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星の世界の優しさよ

#アックス&ウィザーズ #挿絵

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#アックス&ウィザーズ
#挿絵


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「さぁ語ろうか。舞台はアックス&ウィザーズ、理不尽な過去の逆恨みを罰し、今の祭りを守り抜いた英雄の話を――」

●御伽噺の一つ
「『昔昔あるところに、星が綺麗に見える村がありました。その村ではある夜、沢山の流れ星が見えます。村人たちはその日に備えてたくさんのお肉やお酒、美味しい果物やお菓子を用意したり。一緒に踊る人を誘ったり、結婚を申し込むための贈り物を用意したりする人もいました』」
 グリモアベースに背の高い女の朗読する声が響いた。
 開かれた古ぼけた絵本の中に、それはそれは美しい夜空と流れ星の絵が描かれたそれを気分を乗せて朗読していた。
「『ですがただ一人、何もせずに遊び惚けている人がいました――』っと、よく来てくれたね。こいつはこれから話す事件と関係なくも無いのでね」
 絵本を畳み集まってきた猟兵達に目を向けると、すっと立ち上がり手帳を開き。
 その周囲に淡い金色に輝くグリモアを輝かせると、その女、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは口を開き始めた。

「さぁ語ろうか。今回の舞台はアックス&ウィザーズ、剣と魔法と幻獣の支配する御伽噺のような世界だ。君達にはとある村の危機を救って貰いたい」

 小高い丘の上に存在する村「星見の村サウシーヴァ」で、村の子供達が行方不明になっているという。
 幸い被害者はそう多くはないが、いつどこで居なくなるか、またどこに行ったのかも依然分からないままで、村人は気が気ではないらしい。
「しかし予知によって犯人は分かった。それがコイツ、通称『ぼくらのひみつきち』だ」
 そう言ってスフィーエは淡く光り輝くツリーハウスに似た、全長5メートルほどの怪物の姿を映し出す。
 忘れられたツリーハウスが年月を経てオブリビオン化し怪物となった姿で、遊び場や光る果物、親しい者の声を餌に子供を誘き寄せているそうだ。
 現在連れ去られた子供達は、このツリーハウスの傍にある洞窟で昏睡状態になっており、今のところ命に別状は無いそうだ。
「場所は村の近くにある森で、その中にある広場のような場所だ。そこに転送するのだけど……すぐに救出とはいかない。この怪物を倒す必要があるのだけれど」
 尤もただツリーハウスを倒せる訳ではなく、周囲には「コウガイチュウ」と呼ばれる非常に丈夫な虫を引き連れており、まずはそれを倒さなければならないだろう。
 非常に硬い甲殻を持ち、体当たりを喰らえば痛いだろうが一体一体はそれほど強くはないと全長1メートル程度の大きな虫を映し出す。
 まぁ虫嫌いにはたまらないだろうがね、と苦笑しつつ更に続け。
「場所は戦闘に支障はないぐらいには広い場所だ。捕らわれている子供達も巻き添えを喰らうことはない。君達はただ、敵を倒すことに集中すればいい。逆に倒す前に子供達を救出しようとするのは寧ろ危険だよ」
 つまり、とにかく敵を倒すことに集中すれば良いということだ。
 ツリーハウスを撃破すれば子供達も目覚めて安全に帰すことはできるだろう、と最後に告げて。

 そうして一頻り語り終えた後、コーヒーを飲んでから一息入れると彼女はまた絵本を開いてゆっくりと語り始めた。
「さっきの話の続きなのだけれどね。その男は、何を思ったか自分の方がもっと楽しいお祭りが開ける、と意気込んだのさ」
 訝し気な目をする猟兵達に開いた絵本のページを見せて。
 そこにはある男の堕落していく顛末が描かれていた。
「だけど今まで遊び惚けていた訳だ、ただ人望も無いまま人だけ集めようとして、それ以外のことは何もせず、結局上手くいかずに……挙句の果てに、逆恨みで自分が作った小さなツリーハウスに子供達を攫って閉じ込めたのさ」
 まるで今回の事件はその再現だと思わないかい――と意地悪く笑って。
「結局その男は英雄に倒され子供達は戻ってきた、今回もそうあるべきさ」
 今回のツリーハウスがそうなのかは分からないけどね、と補足もし。
 それから、と指を立てて彼女は語り始めた。
「既に冒険者向けの依頼としてあるから、それを引き受けた形に話は通してある。子供達を無事連れ帰ることが出来れば、一緒に祭りを楽しむこともできるはずさ」
 肉の串焼きと果物ジュースが美味しいところだから、それを楽しむもよし。
 村人たちや友人などと一緒に踊ったり、歌を歌って楽しむも良し。
 ぼんやりと星を見て楽しむも良し。
「さてと、私からは以上だ。少し手こずる相手かもしれないが、君達なら何の心配もいらないだろう。御伽噺の再現、最後に英雄が勝ち、平和を享受する物語――君達なら見事に紡いでくれると信じてるよ」
 そういって穏やかに微笑むと、スフィーエは羽根ペン型のグリモアを輝かせた。


裏山薬草
 どうも裏山薬草です。
 まずはOPに目を通して頂いたようで嬉しいです。
 銀河帝国の戦争もクライマックスですが、ここで遠未来と対照的な中世ファンタジー世界で星のお祭りを楽しんで息抜きしてみるのは如何でしょうか。

 今回のシナリオは人を攫った秘密基地をさくっと倒してお祭りを楽しむシナリオとなります。
 攫われた人々は命に別状はありませんし、敵を倒せば元に戻るのでご心配なく。
 戦闘に巻き込まれる心配もないので、敵を倒すことに集中して大丈夫です。
 寧ろ戦闘中に無理に救出しようとするのは逆に不利になるので止めた方がいいです。

 第一章ではボスを守る硬い虫との集団戦。
 第二章では村人を攫った諸悪の根源との対決となります。
 そして第三章で、流れ星を見ながら飲食や公序良俗に反しない範囲での大騒ぎなどを楽しみましょう。
 三章でのみ、お呼びがかかればスフィーエ(フィエでもスーでも好きに略してください)も出しゃばりすぎない程度にお邪魔させて頂きます。

 それでは皆様のプレイングと合わせ、今回も楽しい物語を紡いでいきたいと思います。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『甲鎧虫』

POW   :    鎧甲殻
対象のユーベルコードに対し【防御姿勢】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    穴掘り
【地中に潜って】から【体当たり】を放ち、【意表を突くこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    球体変化
【闘争本能】に覚醒して【球状】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●妬み
 ――俺の方がずっと上手くできる。
 だからまずは人材を集めよう、俺になら誰もが付いてくる筈だ。
 俺はアイツとは違うんだ。

 ――畜生!! なんで誰もついてこない!?
 ……こうなったら、アイツの大事な村の子供を無理矢理攫ってやる。
 無理矢理攫ってでも、俺の建てたモノの方が良いって教えてやる……!!

 グリモアの転送結界を通ってやってきた猟兵達のいる場所は、森の中でも開けた場所で木々は少なく、背の低い草がちらほらと見受けられた。
 その中にある幻想的な輝きを帯びた一つのツリーハウスが特に目を引く。
 全長約5メートル、子供の脚でも頑張れば登れそうな樹の上にはいくつかの立派な小屋が立てられ、枝になる色とりどりの実は鮮やかに輝く。
 それだけを見ればどこかノスタルジックな光景で、場所も相まって日向ぼっこでもしてのんびりと過ごしたくもなるかもしれない。
 しかしひっきりなしに響く怨嗟の声がそれを否応なしに台無しにしてくる。
 こいつが村の子供達を攫った魔物だと――戦う構えをした猟兵達に、ツリーハウスは枝をざわめかせおどろおどろしく声を響かせた。

 ――何が英雄だ。こいつらは返さない。奴らにも楽しみは与えない……!!

 すると広場の地面から次々に、立派な甲殻を備えた虫が現れたではないか。
 無数の穴を作って這い出た、1メートル近い大きな虫が、ツリーハウスを守るように立ちはだかる。
 ――まずは、この分厚い壁を倒さねばならないようだ。
アンバー・ホワイト
ひみつきち……なんとも楽しげで、魅力的なものだな
けれどそんな誘惑になど負けはしないぞ、ワルイヤツ、やっつけてやらねば

さて、まずは大きな虫たち……古竜の息吹で喰らい尽くしてやろう
自身は召喚した竜の背に乗り、槍による【なぎ払い】や【串刺し】で虫退治といこう
硬い殻だって、【鎧砕き】や【怪力】任せに槍を振るうぞ
竜には光で焼き尽くし、向かう物は噛み殺すよう命じる
敵からの攻撃は【見切り】で躱すが、避けきれなかった場合【オーラ防御】で耐えてみせよう
子供たちはしっかりと避けていておくれよ、わたしたちに巻き込まれることの無いように

星の見える村、護らなくては
楽しい時間を壊してしまうなんて、誰にも許されていないから


ステラ・エヴァンズ
星見と伺ってみればなんたる事…一刻も早く親御さんの下へ帰れるよう尽力しましょう
…しかし、1Mですか…1Mの巨大昆虫……ちょっと、怖いですけど…いえ、頑張ります…!

基本的には皆様の援護で、「天津星」を振るい【なぎ払い】【吹き飛ばし】ながら戦闘を
穴掘りに対しては【第六感】で回避を試みたい所
【ジャッジメント・クルセイド】も使っていきたいですが多用はせず、鎧甲殻で相殺されだしたら使用はやめます
それでも一押し必要ならば【血統覚醒】で攻撃を
【生命力吸収】もしておりますので多少の間は戦えるでしょう
…あまりこの姿は好きではないのですけれどね
怪我をされた方がいれば【星天光雨】ですぐに治療を

アドリブ・絡みご自由に


ライラック・エアルオウルズ
絵本に込められた教訓は、何時だって為になる
…英雄にならんとする訳では無いけれど
此の御話もハッピーエンドへと導かないと、ね

【POW】(先制攻撃・だまし討ち・かばう・見切り)

悲しきかな、僕は余り虫は得意じゃなくてね
一歩引きつつカンテラで『奇妙な友人』を呼んで、
炎とナイフで極力数を減らしたい所かな
皆の援護も引き受けつつ、
敵が地中に潜った場合は見切りで忠告を
必要時は、庇える様にもしよう

…なんて、友人にばかり頼るばかりだと
絵本の男と同じ様なものだからね
押し切れる様に隙を突く先制攻撃で、
画筆で線を描く様にして『■■■』での攻撃を
防がれた場合も、友人に援護を頼もう
少しは英雄達に貢献出来たかな、何て少し笑って



●頼り頼られその違い
 絵本に込められた教訓は、何時だって為になる。
 その英雄になるつもりはないが――
「此の御話もハッピーエンドへと導かないと、ね」
 何処か風変わりな空気を纏った作家然としたライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)はツリーハウスの怨嗟の声に、グリモアベースで聞いた絵本の話を思い返しながらカンテラを掲げた。
 真昼の日差しには灯りは意味をなさないが、揺らめく炎は呼び鈴のように彼の「親しき友人」を呼び出すと、その友人らしき存在は手に持つカンテラの炎とナイフで虫の一体に切り込んでいった。
 一歩前へ出るのに合わせて虫が飛び掛かるように跳ねると、その友人はカンテラを掲げると、そこから放たれた業火が、熱い甲殻を隔てた柔らかな中身に熱の責め苦を与えて。
 甲殻の間から煙を噴き上げてよろめく姿に、その煙噴き上げる隙間目掛けてナイフを突き立てる。
 その友人の奮戦に前衛を任せて一歩引きつつ、若干息を呑みこんでいる女に苦笑しながら声をかける。
「悲しきかな、僕も余り虫は得意じゃなくてね」
「……確かにちょっと、怖いですけど…いえ、頑張ります…!!」
 虫としては巨大の部類に入る怪物を前に、若干引きながらもステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)は薙刀を振るい、宵色の短剣が甲殻の隙間に突き立てられるのに合わせて斬撃を叩き込み、その身を薙ぎ払う。
(星見と伺ってみればなんたる事……一刻も早く親御さんの下へ帰れるよう尽力しましょう)
 虫への生理的な恐怖はぬぐえないといえばぬぐえない部分もあるが、攫われた子供たちのことを思えば大したことはない。
 返す刀で接近してきた虫の一体に石突による刺突を叩き込むと、飛び掛かる勢いを逆用してのカウンターで盛大に吹き飛ばす。
 今しばらくはこうして味方の援護を――機を見て、必殺の閃光を叩き込む……多用しては見切られ弾かれる恐れがある。
 それまではと彼女はライラックと背中合わせになるように、互いをカバーしていき合う。
 その上空から声をかけられるまた一つの声。
「なんとも楽しげで、魅力的なものだけれど、そんな誘惑になど負けはしないぞ。ワルイヤツ、やっつけてやらねば」
 琥珀の瞳を持つ竜人、アンバー・ホワイト(星の竜・f08886)は自身が呼びつけた白き竜の背に乗り、多くの甲虫に囲まれ身を守っているツリーハウスを睨みつけた。
 理不尽な逆恨みの残留思念からの凶行、決して許しはしないと思いつつも聳える甲殻虫をまずは見て。
「古竜の息吹で喰らい尽くしてやろう」
 御伽噺の怪物を守る相手だろうと、神話の存在に勝てる訳がない――悠然と白く美しい巨体を地面に降ろすと、その背に騎乗するアンバーが槍を突き出す。
 見た目を裏切る強大な剛力を乗せた槍の刺突が、頑強な虫の甲殻を容易く食い破り、その命を絶った。
 いきなりの猟兵達三人の見事な奮戦に、甲虫達は多足を引きつつ、かたかたと甲殻を震わせた。
 こうなってはなりふり構ってられないと、彼等はその身を丸めると、青く輝く目を赤く光らせて闘争本能を露わにする。
 サイズこそ一回り小さくなった気がするが、むしろ逆に密度は増したかのように飛び上がり勢いよく地面に降下すると、それなりに硬い筈の地面が脆く掘られていった。
「……気を付けて」
 ライラックの注意を促す声に、ステラとアンバーは身を引き締めた。
 地中に潜ってからの体当たりの一撃は強力だと聞いていたからだ。
 地中を容易く抉り泳ぐ彼等はどこから来るか分からない――迂闊に動かず警戒していると、不意に――ステラの項に嫌な寒気が襲った。
 それは第六感というべきだろうか――振り返り、一歩飛びのくと彼女がいた地点から砂礫を舞い上げながら飛び上がった甲虫があった。
 勘を巡らせていなければ足元からやられていただろう――今が機だと、宙に舞う甲虫目掛けて指先を向けると、天から降り注ぐ光が溶かすようにそれを消し去った。
 それを皮切りに、次はアンバーと彼女の騎乗する白竜の元へ弾丸の如き甲虫の体当たりが襲い掛かる。
 彼女はその軌道を容易く見切り躱し、オーラの障壁で一体を留めると、従える白竜を嗾けその鋭い牙で喰らい付かせた。
 相応の強度を持つはずの甲殻は、幻想の最上位種の牙にあっけなく砕かれていった。
 そしてライラックの下へ向かうのは三体。
 友人の援護は間に合わない――だがそれでも、彼は揺るぐことなく。
「友人にばかり頼るばかりだと、絵本の男と同じ様なものだからね」
 まるで作家が物語を紡ぐように筆を紡ぐと、放たれた黒インクの刃が飛び掛かる三体の脳天に正確に突き立てられ動きを止めて。
(子供たちはしっかりと避けていておくれよ、わたしたちに巻き込まれることの無いように)
「……星の見える村、護らなくては。楽しい時間を壊してしまうなんて、誰にも許されていないから」
 振り返り白竜に指示を出すと、黒インクの刃で止められた甲虫達に聖なる光の吐息を放たせて。
「……あまりこの姿は好きではないのですが、その為なら私も使いましょう」
 閃光の吐息に重ねるように、半魔の力を解き放ち力を増した天からの光が重なり合い、完全に甲虫達を消し去った。
 その様子を見ながら、穏やかにライラックは微笑みつつこういった。
「少しは英雄達に貢献出来たかな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

夕間暮・漁
道楽男の御伽噺の再現、か
フン、英雄でもない儂にゃあどうでもいいことじゃが
ガキ共に罪があるわけでなし
…助けて親に恩を売っておくもよかろ

●SPD
そんなことより虫退治じゃ
基本は[目立たず]死角に入り武器で[先制]の[だまし討ち]
…チィ。無駄にかッたいのう!
ま、デカい分、攻撃は当て放題じゃ
[2回攻撃]で[傷口をえぐ]れば斬れるじゃろ
攻撃されそうになったら手近な虫を[盾にする]かの
面倒に…もとい、囲まれたら【暇無】を使用
元より虫どもに情なぞ無い
徹底的に刻んでやる

…儂も英雄なんてモンにゃつまらん記憶しか無いが
くだらん怨讐に憑かれて悪足掻きするようじゃあ
その男もよっぽど、ガキじゃのう

アドリブ絡み等ご自由に



●切り捨て御免
 ツリーハウスから響く怨嗟の声に、スペースノイドが出発前に聞かされた御伽噺の内容を思い返した。
「道楽男の御伽噺、か」
 それが元となった史実があるのか、このツリーハウスがそうなのかは分からないが、夕間暮・漁(誰そ彼・f05693)は切り捨てるように切れたタバコを落とすと、かの言葉を踏み躙るように火を踏み消した。
「フン、英雄でもない儂にゃあどうでもいいことじゃが、ガキ共に罪があるわけでなし……助けて親に恩を売っておくもよかろ」
 無銘なれど鋭い刀を構え、わらわらと沸き続ける甲虫の下へそっと忍び寄り。
 虫の一体の背後に回ると、鋭く刃を一閃――するが。
「……チィ。無駄にかッたいのう!!」
 流石に真正面から一撃で斬り伏せるのは少々難しいのか、弾かれた刃から伝わる振動を掌の握りで文字通り握り潰し。
 漸く敵の接近に気付いた虫がその甲殻を生かした体当たりを放たんとすれば、先程切り付けた傷目掛けて一瞬で切り返しを放ち、二撃で斬り伏せて。
 別の虫が飛び掛かれば、最低限横に躱すことで、漁を挟む形で居たまた別の虫を盾にするように導き。
 互いにぶつかり合って甲殻が弾ける虫達を、その傷口を抉るように鋭く刀で斬り伏せて。
 また地中に潜っていた別の虫達が一斉に地面から飛び出て、彼を取り囲むように体当たりをかまそうとすれば。
「貴様に遣る時は尽きた―――芥の如く、散れ」
 元より虫に持ち合わす慈悲は無い。
 唯一丈夫な甲殻が覆われていない腹部を目掛けて、無造作にも見えても、非常に正確な斬撃を刻み斬り伏せる。
 それは、瞬き一つにも及ばないあまりにも一瞬の出来事だった。
 刀を納めつつ、漁はふと語り出す。
「……儂も英雄なんてモンにゃつまらん記憶しか無いが」
 後ろで控えるツリーハウスを嘲る様に。
 過去のそうであったかもしれない建て主に聞かせるように。
「くだらん怨讐に憑かれて悪足掻きするようじゃあ、その男もよっぽど、ガキじゃのう」

成功 🔵​🔵​🔴​

トーア・ローウェン
ツリーハウスじゃーんって来てみたけど、あれがオブリビオンなん?
すげー飾りつけされてるみてーにキレーな
俺も猟兵とかじゃなかったらつられてたかもしれねーわ
ひひっ、こえー

星に歓迎される前に虫ちゃんたちから熱烈大歓迎
っつーことで、やるかー
足元から湧き出る怨霊の手が自分を擦り抜けて虫たちへと攻撃
基本死霊を使って戦うつもりなんだけどさ【贖罪の手】が外れたら、俺もバスターソードで応戦
んんー、お前らなんで飼い主まもってんのー?
ただの兵隊?ツリーハウスの力に集まってきた害虫?
聞いてもわかんねーかー
まー、硬い虫ちゃんたちより俺の死霊たちのが忠実で可愛いんでー
ざーんねん、わり―子はお仕置きしねーとなあ



●過去対過去
 戦況も佳境を迎えんとしている中、どこか軽くも見えるノリでツリーハウスを見上げる声があった。
「ツリーハウスじゃーんって来てみたけど、あれがオブリビオンなん?」
 トーア・ローウェン(回帰の門・f14155)はその鮮やかなツリーハウスを見ながら、それが怪物であることが信じられないと言わんばかりに笑った。
「すげー、飾りつけされてるみてーにキレーな。俺も猟兵とかじゃなかったらつられてたかもしれねーわ。ひひっ、こえー」
 確かにあの実は飾り付けされているようだろう。
 おどけながら言っている彼の言葉が本当になるか否かの、仮定の話はどうでも良いとして。
 星々よりも先に手厚い歓迎を齎さんとする虫達を迎え撃たんと指を弾く。
「っつーことで、やるかー。俺とお前らは同等だ。お前らが満足するまで使ってやろーじゃねーか」
 戦場に許しを乞うかのような、ツリーハウスのそれよりも恐ろしく響く声の怨霊が硬い甲虫達にまとわりつく。
 魂すらも引き裂き、生命の活力をも奪い去るように伸びる手が、虫達の装甲など意味を為していないようにその命を奪っていく。
 それでも身を丸め闘争心を荒ぶらせることで怨霊の手を逃れ、丸まった身体で体当たりを仕掛ける虫の一体を、片手半剣で綺麗に両断する。
 綺麗に分かれた虫の間を通り過ぎながら、ふと疑問にトーアは思う。
「んんー、お前らなんで飼い主まもってんのー?」
 ただの兵隊か、ツリーハウスの力に集まってきた害虫か。
 真相は誰にも分からないし、彼等について解き明かすことよりも。
「まー、硬い虫ちゃんたちより俺の死霊たちのが忠実で可愛いんでー。ざーんねん、わりー子はお仕置きしねーとなあ」
 大事なのは自分の方が凄いということだし、それは事実だ。
 地面から生える怨霊の手でより多く、より強い死霊を行使するとトーアは再び甲虫達の魂を吸い上げていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白神・杏華
アメリアさん(f01896)と共闘

秘密基地って素敵だよね。いつか作りたいね!
その前に、うん……やっぱりやらなきゃダメだよねぇ……。
ああ……あああ……虫! でっかい虫! 無理ぃ!
でも、ううう……頑張らなきゃ。頑張るよ……!

五感強化で五感すべてを強化し、地面に手を添える。
地面の振動や虫が地中を進む音、土の動きを見るなどして穴掘りして潜伏している虫の居場所を確認するよ。それを確認次第、アメリアさんに知らせる。

うああ……虫の這う音がするよぉ……。
アメリアさん、あそこだよ! あの忌々しい音を消してぇ……!

索敵中はアメリアさんから離れないように。襲われたら痛みも五倍だしね……!


アメリア・イアハッター
みっきー(f02115)と一緒

星見の村っていうのも素敵だったけど、このツリーハウスもすごいね!
ふんふんなるほど… ね、みっきー、後で私達もこういうの作らない?

おっといけない
まずは虫退治が先だったね!

・方針
杏華の側に付きつつ、彼女の指示に従って敵を攻撃

・行動
UC【空蹴】使用
杏華から離れなすぎない位置で駆け回り、敵をどんどん蹴り飛ばす
敵が地中に潜ったら、慌てず杏華を信じて指示を聞く
場所とタイミングさえわかれば、この高速の蹴りが間に合うわ!

もし敵が一斉に襲ってくるようだったら、みっきーに伏せて!と伝えた後にUCで回し蹴りだ!
全部吹っ飛んじゃえ!

虫、そんなに苦手だったんだね…大きいと逆に平気じゃない?



●無視はできないがやるしかない
「星見の村っていうのも素敵だったけど、このツリーハウスもすごいね!!」
 赤き帽子のヤドリガミ、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は色鮮やかな実をつけて輝くツリーハウスを見上げて無邪気に讃えた。
 ある意味、このツリーハウスに近いといえるヤドリガミは興味深そうに構造を眺めていた。
「ふんふんなるほど……ね、みっきー、後で私達もこういうの作らない?」
「うん、秘密基地って素敵だよね。いつか作りたいね!! でもその前に、うん……やっぱりやらなきゃダメだよねぇ……」
 みっきーと呼ばれた女子高生、白神・杏華(普通の女子高生・f02115)はその前に控える甲殻を備えた存在に心底嫌気が差しているように顔を顰めた。
 首をかしげるアメリアだったが、青ざめる彼女の視線の先にあるものに気付き、ぽんっと手を打った。
「おっといけない。まずは虫退治が先だったね!!」
 実に無邪気ないい笑顔で杏華にさぁ行こうと促す。
 しかし杏華自身は生理的な嫌悪感を煽る、あの多足に身体を震わせるばかり。
「ああ……あああ……虫!! でっかい虫!! 無理ぃ!!」
「そんなに苦手? 大丈夫?」
「でも、ううう……頑張らなきゃ。頑張るよ……!!」
 思わず心配そうに声を掛けるアメリアに対し、それでも猟兵としての役割を放棄するわけにはいかないと身体を奮い立たせる。
 平凡な女の子だから虫は怖いけど、平凡な女の子でも退いてはいけないところもあるのだから。
 敵意に気付いた虫達が身体を固め、大地に飛び込み潜り込んでいくのを見ると、視界から消えたのが逆に良かったのか幾ばくか余裕も出て来たようで。
 その間もアメリアは地に潜らず体当たりを仕掛けてくる虫達を蹴り飛ばし、信頼する杏華の探知を守る。
 指一本触れさせない――彼女が探してくれる限り、自分は彼女をこの蹴りで守る、そういわんばかりに杏華の傍を離れ過ぎず、迫る虫達を軽々と蹴り飛ばしていく。
「よーし、集中集中……!!」
 そのアメリアを頼もしく思いながらも杏華は静かに地面に手を添えると、全身のあらゆる感覚を研ぎ澄まし地中を駆け巡る甲殻虫達の行方を辿る。
 微妙な土の振動や音も、五倍になった感覚器官ならば文字通り手に取る様に――まるで、土の中がそっくりそのまま見えているような気さえしてくる。
 欠点はそれ故に痛みまで増幅することだが、それはアメリアが守ってくれる、何の心配もいらない。
 しかし……。
(うああ……虫の這う音がするよぉ……)
 感覚が五倍になった、ということは不快な足のざわめきも五倍になって聞こえてくれば、地の振動を通して嫌な足の動きがそのまま連想できそうな気すらしてくる。
 顔を青ざめさせ唇を震わせながらも、傍に控えるアメリアに必死で伝えた。
「アメリアさん、あそこだよ!! あの忌々しい音を消してぇ……!!」
「まっかせて!! ちょいさぁっ!!」
 虫の一体が勢いよく地を割って現れるや否や、まるで最初からその地点にいたかと思うほどに速く、流れ星も真っ青な勢いで甲殻を砕くほどの超威力の蹴りを突き刺し。
 続いて一斉に地面から湧き出て彼女達を襲わんとする虫達をねめつけると、アメリアは大きく声を張り上げ。
「伏せて!! ……全部吹っ飛んじゃえ!!」
 瞬時に下げられた杏華の頭を、入れ替わりに通り過ぎていくように。
 しなやかな脚を名刀もかくやと言わんばかりの、鋭い一瞬の回し蹴りで纏めて甲殻虫を吹き飛ばす。
 そのまま緩やかに回転しながら地面に降り立つと、青ざめて震える相棒に苦笑しつつ声をかけ。
「虫、そんなに苦手だったんだね……これだけ大きいと逆に平気じゃない?」
「無理!! 無理!! 余計に怖いって!!」
 それは緊迫した戦場での会話というより、何気ない日常を楽しむ少女達のような会話にも聞こえるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ぼくらのひみつきち』

POW   :    『つれてかないで、おいてかないで』
単純で重い【風圧】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    『あそぼうあそぼう、いつまでも』
【風の囁き】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    『ねんねこねんね、おやすみよいこ』
小さな【木の洞】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【幻想的なゆりかご】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハルツ・ノウゼンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●御伽噺
 遊び惚けていた男は言いました。
「自分ならもっと楽しいお祭りが出来て、もっと凄い村が作れる」
 男はやがて近くの森に、小さい木の上に家を作りました。
 ですがその後は何もせず、ただ自分の代わりに他の家を建てたり、畑を作ったりする人を欲しがっただけでした。
 遊び惚けていただけの男に、当然ついてくる人はいませんでした。
 やがては独りぼっちになった男は、飛び出した村の楽しそうなお祭りが許せなくなりました。
 男は村の子供達を攫い、返してほしければ村を自分のモノにしろと脅してきたのです。
 ――『御伽噺・星を見る村』より

●GYA・KU・GI・RE
 全ての甲鎧虫を見事に撃破した猟兵達の耳に、ツリーハウスからのおどろおどろしい声が響いた。

 ――また俺の邪魔をするのか。
 俺の何が悪い、俺はただ、みんなが笑顔になれる村を作りたかっただけなんだ……!!
 その俺を認めない村の奴らに、笑顔になる資格なんてない……!!

 それは何処までも身勝手な逆恨みの声であった。
 いや、ツリーハウス自体が恨んでいるわけではない――ただ作り手だったかもしれない男の残留思念に、踊らされているだけなのかもしれない。
 結局はこのツリーハウスも被害者なのかもしれないが。
 いずれにしろ、何の罪もない子供達を攫うことも、村の笑顔を奪うことも許されることではない。
 御伽噺の再現は、今回も英雄の勝利で終わらせられるように。
 猟兵達は全てに決着をつけるべく枝をざわめかせるツリーハウスに、一斉に立ち向かった!!
アンバー・ホワイト
恐ろしいひみつきちの正体…
独りよがりな男の怨念に動かされてるなんて、可哀想だ
こんなにすてきなものが作れたのに、残念な奴
逆恨みなんて情けない真似は止めるんだな。いや、止めさせてやる!

【星屑の鎖】で敵の枝、上の方を狙って鎖巻き付けて
鎖を短くしながら【ジャンプ】で踏み出す
振り子のように勢いにのって接的しながら槍の【なぎ払い】で枝を削ってやろう
風圧には【オーラ防御】で耐えるか【見切り】で避けてみせよう
木に近付いたなら槍で【串刺し】にしてやる

村人の笑顔も、子供たちの未来も、なにひとつ失わせてはなるものか!
ここでケジメをつけさせてもらおう
楽しいはずのひみつきち、こんな姿になってはいけなかった!そうだろう?



●在るべきモノへ
 恐るべきひみつきちの正体と、かつての建て主の怨念に踊らされるツリーハウスの不本意は如何ほどなものであったか。
 アンバーはその全てを残念に思いながら、唇を噛みしめた。
「独りよがりな男の怨念に動かされてるなんて、可哀想だ。こんなにすてきなものが作れたのに、残念な奴」
 ――なら俺についてこなかったのは何故なんだ。
 それは男がそれ以上を求めながらそれ以上を頑張ることを止めた怠慢に過ぎないのだが、怨念は納得しないだろう。
 だから、もう彼女に出来ることは一つ。
「逆恨みなんて情けない真似は止めるんだな。いや、止めさせてやる!!」
 連れてくな、置いていくな。
 悍ましく響く風圧、地どころか岩すらも粉末に変える衝撃を、微動だにせずに身に纏ったオーラを用い、風圧を擦り抜けさせていくように流す。
「つれてきも、おいてきもしない……わたしは、おまえを、はなしはしないよ」
 アンバーの立つ地点以外に地面の抉れる光景が広がるが、少女はオーラを光の鎖へと束ねると、ツリーハウスの枝に巻き付ける様に引っ掛けて。
 夜空の煌めくような輝きが触れると、丈夫な枝が内側から爆炎を噴き上げツリーハウスの巨体が悶える。
 しかし振り回されることなく、寧ろそれを逆用するかのように振り子運動の要領で木々の天辺へと肉薄し、剛槍の一撃で生い茂る枝を纏めて薙ぎ払う。
 その勢いで太い枝の幹に、追い詰めるように深く槍を突き刺すと、宿るかつての怨念に怒りを込めて告げる。
「村人の笑顔も、子供たちの未来も、なにひとつ失わせてはなるものか!!」
 ――楽しいはずのひみつきち、こんな姿になってはいけなかっただろう?
 だから、ここで全てにケジメをつける――悪しき怨念に踊らされたツリーハウスを解き放つように、そして諸悪の根源を貫くように。
 彼女はより深く、深く槍を突き立てるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・エヴァンズ
悲しく、そしてただ哀れ…と
子供達を返してもらうため、全力で参りましょう

適度な距離を保ちつつツリーハウスの周りを回るようにして【巫覡載霊の舞】で攻撃を
しかし、命を削るのである程度時間がたったら近づいて直接攻撃で【生命力吸収】して回復をしつつ【ジャッジメント・クルセイド】を併用しながら戦闘に臨みたく
『つれてかないで、おいてかないで』の直撃地点に近ければ【第六感】で回避
同地点に仲間がいれば危険だと報せを

囚われた子供たちよりも彼の残留思念の方がよっぽど子供だったのかもしれません
御伽話の彼も、心から気にかけて遊び惚けている事を叱責してくれる誰かがいれば…いえ、今や全て詮無き事ですね

アドリブ・絡みご自由に


ライラック・エアルオウルズ
絵本の中であれば、反面教師として称える所だけど
…外に持ち込まれてしまうと、始末に負えないね

【WIZ】
(見切る・カウンター・かばう・投擲・二回攻撃)

…秘密基地、本来は優しいものなのかな
でも残念ながら、貴方の箱庭は僕に合いそうもない
自身や皆への攻撃・吸い込み等は見切り、
『鏡合わせの答合わせ』で庇い相殺する試みを
鏡でも見て、少しは我が身を省みたらどうかな

相殺した隙・皆の作り出した隙を突ければ、
画筆を振って『薔薇のあやまち』で攻撃
外れた場合も戦闘力を高めてからの次を放って
人を呼ぶのなら、…そうだね。もっと鮮やかに
きっと、その方が御祭りめくになるに違いない

―尤も、貴方の物語は御祭りに至る前に御終いだけど



●もしものお話
「悲しく、そしてただ哀れ……と」
「絵本の中であれば、反面教師として称える所だけど」
 理不尽な逆恨みの声に、ステラとライラック、「虫の苦手」な両者は憐みでもあり、戒めともなる言葉を噛みしめていた。
 だが。
「……外に持ち込まれてしまうと、始末に負えないね」
「まったくです。子供達を返してもらうため、全力で参りましょう」
 攫われた事例を実現されてはどうしようもないし、それは止めなければならない。
 今一度、猟兵としての覚悟を改めて枝を振り回し悶えるツリーハウスに彼等は立ち向かっていくのであった。
 先手を打ったのはステラ――彼女は命を削る覚悟を以て、その身を神が下りる霊体に変えて枝を振り回すツリーハウスの周囲を舞った。
 膨大な風圧を霊体となって通り抜けさせ、洞を持つ枝を伸ばされれば吸引が始まるまえにそれを躱し、翻した身で薙刀を力強く振るうと偃月が如き刃が飛び、枝の一つを強く切り飛ばす。
 このまま適度な距離を保ちつつ、衝撃波で牽制し必殺の一撃を叩き込む――先程と同じ戦法だ。
 枝葉を斬り落とされ、よろめいたその隙には、ライラックがまた新たな絵巻の一頁を描くように流麗に画筆を動かして。
(……秘密基地、本来は優しいものなのかな。でも残念ながら、貴方の箱庭は僕に合いそうもない)
 御伽噺には御伽噺――高慢な女王の我儘のように、太い枝葉へと薔薇の刻印が刻まれていき、在るべきでない装飾に怨念が絶望する。
 インクの当たる衝撃と(怨念の思う)無粋な書き込みに腹を立てたのか、まるで我儘な洋の小人のように、枝葉を振るい強力な風圧を放ち。
 さらに追い打ちで木の洞へと飲み込まんと、幻想の枝を伸ばす。
 危ない、と声を掛けるステラに、心配ご無用、と言わんばかりに静かに彼は掌を突き出した。
「鏡でも見て、少しは我が身を省みたらどうかな」
 事前にステラが引き付けてこの邪法を見せてくれていたからこそ、より正確に無力化できる――光り輝く鏡がツリーハウスと、その背後に移る痩せこけた男の幻影を映し出せば。
 放たれた風圧はそよ風のように弱められて散り、幻影の木の枝は枯死するかのように砕け散っていく。
 その様子と、鏡の中で頭を抱える男の幻影を見ながらステラは呟いた。
「……そちらの方がよっぽど子供だったのかもしれませんね」
 その言葉は正しく。
 必殺の二連撃を無力化されて、勢いを削がれたツリーハウスに肉薄すると、伸びた枝葉と建てられた家を支える丈夫な根を素早く切り付けて。
 偃月の刀身から、零れ出る樹液を介しその生命力を吸い上げて削った命を補えば、ステラもまた静かに指先を向けて。
「御伽話の彼も、心から気にかけて遊び惚けている事を叱責してくれる誰かがいれば……」
「もしくは人を呼ぶのなら……そうだね。もっと鮮やかに。きっと、その方が御祭りめくになるに違いない」
 降り注ぐ光の柱が、まるで天罰のようにツリーハウスを貫き、聖なる光がそれに纏われた怨念を浄化していき。
 さらに偶然……たまたまライラックの仕掛けた薔薇の刻印が外れて地に落ちた場所へ立てば、彼女はより強く、鋭い連撃で追い打ちをかけ。
 更に光に包まれ斬撃に彩られたツリーハウスへ、更に美しき花を咲かせてあげるように。
 女王の二色薔薇で埋め尽くさん勢いで、画筆を振るい、薔薇の洗礼を以て葉の緑をべったりと塗りたくっていく。
「――尤も、貴方の物語は御祭りに至る前に御終いだけど」
「……ええ、今や全て詮無き事ですね」
 餞はあげるが、それ以上は無い。
 過去の怨念は過去として、全てを終わらせる為に。
 また改めて彼等は立ち向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕間暮・漁
おうおう、みっともない声でよう吠える
そう面白い声を出されると余計邪魔してやりたくなるわ

POWとWIZの技が厄介そうじゃな
閉じ込められて心中はまっぴらじゃ
木の洞に吸い込む・叩きつける素振りは見切れるよう警戒

デカいし[目立たん]よう根元を駆けあがったり出来んかの
儂は[空中戦]の心得もちっとばかりあるしの
もっさい枝を伐採してやるわ
感謝してほしいのう

「おいてかないで」じゃと?
資格がどうのと大仰なこと言う割に肝がちっさいのう
自分の小ささも分からんようじゃ置いていかれて当ぜ…
…フン、樹に向かって喋るのも疲れた
【慙愧無】で方をつけてやる

たとえ独白だとしても
在りし日の自分が重なったなどと
口が裂けても言うものか



●死亡歌留多
 ツリーハウスはまるで駄々をこねる子供のように悶え暴れていた。
 自分の邪魔をする奴はおかしい、と喚き散らすツリーハウスの怨念に、漁は皮肉めいた笑いを以て語り掛けた。
「おうおう、みっともない声でよう吠える」
 ――邪魔をするなぁ。
 怨念の声が響き渡ると枝の一本を盛大に振り下ろし、岩をも砕き散らす風圧を放つが、漁は容易く振り下ろしを躱す。
 返答の声により一層面白さすら感じているのか、彼はくっくと目の端に涙すら浮かべて怨念目掛けて言い放った。
「そう面白い声を出されると……余計邪魔してやりたくなるわ」
 その声が怨念に響いた瞬間、何処にあるかも分からない目には既に漁の姿は無かった。
 否――既に目立たないように、ツリーハウスの根元まで瞬間移動もかくやと一瞬の内に距離を詰めていたのだ。
 流石にこの距離で風圧を放つは危険と判断したのか、ツリーハウスは木の洞を作り漁を飲み込まんとする。
 しかし洞が作り出されんとした瞬間、根元に出来ていた傷を足掛かりに、木の幹を駆けあがり天辺まで上り詰めていた。
「感謝してほしいのう」
 ――そのもっさい枝を剪定してくれるわ。
 鋭い刀の一瞬の連撃が、生い茂っていた枝の一区画を綺麗に斬り落とし、ほぼ丸裸にする。
 反撃に悍ましくおいていくな、と風圧を放たんとしても、残った太枝を蹴って離脱し。
「『おいてかないで』じゃと?」
 フン、と鼻を鳴らしつつ怨念の声を嗤う。
「資格がどうのと大仰なこと言う割に肝がちっさいのう」
 抗議の声も何のその。
 喚き散らすツリーハウスの怨念に呆れたように溜息を吐くと、
「自分の小ささも分からんようじゃ置いていかれて当ぜ……フン、樹に向かって喋るのも疲れた」
 ――黄泉へと沈み、喘げ。
 在りし日の己に向けた自嘲だとしても、口が裂けても語られることはない――それ諸共葬るような無慈悲なる剣の連閃が。
 残った太枝の一本を跡形もなく微塵にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●御伽噺その2
 村人たちは困りました。なぜなら男は悪い魔法使いでとても強かったからです。
 そんな村人たちの前に現れたのは一人の勇敢な冒険者でした。
 冒険者は自分が子供たちを助けに行きましょう、と言いました。
 なんと頼もしいことだ、と村人たちは一斉に喜びました。
 しかしただ一人だけ、喜びたくても喜べない人がいたのです。
 それは若き村長でした。
 村長は自分の村の危機を、他人にだけ任せる訳にはいかなかったのです。
 ――『御伽噺・星を見る村』より一部抜粋。
トーア・ローウェン
んあー、結局お前は遊んでもらいたかっただけなー
寂しがりの駄々っ子じゃねーか

逆恨みの声は死霊たちの泣き声に似てる
自分勝手でそれ以外考えられねーとか、哀れでよぉ
【目蓋の裏】を使用
足元に蠢く無数の手は子供たちの姿へと形を変えて『あそぼうあそぼう』とツリーハウスを囲うように戯れ
俺は英雄でもお前でもねーんでわっかんねーけどよー
お前が普通に「あそぼう」って言えてたら過去はまた違ったのかもな

吸い上げた魂の行方はどーでもいーけど
俺のモンになるならお前の気が晴れるまで使ってやるし
もう気が済んだ―ってーなら、ひひっ、さっさと未来に行っちまえ

終わったらガキたちを揺すって
おきろー、星見の日は遊ばねーともったいねーって



●止められない変わらない
「んあー、結局お前は遊んでもらいたかっただけなー。寂しがりの駄々っ子じゃねーか」
 トーアの核心をついた、限りなく飾りのない言葉にツリーハウスの怨念はあからさまに動揺した。
 寂しがりの駄々っ子――怨念の主を形容するに、相応しき言葉の一つだろう。
 彼曰く、逆恨みの声は死霊たちの泣き声に似ているらしい。
 なんでも、自分勝手でそれ以外を考えられないのが、哀れなのだと――
 そのようなことを考えながら、彼は指を弾き、
「さて、お前の目に映んのは……お前が欲しかったモンだろ?」
 ツリーハウスの根元に湧き出てくる、子供達を象った死霊の姿。
 正確には足元に蠢いた手の影が子供達を象っただけだが――彼等は一斉に「あそぼう」と囁きツリーハウスの表面を叩く。
 そのたびに、仮初の命が吸い上げられていくような、光る果実が萎んでいくような光景が繰り広げられ。
「俺は英雄でもお前でもねーんでわっかんねーけどよー」
 優越の声を出し始めた怨念にトーアは訳もなく言った。
「お前が普通に『あそぼう』って言えてたら過去はまた違ったのかもな」
 ――俺が欲しいのは、アイツを叩きのめす姿だ。
 こんなのじゃ、満足できない……!!
 ……どこまでも、間違った方向で貪欲な怨念に、呆れながらも魂を吸い上げつつ彼は言う。
「じゃあ、俺のモンになる? 気が晴れるまで使ってやるし」
 ――それも断る。
 俺は俺が一番偉いんだ……!!
 どこまでも一応の善意を踏み躙る怨霊に、遂に見限ることにしたのか。
「じゃあ――ひひっ、さっさと行っちまえ」
 指を弾き、根元にまとわりつかせた子供達の死霊により一層強く魂を吸わせるようにし。
 戦い終えた後の未来を考えることにした。
 さて、終わったら眠っているであろう子供達を起こすとしようか。
 星見の日は遊ばないともったいない。
 まずはその前に、この我儘なおじさん(?)を完膚無きまでに倒さなければ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
みっきー虫ほんと苦手だったのね
少し休んでてもらって

さて、と
正直…気持ち、少し分かっちゃうなぁ

・方針
敵の攻撃をかい潜り樹上の家へ潜入し家を壊す

・行動
UC【スカイステッパー】使用
空を駆け樹上へと向かう
空中戦はお手の物
敵の繰り出す枝や風に乗り、いなしながら接近
焦らず接近、お祭りで踊る前のウォーミングアップだ

樹上に着き、家へと潜入出来たら内側から破壊
殴り壊し蹴り壊し
可能ならUC【導きの星】で木ごと燃やしちゃえ

私ならうまくいく
これなら面白くて人が集まるはず

なんでうまくいかなかったんだろう
どうして

色々考えちゃうよね
でもそこで、人のせいにしちゃ、ダメだよ
全部自分で選んだ道で、全部自分が起こした行動なんだから



●炎上
(みっきー虫ほんと苦手だったのね……)
 先程共に戦った相棒には暫く休んでいて貰おう。
 あそこまで苦手だとは思わなかったのか、アメリアは苦笑しながら頬を掻いた。
「さて、と」
 枝葉を殆ど刈り取られ、生命力あふれる筈の樹木の幹が萎み枯れ始めている。
 諸悪の根源である怨念の気持ちも、正直分からなくはない。
 でも。
「お祭りで踊る前のウォーミングアップだ」
 同情するなら倒すのが誠意というもの。
 帽子を被り直し、耳に踊る星を揺らしながら、空中を華麗に蹴っていき弱った木々を登っていく。
 命果てる直前の最後の揺らめきというべきか、振り絞られた全力の風圧は健全な状態と何も変わらない――否、それ以上の勢いを以てアメリアを消し去らんとする。
 しかし黒いジャケットとフリルブラウスを羽のように靡かせながら、全てを削り取る勢いの暴風に乗りつつ、悍ましい風の囁きをも置き去りにする勢いで空を駆り。
「お邪魔しまーす!!」
 勢いよくツリーハウスの扉を、脚をつけぬまま開いてひらりと室内に躍り込む。
 中には当然、何もないのはかつての建て主の怠慢か――そこからはもう、見事な大乱闘。
 覇道の籠手で室内を情け容赦なく殴り飛ばし、ボロボロの椅子を蹴り飛ばして窓から飛び出させて。
 光り輝く拳を最後に床に叩きつけると、内側から光を伴い炎上していくハウスからふわりと飛び出て、地に足を着けながら燃え上がる樹木を眺めた。
「私ならうまくいく。これなら面白くて人が集まるはず」
 ――アメリアの声に込められたのは。
「なんでうまくいかなかったんだろう。どうして……色々考えちゃうよね」
 ――憐みか、あるいは。
「でも」
 ――いずれにしろ、告げられるのは正論。
 最期の最期まで、塵と化すまで己を改める気のない怨念へ、決して届くことのない正論であった。
「そこで、人のせいにしちゃ、ダメだよ。全部自分で選んだ道で、全部自分が起こした行動なんだから」


●救出
 無事にツリーハウス……正確には、それを突き動かしていた怨念といったところか。
 それが消え去った後には、枯れ木の上にちょこんと立ったボロ小屋があるのみ――恐らくは、これが本来の姿だったのだろう。
 若干の同情を覚えながらも、猟兵達は子供達が捕らえられている洞窟まで急ぐ。
 幸い、オブリビオンの撃破によって徐々に目を覚ましつつある子供達の命に別状は無く。
 後遺症はないが、頭がぼやけている彼らに冒険者で依頼を受けて助けに来たのだと告げれば、子供達はありがとう、と力なく告げる。
 あとは、彼等を元の村に帰してあげるだけだ。
 賑わいながら子供達を引き連れ森の中を帰っていく猟兵達の背中を、ボロボロのツリーハウスがいつまでも見送っていた。
 ――救ってくれて、ありがとう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『星降る夜の物語』

POW   :    ご馳走を食べる

SPD   :    音楽に合わせてダンスを踊る

WIZ   :    星空を見上げて過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●御伽噺
 そこで村長は冒険者と行くことにしました。
 村長と冒険者は助け合いながら男の待ち受ける家に行きます。
 そして男を村長がひきつけている間、冒険者は子供達を見事に助けます。
 怒った男は魔法を放とうとしますが、村長が口を塞ぎ冒険者がその間に男をこらしめたのです。
 そして村では戻ってきた二人の英雄を称える声が響きます。
 勇敢な冒険者と、そして最後まで自分の手で頑張った村長を皆が称えるのです。
 そうして村の楽しいお祭りはいつまでも続きましたとさ。
 ――『御伽噺・星を見る村』より抜粋。


●英雄の帰還
 攫われた子供達を連れて村に戻ってきた猟兵達を迎えたのは歓喜の声だった。
 子供の親や兄弟、果ては心配していた近所の者など、一斉に押し寄せてくる。
 再開に喜び涙する者達の間を割り、一人の小柄な老人が猟兵達の前に現れた。
「話は聞いております。子供達を助けてくれたそうですな。私はこの村の長を務めておりますマッカと申します」
 どうやら村長のようだ。
 挨拶もそこそこに、村長は穏やかな笑みでどこか遠くを懐かしむように言った。
「……当代の村長は何もできないで情けないですが」
 それはとある御伽噺を懐かしむ声――もしかしたら、意外と実話だったのかもしれない。
 それを確かめる術はもう無いかもしれないが。
「良ければ今夜の星見祭を楽しんでいってくだされ。せめてこれぐらいのお礼はさせてください」

 当夜――。
 天に近き小高い丘の村の空に、闇と一面に広がる光の粒が輝いた。
 雲一つなき空に、星々の輝きと雨のように幾度となく流れる星も見受けられる。
 村のあちこちには篝火が焚かれ、香ばしく焼けた肉の串焼き、甘いお菓子、新鮮な果物ジュースなどを売る屋台が立ち並ぶ。
 村の中央、一際大きな炎の周りでは、星々を見ながら陽気に楽器を奏で歌を歌い、踊る村人たちで賑わう。
 数多の世界を守る戦いに明け暮れる猟兵達に、平和なひと時が訪れようとしていた。
 偶には、思い切り羽目を外すのも良いだろう。
ステラ・エヴァンズ
無事に子供達が親御さんの下へ帰れて良かったです
彼の怨霊は色々と思う所はありますが、過去は過去ですから
問題は彼のような人を再び作らぬ事、同じ事を繰り返さぬ事が肝要です
それこそは、村長様の今後のお働き次第でございましょう

さて、それではお言葉に甘えてお祭りを楽しませていただきましょう
美味しそうな食事の数々は魅力的で、踊る人々も楽しそうですが、
それら全てを一通り微笑ましげに眺めてから星を見ようと少し離れたとこへ行きましょうか
これを見に遠路遥々やってきたのですから
星々の煌きと美しさに瞳を輝かせて感嘆の息を吐き
今は共にいない想い人もいつか一緒に見れたらと思いつつ堪能すると致しましょう

アドリブ・絡みご自由に



●星々
 何よりも子供達の無事を喜び。
 されどかの怨霊に思うことはなくもない――けれど、過去は所詮過去。
 思うことを胸の内に押し込めて、ステラは此度は何もしなかったと自嘲する村長に優しく告げた。
「彼のような人を再び作らぬ事、同じ事を繰り返さぬ事が肝要です。それこそは、村長様の今後のお働き次第でございましょう」
「……ええ。それは私の為すべきことです」
 どこか救われたような顔でステラの言葉を受け入れた村長の顔には、心の底から穏やかな笑みに満ちていた。
「それではお言葉に甘えてお祭りを楽しませていただきましょう」
 いってらっしゃい、と手を振る村長に手を振り返し、ステラは村の中を行く。
 香ばしく焼けた肉類の、心をくすぐる匂いと焼けた糖分の殺人的な誘惑。
 それを手にはしゃぐ大人子供や、微笑まし気な会話――食べてばかりいるな踊ろう、もう一本だけ……という痴話喧嘩もあるが、それはご愛敬だろう。
 救った当の子供達も、串焼きを片手に元気に走り回る――これは、守り抜いた平和の証だろうと、挨拶もそこそこに村の賑わいから少し離れた外れに行く。
 そもそもの目的は星を見ることだったのだから。
「はあ……!!」
 星々の名を持ち、その光を宿したような彼女の瞳に、深き闇夜を彩る無数の光の粒と、降り注ぐ流れ星の滝のような光景が見えた。
 なんと美しい光景なのだろう。
 滝のような流星の軌道はシャワーのように、心を洗ってくるような気さえしてきて。
 その美しさを称える言葉を失い、ただ、息を吐くしかできない――まさにこの世の誰にも再現は出来ない芸術を暫しの間堪能し。
(いつかは彼と――)
 今は傍にいない彼女の想い人。
 粗野なところもあるが、実直で求道者である彼の隣でこの光景を共有できたら――
 星の名を持つ彼女は、改めて取り戻した平和を享受するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夕間暮・漁
WIZ
少し離れた処から賑やかな村の様子を眺め
…フン、思ったより上等な祭じゃな

儂は賑やかなのは性に合わん
仕事さえ無事に終わらせりゃ用は無い
嘆息しながら煙草を口に咥えた途端
いつの間にか傍に居た子供に気付き

…私に何か用ですか、坊ちゃん
にこりと微笑む
え?お礼?わざわざ言いに来てくれたんですか
それはどうも…ご丁寧に

ご両親にも宜しくと頭を撫でて見送れば表情筋の仕事は終了
チッ、ガキをビビらせて喚かれても面倒臭いだけじゃ
自分に言い訳するように独りごち

今度こそ煙草に火を付け一服
煙を吐き出しながら空を見上げ
…遠くから眺める方が綺麗なモンもある
なんて、我ながらクサすぎるのう



●漁火
 賑やかに楽しむ者もいれば、少し離れた場所で一人楽しむ者もいる。
 決して仲間外れとかではない――それもまた、各々の楽しみ。
「……フン、思ったより上等な祭じゃな」
 平和を齎した“英雄”の一人は少し離れた高台から、炎が照らし祭りで賑わう村の光景を見下ろしていた。
 賑やかなのは性に合わない――仕事だけ終わらせられれば、後はどうでもいい。
 溜息交じりで懐からタバコを取り出すと、漁はいつの間にか近くまで来ていた子供に目をやると、取り出しかけていたタバコを仕舞う。
 確か助けた子供の一人にそんなのがいたようないなかったような。
「……私に何か用ですか、坊ちゃん」
「えっと、あの……助けてくれてありがとう!! これ、食べてください!!」
 そう言って頭を下げ、紙袋を差し出してくる少年に2,3瞬きし。
 やや面食らったように指先で地面をトン、トンと叩いてから、顔に演技で笑顔を張り付けた。
「え? お礼? わざわざ言いに来てくれたんですか。それはどうも……ご丁寧に」
 ――ご両親にもよろしく。
 紙袋を受け取り、優しく頭を撫でてから坊ちゃんも楽しんでいきなさいと送り出して。
 少年が姿を消すのを確認すると、表情筋だけの笑顔をやや不機嫌そうな顔に戻す。
「チッ、ガキをビビらせて喚かれても面倒臭いだけじゃ」
 にべもなく帰そうとは思ったが、喚かれるのも面倒。
 ……それが、彼の本心かどうかは知る由もないが。
 一応、紙袋の中身は確認しておく。
 ただ薄いパンのような焼かれた記事に、野菜と肉が詰められた軽食のようなものだった。
 とりあえず傍らに置いておくと、漁は改めて取り出したタバコに火をつけて一息する。
 揺らめく紫煙が夜風に消され、その先に輝く星々と流星を見やり。
 遠くから眺めた方が綺麗なモノもある……などと、我ながらクサいと自嘲しつつ、タバコを吸い終わるまで彼は遠目の星を楽しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ライラック・エアルオウルズ
【WIZ】
賑やかさから少し離れた場で、御菓子を手にして
時折、流れる星を追い乍ら緩やかに寛ぎつつ
飾りが無くとも星の煌めきが綺麗だと、感嘆一つ

…ああ。本当に、星が綺麗だ
普段から星を眺める事はあっても、
こうして歌や音楽が共にある事は中々無いから
何だか思わず、凄く楽しい気分になってしまうね
…それに、御祭りの中に子供のはしゃぐ声が
無事にあるというのも、凄く良い
なんて、子供には穏やかに手を振って

スフィーエさんを見かけたら 控えめに、声掛け
『星を見る村』の絵本、何処で手に入るかな
出来れば、"教訓"として手元に欲しくて
…何て云うのは口実で、絵本が好きなだけなんだけど
少しだけ聞いた御話。最後まで、辿りたいんだ



●謙虚
 ライラックは最も賑わいを見せている場所から少し離れた場所で星を楽しんでいた。
 時折、購入した菓子の、バターの焼ける匂いが香しいフルーツタルトを齧りながら、流れていく星々を感嘆して眺めていた。
 一番の賑わいからは少し離れているが、これぐらいの距離がちょうどいい。
「……ああ。本当に、星が綺麗だ」
 大きな賑わいに邪魔をされず。
 さりとて、バックグラウンドミュージックとして丁度良く心を落ち着かせ程々に賑やかしてくれる演奏。
 普段から星を見ることはあれど、こうして生の歌や音楽がないので思わず楽しくなってしまう。
「……それに、御祭りの中に子供のはしゃぐ声が無事にあるというのも、凄く良い」
 御伽噺の英雄のように子供を守れた喜び。
 手を振る子供達に優しく手を振り返し、流れゆく星々の輝きと穏やかな賑わいの時間を過ごしつつも。
 一つだけ、ライラックには気にかかったことがあった。
「あ、スフィーエさん……」
「なんだい?」
 ふと賑わいから離れて来た赤いコートの女に声をかける。
 やや遠慮がちにも見える彼に彼女は首をかしげたまま。
「『星を見る村』の絵本、何処で手に入るかな? 出来れば、"教訓"として手元に欲しくて」
「ああ、それなら幾つか持ってるよ。良かったら持っていくといい」
 彼女の懐から取り出された絵本をまじまじと眺める。
 教訓として取っておきたい、というのは――嘘ではないし無論その面もあるが、あくまで建前。
 本音を言えば、絵本がただ好きなだけだから。
(少しだけ聞いた御話。最後まで、辿りたいんだ)
 人任せにしつづけた男。
 駆け付けた英雄に任せきりに出来なかった村長。
 協力し合い為すべきことを為したお話。
 要点だけは聞いたけれど、もっともっと詳しい話が知りたい――星々に見守られ、作家の好奇心は留まることを知らず。
 受け取った絵本を彼はそっと開くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トーア・ローウェン
篝火の見える位置に腰掛け中央で踊ったり駆けたり賑やかな様子を機嫌よさげに眺めながら過ごす

篝火の炎の先を辿れば満天の星空
キラキラに輝く星は命の光だ
…生きてるっつーのはすげーキレーだよな
目を伏せても瞼に残る星と炎の残像、進行形で響く音楽や人の声
哀れでおバカな死霊たちとは比べるのも烏滸がましい
足元にぼんやり纏いつく死霊の手を窘めるべくそっと手の平で覆って
だーめ。今日は生きてるモンの祭りだからさー
強欲じじー(?)もいなくなっちまったから今日はお前らの仕事はしゅーりょー、おしまいおしまい

立ち上がる頃には霧散した死霊の影を後にして、篝火の中心で踊る子供らの所まで駆け寄ろう
ひひっ、俺もまーぜてー



●回帰
 琥珀の瞳の中に篝火の輝きを照らし、トーアは腰かけながら村人達の歌い踊り、賑やかに過ごす様子を大変に満足したように見つめていた。
 夜風の心地よさと、篝火の程よい熱が調和が取れて過ごすには素晴らしいものだ。
 人々の賑わいに目を向けた後は、今度は天の賑わいに目を向けようか。
 時々赤や青の混じった星々が瞬き、薄金色の流星が滝のように溢れる。
「……生きてるっつーのはすげーキレーだよな」
 美しく輝く星々は正に命の煌めき。
 目を伏せても、瞼の裏に星々の瞬きと篝火の揺らめきが浮かぶほどに濃く焼き付いている。
 そして目を伏せれば鋭くなった聴覚は、地で賑わう人々の音楽や舞踏の足音を心地よい音色として捉える。
 なんと素晴らしいことか、馬鹿で哀れな死霊たちとは比べるのも烏滸がましい。
 死人はやがて星となり皆を見守る、という逸話は珍しくもないが今は生きる者の喜びを味わう時間だ。
「だーめ。今日は生きてるモンの祭りだからさー」
 地面から這い出た死霊の手をそっと上から撫でるようにして抑えて。
 足元に纏わりつく過去の霊を宥めてあげて。
「あの強欲じじー(?)もいなくなっちまったから今日はお前らの仕事はしゅーりょー、おしまいおしまい」
 過去の亡霊を倒すのは同じ過去の亡霊ではあるけれど。
 現在と未来を楽しむのは生きる者の特権――まぁ、また過去の亡霊を倒すときには遠慮なく使うだろうが。
 さてさて、生きる者の特権を使うとしましょうか。
「ひひっ、俺もまーぜてー」
 トーアが立ち上がる頃には、いつの間にか死霊達は消え失せていて。
 篝火の中心で良い笑顔で踊っているのは、確か助けた時に起こした子供だった筈だ。
「あっいいよー」
 英雄の一人に一斉に群がる子供達一人一人の手を取る様に。
 喜びと賑わいを味わう今を生きる者の特権を噛みしめる。
 ――やはり祭りは、楽しいものだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンバー・ホワイト
ヘンリエッタ/f07026と

わたしな!この村を助けたんだ!ツリーハウスをやっつけたんだ!
無邪気に笑って自慢しながら、星の見える丘に向かって

遠くに聞こえる賑やかな声と、優しい音楽を背に

星がまるで雨のように降り注いでる…
この手ですくい取れたならいいのに、なんて思ってしまうな!
なあ、ヘンリエッタ!ここ、手があいてるのだけれど!
ダンス、一緒に踊らないか?踊ったことなんてないけれど
手を繋いでくるくるすればきっと楽しい!

そっと手を取って、キスを落として微笑んで

星降るこの美しい夜に、たいせつなたいせつなヘンリエッタと一緒に過ごしたかったんだ
願い事、叶ってしまったな!もっと大きな願い事も考えておけばよかった!


ヘンリエッタ・モリアーティ
アンバー(f8886)に招待されて。
すごいのね、アンバー……とても立派な事を成し遂げてる。
貴女の活躍した地に呼んで貰えて
光栄だわ。英雄様。
なんて、頭を撫でてしまいたい
星の丘も――ほんとうに、綺麗

流れ星は……都会っ子なものだから、この歳になっても珍しいわね
え、だ、ダンス!?
ええと、……私も、得意というわけじゃないから、お揃いね
エスコートしていただいても?――星の英雄様

子供のやることだけど、やだ、なんだか……ちょっと照れくさいわ
小さな歩幅に合わせて、くるくると回って
でも、今は……今だけは、英雄様に甘えてもいいかしら、ね

私も、……大好きなあなたの願い事になれて
幸せだわ。アンバー
素敵な夜を、ありがとう



●星の竜、獣の夢、楽しみは現世に
 この村の平穏なる一時を守り抜いた英雄の一人は、大切な家族に手柄を自慢していた。
 その姿は力強く硬い鎧を穿ち、太い幹を貫いた勇猛な戦士にはとても見えなく――正に、親に手柄を誇る子供の笑顔だった。
「わたしな!! この村を助けたんだ!! ツリーハウスをやっつけたんだ!!」
 そんな無邪気な様子を見ながら、白のアンバーに対して黒の良く映える家族こと、ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)はどこまでも穏やかにその自慢を聞いていた。
「すごいのね、アンバー……とても立派な事を成し遂げてる」
 それは掛け値なしの彼女の称賛。
 無邪気に実際の大手柄を誇る娘が何よりも愛おしい。
 守り抜いた星の見える丘も本当に綺麗なのだから。
「貴女の活躍した地に呼んで貰えて光栄だわ。英雄様」
 ――だから、柔らかな乳白色の髪の毛をわしゃわしゃと撫でてしまいたくなるのも、当たり前のこと。
 撫でられた当人も、篝火の照り返しに頬を染めて笑う。
 しばし、周りからの賑やかな歌と踊りの語らいを背景にしながら、彼女達は示すことも無く同時に星空を見上げる。
 絶え間なく流れる星々の煌めきにアンバーはこの手で掬い取れたらいいのに!!とはしゃぎ、その後ろから微笑むヘンリエッタはこの歳になっても珍しいと思う。
 穏やかな星見の時間だけが過ぎていくかと思われたが、ふとアンバーがヘンリエッタに向き直り、柏手を打ってから手を差し出した。
「なあ、ヘンリエッタ!! ここ、手があいてるのだけれど!!」
「あいてるのだけれど……?」
 不意に差し出された手に首をかしげている間、アンバーは大層に元気よく申し出た。
「ダンス、一緒に踊らないか? 踊ったことなんてないけれど」
「え、だ、ダンス!?」
 流石に驚いたのか、戸惑うように指先をくっつけて。
 でも無邪気な彼女の申し出、何を断る理由があろうか。
「手を繋いでくるくるすればきっと楽しい!!」
「ええと、……私も、得意というわけじゃないから、お揃いね」
 ここまで言われて応えないなんて、母じゃない。
 中性的な顔に芝居が掛かった口調で小さな手を取ると、恭しくお誘いへの返答を紡いだ。
「エスコートしていただいても?――星の英雄様」
 ――星の英雄様は、その手を取ってそっと唇を触れさせて答えた。
 暗き闇に瞬く星々のように。
 モノクロが互いを引き立てる奇妙な「母子」のダンスを、星々が静かに見守っていた。
 たどたどしくも、手を取り小さな歩幅で円舞を行う姿はとても可愛らしく映るだろう。
 ダンスというにはやや拙くも、手を取り楽しく回れるこの時間――今だけは、この英雄に甘えるのも良いと。
 小さな手と、子供のささやかなもてなしにゆっくりとした穏やかな時間を互いに甘く分け合うのだった。
 幸せな円舞の続く中、アンバーが不意に言葉を発した。
「星降るこの美しい夜に、たいせつなたいせつなヘンリエッタと一緒に過ごしたかったんだ」
 その言葉に偽りなく。
 すぐさまに彼女は快活に笑って。
「願い事、叶ってしまったな!! もっと大きな願い事も考えておけばよかった!!」
 ――尤も、これ以上の大きな幸せも今は考えられないけれど。
 どこまでも可愛いこの娘に、ヘンリエッタは同じく言葉を返す。
「私も、……大好きなあなたの願い事になれて幸せだわ。アンバー」
 その言葉に偽りは当然無く。
 この娘の幸せは、私の幸せ。これ以上の幸せなど今は考えるのが無粋というもの。
 頑張って円舞を踊るアンバーの耳にそっと唇を寄せて、ありったけの感謝をヘンリエッタは囁く。
「素敵な夜を、ありがとう」
 ――どういたしまして!!
 返事の代わりは、そのまま抱擁で――
 英雄と、英雄に招かれた母の夜は静かに過ぎていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白神・杏華
アメリアさん(f01896)と

はー、虫はキツかったね……。
でも、うん。もう大丈夫だよ。お祭り行こう!

アメリアさんと一緒に屋台を巡りつつ、子どもたちの案内に従って付いて行く。
はしゃぐアメリアさんを見つつ、私は子供たちとお話でもするよ。
アメリアさんや猟兵のみんなが普段どんな冒険をしてきているのか。
逆に、子どもたちは普段どんなことを楽しみにして、どういう生活をしているのか。
せっかく異世界に来たんだから、いろいろお話しないと損だね。

……えっ、何何!? アメリアさん!? ちゃ、ちゃんと食べてるよ!
わああ怖い! 結構怖いこれ!
けど、綺麗だね! 星がUDCアースのよりすごく大きく見えるよ!
星に手を伸ばす


アメリア・イアハッター
みっきー(f02115)と

みっきー虫のアレ収まった?
ほらほら、星が流れてとっても素敵だよ!
いい匂いもするし、私達もお祭りに混ざろ!

屋台巡りの最中助けた子供達がやってきて
え?星がよく見える所を知ってる?
ぜひ案内してちょうだい!

子供達と共にその場所に来れば勿論はしゃぎ
ほんとだすごーい!
ほら君達も!
いつも見てるって?
ううん、今日の空は今日しかないんだよ!

子供を肩車し
ほら、手を伸ばして星を掴んでみて!

みっきーを見てあることを思いつき
そっと後ろから近づき、みっきーを肩車
みっきー軽くない?
ちゃんと食べてる?

ともかくほら、私達も星の掴み取りといきましょ!
UCも使い全力で高く高く飛び上がり
つかめー!みっきー!



●星の雨、実に今日は良きカーニバル
「はー、虫はキツかったね……」
「みっきー虫のアレ収まった?」
 夜の帳が落ち、星々が瞬き祭りの賑わいが程よく盛り上がった中。
 この日常を得る為の奮闘を思い返し、杏華は今となっては、とでも言うようにほぅっと溜息を吐き。
 アメリアは改めて彼女を気遣うと、杏華は憑き物の落ちた風に笑って返す。
「うん。もう大丈夫だよ」
「良かった!! ほらほら、星が流れてとっても素敵だよ!!」
 ぱあっと顔を輝かせ、アメリアの指差す先には彼女の耳飾りにも劣らない輝きの天然の芸術。
 流れる星々の美しさが世俗を離れた魅了なら、食べ盛りの胃袋を擽る食物の匂いは俗に根差した魅了。
「いい匂いもするし、私達もお祭りに混ざろ!!」
「お祭り……うん、行こう!!」
 世俗離れた星々の輝きを楽しみながら、世俗に根差した屋台の食べ物を楽しむ。
 手を繋ぎ仲良く活発な商売文句の響く屋台に手当たり次第に目についた食べ物を買う。
 そして酸味と甘みの調和が程よい果物ジュースをちびちびと飲りながら、彼女達の元に子供達が集まってくる。
 それは、猟兵達が助けた子供達。
「お姉ちゃんたち、今日はありがとう!!」
 なんでも彼等の話に依ると、星々が綺麗に見える場所があるそうだ。
 常に自分で出来ることは何かを考えて動くこと――絵本の教訓に従った彼等に出来る、せめてものお礼なのだろう。
「ぜひ案内してちょうだい!!」
 勿論、受けない道理なんてない。
 じゃあ着いてきてと案内する子供達と談笑するアメリアと、異世界への興味からかその道中で彼等に質問をする杏華。
 子供達から普段はどんなことをしているのか、と問われれば杏華はみんなで色々な場所へ行くことや、怖い相手と戦ったりすることも答え。
「でも助け合えるから大丈夫」
 そう答える彼女は今度は子供達に普段はどんなことをしているの、と問えば子供達は畑仕事や大工仕事、親の仕事を手伝いながら学ぶ牧歌的ながらも大変な中世の生活を教え。
 そうして穏やかな談笑を経た先に辿り着いた、見晴らしの良い高所で見上げる星々は、確かに子供達の言うように美しく。
 すごいとはしゃぎ、子供達にも見るよう促すアメリアに、子供達は普段から見ていると答えるが。
「ううん」
 首を振る彼女は子供達と目線を合わせ。
「今日の空は今日しかないんだよ!!」
 そういうと子供達を肩車し担ぎ上げて。
 様々な種類の大声が響く中、担ぎ上げた子供と共に手を伸ばし。
「ほら、手を伸ばして星を掴んでみて!!」
 ――そうして、一人一人に星を掴ませていくのだ。
 そんな彼女の近くで子供達に冒険譚と村の生活の質問交換会を繰り広げていた杏華は、不意に股座に違和感を感じると。
「……えっ、何何!? アメリアさん!?」
「よいしょぉっ」
 気が付いた時にはアメリアに担ぎ上げられ、急に高くなった目線と高所の感覚に戸惑うばかり。
 そんな杏華に陽気に笑いながらアメリアは言う。
「みっきー軽くない? ちゃんと食べてる?」
「ちゃ、ちゃんと食べてるよ!!」
 重いと言われるよりはマシかもしれないが。
 或いはアメリアの方が力持ちなのか……
「ともかくほら、私達も星の掴み取りといきましょ!!」
「えっ、まだ心の準備が」
「待ったなし!!」
 有無を言わさないアメリアは杏華を担ぎ上げたまま、勢いよく空中を蹴り出して空へ空へとかけていく。
 下から覗く子供達の黄色い歓声をバックにしながらも、空中に身を置かれた形の杏華は叫んで取り乱す。
「わああ怖い!! 結構怖いこれ!!」
 取り乱したりもするが、しかし一旦恐怖のピークを過ぎてしまえば。
 緑の瞳に映る、薄金の瞬く輝きは幻想のように美しく。
「けど、綺麗だね!! 星がUDCアースのよりすごく大きく見えるよ!!」
 はしゃぎ始める杏華に、終始ハイテンションにはしゃぐアメリアと。
 同時に瞬く輝きに手を伸ばさせるように声を響かせ。
「よーし、今だ!! つかめー!! みっきー!!」
 ――実際には、星が掴めることなんて無いだろう。
 しかし彼女達は間違いなく手にしていたのだ。
 子供達の笑顔と、守り抜いた平和を無垢に楽しめるという栄光の星を――

●再現された御伽噺の終幕
 こうして御伽噺の再現によって齎された悲しみは英雄達によって払われた。
 猟兵達は見事に、最後に英雄が勝ち平和を享受する物語を再現せしめたのだ。
 村の子供達を救い、村の悲しみを無くし、操られた哀れなツリーハウスまでも彼等は救ったのだ。
 ただ一つ哀れなのは、最後まであの怨霊が改心することは無かったことだが……
 そういった怨霊のような人間が現れないようにするのは、英雄の守り抜いた村の役目だろう。
 思い思いに祭りの賑やかしと、降り注ぎ瞬く星々の輝きを楽しむ猟兵達。
 こうした平和がいつまでも続けば良いと――誰かがともなく、流れる星に祈るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月01日


挿絵イラスト