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アルカディア争奪戦②〜熾火は赫く昌盛・スラー

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦

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●罪過を穿つ、その名は
「急げ、こっちだ! こっち!! 重傷者がいるんだ!!」
「こっちにも俺達では手に負えない奴がいるんだ、頼む! 助けてくれ!」
『|円環世界《リングワールド》』と呼ばれた『オルダナ円環島』の飛空艇港は進駐してきた屍人帝国『コルディリネ』に抵抗する勇士たちが多く傷つき、倒れていた。
『コルディリネ』は強大な屍人帝国の一つである。
 その兵力は圧倒的であった。

 次から次に波状攻撃のように迫りくるオブリビオンの軍勢。
 如何にここが神隠しの末裔たる異世界の種族を多く含む『種族のるつぼ』であったのだとしても、膨大な数で迫るオブリビオンは防ぎきることはできなかった。
 誰もが傷ついている。
 痛みに喘ぎながらも、己たちを支配しようとしているオブリビオンに抗おうとしている。
「くそっ、物資が足りねぇ……!」
「抵抗できても、このままじゃジリ貧ってところだぜ……」
『コルディリネ』に抵抗する前線は未だ飛空艇港には迫っていない。

 けれど、このまま勇士たちが傷つき続け治療も出来ずに復帰することが叶わないのならば、『オルダナ円環島』はオブリビオンの軍勢にいずれすり潰されてしまうだろう。
 また一人と飛空艇港に重症を負った勇士が運び込まれてくる。
「ぐぅうう……ッ!」
 うめき声が響き渡る。
 この飛空艇港にも医者はいる。
 けれど、慢性的な人手不足だ。どうしたって、重症を負う勇士と傷を治療する者との数が釣り合っていない。

 だが、そこに一人の女性がふらりと現れる。
 どこかぼんやりしているような顔をしていながら、ひょうひょうとしているような雰囲気さえあった。
 負傷者達が呻く野戦病院の様相を呈する飛空艇港に、まるで散歩にやってきたかのような気軽さであった。
「災厄が誰かを泣かす。その涙を拭うためにこそ、私は存在している。私でなくても構わない仕事であるが、他の誰もがしないというのならば」
 その女性が負傷者の勇士の前に立つ。
 見下ろし、その掌を目にも止まらぬ速度で叩き込む。それはまるで助からぬ者に対する|識別救急《トリアージ》のようでもあった。

 けれど、彼女の目にも留まらぬ掌が触れた勇士たちは、彼女が立ち去る頃には安らかな寝息を立て始めた。
「少しの間だが、眠れ」
 さらに彼女は次々と負傷者たちを、その目にも留まらぬ当身でもって眠りに落としていく。彼らの身に刻まれた傷跡が徐々に消えていく。
 目にも留まらぬ当て身は、言ってしまえば傷口の縫合そのものであった。
 絶技とも呼ぶべき業。
 彼女は、おそらく『闇医者』と呼ばれるたぐいの存在なのだろう。

「幸いに此処は、私のような存在が多く集まる『るつぼ』……探せば幾らでもいるだろう。異世界の医術というものを修めた者たちが。彼らが来るまで、私がお前たちを救おう。お前たちに未だ抗う意志があるのならば」
「あ、あんたは……一体……」
「名乗るほどの者じゃあない。私にはもう、その『名』には意味がない――」

●アルカディア争奪戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ブルーアルカディアにおいて、いくつかの屍人帝国が、その目的に向かって動き出し始めました」
 突如ブルーアルカディアに溢れ出したのは『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』。
 それは6つの強大な屍人帝国に寄って齎された災害である。
 彼らの目的は唯一つ。
 雲海に眠る『アルカディアの玉座』に到達し、彼らの『願い』を叶える事。

「未だオブリビオン・フォーミュラの出現は確認されていませんが、玉座が直接の原因で溢れた雲海はすでにいくつかの浮遊大陸を飲み込もうとしているのです……」
 ナイアルテは更に言葉続ける。
「幸いにも、ブルーアルカディアには飛空艇を駆る勇士たちが存在しています。彼らと協力して雲海を突き進み、屍人帝国の『アルカディア争奪戦』に乱入することこそが、勝利への道筋である。

「戦うのは皆さん猟兵だけではありません。勇士達、『|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》』が共同作戦となります。ですが、未だ屍人帝国との戦いの前線を突破することは叶っておりません」
 それに勇士たちも各地で抵抗を見せている。
 その一つである『オルダナ円環島』の飛空艇港には多くの負傷者たちが運び込まれ、治療を行う者の少なさ故に逼迫した状況であるようなのだ。

「『オルダナ円環島』は『|円環世界《リングワールド》』とも呼ばれ、神隠しの末裔たる異世界の種族も数多く含む『種族のるつぼ』なのです。屍人帝国『コルディリネ』が進駐し、独自に抵抗を続けていますが、このままでは負傷者がかさみ、すり潰されてしまいます」
 だからこそ、猟兵たちは『オルダナ円環島』に点在するであろう『新たな勇士』を探し出さなければならない。
 彼らを見つけ、また治療できる力を持つ者が増えれば多くの勇士たちを救い、戦線を支えることができるだろう。

「もし、ここが多くの他世界から神隠しに寄って転移してきてしまった方々がいるのなら……もしかしたら、『闇医者』や『聖者』、『クレリック』と言った癒やしの力を持つ肩がいらっしゃるかもしれません」
 そうした『新たな勇士』たちを見つけ出すことが猟兵の急務だ。
 それだけではない、猟兵たちもまた重症を追った勇士たちを癒やすことも必要である。飛空艇港で『新たな勇士』を探しながら、重傷者を癒やす。

 アルカディア争奪戦の序盤から劣勢を強いられているが、ここで踏みとどまらなければならない。
 ナイアルテは猟兵たちに深く頭を下げ送り出す。
 戦いの火蓋は切って落とされた。
 後は、勇気だけだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオとなります。

 屍人帝国『コルディリネ』によって移動させられた『オルダナ円環島』。
 ここは神隠しの末裔たる異世界の種族を多く含む『種族のるつぼ』と呼ばれる場所であり、『コルディリネ』が進駐した後も、各部族が独自に抵抗を続けています。
 ですが、圧倒的なオブリビオンの物量を前に多くの勇士達が負傷し、消耗させられています。
 彼らを救うために『新たな勇士』を探し出すシナリオとなります。

 皆さんは『新たな勇士』を探し出しながら、負傷した勇士たちを治療していかなければなりません。
 それは今後の戦いにおいて共同作戦をしく『|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》』と連携する冒険において有利と働くことでしょう。

 プレイングボーナス……新たな勇士を探す。

 それでは『アルカディア争奪戦』、屍人帝国の野望を打ち砕くべく雲海を進む皆さんの冒険と戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『病院は大忙し!』

POW   :    医療器具を搬送する!

SPD   :    薬剤を調合する!

WIZ   :    患者を診察する!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 傷ついた人と助けようとしている人が困っていて、わたしがここにいる。だったらやることはひとつ、彼らの力になるわ!

 お医者さま、わたしがお手伝いするわ!
 お医者さんの診断と施術に合わせて、【UC:祝福の月光】(WIZ)と応急手当で、みんなを癒していくわね。重傷の人を先に、でも取り残すことなく助けるわ。私の疲労なんて、彼らの痛みに比べれば些細なもの、〈気合い〉入れていくわよ!

 一息つけたら、お医者さまにお礼を。わたしだけじゃきっと、闇雲に走りまわることになってた。だから、ありがとうお医者さま。まだ助けを待っている人がいるから、一緒に来てくれると心強いのだけど……どうかしら?

(アドリブ等々全て歓迎)



 人を助けること。救うこと。
 あらゆる生命が危機に脅かされているのならば、手を差し伸べられずにはいられないのが人の善性である。
 どんな善き人間にも悪性は宿る。
 また逆も然りである。悪しき人間も善性は宿るのだ。

 ならば、ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)の目の前にある『オルダナ円環島』の飛空艇港の様相は彼女にとってしなければならないことを明確にするものであったことだろう。
「傷ついた人と助けようとしている人が困っていて、わたしがここにいる。だったらやることはひとつ」
 ゾーヤは一つ大きく頷く。
 目の前の光景をどうにかしなければならない。
 彼らの力になりたい。
 彼女の心にあるのは、ただそれ一つであった。

 彼女は野戦病院のようになっている飛空艇港を走る。
 求めるものはなんでも与えたいと思うだろう。彼女の瞳に宿るのは祝福の月光(パウダースノウ・ムーンライト)。
 あらゆる傷を浄化し、災厄を祓う聖なる光が満ちる。
 体が重たい。
 癒やしの光は確かに傷ついた勇士たちを癒やしていくだろう。
 けれど、その代償は彼女の肉体に負荷をかける。疲労が溜まっていく。
「君、君のその力は……!」
 医者らしき者がゾーヤの光を見て気がつく。

 みるみる間にゾーヤの顔色が悪くなっていくのを見たのだろう。
 それが彼女のユーベルコード。
 だが、ゾーヤは頭を振る。
「お医者さま、わたしがお手伝いするわ! だから!」
 一つの生命も取り残すことを許さない。
 ゾーヤの瞳に宿る意志。
 それを見た医者らしき者は、彼女の決意と慈悲の心に感銘を受けたようである。
 だからこそ、ゾーヤが倒れては元も子もないと彼女の肩にふれる。

「闇雲にその力を使っては駄目だ」
「いいえ、わたしの疲労なんて、彼らの痛みに比べれば些細なもの。気合入れていくわよ!」
「私の力と合わせていこう。君がどれだけ気力十分であったしても、ここの人すべてを癒やし切ることはできない。私が診て、君が癒やす。順番だ」
 ゾーヤはその言葉に頷く。
 今にも消え失せそうな勇士たちの生命を医者らしき者が見極め、識別していく。ゾーヤはユーベルコードの輝きを持って生命を癒やしていく。
 複数同時の高速治療は彼女の体にかかる負担が大きい。だからこそ、選別し緊急に治療が必要な者たちを集めて彼らを救うのだ。

 ゾーヤと医者らしき者は汗を拭う。
 とりあえず、緊急を必要とする勇士たちの治療は終えた。けれど、これで終わりではない。『オルダナ円環島』をめぐる戦いはまだ続いているのだ。
 これからまだまだ負傷者たちはふえていくだろう。
「ありがとう、お医者さま。わたしだけじゃきっと闇雲に走り回ることになってた。だから、ありがとうお医者さま」
 ゾーヤは何度も頭を下げる。
 医者らしき者は、いや、と断りを入れてからゾーヤの肩を叩く。

「君がいなかったのならば、私だってただ徒に診ることしかできなかっただろう。君が居たから彼らを救えたんだ」
 その瞳にあるのは勇気であるように思えた。
 ゾーヤはこの人ならばと思う。
 共に戦ってくれる勇士。
 勇気ある者が勇士であるというのならば、失われようとしている生命に我が身を顧みず手を伸ばす彼もまた勇士であるとゾーヤは思うのだ。
 だから、彼女は手をのばす。

「まだ助けを待っている人がいるから、一緒に来てくれると心強いのだけど……どうかしら?」
 これから征く戦場は危険に満ちている。
 オブリビオンの脅威もある。
 屍人帝国は強大であり、未だその全容は明らかになっていない。そんな危険な場所に彼を連れ出すのは気が引けたかもしれない。
 けれど、医者らしき者は頷く。
 一つの迷いもなく。

「ああ、行くよ。私の助けを求めている人がいて、私にそれができるのならばためらう理由はない」
 ゾーヤの顔が明るくなるだろう。
 人の善性。それは確かに欠片しかないのかもしれない。人の生来は悪性であるのかもしれない。
 けれど、今ここに集う熾火の如き人の善性はゆっくりと大きく育つことをゾーヤは確信し、この困難な戦いを共に征く勇士を得るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
戦っているのは猟兵だけではない
現地に生きる当事者の方々もまた戦っている

ならばこそ、彼らを死なせるわけにはいかない
看護師の姿に変身し、治療の最前線へ(救助活動)
そこならば、自然と新たな勇士とも出会えるでしょう(幸運)

打撲、裂傷、火傷、敵の攻撃によって症状は様々
【落ち着いて】診察し、症状に合わせて【薬品調合】し、治療を施す(医術)

新たな勇士の方と合流できれば、診察と治療を任せ、私自身は看護に注力できる
【絶対看護】の力を発動し、苦痛に喘ぐ患者を【慰め】、励まし(鼓舞)、心を支える(奉仕)
大丈夫、あなたは必ず助かります
共に世界を護りましょう



『アルカディア争奪戦』は猟兵と勇士たちによる共同作戦である。
 雲海が溢れ、彼らの道行きを阻んでいるだけではなく、屍人帝国の軍勢は各地の浮遊大陸を滅ぼそうと迫っている。
『オルダナ円環島』もその一つだ。
 この地は『種族のるつぼ』と呼ばれている。
 それはなぜか。
 神隠しによって異世界よりやってきた種族達が多く集まるからである。

 そんな『オルダナ円環島』の飛空艇港は、前線から送られてくる負傷者たちで溢れかえっていた。
 苦痛に喘ぐ声が聞こえる。
 どこに足を踏み入れても、その声が途絶えることはなかった。
 戦っているのは猟兵だけではない。現地に生きる当事者の勇士たちも戦っているのだ。
 ならばこそ、とオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は思うのだ。
「彼らを死なせるわけにはいきません」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 看護師としての姿に変身し、負傷した勇士たちの元へと赴く。今回猟兵達が『オルダナ円環島』にやってきたのは、彼らを救うためでもあったが、新たなる勇士を求めることにもあった。

 この負傷者を収容する港であれば、自然と新たな勇士に出会えるだろうとオリヴィアは確信していた。
 けれど、それ以上の重傷者たちの状況がよくない。
 打撲、裂傷、火傷。
 あらゆる傷が勇士たちに刻まれている。浅いものばかりではない。深い傷だってある。通常であれば最早助かる生命もないだろう。

 だが、オリヴィアはそれを否定する。
「死ぬのか……俺は……このまま……」
 絶望に染まる瞳を否定する。
 そう、彼女の瞳はユーベルコードに輝いている。
「大丈夫です、あなたは必ず治ります」
 オリヴィアの力強い言葉に勇士は呆然と見上げるしかなかった。ユーベルコードの輝きがオリヴィアの背に強い光を齎す。
 まるで光背。まるで光の翼。
 オリヴィアの祈りは励ましの言葉となって勇士達の傷を癒やしていく。

 絶対看護(ナイチンゲール)たる力は、勇士たちを癒やす。
 その様子を見ていた鋼鉄の……いや、それは他世界を識る猟兵であるオリヴィアであればこそ理解できる種族の一人がオリヴィアのそばにやってくる。
 ウォーマシン。
 オリヴィアにはそう理解できただろう。
 神隠しに寄って他世界に転移してきた存在。鋼鉄の体からケーブルが伸び、オリヴィアが励ました勇士のバイタルを映し出す。
「コノカタハモウ大丈夫デス。マダ、アチラニモ重傷者ガ存在シテイマス」
 異世界の技術。
 正確に勇士の状態を読み解くことができたのならば、オリヴィアはさらなる看護を続けることができる。

 薬品調合によって得た薬を塗布し、さらに野戦病院と化した港を清潔な場所へと変えていくのだ。
「共に世界を護りましょう」
「ハイ、ソノタメニ私ハ此処ニ来タノデショウ」
 ウォーマシンの頭部に相当するモニターが笑顔の顔文字を作り出す。
 冷たい印象を受けたかもしれないが、そのモニターの様子にオリヴィアは少しばかり心が安らぐだろう。

 新たな勇士はこれからの戦いにおいて猟兵と連携をなしてくれるだろう。
 強大な敵、屍人帝国は彼らの願いを叶えるために世界を滅ぼそうとしている。だが、それに抗う者がまた一人ここに在る。
 オリヴィアはウォーマシンの手を取り、新たな傷病者を癒やし続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
太陽の日射しを「影精霊装」の闇に紛れるオーラで防御して受け流しながらUCを発動
瞬間的に吸血鬼化して増幅した自身の生命力を吸収して魔力を溜めた血の雫を滴し、
積み重ねてきた戦闘知識と経験から重傷箇所を見切り治癒を施して回り、
自身と同じように太陽の光が苦手なダンピールや吸血鬼の勇士がいないか探してみる

…この場所ならきっと私のような存在がいると思ったけど、どうやら当たりみたいね?

…貴方も太陽が苦手か、あるいは光の下では十全に力が使えないクチかしら?

…この影の衣があれば、陽光を気にする必要が無くなるわ

…私が休憩している間、それを貸してあげる

…もし良ければ、彼らの治療を手伝って欲しいのだけど…良いかしら?



 ブルーアルカディアは大空の世界である。
 雲海は真下に。青空がどこまでも広がっている。浮かぶ浮遊大陸は無数あれど、『オルダナ円環島』は神隠しに寄って異世界の種族が数多集まる『種族のるつぼ』と呼ばれる場所でもあった。
 けれど、今は『コルディリネ』が進駐し前線では勇士たちが抵抗を続けている。
 飛空艇港には、そうした前線から移送されてきた重症を負った勇士達で溢れかえっていた。
 苦痛に喘ぐ声が響き渡る。
 どこまでも続くかのような苦しみ。
 どれもが悲痛を訴えていた。

 だからこそ、人の善性が発露する。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は太陽の陽射しを闇に紛れるオーラで防ぎながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「……限定解放。傷ついた者に救いを…血の聖杯」
 瞬間的に吸血鬼化したリーヴァルディは、己の生命力を凝縮した血液の滴を重傷を負った勇士たちに与え、その傷を癒やしていく。
 これこそが限定解放・血の聖杯(リミテッド・ブラッドグラール)。
 その血液は生命力に満ち溢れ、リーヴァルディの疲労を代償として、彼らの傷を瞬く間に癒やしていくのだ。

 疲労が蓄積していく。
 足取りが重い。
 リーヴァルディは自身のユーベルコードに寄って癒やせば癒やすほどに自身が疲弊していくのを感じた。
 数が多すぎるのだ。
 それほどまでに屍人帝国『コルディリネ』の攻勢は激しいものなのだろう。癒やしても癒やしても、次から次に重傷者が運び込まれてくる。
「……――」
 リーヴァルディは港に視線を巡らせる。

 ここが『種族のるつぼ』であるというのならば、と思うのだ。
 異世界からの来訪者たち。
 神隠しに寄って訪れた彼らの中には当然……。
「……この場所ならきっと私のような存在がいると思ったけど、どうやら当たりみたいね?」
 リーヴァルディは港の影に立つ一人の少女を見つける。
 少女はリーヴァルディの姿に一瞬怯えたようであるが、己と同族であるという感覚に目を見開く。

「……あなたは……」
「……貴方も太陽が苦手か、あるいは光の下では十全に力が使えないクチかしら?」
「そ、そうなんです。私、どうしても夜しか動けなくて……でも、此処には一杯怪我を下人がいるって……だから」
「……そう」
 リーヴァルディは己の『影精霊装』のオーラをダンピールの少女にかぶせる。
 それは太陽を遮断する力。

 彼女が太陽が昇る時間に在っても、傷ついた勇士たちを思って来たことは、恐らく勇士と同様に勇気がある証拠だろう。
「……この影の衣があれば、陽光を気にする必要が無くなるわ……私が休憩している間、それを貸してあげる」
 だから、とリーヴァルディは告げる。
 共に、と。
 傷に喘ぐ彼らを助けてやってほしいと。

 その言葉にダンピールの少女は一にも二にもなく頷く。
「うん!」
「……頼んだわ」
 彼女もまた勇士であるとリーヴァルディは確信する。きっと、こんな小さな篝火のような光が繋がっていくのだと。
 そうすることで強大なオブリビオン……屍人帝国の脅威もまた振り払うことができる。
 疲労した体を休ませながら、リーヴァルディは駆けていくダンピールの少女の背を見送る。
 いつしか、彼女たちも戦う時が来る。
 その時に彼女たちの手が自分たちを救うだろうし、また自分もまた彼女たちを救うだろう。
 遠くない未来にリーヴァルディは思いを馳せながら、体にのしかかる疲労を振り払い、再び立ち上がるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

んー…治療方面に『私たち四悪霊』は適してないんですがー…。陰海月が手がある、という訴えをしてきまして。
ついた途端に、陰海月がUC使ったんですよー。…いつの間に作りました?

私は必要なものを取ったりのサポートに回りましょう。
ええ、陰海月ができることをしてるんですから、するのは当たり前ですねー。


陰海月「ぷっきゅ!」
こんなときのために作ってたUCだよ!
親友・霹靂の故郷世界なんだもん、ぼくだってやれることやらないと!(範囲固定のためにも、その場で踊る)



 戦うことが悪霊の本質であるというのならば、自身たちはこの場にふさわしくないのではないかと馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、その体を構成する四柱の一柱である『疾き者』は思ったかもしれない。
 ここは『オルダナ円環島』。
『種族のるつぼ』と呼ばれるほどに多種多様な異世界の種族が集まり、その末裔が住まう浮遊大陸であった。
 だが、同時に屍人帝国『コルディリネ』が進駐する前線であり、勇士たちが独自に抵抗している場所でもある。

 飛空艇港は多くの重傷者たちが運び込まれ、さながら野戦病院となっていた。
 悲痛な声が響き渡り、うめき声がさらに飛空艇港に木霊する。
 暗澹たる空気が立ち込め、此処に運び込まれる勇士たちの誰もが絶望にあえいでいるようにも思えただろう。

 だからこそ、『疾き者』は己達が此処にいるより、前線で戦うほうがいいのではないかと思ったのだ。
 けれど、己たちの影にいる『陰海月』が訴えていた。
 自分にも出来ることがあると。
 どうしようもない状況であっても、いつだって打破するのは勇気ある者なのだと。
「ぷっきゅ!」
 その言葉と共に『陰海月』が飛び出す。

 煌めくユーベルコードの輝き。
 数多の色。
 その優しく光る『陰海月』の癒やし空間が暗澹たる空気を外へと追いやっていくようでもあった。
「ぷきゅ~きゅきゅ~」
 鳴き声が響く。
『陰海月』にとって此処は親友であるヒポグリフの『霹靂』の故郷でもある。

 自分だってやれることをやらなければならないと、その心を持って翳鏡虫霓(カゲニテヤサシクヒカルゲーミングクラゲ)は輝く。
 治療に関わるすべての物事を強化する『陰海月』のユーベルコード。
「……いつの間に……」
『疾き者』は煌めく癒やし空間を見上げて呆然とつぶやくしかなかった。
 自分たちが知らぬ間に『陰海月』はこうも成長しているのかと、目頭が熱くなる思いであったかもしれない。
 戦うこと。
 それは自分たちの役割だ。

 オブリビオンに滅ぼされた故郷。
 その怨念を晴らすために戦っている。けれど、今を生きる『陰海月』は勇士たちの状況を捨て置けなかった。
 剣を振るうだけが戦いではない。
 誰かの生命を救うこともまた戦いであると思えただろう。
 その求めに応えるように多くの幻獣たちが集まってくる。彼らは『陰海月』と意思疎通をするように物資を運び始める。
「……ええ、『陰海月』ができることをしているんですから、するのは当たり前ですねー」
『疾き者』はサポートに走る。

 できることをする。
 単純なようでいて難しいことだ。 
 特にこのような最前線であればなおのこと。誰もが必死に生きている。もがくように、みっともなくとも生命に縋っている。
 か細い希望であるかもしれない。
 けれど、それでも生きているのだ。
「ならば私達がつなぎとめましょう。『陰海月』がそうすると願ったように」
 ゆらゆらと揺れる『陰海月』が見せる輝きを『疾き者』はまばゆいものを診るように目を細めた。

 誰もが成長していくことができる。
 それが道行きであるというのならば、それを阻むのが過去の化身たるオブリビオンであろう。
 その驚異をこそ振り払うため『疾き者』は野戦病院となった飛空艇港をせわしなく駆けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
野戦病院…うん、本当に野戦病院ですね!?

よし、行きましょう。まずは七色竜珠を合成しまして白日珠[オーブ形態]にしまして。
そして、UCを使いますね!人手が足りないところはどこでしょうか!
そこはお医者さんの指示に従いましょう。
波動を当てた方は、すぐに戦闘復帰できるくらいにはなるでしょうが。無理はしないでくださいね!

…そのお医者さんに、ありがとうございました、と。ポッときた相手との協力を、惜しまずにいてくれて、ありがとうございます。
そして…これからも続く戦いに手を貸していただけると嬉しいのですが、とお言葉を。



『オルダナ円環島』の飛空艇港は騒然としていた。
 いや、悲痛な声と苦悶の声が満ち溢れる暗澹たる空気ばかりが重たくのしかかる場所でもあった。
 此処は屍人帝国『コルディリネ』が進駐してきた浮遊大陸である。
『種族のるつぼ』と呼ばれるほど、神隠しに寄って異世界からの来訪者が多く存在し、またその末裔たちが部族として暮らす場所でもあった。
 故に勇士たちもまた様々な種族がいる。

「野戦病院……うん、本当に野戦病院ですね!?」
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)はあまりの惨状に思わず声を上げてしまっていた。
 多くの重傷者たちがひっきりなしに運ばれてくる。
 一命を取り留めたにせよ、このままでは危ない状態の者もいる。
 だが、多くの重傷者たちの中から、優先すべき生命を決めなければならないのは選別そのもの。

 すべてを救うことなどできはしない。
 けれど、生命を扱う者たちは決してそれを手放すことなどできやしないのだ。
「よし、行きましょう」
 だからこそ檬果は七色に輝く竜珠を取り出し、白き輝きを灯す。
 輝くはユーベルコード。
 彼女の瞳に宿るのは、誰も彼をも救うという意志。

「医にかかせぬ者、もうひとり」
 医聖将『張機』を憑依した彼女の手にした白い竜珠から放たれる波動が、取りこぼされそうに成っている勇士たちの生命を余さず取り留める。
「人手が足りないところはどこでしょうか!」
 叫ぶ。
 この混乱と苦悶が響き渡る場にあって彼女は、自分だけの力でことをなそうとはしていない。
 多くの人々と手を取らねば生命は救えない。
 だからこそ、彼女は声を張り上げる。

「此処だ! こっちに手を貸してくれ!!」
 杖を掲げている男性がいる。
 彼の姿からしてアックス&ウィザーズ世界の者だろうか。クレリックらしき姿をしているが、今はそんなことに気を割いている余裕はない。
 檬果は走り、その波動を重傷者へと当てる。
 肉体改造に寄る一時的な賦活。
 それによって重傷者の傷がみるみる間にふさがっていくのだ。
「戦闘復帰出来るくらいにはなりますが、無理はしないでくださいね!」
「……すげぇ……力が体の底からみなぎってくる……! ありがとう……! これでまだ戦える!」
 勇士は立ち上がり、飛び跳ねる。
 無理はしてはならないとは言ったものの、彼らは自分たちの世界を守るために戦っている。

 今回の戦いは猟兵だけが戦うものではない。
 勇士たちとの共同作戦。
 故に多くの人々を救い、多くの人と手を取らねばならない。
「……ありがとうございました。ポッときた相手の協力を、惜しまずにいてくれて」
 その言葉にクレリックらしき男性は被りを振る。
「いいや。自分だけの力ではどうにもならなかった。あなたがいてくれてよかったよ。まだ重傷者はいる。どうか力を貸して欲しい」
 そういって男性が頭を下げるものだから、檬果は慌てるかもしれない。
 そんな、と手を振り彼女は告げる。

「……これからも続く戦いに手を貸していただけると嬉しいのですが」
「もちろんさ。自分にできることは最大限させてもらうよ。君たちが困っているのならば、駆けつるさ」
 手を取り合う。
 此処にまた一つ繋がるものがある。
 一つ一つはか細い火かもしれない。
 けれど、それは膨れ上がり、熾火と変わっていく。世界を守ることも、救うことも、全ては猟兵次第なのではない。
 ブルーアルカディアに生きる人々と手を取り合ってこそ実現するものがあるのだと、檬果は確信し、新たな勇士を迎えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「ほほう、負傷者が多いとな。
ここは我の回復魔術の出番だな!」
『さすがフィア様。回復魔術まで修めておられるとは――』
「いや、見様見真似でやってみようかなーと」

使い魔のフギンがなにやら必死で止めようとしてくるが、天才魔術師の我に不可能はない!
さっき負傷を回復させていた者を真似ればよかろう!

【魔力増幅】で我の魔力を極限まで高め――当身のように魔力を叩き込もう!

「少しの間だが、眠れ」
『永眠されてしまいますー!』

え、ほら、さっきの医者はこれで治していたではないか。
我もきっと上手くいく!

『まあ、行動成功率は上昇しておりますが!』

名を聞かれても答えずに立ち去るぞ。

『また借金取りに足取りがバレますからね』



 苦悶の声は耳にする者たちの心を傷つける。
 何もすることが出来ない。
 ただ徒に時間だけが過ぎ去っていく。その時間の間に生命が失われていくのだ。
『オルダナ円環島』は、今や屍人帝国『コルディリネ』との先端を開いた場所である。進駐する『コルディリネ』の軍勢は多く、その力は容易には跳ね除けることができないだろう。
 前線で戦う勇士たちは、徐々に傷つき倒れていく。
 彼らを運び込む飛空艇港は、まさに野戦病院そのものであった。

「ほほう、負傷者が多いとな。ここは我の回復魔術の出番だな!」
 フィア・シュヴァルツ(宿無しの漆黒の魔女・f31665)は飛空艇港を訪れ、そう豪語する。別に何か食べ物がないかなーって思ってやってきたわけではない。
『さすがフィア様。回復魔術まで修めておられるとは――』
 使い魔の『フギン』が感心する。
 いつも破壊魔法をぶっぱするばっかりのフィアであったから、素直に関心したのだ。
 だが、彼女の関心する気持ちは続くフィアの言葉で砕かれる。

「いや、見様見真似でやってみようかなーと」
『……は?』
 思わずつぶやいていた。
 主人に対する態度ではないことは重々承知である。けれど、フィアはただなんとなくある女性のやっていた重傷者の勇士を癒やす術を見て、見様見真似でやれるだろう我天才だし! くらいの感覚で回復魔術を行おうとしているのだ。

『フギン』は止めた。
 必死に止めた。
 色々やったけど、全然フィアは止まってはくれなかった。
 というかフィアは『フギン』が邪魔してるくらいにしか思っていなかっただろう。まったくもうって思っていた。
「天才魔術師の我に不可能はない!」
 そう豪語するフィア。
 周囲の医療を志す者たちは誰も彼もがフィアを止めない。止められない。だって重傷者は次から次に運ばれてくるし、躊躇っている時間なんて僅かにもないからだ。

「我と契約せし悪魔よ、我との契約に従い、汝の全ての力を以て、我が魔力の糧となれ」
 悪魔との契約によって魔力増幅(マナ・ブースト)は為される。
 膨れ上がっていくフィアの魔力。
 その大きさは言うまでもなく彼女の体の中で循環し、賦活された生命力が掌に発露する。奇しくもそれは、ある女性が行っていたことと同じであった。
 けれど、決定的に違うのは、女性が触れていたのは点穴。
 人体を知り尽くしているからこそ出来る業であった。
 対するフィアは見様見真似。

「少しの間だが、眠れ」
 台詞まで真似しなくてもいいのだが。
『永眠されてしまいますー!』
『フギン』が慌てふためく。だが叩き込んだ魔力は重傷を負った勇士の体を駆け巡り、その肉体を賦活させていく。
「え、ほら、さっきの医者はこれで治していたではないか。我もきっとうまくいく!」
 時に自身とは無根拠なものである。
 フィアの自身は魔力となって勇士の体を癒やしていく。
 確かに魔力増幅によってフィアの魔術行使の成功率は上がっているだろう。

「ふっ、名乗るほどの者ではない」
 名を聞かれる前にフィアはそう告げて立ち去る。
 こっちのほうがかっこいいからな! とフィアは思っているだろうが、実際問題それには問題がある。
 なぜならば。
『また借金取りに足取りがバレますからね』
 あちこちでやらかしているフィアにとって、己の名は割とマジで他人に知られるわけにはいかないのである。
 借金苦のフィア。
 ぶっぱ癖が治らないから、いつまでたっても修繕費やらなんやらで金額が上乗せされていくのだ。
 そんな彼女の逃避行はまだ終わらない。

 フィアはクールに立ち去る。
 そう言っておけば、大体のことはうまく行く。だがしかし、この足取りが後に禍根を残すのかもしれないし、そうでないのかもしれないことは、まだ誰にもわからないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「……既にこれだけの被害が出ているのか。
本来なら癒しは俺の役じゃないが。
出来る事があるならやらせて貰おう。」

怪我人が多い所へ行って情報収集をしながら
人々を治療。
治療はホーリーフロウを発動し左腕を流水に変化させ
癒しの力で治療していき
自分の様に不思議な力で人々を治療する人はいなかったかや
身体から光を放つ(ダークセイヴァーの聖者の様な)
人はいなかったかと尋ねていく。
(闇雲に探すのも良いけど。自分の世界に関わりの深い
聖者を探す方が目に付き易い、かな。)

情報をもとにその人物のいたところに向って捜索し
発見したら。
「どうかその力を貸してくれないか。
これから戦禍はさらに大きくなる。
君の力が必ず必要になる。」



『オルダナ円環島』の飛空艇港は野戦病院そのものであった。
 ベッドなどあろうはずもなく。
 屍人帝国『コルディリネ』との戦いの先端、その前線で重傷を負った勇士達が所狭しと寝かされている。
 どう見ても良い環境であるとは言えない。
 けれど、仕方ないのだ。
 戦いは苛烈を極め、戦端が開かれて間もないとは言え、勇士たちは劣勢を強いられている。
「……既にこれだけの被害が出ているのか」
 フードを目深にかぶったフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、飛空艇港の惨状を見回し息を吐き出す。

 勇士たちは勇気ある者たちである。
 彼らを失うということは、『飛空艇艦隊』との連携を断ち切られるということでもある。
「本来なら癒やしは俺の役じゃないが。出来ることがあるならやらせてもらおう」
 フォルクは足早に勇士たちが寝かされている場所へと歩き出す。
 彼らの傷口や状態、それらを把握し、ユーベルコードを発現させる。
 己の左腕を流水に変化させ、その癒やしの力と浄化を齎す。
「うぅ……痛みが、引いていく……これは」
「ホーリーフロウという。清き流れによって邪を祓う聖なる泉……俺のように不思議な力で治療をする者はいなかったか」
 フォルクは重傷状態から回復した勇士に尋ねる。

 ここが野戦病院であり、なおかつ『オルダナ円環島』――即ち異世界からの神隠しに寄ってやってきた者たちの末裔が部族として機能している『種族のるつぼ』であるというのならば、こうした力を持つ者がいてもおかしくないと思ったからだ。
「そう言えば……不思議な光を放つ人なら……」
「そうか。その者はどこに?」
 フォルクは勇士たちを治療する以外にも新たな勇士を探さなければならなかった。この『アルカディア争奪戦』は猟兵だけで戦うものではない。

 勇士たちと連携し、アルカディアの玉座に居たらんとするオブリビオンを打倒しなければならない。
 ならばこそ、新たな勇士となってくれる可能性がある者がいるのならば、彼らを見つけなければならないのだ。
「やはりそうか。闇雲に探すのもありではるが……自分の世界に関わりの深い者を探すのが目に付きやすい」
 光を放つ者。
 フォルクにとって、それが思い至るのはダークセイヴァーに存在する『聖者』であろう。そのような力を行使する異世界の末裔がいるのならば、そうした者たちが新たな勇士となる可能性は高い。

「……! あれか」
 フォルクは広い飛空艇港の中でひときわ光を放つ者を見つける。
 女性のようだ。
 彼女はフォルクと同じく重傷を負った勇士をユーベルコードの輝きで癒やしているようだった。
「ふぅ……これで……」
 そこにフォルクは向かい、その聖者の女性の手を取る。
「え、えっ!?」
「どうかその力を貸してくれないか」
「え、あっ、ええええ!?」
 彼女は戸惑っている。突然のことであったし、フォルクの言葉は直線的すぎた。力を貸して欲しいというのは、この癒やしの力のことであろう。
 けれど、聖者の女性はどうにも男性に対する免疫がなかったようである。目を白黒させて戸惑っている。

 だが、そんな彼女を他所にフォルクは告げる。
「これから戦禍はさらに大きくなる。君の力が必ず必要になる」
 だから、とフォルクは熱を持って告げる。
 その熱量に押されるように聖者の女性は頷くしかできなかった。元よりそのつもりであったのだろうが、どうにもフォルクの言葉と勢いに押し切られてしまう。
「は、はい……がんばります」
「ああ、頼んだ。まだまだ重傷者は来るだろうが、君の力で彼らを癒やして欲しい。頼んだ」
 そう言ってフォルクは駆け出していく。
 戦いはまだ始まったばかり。多くの人々の力を借りてこそ、戦いを制することができるのならば、フォルクはどれだけの距離であってもためらうことなく走り出す。
 その思いこそが世界を救い、熾火のごとく燃え盛るのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
怪我人を癒す力なら僕にもあるから
本業の方のように専門的な知識は無いけど
お手伝いくらいはさせてほしい

【指定UC】発動
僕は生まれつき心臓が弱いから
体力の消費はそのまま発作の危険にも繋がるけど
重症化は避けられても、熱くらいは出るかもしれないけど

本当は歌で癒す事も出来る
でも、意識の無い人や警戒の残る人には効果を発揮できないから
これしかない

でももし…ほんの少しでも僕を気遣ってくれるなら
一人でも多く、一刻でも早く
この場を落ち着けるために全力を尽くしてください
軽傷者の皆様の中にも少しでも力を持つ者がいたら
どうか手伝ってください
必ず皆、守ってみせるから

無事にやり過ごせたら
協力してくれた全ての方に心からのお礼を



 傷ついた勇士たちが呻く声が飛空艇港に響いている。
 どこを見ても傷だらけの勇士ばかりだ。
 戦いはまだ始まったばかりである。けれど、屍人帝国の攻勢は激しい。『オルダナ円環島』に進駐してきた屍人帝国『コルディリネ』の戦力は勇士たちに劣勢を強いた。
 次々と傷を負った勇士たちが運び込まれてくる。
 お世辞にも飛空艇港は野戦病院として機能しているとは言えなかっただろう。

 けれど、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は躊躇わずに足を踏み出す。
 本業の者のように専門的な知識はない。
「怪我人を癒やす力なら僕にもあるから」
 だからお手伝いくらいはさせてほしいと、澪は瞳をユーベルコードに輝かせる。

 生まれながらの光。
 その聖なる光は身に宿した光だ。
 聖なる光は、重傷を負って寝かされている勇士達全てに降り注ぐ。肉体を再生する力を賦活し、その傷口を塞いでいく。
 だが、それはユーベルコードを手繰る猟兵にとっては諸刃の剣だ。
 使えば使うほどに疲労が溜まっていく。
 複数を同時に治療しようとすれば、さらに疲労がかさむ。
 それに澪は生まれつき心臓が弱い。披露すれば、その心臓に負担がかかるし、そのまま発作の危険にも繋がることだろう。

 例え、うまく立ち回っても熱は出てしまうかも知れない。
 もっとうまくやろうと思えばできた。
 歌声で癒やすこともできたはずだ。だが、澪はそれをしなかった。そのユーベルコードは意識のない者や警戒の心ある者には効果が発揮できない。
 どちらを取るべきだったのだろうか。
 リスクを負って、即座に勇士たちを癒やすのか。
 リスクを背負わず、自分に心開いてくれることを望むのか。
「これしかない」
 澪はそうつぶやいた。

 そう、澪にとって大切なのは生命だ。
 他者の生命を救うことこそが今の澪にとっての至上。ならばこそ、リスクなど捨て置くものであった。
「その力、あまり乱用してはなりません。疲れるでしょう」
 澪の元に一人の男性がやってくる。
 理知的な光を瞳に宿す男性であり、澪のユーベルコードの本質を知っているようであった。彼の言葉には澪を気遣う色が見えたような気がした。
「でも……僕を気遣ってくれるなら。一人でも多く、一刻でも早く。この場を落ち着けるために全力を通してください」
 澪は躊躇わなかった。

 自分の体のこと。
 そうしたことを度外視するからこそ、伝わるものがある。
「わかっています。だから、我が部族から癒やしの力を使える者たちを連れてきました」
 男性はどうやら異世界からの神隠しに寄ってやってきた者の末裔であるようだった。
 澪の使ったユーベルコードと同じ光を宿す者たちが男性と共に勇士たちを癒やしていく。
 その力は澪たちと比べると弱いものであったかもしれない。
 けれど、弱い力でも集まり、重なることで大きなものへと変わっていく。篝火に集う炎が熾火のように煌めくように。

「ありがとう。必ずみんな、守ってみせるから」
 澪は頷く。
 心臓が早鐘のように鳴っている。
 額から汗が吹き出す。
 けれど、その額を拭う手がある。癒やされ、回復した勇士たちが澪を支え、休むように伝えてくるのだ。
「ありがとな。おかげで傷もふさがった。少し休んでいてくれ」
 勇士たちは次々に旅立つ。
 傷をいとわず。誰かのために戦いに赴く。

 澪はその背中を見送るだろう。
 多くの勇士達が此処に集っている。自らの生活を守るために、そして他の誰かのために。
 その輝きが集まり、自分たち猟兵を新たな戦場に向かわせてくれる。
 燃え盛るような人の戦う意志が、ブルーアルカディアの明日を作るのだと示すようであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷宮・咲夜
そこに患者がいるならば
例えそこが戦場だろうと駆けつける
そんな|熱狂《あつくる》しい感じの闇医者が探せばどこかにいるはずよ

そこで一計を案じ
街に赴き、治安要員に事情を説明
人通りが多く目立つ場所に、時代劇風の高札を立てさせてもらう

『嗚呼、この広き世にあって
 我が頭痛の種を取り除ける医者の一人も居らぬとは
 全く藪医者の有象無象が蔓延ったものよ』

 |〇〇《居場所》の咲夜』

この挑発的な高札を見ても尚、診に来てくれる医者がいれば
丁寧に詫びたのち事情を説明

私の頭痛の種とは
癒し手を連れて戻らなければ、救えるはずの多くの命が失われてしまうということ
私もUC、医術、薬品調合で助手を務める。一緒に来てもらえないかしら



『オルダナ円環島』は屍人帝国『コルディリネ』が進駐し、『種族のるつぼ』と呼ばれた浮遊大陸を実効支配しようとしているアルカディア争奪戦の前線である。
 戦いはまだ始まったばかりである。
 けれど、前線でのオブリビオンと勇士の激突は多くの負傷者を出した。
 飛空艇港は野戦病院の様相となり、お世辞にも医療に携わる者が多く存在しているようには思えなかった。
 実際、癒やし手の絶対数が足りていない。
 だが、ここ『種族のるつぼ』とも呼ばれた『オルダナ円環島』であれば、異世界の種族が神隠しに寄って転移し、その末裔たちが力を引き継いでいる可能性がある。

「そこに患者がいるならば、例えそこが戦場だろうと駆けつける。そんな|熱狂《あつくる》しい感じの闇医者が探せばどこかにいるはずよ」
 氷宮・咲夜(精晶石の魔術師・f37939)は宛はなくとも、一計を案じる迅速さを持った猟兵であった。
 その一計において求める新たな勇士が彼女の元に現れなくても、何もしなかったという事実よりはマシである。
 未だ『オルダナ円環島』は『コルディリネ』の進駐を受けてなお、無事である街を残している。
 そこには多くの部族が避難してきていたり、戦うために集っていたりするものだ。

「ねえ、お願いがあるのだけれど」
「すまない。今は非常事態なんだ。我々の手にも限りがある」
「ああ、手は取らせないから。ただ許可だけ欲しいのよ。『これ』を立たせてもらいたいの」
 そういって咲夜が街の勇士に告げる。
『これ』とは一枚の高札であった。
 時代劇風と言ってもいいだろう。このブルーアルカディアにおいては珍しいものであったが、もしも、ここが異世界からの神隠しによって転移してくる者が多い場所ならば、必ず目につくはずである。

「それは、構わないが……一体何を」
「まあ、こっちの話。じゃあ、立てさせてもらうわね」
 そう言って咲夜は高札を建てる。
 そこに貼られていたのは以下のようなものであった。

『嗚呼、この広き世にあって
 我が頭痛の種を取り除ける医者の一人もおらぬとは
 全くやぶ医者の有象無象が蔓延ったものよ』

 あまりにも挑発的な文言。
 だが、これくらいの挑発を受け流す、いや、もしくは受け止めて真摯に向かってきてくれるような者でなければ、新たな勇士として『アルカディア争奪戦』の戦いには向かないだろう。 
 咲夜は一つの賭けに出たよなものであった。
 頭痛の種はちゃんとある。

 彼女はひたすらに待つしかない。
 時間ばかりが過ぎ去っていくような気がした。だが、そんな咲夜の目の前に影が落ちる。
 見上げるとそこに現れたのは、一人の大男であった。
 燃えるような髭を蓄えた老人であり、その背には悪魔の翼。まさか、と咲夜は思っただろう。
「ここが『種族のるつぼ』とは言え、悪魔の闇医者までいるとはね……」
「さよう。普段ならば見逃すところであるが、今回は違う。あれ程の挑発を受けては、乗らぬ訳にはいかぬ」
 重圧が咲夜を襲う。
 目の前の悪魔が相当な手練であることは咲夜にも解る。だが、だからこそ希望が見えてくるというものだ。

「まずはお詫びを。あのような挑発的な文言であったのは、申し訳ないわ。けれど、私の頭痛の種とは、癒やし手を連れて戻らねば、救えるはずの多くの生命が失われてしまうということ」
「それが汝の頭痛の種であると?」
「ええ、そのとおり。今まさに『オルダナ円環島』は屍人帝国の侵攻によって多くの勇士たちが傷ついている。癒やし手が足りないの。貴方の力がどうしてもいる。例え戦場だろうと駆けつけて生命を救おうという気概のある医者が」
 咲夜の真摯な言葉に悪魔の闇医者はうなずく。
 確かに、と彼は眦を下げて笑うだろう。それは頭痛の種であると。

「ならば、その頭痛の種を我が取り除くとしよう。助手の心得は?」
 咲夜は精晶治癒(エナジーヒール)による医術、薬品調合の心得があると告げる。老人の姿をした悪魔の闇医者はならば契約だと告げる。
 咲夜の頭痛の種を取り除く。
 即ち、重傷の勇士達をことごとく救ってみせようと、咲夜の言葉に頷くのだ。
「ありがとう。あなたのような|熱狂《あつくる》しい人がいると思っていたわ」
 咲夜と悪魔の老人は飛空艇港へと急ぐだろう。
 救える生命を救えないという病。
 頭痛の種を取り除くために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
これは…あれのチャンス!
誰もが一度は言ってみたい、アレのチャンス!!
よし、せーの…

お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかー!!
…お客様の中に、最強のお医者様はいらっしゃいませんかー!!!

ふふん、こんなシチュエーションじゃ無ければとても言えないような台詞!

……
…待ってるだけも手持無沙汰だしちょっと治療に協力しようか
【断章・焔ノ血】起動
腕に傷を入れて血を流して、発動
ほらほら、軽傷の人は寄っといで
ちょっと燃えるけど、軽い怪我は治るから
燃えるのは我慢せい!
熱くはないはず、熱かったら我慢!

軽傷者以外は本職に任せよう
一応、軽く治癒は出来るだろうけど
やっぱり最強の医者じゃないと駄目な場合もあるだろうし



 これはチャンスだと月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思っていた。
 そう、これはアレのチャンスだと。
 一体全体何のチャンスであるといえるのだろうか。
 屍人帝国『コルディリネ』の進駐によって『オルダナ円環島』は、戦禍に飲まれた。
 多くの勇士たちが抵抗し、傷ついていく。
 飛空艇港は今や野戦病院そのものだ。傷ついた勇士たちの呻く声ばかりが響き渡っている。

 だというのに、玲はチャンスだと思っていたのだ。
「誰もが一度は言ってみたい、アレのチャンス!!」
 軽傷の勇士たちが重症を追った勇士に肩を貸していたが、玲の言葉に、えぇ……という顔をしていたが、玲はキにしなかった。
「よし、せーの……――お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかー!!」
 意識ある勇士たちは皆、一斉に『!?』と頭に浮かべたことだろう。
 本当に痛みが一瞬飛ぶ程に『!?』となっていた。

 聞き間違いか? 幻聴か?
「……お客様の中に、最強のお医者様はいらっしゃいませんかー!!!」
 いや、聞き間違いでもなければ幻聴でもないなこれ! と勇士たちは思った。
 玲はそんな勇士たちを尻目に満足げである。
「ふふん、こんなシチュエーションじゃなければとても言えないような台詞!」
 腕組みして玲は返答を待つ。
 そういうのって職業柄キャビンアテンダントさんとか、そういう人じゃないと言えない台詞である。
 まあ、わからんでもない。
 だがしかしである。飛空艇港は既に多くの癒やし手たちが支援のために訪れている。それでも人手が足りずにいる。
 
「……」
 玲は思った。
 シン……と静まり返った飛空艇港。
 そこで腕組みして突っ立っている自分。
 帰ってこない返事。ちょっと手持ち無沙汰である。ちょっとどころではない。
「……」
 注目を集めたばかりであったし、誰も来ない。びっくりするくらい誰も乗ってこなかった状況である。

「偽書・焔神起動。断章・焔ノ血読み込み開始」
 なかったことにした。
 彼女の腕に傷が刻まれる。いや違う、心の傷とかそういうのじゃなくて、実際に彼女は自分の腕を切りつけたのだ。
 自傷行為ではない。
 それはユーベルコードのトリガーである。
 流れる血より紅き炎が噴き出す。それは癒やしを与える、断章・焔ノ血(フラグメント・ファイアブラッド)。

「ほらほら、軽傷の人は寄っといで。ちょっと燃えるけど、軽い怪我は治せるから」
「え、いや、えっと……」
 勇士たちは勇気ある者たちである。
 けど、炎で傷が治せると言われて、じゃあ、はいとはならんのである。勇気ある勇士たちであっても、ちょっと躊躇っていた。
 本当に大丈夫? 本当にぃ? という具合である。だが、玲はちょっと我慢強くなかった。
「燃えるのは我慢せい! 熱くはないはず、熱かったら我慢!」
 いや、熱いかも知れない可能性はあるんかい! と勇士たちは言葉にせずとも心のなかでツッコんだ。
 言葉にしたら燃やされると思ったからである。

「いやいやいやいや! いいですから! こう言うのはツバ付けとけば治るから!」
「ええい、往生際が悪い! ちゃっと燃やして、びゃって前線にもどらんかい!」
「面白い力を使う者がいると聞いてきたが……なるほどな」
 騒動している玲の元にやってくるのは、一人の女性であった。
 玲には見覚えのある女性であっただろう。彼女はそれまで多くの勇士達を当身でもって点穴を突き、癒やしていた女性。

「おっと、やっと来たね。最強の医者。軽傷はなんとかしたけどさ、最強の医者じゃないと駄目な場合もあるだろうしってね」
「その称号は私には最早ふさわしくない。だが、お前たちでも手が負えない重傷者がいるというのならば、私が受け持とう」
 玲の前で重傷者に掌を打ち込んでいく女性。
 彼女の手際は恐ろしく早く、見えるものではなかった。点穴を打つことによって肉体を賦活しながら、眠りに寄って力を蓄える。
 傷を塞ぎ、血が流出することを防ぎ、見る見る間に縫合していく様子は、まさに外科手術そのものであったことだろう。

「これでいい。軽傷の者への処置、助かった」
「いやいや。手持ち無沙汰だったし。まあ、でもよかったよ。最強の医者が来てくれて」
「いじるな」
 新たな勇士の訪れは、この『アルカディア争奪戦』において新たな力とのつながりとなるだろう。
 小さな火が束ねられることに寄って大きな熾火へと変わっていくように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

【協奏曲第1番】で怪我をしたみなさまを癒やしていきますよ!
演奏が響いている限り、みなさま元気になれるのです!

って、誰ですか「精神は削られそう」とか言ったの!
心だって癒やされ……るはず、ですよね?
ね、ステラさん、癒やされてますよね?

そして……。
勇者として『力持つ者』に呼びかけましょう。

力は使ってこそ、そして力は使いかたです。
こんなときだからこそ、使うべきです!

あ、でも、あそこのやべーメイドさんの使い方は、
良い子が真似しちゃ放送禁止レベルなので、そっとしておいてあげてくださいね。

とはいえさすがステラさん、
『エイル』さんが絡まなければ特級メイドですね!

ご飯、大事ですよね!(解ってない


ステラ・タタリクス
【ルクス(f32689)様】と
|エイル様《主人様》の!!香りがします!!
誰がやべーメイドですか本当に感じるんですメイドの勘です

それはさておき
このような時のルクス様のお姿は本当に勇者としてふさわしい
え、いえ、あの、イヤサレテ……はっ!?
いえ、私の飢えた心はエイル様に抱き着くことでしか癒されないのです(逃げた)

冗談はこれくらいにして真面目に行きましょう
【メイドズ・ホワイト】、何でもできるメイドの出番です
他世界からの神隠しならば私たちが他の世界から来ている事を
示唆すれば安心するはず
この世界に無いアイテムを披露しましょう
というわけで『タベルナ・タタリクス』を持ち込みまして
さぁ移動食堂といきましょうか



 屍人帝国『コルディリネ』との戦いの戦端を開いた『オルダナ円環島』。
 その飛空艇港は今や多くの負傷者がひしめく野戦病院の様相を呈していた。誰もが苦痛にあえいでいる。
 そんな中、響き渡るのは協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)。
 柔らかく包み込むような勇士たちの心を癒やすだろう。
 若干たまに音が外れて精神が削られているような気がしないでもないが、概ねその音色は勇士たちの心を癒やしていく。
「むぅむむむむむ、むむむむむー!」
 そんなふうにユーフォニアムを演奏するルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 彼女の演奏は響き渡る限り、その力でもって傷ついた勇士たちを癒やし続けるのだ。
 あっやべ。
 精神が削られるってちょっと言っちゃった。
「誰ですか『精神は削られそう』とか言ったの!」
 言ってない。
 勇士は多分言ってない。
 しかし、どこかで響く天の声にルクスは目ざとく気がつくのである。こういう所は勇者であると言ってもいいのかも知れない

「心だって癒やされる……はず、ですよね? ね、ステラさん、癒やされてますよね?」
 ルクスは共に『オルダナ円環島』に訪れていたステラに向き直る。
 だが、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は気にした風でもなく叫ぶ。唐突すぎた。
「|『エイル』様《ご主人様》の!! 香りがします!!」
 やべーメイドであった。
 正真正銘にヤベーメイドであった。
 ご主人様を探し求める献身的なメイド(ホンニンハソウオモッテイル)であるステラにとって、その叫びはまさに当然の行為。

 どこかにいるかもしれないご主人さまを思っての言葉は、ユーベルコードにまで昇華するのである。
 まさしくヤベーメイドである。
「誰がやべーメイドですか。本当に感じるんですメイドの勘です」
 やっべ。
 それはまあさておき、ステラはこういうときのルクスは本当に勇者として相応しいものだなと思った。
 本人を前にして言うのはなんかちょっとこう調子に乗られそうだし、あと演奏効果に洗脳効果もありそうな気がした。
「え、いえ、あの、イヤサレテ……」
「イヤサレテますよね?」
「……はっ!?」

 ぐるぐるお目々のルクスの言葉に思わずうなずきそうになる。
 やべー×やっべ。
「いえ、私の飢えた心は『エイル』様に抱きつくことでしか癒やされないのです」
 ステラはそう言って、あー忙しい忙しいと飛空艇港へと、つつーって横移動で逃げる。
 逃げたな、とルクスは思った、勇者としての力を行使するのならば、己の為すべきこともわかっている。
 彼女は息を吸い込む。
 勇者とは勇気あるもの。勇士もまた同様である。そして、その言葉は『力持つ者』に呼びかけられる。
 ここが神隠しに寄る異世界から転移してきたあらゆる種族の末裔が集まる『種族のるつぼ』であるというのなら。
 きっとユーベルコードを受け継ぐ者たちだっているはずだ。

「力は使ってこそ、そして力は使い方です。こんなときだからこそ、使うべきです!」
 その言葉は様子を見に来ていた様々な種族の者たちに響くだろう。
 確かに今ブルーアルカディアは未曾有の危機に瀕している。
 だが、勇気ある者たちだけに任せていいのか。戦うことを避け続けるだけで、戦いから逃れることができるのか。
 力があるのならば、とルクスの言葉は響いていく。

「本当にこのようなときのルクス様は……」
 勇者としてのあり方を示している。
 光は誰かの心に火を灯すものである。ステラは己の本分を全うする。
 何でも出来るメイドであるからこそ、示せる未来がある。野戦病院となった飛空艇港に運び込んだコンテナ。
 それが展開し、姿を表すのは移動食堂。
 ステラの移動拠点は、このブルーアルカディアにおいては異質な物体であろう。だからこそ、この『種族のるつぼ』たる『オルダナ円環島』にあっては、逆に異世界からのものであると知らしめるものであった。

 神隠しに寄ってブルーアルカディアに転移してきた者の末裔が部族単位で存在するのならば……。
「これは……キャンピングカー、か?」
「ええ。移動拠点としております。さあ、お召し上がりください。きっとお口にあうはずです。馴染みのない味わいとは違いますでしょう。あなた方のお好み、教えて下さいませ。きっと、お口に合うものをご提供させていただきます」
 ステラはなんでも出来るメイドである。
 異世界だろうと他世界だろうと、その種族ごとに味覚のツボを抑えているのである。

 そんな彼女の姿に部族単位でしか交流のなかった者たちが集まってくる。
「『エイル』さんが絡まなければ特級メイドですね! ご飯、大事ですよね!」
 ルクスは集まってきた部族たちをまとめ上げていく。
 新たな勇士たちは、きっと今後の戦いに良い影響を及ぼすだろう。
 ただ一人で戦うのでもなく、ただ猟兵達が戦うのでもない。
 勇士たちだけでもない。
 きっとこうして人の心に灯された火が、あの日の熾火のように煌めくのだ。そうした時、また奇跡のような勝利が齎される。
 それを信じ、ルクスとステラは忙しく野戦病院となった『オルダナ円環島』の飛空艇港で人々を癒やし、もてなし、その火を絆げていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

―――意志持つ飛空艇、自称”世界一の運び屋”[ミレニアムドラゴン号]の商売
「うっひょおー!こいつはかきいれどきだぜー!物資をしこたま仕入れた甲斐があった!」

●こどもドクター
まあ[ドラゴン号]くんはそれがお仕事だし任せとくとしてー
治療ってどうするかなー
いや分かる、分かる!ボクは天才ドクターだから!(UC『神知』使用時限定)
とパパッと【早業】の神【医術】で【救助活動】をしていこう!

そのついで【第六感】で隠された人材探索!
キミ!キミには隠された力がある!
大丈夫!分かる!ボクは分かる!今こそその力を発揮する時!
と|神のカリスマ《【勝者のカリスマ】》で導きの祝福を与えていこう!



 飛空艇港に『世界一速いボロ船』こと自称世界一の運び屋『ミレニアムドラゴン号』が入港する。
 そこは屍人帝国『コルディリネ』との戦いの先端を開いたことにより、多くの負傷者達がひしめく野戦病院の様相を呈していた。
 あまりにも多くの重傷者がでているため、癒やし手の数が足りていないばかりか、物資も足りていないのだ。
 だが、こういう時だからこそ、と『ミレニアムドラゴン号』は意気揚々としていた。
「うっひょおー! こいつはかきいれどきだぜー! 物資をしこたま仕入れた甲斐があった!」
 意志持つ飛空艇である『ミレニアムドラゴン号』が接岸すると、すぐさま物資を放出していく。

 こういう時にこそ、彼は役立つなぁと、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)から飛び降りて周囲を見回す。
「まあ『ドラゴン号』くんはそれがお仕事だし任せとくとしてー」
 ロニは野戦病院のようになっている飛空艇港の様子を知る。
 多くが勇士達であるが、進駐してきた屍人帝国『コルディリネ』から逃れてきた者たちもいる。
 ここは神隠しに寄って転移してきた他世界の存在の末裔が集まる『種族のるつぼ』だ。一括にできないほどの種類がいる。
「まずは重傷者からどうにかしないとなー。治療ってどうするかなー」
 ロニは首をひねる。
 神性であるが、医術に秀でた神であるわけではない。
 けれど、ロニは頷く。

 煌めくユーベルコードは、神知(ゴッドノウズ)。
「いや、わかる、わかる! ボクは天才ドクターだから!」
 勇士たちはこどもドクターのようなロニの姿に戸惑いながらも傷の痛みに顔をしかめることしかできなかった。
 というか抵抗などできようはずもない。
 ロニは彼らの前に立ち、神性ならではの早業と医術でもって彼らの傷を縫合し癒やしていく。
 出血が多量であるのならば血液を増強する丸薬を与えるし、深い傷は塞いでから再生していく。
 まさに神の御業としか思えないほどの技術。
 いや、実際神だから、その言葉は正しいのかもしれない。

「す、すげぇ……傷があっという間に……な、なあ、あんた! 頼む! あっちにも怪我人がいるんだ!」
「わかってる、わかってるよー。全員まとめて面倒見ようじゃないかー!」
 ロニは連れられるままに多くの勇士たちの傷を癒やしていく。 
 だが、その間にも人材を発掘することにも余念がない。
 ここが『種族のるつぼ』であるというのならば、ロニのお眼鏡にかなう存在だっているはずなのだ。

「キミ! キミには隠された力がある!」
「え、えええ!? なになになんだって?」
 傷を癒やしていた勇士の一人にロニは語りかける。確かに重傷を負ってはいるものの、その傷事態は問題などない。
 ロニが癒やすからだ。
「大丈夫! わかる! ボクはわかる! 今こそ力を発揮する時!」
 なんだかわからないが、ロニの勢いは神のカリスマの如き導きでもって祝福を齎す。
 理由など不要。
 無根拠な言葉が、時として人の才能を暴き出すことだってあるのだ。

「俺に力が……?」
「そう! その隠された力を今こそ世界のために使う時だよ! 理由なんて後からいくらでも後乗せできる! でも力を使う時っていうのは後からやてこないんだから!」
 さあ、とロニは神性の発露でもって一人の勇士を覚醒へと導く。
 力ある者には力ある者が集まる。
 その勇気ある行動にあてられた者たちは、次々とふえていくだろう。火が飛び火するように。
 次々と数を増やしていく。
 例え、屍人帝国が強大であったとしても。
 この大空の世界ブルーアルカディアにおいて多くの人々がたくましく生きているように、勇士もまた何度でも立ち上がるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月03日


挿絵イラスト