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銀河帝国攻略戦㉑~深紅を纏いし孤高の黒騎士

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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『クライングシェル』『アゴニーフェイス』の艦隊を突破した『解放軍の艦隊』は、遂に、黒騎士アンヘルとの決戦に挑んだ。
 黒騎士アンヘルと『解放軍』を遮るものは、もはや何もなかったからだ。
 しかし、『解放軍』の艦隊に、黒騎士を撃ち破る事はかなわなかった。
 スペースシップの砲撃も、戦闘機の攻撃も、『黒騎士アンヘル』を捕らえる事ができなかったからだ。
「お疲れ様!…次の作戦を発表するのだ。」
 目の前に集まる猟兵たちをまとめ上げるのは、レオウ・ヴァナターク(逆境を越えて・f01149)だ。
「ご存知の通り、解放軍は『黒騎士アンヘル』を撃ち破ることが出来なかったのだ…。解放軍は黒騎士の撃破を諦め、今は銀河皇帝を守る艦隊に攻撃の矛先を変えているのだ。」
 銀河皇帝を滅ぼす、今回の作戦において、戦力を悉く失った『黒騎士アンヘル』は、もはや彼らにとって重要ではないからだ。
「今回の作戦は、猟兵による『黒騎士アンヘル』の討伐なのだ。」
 しかし、猟兵にとってはそうではなかった。
 オブリビオン・フォーミュラである銀河皇帝を撃破しても、二大巨頭である『白騎士』『黒騎士』が逃げ延びれば、新たな、オブリビオン・フォーミュラとなりうる可能性が残されてしまう。
 そうでなくても、銀河皇帝撃破後、銀河帝国の残党あるいは、スペースシップワールドの不平分子等を集めて、悪事を行う危険が大きいのだ。
「銀河皇帝との決戦が最重要なのは当然だけど、可能なら『黒騎士アンヘル』の撃破も行うべき。レオウはそう思っているのだ。だから、皆で力を合わせて奴を倒そうなのだ!」
 レオウは士気を上げるべく大きな声でそう言うと、転移の準備をするのだった。


闇猫鍋
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 お疲れ様です。黒猫鍋です。
 今回のシナリオでは、黒騎士アンヘルの討伐を行います。

 以下注意点になります。
 ・このシナリオは難易度『難しい』です。
 ・黒騎士アンヘルは必ず先制攻撃をしてきます。それに対する有効的な対処法を書かない場合、苦戦及び失敗になります。

 また、連携やチーム出撃をする場合は、冒頭にその趣旨をご記入ください。皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セレヴィス・デュラクシード
・SPD戦
キミを倒しても戦況は変わらないらしいんだよ、でも上の立場の人としての責任は取ってよね!

ボクは呪剣3つ全部を対処出来るなんて思い上がってないよ、白の呪剣を蹴り上げ【=武器受け】、黒の呪剣を【踏み付け】る、灰の呪剣は受ける覚悟、“戦うに至った過去”なんて今キミ‥‥お前を倒すのに必要は無いんだよッ!

眼を見開き黒騎士の動きに集中【見切り】、全身のバネを使って正面から【飛び掛かり/ジャンプ】、【狐の威を借る狐】で出現したボクを壁に接近、その背中を蹴って黒騎士を更に上から
懐に入り込んだら全力で、戦闘と鍛錬の記憶の全てを込めた【千里狐跳ね/碧瞳、透けて見える狐耳姿】をお見舞いするよ

※アドリブ歓迎


ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『俺は…ただ、斬るのみ』
ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を使用したあと【相手のユーベルコード】を【残像】で惑わしながら【戦闘知識】による勘で【見切り】、【オーラ防御】で防御を固めつつも見極め、避けていくことに集中して距離を詰めるぜ!!
距離を詰めたら【鎧砕き】と【怪力】【2回攻撃】【範囲攻撃】のスキルを使用したドラゴンランスによる【串刺し】と妖刀による斬撃の反復攻撃をたたきこんでやらぁ!!
過去を喰らう呪剣…避け切って見せる!!


遠呂智・景明
アドリブ、他の参加者との連携絡み歓迎

SPD
敵がUCで3本の剣を放って来るのに合わせて【錬成カミヤドリ】を発動。24本の刀を複製し、操ることで敵の剣を受け止める。
1本に対して8本。きっちり受け止めてこっちに近づかねぇようにさせてもらうか。わかりやすく触れたら終わりだろうからな。

【見切り】【フェイント】【残像】を用いてほかの敵の攻撃を牽制しつつ、腰から二本の刀を抜いて黒騎士へ肉薄するぞ。

さて、手合わせ願おうか!
敵の防御を無視する【鎧無視攻撃】、ダメージを負った部分への追撃【傷口をえぐる】斬撃を交互に【2回攻撃】による連撃で。
手数で勝負だ。休む暇は与えねぇ!

可能なら他の猟兵と連携とれりゃいいが。



●黒騎士の手痛い歓迎
 そこは静かな空間だった。広さはそこまでではないものの、生物の気配が全くと言っていいほどに感じられず、ただそれが顕現するためだけに作られたような場所。そんな場所に転送されてきた猟兵らは、辺りを見回して誰も居ないことを確認する。どうやら先回りすることに成功したようだった。後は奴が現れるのを待ち構えるだけだ。
 その時は彼らが到着してからそう間もなく訪れた。部屋の中央に集まる漆黒色の闇。それらは邪悪な気配を強く漂わせながら、徐々にそれは姿として形を作っていく。
「おいで成すったか。」
 遠呂智・景明(さむらいおろち・f00220)は武器を構えながらそう呟く。
 “倒されたという過去を改変”し、再びその姿を顕現した孤高の黒騎士アンヘルは、既にそこに待ち構えていた猟兵たちを気にすることは無かった。
 だが、その瞬間猟兵たちは目を見張ることになる。

「ノーモーションで?!…しかも情報と違うよ!!」
 セレヴィス・デュラクシード(複製されし幻想の狐姫・f04842)は焦る声を上げる。黒騎士アンヘルの周りをぐるぐると回る剣、それは三本どころではない。六?九?…いや、もっとある。過去喰らいの三呪剣がいくつも複製され、沢山の数の剣が出現していた。
 そして、それらの剣は一斉にその場にいた猟兵たちに襲い掛かる。
「っっっっっ!!」
 最初にその餌食になってしまったのはセレヴィスだった。彼女はいくつかの剣を蹴り上げ、踏みつけて弾くものの、四方八方から飛んでくるその剣を次々に喰らってしまう。
「みんな、ごめん…だよ…。」
 辛うじて急所は避けたものの、セレヴィスはこの戦闘における全ての過去を封じられ、戦意を喪失し倒れ伏してしまった。

「無茶苦茶だぜ、いくら何でも…!」
 危機が迫っているのは他の猟兵も同じだった。ガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)は、ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を発動し、無数にこちらを狙う三種の呪剣に囲まれぬように避けていく。加速したその身体ですら、回避は困難を極めていた。
残像を利用して辛うじて避けることが出来ているが、全く近付くことが出来ない。それどころか、段々と壁際に追い詰められて破綻寸前だった。
「んな棒、叩き切ってやらぁ!!」
このままではやられてしまうのも時間の問題だ。ガイは決死の覚悟を決めて、飛んでくる無数の剣の数々に、ドラゴンランスを構えるのだった。

「まずいな…数が多すぎる…。」
 迫りくる呪剣の数々に、景明はユーベルコード【錬成カミヤドリ】により二十四本の刀を複製し、それぞれを呪剣と相殺させる。三本だけの呪剣であれば、こちらの刀を総動員させて確実に止めることが出来たであろう。それがまさか、剣がここまで増えるとは…。
 部屋全体に、刀と呪剣がぶつかり合う金属音が響く。ぶつかるたびに眩しい火花を散らし、一本、また一本と景明の刀が減っていく。
 触れたら終わりのその呪剣。減りゆく刀に焦りを募らせる景明は、とうとう最後の一本で正面から来る呪剣を弾き返した。
その時だった。景明は一つの好機を見出す。それは、黒騎士までの一直線の道。そして、剣をこちらに向けることに集中したことにより、黒騎士の周辺がおざなりになっていたのだ。
「ここしかねぇ…!」
 景明は腰に構えた二本の刀に手を添えると、一直線に黒騎士目掛けて飛び込むのだった。

●辛うじて掴み取る好機とその結末
 今まで全く動かなかった黒騎士アンヘルは、僅かにピクリと動く。自らが放った呪剣で沈むと思われた猟兵が二人、自分に向かって高速で走り込んでくるからだ。今、自分を守る物は何もない。
「さて、手合わせ願おうか!」
「俺は…ただ、穿つのみ」
 見事に黒騎士に自身の間合いまで詰め寄った景明とガイは、渾身ともいえる一撃を黒騎士アンヘルに喰らわせる。
 二人の放った強烈な攻撃は黒騎士アンヘルの鎧を砕き、肩の装甲を吹き飛ばした。
 まるでスローモーションのように思えたその時間、飛ばされた装甲は天井近くまで吹っ飛び、音を立てながら地面に落ちる。確かに感じた手ごたえ。奴は肩に手痛い一撃を喰らっただろう。景明は乗じて更なる追撃を―——。
「休む暇は与えね…ぇ…?」

 何が起こったのか分からなかった。景明の背中から腹部にかけて三本の剣が突き刺さり、彼は追撃すること叶わず地面に崩れ落ちる。
「ちっ…デタラメ…だ…。」
 そして、その攻撃はガイにも及んだ。一瞬見せた隙の後の全く隙の無い理不尽にして非情な一撃。気配すら無いその一撃を成す術もなく喰らってしまった二人は、後の増援を信じて意識を混沌の中に沈めるのだった。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】のメンバーと一緒に参加……
過去の傷や病気…あらかじめ、怪我や病気をすると判ってる、しかも、その種類や場所まで判るなら…
…過去に怪我をした事ある場所には予め医療処置をして…掛かった事ある病気には医療製薬術式で特効薬と鎮痛剤を精製…服用する…この戦闘の間ぐらいは持たせる…
その後は属性攻撃で炎や氷の弾丸を撃ち出して援護射撃…その隙にアンヘルの戦いやユーベルコードを解析…解析しきったら【崩壊せし邪悪なる符号】の相殺を試みる…
…仲間に刺さったままの呪剣や過去の傷・病気を消したり…進路上にある『空間に刻まれた斬撃』を消して進路をクリアにしたり……援護する……


ゼット・ドラグ
【飛空戦艦ワンダレイ】のメンバーと一緒に参加。
【ワンダレイ機械化歩兵部隊】でロボット(右手が巨大な拳)を自分の周囲8方向に1体ずつ(計8体)召喚してから決戦へ。
「なるほど、一目で分かる。これが強者か」
相手の先制攻撃はロボットが立ちふさがるように上手く動きをトレースさせつつ真上から来た場合は【ドラゴンチェイサー】を盾にして攻撃を防ぐ。
両断されてしまうが攻撃する前に倒れるよりはマシだ。
攻撃のチャンスが来たら残ったロボット軍団と一緒に敵に突っ込み夜暮の演奏の強化と【ギガンティックブースター】で加速した【ギガンティックハンド】で右ストレートを叩き込む
「食らえ、これが俺と夜暮の合体技!音響式振動拳だ!」


尾守・夜野
【ワンダレイ】の皆と参加
俺は一回こいつに負けている…

既に弱者として忘れられてるかも知れねぇが
…んなこと知るか!
負けたままじゃあ漢が廃る

またどうせあの痛みだろう?
はん!一度受けた傷が何だ!【覚悟、激痛耐性、呪詛耐性】で耐える

傷が出来た瞬間に治療を行う

全身炭になる寸前ぐらいの大火傷とあちこち刀傷、正直、形を保ってるのがやっとぐらいの傷になるんじゃね?

治ったら皆の回復も行うぞ
後、積極的に庇いにいく

体の傷は大したことじゃない

だが残っちまったトラウマは晴れねぇからな

こんだけ傷受けてたら昔と今とが区別つかなくなってるんじゃねぇかな

ゼットのロボットや、俺の事を焼かない船長の炎で正気に戻るんじゃねぇか?


アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆と一緒に戦う。

ウチの夜野が大層世話になったらしいじゃねえか
今日はそのお礼に来たってワケよ…覚悟しろ黒騎士。

俺は囮・足止め役だ。虚空からの刃は、殺気を【野生の勘】で察知して、【地形の利用】でゼットのロボを盾にしたり、プロトステガで弾いて防御。

とにかく厄介な特殊攻撃が行かないよう敵の剣や刃に対して【捨て身の一撃】をブチかますことでで仲間を【かばう】。ただ…間に合えばそれで良い。腕でも足でも何でも持って行け。

記憶されし傷痕?はんっ、元々全身傷だらけだからな。
傷口が開く?むしろ好都合ってもんだ!
ブレイズフレイムの勢いが増す!
さあ食らえ!俺の捨て身の劫火!


明石・真多子
【ワンダレイ】の皆と行くよ!まずは敵の斬撃が来るみたいだね、数は3…だったらイケるね!【アシキリダコ】で切り離した触手を囮にするよ。切った手ごたえで油断させるためにギリギリまで「おびき寄せ」てね!油断した相手の隙を突いてタコスミで「目潰し」するよ!そのまま「迷彩」しながら「忍び足」「ダッシュ」で死角を取り続けて、再生した触手で「なぎ払い」の鞭打ちで攻撃だ!ゼット君のロボット軍団が近くにいるなら、ロボットの上に「ジャンプ」することで「地形の利用」出来る場所を増やし確実に死角に回るよ。触手だけならどれだけ切られたって平気だよ!チャンスがあれば「なぎ払い」での足払いで仲間の攻撃のチャンスも作るよー。


夜暮・白
【ワンダレイ】のみんなと戦います! 一人じゃ歯が立たない敵も、このメンバーなら大丈夫。

う。ナノマシンのおかげで血は流れないけど、病気は……(予め口に含んでいた気付け薬を噛み砕く) 平気。たくさん聖なる光を振りまいた時より、だるくない。さあ、ミュージックスタート!!

心に響く音楽に意識を傾け、病の辛さから意識を外します。[地形の利用]をして体の負担を抑えて動き、戦況を眺め[情報収集]。倒れる人は[オーラ防御]で[かばう]し後ろに下げちゃいます。あとはダガーを[投擲]して敵の行動や呪剣の攻撃を妨害しよう。

(スマホから操作してサビを流し)舞台は整いました。ゼットさん。重たい一撃を決めてやってください!


ネージュ・ローラン
【ワンダレイ】で参加。

三呪剣ですか。
恐ろしいですが、過去だけでなく今戦いながらもわたしの舞は進化し続けています!
そして戦う理由は今横にいる仲間です!
これらを持ち続けることで一本や二本なら受けても戦い続けることができるでしょう。

三呪剣のうち一本は【オーラ防御】と【エレメンタルヴェール】で受けて封じようと狙います。
ヴェールを手放してでも止めます。
残りは軌道を【見切り】、【スライディング】や【スカイステッパー】を駆使して回避しようとしましょう。
回避できなくても前述の理由から自分を【鼓舞】し耐えて突っ込みます。

接近できたらスカートの下からダガーを取り出し、【死の舞踏】をお見舞いしてやりましょう。



「やれやれ、ウチの夜野が大層世話になったらしいじゃねえか。今日はそのお礼に来たってワケよ…覚悟しろ黒騎士。」
 黒騎士が佇む静かな部屋。そこに突如として乱入してくるのは、飛空戦艦ワンダレイの艦長、アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)とその面々だった。
 少しも動かない黒騎士の周りには倒れている三人の猟兵。それぞれやり手だったのにも関わらず倒されてしまったということは、この黒騎士アンヘルの強さが本物であることを物語っていた。
「なるほど、一目で分かる。これが強者か」
 ゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)はユーベルコード【ワンダレイ機械化歩兵部隊】によって作られたロボットを自分の周囲八方向に召喚しながら呟く。対峙するだけでもピリピリする感覚に、彼だけではなく皆が緊張感を覚えていた。
 そして黒騎士は、彼らに攻撃の機会は与えない。それはワンダレイの皆々も承知の上だった。
 だからこそ……。
「処置は完璧………だから安心して………。」
 瘴気とも言えるオーラを放出し、部屋を埋め尽くそうとしている黒騎士を見てメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はそう呟いた。

————一時間前程
「作戦?そんなの勘だ!勘で動けば大抵片が付くはずだ!」
「艦長、今は真面目な話です。」
 転送前のグリモアベース。飛行戦艦ワンダレイの艦長モトロの言葉に、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は少し嘆息をしながら言う。頼りになる艦長だが、作戦を立てるのは苦手なのかもしれない。
 俺はいつも真面目だ、と言い張るモトロを明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)が宥めつつ、作戦会議は再開する。
「俺は一回、そいつに負けている…。」
 重い口を開いて話し始める尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は、一度黒騎士アンヘルに挑んで敗北し、重傷を負っている。その時のことを淡々と話した。
「なるほど…過去の傷や病気の再現…。ボクはナノマシンのおかげで血は流れないけど、病気は……。」
 夜野の話を聞いて夜暮・白(燈導師見習・f05471)は悩んだ表情を浮かべながら呟く。それも、回避できないとなれば考え物だ。考えなしに挑めばたちまち全滅は必至だろう。
「でも、何してくるか分かっていれば対処は可能なんでしょ?」
 首を傾げる真多子に、メンカルは黙って頷く。そうだ、裏を返せば敵の手の内はこちらが知れている。今のうちに何か対処を施せばどうにでもなる算段が彼女にはあった。
「過去の傷や病気…あらかじめ、怪我や病気をすると判ってる、しかも、その種類や場所まで判るなら…。」
 小さな声でそう説明しながら、メンカルは様々な医薬品を取り出した。包帯や薬、怪我や病気の治療に必要なものが沢山ある。大抵の傷や病であれば直すことのできる量と種類だ。
「…過去に怪我をしたことある場所には予め医療処置を…掛かったことのある病気には特効薬と鎮痛剤を精通…服用……そうすれば少しの間ならきっとどうにかなる…筈。」
 彼女はそう言った後に、メンバーの一人一人の過去の怪我や病気を確認し、一人一人に適切な処置を施す。そして、自分にも…。
 ワンダレイの皆々は、こうして万全を期して戦いに臨むのだった。

——そして現在
 黒騎士アンヘルは、ユーベルコードを発動させた後で不思議といった仕草をする。ここに来た七人全員に【記憶されし傷痕】を掛けたにも関わらず、誰も倒れないからだ。それぞれダメージはくらうものの、猟兵たちを倒すまでにはなりえなかった。
「どうした?その程度で終わりか?」
 夜野もまた、傷や病が再発する。過去に受けた『死傷』とも言える大きく手痛い傷だ。全身炭になる寸前程の大火傷とあちこちの刀傷、死んでもおかしくない状態の彼だったが、メンカルにしてもらった処置により奇跡的に持ちこたえることが出来た。
 それは他の猟兵も同じ。昔の傷を負い病に咳き込む者も居たが、それぞれが適切な処置を行ってもらったおかげで戦闘不能は皆免れたのである。
 しかし、夜野の挑発に応えるように黒騎士は追撃を辞さない。その場から全く動かないまま、全くのノーモーションで三呪剣を精製する。そして、その三呪剣は不幸にも黒騎士から一番近い位置に居たネージュに襲い掛かった。
 恐ろしい程に速く、そしてその剣は傷を負っているネージュを容赦なく追い詰める。ギリギリで回避する彼女に防御する暇を与えない。
「っ……!!」
呪剣は遂にネージュの動きを捉える。やむなく空中に回避をした彼女は、次の一撃を避けることが出来ない。無慈悲に迫る刃。ネージュは思わず目を瞑った。
「俺の勘が、出し惜しみをしていると殺られるって言ってるぜ?」
 呪剣が刺さる寸前、傷だらけのモトロがネージュを空中でうまく片手でキャッチし、もう片手で持っていたゼットのロボを身代わりに呪剣を防ぐ。
「いつの間に持って行ったんだよ…。」
 それを見たゼットは、ふと自分の周りを見れば召喚していたロボが一体消えている。視線を戻せば、もはやスクラップになっているロボが地面に大きな音を立てながら落ちるだけだった。
「流石に手強いね…何か手はないのかな…。」
 大技を連発し、全くの隙を見せない黒騎士に真多子は呟く。【記憶されし傷痕】をくらった仲間全員の動きは確実に鈍っている。このままではジリ貧で全滅してしまうだろう。ずっと様子を見ていたメンカルは、自分の治療を完全に終えるとモトロの方に歩いていく。
「少しの間で構わない…艦長…一人であいつの足止めをして。」
「メンカルちゃん!何言ってるの?」
 今、メンカルは、自らの艦長に死ねと言った。
「無茶よ…艦長ひとりじゃ…。」
 制止しようとする真多子、しかしメンカルの意思は固かった。
「これしか、手は無い。…艦長には、私と夜野が皆を回復させる時間を稼いでもらう…。」
 それが現在、この状況を切り抜けることのできる唯一の方法だからだ。
 しかし、それではモトロが……。
「はっはっは。賢明だ、この中で今一番動けるのは俺一人…お前たちが居れば足手まといになるからな。」
 モトロは高笑いをしながら一歩、黒騎士アンヘルの前に出る。
「艦長……。」
 しゅんとなる真多子をよそに、モトロは振り向かずに続ける。
「ところでメンカル。時間を稼ぐのはいいが……別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」
 その言葉にメンカルはこくりと頷き、モトロを送り出した。
「遠慮はいらない…。ガツンと痛い目に合わせてやって…。」

 部屋中央から、一歩も動かない黒騎士。すべての猟兵を圧倒的な力で屠ろうとする強大な敵に、モトロは捨て身の突撃を仕掛ける。
 黒騎士から飛んでくるのは、複製された三種の呪剣の数々。それは黒騎士に近づけば近づくほどに密度を増し、それはもはや死の嵐。その攻撃はすべからく必殺。一撃一撃が即死の威力を秘めており、僅かでも対応を誤ればたちまち串刺しにされる。
 悠々と構える黒騎士と、その攻撃を必死に避けるモトロ。そのやり取りはまるでモトロが弄ばれているようにも見えた。
 なかなか黒騎士に近寄ることが出来ない。だからといって、近付くことをあきらめればコイツの攻撃目標は周りで手当てを受けている仲間たちに向いてしまうだろう。それだけは許さない。たとえ自分がどうなろうと、コイツを足止めするのが俺の役目だ。
 決死の回避は、彼に機会を与える。呪剣の隙間隙間に見えた黒騎士アンヘル。その余裕そうな姿に一撃入れるべくモトロは飛び込んだ。

「これで終わりか…。流石にこれ以上は…俺の身体がもたねぇ。」
 夜野の【imitation mimesis】と、メンカルの手当てにより傷と病の手当て、応急処置が完了し、ワンダレイの皆はまともに戦えるまで回復する。彼は疲弊した声で呟くと、そのままぱたりと前に倒れてしまった。
「艦長!準備ができ…………艦長!!」
 真多子が叫んだ先に居たモトロは、黒騎士アンヘルが手に持っていた剣で腹部を貫かれ、全身血まみれの虫の息になっていた。
 しかし、それだけではない。黒騎士アンヘルの鎧には所々に焼かれた跡が残っており、前の猟兵が装甲を飛ばした肩の部分には火傷を負っていた。
「艦長はアタシに任せて!…」
 真多子はそう言うと、いきなり黒騎士アンヘルに向かって走り始める。ワンダレイの反撃開始である。
「さあ、ミュージックスタート!!」
 白の掛け声とともに戦場を奏でる勇ましい曲。ペースは彼らにある。
 身体は軽い。心に響く音楽に意識をして、真多子の援護に加わる。彼女を狙う呪剣の攻撃をダガーで撃ち落とし、黒騎士の動きを観察して支持をする。
「危ない!!」
「ぁ………!!」
 白がそう叫んだとき、真多子に黒騎士の見えない斬撃が炸裂する。彼女の手足は斬られ、バラバラに…………。
「なんちゃって♪」
 なったかのように思われたそれは、巧妙な身代わり。囮になったのは再生能力に優れた彼女の触手だった。そしてそのままモトロをしっかりと掴むと前線から離脱する。
 もはや黒騎士を倒す障害は何もない。
 ゼットが力を溜める中、ネージュが黒騎士に走り込む。呪剣はまた彼女を狙うも、治療を受けて万全の状態の彼女は華麗に避けて黒騎士の目の前まで近寄る
「さっきのお返しです。」
 その超高速の一撃は確実に黒騎士を捉え、その装甲を剥がしていく。鬱陶しい。まるでそう言わんばかりに持っていた剣を横に一閃するも、その頃にはネージュの姿は無い。
「今です。ゼットさん。重たい一撃を決めてやってください!」
 一閃したことで明らかに生まれた黒騎士アンヘルの隙。そこに俊足で飛び込んだのはゼットだった。
「食らえ、これが俺と夜暮の合体技!音響式振動拳だ!」
これまで一歩も動かなかった黒騎士は、初めて後ろに退こうとするがもう遅い。彼の重い一撃は白の流す音楽を乗せて、黒騎士を強くぶっ飛ばした。

●エピローグ
 黒騎士アンヘルはゼットの強烈な一撃をくらって、木っ端みじんに吹っ飛ぶ。
辺りには奴の鎧だったと思われる黒い金属部品が多く転がっている。かなりの激戦だったために、部屋もボロボロだ。倒れている猟兵の手当てもしなければならない。
 メンカルは虫の息になっていたモトロに手当てを施すと、先に来て倒れてしまった猟兵たちにも応急処置を済ませた。
「俺はもう動けねぇから、運んでくれると嬉しいんだが。」
 力を使い果たした夜野は倒れたままそう呟く。彼だけではなく、皆疲労は激しい。張り詰めた状態で戦闘をしていたのだから、無理もない。
 それに、手当てを受けたとはいえ、受けた傷と病は今すぐにでもちゃんとした治療を行うべきだろう。
「負傷者多い……。ゼットは…ロボットでみんな運んで。」
「へいへい、りょーかい。」
 メンカルに指示されて、ゼットは壊れていないワンダレイ機械化歩兵部隊で負傷者を運んでいく。
 急に静かになった部屋。幸いにも黒騎士アンヘルを倒すことに成功したワンダレイの皆々は負傷した身体を早く癒すべく帰っていく。

 今は奴を倒したことを喜んでも良いだろう。しかし、奴がまたいつ何処に現れるかは分からない。それが、『黒騎士アンヘル』の本来の能力なのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月20日


挿絵イラスト