フラワーズ島の夏のお花見
●海を楽しもう
陽射しの強まる夏、グリモアベースにて。
「今年はグリードオーシャンで夏休み、過ごしてみないかい?」
唐突にシャチのキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が語り始める。
「キマイラフューチャー由来のフラワーズ島っていう島があってね。今の時期海が澄み渡っていてすごく綺麗らしいんだ」
彼曰く、一昨年はシステムの暴走で島の周りの海の様子が極端な状態になっていたらしいのだが、今は海の底が見える程に水が澄み渡っているらしい。
「この島の周りは長い年月の間に住み着いた宝石みたいに鮮やかな熱帯魚や珊瑚礁がとても綺麗な穏やかな海でね。夏のお花見とも言えるくらいに綺麗な景色が海底に広がっているんだ。元無人島だったから人の手も殆ど入ってないからだろうね」
ちなみに海に出る為の小舟は海の家で貸し出してくれるらしい。
「舟で漕ぎだしていい場所見つけたらダイビングしてみるのもいいかもしれないよ。海の上から見るのとはまた違った景色が見れていいと思う。水着とか準備していた方がいいかもしれないね。海の上に出なくとも穏やかな海岸でゆっくり楽しむ事もできるし、新鮮な海の幸使った海の家な感じの料理とか果物使ったジュースも絶品だよ」
そうシャチのキマイラは楽しそうに語る。
「あとは……そうだね。運がよかったらでっかいイルカとかアザラシが出てくるかも。人への警戒心はないみたいだから上手くやれれば一緒に泳いだりもできるかもしれないね」
そこまで説明したヴィクトルは左手に付けた鍵型のグリモアをかざし、転送の準備を開始する。
「戦い続きというのも結構疲れるだろうし、たまにはこんな風に休暇を過ごすのもいいと思うよ」
そう、ヴィクトルは笑顔で締め括った。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
今回はグリードオーシャンでの夏休みのお誘いとなります。
●フラワーズ島
キマイラフューチャー由来の小さなアスレチック系元無人島。
入植してきた海賊や商人の中から定住する人も増えてきているようです。
・海上花見
島北部の海域で行えます。
現在は海が凪いでいて海中の珊瑚や魚たちを眺める事ができる位に水が澄んでいるようです。
たまにイルカとかアザラシとかの大型海棲哺乳類の姿も見られるんだとか。
島で小舟の貸し出しを行っており、希望すれば海上からも楽しめます。1人用の小さいものから10人くらい乗れる中型まであるようです。
また、海岸では普通に海水浴や島や海の幸をたっぷり楽しめる海の家なども一通り楽しめます。
・その他
誰かと参加される場合は、お手数ですが【お相手のID】、または【グループ名】を明記して下さい。記載がない場合、一緒に行動できなくなる可能性があります。
また、お声かけがありましたらヴィクトルをはじめとした当方のグリモア猟兵もご一緒させて頂きます。
初対面でも気にせずお気軽に。
それでは、よい夏休みを。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『Flowering Ocean』
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POW : 洋上で「花見」をしながら飲食を楽しむ。
SPD : 海中へと飛び込み、自由きままに楽しむ。
WIZ : 「花見」を尻目に気ままに遊ぶ。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●夏の島の一日
青く澄んだ海の底に、鮮やかな色彩の珊瑚礁が見える。
長きに渡り無人島であったから、ほんの少し海岸から離れた場所にある珊瑚礁には人の手も入っておらず、海面に反射されずに飛び込んできた陽光を受けてまるで花畑のように様々な色で海底を彩っている。
幻想的な林の中にはこれまた宝石のような鮮やかな小型の魚たちが泳ぎまわり、小舟が落とした影に驚いてさっと隠れていく。
そして白黒くっきり分かれた小型のイルカの群れが小舟に興味を示したのかじゃれつくように泳いで誘い、少々強面の真っ黒なゴンドウや大きなアザラシは我関せずとばかりに悠然と泳いでいるように見えるけれども、ちらちらと視線を向けているようにも見えて。
さらに遠く、やや沖の方に目を向ければ大きなクジラやシーサーペントが水面上に飛び上がって大きな音と波しぶきを周囲に巻き散らしている。
砂浜では島の住人はそんな景色をよく冷えたジュース、或いは新鮮な野菜をふんだんに使った料理に舌鼓を打ちつつのんびりと眺めていて、或いは浜辺で水遊びを楽しんで。
小舟に乗って海に繰り出した人は透き通って見える海の底に目を奪われていて、借りた潜水道具を装着して飛び込み珊瑚や警戒心の薄い海の生き物たちと戯れていたりもする。
――穏やかな夏の一時、どのように過ごすかはあなた次第。
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●マスターより補足
・海の生き物
熱帯魚のように色鮮やかな魚がこれまた彩り様々な珊瑚礁に住処にしているようです。
大型の海の生物はお腹が満たされているからか、見た目よりはかなり温厚で好奇心旺盛のようです。
因みにグリードオーシャンの環境だからか、珊瑚は妙に頑丈で成長も早いようなので珊瑚の上を歩いたり多少壊れたりしてもすぐ元通りになるので大丈夫です。
・海の家
料理は一通りは作れるようで、リクエストあれば可能な範囲で作ってくれるようです。
小舟と一緒に水着や簡単な潜水用の道具の貸し出しも行っているようです。
水着を着用してくるとプレイングボーナスがあるようです。
指定があれば昨年以前の水着でも反映いたします。
また、グリモアエフェクトの期限もあるため、8/6(土)の早朝には締め切る予定ですのでご注意を。
それでは、よい一日を。
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外邨・蛍嘉
蛍嘉として参加。
ま、濡れてもいいように水着(ワンピース水着、青)なんだけどね。
この世界、陽凪の故郷だから来たかったのさ。
というわけで、洋上の花見…ああ、よい水の澄み具合だね。綺麗に海底が見えるよ。
そして…うん、陽凪も嬉しそうだ。
こうして海の上を小舟でのんびり…なんてのは、生前できなかったからねぇ。内陸部の生まれだし。歩き巫女として海側に行っても、舟には乗らなかったから。
さあ、涼もうか…中のクルワも共にね。
※
陽凪、澄んだ海が嬉しくて泳いでいる。気持ちいいし、何より眺めがいいなーとジェスチャー。
夏休み万歳!
一艘の小舟が珊瑚の海面でゆらゆら揺れている。
小舟の上で陽を身に浴びつつ、リラックスして海中を見遣る緑髪の女は外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)。
「……ああ、よい水の澄み具合だね。綺麗に海底が見えるよ」
その視線の先には陽凪という名のガラ・ルファーーどこかの世界ではドクター・フィッシュとして活躍している種類の魚が鮮やかな赤の珊瑚の間を潜るように泳いでいる。
メガリスを食した事で少々変わった事になっている陽凪。空を泳ぎ呪いも食せるけれどもやはり海中が心地よいようで、いつもよりも上機嫌ですいすいと泳いでいるようにも見える。
と、そんな事を考えていると陽凪が水面から顔を出してジェスチャー、鰭をいっぱいに広げゆらゆらさせてくる。
ぱしゃりと蛍嘉に水飛沫がかかるけれど、濡れてもいいようワンピースの水着に着替えていた蛍嘉には別に問題ない。
寧ろ陽凪の故郷の世界の海に来たかったのだから、この海で嬉しそうに泳ぐ陽凪の姿に満足しているくらいだ。
肌に触れた海水はひんやりと冷たく、澄んだ海水は心地よく。気持ちよくて眺めもいいし夏休み万歳! とでも示しているかのように陽凪はその全身の仕草で浮かれている。
少しだけ波に流されて、小舟は緑の珊瑚礁の上に差し掛かる。
(「こうして海の上を小舟でのんびり……なんてのは、生前できなかったからねぇ」)
珊瑚やその間をすり抜ける陽凪や宝石のように鮮やかな色彩の魚達を見ながら思う。悪霊である彼女の生前は内陸生まれ、歩き巫女としての任務で海の近くへ訪れた際にも舟に乗る事はなかったから。
波に揺られのんびりとした時間を過ごす――魂に封じた鬼『クルワ』と共に悪霊となった今、そんな時間を過ごせるとはどんな因果なのだろう。
「……さあ、涼もうか」
魂の中の鬼にそう語り掛け、小舟の蛍嘉はのんびりと、海の中の陽凪は目一杯泳ぎ楽しみ回って時を過ごしていく。
大成功
🔵🔵🔵
推葉・リア
わー!すってきー!とっても綺麗!よーし海のお花見も海の幸も楽しむわよー!(水着2022の水着着用)
まずは海上花見!中型の舟を借りて『指定UC』で水着が実装されてる推しキャラ達を私含めて舟の乗員数召喚!…はぁ……推しが珊瑚と魚とアザラシと一緒に泳いでる……尊い…(カメラパシャパシャ)…え?泳がないかって?いや私は……(泳ごう、と目線と言葉で圧力をかける推しキャラ達)
う……うん、わかった!推しキャラと泳げるなんて滅多にないもんね!(ざぶんと飛び込む)
……うっわー…上で見るのよりも綺麗だし…こんな中で推しキャラと泳げるなんて私は幸せ者…ふぅある程度泳いだら岸に戻って海の幸よー!
【アドリブ歓迎】
「わー! すってきー! とっても綺麗!」
妖狐の金尾も鮮やかな推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)が纏うのは爽やかな印象の白の水着。
帽子越しに見える景色はまさに夏の海、海上から見る景色はどのようなものになるのだろう。
借りれる中で一番大きな中型の舟を借りてきた彼女は、
「よーし海のお花見も海の幸も楽しむわよー!」
と、勢いよく端末を取り出してユーベルコードを起動し、ゲームの推しキャラたちを召喚する。
普段とは異なる私服姿――今日は実装されている水着姿の彼らは舟の定員に合わせた九人。
健康的な色気の彼らと共に舟に乗り込んだリアは珊瑚の海へと漕ぎだしていく。
「うわー……綺麗ねー……」
水底に見える珊瑚はよくある赤だったり青だったり、位置によって随分と色合いが異なっている。
更に海水もほんのりと珊瑚の色に色づいているようにも見えて、見る者の眼を飽きさせない。
ある程度海岸から離れた位置、アザラシ達が泳ぎ回っている場所を見つけ、少しだけ離れた場所に推しキャラたちが飛び込んだ。
それぞれの推しキャラがその性格通りに潜り、珊瑚礁を眺め、或いは魚を観察したり推しキャラ同士でからかったりふざけたりしている姿を、リアは舟の上からカメラで連写していた。
当然防水、水中撮影は可能なカメラで準備万端である。
すると海を楽しむ推しキャラ達に興味を抱いたのか、大きなアザラシ達がすい、と滑り込むように近づいてきて、鼻先でつついたり挑発するように近くをうろうろと泳いでいる。
「……はぁ……推しが珊瑚と魚とアザラシと一緒に泳いでる……尊い……」
アザラシと戯れる推しキャラの姿に、リアの連写は止まらない。
と、そこで。推しキャラの一人――積極的な性格の彼が一緒に泳がないか? と誘ってくる。
「……え? 泳がないかって? いや私は……」
言いよどむリア、けれど推しキャラ達はにこやかに、誘惑するように微笑みかけて誘ってくる。
アザラシの方もなになに? とばかりにきょとん顔でじっとリアを見ていて。
推しキャラたちとアザラシのその笑顔と視線に妙な圧力を感じてきて、
「う……うん、わかった!」
よくよく考えると推しキャラと泳げるなんて滅多にない機会、そう考えた彼女は舟の上からざぶんと飛び込んだ。
ぶくぶくと潜ったリアの見た景色は、海上から見た水中の景色とはまた別物の美しさであった。
珊瑚の所々に光る花が見えて、水上からではわからなかった綺麗な魚たちが泳ぎ回る光景は酷く幻想的。
(「……うっわー…上で見るのよりも綺麗だし……」)
こんな中で推しキャラと泳げるなんて幸せ者、そんな事を考えるリアの手を引く推しキャラ。
力強く、けれど優しくリードしてくれる彼の姿はゲームのスチルのようだとリアは内心思ったりもして。
(「ある程度泳いだら岸に戻って海の幸よー!」)
そんな事を考えたりもしながら、推しキャラや海の生き物たちと共に夏の一時を楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒瀬・ナナ
【夢塔古書店】
お気に入りの水着で、いざ海へ
どんな光景が見られるのかしら?
お舟でのんびり上から眺めて、良い場所を見つけたらさらささんと一緒に潜ってみるわね
キラキラの珊瑚礁や熱帯魚
故郷の海とはまた違う海の世界を楽しんで
イルカやアザラシが見えたら、さらささんに合図して伝えるわね
近くまで見に行けるかしら?
羊さん、羊さん!
あのねあのね、すごかったのよ!
お魚がいっぱいで、珊瑚礁がお花みたいで!
お舟に戻ったら、海中で見つけた素敵なものをお話ししながら、アイスティーで一休み
お腹が空いたら、海の家の方に行ってみるのも良いかもしれないわね
海の景色も海の幸もたくさん満開して、
楽しい夏休みを過ごしましょ♪
樹・さらさ
【夢塔古書店】
2022水着で
そういえば海で泳ぐ、という経験は無かった気がするな
楽しみではあるけれど、浮くというし慣れるまでに時間がかかるだろうか
海上へ向かい、程良い位置に来たらナナ嬢と共に潜ってみよう
花が咲いたような海中の様子に見惚れ、何度も潜っているうちに動きを覚え
珊瑚に近付いてみたりもして
イルカやアザラシがいるなら探してみようか、共に泳げたらきっと楽しい
蝶ヶ崎殿が船に残っているから、もし見つけられたら船の近くまで来てくれたら良いなあと
舟に戻り、雫を拭いながら用意されたアイスティーと海の幸を頂く
ナナ嬢と共に、海で見た素敵なものを蝶ヶ崎殿へと語り笑い合う
夏を満喫すると言うのはこういう事だろうか
蝶ヶ崎・羊
【夢塔古書店】
オレは小舟を一隻用意して舟から眺めます
泳ごうとすると風魔法が暴発して大波が起こるので…
『何か食べたいものがありましたら積んでおきますよ』
水面に手を入れながら色とりどりの熱帯魚や珊瑚礁を眺めています
アザラシさんやイルカさんがいるのを教えてくれたらそちらに手を振りましょうか
『まるで宝箱の中身を覗いているみたいですね…ああ、さらささん、ナナさんお帰りなさい。水中からはどうでしたか?』
アイスティーや海の幸のご飯を用意して皆で食べながらお二人のお話を沢山聞きます
『素敵なお話が聞ける…素敵な夏休みですね。』
三人でフラワーズ島の海岸へと訪れた【夢塔古書店】の猟兵達。
「どんな景色が見られるのか楽しみね」
お気に入りの虎模様の水着に着替えた羅刹、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)は興味津々な様子で海を見遣っている。
「そういえば海で泳ぐ、という経験は無かった気がするな」
そう言うハイカラな淡いブロンドの髪の女は樹・さらさ(Dea della guerra verde・f23156)。
緑色の蝶をモチーフにした水着纏う彼女の表情は心なしか楽しそうだ。ただ、少しだけ緊張しているようにも見えるのは海水で体が浮くという事に慣れるのに時間がかかるかもしれないと不安に思っているからか。
「何か食べたいものがありましたら積んでおきますよ」
ナナとさらさに尋ねつつ、ミレナリィドールの蝶ヶ崎・羊(罪歌の歌箱・f01975)が手際よく小舟を借りに。
そうして準備を整えて、三人乗りの小舟で海上へと向かった三人は海中の景色を眺めつつ、泳ぐのに丁度よさそうな場所を探し始めた。
故郷の世界とはまた違う、鮮やかな南国風味の景色はナナには新鮮だ。
珊瑚の間を行きかう宝石のような魚達も可愛らしく見えてくる。
さらさの方もこの辺りなら泳ぎやすいだろうかとか考えつつ、南国風味の水底に見える景色に目を奪われていた。
そして、
「ここ、よさそうじゃないかしら?」
そうナナが言った場所は、深すぎもせず浅すぎもせず海流も穏やかな位置。
ここならいいだろうと飛び込む準備をする女性二人の一方、
「オレはここで待っていますね」
泳ごうとすると風魔法が暴発して大波が起きてしまう、と羊は一人手を振り飛び込む二人を見送る構えだ。
そしてナナとさらさは羊に見送られ、水しぶきと共に海へと飛び込んだ。
海の冷たさを肌に感じつつ、二人が目にしたのは陽の光に照らされまるで光の花を咲かせているように見える珊瑚の景色だった。
体を慣らしつつ珊瑚礁の間をゆっくりと泳いでいくナナとさらさ。
(「これは……綺麗だな」)
水上から見ていた景色とはまた別の美しさ、光の花の間には宝石のような魚達、真っ白な海底の砂と見事なコントラストを生み出す景色を見て、さらさはそう思う。
花が咲かせているような海中の景色に目を奪われつつ、二人は何度か水面に浮上して息継ぎを行う。
そうこうしている内にさらさも泳ぐ感覚を徐々に理解してきて、緑のリボンを水にたなびかせつつ自由に泳ぎ始める。
彼女の姿はこの場の熱帯魚にも負けず劣らずの美しさがあって、負けじとナナも動きやすい水着の利を活かして周囲を探っていく。
さらさが珊瑚の硬質な手触りをそっと触れて感じつつ、周囲を見渡せば背中にとん、と何かが触れる感覚。
それはナナの手、彼女が示す先にはのーんびりとした風貌のアザラシが緩く泳いでいる。
近くに行ってみれば、ちらりと視線を向けて横にローリング。どうやらちょっとおねむらしい。
アザラシに目を惹かれている二人に、背後から小型の白黒くっきりとしたイルカが泳いできて、踊るように軽く口の先でつついて誘いかけてくる。
この好奇心旺盛なイルカなら共に泳いでも怒らないだろうし、楽しそうだ。
そう思い二人はイルカの誘いに乗ってゆっくりと珊瑚の間を泳ぎ始めた。
小舟の方では羊がちゃぷり、と凪いだ海面に手を差し込んでその冷たさを感じていた。
そうしていると、珊瑚礁に隠れていた魚が浮上してきて彼の手の近くを泳いでいく。
その様子を微笑ましく感じながら、その奥の珊瑚礁に目を向けると光の反射の関係か不思議なグラデーションに見えてくる。
(「まるで宝箱の中身を覗いているみたいですね……」)
と、そこで。
ナナとさらさが浮上してきてぷはっと大きく息継ぎをする。その横にはパンダカラーのイルカが顔を水面から覗かせている。
「アザラシはあっちにいるわね」
ナナが示す方向には大きなアザラシがぷかぷかと波に揺られ浮かんでいて、羊の視線に気づいたのかくるりと横に回転して前足で手を振っているようにも見える。
イルカとアザラシに手を振り返しつつ、舟に上がってきた二人にタオルを手渡す羊。
「さらささん、ナナさんお帰りなさい。水中からはどうでしたか?」
海の家で準備してきたイカ焼きや焼きそば、そしてアイスティー。泳いできた二人を迎える準備は万全だ。
「そうだね。ここから見るよりも凄かったよ」
海水の雫を拭ってから舟の縁に腰掛け、アイスティーを頂くさらさ。
「羊さん、羊さん!」
息を整えたナナも、陽だまりの笑顔で上機嫌。
「あのねあのね、すごかったのよ! お魚がいっぱいで、珊瑚礁がお花みたいで!」
彼女の見てきた素敵な景色、もの。それを目一杯言葉に変えて、さらさと共にアイスティーを頂きながら羊にお喋りを始めた。
笑い合い、語り合う二人の表情は本当に楽しかった、という事が感じられて。
(「素敵なお話が聞ける……素敵な夏休みですね」)
そんな事を羊は思いながら、二人の話に耳を傾けるのであった。
そして一通り話しを終えて。
「そろそろお腹がすいて来たわね」
気が付けば日も天頂を少し通り過ぎている。舟に持ち込んてきた海の幸もあるけれど、たっぷり泳いだ彼女はもう少し欲しいようだ。
海の家に戻りましょうかとナナが言い、舟の舳先を砂浜へと向ける三人。
ふと、夏を満喫すると言うのはこういう事だろうか――そんな事をさらさは考える。
三人で来た夏休みはきっと、まだまだ楽しい時間になるのだろう、とも。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キーヴィット・フィールヘクセ
【SPD】
海の中で「花見」か……面白いね。
幸い呼吸は必要ない身だし、海底散歩とでも洒落込んでみよう。
海の家で水着は貸し出してくれるようだし、有難くお借りしようかな。
(ラッシュガード系の水着を借りることにした)
ある程度沖まで小舟で出てから海に入り、普段体重を同体形の人間相応に軽くしている重力操作の術式を解除して海底へ。(全身鉱石なので素の体重は結構重い)
砂を巻き上げて水を濁さないように気を付けながら、のんびり海底を散歩したり寄ってくる生き物と触れ合ったりしようかな。
一人小舟で海へと向かうクリスタリアンのキーヴィット・フィールヘクセ(修行中の身・f36065)は、変化の少ない表情で水面に視線を落としていた。
「海の中で『花見』か……面白いね」
呟く彼が纏うのは普段と違う水着で全身を薄く覆い保護するラッシュガード系、繊細な彼の|曹灰長石《ラブラドライト》の体にもフィットしていて動きやすく感じる。
海の家で貸し出しされていたのだが、珊瑚礁の海底を散歩するには有難いものかもしれない。
何故か海の真ん中にぽつんと生えていた旗を少し通り過ぎた辺りで、やや離れた眼前でクジラがざぱんとブリーチング。
「……この辺りでいいかな」
余波に巻き込まれれば小舟もひっくり返ってしまうだろう、そう考えたキーヴィットは錨を下ろして小舟を固定し、海へと飛び込んだ。
鉱石の体の彼は普段は重力操作の術式で人間相応に軽くしているのだが、何もしていない状態では密度が高く酷く重い。
だから術式を解除した彼は沈める錨のように一直線に海底へと沈んでいく。
その真下には珊瑚礁のないぽっかりと空いた砂浜、やわらかな砂浜にめり込むようにしてキーヴィットは海底へと着地する。
(「これは凄いな」)
海底から周囲を見渡せば、珊瑚礁は背が高くてその真下に潜り込むことができる程。
さくり、さくり。
鉱石の身体の重さで砂に一歩一歩沈んでいくが、この海を濁らせぬように砂を巻き上げぬよう注意して珊瑚の森を散歩するキーヴィット。
海面から射しこむ光の角度で珊瑚の枝に花が咲いているように見え、場所によって珊瑚の色が異なっている事もあって見ていて飽きない。
ゆったりと海底での花見を楽しみつつ歩く彼の頭上に影が差す。見上げれば、そこには10メートルはあるだろう大きな黒いヒゲクジラ。
随分歩いたのか、はたまた興味を持ってやってきたのか。どちらかは不明だがクジラは海底の奇妙なクリスタリアンに気付いている様子で彼の近くまで潜水してくる。
そっと、うねの部分に触れる。意外とざらざらとした手触り。
暫くそうやっていると、クジラは興味を失ったのか、外洋側へと泳ぎ始めた。
ちょっとばかり大きな生き物と触れ合ったキーヴィットは、心行くまで海底散歩を楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵
幽遠・那桜
【焔桜】
アドリブ◎
去年の水着で!
わぁー! ゼイルさん! ここからお魚さんたちがたくさん見えるのですよー!
UCで、水と風の精霊さん達にお願いして、ゼイルさんと二人に、水と空気の膜を作ってもらうのです。
こうすれば、泳いでも呼吸が苦しくないのですし、海の中で自在に動けるので、特等席でお花見出来ちゃうのです! えっへん♪
お花見というか、海中お花見?
むー、た、確かにびっくりしちゃってるです?
えへへ、ゼイルさんと一緒に来られて嬉しいのですよ!
はぅ? 何か言いましたか?
……あっ! ゼイルさん、イルカさん達がいますよ!
一緒に泳ぎましょうよ!
手をガシッと掴んで、イルカさん達の所にびゅびゅーんとレッツゴー!です!
ゼイル・パックルード
【焔桜】
アドリブ◎
季節関係なく元気な桜の精だねぇ、那桜は。
しかし、そんなにはしゃいだら魚が逃げちまうぜ?
波に乗るのは今年から始めてみたがまさか海の中に入って自在に動けて、海の花見ができるとはね
珊瑚や熱帯魚が輝いて、花見というより宝石を見てるみたいだ
…自分じゃやらないこととかできないことを、こいつのおかげでやれてるんだろう
なんて、柄にもない考え事してたらいきなり手を引っ張られた。
どうしたんだ?と、思ったら、イルカを見つけたみたいだ
……那桜にしろイルカにしろ、無垢な目で見られるのは苦手なんだけど
…感謝なんて言葉にするつもりはないし
代わりに今日くらいは付き合うのも悪くない、か
そして海岸の方では、【焔桜】の二人が砂浜を歩いて海へと向かっていた。
「わぁー! ゼイルさん! ここからお魚さんたちがたくさん見えるのですよー!」
「季節関係なく元気な桜の精だねぇ、那桜は」
ワンピースタイプの桜色水着に着替えた幽遠・那桜(輪廻巡る霞桜・f27078)が、後方のゼイル・パックルード(囚焔・f02162)にテンションも高くぶんぶん手を振って言えば、ゼイルの方は普段通りの調子で穏やかに返す。
「しかし、そんなにはしゃいだら魚が逃げちまうぜ?」
ゼイルがからかうように言えば、
「むー、た、確かにびっくりしちゃってるです?」
と、ちょっとばかり首を傾げて桜の精は返してくる。
海岸からでも分かるくらいに美しく、魚も沢山見えるこの海。しかし一番の見どころは海上、或いは海中での珊瑚礁なのだという。
「……波に乗るのは今年から始めてみたが、まさか海の中に入って自在に動けて、海の花見ができるとはね」
色黒の肌によく似合う黒のサーフパンツ、今年から始めてみたというサーフィンは当然として海に潜るにもうってつけの動きやすい服装だ。
海上花見、海中花火。いずれにせよある程度は海の方に出た方がその景色は楽しめるのだろうと海を見遣りながらゼイルは思いつつ、
「ああ、それじゃ舟でも借りて……」
「精霊さん、力を貸してください! なのです!」
言いかけようとして、その前に那桜が精霊との繋がりを強めるブレスレットを介してユーベルコードを発動して精霊に働きかけた。
すると、視線を受けた海面に水が逆巻いて水と空気の大きな球体が二つ作り出される。
そして、那桜がその片方に飛び込めば彼女の体にフィットするようにきゅっと縮む。
空気と水で出来た膜を纏ったこの状態なら、自在に海を泳ぎつつ呼吸も維持できるだろう。
「こうすれば、特等席でお花見出来ちゃうのです! えっへん♪」
得意顔の那桜、海上からではなく海中でのお花見をご所望のよう。
なるほどな、と那桜に感謝しつつゼイルはもう片方の水球に入って、そして二人は海中へと泳ぎ出した。
海岸近くでもそれなりに珊瑚は見えたが、ある程度離れた辺りから急に密度を増し、彩り豊かな珊瑚が海底を埋め尽くしていた。
その珊瑚の間を泳ぐのは小型の熱帯魚のような色鮮やかな魚達。きらり、きらりと射しこむ光を浴び輝いている姿はまるで天然の宝石のよう。
二人はその景色の美しさを堪能しながら、より多くの珊瑚のある方へとゆっくりと泳ぎ、或いは海底を散歩するように進んでいく。
海岸近くで丈の低い珊瑚礁を見ながらの海中散歩、そんな時間を二人で楽しめる事が那桜にとっての最高の時間。
「えへへ、ゼイルさんと一緒に来られて嬉しいのですよ!」
上機嫌な那桜が前へ前へとずんずん進んでいくのを、ゼイルも後方から周囲を堪能しながら遅れずについていく。
「……自分じゃやらないこととかできないことを、こいつのおかげでやれてるんだろう」
自分からこんな風に行動する事は19年の人生でどれだけあったか、ゼイルがそんな柄にもない考え事をしていると、
「はぅ? 何か言いましたか?」
口にも出ていたのか那桜が振り返り、何でもないと青年ははぐらかす。
暫く歩いて、
「……あっ! 」
急に那桜が引き返してきてゼイルの手をガシッと掴む。
どうしたんだ、と少しばかり驚いてゼイルが那桜の示す先を見れば、
「ゼイルさん、イルカさん達がいますよ!」
彼女が指さす先には水族館でもよく見る中型の灰色のイルカの群れ、警戒心も薄そうに二人をじっと見つめている。
「一緒に泳ぎましょうよ!」
那桜がしっかりと掴んだ手をぐいぐいと引っ張り始める。
――向日葵の麦藁帽にも負けない眩しい笑顔で期待に満ちた目を向けてくる那桜に、何か面白そうと期待しているようなイルカ達。
そんな無垢な目で見られるのは、ゼイルとしては苦手とするところ。
(「……感謝なんて言葉にするつもりはないし」)
そんな目をされては抵抗など出来るはずもなく、だから、手を引く那桜に逆らわずに。
「代わりに今日くらいは付き合うのも悪くない、か」
そんな事を小声で呟きつつ、静かに笑んだゼイル。
「イルカさん達の所にびゅびゅーんとレッツゴー! です!」
テンションの高い那桜に引っ張られる形で、二人は好奇心旺盛なイルカの元へと勢いよく泳ぎ出したのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
銀山・昭平
海の中の花見、って聞くとなんだか不思議な感じだべ。とはいえおらは海の食べ物が色々気になるべな。
というわけでおらは浜辺の方の海の家で色々なものを注文してみるべ。
サンタクロース風の水着(今年の水着)を着たままで色々食べてみるべ。
大盛り焼きそばに特盛カレーライスにたっぷりかき氷とジュースにデラックス盛り海鮮チャーハンに……しかし、海の家からで遠くの鯨やアザラシが泳いでるのが見えそうだべな。
……この袋がきになるべ?はっはっは、中身は企業秘密ってやつだべ。(本当は料理を持ち帰るためのパックやら何やらが入ってたけど結局使わないまま)
一方の海の家では、一人のドワーフがのんびりと時間を過ごしていた。
「海の中の花見、って聞くとなんだか不思議な感じだべ」
南半球のサンタクロースはこんな格好をしているのだろうか、サンタ風味の水着を着たドワーフの銀山・昭平(田舎っぺからくり大好き親父・f01103)は海の家の窓から燦々と輝く太陽と夏の海を眺めていた。
この場所からでも海の色は所々ほんのり異なって色づいているようにも見えて、海底の珊瑚礁の鮮やかさはどれほどのものなのだろうとも思う。
実際今彼が着ているのは水着である。更に言うならばサーフボードもある。
だから泳ぎに行くのも悪くはない。悪くはないのだろうが――、
「とはいえおらは海の食べ物が色々気になるべな」
彼の興味は花見よりも団子であった。
彼の前のテーブルに並んでいるのは海鮮焼きそば(大盛)に特製カレーライス、デラックス盛り海鮮チャーハン辺りの重ためなものも当然ながら、この暑い夏にぴったりのかき氷や島の新鮮な果物を使ったジュースまである。
それですら一部、フードファイターでもある彼の胃袋はその位は余裕で平らげてくれるのだろう。
一つ食してみれば、鉄板で少し焦げた香ばしいソースの香りにぎゅっと閉じ込められた海鮮の風味が口に広がって、味の方も申し分ない。
ふと、沖合の方を見てみれば旗のようなものが浮かんでる辺りで鯨がブリーチングをしていた。
遠くからでも分かる勇壮さ、もう少し近くの海に目をやれば、じーっとしていて動かないアザラシや、逆に泳ぎ回っている群の影がちらちらと見えたりもしている。
そんな景色を眺めつつ、素晴らしい味わいの料理を楽しむ――何たる贅沢!
と、海の家の店主らしい恰幅のよい深海人が次のメニューを聞きにやってきて。
『ところで、その袋は?』
疑問に思っていたのか、そう尋ねられる昭平。
何かがたんまりと入っているようにも見えるが、一度もこの海の家で開かれた事のない謎の白いサンタの袋。
「……この袋がきになるべ? はっはっは、中身は企業秘密ってやつだべ」
本当は、料理や食材を持ち帰る為のパックなどが入っているのだがそこは言わぬまま謎にしていた方が面白いだろう。
はぐらかしたドワーフに、深海人も特に気にする事もなく流し、次の料理をテーブルに運んでくる。
まだまだ余裕はたっぷりある。海の方から帰ってきた三人の客が店に入ってくる音を聞きながら、昭平は素晴らしき景色と料理の数々を堪能し続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エドワード・ベアトリクス
【メルヒェン】
水着は去年の物があるでな、それを着ていこう
花を見るのはよくやるが花見、しかも水中のというのは初めてだな
悲しいかなこの姿では水の中には入れないが、水上から見ても美景で…見えぬ
もうちょっと身を乗り出さないと…(人懐っこいイルカがこっちを見ているのに気づいて船内に退避)
あ、危ない。ああいう動物やモーラットは私を見るとなぜか全力でじゃれ来ること多いでな
大人しくしていよう
船長は海で何か見つけたのか。熱帯魚…南国の魚は姿が派手だな
でその黄緑が私か…なるほど、たくましく育つのだぞ
神久・紅玉
【メルヒェン】で参加
みんなでのお出かけに胸を躍らせ
今年に仕立てた水着を着てばっちりおめかし
船に乗ってお花見を楽しむのですよ
それにしても海のお花見なんて初めてですから
一体どんな風景なのか今から楽しみなのです
その綺麗な海に感動しながらも
ダイビングをして間近で見ながらお土産をもらいに行きます
もちろん、きちんと事前に許可を確認済み
UCで作った金魚鉢に5匹の熱帯魚を入れて船に戻るのです
緑と赤のマーブルはメルヌリスさん
黄緑色はエドワードさん
黒鳶色はローラさん(キャロライン)
深碧色はルナ(セレナ)のお魚なのです
ふふーふ、私はもちろん空色のこの子なのですよ
他のみなさんの行動に積極的に反応してお話したいのですね
メルヌリス・ベルベッド
【メルヒェン】で参加
楽しみにしていた皆との旅行、何時もより気分が上がってる気がするよ
今年の水着は余り泳ぐのに向いて無いけど、まぁ大丈夫かな
あ、皆の水着、凄く似合ってるね
船に揺られて綺麗な海に映る熱帯魚や珊瑚礁を眺めてゆっくりする
優雅なひと時を過ごすってこういう風な事を言うんだろうね
上から眺めるのも良いけど折角だし僕は海の中に潜って間近で見てこようかな
皆は一緒に来る?それともゆっくりしてる?今なら僕が引きずり込んでも良いよ?何てね
海の中で船長(紅玉)と一緒に熱帯魚や珊瑚礁を見て泳いで回って、上から見るのとはまた違った楽しみ方が出来たね
今年も良い思い出が出来たし、また皆で遊びに行きたいね
セレナ・クレセント
【メルヒェン】で参加
今年もみんなでお出かけできるの、楽しみだよ。
格好は、これまでお披露目したことはないけど、
ワンピースタイプの水着と、上にパーカーも羽織って、
それに日差しもあるから、いつもの帽子もしっかり用意して、ばっちり。
色取り取りの熱帯魚や珊瑚、本当にお花のようで綺麗。
もっと見ていたくなっちゃうな。
って、きゃっ。帽子を海に落としちゃった、どうしよう……。
あっ、帽子、取ってきてくれたんだ、イルカさんありがとう。
お船を借りたとき、海の生き物へのご飯も少し貰ってたから、お礼にそれをあげるね。
おいしく食べてくれるといいな。
紅玉はお魚さん、持ってきたんだ。
みんなの色をした、ブーケみたいだね。
キャロライン・ブラック
【メルヒェン】で参加
鮮やかな魚に花畑のような珊瑚礁
なにより、それを包み込む海のなんと美しいことでしょう
この美しさを皆様と共有でき、とても嬉しく存じます
さて、今年仕立てた水着を身に着けてはいるものの
今回は船上で過ごすといたします
パレオや麦わら帽子では泳ぐ邪魔になってしまうのもありますが
折角の思い出を形に残したくなったものですから
思い出を描きとめるための簡素な絵
ですが、沢山集えば花畑のように美しいものとなるでしょう
海の中で遊んでいるお姿に、船上でのちょっとしたトラブル
大切な思い出に事欠くことはありませんものね
ふふ、我ながら良い絵に仕上がりました
楽しいひと時を下さった皆さまに感謝いたしませんと
そして【メルヒェン】のメンバーも借りてきた五人乗りの舟に乗って、海岸から離れ出発しようとしていた。
「今年もみんなでお出かけできるの、楽しみだよ」
微笑むダンピールのセレナ・クレセント(ダンピールの精霊術士・f03421)、彼女の格好は仲間達にも初お披露目の姿となるワンピースタイプの水着。
上に羽織ったパーカーに日差し避けのいつもの青リボンの白い帽子と、ばっちり決めていた。
水着に麦わら帽子、虫取り網まで完備した|西洋妖怪の王子様《くまのぬいぐるみ》はエドワード・ベアトリクス(運命の王子様(くま)・f28411)だ。
ある魔女の呪いで可愛らしいテディベアの姿になっているのだが、その精神性は真面目な王子様。
お出かけに胸躍らせる神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)の格好も、今年仕様の水着姿でばっちりとめかし込んでいる。赤系統のきらきらとした色彩のワンピース系の水着に陽の光を防ぐ麦わら帽子、鮮やかな透明感のあるフラワーズ島の海にもぴったりと似合っていた。
「うん、皆の水着、凄く似合ってるね」
所々に茨のモチーフが施されたクールな印象の水着に着替えたメルヌリス・ベルベッド(偽・幻想の楽園・f10420)、何時もより気分が上がっている気がするのはこの皆との旅行を楽しみにしていたからなのだろう。
今年の彼の水着は少々泳ぐのに向いていないけれども、海のお花見に向かう位ならば大丈夫だろう。
「鮮やかな魚に花畑のような珊瑚礁……なにより、それを包み込む海のなんと美しいことでしょう」
そして白の水着に青紫のグラデーションのパレオを巻いて、麦わら帽子をかぶった涼やかな印象の姿のキャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)もそう感嘆する。
海岸近くの時点でこの景色、海の上ではどんな景色が広がっているのだろう
「海のお花見なんて初めてですから、一体どんな風景なのか今から楽しみなのです」
初めての海のお花見――ほとんど海のグリードオーシャンであるからこその景色に、紅玉は期待に胸膨らませたお姉さんとしてやわらかな笑みを浮かべた。
そして舟が海岸から離れ、波に揺られ舟が移動していくにつれて水底に見える珊瑚の鮮やかさが増していく。
色とりどりの珊瑚に熱帯魚と、セレナは思わず感嘆の域を漏らす。
「本当にお花のようで綺麗。もっと見ていたくなっちゃうな」
そんな彼女の近くには舟の縁に寄りかかり、水面の向こうに見える珊瑚を眺めるメルヌリス。
珊瑚の間からちらり、ちらりと姿を見せてまた隠れる熱帯魚自体がその色彩から一瞬だけ咲く花のようにも見えて。
「優雅なひと時を過ごすってこういう風な事を言うんだろうね」
ゆらゆらと揺れるそんな水底の景色をゆっくり眺めながら、宝石魔術を操る少年はそんな風に呟いた。
「……見えぬ」
小柄なエドワードにとって、小舟の縁が意外と高かった。もう少し体を乗り出さなければその美景を楽しめないと、よっこいしょと体を乗り出してみる。
見える景色は確かに美しく、なかなかのものだな、とちょっぴりツンデレ気味な感想を言ってみたりして。
「この美しさを皆様と共有でき、とても嬉しく存じます」
同意するようにキャロラインも上品にやわらかに微笑んだ。
程々に海岸から離れた辺りに舟を停める。
「……上から眺めるのも良いけど、折角だし僕は海の中に潜って間近で見てこようかな」
そうメルヌリスが言って、
「皆は一緒に来る? それともゆっくりしてる?」
今なら僕が引きずり込んでも良いよ? 何て軽い口調で四人を誘う。
メルヌリスの誘いに元気よく乗ったのは紅玉、後の三人は舟の上で海上花見をゆっくり楽しむとの事だ。
「うーむ……この身体では……」
ガーデニングとして花を愛でる事はよくあるけれどもお花見、それも水中での花見は体験した事のないエドワード。
とはいえ悲しいかな、この小柄でおひさまの匂いがしそうなぼでぃーでは水の中には少々入り辛いものがある。
今年仕立てた水着を活用する機会ではあるけれども、キャロラインも舟の上に残る組だ。
パレオや麦わら帽子と、ダイビングするには少々邪魔になりそうな恰好という事もあるのだが、
「折角の思い出を形に残したくなったものですから」
魔法鞄から絵日記やスケッチブックを取り出してそう言うキャロライン。
本格的に、ではなくてもいい思い出を描きとめるための簡素な絵――だが、沢山集えばそれは花畑のように美しいものとなるだろう。
メルヒェンの四人が楽しく過ごす様を描き留めていたいと、それが彼女のやりたい事なのだ。
「それじゃ船長、二人で潜ろうか」
船長、とよばれた紅玉はユーベルコード|変幻自在の道具箱《ピースクラフト》で金魚鉢を作成していた。
細部の造りは少々荒いが水漏れもなく魚を収めるには十分だろう。
「それじゃ、行ってきます!」
紅玉が元気に言って、二つの大きな水飛沫が海面に生じた。
舟に残った三人は、潜る二人の様子を見届けつつ海上から花見を楽しむことにして。
と、そこでいきなり突風が吹いて、きゃっ、と悲鳴がセレナの口から発せられる。
「帽子が……」
風にさらわれ愛用の帽子が海へと飛ばされてしまったのだ。
どうしよう、と落ち込むセレナの様子に、どこに飛んでいったのかキャロラインとエドワードが確認しようとする。
小舟の縁から華麗に飛んで、逆側の縁へと飛び乗って――目が合った。
きゅー、と可愛く人懐っこそうなイルカがつぶらな瞳でエドワードを見つめている。
反射的に縁から退避するエドワード、ああいう動物やモーラットに何故か全力でじゃれつかれてしまう事が多いからだ。
「あっ、帽子、取ってきてくれたんだ」
イルカさんありがとう、と背びれに引っ掛けた帽子をそっと受け取りつつセレナがお礼を言う。
「そうだ、確か舟を借りた時に……」
荷物を纏めた鞄の中を探って、セレナが取り出したのは普通のお魚と袋詰めの砕いた氷。
海の生き物へのご飯として少し貰っていたのだが、こんな風に親切をしてくれたイルカへのお礼には丁度いいだろう。
因みに店主曰く、氷も意外と好むとの事だ。
魚をひょいっとイルカの口元へ運べばご機嫌な様子で一呑みにして、袋を見せれば大きく口を開いて構えている。
流し込むように、けれど勢いは程々に。砕氷を与えれば、イルカは高い声で機嫌よく鳴いて、ご機嫌な様子でジャンプを見せてくれたりもする。
ただ、ジャンプした時にエドワードはイルカと視線が合って、何となく背筋に冷たいものが走る。
「あ、危ない。大人しくしていよう」
どうにも苦労性なエドワードである。
一方の海に潜った紅玉とメルヌリスは、海中花見の景色に見惚れていた。
海上からの景色はそれはそれで美しいものだったが、水中での花見はまた別の美しさがある。
水上からでは近くにも見えた海底も、実際に潜れば意外と距離があったよう。だから近くに寄ってみれば、その見え方もまた変わってくる。
珊瑚の間を泳ぎつつ、海面を見上げる二人の眼には色鮮やかな蒼の珊瑚が照らされて海をきらきらと染めている景色が見える。
泳ぎ回る熱帯魚に飾られているようにも見える珊瑚、その景色に感動しつつ、紅玉が舟の上で作ってきた金魚鉢を珊瑚礁にそっと向ければ、そこを新しい住処かと勘違いしたのか、数匹の小さな熱帯魚たちが吸い込まれるように飛び込んでくる。
指差し数え、五匹の熱帯魚が中に入ったことを確認した紅玉はそっと入り口に手を当てて閉じて、メルヌリスと共に海面へと浮上していく。
水面から出て息継ぎをする二人は、舟へとよじ登る。
「上から見るのとはまた違った楽しみ方が出来たね」
舟に上がったメルヌリスが紅玉に言って。
「すっごく綺麗だったのですよ!」
と、紅玉も首肯する。
「船長は海で何か見つけたのか」
と、エドワードが問いかければ、自慢げに手にした金魚鉢を差し出す紅玉。
「紅玉はお魚さん、持ってきたんだ」
金魚鉢に五つの色彩を見たセレナが言って、
「熱帯魚……南国の魚は姿が派手だな」
金魚鉢の宝石のように鮮やかな魚たちに感心するようにくまのぬいぐるみの手を首に当ててエドワードは言う。
「緑と赤のマーブルはメルヌリスさんで、この黒鳶色はローラさん、深碧色はルナのお魚なのです!」
一匹一匹示す紅玉、
「で、その黄緑が私か……なるほど」
たくましく育つのだぞ、と鮮やかな黄緑の熱帯魚にエドワードが言葉をかける。
そして、最後に残ったのは鮮やかな空色については。
「ふふーふ、私はもちろん空色のこの子なのですよ」
「みんなの色をした、ブーケみたいだね」
海のお花見、そこに咲く花を閉じ込めたこの金魚鉢はまさにセレナの言葉通りにも見える。
賑やかな船の上、キャロラインの筆は止まる事なくこの楽しい時間の景色を描き続けていた。
海に潜ってきた二人の姿、そしてイルカとのちょっとした戯れ。
楽しみ驚き感動し、仲間達と過ごすそんな景色の一つ一つがキャロラインにとって描き残したい思い出だ。
「ふふ、我ながら良い絵に仕上がりました」
何枚も描いた心地よい疲労感を感じながら、自身の柄の出来栄えにキャロラインは満足する。
この海のお花見で描かれた絵は数多く、珊瑚や熱帯魚の美しさに大切な仲間達の楽しむ姿が何よりの宝物となるのだろう。
「楽しいひと時を下さった皆さまに感謝いたしませんと」
「今年も良い思い出が出来たし、また皆で遊びに行きたいね」
キャロラインの言葉に、メルヌリスがまた次の機会を期待するように言って、仲間達も笑い応えた。
陽が沈む。夜が訪れ夏休みももう終わる。
一夏の楽しい時間は人それぞれ、明日からはまた新たな戦いが始まるのだろう。
だが、今この瞬間を、猟兵達は目一杯に心ゆくまで楽しんだのだった。
大成功
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