倒せぬものはありません。
(愛機搭乗/アドリブ等々大歓迎)
『海珠帝国グリード』のオブリビオンは巨大である。
人型であったとしても、5m以上ある。
それはまさに人とキャバリアが対峙するのと同じようなものであったことだろう。
だが、ノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)は怯むことはなかった。自身が確かに彼らから見れば小さき羽蟲の如き存在に思えるのかもしれない。
「如何に敵が巨大であろうと、我らの得意とする海上であるなら遅れは取りません」
海龍軍団(シー・サーペント・レギオン)と共にノアは戦場に立つ。
ここ『海珠帝国グリード』は九割が海水で覆われているという異色の浮遊大陸である。
だからこそ、ノアはひるまない。
例え、巨人の如きオブリビオンがでてくるのだとしても、そして更にそれ以上に巨大な大型魔獣『ウィングスパイダー』が猛威を振るうのだとしてもだ。
「――起きろ。出番だぞ、野郎共」
彼女の言葉とともにかつての部下である海賊兵士たちが顔をもたげる。
彼らは幽霊である。
だがしかし、その複数存在する高速魚雷艇はまさしく本物。
レギオンたる彼らは対キャバリア用武装を持ち、ノアの言葉に頷く。彼らは海上を疾駆する。
ノアの号令に寄って、彼女の命令を信じるからこそ果敢にと巨大な魔獣『ウィングスパイダー』へと襲いかかるのだ。
「翼を失ったとて、こちらの優位には変わりない! ただ一撃! それだけで勝負がつくというのに!」
オブリビオン『カーラ・ヴォス』は焦っていた。
己の乗騎たる『ウィングスパイダー』は今まさに翼をもぎ取られた。
脚部の一部だってへし折られ、引きちぎられた。体躯のあちこちに傷が溢れかえっている。
劣勢と呼ぶにふさわしい状況だ。
だが、それでも覆せるのだ。この魔獣による突撃は大質量の一撃必殺。当てることができれば、猟兵と言えどひとたまりもないはずなのだ。
「だというのに!」
召喚される小型魔獣たち。小型と言えど通常の魔獣と同じ羽ある蜘蛛たる彼らが戦場を走り、高速魚雷艇の接近を許さぬとばかりに跳ねるのだ。
だが、彼らは、レギオンたる海龍軍団は恐れを知らぬ。
「回り込め。標的に魚雷を打ち込んで軽くなった艇は、即座に敵の撹乱にまわれ」
ノアの指示通り、高速魚雷艇から魚雷が放たれる。
しかし、それは敵を穿つものではなかった。
この戦場にある無数の足場たる岩場。
それを砕くためには成った魚雷が海中で凄まじい爆発を起こし、水柱を立ち上らせる。
「此方を狙っていない……!? なぜだ……――まさか!」
「今更気がついた所で遅い」
ノアの狙いは『ウィングスパイダー』の足場を破壊することだ。
無数にある岩場と言えど、数が減れば行動が制限される。闇雲に破壊しているのではなく、的確に破壊しているのだ。
かの蜘蛛の魔獣は、その俊敏性を武器としている。だが、それは足場があればこそだ。
足場を失って跳躍する瞬間こそがノアの望んだ瞬間だった。
「その隙を逃しません。第二陣、爆雷を投擲せよ」
ノアの駆るキャバリア『ガンド』より爆雷が投擲され、さらに高速魚雷艇からも対キャバリア用の武装である爆雷が次々と投げ放たれる。
その爆風を跳躍している『ウィングスパイダー』が躱せるはずもない。
更に翼も失っているのだ。
周囲にある小型魔獣たちも巻き込みながら『ウィングスパイダー』が海面に没する。そこに『ガンド』と共にノアが駆け込む。
「我ら海龍、蜘蛛をも屠らん」
「この、私が……! 大いなる神を奉じる私が!」
「その名前に意味はないのです」
『ガンド』の振るう複数の爆雷がくくりつけられた『モーニングスター』が『カーラ・ヴォス』へと叩きつけられる。
単純な武装だ。
けれど、その効果は絶大であった。連鎖するように起動する爆雷が『カーラ・ヴォス』を爆炎に包み込んでいく。
「如何に巨大であれど、我ら海龍に倒せぬものはありません――」
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
ここはさすがに師匠の匂いもエイルさんの匂いもしな……。
ぇー……。
ステラさん、いよいよ犬並みの嗅覚に……。
あ、いままでも|献身的なメイド《ご主人さまの犬》でしたね。
え? 蜘蛛ってそんなに早いんですか!?
でも、こちらは勇者とやべー|メイド《犬》です。
一瞬の隙があれば十分ですよ!
勇者ならそれくらいいけるいける。
という『光の勇者』ルクスの助言に頷きます。
あ、あれは……ステラさんの想いの重さで蜘蛛さんが動けなく!?
エイルさま、見つからない方が幸せなんじゃ……じゃなくて!
動きを止めた蜘蛛にピアノをどーん! です!
って、足場ごと砕いちゃいました!?
ピアノが重いです!?
ステラさん、へるぷー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様】と
くんくん…
|エイル様《主人様》の!!気配がします!!
やべー|メイド《犬》ではありません
蜘蛛ですか
知ってますルクス様?
蜘蛛ってGより早く走れるのですよ
口でぱくっと捕まえて食べるので
というわけで止められるのはたぶん一瞬です
その隙を逃しませんよう!
飛空艇に変身してから【テンペスタース・クリス】で突撃!
水平基準を合わせて突撃すれば逃げる先は上か横か
ですが私のエイル様への愛をかわせると思わないことです!
【押しかけメイドの本気】参ります!
マヒしたところを突撃で動きを止めて
ルクス様今です!
ああもう何やってるんですかこの駄勇者は!!
ほら早く上がらないと風邪ひきますよ
(人型になって空飛びながら救出
嗅覚は時として記憶と連動するものである。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にとって最も大切なことは『|エイル《ご主人様》』の記憶であった。
つまり臭いである。
正直、そこまでいくとどうなのかと思わないでもない。
しかしながら、彼女は何かを感じ取っているようでもあった。
「くんくん……」
「ここには流石に師匠の匂いも『エイル』さんの匂いもしな……」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ここが『海珠帝国グリード』であるからこそ、あちこちに溢れる匂いは海水の匂いばかりであった。
だから、流石にねーって思っていたら。
「|『エイル』様《ご主人様》の!! 気配がします!!」
「ぇー……」
ルクスは今度こそ流石にちょっとドン引きしているようであった。いや、いつもであったと言われたらまあ、それも正しいのかも知れないが。
「ステラさん、いよいよ犬並の嗅覚に……あ、いままでも|献身的なメイド《ご主人様の犬》でいたね」
誤解である。
酷いあれである。しかしながら、まあ、なんていうか押しかけメイドの本気(マワリトノニンシキノチガイ)ってこういう所で見られるものであったのかもしれない。
「やべー|メイド《犬》ではありません」
今ルビで『犬』って言った?
そこは認めてしまうんだ。
「ともあれ、あの大型魔獣です。蜘蛛。知ってますルクス様? 蜘蛛ってGより速く走れるのですよ」
「え? 曇ってそんなに速いんですか!?」
「ええ、口でぱくっと捕まえて食べるので」
やだー! 想像しちゃう!! うら若き乙女たちがGの話しているのって絵面のせいもあってなんとも言えない気持ちになってしまう。
「でも、こちらは勇者とやべー|メイド《犬》です」
犬ってさっきからルビ打ってるけど大丈夫? 本当に大丈夫?
「というわけで止められるのは一瞬です。その隙をのがしませんよう!」
ステラは飛空艇に変身し、風の力をまとってオブリビオン『カーラ・ヴォス』の駆る『ウィングスパイダー』へと突撃する。
猟兵たちの攻勢によって消耗してはいるものの、それでもなお、あの大質量を前にしては此方のほうが分が悪い。
けれど、それでもステラは叫ぶ。
「私の『エイル』様への愛を躱せると思わないことです!」
「何をわけのわからないことを!!」
『カーラ・ヴォス』が杖を向ける。折れた杖がユーベルコードに輝き、小型魔獣達が殺到する。
けれど、それを吹き飛ばしながらステラの|想い《狂気》は突き進むのだ。
いや、まじでヤベー奴だと『カーラ・ヴォス』は驚愕しただろう。理解不能な存在が、理解不能なことを言いながら突っ込んでくるのだ。恐怖してもしかたない。
その躊躇いが『ウィングスパイダー』にも通じたのだろう。
あの大型魔獣が怯んだのだ。
そこに飛空艇となったステラが突っ込む。
「ルクス様、今です!」
その言葉にルクスが頷く。
いや、ステラの言葉にうなずいたのではない。
彼女のユーベルコードに寄って現れた常識的なルクスと非常識なルクスの言葉、その『光の勇者』たるルクスに彼女はうなずいたのだ。
「一瞬の隙があれば十分ですよ! 勇者ならそれくらいいけるいける」
根拠ない自信!
しかしながら、彼女は飛ぶ。
無茶無策無謀は勇者の特権(ユウシャノトッケン)である。
ステラの飛空艇としての姿が大型魔獣『ウィングスパイダー』を押さえつけている。
「あ、あれは……ステラさんの想いの重さで蜘蛛さんが動けなく!?」
確かにそうだけど。本当にそんなんだけど、言い方!
「『エイル』さま、見つからないほうが幸せなんじゃ……じゃなくて!」
ルクスは飛空艇の甲板上から飛び立ち、その手にしたグランドピアノの一撃を見舞う。
単純で重たい一撃が『カーラ・ヴォス』に叩き込まれる。
「ぐぅぅぅッ!! この重さ……『ウィングスパイダー』! 耐えなさい……!」
「耐えられても足場は!」
ステラの想いの重さとグランドピアノの重さ。
その一撃がついには『ウィングスパイダー』の立つ足場たる岩場を砕く。
共に海中に没していくルクス。
だいじょぶ。
多少のむちゃは勇者補正がどうにかしてくれる。なんとかなる。なんとか……。
ならんのである。
彼女の手にしたグランドピアノは大変に重い代物である。
それが重石となって彼女を海底にいざなうのだ!
「ステラさん、へるぷー!」
これはマジでやばいやつである。
「ああもう何やってるんですかこの駄勇者は!! ほら早く上がらないと風邪をひきますよ」
ステラが人型となってルクスを引き上げながら空へと舞い上がる。
例え、彼女の心がご主人様への思いにあふれているのだとしても、仲間を見捨てることなんてないのである。あれこれってツンデレってやつなのでは、とルクスは思いながら、それはそれとして駄勇者っていうのやめません? と『犬』とルビ打っていたことを棚上げして提案するのであった――。
大成功
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佐伯・晶
何やら聞いた事あるような神の存在が気になるけど
今は目の前の敵をどうにかするのが先だね
巨体の突進は単純に強くて厄介だからまずは脚を止めようか
岩場に着地する瞬間を狙ってUCで蜘蛛脚の関節を固めよう
脚を滑らせて着水したら海水ごと凍らせようか
蜘蛛は大きいけれど海は更に大きいからね
魔法剣による射撃はUCと神気で動きを停めて防御するよ
敵の攻撃を凌いだらカーラ本体も蜘蛛と一緒に凍らせて動きを停めにかかろう
出来れば腕か足の何本か自由を奪っておきたいね
その間、抵抗しにくいようにガトリングガンで顔面を狙っておこう
サイズ的にダメージは少ないかもしれないけど
目や鼻や口内に当て続ければ集中するのは難しくなるだろうからね
大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君。
それらの単語を聞いた時、察しの良い猟兵ならば過去に対峙した存在を想起させられたことだろう。
その答えが正しいのか正しくないのかはわからない。
「何やら聞いた事あるような神の存在が気になるけど、今は目の前の敵をどうにかするのが先だね」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はそう思ってたし、そうすることが『アルカディア争奪戦』を制することに必要なことであると理解していた。
敵の強みは言うまでもなく大型魔獣による大質量の突進。
その一撃を正面から受け止めてしまえば、猟兵と言えどひとたまりもない。まさに一撃必殺の突進と家様。
「本当に厄介だ。まずは脚を止めようか」
晶は他の猟兵たちの打撃の後に続く。
脚部の一部は喪われ、『ウィングスパイダー』と呼ばれたが所以である翼は切り裂かれもぎ取られている。
駆る巨人の如きオブリビオン『カーラ・ヴォス』もまた猟兵たちの攻撃に寄って消耗している。
「止められるものか! 貴様たちなど、私たちが!」
空を舞う魔法剣。
それは巨人の彼女が放てば、それだけで驚異的な攻撃となるだろう。
晶はその魔法剣を、ユーベルコードの輝きでもって迎え撃つ。
静寂領域(サイレント・スフィア)。
それは神域と似た環境に変化させるユーベルコードである。虚空より放たれる親鸞万象に停滞を齎す神気が、魔法剣を固定するのだ。
「私の剣が、動かない……!?」
「ギギィ!!?」
それどころか、魔獣『ウィングスパイダー』の脚もまた動かないのだ。
「デカブツだから神気の及ぶ範囲が限定されるけど……その蜘蛛脚の関節はすでに固めているよ。それに……」
猟兵たちの攻撃で『ウィングスパイダー』は海水に没している。
ならばこそ、その神気の力は海水を凍結させ、その巨体の動きを封じるのだ。
「蜘蛛は大きくても海はさらに大きいからね。逃げ場なんてないよ」
「だが、動きを止めた所で……!」
「決め手に欠けるって思っているんだろうけど、そっちの最大の武器を封じたんだ。いくらでもやりようはあるよ」
晶は携行式ガトリングガンの銃口を向ける。
これまで猟兵たちの度重なる攻撃に寄って『ウィングスパイダー』の脚部や、胴体に繋ぐ関節部分には著しいダメージが蓄積されている。
ならば、そこを狙うのだ。
放たれる弾丸が、胴体と脚部を繋ぐ関節に撃ち込まれ、巨体であるがゆえにその自重を支えきれずにへし折れていく。
「何本かは奪わせてもらうよ!」
さらに晶は飛ぶ。
新たに召喚された魔法剣がまるで、ビルが倒壊し自身に落ちてくるかのような質量攻撃となって迫る。
それを神気で固定しながらワイヤーガンを利用して飛び上がっていく。
「足場を用意してくれてありがとう!」
ワイヤーで自身の体を振り子のように移動しながらガトリングガンの弾丸が『ウィングスパイダー』にばら撒かれる。
「ギィッ!」
「目や鼻や口の中に異物があるのは、鬱陶しいよね。だから、やるんだ!」
晶は弾丸を『ウィングスパイダー』の顔面に叩き込み続ける。
『カーラ・ヴォス』は、確かに巨人じみた体躯を持っている。
けれど、あまりにも大型魔獣である『ウィングスパイダー』に攻撃の力を頼り切っている。この魔獣さえ無力化すれば、あとに続く猟兵たちはぐっと戦いやすくなるだろう。
「それに、もう時間もないよ」
氷漬けになっていく巨体を見やる。
固定の神気は海水を凍結させる。猟兵にとっての足場にもなるだろう。そして『ウィングスパイダー』にとっては、己の自由を奪う氷だ。
晶はガトリングガンの斉射と共に『ウィングスパイダー』を弱らせ、勝利への道筋を決定づけるのであった――。
大成功
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ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わぉ!とってもおっきーい!
●ぶんどど
素早いと言っても動きの一つ一つは直線!
ボクの|勘《【第六感】》でコースを読めば差し込む隙はあるとみたね!
何を差し込むかって?質量には質量が正義だよね!
UCでサイズとパワーを強化拡大した[ドリルボール]くんをドーーンッ!!
ひとつで足りなければふたーっつ!みーーっつ!
そしてガンガンぶつけっけってる間に残りの[ドリルボール]くんたちでちょうどいい感じに彼らの使う予定と感じる足場を潰しとこう!そのスーパービッグサイズで!
そう、ボクの【第六感】の本当の使いどころはここさ!
あとはー…っ!
限界超えろ!全速純回転の掘削刃で削りとれーーっ!!
「わぉ! とってもおっきーい!」
それは無邪気な歓声であった。
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は大型魔獣である『ウィングスパイダー』の威容を見上げて、きゃっきゃと笑っていた。
奇怪な姿に悲鳴を上げることはあるかもしれなかったが、単純に喜んでいる。
それは少年性を持つからかもしれない。
男児というのはとにかくデカイものが好きなのである。それがどんなものであれ、大きなものに心が踊るのである。
だからこそ、ロニは笑って『ウィングスパイダー』とオブリビオン『カーラ・ヴォス』に相対するのだ。
「魔法剣!」
バキバキと音を立てながら凍結させられていた『ウィングスパイダー』が動き出す。何本かの脚部を失ってもなお、『ウィングスパイダー』はその大質量をもって迫る猟兵を駆逐せんとしていた。
その理屈は正しい。
ユーベルコードで猟兵たちを打倒するより、この魔獣による突撃のほうが確実に始末できるからだ。
「だが、貴様たちは此処で滅ぼす! 我らが大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君のためにも!」
振るわれる魔法剣が、巨大化しているオブリビオンによって放たれることによって、その剣のサイズさえもリサイズされてロニを襲う。
「素早いって言っても動きの一つ筆とは直線! ならさ、ボクの勘でコースを読めば、差し込む隙はあるとみたね!」
「何を!」
次々と打ち込まれる魔法剣が水柱を立てて海面を砕く。
ロニは、それらを躱しながら走る。
対する『ウィングスパイダー』もまた同様だ。
巨大質量が迫っている。このまま行けば正面衝突し、ロニはすり潰されてしまうだろう。
「質量には質量が大正義だよね!」
ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
複製した球体が重なりあ合っていく。
巨大な掘削球体がロニの目の前に現れ、ロニはそれを拳で持って打ち出す。
「ド――ンッ!!」
激突する『ウィングスパイダー』と球体。
だが、それでも押し負ける。削られながらもなお、『ウィングスパイダー』が球体ごとロニに迫ってくるのだ。
「ひとつで足りなければふたーっつ! み――っつ!」
神罰(ゴッドパニッシュメント)は一撃で終わることなどない。
ロニの力量の分だけ複製される球体が次々と叩き込まれていく。
「数を用意したとて!」
押し込める。そう『カーラ・ヴォス』は思っていたのだ。だが、その目論見は外れる。
球体達が何気なく打ち込まれていたわけではないのだ。
ロニの勘が告げる。
第六感とも言うべき勘。
それは球体たちが放たれた直線上。これから『ウィングスパイダー』が足場にするであろう岩場を、球体達が掘削し、削り取りながら激突していたのだ。
「――ッ!?」
「それ以上は進めないよね! これがボクの本当の第六感の使い所さ! あとは――……ッ!」
ロニが息を吸い込む。
そう、後は。
「限界超えろ! 全速純回転の掘削刃で削り取れ――ッ!!」
その言葉に応じるように球体達が輝き、猛烈な回転でもって『ウィングスパイダー』の表面を削っていく。
押し負けるように、そして、さらにその巨体を駆け上がっていった球体が『カーラ・ヴォス』を削り取らんと猛威をふるう。
巨体が海面に倒れ込むようにして沈むさまを見やり、ロニは満足げに叫ぶのであった――。
大成功
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ヴィクトル・サリヴァン
多少疲れは溜まってるけど向こうも相当消耗している。
水中をより警戒してくるだろうけど、なら空からの脅威を増やしてあげよう。
さ、畳みかけようか!
引き続き水中戦。
突撃は常に警戒、気配感じたら一気に潜り狙いを定めさせない。
水中でUC発動、空シャチ達を召喚しバラバラの位置から空へ飛び出して貰う。
空で12匹ずつ位で合体させ、カーラ狙いで空から奇襲させる。
その間俺は水中から支援、高速詠唱から水の魔法で海水操作し鞭を作り蜘蛛の足を狙い動きを妨害。
魔法剣は包囲されぬよう散開、或いは加速し脱出して直撃を回避。
空シャチと連携し休ませぬよう波状攻撃を仕掛け、隙ができたら一気に喰らいついて貰おう。
※アドリブ絡み等お任せ
猟兵たちの攻勢は圧倒的であった。
迅速であったし、果断に富んでいた。常に敵の想像を上回ってきた。またオブリビオン『カーラ・ヴォス』が想定していたとしても、それを限界超えて戦い続けることに寄って、大型魔獣である『ウィングスパイダー』を疲弊さえていた。
だが、それは猟兵であるヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)にとっても同様であったことだろう。
「さ、畳み掛けようか!」
海中よりヴィクトルは、その流線型の体を誇るように『ウィングスパイダー』の周囲へと飛ぶように泳ぐ。
敵はこれまでの攻撃から海中への警戒を強めていることだろう。
だからこそ、ヴィクトルはそれが狙いであるとその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「何度も同じ手が通じると思うな! 魔法剣!!」
放たれる魔法剣は巨人化しているオブリビオン『カーラ・ヴォス』のサイズに合わせるように巨大な剣であった。
まさにビルが倒壊してくるかのような質量攻撃。
海中に次々と打ち込まれる魔法剣は、ヴィクトルを海中で押しつぶさんとしているかのようでもあった。
「流石に警戒されているか……でもね!」
見事な海中機動でもって彼は魔法剣の一撃を躱し続ける。さらに『ウィングスパイダー』の槍のような脚部が頭上より迫るも、それを旋回し躱す。
「これでも捉えられぬか!」
「海ばかりと思っていたら痛い目見るよ」
きらめくユーベルコード。
それは空泳ぎたちの狂宴(スカイ・オルカ)。
海中より飛び出すのはヴィクトルの求めに応じて召喚されるシャチたちであった。群れ成すシャチたちが海中より空へと飛び出す。
「シャチ……!?」
「そうだ。ただ海中ばかりと侮っていたキミにはわからないだろうが」
脅威は海だけではない。空からも襲い来るものだとヴィクトルは告げるように、瞳をユーベルコードに輝かせながら自身も又水中から海水を操作し、鞭のようにしならせ『ウィングスパイダー』の脚部を捉え、動きを阻害する。
空より強襲するシャチ達の尾びれの腹側に刻まれた数字は12。
十を数えるシャチたちが一斉に『ウィングスパイダー』の体に噛み付く。これまで猟兵達が与えた攻撃に寄って随分ともろくなっていく。
翼も喪われているし、逃れるすべはない。
へし折り、砕き、胴体が海水に没する。もがくことも、突進することも最早敵わない。シャチたちは獰猛さを見せるように次々と『ウィングスパイダー』を噛み砕き、魔獣の断末魔の鳴き声を響かせる。
「私の、魔獣が砕かれた……馬鹿なっ、こんな……!」
そこに数字の1と刻印されたシャチを駆りながらヴィクトルが飛び込む。
もはや残すのはオブリビオン『カーラ・ヴォス』のみ。
「その銛は返してもらおう」
度重なる攻勢の中、『カーラ・ヴォス』の巨体に打ち込まれた三又銛は突き立てられたままだ。
それをヴィクトルはシャチと共に奪い返すように銛を引き抜く。
波状攻撃のように迫る十のシャチたちが『カーラ・ヴォス』の抵抗を削ぎ落とす。魔法剣が翻り、シャチを打ちのめしてもなお食らいつく顎。
その鋭さは言うまでもない。
「貴様たちに、我らが奉ずる三柱の道行きを邪魔立てさせるわけには!」
「どちらにせよ、長い戦いの一幕でしかないんだ。なら」
ヴィクトルはシャチと共に空高く舞い上がる。
手にした三叉銛の切っ先が大空の世界に在りて海の波間から反射する太陽光を宿す。
その一撃が『カーラ・ヴォス』の脳天を貫き、霧消させながらヴィクトルは海面に舞い戻る。
彼が海中より飛び出した時、そこには魔獣の遺骸もオブリビオンの姿もない。
あるのは戦いの余波で波たつ海面のみ。
この浮遊大陸に平穏が訪れるかどうかはわからない。
けれど、今だけは穏やかな波が続いている。
それをヴィクトルは見やり、標とした銛を手に満足気にうなずく。
猟兵たちの勝利を象徴するように掲げた銛は太陽の光を受けて輝く――。
大成功
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