アルカディア争奪戦④〜かけらつなぎ
●アルカディア争奪戦
|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》。
六つの屍人帝国。
ブルーアルカディアに突如現れた異変と驚異の名はグリモアベースで何度も口にされていた。その中に混じっていたリオネル・エコーズ(燦歌・f04185)は、「びっくりしたね」といつも通りの笑みで言いながら自身のグリモアをぽこんと現す。
「屍人帝国の目的は、雲海に眠る『アルカディアの玉座』への到達と、自分達の『願い』を叶える事なんだって。世界の危機を招くほどの願いとか、ちょっと想像つかないな」
だからといって「ふーんそうなんだー」と放ってはおけない。
現れた雲海は浮遊大陸をいくつか飲み込もうとしており、急ぎ、ブルーアルカディアへ向かう必要がある。
「みんなにはマグナ聖帝国配下の屍人軍事帝国、『蒸気帝国ルブラム』にある『蒸気魔導砲台』を壊してきてほしいんだ。って言っても故障レベルじゃなくて、破壊の二文字がピッタリなレベルで」
大昔に伝わり、そして失われたというアルダワ蒸気文明。
その技術を擁する軍事国家が造った『蒸気魔導砲台』は巨大であり、いよいよ稼働し始めたそれが使われたなら、起きる被害は易しいものではないだろう。
しかし砲台を破壊するには邪魔なものがある。
「蒸気で動く機械罠……道を塞ぐ何重もの壁とワードパズルなんだ。壁に中身空っぽのフレームがあって、そこに文字が掘られたピースを嵌めていくと仕掛けが作動、道を遮ってた壁が開いて先に進めるようになってるんだけど……」
『この職業の名前は?』
――生き生き笑顔で魔獣解体中の男の絵が壁に彫られている。
『この生き物は何?』
――めちゃくちゃ尻尾を振っている、カバみたいな絵が彫られている。
『愛を伝える言葉といえば?』
――ハートマークや薔薇の絵が略。
『朝、昼、夜。どーれだ?』
――飛空艇から見た風景が略。
『昨日食べたの何? 自分は|アレ《・・》、獅子型魔獣肉のクリーム煮込みのスープ』
――他には何も彫られていない。
問題とヒントの絵、または問題のみ。
文字が掘られた石のピースを嵌め込む為の、空っぽのフレーム。
壁と一体化しているパズル――侵入者の行く手を阻む罠は何重にもなっている為、解いたらまた一つ、それを解いたらまた一つと繰り返さなければならないのが難点だ。
「フレームに刻まれたマス目の数で必要なピースの数もわかるよ。パズルの難易度はそう難しくない、と思うんだけど、場合によっては難しいかも。全部は視られなかった、ごめんね」
いざって時は最終手段、全力全開のユーベルコードで。
こっそり添えたリオネルの傍らで、青い星のグリモアがきゅるると周りながら輝き出す。そして世界は移り変わり、危機を迎えてもなお美しい茜空が広がった。
東間
ブルーアルカディアの危機ですね! という事でお遊び要素強めの戦争シナリオのお届けに来ました、|東間《あずま》です。
●このシナリオについて
導入場面はなし。
受付期間はタグ、個人ページトップ、ツイッター(https://twitter.com/azu_ma_tw)でお知らせ。送信前に確認をお願い致します。
オーバーロードは受付前でも送信して頂いて大丈夫です。
●プレイングボーナス:砲台を守る機械罠に対処する
行く手を塞ぐ罠=ワードパズルを解いていきましょう。
さくさく解いていく最中、全然わからなくてつまずいている、フフフ楽勝だぜと思ったらウンともスンともいわず…や、いきなり難しくなった!と怒ったり焦ったり。
あれこれ細かく盛り込むよりも、ワンシーン重視のプレイングですと有り難く。
リプレイ描写は罠に対処している所となります。
戦闘面はUC活性化のみでどうぞ。
パズルの内容と答えはお好きに設定して大丈夫です。
※年齢制限のかかる内容はNG。
●グループ参加:二人まで
プレイング冒頭に【グループ名】、そして【同日の送信】をお願いします。
送信タイミングは別々で大丈夫です(【】も不要です)
グループ内でオーバーロード使用が揃っていない場合、届いたプレイング数によっては採用が難しくなる可能性があります。ご注意下さい。
以上です。皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 冒険
『蒸気魔導砲台を停止せよ!』
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POW : 身体を張って仲間を罠から守る
SPD : 罠の構造を理解し、解体する
WIZ : 隠された罠を察知し、避けて移動する
イラスト:del
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オメガ・カストゥール
とんちだと?
バカにせぬことだ。
我々竜族、下には下がいるが、上には上がいる。
①魔獣解体士
②カバ??…いや、待て、ブルドッグか??
③花かな?
④夕方のようだ
⑤クジラのような魔獣だったかな。
念の為に【オーラ防御】
更にはUCで防御力を上げよう。
これで、罠が来ようが万全の体制で受けれるようにする。
あとは、【カウンター】で弾丸とかを【ブレス攻撃】火の【属性攻撃】で撃ち落とせるようにする。
鋼も砕くだろう赤鱗を持つ雄々しき竜が道を行く。だが長い尾で空気を撫でゆく竜に何かしらの罠が牙を向いたとして、分厚い守護を纏った身には傷一つ付けられず終わるだろう。
オメガ・カストゥール(火焔竜にして、竜神王・f34605)は次の罠――蒸気魔導砲台を守り、そして侵入者の行く手を阻むワードパズルを前に足を止めた。ゆったりと動いた尾に幽かな苛立ちが宿る。
「……また、とんちか。バカにせぬことだ」
他種族がそうであるように、己を始めとする竜族は、下には下が、上には上が居る。
そしてオメガは圧倒的に後者だった。
(「先のとんち、あれは魔獣解体士だったな」)
序盤のサービス問題というものだろうか。オメガは短く息を吐き、壁に刻まれた問いかけとヒントらしき絵を見つめ――鋭い眼光を更に鋭くさせた。
「何だこの生き物は」
ずんぐりむっくりとした四足歩行の動物である事は判る。
顔は長めで、鼻先は体型と同じくずんぐりむっくりだ。ならばこれはカバ――とピースへ手を伸ばした所でピタッと止まる。
「……いや、待て、ブルドッグか??」
目の前の、ヒントにしては下手くそな気がしてならないヒントもとい生き物の顔は、壁にぶつかったようにぺしゃんとしていた。振られている尾の形は細めで、短毛種を表すフサフサが全体に施されていた。
ピースを嵌め込む場所を見たオメガは短く息を吐いた。
マス目は二文字分。つまり答えは。
「“いぬ”か」
ピースを選び、嵌め込めば、どこか深い場所からガコンと音が響いてきた。
魔獣解体士と答えた時と同じように、目の前の壁がゴゴゴと低く鳴きながら開いていく。先へ進めばまた壁に出迎えられる。
妙に華やかな彫り物ヒント。愛の言葉という謎かけ。答えは――。
「花かな?」
次。この世界のどこかを描いた風景と時間帯を問うもの。太陽は無く月も星もないのなら。
「夕方のようだ」
次のパズルは、妙に馴れ馴れしい文面で昨日の献立を問う謎掛けのみ。当然オメガは何を食べたか覚えており――鯨に似た魔獣の名は、どうしてかマス目の数とぴったり同じだった。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
|起動!《イグニッション》
瞳は青く変化し、白い着物を纏う。
猟兵としての戦争は初めてですし、気合い入れていきましょう。
パズルとはなかなかユニークですね。こういうの嫌いじゃないです。
問題は…
『丸い時はこうこうと明るく、細い時はかぼそく、見えないと暗くなるものなーんだ』
他には何も彫られてないですね。
ろうそくの炎…は丸くはないですし…
丸くなったり、細くなったり見えなくなったりするものといえば…
…!月!満月の明るさはおよそマイナス12.7等級、月齢3.0の三日月なら満月の15分の1程度、そして新月は見えない!
月光の魔女にして理科教師の私には簡単な問題でしたね、さて次の問題は…(危なげなく解いていく)
「|起動《イグニッション》!」
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)の茶色い瞳が青く、纏う服は白い着物へ。
カードを手に発した声と、魔法のような速さ、鮮やかさで起きた変化。銀誓館学園の能力者ならば当たり前のそれは、猟兵に覚醒しても変わらない。
しかし猟兵として戦争に加わるのは今回が初めてだ。詩織はゆっくり深呼吸すると表情を引き締めた。瞳に映るのは行く手を塞ぐ壁一枚。気合を入れ直すと静かに壁へ近付き、改めて状況を確認する。
話に聞いていた通り、壁にはこの世界の文字とピースを嵌め込むマス目が彫られてある。使うピースはご丁寧にも四角柱ステージの上に置かれていた。蒸気魔導砲台へ近付ける気はないが、やって来た者を持て成す最低限の用意はあるらしい。
「パズルとはなかなかユニークですね。こういうの嫌いじゃないです。問題は……」
くすりと笑って目を通せば、『丸い時はこうこうと明るく、細い時はかぼそく、見えないと暗くなるものなーんだ』という文章のみ。詩織は指先を顎に添えて考える。隅っこに凄まじく小さい文字が彫られていないか念の為確認したが、この文章以外、ヒントらしき言葉や絵は彫られていなかった。
(「ということは、この文章のみでも解けるもののはず……“こうこうと明るく”……ろうそくの炎……は丸くはないですし……丸くなったり、細くなったり見えなくなったりするもの……」)
ろうそくの炎が膨らむ事とすれば、何らかの要因で勢いよく燃え上がった時くらいだろう。
そういった限定的なものが当て嵌まるとは思えず、詩織は丸く細くを繰り返すシルエットを思い浮かべ――ハッと目を瞠った。
「月! 満月の明るさはおよそマイナス12.7等級、月齢3.0の三日月なら満月の15分の1程度、そして新月は見えない!」
手にしたピースを嵌め込んだ瞬間、壁が低い音を響かせながら開いていった。その先に次の壁が見え、その向こうにも壁はあるのだろう。だが詩織はニコリと笑い、颯爽と進んでいく。
「月光の魔女にして理科教師の私には簡単な問題でしたね、さて次の問題は……」
能力者。教師。猟兵。
三つの顔を持つ詩織の足を止めるにはこの程度の罠では追いつかず――きっと、倍以上あっても止められはしないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
心情)ワードパズルかァ。俺らァは猟兵だから読めるが、これ実際は何語で書いてあるンだろなァ。ありとあらゆる言葉かね? そォ考えッと、たしかにクソ難問だよなァ。
行動)『和睦にあり、戦争になく、秋霜にあり、朝露になく、突如にあり、不意になく、紅葉にあり、常緑になく、序文にあり、追伸にないものは?』
答えは1マス…1文字ねェ。うゥん…(ぼんやりと眷属《獣》の一体である、大犬の背に乗ったまま問題文をしばらく眺めて) ……。…アー、なるほどォ。睦月、如月、葉月、霜月、文月…ね。(『月』をはめる)
「へーェ」
暗い赤色の目と薄い唇が緩やかに弧を|描《えが》いていく。
朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の身は、眷属《獣》の一体である大犬の上に在った。
グリモアベースで聞いた通り、己の前にはやろうと思えば砂塵に変えられるだろう壁が在る。
(「俺らァは猟兵だから読めるが、これ実際は何語で書いてあるンだろなァ」)
そこに彫られている文字はこの世界の者ならば当然違和感なく読めるのだろうが、異世界の――猟兵ではない者には、どのように見えるのか。
神である男は人が生み出しただろうこの世界の文字を目でなぞり、笑う。
もしこれが、ありとあらゆる言葉だったなら――?
(「そォ考えッと、たしかにクソ難問だよなァ」)
さァて、さて。
座っていた逢真が僅かに体を動かすと、察した獣が体をより壁へと寄せる。逢真は壁に彫られた問題文を眺めたまま艶々とした毛並みを撫でてやり、もう片方の手は、胡座をかいていた腿に肘を置き頬杖をつく。
『和睦にあり、戦争になく、秋霜にあり、朝露になく、突如にあり、不意になく、紅葉にあり、常緑になく、序文にあり、追伸にないものは?』
視線を問題文から僅かに下へ移す。
そこに在るマス目は――ひとつだけだ。
「答えは一マス……一文字ねェ。うゥん……」
すぐに答えは浮かんでこず、しかし逢真は慌てる様子もなく問題文へと視線を戻す。
これは所謂、あるなし問題だ。問題文の“あり”と“なし”を分けてやれば、自ずと答えへ近付いていく。
和睦、秋霜、突如、紅葉――それらを頭の中で“あり”の匣へと、ひょい。
戦争、朝露、不意といったもの達も“なし”の匣へ、ひょいひょい、ぽとり。
問題文を暫し眺めながらの選別は恙無く終わり――ぴく。逢真の瞼が、幽かに動いた。
「……。……アー、なるほどォ」
獣の背上から四角柱ステージへ手を伸ばし、ピースを一つ持ち上げる。
そこに書かれている文字が何語かは全く知らないが、猟兵である己には其れが|読め《わか》る。
『和睦にあり、戦争になく、秋霜にあり、朝露になく――……』
「睦月、如月、葉月、霜月、文月……ね」
壁と同じ、石で出来た『月』のピースを嵌め込む。
カチリ。
ピース以外の何かがぴたりと嵌まる感覚の後、目には見えぬ深い場所で、ガコン、と何かが動き出す。そこから響き始めた音と共に壁は開き――次の謎掛けが、神を出迎えた。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、あのこれってもしかして私は完全な手詰まりなのでは?
問題が難しすぎて解けないですし、私は全力全開のユーベルコードで攻撃なんてできないですよ。
どうしましょう?
ふえ?だったら正座をして名探偵アヒルさんの名推理に役立てればいいって、こんな所で正座をするんですか?
嫌ですよとは言わせてくれないんですよね。
先に進む為にも仕方がありません。
アヒルさんなるべく早く解いてくださいよ。
ここ、砂利とかで結構足が痛いんですからね。
屍人軍事帝国『蒸気帝国ルブラム』にある『蒸気魔導砲台』の破壊。
それを守る邪魔なものが、幾重にもなって砲台を囲うワードパズルの機械罠。
難易度はそう難しくない、と思う――とも聞いた。ならば自分もブルーアルカディアの力にとやって来たフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、目の前に立ちはだかる壁を見つめ――あわわ、と瞳を震わせた。
「ふええ、あのこれってもしかして私は完全な手詰まりなのでは?」
目の前の壁には問題が彫られている。それは問題なく読めた。読めたが――内容が難し過ぎるのだ。
書かれている事を声に出して読んでみても、深呼吸を繰り返してから改めて読んでみても、全くわからない。読む順番が違うのではと左上からではなく右下から読んでみたが、余計に理解不能なものとなった為、やっぱり左上から読むんですねと肩を落としたのは数秒前の事だ。
「私は全力全開のユーベルコードで攻撃なんてできないですよ。どうしましょう?」
『グワグワッ』
「ふえ? だったら正座をして名探偵アヒルさんの名推理に役立てればいいって、こんな所で正座をするんですか?」
フリルが口にした“こんな所で”に、アヒルさんは不思議がる様子もなくグワグワ鳴きながら頷いた。しかもいつの間にかパイプを咥えており、『名探偵アヒルさん』の準備は万端。ほらほらとフリルを片翼でつついて正座するよう促され、フリルは困ったように眉を下げた。
(「嫌ですよとは言わせてくれないんですよね……」)
ちらりと視線を向けた床は石造り。しかしその表面はうっすらと凹凸があり、指先で撫でればほんのりざらざらとしていて更には砂利も転がっている。
フリルは数秒悩んだ後、意を決して両膝をついた。早速、砂利でちくりとされてしまう。
「アヒルさんなるべく早く解いてくださいよ。ここ、砂利とかで結構足が痛いんですからね」
『ガァ!』
「任せておけって……あの、アヒルさん、本当になるべく早く解いてくださいね?」
『グワグ~ワ』
自信満々に頷いたアヒルさんを見ながらフリルは祈る気持ちで正座をし――。
「あ、あの、アヒルさん、まだですか……」
『ガァ』
「も、もうちょっと? ふええ……」
砂利だけでなく足も痺れてきたような。
耐えるフリルにアヒルさんの『わかった!』が響くまで――多分、もう少し。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
対の華
ワードパズルかぁ…
機械罠っていうからややこしい仕掛けとか色々あるのかなーと思ってたけど
なんだか楽しそうじゃん
一緒に頑張ろうね、百鬼さん
僕と百鬼さんは読書仲間で
持ち前の【学習力】と【集中力】で手分けして解いていきたい
そうだねぇ…問題はひっかけ要素の有無かなぁ
魔獣解体士はひらがなだと…9文字かな?
魔獣を抜くと5文字だね
マスの数いくつになってる?
人によって答えが変わるものとかは少し悩んじゃうかも
でも今回は百鬼さんが一緒だからね
制限時間があるわけじゃないし、知識を出し合いながらゆっくり考えよ
それは僕も同じだよ
百鬼さん、僕には無い考え方持ってたりもするから
すっごく心強いよ
一緒にゴール目指そうね
百鬼・智夢
対の華
あっ…そ、そう、ですね
がんばりましょう…!
勉強は、好きなので…
【瞬間記憶】で覚えた本の知識や自身の【学習力】
そもそも知識に無い要素が出た場合には
★魔法の手鏡を用いての【情報収集】で澪君のお手伝いが出来たら、と
最初の絵は…そのまま見るなら恐らく
魔獣解体士さん…ですよね?
なるほど、解体士のみで通る可能性…
ちょっとマスの数見てみますね
二人共に性格は真逆だけれど知識は豊富で
求められる答えの察しがつきやすい物はサクサク回答
…回答者自身への質問系統の問題や選択肢の候補が多いものは少し迷ってしまうかもしれませんが…
その時も冷静に意見を出し合って最適解を導き出しますね
ふふ…澪君と一緒だと心強いです
蒸気帝国ルブラムが擁する巨大兵器、蒸気魔導砲台。その使用を阻止するべく機械罠郡へと挑む猟兵らの中に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)と百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)もいた。
僅かな隙間も作らず、通路とピッタリ密着し塞いでいる壁の前。智夢と仲良く並んでいた澪は、壁やその手前にある四角柱などをぐるりと見て、へぇ、と小首を傾げる。
「ワードパズルかぁ……機械罠っていうからややこしい仕掛けとか色々あるのかなーと思ってたけど……なんだか楽しそうじゃん。一緒に頑張ろうね、百鬼さん」
「あっ……そ、そう、ですね。がんばりましょう……!」
少しだけ肩を跳ねさせた智夢の表情は、澪がふにゃりと浮かべた笑顔につられて柔く綻んだ。その様子に澪は嬉しそうに笑い、智夢の視線を追って機械罠――壁を見る。
「そのまま見るなら恐らく、魔獣解体士さん……ですよね?」
「そうだねぇ……問題はひっかけ要素の有無かなぁ。魔獣解体士はひらがなだと……九文字かな? 魔獣を抜くと五文字だね」
「なるほど、解体士のみで通る可能性……」
「百鬼さん、マスの数いくつになってる?」
「ちょっとマスの数見てみますね。……あれ? 五つですね……」
「じゃあ、解体士なのかなぁ? それともまだ何かひっかけがあるのかも……」
智夢も澪もきょとりとして――しかし視線を交わした二人は慌てる様子もなく、しっかりと頷き合った。
勉強好きの智夢と、智夢と同じく学ぶ力はなかなかのものである澪。読書仲間でもある二人は、こういう時は“慌てず焦らず、改めて問題と向き合う事が最適解”だとそれはもう心得ていた。
二人はまず彫られている絵の全体像を捉え、それから、要素を一つずつ指差し、確認していった。誤認がないよう、彫られている人物の特徴や持ち物などを声に出し、解答者を惑わせる余計な要素を丁寧に削ぎ落としていく。
そうして残ったものから、二人はある答えを導き出した。
お互いに一つずつ取ったピースを嵌め込んで――ガコン――遠く深い場所から響き始めた音と共に、道を塞いでいた壁が開いていく。それを見た二人は笑顔を咲かせ――かけて、小さく吹き出した。
「まさか答えが『おてつだい』だなんて……ひっかけ、でしたね」
「ね! 大包丁の持ち方がちょっと違ってて……あ。魔獣の向こう側にもう一人彫られてたあの人が、魔獣解体士だったのかな?」
今度は一体どんなワードパズルが?
次なる謎へと挑んでいく二人の表情は、それぞれの性格がそうであるように真逆だ。しかしその内に抱えた知識量は二人とも豊富であり、自分の知らないものが答えであったとしても、すぐにもう一方が自らの中に在る知識を引っ張り上げて答えを掴み取っていく。
『幼少期の男児によく見られる『おれ』のイントネーションは?』
「イントネーション……?」
「あ、わかった。ほら、この中に混じっていた上向きの矢印と下向きの矢印をはめれば……」
「わぁ、当たりですね……! そういえば、そんな風に言っている男の子がいたような気がします」
『ルブラム帝国西方に位置する村、ラムシッニの秋の名物料理全てに使われる食材といえば?』
「秋っていうと栗や南瓜のイメージだけど、全部に……うーん、ちょっと候補が多いなぁ……」
「あ……私、その村の名前、聞いたことがあります。確か黄金南瓜というのがあって……」
「百鬼さん凄い、当たりだよ! ねね、よかったらどういうお料理があるのか今度教えてくれない?」
「は、はい……!」
こちらへと質問してくるタイプ、選択肢の候補が多いもの、人によって答えが変わるものはさすがの二人でも少々迷ってしまう事もあったが――二人が表情を暗くする瞬間は一秒すら存在しなかった。
何枚目かの壁の手前、問題文を前に揃って首を傾ぐ二人は冷静そのもの。二人は互いが持つ知識を出し合い、不明瞭だった答えの輪郭をどんどんクリアにしていく。
「ふふ……澪君と一緒だと心強いです」
「それは僕も同じだよ。百鬼さん、僕には無い考え方持ってたりもするから、すっごく心強いよ。一緒にゴール目指そうね」
「はい……!」
きっと、一人でも頑張れただろう。
けれど|二人《一緒》だからこそ――もっともっと、頑張れる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
【彩】
橙吾/f35428と
アンタねぇ、一つの世界の危機だってぇのに……ナンて呆れても咎める気は無く
まあ仕掛けを暴くのに心踊るってぇのは同感だし
何よりその横顔に似た表情を、何処かで見たような気もして
で、てコトはこーゆーの自信があるワケ?
まあアタシが居るからにゃ出番無いでしょうケド
食べ物つったらオブリビオン……冗談に決まってるでしょ!
ホラ『蛇のような君』ってあるからたまごよソレ
てぇかソレ聞いてねぇし前にも聞いたっつうの
次は……『未だ見ぬ世界に架かる橋。虹は何で出来ている』?
光の屈折、じゃあ無さそうだし……
へぇ~え、なぁに、随分ロマンチストじゃない
何処かで聞いた気がするケド……悪くないわ、そーゆーの
明空・橙吾
【彩】
コノハ君(f03130)と
ほお、これは面白い仕掛けだ。わくわくしてしまうねぇ
はは、問題を解くのは好きだからつい
勿論承知してるとも
だが成さねばならない事なら、楽しんだ方が効率も上がるというものさ
ええと、『君の好きな食べ物だ』?
……成程それが君の好物かい、残念ながら字数が合わないようだが
ああ、本当だ!正解だよコノハ君
卵は僕も好物だ、嬉しいねぇ
まあまあ、それで次の難関はなんだい?
……ああ、それならきっと『希望』だ
僕の、好きな言葉だよ
彼の言葉に、覆い隠した心が微かに痛むけれど
こうしていられる今は、それ以上に懐かしくて楽しい
――ありがとう、きっと気に入って貰えると思ったよ
先を塞ぐ壁。
その手前にぽんとある、天辺にピースをばらばらと載せた四角柱ステージ。
転移して訪れた先で見たもの、砲台を守る壁は、ひと目見て聞いていた通りのものだとわかった。早速壁へと近付いていった明空・橙吾(かけら・f35428)は、陽色の目をきらきらさせる。
「ほお、これは面白い仕掛けだ。わくわくしてしまうねぇ」
「アンタねぇ、一つの世界の危機だってぇのに……」
「はは、問題を解くのは好きだからつい。勿論承知してるとも」
返ってきた朗らかで楽しげな表情に、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は浮かべていた呆れ顔をやれやれ顔へと変える。――といっても、その心に橙吾を咎める気は無い。
(「まあ仕掛けを暴くのに心踊るってぇのは同感だし……」)
数歩進み、隣というには少々ズレのある位置に並ぶ。
橙吾の目はピースが並ぶ四角柱ステージや壁に向いていた。咎める気が生まれなかった理由は、その横顔に似た表情を、いつかどこかで見たような気もするからか。
近くへ来た事に気付いた橙吾が、本当に承知してるんだよと笑う。その目は未だ楽しげな輝きを浮かべていた。
「だが成さねばならない事なら、楽しんだ方が効率も上がるというものさ」
「てコトはこーゆーの自信があるワケ? まあアタシが居るからにゃ出番無いでしょうケド」
「じゃあ、頼りにさせてもらおうかな」
「……アンタ」
「冗談だよ。コノハ君に任せっきりにならないよう、僕も働くよ」
帰ってきた呆れ顔に橙吾は肩を竦め、どれどれと眼鏡のズレを軽く直して壁に彫られた問題文を見る。猟兵で良かったなぁと喜びつつ、覚醒した事を再認識しながら目を通した文章はというと――。
「ええと、『君の好きな食べ物だ』?」
「食べ物つったらオブリビオン……」
隣からぽそりと、けれどはっきり聞こえた言葉に一瞬だけ表情筋が固まった。
誰の。
橙吾のだ。
「……成程それが君の好物かい、残念ながら字数が合わないようだが」
「冗談に決まってるでしょ! ホラ『蛇のような君』ってあるからたまごよソレ」
「ああ、本当だ! いやぁ、問題の一部を読み落とすとは……」
ぴしゃっと飛んだツッコミの後にすぐ「ここよ」と指された場所には、コノハが言った通りの文章が彫られていた。
「ねェ、眼鏡の度合ってないンじゃない?」
「いやまだ大丈夫さ大丈夫」
老化の二文字はポポーイと遠くに放り投げられ、星になった。
そのまま振り返られる事はなく、コノハが手に取ったピースをマス目に嵌め込むと、ゴゴンと低い音が響いて壁が開き始めた。自分達が通るのに十分なだけ開いてからスタスタ通過した二人の声が、作動音の名残りに被さっていく。
「正解だよコノハ君。卵は僕も好物だ、嬉しいねぇ」
「てぇかソレ聞いてねぇし前にも聞いたっつうの」
「まあまあ、それで次の難関はなんだい?」
呆れの中に“あの時の会話を覚えている”がチラリと覗く中、橙吾の問いにコノハはやっぱり度が……という顔を一瞬しながら、薄氷の瞳をすいっと次なる難関へと向けた。
「『未だ見ぬ世界に架かる橋。虹は何で出来ている』?」
ハテナが書かれた島と島の間、その二島を繋ぐ虹にもハテナのマークがひとつ。
今度は文章だけでなく絵も彫られているが、問題の内容は“虹を構成するもの”だ。彫られている絵を見たコノハは、もっとヒントらしいの彫っておきなさいよと心の中で愚痴りつつ考える。
「光の屈折、じゃあ無さそうだし……」
「……ああ、それならきっと『希望』だ」
ふいに落とされた声は妙に穏やかだった。
虹? 言葉の代わりに少し丸くした目を向けると、コノハに向いていた視線がぱっと壁の問題文へ移る。
「僕の、好きな言葉だよ」
「へぇ~え、なぁに、随分ロマンチストじゃない」
光が空気中の水滴を通過し分散した時に見られる自然現象だと知ってるだろうに。
目を細めニヤニヤ笑うコノハが狐尾を出していたら、見せつけるようにゆ~らゆらと揺れていたかもしれない。そんなからかうような笑みは、壁に彫られた絵を映す過程で穏やかに引っ込んだ。
「虹は希望で出来ている、ね。何処かで聞いた気がするケド……悪くないわ、そーゆーの」
その言葉に、橙吾の浮かべていた笑みがひくりとぎこちなくなった。
覆い隠した心が微かに痛む。
けれど、呆れではなく楽しげな横顔を浮かべたコノハとこうしていられる今が、それ以上に懐かしくて、楽しかった。一つの世界の危機だという事を、一瞬忘れてしまうほどに。
「――ありがとう、きっと気に入って貰えると思ったよ」
* * *
壁が開き、塞がれ途切れていた道が続き、長くなっていく。
それが最終地点であるゴールへ辿り着いた後、蒸気帝国ルブラムが誇る蒸気魔導砲台は、猟兵達の手によってそれはもう綺麗に丁寧に、元の形がわからなくなる程に破壊し尽くされたのであった。まる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵