●ばずかわ
「あはっあはっ。こんなになっちゃった…」
お中元の|山《マウンテン》、|山《マウンテン》、|山《マウンテン》。
バズリトレンディ御殿を埋めつくしたお中元を前に立ち尽くす新し親分『バズリトレンディ』
お中元は全て幽世の妖怪達からの日頃の感謝の気持ちに違いない。
でも、流石に量が多すぎるんじゃ。お中元のゼリーは1日に2個。ソーダは喉が渇いた時に飲む。それでえぇ。
(ワイちゃんやって感謝の思いを無下にすることはできへん…でもワイちゃんの胃袋はいつまでも美味い!美味い!と食べ続けることの出来る無限トレインにあらへん…)
「心がふたつある〜」
ドスドスドスドスと地団駄を踏んだ。
「だからどうしたいんだってんのだ」
ちょうどバズリトレンディのベッドになっていたグリモア猟兵の獏・獏(ばくばくさんは安眠担当!・f29273)はクリクリとした目でバズリトレンディを見つめた。
「『どうしたい』んだってのだ『だから』…」
「なっちゃったからにはもう…ネ…」
バズリトレンディが腕をシャっとするとそこには両手に|バズりそうな《ワイちゃんワクワクすっぞ》オーラを出した|HPAH《ハンマーパイナッポー&アッポーハンマー》が!
「お中元にはお中元をぶつけんだよ」
●まあ茶番はこのくらいにして
「新し親分バズリトレンディからみんなに招待状なのだ〜!」
口に咥えていた招待状を意気揚々と獏・獏は猟兵達にばらまいた。
どうやらバズリトレンディはあまり余ったお中元を元にスーパーウルトラハイパーミラクルロマンチックバズリパワーでゼリーとソーダのテーマパークを作り上げたらしい。
シュワシュワとしたソーダの中にぷるんと輝くゼリーを売るドリンクは勿論、文字通り巨大ゼリーの山、振りすぎた炭酸の勢いで発射されるウォータースライダーに、赤い苺ゼリーの金魚が泳ぐプール。
兎に角!ありとあらゆるゼリーとソーダのアクティビティが楽しめる世界初(?)のテーマパークだ!
「水着を着てるだけでみーんな好きなだけ遊んで食べていいらしいのだ!」
独り占めして幽世の妖怪たちの感謝の気持ちを無駄にしてしまうよりも、どうせならドカンとみんなで楽しみたいらしい。
「ばくばくさんも楽しみなのだ!みんなで一緒に遊びに行くのだ〜!」
そう言うと傍から見ても分かるほど、とってもウキウキとしながら獏・獏はグリモアを輝かせた。
ミヒツ・ウランバナ
オープニングをご覧頂きありがとうございました。
ミヒツ・ウランバナと申します。
ゼリーとソーダのテーマパークで遊ぼうぜ!って感じのシナリオです。
アトラクションを楽しんでも良し、ゼリーの入ったソーダはカスタム可能です。
成人済みの方にはアルコールの提供もできます。未成年の飲酒喫煙については絶対禁止です。
●補足
本シナリオは一章で完結する期間限定シナリオです。
受付開始は断章追加後です。
●プレイングボーナス
『水着の着用』
基本的に今年度の水着がある方は今年のものを着ていると想定しリプレイを書きます。
昨年以前の水着のみ持っている方はそちらを着ていると想定しリプレイを書きます。(複数着ある場合はプレイングで何年のどれを着ているか教えて頂けるとありがたいです。)
水着イラストが無い方でもプレイングに水着を着ている描写があれば参加が可能です。
以上に当てはまらない場合でもプレイングで教えて頂ければ執筆の参考にさせて頂きます。
●グループ参加は2名まで。ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけるとありがたいです。
●その他
お声がけ頂ければミヒツ・ウランバナのグリモア猟兵である獏・獏も水着姿で一緒に遊ばせていただきます。
第1章 日常
『無限お中元のお裾分け』
|
POW : 宴席の料理や飲み物を楽しむ。
SPD : カクリヨのアミューズメントを楽しんで回る。
WIZ : 日持ちする料理や保存食を作ってみる。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
|Hello everyone!《ようブラザー!ワイちゃんやで!》
|This is a fun and hilarious soda-jelly amusement park!《ここは楽しくて愉快な仲間がぽぽぽぽーんするソーダとゼリーの夢のような国や!》
|Please proceed slowly and unhurriedly to the one million line for admission!《入園の際は百万列に並んでゆっくり進んでいってね!》
プルンプルンと震える入園ゲートを潜れば、ソーダとゼリーの王国。
目の前には文字通り巨大なゼリーの山がしゅわしゅわと透明で甘い|炭酸《ソーダ》を噴火している。
ビッグソーダスプラッシュスパークル山は一番人気のアトラクション!
このウォータースライダーは炭酸を振った時に吹き出す勢いで高さ100メートルから急降下するんだ!最大時速はおよそ(測定不能でした)km!
勢いよく吐き出された先には、大きなフルーツがゴロゴロ浮いてるフルーツポンチ!
ちょうどよく微炭酸で美味しいらしいよ。
メリーゴーランドもジェットコースターもコーヒーカップもプールもぜんぶぜーんぶゼリーとソーダで出来ている。
耐久力はちょっと頼りないけど大丈夫!事故が起きてもその先に事故が起きた時にみんなを受け止める用ゼリーがあるからね!
一息着く時にも勿論ソーダ。
好きなソーダと好きなゼリーを組み合わせて、口の中でプルプルしゅわわ、見て楽しい飲んで楽しいクラッシュゼリーのソーダはこの遊園地の一押しスイーツ。
お土産におすすめなのはゼリーの種と思い出のソーダ。
ゼリーの種は理想のゼリーを思いながら植えて、愛情いっぱいに育てれば数ヶ月後にそのゼリーが成るらしい。
思い出のソーダは不思議なソーダ。飲む人によって味が変わる。
遊園地の帰り道に飲むと、思い出の泡が弾ける炭酸がしゅわしゅわ心に広がる。
貴方の思い出はラムネ?レモンスカッシュ?コーラ味?
よってらっしゃい見てらっしゃい。ここは素敵なソーダとゼリーの国
今日の天気は晴れ時々ソーダ水。ところによりキャンディの雨が降るでしょう。
笹乃葉・きなこ
(今年のケモケモな水着)
お、お中元でテーマパーク作れるってどんだけ貰ってるんだべ親分って
見渡す限りソーダ天国!
暑くてたまんねーオラにはすげー嬉しい訳で
腹ごしらえに
クラッシュゼリーのソーダを貰おうかなぁ
青色ソーダとオレンジとかの柑橘系のゼリー
アルコールは抜き出な?こんな楽しい所アルコール入れるなんてもったいないべ
腹ごしらえしたから早速アトラクションであそびつくすぞーっ!
一日で遊び尽くせるかなー
ビッグソーダスプラッシュスパークル山を目指していざゆかんだべっ
面白そうなアトラクションがあったら寄り道しよう
思い出ソーダって試しのみできるべか?
完璧じゃないオラの人生はどんな味でどんな色がするんだろうなぁ
●完璧じゃないキマイラとソーダ
「お、お中元でテーマパーク作れるってどんだけ貰ってるんだべ親分って…」
ゲートをくぐり抜けた笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)の眼の前に広がるのは
見渡す限りのソーダ天国!
エントリーゲートの噴水やオブジェに使われていたソーダやゼリーだけで一体お中元何個分になるのだろうか。
「きっとおらの想像を遥かに超える量なんだべなぁ…。」
それだけの量を貰った新し親分に感心する心半分。
いや、流石に多すぎると絶句する心半分。
プルプルプル!シュゴゴゴゴゴ!
急に地面が凄い音をたてながらプルンプルンと揺れ始めた。
「な、なんだべ!?」
まるでトランポリンに乗っているようにきなこの身体もぽよんぽよんと、右に左に跳ね飛ばされる。
|KAAAAAAAAーBOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!《どっかああああああああん!!!!!!》
ビッグソーダスプラッシュスパークル山が大噴火した。
数秒の間を置いて、ゼリーのカケラとソーダ水があたり一面に降り注ぐ。
一般客達はきゃあきゃあと、ある人は慌てて傘を開いたり、ある人は空に向かって口を開けたり。
もちろん、きなこの元にも大量のゼリー入りソーダ水が降り注ぐ。
ぐっしょりと白くもふもふなきなこの毛が濡れる。
思わずブルブルと身体を震わせソーダ水を弾く。
爽やかなレモンの香り。
ぺろりとマズルを舐めると、微かな炭酸と甘酸っぱい味。
ビッグソーダスプラッシュスパークル山から噴出されたのはレモンスカッシュだったようだ。
全身もふもふのきなこにとって夏は厳しい季節だ。
熱は籠るし、首元に生えた立派な毛はまるで毛布のようだ。
100万列のエントランスのおかげで並ぶ事なく入場できたと言えど、露出の多い水着姿と言えど、真上からジリジリと身を焼くような太陽光と夏の暑さでダウン寸前だった。
冷たいレモンスカッシュの噴火には驚かされたが、身体を冷やされレモンの匂いでスッキリさっぱり。
暑くてたまらなかったきなこには嬉しいサプライズだった。
──────
ちょうど時刻はお昼頃。
入場ゲートを真っ直ぐ行った先の広場には沢山の屋台やキッチンカーが店を構えている。
どれものぼりや看板にはゼリーゼリーゼリーソーダソーダソーダ。
先程のレモンスカッシュの雨で胃が刺激されたのか、少しお腹が空いたような。
「腹ごしらえにクラッシュゼリーのソーダを貰おうかなぁ」
どのお店にしようかと店を見て回る。
どのお店も他の店との差別化を図ろうと、器を光らせてみたり、ゼリーの形を工夫してみたりしている。
ふと、とある文字にきなこの目が止まる。
“ゼリーの果肉果汁200%増量中!”
「美味しそうだべ!」
このお店で小腹を満たすことに決めた。
ざっとメニューに目を通して早速注文をする。
「青色ソーダと柑橘系のゼリー、オレンジ多めでお願いするべっ」
「あいよ!青色“サワー”と柑橘類のゼリー、オレンジ多めな!」
慌ててきなこは訂正する。
「違うべ!青色“ソーダ”だべ!アルコールは抜きでな?こんな楽しい所アルコール入れるなんてもったいないべ」
店主妖怪は、ほぉ、と息を飲む。
「姉ちゃんわかってんなぁ!くぅー、おっちゃん大人はみんな酒を飲むもんだと思い込んでた!姉ちゃん注文間違えて悪かったなぁ。好きなだけ食ってってくれ!」
そう言うと明らかにメニューより多く、溢れんばかりにゼリーと果肉を盛りに盛ってきなこに差し出した。
「良いんだべか!こっちこそありがとうだべぇ!」
笑顔でそれを受け取ると、きなこはゼリーを溢さないように慎重にそろそろとベンチへと向かった。
──────
太めのストローでソーダを吸うと、口の中にゴロゴロと砕けたゼリーと果肉が飛び込んでくる。
とりたてオレンジの濃い果汁で作ったゼリーからは噛めば噛むほど味が滲み出てくる。甘すぎず、酸っぱすぎず絶妙なオレンジの味はまさに夏の味。
果肉の大きさは一房から一粒までバラバラで、つぶつぶシャクシャクと食感を楽しめる。
オレンジだけでなく、少しほろ苦いグレープフルーツ、酸っぱい味がアクセントになるレモン、さっぱりとした蜜柑など様々な柑橘類が入っているようだ。
ごくりと飲み込むと、つるり、つぶつぶ、つるん。喉を通る様々な感覚が楽しい。
後味は、夏の海と空をイメージさせる青いソーダ。おそらくこれはブルーハワイ味だ。
どんな味とは形容し難いが、その味は夏の象徴。夏の味がしゅわしゅわの炭酸に取り残されて口内に残る。
飲むだけでさっぱりとした夏に浸れる。
きなこが飲んだのはそんなクラッシュゼリーソーダ。
──────
「腹ごしらえしたから早速アトラクションであそびつくすぞーっ!」
一日で遊び尽くせるかなー、と入場時に貰った園内MAPを広げる。
広すぎるし、多すぎる。
一日で遊び尽くすのはとてもじゃないが無理だ。
流石、新し親分の作ったテーマパークだ。
一日で遊び尽くすのは早々に諦め、ひとまずメインをせめることにした。
「ビッグソーダスプラッシュスパークル山を目指していざゆかんだべっ」
きなこは拳をかかげビッグソーダスプラッシュスパークル山へと歩み出した。
──────
きなこは麓について思った。
「これどうやって登れば良いんだべ?」
ゼリーの山は断崖絶壁と言っていいほど傾斜が激しく、手をかけようとしてもつるりと滑ってしまう。
「どうしようかなぁ」
下唇を片手の親指でなぞると視線の先にアトラクションが見えた。
『ビッグソーダスプラッシュスパークル山,山頂行きゴンドラ』
「これに乗って行くんだべな!」
きなこは早速列に並ぶ。
「お次の方どうぞー!多めでいいですか?」
多め?
なんの事か聞こうと思ったが、ゴンドラは固定循環式になっているらしく、どんどんと動いて行ってしまう。
質問する間もなくきなこは慌ててゴンドラに乗り込んだ。
「多めってなんだべ…?」
外の景色も眺めず“多め”の意味についてきなこは考える。
不意にファンファーレが鳴り響く。
天井が開き、ロボットアームがきなこに袋を差し出す。
袋には笑顔でピースするバズリトレンディ。そして“おみや”の文字。
中身は大量のゼリーと瓶や缶のソーダ。
「多めっていっぱいお土産をくれるって事だったんだべか!」
きなこはブンブンと尻尾を振って喜ぶ。
ツンツン、とその肩をロボットアームがつつく。
ん?と振り返るとロボットアームはまた袋を持っている。
きなこが受け取るともう一つ天井から取り出し差し出す。
取り出し差し出す。取り出し差し出す。
もう受け取るのを待たずに床にどんどんと積み上げていく。
「こ、こんなに多く持って帰れないべぇ!」
頂上に着くまでロボットアームは止まらなかったとか。
──────
その後、きなこはビッグソーダスプラッシュスパークル山を炭酸の勢いでものすごい勢いで滑り落ちたり、苺ゼリーの金魚すくいや、脱線確実爆速暴走ジェットコースター(受け止め用ゼリー付き)など様々なアトラクションを楽しんだ。
あっという間に日が暮れて、閉園十分前の音楽が鳴った。
大量のお土産はスタッフの手を借りてなんとか配達手続きをしたのでゲートへ向かうきなこは手ぶらである。
遊園地帰りに手ぶらなのはなんだか少し悲しい気がする。
「思い出ソーダ〜、思い出ソーダはいかがっすか〜。今日の思い出やあなたの人生によって味を変える不思議なソーダで〜す。」
ゲート前で売り子妖怪が思い出ソーダというものを売り歩いている。
なんでも不思議なソーダらしい。きなこは売り子妖怪に声をかけた。
「思い出ソーダって試し飲みできるべか?」
「いや〜、帰り道で変化するソーダなんでここで飲んでもただのソーダですね〜」
完璧じゃないオラの人生はどんな味でどんな色がするんだろうなぁ。
ふと興味がわいた。
「一本貰ってもいいべか?」
「あいよ〜!」
ラベルも色も個性もないペットボトルのソーダを一本持って、きなこはこのソーダとゼリーの王国を出ていくのだった。
──────
「…もうそろそろ変わったべ?」
無個性なソーダはその姿を変えていた。
ペットボトルは王冠のある瓶に変わり、中身は緑色に変わっていた。
瓶には、メロンソーダと直接印刷されていた。
笹乃葉・きなこのソーダは“駄菓子屋のメロンソーダ”
その味は本物のメロンとは程遠い、偽物のメロン味。
結露は手を濡らして鬱陶しいし、瓶の容器は開けにくいし蓋ができないしすぐに中身をぬるくしてしまう。
けれどなぜだろう。
これじゃなきゃ駄目なんだ。
メロンじゃないメロン味。瓶であるからいいんだ。
戻れないあの頃の哀愁。
愛おしい不完全が詰まった“駄菓子屋のメロンソーダ”
これが笹乃葉・きなこの思い出ソーダ
大成功
🔵🔵🔵
パティ・チャン
※水着はステシのとおり
■WIZ
(テーマパークに目を丸くしながら)
……しかし、ここまで来ると食材の無駄遣いまであと一声、ですね
と、いうことは。身体はこのままにしておいて遊んだ方が面白そうですね。
巨大ゼリーの山のどこか平らなところで一泳ぎ、といきますか。
(と、いうわけでアルコールはナシで。酔ったあげくに溺れるのは勘弁)
さて泳げるのか浮くのか沈むのか?(ここはお任せ)
やり過ぎで体力切れになっては大変ですから、ここは一旦ゼリーから上がって、空から【Fantasy Sequins】の蝶を飛ばしますか!
※連携・アドリブ共に歓迎
●そしてこの日は伝説と呼ばれた
「いってらっしゃいませ〜!良い一日を〜!」
ゼリーで出来たゲートを通るとそこはゼリーとソーダだらけ。
あっちのアトラクションはゼリー、こっちはソーダ。
あの遠くに見える山は巨大ゼリーだ。
良く見れば地面もゼリーだし、ソーダの雨が降り出した。
わいわいきゃあきゃあ、と妖怪達が飛んで跳ねて、泳いで潜って楽しそうに遊んでいる。
その光景を見てパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)は───
目を丸くした。
当たり前だ。
「……ここまで来ると食材の無駄遣いまであと一声、ですね」
本当にその通りでしかない。
バズりと炎上は紙一重。
ほんの少しラインを見誤るだけで、山火事のように燃え始める。
それこそがBUZZというもの。
実際バイト妖怪があちこちで
『この遊園地は常に新し親分がすごいバズり力で除菌しております。散らかった食べ物はスタッフと新し親分が美味しくいただいております。』
という看板を掲げ、地道な炎上対策を行っている。
そんな看板を横目に見つつ
「と、いうことは。身体はこのままにしておいて遊んだ方が面白そうですね。」
パティは26.4cmの小さな背丈でこのアミューズメントパークを楽しむことにした。
背中の大きな羽根を羽ばたかせ、目指すは巨大なゼリーの山。
キラキラと光る沢山のゼリーの反射がパティの薄い羽根を透けて空へ駆けて行く。
ふわり、風と共に甘酸っぱい匂いが運ばれてくる。
その風に身体を預けパティは想像する。
これは葡萄?レモンの香りもしてきた。
チェリーに林檎、メロンにオレンジ、パインとピーチ。
様々な匂いがするということはそれだけの種類のゼリーやソーダがあるということ。
「あの大きなゼリーの山は何味なのかな?」
泳げるの?浮くの?沈むの?
それに硬さは?大きさは普通のゼリー何個分?
知りたいことが山程出てくるのは
そしてその“知りたい”を調べにいく自由があるという事はとても素敵な事だな、とパティは改めて思った。
──────
ゆっくりゆっくりと甘い風に吹かれるのはこのゼリーとソーダの王国を一望する一種のアトラクションの様だった。
短い様で長い、長いようで短い小旅行を終え、パティはついに巨大ゼリーの山頂に到着した。
「風の噂で先程派手に噴火したと聞いたけど……」
見たところ山頂はつるーんと真っ平ら。
噴火口どころか穴ひとつ見当たらない。
(だけど中央が若干重力で凹んでいるのはリアルなんだ…)
ますます不思議なゼリーの山。
一体どんな構造をしているんだこの山は。
まあ上で考え込んでいても何も始まらない。
それにせっかくアミューズメントパークに来たのだから遊ばなければ損々。
「さて、巨大ゼリーの山で一泳ぎ、といきますか。」
ゆっくりと巨大ゼリーの山へと降下していく。
人類にとっては小さな一歩かもしれないが、パティにとっては大きな一歩。
「さて泳げるのか浮くのか沈むのか?」
パティの身体がついに巨大ゼリーの山に着陸する...!
ぷにんっ、とパティの身体が跳ね返される。
ああ、これは。
昔読んだ絵本で見た気がする。
巨大ゼリーの山に登ってポヨンポヨンとトランポリン。
まさにあの感覚。
何故か少し嬉しい気分。
「少しだけ予想外だったのは…ゼリーって乗ってみると結構滑るんですね」
ぽよんっ、ぽよんぽよん、ぽよぽよ、つるーっ
トランポリンであり滑り台のような。ちょっと不思議な感覚。
ゼリーに身を任せているとどんどん中心に向かって身体は滑り落ちていく。
(あれ、これって…)
本の虫は頭の中の本棚を探る。
つるつる、つるん
その間もパティの身体は滑り続ける。
ある一冊の図鑑を手に取りページを素早くめくる。
そのページに書かれていたのは
『蟻地獄』
(これって仕組みとしては蟻地獄と一緒では…?)
それに気づいた瞬間、ざぶんっと液体の様なものにパティの身体は飲み込まれる。
マズイ!
とにかく上を目指してパティは泳ぐ。
「ぷはぁ!」
幸いすぐに顔が外に出た。
周りを良く見てみると、トラップの類ではなくただ単にゼリーの真ん中にソーダが溜まっている様だった。
他にも何人かこの山を登ってきた妖怪達がビッグソーダスプラッシュスパークル山前の肩慣らしとして、ウォータースライダーの様に遊んでいる。
『|BSSSYS《ビッグソーダスプラッシュスパークル山山頂》
現在の味:フルーツポンチ風
次回の味;パインサイダー
次の噴火予定:30分~3時間後』
普通に立て札もあった。味も変わるらしい。
(まあアミューズメントパークだから当然か…)
当然か?
謎は深まるばかり。
しかし、ここもこの王国のアトラクションの一つとわかれば後は郷に従うのみ。
人にとってはゆるい坂を滑り、そのままある程度の速度でソーダに飛び込むようなアトラクションだが、パティにとっては山の縁から滑れば絶叫マシンに早替わり。
猛スピードでフルーツポンチへダイブしたり、フルーツポンチに浮いているゴロっと大きくて甘いフルーツを頬張ったり。他の人のジャンプで揺れる地面に身を任せて思いっきり跳ねたり。
(予想外の事も起こったけど、やっぱり巨大ゼリーの山は巨大ゼリーの山でしたね。)
その事実を自分で確認できたことがやっぱり嬉しかった。
──────
「やり過ぎで体力切れになっては大変ですから、ここは一旦ゼリーから上がりますか」
体力が切れてしまったら、それこそ甘いソーダの海で溺れておしまいだ。
再び空へと舞い上がると何故かベタベタとした不快感は無く、甘いフルーツの香りがふんわりと身体を包んでいた。
山頂から麓を、ゼリーとソーダの王国全体を眺める。
想像以上に多くの妖怪が来園しているようだ。
ここは一つ、自分の来園記念と他の来園者の思い出作りのお手伝いとして
「…空からFantasy Sequinsの蝶を飛ばしますか!」
巨大ゼリーの山より更に高い上空へパティは舞い上がる。
より多くの人にこの蝶が届くようにと思いを込めて。
「Drop into see the Wonder!」
“さあ不思議をご覧あれ!”
その掛け声と共に蝶の群れがゼリーとソーダの王国へと放たれる。
キラキラと鱗粉が緩やかに、上品に、地上へと落ちていく。
「ママー何あれー?」
少女の妖怪が空を指差す。
次々に妖怪達が空を見上げる。
まるで流星群が落ちてきたようだ。
鱗粉は輝きながら人々に、ゼリーに、ソーダに降り注ぐ。
キラキラと輝いていたゼリーはよりキラキラと。
ソーダは炭酸に輝きを纏う。
鱗粉に次いで、蝶の群れもゆっくりと麓へ降り立ちパークを飛び回る。
蝶のパレードみたいだね、と誰かが言った。
蝶とゼリーとソーダの優雅でちょっと不思議なハーモニーはあらゆる人の心を掴んで離さなかった。
あるものは蝶を掴もうと年も忘れて無邪気に手を伸ばし、あるものはその絶景に見惚れて唯々ため息を漏らし、あるものは慌ててカメラを構える。
来園者だけではなくスタッフも、思わず売店の中から外へ出て、アトラクションの作動ボタンを押すのを忘れて蝶の群れが舞う空を見つめる。
「こんな演出あったっけ?」
「親分からは聞いてねぇよなあ」
「まあ綺麗だしいっか!」
蝶の群れがどこかへすっかり消える頃には、はしゃぎ疲れた身体は何故か軽くなっている。
バイト妖怪は看板を手に、さあ、もう一仕事、と気合を入れた。
疲れてベンチで休んでいたパパ妖怪も、ひと伸びすると息子に手をひかれて歩き出す。
何故か蝶の群れが現れたこの日はこのテーマパークが開かれている期間の中でも伝説の一日となり、妖怪達の間でしばらく噂となったとか。
大成功
🔵🔵🔵
カノン・カノーネ
えっ!? ゼリーとソーダのテーマパークだって!? そんなの爆速で行くっきゃないよね!! 待ってろ無限お中元!!!
まずはウォータースライダー! 発射3秒前の砲弾の気持ちになりながらドッキドキで待機! そのまま一気に、勢いに任せてシューーート!! ああもうサイコーーー!!! もっかい!!!
次はドリンク! イチゴもメロンも、おいしそうなもの全部乗せのメガ盛りソーダおねがいします! シュワシュワでプルプルでキンキンでサイコーだね!!! お代わりください!!!
ばくばくさんも親分もご招待ありがとう!! 最っっっ高の夏だね!! どっかーーーん!!!
(POWで挑戦/今年の水着/アドリブ等々何でも歓迎)
●勢いで!全てを!爆破しろ!
「えっ!? ゼリーとソーダのテーマパークだって!? そんなの爆速で行くっきゃないよね!! 待ってろ無限お中元!!!」
チックトックだかtall動画のような勢いとテンションで射出されたのはカノン・カノーネ(ウルトラボンバー!・f35172)!
ズキュンバキュンと発射されたその速さ!なんと秒速1800m!
恋が走り出してもいないのにカノンは止まらない!誰にも負けたくない!止まらない!
ついでに普段着もキャストオフ!
カノン・カノーネ水着姿で参戦!
出すとこ出して生アシ!ヘソ出し!やれっ爽快!
爆!速!入!場!
フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!
置き去りにされた音が後からついてきた。
「テーマパークに来たからにはやっぱりまずはメインアトラクションに乗らなきゃね!」
MAP確認!
現在地から右に行って左に曲がって…OK!
これが一番早いね!あくまのカノン砲に|主砲弾《カノン》セット!指差し確認…ヨシ!
3 2 1
|KAA-BOOOM!!!《どっかあああん!!!》
見事な軌跡を描きビッグソーダスプラッシュスパークル山を目掛け飛んでいく!ビューティフォー
着弾位置確認!ゼリーだ!
爆!速!登!頂!
ブルンッ!と山全体が大きく揺れる。
──────
「ビッグソーダスプラッシュスパークル|山《マウンテン》の入り口はあそこだね!」
ゼリーで出来たトンネルの上に大きな看板が設置されている。
説明しよう!
ビッグソーダスプラッシュスパークル|山《マウンテン》とは、標高約(現在も成長中)mのビッグソーダスプラッシュスパークル山の中を猛スピードで滑り落ちるアトラクションだ!
半透明のゼリーの中を急降下!急回転!また急降下!
最大時速はおよそ(測定不能でした)km!
勢いよく吐き出された先には、大きなフルーツがゴロゴロ浮いてるフルーツポンチ!
ちょうどよく炭酸が抜けてすっごく美味しい!
プールサイドには最高時速ランキングが掲示されているから怖いもの知らず同士で音速バトルだ!
流石人気アトラクション、トンネルの外まで待機列が伸びている。
でも大丈夫!並んでいる間も各所スピーカーから新し親分がビッグソーダスプラッシュスパークル|山《マウンテン》の歴史(築1日)を陽気な音楽に乗りながらなぜかミュージカル調で教えてくれている(一曲4分33秒。ループ再生)からね!
そんな音楽が耳に入っているのかいないのか、とにかくカノンは発射3秒前の砲弾の気持ちになりながらドッキドキで待機!
カノンの後ろに並んでいた客によるとカノンの鼓動が響いてトンネルが震えていたとか。
いよいよ待ちに待ったカノンの番!
既にカノンを射出するために振られに振られまくった巨大エナジードリンク缶がセットされていた。
缶には“冬になると危険な波が炸裂するサーフポイントの壮大な自然の力に敬意を表してこのドリンクを開発した!かのビッグウェーブの様にこのドリンクも伝説となるはずだ!”と印字されている。
乗らなくては、このビッグウェーブに
「ビッグソーダスプラッシュスパークル|山《マウンテン》へようこそ〜!こちらのゼリー浮き輪に乗ってください〜!」
「はい!」
勢いよく巨大ゼリー浮き輪に飛び乗ると気分はもう爆発寸前!
「ではカウントダウンいきま〜す!」
さん!に!いち!
カシュッ
蓋の開く軽快な音がなった瞬間、勢いよく吹き出すエナジードリンク!
炭酸が弾け炸裂する音とともにカノンは勢いよく射出された!
重力と炭酸力でカノンの身体は真っ逆さまに落ちていく!
この時点で時速は140kmを超えていた!
急降下の次は、そう急回転!
一回転!二回転!三回転!おまけに四!五!六!七!八!九!十回転だ!
ぐるぐるぐるぐる!こんなのバターになっちゃうよ!
安心して!次は急降下だから!
ある程度身体を傾けると減速できる様に浮き輪ゼリーはできるのだが、カノンはあえての攻めの姿勢!
身体を傾け、加速!加速!加速!
そのまま加速し続けゴーーーーーーーーーーーーール!!!!!!!!!
果てしない勢いでフルーツポンチにダイブ!
カノンの勢いでプールに大波が発生!
なるほどビッグウェーブってこういうことだったんだね!
ランキング掲示板には
『1 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km』
の文字が!
「やったーーー!!!!!ああもうサイコーーー!!! もっかい!!!」
勢いそのままカノン砲発射!!!!
|KAAAA-BOOOOOOM!!!《どっかああああああん!!!》
最!速!周!回!
勢いに任せてそのままウォータースライダーにシュート!
超!エキサイティング!
ものすごい勢いで更新されていくランキング!
1 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
2 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
3 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
4 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
5 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
6 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
7 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
8 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
9 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
10 カノン・カノーネ TIME(測定不能)km
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「もっかい!」
666週目に入ろうとした時、彼女の腹の虫が鳴いた。
「お腹すいた!次はドリンク!」
ギュィィィィイイイイイン!!!!!!!
爆速で広場まで文字通り“飛んで”いくと、フードトラックや屋台のメニューを爆速で見て回る。
イチゴ!メロン!オレンジ!ピーチ!レモン!パイン!ナタデココ!ライチ!ミカン!
その他沢山!
フルーツだけでもこんなにあるのにソーダもいっぱいあるなんて!
ソーダ!ラムネ!レモンスカッシュ!コーラ!メロンソーダ!ブドウスカッシュ!パインサイダー!ジンジャーエール!ホワイトサイダー!
その他沢山!
どれにしようか悩んでいる間も無く彼女の芸術的なアイディアが爆発した!
「そうだ!おいしいものにはおいしいものを全部ぶつければいいんだ!イチゴもメロンも、おいしいもの全部乗せのメガ盛りソーダおねがいします!」
その注文に答えるべく全屋台、全フードトラックの力を集結!
とてもじゃないがソーダのカップに収まりきらなかったので急遽用意されたバズりフード用ビニールプール!
そのゼリーソーダの高さはゆうに彼女を越えた!
そのバズり力溢れるゼリーソーダを目にした野次馬が彼女のお残しを頂こうと集まり始めた!
そんなことは気にせず彼女は瞳を爆竹のように輝かせていた!
「いただきます!」
スプーンの代わりにカラフルなスコップを片手に最初の一口を掬い、頬張る!
全勢力を結集させたゼリーソーダは一体どんな味なんだろう?
みんながカノンの感想を今か今かと待っている。
「シュワシュワでプルプルでキンキンでサイコーだね!!!」
その言葉が聞きたかった!わあっとオーディエンスが沸き立つ!
「お代わりください!!!」
もう言葉を聞くとは思わなかった!速すぎるしその身体のどこに収めた!
さらにオーディエンスが沸き立つ!
「「「「「「あいよぉ!!!!」」」」」
もう店主達のテンションも最高潮!
みんなさっきよりもより美味しいゼリーソーダを作ろうと腕まくりをして鉢巻を頭に巻いてエプロンの紐をキュッと締めた。
おいしそうにゼリーを食べるカノンを見て他の客も食欲を刺激される!
アレください!彼女と同じのください!ショートサイズで!
注文殺到!
この遊園地の名物『イチゴもメロンも、おいしいもの全部乗せのメガ盛りソーダ』誕生の瞬間だった…。
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「ばくばくさんも親分もご招待ありがとう!!最っっっ高の夏だね!!」
テンション最高潮になったカノン!
二人へ感謝を伝えるためにビッグソーダスプラッシュスパークル山の火口へ自らを発射!!!
あくまの擲弾を使ってビッグソーダスプラッシュスパークル山を掘り進める!!!
中心部にたどり着くと全身に力を込めて
大 爆 発! ! ! ! ! ! ! !
「|KAAAA-BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!!!!!《どっかあああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!》」
爆発オチなんてサイコー!!!
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
今年の水着着用
折角だし、これもご縁って事で
獏さん、ご一緒しませんか
プールって、苺ゼリーと金魚と一緒に泳げるって事だよね
でもウォータースライダーも迫力あって楽しそうだし…
獏さんは気になる場所ある?
お互い気になるアトラクション楽しみながらさ
合間にソーダ飲んでみようよ
ソーダ…アップル味もあるかな
僕ね、苺とかオレンジとかも好きだけど
林檎が一番好きなんだ
獏さんは好きな味ある?
お土産にゼリーの種は買いたいな
僕、家の庭で沢山の花育ててるから
一緒に植えるんだ
※アトラクション描写お任せ
澪は絶叫系大得意(飛行で慣れてる)
自然風景も生き物も大好き
それらモチーフの物は純粋に愛でるし
景色の他、水や風の気持ちよさも楽しむ
●何に育つか楽しみに
「あれは…」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の視線の先にはゲート前広場に鎮座している不思議なウォーターベッドがあった。
ウォーターベッドの中にはクラゲや小魚が泳いでいて、まるで美しい珊瑚礁がそのまま固まってゼリーになったようだ…特徴的なアイマスクをつけている事を除けば。
澪はウォーターベッドの前にしゃがみ込むと、じっと見つめた。
「獏さんだよね?」
ウォーターベッドをつんつんとつつく。
「な、なんでわかったのだ!?」
プルプルとした触感のウォーターベッドがどろん!と変化する。
グリモア猟兵の獏・獏(ばくばくさんは安眠担当!・f29273)は驚いて元の小さな獏に戻ってしまった。
「ここの招待状をもらった時に獏さんが着けていたアイマスクを着けていたので」
「えっ!ばくばくさんのアイマスクを覚えていてくれたのだ!?それに名前も覚えてくれたのだ!?ばくばくさんとっても嬉しいのだ〜!」
獏はぴょんぴょんと飛び跳ね、全身で喜びを表現する。
「ばくばくさんも君の名前が知りたいのだ!」
「ふふ、僕は栗花落・澪です。折角だし、これもご縁って事で…獏さん、ご一緒しませんか」
澪がにこりと微笑み首を傾げると獏は小さな尻尾をぴこぴこと嬉しそうに振った。
「嬉しいのだ!澪と一緒に遊び尽くすのだ〜!」
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「…獏さん、本当に上に乗ってていいの?」
再びウォーターベッドに変化した獏の上に澪は乗っている。
「大丈夫なのだ!上に人を乗せるのは慣れてるのだ!」
獏の足の生えたウォーターベッドはトコトコと園内を進んでいく。
園内の様々な場所にある大きなゼリーが反射した光はたっぷりとフリルの付いた澪の純白の水着を、時に淡いピンクに、空のような水色に、爽やかなレモンイエローに染め上げた。
レースのチュールは鮮やかな海のようなウォーターベッドを透かして見せ、一歩一歩進むたびにふわりふわりと優雅に風に舞った。
ひんやりと冷たいウォーターベッドの上に寝そべる澪の姿は絵画のように美しく、水浴びをする天の使いそのものだった。
ウォーターベッドの上に園内マップを広げて二人は行き先について相談していた。
「プールって、苺ゼリーと金魚と一緒に泳げるって事だよね」
「うーん、苺ゼリーと金魚と一緒に泳げるというより、金魚が苺ゼリーなのだ」
きょとんと目を丸くする澪。
「うーんと、うーん…あ、アレを見るのだ!」
獏は耳で前方を指した。
少女の妖怪が小さな金魚鉢を手に、ニコニコとそれを覗き込んでいる。
レモンスカッシュが中を満たす水槽の中には真っ赤で小さな金魚のような苺ゼリーが数匹ぷるぷると泳いでいる。
「アレが苺ゼリーの金魚なのだ!」
「わぁ…!あの子達と一緒に泳げるんだね!」
「しかもプールは甘い炭酸水だから美味しいのだ!」
じゃあ苺ゼリーの金魚と泳げるプールに行こう!と決まりかけたところで聞こえてくる女性の悲鳴と水音。
そちらに目をやるとそこはフルーツポンチのプール。
桃、みかん、パイン、ナタデココ、そして真っ赤なさくらんぼ。
大きなフルーツがゴロゴロと浮かんでいる。
そんなプールに次々とウォータースライダーから人が流れ落ちてくる。
髪を乱し悲鳴を上げ、でもプールから上がってくる時にはみんな笑顔になっている。
「ウォータースライダーも迫力あって楽しそうだなぁ…」
楽しそうな人達を見てポツリと澪が呟く。
「じゃあ、ウォータースライダーにいくのだ?」
「でも金魚も気になるし…それにほかのアトラクションも…」
あっちもこっちも楽しそうだなぁ、と園内マップとにらめっこ。
「…獏さんは気になる場所ある?」
園内マップから顔を上げて澪は獏に尋ねる。
すると、獏はウォーターベッドの色を少し赤くし、何故かもじもじプルプルとしだした。
「…実はばくばくさん、生まれて初めての遊園地なのだ。だから初めて乗るアトラクションは親分一押しのウォータースライダーがいいのだ」
うんうん、と澪は頷くと獏の事を優しく撫でた。
「なら、ウォータースライダーに行こうか」
「いいのだ!?やったのだ〜!」
そうして一人と一匹はビッグソーダスプラッシュスパークル山へと歩を進めた。
──────
「獏さん、いよいよ次が僕たちの番だよ!」
「わーい!楽しみなのだ〜!」
澪は変化を解いた獏を抱き抱え、ワクワクと列に並んでいた。
「次の方どうぞ〜」
スタッフ妖怪に促されて澪は獏を抱き抱えたまま浮き輪ゼリーに座った。
「…澪、思ったより高そうなのだね」
「そうかな?」
「…思ったより先が見えないなのだね」
「…獏さん、怖くなっちゃった?」
ぶるぶると振動する獏の頭を澪はそっと優しく撫でる。
「獏さん、僕がついてるから大丈夫だよ」
「ば、ばくばくさん大丈夫なのだ!澪がついてるから大丈夫なのだ!」
遂にスタッフはカウントダウンを始める。
「さん!に!いち!いってらっしゃ〜い!」
カシュ
缶の開く音。
次の瞬間沢山振られた炭酸の勢いに押されて二人は真っ逆さまに落ちていく!
その次はぐるんぐるんと何回転もして、その後はまた真っ逆さま!
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
澪は楽しそうに何度も声を上げる。
「のだぁぁぁぁぁぁ!!!」
獏は絶え間なく悲鳴を上げる。
水はパシャリと炭酸はしゅわしゅわと、右から、左から、前から、後ろから、二人に冷たい飛沫を浴びせかける。
猛スピードで巨大ゼリーの中を何度も曲がって落ちて、滑り落ち、どぼん!
二人の身体はフルーツポンチのプールに投げ出される。
「…すごかったね!獏さん!」
「す、すごかったのだ…」
甘いフルーツポンチのプールから上がると、澪は解けかけた髪のリボンを結び直した。
「…獏さん大丈夫?」
いまだにクルクルと目を回している獏の頭をよしよしと撫でる。
「澪がいなかったら…きっと乗れなかったのだ…いい経験が出来て良かったのだ…」
獏は未だ半分呆然としているが耳をぴょこぴょこ動かして大丈夫アピールをしている。
「…ふふ、ちょっと休憩にしよっか」
行きとは逆に、今度は澪が獏を抱えながら正面広場へと足を進めるのだった。
──────
「ソーダ…アップル味もあるかな」
少し時間が経ったらすっかり元気になった獏を抱えながら、澪はフードトラックや屋台をきょろきょろと美味しそうなソーダを求めて歩き回っていた。
「もちろん!どんな味でもあるのだ!澪はアップル味がすきなのだ?」
「僕ね、苺とかオレンジとかも好きだけど…林檎が一番好きなんだ。獏さんは好きな味ある?」
そう澪に問われると獏はにっこりと笑った。
「ばくばくさんは甘いものならなんでも好きなのだ!だけどフルーツだったら澪と同じで林檎が一番好きなのだ!」
一緒だね、一緒なのだ!と顔を見合わせて二人は笑う。
じゃあ折角だから二人で同じものを飲もうよ、と色々な店を見て回る。
炭酸が強めのお店。サイダーの味を混ぜる事のできるお店。途中で味の変わる不思議なゼリーを入れるお店。
どの店にもキラキラ、プルプル、しゅわしゅわ、パチパチ。
色とりどり、沢山の種類のゼリーとソーダが並んでいる。
そうして二人が選んだのは
凍りかけた林檎ゼリーを砕いてカップに入れて、濃厚な林檎果汁を使ったソーダをかけて、トッピングにごろっと角切り林檎を入れた“林檎づくしソーダ”
太めのストローでソーダを吸うと甘い林檎果汁とシャリシャリのゼリーが口いっぱいに流れ込む。
たまに大きな林檎の果肉がストローを通り、噛めば噛むほどゼリーとは違うしゃくしゃくとした食感が楽しめる。
そうして二人でまた顔を見合わせると同じ事を言って笑うのだった。
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ソーダを飲んだ後は、色んなプールで遊んだり、またウォータースライダーに挑戦したり。
そうしているうちにあっという間にもうすぐ閉園の時間。
「帰る前にお土産にゼリーの種は買いたいな。僕、家の庭で沢山の花育ててるから一緒に植えるんだ」
「澪にぴったりの良いお土産だと思うのだ!屋台で売ってるから買いにいくのだ!」
ゼリーの種は大小、色形様々な不思議な種。
触るとやっぱりプルプルしてて取り扱いには要注意。
理想のゼリーを思いながら植えて、愛情いっぱいに育てれば数ヶ月後にそのゼリーがなるらしい。
「どれにしようかな…」
形や色によって成るものが変わるわけではないけれど、なんとなくどれが良いかと迷ってしまう。
迷った末に澪が選んだのは林檎の種によく似た小さな種。
潰れてしまわないように大切にしまった。
「ばくばくさんも買ったのだ〜!」
獏が持っていたのは少し大きめの三日月型の種。
「獏さんはどんなゼリーを育てるの?」
「内緒なのだ!育ったら澪にあげるから楽しみに待ってるのだ!」
その代わりに澪のが育ったらばくばくさんにもわけてほしいのだ、とちゃっかり言った。
「ふふ、じゃあ頑張って育てるね」
「ばくばくさんも初ガーデニング頑張るのだ〜!」
そうして二人は今日の思い出を話しながらゲートを後にした。
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Ladies and gentleman!
Soda-jelly amusement park is now closed for the day.
We hope that you enjoyed your stay.
And that you will visit us again soon.
Good night!
大成功
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