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銀河帝国攻略戦㉑~アクロス・ザ・ブラックナイト

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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●黒の衝撃

「これまでの戦い、本当にお疲れ様です」
 ユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)は集まった猟兵達に感謝の念を伝える。整頓されたブリーフィングルーム。モニターには赤ではなく青の光点が、これまでの戦場マップを塗り潰している事が分かる。やや落ち着いた館内の雰囲気に、『解放軍』も多少の余裕が出て来たのかもしれないと感じ取れた。しかし、猟兵達はそうではない事を直ぐに知る事になる。
「ですが事態は緊急、この機を逃しては未来に大きな被害が出ないとも限りません。先ずは状況をお伝えします」
 その焦燥した様子に猟兵達がどよめく。これまで順調に勝ち星を拾ってきたのではないのか?
「先の戦いで『アゴニーフェイス』の艦隊を突破した『解放軍』の艦隊は『黒騎士アンヘル』との決戦に挑みました。しかし力及ばず、『解放軍』の艦隊に黒騎士を撃ち破る事はかないませんでした」
 スペースシップの砲撃も、戦闘機の攻撃も、『黒騎士アンヘル』を捕らえる事ができなかった。流石二大巨頭が内の一人、相当な実力の持ち主なのだろう。
「『解放軍』はここで黒騎士の撃破を諦め、銀河皇帝を守る艦隊へと攻撃の矛先を変えます。銀河皇帝を滅ぼす今回の作戦において、『黒騎士アンヘル』は最早重要では無いからです」
 戦力の尽くを失い、単体で残っていたとして大きな脅威ではないと判断された為だ。それ自体は確かに問題ない。だが、とユーノは続ける。
「オブリビオン・フォーミュラである銀河皇帝を撃破しても、二大巨頭である『白騎士』『黒騎士』が逃げ延びれば、新たな、オブリビオン・フォーミュラとなりうる可能性が残されてしまいます」
 つまり、次の世代のオブリビオン・フォーミュラ候補である『黒騎士アンヘル』は、確実に討ち取っておきたい相手だという事。
「そうでなくても、銀河皇帝撃破後、銀河帝国の残党あるいは、スペースシップワールドの不平分子等を集めて、悪事を行う危険が大きいのです。この世界の者として改めてお願いします。猟兵の皆さん、皆さんの力を結集して」
 ユーノは集まった猟兵達の顔を見やり、強く頼んだ。
「黒騎士アンヘルを、倒して下さい」

●ブラック・ジョーカー

「黒騎士アンヘルは戦力を悉く失っており、周囲に他の戦力は存在しません。しかし、これは、黒騎士が『一人の戦士』として、最大の力を発揮できる状況でもあります」
 最強の個人として猟兵と対峙する、つまり後ろも前も気にせず存分に戦うという事だろう。
「そして、黒騎士は『確定された過去を操る』ユーベルコードを操る強敵です」
 この恐るべきユーベルコードに対して、しっかりと対応が出来なければ刃を通すどころか、確実に返り討ちにあってしまう。それほどまでに恐ろしい業。
「彼のユーベルコードと、私達猟兵本人の過去との噛み合わせも、勝敗の要因となるでしょう。また常に一体しかいませんが、その力が尽きるまで、骸の海から蘇る力をもっています」
 相性もさることながら、力尽きるまで多くの戦場に現れる。聞けば聞くほど、迅速に倒さねば相手だと思い知らされる。
「黒騎士の出現予想地点は、先の戦いで撃沈された防空巡洋艦ベルリーネ。皆さんには会敵予想地点に直ちに向かってもらいます」
 ベルリーネは黒騎士配下の戦闘艦。黒騎士は自分に因縁のある戦場へ出向く性質らしい。
「この世界の命運を決める大事な戦いです。どうか……よろしくお願いします」
 そう言って、ユーノは深く頭を下げた。


ブラツ
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●特殊ルール
 ■先制攻撃のルール
 黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 こんにちは、ブラツです。
 状況は上の通りです。

 プレイングの受付は2/16中に頂いた分から、
 順次書けるだけ書きたいと思います。

 グッドラック、イェーガー。
169




第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――戦闘宙域8684
 静かな闇に浮かぶ艦艇の残骸に、ゆらりと黒い影が出現する。
『……まだ抗うか。いいだろう』
 黒い影、黒騎士アンヘルは呆れた様に、されど少し喜んだ風に呟く。
『先手を取らせてもらう、行くぞ、猟兵……!』
 ブォンと、黒騎士の周囲に赤黒いエネルギー剣の束が出現した。
 世界の命運を握る戦いが、ひっそりと始まろうとしている。
三影・サイ
敵の能力、非常に強力ですね。
可能な限り回避したいですが、私の過去の戦闘に関する知識や経験を無効化されると、射撃能力の大半を失う可能性があります。
でも身体能力が減衰しないなら、できる戦い方はあるはずです。

素人でも命中できる距離まで敵に近接し、零距離射撃を敢行します。
味方前衛と連携し多方向から敵に接近することで、迎撃で私達が受ける損害を抑えたいです。
近接したら照準を合わせたりせず、銃口を敵の身体に押し付けることで射撃を命中させます。
味方との集中攻撃で敵に隙が見えたら、ユーベルコード使用で高火力を叩き込みたいです。


マスター・カオス
フハハハ…我が名は、グランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!

かつての大騎士である我がフォースの剣にて、お相手しよう!!

◆先制攻撃対策と反撃
敵の攻撃に、フォースセイバーで受けて立つと見せかけたフェイントを行うと同時に、念動力を用いて、こちらの盾になりそうな物または敵の視界を少しでも防ぎ得る周囲の物を引き寄せ、敵の矢面に立たせる。自身もオーラ防御。剣で応じると見せかけるが、実際は異なり、敵の空間斬撃の攻撃直後の間の隙を突いたカウンター狙いで「天ヨリ簒奪ス原初ノ焔火」を放ちます。

フォースの真理とは、清濁(善悪)を上手く使い熟す事だ!


ルベル・ノウフィル
spd 連携希望
事前に呼び出した死霊騎士と蛇竜を連れて参戦
強敵といえど猟兵の結束あれば敵いましょう
協力して未来への道を切り開きましょう

リザレクトオブリビオン
開戦直後から囮も兼ねて蛇竜に騎乗し騎士を共駆けさせて突撃
三呪剣の一は死霊騎士を盾にする
二は蛇竜から床に跳躍し僕は逃れ同時に床を蹴り(竜は犠牲にナルカナ)
三は二の動きと繋げて敵の股下を潜るように滑る
滑りながら彩花で脚に触れ刃と変化させ敵を斬る作戦

この一連は味方の攻撃の隙を生む目的もあり
騎乗、早業、第六感、ダッシュ、覚悟、気合い、捨て身の一撃、鎧無視攻撃、戦闘知識、破魔技能を活かす

僕の一撃がダメでも味方に繋げられれば…!!(祈り)



●Across the Black Knight

 先陣を切る三人の猟兵が動いた。眼前には黒騎士、艦艇の残骸に立ち、周囲は暗黒の空間。それを囲む様に配置された猟兵が、各々の獲物を構えて固唾を飲んで見守る。
 ふと黒騎士の周囲のエネルギー剣の束が、何本か消えた。残った剣は変わらず、主の身体を護る様に刀身を下に向け、びっしりとカーテンの様に纏わりついている。
『最初に言ったはずだ、先手を取ると』
 黒騎士が静かに呟く。戦は既に始まっていたのだ。

(敵の能力は、非常に強力……可能な限り回避したいです)
 三影・サイ(火力支援兵・f14159)は突出する前衛とは別の方へ、姿を隠しながら黒騎士へ迫ろうとしていた。
(私の過去の戦闘に関する知識や経験を無効化されると、射撃能力の大半を失う可能性があります)
 刹那、天地から三色の剣が現れ、サイの身体を貫く。直撃、前後がバッサリと裂かれ、鮮血が飛び散った。
『隠れてやり過ごすならば、最良は私の前に姿を現さない事だ』

(事前に死霊騎士と蛇竜を呼び出せれば……)
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は間に合わなかった。先制攻撃を先制する事自体、端から無謀な賭けであった。残骸を駆けつつ急ぎ死霊を呼ぶが、もう遅い。
(いえ、強敵といえど猟兵の結束あれば敵いましょう……!)
 刹那、天地から三色の剣が現れる。されど呼び出された騎士と蛇竜の死霊が、白と黒の呪剣を受ける。しかし灰の呪剣はルベルを捉え、その背中を斬り裂いた。縦一文字にバッサリと、声無き悲鳴を上げ、鮮血を撒き散らす。
『手数が足りぬ、それに私を先んじるなど、不可能だ』

「フハハハ……我が名は、グランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!」
 名乗りを上げたマスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)に対し、黒騎士は目もくれず返礼の空間斬撃を見舞う。
「フハ……かつての大騎士である我がフォースの剣にて、お相手しよう!!」
 愛刀『マスターセイバー』を手にした所で、無数の剣線がカオスを襲った。
「貴さ……人が話をしている時に、これは無礼じゃ」
『先手を取らせてもらうと言った。何度も言わせるな』
 そして、カオスと見えない剣戟の打ち合いが始まった。

 三点同時攻撃、即席の連携では返す事は難しい。艦隊クラスをたった一人で押しのけるのだ、むしろこの位の事は出来て当然かもしれない。
『……』
 ばらばらと浮かぶ艦艇の残骸の上、眼前に倒れ伏せる影を見つけ、黒騎士はようやく動き始めた。周囲には剣のカーテン、その手には大振りの曲刀が。
『……何故』
 倒れる影――ルベルに、黒騎士は問う。
『何故、こうまでして戦う?』
 お前たちが如何に努めようと、最後に勝利するのは我々、銀河帝国だ。そして世界は滅びるのだ。
 問いながら、聞きながら、その手の剣の切先はルベルの喉元に。
「それ、は……」
 ルベルは逡巡した。今ならば、黒騎士に一撃を入れられる間合い。
「未来への道を……切り開く、為!」
 叫ぶと同時に、手首に仕込んだ『彩花』を投げ放つ。しかしその一撃は、黒騎士の剣の一薙ぎで掻き消えてしまった。
『そうか。その意気は認めよう、猟兵。だが』
 ここまでだ。そう言い終えた瞬間、今度は黒騎士を青い光条が強襲する。
「……」
 サイだった。三色の呪剣に貫かれ、ユーベルコードを封じられ、正面背後にバッサリと凄烈な傷跡を残していた。
『その装備、脱走した被験体か』
 その手には大事な人からの授かり物、愛用の熱線銃。身に着けた装備は、黒騎士にも覚えのある、帝国軍の試験兵装だった。
『何故、お前も素直に滅びを受け入れない?』
 三つの呪いを受けた今、貴様には戦う理由も力も無いはず、それを何故、と。
「……私は」
 サイは最早、覚束無い足取りと震える手元を、己の衝動だけで奮い立たせ、ここにいる。
『何?』
 ギラリと黒騎士を睨み、震える重心を両手で押さえ、サイは叫ぶ、心の限り。
「私は、生きている! それだけだ!」
 再び青い光条が奔る。しかしそれは宙を浮かぶ剣のカーテンに防がれる。だが。
「――焼き尽くせ!」
 雄叫びと共に黒騎士の剣が全て燃え始めた。カオスだった。ルベルの奇襲で剣線との打合いから解放されたらしい。
「よく引き付けたルベル! ここは一旦引くぞ!」
 退路は万全、念動力で周囲の残骸をバリケード代わりにし、黒騎士の目を眩ます。
「君も……早く!」
 カオスの撤収に応じつつ、ルベルは傷だらけのサイの手を取る。
『……フン』
 離れていく三つの影を遠目に見て、黒騎士は降りかかった火の粉を払う。
 そしてその表情は、微塵も動じてはいなかった。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

六道・紫音
これが黒騎士アンヘル…まさしく銀河帝国最強の剣士…そうだ、俺はこれとやりたかった!
我が剣の全てで!鎬を削らせて頂こう!

・戦術
「視えた!」
先制攻撃を『第六感』で察知して『見切り』で軌道を読み『残像』で回避、残心のまま即座に『カウンター』で攻勢に転じ『ダッシュ』による《縮地》で距離を詰め、『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を高め『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中し『早業』で極限まで剣速を早めた【参之太刀《雲耀》】を『二回攻撃』で連続発動して斬る。
「裏奥義《雲耀・双刃》!」
攻撃機会は恐らく一度、ならば一撃に全てを懸けるのが剣士の生き様だ!

※アドリブ歓迎



「これが黒騎士アンヘル……」
 六道・紫音(剣聖・f01807)は眼前の強敵に歓喜した。まさしく銀河帝国最強の剣士……そうだ、俺はこれとやりたかった!
「我が名は六道・紫音、我が剣の全てで! 鎬を削らせて頂こう!」
 第一陣と入れ替わる様に飛び出る紫音。既に『宝刀《皇月》』は抜かれ、高々と掲げた上段の構えから鈍い煌めきを放っている。
『来るか剣士よ、容赦はしない』
 黒騎士は紫音に一瞥をくれると、空間斬撃を乱れ放つ。
「それはもう、視えた!」
 紫音は己に向かう斬撃を躱し、残像で引き付け、神速の縮地を以って黒騎士へ間合いを詰める。
『そうか。で、どうする?』
 しかし紫音を遮る斬撃の数は近付くにつれ一つ、二つとその数を増やす。その数が九つを超えた時、不意に紫音の頬に傷が生えた。
『気だけで戦が出来ると思うな、小僧』
「何とッ!」
 空間斬撃は既に十を超える。だが紫音は狂気じみた笑みを浮かべ、黒騎士へ向かう。この斬撃が己が身を傷塗れにしても、これこそが俺の求めた戦いだ。
『何を捨てればこうもなる? やはり、異世界の剣は分からん。だが』
 黒騎士は正面より迫る紫音に対し、大振りの曲刀を構えた。
『だからこそ、面白い!』
「裏奥義《雲耀・双刃》!」
 黒騎士も武人、滾る血を抑えられず、剣のカーテンを脱ぎ、自ら一撃を加えんと紫音の上段を右の曲刀で捌く。
 捌かれた皇月が紫音の足元まで弾かれるが、それも計算の内。即座に手の内を返し、反撃に転じる。
「ぬぅん!」
『悪くない。だが、捨て身が足らん!』
 二の太刀、雲耀の逆太刀。天に上る稲妻の煌めきは、隠された左の小剣に抑えられた。しかし。
 その一撃は遂に、黒騎士の右脇腹に浅くない傷を与えた。紫音は返す刃に、曲刀からの報復を貰って。
「――ッ!」
 紫音の左腕は曲刀の一撃を受けた。出血も激しく、かろうじで皇月を握るが、この相手にこれ以上の戦は難しい。今は一人の身ではないのだ。
 武士の意地は黒騎士の懐に一撃を与える。紫音はその成果を見届け、機を見て戦場から引いたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

三千院・操
達也さん(f00485)と一緒だよ!
確定された過去を操る黒騎士……あんまり、戦いたくはないけど。
ま、死なせたらおれのものにできるし、頑張るか……。
体の傷なんて、幾らだって我慢できるもんね!

『妨げる者』を使って魔王体に変身するよ!
先制攻撃の影響は自分に催眠術をかけて防御する!
「傷はいたくない。心はこわれない。誰も死んでないし、何も起こってない」!!
可能であれば呪詛を使って達也さんへ向かう三呪剣の攻撃を阻害したい!

――それでも操が動けなくなったら、俺が出ようか。
ラジエルでは『妨げる者』は使えないからね。
攻撃を受けたらそのあとは高速詠唱で呪詛を撃ちつけつつ、黙示録の獣で背後から騙し討つよ。


五十嵐・達也
操君(f12510)と同行する
過去を操る、か。悔恨と血ばかり積み重ねた生だが、そう容易く崩される訳には行かないな
「黒騎士アンヘル、汝が咎を削り取らん」

先制攻撃迄に発動が間に合えば、魔血錬成を用いて咎狩人の大盾を複製する
念動力で操作し、盾受けで三呪剣の直撃を回避する
可能なら操君側へ半分回し、そちらも対応したい
間に合わないなら、大盾一枚で受ける覚悟を決めよう
出来る限りは最低限白と黒を防げる様心がける
「もしも全て封じられたとて、諦めるには至らん……!」
先制攻撃を凌げた(戦闘不能になってない)ならば、複製した大盾を盾に突撃する
時間をかければ此方がやられる、愚直でも特攻だ
届いたら血塗れの鉈を大きく振るう



 過去を操る、か。悔恨と血ばかり積み重ねた生だが、そう容易く崩される訳には行かないな。
 五十嵐・達也(血濡れの咎狩人・f00485)は己の半生を顧み、眼前の脅威を見定め、決意を新たにする。
 それに今回は一人で立ち向かう訳ではない、
「達也さん、今日は一緒だよ!」
 三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)が人懐こい声色で、ニコニコと達也を見る。
「確定された過去を操る黒騎士……あんまり、戦いたくはないけど」
 ま、死なせたらおれのものにできるし、頑張るか。死霊術とUDCの力で、あの黒騎士だって思いの儘さ。
 操はすっくと立ちあがり、達也と共に黒騎士を見据えた。
「その為なら体の傷なんて、幾らだって我慢できるもんね!」
「黒騎士アンヘル、汝が咎を削り取らん」
 力強く宣言する二人の巨漢を見やり、黒騎士は再び、剣のカーテンを纏う。
『今度は面妖な術を使う輩か? いいだろう、ならば見せてみろ』
 お前達の矜持とやらを。言うと合わせて、三色の剣と呪詛を帯びた雷光が放たれた。

「速い、な」
 最初に狙われたのは達也。呪剣の束は達也の前で姿を消すと、刹那の間も無く三方向から同時に現れた。
 己の魔血錬成は間に合わない。ならばせめて、白と黒のどちらかを。
「達也さん!」
 操が叫ぶ。操も呪詛の雷光を浴び、全身から悍ましい傷跡を浮かび上がらせている。
「傷はいたくない。心はこわれない。誰も死んでないし、何も起こってない!!」
 自己暗示――操自身も相当苦しいだろうに、私を助ける為か。よく見ればその手は印を結んでいる。
「そうか。一か八かだが賭ける他あるまい……!」

「操君、白と黒、どちらが好きか?」
「え……黒!」
「だったら私からプレゼントだ、迷惑だったらあそこの黒い奴につき返してくれ!」
 そう言うと達也は『狩人の大盾』をその場で大きく振り回し、迫る呪剣を全て吹き飛ばす。だがそれは最初だけ。軌道を変えた呪剣の群れは再び達也を狙って宙を翔ぶ。だが。
「友より受けたこの縁、暇無く我に戻しまえ。白は白へ、黒は黒へ、灰は灰へ。我は黒なり、黒は此処なり……」
 高速で詠唱された即席の呪詛は、黒の呪剣を操の下へ。だが残りの剣は、再び達也を襲う。
「すまない……操君、助かった!」
 二つなら、一つ選べばいい。達也は間違いなく白の呪剣を『狩人の大盾』で受け止め、灰の呪剣を背中で止めた。
「達也さん! う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 暗示が切れ、狂った様に悶える操。手の内で暴れる黒の呪剣を必死で抑え、達也の下へと駆け寄ろうとする。
 しかし放たれた【記憶されし傷痕】は操の身体を蝕み、その動きを封じていた。
『大分耐えたようだが、次はどうする?』
 ズタボロの二人を見やり、黒騎士が手元で剣を遊ばせながら質問する。
「……おまえ、邪魔だな」
 そして、操がキレた。

 その力は【妨げる者】――寿命と引替えに埒外の魔王と化し、攻撃を軽減するユーベルコード。初撃を耐えきったからこそ放たれた、切り札の業。
『その力は、こちら側か?』
「知らないよ、黙ってて」
 掴んだ黒の呪剣をへし折り、投げ捨てる。その手には変わって『Trivia Goddess』――昏く光る宝玉が。その闇が、呪詛が、黒騎士へ反撃の怨嗟の音をばら撒く。
 その行進は王の風格、だが黒騎士も、返す刃でその闇の尽くを断裂する。黒騎士と操の中間で、ひたすらに闇が爆ぜ続けた。
「操君……油断するな、まだ終わってはいない!」
「達也さん!」
 不意に、呪詛の雷光が再び操を襲う。それを達也が増やした『狩人の大盾』が受け止めたのだ。無事だった達也は、密かに【魔血錬成】に成功していた。
「今度は間に合ったぞ。行くんだ、操君!」
 その声を受け、一歩、一歩と黒騎士への間合いを詰める操。その気迫に押され、遂に黒騎士は剣のカーテンからその腕を出す。
 外したエネルギー剣の束はマントの様に背負い、左右の剣を構えて操の前へ。対峙する操は『The Healer』――大鎌を構える。
「来いよ」
『行くぞ』
 瞬間、刃重ねて。飛び散る紫電が毛先を軽く焦がし、操は軽く舌打ちをする。それを見た黒騎士はニヤリと笑み、二刀の構えを牽制の上中段から必殺の二刀上段に切り替える。次の一刀で決めるつもりか。しかし。
「まだ、諦めるには至らん……!」
 いつの間にかその懐には達也が。愚直にもひそやかに前進し、その手にした『血塗れの鉈』が、既に一撃を与えた右脇腹へ駄目押しのもう一刀を下す。ぐちゃりと、骨を手折った感触が。
『ッグ……貴様ら、よくもッ!』
 黒騎士は背負ったエネルギー剣を一斉に射出する。その勢いに押され、そのまま二人は撤退した。
 二人の一撃は、遂に黒騎士へ致命傷を与えたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「黒騎士ですか、お相手仕る」

【SPD】

◯準備:サーチドローンを展開

◯先制攻撃 ●過去喰らいの三呪剣対策
・【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】
→「私の狙撃は経験ではなく、サーチドローンによる観測と各種機材、銃器の調整で当てています」

・【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】
→『技能:武器受け』と『ライオットシールド一体型パイルバンカー』で防ぐ

・【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】
→「私の戦う理由は、サイボーグの身体になった『現在』にあります」

◯ユーベル・コード
「ドローン観測情報により地形データ更新。CODE:ARTEMIS、当ててみせる」
技能:視力、スナイパー


レナータ・バルダーヌ
おそらく敵が使うのは『記憶されし傷痕』。
過去に刻まれた傷跡や病痕……あの囚われの日々から、何度も同じ事を繰り返して……。
先日、オロチウイルス抗体の実験台にもなりましたし、一度に再現されたらさすがに保つかどうか……。
ですが、その苦痛こそがわたしの糧でもあります!

わたしは【オーラ防御】で敵のユーベルコードの軽減を試みつつ、受けた【激痛に耐え】て僅かな間だけでも意識をつなぎます。
そして、返す一撃にすべてを賭けて(【カウンター】【捨て身の一撃】)、痛みによって発動する【防衛本能:原点回帰】で最大限に強化された【A.B.エンパシー】を放ちます。

「わたしの記憶に触れたこと、後悔させてあげます!」



「おそらく敵が使うのは『記憶されし傷痕』」
 レナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)は予め敵の攻撃手段を想定した。己が取ろうとする手段に対して、返される攻撃はきっと、あの呪詛の雷光の筈だ。
 これまで味わった痛みが一挙にやってくる、想像するだけでも恐ろしい攻撃。しかしレナータは気丈にも、あえてそれを受け切ると宣言した。
「ですが、その苦痛こそがわたしの糧でもあります!」
「分かりました。最大限支援します。撤退の直掩は任せてください」
 クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)も同じく、敵の行動を想定している。三本の呪剣、ロジックが確かなら、少なくとも二本は無効化出来る。
 二人の猟兵は全く別の場所から、それぞれのやる事の為に、黒騎士へ向かっていた。

『……今度はガンナーか。それに何だ、メディックか?』
「ち、違います! わたしも猟兵です!」
 その証拠にと、『リベリオンフォース』を周囲に顕現するレナータ。
『サイキッカーか、厄介な……!』
 刹那、黒騎士から呪詛の雷光が放たれた。それは瞬きする間も無く、レナータを蝕む。
 怒り、恐怖、蔑み、暴力、戦闘、重症、感染……早送り再生の記録映像の様に、浮かんでは消える悍ましい出来事、それに合わせて変容する自身の身体。
「ああああああ!!!!!!」
 その時レナータの精神と肉体は、改めて破壊された。

『次はお前だガンナー、覚悟はいいか』
 言い切るよりも早く、3本の呪剣がクネウスを襲う。しかしクネウスはそれを避けようとすらしない。
「私の狙撃は経験ではなく、サーチドローンによる観測と各種機材、銃器の調整で当てています」
 飛翔してきた白の呪剣を『フォース・ガンブレード』で弾き飛ばす。過去の鍛錬を無意味とするこの剣は、装置による結果出力には効果が無い。
「私の戦う理由は、サイボーグの身体になった『現在』にあります」
 飛翔してきた灰の呪剣を『フォース・ガンブレード』で再び弾き飛ばす。戦う理由を無意味とするこの剣は、常に更新され続けるサイボーグ戦士の任務には効果が無い。
 残るは1本、黒の呪剣。流石のクネウスも戦闘経験という呪的ロジックは否定出来ない。故にこれだけはシールド付の『第六式雷電攻艦杭』で抑え込む他無かった。
「そして、時間は十分稼げました」
 飛来した黒剣をガンブレードとシールドで封じ込め、クネウスは所定の位置へと移動する。そこには愛用の狙撃銃型アームドフォート『ゲオルギウス』が。確認後、即座に狙撃体制に移る。
「ドローン観測情報により地形データ更新。CODE:ARTEMIS、当ててみせる」
 呪剣の飛来より以前に展開していたサーチドローンが、正確な観測情報をフィードバック。そして照星に捉えるは黒騎士の今と未来の姿。どこへ行こうと、何をしようと、この一撃から逃れることは叶わない。
「では黒騎士、お相手仕る」
 必殺の狙撃が黒騎士に放たれた。それは何よりも確実な殺しの方程式。逃れたければ、世界の法則ごと変える他無いだろう。
 轟音と共に撃たれたそれは、遮る間もなく黒騎士の左胸部を撃ち抜いた。

『猟兵、その名の通りか!』
 自身が放った自慢の呪剣の尽くを封じられ、アウトレンジからの狙撃により心臓辺りをごっそりと持っていかれた黒騎士。
 マスクから吐かれた血が溢れ、抑えようにも巨大な風穴をどうする事も出来ず、念動力で無理やり全身に血液を巡らせる。だがその目は未だ、死を受け入れてはいない。
『フフフ……ハハハハハハ! 』
 動作は最早おぼつかない。フラフラと、残骸の上を歩く黒騎士の姿に、先程までの覇気は感じられなかった。しかし。
『では、その次はどうする?』
 ドカッと、残骸の上に座る。何事か呪文を唱えると、徐々にではあるが体表面が回復してきた。フォースナイトの力か、オブリビオンの力か。ただ一つ言える事は、最悪はまだ終わらないという事。
『何もないのだろう。同じ攻撃はもう二度と通用せんぞ?』
 それはクネウスの狙撃に対して、それ以前の魔法も、剣戟も、最早通じないという宣告。だが、反撃の火は全く潰えていない。
「まち、なさい……」
 それはレナータ。地獄の苦痛を生き延びて此処へ。その目から未だ闘志は消えず、全身の肌を覆う裂傷と、腫れあがった両手両足。その可愛らしい顔に、とても言葉に出来ない様な悲惨な傷跡が浮かび上がっていても、戦う意思は微塵も揺るいでいなかった。
 そのレナータがゆっくりと、黒騎士の方へ近づく。今は動けぬ黒騎士、恐れる相手でもないとレナータを近くまで寄せてしまう。
『何だ、サイキッカー。まだ生きていたのか』
「……わたしの記憶に触れたこと、後悔させてあげます!」
 発現するは【A.B.エンパシー】――傷口より放たれた、感じうる痛みと同等の苦痛を与える感覚転写が黒騎士を襲う。
『これ、は――貴様ァ、謀ったか!?』
 痛みと合わせて、脳の錯覚が引き起こす自然発生的外傷が黒騎士の全身に無数の傷を再現する。それはぽっかりと空いた心臓と同じ様に、止めどなく血が流れ続ける。

 その場でふらりと倒れるレナータ。急ぎ駆け付けたクネウスが彼女を回収し、警戒しつつ戦域を離脱する。
 黒騎士の命脈を確実に立つ為の、最後の秘策。己の威力を以って、黒騎士は凄絶な苦痛を味わい続ける羽目となった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レナ・ヴァレンタイン
※他猟兵との絡み、アドリブ歓迎

抗うとも。敗者復活戦の切符など、お前たちに渡した覚えはないのでな


【SPD】
スナイパーと二回攻撃、クイックドロウ、そして命中箇所を勘で絞る第六感

それらを駆使して三本のうち灰と黒だけはなんとしてでも撃ち落とす
銃撃で足りぬならばフォースセイバーの範囲攻撃と薙ぎ払いで叩き落とす
それでも足りないなら灰の呪剣だけは潰す


私のユーベルコードは別段鍛錬も必要ない、戦闘経験なども不要だ
敵に銃口を向け、引き金を絞るだけだからな!
ユーベルコード起動、ジャックレギオン発動承認
銃器連続複製ののち、一斉発射!

戦う理由さえ奪われなければなんてことはない
亡霊は過去へと沈めェ!


テン・オクトー
UCを敵の攻撃回避に使用。
WIS
ボク生まれて日が浅いから傷跡病痕なんてないよ。とは言え先制攻撃は怖いからね、ちゃんと対策していくよ。先制攻撃に合わせてこちらもUC展開!敵の攻撃を分身に代わりに受けてもらう。ボクも続いて鈍器で殴りに行く!どれだけやれるか分からないけれど、踏ん張りどころだね。
【技能:第六感、先制攻撃、激痛耐性】(武器フレイル)

連携アドリブ歓迎です。
詠唱は場の雰囲気で唱えても唱えなくても。



『貴様ら……そこまでして、何故抗う……』
 ぼたぼたと、全身から流れ出る血を念動力で抑え込みながら、黒騎士が再び猟兵に問う。
 既に満身創痍、左胸と右脇腹にはそれぞれ致命の一撃を受け、命懸けのユーベルコードでその全身は今も恐るべき傷病に苛まされている。
「抗うとも。敗者復活戦の切符など、お前たちに渡した覚えはないのでな」
 レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)が咆える。手負いの今こそ勝機、前に出て確実に奴を屠る時。
「皆で世界を守る……その為の猟兵なんだ! お、お前なんか怖くないぞ!」
 テン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は叫ぶ。自分達の矜持を貫く、これまでの様にオブリビオンを倒すだけ。
『成程……この、かみ合わない……答えこそ、貴様らの、強さの源――か!』
 言うと共に、奇襲。呪剣の束と呪詛の雷光が、再び猟兵達を襲った。

(ボク生まれて日が浅いから傷跡病痕なんてないよ)
 果たしてそうか? オブリビオンと初めて邂逅したあの日、埠頭でお前は何をされ、何をした。
 内なる声がオクトーに囁く。傷なんて無い、そう思いたいだけなんじゃあないのかって。それは恐らく、自分自身の危険信号。
「今の、既に攻撃が!?」
 先制攻撃を先制する事は出来ない。呪詛の雷光の直撃は直ちにオクトーの身を焦がす。
 急ぎ詠唱するも時既に遅く、浮かび上がるは、これまでの戦の傷跡。
 一撃を喰らえば、死霊は姿を現せない。
 そして思いだす、一番最初の古傷を。埠頭で見たあの悪夢を。

 あの剣はヤバイ。レナは直感的に理解していた。故に、飛んで来る呪剣を叩き落す為に己の愛銃を構える。しかし。
 剣はレナの天地から突如として現れた。慌てて天に向けて両腕の火器より火を放ち、幸いにして一番の懸念であった灰の呪剣は落とされる。
 だが残る白と黒が、背後から、側面から、死角たる位置より強襲し、その身体を容赦なく貫いた。
「そん、な……」
 慌てて掴んだセイバーの柄ががらんと落ちる。二本の腕では、そもそも限度があったのだ。
 レナは膝をつき、崩れ落ちる。だがその相貌には未だ炎が、復讐者の怒りの炎が、煌々と灯っていた。

 その悍ましい集団はオクトーの全身をまさぐり、その身体を邪神への生贄に捧げんとする。
 自慢の毛並みは業火に焼かれ、精神は狂気に支配される。
 それがオクトーの、原初の傷。それからもずっと戦い続け、その度に刻まれてきた数多の古傷が、堰を切ったように一斉に溢れ出た。しかし、黒騎士は知らなかった。その古傷が、彼にとっての何であるかを。
「……黒騎士、アンヘル」
 ゆらりと、オクトーが立ち上がる。
『立ち上がるか……小さきもの』
 己と同じく満身創痍ながら立ち上がったオクトーに感心する黒騎士。
『……その身体で……どうする?』
「あと一押し、逃しはしない」
 猫は狩人だ、獰猛な肉食獣だ。決して愛玩動物などではない。オクトーは再び、死霊を召喚する。
「右に騎士、左に蛇竜、後方にボク!」
 一撃を受ける前、今ならば彼らを呼び出せる。刹那だろうと勝機があれば食らいつく、何度でも、何度でも。
『ハッ! やるというのか、あれだけの過去を見て、まだ立ち上がると』
「そうだよ、まだ未来があるからね!」
 行くんだ! 騎士と竜に檄を飛ばすオクトーは、飛びそうになる意識をギリギリの所で堪える。ここが正念場なのだから、倒れたってこの勝機を離すものか。

 一方レナは呪剣の所為か、鍛錬と戦闘の経験を失う。残るは意志のみ……だがそれさえあれば、自分は戦える。
 がちゃりと、改めて己の愛銃達――『ウィリアム』『メイヴ』『ヘクター』の状態を確かめた。動作は快調、今にも直ぐに目の前の黒い奴へその牙を剥く事だって出来る。
 それに呪剣は1本外れた。つまりは自身のユーベルコードは封じられていない。ふと眼前ではオクトーがのたりと立上がり、血を吐きながら再戦を始めた。
「……私らしくもない」
 休憩している場合じゃ無いだろう。そう自分に言い聞かすと、レナは再び戦場へと舞い戻った。さあ、復讐を始めよう。

『全くもって……度し難い、猟兵というモノは』
 黒騎士は満身創痍の身を引きずりながら、ゆったりと迫る騎士と蛇の資料に左右の二刀を向ける。
『そして、お前も……まだ、抗うか』
 その背後からはレナが、機関砲とマスケット銃を手に立ちはだかる。既に退路はないも同然だが、これで本当に黒騎士は逃げ場が無い。
「言ったろ、敗者復活戦の切符など無いと。お前に相応しいのはこれだ……」
 照星を睨むことも無い。やる事は至ってシンプル、こいつの目の前でトリガーを引くだけ。
「鉛玉を喰らえ、クソ野郎」
 瞬間、暴力が発動する。それは脅威を圧倒する力。但し、正しく使えればだが。
『三味線でも弾いてるのか、小娘』
 弾丸は全てがいい加減な方向へ。敵を照星に捉える事すら忘れては、銃器はその力を十全に発揮する事は無い。
「そうだな、だが、これなら……どうだ!」
 【軍隊個人】――レナのユーベルコード、それは自身のあらゆる銃火器が複製され、一斉に放たれる。それに併せてオクトーの死霊の騎士と竜が飛び掛かった。
 黒騎士は自身たった一人に向けて放たれたその範囲殲滅攻撃に対し、剣のカーテンを再度生成。一時それらを凌ぐと、続いて広げ、飛ばした剣でその悉くを迎撃する。
 しかしその中の一つ、無理を押し通した復讐者のでたらめな一撃が、黒騎士の開けた左目を奪い去った。
 意志無き一撃故に読めなかったか、しかしその戦果だけでも十分。二人は己の傷を庇いながら、この戦域を後にした。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【POW】
黒騎士、アンヘル……!!圧倒されますね、これが……『黒騎士』……!!
でも、逃げたりはしない……ビビってちゃダメよ、ヘンリエッタ……。
私には、大事な義娘がいる――死んでられるかッ!!
先制攻撃に備えて、【ワトソン】を私の血で活性化させ、【刻印】の力を使って能力を底上げさせます、生きて帰るために。

虚空からの斬撃にワトソンで防御するわ、切断されたこの子はひどく、獰猛よ!
切り刻まれるのを防ぎきることはできないかもしれない、でも――好都合だわ。
流れた血潮の数だけ凶暴化するかわいい私の狗は
太陽を呑む狼のように大きく渦巻かせてあげましょう、この私の血で!

さぁ、ひっくり返せッ!!【因果の滝壷】ッ!!!



「黒騎士、アンヘル……!!」
 ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)は眼前の埒外の戦いに恐れ、慄いた。
「圧倒されますね、これが……『黒騎士』……!!」
 見るからに息も絶え絶え、されど迂闊に近寄れば自身がやられる。そんな獰猛さを孕んだ、危険な存在。
(でも、逃げたりはしない……ビビってちゃダメよ、ヘンリエッタ……)
 心の中で、己か誰かが自身を奮い立たせる。そうだ、負けるわけにはいかない。
(私には、大事な義娘がいる――ここで死んでいられるかッ!!)
 ヘンリエッタは最後の勇気を振り絞り、最後の戦線へと躍り出た。

『まだ、来る、か……』
 潰された左の眼を即席の眼帯で塞ぎ、最早右目――マスクの下の瞳しか外を見る手段はない。
 肉体はとうに酷使の限界を超え、それでも尚猟兵へ抗い続ける。それは己がオブリビオンだからか、それとも。
 兎も角、先ずは眼前の布陣を相手しなければならない。
 何の動作も加えず、黒騎士は空間に斬撃を放つ。例えボロボロになろうと、その精度は些かの衰えも見せない。
 放たれた斬撃は即座に、ヘンリエッタのいる場所を急襲した。

 その斬撃は直ちにヘンリエッタの両手両足を斬り付け、傷口からは止めどなく血が溢れた。だが、
「痛い!……でも、ここまでだったら、まだ」
 垂れる血は虚空へ散る事は無く、『ワトソン』――ヘンリエッタに宿るUDCが、その獰猛な姿をあらわにした。
「……切断されたこの子はひどく、獰猛よ」
 ヘンリエッタの血を受け、空間斬撃を受け、『ワトソン』は更に狂暴となる。
 止まらない攻撃は、それだけ黒騎士の死出への道のりを早める。同時に、血を流し続けるヘンリエッタの命も危うい。
 どちらが先に血を流し切るか、それは流した血の使い方次第。
 流れた血潮の数だけ凶暴化する、かわいい私の狗。
 ヘンリエッタは重ねた出血を動力に、刻印の力で『ワトソン』の能力を底上げする。
 大きく渦巻け、太陽を呑む狼のように! この……私の血で!!
「さぁ、ひっくり返せッ!!【因果の滝壷】ッ!!!」
 正面で暴れまわる『ワトソン』に引き続き、今度はヘンリエッタの背後から、【魂を喰らう触手の群れ】が波頭の様に現出した。
「逆転せよ――我が因果!!」
 それらは踊り狂う様に、黒騎士を飲み込む。幾度となく放たれる空間斬撃に悲鳴を上げる『ワトソン』、しかし新たに表れた黒い触手には、もう通用しなかった。
 否、もう斬撃が届かないのだ。押し迫る黒い波は黒騎士の自由を奪い、それは元居た場所にへと、強引に押し込んでいく。
『……これ、が、死』
 剣のカーテンは解体され、空を斬る斬撃は最早放てず、黒騎士は黒い物体らに弄ばれる。
『だ、が……猟、兵……よ』
 致命を受けた部位から順に、黒騎士の姿がさらさらと、空間に溶け込んでいくのが遠めに見えた。
『我、が、死……は、終わらない』
「知ってる。だけど今は大人しく、還って頂戴」
 これ以上は、無意味だから。でも……と。
 ヘンリエッタは最後まで、その姿を見届けた。
 そして音も無く、黒騎士アンヘルは虚空の彼方へと消え去った。

 この戦場での戦いは、ようやく終わったのだ。
 矜持を見せ、意地を吐き、絆と執念がもぎ取った必殺の一撃。
 最後まで、諦めずに立っていられたからこその、勝利だった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月18日


挿絵イラスト