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アルカディア争奪戦②〜リベレイション・パーティ

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》

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#アルカディア争奪戦
#|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》


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●勇士パーティ結成――ならず!?
「皆さん、どうか力を貸してください! 屍人帝国の軍勢によって、この世界が滅亡の危機に瀕しています! 今こそ力を合わせて屍人帝国に立ち向かう時です! どうか、私と一緒に戦ってください!」
 首から十字架を下げた金髪の少女が、街の大通りで大声を上げていた。
 少女の名はリベレイア・ホリィ。ブルーアルカディアの農家の生まれだが、先日、神の啓示を受けて聖者としての癒やしの力に目覚めたのだ。
「神はおっしゃいました。仲間となる勇士を集めて屍人帝国に対抗するようにと――」
 十字架を握りしめる少女の瞳には、強い決意の光が宿っていた。

 ――ここはブルーアルカディアの『オルダナ円環島』。
 神隠しの末裔たる異世界の種族も多く住む「種族のるつぼ」である。実際、大通りを歩く人々にも、異世界種族の姿が多い。
 だが、リベレイアの言葉に耳を傾ける者は皆無だった。

「皆さん、お願いします。このままでは世界が屍人帝国によって滅ぼされてしまいます。この浮遊大陸なら、屍人帝国に抗う人々が多く住んでいると聞いて、故郷から旅をしてきたのです――。それなのに――」
 俯いた少女に、ぽつりぽつりと冷たい雨が降り注ぎ始めた。
 やがて雨は本降りになり、街を灰色に染めていく。
 ただ一人、大通りに立ち尽くす少女の頬から、一滴の雨水がぽたりと地面に落ちた。

「皆さん、どうか力を貸してください――」
 リベレイアの声は、ざあざあと降る雨音にかき消されたのだった――。

 ――Game Over。

●|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》
「というわけで! このままでは、これから|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の一員として屍人帝国と戦ってくれる勇士パーティが、結成前にゲームオーバーになってしまうのです! いきなりゲームオーバーとか酷いと思いませんか!? せめてリセマラくらいさせてあげましょうよ!」
 グリモアベースで猟兵たちに状況を説明していたアイ・リスパー(f07909)が、ピントのずれた怒りをあらわにしていた。まあ、ゲーム好きな彼女にとっては大事なことなのかもしれないが。

「というわけで、皆さんには、この|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の一員になる予定の少女――リベレイア・ホリィさんの仲間集めの手伝いをしていただきたいのです」
 アイが手元のホロキーボードを操作すると、ホロディスプレイに『リベレイア・ホリィ、16歳。人間、女、聖者』という|人物情報《プロフィール》が表示された。

「どのような手段で、どんな仲間を探すかは、皆さんにお任せします。まあ、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の一員になるなら、リーダーのリベレイアさんの他に、ガレオン船の操縦ができる人や、接近戦や遠距離戦で戦える人は必須でしょうね。あと、魔獣解体士とか居ると、食糧事情とかが充実するかもしれません」
 なお、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》は専属で屍人帝国と戦わねばならないため、猟兵がメンバーになることはできない。
 あくまで現地で仲間になってくれる勇士を探さないといけないのだ。

「リベレイアさんのパーティは、結成成功時には|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》という名前になる予定です。今後、皆さんと共闘していくことになると思いますので、どうかいい仲間を探してあげてくださいね」
 そう言うと、アイはホロキーボードを操作し、蒼空の世界への扉を開いたのだった。


高天原御雷
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「アルカディア争奪戦」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。

 オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
 ブルーアルカディアに屍人帝国の侵略が始まりました。|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士たちと協力して、屍人帝国の野望を打ち砕きましょう。

 ――といいつつ、今回はその|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の勇士パーティがいきなり結成の危機に陥っています。
 勇士パーティの結成を成功に導いてあげてください。

●|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》
 |飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の一員となる勇士パーティ……となる予定なのですが、予知によると、このままでは仲間になってくれる勇士が見つからず冒険終了となってしまいます。
 リーダーはリベレイア・ホリィという聖者の少女です。

●仲間集めについて
 リベレイアの仲間になってくれる勇士を探すのが、今回の任務内容です。
 どのような勇士を、どこでどのように説得してリベレイアの仲間にするのかをプレイングしてください。

 ここで見つかった仲間は、今後、本戦争を通じて、|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》のメンバーとしてシナリオに登場する予定です。(なので、いい仲間が見つからないと、リベレイアとマスターが泣きます)

 なお、プレイングに記載いただいた勇士が仲間になることになりますので、勇士の『名前、性別、年齢、種族、ジョブ、簡単な性格や口調等』をご指定ください。(不明点はこちらで適当に埋めます)
 「種族のるつぼ」と呼ばれる浮遊大陸で仲間集めをしていますので、種族やジョブについては、どの世界の種族・ジョブでも大丈夫です。

●プレイングボーナス
 新たな勇士を探す。


 オープニング公開からプレイング受付を開始します。断章はありません。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『勇士の酒場』

POW   :    魔獣料理を注文してみる。

SPD   :    店主や客と交流。

WIZ   :    依頼の張り紙などを見て情報収集。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・ステラガーデン
勇士
名前:ズタブクロ
性別:男
年齢不詳
種族:デッドマン
ジョブ:殺人鬼
特徴:会話が成り立たないものの、何となく意思疎通は取れる
外見:裸体マッチョにブーメランパンツに穴の開いた袋を被っており巨大な中華包丁を装備
口調:テンションが上がると首を凄い勢いで降りつつ「イギィィイ!」
普段は「マ”ァァ」
湖にて三角座りでお花をいじっている所をフィーナが只者じゃないオーラを感じ無理矢理連行してきた。
見た目、言動行動と違い心優しい一面を持つ。かもしれない。
戦闘となれば首を振りつつ勇敢に突撃し包丁を振り回す。肉とか切るのが好き。
っていう感じの奴を連れてきたわ!見てみなさい!強そうよこいつ!
「ア”ア”ア”-ッ!(返事)」




「やはり、私に力を貸してくださる勇士の方は、いらっしゃらないのでしょうか?」
 今にも雨が降り出しそうな大通りを見回しながら、思わず呟いてしまいます。
 ここ数日、人々に協力をお願いしてきましたが、私の言葉に耳を傾けてくれる人など一人もいませんでした。

 ――ですが、そこに突然、凛とした声が響き渡りました。
「そこの暗い顔したリベレイアとかいうシスター! ほら、シャキっとしなさい、シャキっと!」
「えっ、あ、あなたはっ!?」
「私はフィーナ。フィーナ・ステラガーデンよ! 宵闇の使徒フィーナとでも呼びなさい!」
 突如、私に声をかけてきてくださったのは、綺麗な金色の髪に赤い瞳をした魔法使い風の女性でした。
 身長からすると16歳の私よりも年下でしょうか? 胸も私と同じように小さい――じゃなくって成長途中ですし。
「アンタ、今、何か不穏なこと考えてなかった?」
 11~12歳くらいの身長の女の子が、ジトっとした目を向けてきます。そうですよね、まだ12歳くらいなら、まだまだ胸は大きくなりますよね。

「まあいいわ。いえ、なんか放置できない内容な予感がするけれど。――アンタよね、仲間になってくれる勇士を探してるっていうのは?」
「は、はい、そうです! 私、リベレイアと申します。一緒に屍人帝国と戦ってくれる勇士の方を探していまして――! もしかして、あなたが仲間になってくださるのですかっ!?」
 金髪の少女フィーナさんは、明らかに魔法使いの格好をしています。そんな方が仲間になってくださるなら、これ以上ない戦力です!
「いいえ。私は理由があって、アンタの仲間にはなれないの。――けど、安心して。代わりに頼もしい仲間を連れてきたわ!」

 フィーナさんが路地裏から引きずるように連れてきたのは――露出の高い下着だけを身に着けた、ほぼ全裸の筋肉逞しい男性!?
 その手には巨大な包丁を持っていて、顔は目の部分に穴が空いた袋を被っています。
 はっきり言って、めちゃくちゃ怪しいですっ!?
「コイツがアンタの記念すべき仲間第一号よ! 名前はズタブクロ! 職業は殺人鬼! ちょっと会話が成り立たなかったから、年齢は不詳ね!」
「マ”ァァ!」
 フィーナさんの紹介に合わせて、ズタブクロさんが奇声を上げて包丁を振り回します。
「いやあの、さすがに私もズタブクロさんとの二人旅は色々と身の危険を感じるのですが!?」
 主に命の危険的な意味で!
「大丈夫よ、リベレイア。コイツ、湖のほとりで三角座りをしながら花占いやってたのよ。見た目と違って心優しい一面を持っているわ。……たぶん」
「たぶん!?」
「まあ、この私が只者じゃないオーラを感じ取ったんだから、きっと旅の役に立ってくれるはずよ!」
「イギィィイ!」
 すごい勢いで首を振り回しつつ包丁を振るうズタブクロさん。
 ええ、只者じゃないことくらい、私でも見ればわかります!

「というわけで、リベレイア。屍人帝国との戦い、頑張るのよ!」
 フィーナさんは、そう言い残すと風のように去っていきました。――ズタブクロさんを残して。
「は、はい、善処します……」
「ア”ア”ア”-ッ!」

【ズタブクロがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:ズタブクロ
種族:デッドマン
性別:男
年齢:不詳
ジョブ:殺人鬼

大成功 🔵​🔵​🔵​

光満・桐江
あんなに必死になっているのに、誰も力になってあげないなんて…
ここはしっかり助けてあげないと!

立ち寄った酒場の隅の方にいた人…
影のある雰囲気と、黒い光の輪と翼
そして闇の大剣が印象的な
私と同年代な見た目の女の子に不思議と惹かれて
その人にお願いしていきます

…一人の女の子が、勇気を振り絞って
帝国と戦おうとしています…
どうか、あの人の力に…
脅威を退ける剣になっていただけないでしょうか…?

と、窓越しに見えるリベレイアさんを一緒に見ていたら
思いふけるようなしぐさの後…

「…今度こそ…守れるのかしら…
…いえ、守って、みせる…!」

と、静かに燃える決意が…!

その人は「シドゥリア」という
堕天使の黒騎士だそうですっ




「はい、シドゥリアさん、グリフォンチキンバーガー、お待ちどうさま!」
「……ありがとう」
 酒場の指定席――大通り沿いの窓に面した席に座ると同時に、まだ注文してもいないのに|いつもの昼食《グリフォンチキンハンバーガー》をウェイトレスが運んできたわ。
「今日もその黒い翼と光の輪、綺麗ね」
 ウェイトレスが何気ない一言をかけて去っていくけれど――この呪われた翼と光輪が綺麗だなんて、私にはとても思えない。

「だって、この翼と光輪は……」
「|仲間《パーティ》に滅びをもたらす悪魔の印だから、ですか?」
「えっ……!?」
 いきなりかけられた言葉に顔を上げると、そこには黒い長髪にメガネをかけた、真面目そうな少女が立っていたわ。年齢は私くらいだけど、まっすぐ見つめてくる緑色の瞳は吸い込まれそうなほどに純粋な光を宿していて――。
「いきなり失礼しました。私はスクール・オブ・レインボーカオスから来た光満・桐江と言います」
「聞き慣れない浮遊大陸の名前ね……?」
 それで、こんな見慣れない格好をしているのかしら?
「すみません、酒場のマスターに聞いてしまいました。シドゥリアさんの過去……」
「ああ、それで知ってたのね、この呪われた翼と光輪のこと――」
「いいえっ、それは違いますっ!」
 突然、桐江という女の子は私の両手を優しく包み込むように握ってきて……。
「シドゥリアさんは知らないかもしれませんが、その黒い翼と光輪は、異世界の――天使の証なんですっ!」
 ――悪魔と恐れられた私の一族の印である黒い翼と光輪が……天使の証?

「そんなはずないじゃない! だったら、なんでいつも私だけが生き残ってしまうの!? 私が……|仲間《パーティ》に滅びをもたらす悪魔――死神だからじゃないのっ!?」
「酒場のマスターに聞きました。シドゥリアさんが所属したパーティは次々と壊滅したって……。けれど、見てください、あの少女をっ!」
 桐江が指し示したのは、窓の外の大通りでさっきから声を張り上げている金髪の少女の姿だったわ。
 たしかあの娘、早朝からずっとあそこで人々に呼びかけて――。
「あの少女――命をかけて屍人帝国に抗おうとするリベレイアさんなら、絶対にこう言います! シドゥリアさんこそ神が遣わしてくれた天使だと!」
 確信のこもった桐江の言葉。けれどそれによって、固く閉ざされていた心の扉が開かれていく――。

「……今度こそ……守れるのかしら……? いえ、守って、見せる……!」
 私は壁に立てかけていた闇色の大剣を背負うと、店を後にしたわ。勇士を探す少女リベレイアの剣になるために――。

【シドゥリアがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:シドゥリア
種族:堕天使
性別:女
年齢:18歳
ジョブ:黒騎士

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビッグ・サン
私は冒険者ですからね
ちょこちょこと知ってる顔に声でもかけてみましょう


そんなわけでリオ君
冒険に出発ですよ
「ええっと、そんなわけって、どういうわけですかビッグさん」
リオ君、あなたはガレオン船の運転得意ですよね
「ええ、まあ」
戦闘もこなせる
「こなせるけど…、いや、丸め込もうとしても空賊にはならないよ」
ズーパ・ラカ・フィル
(ビッグが怪しげな呪文を唱えると「空賊王に俺はなる」とリオはやる気を出して勇士パーティに立候補した)
催眠術がかかりやすい子で良かったですよ
ミッションコンプリート

名前:リオ・レウス
性別:男
年齢:16歳
種族:人間
ジョブ:飛空艇パイロット
簡単な性格や口調等:真面目で優しい常識人
一人称「ぼく」




「ねえ、マスター。何かいい仕事入ってない?」
「おう、リオの坊主か、ちょっと待ってな……」
「その呼び方、やめてくれないかなあ。これでも先月16歳になったんだよ」
 冒険者が集まる酒場のマスターに仕事を聞きに来るのが、ぼくの冒険者としての日課だ。ガレオン船の操縦が得意なので、酒場の仕入れの仕事なんかを任されることが多いんだ。
 今は|一人パーティ《ソロ》だけど、いつかは仲間たちと世界をまたにかけた冒険の旅に飛び立つのがぼくの夢さ。
 ――まあ、まだ自分のガレオン船も持ってないから、今はこうやって|お手伝い《アルバイト》でお金を貯めてるんだけどね。

「おや、そこにいるのは、|ぼっち《ソロ》のリオくんじゃないですか」
「お久しぶりです、ビッグさん。――っていうか、今、変な呼び方しませんでした?」
 左目にマスクをかけた、黒髪のオジサンが声をかけてくる。この酒場で知り合った冒険者のビッグさんだ。
 ビッグさんはぼくの憧れの冒険者の一人さ。なにせ、ビッグさんは連れている少女型の人形を自由自在に操る|人形遣い《ドールマスター》なんだからね。

「ところで、リオくんはガレオン船の運転が得意でしたよね」
「ええ、もしビッグさんがどこかの浮遊大陸に冒険に行くなら、ガレオン船の運転しますよ!」
 ぼくはガレオン船を持っていないから、他にガレオン船を持っている人か――珍しいガレオノイドを仲間にしないといけないんだけどね。
「戦闘もこなせますよね?」
「ええ、まあ、魔獣と戦って船を守れるくらいには」
「なるほど、ならば条件はクリアですね」
 なにやらぶつぶつとつぶやくビッグさん。
 ――あ、この人がこうなったとき、だいたい碌なことにならなかったような……。

 ゆっくりとその場を離れようとするけれど――。
「……ズーパ・ラカ・フィル」
 ビッグさんの口から怪しげな呪文が聞こえて……。
 意識が……朦朧としてきて……。
「ほら、リオくん。思い出してください。君には夢があるのでしょう? いつか、こんな島は飛び出して、世界を飛び回る冒険に出るという夢が――」
 ビッグさんの声は、不思議とぼくの心に染み込んでいき――それまで自分を縛っていた錨が抜錨されたかのような感覚を覚えたんだ。

「……うん、ぼくは……ぼくは……空賊王になる! そして世界中の宝を手に入れるんだ!」
「なら、大通りで仲間を探している少女がいます。――彼女と一緒に旅立つのです」
「はいっ! ビッグさん!」
 ぼくは大通りに向かって全力で駆け出した。

 ――ビッグさんが小さく呟いた声には気づかないまま。
「ミッションコンプリート。催眠術で心の枷を外せば、こんなものですね。さて、少年が夢を叶えられるか、それとも空の藻屑となるか――。あとは本人の努力次第でしょうか」

【リオがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:リオ・レウス
種族:人間
性別:男
年齢:16歳
ジョブ:飛空艇パイロット

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■仲間
名前:アライナ
種族:強化人間
性別:女
年齢:22
特記:性格と「恋愛トラブルの詳細」はお任せ/能力面は「不足しているポジション」で

■行動
幾ら勇士が居ても、好条件の集団に所属する方が多いでしょう。
であれば「意思と力は有るが、好条件の集団に所属出来ない理由が有る方」を誘うのが良さそうですぅ。

【豊饒宿霊】で[情報収集]を強化、色々調べてみますと、一人発見出来ましたねぇ。
腕は良いが、複数パーティで恋愛トラブルを起こして追放された方ですかぁ。
同性も対象の様ですし、或る意味リスクは有りますが、リベレイアさんの可愛らしさなら御協力頂けそうですぅ。
元々「意思のある」方、交渉は容易でしょう。




「おい、アライナ、どういうことだ!? リヒェンツァが俺のオンナだってことは知ってただろ!?」
「落ち着いてくれ、ダスティンくん。君がリヒェンツァさんと恋人同士だっていうのは、このパーティの全員が知っている。それにアライナさんも女の子じゃないか。リヒェンツァさんに何かするわけが――」
 アタシに掴みかからんばかりの勢いで叫んでいるダスティンを、リーダーがなだめているわ。
 ――けれど、ダスティンが言っているのは本当のこと。アタシは昨晩、リヒェンツァと熱い一夜を過ごしたんだから。彼女に目を向けると、昨日のことを思い出したのか顔を真っ赤にして照れちゃってるわね。かわいいわぁ。
 アタシとリヒェンツァのアイコンタクトを見たパーティリーダーが、信じられないものを見るかのような瞳で見つめてくるわ。アタシにこれまでも何度も向けられてきた感情が浮かんだ瞳――。
「アライナさん――まさか……?」
「ええ、ダスティンの言う通りよ。だって、リヒェンツァってば、とーっても可愛いんだもの」
 アタシにとっては、パーティ内の人間関係なんてどうでもいいの。相手が男だろうと女だろうと関係ない。アタシの恋心に忠実に行動するだけなんだから。
 そんなアタシにパーティリーダーは静かに言ったの。
「アライナさん、すまない。貴女には――このパーティから出ていってもらいたい」
「あら、そう。今までお世話になったわね」
 アタシはリヒェンツァにウィンクをして、大人しくパーティから立ち去ったわ。

「あーあ、これでパーティを追い出されたの、何回目かしらね?」
 けれどアタシは後悔していないわ。自分の心には素直に生きなくっちゃね。
 酒場で次の|女の子《ターゲット》を物色していると、入り口から変わったメイド服を着た黒髪の少女が入ってきたわ。っていうか、とんでもない爆乳の持ち主ね。――貧乳派のアタシだけど、たまには爆乳に手をだすのもいいかしらね?
 そんなことを考えていると、爆乳メイド少女はアタシが座っているテーブルに真っ直ぐ向かってきて、声をかけてきたわ。
「あのぅ、私、夢ヶ枝・るこるという者ですがぁ、アライナさんですよねぇ」
「あら、アタシのこと知ってるのね。今晩なら空いてるわよ?」
「――今晩?」
 るこるという少女は意味がわからないというように首をかしげたわ。あら、そっちのお誘いじゃないのかしら?
「実はぁ、アライナさんが腕のいい召喚士だと聞きましてぇ」
「ああ、|仕事《そっち》の用事ね。それなら出直してきて。今、アタシ|無職《ソロ》なの。仕事は受けられないわ」
「|単独行動《ソロ》なら、ちょうど良かったですぅ。実は仲間を探している女の子がいましてぇ」
 るこるという少女が窓の外を指差すわ。
 その先に視線を向けていくと――大通りで人々に健気に語りかける、貧乳の金髪美少女の姿が!?
「なるほど、あの娘が仲間を探しているのね! いいわ。お姉さんが手取り足取り一人前にしてあげましょう!」
「ええと、きちんと『勇士として』一人前にしてくださいねぇ」
 るこるの言葉は聞かなかったことにして、アタシは貧乳の金髪美少女の元に駆けていったの。

【アライナがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:アライナ
種族:強化人間
性別:女
年齢:22
ジョブ:クリスタルサモナー

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルゥ・アイシテ
聖女物をチョイスしてくるあたり、神の癖が垣間見れるわ。(かわいそうは可愛い。百合営業も手伝うわ)

同人誌(耐雨水パック済み)のコスプレ売り子をしながら、リベレイアに近づくわ。

世界の危機に立ち向かう、そんな献身的な仲間は、今のあなたに付いていきたいと思うかしら?まずはあなたが率先して難敵に立ち向かう、皆の希望に成らなきゃね。
でも自分磨きの時間もないのよ。急いでるのでしょう?私が足止めしてる間に、一生懸命な気持ちを伝えてみなさい。

命を賭して守ってくれるロケットナイト様とか狙い目よ。

カリスマオーラ全開で即興の、握手会を開催!UCで、触れた相手の行動回数を減らして、長蛇の列を作るわ。
列にリベレイアがアタック!

ちなみに私の隣に在る同人誌は、聖女が触手魔獣に捕まる本。

説得は、私よりもリベレイアを気に入ってもらうことが重要。
ターゲットを絞れたら、列は解散ね。UCとカリスマオーラは抑えめにして。彼女の魅力に囚われてもらいましょうか。

さてこの先どんな楽しい冒険が待っているのか、お楽しみよ。




「あなたがリベレイアね? 聖女物をチョイスしてくるあたり、神の癖が垣間見れるわ」
「は、はあ……?」
 大通りで人々に訴えかけていたら、黒髪の女性が声をかけてきました。
 言っていることの意味が全然わからないのですが、これは仲間に誘うチャンスです!
「あの、私の仲間になってくださいませんかっ?」
「残念ね。私、ルゥ・アイシテはみんなのアイドルなの。誰かに縛られるつもりはないの。――ただ、あなたの百合営業なら手伝うわ。かわいそうは可愛いなのよ」
 やっぱり、言っている意味がほとんどわかりませんが……。
「えっと、手伝うって……もしかして、私の仲間探しを手伝ってくださるのですか!?」
 唯一理解できた手伝うという言葉。
 希望を見つけたかのような心境でルゥさんを見つめますが――。

「甘いわね、リベレイア! 世の中、美少女の聖女ってだけで売れる時代は終わってるのよ! そんな人頼みな気持ちのあなたには誰もついてこようなんて思わないわ。世界の危機に立ち向かう勇士たち――そういう気高く献身的な|仲間《ハーレム》を作るには、まずあなたが率先して皆に自分を売り込まなきゃね」
「そ、そうですね。私、いつの間にか人に頼るようになってしまっていました……。これは私が神から与えられた試練――。自分の力で何とかするべきでした」
 ――そう、仲間集めくらい自分の力でできないようでは、屍人帝国に立ち向かうなんて夢のまた夢。
 誰かに手伝ってもらおうなんて、私、甘えていました。
「あら、なかなかいい顔するじゃない。――急いでるのでしょう? 私が人々を足止めしてあげるから、その間に皆に一生懸命な気持ちを伝えてみなさい。もしかしたら、あなたにとっての白馬の王子様が見つかるかもしれないわよ?」
 ルゥさんは私に微笑みかけると、その場に長机を用意し始めたのでした。


「はぁい、今日はルゥの握手会に来てくれてどうもありがとー!」
『ワァァァァ!!!』
『ルゥちゃーん!!』
 す、すごい……! 私がいくら呼びかけても話も聞いてくれなかった人たちが、あんなに熱狂してルゥさんに熱い視線を向けています!
 こ、これが本物の聖女が放つオーラなのですね。
 私はようやくルゥさんが言おうとしていたことがわかった気がします。私は神の啓示を聞いたことで聖女になったつもりでしたが、それは聖女のスタートラインに過ぎないのですね。本当の聖女になって屍人帝国から世界を救うには、ルゥさんのように人々を惹き付けるオーラをまとえるくらいに自分を磨かなければ!
 でも、今は自分を磨く時間はありません。――ならば、今自分にやれることを精一杯やるだけです!

「リベレイア、私が握手会でこの場に人々を釘付けにするわ」
「は、はいっ! ありがとうございます、ルゥさん! このチャンス、絶対に無駄にしません!」
 私は一緒に戦ってくれる勇士の方を探すため、片っ端から人々に声をかけようとし――。
「あ、ちょっと待って。いいものを用意しておいたわ」
「――これは?」
 ルゥさんから手渡されたものを見て、首をかしげます。


「あああ、あのっ、ルゥさんっ! なんですか、この服は……っ!?」
「あら、似合ってるじゃない、その聖女服。やっぱり衣装を変えただけでも聖女っぽさが出るわね」
 ルゥさんから手渡された服。私は物陰で村娘の服を脱ぐとその服に着替えてきました。
 それは、まるで神に仕える神官が身につけるかのような純白の衣装です。これまで着ていた服とは比べ物にならないくらい上質な布でできていて、ただの村娘では一生着られないのではないかという一品でした。
 ですが――そのスカートは短く、また胸元も強調されるようなデザインで――。
「ふふ、リベレイア、真っ赤になっちゃって可愛いわよ」
「こんな丈が短いスカートなんて、履いたのは生まれて初めてです! それも大勢の人々が集まっている前で……。顔が熱くなるのも当然です!」
「けど、真の|聖者《アイドル》になるためには、それくらいの試練、乗り越えてもらわないとね」
 そ、そうでした! 私、さっき何でもやるって決心したばかりなのに――!

「それじゃ、リベレイアはこの同人誌の売り子をやってね。きっとリベレイアのことを気に入ってくれる仲間が現れるわ」
「こ、これは――っ!?」
 ルゥさんが握手会をしている机に山積みにされた本。
 その表紙には、なんとなく私に似た顔の少女が描かれていました。少女が着ている服は、まさに私が渡された聖女服そのもの。
 ――そして、その少女は、全身を魔獣の触手に囚われていたのです。

「みんなーっ! ルゥとの握手が終わったらぜひ同人誌も買っていってね! 買ってくれた人には、売り子のリベレイアちゃんの握手付きよー!」
『オオオオォッ!』
 えっ、ええええっ!?
 ルゥさーん、そんな話、聞いてませーん!


「お買い上げ、どうもありがとうございましたー」
 私はお客様に本を手渡すと、にっこりと笑顔を浮かべて握手をします。
 そして勇気を振り絞って、お客様に声をかけていきます。
「あの、それで、もしよければ……私の仲間になって、一緒に屍人帝国と戦っていただけませんか?」

 私の言葉に対する反応は――だいたい同じでした。
 本に出てくる聖女のセリフを喋っているのだと思われて、皆さん、誰も本気で私の言葉を聞いてくれません。

 ――そして、どんどん本が売れて行き、ついに最後の一冊。

 本を手に取ったのは、重厚な鎧を着込んだ騎士のような、30代後半くらいのカイゼル髭の似合うオジサマでした。
 オジサマは、無言で本をぱらぱらとめくっていっています。

「あの、ルゥさん、これ、騎士様に怒られちゃったりしないんですか!?」
「大丈夫よ。今日持ってきたのは、一応、全年齢版だけだから」
 えっ、それってまさか、全年齢版じゃないものも存在してるってことですか!?
 それをルゥさんに確認する前に――。カイゼル髭の騎士様が小銭を渡してきました。

「あ、お買い上げ、どうもありがとうございます。――それで、私と一緒に屍人帝国と戦っていただけませんか?」
 もう何十回と口にしていたため、お礼の言葉とともに自然と勧誘の言葉が出てきました。
 けど、立派な騎士様が私なんかを手助けしてくださるはずが――。

「おお、なんと儚く可憐な聖女殿でござろうか! 拙者で良ければ、聖女殿を守る騎士となるでござるよ!」
「――えっ?」
 仲間になってくれるというカイゼル髭のオジサマの言葉に、思わず耳を疑います。
「申し遅れたでござる。拙者はラケーテン・リッター。地方領主の跡取りとして武者修行の旅をしている騎士でござる」
「えええっ、そんな方が、本当に私なんかの仲間に――!?」
「いかにも! 聖女殿が触手魔獣に襲われているところを颯爽と助けるのは拙者の役目でござる!」
 ……はい?
 いま、騎士様、触手って言ったように聞こえましたが、聞き間違いですよね?
「屍人帝国には触手魔獣も多いと聞くでござる。そんな触手魔獣に聖女殿が襲われるところをじっくり見物……じゃなかった、しっかりと守るでござるよ!」

「リベレイア、この先、どんな冒険が待っているのか、お楽しみよ」
「ルゥさーん、ちょっと、この騎士様と二人にしないでーっ!」
 私の叫びを背に、ルゥさんは颯爽と去っていったのでした。

【リベレイアは『聖女の服』を手に入れた!】
防御力が上がった!
魅力が上がった!
触手魔獣に狙われやすくなった!

【ラケーテンがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:ラケーテン・リッター
種族:人間
性別:男
年齢:38歳
ジョブ:ロケットナイト×白馬の王子様

大成功 🔵​🔵​🔵​

天城・千歳
【SPD】
絡み、アドリブ歓迎

船団員の募集ですか。船乗りは港か酒場で探すべきですし、戦闘員や主計、衛生関係の人員なら関連ギルド又は酒場で募集した方がいいですね。

まずはリモート義体でリベレイアさんに接触し人員募集の手伝いを申し出ましょう。
次に島全体にサテライトドローン群を飛ばして【偵察】【情報収集】【情報検索】を行い飛空船の船員の集まる酒場又はギルドを探します。
船員の溜り場に到着したら【コミュ力】【礼儀作法】場合によっては【言いくるめ】を使って飛空艇艦隊に参加してくれる船員を探します。
「マスター!ここの皆さんに私の奢りでお酒をお願いします」
リベレイアさんをサポートしてくれそうなベテランの船長クラスの人をスカウト出来ればいいんですけどね。
名前サラ・レキシントン 女性 120歳 ガレオノイド 飛空艇パイロット×ディバインウィザード 
姉御肌で面倒見が良く豪快だが場所に合わせて礼儀正しい対応も出来る。
歴戦のガレオノイドで主に船団護衛の傭兵をやっている。 




「あなたがリベレイアさんね?」
「はい、そうですが……あなたは?」
 大通りで人々に呼びかけているところに、長髪の女性が声をかけてきました。
 清楚な服装をした、落ち着いた雰囲気の女性です。
「私は天城・千歳です。――ええと、聞いていた服装とずいぶん違ってますね?」
 千歳さんの視線は、私が身につけているミニスカートの聖女服に向いていました。
 ……ち、違うんですっ、これはっ!

「グリモア猟兵からの事前情報にエラーを確認――ターゲットの服の趣味について、データベースをアップデートしました。本体とデータを同期――完了」

 突然、無機質な声でぶつぶつと喋りだした千歳さん。そして、再び温和な表情に戻ると――。
「こほん、失礼しました。その服、似合っていますね」
 ううっ、褒められても嬉しくありませんっ……!

「ええと、それで千歳さんはどのようなご用件なのでしょうか?」
「船団員の募集をしているように見受けられましたので、アドバイスをしようかと思いまして」
 ごく普通の一般人の服装をしている千歳さんは、とても勇士には見えません。
 ――そんな方が勇士探しのアドバイスを?
「ふふ、怪訝そうな顔をしていますね? けれどリベレイアさん。人を見かけの情報だけで判断してはいけませんよ? リーダーであるあなたの判断ミスは、パーティの全滅に直結するのですから」
 まるで全てを見抜くような青い瞳に射抜かれて、私は自分の甘さを実感しました。
 私の判断が間違っていたことを示すように――千歳さんは周囲に無数の小型魔獣を召喚したのです。

「まさか、召喚士の方ですかっ!?」
「ええと、これはサテライトドローンなので、少し違うのですが――。まあ、召喚士のようなものだと思っていてください。私はリベレイアさんの仲間になってあげることはできませんが、アドバイスならできます」
 そう言った千歳さんは、召喚した小型魔獣たちを街へ向かって解き放ちました。
 空飛ぶ魔獣たちは、四方八方へと散っていきます。
「いいですか、船乗りなら港か酒場で探すべきですし、戦闘員や主計、衛生関係の人なら、関連ギルドまたは酒場で募集したほうがいいですね」
「な、なるほど……」
 私が仲間になってくれる勇士の方を自力でみつけられないのも、こうして大通りで漠然と人々に訴えかけていたからなのですね。

「それで、リベレイアさん。屍人帝国と戦うのに必須なガレオン船を持っている仲間はみつけたのですか?」
「えっ、いえ、それはまだでして……」
 正直、まず私の仲間になってくれる方を探さなければということで頭がいっぱいで、ガレオン船のことなんて考えていませんでした。
「まあ、最悪、ガレオン船はレンタルするという方法もありますが――。屍人帝国と戦おうというなら、パーティで持っていたほうがいいですね。それでは、ガレオン船を持っている人か……もしくはガレオノイドの方を探しましょう」
 気軽に言う千歳さんですが、そんなに簡単にガレオン船持ちの勇士の方をみつけることなんて……。

「――検索場所、飛空船の船員の集まる酒場またはギルド。検索条件、ガレオン船を持っている勇士、またはガレオノイドの勇士。仲間になりやすさでソートし上位10名を表示――」

 目を閉じてぶつぶつと虚空に喋りかけたかと思うと、千歳さんは目を開いて私の手を握ってきました。そして、迷わず歩き出します。
「あの、千歳さん、どちらにっ……!?」
「仲間になってくれそうなガレオノイドの方を見つけました。さあ行きましょう」
「見つけるの、早くないですかっ!?」


 千歳さんに手を引かれ、細い路地へと入っていきます。そこは地元の人でもない限り近寄らなそうな裏街で――。まるで迷路のような道を何度も曲がっていくうちに、自分がどの方向を向いているのかもわからなくなってきました。
 ですが、千歳さんは迷いのない足取りでどこかの目的地を目指しているかのようです。
「あの、いったいどこに向かっているのですか……?」
「着いてのお楽しみです」
 そうして、裏街を歩き回り――私たちは一軒の建物にたどり着きました。千歳さんは迷わず階段を下り地下へと降りていきます。
「あっ、千歳さん、待ってくださいっ!」
 千歳さんについて階段を降りた先には――。
「ここって――大きな酒場……?」
「ええ、ここが、この街で一番大きな、飛空船の船員御用達の酒場ですね。さあ、ここで仲間になってくれるガレオノイドの方をスカウトしましょう」
 にっこりと微笑みかけてくる千歳さんでした。

「……あ、あのっ、私と一緒に……屍人帝国と戦ってくださる勇士の方はいらっしゃいませんか……?」
 勇気を出して語りかけてみますが、私の小さな声は酒場の喧騒にかき消されてしまい――。誰も見向きもしてくれません。
「うう、ち、千歳さぁん……」
「はぁ、リベレイアさんには、まだ少し早かったでしょうか……」
 涙目で千歳さんに振り向くと、千歳さんはため息をつきながら肩をすくめていました。
「仕方ありません。今回は私がお手本を見せますから、リベレイアさんは勇士のやり方を覚えてくださいね。……マスター! ここの皆さんに私の奢りでお酒をお願いします!」
『いよっ、姉ちゃん、太っ腹っ!』
 千歳さんが大声で叫んだ言葉に、酒場にいる船乗りの皆さんが歓声をあげます。
 ……こ、これが、勇士のやり方というものなのですね。

「それで、少々お尋ねしたいことがあるのですが――。サラ・レキシントンさんはいらっしゃいますか?」
「ふぅん、このアタイに用があるってのかい」
 酒場の一番奥の椅子に座っていた女性が、ゆっくりと千歳さんの方に歩み寄ってきました。
 その格好はまさに歴戦の飛空船乗りといった姿。まだ若いのに、ベテランの凄みを感じさせます。
「ええ、サラさん。あなたに用があってやってまいりました。――正確には、こちらのリベレイアさんが、ですが」
「えええっ、そ、そこで私に振るのですかっ!?」
 千歳さんの言葉と同時に、サラさんだけでなく酒場中の視線が私に集中します。
 顔に傷のある凄みのある船乗りの男性が、私を睨みつけてきて――。
『ああん? 嬢ちゃん、姐御にどんな用事だってんだ? くだらない用件だったら、俺たちが容赦しねぇぜ?』
 あああっ、こ、こんな中で仲間に誘うなんて、私には無理ですーっ!

 ――ですが、そこに割り込んできたのは、サラさんでした。

「やめな、お前たち! わざわざ、こんなところまで来てくれたんだ。話くらい聞こうじゃないか。――この酒代の分くらいは、ね」
『へい、姐御!』
 す、すごい……。この人、たった一言で船員の皆さんを静かにさせてしまいました。
 そこに、千歳さんが背中を押してくれます。
「リベレイアさん、あなたの誠意を見せれば、きっと気持ちは通じますよ」
「は、はいっ、千歳さんっ!」

 私は深呼吸をすると、改めてサラさんに向き合います。
「いきなりお尋ねした非礼はお詫びします。私はリベレイア・ホリィと言います。神の啓示を受けて、屍人帝国と戦ってくださる方を探しています」
『屍人帝国と戦うだぁ!?』
『あんなやつらと事を構えるのは、バカか自殺志願者だけだろうが!』
「――アンタたち、この娘の言葉を黙って聞きな!」
 サラさんの一喝で、酒場が静まり返ります。
「神の啓示によれば、6つの屍人帝国は『アルカディアの玉座』を目指しているようです。それを手に入れられてしまったら――この世界は|破局《カタストロフ》します。私は、それを防ぐために、共に闘ってくれる仲間を探しているのです。――どうか、私と一緒に屍人帝国と戦ってくださいませんか、サラさん」
 私は、サラさんの瞳をまっすぐに見つめます。私にできることは、この視線を逸らさないことだけです。

「ふぅん、その瞳、嘘を言っちゃあいないようだね。――わかった、この歴戦の傭兵サラ・レキシントン、アンタに雇われてやろうじゃないかい」
「ほ、ほんとですかっ!?」
「嬢ちゃんだけじゃ、危なっかしくて見てられないからね。それにどうせガレオン船も持ってないんだろう? ガレオノイドのアタイなら、屍人帝国の元までひとっ飛びさ」
 まさか、ガレオノイドの方が仲間になってくれるなんて夢のようです。
 これも全て千歳さんのおかげです。

「ありがとうございます、千歳さん!」
「いい仲間がみつかってよかったですね、リベレイアさん」

「――ところで、嬢ちゃん。アタイを雇う契約金だけど、こんなもんでどうだい?」
 サラさんが『傭兵雇用契約書』という紙に書いてきた金額を見て――私は思わず目を見開きます。
「えええっ、こ、こんな大金、あるわけないですっ!」
「なあに、嬢ちゃんの正義感に免じて、出世払いにしといてやるよ。屍人帝国をぶっ倒せば、これくらいの金、簡単に貯まるだろ?」

【サラがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:サラ・レキシントン
種族:ガレオノイド
性別:女
年齢:120歳
ジョブ:飛空艇パイロット×ディバインウィザード

【リベレイアは多額の借金を背負った!】

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・シフファート
勇士…なら、まずは戦闘員が必要ね
シルバーレインから神隠しにあった直後の人狼騎士団にも所属している銀誓館の男子高校生をグリモアの予知で見つけ、話を持ちかけるわ
性格は礼儀正しい口調で如何にも人狼騎士然としたもののようね


あら、UCにも目覚めているのね
ジョブはサンダーバードのカースブレイドで雷撃のカースブレイドを作るUCなのね?

話は聞いただろうけど、ここは異世界で滅亡の危機にある
人狼騎士ならば、世界を救う誉れの一端を担いたくはないかしら?
それに、トビアスはどうも異世界の事を知っていたみたいなの
異世界で活動すれば、もしかしたらアンタの齎した情報で奴の禍根を断ち切れるかもしれないわ
ここでの活躍は私達がシルバーレインの両組織に伝えるわ
どうせなら、人狼騎士団のブルーアルカディア支部の団長になるつもりで望んでみなさい!

そうしてリベレイアの元に紹介するわ

彼は異世界の騎士の一人
雷と呪剣を操る力を持つのよ
彼と一緒なら、並大抵の魔獣なら蹴散らせるわ
さ、まずはこういう時は時文から自己紹介をし合うのよ




「ふぁああ」
「ヴォルフ君、なんか眠そうね? また夜遅くまで鍛錬してたの?」
 大あくびをした俺に、幼なじみの少女ルーが心配そうな目を向けてきました。
「当たり前です。俺たちは誇り高き人狼騎士団の一員。こうしてヨーロッパから銀誓館に留学させてもらっているのですから、少しでも強くならなくては」
 そう、俺とルーはヨーロッパの人狼騎士団から日本にある銀誓館学園に留学中の身。その証拠に、登校途中の俺とルーは銀誓館制服を身に着けています。銀誓館学園で能力者として一人前になり、人狼騎士の一人として活躍できるようにならなければなりません。

 ――そんなことを考えていたのがいけなかったのでしょうか。

「ちょっと、ヴォルフ君!? 信号、赤よっ!?」
「えっ!?」
 ルーの声に我に返った瞬間。目の前に迫るのは巨大なトラック。
 赤信号を渡る俺に気づいた運転手が慌ててブレーキを踏もうとしたのが見えて――。
 それが、俺が覚えている最期の光景でした。

「ヴォルフ君ーっ!?」
 ――ルーの声がやけに遠くに聞こえました。


「あれ、ここは……?」
 確か俺はトラックに轢かれて……。それじゃあ、ここは天国なのでしょうか?
 周囲の景色は森の中。どことなくヨーロッパの森を思い起こさせます。故郷に似た天国とは、神も粋なことをしてくれるものですね。

「こほん、目覚めたみたいだから、話を進めてもいいかしら?」
 ふと目をやると、そこには金髪の少女の姿がありました。
「もしかして、あなたは女神ですか?」
「そうね、ここで異世界転生モノをやるのも面白そうなのだけれど……そんなことをしていたら、いくら|時間《文字数》があっても足りないわね」
 金髪の少女はよくわからないことをぶつぶつと呟いています。女神ではないのでしょうか?

「私の名前はシャルロット・シフファートよ。残念ながら女神ではないわ。グリモアの予知の力でアンタのことをみつけたのだけれどね」
「予知ということは、もしかして話に聞く運命予報士ですか!?」
 運命予報士はかつての戦い以降、力を失ったと聞いていましたが、まだ力を持った人が残っていたなんて――。
 ですがシャルロットさんは首を横に振りました。
「グリモアの力は、運命予報士の力とは別のものよ。いい、よく聞くのよ、ヴォルフ・ドナー。銀誓館学園に通う人狼騎士団員たるアンタは、トラックに轢かれたショックで時空を超え、このブルーアルカディアの世界に転移――神隠し現象に遭遇したのよ」
「ブルーアルカディア!? それに神隠し!? それは一体……!?」
 初めて聞く言葉の連続に、俺の理解が追いつきません。

「ああもう、説明がめんどくさいわね。異世界転生モノのラノベくらい読んでおきなさいよ! そうしたらトラックが出てきたあたりで全部わかったでしょうに!」
「ラノベとは、ライトノベルの略称でしたね。申し訳ありません、人狼騎士としての修行には不要と思い、日本のカルチャーは学んでいません」
 俺の言葉に、シャルロットさんは嘆息すると、諦めたように説明を再開してくれました。

「ブルーアルカディアは、アンタたちが住んでいた世界――私たちはシルバーレイン世界と呼んでいるけれど――それを含む36世界の一つよ。一言で言えば異世界ね。そこが今、屍人帝国という悪によって滅亡の危機にあるの。人狼騎士ならば、世界を救う誉れの一端を担いたくはないかしら?」
「なるほど、異世界の危機! それならば人狼騎士として力を尽くしましょう! しかし、俺はまだ修行中の身です。大した力はないのですが……」
「それならば安心しなさい。神隠しのショックでアンタは|異能《ユーベルコード》に目覚めているわ」
 |異能《ユーベルコード》? 言われてみると、俺の身体の奥に熱い何かを感じます。
 これが……俺の力だというのでしょうか。
「さあ、その力、見せてみなさい! 心の赴くまま叫ぶのよ!」
「はいっ!」

 ――俺は自身の心の声を聞き……それをそのまま叫びます。

「サンダァアアア・カースブレイドォオオオ!」
 直後、俺の手の中に雷で出来た刀が現れ――。それを振るうと近くにあった大木がメキメキと音を立てて倒れていきました。これが俺の力なのですね――。

「さあ、アンタの力を一人の少女が待っているわ。その力でこの世界を救ってみなさい。どうせなら、人狼騎士団のブルーアルカディア支部長になるくらいのつもりでね!」
 シャルロットさんが指し示した先には、一つの街がありました。
 きっとそこに、俺の力を求めているという人がいるのでしょう。
「わかりました! 俺は誇り高き人狼騎士の一人として、この世界を救います!」
 シャルロットさんに別れを告げると、俺は街に向かって駆け出しました。

「――彼の者は異世界の騎士の一人。雷と呪剣を操り魔獣を屠る誇り高き人狼。きっと世界を救ってくれるでしょう」
 シャルロットさんの言葉は、俺の心に一生残ることになるのでした。

【ヴォルフがリベレイアの仲間に加わった!】
名前:ヴォルフ・ドナー
種族:クルースニク
性別:男
年齢:16歳
ジョブ:サンダーバード×カースブレイド

●|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》
 こうして、リーダーの少女リベレイアの元に、勇士たちが集った。

 神の啓示を受けた聖女、リベレイア・ホリィ。
 ブーメランパンツに布袋をかぶったムキムキマッチョ殺人鬼、ズタブクロ。
 漆黒の翼を持つ堕天使の黒騎士、シドゥリア。
 空賊王を夢見るパイロットの少年、リオ・レウス。
 腕は確かだが恋愛に見境のない召喚士、アライナ。
 カイゼル髭が似合う騎士にして白馬の王子様(38歳)、ラケーテン・リッター。
 面倒見の良いガレオノイドの姐御、サラ・レキシントン。
 異世界から来た人狼騎士の少年、ヴォルフ・ドナー。

 彼らは|蒼空解放団《ブルー・リベレイションズ》を名乗り、屍人帝国との戦いに身を投じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月09日


挿絵イラスト