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血濡れの神隠し

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●神隠しの少女
(「あ……れ……?」)
 少女が目覚めると、そこは暗闇。恐らくは、目隠しか何かをされているのだろう。おまけに手足はガッチリと固定され、耳にも何かを装着されているらしく、物音一つ聞こえなかった。
 少女の記憶は、一人で農作業をしていた辺りでプッツリと途絶えている。少なくとも、このように拘束される覚えなど、少女には一つもない。
「どこ……ここはどこなのです!? 誰か、誰かおりませんか!?」
 唯一自由な口で、少女は疑問と恐怖を吐き出す。
 すると、そんな反応を待ち構えていたように、少女の腹に焼けるような熱が走った。
「えっ――ひぐぅ!!」
 その熱が痛みであると、少女は遅れて認識する。何か鋭い刃物が腹部に差し込まれ、それが頭の方向に向かって、柔肌を裂きながらゆっくりと上ってくる。
「い゛ッ、ぎひぃいいい!」
 反射的に着物の裾を握ろうとして、少女は全裸に剝かれている事を知る。だが、今現在少女の腹部に差し込まれている刃物を鑑みれば、凶行を働く何者かの目的は少女との交わりなのではないのだろう。むしろ、そうであった方がまだ救いがあった。それ程に少女の脳裏を焼く激痛は凄まじく、刃は少女を隅々まで破壊しつくさんといった念に溢れている。
「助け……お助けを! 死にたくな……!」
 絶叫が迸り、溢れ出る涙で目隠しが濡れた。
 人の体とは案外頑丈なもので、少女が絶命に至るまでに相当な時を要した。
 そうしてサムライエンパイアのとある藩にてまた一人、人知れず尊い命が神隠しという名目の元、闇に葬り去さられるのだ……。


「サムライエンパイのとある藩にて、神隠し――つまり人々が行方不明となる事件が頻発しているようなのだ!」
 グリモアベースに集結した猟兵達を、月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)が見回す。その灰の瞳は怒りの炎を帯び、予知で見た事件の凄惨さを物語っていた。
「もう十人近い人々が神隠しに遭っているそうなのだ。事件の規模を見ても、オブリビオンが関わっている事はまず間違いないのだ」
 猟兵達には、これ以上の神隠しを発生させないためにも、神隠し事件の犯人を探り、討伐してもらいたい。
「現時点で判明している情報は、被害者は老若男女を問わず、健康な人々だったという点。予知の内容から、何らかの猟奇的……もしくは人体実験のような目的のため、攫われた可能性が高いという点なのだ」
 その他の情報は、必要であれば猟兵の方で収集して欲しい。
「十人もの人が行方不明に……そのほとんどの人は、既に……」
 色葉が、表情に影を落とす。
 しかし――。
「現状における最後の被害者である少女――カヤさんについては、皆の活躍次第で生きて助け出せる可能性があるのだ! どうか、カヤさんを連れ帰って欲しいのだ!!」


ハル
 皆様、お世話になっております、ハルです。
 今シナリオは、神隠しが題材となっております。

 サムライエンパイアの人々は、行方不明になってしまった大切な人々への悲しみを神隠しとして処理し、精神の均衡を保とうとしているようです。
 オブリビオンの手によって攫われた人々は、過酷な運命に晒されてしまいましたが、唯一、冒頭の少女だけは救出する事が可能です。
 フラグメントの一例を参考に、様々な手を駆使して敵の拠点を発見し、助けてあげてくださいませ。

 冒険や戦闘時に、連携歓迎、不可等ありましたら、教えてくださると有難いです。

 詳細については、章公開時にご確認ください。
 では、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『神隠し』

POW   :    現場に何度も訪れ、事件が発生する瞬間を目撃、原因を突き止める。

SPD   :    囮に発信機を持たせたり、いなくなる場所に動感知カメラを設置して原因を突き止める。

WIZ   :    行方不明になった時間、場所、人物などの情報からパターンや共通点を割り出し、事件の原因を突き止める。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暁・碧
神隠しかぁ……でもオブリビオンが関わっているなら何処かに手がかりがあるはずだよね……なんとか見つけ出さないとねっ

まずは聞き込みからかな、持ち前のコミュ力を使って色んな人からこれまでの被害者について聞いてみるね。後は居なくなった時間と場所もしっかりと聞いておかないとねっ!
まずは事件の起きた現場の確認をするね、第六感で怪しいところがないかの確認。人を攫うわけだから何か痕跡が残ってるはず!拠点の方向にひきずった跡とか足跡があればいいんだけど……あったら同じ方向に向いてるだろうからその先に拠点があるはずだよね……その方向を探してみよう!
☆アドリブ、他猟兵との連携歓迎です


白雨・七彩
犠牲者の中には一家の働き手だった者も含まれるのだろう。
そうした者達が犠牲になり続け、藩の人の子の不安が募っていけば…
何れ藩の存続自体が危ぶまれかねない、か。

【WIZ】
現時点で助けられる可能性のあるカヤという少女が
どこの畑へ向かったのかと、
それ以前の被害者達が『神隠し』にあった場所と時間帯、
可能性は低そうだが目撃者がいないか聞いて回るとしよう。

余り話題に出したくは無いかもしれないが……。
すまないな、事態は一刻を争う。
知りうる限りのことで十分だ、教えてほしい。

神隠しの被害情報がある程度分かり次第
同じく探りを入れている猟兵と情報を共有し照らし合わせる。




「神隠し、かぁ……」
 現場がサムライエンパイアという事もあり、和を取り入れたメイド服に身を包んだ暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)が、うーんと唸っている。
「オブビリオンが関わっているなら、何処かに手掛かりがありはずだよね。なんとか見つけ出さないとっ!」
「そうだな。特に今回は、犠牲者が多発していて藩に暮らす大勢の人々に不安が募っているだろう。解決が遅れれば、統治する藩主へと住民の不満が向き、存続が危ぶまれる……そういった事態も考えられなくはない」
 十人……それは決して、看過できる数ではない。
「犠牲者の中には、一家の働き手だった者も含まれるのだろう……」
 白雨・七彩(水狐・f06113)は、琥珀色の瞳をソッと伏せた。表情の乏しい七彩ではあるが、目は口ほどに物を言う――諺が正しいことを証明するように、多量の怒りと悲しみをそこに滲ませながら。
 地方の藩で生きる者にとって、働き手の不足は死活問題。まして、健康な者が狙われているとなれば。
「それじゃ、まずは聞き込みからかな」
「直近のカヤという少女の情報がやはり重要だろうな。時間帯や、可能性は低そうだが、目撃者がいればいいのだが」
 碧と七彩は、カヤを中心に、被害者が攫われた近辺の聞き込みに向かった。

 聞き込みの結果、七彩の推察通り、目撃者の存在は確認できず。
 しかし同時に、興味深い事実も判明していた。
「時間帯は白昼堂々と行われていたり、深夜に人目を忍んで……といった感じでマチマチだね。カヤさんは日中の農作業中に襲われたらしいし」
 碧は書き留めた犯行時間を眺め、呟いた。
「でも、現場に怪しい所もあったよ。カヤさんが攫われたらしい現場の畑で、いくつもの踏み荒らされた痕跡を見つけたんだよねっ。隠滅しようとしていたみたいだけど、完全には無理だったみたいだね」
 碧が家族に事情を尋ねた所、カヤは冬の天地返し――畑を耕す作業をしていたようだ。軟化した土に刻まれた痕跡を、碧の第六感は見逃さなかった。
「成程な。『神隠し』の発生した場所でも、ある共通点があった。思っていた以上に地点が密集しているな」
 この藩の領主が納める土地は、それ程広くはない。
 せいぜいが、二から三万石といった所か。
 七彩は、それにしてはこの密集具合は異常であると判断した。
「もしかしたら、ここらの近辺に何かがあるのかもしれない」
「……灯台下暗しってやつだね」
「可能性はある」
 ――それにしても。ふと、七彩が表情に僅かな影を落とす。
「一刻を争う事態とはいえ、余り話題に出したくないであろう話を聞くのは堪える」
 困惑し、悲嘆にくれる家族の姿を七彩は思い出す。能面の様だと揶揄される七彩であるが、その本質は穏やかなもの。だからこそ、もっと上手くやれればいいのにと、いつも考えてしまうのだ。
「カヤさんを助け出して、一人でも多くの人を笑顔にしてあげたいねっ」
 まだそこに、救える命があるのなら。
 碧が言うと、七彩が静かに頷く。
 二人は情報の共有をするべく、一旦他の猟兵達と合流する事とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユエイン・リュンコイス
【連携、アドリブ歓迎】
全く、悪趣味極まりない所業だけど…まだ手は打てる。であれば、速やかに動こう。

被害者は健康という以外、条件はバラバラ。ここは神隠しに遭ったと思しき場所、時間帯を【情報収集、コミュ力、礼儀作法】で調べ上げよう。大まかな場所が分かれば、共通点が無いかを分析。もし円周上だったり、特定の道や建物付近であれば、そこに目星をつけようか。

もし、場所が分かりにくかったり、隠蔽されてそうなら【第六感、視力、暗視】であたりをつけて、黒鉄機人にこじ開けさせようか。【鍵開け、破壊工作】ならあるからね。

少女の治療などは心得が無いからね、仲間に任せようか。せめて【優しく、手を繋い】で安心させたいね。


有澤・頼
「神隠しね…」
神隠しだと片付ければ誰もそれ以上追求しない。神隠しだから仕方ないと思うしかない。だから、犯人には好都合なんだ。

【POW 】
捜査の基本はまず足で。事件現場に行って何か手がかりがないか探すよ。そこに何度も行ってて調べるよ。

「この事件、なんとしても解決しないとね」
そして、助けられる命も救わないとね。さてと、捜査を始めますか!




「神隠しだと片づければ、誰もそれ以上追及しない。神隠しだから、人の手の及ばない所で起こった事だから仕方ない……そう思うしかないんだね」
 心に傷を負った経験があり、未だその傷から完全には脱しきれない有澤・頼(面影を探す者・f02198)には、そんなサムライエンパイアの人々の心情を弱さだと切って捨てる事はできなかった。
「でも――だからこそ、犯人には好都合なんだ」
 代わりに、サムライエンパイアの土壌を利用して悪事を働いているのだろうオブリビオンに、頼は怒りを覚える。
「そんなの、許せる訳がないじゃない! この事件、なんとしても解決しないとね。
そして、助けられる命も救わないと! さてと、捜査を始めますか!」
 頼は、力強く地面を踏みしめた。
 捜査の基本は、まずは足で稼ぐ。頼は基本に忠実に、目を皿のように凝らしながら、複数の事件現場周辺を何度も何度も練り歩いていくのだ。

「全く、悪趣味極まりない所業だ」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は、普段無表情な相貌を第三者でも容易に判別がつくほどに、多大なる嫌悪で染めていた。鋭い眼光は、藩のどこかにいるであろうオブリビオンに一心に向けられている。
「でも、ボク達にはまだ打てる手がある。速やかに動こう」
 言いながら、ユエインは地図を取り出した。地図には、藩のとある一角に円が描かれており、その円の中にある印こそが、被害者が神隠しに遭ったとされる場所だ。
「これまでのボク達の調査によって、全ての事件は藩の南側――この赤丸に囲われた地点でのみ起こっている事が判明した。大まかではあるけれど、ある程度の目星はついた……という訳だね」
 さらに――。
「畑に残っていたとされる足跡の方向を鑑みれば、犯人の拠点であろう場所は、さらに絞れるね」
「それが、今まで何度も何度も私が手掛かりを探していた場所って訳だね!」
「そうなるね。で――首尾はどうだったかな?」
 ユエインが頼を見上げると、彼女が微笑んだ。
「足跡の方向を辿ってみたんだけど、南側のとある道沿いに、不自然な血痕を見つけたよ」
「不自然というと?」
「足跡に混じった血痕だよ。私的には、畑でついた土汚れに気づかずに、血を踏んでしまったんだと思うんだけれど」
 頼が見つけた手掛かりが事実なら、それは非常に大きなものだ。
 ユエインは、推測していた敵の拠点への確信をさらに強めた。
「…………そろそろ、君の出番かな?」
 ユエインは、接した被害者親族達の、心労で今にも倒れてしまいそうだった様子を思い出す。
 そして、絹糸を用い、十指で自在に操る機甲人形――友である黒鉄機人に語り掛けると、二人は他の猟兵達と共に、敵の拠点近くと目される場所へと駆け出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミーシャ・ルゥルゥ
【POW】を選択

【心境】
行方不明になった人が心配だね…
一刻も早く助けてあげたい!
…けど、まずは手掛かりを見つけないとね!

【行動】
こういう事件を解決する時は、張り込みが一番だよね!
という事で、事件現場に訪れて、目立たない所に待機するよ!
時間が掛かりそうだから、〈料理〉をして軽く何か作ろうかな。
食材は地元の人から〈コミュ力〉を使って貰おうかな!
もし、同じような行動をする仲間がいたら、料理を分けてあげるよ!
「…なんだか、UDCアースの刑事になった気分だね〜」

アドリブ・絡み歓迎です!


ハロ・シエラ
なるほど、目的は分かりませんが欲望を持って人を殺している者がいるようですね。
まるであの吸血鬼達の様に……許しておける所業ではありません。
問題は私が剣を振るうしか能の無い猟兵である事ですが……
ダガーだけでも隠し持ち、ただの住民のふりをしながら事件現場と思われる場所とその近辺を探りましょう。
私は多分かなり健康な部類に入りますし、事件現場に選ばれた場所は恐らく人を拐いやすい場所でしょうから。
どの様に連れ去られるのかは分かりませんが、不意討ちであればユーベルコードにて回避し下手人を捕らえ、情報を得たいと思います。
普通の誘拐……声かけ事案などであれば騙される振りをしてついて行っても良いですね。




「行方不明になった人が心配だね……」
 中でも、カヤは一体どんな心情でいるのだろうか。想像して、ミーシャ・ルゥルゥ(砂漠の国のダンピール・f12910)は快活そうな目元を不安に一瞬だけ顰める。だが、すぐに意気を取り戻すと。
「一刻も早く助けてあげたい! いや、助けてあげるんだ! けど、まずは――」
 手掛かりを見つける事。
 そして幸運な事に、猟兵達が集めなければならないピースは、あと一つにまで迫っている。
(「こういう事件を解決するためには、張り込みが一番! そう相場が決まってるんだよ!」)
 ミーシャは、勝利を確信したように、得意げに笑う。
 収集した情報を元に、ミーシャは怪しいと判断された周辺で、目立たないように、かついつでもすぐに動き出せるよう待機していた。
「といっても、ずっと緊張感を持って集中してたんじゃ、効率が悪いし続かないよね。地元の人に聞き込みをしてた時にパンを貰ったから、サンドイッチでも作ろうかな?」
 張り込みは、何よりも忍耐力が要求される。ミーシャは簡易な調理道具を使って、料理を始めた。
「……なんだか、UDCアースの刑事になった気分だね〜」
 作ったサンドイッチを仲間の猟兵に振舞いながら、ミーシャは言った。
 ミーシャは自身もサンドイッチを頬張りながら、身体を角に隠しつつ警戒中の路地を覗いてみる。
「ハロ、囮役頑張って! 君の分のサンドイッチも、もちろん用意しておくからね!」
 そして、路地の先にいるハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)に、エールを贈った。

(「私にはその目的は分かりませんが、ともかく何らかの欲望をもって人を攫い、殺している者がいるのは間違いないようですね」)
 犯行の際にとられる猟奇的な手法。
 その悪質さ、煮詰められたような悪意には、ハロも馴染みがあった。
「まるで、あの吸血鬼達のようです」
。脳裏に浮かんだのは、ほぼ全滅に追い込まれた村の最後の姿。
 ハロは、小狐の名を冠するレイピアと、蛇切の名を冠する短剣の柄を痛いほどに強く握りしめる
「……決して、許せる所業ではありませんね」
 切り揃えられた黒の前髪が揺れ、赤い瞳が怒りを湛える。
 とはいえ。
「剣を振るうしか能のない私に、出来ることはそう多くはありません。幸運な事に、私はかなり健康な部類に入りますし、皆さんの集めてくださった情報を頼りに、この辺りで探りを入れるとしましょうか」
 幾多の死線を、ハロは幼いながらに潜り抜けてきた。それが幸運なのか、不幸なのかはさておいて……。
(「一体、どの様に連れ去られるのでしょうか」)
 結局、誰が、どうして。重要な部分はまだ不明のままだ。それでも、ハロ達猟兵は着実に神隠しの元凶へと近づいている。
 ――と。
 十秒後に襲われる自分を見てきたかのように、ハルは身を反らした。そして、それはハロの背後から襲い掛かってきた下手人も、同様の事を感じただろう。必然、下手人がハロに被せようとした俵は、ハルの残像しか捉えられない。
「よい所に来てくれました。さぁ、洗いざらい全てを話して貰いましょうか。ああ、拒否権があるとは思わない事です」
 彼らは、切支丹武者。下手人の手下であろう彼らに、ハルが冷然と武装を構え、言った。
「お手柄だよ!」
 そこにミーシャを筆頭に、張り込んでいた猟兵達が合流する。
 猟兵はその場にいた数人の切支丹武者を制圧すると、神隠しの元凶の情報を余さず絞り出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 切支丹武者から情報を得ると、猟兵達は養生所――つまり、病院に辿り着いた。
 この病院の地下にて、神隠しの元凶たるオブリビオンは多くの罪なき人々を切り刻んできたのだという。
 そして今まさに、カヤへと凶刃が向けられようとしているのだ。
 だが――。
「ここから先には行かせん!」
「覚悟するがいい!」
 病院の地下へ向かおうとする猟兵達の前に、大量の切支丹武者が立ちはだかる。
 ……どうやら、彼らを排除しない限り、地下へ辿り着くことは不可能のようだ。
 猟兵達は覚悟を決めると、一刻も早くカヤの救出と元凶の排除を行うため、切支丹武者と矛を交えようとしていた。
暁・碧
な……なんでこんな所を拠点にするのかなぁ……
カヤさんを助けるためだもんね……がんばろう。

わっ!?な、なに!?
びっくりしたなぁ……でもお化けじゃないならなんとかできそう!

妖剣解放を発動したら敵の攻撃を自身の第六感を信じて高速移動で躱しながら敵との距離を縮めていく、避けられない攻撃には衝撃波か天羽々斬と高周波ブレードで斬り落とすよ!
近付くのに成功したら鎧の隙間とか攻撃が通りやすいと感じた所を両手の剣で斬り伏せて行くっ。敵の数が多いだろうから纏まっていたらなぎ払いで纏めて斬っていくね。同じ要領で出来るだけ多くの敵を倒すよ!
☆アドリブ、他猟兵との連携歓迎


ミーシャ・ルゥルゥ
うわ!…なんか出てきた!
うぅ…早く地下に行かなきゃいけないのに!
待っててね…カヤさん! こいつらを倒してすぐに助けるからね!

【行動】
〈見切り/ダッシュ/逃げ足〉を駆使した、ヒット&アウェイな感じで戦うよ! 攻撃は竜刀で〈2回攻撃/フェイント〉を合わせた技を使おうかな!

サブマシンガンの〈クイックドロウ/先制攻撃〉で敵の動きを牽制するのも良さそうだね!
厄介なのは、敵の雷だね… 雷を受けたら、武器に〈属性攻撃〉を使って宿し、攻撃に利用させてもらおうかな!

「一刻も早く助けなきゃいけない!…けど、戦いに焦りは禁物だよ!」

アドリブ・共闘歓迎です!


ユエイン・リュンコイス
【連携、アドリブ歓迎】
手加減も情けも容赦も無しだ。猶予がどれだけあるかも分からないし、速攻で行こうか。

黒鉄機人を前面に出して壁役をさせる。『鎧無視攻撃、鎧砕き』で殴りつけ、仲間に攻撃が行きそうであれば『武器受け、かばう』で防御を。
ボクは【叛逆せよ〜】を使用して攻撃力を低下させよう。
犠牲者の無念や嘆き、僅かなりともその身に感じるといいよ。
余裕があればガジェットを射撃形態にして『フェイント、援護射撃』で支援しよう。

あと可能なら、壁やら天井やらを攻撃して『破壊工作』で突き崩す。足止めなり注意を引きつけられれば御の字だね。次の戦場は地下だし、そこまで影響はない、かな?

戦闘後はそのまま地下へ突入するよ。


有澤・頼
「どけ、お前たちに構っている暇はない。」
邪魔をする連中は倒す!

敵のユーベルコードを封じる為に「咎力封じ」をするよ。うまく全て命中すれば相手のユーベルコードを封じることができるからね。奴らを縛り上げたらスパスパと斬っちゃうよ。

「地下には一体何が行われているんだ…?どうせ碌なことではないんだろうけどね!」
早くこいつらを倒して先へ行こう!


ハロ・シエラ
キリシタン、と言うのはある種の宗教の信者と聞いています。
どんな事情があれ、神を信じる者が罪も無い者を傷付けるなどあってはなりません。
邪神の類の信奉者かも知れませんが……どちらにせよ、覚悟をするのはあなた達の方です!
槍を持った騎兵に対し、歩兵の私は歩が悪いでしょう。
この場合の戦い方は……
【見切り】と【武器受け】にて槍を掻い潜り、馬を剣刃一閃で斬りつけます。
騎士同士ならマナー違反ですが、生憎私は騎士ではありませんから。
生命力を共有しているので、両方倒せるならばそれで良し。
それに至らなければリトルフォックスで【鎧無視攻撃】を行います。
猟兵の【怪力】であれば、このレイピアでも鎧の隙間を抜けるでしょう。


白雨・七彩
そう易々とは通してくれないか。
しかしこの数、…俺たちの行動は筒抜けだったと見るべきだろうか。
何にせよ、神隠しの元凶である殺人鬼の気が変わって事を急がれては敵わん。

「属性攻撃」を上乗せした弐の舞【炎月】を放ち、そのうち4つは
護身用に自分の周りに停滞させ、残りの炎で切支丹武者を焼き払うよう攻撃をしていく。

一人に攻撃が集中している様であれば、「誘惑」で此方に注意を引けるか
試してみるか。
本来の用途とは違う気もするが…使える特技なら使い、
一刻も早く助けに向かわねばな。



 消毒液の匂いが鼻をつく。花瓶に添えられた花は萎れ、診療代の上には埃が。その光景は、この場所がもう長きに渡って本来の役目を果たしていない事を教えてくれていた。
 と――。
「わ!? な、なに!?」
「うぅ……早く地下に行かなきゃいけないのに!」
 養生所の内部へと踏み込んだ暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)とミーシャ・ルゥルゥ(砂漠の国のダンピール・f12910)が目を剝いた。
 碧は一瞬、白い毛並みの尻尾をピンッと逆立てるが、
「ここから先には行かせん!」
「覚悟するがいい!」
「びっくりしたなぁ……でも、お化けじゃないなら!」
 ハルバードを手にこちらを口々に罵る切支丹武者の姿に、そして彼らの足元を見て、碧はすぐに平静を取り戻す。碧は宝刀・天羽々斬が迸らせる怨念を纏うと、瞬きの間に眼前の武者達の視界から掻き消えた。
「キリシタン、と言うのはある種の宗教の信者と聞いています。そんな……神を信じるあなた方が、罪のない者を傷つけるなど……。どちらにせよ、覚悟をするのはあなた達の方です!」
 切支丹武者自身を。そして彼らの背後にいる存在を。ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は心の底から軽蔑する。ハルバードとハロのリトルフォックスが交差し、火花が散った。
「一刻も早く助けなきゃいけない! ……けど、戦いに焦りは禁物だよ!」
 ミーシャは、炎、水、風の魔力を纏い、己を強化した。
「猟兵共め!」
「囲んで各個撃破だ!」
 武者達は、ジリジリと間合いを詰めて来る。
「そう易々とは通してくれないか。しかしこの数、……俺たちの行動は筒抜けだったと見るべきだろうか」
 白雨・七彩(水狐・f06113)が、金髪を掻き揚げながら思案の表情。
 だが、それも一瞬。猟兵達が成すべき事は、初めから一つしかないのだから。
「どけ、お前たちに構っている暇はない」
 有澤・頼(面影を探す者・f02198)の【手枷】【猿轡】【拘束ロープ】――その内2種の拘束具が、後方支援役を召喚しようとする武者を絡めとる。
 頼の標的にされた武者は、床の上でもんどり打っている。頼は処刑道具で、拘束した武者の首を接敵して掻き切りながら、すでに召喚された切支丹女武者を刀で屠る。
「ユエインさん!」
 そして、立ち塞がる武者に向ける表情と口調から一転させ、銀髪を靡かせるユエインを振り返った。
「心得ているよ。――それと頼、君の意見にボクも同感だ。猶予がどれだけあるかも分からない。ここは、速攻で行こうか。頼んだよ、黒鉄機人。碧、君たちもね」
「私は私を信じるよ! 私なら躱せるってね!」
 健在な女武者が弾丸を撒き散らすと、すかさず黒鉄機人が壁となってそれらを弾く。
 それら援護を受けながら、碧は銃弾の雨の中を疾駆する。
「世を憎まず、他者を恨まず。これは、ただ然るべき報いだけを願った者達の祈りだ」
 叛逆せよ! ――想念の残滓、武具の残骸、嘆きの残響をユエインが放つと、女武者の霊の召喚に歯止めがかかった。
 碧の両手には、天羽々斬と高周波ブレード。二振りの剣を握り、高速で武者と女武者のいる敵陣を切り裂いていく。
「私には見えてるよ! そっちには見えてないみたいだけど!」
 碧は瞬時に間合いを詰め、身体を捻った。ようやく碧の姿を目視できた武者が、慌てて上体を逸らす。
 ――見つけた。碧は小さく呟くと、竜巻の如く回転しながら、発見した鎧の隙間を狙って衝撃波を放射し、武者の集団を薙ぎ払って切り伏せていく。
「召喚された霊とはいえ、これ以上の増援がないのなら有難い。神隠しの元凶である殺人鬼の気が変わって、事を急がれては敵わんからな」
「キエエエエエエ!!」雷を纏うハルバードを雄叫びと共に振り上げる武者。
 七彩がサッと飛びのくと、寸前まで彼女がいた地点を天から雷が降り注ぎ、床を焼き尽くした。
「待っててね……カヤさん! こいつらを倒してすぐに助けるからね!」
 ミーシャが、追撃に出ようとしていた武者を、小脇に抱えたサブマシンガンで牽制。
「――弐の舞」
 武者の重心が後方に寄ったのを見計らい、七彩は攻勢に出る。七彩の前方に17の狐火が展開されると、属性が込められたそれらはさらに燃焼の度合いを強くする。
「焼き払え!」
 17の内4つを残し、他の全ての狐火が七彩の操作の元、執拗に武者を炎上させて灰燼に帰す。 
「ボクの動きを捕まえられるかな?!」
 ミーシャが袈裟懸けに奔らせた竜の加護を受けた美しくも鋭い刀が、炎、水、風の魔力を帯びて連続で武者を抉る。ただの斬撃ではないそれらに、武者は完全に翻弄されている。加え、ミーシャは一撃を加えたら素早い動きで離脱を徹底しており、的を絞らせない。
 が――!
「舐めるなよ、小娘!」
「うわ! ……なんか出てきた!」
 武者が、見上げる程の巨体を誇る軍馬を召喚する。飛躍的に戦闘力の向上した武者が、馬上からハルバートを一閃させた。
 ミーシャは刃の軌道を青い瞳を見開いて見極めると、フェイントを交えたカウンターで、武者を軍馬から床に引きずりおろして仕留めていく。
(「速いですね……!」)
 それでも、武者達が大きな機動力を得た事は間違いない。ハロの周囲を軍馬が駆け、ハルバートで狙いを定めている。
「確かに、槍を持った騎兵に対し、歩兵の私は分が悪いでしょう。ですが……!」
 それならば、戦い方を変えるまで。猟兵としての剣術・体術は見よう見真似なれど、幼いながら経験という点で劣るつもりは毛頭ない。ハロは騎乗する敵の懐へと飛び込んだ。毒々しい特殊な形状の短剣を使って、最小の動きでハルバートを受け止める。
「――っ」
 その過程で、白い肌をハルバートが裂き、散った血が黒髪を赤く染める。だが、ハロはそんな苦痛を一顧だにせず。
 さらに迫る追撃にも、気にした素振りも見せない。
「助かります!」
 何故なら、ハロはユエインが操る黒鉄機人が、自分を庇う動きを見せていた事に気づいていたから。
 そして見事、ハロはリトルフォックスで軍馬の頭部を切断してみせた。
「なっ!」
「騎士同士ならマナー違反なのでしょうが、生憎私は騎士ではありませんから」
 ハロは瞠目する武者を冷然と見据える。生命力を共有しているなら直に武者も骸の海へと帰るのだろうが、そんな慈悲をかける相手でもない。ハロは再びリトルフォックスを一閃させると、鎧の上から喉元を突いて絶命させた。
 
「……仕上げだな」
 頼が、拷問具と刀に付着した血痕を払う。油断なく武者を見やるが、彼らはすでに頼とユエインによって後方からの支援は期待できない状態だ。
「ここを通らせてもらうぞ」
 頼は容赦なく、拘束された武者を切り裂いて血祭に上げていく。
「――護身や保険といった類は大事だな」
 未だ士気を保ち、隙を伺って襲い掛かってくる武者に、七彩は漂わせていた4の狐火で応対する。雷を降り注ぐよりも、武者が火だるまになる方が余程早い。
 碧が高周波ブレードのレバーを起動させて武者を薙ぎ払う。打ち漏らした武者は、ハロが確実に息の根を止めた。
「犠牲者の無念や嘆き、僅かなりともその身に感じるといいよ」
 ユエインが指先を躍らせると、黒鉄機人の右掌が超高熱を発し、武者の鎧を溶かしてしまう。ユエインは露出した内部へ向け、射撃形態にした多用途支援蒸気機甲具『観月』から弾丸を打ち込んでいく。
「君達の雷、拝借させてもらうよ!」
 炎、水、風の魔力には耐性があるものの、雷の対応には苦慮したと、ミーシャが苦笑を浮かべ、竜刀を振り上げる。武者に切っ先を突き立てると、養生所に静寂が満ちる。 
 全ての切支丹武者を、猟兵達は討伐したのだ。
「さぁ、行くよ!」
「一刻も早く助けに向かわねばな」
 しかし、猟兵達に休んでいる暇はない。むしろ、これからが本番とも言える。
 ミーシャが我先にと駆け出すと、その後に七彩が続く。
「地下には一体何が行われているんだ……? どうせ碌なことではないんだろうけどね!」
「私もなんでこんな所を拠点にするのか、ずっと不思議だったんだけど……」
 踏み込んだ際から頼と碧が抱いていた疑問、その答えは、すぐ近くに……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『渡来医フランツ・ツェルン』

POW   :    診察
【医学的見地により筋肉動作を観察することで】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    執刀
自身が装備する【嘗ての『実験台』から入手した妖刀の数々】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    移植
対象のユーベルコードを防御すると、それを【医学的見地から分析・解析・模倣し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は一駒・丈一です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 仄暗い地下室内をランプの灯りが照らしている。養生所の地下室は、酷く不気味な場所であった。
 だが、地下室において恐ろしく、不気味であるのは雰囲気だけか――そう問われると、首を横に振らざるえない。
 この地下室は、もっと、もっと恐ろしい場所なのだから。
 地下室は、噎せ返る程の死臭で満ちていた。

 10台のベッドが並べられている。ベッドは赤黒く染まり、その上にはそれぞれ出来立ての人間標本が並べられている。生前、麻酔など与えられてはいなかったのだろう。彼らは一様に、絶望を吐き出すように大口を開けたまま絶命していた。

 彼らがどこの誰で、どうしてこんな姿に。
 その答えは、今まさに怯え慄く新しい検体の少女――カヤを前に目を爛々と輝かせ、メスの代わりに妖刀を突き立てんとする男……渡来医フランツ・ツェルンの仕業だ。神隠しの元凶。
 医者であるにも関わらず人を切り開くことに喜びを見出し、患者は実験台だと断じる悪魔の渡来医である。
 目隠しで視界を奪われ、耳栓で音を奪われたカヤは、何が起こっているのか知らぬまま。ただただ死の予感に身を竦ませる。
 そして、悲鳴を上げた。
 誰かの耳に、救いを求める声が届くよう祈って……。
ミーシャ・ルゥルゥ
【心境】
う…なんて酷い光景…
…!まだ生きている人がいる!
あの人がカヤさんかな?
…って危機的状況じゃん!
このイカレ野郎め!カヤさんから離れろー!

【行動】
とにかくあいつを止めないと!
サブマシンガンの〈クイックドロウ/先制攻撃〉で攻撃して、カヤさんと敵の距離を離すよ!
戦い方は、さっきと同じく〈ダッシュ/逃げ足/見切り〉を活用したヒット&アウェイ!
攻撃は〈2回攻撃/零距離射撃/フェイント/属性攻撃〉と《ドラゴニック・エンド》を組み合わせて行うよ! さっきの戦いで受けた雷がまだ残ってるから、それを使っても良いかも!

「助けにきたよ!カヤさん! 待たせてごめんね… すぐに終わらせるから!」

アドリブ歓迎です!



「この悲鳴は! まだ生きている人がいるんだね!」
 救いを求める声を、ミーシャ・ルゥルゥ(砂漠の国のダンピール・f12910)達猟兵は確かに耳にした。
 それは、心の底から希うような悲痛な叫びだ。
 そのあまりの切実さに、ミーシャは胸の鼓動を自然と早くさせる。
「助けにきたよ! カヤさん! 待たせてごめ――うっ……なんて酷い光景……」
 やがて、地下室に猛然と駆け込んだミーシャは、反射的に口と鼻元を手で覆った。そうしてなお、凄まじい血と死と退廃の臭気がミーシャを襲う。
「さぁテ、お嬢さン。そろそロ、執刀ノお時間ですネ」
 そして、ミーシャは発見する。
 ベッドの上で拘束され藻掻いているカヤと、医師の姿を。
(「って、わわっ! 危機的状況じゃん!!」)
 医師――フランツ・ツェルンが握る妖刀の切っ先は、カヤの腹部まで数センチといった状況。だが、フランツはカヤを斬り裂く事に集中しているためか、未だ猟兵達の存在には気づいていない。
「このイカレ野郎め! カヤさんから離れろー!!」
 それを好機と見たミーシャは、サブマシンガンで即座にフランツへと狙いを定めた。撒き散らされる銃弾はフランツの不意をつき、完璧な先制を成功させる。
「ムッ……これハ、これハ。一本取られましたナ、新たなお嬢さん方。上にいたはずの彼らハ、一体?」
「上の切支丹武者だったら、もうみーんな、ボク達がやっつけたよ!」
「ほゥ」
 避けようのない先制を受けたフランツの肉体は穴だらけで、血が滴っている。だが、彼はまるで痛みなど覚えていないかのように平然と。
 そして――。
「それハ僥倖。活きのよイ検体ガ、そちらかラやって来てくれるとハ」
 瞳を狂気で濡らし、刀を抜いてミーシャに襲い掛かった。
 竜刀と妖刀が、甲高い音を奏でながら交わる。ミーシャは竜刀による二連撃、竜零距離まで詰め寄ってのサブマシンガン。切支丹武者戦と同じく的を絞らせないように絶えず動き、時には仲間の猟兵と入れ替わりながら攻め立てる。
「カヤさん、少しの間だけ待っててね!」
 とにかく、カヤとフランツの間に距離を作らなければ。
 ミーシャはサブマシンガンでフランツを射線に捉える。すかさず、フランツがその場から飛びのいた。しかしそれは、ミーシャの入れたフェイントだ。
「誇り高き竜達よ……お願い! ボクに力を貸して!」
 フランツが飛びのいた先に、召喚されたドラゴンが放たれる。
「フッ――活きがよすぎるのモ、考えものですネ」
 ドラゴンは竜刀が刻んだ傷を追うようにフランツの肉体に喰らい付き、肉を貪った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有澤・頼
真の姿を解放(瞳が金色になり服装が和装に変わる)

「……殺す。」
人の命を命とも思わない人間は斬る。

敵とカヤの間に割り込み「サムライソード」で敵の妖刀を弾きとばし、「友斬」で敵を刺しぐりぐり「傷口をえぐる」よ。あと、「呪詛」も忘れずにかけておこう。「剣刃一閃」で思いっきり斬っておこう。

「お前のような人間は絶対に許すものか…!」
今まで起こしてきたその罪、命をもって償ってもらうか。こんなに怒ったのは久しぶりだね。


ユエイン・リュンコイス
【アドリブ、連携歓迎】

本命登場だね…欠片も残さず消し飛ばそうか。

相手がカヤに手を掛けそうであれば、機人を吶喊させつつ観月で射撃し牽制、仲間が救出する隙を作ろう。

こちらへの対応を優先するのであれば、集団戦同様に機人を前に出し、ボクは支援を。格闘戦で戦線を押し上げよう。

相手は刃物の扱いに長けていそうだからね、繰り糸を切られては堪らない。【叛逆せよ〜】で早々に封じておこう。これだけの犠牲者だ、さぞ効くだろうね?

人体構造に詳しくても、それが機甲人形にまで通用するかな。装甲で強引に肉薄し、右掌から【絶対昇華の鉄拳】を叩き込もう。先程の鎧武者相手に使ったものとは威力は比べるべくもないよ…疾く無に還れ。



「本命登場だね。一刻も早く、欠片も残さず消し飛ばした所だけれど」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は、目まぐるしく攻守の入れ替わる戦場を睥睨すると、
「とにかく、カヤを救出するための隙を作らないと、ね」
 静かな声色で、そう言った。
 カヤについては、ベッドに厳重に固定されているのが厄介だ。おまけに、この状況を理解させるか否か、理解させた場合、激しく動揺するのではないか……様々な不確定要素が存在する。
「……殺す」 
 そんなユエインの隣には、フランツへの激情を隠しもしない有澤・頼(面影を探す者・f02198)が。力を解放した頼の翠色の瞳は金眼に、和装の裾を卓越した体捌きで些かも苦にはせず。
(「人を人とも思わない人間は――斬る!」)
 頼の思考は単純明快。カヤに被害が及ぶ前に、フランツを骸の海へと叩き返してしまえばいい!
 他の猟兵が一時後退したのを見計らい、頼はサムライソードでフランツと切り結び、行動を制限する。
「サポートしよう」
 感情を表に出すか出さないかの違いであって、ユエインも頼も、抱く感情に大きな差はない。
 ユエインは絹糸を手繰ると、黒鉄機人を前衛に出し、防御と格闘戦でフランツを壁際に追い込んでいく。

「お前のような人間は絶対に許すものか……!」
 フランツが口にした『検体』という単語。それは、カヤを攫い、10人もの罪なき人々に地獄の責め苦を科したという以上に、頼の心を澱ませる。
 友斬――そのままに意味を持つとされる呪われた剣の柄を握りしめ、頼は間合いへと踏み込んだ。一合、二合……切り結ぶ。
「なるほド」
「っ!」
 西洋人特有の彫りが深い相貌……その奥から除く瞳が、頼の全てを解き明かそうとし、横薙ぎに振るった太刀筋を見極められる。フランツは返す刀で頼を斬り裂こうと、妖刀を振り下ろしてきた。
 ――が。
「許さないと言っただろう。今まで起こしてきたその罪、命をもって償ってもらうまではな!」
 逆に頼が一歩下がると、彼女の鼻先スレスレを太刀が通過した。頼はフランツが振り下ろしたタイミングでサムライソードを跳ね上げ、妖刀を弾き飛ばすと。
「呪詛を喰らえ!」
 友斬の切っ先をズブリと肩口に突き入れ、グリグリと抉り、呪詛を流し込みながら片腕を切断した。
「グフッ――ククッ、それで我が剣を封じたとでモ?」
 だが、彼がニヤリと笑うと、その周囲に40本は優に超えるであろう妖刀が、念力によって浮かび上がる。
「これハ、ワタシが収集したコレクション。そこのベッドで永遠の眠りにつく検体から頂戴したものもありますがネ!」
 自在に操作された妖刀が、猟兵達の周囲を回遊し、斬りかかってくる。
「これは……繰り糸を斬られないようにしないとね。斬られてしまっては堪らないよ」
 ユエインは、それら刀剣の乱舞に注意を払いながら告げる。
「いい気になっている所悪いけれど、君は片腕を既に失っている事を自覚した方がいい」
「ええ、だからワタシにはこのコレクションが――」
「――あるから大丈夫だ……そう言いたいんだろうけどね。だったら、そのコレクションとやらを封じられればどうなるかな?」
 ユエインは、怜悧な相貌に僅かな微笑を形作ると。
「(これだけの犠牲者だ。さぞ効くだろうね?)」
 世を憎まず、他者を恨まず。これは、ただ然るべき報いだけを願った者達の祈りだ――紡ぐ祝詞は反逆の狼煙。絶望を抱いてベッドで眠りにつく犠牲者の心の残滓が、嘆きと絶望がフランツに降りかかる。
「さぁ、君達も」
 加えて、フランツによって操られていた彼らの武装が、一斉にフランツ自身に牙を剝いた。
「人体構造に詳しくても、それが機甲人形にまで通用するかな」
 さらに、右掌を燃焼させた機人がフランツへと迫る。
 触れた瞬間、フランツから火柱が上がり、絶叫が地下室に反響した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

暁・碧
うぅ…不気味すぎるんだけど……
怖いけど、カヤさんはやらせないよ……!

紫微垣、今回はキミの力を借りさせてもらうよ……!
妖剣解放を発動し第六感で敵の攻撃を感知し高速移動で躱して距離を詰めていくよ!距離を詰めていく間に躱せないと判断した妖刀は両手の剣で叩き落とす、攻撃のチャンスは逃さず衝撃波で遠距離からも攻撃を狙っていく
距離を詰めたら天羽々斬と紫微垣の2本の剣で一番攻撃が通りやすいと感じた所に連続攻撃!
仲間のための時間稼ぎ等が必要であれば高速移動で翻弄したり、自分の方に気を引きつけたりするね
☆アドリブ、他猟兵との連携歓迎


白雨・七彩
残された遺族へ何か…とも思っていたが、これは余りにも…。
この現状だけは伏せておいた方が良いだろうな。

第一にカヤの身柄の保護を優先。
壱の舞【水刃】で渡来医の妖刀を狙い、カヤから此方へ注意を引く。
然程珍しくはないが俺は妖狐でな。
人の子よりは幾分か刻み甲斐があるかも知れないぞ。

カヤへは着物を羽織らせ、手足と耳の拘束は解く。
何処か怪我をしていれば捌の式【爽】で応急処置を。
極力この惨状を見せたくは無いが…戦況次第で目隠しを外させ、ある程度彼女の意思で動けた方が良いのか判断し、速やかに部屋の外へ後退させる。

渡来医を討伐し終えたら10人の被害者へシーツを被せ黙祷。


ハロ・シエラ
こんな光景は何度も見てきました。
目的は違うかも知れませんが、何処の世界でもあなたの様な者がいるのですね。
ならば我々のすべき事はただ一つ。
その目的が何であれ、あなたごと葬る事です!
妖刀がご自慢の様ですが、私も似たような物を持っています。
ユーベルコードで自分を強化し、その高速移動と【早業】で素早く接近します。
敵が何本の刀で仕掛けて来るかは分かりません。
【見切り】と【武器受け】で防ぎつつ、毒の刃の放射で刀と敵の双方に攻撃を仕掛けましょう。
全てを蝕む【毒使い】のダガーではありますが、毒をもって毒を制すと言った所でしょうか。
刀の多さが強さではないと、教えて差し上げます!



「クククックハハハハッ! 素晴らしィ、実に素晴らしいお嬢さん方ダ! それでこそ、ワタシが技術の粋を込めて斬り裂くに相応しイ!!」
 絶叫が、哄笑に切り替わる。
 しかしそれは、片腕を奪われ、炎上するフランツに余裕があるという証左では決してない。フランツに残っているのは、人を、実験体を斬り裂く……ただその念のみ。ゆえに、渡来医フランツ・ツェルンはオブリビオンに堕したのだ。
「(こんな光景は何度も見てきました)」
 悪意然り、狂気然り。それは、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)にとっての日常であった。異常が日常……それこそが、ダークセイヴァーの世界。
 右からハロが、左から暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)が迫り、挟撃する。
「うぅ……不気味すぎるんだけど……」
 だがその様子は、地下室の雰囲気も相まって碧のように狂気を見慣れない者には嫌悪感と恐怖心を抱かせるに十分なもの。攻め立てながら、碧は眉根を寄せている。
「ご安心を、暁さん。斬れば痛みに呻き、トドメを刺せば葬る事ができるのです。彼らは」
「あ、そっか。なら安心だね」
 碧が恐れる、見えず、触れぬ幽霊ではない。フランツは不気味でしぶとい存在なれど、確固とした実体を持つ存在だ。
 ハロの助言に碧は納得を見せながら、
「まだちょっと怖いけど、カヤさんはやらせないよ……! 剣豪として、負ける訳にもいかないしね……!」
 苛烈に攻め立てた。
「紫微垣、今回はキミの力を借りさせてもらうよ……!」
 フランツの妖刀は、彼が実験台と呼ぶ人々から奪ったものだ。その様な行いを、碧は許容できない。碧は妖刀・紫微垣――その赤黒い刀身を一撫ですると、怨念を身に受け入れ、遠距離から地面を抉る衝撃波を放つ。
「お前はさっきからお嬢さん方と言うが……この場に女が多いのは確かだが、俺は男だ。一括りにされるのは気に入らんな」
 他の猟兵達が奮闘している間に、白雨・七彩(水狐・f06113)はカヤの身柄を確保していた。七彩は一先ず彼女に着物を羽織らせ、手足の拘束を解いてやる。口にする言葉は、少しでもカヤからフランツの意識を逸らすためだろう。
「(……酷く震えているな。カヤ、後少しの辛抱だ)」
 目隠しを外させ、状況の認識をしてもらおうか迷ったが、怯え切って真面に言葉も話せない状態のカヤに、それは酷だと七彩は判断する。 
 とはいえ、
(「部屋の外へ後退させたいが、そうもいかないか」)
 ならば、解決策はシンプルに。幸いにして、フランツの意識は七彩達に大部分が割かれている。フランツが望むのは、健康で死に辛い検体。
 七彩は妖刀を狙って水刃を放ち、告げる。
「然程珍しくはないが俺が妖狐でな。人の子よりは幾分か刻み甲斐があるかもしれないぞ」
「立候補してくれるとハ、このフランツ感激ですヨ、少年クン!」
(「……少年でもないのだがな」)
 刀を手に接近するフランツへ、七彩が100本に近い水の刃で応戦する。急停止したフランツは、残った片腕を高速で振るうが、その全てを受けきれるはずもなく、水刃によって三肢に痛手を負った。
「フグググッッーー!」
 やがてフランツも、肉体の維持に苦慮するようになってきた。まるでゾンビのような有り様だが、それでもフランツは構わず刀を振るう。
「目的は違うのかも知れませんが、どこの世界にもあなたの様な者がいるのですね」
 人を害すという意味では、異端の神々も、ハロが憎んでやまない吸血鬼も、眼前のフランツも同類だ。
「我々のすべき事はただ一つ。あなたが抱く妄念諸共、あなたを葬る事です!」
 ――これが悪魔の力であっても……。
 覚悟を決め、ハロは毒蛇神の呪いを身に纏う。
「妖刀がご自慢のようですが、似たような物なら私も持っていますよ」
「いずれ、それもワタシの物に!」
「その手負いの状態で、私の動きについて来れるものなら!」
 高速で移動するハロは地下室の壁を蹴り、まるで魔術のような早業でフランツの背後を取った。
「執刀のユーベルコードを封じられているあなたに、全てを蝕むこの一撃を防ぐ術はありません! 刀の多さが強さではないと、教えて差し上げます!」
「――そういう事だね!」
 フランツが背後のハロに気を取られた間隙をついて、今度は正面から碧が瞬間移動にも似た速度で間合いを詰める。
 反射的にフランツが振るった妖刀は、ハロのレイピアによってガードされた。
 瞬間、碧の天羽々斬と紫微垣が、連続でフランツの肉を裂く。さらに碧の離脱と同時に、ハロの短剣から迸る毒の刃が拡散放射され、フランツを死に体へと追い込む。
「まダ、ワタシにハ、やり残した……事ガ!!」
 フランツは目を剝き、ついに自身に及ぶ死を自覚した。これまで、数多の人々を追いやってきた、暗く、冷たい世界への入口へ。
 フランツが、失った妖刀の代わりに水刃を模したユーベルコードを放つ。
 だが優勢なのは猟兵の方であり、半数を七彩の水刃が、もう半数を碧とハロが防ぎ、迎撃した。碧とハロは共に呪いによって息を荒げるが、なんとか堪える。
「終わりだ。無念を抱いて、一人で地獄へ落ちろ。――壱の舞【水刃】」
 水の刃がフランツを細断していく。この世に面影一つ残さぬように。
 犠牲者達の無念も、カヤの恐怖も、水の刃で流してしまえれば……そう願いながら。

「残された遺族へ何か……とも思っていたが。これでは亡骸を遺族へ返す事も憚られるな。……伏せておいた方がいいだろう」
 世の中には、知らなくてもよい事もある。それこそ、神隠しに遭遇した……そう思っていた方が、心安らかになれる時さえ……。
 並ぶ10の遺体にシーツを被せ、七彩は黙祷する。
「……そうだね。でも、カヤさんだけでも助けられて良かったよ……!」
 カヤは猟兵達が事情を伝えると、安堵したのか意識を失っている。七彩が見たところ、怪我がなかったのが不幸中の幸いだ。
「はい、それは本当に」
 ハロは気絶したカヤの頭を優しく撫でた。
 全てを救えた訳ではない。だけどかつての自分と同じように、たった一人でも助けを求める人を救出できた事の喜びを噛み締めながら……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト