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カッコいい 浴衣選びの お手伝い

#カクリヨファンタズム #戦後 #碎輝 #浴衣 #夏祭り #プレイング受付終了しました

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「竜神親分碎輝から、夏祭りへのお誘いが来てます」
 雨月・雨莉(は何もしない・f03581)が持ってきたのは、相も変わらず碎輝に関わる話だった。それだけで幾人かの猟兵はああ、と察しがつく。
「あれだ、夏祭りっていうのは表向きで、要するに自分を倒して無限成長を止めて欲しいってやつだろ?」
「ま、そうなりますね」
 雨莉が肩をすくめる。それでも分からない人のために、雨莉は一応解説した。
「まあもう知ってる人も多いと思うんすけど……碎輝は『大祓百鬼夜行』で目覚めるまで、カクリヨの最奥で封印されてたんすよ。というのも、彼の持つ『最弱の状態から無限に成長してしまう』という能力のせいでカタストロフ起こしちゃう危険性があったんで」
 しかし猟兵が現れたことで状況は変わる。碎輝は倒されることで「小学生形態」となり、しばらくの間、成長が止まることが判明したのだ。なおその情報のせいでこのグリモア猟兵(ショタコン)が大変なことになったのはまた別の話というか死ぬほどどうでもいい余談である。
「と、いうわけで、皆さんには碎輝と戦って、彼を倒して欲しいんすけど……だからっていきなり闇討ちしたりするのはアウトなんすよね。碎輝は卑怯な敵に怒りを感じた時、最も無限成長が早くなるらしいんで」
 なので、倒せればなんでもいいといいわけではなく、こちらも正々堂々と戦いを挑まなければならない。そのための舞台が。
「夏祭りってわけか」
「そういうことっす」
 猟兵の呟きに、雨莉も頷いた。
「事情を知ってる妖怪が、夏祭りの体でバトル会場用意してくれたんで。猟兵と竜神親分の夢の競演! エキシビションマッチ! って触れ込みで」
 ……要するにこちら客寄せパンダかよ。猟兵達は若干呆れた。商魂たくましい妖怪もいたものである。まあ、妖怪親分の一角たる碎輝は妖怪達にも非常に慕われているし、猟兵は妖怪達から見ればカクリヨを救ってくれた英雄である。この両者が一堂に会するというのは、妖怪達にとって非常に胸躍らせるイベントなのだろう。
「ま、せっかく夏祭りの会場用意してくれたんす。実際に碎輝と戦う段になるまでは、普通に夏祭り楽しんだっていいと思うっすよ」
 会場には、金魚すくいやわたあめ、りんご飴等、夏祭りらしい出店は一通り揃っているし、通りにはずらり、提灯代わりの面と狐火が並び、カクリヨらしい幽玄な雰囲気を醸し出している。その中をそぞろ歩きするだけでも楽しいだろう。
 それでそれで! と雨莉は急に目を輝かせて、ずいっと身を乗り出した。
「碎輝にはどんな浴衣が似合うと思うっすか!?」
 ……はい?
 突然訊かれて戸惑う猟兵達。いや、確かに夏祭りには浴衣がよく似合うけども。なんで? と訊く前に、向こうがべらべら喋り出した。
「と、いうのも、会場には浴衣を取り揃えた呉服屋の出店と、隣に和小物屋の出店もあって! 浴衣一式貸し出してるんですって!!」
 熱っぽく語る雨莉に、猟兵達も彼女の魂胆を理解した。
「……つまり、碎輝に浴衣着せたいから見繕ってくれと?」
「そういうことっす」
 さすが話が早いと頷く雨莉に、猟兵達は背を向けた。
「ごめん帰っていい?」
「なんで!?」
「いやお前が推しに浴衣着せたいってだけじゃん……」
 お前の私利私欲に付き合ってられっかとため息を吐く猟兵達を、雨莉は慌てて、
「いやいや、どのみち碎輝の成長は止めなきゃだし! それに、別に碎輝の浴衣じゃなくて、自分や、友達なんかの浴衣見立てたっていいわけで! ほら今年もどうせ浴衣コンテストあるでしょうし!」
 と引き止める。その言葉に、猟兵達も足を止めた。そうか、別に雨莉の願望はガン無視で自分達の浴衣選んだっていいわけか……いずれ来る浴衣コンテストに備えて、今のうちに浴衣見繕っておくのもいいかもしれない。選んだ浴衣を着て、夏祭り会場をぶらぶらするのも楽しそうだ。
「そういうことなら……分かった」
 再び雨莉の方に向き直る猟兵達に、彼女は安堵の表情を見せた。
「よかった、碎輝の浴衣見立ててくれるんすね……」
 そこまでは言ってない。言ってないが、彼女は、
「……それなら、その……お願いがあるんすけど」
 とモジモジしだす。
「なんだ?」
「できるだけ、カッコいい浴衣見繕ってもらえると嬉しいなあって……ほら、碎輝ってカッコいい話好きだし……喜ぶんじゃないかって」
 確かに、彼はカッコいい談義にはノリノリで乗ってくる竜神。カッコいい浴衣選びにも乗り気かもしれない。でも、と猟兵達は口を開いた。
「……いくらカッコいい浴衣選んでも、倒したらどうせ小学生形態になっちゃうよな?」
「ええ、なんで小学生形態用にも選んでおかないとですね甚平とか似合うかなふへへへ」
 妄想して涎垂らしている雨莉にダメだコイツ、と冷たい目線を向けながら、猟兵達は夏祭り会場に赴いたのだった。


ライ麦
 ライ麦です。すみません、私が碎輝に浴衣着せたかっただけです。マジで私の私利私欲100%ですが、よろしければお付き合いいただけると嬉しいです。なんなら碎輝ガン無視で自分や友人、恋人なんかの浴衣選んでいただいても構いませんので!

 以下、特に必要ない気がしますが簡単なまとめです。

●第一章
 碎輝と一緒に夏祭りを楽しみます。浴衣を取り揃えた呉服屋の出店がありますので、浴衣コンテストに備えて浴衣選びなどいかがでしょうか。
 無理に浴衣選ばなくても、普通に夏祭り楽しむだけでもOKです。呉服屋の出店以外にも、一般的な祭りの出店で売っているものはあると考えていただいて大丈夫です。
 また、第一章に限り碎輝ガン無視のプレイングでも可とします。特に碎輝に関わらず、浴衣選んだり夏祭り楽しんでもよし。お好きにどうぞ。(※第二章ではちゃんと戦ってください)

●第二章
 碎輝の無限成長を止めるべく、彼と戦って勝利してください。
 浴衣で戦っても、それ以外でもどちらでも構いません。
 事情を知ってる妖怪がバトル会場用意してくれたので、周辺の被害とか気にしなくて大丈夫です。見物の妖怪達は安全な場所から見てますので、思いっきり派手にやっちゃいましょう!
 倒された碎輝はダウンして、しばらく成長しない「小学生形態」に変形します。……のでたとえ前章でカッコいい浴衣選んでくださってたとしてもたぶん脱げますね()。それを見越して小学生形態用にも浴衣選んでおいてくださると私が喜びますがまあなきゃないでなんとかするので大丈夫です。

 それでは、皆様の素敵な浴衣(プレイング)を心よりお待ちしております!
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第1章 日常 『幽衣祭』

POW   :    お祭り、お祭り、お祭りだ!

SPD   :    浴衣見立ても悪くない

WIZ   :    面を被って妖怪の仲間入り

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亞東・霧亥
【UC】
紺の甚平(ビーチサンダル、頭に狐のお面、右手にリンゴ飴、左手に水風船のヨーヨー)姿のショタ現る。

碎輝にカッコイイ浴衣?
それならナックルに行こう。
捻り鉢巻にグラサンの店主が対応してくれるから安心だ。
「始めるぞ兄ちゃん。まず上着を脱いで裸になれ。寸法を測ったらサラシを巻いて足は地下足袋を履くんだ。」
誠に残念ながら撮影禁止だ。

試着室から出てきたのは、どこから見ても特攻隊長でした。
特服風浴衣、黒一色の黒地に白字で色々(*)書いてある。

素材が良いから何でも似合う。
今日の特別ステージでも映える事間違いなしだね。

*竜神卍会とか小学生形態上等とか?何が書いてあるかは、天に任せよう。



「碎輝にカッコイイ浴衣? 任せろ。見立ててやる」
 そう言って現れたのは、紺の甚平にビーチサンダル、頭に狐のお面、右手にリンゴ飴、左手に水風船のヨーヨーと完璧な夏祭りのショタ(初夏)の王姿の亞東・霧亥(峻刻・f05789)だった。脳内で着せた結果けっこう似合ってたので誰かイラスト化してください(自分でやれ)。
 ともあれ、もう【屍山血河(シザンケツガ)】で変身した姿を見慣れすぎて、秒で霧亥と理解した碎輝は、「カッコイイ浴衣? 見立ててくれるのか、なんか照れるな~」と頭を掻きながら、素直に霧亥の後について、呉服屋の出店に入っていく。色とりどりの浴衣が並び、見た目にも華やかな店内では、なんかいかつい捻り鉢巻にグラサンの兄貴が腕組みをして待ち構えていた。店主……なんだろうか。なんとなく雅なイメージのある呉服屋にはややミスマッチな気もするが、まあもしかしたら繁忙期で手が足りずに雇われたアルバイトなのかもしれないし。特に気にせず、霧亥は話しかけた。
「このイケメンに似合う浴衣が欲しいんだ」
「おお、これは珍しい! ずっと封印されてたっていう、竜神親分の兄ちゃんじゃねぇか」
 グラサン兄貴は碎輝の姿を認めると、破顔一笑して言う。やはり妖怪親分はカクリヨの有名人らしい。かの親分の浴衣を任されるなんて、気合入るなと兄貴は腕まくりした。
「よし、なら早速始めるぞ親分。まず上着を脱いで裸になってくれ。寸法を測ったらサラシを巻いて足は地下足袋を履くんだ」
「ああ、分かった!」
 碎輝もノリノリでバッといつもの上着に手をかけて――おっと、誠に残念ながらここからは撮影禁止だ。各々の脳内イメージでお楽しみください。

 数分後、「どうだ!?」と意気揚々と試着室から出てきたのは、どう見ても特攻隊長だった。胸元にサラシを巻いた、黒一色の黒地の浴衣。背中には黄金の昇竜が輝き、袖や裾には白字で「竜神親分」とか「無限成長」とか「小学生形態上等」とか色々書いてあっ……誰だよ最後の一文書いたヤツ。(※メタ的にはプレイング書いた人です)
 どうにもカッコいいを履き違えてるような浴衣だがしかし、それを見た霧亥は満足そうに頷いた。
「素材が良いから何でも似合う。今日の特別ステージでも映える事間違いなしだね」
 そうなのだ。悲しいかな、こんなギャグみたいな浴衣でも元の素材がいいから似合ってしまう(作者が脳内で着せた結果)。いや、これから戦うことを思えば、むしろピッタリな浴衣なのかもしれない……。
 褒められた碎輝は、「そうか、確かにちょっと変わってるけどカッコいいよな、この浴衣!」と嬉しそうに鏡の前でポーズをとっていた。
 ところで私見ですが、黒地より白地の方がより碎輝に似合うような気がしました(私信)。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
(エリンの浴衣は黒色…碎輝親分は虹色の浴衣で見立てた)
良し、浴衣はこんな感じでしょう!
『これはマスターのセンスだからね…お気に召しましたでしょうか?』エキドゥーマ、それどうゆう事だ?…そうだ、碎輝さんの今日の屋台の食べ物はどんな気分ですか?
例えば、ヘビーカステラが食べたいなー!みたいな(両腕を高く上げながら)
え?ベビーカステラって何?ですか…
じゃあ、食べに行きましょう!
はちみつ味とか色んな味があるんですよ!
さあ、早く行きましょう!(満面の笑み)
ベビーカステラ美味しいですか!良かった!私外道を地獄送りにする以外にベビーカステラを食べるのが好きなんです!
これからは毎年食べましょう!
楽しみだなぁ!



「良し、浴衣はこんな感じでしょう!」
 エリン・エーテリオン(転生し邪神龍と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)は一歩下がって全体を見、満足そうに頷いた。そこにはエリンが見立てた虹色の浴衣を着た碎輝が立っていた。彼女自身は黒色の浴衣だ。
『これはマスターのセンスだからね……お気に召しましたでしょうか?』
 エリンの持つダサい形のスマホから声が響く。アァン? と元ヤンらしく凄みをきかせて、エリンはスマホを覗き込んだ。
「エキドゥーマ、それどうゆう事だ?」
『別に。言葉通りの意味だ』
 スマホの画面の中では、白き長髪に黒い蝶の髪飾りをした女の子がすまし顔をしている。憮然とした顔でそれを眺めている彼女を横目に、碎輝はそうだなぁ、と自身の着ている浴衣の裾や袖を見やった。
「なんというか……派手で目立つな! 花火みたいでいいじゃないか!」
 実際、七色の鮮やかな浴衣は目を引く。これなら、夜闇の中でもはぐれる心配はなさそうだ。碎輝の返答にホッと息を吐いたエリンは、つと夏祭りのさざめきに目を向けた。提灯代わりの狐火が揺らめく中、そこかしこの屋台で元気な呼び込みの声が響いている。焼きそばにたこ焼き、焼きとうもろこし……それらを手にした妖怪達が楽しそうに通りを行き交う姿を見ていたら、こちらもお腹が空いてきた。そうだ、夏祭りの楽しみの一つは屋台の食べ歩きだ。エリンは勢い込んで尋ねた。
「そうだ、碎輝さんの今日の屋台の食べ物はどんな気分ですか?」
「どんな気分……って?」
「例えば、ベビーカステラが食べたいなー! みたいな!」
 大きく両腕を広げる彼女の前で、碎輝はきょとんとした顔をしている。
「ベビーカステラ……って何だ?」
「え? そこから……ですか?」
 エリンは驚愕と落胆に腕を下ろした。けれど、考えてみれば相手はずっと封印されていた竜神。知らないのも無理はない。気を取り直してエリンは彼の腕をとった。
「じゃあ、食べに行きましょう! はちみつ味とか色んな味があるんですよ! さあ、早く行きましょう!」
 百聞は一見に如かず。あれこれ説明するより食べた方が早いと、満面の笑みを浮かべて手を引く彼女に半ば引っ張られるように、碎輝はややもつれた足で後についていく。目的のベビーカステラの屋台を見つけたエリンは、はちみつやカスタード、チョコ、抹茶等、様々な味を買い求め、彼に差し出した。
「はい、これがベビーカステラです! どうぞ!」
「へぇ、これがベビーカステラってやつか」
 袋から取り出し、しげしげと眺めた後、パクリと口に放り込む。途端に瞳が輝いた。
「……なんだこれ、甘くて美味いな!」
「ベビーカステラ美味しいですか! 良かった! 私外道を地獄送りにする以外にベビーカステラを食べるのが好きなんです!」
 エリンもまた破顔する。ベビーカステラを頬張り、笑顔のまま続けた。
「これからは毎年食べましょう!」
「……ああ、猟兵達のおかげで俺も、ほどほど最弱でいられてるからな!」
 きっと来年も、その次の年も食べられるだろうと碎輝は顔を綻ばす。エリンはますます笑みを深め、次のベビーカステラに手を伸ばした。
「そうか、楽しみだなぁ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

豊水・晶
アドリブ◎
浴衣より甚平のほうがお似合いな気がします!(ドドン)
ゆったりした浴衣というよりは、甚平と捻じり鉢巻きで駆け回ってそうなイメージがあるので。
甚平と捻じり鉢巻き、草履にどっかその辺で買ったお面を頭の横につけましょう。
パーフェクトじゃないでしょうか?
これでお神輿でも担ぎに行ってもらえれば、汗が眩しいイケメンの出来上がりです。

(手ぬぐいとサイダーをスッと渡しつつ)
お疲れ様です。楽しんでいますか?
ああ、手ぬぐいはこちらで預かりますので、思う存分楽しんできてくださいね~。(とりあえず回収はしたので、正直に返すか郵送するかはお好みで)

私は仕事が済んだら浴衣でまったり食べ物屋台を制覇しに行きます。



「浴衣より甚平のほうがお似合いな気がします!」
 ドドン! と豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)は紺の甚平を掲げて碎輝の前に立った。
「ゆったりした浴衣というよりは、甚平と捻じり鉢巻きで駆け回ってそうなイメージがあるので」
「なるほど。確かに浴衣より動きやすそうでいいな!」
 晶の差し出した甚平を手に取り、感心したように言う碎輝。なら、と晶は加えて捻じり鉢巻きと草履、さらにどっかその辺で買ってきた狐の面を彼の頭につけ、頷いた。
「うん、パーフェクトじゃないでしょうか? これでお神輿でも担ぎに行ってもらえれば、汗が眩しいイケメンの出来上がりです」
「神輿か! よしちょっと行ってくる!」
 晶のコーディネートに碎輝も満足。通りに飛び出し、たまたま通りがかった神輿の列に向かって、「ちょっとそれ担がせてくれ!」と手を挙げている。
「えっ親分自ら??」
「竜神親分を祀る神輿なのに??」
 神輿を担いでいた妖怪、それに竜神達は面食らったように立ちすくんでいる。偶然にも竜神親分を祀る神輿だったらしい。かつて地球の邪神を滅ぼした竜神の、さらにその親分たる彼は、どちらかというと神輿を担ぐより担がれる立場なのだろう。だが、碎輝は特に気にした様子もなく、
「ああ、神輿に担がれるより、神輿担いだ方が強くなれそうだからな!」
 と頷いている。晶の提案に乗ったのは、そういう事情もあったのだろう。そういうことなら、と担ぎ棒を譲った妖怪に礼を言って列に加わった彼は、ワッショイワッショイと楽しげに通りを練り歩いている。その動きと熱気に、きらめく汗の飛沫が飛び散る。晶の見立て通りだ。やがて、
「あ~、いい汗かいた!」
 と満ち足りた笑みで戻ってきた彼に、晶はスッと手ぬぐいとサイダーを差し出した。
「お疲れ様です。楽しんでいますか?」
「おっ、気が利くな!」
 受け取った碎輝は美味しそうにサイダーを飲み、手ぬぐいで汗を拭っている。あらかた飲み終わり、汗も拭き終わった彼は、手ぬぐい片手に笑顔を向けた。
「ほんとありがとな! 手ぬぐいは後で洗って返……」
「ああ、手ぬぐいはこちらで預かりますので」
 言い終える前に、晶はさっと手を出した。
「いいのか? 何から何まで、なんか申し訳ないな……」
 頭を掻きつつ、それならお言葉に甘えて、と素直に手ぬぐいを渡す。碎輝の使用済み手ぬぐいをしっかり回収した晶は、笑顔で手を振った。
「まだまだ祭りは続きますし、思う存分楽しんできてくださいね~」
「ああ、晶もな!」
 軽く手を挙げて答えた彼は、竜の尾を振りながら祭りの喧騒に消えていく。それを確認し、晶はさて、と手中にある手ぬぐいを眺めた。碎輝の汗が染みこんだ手ぬぐい、これを送ったら。
(「雨莉ちゃんはどんな反応するでしょう?」)
 ふふ、と一人ほくそ笑み……もとい、悪戯な笑みを浮かべた。ある意味貴重なアイテムと祀るか、「いやいくら推しでも、さすがに使用済みの手ぬぐいは……」と返送してくるか。色々想像するのも楽しいけれど。
(「まあ、仕事は済んだことですし。私も浴衣でまったり、食べ物屋台の制覇にでも行きましょうか」)
 手ぬぐいをしまい、晶は浴衣姿でゆったりと歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。

イラスト:108

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 浴衣を見立て、各々夏祭りを楽しんでいた猟兵達。その耳に、中央にあるスピーカーからアナウンスが聞こえてきた。
「さあ、次はいよいよお待ちかね! 最弱にして最強の竜神親分碎輝VSカクリヨを救った英雄、|猟兵《イェーガー》の夢の対決だぁー!! 対戦者、並びに観覧者は指定の場所へどうぞ!」
 ……どうやら始まったらしい。ノリノリなアナウンスに半ば呆れつつ、猟兵達は係員の誘導に従い、設けられたステージに急ぐ。そこには、盆踊りのやぐらを思わせる、紅白の垂れ幕と色とりどりの提灯で飾られた巨大なステージ台が鎮座していた。どうやらこの上で戦うらしい。まあ、ステージの上には障害物もなし、観客も十分に離れたところから声援を送っている。戦うのに支障はないだろう。どうせ即席のステージだ、やり過ぎてぶっ壊しちゃっても文句は言われまい。むしろ盛り上がるかもしれない。
「よお、来たな猟兵!」
 ステージ上から声が響く。見ると、先ほど猟兵が選んだ浴衣を着て、槍を構えた碎輝がそこに立っていた。彼も気合十分なようだ。槍を突きつけ、碎輝は言い放つ。
「さあ、浴衣で派手に祭りといこうぜ!」
※マスターより

 始まりました、第二章、碎輝とのバトルです!
 特に注意事項とかないので、思いっきりどうぞ! 第二章からの飛び入り参加も大歓迎です! ぜひ浴衣で!(※浴衣でなくてもオッケーです)
 第一章参加してくれた方の場合、碎輝はその方が選んでくれた浴衣or甚平を着て戦うものとします。そうでない場合は、第一章で見立ててくださった浴衣or甚平のうちどれかを私が選んで着せて戦わせます()。
 もし第二章からの参加の方で、碎輝にこんな浴衣を着せたい! という要望があればプレイングでどうぞ。基本着せます()。
 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
エリン・エーテリオン
ちょっと待ったー!
声が聞こえるが突然電気が消える
そして一番高い建物にライトがつく
死んで気づいたら何故かラスボスに…だけど人間時代と変わらない…外道と下衆は地獄行き!普通の人には丁寧挨拶!皆さんお初にお目にかかります!新米猟兵エリン!ここに見参!その後会場中に虹の炎が出て盛り上がった
碎輝との勝負は互角だったが、槍から放つ雷竜で私はそれに飲まれた…
エキドゥーマが(演技で)私を身を案じる声を出す
碎輝は突然吹き飛ばされた。
歌舞伎の名乗りの様に虹炎龍神と名乗った。
追撃形態の虹の炎に驚く碎輝だったが立て直し攻撃を仕掛けてくる龍神形態は攻撃特化にしたので互角だ。
最後は大技をぶつけ合いお互い倒れていたのだった



「ちょっと待ったー!」
 突然、どこかからエリン・エーテリオン(転生し邪神龍と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)の声が響き渡った。同時に灯りも消え、何事かと観覧の妖怪達がざわざわし始める。と、やぐらのてっぺんにポッと、まるでスポットライトのように狐火が灯った。そこには、腕を組んで仁王立ちするエリンの姿があった。
「死んで気づいたら何故かラスボスに……だけど人間時代と変わらない……外道と下衆は地獄行き! 普通の人には丁寧挨拶! 皆さんお初にお目にかかります! 新米猟兵エリン! ここに見参!」
 彼女が口上を述べ終わると共に、会場中に虹の炎が噴出する。
「うおおお!」
 トップバッターにふさわしいド派手な登場に、会場の熱気は(虹の炎で物理的にも)最高潮に達する。
「とうっ!」
 そのままやぐらから飛び降り、宙で一回転してステージに降り立つエリン。彼女が選んだ虹色の浴衣を纏った碎輝が、感嘆の声を上げる。
「さすが猟兵、最高にカッコいい登場の仕方だな!」
「お褒めいただき、ありがとうございます!」
 丁寧に礼を述べたエリンはしかし、その言葉とは裏腹に虹炎のオーラを纏った拳を碎輝に突き付ける。
「さあ、ここからはお互い遠慮は無用。力いっぱいやり合いましょう!」
「ああ、望むところだ!」
 碎輝もまた、力強く頷いて槍を構えた。刹那、二人は激しくぶつかり合う。エリンの拳が碎輝をとらえたかと思えば、彼の槍が閃き、彼女の肌に赤い筋を残す。負けじと繰り出す蹴りは碎輝の急所に入り、思わず体をくの字に曲げるも、その姿勢すら利用しての突きがエリンの体勢を大きく崩す。息もつかせぬ二人の攻防は、互角に見えた。しかし、相手は無限に成長する竜神。次第に碎輝の動きは洗練され、攻撃は手数と威力を増し、少しずつエリンは劣勢に追い込まれていく。
「まだまだぁ!」
 それでも諦めずに放った拳は、碎輝の手にガッチリと掴まれた。
「やるな! なら、こんなのはどうだ?」
 ニヤリと、不敵に笑った彼の槍がバリバリと雷を纏う。エリンの拳を握ったまま、碎輝は槍を振るい、至近距離から雷を浴びせた。
「かはっ……!」
 思わず膝をつくエリン。彼女のスマホから、案ずるような声が響いた。
「マスター!? 大丈夫か!? しっかりしろ!」
 エキドゥーマの声をよそに、碎輝は勝ち誇ったように槍を担いだ。
「勝負あったな! 今回は俺の勝ちみたいだ。でも、いい戦いだっ――」
 その言葉が終わらぬうちに、突然ステージの端まで吹き飛ばされる碎輝。
「な……なんだ!?」
 狼狽える彼の前で、ゆらりとエリンが立ち上がった……龍の腕と翼を備えた姿で。
「知らざあ言って聞かせやしょう……我が名は虹炎龍神」
 まるで歌舞伎の名乗りのように見得を切るエリン。先ほどのエキドゥーマの案じる声は演技だ。マスターがこれぐらいでくたばるようなタマじゃないことはよく知っている。驚いていた碎輝も、よろよろと立ち上がった。
「虹炎龍神……龍神、か。なら、竜神親分として負けるわけにはいかないよな!」
 碎輝が吼える。その姿は黄金の竜へと変化し、空へと舞い上がった。その後を追うように、エリンもまた飛び上がる。
「こいつで幕を引いてやる!」
 飛び上がりざまに放つ拳は、ユーベルコード【虹炎覇天轟破如来拳(コウエンハテンゴウハニョライケン)】。怒涛の勢いで繰り出されるそれは、碎輝の体に着実に傷とダメージを負わせていく。しかし、彼の方も負けじと、最初は弱くとも次第に威力を増す電流を放ち続ける。防御を捨てて攻撃に特化しているエリンは、まともに正面から電流を食らい続ける形になっており、どちらが勝つのか本当に読めない。観客達はハラハラしながら戦いの行方を見守った。
「これで、トドメだ!」
 碎輝がひときわ強く輝く電流を放つ。
「それはこっちの台詞だぁ!」
 エリンが大きく拳を振りかざし、碎輝に肉薄する。交差する二人。互いの攻撃は当たったように見えた。果たして、どちらが勝ったのか……思わず瞳を閉じた観客が、おそるおそる閉じていた目を開く。そこにはステージ上でお互いに倒れている二人の姿が映っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

亞東・霧亥
特設ステージに碎輝。
ドラゴンリングインしたら面白そうだが、天は知らないだろうな。

手に黒の浴衣と対になる白の浴衣を持って入場。
店主がコッチのが絶対良いと言うので持ってきた、交換しよう。

【UC】
武器を場外へ『投擲』
碎輝を『挑発』
黄金竜に変身?
おいおい、お互いに特服着たなら素手で喧嘩が相場だろ。
悠然と空を泳いでないで降りて来い。
お前(|『功夫』『怪力』『部位破壊』《拳を打ち合わせて臨戦態勢》)日和ってんのか?

槍の名手が体術は出来ねぇとか流石に無いと思いたい。
ま、一切負ける気は無いのでボッコボコにしてやろう。



「店主がコッチのが絶対良いと言うので持ってきた、交換しよう」
 亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、先ほど碎輝に見立てた黒の特服風の浴衣と対になる、白の浴衣を持って入場した。
「おっ、そうなのか」
 相手が霧亥と見て、律儀に彼が選んだ浴衣に替えてきた碎輝が立ち止まる。そういうことなら、と交換に応じ……暫しの着替えタイムを経て、意気揚々と碎輝はコーナー最上段から颯爽と飛び降りてリングインした。向き合う白と黒。うんやっぱりこの方がしっくりくる(私見)。……は置いといて。碎輝に代わって、黒の特服風の浴衣(※小学生形態上等とか書いてあるけどいいの? あらぬ誤解を受けそうだが)に身を包んだ霧亥がツッコむ。
「いやなんでそっから入った?」
「えっ、この方がカッコいいと思って……」
 若干イミフなやりとりをしつつ、まあいいかと碎輝はパシンと掌を拳で打った。
「さあ、手加減は無用だ! 最初から本気でいくぞ!」
 言うなり碎輝は体に雷を纏い、無限に成長を続ける黄金竜の姿に変身する。そのまま、弾丸のように空に飛び立った。どうやら変身したことで増大したスピードを活かし、上空より急降下による体当たりを食らわせることで、大ダメージを与える算段らしい。宙で羽ばたきしながら、機を伺う碎輝の前で霧亥は――武器を場外へ投げ捨てた。
「……!? えっ!?」
 自ら隙を作るような動作に、碎輝はかえって虚を突かれ戸惑う。霧亥は拳を打ち合わせて臨戦態勢をとった。
「黄金竜に変身? おいおい、お互いに特服着たなら素手で喧嘩が相場だろ。悠然と空を泳いでないで降りて来い。お前、日和ってんのか?」
 ユーベルコード【破壊の権化(ハカイノゴンゲ)】。その挑発はよく効いた。
「日和ってる? んなわけないだろうが!!」
 怒りに任せ、猛スピードで突っ込んでくる黄金竜。振りかざされた爪を、ギリギリと相手の手と自分の手を組ませて押しとどめつつ、霧亥はさらに挑発する。
「槍の名手が体術は出来ねぇとか流石に無いよな?」
「当たり前だ! 猟兵と素手で殴りあったことだってあるぞ!」
「そうか、なら遠慮はいらないな」
 霧亥は拳を握った。そして思いっきり振りかぶった。それは振りかざされた爪に命中し、粉砕する。
「は……」
 砕かれた竜の爪を、呆然と眺める碎輝。その隙に霧亥はさらに拳の雨を浴びせる。着ている特攻服……風の浴衣に相応しい(?)ステゴロの猛攻だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
 妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



「さあ盛り上がって参りました! 次は誰が出る!?」
 相変わらずノリノリなアナウンスの前で、
「アタシの力が入用かい? なら、行くかね」
 と数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が進み出る。かつて浴衣コンテストの告知を担当したこともある彼女らしい、向日葵の浴衣で。
「じゃあ、私も行きますね」
 ふわふわの狐尻尾を揺らし、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)も微笑む。緑の木の葉舞う、優美な浴衣姿だ。ステージに上がった二人を見、碎輝は気合十分で拳を叩いた。
「二人がかりか! いいぜ、まとめてかかってこい! ……ていうか、浴衣似合うな」
「そうかい、ありがと! そっちは……なんというか、個性的な浴衣だねぇ……」
 多喜はじっと碎輝の浴衣を眺め、呟く。先の霧亥との戦いから着替えてない彼は、白の特攻服風の浴衣のままだった。『小学生形態上等』とか書いてあるし、なんじゃこりゃ。若干彼のセンスを疑う多喜を横目に、スピネルはにこにこと微笑んだままだった。
「うん、ちょっと変わってますけど、かっこいいです」
 温厚で、他人に対しても友好的な彼女らしい。多喜はちょっと目を剥いたが、碎輝は素直に照れた。
「そうか? これ、さっき戦った猟兵が交換してくれたんだ」
 ……つまりこれは碎輝のセンスではなく、さっきまで戦ってた猟兵のチョイスなのか。すごいの考える猟兵もいるもんだなぁと頭を掻きつつ、多喜は面を上げた。
「まあいいや。要は碎輝を倒せばいいんだろ? 簡単だね」
 いつもはたとえ敵であっても、相手の行動原理を理解してはじめて次の行動に入る彼女だが、碎輝の行動原理は至極単純で、目的もはっきりしている。ならごちゃごちゃと考える必要もないだろうと、多喜は宇宙カブに跨った。
「さあ、どんどんいくよ!」
 障害物もない広いステージでは、思いっきりカブで走り回っても支障はあるまい。多喜はエンジンをふかし……。
「ああ、でも俺だってただでやられるつもりはないぜ!」
 すかさず碎輝が雷を纏い、黄金竜に変身する。電光石火、彼は瞬時に多喜の前から掻き消えた。
「な!?」
 消えたと思えば、また別の場所に出現する。無限に成長を続ける黄金竜に変じ、爆発的な速度を手に入れた彼の軌跡を追うことは容易ではない。目まぐるしく辺りを見回す彼女を嘲笑うように、碎輝は死角から鋭い爪を素早く振り下ろし……。
「ここは私に任せてください。さぁ、狩りの時間ですよ」
 スピネルが浴衣の柄と同じように、木の葉を降らせる。その木の葉は、スピネルや多喜の姿を覆い隠した。
「何!?」
 突然多喜を見失った碎輝が狼狽える。しかし、驚きはこれでは終わらない。ステージ上に突如として、メキメキと音を立てて巨木が生えてくる。一本だけではない、何本もだ。次々に生えてくる草木はやがてステージを覆いつくし、広大な森を形作る。
「な……なんじゃこりゃあ!?」
 碎輝だけではない、観覧の妖怪達も目を見開いた。
「クッ、これじゃあ……」
 碎輝がほぞを噛む。広大な森と化したステージの中で、二人を見つけるのは至難の業だ。それでもしらみつぶしに木の陰や茂みを覗き込み探している彼を尻目に、難を逃れた多喜がホッと息を吐いて礼を述べる。
「ありがと、助かったよ!」
「どういたしまして」
 柔らかな笑みを浮かべるスピネル。今度はアタシの番だね、と多喜は木を背に隠れ、隙を伺った。広大な森はカブで走り回るには向いておらず、若干機動力は落ちるが問題ない。こちらの姿が相手からは見えていないというのは、それを補って余りあるアドバンテージだ。息を殺して少しずつ近づき、碎輝が射程範囲内に入ったところで……多喜は彼の背に向かって手を伸ばした。
「それじゃ、ちょっと痺れててもらおうかな!」
 彼女の掌から、電撃が迸る。振り向く間もなく、碎輝はマヒしてその場に倒れたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リュカシオン・カーネーション
アドリブOKカオス注意
明けましてメリーハロウィンー!お菓子と鏡餅とプレゼントよこせやー!
(サンタ帽子が付いたかぼちゃの被り物に袴を着てカオスシャークに乗って登場ついでにアナウンスマイク強奪)《混ぜすぎです!?》(雨莉さんは「不審者?!」)
おうおう、碎輝親分、アンタ本当にハジケてるのかい?《…何言ってるんですか?》
碎輝はノリノリで乗ってくれている
いざ勝負!決闘の開始を宣言しろ!アズリエル!『でゅえる、かいしー』《アズリエルさん?!》
5キムチ!対して碎輝はラーメンの麺3本
むっ…これではラーミアが使えない!
追い打ちに碎輝は煮込みハンバーグの切れ端を出す。
しまった!?ラーハンコンボか!
こうなったら一か八か墨汁じゃー!
碎輝は動揺するも振り子でぶつかり合う…「『アイザック・エスター!」』
…流石ですね碎輝親分、だがウチの勝ちです。
碎輝は何処か清々しいそうだ
互いに握手を交わした。
会場は歓声で溢れている。
《…一ついいでしょうか?》
何?アロナちゃん
《勝負は?!何ですか?今の!》
二人とも知らねと言ったのだった



「明けましてメリーハロウィンー! お菓子と鏡餅とプレゼントよこせやー!」
 ――それは青天の霹靂だった。突然、サンタ帽子が付いたかぼちゃの被り物に袴を履き、カオスシャークに乗って登場したリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)が、ついでにアナウンスマイクを強奪して叫んだのだ。一個も季節合ってない。こんなに盛り盛りなのに一個も季節合わないって逆に奇跡なんじゃないだろうか。呆気にとられている碎輝と妖怪達に代わって、彼女のペンダントからツッコミの声が響いた。
「混ぜすぎです!?」
 それには気を留めず、リュカシオンはマイク片手にグイッと碎輝に迫る。
「おうおう、碎輝親分、アンタ本当にハジケてるのかい?」
「……ああ、気合は十分だぜ!」
 正直何言ってるのか全然分からなかったが、とりあえず碎輝は親指を立てた。いつの間に着替えたのか、虹色の浴衣姿で。
「よろしい。ならばいざ勝負! 決闘の開始を宣言しろ! アズリエル!」
「でゅえる、かいしー」
 まるで生きているかのように蠢く、龍の翼の形の鎌と龍の尾の形の鎖を備えた鎖鎌からやる気なさそうな声が響く。
「アズリエルさん?!」
 またもペンダントから声が聞こえた気がした。しかし、決闘開始と言われた碎輝の目は爛々と輝く。
「よし、行くぜ!」
 意気盛んに槍を突き出した碎輝に対し、リュカシオンは……5個のキムチを出した。
「5キムチ!」
「えっこれって食い物出す勝負!?」
 目を剥いた碎輝の動きが止まる。
「やべえさっき買ったりんご飴もわたあめも焼きそばも全部食い尽くした……!」
 頭を抱える彼を支えるべく、咄嗟に観覧の妖怪がステージに上がってきた。流石、妖怪達に非常に慕われている妖怪親分衆が一角である。
「親分! よかったらこれを! 食いかけだけど!」
 スッと差し出す器には……ラーメンの麺が3本残っていた。食いかけというか、ほぼ食べ終わっている。でもこれしかない。碎輝は礼を言い、半ばヤケクソで場に出す。
「むっ……これではラーミアが使えない!」
 対するリュカシオンは考え込んだ。
「……よく分からないが効いてる……のか?」
 呆然と呟く彼をさらに支えるべく、別の妖怪がステージに上がってきた。
「親分! よかったらこれも! 俺の食いかけだけど!」
 器には煮込みハンバーグの切れ端が入っていた。……ていうか、煮込みハンバーグの屋台なんてあったんだ。まあ、カクリヨだしなんでもアリだよな……。
 とりあえずさっきのは効いたっぽいので、追加でそれも場に出す碎輝。今度はリュカシオンが頭を抱える番だった。
「しまった!? ラーハンコンボか!」
「……バズリトレンディがたまにやってる、デュエリストブレイドみたいなもんか?」
 全然分からないが、分からないなりに場を理解しようとした彼は、親分仲間が開発したTCGで遊んでいる光景を思い浮かべた。こう、言ってることとか用語がそれっぽい。それには答えず、リュカシオンはドンと墨汁のボトルを置いた。
「こうなったら一か八か墨汁じゃー!」
「食い物を出す勝負じゃなかったのか!?」
 動揺する碎輝。彼を支えようと、100年使われた大きなのっぽの振り子時計の付喪神妖怪が、のしのしとステージに上がってきた。
「親分! よかったらこれを使ってくれ!」
 ぱかりと腹部のガラス戸を開け、振り子を取り出す。
「ああ、恩に着る!」
 とりあえずなんか出さないといけない。碎輝はありがたく受け取り、振り子でぶつかり合う。
「『アイザック・エスター!」』
 ……今の誰の声? っていうか技名? という書き手の疑問は置き去りにして、リュカシオンは目を閉じた。
「……流石ですね碎輝親分、だがウチの勝ちです」
「まずルールを説明してくれ」
 すごく今更なツッコミをする碎輝。全然清々しくなさそうだった。会場は困惑の声で溢れている。
「……一ついいでしょうか?」
 彼女のペンダントからも声が響く。
「何? アロナちゃん」
「勝負は?! 何ですか? 今の!」 
「知らね」
「マジで知らねぇ……」
 あっけからんと答えるリュカシオンと、ガックリと肩を落としている碎輝。登場した時と同じように、カオスシャークに乗って退場していく彼女の背を眺めながら呟いた。
「……あのワケの分からなさ、バズリトレンディといい勝負だな……」
 バズリトレンディとぶつかった方がよかったかもしれない。

大失敗[評価なし]

豊水・晶
さあさあ、お仕事のお時間ですね。
まあ、とわ言ってもお祭りです。張り切って楽しんでしまいましょう。

ふふっ、碎輝くんは少しお疲れ気味ですか?でも、それでも立ち上がってくるとカッコいいですよね。嗚呼、カクリヨですし少し羽目を外してもいいですよね。相手は碎輝くんですし。
というわけでUC発動。
お互いに龍の姿で対峙して、大技の準備に入ります。
最初の方は結界術やオーラ防御で防いで後半は覚悟で耐えます。

ッ!痛いですけどまだいけます!。
さあ!これが私の全霊です!受けられるものなら受けてみなさい!神罰付与して攻撃。

終わったら錦鯉が泳ぐ川をデザインした浴衣に包まって落ちてきます。
アドリブや絡みなど大歓迎!



「さあさあ、お仕事のお時間ですね」
 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)はステージに上がり、浴衣をたすき掛けにして力こぶを作る。
「まあ、とは言ってもお祭りです。張り切って楽しんでしまいましょう」
「ああ、そうだな!」
 晶が選んだ甚平に着替えてきた碎輝も力強く頷く。しかしこれまでの猟兵達との戦いで息は上がり、顔にも疲労の色が滲んでいた。それを見てとり、晶は微笑む。
「ふふっ、碎輝くんは少しお疲れ気味ですか?」
「お疲れ? バカ言うな、俺はまだまだやれるぜ!」
 口では強がり、槍を横向きに構える碎輝。晶は柔らかな笑みをたたえたまま言った。
「そうですか。でも、それでも立ち上がってくるとカッコいいですよね。嗚呼、カクリヨですし少し羽目を外してもいいですよね。相手は碎輝くんですし」
 すっと晶の、左右で色彩異なる美しき瞳が閉じられる。そのまま両手を開き、詠唱した。
「――人の世は、いつも水から始まる」
 瞬間、清浄なる水柱に包まれた晶の姿が、白銀の神々しき龍の姿へと変化する。水湧き出る水晶と、それを水源とする川の神の、真の姿。その姿に、碎輝は唸った。
「なるほど……晶の真の姿か。カッコいいな! なら、俺も竜の姿でいかせてもらうぜ!」
 彼もまた、一瞬の煌めきのうちに黄金の竜の姿を晒す。バサリと翼を広げ、吼えた。
「さあ、尋常に勝負だ!」
「望むところです!」
 真っ直ぐに相対する、二体の龍。先手をとったのは碎輝だった。広げた翼をはためかせ、空へと飛び立った彼が、上空から雨のごとく、煌めく電流を放ち続ける。尤も、その勢いは弱い。晶が張った結界、そして周囲に展開したオーラで十分に凌ぎ切れるほどに。だが、何度も碎輝と戦った晶には分かる。彼の放つ電流が、この程度では済まないことを。現に、張った結界もオーラも、ピシピシと嫌な音を立て始めている。降り始めは弱かった雨が、やがて白くけぶる豪雨となって、何もかもを押し流す濁流になるように。いずれこの防御も破られるだろう。分かっていたから、晶は覚悟した。覚悟して、その瞬間に備えた。やがて、晶の読み通り。パリンと大きな音を立てて、結界が砕けた。砕けたガラス片のように降ってくる、結界だったものの残骸と一緒に、ひときわ輝きと大きさを増した電流が侵入してくる。それは展開したオーラすら押し流し、晶に降り注いだ。
「……ッ! 痛いですけどまだいけます!」
 より『成長』を遂げた電流の勢いはすさまじい。でも、その痛みも覚悟していたから、踏ん張れる。体を迸る電流の痛みに顔をしかめつつ、気合と覚悟で耐えきってみせた晶は、攻撃が止んだ瞬間を見計らい、一気に空へと昇った。碎輝よりも、高く。見上げる彼を見下ろし、晶は叫んだ。
「さあ! これが私の全霊です! 受けられるものなら受けてみなさい!」
 二対の水晶の角の上に、圧縮された水の球が渦を巻いて出現する。彼の攻撃に耐えている間にも力を溜め、大技を放つ準備はできている。すっと息を吸い、晶は一気に水を解き放った。【神業 人世開闢息吹(カミワザ・ジンセイカイビャクノイブキ)】。圧縮された水は、極大威力の超高圧水流となって、碎輝を襲う。まるで一気に滝壷まで落下する、巨大な滝のよう。水流に飲み込まれた彼からは、もはや悲鳴すら聞こえない。これが、川の神の下す神罰。――尤も、彼女自身、この大技を放つには莫大な神力を消費する。神力を使い果たした反動で、彼女の身は急速に縮んだ。……縮むといえば碎輝もだ。落下しながら、晶は目を走らせる。果たして、水流が尽きた後にはずぶ濡れになって力なく地に落ちていく、金色の幼い少年の姿があった。力を振り絞って空を泳ぎ、どうにか彼の手を掴んだ晶はしっかり抱き留め、ふわりとステージに着地した。その身はいつの間にか、錦鯉の泳ぐ川がデザインされた、雅な浴衣に包まれている。
「大丈夫ですか?」
 優しく問いかける晶の前で、碎輝はうっすらと目を開けた。
「……あれ? なんか、晶も縮んで」
 ごしごしと目を擦る彼に、
「ええ、私も、この技を使うと小学生になってしまうんです」
 と微笑む。
「そうか、俺と同じだな……ってそうだ甚平!」
 バッと、抱きかかえられたまま自分の身を見やる碎輝。案の定、せっかく晶が選んでくれた甚平はぐしょぐしょになり、そもそも体が縮んだ分サイズも合わず、脱げかかっていた。たぶん例のグリモア猟兵が見たら鼻血出して卒倒する。そうなる前に、晶は彼をそろりと下ろし、ファサリと何かをかけた。
「大丈夫です。こんなこともあろうかと、子供用の甚平も用意しておきましたから」
 そう、彼にかかっているのは、先ほど着ていたのと同じデザインの子供用甚平。肩にかけられたそれをつまみ、碎輝は目を輝かせた。
「……ありがとう! これでまた、思いっきり遊べるな!」
「ええ。風邪を引かないうちに、しっかり着替えてきてくださいね」
 口元を緩ませる晶に手を振り、碎輝は舞台袖へと駆けていく。手を振り返しながら、晶は思った。
(「……まあ、雨莉ちゃんも『甚平とか似合うかな』って言ってましたしね」)
 ある意味、グリモア猟兵の願いを叶えるためのチョイスでもあった。かわいい彼女が、この姿を見てどう反応するのか。楽しみにしながら晶も歩き出す。涼しくなった夜風が、錦鯉泳ぐ浴衣の袖を穏やかに揺らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月29日


挿絵イラスト