アルカディア争奪戦②〜始まりの一歩は仲間探しから
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それは、何の変哲もなく訪れた。
絶え間なくあふれ出す雲海、いつもより雲に覆われた曇天模様は青空を隠していく。
否、青空だけじゃない――いくつかの浮遊大陸をもまた、隠していた。或いは既に飲み込んだのか。
――|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》来たれり。
世界の危機に、勇士達の中から雲海内部の細い『空の道』での操縦に長けた者、船を中心に艦隊が組まれた。
飛空艇による艦隊、即ち『|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》』である。
しかし悲しいかな、現実と言うのは残酷な物。選ばれし者がいれば選ばれなかった者もいる。
ましてや、例え選ばれし者であっても、力を十全に発揮することが不可能な存在もいる。
過去のトラウマ、飛空艇の故障、パーティーでの仲間割れ……数えだしたらきりがない。
だが彼らの力なくしてこの『アルカディア争奪戦』に勝つことは不可能だ。
――オルダナ円環島。
|円環世界《リングワールド》とも呼ばれるこの地では、数多くの勇士が旅立たず集っていた。
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「戦争っぽい雰囲気はあったけど、こんなすぐに来るとはね」
マリア・ルート(紅の姫・f15057)は雲に包まれた空を見ながら語りだす。
「今回の戦い、あんたらを信頼していないわけじゃないけど……どうも現地の奴の協力もいるみたい」
あの雲海の怖さを考えれば当然だ。もし猟兵だけで突っ込んで雲海にやられたら目も当てられない。
「というわけで、あんたらにまずやってほしいのはその勇士たちのスカウト。これから一緒に戦う勇気ある存在を探してほしいの」
オルダナ円環島という地に数多くの勇士達が揃っているので、ここから選んでスカウトするのが任務だ。
勿論中には一般人や一般人並みの力しか持たない者もいる。そういうのは上手く省くべきだ、が。
「中にはいそうよね……実力はあるけど、問題がある奴」
やむを得ない問題もあれば性格に難がある、など――実力は申し分ないが一癖ある者もいるだろう。
「どうにかうまくやって、いい奴をスカウトしたいところね」
スカウトの方法は様々だろう。
己が武勇伝を語りついてこい、とカリスマを放ったり冒険したいのでお願いしますと頼み込むなどしても良し。
交流を深めてその果てにスカウトへ持ち込んでいくも良し。
中には逆に招かれてスカウトをするチャンスに恵まれる者もいるだろう。それもまた良しだ。
「ここが今後の行方を左右する鍵になる。仲間は大事よ」
頼むわね、という目をしたマリア。自分の、頼りになる|仲間《りょうへい》へ向けて。
結衣謙太郎
ブルーアルカディアこれが初めてみたい……マジすか。
どうも、結衣(戦争モード)です。
何事も、まずは仲間を集めてから。
以下詳細。
●メイン目標
新たな勇士を探すこと。
特別プレイングボーナスも兼ねております。
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「アルカディア争奪戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
今回は最初の仲間集め段階です。
これからの戦いに備えて仲間を集めてください。
こんな感じの仲間、というのをプレイングで指定した場合結衣がそんな感じの仲間を生やします。
ない場合結衣がプレイングを見ていい感じに生やします。
ただ、方法次第では成果が出ない場合もあるし逆にとんでもない成果が出ることがあります。
まぁ、気軽にこんなのいたらいいなーって感じでどうぞ。
●ロケーション
オルダナ円環島・飛空艇港付近。
様々な存在が行きかっており、喜怒哀楽に満ち溢れています。
活気がある場所と言っても差し支えないでしょう。仲間探しにぴったりです。
●備考
今回出たNPCは以降の結衣のブルーアルカディアのシナリオでNPCとして出る可能性があります。
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
以上、皆さんの華麗なるスカウトをお待ちしております。
第1章 日常
『勇士の凱旋』
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POW : せがまれるままに武勇伝や冒険譚を語る
SPD : 人々と乾杯し、交流を深める
WIZ : ステージに招かれ、スピーチや挨拶を行う
イラスト:Hachi
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
栗花落・澪
ハレン、ちょっとだけ手伝ってね
精霊の姿はある程度力の素養が無いと見えないから
ハレンのが見えるかどうかも一定の判断基準になると思うんだよね
魔力持ちなら同じ魔力持ちとして纏う空気でわかると思うから
前衛タイプは……うーん、ガタイの良さ…?
見つけたらわざとハレンと共に視界に入り反応があれば声かけ
もしかして…この子、見えてます?
少しお話したいんですけど
対応は相手の性格に合わせて臨機応変に
武勇伝なら過去の戦争の時の色々話せるし
ハレンが一緒な時点で力の片鱗は見せられるでしょ
ついでについ話を聞きたくなるような【誘惑】を声に乗せて
性格に難有り?
身近に戦闘狂も鬼畜悪魔も話聞かない暴走娘もいくらでもおりますが何か?
●
オルダナ円環島・飛空艇港付近。猟兵たちは仲間探しにこの港を訪れていた。
「魔力持ちなら同じ魔力持ちとして纏う空気でわかると思う……前衛タイプは……うーん、ガタイの良さ…?」
殴りアコとかそういうのはどうなんだと突っ込みたくなる思考をしながら歩く栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の姿はやはり皆の目を引き付ける。あの可愛いのは誰だ、エンジェル(種族)か、とかとか。
「あ、おいで、ハレン」
澪が呼び出したのは金蓮花の精霊『ハレン』。
「ハレン、ちょっとだけ手伝ってね」
とはいっても一緒に歩いたり駄弁る振りをするだけでいい。
――精霊の姿はある程度力の素養が無いと見えない。つまりハレンが見えるかどうかも一定の判断基準になる。
霊力のない者からすれば奇人だ。エンジェル相まれば神の啓示を聞きながら歩いてるとも捉えかねない。
だがちゃんと見える者にとっては――
「あ、あの!」
そう、こんな風に。
「その、精霊使いさん……ですか?」
澪は胡乱な顔をしつつ、内心ぱああってなっていた。
「もしかして……この子、見えてます?」
わざと相手の視界に入るようにはしていたが、話しかけたのは彼女が初めてだ。
「少しお話したいんですけど」
真剣な顔で宿へ連れ込む。ターゲット発見。
「……で、カレンさんだっけ」
「は、はい!」
「ああ、そんなに緊張しないで……」
汗を流しながら目を瞑り笑顔を出す澪と対照的に目の前のカレンとかいう者の顔は緊張に溢れてる。
「ぼ、僕、その……そういうのが『見えちゃう』タイプで……色々誘われたんですけど、勇気が出なくて」
「勇気が出ない?」
「はい……だって、世界には色々と強敵もいるし、仲間も厄介そうなのが多いし……」
あー、このタイプかと澪は感じた。
仲間との音楽性の不一致、強敵への恐怖。いずれも『1人だからこそ』感じるものだ。
この方はずっとソロだったんだろうな、と感じた。
「だったら、一度パーティーを組んでみるとか」
「とんでもないです! 一度組んだんですけど、その……僕の貧相な体を見て下がってって言う方も多く……
性格に難ありな方なのかな僕って……って思って」
「心配だからだと思うけどなー」
「ですよね……なんか初対面のはずなのについ話しちゃいますね」
まぁそれは誘惑的な声をだしてるからなのだが。だが――澪は感じてた。
誘惑ならこいつも負けてなさそうだと。
「武勇伝が好きならソロでもパーティーでもいくらでも聞かせてあげるし、そこからヒント出るかも? あと」
澪は一番の笑顔で言った。
「性格に難有り?
身近に戦闘狂も鬼畜悪魔も話聞かない暴走娘(姉)もいくらでもおりますが何か?」
それが決め手だったのか。
「ですよね……じゃあ、ちょっと勇気出して言ってみます。入れないかって」
「あ、何なら僕が紹介しようか?」
「ありがとうございます……」
かくして見事口説き落とし、オドオドした感じの精霊術士っぽいのを勧誘に成功したのだった。
「ところでカレンって……あれ? これって」
「あ、僕、女です……」
「えっ……」
「あと、回復も使いますが基本前で殴るタイプなので」
「嘘、殴りアコタイプ?」
成功
🔵🔵🔴
碧宝珠・愛羅々
やあやあ、志し有る者たちよ!空の勇士にならないかしら?
島の中から、お空のすべてを語れるかしら?ここから見渡せる場所が世界のすべてじゃない事は、あなたも気づいてるはずよ。
UCと演説で、一人一人に情熱を伝えていくわ。1島民から大海原に船出したあたしが、初心者からのチュートリアルで、どこに出してもやっていける一人前の空の勇士にしていくわ!
まずは停泊してるあたしの船に乗りなさい、見た目が海賊船とか、中身が商業船とか、色々ツッコミ所あるけど。一番の売りは、可愛いコックさんが美味しい料理を作ってくれる所よ。
帝国のやつらが来たら、この青空が誰の物か理解らせてあげましょう。
冒険は、もう始まってるわ。
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澪のように1人1人勧誘する者もいれば、まとめて勧誘する者もいる。
「やあやあ、志し有る者たちよ! 空の勇士にならないかしら?」
大衆の前で演説する碧宝珠・愛羅々(流離いの薬味ハンター・f34916)もその一人だ。
「島の中から、お空のすべてを語れるかしら?
ここから見渡せる場所が世界のすべてじゃない事は、あなたも気づいてるはずよ」
胡散臭い演説だとスルーする者もいるがいくらかの存在は彼女の方に近づく。
恐らくこの者たちが今ターゲットにできる存在だろう。
「あたしももとは1島民だった。この空がすべてだと思ってた。
でもあたしはそこから大海原に船出した。この空はほんの一部でしかないと分かった!
そして今やあたしは勇士に限らず、猟兵という『多世界の空を翔ける勇士』としてここにいる!」
そしてあまりなさそうな胸をどんと張る。
「あたしが、初心者からのチュートリアルで、どこに出してもやっていける一人前の空の勇士にしていくわ!」
途端に集まった者がざわめきだす。そんな中で畳みかけるように愛羅々は続ける。
「まずは停泊してるあたしの船に乗りなさい。
見た目が海賊船とか、中身が商業船とか、色々ツッコミ所あるけど。
一番の売りは、可愛いコックさんが美味しい料理を作ってくれる所よ(まああたしだけど)」
愛羅々に押されるように多数の人々が船に乗せられていく。そこ、彼女のアイテムには小型しかないとか言わない。ブルアル民な以上ちゃんと船は持ってる……と信じたい! サブジョブにもそれっぽくあるし!
「よーし、乗ったわね! これであなたたちはもう愛羅々の船のクルー、碧宝珠隊よ!
帝国のやつらが来たら、この青空が誰の物か理解らせてあげましょう!」
突然のことに驚く者もいたが、ノリノリな者もうんうん、とうなずく者もいる。
なんなら大半の者は下船せず、状況を楽しんでいた。
……ものにもよるが、想像もつかないって場合には、一度『形から入る』のも有効手段だ。
それに愛羅々の勢い任せがコードも相まって機能してる。どうしても考え込んだりしてしまう時は勢い任せにするのも一手だ。それが後押しなら、なおさら。
「冒険は、もう始まってるわ」
乗り気の者達は声を上げ、それが徐々に伝播していった。
ところでこれ飛空艇艦隊メンバーにするんだよね? なんか愛羅々の船のクルーになってない? 大丈夫?
成功
🔵🔵🔴
御形・菘
一番最前線でバトるのは妾たちかもしれんが、それを支え、ともに戦う者たちというのは本当に重要だからのう
はっはっは、妾が素晴らしいスタッフを集めてやろう!
妾は武勇伝を存分に語ろうではないか、ブルーアルカディアのをメインでな
妾の全力トークパフォーマンスに、その時のバトル動画まで放映したら、
これで心が躍らぬ相手などそうはおるまいよ
まして歴戦の勇士たちであればな!
とはいえ割と激しめのを選んで、自分も危険な目に遭う可能性は呑んでもらうぞ
未熟なのに功名心に逸る者は引き入れたくないからのう
はーっはっはっは! 確かに危険は多い!
だがその先にある栄光は、喝采は、最高だぞ?
我こそはと思う者は、妾とともに来るがよい!
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御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)もまた、演説で集めようとした存在だ。
「はーっはっはっは! ブルーアルカディアでの妾の活躍を聞きたいか? 聞きたいであろう!」
うっわ胡散臭い。でも菘の見た目の異常さとかで気になる方はいるわけで。
なんなら菘を召喚獣と間違えて見に来てしまう者もいるわけで。
どうあれ客を引けたなら御の字、あとは演説なわけだが……
(むぅ……バトル動画の放映ができないとは……)
撮影機材は常備しているのだが、なんと放映をするためのコードやアイテムを忘れてしまっていた!
このためバトル動画込みで説明するはずが動画が放映できない事態に。なので――
「この妾の! この世界での活躍をしかと聞くがいい!」
こんな全力トークパフォーマンスだけでどうにかするしかなかった。
しかもこれまたチョイスがヤバい、激しめのばかり選んでいる。客がドン引きしたり帰ったりすることも。
これはあえてだ。例え仲間にするにしてもそれは危険な目に合うのと隣り合わせ。
未熟なのに功名心の逸る存在がいてもとんでもないことになるのがオチだろう。
それは菘もよくわかっていた。だからこそ危険なエピソードばかり語れば、歴戦の勇士っぽいのが色々反応するのだ。
「はーっはっはっは! 確かに危険は多い! だがその先にある栄光は、喝采は、最高だぞ?
我こそはと思う者は、妾とともに来るがよい!」
心からのその言葉に、ついてくるものは残念ながら少数。
動画を見せればもっと周知したりイメージ湧かせられただろうが……変な想像で勝手に怖がった者とか色々いたようで。想像力は時に敵となる。
が、悪いことばかりではない。菘が集めたのはいわゆる「歴戦の猛者」が多い。
このような勇士は危険なエピソードに心が躍り逸ってしまう。危険度を顧み、よくわかったうえで、なおもその道を選ぼうと、後押しに菘がなった形だ。
(一番最前線でバトるのは妾たちかもしれんが、それを支え、ともに戦う者たちというのは本当に重要だからのう、はっはっは、妾が素晴らしいスタッフを集めてやろう!)
と菘は考えていた、が。
(ハプニングあったとはいえこれはこれで少数精鋭を集められたかもしれんな……流石妾だ!)
ポジティブシンキングで勇士たちを勧誘していくのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
テラ・ウィンディア
仲間集めか!
この空の世界もきっと凄い奴はいる筈だ!
勧誘
凄腕の斧使い「サラ」
本能のまま戦う野生児少女(幼いがグラマー!
最強クラスの飛空艇部隊の隊員の一人との噂
イメージCV高山み〇みさん
科白諸々はMSに任せた!(丸投げ!
という訳でおれ達猟兵の仲間になれ!
っとそれで納得するわけないよな?
分かるぞ…お前…こういう場合は強いものが正義って考えだろ!
だから…勝負しようか?
【戦闘知識】
サラの能力と立ち回り把握
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け・オーラ防御】
飛び回りながらサラの猛攻を回避し避けきれないのは剣で防御
【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
連続斬撃から槍に切り替えての猛攻
戦いで育む友情もある!
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この空の世界もきっと凄い奴はいる筈だ! と意気込むテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は目の前にとんでもないのを見つけた。
(おぉ……なんだあいつ……身長はおれ位なのにめっちゃすごい斧持ってる……それに……あそこが大きい……)
つい魅かれてしまったテラは彼女を追いかけて酒場へ向かうのだった。
「でさー、聞いてくれよー。ウノの奴がまーた理詰めで話してよー。自分達もがれおんふりーと? とかいうのに参加するって。シータの奴は頷くだけで適当だしさー。あたし理詰めとか連携とかめんどっちぃんだけどー」
ソフトドリンクをちびちび飲むテラ(微笑ましいとめっちゃ見られてた)の視線にちらちら移る彼女。
手元にあるのは――酒か。なら少なくとも成人……テラには年上だ。
(おれ位の背なのに……)
「そうは言ってもサラ、いくら最強クラスの飛空艇部隊『十星』の一員と言っても、単独じゃあ色々難しいだろうに」
「わーかってねぇなぁ! あたしはこう、ガッ、といってブワーッってやるのが好きなの!」
(わかる)
「戦略立ててやるよりももう先に手が出ちゃうんだよ」
(わかるわかる)
「今からならまだ謝れるんじゃないか?」
「いやー、あたしがこういう性格なのわかって言ってっと思うぜ、あいつの事だし。
でもこう、なんか捨て置けねえというか……」
「わかるわかるわかる」
「……で?」
ふとサラが斧を掴むとテラの近くに刺さるようにぶん投げた! 周囲の客が仰天する!
「さっきからあたしをチラチラと見てるあんたは何者? 事と次第に寄っちゃあ――」
「い、いいいいいやそんなことはないぞ!? ただこう、猟兵として戦いの仲間を集めたいってだけで、なんかシンパシー感じたとか強そうとか言うわけじゃないぞ!?」
「全部言ってんじゃねえか!」
近づいたサラがテラの首根っこを持ち上げて放す。と、その時、猟兵、かぁ……と呟きと笑みが漏れた。
「猟兵っつうのはアレだろ? これから冒険に乗り出すからってあたしみたいないい奴集めてる奴らだろ?
そこの蛇みたいに」
「くしゅん! ……む、誰か妾の噂してないか? 気のせいか!」
ここまで言われて躊躇するテラではない。思いきりも大事だとばかりに叫ぶ。
「……ああ! という訳でおれ達猟兵の仲間になれ!」
だが不満そうな顔のサラ。しかしそれを見透かすようにテラが続ける。
「っとそれで納得するわけないよな?
分かるぞ……お前……こういう場合は強いものが正義って考えだろ!
だから…勝負しようか?」
ニィッと笑みをサラが浮かべた。
「ははっ! いいね、面白い! 初対面の癖にあたしの性格まで読んでるときた!
いいぜ、十星のサラ、乗ってやるよ! マスター、外借りるぞ! あとこれお代な!」
サラはピンっとGを弾いてマスターらしき人に飛ばすとテラをつまんで外に出た。
(やっぱり想像以上に力あるな……いい!)
テラは熱くも冷静だった。
というわけで謎の猟兵(テラ)と十星のサラの戦いという事で自然と多くの観光客が。
「……」
「……」
共に殺気を出し得物に手をかけながらも音を出さない無言の睨み合い。しかしともにどこか笑みが浮かび。
どちらだったかわからないが、脚が少しずれ音がした、それが開始の合図となった。
先手を取っていくのはサラ。重い斧の攻撃を飛び回りながら回避していけばテラの斬撃もステップで回避するサラ。
「空に逃げれば行けると思うなよぉっ!」
いい加減同じ展開に飽きたか斧ごと空にかっとんでテラを踏みつけて勢いを殺しベクトルを変えれば斧をテラに叩きつけながら墜落するサラ。テラは剣で斧を防ぎながら地面に激突するのを回避するようにギリギリで受け流し前転。
「おれだってまだ本気じゃない!」
反転、槍も構えて炎を出せば今度はテラから猛攻。剣と槍の二重奏にサラは防戦を強いられる。
「うっとおしいなぁっ! アストラル――」
「モード――」
「バニッシュメント!」「グランディア!」
片や魔力のこもった斧の叩きつけ、片や己を超重力に纏わせた突撃。
両者必殺技を繰り出し気合の声が上がる中、重力や余波で観客が引くほどの衝撃波が迸る。
土煙が止む頃には、2人の武器は互いに鍔迫り合いしていた。しかし不思議と火花は散ってない。
――相殺した。そう考えるのが自然だろう。
サラも全力を出した。しかしユーベルコードには及ばない。つまりそういうことだ。
「……やるじゃねえか! お前なにもんだ?」
サラが下がって問いを投げる。
「おれか? おれはテラ・ウィンディア! 猟兵の1人だ!」
「テラか! あたしは十星の三、サラ! いい腕してるじゃねえかあんた!」
「お前もな、サラ!」
共に得物をしまえば、テラはいつのまにか近づき手を差し出しており。
「……はっ、あたしは十星のために手を組むんじゃねえ。
あんたみたいな猟兵、そしてこの世界のために手を組むんだ。だから」
手をぱしっと払いのけ――否、手のひらがぶつかったあたりハイタッチみたいなものか――斧を後ろ手に構えその場を去りだす。
「あたしは猟兵に味方する。それは結局十星の味方にもなるだろうな。
だけどあたしは、勝手にやらせてもらうぜ」
その後ろ姿にどことなくシンパシーを感じたテラは笑みを浮かべた。サラは一瞬振り返り笑みを浮かべ、飛空艇艦隊の方へ向かっていった。
余談だけどこの後テラは修繕代として大量のGを飛ばしたという。
よかったよ猟兵の給料が言い値で。
●
そして数多の仲間達を引き込み、猟兵たちのアルカディアを目指す冒険は今、始まる――
成功
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