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銀河帝国攻略戦㉒~悪夢の科学者に引導を

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #ドクター・オロチ

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「銀河帝国攻略戦への参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
 グリモアベースに集った猟塀たちの前で、リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「我々猟兵と『解放軍』は、帝国戦線の第二陣の奥深くまで斬り込みつつあります。こちらの戦力も被害を受けていますが、第三戦線への到達――銀河皇帝の座す帝国旗艦『インペリウム』も既に射程に捉えています」
 ですが、とリミティアは続ける。
「その前に倒しておきたい敵がいます。帝国執政官にして科学技術総監『ドクター・オロチ』です」
 その容貌からしても他の銀河帝国のオブリビオンとは異質な、謎めいた存在。
 この戦争においては脅威の殺人ウイルス『オロチウイルス』や悪夢のジャミング装置等によって猟兵たちを苦しめてきた。
 また、アマルテア情報艦隊を母艦とする帝国諜報機関を配下とし、宇宙各地の情報収集や工作活動を指揮してきたのも間違いない。
 彼(?)自身は銀河帝国の興亡に興味をもっていない為、銀河帝国攻略戦の帰趨には全く影響を与えないが、その存在は戦後のスペースシップワールドの大きな禍根となることは必定。
「ドクター・オロチは不気味な存在ですが、ここで撃破する事が出来れば『スペースシップワールドで再び蘇る事は無い』とリムは予知しました。よってリムは、ドクター・オロチ討伐作戦を提案します」

 『アマルテア情報艦隊』『オロチウイルス突撃艇群』の無力化により、ドクター・オロチの乗艦であり研究施設でもある『実験戦艦ガルベリオン』の所在は判明している。
 解放軍はただちに『ガルベリオン』に砲撃を敢行、目標を航行不能に陥らせることに成功したものの、『ガルベリオン』はたちまちその損傷を修復し始めている。
「艦内で今だドクター・オロチが生存していることは間違いありません。皆様は『ガルベリオン』内部に突入し、ドクター・オロチとの直接交戦によって、これを撃破してください」
 解放軍の一般人がドクター・オロチに近づくのは危険であると判断され、彼らは銀河皇帝直属の軍勢との決戦に集中して進軍することとなる。ドクター・オロチとの決戦は猟兵達に託されたのだ。

「ドクター・オロチは装備した水晶剣によって、自ら発明したと思われる奇妙な存在達を召喚する能力を持つ、かなりの強敵です。猟兵の精鋭であっても油断すれば敗北は必至でしょう」
 戦闘になれば、ドクター・オロチは猟兵に対して、相手が使うユーベルコードと同じ能力のユーベルコードで先制攻撃を仕掛けてくる。
 対ドクター・オロチ戦においては、この先制攻撃をどう防ぎ、どう反撃に繋げるかが重要となる。
「十分な対抗策を用意しないまま挑めば、この先制攻撃だけで撃破されてしまうか、そうでなくとも苦戦は免れません。対抗する戦術や作戦を必ず考えておいてください」

 ドクター・オロチは強大なオブリビオンである。その数は常に一体だが、完全に力尽きるまで骸の海から蘇る力を持つ。
「猟兵が勝利し、ドクター・オロチを『骸の海』に放逐したとしても、ドクター・オロチはすぐに『骸の海』から蘇り、別の場所から再出撃してきます」
 逆に猟兵が敗北した場合、ドクター・オロチは『一旦、骸の海に撤退して、完全に回復』したうえで、別の場所に再出撃してくるだろう。
「よってドクター・オロチを完全に撃破するには、目標が再出撃するたびに繰り返し撃破する必要があります」
 ドクター・オロチが『骸の海』から出現する場所は、広大な実験戦艦ガルベリオン内の『多数ある実験施設の一つ』となる。
「そのポイントの一つをリムは予知しました。皆様にはそのポイントでドクター・オロチが出現するのを待ち伏せして、撃破を目指してください」
 同様に他のポイントで待ち伏せしている猟兵のチームと合わせた撃破数が一定に達すれば、ドクター・オロチを完全にスペースシップワールドから放逐できるはずだ。

「重ねてになりますが、銀河帝国攻略戦において、ドクター・オロチ討伐は優先度が高いとは言えません」
 彼を討伐することに躍起になるあまり攻略戦に支障が出るようなことがあれば、それは本末転倒なのかもしれない。
「それでも、リムはあのオブリビオンが許せません。ヒトの命と心を弄ぶような、その所業が」
 眼差しに静かな怒りを秘めて、リミティアは掌にグリモアを浮かべて告げる。
「どうか皆様の力で、あの脳みそパーカーに引導を渡してください。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 本シナリオの攻略目標は『㉒ドクター・オロチ』となります。
 あの脳みそパーカーとの直接対決です。どうか全力でぶっちめてやってください。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ドクター・オロチは強敵です。特にオープニングにも説明のある「先制攻撃」については要注意の上で戦法を考えてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ドクター・オロチ』

POW   :    ジャイアントカルシウム
自身の身長の2倍の【恨みの叫びをあげる骸骨巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    カリスティックボディ
自身の肉体を【あらゆる生命体を溶解し取り込む緑の粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ビャウォヴィエジャの森のフェンリル
【水晶剣が変形した門から『フェンリル』】の霊を召喚する。これは【炎の体を持つ巨大狼で、爆発を呼ぶ咆哮】や【瞳から放たれる魔炎光線】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルス・クロウディス
出るとこわかってるんですね?
そこで待機するんですね?
つまり事前にそこに行って待ってるだけの時間があるんですね?
あ、でも先制……いや、試すだけの価値あるな、これ。
後は……骨にならないといいなぁ(

で、まず対策ですが、<激痛耐性>だけ。
理由は後程。

で、まず武器は闇套を選択。
次に左手を地面について腰を落とし、片手で腰だめに構えます。
オロチが出てくるまで力を溜め込み続けます。
はい、出てきた瞬間、<槍投げ>雷<属性攻撃>の極大火力ぶっぱです。
で、これね、

「構えて溜める時間稼げないと、マジで豆鉄砲なんだわ」

こんな形で役に立つと思わんやろ。
むしろ問題はー……ここまで溜めたことないから、反動が、ね?

即興・連携〇



「出るとこわかっててそこで待機するってことは、つまり事前にそこに行って待ってるだけの時間があるんですね?」
 ならば試すだけの価値はあるとして、十字槍型の骸装:闇套を握るのはエルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)。
 予知された敵の出現ポイントにて待機しながら、槍投げの構えを取る。

 エルスが発動させるのは聿氣統穿。これは時間をかけて力を収束させただけ、その威力を増すユーベルコードだ。
 左手を地面について腰を落とし、闇套を片手で腰だめに構え。その槍の矛先には、バチバチと迸る雷が激しさを増していく。
「これね、構えて溜める時間稼げないと、マジで豆鉄砲なんだわ」
 こんな形で役に立つと思わんやろ、と笑いながら、エルスの目は油断なく戦場の予定地を見渡している。
 不安があるとすれば、むしろこの槍を投げた後。ここまで力を溜めた経験はエルス自身にもなく、どんな反動があるか分からない。
(……骨にならないといいなぁ)
 苦笑しながらも、だからといってそれを躊躇うつもりは、エルスにはまったく無かった。

 不意に、場の空気に変化が起こる。
 猟兵たちを襲う強烈なプレッシャーと緊張感。何も無かった空間に闇が凝り、そこから何かが現れようとしている。
 どこかの戦場で骸の海に去ったドクター・オロチが、再出現を果たそうとしているのだ。
 エルスはすかさずその一点目掛け、渾身の聿氣統穿を放つ。
「ぃいっけえッ!」
 雷を纏った闇套が、まさしく稲妻のごとき速度と破壊力を秘めて飛翔する。
 それは狙い過たず、顕現直後のドクター・オロチを貫く――はずだった。

「ムシュシュ。これでボクがキミ達と戦うのは何度目だと思ってるの?」

「何っ?!」
 闇套が貫いていった空間に、手応えはなかった。
 ドクター・オロチは自身が再出現するポイントで待ち伏せされていることを予測し、先手を取ろうとする猟兵のさらに先手を取っていた。
 出現時点でユーベルコードを発動し、カリスティックボディ――緑の粘液体として顕現していたのだ。
 伸縮性と弾力性に富んだボディを自在にくねらせて、オロチはエルスの聿氣統穿を回避する。
 完全回避とまではいかず、液体の一部が槍の電撃を浴びて蒸発するものの、期待していたダメージよりは遥かに小さい。

「っぐ……!!」
 奇襲の失敗を悟ったエルスの身に、自身の一撃の反動が襲い掛かる。
 激痛耐性を身に付けた彼にとってその反動は耐え切れないほどのものではないが、苦痛で一瞬でも動きが止まるのが不味い。
 その隙を見逃さず、ドクター・オロチは粘液のボディを伸ばして襲い掛かる。
 あらゆる生命体を取り込む緑の粘液が、焼けるような痛みと共にエルスの身体を溶解していく。
 どうにか粘液を振りほどき後退するが、浅からぬダメージを負ってしまう。

「ムシュシュシュ。先制勝負はボクの勝ちかな。さあ、始めようか!」
 カリスティックボディを解除したドクター・オロチは水晶剣を構え、どこから声を出しているのかも分からぬ姿で宣言した。

失敗 🔴​🔴​🔴​

三千院・操
やばーい! おれ、きみのことはじめて見た時からめっちゃ仲良くなれそうな気がしてたんだよねー!
でも生きてると超めんどくさそうだから、死んで友達になろ?
あは! それ(『フェンリル』)自分でつくったの? 超クール! おれもそういうの作ろっかな!

待ち構えている間に現れるであろう場所に呪詛の結界を張り巡らせて準備するよ。
先制攻撃は高速詠唱を使って呪詛の障壁を多重展開して防ごうかな。あいつが潰した命を骸の海から呼び起こして、あいつに対する恨みや怒りの力をそのまま壁にして使いたい!
防御後は『サヴァンの叡智』で理解して複製。フェンリルには自爆の呪詛をねじ込んで、咆哮を上げながら元の持ち主に特攻してもらお!



「さあおいで、『ビャウォヴィエジャの森のフェンリル』!」
 ドクター・オロチが腕をかざすと、水晶剣が門の形状に変化し、その中から巨大な炎の身体を持つ狼が姿を現す。
 それはいくつかの世界に伝わる伝説の魔狼の名にふさわしい威容で、猟兵たちを睥睨する。

「あは! それ自分でつくったの? 超クール! おれもそういうの作ろっかな!」
 危ういほどに無邪気な笑みを浮かべ、そう言ったのは三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)。
 その瞳にあるのは恐怖などではなく、純粋な好奇心と幼き精神ゆえの残酷な狂気。
「おれ、きみのことはじめて見た時からめっちゃ仲良くなれそうな気がしてたんだよねー!」
「ムシュシュシュ、歓迎するよ。実験台か、オブリビオンとしてならね!」
 オロチがそう宣言するのと同時、フェンリルがその双眸を輝かせ、魔炎の光線を放つ。

 だが、その攻撃が操の身を焼くことはなかった。
 素早く詠唱を紡いだ彼の前に展開された呪詛の障壁が、魔炎の光線を防いだのだ。
 操はこの時に備えて、あらかじめ戦場となるであろう場所に結界の仕込みをしていた。
「きみ、すっごく恨まれてるんだね! みんな力を貸してくれるってさ!」
 操が束ねた呪詛は、これまでドクター・オロチの犠牲となり、骸の海に沈んでいった命の怨念。
 オロチの業が生んだとも言えるその恨みや怒りの力が、今まさにオロチの攻撃を阻んでいるのは皮肉だろう。

「ふむふむ、なるほどね。へぇ、そう使うんだ!」
 呪詛結界でフェンリルの攻撃を凌ぎながら、操はオロチの使ったユーベルコードの性質を短時間で演算し理解する。
 そして懐からおもむろに一本の鍵――「ラグエルの銀鍵」を取り出すと、それを虚空に突き刺しカチリ、と鍵を開ける仕草をする。
「さあおいで!」
 操の背後に現れたのはオロチの水晶門によく似た巨大な門。その中から姿を現すのは――もう一体のフェンリル。
「ムシュ?!」
 自身のユーベルコードが複製されたことに、さしものオロチも驚きを隠せない。
 しかし悠長に驚いている暇もない。操のフェンリルが咆哮を上げ、自身目掛け真っ直ぐに突っ込んできたとなれば。

「フェンリルっ!」
 オロチは即座に自身のフェンリルに命じ、操のフェンリルに襲い掛からせる。
 取っ組み合いとなる二体の魔狼――その力は拮抗しており、優劣はつかないかに見えた。
 だがしかし、操の狙いはそこではなかった。
「どーん!!」
「ムシュシュ?!」
 突如として操のフェンリルが大爆発を起こし、爆炎と衝撃波がドクター・オロチのフェンリルと、オロチ自身を襲う。
 操は複製したフェンリルに、自爆の呪詛を仕込んでいたのだ。元の持ち主のもとへ特攻させるために。

「ムシュシュシュ……やるじゃないか。たしかにキミとは仲良くできそうだよ」
 敵同士でなければね、と。
 ダメージを負い焦げ付いたパーカーの灰を払いながら、オロチは低い声でそう呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベール・ヌイ
(「はっはー!うちの白狼よりは弱いなぁ!」)

ゴリラは基本しゃべりません、内心思うか筆談です。ヌイは間間に「…」がはいります。

護理雷招来でゴリラを召喚し、専用バイクにのせます
ヌイで待機、火鳥乱舞を構えておきます
ゴリラはフェンリルにバイクで突撃し、電撃つきのプロレス技で無理矢理組つこうとします。攻撃などは激痛耐性で無理矢理耐えます、ヌイに攻撃が行きそうなのを「野生の勘」で感知し無理矢理ゴリラに集中させます
ヌイはフェンリルの意識がゴリラに向かったのを確認し、オロチに向かって双銃で牽制しながら合体火鳥乱舞をぶつけます



 自爆攻撃により傷ついたドクター・オロチとフェンリルの前に、すかさず飛び出すのはベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)と彼女が召喚した雷獣・ゴリラ。
(はっはー! うちの白狼よりは弱いなぁ!)
 魔狼なにするものぞ。そんな内心を抱きながら、電動バイクでフェンリル目掛け突撃したゴリラは、その電撃をまとうボディで相手に組み付く。
 フェンリルの肉体は炎。触れればその身を焼かれることは避けられないが、激痛耐性を持つゴリラは怯まない。
 焼きゴリラになろうともヌイの邪魔はさせないとばかりに、プロレス技でフェンリルの注意を引き付ける。

 その隙に火鳥の群れと氷火の双銃を構えてドクター・オロチに挑むのはベール。
「ムシュシュ、キミもケモノ遣いが荒いねぇ!」
「一緒に……しないで……」
 哂いながら襲い掛かるオロチに対して、ベールは双銃で牽制。氷と火の銃弾の連射でオロチを寄せ付けない。
 その間に、発動中の火鳥乱舞の炎を合体させ、巨大な一羽の不死鳥を象る炎を作り上げていく。
「火の鳥よ……敵を啄め……」
 ベールの静かな詠唱に呼応して、翼を広げる不死鳥の炎。フェンリルにもゆめゆめ劣らぬその熱量が直撃すれば、ドクター・オロチとてただでは済むまい。

「ムシュシュシュ。これはマズいかな? ――フェンリルっ!」
 オロチの呼びかけに応え、ゴリラに組み付かれていたフェンリルが首をもたげる。
 フェンリルの攻撃手段は咆哮と視線。頭さえ動くなら、遠距離からでも攻撃は行える。
 攻撃の予兆を野生の勘で察知したゴリラは、強引に狙いを自分に向けさせようとするが――その首をねじ曲げるよりも一瞬早く、フェンリルが咆哮を放つ。
『GAAAAAAAAAAA!!!!』
「っ……!」
 戦場を震わせる轟音と共に巻き起こった爆発に、ベールの身体が呑み込まれる。

「ムシュシュシュシュ! ちょっと遅かったねぇ……おや?」
 爆発に消えたベールを嗤うドクター・オロチだったが、すぐに異変に気付く。
 ベールが作成した不死鳥の炎が、まだ消えていない。それはつまり――。
「耐えたのか……っ!」
 傷ついたベールの姿が爆煙の中から現れる。ダメージは大きくとも、ゴリラ同様の激痛耐性によって、まだ膝を屈してはいない。
 一瞬遅れたとはいえゴリラの妨害がなければ、爆撃はクリーンヒットし立つのも危うかったろうが。
「不死鳥よ……仇なすモノを……倒せ」
 静かな宣告に応じ、不死鳥の炎が舞う。ドクター・オロチ目掛けて真っ直ぐに。
「大した根性だよ」
 焦りの混ざった声で回避行動を取るオロチ。しかし避けきることは叶わず、炎の翼に打たれ少なからぬダメージを負う。

 攻撃のヒットを確認し、ふらりとよろめくベールを、バイクでフェンリルから離脱してきたゴリラが抱き上げる。
 押し切れなかったがこの場はここが限界。一人と一頭は電撃の軌跡を残して前線から後退する。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ゼイル・パックルード
ここまで関わっておいて、見逃されるわけねぇよな。さっさと死にな。
言葉を借りて脳みそパーカーとでも呼んでみようか、このくらいの挑発に乗るのなら儲けってことで。

叫びは【気合い】入れて、身体がこわばらないように。
動きのトレースをするのなら巨人は視界入れつつ、見るのはあくまでオロチ。こっちは複数いるし、こっちの動きにばっか気にしてられないんじゃないかね。ちょっとの隙くらいはできるかもしれねぇ。
【武器受け】しきれなさそうな力のこもった攻撃を見逃したくないのもある。できれば【見切り】で避けたいけどな。
巨人の動きを見て、抜けられそうなら脳みそパーカーに近づいてユーbルコード。無理そうなら先に巨人を潰す。



「にしてもなんでボクの所にこんなに猟兵が? 早く皇帝陛下の方に行けばいいのにね」
 傷ついたフェンリルを門の中に一時帰還させ、水晶剣を構えなおすドクター・オロチ。
 彼の前に新たに現れたのは、地獄の炎を拳に纏わせたゼイル・パックルード(火裂・f02162)だ。
「ここまで関わっておいて、見逃されるわけねぇよな。さっさと死にな、脳みそパーカー」
「ムシュシュシュ。そう何度も殺されてやるつもりはないよ!」
 フェンリルに代わって、オロチが喚び出したのは骸骨巨人。それはオロチの水晶剣をスケールアップしたような大剣を振りかざし、ゼイルに襲い掛かる。

『ウウウウ……ガアアアアアアアッ!!!』
「五月蝿ぇな」
 骸骨巨人が上げる恨みの叫びに身体が強張らぬよう、ゼイルは気合を入れて受け流す。
 その視界の中心に据えるのはドクター・オロチ。オロチが剣を振り下ろす動作をすれば、同じ動きで骸骨巨人もゼイルに剣を叩き付ける。
 トレースされる動きの元をしっかり見ることで、ゼイルは巨人の動きを見切り、攻撃を回避していく。
 避けきれない攻撃は、背負った鉄塊剣・獄を盾代わりにして受け止める。白骨の拳と鉄塊の剣がぶつかり合い、鈍い音を立てる。
「ずいぶん軽い拳だな。カルシウム足りてないんじゃねぇか?」
 あえて余裕の笑みを浮かべてみせ、オロチを挑発するゼイル。

「ムシュシュシュ。なかなかやるねぇ」
 骸骨巨人を操りながら焦れたような声を上げるドクター・オロチ。一息に巨人でゼイルを叩き潰せないのが不満なのだろう。
 しかし実のところ、不満があるのはゼイルもだった。この状況、確かに敵の攻撃を凌げてはいるが、一方でこちらから攻め込むこともできていない。
 骸骨巨人はオロチの盾となるように位置取っており、ゼイルの武器やユーベルコードの間合いからオロチを遠ざけている。挑発を仕掛けても乗ってくる様子もない。
 運悪く仲間との連携のタイミングが合わなかったのも、この膠着状態の原因だった。

「仕方ねぇ。なら先にこいつから潰す」
 ゼイルは狙いをオロチから骸骨巨人に定め直すと、拳に纏わせた地獄の炎を更に燃え上がらせる。
「一足先に地獄を味わいな!」
 繰り出される烈破灼光撃に対し、骸骨巨人もまた対抗して巨大水晶剣を振り下ろす。
 激突の衝撃波が周囲に巻き起こり――一瞬遅れて砕け散ったのは巨人の水晶剣。
 のみならずゼイルの拳と炎は骸骨巨人本体にも衝撃を届かせ、その骨の体に細かなヒビを入れる。
「こんな所か。あとは任せるぜ」
 十分ではないが被害は与えた。引き際と判断したゼイルは後続の猟兵たちに決着を託し、前線から後退する。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
ドクターオロチ、参加した作戦での「オロチウィルス」やジャミング装置での借りを返すときが来たようです
宇宙の人々の安寧の為ここで倒せればよいのですが…
とはいえあちらは格上、決死の覚悟で参りましょう

オロチの骸骨巨人の弱点…それは動きを「自身とトレース」してしまうこと
骸骨の攻撃を「怪力」による「武器受け」「盾受け」、動きを「見切り」回避、防御しつつ、オロチを操作に集中させます

その隙に私の機械馬を遠隔「操縦」しオロチ本人に「踏みつけ」による「だまし討ち」を仕掛けます
オロチ本人が回避行動をとったら骸骨も動きが鈍るはず、その隙にスラスターを点火し「スライディング」接近、隠し腕を打ち込み大盾で殴打しましょう!


ゲンジロウ・ヨハンソン
○他猟兵と連携OK
○アドリブ歓迎

てめぇのお陰でわしの意地っ張りがちっとは治ったわ、流石ドクターじゃのぅ。

○先制攻撃
敵のUCの発動と同時にコチラも発動じゃ、現れた蒼衣の剣士(以下蒼衣)と連携して骸骨巨人を翻弄。
わしが骸骨に【怪力】で組み付き、攻撃には絶対離さぬという【覚悟】と【激痛耐性】で耐えよう。
急所への攻撃や連携猟兵への攻撃は【盾受け】で【かばう】ことにしようか。
その隙に蒼衣に本体へとUCを打たせ、骸骨のコントロールを失えは御の字じゃな。

○攻撃
そう何度も攻撃できんじゃろ、この一撃に掛けるぞ。
UCを発動し、わしも共に【怪力】を用い【生命力吸収】からの【捨て身の一撃】を【2回攻撃】で仕掛けるぞ。



「ドクター・オロチ、『オロチウイルス』やジャミング装置での借りを返すときが来たようです」
 後退する猟兵と入れ替わりに前線に進み出たのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)とゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)。
 いずれもこの戦争中の作戦を通じて、ドクター・オロチの悪辣さを味わった者達だ。
「てめぇのお陰でわしの意地っ張りがちっとは治ったわ、流石ドクターじゃのぅ」
「ムシュシュシュ、お礼なんていらないよ。借りなら命で返してもらおうかな!」
 トリテレイアとゲンジロウの言葉にオロチは挑発的に答え、今だ健在の骸骨巨人を差し向ける。

「あちらは格上、決死の覚悟で参りましょう」
「おうよ。いっちょやるとするか」
 それぞれの武器を構え、骸骨巨人に向かっていく二人の猟兵。
 そこに突如として、彼らと併走するもう一つの蒼い人影が現れる。
「来てくれたか、蒼衣の剣士!」
「俺は†蒼刻の騎士†だ」
 訂正しつつも細剣を構える、蒼衣を纏った剣士は、ゲンジロウのユーベルコードに呼応し駆け付けた彼の戦友。

「グウウ……ガアアアッ!!!!」
 三人になった敵に対し、骸骨巨人は失った武器の代わりに白骨の拳を叩き付ける。
 徒手とはいえ十分な重さと威力を秘めたその拳を、トリテレイアが長剣とシールドを交差させ受け止める。
 動きが止まった瞬間、すかさずゲンジロウがその恵まれた体躯と膂力で巨人に組み付いた。
「グウウウウウッ!」
 暴れる骸骨巨人に振り回されても、ゲンジロウは決して放そうとはしない。
 何度拳を振り下ろしても、防御に徹するトリテレイアに受け止められる。

「ムシュ! 鬱陶しいなぁ!」
 纏わりつくように巨人の動きを封じてくる二人に苛立ちながら、ドクター・オロチは巨人の操作に集中する。
 召喚者の動きをトレースする骸骨巨人は、主が操作に専念すればそれだけ精密で強力な動作が可能になる。
 しかし、それこそが猟兵側の狙いだった。
「今です! ロシナンテⅡ!」
「行けっ! 蒼衣の剣士!」
 オロチが操作に集中するあまり自身の警戒が疎かになった隙を突いて、トリテレイアが遠隔操縦する機械白馬「ロシナンテⅡ」と†蒼刻の騎士†がオロチに襲い掛かる。
「ムシュ?!」
 機械馬の蹄と剣士の刃がパーカーを切り裂き、慌ててオロチは回避行動を取る。
 だが、それは一時的に骸骨巨人の操作を手放すということ。がくんと巨人の動きが鈍った隙を見逃さず、トリテレイアとゲンジロウもオロチに向かって突撃する。

「しまっ……!!」
 ドクター・オロチが己のミスに気付いた時にはもう遅く、猟兵たちは得意の白兵戦闘の距離まで踏み込んでいた。
「あなたの骸骨巨人の弱点……それは動きを『自身とトレース』してしまうことです」
 その弱点をたった今証明してみせたトリテレイアは、スラスターを噴かしオロチに肉迫すると、腰部に格納した隠し腕による打撃を叩き込む。
 対UC拘束モードに設定された隠し腕の一撃を受けたオロチのユーベルコードは一時的に封印され、骸骨巨人が怨嗟の声を残して消滅していく。
「ムシュシュ! 卑怯じゃないのかいこんなの! その騎士みたいな剣と盾は飾りかい?!」
「あなたに言われる筋合いはありません」
 ドクター・オロチの糾弾――あるいは挑発も、トリテレイアは動じることなく受け流し。
「盾にはこのような使い方もあるのです」
 本人の体重と速度を乗せて叩き付けられる超重量の大盾が、オロチの体を宙に舞い上げた。

「ムシュシュシュッ?!」
 吹き飛ばされたドクター・オロチを、その先で待ち構えていたのはゲンジロウと†蒼刻の騎士†。
 強敵を相手にこれだけの好機は何度も作れるものではない。故にこの一撃に全てを込める覚悟を決めて。
「行くぞ蒼衣の!」
「ああ……刻み付けろ、我が刻剣の冴え。蒼刻と碧刻の剣閃(ブルー・スライス・ブルー)!」
 蒼衣の剣士が放つは時空すらも歪める光速の剣閃の嵐。
 同時にゲンジロウが放つは渾身の膂力を込めた防御を省みぬ剛剣の二連斬。
 それは空中で避けることもままならないオロチの全身を容赦なく切り刻んでいく。
「ムシュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!?」
 耐え切れず、鮮血を散らして実験施設の壁に叩き付けられるドクター・オロチ。
「ゲンジロウ、これで貸しひとつだ」
「ふん、すぐに返してやるわい」
 軽口を交わしながら、戦友二人は拳を打ち合わせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ボアネル・ゼブダイ
駆爛(f14107)と共に出撃

従順たる悪意を発動
駆爛の自律ポッドと共にフェンリルにつきまとわせる
敵の攻撃を誘いそちらに集中させるため
あえて攻撃せず回避に専念させる
特に爆破攻撃や魔炎光線には気をつけて攻撃を察知したら即座に散開する

自分もフェンリルの攻撃を見切りながら避けオロチの相手をする余裕がないように振る舞う
そうしながら警戒を持たれないために目立たずにオロチを捕らえるギリギリの距離まで近づき
駆爛のハッピー・フレンドが発動したら一気にオロチを攻撃

一瞬でも隙が出来たならばコ・イ・ヌールの刀身を伸ばしオロチ本体を斬りつける
その際はフェンリルが間に入って庇わないように注意してインプ達で引きつけておく


駆爛・由貴
ボアネル(f07146)と出撃

ボアネルの召喚と同時にオンモラキとバサンをフェンリルに飛ばす
挑発するように動かし砲撃も行うが基本は回避運動メインだ
オロチから離れるように仕向けるが露骨すぎてバレても事だからな
そこは慎重に動くぜ
咆哮だの光線だのが来たら即座に回避
「こんな怪物どうしろってんだ!」
ってオロチの野郎に聞こえるように叫んで
苦戦してるように言いくるめるぜ
ああいう奴は優位に立ってるとほんの少しだけ油断してくれるはずだ
ボアネルが攻撃位置に付いたら速攻で電脳ゴーグルを展開
オロチにハッピー・フレンドを使う
動きを操作するとまではいかねぇだろうが一瞬でも硬直させるぐらいは出来るだろ
あとは任せたぜ、ボアネル



「ムシュシュ……やってくれたね! もう容赦はしないよ!」
 猟兵達の連携により大きくダメージを負ったドクター・オロチは、怒りも露わに立ち上がる。
 消えた骸骨巨人にかわって水晶剣の門より再び召喚するは、炎の巨狼・フェンリル。
「へっ、よく言うぜ。容赦なんて最初からしてなかったくせによ」
「それはこちらも同じことだがな」
 唸り声を上げる魔狼の前に立ちはだかったのは、駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)とボアネル・ゼブダイ(Livin' on a prayer・f07146)。
 容赦などするわけがない。この異形のオブリビオンを骸の海に沈めるまで。

「焼き払えっ!」
 ドクター・オロチの号令に応じ、フェンリルが瞳より魔炎光線を放つ。
 ボアネルと由貴は即座に散開して光線を回避しながら、自らの眷属と自律ポッドを差し向ける。
「暗く深き闇に蠢く邪悪で矮小なる者共よ、我が元に集い、我が意に従え!」
「行って来い、オンモラキ! バサン!」
 小型の武装したインプの群れと、ビームランチャーとライフルでそれぞれ武装した自律ポッドが、フェンリルの周囲に展開し襲い掛かる。
「ムシュシュ。数を揃えれば何とかなるとでも思っているのかな!」
『GAAAAAAAA!!!!』
 オロチの怒りに呼応するようにフェンリルが咆哮を上げれば爆発が巻き起こり、回避の遅れたインプが数体消滅する。
 すぐさまインプの群れと自律ポッドも反撃を行うが、フェンリルの巨躯に大したダメージを与えられているようには見えない。
 そして今度は魔炎光線が浴びせられ、眷属たちの包囲網はじりじりと消耗を強いられていく。

「こんな怪物どうしろってんだ!」
 苦戦に焦るような由貴の叫びに、ドクター・オロチはまともな顔があればにんまりと笑みを浮かべていただろう。
「ムシュシュシュ。今さら後悔したって遅いよ、まとめて焼き殺してあげるからね!」
 いい気になったオロチはフェンリルに命じ、より苛烈に逃げ惑う者たちを攻撃させる。
 ――彼は気付いていなかった。逃げる相手を追わせるのに夢中になるあまり、フェンリルと自身の距離が大きく離れつつあったことに。
 これが二人の作戦だった。眷属と自律ポッドを囮に使い、防戦一方のように見せかけて油断を誘い、オロチ本人への攻撃のチャンスを作り出すことが。

 機は満ちたと判断した由貴は、相棒のデアネルに一瞬だけ目配せを送ると、ユーベルコードを発動する。
「調子に乗りすぎだぜ!」
「ムシュッ?!」
 展開した電脳ゴーグルから由貴が放つ電気信号が、ドクター・オロチの剥き出しの脳に浴びせられ、その肉体の操作を奪う。
「これは……ハッキング?! ムシュシュ、このボクを誰だと思っているのかな!」
 不意を突かれ驚いたオロチだが、彼は銀河帝国の科学技術総監。電子戦への対処法など幾らでも用意している。
 それはハッキングを仕掛けた由貴も理解していた。自分に出来るのは相手の動きを少しの間硬直させるぐらいだろうと。
 だが、それで十分なのだ。
「あとは任せたぜ、ボアネル」
 彼には、共に戦う相棒がいるのだから。

「任された」
 相棒が作り上げた一瞬の隙を見逃さず、ボアネルが動く。
 その手に構えるのは永久駆動剣コ・イ・ヌール。自在に伸縮するその刀身を一気に伸ばし、動けないオロチを斬りつける。
「ムシュシュシュッ!?」
 全身をズタズタに切り裂かれ、パーカーの破片か肉片かも分からぬ何かを散らせていくオロチ。
 本来なら彼の盾となっていたであろうフェンリルは陽動により引き離され、今もインプ達に足止めを食らっている。
「貴様の敗因は私達を侮り過ぎたことだ」
 冷たい言葉と共に容赦なく繰り出されるコ・イ・ヌールの斬撃。
 オロチが由貴のハッキングを脱した時には、その負傷が深いことは誰の目にも明らかだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
……Drオロチ……研究者としてはその在り方は認められない……
予め圧縮術式に厚手のアルミシートを多数収納しておく…
Drオロチのボディはあるゆる生命体を溶解するもの……だからアルミシートに身を隠して防ぐ…金属のシートも溶解するかもしれないけどそのための多数所持…溶ける端から次のシートを取り出す……
シートで時間を稼いでる間に飛行式箒に乗って空中戦……相手は粘性だから…氷や炎の属性弾を精製して攻撃していく……もしもオロチがまた粘液で取り込もうとしてくるなら【起動:海神咆吼】…周囲の召喚物ごと主砲の荷電粒子砲で焼き払う……


ヴィサラ・ヴァイン
オロチは復活する際、以前の記憶を保持してるんでしょうか
だとすると緑の粘液を受けて体内の【ゴルゴンの血】を取り込ませる戦術はバレてるかもしれません
【ゴルゴンの傑作】で体表を『非生命体』の『石』で覆って緑の粘液を防ぐ事もです
その場合【異形生まれの血清】と【魔女の秘薬】を狙われると困ります
他猟兵を癒すのに使用しますが、奪われると逆にダメージを回復されてしまうからです

……なんてね
霊薬だと思った? 残念、私の血でした!
薬瓶の中身は【ゴルゴンの血】と入れ替えました(だまし討ち1)
猛毒を取り込みなさい(毒使い32)

くすくす……また私の血を欲しがるなんて。オロチ、貴方私の事好きなんです?
(アドリブ・共闘歓迎)



「ムシュシュシュ……流石にちょっと、これはマズいかもね……」
 もはや満身創痍の姿となったドクター・オロチの肉体がどろりと崩れる。
 死んだわけではない。最初に見せたあの緑の粘液体――カリスティックボディに変化したのだ。
「ちょっと栄養補給しないとだめだねぇ……ムシュシュ!」
 あらゆる生命体を取り込むそのボディで、オロチが狙いを定めた相手は――メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)とヴィサラ・ヴァイン(大蛇を殺すゴルゴン・f00702)。

 メンカルとヴィサラは、共に敵のカリスティックボディの特性を理解していた。
 その粘液はあらゆる生命体を溶解する――裏を返せば、生命体以外の標的に対しては効果が弱まる。
 触手のように伸びてきた緑の粘液体に対して、メンカルは収納用の圧縮術式から取り出した厚手のアルミシートで、ヴィサラはユーベルコード【ゴルゴンの傑作】で生成した自身の体表を覆う石で、それぞれ受け止める。

「……Drオロチ……研究者としてはその在り方は認められない……」
「ムシュシュシュ! いつボクが誰かに認めて欲しいなんて言ったんだい?」
 メンカルの静かな糾弾を、オロチは嘲笑うように受け流しながら粘液の触手を伸ばす。
 厚手の物とはいえアルミシート自体は特別な品ではない。生命体でなくともオブリビオン相手の盾としては弱い。
 それを補うようにメンカルは次々と圧縮術式から新たなシートを取り出し、侵食に耐える。
「往生際が悪いねぇ、さっさと食べられちゃいなよ!」
 焦れたオロチはシートごとメンカルを呑み込もうと、ぐわっとその体表を大きく広げる。
 しかし間一髪、シートで時間を稼いだメンカルは飛行式箒【リントブルム】に跨り、空中へと逃れた。

「ムシュシュ、逃げられちゃったかぁ……なら、こっちからにしようかな!」
 メンカルを取り逃したオロチは、粘液の塊のままバウンドするとヴィサラに襲い掛かる。
 その体表のほとんどを石で覆ったヴィサラを溶解するのは難しいように見える。
 しかしオロチの狙いはヴィサラそのものではなかった。
「覚えてるよ、"前"に会った時のこと……確かキミ、いいもの持ってたよね?」
 別の戦場でもオロチと交戦した経験のあるヴィサラ。復活し再出現した"今の"オロチには、その時の記憶が残っていたらしい。
 石に覆われていない部分から粘液の触手を伸ばしたオロチは、ヴィサラの懐からあるものを盗み取る。
「あ……それはっ」
 慌てたような声を上げるヴィサラ。オロチが触手で捕らえたのは、液体に満たされた薬瓶。
「この薬でケガを治してたよね? ムシュシュ、ありがたく使わせてもらうよ」
「だめです!!」
 ヴィサラの叫びも虚しく、オロチはばしゃりと薬瓶の中身を自分の体に降りかける――。

「……なんてね」
 ――だが、オロチを癒すはずだったその液体は、逆にオロチの体を焼いた。
「ム、ムシュゥッ?! なにこれ?!」
「霊薬だと思った? 残念、私の血でした!」
 薬瓶の中に入っていたのは、霊薬に精製される前のヴィサラの血。
 過去の交戦経験から戦術を読まれることを想定していたヴィサラは、霊薬の中身を猛毒の血にすり替えておいたのだ。
「くすくす……また私の血を欲しがるなんて。オロチ、貴方私の事好きなんです?」
「大ッッッッッ嫌いだよ、ムシュゥゥゥゥゥ……!!!」
 取り込んでしまった毒血を排出しようと、粘液の体で悶え苦しむオロチ。

 そんな格好の隙を、空中から戦場を俯瞰するメンカルが見逃すはずもない。
「相手は粘性だから……これをご馳走する」
 杖を振るえば氷や炎の属性弾が精製され、オロチ目掛けて次々と降り注ぐ。
 着弾した属性弾は粘液のボディを蒸発させ、あるいは凍結させ砕いていく。
「ムシュシュ、毒も氷も炎もボクの口には合わないよ!」
 ぴょいんぴょいんと地上を逃げ回るオロチは、そのボディの弾力性を最大まで高め、ぐぐっ、と力を溜めて。
「お口直しに、やっぱりキミをいただこうかな!」
 まるで巨大なゴムボールのように跳躍すると、飛行するメンカルに襲い掛かる。

 ぐわっ、と巨大な顎のように粘液の体を変形させ、一呑みに標的を喰らわんとするオロチ。
 だが――そのタイミングに合わせて、メンカルは用意していた術式を起動させる。
「座標リンク完了。魔女が望むは世界繋げる猫の道……」
 中空に展開された転移門。その向こう側から覗くのは彼女の乗艦たる飛空戦艦ワンダレイの主砲。
 誘われた、とオロチが気付いた時にはもう遅く。空中では軌道を変えることもままならず。
「……主砲、一斉射!」
 放たれた砲撃がオロチを直撃し、その体を施設の床へと叩き付ける。

「ム、ムシュゥゥゥゥ……!」
 床にできたクレーターの中心で、元の姿に戻っていくオロチ。
 その様子から、当初の余裕は完全に失われていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニィ・ハンブルビー
【POW】
【芋煮艇】の姫子(f06748)、バルディート(f06338)と参加!

ボクの役割は、盾!
【絆と誓いの魔法】を姫子対象で使用して、
自動的に姫子を【かばう】無敵の盾になるよ!
自分の意思じゃ動けなくなるけど、これで姫子を守り切れるはず!

もし初撃に発動が間に合わないなら、
背中の『ウェポンエンジン』で自分を【吹き飛ばし】て急加速しつつ全力【ジャンプ】!
『ビームシールド』と『ナノマシンアーマー』を起動しつつ、
敵の攻撃の軌道に割り込んで仲間を【かばう】!
一発耐えて【絆と誓いの魔法】を発動できればそれでよし!
何が何でも、守り抜く!

バルディート!
姫子は守るから、好きに暴れていいよ!


バルディート・ラーガ
【POW】姫子お嬢サン(f06748)、ニィお嬢サン(f04621)と共に【芋煮艇】で参戦しやす。
先陣を行くニィお嬢サンに初端の攻撃をカバーして頂き、あっしは隙をついて【迷彩】、念の為【激痛耐性】も利用して出来うる限りにやっこさんの懐へ接近。【九つ頭の貪欲者】を発動し、超攻撃力と超耐久力でもってとにかく大暴れ!ってな算段です。動くモノならなあンでも狙っちまうンでねえ、骨サンを動かしたきゃアてめえも巻き込まれて頂かねエと。ヒッヒヒ!
姫子お嬢サンへも無差別攻撃が飛ンじまうでしょうが、そこのトコロはニィお嬢サンのガードにお任せしやしょう。
この力、どこまで通用しやすかねエ…試さして頂きやすぜエ。


御劔・姫子
【POW】
※【芋煮艇】の仲間と参戦

この人(?)がドクターオロチ…? 確かに他のとは雰囲気がちゃう…
――せやったら、うちも【覚悟】を決めて全力で行きますえっ!

…狙うんは【終乃太刀・都牟刈】による一撃。
防御はニィはん(f04621)に任せるんやけど、もし間に合わへんかったりしたんなら【見切り】【残像】【ダッシュ】で回避に専念っ!
そして、バルディートはん(f06338)がオロチが出して来はる『骨の巨人』の相手をしてくれはる間に、相手の動きを【見切り】【第六感】で察知して、攻撃の隙に【カウンター】っ!

…お願いっ! 届いてっ!!



「ムシュシュ、シュ、シュ……やってくれるねぇ、猟兵……!」
 水晶剣を支えに、ズタズタになったパーカー姿で立ち上がるドクター・オロチ。
 その身はもはや満身創痍だが、滲み出る殺気と敵意は猟兵たちに油断を許さない。
 もし万が一、ここで仕留め損なえば、オロチは骸の海に一時撤退して消耗した力を回復してしまうだろう。

 逃がすのではなく、骸の海に叩き帰すために、オロチの前に立ち塞がった猟兵は三人。
「この人がドクターオロチ……? 確かに他のとは雰囲気がちゃう……」
 その一人、御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)はこの世界のオブリビオンの中でも明らかに異質なその存在に瞠目する。
「ヤツが何者かは分かりゃしませんが、あの脳ミソん中にロクなもんが詰まってねエのは確かでしょうなア」
 バルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)も首肯しつつ、その身に纏うマントをしっかりと羽織り直す。
「何だってやる事は決まってる! これ以上あいつに何も傷つけさせないよ!」
 ビームシールドを構え、堂々宣言するのはニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)。
 三人の猟兵は呼吸を合わせ、同時にオロチ撃破に向けて動き出す。

「ムシュシュシュシュ……! もう勝った気かい? させないよ……!」
 水晶剣を振りかざし、ドクター・オロチが召喚するのは骸骨巨人。
 以前の猟兵にかけられたユーベルコード封印時間は既に過ぎている。再び万全な状態として再召喚された骸骨巨人が、その手にした巨大水晶剣を横薙ぎに一閃する。
 猟兵たちを纏めて薙ぎ払わんとする斬撃に対し、姫子は得意の走力を活かして残像のみをその場に残し、回避に成功する。
 しかしバルディートは避け遅れた。コイツは不味い、と覚悟を決めて彼が襲ってくるであろう衝撃と激痛に耐えようとした時――。
「危ないっ!」
 背中に装着したウェポンエンジンで急加速したニィが、バルディートを庇って巨人の斬撃を受けた。
 ビームシールドとナノマシンアーマーによる二重防御の構え。それでも凄まじい衝撃が小さな妖精の体に突き抜けてくる。
 それでもニィは耐えた。仲間の盾となることを、己の役割と任じるがゆえに。

「助かりやした、ニィお嬢サン」
「ニィはん、大丈夫なん……?!」
 謝意を告げるバルディートに、心配そうに声を上げる姫子。
 そんな仲間たちに、ニィはふらつきながらも笑顔で顔を上げ。
「大丈夫。それより二人は攻撃に集中して。守りはボクが引き受けるから!」
 そう告げて姫子の傍に近寄ると、ニィは自身のユーベルコードを発動させる。
 その名は絆と誓いの魔法。己の身体を浮遊する盾に変化させ、仲間を守る無敵の守護者となる力。
「これで守り切れるはず!」
「ニィはん……」
 引き換えに自らの意思で動けなくなるというリスクを背負いながらも。それでも守るというニィの覚悟を受け取った姫子も決意を固める。
「――せやったら、うちも覚悟を決めて全力で行きますえっ!」
 剛刀『巌太刀』を手に、仲間の盾と共に、骸骨巨人とオロチに向かっていく姫子。
「正面から行くのは任せやしたぜ」
 黒マントを纏ったバルディートはにやりと笑うと、影に溶けるように迷彩で姿を隠す。

「ムシュ。一人消えた……? けどまずは、こっちだね!」
 消えたバルディートを警戒しながらも、ドクター・オロチは骸骨巨人をまず姫子に襲い掛からせる。
 上段より振り下ろされる巨大剣。だがそれを浮遊するニィの盾が自動的に反応し受け止める。
『指一本触れさせないよ!』
「ムシュシュシュ。だったら盾ごと押し潰すまでさ……!」
 ぐぐぐ、と両手で剣に力を篭める骸骨巨人。純粋な巨体ゆえの質量によって、ニィの盾は押し返されそうになる。

 ――だが、オロチが姫子とニィへの攻撃に集中している隙を突いて、バルディートは彼の懐まで潜り込んでいた。
「この力、どこまで通用しやすかねエ……試さして頂きやすぜエ」
「ムシュッ?!」
 突如、すぐ近くで膨れ上がった気配にオロチが動揺する。
 姿を現したバルディートの姿が、変わってゆく。影を這いずる蛇から、九つ首の貪欲者へと。
「……グ……シュウルルル……」
 巨大な黒蛇と化したバルディートは、その九つの頭に備わる18の眼で戦場を睥睨し――かっと鎌首をもたげるや否や、一斉にその口から炎を吐き出した。
 その標的はドクター・オロチ、骸骨巨人、そして仲間であるはずの姫子とニィ。

「コイツ……理性を失っているのかい……?!」
 炎を水晶剣で切り払いながら回避するドクター・オロチは、バルディートのその姿が理性を引き換えとした強化形態であると察する。
 仲間にも攻撃したことから考えるに、おそらく敵味方の区別はつかず、動いている目標を無差別に攻撃し続けるのだろう。
 ――そこまで理解したところで、オロチは自身のユーベルコードと今のバルディートとの相性の悪さに気付く。
「クソ……骸骨巨人を操作したら、ボクまでコイツの標的になっちゃうじゃないか……!」
 召喚主の動きをトレースする骸骨巨人は、主が動かなければ動かせない。
 だが動かせば骸骨巨人もドクター・オロチも等しく貪欲者の攻撃対象となるのだ。
 歯があれば噛み締めていたであろうオロチに対し、理性を捨てたはずのバルディートがほくそ笑んだように見えた。

「なら……骸骨じゃなく、フェンリルを召喚して……」
「させへんよっ!」
 ドクター・オロチが骸骨巨人の操作を躊躇した一瞬。その隙を突いて姫子がオロチに接近していく。
 バルディートの放つ炎は姫子にも浴びせられているが、ニィの盾がある限り、火の粉たりとも触れることはない。
『バルディート! 姫子は守るから、好きに暴れていいよ!』
「シュウルルルル……!!」
 バルディートの九つ首から撒き散らされる炎が、戦場を焼き焦がしていく。
 燃え上がる戦場を駆けながら姫子はオロチに剛刀を振り下ろし、フェンリルの召喚を妨害する。
「ムシュ、シュ……!」
 水晶剣で剛刀を受け止めたオロチの声色には、焦りと苦々しさがありありと浮かんでいた。

「これで終わらせますえっ!」
「終わる? 冗談じゃないよ、ボクはまだまだ……!」
 水晶剣で姫子と切り結びながら、同時に骸骨巨人を操作して大蛇のバルディードに襲い掛からせるドクター・オロチ。
 その剣はただの飾りにあらず。自身と巨人の動きを同期させながら二つの敵を同時に相手取る、並外れた知性も帝国での彼の肩書きに相応しいもの。
 だが、既に重傷を負ったその身で、猟兵たちの猛攻を凌ぎ続けるには限界があった。

「シャアアアアア……!」
 バルディートの九つ首が骸骨巨人の身体に喰らい付き、直接炎を浴びせ掛ける。
「クッ……! まだだよ、まだ……!」
 炎上し灰になっていく巨人を視界の片隅で捉えながら、オロチは渾身の力で水晶剣を振り下ろす。
 だが、その刃は何度振り下ろされようとも、ニィの変身した盾によって阻まれる。
 無敵に近い防御力を誇るその盾も、酷使によって徐々に傷つき始めているが、それでもニィは能力を解除しない。
『何が何でも、守り抜く!』
 その決意を無駄にしないよう、オロチが攻撃を放った直後の一瞬の隙を突いて、姫子が必殺の一刀を放つ。
 終乃太刀・都牟刈。その斬撃は空間をも断ち、生じた次元の断層によって万象を破壊する御劔が秘奥。
「……お願いっ! 届いてっ!!」
 祈りと共に放たれたその斬撃は――狙い過たず、オロチの身体を真っ二つに断ち斬った。

「ムシュシュシュ……! ああ、また負けた! 悔しいなぁ!」
 次元断層に呑まれるように、ドクター・オロチの肉体が消えていく。
「けど……これで終わりじゃない。きっとまた復活してみせるよ、ムシュシュ……!」
 幾度滅ぼされようとも、完全に力尽きぬ限りは再び現れる、それがこのオブリビオンの恐ろしさ。
 だが――その復活も無限ではないことを猟兵たちは知っている。
「最後に笑うのはボクかな、キミ達かな? 次に会う時を楽しみにしてるよ……ムシュシュシュシュシュッ!」
 奇妙な笑い声を遺して、帝国執政官兼科学技術総監ドクター・オロチは、この場から消滅したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月19日


挿絵イラスト