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アルカディア争奪戦⑤〜カミナリ様の騎士道

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●騎士道
『円環世界(リングワールド)』の更に先で、天帝騎士団の天帝『冬のアスタルジャ』が、かつてその強力無比なユーベルコードを天使核に注ぎ、創造したという浮遊大陸が姿を現した。
 全てが雪と氷でできたその浮遊大陸は、『飛空氷塊アリステラ』と呼ばれている。
 飛空氷塊アリステラには、天帝騎士団のオブリビオンと、奴隷を監視するスノーゴーレムが存在し、奴隷として連れてこられた人々が過酷な労働を強いられていた。
「ここのオブリビオンは少し風変わりで、天帝騎士団のオブリビオン達は『冬のアスタルシャ』に騎士として忠誠を誓っているという話です」
 グリモアベースで戦況を静かに見守っていたグリモア猟兵、ナノ・ナノン(ケットシーの聖者・f18907)は静かに目を閉じる。
 騎士道を重んじるオブリビオン達は、名誉と誓約を穢す者を決して許さない。
「となれば、私達も正々堂々、騎士道に則った戦いを挑むのが有効だと考えます」
 猟兵達は大きく頷く。
 前回の戦いで多くの勇士を仲間に出来たとはいえ、効率的に立ち回り、なるべく多くの敵を倒し、その戦力を削いでいくのが妥当だろう。
「皆様の騎士道を敵に見せつけ、勝利を手にしてください!」
 ナノンはグリモアの力を宿した杖を掲げ、転送用魔法陣を展開すると、飛空氷塊アリステラへと誘った。

●誇り高き「カミナリ騎士団」
『飛空氷塊アリステラ』の一画。
 氷の防壁に囲まれた小さな砦の内部では、隊列を組んだオブリビオンが、「ザッザッ」とリズミカルな足音を響かせながら巡回していた。
 やがて、固く閉ざされていた砦の扉が開き、中から規律を重んじ、名誉と誓約の名の下、騎士道を掲げる一団が姿を現す。
 その先頭で、騎士団長と思しき人物が、剣の変わりに手にした骨付き肉を高々と掲げた。

「にゃーーーーーー!!!!」

『にゃーーーーーー!!!!』

「にゃーーーーーー!!!!」

『にゃーーーーーー!!!!』

 隊列を組んだオブリビオンが団長の呼びかけに呼応するように、一糸乱れぬ動きで骨つき肉を天に掲げ、何度も歓声をあげる。
 この統率のとれた集団こそ、『カミナリ騎士団』を名乗る、全てカミナリさまで構成された騎士団だった。
「そろそろ猟兵達が現れる頃だという知らせが来たにゃ! 奴らに我らの騎士道を叩き込んでやるといいにゃ!!」

『にゃーーーーーー!!!!』

「討ち取った猟兵の肉は、今晩のおかずだにゃ!! 誇りを胸に美味しく食べるのにゃーー!!!」

『にゃーーーーーー!!!!』

 こうして、カミナリ騎士団は、今晩のおかず(と書いて、誇りと読む)を胸に、猟兵達を正々堂々と迎え撃つ準備をはじめたのだった。


柚子胡椒
 はじめまして、あるいはこんにちは。MSの柚子胡椒です。
 これは戦争シナリオのため、1章構成でお送り致します。
 尚、誤入力のリスクを減らすため、『ルビ』機能には対応しておりません。

 補足説明。
 今回は、『飛空氷塊アリステラ』にて、騎士道を掲げるオブリビオンの相手となります。
 彼らは、名誉と誓約を穢す者を決して許しません。正々堂々、誇りを持った者としか戦わず、それを穢す者は、彼らに決して勝つことができないようです。
 その為、こちらも騎士道に則り、誇りをもって戦いを挑みましょう。
 尚、敵は正々堂々1対1の戦いを望み、律儀にも後ろで1列に並んで順番待ちをしてくれていますので、その点では安心して戦えると思います。

 プレイングボーナス:騎士道に則り、誇りをもって戦う。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『カミナリさま』

POW   :    ブットバすにゃ!
自身の【得物である骨付き肉】に【雷】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD   :    チカラがわいてくるにゃ!
戦闘中に食べた【武器の肉、或いは飲みこんだ雲】の量と質に応じて【潜在能力を活性化させる電撃を纏い】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    オシオキのじかんにゃ!
自身の【得物である骨付き肉】から、戦場の仲間が受けた【恐怖とダメージの合計】に比例した威力と攻撃範囲の【雷撃】を放つ。

イラスト:塒ひぷの

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

徳川・家光
柚子胡椒マスターにおまかせします。かっこいい徳川・家光をお願いします!

『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写戴けると嬉しいです。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的に「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。
よく使う武器は「大天狗正宗・千子村正権現・鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせです!



●おかずの名前は「将軍焼き」にゃ!
 小さな氷の粒がチラチラ舞う『飛空氷塊アリステラ』にある、小さな砦前。
 雪と氷で出来ているだけあって、それなりに寒い。
 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、首元に巻いた『白揃え』を軽く口元まで持ち上げ、息を吐いた。
 白い息がパッと散った先に見えるのは、ほぼ裸に近い『カミナリさま』の一軍であった。
「寒くないのかなぁ」と呟きつつ、家光は更に前に進み出る。
「早速来たにゃ、猟兵! 我ら、誇り高き『カミナリ騎士団』。早速お相手願うにゃ!!」
 礼儀正しく名乗るカミナリさまの1人(或いは1匹)は、胸を張る。首に巻いた赤い布が、冷たい風に流され、ハタハタと靡いている。
 その後ろには、1列に並んだカミナリさま一同の姿が。
 なるほど。本当に律儀に並び、順番を待っている。
「コホン」と軽く咳払いをした家光もまた、名乗る。
「余は徳川家光。サムライエンパイアの将軍である。一将軍、一猟兵としての誇りを胸に、いざ、尋常に勝負!!」
 そう。自分は将軍だ。だからこそ、率先して戦いに赴かなくてはーー。
 家光は『大天狗正宗』を軽く持ち上げ、霞の構えをとった。
「にゃ! お前は将軍なのかにゃ。という事は、今日の夕飯のおかずは『将軍焼き』に決定にゃーー!!」
「ブンッ」と骨付き肉を、まるで棍棒のように振り回しながら、家光の間合いに入って来たカミナリさまが頭上から特大の一撃を放ってくる。
 家光はやや腰を落とし、大天狗正宗を頭上に掲げ、敵の一撃を受け止めた。
 骨付き肉の肉が切れ、骨で刃が止まる感触がする。それに合わせ、今度は家光が、力の限り敵を後方に弾き返す。
「にゃーー! 流石は将軍だにゃ。仕方がないのにゃ。夕飯の前にコイツを食うにゃ!!」
 元居た位置まで吹き飛ばされたカミナリさまは、どうにか踏み留まり、手にしていた骨つき肉に齧り付く。

『チカラがわいてくるにゃ!』

 その言葉通り、カミナリさまの全身から雷が放出される。
 上空に広がる曇天から、時折雷鳴が聞こえてくる。
 恐らく、次に放ってくるのは一撃必殺の技。
 パワーアップしたカミナリさまはビョンと上空に飛び上がると、骨だけとなった骨付き肉を両手で掴み、雷を纏った状態で家光目掛けて落下してくる。
「一か八か……嫌いな言葉じゃありません!」
 家光は素早くユーベコード【火産霊丸(ホムスビマル)】を発動し、それを迎え撃たんとする。

『火産霊丸よ、焔の底より出ませい!』

 炎の渦が巻き起こり、中から燃える白馬「火産霊丸」が嘶きながら飛び出した。
 運命共同体となった「火産霊丸」にひらりと跨った家光は、大天狗正宗を構えたまま、カミナリさま目掛けて飛び上がった。
「覚悟するにゃーーーー!!」
「この家光、悪は決して許せぬ!」
 雷と炎を纏った互いの一閃がぶつかり合い、その衝撃で辺り一帯に強風が吹き荒れる。
 舞い上がった雪が煙のように舞い上がり、周囲が白く染まる中、ゆらりーー。
 赤い炎が揺れる。
「ふぅ。余の勝ちだ!」
 家光は刀を軽く振り下ろし、手綱を引いて向きを変える。その足元には、討ち取ったカミナリさまが転がっていた。
「にゃっ、にゃにぃーーーーーー! 我らの誇りが負けたのにゃっ!!」
「次にゃ! 敵に休む暇を与えてはいけないのにゃ。続くんだにゃーーーー!! そのうちアイツも疲れてくるはずにゃ!!!」
『にゃーーーーーー!!』
「やれやれ……。これじゃあ、百人組み手ですね」
 家光は再び大天狗正宗を構え、矢継ぎ早に戦いを挑んでくるカミナリさまを一刀両断し、瞬く間に騎士団の1個小隊を殲滅すると、別の小隊を睨みつけた。
「はい! 次っ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
簡単には負けないんだからにゃー!
…あ、つられた

戦いの前にちょっと
僕ちょっと心臓弱くてですね
無理な運動は出来ないから、適度に空飛ぶのだけは許してくれる?

相手が雷撃なら僕も★杖で魔法使用
物理対魔法はなんかフェアじゃないもんね
自身に【オーラ防御】を纏い、更に【高速詠唱】で雷魔法を上乗せ
雷同士軌道誘導されて外に受け流せるように
更に【指定UC】発動
わっ!と叫び実体化した文字をぶつけて怯ませ

雷使いだと思った?
全属性使い、だよ

【多重詠唱】で水魔法の【属性攻撃】
猫さんが纏った電撃を拡散させ自滅しびしび狙おうかと

ほら、僕の戦法は教えたよ
手加減こそ失礼だしね
僕は持てる力全てを駆使して全力でいくから
かかっておいで



●なんだか、美味しそうにゃ!
 やむ気配のない雪の中、『飛空氷塊アリステラ』にある小さな砦前では、妙な熱気が渦まいていた。
「にゃんと! 天使が来たにゃ!!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の背に生えた純白の羽を目にしたカミナリさま一団が、心無しか、ウズウズしているように見える。
 澪は今、1人のカミナリさまと対峙していた。
 その背後には綺麗に整列した、カミナリさまの姿がある。ざっと見て、約50人ほど。
 1個小隊ぐらいの人数だろうか。
 それにしても、本当に1人1人戦いを挑んでくるんだなと、澪は感心してしまう。
「我ら、誇り高き『カミナリ騎士団』。正々堂々、1対1の戦いを申し込むのにゃ。いざ、尋常に勝負だにゃ!!」
「簡単には負けないんだからにゃー!」
 ……あ、つられた。
 澪は慌てて口元を押さえ、そっと手を上げる。
「戦いの前にちょっといいかな?」
「うむ、許すにゃ。美味しそうだから、ちょっとだけ話を聞いてあげるにゃ」
 美味しそう……。それは褒め言葉だよね? ね?
 ちょっと複雑な気持ちになりつつ、澪は言葉を続ける。 
「僕ちょっと心臓弱くてですね。無理な運動は出来ないから、適度に空飛ぶのだけは許してくれる?」
「にゃんと! 心の臓が弱いとにゃ!! よくそんな体で戦いに来たもんだにゃ……(うるうる)」
 あれ? なんか同情されてる??
「そうなんだ。どうかな?」
「良いにゃ。我らが求める正々堂々とは、誇りを胸に、1対1で向き合う事を指しているんだにゃ。戦い方は問わないにゃ」
 カミナリさまが首元に巻いた赤い布で涙を拭うと、骨付き肉を構えた。
「我らは今晩のおかずと、騎士としての誇りを胸に戦うんだにゃ!」
「じゃあ、僕は……」
 澪は少し考えて。
「自由と、猟兵の誇りを胸に戦う!」
 そう。僕は自由だ。昔は囚われの身で、奴隷として酷い扱いを受けたこともあったけど。
「いくにゃ!」
「いくよ!」
 先制攻撃を仕掛けてきたカミナリさまは、ドスドスと足音をたてながら、澪へと突撃してくる。一方で、澪は華麗に空へと飛び立つ。
「上空に逃げても無駄なのにゃ。雷でビリビリなのにゃーー!!」
 雷雲を呼び出し、それを足場に移動しながら、澪に向けて骨付き肉を降りかざした。
 見かけによらず、素早い動きで次々と物理攻撃と雷撃を繰り出すカミナリさま。
 こちらも負けてはいられないと、澪はエレメンタルロッド『Staff of Maria』を構え、オーラ防御を纏った。
「相手が雷撃なら僕も★」
 物理対魔法は、なんかフェアじゃないもんね。
「まずは正々堂々、雷対雷で戦うよ、それ!」
 得意の高速詠唱で、瞬時に複数の魔法陣を発動させると、一斉に電流を放つ。
 いく筋もの青白い稲妻が魔法陣から魔法陣へと駆け巡り、敵の放った雷を絡めとってゆく。
「にゃんとーー! お前も雷使いなのかにゃーーーーー!! なら、尚更負けられないのにゃ」
 地面に降り立ったカミナリさまは骨付き肉を掲げると、「あんむっ!」と一口で飲み込んだ。

『チカラがわいてくるにゃ!』

 食した肉によって呼び起こされた潜在能力が電撃となって発現し、カミナリさまの全身を覆う。

「これで終わりだにゃーーーーー!!」

 拳を握り締め、雷光の尾を引きながら雷鳴と共に、カミナリさまは、空中浮遊する澪の間合いに飛び込んで来る。

『教えてあげる。世界に溢れる鮮やかな音!』
 澪は、待ってましたとばかりに、両手を口の前に添え、「わっ!」と叫んだ。
 叫んだ言葉は【彩音(ボクノオト・キミノオト)】の力によって実体化し、巨大な文字となってカミナリさまの前に立ちはだかる。
「にゃ、にゃにゃっ????」
 虚を突かれたカミナリさまの反応が遅れ、そのまま文字へと突っ込み、続いて『バチーン!』と放電した音がこだます。
 勢いを失ったカミナリさまにトドメを刺すべく、澪は水属性の魔法を発動する。
「雷使いだと思った? 実は全属性使い、だよ」
 魔法陣から吐き出された大量の水が、帯電中のカミナリさまを飲み込んでゆく。
 ちなみに、水は雷を通す物質。つまり……。
「にゃばばばばばばーーーー、痺れるにゃーーーー!!??」
 自身の雷により感電を起こしたカミナリさまは、シビシビしながら失速。そのまま垂直に落下し、やがて「べしゃり」と湿った音が響く。
「ほら、僕の戦法は教えたよ。手加減こそ失礼だしね」
「はにゃにゃにゃ……。なんたることにゃ」
「見た目は美味しそうなのに、意外と強敵だったにゃ」
 地面に突っ伏し、時折体をピクピクと痙攣させる仲間を見たカミナリさま達から、誇りと夕飯への期待が一気に萎む音がしたような気がした。
「僕は持てる力全てを駆使して全力でいくから、かかっておいで」
 澪はニッコリ微笑んだ。背に生えた羽が、犬の尻尾のように、パタパタと嬉しそうに動く。
 出鼻を挫かれたカミナリ騎士団はすっかり縮み上がってしまい、澪の手によって、全員あっさり倒されてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィルバー・セラ
【アドリブ連携歓迎】
一列に並んでまあお利口なことで。
いいぜ、一人ずつ丁寧に転がしてやるよ。

まずは敵の手の内を知るところからだ。
距離を取り、【結界術】も念のために貼りつつ牽制で【砲撃】。
防戦一方だと見せかけて一度UCを誘発させる。
当たりそうなら【属性攻撃(風)】を利用した【推力移動】で無理やり身体を軌道からずらす。

敵のUC2発目がきたら【指定UC】で相殺して相手の動揺を誘い、
そこに【斬撃波】を見舞うと同時に接近して【零距離射撃】をくれてやるよ。

は?
相手の能力を見極めるのは戦闘の常套手段だろ?
お前んとこの騎士道は相手を見極めず戦う無謀さを説いてるとでも?
そんな無謀な騎士団でよくやってこれたな……



●未知なる味にゃ!
 騎士の誇りと今晩のおかずをかけて、わざわざ1対1の戦いを挑む『カミナリ騎士団』の騎士達を、戦場に降りたったフィルバー・セラ(霧の標・f35726)が一瞥する。
 一列に並んで、まぁ、お利口なことで。
「にゃにゃっ! なんだか、変わった匂いのする猟兵が出てきたのにゃ!!」
「そうか? あぁ、この世界ではダンピールは珍しいのか」
 顔の右半分を眼帯で隠しているが、それでも目を惹くほど端正な顔立ちのセラは、過去、迫害を受けたダンピールである。
「だんぴーる……、未知の味にゃ。良いにゃ。我らは、今晩のおかずと騎士としての誇りを胸に戦うにゃ!!」
 セラと対峙したカミナリさまは、骨付き肉を胸の前に仰々しく構える。
 その姿はまさしく、正々堂々、決闘を申し込む騎士であった。
「いいぜ、一人ずつ丁寧に転がしてやるよ」
 セラは肩に乗せていた猫の使い魔にして、何故だか、こちらを下僕認定している黒猫『Ms.Elsa』を地面に下ろす。
 スルッと体をくねらせたエルザは、セラの影に溶け込んで、その場から姿を消した。
 どうやら、影の中で、下僕の勇敢な姿を鑑賞しようという事らしい。
 やれやれ……。さて、自分は何を胸に戦おうかーー。
 セラは思案する。
 猟兵になったのも、吸血鬼への憎悪であったし。吸血鬼を全員ぶっ殺すまでは、という思いももある。
「だが、そうだな。強いていうなら、この血と己の誇りに賭けて」
 呪われた血ではあるが、手にした以上、この力をとことん利用してゆくだけだ。
 セラは、人では到底扱えない代物『Crimson Rouge』を構えた。
「まずは、敵の手の内を知るところからだ」
 カミナリさまが、「にゃーー!」と咆哮しながら、骨付き肉で突きを放ってくるのを見て、セラは1歩、2歩と距離を取る。
 その間に素早く結界を張るが、これはあくまでも念のためであった。
 更に、『Crimson Rouge』から真紅の光線を放って、牽制する。
「にゃはははは! そんな豆鉄砲当たらないし、当たってもちょっと熱いくらいで、なんともないのにゃぁーー!!」
 ほぼ裸の状態に近いカミナリさまは、手にした骨付き肉を振り回しながら、確実に間合いを詰めてくる。
 背後では、順番待ちをしていたカミナリさま達が、興奮した様子で。
「凄いにゃ。敵はタジタジにゃ!」
「今晩のメインは、だんぴーる鍋で決まりだにゃ」
 と、囃し立てている。
 確かに、こちらが押されているように見えるだろう。
 だがーー。
「そろそろだな……」
 セラが纏っている深い緑の外套が、ゆらりと怪しく揺れる。
「これで、おしまいにゃ。だんぴーる鍋は我らが頂くにゃ」
 カミナリさまが骨付き肉を天に翳す。
 
『オシオキのじかんにゃ!』

 上空に、重く乗しかかるような雷雲が立ち込める。
 それは、戦場に居た騎士達全てが感じた恐怖とダメージを飲み込んだ、怨念の塊であった。
「食らうがいいにゃ、我らの怨み!」
 雷雲は、カミナリさまの呼びかけに応じるように雷撃を放つ。
 夥しい数の雷撃が、地上に降り注ぐ。
 どうやら彼らは、愉快な出立ちとは異なり、存外、多くの恐怖とダメージを今まで受けていたようだ。
 セラは姿勢を低く保ちながら、雷の合間を縫うように走りぬけ、雷の直撃を避けるため、風で自らの身体を加速させる。
 無理な姿勢で避け続けた影響で、身体に痛みが走る。
 それでもーー。
「まだだ……」
 まだ、攻撃に転じる時ではない。
 ギリギリまで敵を焦らし、手の内を全て明かさせる。
「にゃにぃーー! 雷よりも早く動ける奴がいるにゃんて……。でも、これでどうにゃ!!」
 再び、『オシオキの時間』を発動し、更に恐怖とダメージの力を雷雲に注ぐ。
 雷雲が叫び声をあげるように全身で轟くと、特大の雷撃を地上に降らせた。
 恐怖に、大地が小刻みに震える。
 今だ。
 セラは身体を反転させると、『Crimson Rouge』の銃口を頭上の雷撃、さらには雷雲に向け、【魔弾・塵芥回帰(フライクーゲル・シュタウブクラフト)】を発動する。

『狙ったものは外さねえ。それが例え目に見えないモンだろうとな』

 銃口から放たれた魔弾が、雷を裂き、雷雲を穿つ。
 それは、敵の放った力を霧散させることができる、取っておきの魔弾であった。
 地上から放たれた一条の光に貫かれた雷雲は、まるで穴の空いた風船のように、瞬く間に萎むと、プツンと消滅した。

『にゃ、にゃんですとぉーーーーー!!??』

 カミナリさまが、信じられないと、口をあんぐりと開け、空を見上げた。
 その隙を突くように、セラは薄らと笑みを浮かべながら斬撃波を放つ。
 咄嗟に骨付き肉を盾にしたカミナリさまであったが、セラの動きの方が早かった。
 額にある、三角の模様の中央に銃口を当て。
「コイツをくれてやるよ」
 引き金を引く。
 ドサリと乾いた音が響いた。
「にゃ、にゃ、にゃんてことだにゃ……。最初は、こっちが勝っているように見せかけて」
「なんだか、ズルいにゃ!」
 ブーブーと、文句を垂れるカミナリさまではあったが、その場から動こうとする者はいなかった。
 そんな騎士達にセラは。
「は? 相手の能力を見極めるのは戦闘の常套手段だろ? それとも、お前んとこの騎士道は、相手を見極めず戦う無謀さを説いてるとでも?」
 そんな無謀な騎士団で、よくやってこれたな…… 。
 セラの緑色の瞳に、冷たい光が宿る。
 真っ当なことを指摘され、整列していたカミナリさまの毛が一斉に、「ぶわわっ!」と逆立つのが見え、セラは笑う。
 これで、騎士達の心は折れた。
 心の折れた相手など、何人束になっても、どうということは無い。
 あとは一方的な戦いを繰り広げてゆくだけだ。
「さぁて、次の相手はお前か?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「一応、マジックナイトでもありますから、私も正々堂々と一騎打ちで戦いましょう。」「私はウイザードとマジックナイトの火土金水・明。いざ、勝負です。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付けた【銀の流れ星】で、『カミナリさま』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【雷撃耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●魔法使いのステーキ、使い魔添えにゃ!
「一応、マジックナイトでもありますから、私も正々堂々と一騎打ちで戦いましょう」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、転送用魔法陣を抜け、戦場に颯爽と現れと、今晩のおかずをかけて戦う『カミナリ騎士団』に真っ向から立ち向かう。
 相変わらず、白っぽい空から冷たい雪が落ちてくる。
 明の黒色のウィザードハットやローブに、薄らと氷の粒が積もりはじめていた。
 一方で、裸に近いカミナリさまの周囲は、放つ熱気で雪が溶けている。
「よく来たにゃ。魔法使いが来るとは思わなかったのにゃ。猟兵というのは、随分と色々な奴がいるんだにゃ」
 骨付き肉をぶらぶらさせながら、カミナリさまの視線が、明、それから肩に乗せた使い魔の『クロ』へと移る。
「にゃるほど。今日は、『魔法使いのステーキ、使い魔添え』ってとこなんだにゃ!」
「これは、楽しみにゃ」と、カミナリさまが騎士の作法に則って、骨付き肉を胸の前に構える。
 随分、食いしん坊な騎士である。
「我らは、今晩のおかずと騎士としての誇りを胸に戦うにゃ! お前は何を胸に戦うにゃ?」
 そう問われて、明は帽子のつばを指先で軽く摘み、クイっと下に引っ張った。
 自分は人間のウィザードにして、マジックナイト。そして、自称、”荒廃の魔王”アゼル=イヴリスの落とし子である。
 となれば……。
 明もまた、静かに『銀の剣』を構えた。
「私は、この血に宿る魔力と、騎士としての誇りを胸に戦いましょう!」
「結構だにゃ! いざ、尋常に!!」
「勝負です!」
 2人は一斉に駆け出すと、互いに一撃ずつ放つ。
「まだにゃ!」
 カミナリさまは、明の剣撃を交わすと、2撃目を繰り出した。頭上から勢い良く振り下ろした骨付き肉の周囲に、雷が発生する。
 それを銀の剣で防ぎつつ、明はオーラ防御と雷撃耐性を自身に付与して雷撃に耐えた。
 バチン、バチン、とショートする音が鼓膜を震わし、明とカミナリさまの間で何度も閃光が散った。
「どうしたにゃ! 防ぐばかりじゃ、私は倒せにゃのにゃ!!」
 ブンッと、低い音がし、明の鼻先を骨付き肉が掠める。
 一瞬、焼けた肉の匂いが、ぷんと香った。
「にゃはははは! これで終わりにするにゃっ!」
 明の目の前で、カミナリさまが手に持っていた骨付き肉を、丸呑みにする。

『チカラがわいてくるにゃ!』

 ゴキュ、という嚥下する音のあと、食べた肉の力によって活性化した潜在能力が電撃となって、カミナリさまの体を覆う。
 電撃を纏ったカミナリさまは、「美味しく焼いてやるにゃーー!」と、明に向けて一気に放電した。
 青白く輝く電撃が、明を飲み込んでゆく。
 その様子に勝利を確信したカミナリさまは腰に手を当て、高らかに笑った。
「にゃーはっはっ!我らの勝ちにゃーーー!!」
 しかしーー。
「残念、それは残像です」
「にゃにっ!?」
 マントを脱ぎ捨て、銀の剣を構えた明が、カミナリさまの前に音もなく現れ、ひらりと華麗な動作でカミナリさまの頭上へと舞い上がり、【銀の流れ星(ギンノナガレボシ)】を放つ。

『流れる星に、魔を断つ力を』

 一閃。
 銀の剣が冷たく輝きながら、三日月の軌跡を描く。続いて、ドサリと、重たいものが地面に落ちる音がする。
「にゃ……、にゃんですとぉーーーー!!」
「一撃。たった、一撃でやられてしまったのにゃーーーー!!??」
 明の足元に転がる仲間の無惨な姿を目にして、それまで優位だと思っていたカミナリさま達が浮き足だった。
 彼らにはもう、夕飯を楽しみにする余裕もなければ、騎士の誇りも何処かへ飛んで行ってしまったようだ。
 明は再び、騎士の前に立つと、【銀の流れ星(ギンノナガレボシ)】を放ち、1人、2人、3人……と、騎士を斬り伏せてゆく。
 長い黒髪を靡かせる明が、屍を跨ぎ、一歩、また一歩と敵に迫るその姿に。
「いにゃーー! 魔王だにゃ!! コイツは間違いなく魔王なんだにゃーーーー!!!」
 いつの間にか、雪も止み、薄陽が差している。
 あれだけ騒がしかった戦場も、静かになっている。
 どうやら、他のカミナリ騎士団の騎士達も、それぞれの誇りを胸に戦った猟兵達の手によって殲滅されたようだ。
 明は銀の剣で最後の騎士を討ち取ると、空に向けて剣を掲げた。
 薄陽を反射した銀の剣が、キラキラと白く輝く。
「私たちの勝利です」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月09日


挿絵イラスト