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銀河帝国攻略戦㉑～黒の閃光

作者：幾夜緋琉

●銀河帝国攻略戦㉑～黒の閃光
「猟兵の皆。大丈夫かな……？　ちょっと、不味い事件になりつつあるんだ」
　と、双葉・翔は神妙な表情で。
「解放軍の艦隊が、クライングシェルとアゴニーフェイスの艦隊を突破した、というのは良いニュースではある。だけど、その結果、解放軍は黒騎士アンヘルとの戦闘に進む事になったんだ」
「でも……解放軍の艦隊には、黒騎士を撃ち破る事はかなわず、スペースシップの砲撃も、戦闘機の攻撃も……どれも『黒騎士アンヘル』を捕らえる事までは出来なかったんだ」
「そこで、解放軍は黒騎士の撃破を諦めて、銀河皇帝を守る艦隊へと、攻撃の矛先を変えた。銀河皇帝を滅ぼす今回の作戦において、戦力の悉くを失った『黒騎士アンヘル』は、最早重要じゃないからね」
「でも、僕ら猟兵にとってはそういう事にならないんだ。オブリビオン・フォーミュラである銀河皇帝を例え撃破しても、二大巨頭である『白騎士』と『黒騎士』が逃げ延びてしまえば、新たなオブリビオン・フォーミュラとなり得る可能性があるからね。ま、そうでなくても、銀河皇帝撃破後、銀河帝国の残党、あるいはスペースシップワールドの不平分子等を集めて、悪事を行う可能性が高いと思う」
「つまり、銀河皇帝との決戦が最重要なのは当然だけど、可能ならば『黒騎士アンヘル』の撃破も行うべき、と言う訳。だから可能な限りの戦力で、『黒騎士アンヘル』を撃破しないと、って訳」
「今、黒騎士アンヘルの周囲に他の戦力は居ないんだけど、それは逆に言えば黒騎士が一人の戦士としては最大限の力を発揮出来る状況でもあるんだ。だから、猟兵の皆であっても、恐らく勝率は五分五分……敗北する危険性もかなり高いと思う」
「更に言えば、この黒騎士は『確定された過去を操る』ユーベルコードを操る事が出来る能力の持ち主。更に常に一体しかいないものの、その力が尽きるまでは骸の海から蘇る能力を持っている。だから、猟兵の皆が勝利し、黒騎士が『骸の海』に放逐されたとしても、黒騎士はすぐにそこから蘇り、別の場所から再出撃してくるって訳」
「何処から出現するかは、僕達グリモア猟兵の予知で確率的に予測出来るから、皆にはそれぞれのポイントに出現する黒騎士を待ち伏せし、撃破してきて欲しいんだ」
　そこまで言うと、翔はグリモアを手にしながら。
「かなり厳しい戦いになると思うけど……でも、皆の力が必要なんだ。宜しく頼むね！！」
　と、肩を叩くのであった。

第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃 【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。 SPD   :    過去喰らいの三呪剣 【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。 WIZ   :    記憶されし傷痕 【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「ふむ……先手を仕掛けてくる相手か」
　と、死之宮・謡は、スペースシップワールドのとある一角に潜みながら、静かに呟く。
　『黒騎士アンヘル』の討伐作戦に集まった猟兵達……だが、この相手には厄介な能力がある。
　それは、相手と同じ能力値によるユーベルコードでの先制攻撃。
　その能力を聞いた謡は。
「……最高の相手だ。躊躇は無い！」
　と、意気揚々と、姿を現わした『黒騎士アンヘル』に対し、真っ正面から突っ込んで行く。
『……』
　と、そんな謡に対し、冷たく見据えるその姿。
「私の全てでアナタを殺す。だからどうか、貴方も貴方の全てを懸けて私を殺してくれ！」
　その言葉に対し、『黒騎士アンヘル』は何も返さない。
　いや……その身に禍々しい気を生み出し、虚空から刃を召喚。
　謡に対し、その刃を次々と放ち……その身を切り裂く。
　対する謡は、身を斬られながら、斬り付けるのだが……強力な黒騎士アンヘルの猛攻は、明らかに謡を圧倒し……その斬り裂く猛攻の前に、謡は討ち倒されてしまった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

　そんな仲間が討たれるのを見ていた白神・杏華。
「中々、強敵の様だね。真っ正面から向かっていっても、全く以てダメージを与えられない、って事か……」
　と、少し考える様に呟く。
　杏華が此処に居るのは、猟兵の仲間達が戦うのを近くで見届けたいと思ったからこそ。
　……正直、あんまり自分で鍛錬をしてきて居ない事は認識しているし、戦闘力になるかと言われれば……。
「……ううん、大丈夫。皆の為にも、足手まといにはならない！！」
　ぐっと拳を握りしめた杏華。
　決意と共に、黒騎士アンヘルの前へ高速で仕掛ける。
　対するアンヘルは『過去喰らいの三呪剣』を発動。
　白、黒、灰の三つの剣が次々と杏華に襲いかかる……が。
「絶対に、灰色だけは当たらないよ！」
　と、『戦うに到った過去を封じる灰の呪剣』だけは、絶対に当たらない様に、全力を注ぐ。
　勿論、他の二剣が杏華を傷付けるが……唇を噛みしめ、耐える。
　そして、三剣の後、杏華はバトルキャラクターを展開、そして、一気に合体させ、騎士然としたキャラクターを召喚し、黒騎士に向けて嗾ける。
　そして、バトルキャラクターがアンヘルの注目を集めている間に、杏華はアンヘルの横から一撃を加えた後に、其の場から離脱。
　地形の利用を発動し、後の仲間達へと任せた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

　二陣がアンヘルに中々ダメージを与えられない中、アシェラ・ヘリオースは。
「……アンヘル殿か、これは確かに手強い……手の内を知る己が出るのがマシな選択肢だな」
　と、唇を噛みしめる。
　その手を予知して、対策してくる様な能力ならばまだ、対応策はあっただろう。
　しかし今回の相手は、それとは違い、確定された過去を操り、それに従い刃を振下ろす訳である。
「兎に角、あちらの手数を少しでも減らすことを考えて作戦を実行するしか無いか……ならば」
　と、黒騎招来にて、己が周りに黒騎士ユニットを大量に召喚。
　そして黒騎士ユニットと共に、前者の召喚したバトルキャラクターが全て潰れると同時に突撃。
　数の多い戦陣が仕掛けて来たのを、アンヘルは『過去喰らいの三呪剣』で先制。
　ただ、いかんせん数が多く、先制の一閃で数匹を倒すまで。
　そして、アシェラは少しタイミングを遅らせてから。
「あなた相手に楽に勝てるとは思いませんよ、アンヘル殿」
　短い一言と共に、念動力の一撃を叩き込む。
『っ……！』
　その一撃を食らい、少々苛立つアンヘル。
　『消えざる過去の刃』で薙ぎ払い、ほぼ全部の黒騎士ユニットを仕留める。
「っ……これしか持たなかったか……！」
　と驚くアシェラ。
「だが、この一撃だけは食らわせる……！」
　両掌で極限まで圧縮し、ブラックホールじみたフォースを虚空に放ち、斬撃が刻まれた空間ごと、地形を破壊。
　決して少なくないダメージをアンヘルに与えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

　そして、仲間達が次々と戦場を離脱する中……全世界サイボーグ連盟の五人が戦場へと到達。
「黒騎士アンヘル……我ら、全世界サイボーグ連盟の出番のようですね」
　と、クネウス・ウィギンシティが口にすると、共にやって来た四人が頷き。
「まぁ、例え不利な戦いはホーラの十八番なのだ！　同じユーベルコードが使えても、同じ様に扱えるとは限らないのだ！」
「そうでありますね。私達のユーベルコードは、私達の物。それをオブリビオンがまともに扱えるはずは無い筈であります！」
　と、ホーラ・アイアンアームと紅葉・智華の二人に、くすりと笑いながらリズ・ルシーズ。
「そうだね。ボク達よりも上手く使える使い手なんで居ない筈！　でもまぁ、取りあえずは先制攻撃をしてくるのは厄介だから、その辺りをどうしようか……」
　と、周りの仲間達に問うと、クネウスは。
「そうですね……最初に私が、サーチドローンを飛ばします。それでアンヘルの注意を惹きつけたところに、リズさんが量産型【R-Series】を囮にして、仕掛けましょう」
「了解！」
　リズの言葉に頷く中、ホーラが。
「うん、みんなが索敵してくれてるから、ホーラはここを拠点化して、拠点防御で有利になる様にしておくのだ。それと防具改造で、空中戦モードに変形し、避けやすくするのだ！」
　それにバスティオン・ヴェクターラインが。
「そうか。じゃ、背中は頼むとしようか。まぁ俺も守りには自信が有る。だからこそ、先制攻撃をこの身で打ち消しつつ、俺自身のユーベルコードで、相手のユーベルコードを封印出来ればいいのだが、ね」
「其れが出来れば、確かに楽になるでありますね。まぁ、そう簡単にはさせてくれないでしょうが……」
「ええ……兎に角、先制攻撃を耐えきらなければ、後はジリ貧になるだけです。まずは初撃を耐えきり、そこから一気阿世に仕掛けるとしましょう……では、皆さん、準備は良いですね？」
　クネウスの言葉に、【全世界サイボーグ連盟】の面々は頷く。
　そして……猟兵五人は覚悟と共に、『黒騎士アンヘル』を待ち構えた。

『……』
　静かに、周囲を見渡しながら、接近してくる『黒騎士アンヘル』。
　……静かに先陣を切るは多くの量産型ルシーズを召喚したリズと、クネウス。
　『黒騎士アンヘル』が仕掛けられるギリギリの距離まで到達すると。
「サーチドローン展開……さぁ、囮の登場ですよ」
　とサーチドローンを一斉に嗾ける。
　……それを、更に追いかける様にして。
「ルシーズ、悪いけど囮になってもらうよ！」
　と量産型に指示を与え、サーチドローンと共に攻撃。
　まずは多くのルシーズ達へ、『過去喰らいの三呪剣』で迎撃し、数体撃破……いや。
『させないよっ！』
　と、襲いかかる呪剣に自分から立ち向かい、剣に近づいていき、そこで自爆。
「残念、そっちは外れだよ！」
　ニッ、と笑ったリズが、不意を突いて疑似刻印のレーザーによる光のレーザーを掃射。
　同時にクネウスも。
「フルチャージ完了。シュート！」
　と、逆サイドからの『Claimoh Solais』で撃ち抜く。
　それに対し、『空間に刻まれた斬撃』で反撃するが……それを見越して距離を取っておいたクネウス。
「やはり……空間に刻む攻撃でしたか。20m程距離を取っておいて正解でしたよ」
　と安堵。
　そして突破口を開いたクネウスとリズに続いて。
「さぁ、では始めるでありますよ！」
　二人とは違う方向より、智華が接近。
「……見えた！」
　『虚構の神脳』により弾き出した敵の行動。
　敵の過去の改竄を更に予測した上で回避し、注意を惹きつける。
　更にバスティオンも接近、それを『記憶されし傷痕』を仕掛けるが……激痛体制を発動させ、ギリギリ耐えきる。
　そして……。
「利用出来るものは何だって、利用させてもらうよ」
　と、バスティオンが放つ『セイズ・アンド・ユーズ』。
　それは、『黒騎士アンヘル』の『記憶されし傷痕』が封印される事と同義。
　三つの内の一つが封印された『黒騎士アンヘル』には、かなりの隙が生じる。
　……そこに。
「……来世では、友達になろうね」
　短く呟き、ホーラがダッシュとジャンプで近接、そして素手による、超高速かつ大威力の一撃『灰燼拳』を叩きつける。
『っ……！』
　その一撃を食らい、僅かに呻き声を漏らした『黒騎士アンヘル』。
　……どうにか先制攻撃の一巡を耐えきった『全世界サイボーグ連盟』の面々。
　退く覚悟はもう無い。目前の敵を倒す為に、全力を尽くす。
　クネウス、リズの二人が後方から支援射撃で仲間達を支援する様に射撃。
　反攻する『黒騎士アンヘル』の攻撃は、バスティオンが盾と武器をフル活用し、立ち回る。
　更に智華が手持ちの重火器『04MV』で撃ち抜き、ホーラはヒットアンドアウェイで『灰燼拳』を毎刻、叩きつけ、大ダメージを一気に仕掛ける。
　……最初、『黒騎士アンヘル』がかなりの優勢を保っていた物の、猟兵達の波状攻撃の前に少しずつ疲弊。
　そして……。
「さぁ……そろそろだ。クネウス君、頼むよ！」
　と、幾度目の攻撃をバスティオンが受けきったところで、叫ぶ。
　それに頷いたクネウスが、『黒騎士アンヘル』に狙いを定め。
「……これで決めます。フルチャージ完了。シュート！！」
　と、全力のアームドフォートのチャージキャノンを放ち……『黒騎士アンヘル』は、その一撃の前に、骸の海へと旅立つのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年02月17日