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《竜宮城決戦》特殊水域のウルティマ・ラティオ

#シルバーレイン #決戦 #竜宮城決戦 #continuationSR

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 これは近江・永都(メガリス・アクティブの霊媒士・f37904)という名前の老人からもたらされた情報だ。『竜宮城』と呼ばれたゴーストの拠点にメガリスの主として囚われていた彼は銀誓館の手によって救出された過去を持っている。
「その近江老人はこう言った。メガリス『竜宮の玉手箱』が復活し、再び海底の難破船を『竜宮城』に変えてゴーストを集めている」
 仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は彼から伝えられた事件のあらましを告げた。

「発端はある強力なゴーストの存在だ。それが竜宮城の『王』となって大量のオブリビオンを配下として従えている。放置すればいずれ竜宮城はオブリビオンの軍勢を乗せて浮上し、地上へ攻め込むだろう……という話」
 弥鶴が示した場所は、前回『劉・叔成』が根城にしていた旅館からほど近い瀬戸内海の海底だ。
「今回はもう夏の盛りだからね。潜ること自体は季節柄問題ないとは思うけど、深さが深さだから猟兵によっては呼吸を維持するための工夫が必要になるかな。難破船がすっぽり沈むほどの水深だから、さすがに生身での素潜りはちょっとね。それに難破船周辺の水域に施されている特殊な仕掛けへにも対処しなければ、竜宮城へはたどり着けない」

 竜宮城に近づく者を阻む特殊な仕掛けについては、水域に入り次第ご対面となるだろう。なんでも1から8まで番号が振られたカード型の迎撃装置が高速で水域を飛び回っているのだそうだ。
「近づく者を切り裂く自律型の兵器みたいなもの、といえばいいかな。近江老人によればそれら8枚のカードは数字が少ない順に破壊しない限り何度でも復活するらしい。動体視力に自信はある? あるいは普通にユーベルコードが効くみたいだから何らかの方法で動きを止めるというのも有効だろうね。もしくは、破壊ではなく強行突破とを選ぶとか。自分のやりやすい方法で突破してくれれば構わない。竜宮城の内部には空気があるようだけど、それ以外の状況は不明のまま」

 取り合えずの説明はお終い、と弥鶴は話を切り上げた。
「果たして竜宮城の内部がどうなっているかはあっちに行ってみてからだね。それにしても、前回の場所と近いのは偶然なのかな? 何か復活の条件でもあるのか気になるところだね」


ツヅキ
 フォームよりプレイングが送れる間は受付中です。
 共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とID・もしくは団体名を冒頭にご記載ください。

 飛び入りも歓迎です。
 第1章が成功した後は水域の仕掛けが完全に解除されるため、後続参加の方も問題なく竜宮城へ突入できます。

●第1章
 竜宮城は不思議な水域にあって、水中で活動するための工夫と特殊な防衛機構を突破する必要があります。
 能力値ごとに書かれている行動例はあくまで参考なので他の方法でも大丈夫です。

●第2章
 ボスへの道を阻むオブリビオンの集団との戦闘です。

●第3章
 今回の事件を引き起こした竜宮城の『王』との決戦です。『王』が倒されるまで第2章と同じオブリビオンの集団が増援として生み出され続けるため、こちらをかいくぐりながら撃破を目指してください。
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第1章 冒険 『竜宮城をめざして』

POW   :    防衛機構の攻撃を耐え抜き、一直線に竜宮城まで泳ぐ。

SPD   :    防衛機構の隙を掻い潜り、竜宮城を目指す。

WIZ   :    魔法で呼吸や行動の自由を確保する。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暗都・魎夜
【心情】
また四国、ね
天輪宗がいるから比較的防御はしっかりした場所だと思うけど、反面厄ネタも多い場所なんだよな
大事にならないうちに、先手を取って一つずつ潰していくのが吉って所か

【行動】
「見切り」でカードの動きを見て、「斬撃波」で破壊
迎撃装置を無力化したうえで、竜宮城を目指す
「随分と性格の良い罠だけど!」

海中対策としてUCを使用
近くを泳いでいる魚と命を繋ぎ、移動する(魚は適宜入れ替えながら)
「悪いな、ちょっと力を貸してくれ」

学生の頃だったら、ちょうど臨海学校の時期か
今も臨海学校の名のもとに大規模のゴースト退治やってるんだろうな
OBとしては、危険な竜宮城の排除をやらせていただきますか



 魂を繋ぐ糸――それは美しい銀色をした魂と魂を結ぶためのユーベルコードだ。かつて土蜘蛛の女王の指とも繋がれたことのあるそれを今、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は周囲を泳ぐ魚に巻き付けて命を同化し、深海を泳ぐ命綱と代えている。
「(よし、いい子だ)」
 ありがとな、と手を振って礼を言いながらふと当時のことを思い出す。確か竜宮城の先駆けとなる事件は臨海学校の折りに起こったのだ。魎夜はつい思い出し笑いをしてしまう。まったく、OBというのはどうしたって後輩たちのことが気になってしまうもので。
(もしかしたら、今年の臨海学校でも大規模なゴースト退治なんてやってるんだろうか? まったく変わった学校行事だぜ……お? もしかしてあれかな)
 海の奥に薄っすらと巨大な影のようなものが見える。目を凝らすと船の形に見えなくもなかった。また別の魚と糸を繋ぎ直し、更に近づいてみる。
 やはりそうだ、間違いない。
 確信すると同時に凄い速さで襲いかかるカード状の物体をこちらも神業のような反応で見切る。
 ――まずは、『1』。
 今回の竜宮城の『王』とやらは性格がいいのか? 倒す順番などという特大のヒントが書かれた武装を斬撃で破壊しつつ、続けて『2』、『3』と斬り伏せる。
 少し気になるのはまたしても舞台が四国ということだ。元々、厄の多い土地柄でもある。天輪宗のことは信頼しているが、少し気をつけておいたほうがよいのかもしれなかった。
「(というわけで、先手必勝! 大事になる前に潰させてもらうぜ!)」
 最後の『8』まで倒しきった魎夜は泳ぐのを早めて件の難破船に近寄った。いつから沈んでいるのか、かなり劣化が激しい。中はおそらくゴーストタウン現象によって異次元と化しているに違いなかった。
 それじゃ、危険な竜宮城の排除といきますか。
 ここは銀誓館のOBに任せなさいとばかりに、魎夜は余裕をもって難破船へと突入してゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
『竜宮城』となると、私が学園に来る以前の事件ですね。資料は読んでいますが、相対は初めてです。

「全力魔法」の「結界術」「環境耐性」で、海水を押しのける結界を張って海底を歩いて行きます。
今更水着で肌を人目に晒すのは憚られますから。やはり事務服を着ている方が落ち着きますね。

魚ではない何かが高速で飛び回っている? あれが防衛機構とやら。
では一曲、『主に向かいて新しき歌をうたえ』。水中は音の通りがいいですから、効果も期待できるでしょう。
さて、カードの皆さん、もう少し速度を落としてもらえたら助かります。
はい、番号が読み取れる程度になりました。では数の小さい札から順番に、「斬撃波」で引き裂いていきましょう。



(『竜宮城』ですか……私が学園に来た時にはもう、銀誓館が解決した後でしたので。実は今回、お初にお目にかかるわけですね)
 海中へと身を投じた儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)はゆっくりと海底を目指して沈みゆく。体の周りに張り巡らせる結界が海水を押し退け、芽亜の身を水圧から守っていた。あとは環境耐性を持つ身であれば少しの時間なら十分に持つだろう。
 ついに足先が海底にたどり着き、芽亜は誰もいない海底を歩いていくことにした。昔ならともかく今更水着姿を晒すのは、なんというか、憚られるではないか――ちょっと恥ずかしそうに腕を擦りながら、やはり事務服を着ている方が落ち着く気がすると芽亜は思った。
 改めて読み込んだ竜宮城に関する資料を反芻しながらの道中は、普段目にすることのない深海の幻想的な風景によって飽きる事がない。
 こんな綺麗なところに恐ろしいゴーストの巣窟が潜んでいるなんて、いつものことながら感心してしまう。こうやって人目の行き届かない場所を見つけるのも一苦労だろうに。
「(あれは……魚ではない何かが高速で飛び回っている? あれが防衛機構とやらでしょうか)」
 どうやらその背後にそびえる巨大な影のような塊が目的地である難破船らしい。その周囲を飛び交い、侵入者の襲来に備えているカードの群れから距離を置いた芽亜はゆっくりと謳い始めた――主のための新しき歌を。
 染み渡るように海中にて響く歌声で骨抜きにされたカードは芽亜の願い通りにその動きを緩めた。
 はい、これなら番号が読み取れますね。
 芽亜は満足そうに微笑み、手にした鴇色の槍を閃かせる。斬撃波がカードを数字の小さい順に破壊し、難破船への道を拓いた。
 全てのカードを倒し、無効化した芽亜は導かれるように難破船に近寄る。奥の方が少し明るくなっていた。甲板へ回り込むと入れそうな隙間がある。
「(では、突入します)」
 なにしろ初めての『竜宮城』だ。
 芽亜は興味深そうに辺りを見回しながら、未知の領域である船の内部へ突入していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ連携歓迎
「海中とは、少々厄介だな」
とは言え、先ずは突破しなけば話にならない。

ゴーグルや酸素ボンベを含む一般的なダイビング装備と竜宮城の内部に入った後の着替え等を入れた耐水性の鞄を用意。

いつもの様に、調息と脱力。
ストレッチや耳抜き等の準備運動を行ってから水中へ。
周囲を警戒しつつ、竜宮城を目指す。

迎撃装置が起動したらその場で一旦停止してUCを起動。
先ず自身を氣の流れを活性化させて加速し対応力を底上げ。
また範囲内のカードに対して、その周囲の水流とカードを動かす術式への氣の流入を鈍化させて動きを鈍らせる。
あとは数字が少ない順に8枚のカードを全て破壊し突破する。



 現地を訪れた上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は燦々と降り注ぐ夏の日差しに照らされる海面を見下ろした。
「海中とは、少々厄介だな」
 修介はいつものように調息して余計な力を抜き、屈伸などの準備運動を念入りに行った。なにしろこちらは生身の人間なので海中は守備範囲外である。そこは文明の利器で何とかするべく、修介は準備したゴーグルや酸素ボンベ、フィンなどを装備して水中へと潜った。もちろん内部に入った後に着替える服とそれを運ぶための耐水性鞄も忘れない。
 海の中は存外静かなものだった。
 修介は周囲への警戒をしつつ、『竜宮城』が潜んでいるという海域を目指して泳ぎ始める。
 時折、魚などの海生生物と行き会う以外には特に障害となるようなものも見つからない。やはり問題は難破船を守るという迎撃装置だろう。
(……見えてきたな)
 巨大な難破船が横倒しになった形で海底に沈んでいるようだ。これだけの大きさの船が未だに引き上げられることなく行方不明のままでいることがまず普通ではなかった。既に世界結界による隠蔽工作が始まっているのかもしれない。
 こちらに気づいた防御装置――8枚のカード――が一斉に修介を目がけて襲いかかる。接触するより早くその場に停止した修介は地上で戦う時と同じように“氣”で周囲の空間を覆い、互いの加速度に干渉した。
(当たるとでも思うか、この状況で?)
 まず修介の方は自らの氣を活性化することで機敏なる反応力と素早い動作を手に入れている。カードにはその逆で、周囲の水流及び迎撃装置に施された術式に対して氣の流入を鈍化させることで動きを制してやれば――後はこの拳を順番にくれてやるだけだ。
 見えた。
 修介の瞳が閃き、拳でぶち抜くカードの破片が海中を舞う。次、と修介は同じ動作を繰り返した。
 こうして『竜宮城』は防衛のための切り札を完全に沈黙させられたのである。後から他の猟兵が合流することがあっても、既に解除された迎撃装置が復活することはない。
(ゆくか)
 いざ、『竜宮城』内部へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『トロンプ・ルイユ』

POW   :    耐性反芻
噛み付きが命中した部位を捕食し、【その対象が放つ攻撃への耐性】を得る。
SPD   :    プシシェの触覚
攻撃が命中した対象に【生贄の模様】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【極彩色の闇から伸びる角のようなもの】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    霊魂放浪
レベルm半径内に【流星のように翔ける霊魂の群れ】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。

イラスト:猫の目からビーム

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ん?」
 黒づくめの男が異変に気付いた。
 竜宮城の『王』に選ばれた彼は来たるべき地上侵攻の時までゆっくりと時間を過ごそうと思っていたのだが、どうやらそうもいかなくなったらしい。
「やれやれ。どこの誰だか知らないが、命知らずな奴がいたもんだ。この竜宮城内にはほとんど無限にオブリビオン化したゴーストが湧いてくる。果たして俺のところまでやって来れるかね?」

 竜宮城内部はゴーストタウン現象によって元の空間からは予想もつかない光景が広がっていた。
 そこはまさしく|竜宮城《御伽噺の世界》そのもの。珊瑚礁や海藻が彩り、美しい水泡や滝がそこかしこで見られる。
 幸いなのは空気があることだろう。おかげで地上と同じように戦うことができそうだ。
 目指すは竜宮城の『王』が待つ最深部。
 強大な気配は足下の方角から感じ取れる。おそらく、居場所は船の底部。故にそこまで降るための梯子を探さなければならない。
 だが、猟兵の行く手を阻むオブリビオンの群れが竜宮城の壁という壁から現れた。
 トロンプ・ルイユ。
 奇妙な騙し絵のような体躯は見る者の視覚を惑わせる。いったい何匹がそこにいるのか、数が集まれば集まる程に見分けがつかない。
 時間が経つほど敵はいくらでも湧いてくるようだ。どうやら、竜宮城の『王』と会うにはできるだけ迅速に突破する工夫が要りそうだった。
儀水・芽亜
さて、押し通らせてもらいましょう。前座は前座らしく、さっさと討滅されてくださいな。

移動中はハミングのようにUCの詠唱を歌いながら。
「オーラ防御」と「呪詛耐性」で身を守りつつ、「全力魔法」深睡眠の「属性攻撃」「貫通攻撃」「蹂躙」でナイトメアランページ!
直線の多い船内は、ランページを活かすには最適です。
敵陣に穴が開いたら、塞がる前に突破しましょう。

さて、階を結ぶ階段はどこでしょうか。船員の利便性を考えれば、船首船尾中央部の三箇所くらいはありそうです。

オブリビオンには適宜ナイトメアランページを放って牽制、または討滅。
しっかり詠唱すると、効果十分ですね。

さあ、竜宮城の“王”にお目にかかりましょう。



「時間が経てば経つほど敵が増えてゆく、ですか……ならばこちらにも手がありますよ。前座は前座らしく、さっさと討滅されてくださいな」
 どこからか聞こえるハミングの主は船内への侵入を果たした儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)によるものだ。
 全く大変な状況ではあるが、芽亜にとっては幸いな要素も幾つか存在する。ひとつは――ナイトメアランページが通りやすいこの広さ。
「まとめて蹴散らしてあげなさい!」
 芽亜に呼び出された白馬は密集する敵群を文字通りにまとめて葬り去った。相手が増えるごと、こちらも詠唱時間を伸ばして威力が高まるという仕組みである。まとわりつく霊魂を張り巡らせた気膜で遠ざけながら芽亜は腰に手を当て、小さなため息をついた。
「いくら呪詛耐性があるといっても、これだけ数が多いと……いったいどうやってこれだけの数を用意しているのでしょうね。やはりメガリスの効果なのでしょうか」
 あらかじめ魔法で眠らせておいたオブリビオンにとって悪夢を司るナイトメアは天敵そのものだ。ナイトメアがこじ開けた道を押し通り、竜宮城の探索を続ける。これだけ大きな船の昇降場所がたった一つということはないだろう。
 船首船尾中央部の三箇所、と目星をつけて芽亜は出来る限り先を急いだ。
「予想通りですね」
 すると、ちょうど中央付近の階段前にオブリビオンが数多く集まっているではないか。あの先に竜宮城の王がいるのはまず間違いあるまい。
「一生懸命にお役目を果たしているところ申し訳ありませんが、そこを通してもらいますよ」
 これまでと同様に芽亜はハミングに詠唱を乗せ、たっぷりと威力を溜め込んだナイトメアを眠りの魔法と共に解き放った。まとめて貫通、蹂躙されたオブリビオンの奇妙な色彩が滲むように解けてゆく。
「さあ、竜宮城の“王”にお目にかかりましょう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ連携歓迎
「なるほど、この『竜宮城』を起点した無限湧きというわけか」
ならこの場所自体どうにかしないと相手をしても無意味だろう。

調息、脱力、目付は広く俯瞰するように戦場を観据える。
周囲の地形状況、敵の数と配置を確認。

UCは引き続き自身を加速、範囲内の敵を鈍化に使用。
また敵の氣の流れから逆算して行動予測。

立ち回りは重心を下げ過ぎず、小回り重視。
初動から足を止めず、フェイントを交えつつ壁や天井を足場として使用、タクティカルペンや敵とその物を投擲物として牽制しながら極力被弾と交戦は避けつつ探索。

敵に流入する氣の起点が最深部の可能性が高い。
先ずはその流れを辿りつつ、最深部へ続く梯子を探す。



「なるほど、この『竜宮城』を起点した無限湧きというわけか」
 竜宮城内部に突入した上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)はすぐさまその意味を理解する。
 ならば、この場所自体をどうにかしない限りはまともに相手をしても仕方がない。辺りを俯瞰するような眼差しで調息と脱力を行った修介はほんの一瞬だけで周囲の地形や状況、それに敵の数と配置までを把握した。
 鼻息荒く、牙を剥いて襲いかかる多数のオブリビオンを前に――加速、逆に相手の氣を弄って鈍化させれば二乗の効果が望める。
 もはや止まっているような動きの群れに踏み込んだ修介は、決して足は止めないままに最低限の接触のみで探索を急いだ。
 軽く跳躍、三角跳びの要領で壁と天井を使い頭上を飛び越える。着地点にいる個体にはタクティカルペンを投げつけ、怯ませた隙に脇を駆け抜けた。それも追い縋る相手には真っ直ぐ行くと見せかけて急に角を曲がるフェイントで撒いてやる。
(どこだ?)
 修介は氣の流れを読み、その起点を求めて辿った。遭遇したオブリビオンの群れを跳び越え、辿り着いた船尾に整備用と思われる梯子を見つける。
「……ここか」
 突入する前に息を調え、しっかりと梯子の奥を見据えた。
「いまいくぞ。首を洗って待っていろ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
前にも見たタイプのオブリビオンだな
あの時は土蜘蛛の特質もあったが、そいつに比べればやりやすそうだ

その迷彩色で敵をかく乱しつつ、攻撃を重ねることで自身を強化していく、ね
こんだけ数が集まると、さすがに面倒だな


【戦闘】
「知らねぇのか? 銀誓館の能力者に、一度見せた技は通じないんだぜ?」

触覚の攻撃を「見切り」、「なぎ払い」「生命力吸収」しながら「魔力溜め」
ある程度数がまとまったところでUCを使用して一気に吹き飛ばす
「どこにいるのか分からねぇし、まとめてやらせてもらうぜ。悪く思うなよ?」

負ける気はあんまねぇが、キリがねぇな
適度に数減らしたら、包囲の穴から、親玉に向けてダッシュだ!



(これはこれは……)
 そいつらの姿を見た暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は記憶との一致を早々に弾き出した。
 覚えているのは、あの体躯から不似合いな蜘蛛の脚を生やしていた姿。思い出して苦笑する。あの時は土蜘蛛の性質も加えてなかなか侮りがたい相手であったが、どうやらこいつらに特殊な能力はないようだ。
「やりやすくて助かるぜ。その迷彩色でこちらを攪乱しながら攻撃を重ねることで自身を強化する……だったよな? せっかく再会したんだ、ひとついいことを教えてやるよ」
 魎夜は器用に伸縮する触手の動きを見極め、自分とは反対方向へと薙ぎ払った。
「お前らは知らねぇだろうがな、銀誓館の能力者に一度見せた技は通じないんだぜ? ――そらよ!」
 奪い取った生命力を魔力の足しにしながらわざと敵が集まって来るまで時間を稼ぐ。どうせなら派手にいこうじゃないか。
「竜宮城の王とやらがどこにいるのか分からねぇし、まとめてやらせてもらうぜ。悪く思うなよ?」
 回転動力炉が唸りを上げて起動する。なにしろこいつはチャージ時間に応じて無限に攻撃対象数が増加するという代物だ。
 相性抜群、豪快に爆ぜる電光が奇怪な闇を晴らして一気にひとつの群れを吹き飛ばしてしまう。道が開けたのもつかの間、倒した群れの後ろから新手が生み出されるのを見た魎夜はやれやれと首を鳴らした。
「さあて、負ける気はあんまねぇがキリがねぇな。となれば――」
 再び電光が爆ぜ、電撃が瞬く中を一気に駆け抜ける。さあどこだ? 包囲から逃れた魎夜は目指す深部に向かって足を早めた。
「待ってろよ、親玉とやら。お前の居場所までこのまま直行してやるぜ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・零央
先行組のおかげで竜宮城には問題なく到着。
ダイビング用品一式を外してまとめると、
「イグニッション!」
カードを掲げ、ケルベロスのキングを呼び出す。
「もうみんな先に行ってるみたいだな。俺たちも急ぐぞ!」

わらわら湧いてくるオブリビオン。
一々構ってる暇は無いよな、と「ガウ」と同意するキングの背に跨り
オカリナを吹く。
「頼むぜ、お前たち!」
現れた白燐蟲を自分とキングに纏い、手薄な通路を狙ってダッシュ。
流星の様な霊魂の群れはレオ・ショットで撃ち落とす。

「おらおら、よそ見してると危ないぞーっ」
白燐奏甲の効果でオブリビオンたちは互いに衝突したり、
弾道を塞いで霊魂を喰らったり。
不幸な事故の混乱の隙を突いて、突破だ!



「ここが復活したっていう竜宮城か……見るからに普通じゃない場所だ。先行組のおかげで迎撃装置ってやつが停止してたのは幸いってやつだな」
 神崎・零央(百獣王・f35441)はダイビングスーツを脱いで他の用品も一緒にまとめると、代わりに一枚のカードを取り出した。
 ――イグニッションカード。
 零央は掴んだカードを頭上に掲げ、「|起動《イグニッション》!」を叫び、呼び出したケルベロスのキングと一緒に奔り始める。
「もうみんな先に行ってるみたいだな。俺たちも急ぐぞ!」
 目指すは竜宮城の『王』が待つという最深部。つまり、このわらわらと尽きる事無く湧いてくるオブリビオンの相手をしてやる暇なんかないということだ。
「キング!」
「ガウ」
 鬣を掴んで跨る零央を背に乗せたキングは怯むことなくトロンプ・ルイユの群れ目がけて突っ込む。
 鳴り響くオカリナの音色に操られた白燐蟲がふたりを守るように輝いて、レオ・ショットに弾丸となって装填された。
 弾そのものが白燐蟲、威力を増すための強化も同上。零央の白燐蟲使いとしての矜持を込めた一発が彷徨う霊魂を貫いて道を拓かせる。
「おらおら、よそ見してると危ないぞーっ」
 いつの間にか、トロンプ・ルイユを惑わすように彼らの周囲にも白燐蟲が漂っている。それは不幸を齎す蟲の知らせ。互いに足を踏み合ったり、ぶつかり合ったりして右往左往する合間を縫うように零央は駆け抜け、敵の数が少ない通路を選んで飛び込んだ。背後で霊魂同士が衝突して自家中毒を起こす爆発がする。
「先に行かせてもらうぞ!」
 不意にキングが鼻を鳴らした。
 壁の突き当りに梯子。零央はキングの背から降り、梯子の先が続いている薄暗い船底を見下ろした。強大で禍々しい気配はここから竜宮城内へ漂っているようだ。
「ボスはこの先か。いこう、キング!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『トラウマイスター』

POW   :    ケットシー・ワンダラーの召喚
【ケットシー・ワンダラー】の霊を召喚する。これは【使役主に自分の魔力を供給する支援】や【周囲を巻き込む華麗な踊り】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    ヘリオンサイン
【遥か天空にヘリオンサインを描き、何らか】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【メガリス:竜宮の玉手箱のレプリカ】から、高命中力の【浴びたらたちまち老人になる煙】を飛ばす。
WIZ   :    光の十字架
【体内から清浄なる裁きの光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:N

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御宮司・幸村です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 竜宮城の『主』という大仰な肩書にも関わらず、その男はある意味でどこにでもいる平凡なオブリビオンに過ぎなかった。
 その由来こそかつての竜宮城決戦に関わった者の記憶に根差したものであったが、いまとなって過ぎ去った過去の残滓も同然。それが縁あって復活した竜宮城に『主』として選ばれてしまったという次第である。

「まあ、他にやることもないから付き合ってやるさ」

 どうしたい、と彼は竜宮城に訊いた。
 返る答えはいつも同じだ。
 海の底で人知れず栄華を極める竜宮城は更なる拡大を願っている。もっと繁栄を。数えきれないほどのオブリビオンを生み出し、集め、海底から地上へと版図を広げたい。
「強欲だ」
 男は笑った。
 さすが自分を捨てて地上に戻った男から若さを奪うだけのことはある。一度『主』に選ばれた時点で男に降りるという選択肢はない。
 
 侵入者の接近を察知した竜宮城は男が待つ部屋の壁から次々とオブリビオンを増殖し始めた。これは『王』が倒されるまで止まらない機能。竜宮城は彼がいなければその力を十全に発揮することは叶わないのだ。
「爺にされるのは御免だからな。お前の望みを叶えるため、邪魔者を排除する。それでいいんだろう?」
儀水・芽亜
さて、“王”の居場所へ辿り着いたわけですが――威厳も何もない、その辺にいそうなただのオブリビオン。頼りは配下の数だけですか。

ただのオブリビオンに容赦は不要。参ります。
「全力魔法」「範囲攻撃」「結界術」「破魔」「浄化」で、サイコフィールド。

湧き出す『騙し絵』ごと、“王”を眠りに落とします。
“王”は裁断鋏『Gemeinde』で首を落とすのを狙いましょう。
ほら、眠いでしょう? 睡魔に身を委ねれば楽になりますよ。

上は向かないようにして。どんな文字を天井に描いたとしても、無視すれば終わりです。
さあ、もう少し付き合ってもらいますよ、“王”。
生者なき竜宮城は、このまま泡沫に還っていただきます。


上野・修介
※アドリブ連携歓迎
「やはり、少々煩わしいな」

いつも如く調息・脱力、そして戦場を『観』据える。

一体一体が雑魚でも数が多いとやはり脅威だろう。
そちらの処理から。
ボスから『竜宮城』を起点にしての無限再生であるならば、『竜宮城』かの雑魚への力の経路をどうにかすれば、一時的でもそれを止められるはず。

――ならば狙うはその『流れ』


まずは攻撃を回避に専念しつつ、侵入時から読み取っていた『竜宮城』を廻っている氣の流れを更に深く読み込む。

打撃とともに叩き込んだ自身の氣を起爆剤にして、力の経路とその流入先の雑魚を爆破。
一時的に雑魚の増殖を抑制すると同時に、爆破の粉塵に紛れてボスへの間合いを詰めラッシュを叩き込む。



 儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)と上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)がたどり着いた“王”の居室は硝子のように透き通った壁の向こうに珊瑚や魚が泳いでいる天然の水族館めいた場所であった。
「よもや、ここまでたどり着けるとはな。見くびっていたよ」
「こちらこそ買い被っていたようですね。竜宮城の“王”を名乗るオブリビオンが威厳も何もありはしない、その辺にいそうなただの男であったとは肩透かしにも程があります」
「まあそう言うなよ。そんなただのオブリビオンでも、“王”に選ばれるということはメガリスの主になるということだ。果たしてこの竜宮城内で俺に勝てるかな」
「やってみせましょう」
 王が差し向ける|騙し絵《トロンプ・ルイユ》の大群と、芽亜の解き放つ|鴇色の結界《サイコフィールド》との凄絶なるぶつかり合いが幕を開けた。全力で、あらん限りの浄化と破魔の力を広範囲に叩きつける芽亜の気迫と前にいる者が斃れ伏す後から無限に湧き出るオブリビオンとの両者譲らぬ戦い。
「こいつは凄いお嬢さんだな。そのうち眠るこいつらが積み重なって、押し潰されちまいそうだ」
「オブリビオンを盾にして凌ぎますか、王よ」
「ああ、それが王たる所以だからな」
 このままでは共倒れになりかねない。修介は拮抗する状況を打破するため、調息と脱力を済ませてから戦場を心眼にて観察した。
「やはり、少々煩わしいな」
 あれらのオブリビオンをどうにかしなければ王に手は届くまいと判断。トロンプ・ルイユに加えて召喚されたケットシー・ワンダラーの踊りに惑わされぬ心を保ちつつ、狙うは竜宮城という場の『流れ』だ。
 既にその感覚はここまでくる間に掴んでいたので、修介が目的の場所を手繰り寄せるのにそれほどの時間は要しなかった。
(「――……視えた。ここを、穿つ」)
 修介が打突の姿勢に入った時、狙いを悟った王が息を呑む。
「……まさか、やめろ!」
「はぁッ!」
 叩き込む拳から流し込んだ修介の氣が起爆剤となって竜宮城側の氣の流れを一時的に断絶。再生される前にと、修介は爆破の衝撃や粉塵の中を一気に馳せて王に肉薄する。
「ちッ――」
 初撃が脇腹に入った。
 立て続けに攻撃を叩き込む修介への対応で視野が狭まったのが致命的だ。不意にくらりとした眠気を覚えた王はしまったと臍を噛む。
「ようやく届きましたね」
 芽亜はひたと王だけを見つめた。
 構えるは|裁断鋏《Gemeinde》。鋭い切っ先が男の首筋を裂き、赤い飛沫で竜宮城を染め上げる。
「ヘリオンサインを描きたければどうぞご自由に。どんな文字であろうと、見なければ問題はありませんからね。さあ、もう少し付き合ってもらいますよ、“王”」
「はは、怖い怖い」
 飄々とした態度を崩さない男だが、芽亜の鋏と修介の拳を同時に躱すのは決して容易くはない。芽亜の切っ先が再び首を狙うのに合わせて修介はありったけの攻撃を繰り出した。素人離れしたグラップルの技が男を壁際に追い詰め、その鳩尾に重い一撃を入れる。
「ぐッ……!」
 素早く華麗に芽亜の鋏が舞い、血しぶきが再び跳ねた。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
能力者出身のオブリビオン、メガリスとの相性も良いようで危険な奴だな
ただ、その箱を放っておくとろくなことにならねえんだ
運がなかったってことで勘弁してくれ

【戦闘】
ケットシーの攻撃を「見切り」で回避しつつ「生命力吸収」の刃で攻撃
増える雑魚には「なぎ払い」

「箱捨てる気は無ぇか? それじゃ王って言うより奴隷だぜ?」

さすがに数が多いな
だが、ここなら巻き込む相手もいなけりゃ、壊して困る物もねぇ

「ちょっと全力でやらせてもらうぜ?」

「魔力溜め」「リミッター解除」で力を解放してのUC使用
「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義! 竜神爆火雷!」

戦闘後、何があるか不安だし残っていれば玉手箱は回収だ


神崎・零央
永都爺ちゃんのことは、授業で習ったよ。
難しいことはわからなかったけど、
一般人なのにものすごく頑張ったことだけはわかった。
だから、爺ちゃんの頑張りを無にすることは絶対にさせない。
いくぞ、キング!

「キング、絶対に上を見るなよ!」
先行する猟兵の挙動を見て学習。
ヘリオンサインは目にしなければいい!

「まっすぐ突っ込め、キング。あいつらは俺に任せろ!」
キングに跨り、最短コースでボスに突撃。
群がる騙し絵たちにはレオシューターを連射・連射・連射!
上から襲ってくる奴は、地上の影を見て躱す。

最高速度のケルベロスの突撃はそうそう躱せるもんじゃない。
キング渾身の体当たりと特大白燐蟲弾をくらえーっ!



(「なるほど、当時の能力者に由来するオブリビオンってわけか……? ったく、メガリスとの相性も良さそうだしぱっと見の印象よりかずっと危険そうな奴だぜ」)
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)にとってヘリオンサインもケットシーの霊も懐かしさを覚える代物であった。メガリスによって身を滅ぼした者の存在も見てきている。つまりは放っておけないというわけだ。
「キング、絶対に上を見るなよ!」
 既に交戦中の猟兵に習い、神崎・零央(百獣王・f35441)はキングに力強く声をかけた。「がう」という頼もしい返事に頷き返して、しっかりとその背に跨る。
「いいか、まっすぐ突っ込んだキング。あいつらは俺に任せろ!」
 天空のヘリオンサインが何の文字を記しているのかなど零央は構わなかった。ただ前を見つめ、最も早く『王』の元へたどり着くための道筋を見出すことしか意識にない。
「おやおや、強行突破かい?」
 相手もここが正念場と見て、ようやく再生した竜宮城の壁からありったけのオブリビオンを放出する。
「来たな!」
 零央が狙いをつけるスリングショットの玉が立て続けに射出された。次々と敵の身体を貫いて騙し絵の進軍を突き崩す。魎夜は群がるそれらを剣で薙ぎ払い、『王』へと率直な提案を持ち掛けた。
「箱捨てる気は無ぇか? それじゃ王って言うより奴隷だぜ?」
 その返答はケットシーによる軽快な乱舞だった。つまりは決裂。やれやれと魎夜は肩を竦め、紙一重に流れるような攻撃を躱すために跳躍する。
「奴隷だろうと選ばれちまったんだから仕方ない。オブリビオンとなった者にその運命を受け入れる以外の道があるとでも?」
 トラウマイスターの問いかけに魎夜は無言で考える。そういう意味では確かに彼は運がなかったのかもしれない。
「道が開けてきたぞ!」
 零央を乗せたキングが横へ飛び退き、オブリビオンの襲撃を寸前で回避。
「キング、よくやった! これなら――届く!」
「む……!?」
 いよいよ最高速度に到達するキングの背中で、零央は永都老人のことを習った授業のことを思い出していた。
(「永都爺ちゃんは、一般人なのにものすごく頑張ったんだ」)
 零央には詳しい事情や経緯はわからない。それでも、彼の頑張りを無にすることだけは許せなかった。
「ここで竜宮城の進攻を止められなかったら、爺ちゃんはすごく悲しむ。そんなの絶対にさせない……!」
「こいつッ――」
 思いっきり、キングが渾身の体当たりをくらわせる。あまりにも凄まじい衝突は竜宮城においては強大な力を誇る『王』であっても殺し切れなかった。体勢を崩して床を転がる僅かその一瞬の隙を魎夜は逃してなんかやらない。
「ちょっと全力でやらせてもらうぜ? ……ここなら巻き込む相手も壊して困るもんもねぇしな」
 相手も特大の必殺技が来る気配を察したらしい。とっさにオブリビオンの影へ飛び込もうとするのを白い輝きが遮った。
「こいつは!?」
「綺麗だろ?」
 白燐蟲を束ねた特大の塊で敵の意表をついた零央は得意げに笑う。キングとこいつ、どちらも零央にとって大切な相棒だ。
「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義! 竜神爆火雷!」
「しまッ……」
 魎夜は溜め込んだ力を全力全開で解放、周囲を爆破する炎と雷に変えし竜神爆火雷をおもむろに叩きつけたのである。激しい爆発は竜宮城ごと崩落に誘い、猟兵は外へ脱出した。
「そういや、玉手箱を見なかったな」
 竜宮城が跡形もなく消え去った後で魎夜が思い出したように呟く。破壊の必要を考えて探したのだがそれらしきものは見つからなかった。
「王を倒すと同時に消え去ったのか? それとも……」
 平和を取り戻した海域は穏やかなものだった。夢の如き竜宮城は幻と消え、そこには朽ち果てた難破船の残骸のみが漂うばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月04日


挿絵イラスト