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銀河帝国攻略戦㉑~呪われし三ノ剣

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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 グリモアベースの片隅でルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が膝を付き、猟兵たちを見上げている。足元には魔導式の天球儀が用意されていた。
「お集まりいただき、ありがとうございます」
 天球儀のスイッチを入れれば、壁に戦況図が投影される。ルベルは丁寧に説明を開始した。
「皆様、ご存知の事かと思いますが『解放軍』の艦隊は『クライングシェル』『アゴニーフェイス』の艦隊を突破し、ついに黒騎士アンヘルに攻撃を届けることが可能となりました。
 しかし……『解放軍』の艦隊に、黒騎士を撃ち破る事はかないませんでした。
 スペースシップの砲撃も、戦闘機の攻撃も、『黒騎士アンヘル』を捕らえる事ができなかったからです。

 『解放軍』は、黒騎士の撃破を諦め、銀河皇帝を守る艦隊へと攻撃の矛先を変えます。
 銀河皇帝を滅ぼす今回の作戦において、戦力の悉くを失った『黒騎士アンヘル』は、もはや重要では無いからです」

 戦況図では、『解放軍』の攻撃目標が変わった様子が映し出されている。しかし、とルベルは首を振る。
「『黒騎士アンヘル』は撃破が望まれる存在でございます。
 オブリビオン・フォーミュラである銀河皇帝を撃破しても、二大巨頭である『白騎士』『黒騎士』が逃げ延びれば、新たな、オブリビオン・フォーミュラとなりうる可能性が残されてしまいます。
 そうでなくても、銀河皇帝撃破後、銀河帝国の残党あるいは、スペースシップワールドの不平分子等を集めて、悪事を行う危険が大きい……、銀河皇帝との決戦が最重要なのは当然ですが、可能ならば『黒騎士アンヘル』の撃破も行なうべきなのです。ゆえに、皆様には撃破に向かって頂きたいのです」

 ルベルは頭を下げた。そして、言葉を続ける。
「また、常に一体しかいませんが、黒騎士アンヘルはその力が尽きるまで骸の海から蘇る力をもっています。猟兵が勝利して、黒騎士アンヘルが『骸の海』に放逐したとしても、黒騎士はすぐに『骸の海』から蘇り、別の場所から再出撃してきます。
  黒騎士アンヘルが『骸の海』から出現する場所は、破壊された黒騎士配下の艦艇のどれかとなります。僕は、皆様を黒騎士アンヘルが出現し待ち構えている戦場へと転移させます。
 黒騎士アンヘルは戦力を悉く失っており、周囲に他の戦力は存在しません。
 しかし、これは、黒騎士アンヘルが『一人の戦士』として、最大の力を発揮できる状況でもあります。
 そのため、猟兵の精鋭であっても、勝敗は五分五分で、敗北する危険性は高いでしょう。
 黒騎士アンヘルは『確定された過去を操る』ユーベルコードを操る強敵です。敵の攻撃への対抗策が肝要となります。どうか、対策を練ってご出撃くださいませ」
 それがなければ苦戦は免れない、とルベルは言う。

 顔をあげ、戦場へと導きながらルベルは祈るように呟いた。
「重ねてとなりますが、敵は強敵でございます。どうか、お気をつけて」


remo
 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
 このシナリオの難易度は「難しい」です。

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 ●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ●黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
======================
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第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黒騎士アンヘル
 静寂。無人の艦隊に黒騎士が佇んでいた。
 銀河帝国の二大巨塔、黒騎士アンヘル。貌の大半を覆うのは防毒面にも似たマスクだ。マスクに覆われない左の目元は涼やかに虚空を見据え。足元から煙るような禍々しいオーラは鮮血を固めたが如き赤黒い剣となり穿つべき敵を待つ。
リダン・ムグルエギ
…うわー凄いわ!アナタの技デザイン、すごくアタシ好みよ
過去っていうテーマも決まってるわね(撮影しつつ)

過去の傷なんて言うほど…あ、風邪とインフルとおたふく併発は辛そう
まともな思考・動作が封じられちゃうのは納得ね
ならアタシは…それを無視して立ち続けるデザインにしましょ


自分の流血も弾く撥水性の服をアート防具改造でデザインし
「視覚」以外の五感、痛みや辛さも消失させる催眠術の模様を仕込むの

服を見た者の五感を操る…それはアタシ自身も例外じゃないわ

技を受けてもコレを見ればアタシは立ってられるし
コレを見たアナタも五感を封じられたら戦いにくいでしょ?

アナタと戦う皆の様子…撮影して、過去の一つとさせてもらうわ!



●傷痕
「……うわー凄いわ! アナタの技デザイン、すごくアタシ好みよ。
 過去っていうテーマも決まってるわね」
 静寂を破る者がいた。
 声の主はリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)。リダンは戦場を撮影している。
「猟兵か」
 黒騎士が赤き剣を構えて名乗る。
「皇帝陛下が一振りの剣、アンヘル」
「アタシはリダン。デザイナーよ。アナタと戦う皆の様子……撮影して、過去の一つとさせてもらうわ!」
 意気揚々とするリダンへ向けて黒騎士がユーベルコードを発動させる。
「戦場の撮影か。立っていられるなら、好きにするといい」
 リダンの肉体に幾多の戦場で受けた過去の傷が再現され、鮮血を撒き散らす。同時に襲い来るのは過去に経験した病。

 「……くぅッ……」

 リダンが呻き声を漏らす。足元には夥しい血が滴り、体は酸素を欲している。呼吸は自然と早まった。全身から激しく発汗。高熱が身体を支配し、ドクドクと脈が速打ちしている。虚脱し、脚に力が入らない。しかし、倒れない。

「ほう」
 黒騎士は興味深げに呟いた。
「効いてはいるようだが、苦しくないのか」

 リダンは忙しない呼吸の下で笑顔を浮かべた。
「苦しみや痛みは、感じないわ」
 リダンはユーベルコードで衣装に暗示を仕込んでおいたのだ。見た者の五感に働きかける暗示。痛みや辛さを消失させるように、と。
 自身の衣装を見たために傷による痛みや辛さを感じないというリダンは、しかし夥しい出血と発汗に顔色を悪くしていた。
 リダン自身は痛みも辛さも感じてはいない。だが、話す間にも出血は続き、病はその身を苛んでいる。体力は確実に奪われていた。

「処置を受けないと命に関わるぞ、デザイナー」
 黒騎士が静かに言う。だが、リダンはふふ、と笑った。
「そうね、いったん退かせてもらうわ。アタシ、もともと前線は得意じゃないの」
 仲間と出直そうかしら、そんな風に悪戯に微笑む余裕を見せるリダンは片目を閉じてウインクしてみせた。
「アナタも五感を封じられたら戦いにくいでしょ?」
「……そういうことか」

 催眠は黒騎士にも有効なのだ、とリダンは笑い、戦場から離脱する。黒騎士アンヘルはリダンにより五感の一部を封じられていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
SPD

三呪剣は「念動力」、「第六感」、「クイックドロウ」、「早業」で発動した「刹那の想い」で「武器落とし」と「吹き飛ばし」を「範囲攻撃」で放って防ぐよ。

そして「カウンター」で三呪剣そのものをあやつって敵につきたてるよ。
「目潰し」と「フェイント」もつかってあてやすくしてね。

敵がわたしの過去をねらうならわたしは刹那の今を必死にたたかうの。
そして過去を傷つける敵の剣で過去そのものである敵の力を封じるよ。

「かばう」もつかって他の猟兵さんも「刹那の想い」でまもってあげるね。
刺さった剣は丁寧にぬいてあげる。

わたしは「今」、みんなといっしょに未来をまもる「今」だもの。

今を踏みにじるだけの過去には負けないよっ


ラザロ・マリーノ
俺の腕じゃ攻撃を避け切るのも耐えきるのも無理だな…。

よぉし、【覚悟】は決まった!
【ダッシュ】【ジャンプ】【スライディング】【フェイント】【空中戦】を駆使して、攻撃を避けながら最短距離で近づくぜ。
当然、過去の刃で切り刻まれることになるだろうが、即死じゃなきゃそれでいい。
俺の血が届くところまで行ければ、UC「竜の血」で奴を焼けるからな。

一人で戦ってるわけじゃねえんだ。誰かが奴の首を刎ねるための手伝いができりゃそれでいい。
行くぜ!!



●其の刃は虚空から現れ
「俺の腕じゃ攻撃を避け切るのも耐えきるのも無理だな……」
 ワイルドな竜派ドラゴニアンのラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)はドラゴンハルバードを手に覚悟を決める。
「よぉし、覚悟は決まった! 行ってやろうじゃねえか!」

「敵がわたしの過去をねらうならわたしは刹那の今を必死にたたかうよ」
 隣に佇むレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が瞳にアクアマリンの輝きを湛えて言った。レイチェルは初動を成功させるべく神経を研ぎ澄ます。

 黒騎士アンヘルは2人に鷹揚に頷く。
「纏めてお相手しよう」
 言うや否や虚空から斬撃が閃く。
「とまれ!」
 レイチェルは敵が動くのと大差ない速さでユーベルコードを発動させていた。高速で発動させた『刹那の想い』がレイチェルの周囲の時間を減速させる。
(「まにあった……!」)
 彼女の見る世界がゆっくり、ゆっくりと動いていく。レイチェルは自分と味方の周囲を狙い、念動力を操る。敵は攻撃を仕掛けてくるのだ。誰に? 自分と、ラザロにだ。それは確実だった。ならば、それを吹き飛ばせばいい。
 そのための能力が彼女にはあった。
「わたしの技は、まにあった。だから……」
 自らに迫る消えざる過去の刃が虚空から現れた瞬間にそれを吹き飛ばしたのち、レイチェルは自分だけではなくラザロも守る余裕がある。

(「即死じゃなきゃそれでいい!」)
 ラザロは決死の覚悟で地を蹴っていた。彼には翼はないが、鍛え抜かれたドラゴニアンの脚が床を砕かんばかりに強く踏み込み、宙へと身を躍らせる。跳躍。その身には敵の剣刃が迫る。

 レイチェルがゆっくりと進む時間の中で視線を向けた時、ラザロの身には刃が既に達し、出血させながら浅く肉に刃が入るところだった。
「ちょっとおそかった? ううん……守る!」
 深く斬り刻もうとしていた刃をレイチェルは念動力で吹き飛ばした。それにより、本来は重傷となるはずのラザロの傷が軽傷に留まる。

 ラザロは軽く傷を負いながらもその身に迫った刃をレイチェルが防ぎ弾き飛ばしてくれたのを知る。
「嬢ちゃんの援護か! ありがてえッ!」
 ラザロは吠えた。すでに敵は射程にいる。
「我が射程に来るか」
 黒騎士は愉しむが如く目を細め、赤き剣にて迎え撃つ。ラザロは駆けた勢いのままにドラゴンハルバードを渾身で振り上げ、体当たりするが如く敵へとぶつかった。

「――ッ!」
 カラン、と音を立ててドラゴンハルバードが床に転がる。
「ラザロさん!」
 レイチェルが悲鳴をあげる。

 黒騎士の剣によりラザロの腹が貫かれ、鮮血が噴き出していた。だが、ラザロはニイ、と口の端をもちあげる。獰猛な牙が覗いた。
「何を笑っている?」
 黒騎士は訝しむように目を眇める。マスクに覆われていない左の頭部から目元にかけて、ラザロの血が黒騎士を濡らしていた。
「コイツは熱いぜ! 覚悟しな!!」
「!!」
 ラザロの竜の血が赤き火焔を派手にあげて燃え上がる。ジュウ、と肉が焼け爛れる音と匂いがした。黒騎士の左目が灼かれ、だが先攻の猟兵の技により痛覚は既に失われていた。
「……貴様!」
 黒騎士はラザロの腹を蹴り、床へ転がした。
「グッ」
 血を撒き散らしながら転がるラザロはそれでもとドラゴンハルバードに手を伸ばす。
「なあ、黒騎士。俺たちは一人で戦ってるわけじゃねえんだ。お前がどんなに強くても徐々に削っていって、俺たちが全員で倒してやるからよ」
 首を刎ねられるのを覚悟しておけ、とドラゴンハルバードの切っ先を震えながら黒騎士へと向け、ラザロは意識を失う。
 不快げにラザロに追撃の刃を打とうとした黒騎士へ、レイチェルが念動力で操った『吹き飛ばした剣』を放つ。黒騎士は追撃を諦めて剣をひらりと回避した。その隙に、とレイチェルはラザロとドラゴンハルバードを念動力で浮かせ、撤退する。

「わたしは『今』、みんなといっしょに未来をまもる『今』だもの。
 わたしもみんなも、今を踏みにじるだけの過去には負けないよっ」
 花のように可憐な少女の瞳は強い色を湛えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
黒騎士アンヘル…「白いウォーマシンの騎士」として無視できる存在ではありません。人々の安寧の為に戦う紛い物の騎士として、銀河皇帝に仕える黒騎士に勝負を挑みます

相手は格上、死力を尽くさねば届かないでしょう



「消えざる過去の刃」への対抗策を考えねばなりませんね

「防具改造」で格納銃の予備弾倉を大量に装備、戦場についたと同時に戦域全てをカバーするように乱射

発射した弾丸が切断、弾かれた箇所に刃があるということを「見切り」ます

そこを避けながら「スライディング」接近、「怪力」による「武器受け」「盾受け」で攻撃を防ぎつつ「カウンター」重視の近接戦を仕掛けます



味方を「かばう」際はあえて刃に飛び込む覚悟もいるでしょう


錬金天使・サバティエル
「ならばこちらは斬撃を切るまでだ」
ワイヤー,ドローン,複製賢者の石にナチス製サメゾンビ。出せるものは全て出させてもらうよ。
それら全てに羽根を貼り付け私の周りを泳がせておく。こうすれば如何に虚空から現れる斬撃といえども私には届くまい。呪力で逆に切り裂いてやる。
後はもう根比べだ。周りに泳がせる数を減らされる数よりも多く増やしながら黒騎士に接近して、そのままぶつけてやろう。



●斬撃が躍る
 戦場に血溜まりが出来ていた。
 痛覚を封じられた黒騎士アンヘルはぶらぶらと手を振り、調子を見る。
「感覚が封じられているというのは便利でもあるが、やはり少しやりにくいな」
 左目は焼き爛れて視力も失っていた。

 そんな黒騎士へと白きウォーマシンの守護騎士トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が勇ましく声をかける。
「私は人々の安寧の為に戦う紛い物の騎士! トリテレイア・ゼロナイン。黒騎士アンヘル、勝負されたし!」
「騎士か。よいだろう。お相手する」
 黒騎士が言葉少なに剣を構える。

 そこへ、もう1人の声がかけられた。
「同時に攻めてもいいかな?」
 芝居がかった調子で一礼するのは錬金術士用の真白のローブに身を包んだ錬金天使・サバティエル(賢者の石・f00805)だ。赤い瞳が宝石のように煌めき、問いかければ2人は頷いた。
「助かるよ。戦うのは好きだけど、真っ向からの戦闘はそれほど得手じゃなくてね」
 軽く肩を竦めてみせるサバティエルへ、トリテレイアも温かな緑のセンサーで応えた。
「私も味方を庇いながら戦うのを好むものですから。普段、なかなか味方を庇えなくて物足りないくらいなのですよ」
「それは頼もしい。とはいえ、私は対抗策を練ってきたので庇ってもらう必要はないかもしれないよ」
 錬金術士が戦いに臨む時、徹底した事前準備をするものだ。そう言いながらサバティエルは仕込んで来た道具を披露すべく準備する。
 そんな2人へと淡々と黒騎士がユーベルコードを放とうとする。
「始めるぞ」

 2人はハッと身構え、事前に準備した策を実行する。

 トリテレイアは格納銃を起動させ、戦域全てをカバーするように乱射した。同時にサバティエルはワイヤー、ドローン、複製賢者の石にUDCアース勢サメゾンビとありとあらゆるものを出した。それら全てに羽根が貼り付けられている。
「これら全てが私を守る」
 錬金天使は自らの出した品々ひとつひとつに愛しげな視線を向けた。刃が現れれ周囲を泳ぐ品々を刻めば、呪力をもってそれを弾く。
「披露しよう。私の持つ全てを」
 言いながら羽根持つ品はどんどんと増えていく。戦場を少しずつ埋めていくそれはまるで自身のテリトリーを増やしていくかのような戦い方だった。
「このデコイなんて、立体映像も出せるのだ」
 自慢げに言うと小型ドローンが虚空に銀河皇帝やメイドの立体映像を映し出した。
 さらに、とサバティエルは錬金釜を見せる。
「この錬金釜は料理道具や鈍器としてしか使われないのだが、今回からは盾としての役割も果たせるようになったのだ」
 錬金釜も心なしか嬉しそうな輝きを放っていた。
「使われない道具は悲しいですからね」
 トリテレイアは錬金釜に共感する様子だった。

 そんな解説と共に刃を弾くサバティエルを見て、黒騎士は感心するようだった。
「ほう、陛下のご尊顔を映し出すとは」

 一方、錬金釜に共感を示していたトリテレイアにも黒騎士の初撃は放たれていた。彼は錬金釜に共感を示しながらも刃を見切り、黒騎士へと迫っていた。彼が攻撃を見切り接近できたのは高速での情報処理の得意な機械のブレインと弾幕のおかげだ。
 視界を埋め尽くす弾幕が硬質な音を立てて刃に当たればそこに刃がある。トリテレイアは機械のブレインで高速に情報処理しながら刃を見切り、脚部スラスターを噴かせて滑るように黒騎士に接近していく。手には堂々たる大盾と長剣があった。

 剣戟。

「剣は苦手か」
 見抜いたかのように黒騎士が囁く。
 赤き剣を薙げばトリテレイアの長剣が弾かれてカラカラと音を立てて床へ転がっていく。
「ええ、そうなんです――、」
 瞬間、衝撃が黒騎士を襲う。
「……何ッ!?」
 白きウォーマシンは剣が弾かれるのを計算していたかの如く大盾で猛烈に黒騎士の左肩へ打ち込んだ。恐るべき膂力による猛打に圧されつつ、黒騎士は鋭く跳躍して距離を取る。その黒騎士へと、サバティエルが放ったワイヤーが足を絡めとろうと迫っていたが、黒騎士は冷静に赤の剣撃で斬りはらった。

 サバティエルは銀河皇帝の立体映像を投影したままの小型ドローンと錬金釜を黒騎士へと放つ。
 黒騎士は小型ドローンを冷静に斬り伏せ、錬金釜はひらりと避けた。

「私は盾で殴るほうが得意なのですよ」
 トリテレイアが言うと、黒騎士は頷いた。
「覚えておこう」 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イヴ・クロノサージュ
共闘◎
アドリブ◎

過去を見せるのですか…
私にはとても克服できそうに、ありません
ですが、私にも出来る事はあるはず

●先制対策

『皆様に、チカラを――』

聖域を作る技能:属性攻撃=光、祈り、優しさ、拠点防御、オーラ防御
癒して勇気が出る技能:鼓舞、呪詛耐性、手をつなぐ、激痛耐性、勇気

私の周辺をUCの影響により聖域結界を貼りますね
たとえ苦戦や失敗したりしちゃった場合でも
傷を癒して立ち向かう勇気を授けます


チーム指定されている方との合体リプレイは避けて
他の方が共闘◎など記載している場合のみ、お願いします
確定強制ロールにならないようにご注意頂けると助かります

※回復支援

▼撃破後

クロユニに搭乗しワープ移動で次の戦場へ


クロウ・タツガミ
他猟兵と連携、アドリブ歓迎だ

【POW】

例え虚空から現れようと、過去からだろうと斬撃には違いあるまい

【三位龍装】で防御力を強化、【気合い】を込め先制攻撃の刃をガンドレッドによる【盾受け】で防ぐつもりだ。多少の怪我なら【激痛耐性】で動けぬほどではあるまい

(気付け代わりに霊酒を傷にかけて)次はこちらの番だな

まずは【力を溜め】てレプリカを【投擲】し、追うように黒騎士との距離を詰めるつもりだ。近接後は【戦闘知識】を用いサカホコ(ハルバート)による【怪力】を用いた【2回攻撃】で【串刺し・傷口をえぐる】事を狙おう。近くに猟兵がいれば【かばう】事も考慮しなくてはな

多対一とはいえ、これは戦争、卑怯とは言うまいな



●血戦
「多対一とはいえ、これは戦争、卑怯とは言うまいな」
 味方に続き戦場に声を響かせたのはクロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)だ。隣にはイヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)が控えめに佇む。
 黒騎士アンヘルは頷いた。
「無論だ。そして貴様らが何人来ようとも、我が剣が衰えることはない」
 放たれるのは凄絶な殺気。闘気。

 其の姿を見てイヴはふるりと身を震わせ、けれど、と胸の前で左手を握る。
(「私にも出来る事はあるはず……!」)
 イヴはここまでの戦いで傷を負ったものに癒しの力を施していた。そして、クロウへとそっと声をかける。
「支援、しにきました」
 クロウは静かに頷いた。
「頼りにさせてもらおう」
 イヴは静かに両手を胸の前で組む。静謐なる祈り。
「聖槍よ。私の声に応えて。 皆を守る力を……」

 クロウはイヴを庇うように一歩前へと進み出ると、黒騎士へと静かな殺気を放つ。互いの殺気がぶつかり、音もなく戦いは既に始まっているかのようだった。そして、その後ろではイヴが厳かに祈りを捧げている。

「それでは、いくぞ」
 黒騎士がユーベルコードを発動させる。
「例え虚空から現れようと、過去からだろうと斬撃には違いあるまい」
 クロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)が「サカホコ」と「マガホコ」に霊酒を飲ませ、
「サカホコ、マガホコ、」
「避けぬと言うのか。ならば、防いでみせよ」
 黒騎士の放った消えざる過去の刃が虚空から表れてクロウを襲う。それはクロウがユーベルコードを発動し終えるよりほんの一瞬疾い。
「ぐうっ!」
 鋭い刃が身を刻む。激痛には耐性があった。刻まれながらクロウは唸るように相棒に声をかけた。気迫が篭った一声。
「――力を寄越せ!」
 幾多の戦場を共にした相棒が声に応え、クロウに護りの力を寄せた。荒い息を吐きながら裂帛の気合と共にクロウは続く刃をガントレッドで防ぎ、気付け代わりに霊酒を傷へとかけた。

「すみません、今、癒しの力を!」
 イヴが叫ぶ。床には白銀の聖槍が打ち立てられていた。彼女は黒騎士の初撃に合わせて自身を守る聖域結界を貼ることにギリギリで成功したのだ。クロウが殺気を放ち気を引いたことと、2者への同時の初撃となったことで一瞬速く祈りによる聖域結界の生成が間に合ったのだった。
 イヴは癒しのユーベルコードを発動させる。
「《聖槍聖域》プリズム・セイントランス!! 癒しの力を!」
 必死の声に応え、荘厳なる聖槍がクロウの傷を大きく癒す。
「――かたじけない」
 クロウは床を蹴り黒騎士へと駆け寄る。駆け寄りながらレプリカを放つ。鋭く飛ぶ暗器を追うようにしながら距離を詰め。
「次はこちらの番だな」
「――来い!」
 黒騎士はレプリカを鎧で弾きながら赤の剣を横に薙ぎ、迎え撃とうとする。クロウは避けずに踏み込んだ。傷を覚悟の猛烈な踏み込みに黒騎士は意図を察する。

「き、貴様――」
 腹を深々と斬られ、血を吐きながらもクロウは凄絶に笑む。

「最初に、言ったな」
 卑怯とは言うな。

 渾身の刃を揮うクロウの身をイヴの施す清らかなる癒しの光が覆う。腹の傷が癒えていく。
「聖槍よ、癒しの力を……!」
 後方でイヴが祈りを捧げ続けているのだ。

(「どれだけ傷ついても、癒し続けます」)
 献身的な祈りがクロウの一撃を助ける。
「サカホコ!」
 相棒に呼びかけながらクロウは刃を踊らせる。

 冴える一閃。
「ァ……ッ」
 一寸前に黒騎士が切り裂いたのと同様にクロウは黒騎士の腹を薙ぐ。硬い鎧がその刃を受け硬い音と共に破損し。

「痛みは封じられていたのだったか」
 目を細めながらクロウは連続で斬撃の弧を描く。サカホコを閃かせ、一身ぶつける勢いで鎧の破損した腹を貫いた。ずるりと抜けば鮮血がとめどなく溢れる。ごぼり、と黒騎士が口元から血を吐いた。
「処置しないと生命に関わるぞ」
 先駆けの猟兵仲間に黒騎士が放った言葉を意趣返しのように言い、クロウは自身の口元を拭う。

 背後でイヴが荒い息をついているのが視えた。連続で大きな傷を癒し、疲労したのだ。
「助かった。礼を言う」
 クロウは周囲を見渡す。

「さて、再度言うが」
 彼の周囲で他の猟兵が戦意を昂らせていた。下がるクロウに代わり上がる仲間がいる。

「これは戦争。お前は確かに強いが、此方は多勢なのでな」
 仲間へと目礼しながらクロウは呟く。
 お前の傷を癒す者はいまい、と。 

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



 痛みは感じなかった。
 ただ、鈍る一方の感覚があった。
 思い出されるのは緒戦。現れた猟兵はその姿自体が入念に仕込まれた罠であった。ほんの僅かの驕り、侮り……其れも言動により誘導されていたのかもしれぬ。
 戦場に現れる前に仕込まれていた罠はそれ以降の戦いでも、目立たないながらも常に彼を苛み、剣を鈍らせていた。
 左目は焼け爛れて光を失っていた。思い出すのは至近に迫った猟兵の目だ。いずれも決死の覚悟が宿っていた。
 命を賭して駆ける背はいずれも仲間が守っていた。
 戦場を埋め尽くさん勢いで披露された錬金の品々。厚い弾幕。全ていずれも戦場に飛ぶ前に用意されていた備えだった。

 黒騎士に死が歩み寄る。
 黒騎士――アンヘルは武器を握る手に力を籠める。しかし、その手に力が入っているのかどうかすら、わからなくなりつつあった。
ユーノ・ディエール
敵とは言え偉大な騎士と刃を交えられる事、光栄に思います
ですが、銀河帝国の所業を許す訳にはいきません!

虚空から現れる斬撃が自分の目の前でなく
私の進路上に現れるのだとしたら
先んじて周辺の残骸を念動力でぶつけてその軌道を確認しましょう
その間は騎乗したクルセイダーで回避に専念します

先の行動より一定方向からその斬撃が来るのであれば
念動残骸で進路をカバーしながら
ミサイルと誘導レーザーで牽制しつつ
敵の攻撃レンジとパターンを情報収集します

ある程度の間合いは恐らくこちらの後の先を狙うでしょう
そこで連装キャノンを含む全武装を一斉発射
相手に手を取らせている間に早業で一気に間合いを詰め
2回攻撃で本命のUCを放ちます!


レイチェル・ケイトリン
なんとかふせげたね。

なら、また「念動力」、「第六感」、「クイックドロウ」、「早業」で発動した「刹那の想い」で「武器落とし」と「吹き飛ばし」を「範囲攻撃」でつかって三呪剣をふせぐよ。

「カウンター」と「目潰し」、「フェイント」で攻撃もするし、必要なら他の猟兵さんを「かばう」もつかった「刹那の想い」でまもってあげるの。

でも、ちがうことがある。

真の姿の解放……わたしの真の姿はただの人形。

人じゃない器物だから、刹那の想いのはやさで自由にうごかせる。

一秒間を26分割したなかでうごくわたしの心のままに「空中戦」の力でとびまわり、不可視の念動力を「目立たない」ようにつかって攻撃するね。

それが今のわたしだから。



●結末
「さあ、我が首を狙うのは誰だ。疾く歩み出よ」
 夥しい血を流し息は乱れ言葉は少なく、だが闘気は澄み渡る。
「このアンヘルは皇帝陛下が一振りの剣にして誇り高き騎士。
 解放の旗元に集いし精鋭達よ。この首を取りにくるがいい」
 そんなアンヘルの前に進み出たのは、2人。

 銀河帝国に搾取されていた希少民族の末裔であるユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)。
 そして真の姿を解放したレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)。
「敵とは言え偉大な騎士と刃を交えられる事、光栄に思います。
 ですが、銀河帝国の所業を許す訳にはいきません!」
 戦端は開かれた。

 ユーノは先駆けの猟兵の戦闘を見ていた。彼女は出現当初からスタークルセイダーに騎乗し、念動力で軌道を確認しつつ戦場を駆け抜ける。
 駆ける脳裏には先駆けの猟兵達の戦いが蘇る。
 猟兵は敵に順に挑み敵の能力を削ぎダメージを重ねるだけでなく、有効な戦い方を探り次の挑み手がそれを活かすこともできるのだ。

 レイチェルは精巧に作られた美しい少女であった。等身大の人形の姿は念動力で操作される。
「わたしの力は、想いのはやさ」
 初めて手探りでアンヘルと相対した時と同様に念動力を展開する。一秒間を26分割し襲来する全ての剣を弾き飛ばし、ユーノを見る。

 士気高く疾走するユーノは回避に専念しているが、避け切れずに幾つかの傷を負い、偽装の一部が解けて煌く皮膚が視えていた。スタークルセイダーには幾つもの傷ができている。だが、その瞳に宿るのはこれまで戦況を少しずつ優勢に傾けて来た仲間たちのために、そして皇帝の戦力を削ぐためにもここで確実に敵将の首を取る、という強い意思。どんなに傷ついても決して動きが鈍ることはない。
 身の内より湧きあがる猛き戦意が技巧を埋め、不可能を可能に転じる。それは猟兵の戦いにはよくあることだった。

「クリスタリアンか」
 アンヘルが呟く。

 搾取され、虐げられた過去のために。
 先駆けした仲間のために。
 今この瞬間も別の戦場で戦う仲間のために。
 これは、『過去』と『今を生き未来に繋げる者たち』の戦いであった。

「ああ、見事だな」
 アンヘルが呟き、赤き刃を閃かす。回避に手一杯の騎乗主を薙ぎ払うように鋭く斬り込み――レイチェルは『吹き飛ばした剣』を念動力で操り、その背を襲う。彼女の体感時間の中、アンヘルはゆっくりと赤き剣で念動力に操られる剣を斬りはらう。
 斬りはらった瞬間を狙ってレイチェルは懐に飛び込み、アンヘルの至近に一瞬姿を見せる。かろうじて視界を映す片目には白花めいたたおやかな少女の晴れ渡る青空の如き瞳が視え。

 トン、と黒鎧の胸元を押せばその身体は大きく吹き飛んだ。
 レイチェルには剣や銃といった武器はない。その武器は常に念動力であった。彼女にとってはゆっくりと為された一連の挙動は全て、他者からすれば目にも留まらぬ早業であった。風の凪いだ湖の如き静謐を湛え、レイチェルが念動力を展開してユーノを守り、言う。

「とどめを」

 促され、ユーノは全武装を一斉に発射する。レイチェルもまた、敵が落とした刃を操りアンヘルへと差し向けた。
 裂帛の気合いと共にアンヘルはぎこちなく腕をあげた。体はすでにゴムのように全身が痺れているようだ。血の代わりに泥を詰めたような体を奥歯を噛んで無理に動かし――噛んだ感覚すらも得られない。

 ユーノは集中砲火を受けて崩れ落ちようとするアンヘルへと一息に駆け寄り生体結晶エネルギーを収束した渾身の一撃を叩きこんだ。
 ユーベルコード『虹輝宿星』の七色の渦がアンヘルを呑み込み、やがて消えた時、そこには何も残らなかった。
 骸の海へと戻ったのだ。

 顔を見合わせ、ユーノは呟く。
「これは、全員で掴み取った勝利です」
 戦場は敵味方の流した夥しい血に濡れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月20日


挿絵イラスト