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帚星に潜みし刻印

#アックス&ウィザーズ #グリモアエフェクト #恐怖の刻印 #ピルグリム

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(……何ということだ)

 「それ」は眼前に広がる光景に、ただそう零した。
 特に従えていた訳ではないが、それでも共に居れば情の一つも湧いてくる。そんなモノたちの成れの果てが、今は眼前で地獄の如き光景を繰り広げていた。

 思い返せば、数日前。星が降った夜が明けた時だ。
 珍しい光景に、「それ」も彼等も一様に空を見上げたのだ。

(……あれが、予兆であったのか)

 共に空を見上げたモノたち。あるものは触手に食い破らるように四散し、あるものはその身体から濁った白い触手を揺らし、あるものは触手に貫かれている。無事であったものも、触手の持つ針に刺され、いずれかの道を辿っている。
 それはまさに、凄惨たる地獄絵図。

 触手を生やしたモノたちには、皆等しく痣のような紋様が刻まれていた。……そして、あの日此処で夜空を見上げたものたちに、等しくそれは刻まれていたのだ。彼等に比べれば遥かに大きな体躯の「それ」は、彼等よりもその影響を受けるまでに時間がかかっているらしい。
 そう。「それ」ですら、この地獄に堕ちるのは時間の問題なのだ。

(……嗚呼、口惜しや。口惜しや)

 己を内から組み伏せようとする「何か」に、「それ」は咆哮を上げることしか、できない。



「……来てくれたか」

 猟兵達を出迎えたエルフィア・エルシュタッド(闇月の魔術剣士・f35658)の表情は、厳しい。

「アックス&ウィザーズで、何やら火急の事態が起きているようだ」

 エルフィアにグリモアが伝えたのは、とあるドラゴンの塒でドラゴンとその眷属と思わしいモノたちが白く濁った触手を生やし狂乱する地獄絵図。

「この触手が何なのかは不明だ。だが、細心の注意は怠らないで欲しい」

 ドラゴンたち――すなわち、オブリビオンを容易く狂乱させた原因と思しき触手だ。

「情報として伝えられる事はこの程度しかない。だが、万一これがオブリビオン以外に波及すれば」

 其れはある種のカタストロフなのではないか。エルフィアは、そんな最悪の可能性を言葉にせず、あえて飲み込んだ。

「対策だけは、講じて欲しい。
 其れも含め準備が出来た者は声をかけて貰えるか」

 そう猟兵達に告げると、エルフィアは転送のためグリモアの力を展開する準備を始めた。


白神 みや
 お世話になります、|白神《しらかみ》です。アックス&ウィザーズで、謎の事態が発生しております。

 詳細は断章に譲りますが、エルフィアからも申しております通り、彼らから生える触手にはご注意ください。(対策を立てる事がプレイングボーナスでもあります)

 オブリビオンとはいえ、凄惨な地獄絵図に沈むのはあまりにも不憫です。どうか、彼らの解放と、原因究明の嚆矢になってください。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 先行しているシナリオと、(リリース時点で戦争中の為)後発予定の戦争シナリオの進行が優先となります。受付期間については、都度タグにて告知いたしますので、参照ください。
 基本的には、期間中にいただいたプレイングで進行予定ですが、締切後🔵状況等によっては追加を受付る可能性があります。
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第1章 集団戦 『空飛ぶオトシゴ』

POW   :    仲間を呼ぶ声
自身が戦闘で瀕死になると【仲間の空飛ぶオトシゴ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    未来の予言が聞こえた気がする
自身が【何となく祈りを捧げているような動作をして】いる間、レベルm半径内の対象全てに【不吉な予言】によるダメージか【幸運の予言】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    力を受け取る
全身を【輝く光】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:羽月ことり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●相喰らう地獄
 猟兵達が辿り着く頃には、最早この地に棲まうオトシゴたちは、等しく刻印を刻まれていた。異形と成り果てるか、異形の贄となるか。選ぶことすら許されず、相喰らう地獄は粛々とした作業と成り果てている。

 猟兵達の気配に気付いた一体が、ぎしり、と、軋むような鳴き声を立てる。
 喰らわれたものの断末魔か、喰らったものの歓喜の声か、はたまた、足を踏み入れた猟兵達を新たな贄と定め嗤う声か。
 かつては空を揺蕩った薄比礼や身体を歪な触手へと変えたオトシゴたちが、寸分狂わぬ動きで猟兵達を見据える。その目は確かに自我無き虚のようなれど、その奥底で何かがにたりと嗤っていた。
カーバンクル・スカルン
おーおー、神秘的な姿が台無しだねぇ。……まあ、サクッと介錯させてもらいますか。

量産したカタリナの車輪をけしかけて、オトシゴ達を片っ端から拘束して【油煎】にかけていく。声で仲間を呼び寄せるなら、呼べないように予め口を塞いでおけば問題はなかろう。ついでにあの触手がカタリナの車輪に避難しようとしても一緒に燃え尽きる運命、連鎖はここで食い止めさせてもらう。

……にしてもあの刻印、十中八九「アレ」だよね? ブルーアルカディアの下がここで流れ着いたのか、それとも多世界にそれぞれ進軍してんのか……それによって今後の対応が変わるけど、なんか証拠になるような物が奥に転がってればいいが。



「おーおー、神秘的な姿が台無しだねぇ」

 周囲と取り巻くオトシゴだったモノ達を見ながら、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は呟いた。
 オブリビオンとはいえ、かつてはひらひらゆらゆらと薄比礼をはためかせて揺蕩う姿、確かに神秘的だっただろう。今は触手に身を侵さた、歪な姿と虚ろな目でカーバンクルを見据えている。

「……まあ、サクッと介錯させてもらいますか」

 カーバンクルはそう言うと、|針があちこちから生えた物々しい車輪型の拷問道具《カタリナの車輪》を取り出す。

「そぉれ!  『こんがり狐色になるまで揚げましょう』 !」

 詠唱しながら、カーバンクルは車輪を幾つも取り出して放り投げた。放物線を描いて地に着いた車輪はそのまま倒れる事なくオトシゴ達へと突進していく。
 そうしてオトシゴを針に突き刺し絡めた車輪は急カーブを描いてカーバンクルの方へと戻ってくると、ユーベルコードで呼び出した油の煮立つ鍋へと次々にオトシゴごと飛び込んでいった。

「……にしてもあの刻印」

 触手諸共に次々に素揚げになり燃え尽きていく車輪とオトシゴ達を見ながら、カーバンクルは|別の世界《ブルーアルカディア》でも似たようなモノを見たという話に思いを巡らした。
 幾つかの世界同様に繋がっている可能性があるのか、はたまた。今後の対応にも関わる何かがあるかも知れない。そう思いながらカーバンクルは奥を見据えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キアラ・ドルチェ
【花園】

時人さんとリグノアさんと一緒なら百人力♪
頑張りますよー!

それにしても、これは寄生生物…? 
星に乗ってやってきた、宇宙からの侵略者…?
オブリビオンすら操るとは、一体何者なのでしょう

でも何にせよ…お二人の言う通りですね
例えオブリビオンでも、こんな風に扱われる謂れはありません

「慈悲の槍で自然へ…お還し致しましょう」
敵のいる全方位へ森王の槍を展開! 触手が近くにある敵から順に撃破を!
私の大切な時人さんやリグノアさんには触手を一切近づけさせないっ

戦闘後は敵が死んでいるのを確認したら、近づいて何か正体の参考になりそうな物・事がないか確認
痣の紋様はスケッチして、帰ったら過去の文献当たってみようかな?


葛城・時人
【花園】

二人とも俺の花園の大事な仲間だ
出来るだけ怪我とかないようにしっかり戦おうと思うよ

それにしても…
「幾らオブリビオンでもこれは余りにむごいね…」
元々可愛らしい感じだから余計だ

や、勿論敵だから倒すけど…でも
「こんな哀れな有様でなく正々堂々と戦いたかったな」

今はただせめて彼らを骸の海に返せばと
「よし往こう!リグノア、キアラ!」

飛び出し引き付けてUC白燐大拡砲詠唱

今日の『消えて!無くなれ!』は
この怖気を催す白い邪悪に向けての意味合いが強い
何時かの混沌の諸相やピルグリムを思い出すぬめりを見て
「余り近寄らないようにね!これが彼らにしか
取りつかない保証はないから!」

レンジの大きい大鎌でも戦い狩り尽くす


リグノア・ノイン
【花園】

Ja.御二人と戦える事が光栄です
そして何があっても御二人を無事に帰還させます
それが私自身の意思です

勿論、敵を倒す事は前提ですが
その姿のまま、操られるように戦うのは
とても辛い事だと考えます
「In der Tat.寮長様の御言葉にも納得です」

私はずっと、考える事もなく
ただ淡々と日々をこなす様に過ごしていました
きっとそれと似ているのです
「Aus diesem Grund.貴方には静かな眠りを」

戦闘開始と同時に【Zwangsjacke "Lignoa"】を使用
敵の触手には寮長様とキアラ様の邪魔も、好きなようにもさせません
「Ja, ich verstehe.御二人には触れさせません」




「幾らオブリビオンでもこれは余りにむごいね……」

 触手と比礼を揺らすオトシゴ達を見て、葛城・時人(光望護花・f35294)が声を漏らす。本来の見た目は可愛らしいものであっただろうことが容易に推測できるのが、余計に惨たらしいと思えた。

「寄生生物……? 星に乗ってやってきた、宇宙からの侵略者……?」

 時人の傍らで観察しながら、キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)が首を傾げる。この中では一番猟兵として経験を積んでいるキアラですら、オブリビオンすら操り染め上げる存在等というものは、聞いたことが無かった。故に興味が半分、不気味なものへの忌避感半分といった体であるが、後々の為に少しでも情報を持って帰ろうと決意を固めていた。

「|In der Tat.《正直に申しますと。》寮長様の御言葉にも納得です」

 二人よりも一歩下がった所で首肯するのは、リグノア・ノイン(感情の渇望者・f09348)。
 敵を倒す事は、猟兵として大前提の事項だが、己の意思を塗り替えられ、操られるように戦う。それは、今のリグノアにとっては、とても辛い事だと、そう思えた。それを素直に口に出してみれば、二人も頷いて肯定した。

「そうだね。こんな哀れな有様でなく正々堂々と戦いたかったな」
「……お二人の言う通りですね。
  例えオブリビオンでも、こんな風に扱われる謂れはありません」

 となれば。猟兵である自分達に出来る事は、オトシゴ等を骸の海へと還すことで解放してやる事のみ。

「よし往こう! リグノア、キアラ!」
「はいっ! 慈悲の槍で自然へ……お還し致しましょう」
「|Ja.《了解。》殲滅致します」

 銀の雨降る世界で同じ|屋根の下《寮》で暮らす身故に、共に背を預ける信頼が、彼等の手にする武器以外の、もう一つの武器である。それを携えて、駆け出した。

 先ず先に動いたのはリグノア。自身に内蔵されたワイヤー武器をオトシゴ達に投擲する。視界全てをとはいかないものの、何匹かのオトシゴ達の拘束に成功する。軋むような鳴き声を上げ抵抗しようとするが、このワイヤーの攻撃はリグノアのユーベルコードでもある。抵抗の手段を封じられたかに思われたオトシゴを侵す触手が、拘束をすり抜けてリグノアへ迫ろうとする。

「リグノアさんっ!」

 それに気づいたキアラが森王の槍を展開し、触手ごとオトシゴ達を貫いていく。

(私の大切な時人さんやリグノアさんには触手を一切近づけさせないっ)

 キアラはその強い意思で、槍を幾重にも展開してオトシゴ達を、触手を貫いていく。

「余り近寄らないようにね! これが彼らにしか取りつかない保証はないから!」

 大鎌を振るいながら時人が二人に向けて注意を飛ばす。時人には、この不気味な触手が、しばらく前に相対した混沌の諸相に似た怖気を感じていた。その感覚は、能力者として銀の雨降る|故郷《せかい》で積み重ねた経験が鳴らす警鐘なのかもしれない。そう思うからこそ、油断は怠らずに|白羽の白燐蟲《ククルカン》へと指示を出す。

「 『ククルカン敵を討て!そして光で皆に癒しを!』 」

 その指示は、ユーベルコードの詠唱でもある。時人の声に応え、|白羽の白燐蟲《ククルカン》の群れが姿を現す。更に裂帛の気合で|白羽の白燐蟲《ククルカン》に力の発現を促した。

「消えて! 無くなれ!」

 |白羽の白燐蟲《ククルカン》の放つ白い燐光が、哀れなオトシゴ達を灼き尽くしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『白銀竜』

POW   :    白銀竜のオーラ
全身を【一定ダメージを反射するオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【受けたダメージ合計量】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    白銀竜の怒り
【殺気】を向けた対象に、【敵合計レベル半径mのいる敵に落雷と流星】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    白銀竜の意志
全身を【一定ダメージを反射するオーラ】で覆い、自身の【意志の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:にこなす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠純・ハイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●濁り朽ちる地獄
 触手に侵されるオトシゴ達を骸の海へと還すうち、猟兵達は、明らかにそれまでと異なる平原へのたどり着いていた。
 一頭のドラゴンが座しているそこは、宛ら広間というべきか。しかし、そのドラゴンの身にも、オトシゴ達と等しく刻印が刻まれ、かつては陽の光を、月の光を受けて、さぞ鮮やかに輝いていたであろう銀の鱗は、濁った色を返すのみ。さらにその身のあちこちが蠢いて、このドラゴンに残された時間が幾許も無い事を如実に示す。
 ドラゴンの視界に猟兵達が認められた途端、その身を喰らう者達が己の危機を察したかのように、その身の歪な蠢きが、そこかしこで瘤のようなものを作り上げた。

(オノレ……オノレ、|巡礼者《ピルグリム》ドモ……!)

 その声無き叫びと共に、裡から喰い破るように瘤が次々に弾け、この道中に遭遇し続けたあの触手が飛び出す。
 鎌首を擡げるように揺れる触手達に交じって、濁った目のドラゴンの首が共に揺れていた。
キアラ・ドルチェ
【花園】

オブリビオンは敵、それは間違いない
それでも…こんな姿になって苦しむのは違うと思う
「解放しよう、貴方を。その苦しみから」

両手に1本ずつケルト十字型のスティレット(宿木剣-Celtic Mistilteinn-)を構え、近接戦
触手は全てスティレットで弾く…! 後は【勇気】を持って体術でかわす!
よけきれない?…あ、リグノアさん援護感謝!
では時人さんのククルカンと共に…舞うようにドラゴンへと接近
【暗殺】術を駆使し、急所を狙うっ!
『悪しき巡礼者(ピルグリム)』よ、天路歴程の一撃を受け浄化されるが良い!
そして竜よ…この手で、オブリビオンとして葬って差し上げる
それが私に出来る唯一の慈悲…(鎮魂の祈り


葛城・時人
【花園】

「オブリビオンでも自分の意思で行動したいよね」
苦く呟く事しか出来ない
是非もない
初戦と同じ…一刻も早く倒してやるのが慈悲

誰だって志操される筋合いは無い
『コレ』はきっと意思持つ凡ての者の敵

「終わりを。今回は攻撃特化で往く」
仲間たちに断りを入れて
UC白燐同期翔詠唱

呼び出した大ククルカンにも視点持ち
全速で翔ぶ

殺気を俺が受けるなら蟲に影響はない
蟲がなら雷や流星は俺が見て回避できる
突撃する​|俺《ククルカン》から気を逸す為
蟲笛からも呼び攻撃を
「キアラ!リグノア!ありがと!」

お前に姿は近い
俺と遠い時代の神名に准えた​|俺の蟲《ククルカン》が
「楽にしてやる!」
最期までしっかりとその瞳を視て
死へと導こう


リグノア・ノイン
【花園】

「Ja, ich verstehe.解放致しましょう」
その苦しみから、救い出します

先の戦いで、私と同じなのだと感じました
ですが、これは違うと
今の私がそうでないと自分で思うからこそ
「Es ist alles in Ordnung.私達が、来ましたから」

戦闘開始と同時にVulcanを取り出し【Geschützturm "Lignoa"】を使用
御二人とククルカンには当たらないよう注意し
御二人を狙う触手を片っ端から撃ち落とします
「Ja.寮長様、キアラ様、触手の対処はお任せください」

御二人を守る為、敵の攻撃は只管受けて耐えます
「Mach dir keine Sorgen.こう見えて丈夫ですので」




 その凄惨たる様を目の当たりにした花園の猟兵達――葛城・時人(光望護花・f35294)、キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)、リグノア・ノイン(感情の渇望者・f09348)の三人は、三者三様に重い面持ちになる。

(オブリビオンは敵、それは間違いない。 それでも……)

 こんな姿になって苦しむのは違う、と、鎮痛な面持ちのキアラの傍らで時人が苦い溜息をついた。

「オブリビオンでも自分の意思で行動したいよね」

 恐らく自分達にできることは、この道中で目にしてきたオトシゴ達と同様に一刻も早く骸の海へ還すことくらいだろう。身体だけを生かされ使われる等という状態は、たとえオブリビオンであっても許されない。  で、あれば。

「|Ja, ich verstehe.《畏まりました。》解放致しましょう」

 二人より一歩離れた位置で、リグノアが頷く。オトシゴ達と対峙していた間は、無為に過ごしていた自分自身と彼等は何処か似通ったもののように感じていた。しかし、この銀竜と対峙するに至り、彼等と自分は全く違うのだと、そう感じていた。

 『コレ』はきっと意思持つ凡ての者の敵なのだと、そう認識した三人は同時に、手にした武器を構えなおす。

「……今回は攻撃特化で往く」
「私も接近戦で行きます!」

 助け護る立ち回りを常とする時人が、静かに二人に告げれば、キアラも頷いて、両手に父祖の代より伝わる十字の短剣を構える。

「|Ja.《はい。》寮長様、キアラ様、触手の対処はお任せください」

 リグノアはそう言うと、身体の裡に収納されていた巨大なガトリング砲を取り出すと、銃口から弾丸を放つ。それを嚆矢として、時人とキアラは走り出した。

 駆けながら時人はユーベルコード「|白燐同期翔《ビャクリンドウキショウ》」を発動させる。平素よりも巨大な|白羽の白燐蟲《ククルカン》が、時人の声に応えて姿を現すと共に、時人の視界が拡がる。|白羽の白燐蟲《ククルカン》と共有した視界をもって、竜から伸びる触手を躱していく。
 並走するキアラもまた、手にした短剣で襲う触手を弾いていなすが、そのたびに足を止められてしまう。そこに触手が二本三本と襲い来る。

(……避けきれない?!)

 それでも意を決して体術を以て躱そうとした時、触手が弾丸で吹き飛ばされる。リグノアが咄嗟の判断でキアラに迫る触手に攻撃を集中させたのだった。

「……あ、リグノアさん援護感謝!」
「御二人に迫る触手の対処は私が。ですので、存分に」
「リグノア! ありがと!」

 そう言いながらリグノアはそのユーベルコードの銘の通り、人のカタチをした銃座となって、触手へと弾丸の雨を降らせる。
 そんなリグノアにも声を掛けつつ、二人は竜へと舞うように疾る。

「 『悪しき|巡礼者《ピルグリム》』よ、天路歴程の一撃を受け浄化されるが良い!」
「俺と、お前達に姿だけは近い|俺の蟲《ククルカン》が……楽にしてやる!」

 キアラの持つ縁を由来としてして作られたユーベルコードにより強化された一撃と、時人の巨大な|白羽の白燐蟲《ククルカン》と共に繰り出す天からの一撃が、銀竜の両翼を巣食う触手諸共に切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カーバンクル・スカルン
膨らんでるとこ全部爆発寸前、ってか? すっかり色もオーラも濁っちまって……引導与えてやろうじゃない!

飛び立てないように鎖で繋ぎ止めてから【心慌意乱】を発動、ピルグリムのせいで意識が朦朧になっているのはオーラの鈍さから予想できるけど、それでも最悪の末路は走馬灯のようによぎってるでしょ。……いや、今こそが「最悪」か。それを払えないということはこの鎖から逃れる術は無い、ってことだね。

あの竜の生態から考えると自分で流星の中にピルグリムシップが混じってた、とかだろうな。獅子兎を搏つ、とは言うけれど常に全力だとこうやって足を掬われることもあるってことか。勉強になったよ。




(――オノレ……オノレ、|巡礼者《ピルグリム》……)

 翼を傷つけられた銀竜が唸り声をあげる。声なき言葉を紡いでいるようにも見えるが、それは銀竜の最期の意思を繰り返し再生しているに過ぎない。

(――|染めろ《ふえろ》。|満ちよ《ふえろ》。|増殖せよ《ふえろ》。)

 歪な再生は何時しか別の衝動へと取って代る。カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が、竜の広間へ足を踏み入れたのはそんな頃合いだった。

「 すっかり色もオーラも濁っちまって……」

 濁り切った銀竜の姿に、憐れむようにカーバンクルは呟く。どう見ても手遅れであると判る姿に、カーバンクルは武器を取り出す。重たげな鎖がじゃらりと音をたてる。

「なら、引導与えてやろうじゃない!」

 そう言いながら、鎖の先についた巨大な釣り針を重石替わりに、竜に向けて投げつける。釣り針が弧を描いて竜の身体へ巻き付いたのを確認すると、ユーベルコードを発動させる。
 視認した、濁った色のオーラから竜の意識が既に危うい事は予想はできるが、竜自身の自我はなくとも、ユーベルコードが見せる最も見たくない物――最悪の末路は認識できるだろう。

(……いや、今こそが「最悪」か)

 ならばこそ、カーバンクルの鎖から逃れる術はなく、為す術も無く身体を巣食う触手が刈り取られていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キラティア・アルティガル
【魚亭】

世界の瞳抜きで繋がりし世界の果ての先か
元の世界では酒を呑むばかりであったが…
​遠い意味での我らの​|仲間《ともがら》らが
勝ち得た未来を壊されるのも不愉快だしの

「付き合うて貰うて済まぬの」
久闊を叙した懐かしき友と共に戦うも嬉しやの
似合わぬは承知じゃが力と共に得た翼を負い大鎌を構え
「初陣に参ろうぞ!」

ユーベルコードなるものも初めてであるが
まぁ成るようになるであろ
創世神の棘を振るう
「エンマ殿!我が止める!任せたぞ!」
攻撃回避は飛べるが故比較的容易かろう
「我は漁師じゃ。禍つモノも漁ろう」

動きさえ止まらば大鎌も通ろう程にの
軛から逃れるなら更に射貫く
「貴様の逝き先は決まっておる…此処ではないぞ!」


エンマ・リョウカ
【魚亭】
正直言って私はまたこうして戦えるとは考えていなかった
妻や友人たちとゆっくりと過ごす時間も良いものだし
戦いのないその日常というのも得難いものだ
けれど、だからこそ
「あの日々の為にも、私は刀を取ろう」

「いいや、こちらこそありがとうだからね」
どれだけの間刀を置いて居ようとこの心はあの頃と同じだ
どの様な存在だろうと踏みにじられる事は許していいことではない
その無念の為に、刀を振るう

戦いにも力にもまだ慣れていない
それであれば今は、その力に身を任せよう
「あぁ、行かせてもらうよ、キラさん」
友人が作ってくれた隙を縫うように
ただ全力で、野太刀による突きを放ち
貫いて尚返す刃で鬼神の如く切り刻む




 翼を傷め、身を喰らう触手もかなりの数が刈り取られた。
 それでも未だ、銀竜は生きていた。ただ、刈り取られた触手は既に竜の身深く浸食していたため、全身から血を流し文字通り満身創痍となり果てている。
 そんな場に現れたのは、骸の海の更に彼方から縁が繋がった者達。

「付き合うて貰うて済まぬの」
「いいや、こちらこそありがとうだからね」

 キラティア・アルティガル(戦神の海より再び来る・f38926)とエンマ・リョウカ(紫月の侍・f38929)が互いに言い交す。|終焉を終焉させた世界《エンドブレイカー》を出自とする旧知の二人は、猟兵としてはこれが初陣となる。
 故郷の世界が平穏を得て、友や家族と共に穏やかな時間を其々過ごしていたのだが、勝ち得た未来を脅かす脅威が迫るのであれば。そして、その脅威を阻む力を得たのであれば、選ぶ道は必然的に定まっていた。それは|終焉破壊者《エンドブレイカー》であった日々と変わらない。

「初陣に参ろうぞ!」

 二人はそれそれに武器を構え地を蹴った。傷だらけの竜の肉体に巣食う触手は猶も生きながらえようと、新たに現れた邪魔者たちを威嚇する。

「エンマ殿! 我が止める! 任せたぞ!」

 キラティアが大鎌を振るいながら、猟兵となって得た|新たな力《ユーベルコード》を揮う。かつては厄災の象徴の一つでもあったが、深紅の創世神の力により正しき姿となった|棘《ソーン》が、二人を目掛けて襲い掛かろうとする触手を迎え撃つ。

「あぁ、行かせてもらうよ、キラさん」

 促されたエンマは穏やかなままにその力を揮う。エンマもまた、|新たな力《ユーベルコード》にも、猟兵としての戦い方にも慣れぬ身。これまでに積んだ研鑽は、確かにその身の糧となっている。
 キラティアのユーベルコードの力で石化した触手をすり抜けるように、野太刀で竜の首を狙う。キラティアの|棘《ソーン》の力を逃れた触手が阻もうとするが、刃を翻して返り討ちにしていく。
 そうして、狙いを過たずに竜の急所へと刃が吸い込まれたのだった。

 既に触手に意識を喰いつく尽くされ、彼等の苗床と化していた竜は、無言のままに骸の海へと消えていった。こうして、天からこの地を襲った災厄は、最悪の事態を引き起こすことなく、静かに打ち払われたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年11月18日


挿絵イラスト