銀河帝国攻略戦㉑~過去を封じる刃
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『クライングシェル』『アゴニーフェイス』の艦隊を突破した解放軍の艦隊は、遂に、黒騎士アンヘルとの決戦に挑む。
しかし、解放軍の艦隊は、黒騎士を撃ち破れなかった。
解放軍の放つあらゆる攻撃も、黒騎士を捉えることができなかったのだ。
解放軍は、黒騎士の撃破を諦め、銀河皇帝を守る艦隊へと攻撃の矛先を変える。
銀河皇帝を倒すことが彼らの目的、ならば戦力を失った黒騎士は捨て置いても構わないと判断したのだろう。
しかし、二大巨頭である『白騎士』『黒騎士』が逃げ延びれば、たとえ銀河皇帝を倒したとしても、彼らのどちらかが、次なるオブリビオン・フォーミュラとなりうる可能性が残される。
そうでなくても、銀河皇帝撃破後、銀河帝国の残党あるいは、スペースシップワールドの不平分子等を集めて、悪事を行う危険は大きい。
銀河皇帝との決戦が最重要なのは当然だが、可能ならば『黒騎士アンヘル』の撃破も行なうべき。
そう考えた猟兵達は、許される最大戦力で『黒騎士アンヘル』の撃破に向かうのだった。
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「黒騎士が持つ戦力は殆ど削りきった、今なら、彼一人を集中して相手取ることができる」
エスペラ・アルベール(元気爆発笑顔の少女・f00095)が語るその表情は、いつもより堅い。
確かにこの状態は、相手を打ち取るチャンスでもあるが、逆に黒騎士が『一人の戦士』として、最大の力を発揮できる状況でもあるのだ。
そのため、猟兵の精鋭であっても、勝利を掴み取ることは容易ではない。
「それに、たとえ黒騎士を倒して骸の海に送り返すことができたとしても、またすぐに別の場所で蘇ってしまうんだ」
黒騎士を滅ぼすために必要なのは、短時間での複数回の撃破。
黒騎士が蘇る場所が、すでに破壊された黒騎士配下の艦艇のいずれかであることは、既にグリモア猟兵達の予知によって予測されている。
それぞれのポイントに出現する黒騎士を待ち伏せして、幾度となく倒し続けることができれば、黒騎士が骸の海より這い出ることはなくなるはず。
本作戦は、そのポイントの一つでの戦いとなる。
「黒騎士は過去を操るユーベルコードを持っているらしい。きっと、今までの相手よりも強敵なはず……みんな、気をつけてっ!」
芳乃桜花
(先制攻撃のルール)
黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
本シナリオは「㉑黒騎士アンヘル」の物です。
黒騎士の『過去を封印する』ユーベルコードの効果は本シナリオ内のみとなっております。
いよいよ敵幹部の一人、黒騎士アンヘルとの戦いですっ!
【敵の先制攻撃をどう防ぐか】が最重要になります、この部分に関する記述がない場合、プレイングが採用されても「失敗」判定となりますのでお気をつけください。
それでは、皆様のプレイング、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『黒騎士アンヘル』
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POW : 消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD : 過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フロッシュ・フェローチェス
なら、アタシは過去すらも置き去りにして、「速さそのもの」を――より先を目指すよ。
気持ちは十分。
敵の方が早い可能性を考慮して、タイミングを野生の勘あわせて見切り、其処を狙って……最初の策を弄する。
【選択したUC】で最初の一発は何が何でも躱すんだ。
その次を予測して、後追いしてドスを伸ばし……避けられたなら手元を狙って軌道を変える二回攻撃で、敵が取ろうとした第二の剣にあてて追撃を回避。
灰色の剣は早業でもう片手の散弾銃を撃ち、強引に押し留め逃げ足バックダッシュ。
深追いした所を【バーズ・アイ】で、追撃を避けながらに一撃だ。
空間に斬撃を刻んでも、お前自身が見えない訳じゃない。
絶対に視界から外すものか……!
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銀河帝国の二大巨塔が一つ、黒騎士アンヘル。
その力は、敵の過去を自在に操ると言う。
(なら、アタシは過去すらも置き去りにして、「速さそのもの」を――より先を目指すよ)
その場に現れた騎士に対して真っ先に動いたのは、一人の少女だった。
彼女が一歩踏み出すと同時に、アンヘルはそちらへ視線を向けただけで白い呪剣を操り、放つ。
有無を言わさぬ神速の一撃、その刃を回避することは適わない―――相手が、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)以外であったなら。
「ほう」
呪剣の軌道を読み切り、一撃目を回避しきったのを見て、アンヘルの口から感嘆の声が漏れた。
廻砲『P・X』、フロッシュの極められた速度を捉えるのは、生半可な攻撃では不可能だ。
されど、この敵は並大抵の相手ではない。
「―――っ!」
続けて縦に振るわれたのは黒の呪剣。予測できていたそれを短刀で受け止める、剣撃の重さに膝が折れかけた。
彼女の速さを持ってしてもなお、黒騎士の攻撃の合間に割り込むには至らない。
息もつく暇も無く、灰の呪剣が胴を狙う。
「舐め、るなぁ!」
短刀をそのままに、片手で抜き出されたのは魔導核を搭載した散弾銃。
その銃口から三連続で銃弾が吐き出され、呪剣を押し返して彼女自身も後ろへ下がる。
間合いをとりながら、翡翠の龍眼をアンヘルへと向けて。
その背が、虚空より現れた斬撃によって斬り裂かれた。
「ぐ……!」
身体に走る激痛に歯を食いしばり、それでもその視線はアンヘルから離さない。
そう、彼女にとっては、それだけで良かった。
「【見る】だけで良い――散れ」
龍の眼に込められた殺意の視線、それを受けたアンヘルの脇腹が斬り裂かれる。
自らの身体についた傷を一瞥し、黒の騎士はその目を鋭く細めた。
「見事だ」
一言呟き、彼は決して小さくないハズの傷を気にする様子などなく、剣を構え直す。
騎士を打ち倒すまでは、まだ遠い―――。
成功
🔵🔵🔴
ガイ・レックウ
【POW) で判定
先制攻撃の対処と防御:幾重にも重ねたオーラによる【オーラ防御】と【武器受け】による防御、一部のオーラを【残像】として放つことによるデコイ、【戦闘知識】と【見切り】のスキルを総動員し、斬撃が現出する瞬間を見極め避けるの3つの策で対処をするぜ
【怪力】【鎧無視攻撃】【フェイント】【2回攻撃】のスキルを使用した2刀流の連続攻撃で攻撃するぜ
ユーベルコード【二天一流『無双一閃』】で必ず斬り捨てて見せる!!
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「行くぜ!」
続けて駆け出したのは、ガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)。
全身をオーラで包み、両の手に二本の刀を携えアンヘルへと迫る。
騎士の手元が動くと同時に、ガイは自身の正面の空間がブレたのを見切った。すぐさま刀を前に、受ける姿勢を取って。
「ぐあ……!」
その身を半ばまで斬り裂かれる。
咄嗟に身を捻り、残像によって狙いがブレていなければ、更に深手となっていたかもしれない。
浅くない傷を負いつつも、それでもガイの足は止まらず、アンヘルを間合いへと捉える。
「これが俺の奥義!! くらえ、無双の一撃を!!」
右手に持たれた、鬼の名が刻まれた、炎の様な紋を持つ刀が。
左手に持たれた、持ち主の命を削り炎の力へと変える、呪われた妖刀が。
寸分違わず同時に振り抜かれ、アンヘルの身体を斬り裂かんと二本の軌跡を描く。
剛力によって振るわれたその斬撃は、アンヘルの身体を確かに捉え、しかし。
「浅いな」
「ちぃっ!」
それは有効打には遠く、返しに振るわれた剣圧によって吹き飛ばされてしまう。
それでも、必ず斬り捨てて見せると気合を込めて立ち上がろうとするが、自身の負ったダメージから膝をついた。
「この、程度で……!」
言うことを聞かない身体に歯がゆい思いを抱きつつ、その瞳は闘志に満ちてアンヘルを睨み続ける。
その視線にも動じることなく、黒騎士はただ静かに構え続けていた。
苦戦
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宇冠・由
お母様(f00173)と参加
【七草芹】と炎のオーラ防御、二重三重による強化と防御で攻撃を引き受け、一身に受け止めかばい、お母様への攻撃も守り切ってみせます
私には「消えざる過去の刃」、お母様には「記憶されし傷痕」が迫り来るはず
私は身体全てが地獄の炎でできたブレイズキャリバー、炎の身体で受け止めれば、切断されても炎のオーラは再生し、記憶されし傷跡も、身体の炎を一時的に切り離せば再現は不可能です
もしも私が行動不能に陥った場合、炎のオーラだけ分けて放出、守り抜き、お母様が攻撃できるまで防御するようにしましょう
宇冠・龍
由(f01211)と連携
相手は熟練の戦士、大ぶりな技は見切られ反撃を許してしまうかもしれません
由が作ったチャンス、無駄にせず、最速で最大の一撃を送り届けましょう
過去には過去を【竜逢比干】で夫の霊を召喚。私の持てる呪詛全てを込めます
私の分まで守り切ってくれた由の背後から飛び出し、夫と左右で挟撃、私の拳による衝撃波、夫の風を纏った槍を同時に放ち吹き飛ばします
「空間に刻まれた斬撃」がもし敵にも有効なら、由が攻撃を受けた場所に吹き飛ばすことで、その空間にあるはずの斬撃を自ら受けていただきます
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宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)の炎の身体を、虚空からの斬撃が斬り裂いた。
(なんという威力……!)
彼女が鍛えてきた防御術はかなり上質の物、その防御をあっさりと貫かれ、もし自身の身体が生身だったらと背筋を震わせる。
それでも彼女は下がらない、自分の背後には、誰よりも守りたい母がいるのだから。
一方で、斬った手応えが薄いことにアンヘルは僅かに表情を歪め、由を一瞥して一つ頷く。
「なるほど、ブラックタールのような不定形生物か、ならば」
「う、あ―――!?」
黒騎士が間合いを詰め、その腕を振るう。
その度に由の炎が吹き飛び、かき消され、本体であるマスクだけは傷つかぬよう身をかわすのがやっとだ。
(由……!)
眼前で傷つく娘の名を叫びたちのを必死の思いで堪え、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)はアンヘルの注意が由に向いている隙に、己が死霊術を発動しようとし。
そちらを見もせずに。
アンヘルが、龍へと手を向けた。
「っ!」
本来ならば、アンヘルの過去を操る力は龍へと直撃するはずだった。
「お母様!」
しかし、その直前、間に割って入った炎の身体が龍への一撃を食い止める。
それは、誰かを守る術を磨き続けた由だったからこそできた事。
母の代わりに力を受けた由は、その一部分を切り離し、過去の侵略を防ごうと試みる。
しかし。
「無駄だ」
「あぁぁぁぁ!?」
例え切り離そうとも、その炎は由であることに違わない、ユーベルコードの力は、彼女の本体を逃しはしない。
アンヘルの力が、由の今まで体験してきた傷を呼び戻し、そのダメージによって彼女の炎は弱まり、その場に崩れ落ちて。
その瞬間こそが、彼女達にとっての唯一の好機であった。
「強き猛き尊き者、共に歩みてその威を示せ!」
本当ならば、その名を呼んで、自らをかばい傷ついた娘を抱きしめたかった。
それでもそれはできない、娘が自身を犠牲にして作ってくれたチャンスを、逃すわけにはいかない。
今、彼女が、龍がやらねばならないことは、喚び出した夫の霊と共に娘を傷つけた敵を打ち倒すこと。
「はぁぁぁ!!」
龍の拳が衝撃波を放ち、夫の風を纏った槍が、その衝撃を更に強化し突き出される。
その一撃は、確実にアンヘルの胴を捉え、その身体を大きく吹き飛ばすことに成功した。
「猟兵の力、まだ侮っていたか」
アンヘルは未だ膝を折ることなく、されど、その手は今しがた攻撃を受けた箇所を抑えている。
そう、この戦闘において、初めて彼が自らのダメージを気にしたのだ。
猟兵の刃は、間違いなく黒き騎士へと届く―――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
甲斐・ツカサ
そっちが過去を操るなら、こっちは未来を見通すだけさ!
10秒先に到来する呪剣を予見し、自分と黒騎士の間に圧縮空気の盾を展開
まずは剣の勢いを弱め、ワイヤーで切っ先を逸らす
更に迫るなら光刃で受け止めつつ、バイクを加速、一気に距離を詰める
光刃やそれを振るった経験が封じられても、その核であり、もっと長い付き合いであるダガーは残ってる!
そして何より、すべての始まりである冒険記
それが手元にある限り、未来へと続く冒険はいつからだって始められる!
幾ら過去を封じても、全身全霊で未来へ進む今のオレは止められない!
そのままバイクの勢いを利用しながら黒騎士に飛び掛かって、体ごとぶつかるように斬りつけよう!
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甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)はRay-GuSTARを駆り、アンヘルへと加速する。
「そっちが過去を操るなら、こっちは未来を見通すだけさ!」
彼の使うユーベルコードは、10秒先の未来をその目に映す。
その力は、通常ならば使い手に絶対的優位をもたらすが。
「まずっ……!」
相手からの先手を打たれるこの状況では、その10秒のラグが致命的となった。
10秒後には、自身は既に三本の呪剣を受け倒されている。
その未来を変えるために、篭手から圧縮した空気を盾のように展開、こちらへ迫る呪剣の勢いを少しでも軽減する。
更にワイヤーを張り巡らせ、なんとか白の呪剣の軌道を逸らすことに成功。
続いて蒼い光刃を振るい、黒の呪剣を受けるが―――そこまでだった。
「ぐ―――!」
灰の呪剣、その刃が、ツカサの左肩を貫く。
Ray-GuSTARから振り落とされ、それでも即座に立ち上がるが、その瞳からは力が無くなっていた。
「俺、なんで……」
なぜ、自分は戦っているのだろうか?
こんなにも痛い思いをして、見ず知らずの相手のために戦う理由はなんだ?
「過去を失った者は、なんとも脆い」
膝をついたまま動かないツカサへと、アンヘルが近づき、剣を振りかぶる。
そのまま首を斬り落とさんと力が込められた瞬間、ツカサの目に入ったのは、先程こぼれ落ちたのであろう、一冊の冒険記。
「―――!」
「なに?」
過去を封じても、未来へ進む力は止められない。
ツカサが刃を振るう理由は、過去だけではなく、未来にも存在したのだ。
彼の持つ黒い刀身のダガーが、アンヘルの腕を小さく斬り裂いていた。
苦戦
🔵🔴🔴
燈夜・偽葉
空間斬撃とはおのれ、私のパクリなんて許せません!
現在の斬撃で打ち破ってあげます!
まずは敵の先制攻撃の対処からですね
過去に空間に刻まれた斬撃…視認してからでは遅い、ならば
第六感でどこが斬られるかを察知し、逃げ足やダッシュ、スライディングで回避します
多少の被弾は激痛耐性で耐える気合いと覚悟
ここからは反撃の時間です
剣よ、天を斬って…新たな斬撃で斬り捨て御免
なぎ払い、範囲攻撃を乗せて、敵の動きを見切り、確実に斬ります
私の後に行動する人には、そこ斬っちゃったんで気を付けてくださいねって言っておきます
ルカ・ウェンズ
私はPOW で戦うわ。
私は難しい事が苦手だから敵に攻撃を当てるために【戦闘知識】で消えざる過去の刃を敵がどう使うかを考え【残像】を使い敵に素早く近づき少しでも的を絞らせないようにするわ。
近づけたらなら、できれば【怪力】で捕まえて、ユーベルコードで限界まで攻撃して離脱、命まではとどかなくても腕や足の一本も貰えれば敵の驚く顔が見れるかもしれないし味方の誰かが止めを指しやすくなるでしょうしね。私では暗殺したり、話して情報を聞き出したり、隙をつくるのできそうもないから、全力で攻撃を当てるのを狙うだけよ!
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「空間斬撃とは……!」
燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が呻くように声を上げた。
それは、アンヘルの使う、虚空より現れる斬撃を見ての言葉、彼女の頬には一筋の汗が流れている。
敵に気圧されたのだろうか、その様子に隣に立つルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は訝しげに視線を送り。
「おのれ、私のパクリなんて許せません!!」
(……変わった人ね)
少なくとも気圧される心配はなさそうだ。
そう判断した直後、二人は同時にその場から離れ、駆け出す。
アンヘルの注意がこちらを向いたのだ、虚空の斬撃は視認してからの回避では遅すぎる、常に攻撃の来る位置を予測しながら動き続ける他ない。
その様子を見て、アンヘルは静かに呟いた。
「これだけ見せれば、適応もされるか」
「そういう『なら本気を見せよう』とか続きそうなセリフやめてください! なんか怖いですから!」
「余裕あるわね、あなた」
実際には、偽葉もルカも言うほどの余裕があるわけではない。
予測するにしても限度がある、偽葉の感もルカの戦闘知識も、練度はアンヘルの方が上だ。
それぞれ他の技能と組み合わせて凌いではいるが、避けきれなかった斬撃が、二人の手足に傷を刻んでいく。
このままではいずれ追い詰められる、偽葉は一つ大きく跳ぶと、自らの太刀を引き抜くと同時に振り抜いた。
「過去の斬撃、現在の斬撃で打ち破ってあげます!」
明らかに間合いの外、されどユーベルコードを用いた戦闘で、目に見える間合いの概念が頼りにならないのは、なによりアンヘル自身が理解している。
故に、偽葉の数十メートルにも及ぶ射程の斬撃を、アンヘルは油断なく自らの剣で受けてみせ。
空間ごと切断する斬撃が、剣を越えてアンヘルの右足を切り裂いた。
「む……!」
「どうです! オリジナルの空間斬撃は!」
まだパクリ疑惑は晴れていないようだった。
アンヘルが表情を歪め、偽葉へと反撃を繰り出そうとし、気づく。
自身の左腕を、ルカが掴んでいた。その細身からは想像がつかぬ程の怪力で、アンヘルが何か対応するよりも早く、その口から言葉が紡がれた。
「カー・ディスク・ジョン」
ルカの掴んでいた左腕が、爆発する。
即座に振るわれた拳が彼女の身体を吹き飛ばすが、成果は十分。
アンヘルの左腕へのダメージは甚大、この騎士ならばそれでも剣を握り振るうこともやれるだろうが、その速度と力は大きく削れるはず。
「大丈夫ですか!?」
「ええ、でも、後は他の人にお任せかしら……ね」
こちらに駆けつける偽葉をダメージで霞む目で見ながら、ルカは後続の猟兵達へと、想いを託す。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アネット・レインフォール
▼静
黒騎士か…状況が許せば純粋な剣術のみで相対したかった所だが、な。
こちらが考えられる最良と思しき手を打つしかないだろう。
一連の所作全てを布石に見立て…当てるのは一太刀でいい。
▼動
事前に防刃対策として鎖帷子を服の下に。
仮にも騎士ならこのような場でも敬意を払うべきだろう。
互いの間合いに入らない限界まで歩を進め、葬剣を掲げ一礼をし下段に構える。
但し、この所作の間に【無刀閃】を水面下で展開。
斬撃等が来たら反射か逆利用した一撃を放つが、可能なら2回攻撃で【零斬】の居合突きも叩き込む。
攻撃を食らう事も覚悟し、葬剣を鋼糸状に展開して攻撃が来る場所を探る手掛かりとする。
▼他
使える技能は全て一撃に
アドリブ歓迎
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アンヘルと猟兵の攻防が、数瞬途切れる。
その空白の時間に、一歩前に歩み出たのはアネット・レインフォール(剣の教育者・f01254)だ。
(黒騎士か……状況が許せば純粋な剣術のみで相対したかった所だが、な)
剣の指導者として、その技量を試してみたいと思ってしまうのは仕方がない。
されど、今はこの世界の命運を懸けた戦の最中、その願いが到底叶わぬことであることも理解している。
だからこそ、せめて騎士に対しての敬意は払うべきだろう。
「俺の名はアネット・レインフォール。いざ、勝負!」
「……黒騎士アンヘル、参る」
葬剣を掲げた一礼に、意外にもアンヘルも応え、お互いに剣を構える。
もしも彼がオブリビオンでなかったら、あるいはアネットの願いが叶う事もあったのかもしれない。
そんなIFが思い描かれる中、先に動いたのはアンヘルだ。
虚空からの斬撃、これまでも数多くの猟兵を苦しめてきた技がアネットを襲い。
「伍式・無刀閃」
その斬撃に対抗するために、アネットが用意していた技が発動する。
それは相手の技の威力を利用した、カウンター技。
想定以上の力を持った斬撃は、アネットが内に着込んだ鎖帷子をも破壊し、それでもアネットの技は止まらない。
「く……!」
返された一撃の威力は絶大、されど単純な軌道のそれを、アンヘルは辛うじて受けて、流す。
その余波だけで周囲の地面が破壊されるが、攻撃そのものは届いていない。
ならば、一太刀届くまで畳み掛けるのみ。
「肆式・零―――」
続くユーベルコードを発動しようとしたアネットの身体を、虚空からの斬撃が斬り裂く。
追撃を考えていたのは、アンヘルも同じこと。そしてアネットの反撃を受けながら、彼は確実に決められるタイミングを狙っていたのだ。
「見事、だ……!」
アネットがその場に倒れ、アンヘルはそちらを一瞥すると、すぐに次の猟兵達へと視線を向けた。
苦戦
🔵🔴🔴
雛菊・璃奈
必ず先手を打たれる…逆に言えば、必ず先制攻撃が来る、それさえ分かっていれば…!
敵の攻撃が来ると想定し、【見切り】と【妖剣解放】による高速移動で敵の呪剣を3発受けない様に回避。
回避できないものを魔剣アンサラーによる【カウンター、早業、オーラ防御、呪詛、武器受け】で攻撃を反射。
同時に【unlimited curse blades】展開。敵の呪剣が放たれ、攻撃を受けている間にカウンターで一斉掃射。更にそのまま高速移動で接近し、全力の【呪詛】を込めた凶太刀と神太刀の【鎧無視、2回攻撃】で斬り捨てる…!
来る事がわかっていれば避けられる、耐えられる…!後は覚悟だけ…!
呪いはわたしの力…!
※アドリブ等歓迎
●
(必ず先手を打たれる……逆に言えば、必ず先制攻撃が来る、それさえ分かっていれば……!)
雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、自身に目掛けて放たれた三本の呪剣を目にしながら、手にした妖刀の力を解放した。
妖刀に込められていた怨念が璃奈の身体を包み込み、次の瞬間にはその速度を上げ、呪剣を振り切ろうと駆ける。
迫る一本の呪剣の軌道を見切って身をかわし、続く二本目の呪剣を手にした魔剣で打ち払う。
残る最後の呪剣に対して、彼女は魔剣の力を解放して対抗した。
魔剣アンサラー、その剣に秘められた力は、敵の攻撃を跳ね返し報復する、呪詛返し。
「……っ!」
アンヘル程の実力者からのユーベルコードだ、そう容易くは跳ね返せない。
それでも、受け切ることさえできれば、それで十分。
「呪われし剣達……わたしに、力を……っ!?」
カウンターとして放とうとした二つ目のユーベルコード、それはアンヘルの過去を操る力によって妨害される。
璃奈の全身へ、過去に浴びた傷、疾病が再現され、彼女の身体を喰らわんと襲いかかった。
気を抜けば、その一瞬で倒れかねない苦痛を、少女は歯を食いしばって耐え抜いて見せる。
(来る事がわかっていれば避けられる、耐えられる……! 後は覚悟だけ……!)
過去に受けた傷、それは全て一度は乗り越えた物だと。
ならば覚悟さえあれば、もう一度乗り越えられない道理はない。
「呪いは、わたしの力……!」
怨念の力を持ってして、その苦痛を捻じ伏せて。
アンヘルの命を狩らんと、璃奈はその両の手に持った妖刀を振るう。
その切っ先は。
「く……!」
僅かに、黒の騎士へと届かなかった。
苦戦
🔵🔴🔴
ライヴァルト・ナトゥア
貴様が過去を操ると言うなら、俺はそうなる未来を見通してみせる
(先制攻撃に対し、ユーベルコードを起動。【第六感】で敵の攻撃を予測して【2回攻撃】の手数で飛翔する斬撃を敵の攻撃に合わせて『置いて』いく。それでもかわしきれない場合は【ジャンプ】で離脱。【空中戦】で的を絞らせないように)
この世界、それなりに気に入ってるんだ
お前ら如きにはくれてやれないな
(攻撃の全てに注意を払い、【学習力】で傾向を探る。隙を見出したならば攻撃に転じる。他の猟兵がいれば、攻撃を任せてもよい)
次はこちらの番だ
俺の鎌と爪、その身で受け切れるか?
(トドメに)
貴様の魂、この俺が貰い受けた
まだ復活するのだろうが、何度だって殺してやる
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アンヘルの力を前に、傷ついた猟兵達は数多い。
しかし、彼らの攻撃の甲斐もあり、アンヘルへのダメージもかなり蓄積されている。
黒の騎士を討ち取るまで後一歩、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)は、最後のひと押しをせんと、大鎌を携え間合いを詰めていった。
そんな彼に対し、アンヘルは今まで猟兵達を苦しめてきた三種の呪剣を操り、放つ。
「《限定解放・天狼疾駆せし戦場幻景》」
呪剣がその身に届くより早く、ライヴァルトの身体を蒼狼の外装が包み込み、振るわれた右腕―――それに同化した鎌による斬撃が、一本の呪剣を弾き飛ばす。
続く二本目の軌道上へと、天狼と化した左手の爪を振るい、放射された斬撃を置いておく。
残る三本目が辿り着く頃には、彼の身体は宙高く浮き上がっていた。
「この世界、それなりに気に入ってるんだ。お前ら如きにはくれてやれないな」
普段の柔和な表情を潜め、鋭い眼光でアンヘルを睨みつける。
即座に間合いを詰め、構える剣へと、その異形となった両の手を叩きつけた。
「俺の鎌と爪、その傷を負った身で受け切れるか?」
今やアンヘルの身体で無傷の場所は、右腕と左足程度しか存在しない。
いかに彼の実力が高いと言えど、命を燃やしながら攻め抜くライヴァルトの攻撃を、片腕片足でいつまでも防げることはなく。
「貴様の魂、この俺が貰い受けた」
遂には、ライヴァルトの爪が、アンヘルの胴を貫いた。
「見事、だ……だが、私は、また、骸の海より……」
戻ってくるぞ。
そう言い残し、黒の騎士はこの場から完全に消滅する。
ライヴァルトはその身を元に戻しながら、左手を強く握りしめ。
「また復活するのなら、何度だって殺してやる」
この先もまだ続くであろう、黒の騎士との戦いを見据え、その決意を新たにするのだった。
成功
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