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Summer Training Camp

#アスリートアース #お祭り2022 #夏休み #プラクト #五月雨模型店 #プレイング締め切り:『7月26日の朝8:30まで』

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#五月雨模型店
#プレイング締め切り:『7月26日の朝8:30まで』


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●幸せな夢を見る
 アスリートアースのアスリート達にとって夏は強化合宿と同義語である。
 しかし、『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』においては、他のスポーツとは趣きが多少違うものであった。
『プラクト』は、自身の作成プラスチックホビーをフィールドに投入し、自分自身の動きをトレースする『モーション』、プラスチックホビーに再現された操縦席やプログラミングを操作する『マニューバ』でもって競う競技である。
 大体チーム戦であり、勝敗条件はどちらかのチームの全滅。

 割と大雑把なルールである。
 基本的にプラスチックホビーであれば、ロボットであろうば美少女プラモデルであろうが、戦車であろうが艦船であろうがモーター付きの車であろうが、なんでもいいのである。

『プラクト』は未だ公式化されていないスポーツ競技。
 上記のことから分かる通り、自分の思い描くプラスチックホビーを想像する心、想像を形に変え、創造せしめる技、そしてそれを動かす体を必要とする競技だ。
 心技体が揃わねば、『プラクト』において勝利はない。
「ねー、説明終わったー? いいからさ、早く行こうぜ! プール! プール! ひゃっほー!」
 そんなふうに猟兵たちを誘うのは『アイン』と呼ばれる少女である。

 彼女は『五月雨模型店』という『プラクト』チームのアスリートであり、『八咫烏プール』にて猟兵達を待っていた。
「『アイン』さん、どうして貴方はそんなにお行儀が悪いのです。団体行動ができないのですか」
 そんなふうに嗜めるのは『ツヴァイ』と呼ばれるこれまた『アイン』と年の頃が近しい少女であった。
 以前、彼女は『ダークリーガー』に敗北し『ダーク化』されていたアスリートである。猟兵たちの活躍に寄って『ダーク化』は解除されたのだ。
「とは言え、私も高揚しております。プールですよ! さあ、参りましょう。今すぐに参りましょう!」
 どんなに大人びていても、やはり子供である。
 年相応の笑顔を前に猟兵たちは仕方ないなとプールに向かう。

 だが、此処はアスリートアースである。
 普通の夏合宿などありえない。猟兵たちは知るだろう。ここがあらゆる競技のアスリート達が集う『無差別級合宿所』であるということを。
 プールの華やかさ、賑わいにすっかり騙されるかもしれないが、ここは地獄の『水中特化型合宿所』なのである。普通のプールなわけがない――!

●そんなわけで
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
 何故か彼女は競泳水着姿で、いつものオーバーサイズのジャケットとゴーグルを手にしていた。
 なんでって問われたら、そりゃあ夏だからである。
「ええ、夏ですから。いえ、別にプール監視員をやってみたいなとか、そんなことを思っているわけではありませんよ。ええ、本当です」
 絶対ウソである。
 とは言え、彼女の姿がグリモアベースにあるということは、つまり事件でるのだろうか。いや、それはないなと多くの猟兵たちは思ったかもしれない。
 これで予知した事件の説明が始まるのならば、浮かれすぎである。いくらなんでも夏だからということでは聞き流せない。

「今回はアスリートアースにおいて皆さんは合宿をしていただきたいのです。あ、合宿の競技は特別に決められているものではありません。ベースボールにフットボール、水球にドッチボール、ゴルフに陸上競技、『プラクト』でも構いません。水中での動きに慣れるための合宿所なのです」
 つまり?
 合宿に参加するということはプールで特訓という名の戯れに興じようってことである。猟兵ともなれば、アスリート顔負けのこともできてしまうだろうから、これくらいはね、という目算でもあるといえば、そうなのである。
「プール施設は謂わば、超人版レジャーランドとでも言いましょうか。激流プールや、大波小波プール、滝下りジェットスライダー、まあ、娯楽プール施設にあるものが全て過激になっていると考えていただければよいかと」

 なんかサラッと怖いこと言われた気がする。
「……」
 にこっ、とナイアルテが微笑む。
「大丈夫です。死に至ることはありません。皆さん猟兵ですから。きっと楽しむ事ができると思いますよ。それに、こういうドキドキって……知っていますか?」
 こそこそ、とナイアルテは声をひそめる。
 何事だ? と猟兵たちは首をかしげる。そんな彼等にナイアルテは|真剣《マジ》な顔をして告げる。

「吊り橋効果って言うんですよ、こういうの。生命の危険性を感じさせるようなレジャーで起こる不安や恐怖を恋愛感情のドキドキに勘違いしてしまい、意中の相手とうまく行くそうなのです」
 声を潜めて言うことがそれかと猟兵たちは思っただろう。
 |真剣《マジ》で大丈夫か、ナイアルテ。
 夏ということでナイアルテも浮かれているのかもしれない。多分そうだ。

「様々な競技のアスリートたちがやってきているということもあって、プールサイドには出店もでているので食べ物も食べられますし、ちょっと危ないレジャーランド気分でお楽しみください。きっと楽しい夏の思い出にもなるでしょう」
 そんなふうにナイアルテは猟兵たちを送り出す。
「私は後方でプールの監視員をしております。一度でいいからあの高い場所の椅子にすわってみたかったんです」
 ナイアルテも夏を満喫しているようだ。
 猟兵たちは、『合宿』という名の超人プールレジャーランドへと足を踏み出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアスリートアースにおいて夏の強化合宿を行うシナリオとなっております。いえ、単純に超人プールレジャーランドを楽しむシナリオと言っても過言ではないでしょう。

 ※このシナリオは『期間限定一章シナリオ』です。
 ペアでのご参加をお考えに為る方が多いかと思われますので、プレイング締め切りを『7月26日の朝8:30まで』とさせて頂きます。

●第一章
 日常です。
 一見すると普通のプールレジャーランドのように見えますが、此処は様々な競技のアスリートたちがつどう『無差別級合宿所』、『八咫烏プール』です。
 普通のプールレジャーランドではなく、超人的なアスリートの身体能力がなければ、危ないなーって思える施設がいっぱいです。
 激流プールや、大波小波プール、滝下りジェットスライダーなどなど、一般的なプールレジャーランドにあるもの全てが超人仕様になっていると思って頂けたらよいかと思います。

 またプールサイドには出店も多くあり、食べ物や飲み物など夏の風物詩的なものが取り揃えられています。
 美味しいものの常ですが、美味しいものは大抵栄養過多なものであります。お腹周りが、とか体重計が……とか、そういう心配もあるでしょう。
 ですが、心配はいりません。
 遊んで鍛えよう! が『八咫烏プール』のテーマでもあるので、遊んでいるだけで体が鍛えられていくでしょうし、カロリーもそらもう爆発的に消費されるのです。

 今日ばかりは色んな事を忘れてアスリートアースの超人アスリートたちをあっと言わせるほどにプールレジャーを堪能しましょう。

 またプレイングボーナスは水着の着用です。

 それでは、水しぶき舞い、カロリーモンスターなフードを振る舞う出店立ち並ぶプールサイド、そして超人的なプールレジャー。
 これらを前に果敢に立ち向かう皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『アスリート大合宿!』

POW   :    パワーを鍛える。

SPD   :    スピードを鍛える。

WIZ   :    メンタルを鍛える。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
夏合宿ねー。大学の論文のこととか忘れて、遊びに行きましょうか、ね、アヤメ、羅睺。

あたしはコンテスト用の水着で、式の二人もちゃんと今時の水着を着せて。
ふむ、なかなかにエクストリーム。

大波小波プール行ってみようか。アヤメは水練も修めてるだろうし、羅睺はグリードオーシャンにいたんだから泳ぎも平気よね? じゃ、レッツゴー!
おお、ザブンザブンと大波小波が。
これむしろ潜ってた方がやり過ごせるのよね。そして今こそ、「水中戦」の実力を見せる時。アヤメたちにえっちなことしにいくわ。

……怒られた。

しょうがないなぁ。屋台で好きなもの送るから機嫌直してよ、アヤメ。羅睺も笑ってないで。

それにしても、本当に夏ねー。



 夏、それは生命燃える季節。
 とあれば、アスリートアースにおいてアスリートたちは合宿に勤しむ。
 学生は長期に渡る休みもあるし、働く社会人も休暇がある。というより暑すぎて仕事なんてやってられねーのである。
 しかし、アスリートたちは違う。
 遊びであっても、そこにトレーニングを組み込む。
 根っからの体育会系。
『八咫烏プール』もまたそうしたアスリートたちの『合宿』を行うのに適したプールレジャーランドであった。

「夏合宿ねー。大学の論文のことはわすれましょう」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は伸びをする。水着コンテスト用の水着を着用したまま、式神である二人に今どきの水着を着せて入場である。
 彼女たちはスポーティな印象を与える水着であった。
 だから、というわけではないだろうけれど、『八咫烏プール』にやってきていたアスリートたちの視線を釘付けにする。
 見事に鍛えられた体!
 無駄のない筋肉!
 なめらかな肌!
 どれをとってもアスリート向き!

「ふむ、なかなかにエクストリーム」
「あのスライダーすごいうねうねカーブしてるけど?」
「流れるプールの勢いも少し……いえ、激流と言っていいほどなんですが」
 式神の二人は若干引いている。
 でも、ゆかりは首を傾げる。アヤメは水練を納めているであろうし、羅喉はグリードオーシャンにいたのであれば、当然泳ぐこともできるだろうと二人が何におののいているのかわからないのかもしれない。
 猟兵として戦う日々というのは、こうした常識的なものを何処かごっそりこそぎ落としていくのかもしれない。

「じゃ、レッツゴー!」
 二人の手を引いてゆかりは大波小波プールへと飛び込む。
 論文の執筆で根を詰めすぎていたのかもしれない。待って待ってと二人が言うのも聞こえないわけではないが、少しでも早く冷たい水の感触に慣れたい。
「おお、ザブンザブンと」
 ゆかりは思った以上に波の立ち方が荒々しいのに気がつくだろう。
 大きな波と小さな波が交互に襲ってくる。これが水のうねりとなって浮かぶゆかりたちの体を絡め取るのだ。

「こ、これがアスリートアースの本場プール……!」
「うーん、こういうのってむしろ潜ってた方がやり過ごせるのよね」
 そう言ってゆかりが息を大きく吸い込んでプールに潜る。
 水の流れに逆らわない。荒れる水の流れはゆかりの体を押し流す。そうこうしている内に水面に浮かぶ、アヤメの下半身を見つける。
 ゆかりは悪戯心がむくむくともたげるのを感じて、怒られるかもしれないが、イタズラを敢行する。
「ひゃあぁ!?」
「えっ、なになにどうしたの!?」
 突如水面で素っ頓狂な声をあげるアヤメに羅喉が大丈夫かと近寄ると、羅喉もまた変な声を上げる。

 何をゆかりがしたのかは水面下の出来事であるので、確認はできない。
 けれど、その後ゆかりがこってり絞られているところを見るに、まあ、そういうことであろう。懲りない。
「しょうがないなぁ」
 何が? とは聞くのも野暮である。
 ツンツンしている二人にゆかりは微笑んでプールサイドを示す。そこにあったのは出店。
 アスリートアースであれば、こうした出店などあちこちにあるのである。スポーツ競技にカロリーはつきもの。
 ならば、美味しい食べものでご機嫌を取ろうというのだ。

 果たしてアヤメの機嫌は治っただろうか。
 ゆかりの財布が細く薄くなったのは当然の結果であり、これもまた夏の風物詩。
 眩しい太陽に手をかざし、ゆかりは思わずつぶやくのだ。
「本当に夏ねー」
「ごまかされませんからね――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
おプール!
わたくし泳ぐの大好きですわ〜!
幼い頃はよくお城の水路を泳いで城下町までお脱走しておりましたのよ
泳ぎまくっておカロリーを燃やすのですわ〜!

早速激流おプールで泳ぎますわよ
勿論流れに逆らって泳ぐのですわ
まるで人生のように激しい流れですわね
ですがこのお水着があれば…なんです?
どう見ても戦闘用?
当然ですわ!水辺は乙女の戦場でしてよ!
つまり水着とは戦乙女の装いなのですわ!
ですけど競う相手が居ないと燃えませんわねぇ
アイン様とツヴァイ様も一緒に泳ぐのですわ!

ぜぇはぁ…沢山泳いだらお腹が空きましたわね…
ん?この香りは…お肉!
ですけどここで食べたら折角燃やしたカロリーが…食欲には勝てませんわ〜!



「おプール!」
『八咫烏プール』は超人プールレジャーランドである。
 言うまでもなくアスリートアースにおいてアスリートたちは超人じみた身体能力を持つ。それが故に夏合宿の一つであるプールはどれもが殺人級の激流であったり、複雑な潮目のような大波小波が起こるようなプールさえあるのだ。
 激流ジェットコースターはちょっと楽しそうだなと思わないでもない。
 しかし、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)はひるまない。
「わたくし泳ぐの大好きですわ~!」
 そう、彼女は幼い頃からお城の水路を泳いで城下町までお脱走していたプリンセスである。

 いるか? そんなおプリンセス。
 お転婆にも程がある。だが、まあ、今もまだ国元を出奔しているお転婆プリンセスことメサイアは元気に過ごしているのだから、幼少期に取った杵柄というのは、そう簡単になくならぬものであることを示していた。
 それに彼女はカロリーを消費しなければならない理由があった。
 猟兵となってからこっち、メサイアは大変に美味しいものばかりに囲まれてきたのだろう。
 その、ちょっと、えっと、大変いいにくいことなのですがぁ。
 体重計がですね、その針が傾きすぎているのである。それにメサイアはやってやろうと決めたのだ。
 何を?

「泳ぎまくっておカロリーを燃やすのですわ~!」
 どっせい、とメサイアはなんともメカメカしい装いの水着でもってプールに飛び込む。
 何処からどう見ても戦闘用である。
『アイン』と『ツヴァイ』は、そんなメサイアの水着を見てちょっと憧れる。
 美少女プラモデルにこんな感じのやつあったよな、と考えることはそういうところである。
「何処からどう見ても戦闘用だよな」
「ええ、どこからどう見ても」
「当然ですわ! 水辺は乙女の戦場でしてよ!」
 くわっ!
 激流の如き水流プールの中をトビウオのように跳ねるメサイア。流線型の美しいフォルム。
 手足に付いたメカは激流などなんのその。フィンのように水を蹴ってメサイアの体をぐんぐんとスピードに乗せていくのだ。

「つまり水着とは戦乙女の装いなのですわ!」
「そうかぁ?」
「なるほど! メサイアさんのおっしゃりたいことはよくわかりました! ですが……!」
 まだ『アイン』も『ツヴァイ』も小学生の年の頃である。ちょっとねー、メサイアさんのような水着を着るには、まだ早いかなーっていう感じなのである。
 しかし、メサイアは激流を飛ぶように泳ぎながら手招きする。
「競う相手がイないと燃えませんことよ!『アイン』様、『ツヴァイ』様も!」
 くさっても二人は『プラクト』アスリートである。メサイアの招きに応じて激流に飛び込み、二人してメサイアを追う。

「いや、やっぱりギブ! 速い! 水の流れが速い! なんでメサイアねーちゃんは平気なんだ!?」
「幼少期から鍛え上げ、水路最速理論を打ち立てたわたくしの鍛錬の賜物ですわ~!!」
「水路最速理論!?」
 そんなやり取りをしながら三人はしこたま激流プールで泳ぎまくる。
 これでだいぶカロリーは消費されたことだろう。
 明日にはすらっとスレンダーなメサイアさんの爆誕って寸法である。

 しかし、メサイアはプールサイドに並ぶ出店から薫る香りにごきゅりと喉を鳴らす。
「この香りは……お肉!」
 沢山泳げばお腹がすくのは必定。
 しかし! だがしかし! 此処で食べたのならばせっかく燃やしたカロリーが元の木阿弥。水泡に帰す!
 我慢である1

「あー、腹減った。『ツヴァイ』、焼き鳥くおーぜ!」
「私はフランクフルトがいいです」
 二人がすたすたと我慢しているメサイアの前を通り過ぎていく。若いって素晴らしい! いや、メサイア姫もだいぶ年若いが。
 ぐぅぐぅとお腹の虫が訴えている。
「食欲には勝てませんわ~!」
 明日の体重計は明日のメサイア姫がなんとかしてくれる――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
(翅を震わせ触覚をせわしなく動かしながら2020年水着コンテストで着ていた水着姿でプールサイドをゆっくりと歩く)
アスリートアースに来たのは初めてですが、これほど爽やかに熱いリズムは初めてです。
こんな素晴らしい世界をオブリビオンたちには絶対に渡さないようにしないといけません。
この世界、そして人々を守れる力を身に着け…
(飛び込む人が見えないくらい高い飛び込み台から次々と飛び込んでは平気な顔でプールから上がるアスリートを見る)
…人々は大丈夫かもしれませんが、もっと強くならないといけません。
少なくともこの世界の人々に負けないくらいの力を…です。



 アスリートアースは、これまで猟兵たちが見てきた他世界の中でもひときわ爽やかさを感じさせる世界であったことだろう。
 この世界にもオブリビオンは存在している。
 だが、殺し合うのではなく、スポーツ競技においての勝敗によって彼等は『ダークリーガー』としてアスリートたちを殺す事無く『ダーク化』して傘下に引き込む。
 生命のやり取りが発生しない世界。

 播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は以前来ていたレモン色の水着を纏い、『八咫烏プール』へと訪れていた。
 翅を震わせ、触覚はせわしなく動いている。
 プールサイドには多くのアスリートたちが準備体操をしている。
 これから彼等が挑むのは夏の強化合宿である。
 ここは確かにプールレジャーランドのような様相を呈しているが、その実、『無差別級強化合宿』でもあるのだ。
「準備体操はしっかりしてくださいねー!」
 そんなふうに監視員から声が掛けられたり、アスリートたちはコキコキ首を鳴らしたり大変に熱心である。

「アスリートアースに来たのははじめてですが、これほど爽やかに熱いリズムは初めてです」
 クロリアは感動さえしていたかもしれない。
 誰もが真摯に競技に向かい合っている。ここはプールであるが、水泳だけでなくボクシングや野球、サッカーにテニス、あらゆるスポーツアスリートたちが集っている。
 己の肉体を鍛え上げ、その肉体でもって栄冠をつかもうとしている。
 なんとも爽やかであろうことか。
 誰もが額に汗を流せど、その汗に一滴の不純物もないかのように思える。

「こんな素晴らしい世界をオブリビオンたちには絶対に渡さないようにしないといけません。この世界を、そして人々を守れる力を身につけ……」
 クロリアは決意を新たにする。
 こんなにも熱いビートに触れているのだ。自分もしっかりと体を鍛えなければならない。
 そう思ったかも知れない。
 けれど、クロリアは見た。

 自分の眼前のプールに飛び込むアスリートの見事な入水を。
 素晴らしい。
 けれど、問題はその飛び込み台の高さである。『八咫烏プール』はプールレジャーランドである。
 しかし、一つだけ普通のプールレジャーランドと違うところをあげるのならば、それが全て超人級の施設ばっかりであるということである。
 今しがた飛び込みをしたアスリートが飛び込んでいたのは、見上げれば人が見えないくらいの高さからであった。
 なんか人が落ちる風切り音さえ聞こえてくる。

「……」
 クロリアは言葉を失う。
 次々と水面に着弾しては、何食わぬ顔でプールサイドに上がってくるアスリートたち。
 マジであの高さから飛び込むの? とクロリアは思ったかも知れない。
 ちょっと尋常ではない。
 猟兵であるから、クロリアもまたあれくらいはできるだろう。できないわけがない。けれど、ちょっと、あれは、その。
 なんていうか。
「……人々は大丈夫かもしれませんが、もっと強くならないといけません。少なくとも、この世界の人々に負けないくらいの力を……です」

 ええい、とクロリアは意を決して飛び込み台に登っていく。
 アスリートたちが出来たのだ。
 ならば、クロリアに出来ぬ道理などない! 水面は遥か下に。されど、クロリアはこの世界の熱く爽やかなリズムを、ビートを感じている。
「これが飛び込みのリズム!」
 クロリアは見事な弾丸となって飛び込む。
 水面との距離を測る。揺れる水面。くるりと体を回し、一直線に水面に飛び込む。
 水の衝撃が脳天を揺らす。
 深く深く水の蒼がどこまでも広がる。冷たさと、己の鼓動だけがプールの中を満たしている。

 クロリアはプールから上がるとまた次なるプールへと己の熱く爽やかなリズムと共に向かうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隣・人
夏よ!!!
夏と謂えばプール、プールと謂えば、わかるわよね、
そう――ぐるぐるバットよ!!!
えっ? ヤケクソじゃないかって?
そりゃヤケクソよ
まぁバランス感覚を鍛えるとかそういう事にすりゃ良いじゃねぇですかね。無差別級って事で他競技のメンバーも巻き込んでやるわ

良い? ぐるぐるバットってのはね『得点を稼ぐ競技』なのよ。重要なのはフィジカルじゃなくて演技力よ、いや違うわね。どれだけ審査員の趣味嗜好を突くかってとこかしら。まーいいわ。実践行くわよ!
近くにプールがあるからぶっ倒れても濡れ鼠になるだけね

基本姿勢は出来た? 良いわね、それじゃあ世界がひっくり返るまでやるわよ。レッツ・ゴー・サイクロン!!!

うっぷ



 夏!
 それは生命燃える季節。生命の讃歌が響き渡り、日差しが全てを照らし出す。風すらも水気を帯びるように鬱陶しいかもしれないが、こんなときは!
「夏よ!!!」
 くわっ! と隣・人(22章39節・f13161)は目を見開き『八咫烏プールにやってきていた。
 エメラルドグリーンの水着。
 フリルが可愛らしい姿。黙っていたら美少女として認知されていたことだろう。

 けれど、彼女はプールサイドで叫ぶ。
「夏と謂えばプール、プールと謂えば、わかるわよね」
 え、何が、とプールサイドで準備体操をしていたアスリートたちが首をかしげている。付き合いのいいことである。
 アスリートアースのアスリートたちはだいたい爽やかに良い連中ばかりなのである。スポーツマンシップってやつである。
「そう――ぐるぐるバットよ!!!」
 手にしているバット、そういう意味があったんだ。
 いや、待って欲しい。
 そうはならんやろ、と多くのアスリートアースのアスリートたちは思った。

 もう完全にヤケクソじゃんって思った。
「そりゃヤケクソよ」
 あ、そうなんだ。
「いや、それは見当違いだな。ぐるぐるバットは三半規管を狂わせ、バランス感覚を喪わせる。平衡感覚を鍛えるという意味では良い練習メニューだろう」
 お、おまえたちはー!?
 なんか意味ありげにインサートしてくる野球アスリートの一団。
 突然の援護に人は、いや誰って顔をしていた。なんでだ。援護してるだろ!

「そのとおりよ! というわけで今すぐ全員ぐるぐるバットよ!!!」
 有無を言わさぬ人の声にアスリートたちは、えぇ~って顔をするかと思いきやノリ良く付き合ってくれる。みんないい人たちだなぁって監視員は思った。
「良い? ぐるぐるバットってのはね『得点を稼ぐ競技』なのよ」
 重要なのはフィジカルじゃなく演技力。
 そうなのか?
 いや、絶対違う。これなんかの芸人バラエティのときの感じだ! 人はそんなことお構いなしにプールサイドで講釈をたれていく。

 審査員、すなわち監視員の趣味嗜好を突くか、だとか、どれだけ芸術点の高い千鳥足を披露するかだとか。
 なんかもうそんなことを語り尽くす。
 まあいいけど。
 プールサイドで行われるぐるぐるバットはまあ、ひどいことにはならんでしょう。だって近くにプールがあるので、ぶっ倒れて突っ込んでも濡れ鼠になる程度であるから。
「こんなとこね。実戦行くわよ!」

 セット!
 基本姿勢! バットを垂直に盾、グリップの底に額を合わせる。そのままぐるぐるって十回ほど円を描くように回る。
 そんでもって後は己の三半規管を信じて進むのみ!
「それじゃあ、世界がひっくり返るまでやるわよ。レッツ・ゴー・サイクロン!!!」
 あ、それが掛け声なんだ。
 監視員は、そういうものかと思っていたが、そんな掛け声があるという話は確認できなかった。

 だが、アスリートたちはさすがである。
 鍛えに鍛え上げられた三半規管。
 三半規管って鍛えられるんだっっけ、と思わないでもなかったが、まあ、ともかくぐるぐるバットに順応していく。
 最初は千鳥足であったが、即座に体勢を整え、体幹でもって方向を修正していくのだ。すごいぞ、アスリート!
 これは人とのデッドヒートが予想される!

 肝心の人はどうであろうか。
 カメラさん寄って寄って……。
「うっぷ」
 人はその場に手を付いてうつむいていた。
 え、まさか……。

「うっぷ」
 始まる前から負けてた――!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
『最近、プラモの方も作ってるから、たまには羽根を伸ばすか…』
水着(流石に釣り竿はおいてきた)着用して、流れるプールを泳いでる
なお、制作中のプラモの名前は……すーぱー☆ないあるて(仮)メイドバージョンという、無許可プラモである!…知られたら怒られそうなのは内緒だ!
『どうか知られませんように』
アドリブ可



 アスリートアースの夏は合宿の夏である。
『八咫烏プール』もまた、そんな夏合宿のためにある『無差別級合宿』の一つである。
 様々なスポーツアスリートたちが集い、この超人プールレジャーランドで体を鍛え上げていくのだ。
 そうすることで一層の競技への鍛錬が積める。
 ライバルたちに差をつけるためには、この夏にどれだけの修練を重ねたかによるのだ。ならばこそ、こうした合宿は大人気なのである。

 飛び込み台は、飛び込む人が見えないくらいである。
 ウォータースライダーは、ちょっと殺人的な速度がでており、人が水切り石のように水面を飛び跳ねていく。
 激流プールは人を簡単に押し流すが、アスリートたちはトビウオみたいに飛び跳ねてなんなく泳いでいる。
 ちょっと怖い。
 けれど、ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は臆することはなかった。
 彼とて猟兵である。
 アスリートたちには負けていられないのだ。

「最近、プラモの方も作ってるから、たまには羽を伸ばすか……」
 水着に着替えたガイは釣り竿を置いてプールサイドで骨を鳴らす。
 プラモデルを作るということは、座り作業が多くなるものである。血流が悪くなるし、血行が滞れば凝りが出てくるというものだ。
 特に肩甲骨あたりの凝りはひどいものになるし、そうなれば必然首にも影響がでる。そんでも目も酷使するためにダブルパンチで肉体に負荷がかかる。

 こんな時に全身運動である水泳で体を動かそうというのは、悪くない選択であったことだろう。
 それにこの夏はとても暑い。
 とてもじゃないが涼を取らねばやってられない。
「激流プールか……」
 ガイは無心で飛び込む。
 激流は殺人的な氾濫する川かなにかか? という勢いであったがガイは、その流れに負けじと泳ぎ続ける。
 そのさまを見たアスリートたちは負けてなるものかと激流プールでもってガイと競争する。

 競争しようと持ちかけたわけでも、持ちかけられたわけでもない。
 けれど、ガイとアスリートたちは相通ずるものがあったのだろう。視線だけで委細承知したように競争に興じる。
 水をかき分ける腕。
 水を蹴って進む足。
 モーターとプロペラ。それに値する体が推力となってガイの体を突き動かす。
 アスリートたちとガイはそうして競争勝負に明け暮れ、プールサイドで固い握手を交わす。
 スポーツマンシップである。

「……」
 だが、ガイはちょっと心配事もあった。
 今彼が作っているのは無許可プラモデルである。
 美少女プラモデルを改造したメイドバージョン。それも実在する人物。俗に言うナマモノ! 
 作るのは自由であるし、勝手である!
 けれど、これが知られようものなら、確実に怒られる! ガイはわかっている! だから内緒なのだ!
 どうか知られませんようにと願うしかない。

 大丈夫。
 SNSとかにアップロードしないで自宅のケースにそっと飾っておくだけなら、大丈夫である。しかし『プラクト』とかに持ち出したのならば、それは確実にバレる!
 一発である!
「どうか知られませんように」
 爽やかなアスリートとのやり取りの最中、ガイは汗を流しながら、そんなことを思う夏の一日を過ごすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
垂直にしか見えないウォータースライダーはきついかな

こっちは泳ぐよりラフティングでもする方が
向いていそうな流れるプールだね
小さいフロートか何か借りてきたら楽しめるかな

私は遠慮しますの

まあ、その水着でやるもんじゃないね
泳ぐ気なさそうだし出店見ておいてよ

という訳で激流下りを楽しもうか
…ここがプールだという事は気にしない方向で

終わったら甘いものを食べてる分霊と合流しにいこう
こっちはかき氷とイカ焼きでも買っていこうか
固定の権能で体重変わらないのは良いやら悪いやら

監視員をしているナイアルテさんの所に
分霊と一緒にかき氷を差し入れに行こうか
監視員も水分補給大事だろうし

競泳水着みたいな感じかな
とても似合ってるね



 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)の目の前にあるのは垂直にしか見えないウォータースライダーであった。
 え、マジで? と思うほどの急斜面。辛うじて筒状になっているから、コースアウトする心配はないようである。
 しかし、晶の目の前でウォータースライダーの出口であるプールの水面を水切り石のようにかっ飛んでいくアスリートたちを見て絶句してしまうかもしれない。
 アスリートたちは、それを難なく受け入れ、水面を跳ねて、跳ねて、跳ねて、プールサイドに着地しているのだ。
 それも片膝を付いた謎の着地方法。
 なんだ、ここヒーローズアースか? と思わないでもなかった。

「……こ、こっちは……」
 晶は視線をそらす。
 そこにあったのは激流プールであった。
 殺人的な激流。こんなの一発で押し流されてしまうだろうと思えるほどであった。ラフティング用ですって言われたほうがまだ真実味がある。
「小さなフロートかなにか借りてきたら楽しめるかな」
 ある。
 ちゃんとカヌーもある。ここは『無差別級合宿』故に、様々なスポーツアスリートたちが合宿にやってきているのだ。
 カヌーだってある。だが、権限した邪神の分霊が醒めた目でいうのだ。
『私は遠慮しますの』
「まあ、その水着でやるもんじゃないね。出店でも見ておいてよ」
 晶はそう言ってカヌーを借りに向かう。

 激流下りの気分である。
 オールを手にし、激流プールへと向かう。荒れ狂う水流。本当に此処プールか? と疑いたくなる光景であったが、晶は考えることを放棄した。
 真面目に考えたらいくら正気があっても足りない。
「……楽しもうとか思っていたけど……!」
 激流すぎる!
 オールの制御が効かないし、カヌーの船体が跳ねて、揺れて、たまらない。しかし、そこは猟兵である。
 なんとか体勢を整えながら激流を制していくのだ。
 なんとかなるものであるが、それ以上に晶は体力をゴリゴリ削られてげっそりしてしまう。

 そんなこんなで晶はプールサイドに戻ってきたのだが、邪神の分霊が優雅にプールサイドのパラソルの下で怠惰を貪っているのを見て苦笑する。
「かき氷とイカ焼きでも買っていこうかな」
 晶は権能に寄って固定されている。それで体重の増減には気を配らなくていいというのは、良いのか悪いのかわからないが、夏を楽しむという意味ではこれ以上にない位の権能であるだろう。

「はい、差し入れ。水分補給も大事だよ」
 晶はそう言って監視員にかき氷を差し入れする。
 競泳水着に身を包んだ監視員が微笑み、礼を告げる。ありがたいことである。監視員の台から降りて、少しの間であるが休憩しながら取り留めもない話をする。
 晶の水着は紫の色のグラデーションが綺麗である。
 彼女の金色の髪に紫の色はとても映える。プールサイドにあれば、彼女の存在に目を惹かれる者だって多いだろう。
「とても似合ってるね」
 互いの水着姿に感想を言い合って、照れ笑うようにはにかむ。

 穏やかな時間だ。
 プールはまあ、その、アスリートたちによる激しい熱気で満ちているが。
 たまにはこんなときがあってもいいだろう。
 晶はかき氷のシロップで変な色になった舌を見せ、微笑みながら一日を思い出にしていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橘・小雪
わー、アインさんたち久しぶりーっ
プール誘ってくれてありがとー!よーし、あたしも楽しんじゃうぞー!

ぱっと水着になったら八咫烏プールへ飛び込んでって
……あたし、泳げなかったー!!
(ざばーんと激流プールに流されていく)

ふー、アブナイアブナイ
あまりの嬉しさに我を忘れちゃったよ
とりあえず、出店でお腹満たしてそれから考えようって
いや、ラムネ1瓶1リットルってありなの……?

ちびちびラムネを飲みきってから(お腹たぽたぽ)
浅いプールへ向かうよ
ここなら溺れる心配もないと思うんだけどな
(大きな波がばしゃーん)

プラクトは心技体のスポーツ!
ならばここで泳ぎをマスターしてみせる!
あたしの特訓に付き合って、アインさん!



「おー! 小雪ねーちゃんも来たんだ!」
「わー、『アイン』さんたち久しぶりーっ」
 橘・小雪(Tea For You・f37680)は『五月雨模型店』の『プラクト』アスリートたちに誘われる形で『八咫烏プール』に訪れていた。
 桜の精であり、カフェー『星月夜』の看板娘である彼女は桜色の髪を揺らしながら、『プラクト』を通じて友人となった『アイン』と手を合わせる。
 白いレースベールが揺れ、彼女の水着姿を際立たせている。

 プールサイドできゃいきゃいしている女の子たちは、健康にいい。
 いずれガンにも効くようになる。ずっと健康でいてくれ~って気持ちになるのも無理なからぬものであった。
「先日はどうもご迷惑をおかけしました」
『ツヴァイ』が頭を下げる。しかし、小雪は気にした様子もなく、彼女とも手を取り合って微笑む。
「プール、誘ってくれてありがとー! 一緒に楽しんじゃおうー!」
「じゃあ、行こうぜ! ここのプールすんごいだから!」
「ええ、ご一緒いたしましょう」
 そんなふうにして小雪たちは激流プールに飛び込む。

『アイン』たちはさすがはアスリートであると言えるだろう。
 激流プールであっても、その流れに適応している。流されないように立ち泳ぎしているのすごない? ってなるが、ここはアスリートアースである。これくらい出来て当然なのである!
 小雪もまた……いや、小雪いないな。
 どうした? と『アイン』たちが小首をかしげていると。
「……あたし、泳げなかったー!!」
「えー!!?」
 泳げないの!? あんなに泳げる感じで飛び込んでいたのに!? あわや大惨事である。しかし、そこはアスリートアース。
 速攻で『アイン』と『ツヴァイ』が小雪を救助してプールサイドに引き上げてくれる。

「ふー、アブナイアブナイ。あまりの嬉しさに我を忘れちゃったよ」
「いや、マジでアブナイぜ!?」
「心臓に悪いです……」
「あはは、ごめんごめんねー? お詫びにさ、飲み物おごるから!」
 小雪は申し訳無さそうにしながら、『アイン』と『ツヴァイ』に礼を言って、出店を示す。
 プールサイドは多くの出店が様々な食べ物や飲み物を売っているのだ。
 何せ、ここは『無差別級合宿』の一つ。
 多くのアスリートたちが集まり、肉体を鍛えている。ならばこそ、こういう処では、即座にカロリーを摂れたり、水分補給できるようになっているのだ。

「……ちびちびラムネを飲みながら……って思っていたのに……!」
「あはははっ! デカすぎだよなー!」
「最小単位が1リットルですからね……」
 さすがはアスリートアースとも言うべきか。小雪は早速洗礼を浴びている。ラムネの瓶も大きい。1リットルサイズなのだから当たり前であると謂えば当たり前であるが、デカすぎである。
 瓶だから尚更重い。
 ダンベルかなにかと勘違いしてらっしゃる? と思うほどの大きさだ。

「回し飲みすればすぐに飲みきれるだろー!」
『アイン』たちと小雪はラムネを和気あいあいと楽しげに飲みながら、プールサイドで一休み。
「次はあちらの浅いプールに行きましょう。あちらならば溺れる心配もありません」
「そうだね!『プラクト』は心技体のスポーツ!」
「そう、その意気だぜ! ここで泳ぎもマスターしてこうぜ!」
 三人は今日の目標を決定する。

 小雪のカナヅチ解消作戦!
 だが、浅いプールはプールで超人アスリートプールレジャーランドであるが所以のように大波が突如として巻き起こる仕様であったことを小雪はこの後知るだろう。
 けれど、今はまだそれを知ることはできない。
「あたしの特訓に付き合って、『アイン』さん、『ツヴァイ』さん!」
 小雪はよし、と意気込む。
 この後大波にさらわれてまたひと悶着あるのだが、それもまた夏の思い出の一幕。
 小雪は新たに得た友人たちと共に、泳ぎをマスター出来ただろうか?

 どちらにせよ、今日という日記帳に、その結果は楽しげな記憶として記されることだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

綾倉・吉野
合宿、という事は……特訓、でありますね?
(そうですよ吉野。未だ未熟な貴女が先達の超弩級戦力達に追い付く為には、このような機会を逃すべきではありませんよ)
うう、その通りでありますねマステマ殿
(その意気です。……では全ての施設を乗り越えましょうか)
えっ
(これも鍛錬です)
……そうでありますね!これも鍛錬であります!

(ちなみに恥ずかしいからとその布で隠していてはいけませんよ。水着なのは|精神の鍛練《私の趣味》も兼ねているのですから)

……うぅー……判りましたであります……

※()内女悪魔(ダイモン)のマステマさんです。姿や声は基本的に吉野のみが認識。聖職者みたいな面して(主に吉野に)試練を与えるのが趣味



 アスリートアースにおいて夏とは合宿の枕詞である。
 言うまでもなくアスリートアースにおけるアスリートたちは超人的な身体能力で持って、危険なスポーツ競技に身を投じる者たちだ。
 そんな彼等の合宿もまた超人的な特訓になるんは、言うに及ばずであろう。
『無差別級合宿』の一つである『八咫烏プール』もまたそうである。
 全てのプールレジャーが殺人的な危険性を持つ超人レジャーへと早変わりしている。しかし、この合宿を乗り越えれば、肉体は鍛え上げられる。

 この夏こそがアスリートたちの分水嶺。
 ライバルはこうしている間にも特訓を重ね、彼我の実力差を広げようとしているのだ! ならば、遊んで鍛えようではないか!
 というのが『八咫烏プール』のテーマでもある。
「合宿、ということは……特訓、でありますね?」
 そんな熱気溢れるプールサイドに降り立つのは可憐な桜の精。
 サクラミラージュの帝都で流行っているなうな水着姿を披露するように綾倉・吉野(桜の精の學徒兵・f28002)は、首をかしげる。

 目の前にあるのは、激流プールに垂直スライダー、大波小波プールに、ビルか? となるほどの高さの飛び込み台などなど。
 ちょっと怖い。いや、ちょっとってもんではない。
 けれど、吉野に恐れるものは、そういうことではなかった。
『そうですよ吉野。未だ未熟な貴方が先達の超弩級戦力達に追いつく為には、このような機会を逃すべきではありませんよ』
 そんな声がする。
 その声は吉野に協力する悪魔『マステマ』のものであった。
「うぅ、そのとおりでありますね『マステマ』殿」
 吉野はもじもじしている。
 なんでか。勘の良い者ならば即座に看破しただろう。

 吉野がなうな水着を衆目にさらしていることに、恥ずかしがっているのである! 羞恥にもじもーじする吉野。
 そんな彼女を前に『マステマ』はこともなげに言うのだ。
『その意気です……では、全ての施設を乗り越えましょうか』
「えっ」
『これも鍛錬です』
 いや、どれもこれも殺人的なあれである。レジャーとは名ばかりのやつばかりである。
 しかし、超弩級戦力、すなわち猟兵の先輩たちに追いつくにはこの程度で逃げ出してはいられないのだ。
 ならばこそ、吉野は奮起する。
「……そうでありますね! これも鍛錬であります!」 

 では、と吉野は水着をパレオで覆おうとして『マステマ』に止められる。
『ちなみに恥ずかしいとその布で隠してはいけませんよ』
 な、何故!
 吉野はうろたえるだろう。だが、そのうろたえる様こそが修練の要であると『マステマ』は言う。
『水着なのは|精神の鍛錬《私の趣味》 を兼ねているのですから』
 いや、完全にルビ見えている。
 見えているのだが、吉野には見えないようである。仕方ない。ルビってそういうものであるから。
「……うぅー……判りましたであります……」

 吉野は顔を真っ赤にしながら超人プールレジャーに挑戦していく。
 だが、彼女もまた猟兵。 
 生命の埒外たる存在。超人アスリートたちに負けず劣らずの身体能力でもってプールレジャーを踏破していく。
「……そ、それにしたって、どうしてこんな……」
『それが|試練《私の趣味》なのです。これを乗り越えるのです』
『マステマ』さんは聖職者みたいな面して、吉野に語りかけ続ける。

 もしも、彼女が吉野以外にも認識されているのならば、完全に騙されてるぞ! と教えて上げられるのだが、残念なことに吉野以外に『マステマ』は認識されないのである。
 いやー、残念だなー! しかたないなー! 水着眼福だなー! とかそんなことは一切思っていない。
 ほんとほんと。
 ともあれ、吉野は超人レジャーを制覇し、真っ赤な顔のまま息を切らす。
 正直、羞恥心ばかり刺激されてレジャーの内容はまったく記憶に残らなかった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
お、ナイアルテさんは監視員か!
うきうきしてるのがわかるな(苦笑

さて、逆境や苦難にも立ち向かえるよう精神面の鍛錬を行う事にしよう!
今までにも色々な体験をして来て確かにメンタル面が少しは成長してるかもしれないが、個人的にはまだまだ圧倒的に足りてないと思ってる

今日は徹底的に鍛えまくるぞ!
という事で、コンテストで来た水着を着つつ激流プールへ
ガンガン泳ぎまくって、疲れ果ててもUCを使用し己を奮い立たせ再挑戦
限界超えすぎてぶっ倒れてナイアルテさんの世話にならない程度に頑張ろう…(ちょっと自信ない

ひと休憩の際には出店で勿論食べまくる(平常運転)
食べた分はまた動こう!(全く懲りてない奴、そして無限ループへ)



 なんとかとなんとかは高いところが好きだというものであるが、完全にお上りさん丸出しな監視員のウキウキ具合を見て、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は苦笑いするしかなかった。
 遠目から見てもわかるほどに監視台の上に座る監視員はうかれているように思えただろうし、事実である。

 ひりょは、そんな監視員の様子を一瞥してから『八咫烏プール』の超人レジャーを前に心を奮い立たせる。
 何故ならば、此処はアスリートアースである。
 ここがただのプールレジャーランドではないことは承知の上。
 激流プールに、ビルか何かか? と思うほどの高台からの飛び込み、超速ウォータースライダー、大波小波プールと、まあよくもこれだけ用意したものだと思うほどの超人レジャーが今、彼の前に立ちふさがっているのだ。
「逆境や苦難に立ち向かえるよう精神面の鍛錬を行うことにしよう! って思ったが……」
 これはさすがにやりすぎだろうと思ったかも知れない。

 けれど、ひりょはこれまでの経験からメンタル面も成長しているのである。
 彼本人はまだまだ圧倒的に足りていないと思うのだが、それでも彼は立ち止まることなく超人レジャーに踏み出す。
「今日は徹底的に鍛えまくるぞ!」
 ひりょは黒い水着に着替え、ウォーターガンをベンチに置いて激流プールに身を投じる。
 激流は凄まじいものであった。
 猟兵である彼をして気を抜いたら即座に押し流されると理解できる。このアスリートアースのアスリートたちもまた同様であろう。
 誰もが真剣だ。

 真剣にスポーツに身を投じ、己の身体能力の限界を毎日更新していっているのである。
 停滞することは、すなわち衰えと同じである。
 ならばこそ、ひりょはその瞳をユーベルコードにか輝かせる。
 疲れても、疲れても。
 どんなに肉体が疲れても、心が、精神がまだと叫んでいるのをひりょは感じただろう。
「うおおおおー!!」
 ひりょは激流プールを往復し続ける。アスリートたちでさえ、あれはちょっとやりすぎというか、真似できななと思うほどであった。
 限界を超えていくひりょ。

 けれど、ひりょは限界を超えることと、倒れることを同義とは考えていない。
 限界の先。それを超えてしまえば、本当の限界が訪れてしまう。
 監視員に迷惑を掛けられないと切り上げ、プールサイドに上がろうとするも、腕がパンパンで苦戦している。
「――あ、どうも、ありがとう」
 そんな彼を引き上げる監視員。
 ご飯も食べてくださいね、と微笑む監視員の言葉にしたがってひりょは、プールサイドの出店で食事を摂る事に決める。

 あれやこれや色んなものが在る。
 ほぼカロリーモンスターそのものな食べ物ばかりであるが、それでもひりょは食べまくるのだ。
 これが限界を超えた代償。
 ではない。これが平叙運転であるというのだから末恐ろしいものである。
「さあ、食べた分はまた動こう!」
 そしてまたループに陥るのだが、ひりょは、後でこってりと監視員に絞られるだろう。
 お説教と言う名の時間が待ち受けるのだとしても、ひりょは止まらないだろう。
 鍛え、鍛え上げ、己の心を鍛え上げるのならば、お説教だって精神鍛錬であると、究極のポジティブシンキングを持って今日という一日を締めくくるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御堂・茜
【NJM】
水着は無いので白ワンピースで!

はとり様!
聞きました!?地獄特訓!夏合宿!
御堂の大好きな修行…そしてロマンス!

早速はとり様の全身に御堂特製
大猟兵養成ギプスを着けさせて頂きます!
御堂は既に重さ10倍の物を着用済ですわ
さあッわたくしと共にいざ高みへ!

それでは早速御堂の怪力で
はとり様を激流プールに突き落とします!
頑張る男子のお姿…ときめきますわね…!
しかしまだまだッ!
浮上したはとり様に次々ビーチボールをスマッシュ!
再び沈んで頂きますわ!

まあはとり様、スポーツ万能!
御堂確かに胸が熱くなって参りましたわ…
心なしか目眩も…きゃああーッ!?(プールに転落
お助け下さい、実は御堂泳げぬのです!
がぼぼ…!


柊・はとり
【NJM】
2022年水着

は?俺仕事としか聞いてないが
この状況でロマンス発生すると思うか?
そしてしたいのか?俺と?
うわこいつ話1ミリも聞いてねえ
既にホルスター着けてるんだが…もう滅茶苦茶だよ

ぐッ!?
凄い力…なんだあの女
駄目だ全然水面に上がれん
死体じゃなかったら死んでるぜ…
息止めでやり過ごしつつ根性で浮上するが…痛ッ

え…何かぶつけられた
マジ理不尽
つかお前は泳がないんかい
御堂…絶対沈めてやる…

な、何とか脱出できた…疲れた
いや御堂それ単なるオーバーヒートだぞ多分…
お前も結構動いてたしな…何か飲み物買ってくるわ
っておい御堂!?
今助け…うッ重すぎてびくともしない
監視員さーん!
あっナイアルテ!手伝ってくれ!



 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)はデッドマンであり高校生探偵である。
 その特異体質は歩けば殺人事件に出くわす、とてもじゃあないが喜ばしくはあいものであった。
 そんな彼が猟兵として他世界を訪れるとあったのであれば、事件である。
 はとりが事件にぶち当たるのではない。事件が、はとりめがけて飛び込んでくるのである。
 だから、御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)が彼を連れ出したのも、はとりは仕事であるとしか聞いていなかった。

「はとり様! 聞きました!? 地獄特訓! 夏合宿!」
 茜はとてもテンションが高い。
 夏の積乱雲よりも高いテンションで、雷鳴よりも大きな声で、はとりを呼んでいた。
「は? 俺仕事としか聞いてないが」
「御堂の大好きな修行……そしてロマンス!」
 聞いちゃいない。
 茜は御堂家の女子である。女子とはいえ、武士道に憧れ猟兵となった彼女は異世界の文化を取り入れ感銘し続けているのである。
 そんな中でもロマンス! そう、ロマンスである!
 白ワンピースが眩しい! ああ、目が潰れちゃう! けど、夏の青空に白ワンピースが映えることはお約束を通り越して規定事実。既定路線。グーがパーに負けるのと同じくらい当然のことなのである!

「この状況でロマンス発生すると思うか? そしてしたいのか? 俺と?」
 はとりは『八咫烏プール』の超人レジャーを目の前にして半眼となっていた。殺人的な激流プール。大波小波で時化た海よりひどい荒れ狂いようのプールに、人を水切り石にするウォータースライダー。
 どれをとってもロマンスのロの字もなければ浪漫もない。いや浪漫はありそうな気がするけど、まあそれは置いておくとする。

「さあッわたくしと共にいざ高見へ!」
「うわこいつ話1ミリも聞いてねえ……ってなんだこれ」
「御堂特製大猟兵養成ギブスですわ!」
 なんて? はとりも地の声もそう思った。話を聞かないのが茜の善いところである。悪いところでもあるが。
 ともあれ、はとりは水着の上からギッチギチの大猟兵養成ギブスを装着させられていた。
 早すぎる。
「というわけで、そぉい! ですわ!」
 茜の自慢の腕っぷしで、はとりは激流プールに突き通される。この御堂・茜という女子、思い切りが良すぎる。

「ぐッ!?」
 はとりはあっけなく激流プールに突き落とされ、激流に翻弄される。マジでどうなってんだこれっていう位激流に逆らえない。
 この大猟兵養成ギブスのせいであろうか。体がまともに動かないのだ。水はガボガボ飲んでしまうし、腕は動かないし、足なんか重りかなにか付いているのかと言うほど沈んでいく。
 死んでなかった死んでいたところである。
 あ、これはもしかしてデッドマンあるあるっていうやつなのであろうかと思った。しかし、息を止めてやり過ごせば、茜も正気に戻るだろうとはとりは息を止めて水の中に……。

「頑張る男子のお姿……ときめきますわね……!」
 そんな、はとりを他所に茜はときめいていた。これやべー武家のお姫さまやんけ! とアスリートアースのアスリートたちは戦慄した。
 控えよ、姫の御前である(ジャスティスミドウ・モンドコロ)。見よ、世界。これがときめきロマンスのマッチポンプってやつである。
 監視台の監視員ことグリモア猟兵も思った。でも、がんばる男子が素敵っていうのは、それはそうだなーとも思っていた。
「しかしまだまだッ!」
 茜は飽き足らず、ビーチボールをスマッシュ! はとりに沈んでもらおうとスマッシュ。スマッシュ。すまーーっしゅ!!

「痛ッ……マジ理不尽」 
 はとりはこの世の全ての理不尽を一身に受けていた。
 茜の行動は全て姫様だから赦されるのである。姫様じゃない身である名探偵は思った。強く思った。
「御堂……絶対沈めてやる……」
 息を止め、作者への挑戦状(アンフェア)もとい、姫様への挑戦状を叩きつけるべく、ビーチボールスマッシュを躱しながら、プールサイドに地下より、茜の足首を掴むのだ。

「ああ、はとり様、スポーツ万能! 御堂確かに胸が熱くなって参りましたわ……こころなしかめまいも……」
 茜はグラグラ来ていた。
 ロマンスが止まらんのである。ドキドキ。いや、絶対これ違うやつだな。
 お目々ぐるぐるしている。そんな彼女の足首を掴んだ、はとりの逆襲が始まる!
「いや御堂それ単なるオーバーヒートだぞ多分……」
 よっこいせ、とはとりは茜の足を掴んだままプールサイドに登ろうとして。

「……きゃああ-ッ!?」
 ぐらっと来ていたのはオーバーヒートのせい。そのまま茜は、はとりごとプールにドボンである。
 あーあってやつである。
「っておい御堂!? 今助けて……うっ、おもすぎてビクともしない!?」
「お助けください、実は御堂泳げぬのです! がぼぼ……! それはそうと今御堂のこと重いって言いました?」
「いや、今はいいだろそれ! このままじゃ……!」
 マジで共倒れである。はとりは焦った。監視員さん! ばちゃばちゃやっている二人へと飛び込む影があった。

 監視台から飛び出し、一瞬ではとりと茜の二人を抱きかかえてプールサイドに引き上げる監視員ことグリモア猟兵。
 え、えぇ……ってなるほどの手並み。ライフガードとしての役割としては百点満点であるが、はとりが持ち上げられなかった茜ごと引き上げた腕力はちょっとドン引きである。
 手伝ってもらえるだけでよかったのだが、自分ごと救助されてしまったことに、はとりはなんと思っただろうか。
 茜に至っては、これがロマンス……! とか思っていたかもしれない。

 だが、二人のロマンスというか、ドキドキはこれからである。
 監視員ことグリモア猟兵にしっかりこってりとお説教の時間である。仲いいことは素晴らしいことだが、ふざけすぎにも注意である。
 二人は仲良くプールサイドで水を滴らせながら、暫くの間足が痛いなぁって思いを共有する。
 これがひと夏の経験――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】黒系のサーフパンツ
わぁ、どれも遊園地のアトラクションみたいで楽しそう
ねぇねぇ梓、激流プール行ってみようよ
子供のようにせがむ

仔竜の焔と零が梓にしがみついているのを見て
俺もガシッッと梓の腕にしがみつく
それはもう絶対外れないようにホールド
ほら、この激流じゃくっついてないとはぐれちゃいそうでしょ?
梓、ここでは泳ごうなんて考えちゃ駄目だよ
水の流れに身を任せようじゃないか

いや~スリル満点で楽しかったねぇ
俺も何か出店で買ってこようっと
ラーメン、カレー、フライドポテト…どれも魅力的だなぁ

悩んでいたら、なんかすごいもの発見
梓ー見てみて、揚げバターだって
バターの塊に衣を付けて揚げた一品を見せびらかし


乱獅子・梓
【不死蝶】黒系のサーフパンツ
うわぁ、遠目から見てるだけで凄そうなのが伝わってくる
あれにノリノリで行きたがるとか物好きだなお前は…

焔、零、流されないようにちゃんと俺に捕まっているんだぞ
ひしっと俺の肩にしがみつく仔竜たち(かわいい
…ん? なんか腕の方にも謎の重みが…
綾!! なんでお前まで俺にしがみついてんだ!
お前までくっついてたら泳げないだろうが!
そうこう言ってるうちに激流プールに呑み込まれ流されていく

なんかどっと疲れたな…
出店で何か買うとするか
焼きそば食べつつビールをぐいっと飲みたい

…揚げバター?? なんだそのカロリーの暴力のような食べ物は
明らかに身体に悪そうだから程々にしておきなさい…!



 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は共に黒いサーフパンツの水着を纏い、『八咫烏プール』のプールサイドで呆然としていた。
 いや、呆然としていたのは梓と子竜である焔と零であって、綾はワクワクしているようであった。
「わぁ、どれも遊園地のアトラクションみたいで楽しそう」
 梓はその言葉にげんなりしてしまうかもしれない。
 遠目から見ているだけでも、もうプールレジャーという枠組みを超えているように思えたのだ。
 ここから見ても凄いということしか伝わってこない。
「あれにノリノリで行きたがるとか物好きなお前は……」

 正直に言えば、梓はプールレジャーと言えばもっとこう楽しげなものばかりだと思っていたのだ。
 如何にアスリートアースが超人アスリートの多い世界とは言え、ここまでではないだろうと思っていた。
 けれど、現実は非情である。
 超人アスリートたちが集い、『無差別級合宿』となるのならば、当然プールレジャーも超人級になるのである。
 激流プールに超速ウォータースライダー、超人飛び込み台に大波小波。
 梓は、もう目を覆わんばかりであった。

「ねぇねぇ、梓、激流プールに行ってみようよ」
 だというのに綾はノリノリである。子供みたいにせがむ姿が、もう完全に場違いである。けれど、そんな無邪気さもまた綾の魅力の一つであろう。
 その無邪気さに押される形にで梓は二匹の小竜と共に激流プールの前にやってくる。
 焔と零は完全に梓にしがみついている。
 肩をぎゅーってしている姿がなんとも言えず可愛いと思ってしまう。
「怖がりだな。しっかりと捕まっているんだぞ?」
 そんな梓と二匹のやり取りを見ていた梓はぴーんと閃くものがあった。

「……ん? なんか腕の方にも謎の重みが……」
 其処に在ったのは綾であった。
 梓の腕にしっかりとしがみついている。いや、どう考えても綾ならばこの超人的な激流であっても対処できそうなものである。
 けれど、綾の笑顔は燦然と輝く太陽のように綺羅びやかであった。
 にっこり。

「綾!! なんでお前まで俺にしがみついていんだ!」
「ほら、この激流じゃ、くっついてないとはぐれちゃいそうでしょ?」
「お前までくっついてたら泳げないだろうが!」
「梓、ここでは泳ごうなんて考えちゃ駄目だよ」
 にっこり。
 本日二度目のにっこりである。綾の楽しげな笑顔。荒れ狂う激流。梓は思わず叫んでいたことだろう。

 わりと必死である。
 いや、両腕がふさがっているので足でどうにかするしかない。バタ足、立ち泳ぎ。もう自身の身体能力の持てる全てを使ってどうにかこうにか激流を制御しようと試みる。
 だが、それが無駄な抵抗であったことを梓は知るだろう。
 これもまた綾の言葉通りであった。
「水の流れに身を任せようじゃないか」
「そんなこと言っている場合か……!!」
 這々の体で梓と二匹、そして綾はプールサイドに上がる。いや、梓だけが余裕である。まあ、だって梓に泳ぐのは任せてしがみついていただけである。

「なんかどっと疲れたな……」
 梓は肩で息をしていると綾はあっけらかんとスリル満点だったとか言うのである。
「出店でなにか買うとするか……ああ、焼きそばをビールでぐいっと流し込みたい……」
 梓は出店を物色する。 
 さすがはアスリートアースとでも言うべきだろうか。どれもがカロリーモンスターである。量も多い。
 なんか普通の飲み物ですら最小単位が1リットルなのである。
 うへーと梓は思いつつもビールのジョッキと焼きそばを片手に空いたパラソルを探し、腰掛ける。
 ビールが多い気がするが、綾とシェアすればいいだろうと考えていた。

 そんな梓の前に綾がキラキラした顔で駆け寄ってくる。
 その手に握られている揚げ物らしき串物を見て梓は首をかしげる。遠目からは衣だけでなにかわからないのだ。
「見てみて! 揚げバターだって!」
 梓は思わず吹き出しそうになっていた。
「なんだそのカロリーの暴力のような食べ物は!」
「いやーラーメン、カレー、フライドポテト、どれも魅力的で迷ったんだけどね!」
 これに決めたんだと、衣のバター付き。いや、バターの衣付き。
 うーん、なんともそのって感じのものに梓は青ざめる。

「明らかに体に悪そうだから程々にしておきなさい……!」
「梓、またおかんみたいになってるよ」
 そんな食べ物見たら誰だってそういうわ、と梓はツッコミながら綾と共にパラソルの下でビールとカロリーを胃袋に流し込んでいく。
 夏の日差しはまだまだ強まるばかりであろう。
 けれど、ビールののどごしの良さは何事にも代え難い。

 二人して、くぅー! となってしまうのも無理もない。
 梓は焼きそばを。綾は揚げバターを楽しみつつ、夏の日の思い出に今日という一日を書き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

稷沈・リプス
自称:人間な男、夏満喫スタイル。

いやー、夏っすねー!合宿とかいいじゃないっすか。

あ、水着は黒の海パンになったっすよ。動きやすくしたっす。
…しかし、本当に超人向けなプールっすね?

ま、こういうのもいいっすか。そう、滝下りジェットスライダーとか、こういうところでしかできないっすからね!

そうして、作り出した蛇(硬度強化)と一緒に滝下り。
結構なスピードっすし、かなりの角度っすけど。いやー、気持ちいいっすね!!最高っすよ!!

ちなみに、この蛇には屋台のりんご飴をねだられてるっす。
付き合ってもらったのは俺っすし、もちろん買って与えるっすからね。



「いやー、夏っすねー! 合宿とかいいじゃないっすか」
 稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)はアスリートアースの『無差別級合宿』の一つ『八咫烏プール』に訪れていた。
 その装いは黒の海パンという夏満喫スタイルであった。
 動きやすさを重視したスタイルは、この『無差別級合宿』の超人プールレジャーランドを楽しむためには必要なものであった。
 激流プールに、超速ウォータースライダー。
 ビルのような高さから飛び込む飛び込み台。海の時化かなんかかと思うほどの潮目変わる大波小波プール。

 どれもが超人アスリートでなければ、ただの殺人的なプールレジャーでしかない。
「……しかし、本当に超人向けなプールっすね?」
 リプスにとって、それは恐るべきものであったかもしれない。
 けれど、彼とて猟兵である。しかも神性たる存在。
 ここで遅れを取ることは赦されないだろう。いや、楽しむことをやめてはならない。
「ま、こういうのもいいっすか」
 リプスはどれから試そうかと案内板を眺める。
 滝下りの如きジェットスライダーは楽しそうだと目星をつけて、大きくうねる筒のスライダーが鎮座する場所を目指す。
 渦巻、回転、急カーブ。
 あらゆる曲線を駆使して作られた滝下りの如き垂直なジェットスライダー。
 あまりにもあんまりである。安全性とか大丈夫なのかと思うほどであったが、このジェットスライダーを下るアスリートたちは悲鳴一つ上げていない。

 それどころか、出口のプールでアスリートたちの体が水切り石のごとく跳ねて、跳ねて、跳ねてプールサイドまで一度も水に沈むことなく降り立つ姿さえあるのだ。
「……こういうところでしかできないっすからね! じゃあ、いくっすよ!」
 リプスは垂直の如きスライダーの入り口の前にたち、ゴッドクリエイションで造り上げた蛇と共に滝下り、ならぬジェットスライダーに飛び込む。
 垂直に近いだけあって、まるで滝下りをしているかのような勢い。

 水の流れに逆らうとか、乗るとか、そんなこと考えている余裕もない。
「結構なスピードっすし、かなりの角度っすねー」
 けれど、リプスはまだ余裕がある。
 冷たい水が頬に当たって弾けていく。装甲を強化したゴッドクリエイションで生み出した蛇は、謂わば浮き輪のようなものだ。
 スライダーの中をぐるんぐるんと目まぐるしくカーブしたり回転したりしながら、リプスは一気に出口へと向かっていく。

「気持ちいいっすね!! 最高っすよ!!」
 出口があっという間に迫ってきていることにリプスは物足りなさも感じるだろう。けれど、ジェットスライダーだけあって、スピード感が大切なのだ。
 長々と続くスライダーほど慣れてしまうものはない。
 スピードに乗ったリプスと蛇が水面を切って、跳ねてプールサイドまで一気に飛ぶ。
 爽快感が体の芯を通り抜けていくのを感じ、リプスはぶるぶるっと身震いするだろう。
「くぅ~……これが病みつきになるってことっすかね!」
 もう一度、とスライダーに向かおうとして、蛇がリプスの手を引く。
 なんだと思えば、プールサイドにある出店のりんご飴を尾でもって示される。

「ああ、あれが欲しいんすか?」
 こくんとうなずく蛇にリプスは付き合ってもらったお礼をしなければと思っていたので、出店に赴き、赤いりんご飴を手渡す。
 喜ぶように目を細め、舌をチロチロさせている蛇を微笑ましく思いながらリプスは、さらなる超人レジャーを満喫すべき視線を巡らせる。
 鍛えられる、というのとはまた違うのであろうけれど、リプスは『今』を満喫する。
 今日という日は一日たりとて同じ日はやってこない。
 だから、尊いと思うし、守りたいと思うのだ。その思いを新たにし、リプスはもう一度ジェットスライダーに足を運び、最高の気分を味わうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
【旅神】

うーん、ある意味壮観だな。
そりゃあおれも流れるプールとかウォータースライダーは経験あるけど、ここまで違うとその経験は役立ちそうにねえなあ。
鍛え方も違うっつっても、よくこれで溺れる奴が出ねえもんだ。

ところで、詩乃は新しい水着か。
ふーん……珍しいデザインだけど、似合ってると思うぞ。

んじゃまあ……ただの人間代表として、この超人用(?)プールに挑戦しますか!

詩乃が滝下りジェットスライダーに行きてえみたいだから、付き合う。
おれはこういうのわりと平気だけど、詩乃は大丈夫か? 怖かったらおれの腕とかに掴まれよ。

ひとしきり堪能したら、詩乃と相談しつつ、次にどのプールに挑むか決める。


大町・詩乃
【旅神】

今年のチャイナドレス風水着を着用。
嵐さんからの賛辞を貰ってルンルン気分。

超人プールとは、さすがアスリートアース。
一般人の方には危険でしょうが、私達なら楽しめそうですよ♪

滝下りジェットスライダーが面白そうです。
しかし飛び込む前に第六感で気付く。
この水着で飛び込んだら危険な展開(所謂ポロリ)が高確率で発生する事を💦

そこに嵐さんの助け舟が。
「大丈夫では無いので、お言葉に甘えますね♪」と嵐さんの腕にぎゅっと抱き着いて、水着が取れないようにして挑戦しま~す。

きゃあきゃあと叫びつつも思う存分楽しむ。

次は大波小波プールなどはどうでしょう?
嵐さんと一緒なら大丈夫です♪
と次のプールに挑戦するのでした。



 生命の煌めきは太陽の輝き。
 夏の日差しは肌に刺すようであったが、浮かぶ汗の玉はますます煌めきを強くするだろう。
 乙女は柔肌を水着という名の衣をまとって、さらに美しくなる。
 濃い緑のチャイナドレス風の水着を着た大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、プールサイドに降臨した女神のようであった。いや実際神性であるから間違いではない。
 彼女の麗しい水着姿は、アスリートアースのアスリートたちをしても美しい肉体美を映えさせるものであり、どよめきが巻き起こる。

 そんな彼女を待っていた鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は、『無差別級合宿』の一つである『八咫烏プール』のプールレジャーをみやり、思わずつぶやいていた。
 うしろうしろ!
「うーん、ある意味壮観だな」
 いやまあ、わからんでもない。
 この『八咫烏プール』はプールレジャーランドと言ってはいるが、そのレジャーの全ては超人仕様である。
 激流プールに大波小波プール。滝下りの如きジェットスライダー。飛び込み台に至っては何あれビルかな? というくらいの高さである。
 そんな超人レジャーをアスリートたちは難なく普通ですけどって顔でこなしているのだ。
 いくら超人的なアスリートたちばかりとはいえ、これでよく事故が起こらないものである。
 鍛え方か? 鍛え方が違うのかと嵐は首をかしげる。とは言え、彼だって猟兵である。他世界を見て回ってきて、流れるプールやウォータースライダーの経験はあるのだ。

 けれど、流石にこれは……。
「嵐さん」
「ん、ああ、詩乃。来たか」
「すごいですね、超人プールとは。さすがアスリートアース。一般人の方には危険でしょうが、私達なら楽しめそうですよ♪」
 詩乃の水着姿が眩しい。
 心做しか夏の日差しが彼女の魅力を三割増し、いや五割増しにしている。いや、倍である。それくらいに詩乃の水着姿は大変に素晴らしいものであった。
「ところで、詩乃は新しい水着か。ふーん……」
 嵐はそんな詩乃の姿にうなずく。
「……珍しいデザインだけど、似合ってると思うぞ」
 いけ! そこだ! もっと褒めちぎるのだ! とアスリートたちがヤキモキしている。

 けれど、詩乃は嵐の賛辞にもじもじしている。膝をこすってもじもじしているところがポイント高いですねー。素晴らしいですねー。どうですか解説の監視員さん。
 とかそんなやり取りが影であったとかなかったとか。いやない。ないです。
「んじゃまあ……ただの人間代表として、この超人用プールに挑戦しますか!」
「はい♪ 滝下りジェットスライダー面白そうです」
 詩乃の言葉に嵐は絶壁かな? となる程の垂直なスライダーを見上げる。垂直具合もそうだが、この高さである。ぐるんぐるんうねうね。筒状のスライダーは、流石にこうどうなってんだこれっていう具合である。
 さらに言えば、スライダーの出口のプールにアスリートたちは誰も沈んでいない。

 誰もがプールを水切り石みたいに跳ねて飛んで、プールサイドに着地している。
 これが普通なのか?
 特にどよめきもなく、みんな淡々とスライダーを滑っているのだ。
 詩乃と嵐はスライダーの頂点に登っていく。詩乃は、その間に気がついてしまった。確かにジェットスライダー楽しそうである。
 けれど、第六感が告げているのだ。
 このままスライダーに飛び込んだら、多分危険な展開になると。それも高確率で!

 何がとは言わない!
 いや、言わせて頂く! 具体的に言えば、ぽろりラッキーなあれである! 何がぽろりなのかは言わないけど! けど、まあ、そういうやつである!
 そんな詩乃に嵐は彼女が怖がっていると思ったのだろう。
「おれはこういうのわりと平気だけど、詩乃は大丈夫か? 怖かったらおれの腕とかに掴まれよ」
 さらっとこういうこと出来るのがポイント高い。
 詩乃は渡りに船という具合にしっかりと嵐の腕に抱きつく。
「大丈夫ではないのでお言葉に甘えますね♪」

 これぞ夏! 夏の醍醐味! ロマンス!
 二人は密着したまま滝下りジェットスライダーを滑っていく。胸のドキドキは二人の体温のせいだろうか。
 それとも滝下りジェットスライダーのドキドキだろうか。
 どちらにせよ、二人はわあきゃあ言いながらジェットスライダーをあっという間に滑り終え、プールを水切り石のように跳ねてプールサイドに降り立つ。
 しっかり詩乃を離さないで抱えた嵐は着地する。
 瞬間、周囲から拍手喝采が立ち上る。
 感涙しているアスリートたちさえいる。なんでそんなに感動しているのかわからない二人はなんで? って顔をしながら拍手喝采の中、再び別のプールに向かう。

 こうして二人の思い出に超人プールが記されることだろう。
 後に思い返して微笑ましく思えることもあるだろうし、もっとこうしていればよかったと思うことだってあるはずだ。
 けれど、どれもが大切な思い出。
 二人が共有する夏の一ページ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさん(f24264)と】

水着はブルーのタンキニを着ていくね。

(必死に鼻血を堪えつつ、ハイスピードカメラで撮影中)
サージェさん、輝いてるよ……!
サーバーは借りて置いたから、安心……できないよー!

ここは会長として組成してもらわないと!
「競泳競泳チョコ肌競泳競泳たゆん……」

よし、鼻に詰まっていた血は出たね。

それじゃとりあえずテラ使い切る前にプールに行かないと!

そ・れ・で。特訓なんだよね?
それならここは『監視員の特訓』をしてもらっちゃおう。
わたしの運動能力で『激流プール』に入れば、あっというまに監視員案件だからね!

サージェさん、あとは任せた!
(サムズアップ、あんど、無駄なきらりん☆)

準備運動なしで、勢いよく激流プールに飛び込んで、
!!!たーすーけーてー……にゃばぼゃ@おp¥!?(マジ溺れ)

サージェさんに助けてもらって、実は起きてるけれど、
ここは寝たふりがベストチョイスだよね。

そして抱きしめられれば、

逝くも天国、還るも天国……!

と再度きらりん☆して、今度こそがっくりしちゃうね。


サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
お呼び…私、呼ばれています天国に…
ふふ、良い笑顔で笑えているかな…(とってもいい笑顔で尊死)
理緒さん、私の墓前にはその写真お供えしてください…ね…
(鼻血文字で「ないあるて」とダイイングメッセージ)

いえ、死んでいるなんてもったいない!
あのチョコ肌たゆん競泳水着腰回りが微えっちを
もっと近くでガン見アッハイ真面目に監視員やります!
というわけで健全褐色競泳水着クノイチ参上
…って理緒さぁぁぁぁん?!(激流に消えるタンキニ美少女を見ながら
しかもガチ溺れてるじゃないですかー?!
これはマジでヤバい!
【VR忍術】的確に真下から突き上げ水流!で理緒さんを空中に打ち上げた後
しゅぱっと抱きかかえて救出
くっ私の胸程度では起きない!?
ナイアルテさーん!へるぷー!
理緒さんが、理緒さんが起きないんです!!
早く抱きしめてあげてください!
ナイアルテさん前から私後ろからで
私はナイアルテさんを至近距離からガン見してますので
理緒さんに堪能させてあげて
アッハイ心臓マッサージしますねー?



 世には様々な猟奇的な殺人事件があるだろう。
 死者は最後の力を振り絞って真犯人を告げるヒント……すなわち、ダイイング・メッセージを残す。
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)もその独りであった。
「お呼び……私、呼ばれています天国に……ふふ、善い笑顔で笑えているかな……」
 彼女はとても良い笑顔で笑っている。
 これが俗に言う尊死というやつであった。
 開幕一体全体何が起こっているのかと思われるかもしれない。いや、わからん。誰もわからん。

 彼女の鼻血はドバドバでているから、多分死因は失血死である。
 いやまだ死んでないけど。
 けどまあ、多分このままだと普通にそうなる。サージェは鼻血の血で『ないあるて』て描いているけど、監視員のグリモア猟兵はなんで自分の名前が描いてあるのかさっぱりわからないって顔をしていた。
 あまりのことに硬直しているともいえるだろう。

 そんなサージェを見下ろしている彼女を超高速でシャッターを切る者があった。
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
 ハイスピードカメラで連写している姿は鬼気迫るものがあったし、アスリートアースのアスリートたちですら迂闊に声を掛けることをためらわれるほどの集中力と気迫を放っていた。
 せっかくのブルーのタンキニ姿が台無しな気がしないでもないなと、グリモア猟兵は戸惑っていた。わかる。なんでそんなに写真取っているのかもわからん。
「サージェさん、輝いてるよ……! サーバーは借りておいたから、安心……できないよー!」
 足りない! サーバーの容量が心もとない! 何も安心できない! と理緒はもう動画にしたほうが良くない? くらいのレベルでシャッターをキリまくっている。
「ここは会長として蘇生してもらわないと!」

 何の会長?
 アスリートたちはみんな疑問に思ったし、多分渦中のグリモア猟兵も思った。
 理緒は倒れ伏すサージェの耳元に魔法の言葉をささやく。
「競泳競泳チョコ肌競泳競泳たゆん……」
 マジで呪文だな。
「あのチョコ肌たゆん競泳水着腰まわりが微えっちを、もっと近くでガン見――!」
 ぶっぱー! って鼻血を噴射する勢いでサージェが立ち上がる。大丈夫か。鼻血でてるし、出しすぎな気がしないでもないが。
「もっと近くでガン見!!」
「よし、鼻に詰まっていた血は出たね」
 ヨシッ。
 ではないが。サージェと理緒は見事に復活を遂げて、連携を見せる。

「というわけで健全褐色競泳水着クノイチ参上!」
 まるで非健全褐色競泳水着がいるかのような口ぶりである。
「そ・れ・で。特訓なんだよね?」
 にんまりしている理緒。監視員絡まれてるぞ。理緒はにまにましている。そう、ここは『無差別級合宿』である。
 アスリートアースの多くのアスリートたちが集い、真剣に遊んで鍛えている『八咫烏プール』なのである。
 ここに居る監視員もまた特訓をしなければならない。
「そう、『監視員の特訓』をね! わたしの運動能力で激流プールに入れば、あっというまに監視員案件だからね!」
 そのまま理緒は今日一番のダッシュを決めた。

「サージェさん、後は任せた!」
 サムズアップしてプールサイドを疾走する。フットボールでラインをかち割る選手のごとく、猛烈なダッシュ。
 おそらく人生一のダッシュであったことだろう。
 誰も彼女を止められない。
 激流プールに突っ込んだ理緒は、準備運動無しで激流プールの水流にあっという間に飲み込まれていく。
 無駄なキラッと光るサムズアップは溶鉱炉に沈むなんかあれを幻視させるものであったが、この際置いておく。
 これが理緒の身を呈した『監視員特訓』。

 だが、彼女も猟兵である。 
 生命の埒外たる存在。故にこの程度の激流に飲まれるのは演技。
「!!!  たーすーけーてー……にゃばぼゃ@おp¥!?」
 演技、だよね?
「……って理緒さぁぁぁぁん?! ガチ溺れじゃないですかー?! これはマジでヤバい!」
 理緒の窮地にサージェの瞳がユーベルコードに輝く。
 VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)。メモリをコンソールにインストールして発言する突き上げ水流の術によって、理緒の体が空中に飛び上がる。

 的確な術に寄って溺れた理緒を空中でサージェが華麗にキャッチして抱えて救出する。褐色の柔らかい感触に理緒の頬が緩んだ気がしたが気のせいである。
 理緒。恐ろしい子。
 プールサイドに寝かされた理緒にサージェがぺちぺち頬を叩いて意識確認である。しかし、彼女は起きない。
 寝た振りを続けているのである。
 実はもう起きている。
 けれど、理緒はチキチキチーンって頭の中で高速演算でもって答を叩き出している。
 このまま寝た振りがベストチョイスであると。
 美味いこといけばこれは二人に抱きしめてもらえて! と私欲我欲丸出しで迫真の演技で寝た振りを続けているのである!!

「へるぷー! 理緒さんが、理緒さんが起きないんです!!」
 サージェも今期一の演技力を発揮する。
 迫真の演技。アスリートアースの中心でなんか叫んでる感じのあれな演技。
「早く抱きしめてあげてください! 前から! 私は後ろからで!!」
 いや、こういうときって心拍確認してマッサージなのでは? あとマウストゥマウス。
 だが、サージェも理緒もそういうのいいからって思っていただろう。
 互いに我欲を優先している。
 その気迫は凄まじいものがあり、監視員のグリモア猟兵に考える時間を与えてはならぬとばかりに畳み掛ける。

「さあ! さあさあ!!」
「――……ッ!!」
 二人の圧に耐えかね、じゃあって感じで監視員のグリモア猟兵は首を傾げながら理緒を抱きしめる。
 柔らかな感触。
 これがたゆん……ッ! 理緒は思わず逝くも天国、還るも天国……! と脳内で辞世の句を読む。
 きらりんって真夏の空に巨星墜つ。

 そんでもってサージェもまた至近距離でガン見である。目がちょっと怖い。いやまじで怖い。いくら理緒ががっくりしているとは言え、必死すぎて怖い。いや、わかるけど。わかるけど怖い!
「アッハイ心臓マッサージしますねー?」
 後ろから?
 サージェはにっこし笑って自分の脳内に諸々を刻み込んで良い笑顔をする。

 こうして理緒とサージェは見事に目的を果たす。
 ここまで我欲と私欲に塗れたミッションがあっただろうか、いやない。
 彼女たちは帰ってからサーバーに蓄積されたコレクションを前ににっこりするであろう。
 けれど、謎のエフェクトが画像全てに写り込んでいる。そう、アスリートアースの真夏の太陽は強い! 全ての画像に謎の光が差し込み、肝心の場所ばかりを覆い隠していたのである。
 二人の強すぎる気持ち、それがオーバーロードした時、呼応するように太陽もまたオーバーロードしたのやもしれない。
 そんなこんなでまともな写真は一枚も残っていないのであった。

 でもいいよね!
 あのときの思い出は誰にも奪えない。誰にも消せない。
 二人は得難きものを得た夏の一日を噛みしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

今年の新作水着でゴーゴー!

ひゃっほおおーーー!この危険性がクセになるー!
あ、なんとか部の人だー
こないだは頑張ったねー!ボクには負けるけど!
と話してみよう!

●閑話 閑話?
そこでバラバラXくんは言ったんだよ!
「ここは私が犠牲になってあいつを止めます!勝ってください!うおおおおお!」
バラバラXくんなにそんなこと言ってないみたいな顔してるの!?言ってた言ってた!(言ってないし思ってない)
あ、ボクの[影]から顔出してすごい不満顔ー!
んもー!
人と同じだね!オランウータンより賢く作ってあげた子はいつもこれだよー!
アハハハハ!だから好きー!

あれ、楽しかったらまた遊ぼうねー!



「ひゃっほおお――! この危険性がクセになるー!」
 そんな声を上げて滝下りジェットスライダーを滑り降り、出口のプールで水切り石のように跳ねて、跳ねて、プールサイドに着地したロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はアスリートアースの超人プールレジャーを堪能していた。
 今年の新作水着でもって飛び込む『八咫烏プール』は、どれもが殺人的に危険なプールレジャーばかりであったが、ロニにとってはスパイスの如きスリルでしかなかったのである。

 遊んで鍛えようが、このプールレジャーのテーマである。
 とはいえ、ロニには関係ない。
 これも等しく楽しむためのレジャーでしかないのだ。
「うわぁ……まだやるんだ」
「体力おばけですね」
『プラクト』アスリートである『アイン』と『ツヴァイ』がロニのそんな様子に少々引いている。
 体が資本のアスリートとは言え、限度というものがあるのだ。
 けれど、ロニはそんなことお構いなしに延々とジェットスライダーを楽しんでいたのである。
「あ、なんとか部の人だー! この間はがんばったねー! ボクには負けるけど!」
「あ? 私のほうが活躍してたし!」

 その言葉に『アイン』が突っかかってくる。
 共に『ダークリーガー』と戦った仲であるが、こういう売り言葉に買い言葉をしてしまう所は、まだまだ幼い少女と言ったところであろうか。
 ロニはうんうん、わかるわかるとうなずく。
 こういう年頃ってば、そういうものなのである。
 ともあれ、『アイン』とロニは先日の『プラクト』における『ダークリーガー』との戦いの感想を言い合うのだ。

「そこでバラバラXくんは言ったんだよ!」
 ロニが大仰に手を振ってジェスチャーを交えながら、先日の戦いを語る。
「『ここは私が犠牲になってあいつを止めます! 勝ってください! うおおおお!』ってね!」
「熱い展開じゃねーか! なあ! お約束とは言え、心がたぎるよな!」
「ありましたか、そんな試合展開」
『ツヴァイ』は『ダーク化』していた側であるが、とんと記憶にない。
『ダーク化』していた弊害であるのだろうか。首を傾げている。いや、事実、そんな展開無かった。

『アイン』だってノリに押されて納得しているだけで、そんな記憶存在してない。
 その証拠にロニの影から『バラバラX』が首を振っている。
「言ってた言ってた!」
 ロニはゴリ押しする。
 マジでそんな展開なかったのである。
 影から顔だしている『バラバラX』がとても不満顔をしている。いや、不満顔ってわかるほど表情豊かな時点でものすごい完成度であるが、これが神の御業ってやつである。
 いいのか、そんなのでいきなり神様権能乱発するのって思わないでもない。

「んもー! 人と同じだね! オラウータンより賢く作って上げた子はいつもこれだよー! アハハハ! だから好きー!」
 ロニは笑って、『バラバラX』を影の中に押し込む。
 もう日はだいぶ傾いている。
 あれだけ高かった日は山際に沈もうとしている。夕焼けの橙は僅かな時間だけだ。すぐに日が暮れて、夜の帳が落ちるだろう。

 今日という一日が終わる。
 どんなものにだって終わりは来る。どんなに楽しくても、どんなに苦しくても、時は止まってはくれない。
 それが過去を排出して進む『今』の変わらぬこと。
 だからこそ、ロニは楽しげに笑って彼女たちに言うのだ。
「あれ、楽しかったら、また遊ぼうねー!」
 また、と約束することが何かの確約になるわけではないことをロニは知っていた。いつもどおりの明日が、いつだって訪れるとは限らない。

 けれど、人は約束をする。
 また明日と。
 さよならじゃなくて、またあした。
 それはいつかまた出会うための約束。ならばこそ、ロニは笑いながら前を向く。振り返ることは、過去の思い出に浸る時だけでいい。

 夏の日が終わる。
 夕暮れはいつだって明日を迎えるためのお休み。
 またね、という約束はきっと果たされることを知らしめるように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月26日


挿絵イラスト