アルカディア争奪戦③〜一掘り行こうぜ!
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「スタート地点はここ。足元から掘ってまっすぐ進み、下段に降りてその場を確保。その後転回し隣のエリアを左回り……」
地図を見ながら呟く黒い鎧の男。肩に乗ったミサイルポッドと携えた巨大な双剣は彼が一廉以上の戦士であることを示していたが、兜の奥に隠れたその目は明らかに卑俗な欲に輝いていた。
「素晴らしい。ここを周回すれば懐は一気に潤う。この島を制圧してくれたジェード王国には頭が上がらないな」
男はかつて凄腕の騎士であった。だが欲に溺れ本分を忘れ、今はただの流れで略奪を働くオブリビオンと成り果てた存在。そのような存在なのでどこの帝国にも属してはおらず、得の多そうな戦場を持つ帝国に一時的については自分の利益を優先して働くだけのさもしい男である。
「よし、道は頭に入った。後はどれだけ効率よく動けるかだ。いつもの飯を食って景気づけに一杯やったら、早速出発するぞ!」
男は兜を外して茄子と肉の料理をかき込んでから、一気に酒をあおるのであった。
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「みなさん、お疲れ様です。アルカディア争奪戦が始まりました」
谷保・まどか(バルバロス委員長・f34934)が資料の束を手に一礼した。
「今回は色んな屍人帝国が覇権を争って各戦場を制圧してるんですけど、今回皆さんに行ってもらうのは『ジェード帝国』という国が制圧している『明滅鉱脈ゼルフ』というところです。ジェード帝国は国民を奴隷のように使い、天使核を始めとするブルーアルカディア由来の資源を多く蓄えて力にしている勢力の様ですね」
異世界、異種族の力を当てにせず、ブルーアルカディアの力そのものを圧制と搾取によって蓄えるある種王道とも言える悪の帝国だ。
「ゼルフは戦争に合わせ天使核採掘のため多くのオブリビオンが送り込まれており、豊富な資源が高速で枯渇していっています。皆さんにはジェード帝国のオブリビオンをここから追い出していただきたく思います」
どんな豊かな資源も、採りすぎればいつかは底を突く。それはその地にとっては死活問題であり、そして奪う側からすれば次を探せばいいだけのどうでもいい話である。
「今回皆さんに相手していただくのは、『騎士道を捨てた略奪騎士』という黒い鎧のロケットナイトです。元は凄腕の騎士でしたが、略奪や泥棒の方が楽にお金が溜まるからとそちらに走った悪い騎士ですね」
これまた分かりやすい堕落した騎士。騎士を治安維持組織と言い換えれば、どこの世界にもいる悪である。
「彼は別にジェード帝国の騎士というわけではなく、ゼルフの大採掘に便乗するため一時的についているだけのようです。目的も採掘した天使核を自分の懐に入れるためで、別にアルカディア争奪戦の行方にも興味はないみたいです」
全ては自分の利益の為に。どこまでも分かりやすく下劣で、そして純粋な欲を持つ男。
「彼は既に最大効率で天使核を掘るルートを自ら割り出しています。その道中で待ち構えれば戦闘に入れるでしょう。彼は双剣による鬼人のような連撃の他、マイクロミサイルでの乱舞攻撃、さらにはその双方を組み合わせた高速の移動攻撃も用いてきます」
その精神性がどうあれ、実力は本物。それだけ力を持つ者すら外道に落とすとは、恐ろしきは金の魔力か。
「ただ、彼は効率を求めるあまり、最も効率のいいルート以外の場所は眼中にないみたいです。ですので、既に枯れた坑道に身をひそめ奇襲するなど、その意識の外から攻撃するようにすれば有利をとれるでしょう」
金に目がくらみ、本来高いはずの実力すら発揮しきれないこともある。それを愚か者の末路と笑うか、あるいはあまりにも生々しすぎて返って笑えない話か。
「彼は地図を暗記してのルート選定や価値のない鉱脈は無視するなど、お金稼ぎのためには勉強や計算をちゃんとする人みたいです。その時間でお仕事や修行すればもっと強くて偉くなれたと思うのですが……」
狩猟民族の武闘派アマゾネスであるまどかにとっては、彼の行為はどうにも理解しきれないところがあるらしい。あるいはその心を失った時、ハンターはハンターでなくなるということかもしれない。
「まあとにかく、この人は悪い人なのでやっつけてきてください。討伐依頼なので皆さんは天使核に手を出すのはだめですよ。それでは、よろしくお願いします」
そう言ってまどかはグリモアを起動し、猟兵たちを輝く坑道へ送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。アルカディア争奪戦の始まりです! なお去年からは坑道より水没林で掘っています。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……坑道の地形を利用して戦う』
第一章では『騎士道を捨てた略奪騎士』とのボス戦。戦場は入り組んだ天使核の坑道となっており、足場もあまり良くなく見通しも悪いです。敵は地図を持っていますが、効率の良い採掘ルートをまっすぐ進んでいくので枯れていたり小さすぎる横道、採掘が面倒な天井などには注意を払っておりません。
実戦においても相手は双剣による高速の斬撃とマイクロミサイルによる遠距離攻撃を用いてきます。また重そうな鎧に反し、腐ってもロケットナイトなので機動力も意外とあります。このあたりも地形を用いて十全に発揮できないよう立ち回るといいでしょう。
猟兵による坑道の天使核の採掘は基本お勧めしません。ちょっと利用するくらいならいいですが、まとまった数欲しかったら略奪騎士自身を倒して剥ぎ取ってください。サブターゲット帰還もありません。
なお細かいネタが分からなくても、とりあえず欲深いオブリビオンをぶっ倒せばいいと思っていただければ何の問題もありません。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『騎士道を捨てた略奪騎士』
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POW : アーマー・クラッシャー
【左手の剣による強烈な水平斬りを放って】から【右手の剣による急所を狙った振り下ろし】を放ち、【装甲を砕く頑丈な双剣の重たい斬撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ミサイル・テンペスト
【目標を追尾するマイクロミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【時間差で放った大量のミサイルでの飽和攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : フェイタリティ・コンボ
【マイクロミサイルで陽動攻撃を行う事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【死角から高速で突撃し両手の双剣】で攻撃する。
イラスト:滄。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「グレゴワール・ロジェ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
略奪と奴隷あと圧政を敷く帝国・・・ボクが一番許せないものだね?
それと圧政者に尻尾を振るヤツは必ず反抗の鉄槌を
ボクは森や洞窟をよくねぐらに使うからこういう所は得意なんだ
ボクの真の名、紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる
七つの重力槍を物陰に配置してボクも横穴に隠れよう
地図を見るのに夢中でこっちに全然気づいてないみたいだね、よし重力槍発射だよ!
ミサイルでの迎撃お見事でもそれはキミの注意を反らす囮さ、蒼焔の盾八枚を展開して突撃するよ
流石にこれは避けるしかないね?
避けた所に八本目の重力槍を発射だよ、このために一本残しておいたのさ
重力槍を防いだ隙に一気に懐に飛び込んで反抗の一撃をお見舞いするよ!
明滅鉱脈ゼルフ。ここは今でこそジェード帝国に占領されているが、元々はその領土ではない。解放されていた鉱山を帝国の軍勢が武力で制圧、その資源を略奪している状態だ。
そしてここで採掘を行っている者には二種類いる。一つは帝国の命令で、無報酬同然で無理矢理採掘させられている者。そしてもう一つは、帝国の配下、あるいは協力者として自身の利益を担保された上で採掘に参加している者。
「このルートなら納品分を除いても相当な量になる。上から下に一度駆け降りるだけで200は固い」
声を弾ませ、坑道を素早く移動していく黒鎧のこの男は間違いなく後者だろう。手際よく足元の鉱脈を割って天使核を掘り出し、その場所に過剰に執着することなく素早く先へと進んでいく。
この男が善悪に頓着ないただの金の亡者であれば、これでもまだ処断するには至らなかったかもしれない。だが彼は『騎士道を捨てた略奪騎士』。騎士の誇りを捨て、普段は略奪を生業としつつジェード帝国が為したそれに嬉々として便乗した、落ちるところまで落ちたオブリビオンであった。
「略奪と奴隷あと圧政を敷く帝国……ボクが一番許せないものだね? それと圧政者に尻尾を振るヤツは必ず反抗の鉄槌を」
6つの巨大帝国の中でも特に分かりやすく『悪の帝国』であるジェード帝国と、自分の利益のために躊躇なくそこに与する略奪騎士。ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)にとっては彼らの姿勢はとみに許せないものであった。
そのニクロムがいるのは、坑道の小さな横道。小柄な者でなければ入れないような場所で、近くに天使核の輝きもない。採掘を目的とするならば、まず無視されるような場所だ。
「よし、この階層はここだけ掘ればもういい。後は下に降りて……」
足早にその横道の前を通り過ぎていく略奪騎士。その黒い体が前を横切った瞬間、ニクロムは相手の姿をしかと己の目で確認した。
「地図を見るのに夢中でこっちに全然気づいてないみたいだね、よし重力槍発射だよ! ボクの名、紅明日香の名を以て」
この男に、そしてそれを囲う悪の帝国に【其の真名を以て反抗せよ】と、ニクロムの放った重力槍が男を襲う。
「な、なんだ!?」
意識の外からの攻撃に、男の足が一瞬止まる。さらにそこに周囲の罅や小さな穴、天井から次々と六本の同じような槍が飛び出し略奪騎士を襲った。
「ちっ、舐めるな!」
とっさに肩のマイクロミサイルを乱射し、その槍を全て迎撃する男。そのミサイルは奇襲してきた槍を的確に捉え、その全てを破壊し打ち消した。
相手の正体や目的を考えるより先に、攻撃してきたものがユーベルコードであると見切り相応の威力を持つもので迎撃する。その判断の速さとそれを成せるだけの技を持っているのは、この男がただ欲深いだけでない相応の実力の持ち主であることの表れだろう。
「ミサイルでの迎撃お見事でもそれはキミの注意を反らす囮さ!」
それはニクロムも察したこと。さらに追加で蒼焔の盾を八枚横に並べて展開、その陰に自分も隠れることで面を責めることによるさらなる制圧を図った。
「どこかの後ろにはいるだろう!」
残るミサイルを滅多打ちにばらまき、巨大な双剣を構え高速回転しながらその盾にあたる略奪騎士。この目に捕らえた瞬間必殺の一撃で切り裂いてくれようと、ミサイルに揺れる盾に隙間を作るよう連続で斬撃を繰り出し蒼い焔さえ切り裂いていく。
ミサイルの反動を体で抑え、さらに重い鎧を纏っての高速移動は相当にスタミナを消費するだろうにそれさえ感じさせない鋭い動き。盾が持つうちにとニクロムはそれを押し付けるように突進し、その勢いに押された相手は回転したまま上へと跳躍した。
「見えたぞ! お前か!」
低い天井すれすれの炎を切り裂き、ニクロムの姿を略奪騎士の目が捕らえる。瞬間、まるで剣の力をロケットに移したかのごとく高速で飛翔し、頭上からその剣を携えニクロムを切り裂きにかかった。
「このために一本残しておいたのさ!」
それをニクロムはさらに最後の重力槍を投げて迎え撃とうとする。それも切り裂いて迫ろうとした騎士だが、刻んだ瞬間剣に明らかに不自然な重さがかかった。その名の通りの重力の槍は捕らえたものに負荷をかける。もちろん略奪騎士の力と技なら振り切れはするが、そうなれば必殺の威力は落ち自ら勢いが衰えたまま敵に突っ込むこととなってしまう。
「ち……!」
ロケットをふかし、僅かに軌道を変えてそれを避ける略奪騎士。そしてすぐ軌道を前に戻し突っ込む、その瞬間がニクロムにとっても勝負であった。
「反抗の一撃をお見舞いするよ!」
その一瞬で相手の来る方を向き、自らの刀を構え相手に飛び込んでいくニクロム。
「間に合わ……!」
その刃は、死角でなくなった場所から飛び来る略奪騎士の黒き鎧を確かに切り裂いた。
全ての技がこの一撃のための陽動。己の武器と技を囮にし合った戦いは、略奪を許さぬという確かな意思を誇りなき体に刻んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
優秀では有る分、勿体ない方ですねぇ。
【燦華】を発動、全身を『電磁波』に変換しますぅ。
『祭礼の女神紋』で『祭器』全ても同様とし、『隙間に入りこむ能力』を利用して『経路上の天井の罅』か『僅かに外れた壁の隙間』に隠れましょう。
そして、騎士さんが通過したら後方から急襲、『祭器』のみ実体化し『FBS』による斬撃と『FMS』のレーザーで攻撃を仕掛けますねぇ。
『連撃』は当たれば脅威ですが、『祭器』共々『光速移動』に加え『罅や隙間』を利用し範囲外に逃れれば対処可能ですぅ。
後はこれを繰返しつつ、『崩して良い坑道』に誘引出来た場合は『FRS』『FSS』の[砲撃]も追加し一気に叩きますねぇ。
「くそ、何だったんだ今のは……現場主任にしちゃ物騒すぎるぞ……」
突然の襲撃に傷を負った略奪騎士。急ぎロケットをふかしてその場を離れ、ダメージの程を確認する。
「まあ、いい。たまにあることだ。少し急いで採掘を進めるか」
略奪、強盗を生業としていれば反撃を受けることはある。制圧したとはいえ元々のここの作業員にも抵抗している者は僅かにいるという話だし、その中でも特に強いのにあたってしまったのだろう。そう考え、騎士は切り替えて前を目指すことにした。
欲に駆られ無理しているのではなく自分の負傷を考えたうえでまだ採掘を続けるだけの体力が残っていると判断したその姿勢は、彼がそれなりには正しく自分の状況を判断しその上で進むと決められるだけの体力と冷静さがあるということ。
「優秀では有る分、勿体ない方ですねぇ」
その姿勢を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう評した。
その居場所は略奪騎士の頭上。【豊乳女神の加護・燦華】で自身の体を電磁波に変え、天井の僅かな隙間に装備諸共入り込んで彼を待ち構えていたのだ。
初手からユーベルコードを使えるということは、敵の実力は絶対先制を用いる程ではない。だが一方、最初から大技を用いる必要があるレベルなのも間違いないこと。るこるは敵の実力をそう見定め、彼が選定したルート上でその通過を待っていた。
そして、その黒い体がるこるの真下を通り過ぎていく。
完全に背中が見えた瞬間、浮遊する戦輪と円盤の身を実体化させそれを攻撃に差し向けた。
「ぐあっ!?」
無防備な背を切り裂かれ、さらにそこを焼かれ悲鳴を上げる略奪騎士。とっさに前に倒れ込み深手を避けるが、意識の外からの攻撃に完全に初手を奪われた形となっていた。
「ち……またか!」
それでも双剣を振るい、敵が攻撃してきたと思しき方向に反撃を入れる男。それに対しては光速で自分と兵装を動かし避けるが、その剣閃は重くも鋭く、一撃でも当たれば姿勢を崩され連撃を許してしまいそうな程のものであった。
反撃を受けないよう少しずつ攻撃の位置をずらし、男の進む方向を制限していくるこる。
「ち……俺はそっちに行きたいんだが……!」
男の性格からして、退路が確保されればさっさと逃げてしまうことは想像に難くない。向かおうとしていた方向に兵装を置くことでそちらへの突破を防ぎつつ、相手があまり意識していないだろう方向へ追い込んでいく。
一方で男も繰り返される攻撃に目と体が慣れ始めたか、瞬間的にロケットをふかしてのスライド移動や剣を重ねての重量を増した付き込みなどで攻撃を防ぐことが増え始めた。相手の姿が見えないこともあり、元々相手を倒そうとは思っていない騎士はその能力を防御と回避に集中させることで消耗を避け、突破の機を窺うことにしたようだ。
「そろそろか……」
次の一撃、それをユーベルコードを用いて全力で弾き突破口とせんと構える男。その前にきらめく光が飛んだ。
「ここだ!」
光線を剣で払い、そこから鬼人のような連撃で迫る兵装を次々叩き落とす騎士。そして前が開けた。あとはロケットを噴射しそこに滑り込むだけ。
「本当に、見事な技でしたねぇ」
それをせんとした瞬間、惜しむような声と共に周囲の壁が爆音と共に崩落を起こした。
「うおぉぉぉぉ!?」
崩れてくる岩肌が全方位から男の体を埋め尽くし、押し潰す。
るこるはただ略奪騎士の退路を断っていただけではなかった。攻撃の方向を調整し、崩してもいい場所に追い込んでいたのだ。相手の注意も薄く崩れても問題が起きそうにない価値のない坑道。それは奇しくも彼が組み上げた最適なルート取りが逆説的に教えてくれていた。
そこに追い込んだ所で、砲撃型の兵装でそこを崩し爆破と共に相手を埋めにかかったるこる。いる場所ごと埋め尽くされてはいかに技と力のある略奪騎士も無事では済まないだろう。
瓦礫の中、自分で自分を掘り出す羽目になった略奪騎士はそこから出るまで相当なダメージを追うのであった。
大成功
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ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
予想以上に厄介な相手だな、こりゃ。
けど、こいつにこの島の資源を横取りさせる訳にはいかないよな。
可能なら坑道の地図を入手し、自分なりに最適ルートを割り出した上でシャーリーと相談し、【地形の利用】で奇襲を仕掛けられそうなポイントを割り出す。
そしてそこで待機し、シャーリーの罠にかかったところで略奪騎士に攻撃を仕掛ける。
【超音刀工】の衝撃波でマイクロミサイルを迎撃しながら【ダッシュ】で一気に間合いを詰め、【超音刀工】の超音速の斬撃を連続で叩き込む!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
海賊としてはこういうコソ泥みたいな輩は許しておけないね
行くよ、ウィーリィくん!
どこで敵に仕掛けるかウィーリィくんと打ち合わせて、ポイントの選定は任せてボクはそこに【罠使い】【ロープワーク】で極細のワイヤーでワイヤートラップを仕掛ける
そして敵が雁字搦めになったところへ【クイックドロウ】で熱線の雨をお見舞いする
敵UCは陽動攻撃に引っかかったフリをして【シャークショック】でブラスターの熱線の弾道をコントロールして死角から攻撃しようとする敵を逆に狙い撃つ
「ボクの方が一枚上手だったみたいだね?」
「予想以上に厄介な相手だな、こりゃ。けど、こいつにこの島の資源を横取りさせる訳にはいかないよな」
「海賊としてはこういうコソ泥みたいな輩は許しておけないね。行くよ、ウィーリィくん!」
事前の説明から決して楽に終わる相手ではないと見るウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と、それでも相手は許しがたい賊であると闘志を燃やすシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)。
二人は事前に坑道内の地図を手に入れ、相手が通るであろう採掘ルートを自分たちでも計算しその途上に潜んで待ち受けていた。
二人で相談の上待ち伏せ場所として決めたのは、罠を仕掛けられた上自分たちが奇襲の為にひそめそうな場所。
ウィーリィが選定した場所は、恐らく相手が採掘を行わずさっさと通り過ぎそうな薄暗く天使核も埋まっていない通路扱いの坑道。そこに自分たちの体を入れるだけの隙間を確保してから、通路の低い場所にシャーリーが極細のワイヤーでワイヤートラップを仕掛けた。相手は確かにそれなりの実力者だが、特別な感知手段を持っているわけではなく目的地以外への注意もさして払っていないと聞く。
そうして罠を仕掛けて待つことしばし。
落盤で生き埋めにされた状態から、どうにか這い出してきた略奪騎士が足早にそこに近づいてきた。
「何が起きてるんだ……」
ただ大規模採掘に便乗するだけのつもりだったのに、それどころではないこの状況。もちろん多少抵抗するような相手がいるかもしれないことは予想していたが、せいぜい無謀な現地人かこちらの成果の横取りを狙う小物程度のものだろうと思っていた。だが、襲ってくるのは明らかにそんな適当に切り払って終わりという相手ではなく、自分の命を狙ってくる大型の強敵。
「撤退……いや、最低でも納品分の採掘をしておかないと後腐れがあるか。結局は先に進んだ方がいいだろう」
撤退を視野に入れつつも、その後のことまで考え儲けを減らしつつ任務完遂を目指し進みだす略奪騎士。欲望には正直だが、一方で場当たり的でなく状況を判断できるのは彼がただの短絡的な小悪党ではないことも示していた。
だが、それでも重なる想定外の戦闘と負傷は彼の足元を疎かにしていた。
その鎧の足が暗闇に説けたワイヤーに触れた瞬間、周囲から何本もの鉄線が巻き上がり騎士の体をがんじがらめにして釣り上げた。
「刀工の高みに限界はない!」
それを合図に、飛び出しざまに【超音刀工】で切りつけるウィーリィ。
「くそ、またか!」
飛び出してきた何者かに、略奪騎士は左肩のマイクロミサイルを滅多打ちにして迎撃を試みた。ユーベルコード同士が激しくぶつかり合い、狭い坑道の中に爆音を響かせる。斬撃で切り落とされたミサイルに続き、飽和状態で放たれたミサイルがその後に残った三日月形の衝撃波とぶつかり合いさらなる連爆を起こす。坑道全体を揺るがすような轟音に紛れ、さらにシャーリーが飛び出して手に持ったブラスターを連続で撃ちかけた。
「もう一匹いたか!」
それに対して右肩のミサイルを連射し迎撃にかかる騎士。その内の何発かはブラスターに貫かれ爆発するが、ウィーリィに放った者よりさらに広範囲にばらまかれたミサイルは全部は打ち落とされることなくシャーリーをとりかこむ。
「このっ!」
それに対し射撃を乱射して撃ち落とそうとするシャーリーだが、その狙いは荒く全てを落とすには至らない。
「かかったな!」
そのシャーリーに、一瞬にしてワイヤーを切断した略奪騎士が高速で迫った。放ったマイクロミサイルは囮、本命はこちらだと高速の斬撃がその死角から迫る。
「ボクの熱線は、ちょっとしつこいよ!」
その刃がシャーリーに届く、その瞬間、さらにその死角から熱線が略奪騎士を貫いた。
「ぐおっ!?」
それはどう考えてもシャーリーが撃つことは出来ない位置からの射撃。もちろん敵がもう一人いるのは分かっているが、そちらは剣を持っているし相手の位置も把握しながら攻撃をかけたはずなのに。
略奪騎士を撃ち抜いたのは何度となく方向を変えた【シャークショック】の光線。相手の囮に引っかかったような動作をさらなる囮にしつつ、その攻撃を誘ってそこに狙いを付けたのだ。たとえ死角だろうと、そこに来ると分かっていればそこに熱線を置くのも容易い。
「ボクの方が一枚上手だったみたいだね?」
後ろで体勢を崩す相手にシャーリーが言えば、その言葉を継ぐようにウィーリィが迫る。
「もう一発だ!」
今度は迎撃ではなく相手自身を切り裂く【超音刀工】の斬撃。一度見せた技だが、シャーリーが相手の耐性を崩してくれたおかげで見切っての高速回避の隙も与えない。
「ぐ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」
黒い鎧を割りその体を大包丁が深く切り裂いた。
最高効率を求め一人駆け回ろうとした男は、思い合う二人の連携の前にその道行を止められるのであった。
大成功
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フォーゲル・ロボター
「利益追求ハ非道ノ理由ニナリマセン。討伐開始!気炎万ジ……アレッ、何ノ言語データ?」
フォーゲルアイの【暗視】機能を使って【偵察】を行い、潜める坑道を探す。
発見後は羽根を休めつつ敵の接近を待ち、フォトンフェザーで奇襲を試みる。
敵のミサイルに対してはこちらも内蔵ミサイルを発射し、【誘導弾】で相殺を試みる。
「熱源感知!熱源感知!迎撃シマス!」
その後は爆風に紛れて『機鳥忍術・局地雨』を発動。
残りのミサイルと脚に外付けしたガトリング・キャノン砲を次々撃ち込み、最後はフォーゲルレッグで【グラップル】を実行。
ロケット噴射で立て直されないよう、掴んだ後は直接坑道の岩場に叩き付ける。
「飯綱落トシノ如ク、デス!」
今回の敵が騎士道を捨て略奪行為に走った理由。それはその方が楽で速いからという単純なものであった。短絡的とも言えるそれだが、採掘作業に効率を求めその為のルートを精密に割り出すその性格からして、善悪の判断を抜きにすれば合理的な判断と本人は思っているのかもしれない。
しかし、その判断は決して肯定できぬとフォーゲル・ロボター(忍者鳥型飛行頭脳戦車・f38431)は思う。
「利益追求ハ非道ノ理由ニナリマセン。討伐開始! 気炎万ジ……アレッ、何ノ言語データ?」
ちょっと謎のデータが混じってしまったその合成音のような声の通り、彼はペットロボットから派生した鳥型の頭脳戦車。その目『フォーゲルアイ』は、明かりの少ない坑道の中でも確かにその地形を捕らえ、敵が出るまで十全に己を休めながら伏せておけるだけのポイントを的確に発見していた。だがもちろん空中からマップと敵影の観測データを送るだけということはない。彼は自ら敵に向かい討伐できる、狩人とも言うべき存在なのだ。
「もう三回……今回は失敗だな。だが脱出にも戻るより先に行った方がいい……」
果たして、その位置に黒い鎧を纏った騎士がやって来た。最早採掘も諦めたその足取りは急ぎ足だが、一方何度も奇襲を受けた故か今までになく周囲を警戒するような様子を見せていた。
だが、その警戒心にも穴はあった。
「狩猟開始! 狩猟開始! デス!」
今まで人型ばかりを相手にしていた彼が、暗闇の中に隠れた体長80センチの黒いボディの前を見落として通り過ぎた瞬間。隙間から羽ばたきと共に放たれた『フォトンフェザー』の光が、その無防備な体に最後の戦いの始まりを刻み込んだ。
「くそ……またか!」
ここまでの負傷と疲労もあり、大きくバランスを崩す略奪騎士。体は攻撃のあった方から逃れるよう動きつつも、肩のミサイルポッドは回して敵がいると思しき方へ向ける。
「こっちももう後がないんだ……あるものは全部使う!」
ミサイルの滅多打ち。小さなフォーゲルの体には余るほどの物量が潜む場所ごとその身を吹き飛ばさんと迫った。
「熱源感知! 熱源感知! 迎撃シマス!」
それに対し、フォーゲルもまた内蔵のミサイルをありったけ出して迎撃する。一発ずつは軽量だが、相手もまた数だのみの飽和攻撃であり一つ一つの威力は大きいとは言い難いこともあり、それぞれのミサイルがちょうど正面からぶつかり合い相殺するように爆発を繰り返していく。
「倒れて、たまるか……!」
その爆発さえ押し切ろうと、略奪騎士も所有しているミサイルを全てここで吐き出すと言わんばかりに一気に乱れ打ちにした。
暗い坑道が光に包まれるほどの大量の爆発。その中に、フォーゲルは己の成すべき最高効率の手順をその頭脳にプログラミングしながら飛び込んでいった。
「データロード! データロード! 連続攻撃開始、対象ヲ破壊シマス!」
【機鳥忍術・局地雨】のプログラムに従い、外付けに回した最後のミサイルを全て撃ちかけ、相手のミサイルの全滅を狙う。さらに脚に携えたガトリング砲を超速射し、騎士の持つ双剣を抑え込みにかかった。
「馬鹿な、追いつけない……!?」
双剣を打ち合わせ、鬼人のような力と速さで剣を乱舞しそれを迎え撃つ略奪騎士。だが早く重い銃弾は高速で腕のスタミナを奪っていき、その剣の動きが徐々に精彩を欠いていく。
そして高速の応酬の果て、ついに受け方をしくじったか分厚い二つの剣がたわみ、そこから一気にへし折れた。
「なんだと!?」
己の爪牙にも等しいものを破壊された略奪騎士が大きく怯む。そしてその耐久値切れを図ってプログラムされた『フォーゲルレッグ』による捕獲が、騎士の黒い体を文字通りに鷲掴みにした。
「は、離せ……」
ロケットを噴射しそこから逃れようとするが、まるでその勢いさえ利用するかの如くフォーゲルは相手を巧みに操り、坑道の壁へと突進した。
そのまま轟音を立てて黒い体が巨大な岩盤に激突する。一度、二度、そして。
「飯綱落トシノ如ク、デス!」
三度目の大激突。周囲を揺るがす大きな衝撃と共にフォーゲルは脚を騎士から離し、その体から飛んで離れた。そこから一拍おいて、ゆっくりと体を揺らし略奪騎士が倒れていく。
その体がそこに倒れ伏すと同時にぶつけられた壁が崩れ、瓦礫の奔流となってその体を埋め尽くした。その姿は見えなくなったが、欠け折れて落ちた剣先が消滅していくことが略奪騎士の死をフォーゲルに伝える。
「狩猟達成! 狩猟達成! コレヨリ帰還シマス!」
|依頼《クエスト》の達成を確認したフォーゲルは、成功という結果を持ってグリモアベースへと戻っていくのであった。
大成功
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