《今治市解放戦》邂逅
コンサートホールの上部には色々な仕掛けを動かすための機械が張りめぐらされている。そのうちのひとつに腰かけた揺籠の君は音楽に合わせて裸体を揺らした。局部を隠す蛇が首をもたげ、舌を出し入れしながら真下のステージを睨みつける。
「すてきなねいろです。でも、もっとえっちなほうがゆりゆりはすきです」
彼女が音もなく舞台に降り立った時、歓声は嬌声に、歌声は蕩けるような喘ぎに変わり……。
宮城県の中核をなす地方都市に多数のオブリビオンが集まりつつある。
しかも、仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)の用意した地図にはふたつの印がついていた。ひとつはコンサートホール、もうひとつはテーマパーク。ふたつの地点を中心とする数百メートルの範囲がさらに丸で囲われた。
「この範囲がオブリビオンの発生区域。既に街の一部はオブリビオンの手に堕ちている状況だ。軍勢は全てが同じ陣営ではなく、この都市を支配するために手を組んだ複数の勢力と思って間違いない。街を解放するためにはこれらの勢力を退ける必要があるものの、同時に相手取るのは難しいね。なにしろそれぞれのリーダーは遠く離れた場所を本拠地に据えているので。まずは一般人が巻き込まれているこちらから攻略するのがいいかなと」
オブリビオンが襲来した時、コンサートホールではアーティストのライブが行われている最中だった。
この場合、わざとそのタイミングを狙ったと考えるべきだろう。なにしろそのオブリビオンの目的は若く健康な人間がいればいるほどよいのだから。
『快楽の宴』といわれる儀式。
人々は愛欲の虜となって交ざり合い、淫蕩をむさぼるだけの存在に堕ちてゆく。
「|そういう《・・・・》の、人前で見せるものではないと思うんだけどね。幸い、快楽の宴はまだコンサートホール内に留まっているからいまのうちに市内を徘徊するオブリビオンを討伐できれば他に被害を出さずに済む」
まずは市街地のオブリビオンを倒して件のコンサートホールへ突入。そこで巻き込まれた一般人を解放したら、満を持して首謀者……揺籠の君をたたく。
今回の集団敵オブリビオンは揺籠の君の魅了でリリス化しており、隙あらばこちらの欲情を煽っての籠絡支配を狙ってくる。
だが、人型の敵ならばともかく不定形なる獣型の敵でどうやって、と思うかもしれない。
「ロールシャッハテストって知ってる?」
それはとてもアナログでどのような解釈も可能な性格検査のひとつだ。紙に滲ませたインクの染みから連想される図案から心理傾向を探る。
つまり、と弥鶴は言った。
「人によってはとても卑猥なものが見えるかもしれない。もっとも、俺は皆の理性に期待をするよ。大人としてのモラルを捨てるような誘惑には屈さないと約束してくれるなら、現地へ案内しようか」
仙台駅東口からコンサートホールに至る大通りをトロンプ・ルイユが闊歩する。
いつにもまして騙し絵のような姿は見る者を惑わせる。口に出すのもはばかられるような、羞恥に目を背けたくなるような……そんなものが目に飛び込んでくる。トロンプ・ルイユ自体は普通に戦うだけだ。
己を見た者がどのような劣情に見舞われようと素知らぬ顔で殺すだけ。
ツヅキ
プレイングは常時受付中です。
共同プレイングをかけられる場合は相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。その他、こちらの判断で連携描写となる可能性があります。
第1章 集団戦
『トロンプ・ルイユ』
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POW : 耐性反芻
噛み付きが命中した部位を捕食し、【その対象が放つ攻撃への耐性】を得る。
SPD : プシシェの触覚
攻撃が命中した対象に【生贄の模様】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【極彩色の闇から伸びる角のようなもの】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 霊魂放浪
レベルm半径内に【流星のように翔ける霊魂の群れ】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
イラスト:猫の目からビーム
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
村崎・ゆかり
揺籠の君か。数多の人の心を蕩かせる。あたしもそういう存在になってみたいものだわ。
でも彼女の前に立つ前に、大掃除はしないとね。
駅の地図で件の会場への行き方を把握して、街へ出ましょう。
偶神兵装『鎧装豪腕』起動。「盾受け」で敵の攻撃を弾き、「怪力」で叩き潰しなさい。
幽世千代紙で作った式たちも「式神使い」「集団戦術」で前に立てて。
式たちで時間稼ぎしている間に、「全力魔法」「精神攻撃」「範囲攻撃」「レーザー射撃」「仙術」「道術」で落魂陣!
仮にも街中だから周囲の破壊は出来ない。落魂陣なら敵の魂魄だけを吹き飛ばすから問題ないわ。
本当、見てるだけで恥ずかしくなりそうな見目形ね。サングラスで直視を避けましょう。
暗都・魎夜
【心情】
ゆりゆりの奴が復活ってのは、いずれはあり得る話だったよな
ゴーストの中でも明白に何かしらの目的を持っていたアイツが復活して、ろくなことはないはずだ
絶対止めてやるぜ
【戦闘】
他の世界でも戦った感じ、ゴースト・来訪者の属性を持つオブリビオンが現れるのはうちだけの特徴って感じだな
リリス化で得られる特性については、まあ納得としか
誘惑に負けるつもりもないが、妙なところで隙を生むのも困る
眼を閉じて「心眼」「聞き耳」による「見切り」で攻撃に対応
「魔力溜め」「天候操作」でUCによる攻撃で周辺のオブリビオンを吹き飛ばす
「『騙し絵』のお前らのやり口に、付き合ってやる義理はねえ。どっからでもかかってきやがれ」
|それ《・・》が目の前に現れた時、村崎・ゆかり(“紫蘭パープリッシュ・オーキッド”/黒鴉遣い・f01658)は呆れた溜息をつきながらポケットに提げていたサングラスを引き抜いて視界を色づきのレンズで覆い隠した。背後には駅前によくある地図が目的地までの経路を教えてくれている。
「会場はこの道をまっすぐ、ね。わかりやすくて助かるわ」
「へえ、かなりでかいホールだな」
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)そびえ立つ白壁の建築物を見上げた。そのまま視線を下ろせば見覚えのある奴らがぞろぞろと。
「それにしても、ついにゆりゆりの奴が復活か。いずれはと思ってたが、意外に早かったな」
「彼女に会うには、その前に大掃除が先みたいね?」
ゆかりは我が物顔で道路を闊歩するトロンプ・ルイユの群れを見据え、軽く微笑んだ。魎夜は両の拳を軽く打ち鳴らして気合を入れる。
「ああ、絶対に止めてやるぜ」
戦いの幕を切って落としたのは色鮮やかな千代紙から生まれた数多の式神の飛翔乱舞。出鼻を挫かれたトロンプ・ルイユの姿が歪み、露骨な形状が象られる。やれやれと魎夜は思った。
――こういうのを相手にすると、我がシルバーレイン世界で戦っているのだという実感がしみじみとわき上がる。結構他の世界もめぐってみたが、こんな奴らにはついぞお目にかかれなかった。
「今回はリリス化か。まだまだ色んなゴーストや来訪者の属性を持つオブリビオンが出てきそうだな……っと!」
誘惑に負けるなど冗談ではないので、魎夜はやばいものが見える前に目を閉じる。心で見れば余計な外観は消え、その居場所だけがはっきりと感じ取れた。足音が近づく。接触まであと5、4、3……。
0、のカウントと同時に強大な水流が一気にトロンプ・ルイユの群れを押し流す。まるで揺籠の君の元へ続く道筋をつけるかの如く。
「アイツ、明白に何かしらの目的を持っていそうだったもんな。お前らはそのために集められたのか? どうせろくでもない目的だっていうのはわかってるんだ。さあ、ここを通しな」
濡れそぼったトロンプ・ルイユが体を震わせて水滴を弾きながら立ち上がる。仲間の屍を踏み越え、数を減らしながらも突撃を繰り返す。
だが、魎夜は一歩も退かなかった。
「『騙し絵』のお前らのやり口に、付き合ってやる義理はねえ。どっからでもかかってきやがれ」
挑発を受け、捕食を試みるトロンプ・ルイユが牙を剥く。だが、限界まで溜め込んだ魔力が生み出す天雨は豪流となって彼らを呑み込み、後方へと吹き飛ばした。
「覚悟なさい」
待ち構えていたのは浮遊する籠手のような豪腕である。それはゆかりの命令に従い、主を守るように両手を広げて敵の突進を盾代わりに受け止めた。
そして、殴り潰す――怪力をもって、容赦なく。
「本当、直視したくなくなるような見目形してるじゃない」
ゆかりはサングラスを指で押し上げる。
もしも、揺籠の君のように数多の者を魅了し、心を蕩かすような存在になれたなら……ゆかりは彼女の待つコンサートホールの方角を見た。仙術と道術を操るための力が漲り、トロンプ・ルイユを取り囲む呪符から数多の光線が解き放たれた。それらは街の建物を透過して敵の魂魄のみを――落とす。
「これもある意味、憧れの一種なのかしらね? 待っていて、すぐにそこへいくわ」
大成功
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥
ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
|狂言回し《サポート》。あると便利な|舞台装置《デウス・エクス・マーキナー》
|先制攻撃《時間質量操作》に、己の裡の世界観を瞬間的に切り替える|瞬間思考力《魔術的パラダイムシフト》をコンセプトとする|多重詠唱結界術化術《混沌魔術》の使い手。既存の技術を実在フィクション問わず|借用《Sampling》し|混合《MIX》し|自作《DIY》することで戦闘、諜報、輜重とマルチに動けます。
依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
えっちなのうみそおいしいです♥
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔王少女・f05202)が戦場に降り立つ時、彼女の役割は狂言回しという名の便利な舞台装置と成るに至る。
では、その一部始終をこれより披露するとしよう。
鍛え上げられた特級の技能を、その目でとくとご覧あれ。
「あなた達が先駆けね? ふふ、小手調べとゆきましょうか」
それは時間質量操作という名の先制攻撃。瞬く間にアリスの表情が|切り替わる《パラダイムシフトを実行》。
「誘惑されるなとは言われたけど、己の欲望を満たしてはいけないとは言われてないわよね♥」
そこをどいて、と軽く指先を払うだけで多重発動する混沌魔術が創造するのは紛うことなきデウス・エクス・マキーナー。
蠢く神の手は襲い来る霊魂の群れを払いのけ、揺籠の君が待つ舞台への道を切り拓く。
アリスが己の裡を通して視ている世界は既にこの世界であってこの世界ではない。劣情を催す卑猥なカタチは新たな価値観に塗り潰され、瞬く間にその意味は解体されてゆく。
ちろりと、アリスは赤い舌を唇の間から垣間見せた。
「えっちなのうみそはいったいどんなお味がするのかしら……」
まるで鼻歌を歌うような軽い足取りで、多重に展開した結界にやり込められたトロンプ・ルイユの屍を踏み越えて。
アリスの流し目を向けられた敵がまた一体、デウス・エクス・マキーナーの餌食となって倒れ伏した。
大成功
🔵🔵🔵
御魂・神治
リリス化かぁ、直視するとスケベ妄想野郎になってしまうんか、ワイは
『元からそうだったような気もしますが』
ほな、【結界術】で、このブヨブヨしたブツがえげつないブツに見えへんようにするわ
常に強いモヤがかかっててようわからん様にすりゃええ
『暈せば暈す程卑猥な物を想像する、よくある事です』
天将、余計な事言うなや
想像する前に森羅と天地の陽【属性攻撃】の【除霊】弾を常に叩き込み、仕上げに『蒼天』で縛り上げて【浄化】、そのままスンッって消えてもらおか
ワイが妄想する暇も、えげつない形になる暇すら与えたらん
「おやおや、聞きしに勝る状況やなぁ」
ブヨブヨした大量のブツが通りを闊歩している。それを見た御魂・神治(除霊師物理行使・f28925)は心外そうな顔でぼやいた。
「あれを直視するとスケベ妄想野郎になってしまうんやろ? そんなんワイの沽券に関わる非常事態やないか」
『そうですか? 元からそうだったような気もしますが』
しれっと返すのは相棒であるAIの天将だ。
神治は聞こえなかったふりをして結界を紡ぎ、卑猥なものを見せようとする敵との間に薄靄一枚を噛ませてしまう。
「えげつないブツもこれならようわからんやろ」
『暈せば暈す程卑猥な物を想像する、よくある事です』
「余計な事言うなや、速攻で決めたるわ」
遠慮のない相棒を横目でたしなめ、迫る来るトロンプ・ルイユに銃口を差し向ける。引き金を引くと同時に放たれた除霊弾は陽気でもって陰気に翳る相手の出鼻を挫いた。そのまま立て続けに撃ち込み続け、動きを制する。追いつめられたトロンプ・ルイユの身体がひと際大きくよろめいたのが頃合いだ。
「仕上げといこか」
神器銃『天地』に新たな弾が装填される。
――『蒼天』よ、戦場に舞え。
渦巻きながら撃ち出された追尾弾は幻想的な軌跡を描いて敵を追い詰めた。どこへ逃げようが無駄なこと。形を変えかけていた不定形の身体は途中で崩れ去り、浄化の光と共に消え失せる。
「一丁上がりやな」
天将は肩を竦め、神治と共に戦場を突っ切った。
大成功
🔵🔵🔵
祓戸・多喜
ご禁制!
色んな意味で不健全で危ない儀式は阻止するわよ!
どんな風に見えるのかは知らないけど全部撃ち抜けばいいのよ!(ふんす)
まず長い直線で迎撃し数を減らすわよ!
うーんよく分からない姿してるわねー。
えっちな感じの姿に見えてるんでしょうけども何というか…趣味じゃないし。
とは言っても長く見てると変な気分にされちゃうかもだから目を閉じ聴覚で敵の位置を把握。
手前の敵狙い牽制の矢を連射し足止め、後続もある程度惹きつけてからUC発動!
全力の分裂する矢で範囲内の敵の頭ぶち抜いてやるわよ!
…しっかし銀誓館、高校生以下の人が殆どだった頃にこんな相手と戦ってたのよね。
色々と大丈夫だったのかしら?
※アドリブ絡み等お任せ
ミカエラ・ロメ
人々の未来を踏み躙ろうとするものあらば、打ち砕くのが騎士の役目です
まずは市街地に溢れるオブリビオンの駆逐ですね
それなりに範囲があるようですし、私は|星霊グランスティード《アラケウス》に騎乗し、敵の掃討をいたしましょう
一般人を巻き込まぬ様に雷光を纏いながら天も地も駆け抜け、すれ違いざまの武器の一撃や蹂躙突撃で撃破していきます
何かが見えるらしいですが、常に高速で駆け抜けていくので、一体一体の敵の姿形をまじまじ見ていることもないでしょうし、攻撃の瞬間瞬間に見る程度でしたら防具の効果で防げるかもしれませんし
そもそも敵を前にして気を緩める程、私は甘くはありませんよ
駅前の目抜き通りは激しい戦場と姿を変えていた。猟兵の攻撃を受けたトロンプ・ルイユの姿が歪み、何かしらの形を取ろうとしている。
「ご禁制! 不健全で危ない儀式なんて御免被るわ!」
颯爽と弓を引いた祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は長い直線を生かし、迫る敵の前方から無数の矢を射かけて先手を取った。
隊列を乱され、後続はつんのめるように味方同士で衝突し合う。混乱の中をミカエラ・ロメ(天誓騎士撃滅卿・f39103)が愛馬たるアラケウスに騎乗して天翔けた。雷光を纏う星霊グランスティードは気高く嘶き、圧倒的な機動力で敵群の合間をすり抜ける。
リリスの力を得た者達は果たして、何をこちらに見せようというのか。そういうものにまったく興味がない多喜は、軽く首をひねってみせた。
「うーん……どっちにしても趣味じゃないし、よく分からないかなー」
そして目を閉じ、弓を打ち起こす。
手がかりは音だ。息遣い、蹄の音、触覚が空を切る時の振動……弦音が響いたのは一瞬だった。
多喜の手を離れた矢は敵の真上で無数に分裂し、一直線に脳天を貫いて絶命させる。かろうじて逃れた者にはミカエラのポールアームが容赦なく襲いかかった。
「人々の未来を踏み躙るなど、決して許されないと知りなさい!」
すれ違いざま、ミカエラの薙ぎ払った巨大な刀身が敵の首を空中へと勢い良く刈り飛ばした。
――何かが見えた?
否、あまりにも高速で動くミカエラの目には残像しか映らない。その僅かな残滓ですら、寵愛されし乙女のオーラを纏う鎧の前にかき消されてゆくのみ。
「ふッ……」
例え後背より狙われようが、瞬時に気配を察した愛馬が反転してミカエラの反撃を手助ける。天と地はいずれもミカエラとアラケウスの領域であり、人馬一体となった姿には死角というものがまるでない。
「天誓騎士を甘くみないことですね」
一切の隙を見せないミカエラを前に攻めあぐねたトロンプ・ルイユが虚しくアスファルトを爪先でかいた。
「それにしても、ずっと前からこんな相手と戦ってた銀誓館って侮れないわよねー。ほとんど学生だったんでしょ? 大丈夫だったのかしら」
多喜はかつての能力者たちの戦いに思いを馳せる。とにもかくにも、彼らの頑張りがあってこその今日があるのはたしかな事実であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御簾森・藍夜
【朱雨】
魅了でおかしくなりかければ必ず約束通り心音を抱き締める
……目が覚めるより心音に魅了されないように気を引き締めないと
一度触れれば離すことできず肩を抱いたまま
心音は何があっても俺が必ず、守るから
なぁもう少し―このまま
あの時だたの一般生徒だったが、離れているのに実物はこうも強力とは
異常な空気…非常に不愉快だ
ん?ふふ―勿論だ心音、行こう
俺はお前とならどこまでも
俺が心音を独りになんてさせない
同様にビル上から心音と索敵
心音の言葉と合図を頼りに、心音の吹雪の中でUC
――さぁ、異形狩りだ!
生憎目を瞑ろうと狼は動ける
耳と鼻頼りで雪上を行く化け物を喰い殺せ
心音がおかしいと感じれば強く抱きしめ、耳に落ち付きをもって呼びかける
心音―聞こえるだろ?俺だ
…どうしてこうも、この魅了が不愉快なのか
呪詛や狂気の類に耐性オーラ防御に破魔等全て駆使し対抗しながら狼に足を潰させ引き倒し殺す
数が居るなら都度生み出し間断無き戦闘を
魅了に狂い掛ければ愛しい温度に安心
ありがとう、心音
抱き寄せ愛しい黒狐耳に口付け
む…狡いだろそれ
楊・暁
【朱雨】
事前に約束
互いに魅了されたら抱擁を
好きな奴の温もりで目覚めねぇなら、愈々終わりだろ
そのくらいの覚悟で
作戦名くらいしか聞いた事なかったけど…ははっ
そりゃあ負けるわけだな
…こんなにも凄惨な日々と対峙してた奴らに
日本で死ねれば―なんて考えてた俺が、勝てるわけねぇ
…でも、今は違う
当時の能力者と並ぶ強さはなくても…護りてぇ気持ちは同じだ
…それに
―行こう、藍夜
俺はもう、独りじゃねぇ
近づけば即籠絡されそうだし
大通り沿いのビルの上から狐の視力で索敵
見敵後、攻撃範囲まで一気に距離詰めUCで先制攻撃
お前等の霊魂と俺の吹雪
どっちが強ぇか勝負と行こうじゃねぇか
卑猥なもんごと、白で埋め尽くしてやる…!
それでも見えたら目閉じ
狐の聴力で、気配感知も駆使して敵味方の動き把握しつつ戦闘続行
知らず魅了されて目覚めたら
…ありがとう…ってか、いつまでやってんだ戦闘中だろ!
宥める様に軽く頬に口づけ即戦闘復帰
藍夜が魅了されたら思いっきり腕引き
ほんの一瞬抱擁
―藍夜。本当に俺の事が好きなら、これで十分だろ
信頼と確信の笑み浮かべ
寒空に乱立するビル群がいつもよりもどこか物寂しく見えるのは、決して御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)の気のせいではあるまい。
街に満ちる異常は空気はかつてと同じもの。
それにしても、これだけ離れていてもなお影響を与えるとは流石というべきだろうか。
「懐かしい……という気分は過去を偲ぶ際に湧き上がるものだとばかり思っていたが、よもやこのような不愉快な感情が想起される場合もあるのだな」
これだけの距離がありながら、揺籠の君の放つ淫気は鼻先にまで漂うかのようだ。楊・暁(うたかたの花・f36185)は軽く笑い声を立てた。
「今治市解放戦、か」
その名しか知らなかった暁の目の前に今、かつての決戦が再現されている。こんなものを相手にしていたのだ。奴ら、即ち銀誓館の能力者たちは。負けて当然だと今なら素直に思える。
凄惨で苛烈なる、死と隣り合わせの……日々。
「勝てるわけねぇよな。日本で死ねれば――なんて考えてた俺が、どうやったら敵うんだ。そんな奴らに?」
暁は藍夜を振り仰ぎ、確認する。
「約束だ、藍夜。互いに魅了されたら……」
「あぁ、必ず」
藍夜は冗談めかして言った。
「ん? ああ、むしろ心音に魅了されないように気を引き締めないとな」
彼にのみ許した名で呼ばれ、反応する暁は「ばぁか」と可愛らしい。ああ、もう独りではないのだなと染み入るような安心感。
今はもう、昔の自分とは違うから。
強さでは当時の能力者とは並び得ぬのだとしても、護りたいという気持ちがこの胸を熱くさせる。
「――行こう、藍夜」
「――勿論だ、心音」
微かな微笑みを零し、藍夜は心音の差し出す手に自分のそれを重ねた。共に、どこまでも。二度と独りにさせまいと心に決めた眼差しがビルの屋上から街を見下ろし、極彩色の敵群を補足する。
暁の瞳が狐のような鋭さを帯び、耳はぴくぴくと前後左右を警戒するように動いた。卑猥に蠢くそれら全てに攻撃が届く距離にまで跳び込んだ刹那、舞い飛ぶ幻雪花の美しき。
「埋め尽くせッ……」
初手の勝負を仕掛ける暁と迸る吹雪に乗じて青月が煌めいた。獰猛な唸り声の主は雪夜を駆ける狼の群れである。
「――さぁ、異形狩りだ!」
藍夜の命令を遂行するそれらは音と匂いで敵を判別し、躍りかかる。足を噛まれ、雪上に引きずり倒されたトロンプ・ルイユの喉を噛み千切る生々しい音がした。
まるで不適切な箇所を塗り潰すぼかしのように吹雪く白の合間にぞくりと秘密の悦楽に誘うモノを見た暁はとっさに目を閉じる。意識の他へやろうとするも、酔ったようにふらつく体を藍夜が抱き留めた。
華奢な肩を抱き寄せ、耳元で囁く。
「心音――聞こえるだろ? 俺だ」
「……ありがとう」
僅か一瞬で正気を取り戻せたのは温もりと優しい声色のおかげ。すぐさまはっとして、離し難く抱きすくめるままの藍夜をたしなめる。
「ちょ、いつまで!」
いや、藍夜の頬にそっと軽く口づける仕草はなだめるといった方が近いか。頬に触れた口づけの後を指先でなぞりながら、ようやく藍夜はなぜこの魅了が不愉快なのかを理解した。
「させるものか」
トロンプ・ルイユの放つ霊魂の数々は流星のように迸り、まったく素のままであれば手を焼いたに違いない。幸い、藍夜には幾つもの耐性があったのでそれらは破魔や夜の帳のように発される気の類によって致命的な傷には至らなかった。
となれば、問題は例のリリス的なる象徴であろう。眩暈のような幻惑から救い上げてくれたのは力強く腕を引く暁の手。暁は藍夜をぎゅっと両腕で抱き締め、すぐに体を離した。
愛しい温もりが上っ面でしかない淫靡の罠を凌駕する。
たった一瞬の抱擁は何よりも鮮烈に藍夜の心を解き放った。目が合った途端、暁がにっこりと笑う。信頼と確信に満ちた微笑みにどれだけの安らぎと感謝を覚えたか知れない。
「本当に俺の事が好きなら、これで十分だろ」
「む……狡いだろそれ」
意趣返しのように片腕で腰を抱き寄せた藍夜は、黒く艶やかな暁の狐耳に口付けた。くすぐったそうに身じろいだ暁が言う。
「そろそろ片付けちまおう」
「ああ」
暁は気配を頼りに敵の動きを察知し、駅前の目抜き通りを吹雪で覆い尽くしてしまった。彼らはいったい何の幻を見ているのだろうか。絶え間なく生み出され続ける狼たちをもしかしたら仲間だと勘違いしているのかもしれない。
やがて雪に塗れ、狼に喰われた残骸だけが残される。もはやそれは何の感慨も生み出さない凡庸な染みでしかなくなっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『猫女』
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POW : キャットスクラッチ
【猫の爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : キャットクロー・ナインデス
自身の【猫の瞳】が輝く間、【猫爪でのひっかき攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : キャットミュージカル
【猫っぽい歌と踊り】を披露した指定の全対象に【敵対したくないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:つむら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
くすくす……ふふふッ…………。
甘い喘ぎと人と人とが交わり合う濡れた音に紛れて聞こえる、猫女の笑う声。
『快楽の宴』が繰り広げられるコンサートホールは目も当てられぬ光景が広がっていた。制御を失った舞台演出のための光が照明の落ちた場内を無造作に照らし出す中、あちこちから聞こえてくる。
「だめ、だめ」
揺籠の君を探してより淫気の濃い方へ進みかけると、通路の左右から女の指と猫の尾が伸びてきた。柔らかな毛に包まれたしなやかな尾がまるでくすぐるように触れようとしてくる。誘うように、ねだるみたいに。
「きて、きて」
猫女は揺籠の君から注意を逸らそうと、身体をくねらせてひどく甘えた声を出した。
「いっしょに、あそびましょう?」
春夏秋冬・いぶ
ツヅキマスターにおまかせします。かっこいい春夏秋冬・いぶをお願いします!
エルフの探偵騎士×トライアスリート、16歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、嬉しい時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
闇を照らす多彩なるレーザー光――否、猫女の瞳が捉えたのは春夏秋冬・いぶ(エルフの妖精騎士・f38850)の纏う勝負服の輝きであった。
「あざとい誘惑には乗らないぜ?」
まるで少年のように快活な笑いを浮かべ、いぶはアスリートの魂たる熱き炎を宿らせた蹴りで敵の誘惑をその身体ごと跳ね除ける。
「にゃん!」
吹っ飛んだ猫女は空中で回転し、四つん這いで着地した。後ずさる素振りを見せたのもつかの間、座席を足場に跳躍したいぶに背後を取られて慌てふためく羽目になる。
「あわわっ」
――だが、回避は間に合わず。
いぶの利き手が仕込み杖を抜き払い、猫女の急所を貫いた。背後から飛びかかる新手をさっきと同じように蹴り飛ばし、座席へ縫い付けるような形で刃を突き刺す。
「にしても、凄いことになってるなこの場所は。揺籠の君ってやつの影響力はこれほどなのか……」
本丸を陥とさなければ宴の幕は引かれない。いぶは気配を探るように耳を澄ませた。ホール内にいるのは間違いないはずなのだが――?
成功
🔵🔵🔴
村崎・ゆかり
ああ、素敵な空間ねぇ。壊してしまうのがもったいない。
だけど、こういうことは自分の意思でやらないと。
式神のアヤメと羅睺を召喚して、市民達の避難に当たらせつつ、あたしは猫女と遊んであげるわ。
式神の偶神兵装『鎧装豪腕』を召喚し、「盾受け」させる。
さらに薙刀を振るって猫女を牽制しつつ、「全力魔法」炎の「属性攻撃」「破魔」で不動明王火界咒を打ち込む。
可愛いわねぇ、あなたたち。あたしの式神になる気はある? 応じなければ丸焼きよ。
まあ、ここで時間を取られるわけにもいかないし、式神志望した子(いれば)以外の猫女は全て殲滅してしまいましょう。
不動明王火界咒をしっかり確実に当てていって、討滅完了。
「なんて素敵な空間なのかしら……」
村崎・ゆかり(“紫蘭パープリッシュ・オーキッド”/黒鴉遣い・f01658)がホールに踏み込んだ時、そこは悦楽と淫猥が支配する異境めいた雰囲気に包まれていた。
「きて、きて」
可愛らしく小首を傾げ、誘惑する猫女の爪が一閃する。獲ったと思った猫女はしかし、驚愕に目を見開いた。
「残念、あたしの式神の方が上手だったみたいね?」
『鎧装豪腕』に攻撃を受け止めさせたゆかりはにっこりと微笑み、薙刀を操って周囲を取り巻いていた群れを間合いから退ける。
「燃えてしまいなさいな」
破魔の力を持つ炎が燃え広がり、呑まれた猫女の悲鳴が響いた。一方、その火を見た人々は正気を取り戻して逃げ惑う。
「い、いやッ……助けて!」
「大丈夫よ、落ち着いて外へ避難して。退路はアヤメと羅睺が切り拓いてくれるわ」
ゆかりに促され、我に返った女は無我夢中で服をかき集めながら頷いた。
「は、はい……」
式神に守られ、非常口に向かう者達を追う猫女の前に立ち塞がったゆかりは白紙のトランプを口元に寄せ、含み笑いを浮かべてみせた。
「可愛いわねぇ、あなたたち」
「にゃ?」
意味を掴みかねる猫女に、ゆかりが問う。
「あたしの式神になる気があるなら、助けてあげるけど――応じなければ丸焼きよ」
「あ、ああッ!?」
結局、己に降る猫女がいなかったのを残念に思いながら全てを殲滅するゆかりであった。不動明王による火界咒は火花を散らしながら赤々と燃え盛り、一匹また一匹と猫女を呑み込み灰と化してゆく。
大成功
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暗都・魎夜
【心情】
こいつは現役の学生たちを連れてきたい場所じゃねえな
これ以上広がる前に終わらせねえと
【戦闘】
「お誘いはうれしいが、生憎と人を待たしている身で、遊んでいる暇はなくてね」
正統派のリリスで、やってくることは誘惑のフルコースか
やりづらい相手だが、そう簡単に乗ってやる訳にはいかねえ
ゴーストの時も油断したところがぶりとしてくる奴だが、この場だとそれどころじゃなさそうだ
「見切り」と「天候操作」によるUCの効果で攻撃を回避しつつ
「斬撃波」「切断」で攻撃
一般人に攻撃がいかないように「かばう」
「誘惑の通じる相手なら、既に9回は死んでるな。こんなのを大量に置いているんだから、フォーミュラって言うのも納得だぜ」
祓戸・多喜
そんな気してたけど教育に悪すぎるわよこの感じ!
こんな色々不健全な宴さっさとぶっ壊さないと!
その前に邪魔する…猫リリス?きっちり仕留めるわよ!
一般人を巻き込まぬよう射線に注意。
敵の動きは機敏だろうから念動力で通連操って逃げ道制限しつつ速射で丁寧に撃ち抜いていくわ!
その際アタシも動き回って一般人を壁際に放り投げたりして救助するわ。
何か歌とか踊りとか始まってるけど…敵対しなかったらこの宴の仲間入り?
そんなの御免よ!と心を強く持ってどう射抜くかだけに集中してUC発動。
敵だけ巻き込むように最高の一矢放ってやるわよ!
…それにしてもこの奥の揺籠の君もだけど、リリスって男女見境なし?
※アドリブ絡み等お任せ🐘
男女の見境すらもなしか、と祓戸・多喜(白象の射手・f21878)はあられもない姿で誘惑する猫女をお断りの矢で貫いた。
丁寧に、けれど迅速に放たれた矢はちょうど胸の真ん中を射抜いている。見事な弓の腕前であった。
「これが揺籠の君の流儀ってやつなのかしら? 手当たり次第なんてほんっと教育に悪すぎるわよこの感じ!」
「ああ、現役の学生たちにゃ刺激が強すぎる。これ以上被害を拡大させるわけにはいかないよな」
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)はくすぐるように伸びてくる尾を右手のプロテクターで跳ね除ける。
「お誘いはうれしいが、生憎と人を待たしている身で、遊んでいる暇はなくてね」
九重に繰り出される鋭い爪撃は呆気なく空を切った。水鏡の中を転身してコンサートホールと異空間を行き来する魎夜はそう簡単に捕まらない。
「雨?」
猫女が驚いた顔になる。
「なんで? 建物の中なのに」
「天候操作ってやつさ」
戦いの最中にも明確な意図を持って触れようとする手つきが鬱陶しい。妖艶な声色、ほのかに色づいた唇、なまめかしい指先。まさしく誘惑のフルコース。
つれなく逃げる魎夜に、猫女がついに焦れた声を上げた。
「まって、どうして逃げるの。いいことしましょ?」
「生憎と聞けない相談だ。そうやって油断させたところでがぶりって魂胆だろう」
魎夜は剣を薙ぎ払い、斬撃波で敵を斬り伏せた。
「急げ」
避難する一般人を背後に庇い、猫女の爪から彼らを守る。多喜は腰が抜けて動けない者を次々に担ぎ上げ、避難経路に近い壁際に放っていった。
「まったくもう、きりがない!」
ホール中に散っている彼らを走り回って助けるのは手がかかるが、見捨てるわけにもいかないので奔走する。
「一緒に踊ろうよ♪」
猫女は小首を傾げ、可愛らしく踊りに誘った。
「不健全なのはお断り! そんなの御免なんだからね!」
「つれないにゃあ」
「それで結構!」
きっちり仕留める、という強い意思の元に多喜は限界まで引き絞った一矢を解き放つ。対艦すらも破壊する一条の弓張月は真っ直ぐに猫女を射抜いて止めを刺した。
「次は誰!?」
「わ、と、とっ」
左右と背後を通連に塞がれた猫女は慌てて逃げ道を探すも、銀雨転身によって背後に出現した魎夜の魔剣によって真っ二つに切断されてしまう。
「誘惑の通じる相手なら、既に9回は死んでるな。こんなのを大量に置いているんだから、フォーミュラって言うのも納得だぜ」
だいぶ敵の数が減って来たおかげで、攻撃を躱すのにも余裕が生まれる。銀の雨越しに魎夜は他より高い場所にある|舞台《ステージ》を振り返った。
――フォーミュラ、揺籠の君。
「待ってろよ、すぐにそこへ行くからな」
大成功
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御魂・神治
あ?天将?アンタいつの間に実体化しとんねん
『貴方だけですと不安ですので、色々と』
まぁ、こういうスケベ女共の対処には天将役に立つやろ
ワイは後衛、天将は前衛や
ワイは観客を【浄化】の【結界術】でスケベ根性働かん様にして外に出す
寄ってくる猫娘には叢雲でしばいて紫電符で【焼却】や
『質問の意味不明、私は機械故に情愛は不要、理解できません』
な?こういうヤツやから色仕掛けは無効や
【ハッキング】からの【データ攻撃】で脳みそパーにされた挙句に
森羅と天地の【範囲攻撃】で穴ボコだらけにされるだけやで?
ミカエラ・ロメ
私は別に貴女方に興味はありませんが……、世界に蔓延る悪の一つであるのならば話は別ですね
揺籠の君という親玉を相手取る際に横入りや一般人に危害を加えるようなことをされても厄介です
この場で殲滅しておきますか
近接戦専門の敵であれば此方は間合いの有利を取りましょう
敵の死角や、射出された武器が周囲の一般人の方々に当たらない角度からユーベルコードを放ち、進みながら必要に際して足を止め、一体一体確実に仕留めていきます
相手の攻撃は盾で防ぎ、シールドバッシュや武器の横凪でで人がいない場所に吹き飛ばし距離を保ちつつ体勢を崩したところへ、武器の射出による追撃を加えたりですね
遊びましょう――猫女の甘やかで淫靡な誘いに対するミカエラ・ロメ(天誓騎士撃滅卿・f39103)の返答は光り輝く武具による速やかな貫通撃であった。
「はえ?」
死角の空間より放たれた光剣の刃に貫かれ、猫女は何が起こったのか理解する間もなく仰向けに倒れる。
ミカエラの厳かなる眼差しに浮かぶのは使命感だ。そこに個人的な興味はなく、騎士として世界に蔓延る悪の一つを駆逐することこそがミカエラを突き動かしている。
「ところで天将、アンタいつの間に実体化しとんねん?」
叢雲で寄って来る猫女の手やら尻尾やらを叩き返しながら、御魂・神治(除霊師物理行使・f28925)は二丁拳銃を手にした等身大の天将に問うた。
『貴方だけですと不安ですので、色々と』
ここは自分の方が適任だという自信があるようで、自ら前衛に進み出た天将はしれっとした顔で言う。
「なら、お手並み拝見といこか」
神治は紫電符を構え、周囲にばらまいた。うっかり触れたが最後。焼却され、黒焦げになった猫女から這うように逃げる一般人たちを謹製の結界で包んで逃がしてやる。
「ああ……」
浄化され、頭がはっきりしたのだろう。彼らはさきほどまでとは打って変わってしっかりした足取りでホール外の空間つまり『快楽の宴』の影響が届かない場所を目指し始めた。
「あう!」
逃げる一般人を通せんぼするため動いた猫女をミカエラの光矢が射抜く。ミカエラはゆっくりと通路を歩み、自在に武具を射出して敵を殲滅していった。
「このッ」
「無駄です」
鋭い爪で襲いかかる相手の前に立ち止まり、一体に集中して何本もの武具を叩き込む。
「そこをどきなさい」
ミカエラの目指す先が揺籠の君であると知った猫女たちの攻勢はさらに激しさを増した。だが、ミカエラの歩みを止めることはできない。この盾にはあらゆる困難を跳ね除ける祈りが籠められているのだから。
「ッ――!」
鋭い連撃を受け止め、そのまま盾ごと押しやるように弾いて壁際まで吹き飛ばす。既に避難の終えた区画に転げ落ちた猫女目がけ、止めの刃を降り注いだ。
「い、いじめないで……ね、いっしょにあそびたくないの?」
命乞いのために媚態を演じる相手を天将は褪めた視線で見つめる。神治が顔の前で手を振りながら教えてやった。
「あー、そいつに色仕掛けは無効やで。猫娘」
「え?」
きょとんと小首を傾げる相手に天将曰く。
『質問の意味不明、私は機械故に情愛は不要、理解できません』
そして仕掛けるハッキング――猫女の悲鳴がホールに響いた。両手で頭を抱え、泣きながら喘ぐ者に銃口を向けた天将は迷いなく引き金を引く。
「容赦あらへんな」
蜂の巣になった猫女を踏み越えながら、神治が素直な感想をこぼした。
天将は相変わらず、冷静に言い返す。
『そういう仕様ですので、悪しからず』
大成功
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楊・暁
【朱雨】
外よりひでぇ…けど、早く大将見つけねぇと…!
淫気の濃い方へ
藍夜、大丈夫か!?
てか、藍夜に触んな…!
俺達に触れようとする敵は功夫の範囲攻撃で吹き飛ばし
…っ…、こんなん…屈してる場合じゃ、ねぇ…!
俺は、今度こそ…護りてぇもんを、護る…!
非力故に護れなかった|四つ花《あいつら》を胸に
淫気には覚悟で抗い
9倍攻撃?快楽?そんなもん、寝ちまえば終わりだろ…!
藍夜のUC後、敵反撃前にUC発動
眠り速度早めて即落ちさせてやる
一般人もこの隙に逃がす
視力と暗視で避難ルート見定め
今のうちだ!あっちに向かって真っ直ぐ走れ!
俺は大丈夫
藍夜支え
謝ることねぇよ
手握り返し
淫気の濃さに眉根寄せつつ
この先か
――行くぞ、藍夜
御簾森・藍夜
【朱雨】
…気持ち悪い
先程の比ではない不快感が…心音、だいじょうぶか
競り上がる吐き気は飲みこんで
全て吹き飛ばせたら良かったんだが…生憎な
黙ってくれ
ああいや、違うか…“お前達の主の“本当”の目的は何だ”俺達が知る以上の情報を持ち得るのか
…手足どころか爪先にも満たぬお前達からの答えなど期待してはいない
ただ、命を食らった花は赤く咲く美しいだろう
吐けぬものは花と散れ
…くそっ、きもちわるい…あたまがぐらぐらするっ
あぁっ、もう…!
心音、大丈夫か…これ、もっと近づけと?
聞きしに勝る女王だな…
心音に支えられながら手を握る
分かってる…不慣れなせいだとも
すまん、慣れるまでもう少し…
お前が大丈夫ならいい
―行こう、心音
楊・暁(うたかたの花・f36185)は熱に浮かされたかのような息遣いで通路脇の座席を掴み、その背部分をきつく握りしめた。
……っ、遠い。
大将である揺籠の君があそこにいるのはわかっているのに、纏わりつくような淫気とそれを振りまく猫女が邪魔だ。
「藍夜、大丈夫か!?」
大切な人が苦しんでいるのを目の当たりにして、思わず声が上ずってしまう。
御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)は黒手袋の甲で口元を抑え、顔を歪ませた。なんという不快感だろうか。まるで胃の腑を掴まれ、絞られたような苦い吐き気がこみ上げる。
「心音こそだいじょうぶか? 全て吹き飛ばせたら良かったんだが……生憎な」
「ああ。ていうか自分の心配しろよ……!」
こんな時まで『心音』を優先しようとする気持ちが嬉しくもあり、叱りたくもあり。藍夜の腕や脚にからみつく尾を功夫で一挙に薙ぎ払う暁の手には四色の花弁を持つ花型の武器飾りが握られていた。
それを胸元に抱き、祈るように両目を閉じる。
今度こそ、だ。
護りたい、護ってみせる、――何を?
暁の赤い瞳が開き、邪魔者たちを射抜くように見据えた。
「護りてぇもんを、だ……! ……っ……、こんなん……どうってことねぇ……!」
「うにゃ!?」
ぱしんッ、と自らの放つ淫気が拒絶されたことに猫女は驚いた。
「な、なんで」
「……質問するのはこちらだ」
藍夜の低い声色が月時雨を発動するのと同時、猫女は自らの足下から這い上がる鋭い棘根の存在を知る。
「う、あ……ッ」
「余計なことは言わなくていい」
言外に黙れ、と告げた藍夜はしかし首を横に振った。
「ああいや、違うか……質問はこうだ。“お前達の主の|本当《・・》の目的は何だ”。俺達が知る以上の情報を持ち得るとすれば――答えろ。氷薔薇が完全に花咲くまでにな」
「あうッ」
全身を薔薇の根に蝕まれゆくのを眺める藍夜の横顔には容赦の欠片すら見えない。最初から答えを期待などしてはいなかった。
揺籠の君。
フォーミュラたる存在の手足どころか爪先にも満たないであろう者達の知識などたかが知れている。
「吐けぬものは花と散れ」
「きゃああッ!」
氷薔薇の花弁を濡らす血は赤く、紅く……。最後の力を振り絞る猫女の瞳が血の涙を流しながら輝きを帯びる。九重の爪撃を繰り出す予備動作。だが、暁が幻睡花を戦場に舞わせる方が早かった。
「させるかよ、さっさと寝ちまえ!」
戦場に満ちる淫気は甘やかな香気に上書きされ、猫女たちを眠りの淵へ落としてゆく。
「今のうちだ! あっちに向かって真っ直ぐ走れ!」
優れた視力で見極めた避難口へ誘導してやれば、正気を取り戻した一般人たちは我先にと走り出した。
「あぁっ、もう……!」
ふらついた藍夜を暁の手が支える。眩暈と吐き気はひどくなる一方だ。あまりにもあたまがぐらぐらするので堪らず舌を打つ。聞きしに勝る女王の淫気は底知れないものがあった。
「心音、大丈夫か……これ、もっと近づけと?」
藍夜が暁の手を握ると、励ますように握り返してくれる。
「俺は大丈夫。いったいどうなってんだ? 舞台の上は……」
そこは幕が下りていて、何が起こっているのかは外から判別ができない。だが、想像はついた。即ち、現在起こっていることのさらに強烈なやつ。
「すまん、不慣れなのがいけない。慣れるまで、もう少しこのままで……」
「謝ることねぇよ」
暁は藍夜に微笑み、舞台の方には眉根を寄せた顔を向けた。この先に大将がいる。行こう、という声がどちらからともなくかかった。
「いいのか?」
「お前が大丈夫なら」
――行こう、ふたりで。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
おまかせプレ、汝が為したいように為すがよい。
|技能名《使い方》
あら、今度は猫ちゃんなのね。ま、元より敵対の感情はないからなぁ、猫ちゃん達と一緒に歌って踊るわ。
私はエナジーを糧にするサイキックヴァンパイア。歌って踊って高まった感情エネルギーを魔力に変換して|魔力吸収《エナジードレイン》。|混沌魔術・吸精幻夜《ケイオスマジック・エナジードレイン》で強化した上でね。寿命を削る?吸収したエナジーで魔力充填して補うわよ。
そう、私はこの子達を餌と見ているの。敵対ではなく攻撃でもなくお食事ね。猫ちゃん達に合わせたダンスも私にとっては料理に等しい。元より“なかよし”してエナジーをいただくのが私のスタイルだから、敵対するしないは意味ないのよね♪
ま、エナジードレインだけでは骸の海に返せないから物理的なトドメは必要なのだけど、それも|化術肉体改造《融合》で|大食い《体内に取り込む》からお食事の延長で敵対じゃ無いから問題無し❤ああ、融合は|誘惑《快楽と感じる》ように調整してるわ。
えっちなのうみそおいしいです❤
一生懸命に誘惑してくる|猫ちゃん《・・・・》の可愛らしさはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔王少女・f05202)の唇に微笑を浮かばせる。
「いいわよ、一緒に歌って踊りましょう」
「わあい!」
なんて、話に乗ってあげたと思わせておいて。未だアリスの本性を猫女は知らないのだ。まさかエナジーを美味しくいただいてしまうサイキックヴァンパイアだなんて、気づいた時には遅いのだから。
「にゃんにゃん♪」
「うふふ」
アリスは両手を頭の上でぴこぴこと猫耳代わりに動かし、一緒になってにゃんにゃん歌う。ふたりで声を合わせて合唱し、手を繋いでステップを踏んだ。
「ねえ、猫ちゃん」
「なぁに?」
「なにも敵対するだけが戦い方じゃないって知ってたかしら」
「……え?」
ぞくっと背筋を震わせ、猫女の表情が一気に変わった。
「あ、あ、あれ? あれれ?」
「|吸われてる《エナジードレイン》のがわかる? あなたのエナジーを吸うごと、|わたしは満たされる《ごちそうさま》というわけ」
「あ、ああッ……!」
「そう、私はあなた達を餌と見ているのよ。ごめんなさいね?」
エナジーを貪られる猫女は切なそうに顔を歪め、嬌声のような喘ぎを漏らした。ぴくぴく震える猫耳にアリスが口づければ、融合という形で溶け合い始める。
「ああ、おいしい❤」
まずは、ひとりめ。
アリスが次の獲物に近づくと、びくりと怯える猫女に微笑みかけて手招いた。ふたりめ。まだまだお腹は満たされない。
大食らいのアリス・セカンドカラーが満足するにはどれだけのえっちなのうみそが必要になるだろう。
やがてコンサートホール内は一部をのぞいて無人となった。一般人は避難を完了。猫女は全てが討伐されるかアリスの糧として取り込まれた後の事だ。
「あとはあなただけよ」
ひと区間だけ残った|舞台《ステージ》からはひっきりなしに甘い吐息が漏れ聞こえる。揺籠の君との邂逅は目の前に迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『揺籠の君』
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POW : じょおうのこうき
全身を【淫猥な香気】で覆い、自身が敵から受けた【視線】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : さばとをつげるあめ
【甘い桃色の雨】を降らせる事で、戦場全体が【リリスの淫猥儀式場(サバト)】と同じ環境に変化する。[リリスの淫猥儀式場(サバト)]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : いんごくのゆりかご
自身が【戦闘を放棄して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【精神侵食】によるダメージか【性的興奮】による治癒を与え続ける。
イラスト:匡吉
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ずっと、こういう風に会える日がくるのを待ち望んでいたような気さえする。揺籠の君は不思議とこの追いつめられた状況を嬉しんでいた。
配下の猫女は討伐され、せっかく籠絡した一般人も逃げてしまったというのに何故だかはわからない。
再び自分を倒そうとする者達と邂逅できたことが揺籠の君の体を火照らせる。
ようやく出会えたのだ。
この、銀の雨降る世界で。
「ゆりゆりのここがさっきからどきどきしてとまりません」
揺籠の君は裸身の胸に両手を置いてまぶたを伏せた。
彼女の周囲で快楽に溺れているのはコンサートの主役であるアーティストたちだ。彼らが絶頂を迎え、死に至る際に放出する生命力は揺籠の君の力となる。贄なのだ。快楽の宴とは、揺籠の君に籠絡された者達が強烈な快楽の中で次々に死ぬことで彼女に力を送り続ける儀式そのもの。
「せいはいをめざすためにはなるべくしぬかいすうをへらさなければなりません。でもせっかくあえたのににげるのはよくないです。だからゆりゆりはみなさんをえっちでみたしてあげることにしました」
揺籠の君の淫気はこれまで倒してきた相手とは格が違う。|正気を保ったまま《・・・・・・・・》でさえ、体は彼女が求めるままに動きかねない。
「こうこつのうちにころしてあげます。えっちなのうみそおいしいです」
村崎・ゆかり
ああ、やっと会えた、|揺籠の君《ゆりゆり》!
ねえ、お願い。あたしをあなたの快楽で満たして。
ああ、優しい雨が降ってる。ねぇ、あたしをいっぱい犯して滅茶苦茶にして。
最初からこの雨のもたらす環境に抵抗する気は無くて、ゆりゆりを相方に、サバトを続けたい。
もっと人数ほしいね。呼び戻した式の二人に加えて、金光陣。
あなたの『影』が、あなたを愛してくれるの。弱いところも気持ちいいところも、よく知り抜いてるわよ。だってそれはあなた自身だもの。
一杯一杯、ゆりゆりを淫らに貪りたい。式たちと一緒に、このまま、いつまでも。
あなたの『影』もそう望んでるみたいね。
あなたの視線、独り占めしたいな。他の人が眼に入らないくらい。
ミカエラ・ロメ
この|圧《プレッシャー》は、確かに今までの相手とは次元が違うようですね
頭の芯がクラクラしてくるような感じです
ですが、搦め手が得意な相手に対して、私も無策で突っ込んできたわけではありません
盾を掲げ真の力を開放し、揺籠の君から受ける影響を打ち消します
そして次の一手の為に、シールドバッシュを交えた攻撃と位置取りでアーティスト達から引き離す様に動きますね
ある程度引き離せたならば足元への攻撃や体当たりなど相手の体勢を崩す攻撃に切り替えて、隙が生まれた所で武器を上段に構え力を開放し【|日輪の導き手《フレアエクスプロージョン》】を放ちます
貴女も目論見も、その全てを焼き尽し浄化して差し上げますよ!
なんていう|圧《プレッシャー》だろうか。ミカエラ・ロメは(天誓騎士撃滅卿・f39103)闇より降りしきる甘い雨に濡れながら唇を噛み締める。
「く……さすが、フォーミュラのひとりです。これまでの敵とは次元が違うようですね」
揺籠の君は舞台に置かれたままのキーボードに腰かけ、いやらしく蛇をくねらせた。
「さあおちていきましょう。だいじょうぶ。ゆりゆりがてほどきしてあげます」
「――残念ですが、お断りします」
ミカエラの騎士としての技と誇りが拒絶する。掲げた盾が桃色に匂う雨をさえぎり、解き放つは真なる力。
「これは」
揺籠の君がはっと息を呑んだ直後、ミカエラは構えた盾ごと突進して宴の生贄となるはずだったアーティストと彼女の間に割り込んだ。
「この方たちを解き放てば、あなたの強化も成し得ないのですよね。これ以上の力を与えはしません」
サバトに誘う雨はもはやミカエラを侵すことはできない。それどころかミカエラの行動はこれよりかなりの成功率を誇るだろう。これこそが真の力、真なる騎士の誓い。
「すごいたてです。ゆりゆりはおどろきました」
自らの不利すらも楽しむような揺籠の君である。
村崎・ゆかりは(“紫蘭パープリッシュ・オーキッド”/黒鴉遣い・f01658)歓喜し、自ら手を差し伸べた。
「そうこなくちゃね。やっと会えて嬉しいわ、|揺籠の君《ゆりゆり》! ねえ、お願い。あたしをあなたの快楽で満たしてちょうだい」
「もちろんです。えっちなのはひとりよりふたりのほうがいいにきまってます」
体を濡らす雨に服が透け、ゆかりの若々しい肌の色が露わになる。揺籠の君は悦んでゆかりの申し出を受け入れた。
優しい雨のなかでふたりはひとつになる。
どこからどこまでが自分の身体なのかわからないくらいに。いつのまにか、絡み合う影が増えていることにも気が付かないで。
それは金光陣。
揺籠の君を照らすレザリアムの影より出ずる偽物は彼女の全てを知っている。なぜならそれは彼女そのものだから。
ゆかりと影は甘く優しい雨に溺れ尽くすように奉仕する。なぜなら揺籠の君のユーベルコードを利用してこちらの行動成功率を高めるための最も効果的な行為だから――!
「揺籠の君、お覚悟を!」
ミカエラが頭上に構える剣に日輪が輝き、気合の元に振り下ろされた一撃は一帯を太陽の如き炎で焼き尽くした。炎に撒かれた蛇が不気味な鳴声を上げ、揺籠の君も苦しそうに身じろいだ。
「ほのお。きれいだけどあついです」
「駄目、逃げないで」
ゆかりは両腕で揺籠の君を抱きすくめ、間近から視線を絡める。呼び戻した式たちも苦しむ蛇をなだめるように撫でさすった。ゆかりが揺籠の君に口づけると影の負った傷がそっくりそのまま彼女に移り変わる。
「このまま、いつまでも淫らに貪り合いましょう」
大成功
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。
戦闘の放棄が必ずしも安全でないことはさっき私が証明したばかり。と、言ってるそばから精神侵食してくるし。まぁ、そっちは私も専門分野ではあるので|多重詠唱結界術、カウンター、罠使い《精神障壁は張ってあるのだけど》。私の精神に迂闊に触れたら火傷じゃすまないんだけど、|同類《ゆりゆり》にはまぁ効かんか。
さて、リミッター解除、限界突破、オーバーロード。真の姿として|幼年期の夢に見た魅惑尽きせぬ領域《ワンダフォーランド》となる。領域内にいる私は人造生命の創造で生み出した端末の『時間と空間を超越するただ一つの窮極的かつ永遠の“|少女《Alice》”』だからいくらヤラれても即|継戦能力《リポップ》するわ。
領域内は一応は迷路なのでアーティスト達は別の区画に|救助活動《保護》という名目の隔離。猫ちゃん達から吸収した魔力をエネルギー充填してあげたうえで多重詠唱医術でアーティスト達を延命しておきましょう。
後はゆりゆりとのリソースの奪い愛ね。
えっちなのうみそおいしいです❤
「みなさんのきたいをうらぎらないたたかいぶりにゆりゆりはあっとうされました。みなさんもぎんせいかんののうりょくしゃとおなじふくつのいしをおもちなのですね」
揺籠の君は裸身を見せつけるような仕草で足を組み換える。戦闘の放棄と引き換えの精神侵食はしかし、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔王少女・f05202)の|専門分野《領域》であった。
「|そこ《私の精神》に触れたら火傷するわよ」
アリスを中心に何重にも展開される電子魔法陣のような結界が精神侵食を食い止める。まるで|障壁《バリア》のごとく、|罠《カウンター》のごとく。
「ここはどこなのですか」
「|幼年期の夢に見た魅惑尽きせぬ領域《ワンダフォーランド》。さあ、出口は見つかるかしらね?」
いつのまにか揺籠の君は不思議の迷路に引きずり込まれていた。|此処《ワンダーフォーランド》でアリスを殺すことはできない。真の姿の“|少女《Alice》”は時間と空間を超越し、ただ一つの窮極的永遠を象徴する人造生命の|到達点《masterpiece》であるがゆえに。
アリスが指を鳴らせば、猫女から奪った魔力がいまにも命を燃やし尽くそうとしていたアーティストたちを救うための医療エネルギーに変換される。
「た、助かったの……私たち、一体何を……?」
別の区画に隔離された彼女たちは知る由もなかった。
|揺籠の君《ゆりゆり》と永遠の“|少女《Alice》”の間に繰り広げられた戦いの一幕を。とても甘美かつ壮絶な奪い合い、愛、I……リソースは有限であるがゆえにどちらかが自我を通せば侵食された方の存在は希薄化せざるを得ない。
「ふしぎなきもちです。まるでゆりゆりがせかいにとけていくようなみたされるような」
「わたしの領域に取り込まれた時点で勝負あったわね。まぁご同類ってところかしら? せっかくだから最後はこの|台詞《お約束》で締めないとね」
アリスは極上の微笑みで告げた。
「えっちなのうみそおいしいです❤」
大成功
🔵🔵🔵
楊・暁
【朱雨】
淫気には気合いと覚悟で抗う
もう、自分の非力さで諦めたくねぇから
この1年…頑張ってきたんだ
ここで諦めてたまるかよ…!
敵の雨には嫌悪しかねぇ
雨なら、藍夜のがいい
清らかで全てを洗い流してくれるような
手を取られ傘の内
…藍夜
ぐらつく心を大切な人の声と視線が引き戻す
ああ、やってやる…!
武器を横に構えUC発動
一般人は仲間扱い
少しでも救いてぇ…間に合ってくれ…!
藍夜のUCと上着で気分が楽に
ありがとう
再度武器構え高速詠唱
UCで2回攻撃&連続コンボ
嫌でも戦闘させてやる…!
敵とは言え、対峙するなら相手の事を理解してぇと思う
能力者達が俺にそうしてくれたように
…けど、今回ばっかりは論外だ
俺は、全力でお前を討つ!
御簾森・藍夜
【朱雨】
ずっと気持ち悪い
非常に不愉快だ
…でも頑張る心音がいる限り、俺は止まる気は無い
―心音、駄目だ
あれに無策で飛び込んではいけない
落ち着け
俺を見ろ
大丈夫―何も諦める必要など、無い
不快な雨は鴉を差し防ぎながら、
引き留めた心音を傘の裡へ
揺り籠の君に見られぬよう耳へ囁く
いいか、俺が塗り替えたら合図だ。いけるな、心音
心音の絶陣が輝けば阻害の為の儀式は想定の範囲内
始まった瞬間、俺は世界を塗り替えるUC
さぁ!そんな恰好でいられると思うなよ!逃げろ!
アーティストに呼びかけつつ、羽織っていた上着で心音を包み適応度を上げる
鐵雨を擲ち梟葬の射撃で心音を援護
心音が揺り籠を目を合わせぬよう撃つ
俺の全ては、心音の為に
……甘い糖蜜のような雨は楊・暁(うたかたの花・f36185)に本能的な嫌悪を抱かせる。歯を食いしばり、負けるなと己に言い聞かせた。
だってそうだろう。
もう、自分の非力さで諦めなくないからこの1年ずっと頑張って来たんじゃないか――サバトへ誘う雨に抗うべく睨む暁に揺籠の君は小首を傾げて微笑んだ。いまのところは拒めているものの、張り詰めた精神は限界を迎える寸前。
「諦めて、たまるかよッ……」
ぐらついた心を引き戻すように御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)が暁の手首をぐい、と引いた。はっとして見上げれば雨を遮る鴉の黒。
「――心音、駄目だ」
藍夜は不快さを堪え、代わりに愛しさを纏った声色で暁の耳元へ囁いた。揺籠の君からは傘が衝立となってふたりのやり取りは見えない。
「落ち着いて俺を見ろ、そうだ。何も諦める必要は――ない」
「……藍夜」
強張っていた緊張が解け、暁は体の力を抜いた。大切な人の声と視線がいつもの自分を取り戻すきっかけをくれる。
(「雨なら、藍夜のがいい」)
まるで全てを洗い流してくれるように清冽な天気雨、その主が曰く。
「いいか、俺が塗り替えたら合図だ」
「ああ、やってやる……!」
暁は一刃赤心を真横に構え、十個の『絶陣』で一斉にコンサートホールを彩った。
「!」
そのうちのひとつが揺籠の君を引き込んで苦痛に苛む。一方、アーティストたちは回復を与える陣中に匿われ、いまにも果てそうな命を繋いだのであった。
「生きてるか!?」
「は、はい!」
暁の悲鳴のような問いかけに彼女らはしっかりと頷いた。よかった。できるだけ犠牲は出したくなかったから、本当に。
「呆けている暇はないぞ! 逃げろ!」
既に周囲の気温は急激に下がり始めていた。アーティストたちはかき集めた衣服を体に巻きつけながら非常口の外へ脱出を果たす。
藍夜の上着が肩を包んだ途端、暁は自らに力が湧き上がるのを自覚した。凍てついた雨が支配する美しき魔氷の世界に鳴り響く銃声は梟葬による最後通牒。
「どうしてもゆりゆりとたたかいたいのですね。|あの人《・・・》もそうでした。どれだけきずついてもあきらめないつよいひと」
苦痛に呻く揺籠の君は無防備な仕草で髪をかき上げた。無抵抗こそが反撃そのもの。だが、藍夜は僅かに眉をひそめただけで鐵雨を擲ち、暁が追い撃ちをかけるための布石を打った。
「ありがとう、藍夜」
己の全てでお膳立てをしてくれた大切な人に心からの感謝を告げ、揺籠の君を絶陣にて再び捕える。月光のように煌めく氷原と化した戦場に連続で発動する仮装世界の蹂躙は激しく、容赦の欠片もないものであった。
「俺は、できるならお前のことだって理解してぇと思う……けど、今回ばっかりは論外だ。正直言えばちょっと悔しい。だってあの時、|能力者達《あいつら》は俺にそうしてくれたから。それを今度は返していきたいんだ。なのに……!」
もはや猟兵の勝利は確定的だ。にも関わらず微笑みを絶やさない揺籠の君は、どこか己の死すらも楽しんでいるようにさえ見える。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御魂・神治
はぁ、思ってたんとちゃうやないか
なんやこの醜女は
『神治の脳の認知機能へ【ハッキング・ジャミング】、視覚・嗅覚・聴覚を一時的改変、リリスを醜い老婆にしか認知出来ぬ様にしています』
『夢魔の類の真の姿は醜いのですよ、これが現実です』
天将、アンタかぁ…
せやけど見た目ブスで汚くに映る様にしてもヤツはモテるのは変わらんやろ
【破魔】と【浄化】の【結界術】で覆って精神干渉相殺すりゃよかったんちゃうか?天将?わざとやろ?
『すみません、よくわかりませんでした』
性格悪いなアンタも
あぁもう!ワイは熟女専ちゃうんや!
高天原で『天照大神』の神弾ドタマにぶちこんだるわ!
チェンジやチェンジ!シッシッ!
暗都・魎夜
【心情】
ただでさえやることが危険なゆりゆり
それが強力なオブリビオンになったんだから、間違いなく困った状況だ
けど、どこかでそれを喜んでいる
戦える喜びがあるってのは、俺もあるかもな
だから、ゆりゆり。てめえが蘇らなくなるまで、何度でも滅ぼしてやる
【戦闘】
「俺は猟兵じゃねえ、通りすがりの能力者さ」
眼をバンダナで塞いで、「心眼」で戦う
「幸い、居場所はその香りで簡単にわかるからな」
誘惑にのまれないように「狂気耐性」で耐える
UCの耐久力を信じて、「捨て身の一撃」「切断」「斬撃波」で攻撃
真正面から切り結んで勝負をつける
「俺の生命なら好きなだけもってけ。代わりに、てめえはここで終わらせる!」
祓戸・多喜
これは今までと桁違いね…うっかり気を抜くと向こうのペースに持っていかれそう。
言ってることよく聞くと物騒だし脳みそあげるわけにもいかないし倒すわよ!
百合はゴメン!
雨…この空気直に触れ続けるとまずい気がするわね!
結界術に破魔の力を乗せて結界の傘を展開、直に雨に触れないよう周囲を広めにガードするわ。
寄ってくるリリスは矢で迎撃、頭茹ったような一般人は象の鼻で軽くしばいて気絶させるわね。
うーん皆好みじゃないわね!少なくともこういう場所で迫ってくるのはちょっと!
|揺籠の君《ゆりゆり》自身が来たら念動力で通連操り迎撃しつつUC発動!
全力の一矢、神でなくても強いのには覿面に効くわよ!
※アドリブ絡み等お任せ🐘
舞台の上は失楽の地と呼ぶに相応しい様相を呈していた。暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は階段に足をかけ、バンダナを解きながら名乗る。
「最初に言っとくが、俺は猟兵じゃねえ。通りすがりの能力者さ」
揺籠の君は懐かしそうに目を細め、含みのある微笑みを美しい面に浮かべて言った。
「ゆりゆりがおぶりびおんとしてよみがえったようにのうりょくしゃのみなさんもりょうへいにかくせいしたのはしってます」
「話が早くて助かるぜ」
魎夜はバンダナで自分の目を塞いで魔剣を構える。認めよう。俺も――心のどこかで戦える喜びってやつを感じているのだと。
「やっばいのきちゃった感じ……!? 桁違いにもほどがあるってのよ!」
祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は鼻を上下左右に振り回してしつこい一般人の気を失わせることから始めなければならなかった。
「そもそも百合はゴメンだし、好みでもないみたいだし! いや、好みならいいのかっていうとそういうわけでもなくて!」
「わかるでその気持ち……この場合、どっちがマシなんやろなぁ」
ひくひくと頬を引き攣らせ、御魂・神治(除霊師物理行使・f28925)は裸の老婆から目を逸らした。揺籠の君からあらゆる美しさと魅力を引き算した残りかすが否応なしに目に入るので。
「はぁ、思ってたんとちゃい過ぎるやろ。さては天将、アンタ何かやらかしたな?」
『神治の認知機能を一時的に改変しました。そもそも夢魔の類の真の姿は醜いのですよ、これが現実です』
「いや、見た目変わったところで能力はちゃんと効いとるやん! 見た目ブスで汚く見えるモンに迫られる方がなんぼも不幸やないけ!? せめて美人のねーちゃんにモテたいわ!! わざとやろ、ぜーーーったいわざとやっとるやろ?!」
『すみません、よくわかりませんでした』
天将がすっとぼける間にも、揺籠の君の淫猥なる香気は濃密さを増して己の裸身に魅せられた者の生命力を食らい尽くす罠を仕掛ける。
「こっちにきてください。ゆりゆりがきもちよくしてあげます」
「悪いがお断りだ。来い、生命賛歌!」
狂気もかくやの誘惑を耐え、魎夜は真正面からの鍔迫り合いを選んだ。
「せいめいさんか?」
はっとする揺籠の君を赤い斬撃波が鋭く切り裂いた。真の姿を晒す魎夜から迸る生命エネルギーは疑似式の生命賛歌。|いまなら《・・・・》、そんな攻撃だって怖くはない。
「それ以上寄ってこないでよね!」
念動力で盾のように回転する通連に跳ね除けられた蛇が悲鳴のような鳴声を出した。破魔を重ねた結界の傘越しに見上げる桃色の雨粒はまるで蜜のようにとろりと滴り落ちてゆく。
「とにかく、物騒な思想の敵は討つべし! 脳みそだってあげないんだから!」
多喜は渾身の力で剛弓を引き分け、慎重に狙いをつける。神治の持つ神器銃が天照の閃光を宿して輝いた。甘い香気に思いっきり顔をしかめ、どうにかしろと天将をけしかける。
「とにかく! 今からでも精神干渉させないための破魔なり浄化なりで面倒な香気を相殺しといてや」
『しかし、そうするとせっかく神治の脳へ施したハッキングも無効化されてしまいますが……』
「構へんわ! ワイは熟女専ちゃうんやで!」
こちらに向かってにっこり微笑む|揺籠の君《醜い老婆》からあらん限りの距離を取りながらの叫びであった。
「チェンジやチェンジ! シッシッ!」
九重に強化された神弾は神治の危機に呼応し、より一層激しく迸る。直撃を受けた揺籠の君を背後の壁まで十メートル近い距離を吹き飛ばし、呻かせた。
「う……」
「全力の一矢、とくと味わって!」
立ち上がることができない揺籠の君へすかさず多喜は矢を放ち、神滅の名を誇る剛矢で彼女の眉間を射抜いたのである。
「ゆりゆりは……しぬわけにはいきません。まだせいえきもあいえきもぜんぜんたりないのです」
裸身から流れる血からじわりと強烈な香気が立ち上った。よもやそれが己の居場所を誇示するとは思いもよらなかったのだろう。
魎夜は彼女の前に立ち、最後通牒を告げた。
「餞代わりだ、俺の生命なら好きなだけもってけ。代わりに、てめえはここで終わらせる!」
衝撃波が一文字に迸り、ついに揺籠の君が動きを止めた。戦いが終わった途端にありとあらゆる損耗を自覚し、その場に座り込む。
「……てめえが蘇らなくなるまで、何度でも滅ぼしてやるよ。なあ、ゆりゆり」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵