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アルカディア争奪戦⑨〜よいこの旅立ち きのこを添えて

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦

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●旅立ちの時
「お父さん、お母さん、アメリも十五歳になりました。今こそ、よいこの一人としてマグナ聖帝国の侵攻に立ち向かう時だと思い、旅立つ決意をしました……!」
 ブルーアルカディアに浮かぶ浮遊大陸のひとつ。今は『マグナ聖帝国』の侵攻を受ける『スーパーよいこランド』の地に生えるきのこを食べて育った『スーパーよいこ』達は、よいこゆえ故郷を守ろうと目の前の脅威に立ち向かうべく次々と出立を決意するのだった。
 このアメリもそのうちの一人。この地に生えるきのこを食べて育った彼女は猟兵に匹敵する強さとユーベルコードを持っているのだ。
「この先には手強い魔獣や邪悪な騎士が待ち受けていると聞きました。けれどきのこを食べて育って強くなったアメリは負けません。魔獣は解体して美味しく料理するのです」
「ああ、お前ならやれるさ」
「気をつけて、他のみんなの邪魔にならないようにね」
「大丈夫です。やれるのです。だってアメリはスーパーよいこなのですから!」
 くいっと丸眼鏡を押し上げて、胸にきのこ図鑑を抱きしめたアメリはそう宣言する。
 そうして街では決意に燃える少女を送り出す壮行会が開かれようとしているのだった。

●グリモアベースにて
「雲海に眠る『アルカディアの玉座』……『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』という災害をもたらした6つの強大な屍人帝国はそこへの到達を狙い、願いを叶えようとしているの……」
 此度の大きな戦いについてそう説明したエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、信頼の眼差しで集まった猟兵たちを見つめる。
「この玉座が現れた影響で、溢れ出した雲海は既に幾つかの浮遊大陸を飲み込もうとしているわ。でも安心して。ここブルーアルカディアには飛空艇と勇士たちがいるの。彼らと一緒に雲海を越えていきましょう」
 心強い仲間の存在に笑みを浮かべたエリシャは今までの戦いを振り返る。
「既にオルダナ円環島でもたくさんの勇士たちを見つけてくれたと思うけど……まだまだ強力な仲間はいるのよ」
 すごいでしょ? と片目を瞑って見せたエリシャはグリモアベースにたくさんの色とりどりのきのこが生えた浮島を映し出す。
「ここはスーパーよいこランドって呼ばれているの。この浮島に生えるきのこを食べて育ったスーパーよいこ達は、猟兵に匹敵する強さとユーベルコードを持っているのよ」
 現在、マグナ聖帝国の侵攻を受けているこの浮島で、よいこ達は抗い、戦う決意をしたのだ。そんなよいこ達を送り出す壮行会が街で開かれるという。
「今回みんなに応援して欲しいのは、アメリっていう女の子よ。きのこが大好きで、きのこ料理の研究が趣味みたい」
 そんなアメリの壮行会ではもちろんたくさんのきのこ料理が振舞われる。ただ、この島ではそこら中に生えているきのこでも、旅に出れば食べ放題とはいかない。他の料理のレパートリーも増やしたいと思っているようなので、彼女を応援しつつ、料理に関するアドバイスなどもしてあげれば喜ばれるだろう。
「猟兵の皆は誰が行っても大歓迎されるわ。調理場も貸し出してもらえるから、料理をその場で作ってもいいし、作ったものを持って行ってもいいわ。一緒に美味しく食べるだけでもきっと喜んでくれるわ。よいこだもの!」
 ただ、よいこゆえに言われたことをそのまま真っ直ぐに受け止めるため、冗談はあまり通じないので気をつけた方がいいとエリシャは笑いながら付け足すのだった。
「アメリが立派な勇士になれるように、みんなで応援してあげてね。よろしく頼むわ!」
 そう言って星型のグリモアを出現させると、雲海渦巻く空の世界への道を開くのだった。


湊ゆうき
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アルカディア争奪戦」における「⑨スーパーよいこランド~よいこの旅立ち」のシナリオとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 スーパーよいこランド!
 なんという響き。わくわくが止まりません。

 スーパーよいこであるアメリの旅立ちを応援してあげてください。
 普通に応援するだけでも良いですが、お料理が好きなので、皆さんの魔獣肉レシピや、他世界の料理など何でも教えてあげたり食べさせてあげると喜びます。
 調理場や材料に道具はありますが、持ち込んでも大丈夫です。どうぞお好きなように彼女を応援してください。
 たくさんお料理はありますので、食べるだけの参加もOKです。

 プレイング冒頭に「🍄猟兵化希望」を記載していただくと、希望者の中から1人にアメリを猟兵にする権利が贈られます。ご希望の方はお書き添えください。猟兵化する際は、設定等お好きに決めてくださって結構です。

 プレイングボーナスは「よいこが勇士になれるよう応援する」です。

 プレイングはOP公開後すぐに受付いたします。
 皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『料理知識を交換する』

POW   :    ●『料理の味や見た目について』

SPD   :    ●『料理に使う道具や技法について』

WIZ   :    ●『料理に纏わる歴史やエピソードについて』

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

新山・陽
 こんにちは。お日持ちのするものがよろしいかと、いくつか漬けのシメジをご用意して参りました。お納めくだされば幸いです。
 こちら、和テイストの糠漬けと醤油漬け。白ご飯を添えたら美味しくいただけますし、炊き込みご飯の素としてもアレンジできます。ニンニク醤油漬けは、オニギリの具材としても問題なく。洋テイストのオイル漬けも、硬い熱々なパンの上にオンすれば、あらお手軽美味しい。
 『良き隣人』で厚めのベーコンもつけておきます。一緒に炒めたら味つけなしで一品できますので、旅先で今後出会うであろうお好きなキノコとどうぞ。
 私ですか? 私こそは…あ、そろそろ現地の土瓶蒸しをいただきに行かねば。ではご壮健で



●旅立つよいこに餞別を
 スーパーよいこランド――食べる者をパワーアップさせるきのこがそこら中に生えている、ブルーアルカディアにある浮島のひとつ。
 不思議な力を秘めたきのこが存在するせいもあって、今や『マグナ聖帝国』の侵攻を受けてはいるが、そのことに抗おうと、この地に住まうよいこたちは、故郷を守るため、勇士として戦う決意をするのだった。
 そんな色鮮やかなきのこが群生する浮島を、仕立ての良い高価なスーツを着こなした美しい女性が颯爽と歩いていく。背筋がぴんと伸び、歩き方だけでも優秀なキャリアウーマンであろうことが窺われるその女性――新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)は、暗号化や取引に交渉など、頭脳戦を得意とするヒーローズアース富裕層の均衡を保つヴィジランテでもある。
 手に紙袋をぶら下げた陽は、壮行会会場と思しき建物を見つけると、迷わず入っていくのだった。
「新しいお客さんいらっしゃいませ!」
 この島に住むよいこたちにとっては、きっと見慣れていないであろうスーツを着た陽も大喜びで迎え入れられる。
 建物の中は広い空間で、レストランを借り切っているのだろう。料理が所狭しと並べられたテーブルがたくさんに、奥には厨房があるようだった。
 真ん中にあるテーブルでたくさんの人々に囲まれている丸眼鏡をかけた少女を見つけると、陽は無駄のない動きで、すすっと近づき歩み寄る。
「あなたがこの度旅立たれるアメリさんですね? こんにちは。旅立ちに際していくつか贈り物を持参して参りました」
「わわっ、ありがとうございます!」
 突如現れたミステリアスなスーツ美女に思わず見惚れたアメリは、差し出されたものを見て更に目を輝かせた。
「こ、これは……!」
「お日持ちのするものがよろしいかと、いくつか漬けのシメジをご用意して参りました。お納めくだされば幸いです」
 透明な瓶に入っているのは、アース世界ではきのこの代表格といっても過言でないメジャーなしめじ。この地に生えているきのことはまた少し違っているけれど、アメリにもそれがきのこであることは一目瞭然。
「こちら、和テイストの糠漬けと醤油漬け。白ご飯を添えたら美味しくいただけますし、炊き込みご飯の素としてもアレンジできます」
「お、美味しそうなのです!」
「ニンニク醤油漬けは、オニギリの具材としても問題なく」
 説明をしながら、陽はテーブルの上に瓶を順番に並べていく。
「合うのは白ご飯だけでなく……洋テイストのオイル漬けも、硬い熱々なパンの上にオンすれば……あらお手軽美味しい」
 まるで通販番組かCMかという軽妙なトークで漬けしめじを紹介していく陽が、ささっと虚空に暗号を描くと取り出したのは――。
「厚めのベーコンもつけておきます。一緒に炒めたら味つけなしで一品できますので、旅先で今後出会うであろうお好きなキノコとどうぞ」
「ベーコンときのこ……! これは絶対美味しいやつなのです! 瓶のきのこもいろいろアレンジできそうなのです。おねーさん、ありがとうございますです! おねーさん……えーと?」
 名前を聞きそびれていたことをふと思い出し、アメリは首を傾げて陽を見つめる。
「私ですか? 私こそは……あ、そろそろ現地の土瓶蒸しをいただきに行かねば。ではご壮健で」
 名乗りかけるものの、やはりこの世界でもどこかの世界で見たかもしれない通りすがりの社会人であろうとした陽は、そう告げると、美しい45度のお辞儀を披露すると、来た時と同じように颯爽と歩いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
料理に関するアドバイス、と来たら梓の出番だね
俺は何を作るかを決めるのと味見担当
梓はそのメニューを作る担当ってことで

何がいいかな~(スマホで色々検索
おっ…肉じゃがなんていいんじゃないかな?
これはおふくろの味とも言われていてね
アメリちゃんが将来結婚する時、この料理をマスターしておけば
旦那さんのハートと胃袋を掴むこと間違いなしだよ

そして完成した梓のお手製肉じゃがをいただく
ん~っ、魔獣肉もジャガイモも柔らかくて美味しい
キノコと一緒に煮込んでも入れても良さそうだね

よーし、それじゃあ俺からはこれをあげよう
愛用のXXXソースを取り出し
これをかければどんな料理も刺激的な味わいになるよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
戦争の地に来てまで料理することになるとは…
と思ったが、過去の戦争でもあるあるだった気がする
待て、それお前は何もしていないのと同じでは??

それはお前が今食べたいメニューでは…
まぁ定番料理だし、作るのも教えるのも丁度いい難易度だろう

愛用のエプロンを着用し
持ち込んだ食材と調味料、そして牛肉っぽい魔獣肉を用意
アメリにこまめにワンポイントアドバイスしながら作っていく

無事完成したら、アメリに餞別としてこれをやろう
めんつゆだ!(どん
これを使えば様々な料理がいい感じに仕上がる魔法の調味料だ!

コラコラ!なんてもん渡そうとしてんだお前は!!
アメリが真に受けて綾の劇物を受け取る前に没収



●旅立つよいこに愛のレシピを
「わー、ほんとにきのこがいっぱいだね」
 スーパーよいこランドと呼ばれる浮島にやってきた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、そこら中に生えているきのこたちを見て思わず歓声を上げる。
「全部食べれるのか? やはり毒きのことかもあるのだろうか……」
 見た目はカラフルで全部毒きのこに見えなくもないきのこたちを観察しながら、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は料理の作り手らしくそんな疑問を抱くのだった。
「これから旅立つよいこに料理に関するアドバイス……と来たら梓の出番だね」
「戦争の地に来てまで料理することになるとは……」
 まあ、それが必要ならそうするまでと思った梓だが、よくよく考えてみると過去の戦争でも何故だかよくあるシチュエーションでもあった。
「梓この前温泉に入った時、魔獣料理のメモとってたよね? 大きな戦いが起きたら『魔獣料理を作る・食べる』っていう変な仕事が来るかもしれないって」
「……そうだった。いや、念のためとは思ったが本当にその時が来るとはな……」
 まだ何を作るかは決めていないが、夏休みをたくさん過ごしたこの世界ですぐに大きな戦いが起こるとは驚きだった。
「じゃあ俺は何を作るかを決めるのと味見担当。梓はそのメニューを作る担当ってことで」
 いいよね? と強引ではないが、どこか有無を言わせぬ様子でにっこりと綾が本日の分担を告げる。
「待て、それお前は何もしていないのと同じでは??」
「えー、メニュー決定も味見も大事なお仕事だよ? というわけで、あそこが壮行会会場みたいだよ。さあ、よいこの応援に行こう!」
「……」
「キュー」
「ガウ」
 何を言っても無駄と悟った梓へと仔竜たちが労いの鳴き声をあげるのだった。

 壮行会が行われている場所では猟兵は皆歓迎された。真ん中のテーブルで多くの人々に囲まれているアメリに近づいては声をかける。
「アメリちゃん初めまして。旅立ちに際して、何か新しい料理を教えてあげれたらと思って来たんだ」
「わ、ありがとうございます! おにーさんたち、料理がお上手なのです?」
 尊敬の眼差しで見上げるアメリに、綾は大きく頷いて見せる。
「うん、こっちの梓がね!」
「そうなのですね。よろしくお願いしますです」
 よいこらしくぺこりと丁寧にお辞儀をしたアメリは、どんな料理を教えてもらえるのかとわくわくと瞳を輝かせている。
「メニューは今から決めるんだけど……何がいいかな~」
 綾がスマホで検索していれば、とあるメニューのページに目が留まる。
「おっ……肉じゃがなんていいんじゃないかな?」
「なるほど、肉じゃがか……って、それはお前が今食べたいメニューでは……」
 梓のツッコミには笑顔を返すのみにして、綾はスマホの画面をアメリにも見せる。
「これはおふくろの味とも言われていてね。アメリちゃんが将来結婚する時、この料理をマスターしておけば、旦那さんのハートと胃袋を掴むこと間違いなしだよ」
「け、結婚……! でも未来の旦那様が喜ぶのですね……アメリはそれを習いたいのです!」
 年頃の少女らしく、結婚の二文字には照れた様子だが、胃袋を掴むという言葉が効いたのか、アメリはもうその気になっていた。
「まぁ定番料理だし、作るのも教えるのも丁度いい難易度だろう」
 梓も頷くと、じゃあ早速料理に取り掛かろうと場所を厨房へと移す。
 まずは愛用の赤い竜のワッペンがワンポイントにあしらわれた黒地のエプロンを着用し、持ち込んだ食材と調味料を並べていく。
「これが材料なのですね」
 じゃがいもに玉ねぎ、にんじん、さやえんどう。そして牛肉っぽい魔獣肉。この前雲海を眺めながらBBQをして魔獣肉を食べ比べたので、肉じゃがに合いそうな肉の見当はついていたのだ。
「肉は他の肉でもいいが、程よく脂身がついたものがいいな。多すぎると脂っぽくなるし、少ないとぼそぼそしてしまうから」
「なるほどなのです。ちゃんとメモしておくです」
 きのこの絵が表紙に描かれたノートに、しっかりと梓が教えてくれたポイントをメモしながら、アメリは一緒に肉じゃがを作っていく。
 そうしてついに魔獣肉で作った肉じゃがが完成した。
「はーい! 味見は任せてー」
 綾が張り切って一番に肉じゃがを試食して。
「ん~っ、魔獣肉もジャガイモも柔らかくて美味しい」
 しっかりと味が染みて、それでいて煮崩れしていない美味しい肉じゃがに綾は太鼓判を押した。
「キノコと一緒に煮込んで入れても良さそうだね」
「ああ、きのこはどんな料理に入れても合うからな」
「ほわー、美味しいのです! この深い味は調味料のせいなのです?」
 和食の基本はだし。その繊細で深い味わいはこの世界では珍しいのかもしれない。
「よし、アメリ。餞別にこれをやろう」
 そう言って梓が取り出し、テーブルの上にどんっと置いたのは。
「めんつゆだ!」
「めんつゆ?」
 さすがにこの世界にはないようで、きょとんとするアメリに梓は説明する。
「ああ、これを使えば様々な料理がいい感じに仕上がる魔法の調味料だ!」
「ま、魔法……! そ、それは魔法使いしか使えないとかそういうものなのです?」
「あー、いやいや便利なっていう意味だからな」
 そう言えば、素直なよいこゆえに何でも真に受けてしまうと言っていたなと思い出し、梓はわかりやすく言い直す。
「それは素晴らしいのです。ありがとうございます。めんつゆ、大切にするのです!」
「よーし、それじゃあ俺からはこれをあげよう」
 梓に続き、綾が餞別にと用意したのは、ラベルに髑髏が描かれた、いかにもヤバげな激辛ソース。激辛党の綾は愛用しているが、普通の人ならばもはや料理の味などわからなくなるくらいの劇物であり、よく梓に没収されているものだ。
「これをかければどんな料理も刺激的な味わいになるよ」
「刺激的ですか! それは楽しみなのです」
「コラコラ! なんてもん渡そうとしてんだお前は!!」
 アメリがXXXソースを受け取る前に、梓は間一髪で没収する。
「えー。アメリちゃん気に入ってくれるかもしれないよ?」
「綾以外にはもはや毒物といっても過言ではないぞ。アメリ、これは刺激的を通り越して激辛だ。料理の味を楽しみたいならおすすめしない」
「か、辛いのはそこまで得意ではないのです……おにーさん、せっかくくれたのに、ごめんなさいです!」
「いやいや謝らなくていいからな?」
「えー美味しいのにー」
「え、美味しいのですか?」
「おい、話をややこしくするな!」
 一向に収まらない会話に梓が頭を抱えていると、焔と零がまたしても労いの鳴き声を上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
あらあら、とても可愛らしい勇士様ですの
いっそこのまま永遠に

無事に旅立って貰わなきゃ困るんだけど
そもそも人の時間停めたり彫像にしたりしようとするのはやめてくれ

はぁ、仕方ありませんの

レシピを教えられる程料理は詳しくないから
燻製の作り方を伝えよう
魔獣肉で作ったらどうなるか興味あるし

塩漬け等の下拵えは予めやっておいて
塩抜きと燻製だけやって
その後乾燥にかけようか

料理は予め作っておいた燻製とキノコのマリネでサンドイッチを作るよ
手抜きっぽくはあるけど
その土地の食材で作るのも楽しいしね

でしたら私も少し応援しますの
鞄に保存の加護を与えますの
少しですけど腐りにくくなりますの
変わらない事は悪い事だけではありませんの



●旅立つよいこに邪神の加護を
「あらあら、とても可愛らしい勇士様ですの」
 スーパーよいこランドの壮行会会場で、たくさんの街の人々や猟兵たちに応援されては嬉しそうにしているよいこのアメリを見て、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)と融合した邪神の分霊が、愛らしくもどこか邪悪な笑みを閃かせる。
「いっそこのまま永遠に……」
「無事に旅立って貰わなきゃ困るんだけど」
 六大屍人帝国が巻き起こした大きな戦乱に、自身の世界を守ろうと立ち上がり勇士として旅立とうとしているよいこたちを応援するべくやってきたはずだと、晶は邪神に釘を刺す。
「あらあら、そうでしたわね」
 可愛らしく舌を出しても誤魔化されないぞという視線を送りつつ、晶は日頃から思っていることも言っておく。
「そもそも人の時間停めたり彫像にしたりしようとするのはやめてくれ」
「永遠に美しいままであり続けることが悪いとは思いませんの」
 かつて石像に封印されていた邪神は、封印から逃れるため、依り代として男性であった晶と融合し、今や邪神の本来の姿である少女の姿となってしまった晶と奇妙な共同生活を送っているのだ。こうしてたまに分霊として姿を現しては気まぐれに手伝ってはくれるものの、やはりその根底にあるのは邪神らしい欲望なのだろう。
 けれど確かに今は彼女の時を止めてよい場面ではないと理解した邪神は残念そうにため息をこぼす。
「はぁ、仕方ありませんの。それで、晶はあの子に何をしてあげるんですの?」
「レシピを教えてあげられる程、料理は詳しくないからね。これから旅をするなら、きっと重宝するだろうから、燻製の作り方を伝えようと思うよ」
 キャンプで作る料理は晶の得意とするところではあるが、わりとざっくりしてもなんだかんだ上手くいくのだ。レシピというほどのものでもないので、それならば旅先で楽しめる燻製は保存も効くし教えるのにぴったりだと思ったのだ。
(「魔獣肉で作ったらどうなるか興味あるし」)
 そういうわけで、晶と邪神はアメリに近づき話しかける。
「アメリさんの旅立ちを応援して、燻製の作り方を教えたいんだけどいいかな?」
「燻製! あの良い香りがしてちょっと大人な感じのする食べ物ですね!」
 きらり、と丸眼鏡の奥の瞳を光らせて、アメリは早速晶の話に食いついた。
「うん、これから旅に出るなら、燻製なら保存も効くし、旅先で狩った魔獣肉やきのこも使えると思うしね」
「はい、ぜひ教えて欲しいです、おねーさん方!」
「ふふ、本当に可愛いですの。やっぱり……」
 まだ言っている邪神を視線で黙らせ、晶は厨房に移動し、簡単に燻製作りの段取りを教える。
「道具はいろいろあるけど、フライパンや網でもできるよ。食材は肉や魚、チーズに卵なんかが一般的かな。きのこもできるんじゃないかな」
 肉なら余計な脂肪や筋を、魚なら内臓やエラを取り除いて。そのあとに殺菌と味付けのために塩漬けを行い、そうして塩抜きを行う。その後乾燥させ、そうしていよいよ燻煙だ。
 今回は下ごしらえは晶の方で済ましておいて、塩抜きからの作業。そうして乾燥させている間に、事前に作って置いた晶お手製の燻製ベーコンときのこのマリネでサンドイッチを作っていく。
「旅してるとサンドイッチは手軽で、それでいて美味しくておすすめだよ」
「なるほどなのです。お手軽そうで、それでいてとても美味しい一品なのですね!」
「その土地の食材で作るのも楽しいしね」
 サンドイッチを作っている間に乾燥が終われば、燻製用のチップを使って燻していく。じっくりと時間をかける方法もあるが、今日は高温かつ短時間で仕上げる熱燻法だ。出来上がった後も、しばらく置いて乾燥させておくことがより美味しくするコツでもある。
「これでアメリは燻製を覚えたのです。これから美味しい燻製をたくさん作って楽しむのです!」
 晶が作ってくれたサンドイッチを頬張りながら、アメリは乾燥中の魔獣肉のスモークを眺めてきらきらした目でそう語る。
「うん、これからも大変だろうけど頑張ってね」
「はいです!」
「でしたら私も少し応援しますの」
 こちらもサンドイッチを美味しく食べていた邪神が、手を止めアメリに近づく。アメリが持っている旅行鞄に触れると、何やら力を与える。
「鞄に保存の加護を与えましたの。少しですけど腐りにくくなりますの」
「ほわー、すごいです! ありがとうございますです!」
 時を停滞させる邪神の力がここで力を発揮した。晶もよく邪神の聖域を冷蔵庫代わりにしているのだが、確かに旅するうえで腐敗を防ぐというのはありがたい加護だ。
「邪神にしてはいいこと思いついたね」
 先程まで彫像にしようと思っていた邪神に、ちょっとした嫌味をこめて言ってみたのだが。
「変わらない事は悪い事だけではありませんの」
 そうでしょう? と片目を瞑って邪神は悪戯っぽく微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リオン・リエーブル
アドリブ連携歓迎
アメリさん旅立ちおめでとう!
この世界のきのこは食べると元気になるから
干しきのこやオイル漬け
塩漬けにして持っていけばきっと役立つよ

さてお料理
これからお役立ちならラタトゥイユだよね
きのこも合うから一緒に入れて食べれば疲労回復待ったなし!
作るの簡単応用自在
スパイス入れてカレーもいいよね
出汁を増やせばミネストローネ
ハンバーグと一緒に煮込めば贅沢な逸品に!
もちろんパンにもパスタにも
お喋りしながらお料理教室
UCで敢えて戦場後方を想定したキッチンをご用意
実戦を想定して練習しよう!

さあできあがり!一緒に試食しよう
餞別にレシピとトマト缶も山盛りつけちゃう
美味しく食べて元気に帰ってくるんだよー!



●旅立つよいこに先達の知恵を
「うわー、ここがスーパーよいこランドだね!」
 見渡す限りきのこが生えているその浮島で、良い遊び場を見つけたとでも言うように、子どものようにはしゃいでいるのはリオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)。
「このきのこでパワーアップできるんでしょ? 巨大きのこを踏みつけてジャンプとかも出来るらしいし。えー、カートはないの? 前みたいにレースしたいよねー」
 かつて銀河皇帝を名乗るペンギンとリゾートシップの遊園地内でゴーカートによる激しいデッドヒートを繰り広げたことを思い出したリオンはそんなことを言ってみるが。
「あ、でも今日はよいこの旅立ちのお手伝いだったね。料理を教えてあげて欲しいってことなら、おにーさんの出番だからね!」
 巨大きのこの上でさんざんジャンプしたリオンは、ぴょんっと地面に降り立つと、壮行会会場へと向かうのだった。

「アメリさん旅立ちおめでとう!」
 わー、ぱちぱちと自前の拍手で盛り上げたリオンは極上の笑顔でアメリの旅立ちを祝福した。
「はわ、とっても美人なおにーさん、ありがとうございますなのです!」
 皆に祝われ、来てくれた猟兵にたくさんのことを教えてもらったアメリは、よいこらしく丁寧に頭を下げては一人一人に感謝の言葉を伝える。
「そうだね、旅立ちに際しておにーさんが出来るアドバイスは……この世界のきのこは食べると元気になるから、保存が効いて長持ちするように干しきのこやオイル漬け、塩漬けなんかにして持っていけばきっと役立つよ」
「おにーさんやおねーさんの話を聞くところによると、ここ以外には元気になるきのこは生えていないのですね。ならばたくさん持っていくことにするのです。たくさん食べて、アメリはもっと強くなって屍人帝国と戦うのです!」
「うんうん、その意気その意気。さあて、他の猟兵からも色々なお料理のレシピ聞いたかな? おにーさんからもひとつおすすめを教えちゃうよー」
「ありがとうございますです! 美人のおにーさんのレシピも楽しみなのです!」
「ふっふっふ。おにーさんに任せなさい♪」
 そんな感じで微妙に波長が合っているような気がする二人は厨房――ではなく、建物の外へとやって来た。
「アメリさんはこれからいろいろな場面で戦わなくちゃいけないよね。だから実戦形式の方がいいかなって思ったんだ」
「実戦、なのです?」
「そうだよ」
 ぱちんとリオンが指を鳴らせば、どこからともなく給仕ゴーレムが現れ、そうしてみるみるうちにライフラインがバッチリととのった調理器具付キッチンと食材が出現する。
「これがユーベルコード。戦場後方でこうして仲間の支援をすることだってできるんだよ」
「はわ、すごいのです!!」
「じゃあ、早速料理に取り掛かろうか。メニューは……これからお役立ち間違いなしのラタトゥイユだよ」
 そうしてキッチンに必要な食材たちを並べていく。なすにたまねぎ、ズッキーニ。トマトにパプリカ、これからはかぼちゃも美味しい。
「きのこも合うから一緒に入れて食べれば疲労回復待ったなし!」
 オリーブオイルでにんにくを炒め、切った野菜を入れて煮込むだけでいいお手軽な料理でもある。
「作るの簡単、応用自在」
 スパイスを入れればカレーにもなるし、トマトベースの出汁を増やせばミネストローネにも。ハンバーグと一緒に煮込めば、野菜たっぷり贅沢な逸品に。
「もちろんパンにもパスタにも」
 何にでも合うからたくさん作っておいても飽きがこない。
「季節によって野菜も変えれるし、その土地特有のきのこを入れても楽しいかもね」
「なんという万能メニューなのですか……!」
 リオンが歌うようにリズミカルに説明していく間に、どんどんと料理が増えて、そのレパートリーの豊富さにアメリは目を輝かせるのだった。
「さあできあがり! 一緒に試食しよう」
 せっかくなので壮行会会場へと出来た料理をゴーレムさんと一緒に運び込んで、集まった皆にもラタトゥイユを振舞う。
「とってもとっても美味しいのです……!」
「もちろんおにーさんの料理の腕もあるけど、このユーベルコードは、料理とパフォーマンスで皆を楽しませたいって願いが込められているんだ。アメリさんも自分の得意なことで、きっともっと強くなれるよ」
「はいです! とてもとても勉強になったのです。美人のおにーさんありがとうございますです!」
「おーほんとに素直ないい子いい子♪」
 よしよしと頭を撫でたリオンは、餞別にとラタトゥイユのアレンジレシピを記したメモと山盛りのトマト缶をアメリに贈るのだった。
「どこに行ったとしても、美味しいもの食べて、元気に帰ってくるんだよー!」
 若干、おかん的なノリを滲ませながら、リオンはそうしてアメリを元気に送り出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリロット・エカルネージュ
【なめろう餃子】🍄猟兵化希望
何だか、同類と言うか
素質がありそうな感じがするけど

うん、そこは本人が希望するなら
で無理強いはしないよ。

●アメリちゃんの応援
と後はキノコを使った餃子のレシピを色々教える位かな?アメリちゃんの前途に役に立つ事を祈って

ボクの流派のアピールの『パフォーマンス』も兼ねて『料理』しつつ教えるよ

キノコに相性が良い魔獣肉を『グルメ知識&情報収集』して食材を見える程度に『早業』で手早くかっこ良く捌き

あっ、先ずアンリちゃんにはキノコの餡掛けをソース代わりにした餃子を教えるねっ!餃子をこう焼成したら

その上に炒めたエリンギ、しめじ、まいたけを水、オイスター、鶏ガラスープ、砂糖、醤油を加えて煮て、水溶き片栗粉を加えて、ごま油を加えて

こんな風に作ったキノコの餡掛け、結構餃子のソースとしても美味し

ビスちゃんも、魚介類の魔獣肉のなめろうを?あっ、因みになめろうは餃子の餡としても優秀だから覚えておいて損はないよう……って

エリンギ、舞茸、シメジでのなめろう
も作るの?

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


ビスマス・テルマール
【なめろう餃子】
もしかしてアメリさんを弟子候補にですか?確かにアメリさんの拘りは、わたしも親近感が沸きますね

●アメリさんへの応援
わたしからは海産物な魔獣肉の捌き方と、なめろうの作り方

色々ななめろう料理への応用も、食材を捌きつつ『料理』を教えて置きましょうか。

エミリさんのパフォーマンスと料理が終わったタイミングを見て

ええ、エミリさんの言った通り
餃子の具としても優秀なのでお薦めですよ

後、キノコ三種でのなめろう
少し変化球ですが、レシピを
教えて置きましょう

エリンギ、舞茸、シメジを刻み
下拵え後、刻んだ生姜と水と醤油を大さじ1位加え、蓋して蒸し煮

足りない水分はキノコの中の水分が補って火を通してくれます

ぐったりしてきたら味噌を加え
焼き付ける様に加熱して、さっと混ぜて
小口切にした青ネギと千切りの大葉を混ぜ合わせて完成です。

魚介類以外のなめろうも、世に色々ありますが、此方もお薦めですよ

さて、エミリさんとアメリさん
一緒に作ったモノを頂きましょうか

此れからの前途、応援していますね。

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●旅立つよいこに友との絆を
「へえ、ここがスーパーよいこランド……食べるとパワーアップするキノコがたくさん生えてる浮島なんだね」
 辺り一面そこら中に生えている色鮮やかなきのこたちが目に入ったエミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)は、スーパーよいこランドの地にやって来ると、興味深そうに辺りを観察するのだった。
「まさかブルーアルカディアに、こんな場所があるとは思いませんでしたね」
 今まで訪れたどの浮島とも違う様子に、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)も驚きを隠せない様子。
 二人は少し前にも雲海が美しい浮島で夏休みを楽しんだばかりだが、ブルーアルカディアの浮島も、グリードオーシャンの島々のようにそれぞれに個性があるようだ。
「こんなにキノコに囲まれて育ったらキノコ好きになるのもわかる気がするなあ。話に聞いただけでもアメリちゃんのキノコにかける情熱は、何だか同類というか、素質がありそうな感じがするというか……」
 このスーパーよいこランドで育ったよいこのアメリは、『マグナ聖帝国』の侵攻から故郷を守るため、勇士として旅立つ決意をしたそうだ。料理好きと言っていたのもエミリロットが親近感を抱く理由の一つでもある。
「あ、エミリさん。もしかしてアメリさんを弟子候補に……ですか?」
「うん、そこは本人が希望するならって感じで。無理強いはしないよ」
 餃心拳継承者であるエミリロットは、今は亡き老師から奥義を受け継いだと共に猟兵に覚醒した。餃子の大地の力を操るエミリロットだからこそ、この大地に根差すきのこを愛するアメリに役立つものを教えてあげられる自信があるのだ。
「確かにアメリさんの拘りは、わたしも親近感が沸きますね」
 ビスマスもまた、恩師、そして恩師が教えてくれたなめろうとの出会いがあったからこそ、こうして今も猟兵としてご当地ヒーローを志し、世界を駆けているのだ。
 ビスマスにとって忘れられない思い出のなめろうがあるように、そしてその思い出が自身を強くしていると自覚するからこそ、きのこが大好きというアメリのその思いは、きっとこれからの戦いに役に立つに違いないと確信するのだ。
「ふふ、だよね? 純粋に応援したくなっちゃうよね。それじゃ、アメリちゃんが立派な勇士になれるよう二人で応援しよう!」
「はい、そうしましょう。わたしも楽しみです」
 そうして、二人は壮行会会場へと向かうのだった。

「あ、あの子がアメリさんのようですね」
 会場となったレストランの中央のテーブルで、多くの街の人や猟兵たちに囲まれている少女を見つけ、二人は近づいて行った。
「初めまして、アメリちゃん。旅立つって聞いたから、応援も兼ねてボクたちからも役立ちそうなレシピを教えたいんだ」
 エミリロットとビスマスが自己紹介をすると、アメリは年齢の近い二人に親近感を持った様子で、丸眼鏡の奥の瞳をキラキラと輝かせた。
「はわ、アメリと歳が近そうなのに、二人はもう立派な勇士なのですね! エミリちゃんに、ビスちゃん、よろしくお願いしますなのです!」
「ふふ、噂に違わぬよいこさんですね。ではアメリさん、早速厨房へ」
「はいです!」
 やる気満々で厨房に向かったアメリに、まずはエミリロットがアメリの好きなきのこを使った餃子のレシピを教えようと材料を準備する。
「餃子……はこの世界にあるかなあ。ともかく、皮で具を包んだ美味しい料理だし、かなりアレンジもきくんだよ」
 そう言ってまずは粉を混ぜ合わせ、皮から作っていく。
「アメリちゃんには一緒に包むのをやってもらおうかな」
 簡単に皮の作り方を説明し、てきぱきと作業を進め、生地を寝かせている間に餃子の餡を作っていく。
「この前魔獣肉で餃子を作った時にいろいろ試したから、きのこにも合いそうな魔獣肉に見当がついてたんだよね」
 そうして魔獣肉の塊を手早く捌くと挽肉にしていく。
「ほわー、すごい早業なのです!」
「料理は味ももちろんだけど、出来上がるまでのパフォーマンスも大事だとボクは思うんだ」
 それはもちろんより美味しく食べてもらうために。そして大地の力を操る餃心拳の継承者として、ガイアパワーや気の力を使うことは、料理にも戦闘にも活かせるエミリロットの強みだから。
 その後、発酵した生地を麺棒で伸ばし、皮にしていくエミリロットの姿もアメリには眩しく映ったようで、感動しながら出来立ての皮で餡を包んでいく。
「さあ、ここでキノコを登場させないとね。餃子はこのままでも美味しいけど、今回はキノコの餡掛けをソース代わりにした餃子だよ」
 熱したフライパンに成形した餃子を並べて焼いていき、その上に炒めておいたエリンギやしめじ、まいたけなどのきのこ類を、水とオイスターソースや鶏ガラスープなどの調味料を加えて煮る。
「なるほど、中の具材ではなく、外側に餡掛けなんですね」
「そうだよ、ビスちゃん。中の具材以外にもいろいろアレンジがきくからね!」
 いつもエミリロットのアレンジ餃子を見ているビスマスもなるほどと唸るきのこの餡掛けソースは、とろみをつけるための水溶き片栗粉とごま油を加えると完成だ。
「こんな風に作ったキノコの餡掛け、結構餃子のソースとしても美味しいよ」
 もちろん、他の料理にも使えるしね、とエミリロットが見せた笑顔にアメリは尊敬の眼差しを送る。
「すごいのです! たくさんの技術と愛情が詰まっているのが、アメリにもわかるのです!」
「そう言ってもらえると嬉しいよう。アメリちゃんの前途に役に立つといいんだけど」
「アメリさん、それではわたしからは、なめろうの作り方をお教えしますね」
 先程は獣型の魔獣肉。そしてビスマスは魚型の魔獣肉の捌き方と、なめろうの作り方を伝授するつもりだ。
「なめろう……初めて聞くのです」
「はい、なめろうの布教もわたしの目的のひとつですから」
 そうしてビスマスは丁寧になめろうについて説明し、捌き方の見本を見せる。
「アメリちゃん、これがビスちゃんの得意料理……今日は魚介類の魔獣肉のなめろうだね」
 ビスマスの作るなめろうはもちろん絶品で、そのアレンジの幅も餃子と同じくらい無限大。
「あっ、アメリちゃん。因みになめろうは餃子の餡としても優秀だから覚えておいて損はないよう」
「はわ、そうなのですね! しっかりメモするのです!」
 表紙にきのこが描かれたノートに、餃子のレシピと共にしっかりメモを取るアメリ。
「ええ、エミリさんの言った通り、餃子の具としても優秀なのでお薦めですよ」
 そうして魚型魔獣肉で作ったなめろうを手早く仕上げていく。
「なめろうは魚介で作るのが一般的ですが……他にもアレンジ可能です。では、キノコ三種でのなめろうも」
「……って、エリンギ、舞茸、シメジでのなめろうも作るの?」
 これにはエミリロットも少し驚いたようで。
「はい、少し変化球ですが……アメリさんが好きなキノコを使ったレシピをと思いまして」
「きのこのなめろう楽しみなのです!」
 アメリの熱い視線が注がれる中、ビスマスはエリンギにまいたけ、しめじを一口大に刻んでいき、こちらも細かく刻んだ生姜に水と醤油を加えて蓋をして蒸していく。
「いい匂いがするのです」
 辺りに漂うなんともいい香り。
「足りない水分はキノコの中の水分が補って火を通してくれます」
 きのこがくったりと煮えたら味噌を加え、水分を蒸発させるべく焼き付けるように加熱してさっと混ぜて火から下ろし、小口切にした青ネギと千切りの大葉を混ぜ合わせれば完成だ。
「魚介類以外のなめろうも、世に色々ありますが、此方もお薦めですよ」
「アメリちゃん、作り方で質問とかあったらいつでも聞いてね」
「はいです!」
 しっかりとメモを取っているアメリへとビスマスはにこやかに笑いかける。
「さて、エミリさんとアメリさん。一緒に作ったモノを頂きましょうか」
 厨房から移動して、テーブルの上にきのこ餡掛け餃子と二種のなめろうを運び、三人は手を合わせてから料理を口に運ぶ。
「これが餃子……中の具のお肉にぎゅぎゅっと旨味が詰まっていて、とても美味しいのです。それにこのきのこのソース! とろっとしていて、餃子にもよく合うのです!」
「ふふ、気に入ってもらえたら嬉しいなあ。他にもいっぱいあるんだよ。チョコ餃子もおすすめなんだよ」
「あ、甘いのもあるのですか!」
「エミリさんのスイーツ餃子も絶品ですよ」
 和やかな会話を繰り広げつつ、そうして次は二種のなめろう。
「なめろう……新鮮なお魚さんが薬味と調味料だけでこんなに美味しくなるのですね」
「こちらにはあるかわかりませんが、味噌が味の決め手ですね」
「はわー、アメリは今回たくさんの調味料を教えてもらいました。これできのこ料理の味の幅も広がると思うです!」
 こちらも味噌が使われたきのこのなめろうを美味しそうに食べ、ちょっと考えてパンに乗せてみたりしながら、アメリは二人に教えてもらった料理を美味しくいただくのだった。
「アメリちゃん、これから大変なこともいっぱいあると思うけど、ボクたちはアメリちゃんの味方だよ。いつだって頼ってくれていいんだからね」
「はい、これも何かの縁ですから、今回だけでなくこれからも一緒に頑張っていけると嬉しいですね」
「エミリちゃん、ビスちゃん……アメリは嬉しいです。ぜひこれからも仲良くして欲しいです。そしてアメリはよいことして立派な勇士になるのです。まずは故郷を守れるように!」
 二人としっかり手を握り交わしたアメリは、そう言って力強く宣言すると嬉しそうに微笑んだのだった。


🍄猟兵化希望をいただいたエミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)さんに、『アメリ』を猟兵にする権利を差し上げます。ありがとうございました🍄

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月18日


挿絵イラスト