フロア・ファースト
君たち「招かれた者」(インベイテッド)の前で、塔の扉が開いていく。
この塔の頂上には、あらゆる願いを叶えるなにかが存在すると言われている。
誰にも明かせない願望を実現するため、この塔自体に興味を覚えて謎を解き明かすため、あるいは単純に元いた世界に戻るため。
さまざまな理由によって、君たちは塔に挑むこととなる。
君たちを待ち受けるのは、迷宮化した塔を徘徊する様々な防衛生物機構や罠。
フロアの出口に待ち構える統括者。
そして自分の願いを押し通すために他人を排除する、他の「招かれた者」たちだ。
自身のスキルと、世界から与えられた爆弾無限製造能力で立ちはだかる障害を吹き飛ばして前に進もう。
塔を攻略していくのは主に2つの陣営だ。
一つは、願いを叶えるため塔を攻略し、自分たちが世界に招かれた理由を求める「薄毛陣営」
一つは、迷宮の攻略よりも敵を爆破することに重きを置く集団「ヅラ陣営」
そしてどちらにも所属せず、大きなハンディキャップを受容して個人で動く「第三勢力」
このフロア・ファーストには特殊なギミックはない。
迷宮の防衛機構と対峙して上への道を切り開くか、自分の願いを邪魔されないよう対立陣営を攻撃するか、あるいは攻撃から味方を守るか。
もしくはこの謎の塔の秘密を解き明かすために調査を行うか。
どの陣営に所属し、どのような行動をとるか。
君たちの選択によって、攻略の模様は大きく変化していくだろう。
完全に扉が開き、多くの「招かれた者」たちが塔になだれ込んでいく。
さあ、君も塔に挑もう。
ここは第一階層、フロア・ファーストだ。
斑鴉
ご無沙汰しております。斑鴉です。
自作PBW「ヅラタワー/ボンバーメント」開幕となります。
このシナリオでは第一階層を攻略していただきます。
『薄毛陣営』
『ヅラ陣営』
『第三勢力』
のどこに所属するかと、
「攻略」(迷宮の防御機構やボスの撃破)
「探索」(迷宮の調査やギミック解除など)
「オフェンス」(対立陣営への攻撃)
「ディフェンス」(攻撃へのカウンター)
「その他」
の、どの行動を行うかプレイングに記載してください。
皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒木・摩那
いきなり引き込まれて、迷宮に放り込まれて。
さっそく薄毛とかヅラとかの陣営に誘われたりもしましたが、今は第三勢力で行きましょう。
陣営にはあとからでも入れるでしょう。
しかし、なぜ陣営名が髪関係なんでしょう?
迷宮自体はアルダワ以来ですね。
まずはここの迷宮がアルダワとどう違うか、調査していきます。
迷宮の作りはスマートグラスで探査。壁の材質や構造の違いを確認します。
それとユーベルコードが普通に使えるかも要確認です。
あぁ、この世界に来てから、爆弾が作れるようになってました。
この効果のほども確認しておかないと。
威力もですが、触発するのか、遅発するか、時限式とか爆弾も色々ですからね。
壁を使って、実験です。
心もとない灯りが照らす、広い迷宮。
石畳でもコンクリートでもない床にかつんかつんと足音を立てながら、一人の女性が歩みを進めていく。
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。骸の海に浮かぶという世界を巡って戦う「猟兵」という存在だ。
普段のグリモア猟兵によるテレポートとは違う、神隠しにも似た強引な転移でこの世界、この塔に連れ込まれ、謎の迷宮に放り込まれた。
この塔の内部では、「薄毛」と「ヅラ」の2つの陣営が互いに争い、自分の願いを叶えるために敵を蹴落として塔を登ろうとしている。
ただの人間、ただの18歳の女性と侮らず、積み上げてきた実力を見抜いた双方の陣営の有力者から協力を求められたが、摩那はどちらにも属さず自力での攻略を選択した。戦力のみならず未知の塔の様々な情報や敵の動きを探る目。大きすぎるメリットを捨てて得たものは絶対的な自由だ。
それに、どちらの陣営だろうと後から所属することも可能。特に摩那の実力や、独自に得た迷宮の情報などがあればなおさら。摩那はそう判断したし、その分析はおそらく間違っていないだろう。
(しかし、なぜ陣営名が髪関係なんでしょう?)
そんな疑問はある。各陣営の首脳部も特に毛髪に不自由な様子はなかった。あるいは、その疑問はこの塔のなにか大きな謎に関わるフラグかもしれない。
「さて、と」
適当な場所で歩みを止めて、壁だらけの周囲を見渡す。
脳裏をよぎるのは、ここではない世界で魔法学園の地下に広がっていたアルダワという地下迷宮。かつてその世界のすべての災魔を封じ、世界の破滅を防ぐため多くの猟兵が大きな戦いを繰り広げた場所。
この怪しげな塔の迷宮がそことどう違うのか。
その調査が今の摩那の目的だ。
眼鏡のつるに手を当てて、各種センサを壁に走らせる。一秒に満たない間にいくつもの可視光、不可視光、超音波などが壁面を走査して、その結果が摩那の「ガリレオ」に表示される。
様々な数値を見比べること数秒。結論から言えば「違う」
構成物質で見れば普遍的な石壁。見たり叩いたりすれば、誰だってそう思うだろう。
しかし、熟練の猟兵でなければ見落とすようなちょっとした異常値を足がかりにデータを辿っていくと、この壁を補強する不思議な力に気づく。そのものではないが、まるでユーベルコードのような……
じゃあ、と、摩那は魔法剣を抜き放つ。見る角度によって万華鏡のように刀身にルーン文字が浮かんでは消えるその剣の銘は「緋月絢爛」
準備運動のように軽く素振りをして。
ユーベルコード:偃月招雷(エペ・ド・エクラ)
刀身に膨大なサイキックエナジーを注ぎ込んで全力の突きを放つ。
驚くほど音はしなかった。しかし壁に弾かれた膨大なエネルギーが暴風のように周辺を荒れ狂う。摩那を観察し、あわよくば情報を盗み取ったり不安定要素になる前に排除しようと遠巻きに様子を見ていた各陣営のスパイたちが反動で吹き飛ばされて逃げ帰っていく。この一撃を食らったらひとたまりもないと判断してのことだろう。
しかし、暴風の中で微動だにせず黒髪を風にまかせていた摩那がそっと目を開けると、そこには傷一つない壁が変わらずそびえたっていた。
悔しさか、なにか考えをまとめているのか、無言で壁を見つめること数秒。
摩那は別のことを思い出す。この世界に招かれた時に与えられた爆弾精製の力だ。
適当に一つ作って壁に放り投げてみる。と、明らかに威力は先程のユーベルコードに遠く及ばないのに、派手な音とともにあっさり壁は崩れ去った。
ならば実験あるのみ。威力は変えられるのか。爆発のタイミングはコントロールできるのか。指向性は。目につく壁を片っ端からぶっ壊しながら、思いつく限りのことを実験していく。
得られた結論は、コツさえ掴めばかなり自由に作れる、ということだった。招かれた者たちの中でもまだこのことに気づいた者は少ないだろう。
摩那は一階だというのに高く遠くうっすらとしか見えない天井を見上げる。
ならば、誰がなぜ、この爆弾を作る能力を与えたのか。
「招かれた者」たちの戦いは、まだ始まったばかりだ
大成功
🔵🔵🔵
ウルザ・ルーナマリア
【薄毛】【探索】
あらゆる願いを叶える…ってのは万能宝石みたいなもんか?
ほんとにそんな物があるのか知らねえし何かヤバいかもしれないが、塔とかダンジョンあるなら探検しないとな!
頑張って攻略目指すぜ!
…でも陣営の名前、どんな意味が…?
まずは慎重に銛で床とか壁とか叩いて罠を探りながら探索。
野生の勘で危なそうなとこは避けつつ進むぜ。
陣営、っていうぐらいだから同じ陣営の誰かとは協力して探索したいかな。
どんな種族の味方がいるかとかも興味あるし、おれだけじゃ攻略なんて難しいかもだからな!
そういえば爆弾作れるんだっけか。
連鎖させたり起爆までの時間調整できるのか罠も砕けるか…色々試したいぜ。
※アドリブ絡み等お任せ
迷宮の別の一画。
材質不明の床を歩く大小2つの影がある。
「あらゆる願いを叶える……ってのは、万能宝石みたいなもんか?」
大きい方の影、海神の伝承のような冷気をまとった三叉の鉾を携える白い熊の獣人。ウルザ・ルーナマリア
(月に泳ぐ白き獣・f39111)がつぶやく。
彼が生まれた世界で多くの災厄を引き起こし、大乱を乗り越えた今でもなお魔神となって混乱をもたらす万能宝石エリクシル。そんなものがここにもあるならば……
とはいえ彼を動かすものは使命感ではない。幼さを脱したばかりの若さからから来る冒険心。
目の前にこんなダンジョンのような塔があるなら、絶対に踏破してやる。
「……でも陣営の名前、どんな意味が?」
「おーい、こっちは大丈夫だぜー」
先行していた小さい方の影、ペンギン型の獣人が床や壁を叩きまくっていたヒレを止めて振り返る。
本人はペティアム・シリーと名乗っていたが、それが本当かは分からない。
ウルザと同じ薄毛陣営で、特に言い合わせたわけではないが、成り行きで行動を共にしている。
ぺたぺたと足音を立てながら進んでいく背中を追いかけながら、ウルザも周囲に目を配る。このペンギン野郎、冒険心にあふれたウルザから見ても前のめりすぎて、ドジが行き過ぎて自分やウルザを巻き込んで爆弾を暴発させかけたことも、すでに片手の指では数え切れない。
だから基本的に爆弾を作るのはウルザの役目となり、どれだけの間隔ならば連鎖化できるかなど、いくつかのテクニックも身についた。
「……! ちょっと待て!」
不意に野生の勘が強烈な危険信号を発する。肉球の足を踏みしめながら、先行するペティアムを止める。
その直後、二人のすぐ近くにあった壁が裏側からの爆風で吹き飛んだ。ウルザが躊躇していれば、飛び散る破片が直撃していたかもしれない。
「危ねぇ、誰だ……って、大佐!?」
ペティアムの視線の先にいるのは、壮年の人間の男性。
歩み始めたばかりとはいえ猟兵であるウルザも知らない多種多様な種族を率いる「薄毛陣営」のリーダー、ハーゲスト・キング大佐だ。
「ふむ、すまなかったな」
キングは周囲を見渡し、すぐに事情を悟ったようだ。
「爆破する時の合図がないと味方を巻き込むこともありうるな。対策を考えよう」
うなずきながら足元のペンギンを見下ろすウルザに目を向け、キングは続ける。
「そのうちに2階への階段と、階段を守護するガーディアンが見つかるだろう。気を抜くなよ」
「わかったぜ」
ウルザの返事に目礼を返し、護衛と共にキングは去っていく。
「おれたちも行こうぜー」
とペティアムが足を引っ張ってくるが、ウルザは動かなかった。
違和感がある。
違和感に導かれるまま歩いていくと……
「お、ここなんかおかしいぜ?」
ペティアムの言葉に視線を向けると、足元に色の違う床がある。
気をつけながら爆弾で吹き飛ばすと、中から不思議なオーラをまとう透明な球がでてきた。
破壊すべきか、見なかったことにすべきか。
迷った末に判断を一時保留し、ウルザはそれを懐にしまった。
大成功
🔵🔵🔵
エライアー・ウラヌビロス
【第三勢力】【ディフェンス】
あらゆる願いが叶う…なんか御伽噺みたい。
他にも招かれた人とかいるみたいだからこう、欲望に満ちたみにくい争いが繰り広げられるのかな?
…なんか巻き添えにされそうな嫌な予感がとてもするから守り固めないと…
さて、単独で頑張らないとだから兎に角走り回って捕まらないようにしよう。
追ってくるのには置き爆弾をぽいぽいと。
なんかボンバーなゲームな感じ、なのかな?
やったことない伝聞だけの印象。
追ってくるのはどかんと吹っ飛ばし、逃げたり安全確保しつつ慎重に上の階を目指そう。
体力とか減ってきたり追い込まれたらUC起動、雲で惑わしつつ回復、仕切り直したりしようかな。
※アドリブ絡み等お任せ
違和感があった。
頼りない明かりに照らされる、不思議な材質で作られた迷宮。
いくつもの共闘の誘いを避けて、この道を行くのは自分ひとり。の、はずなのだが。
(あらゆる願いが叶う……なんか御伽噺みたい)
この塔に招かれた時に告げられた言葉を思い返す。
ならば、きっと招かれた者たちの間で、欲望に満ちた醜い争いが繰り広げられるのだろう。
あの懐かしくもおぞましい、百年前に故郷で起きた最終戦争のように。
未だに脳裏に残る、あの時の光景。戦闘向けのバトモンとして調整された彼は、駆り出された戦争で天候を操る力を振るい、敵に莫大な被害を与えた。水を欲する者たちに熱波と日照りを。空を飛ぶ者に豪雨と暴風を。覚悟を決めて進む者たちに絶え間ない雷雨を。直接その手にかけた命は決して多くない。しかし彼の力は結果として敵に尋常ならざる被害を与えた。
それが彼、エライアー・ウラヌビロス(巡るもの・f45487)だ。
あの時のような争いが、この不思議な塔でまた繰り返されるかもしれない。
そんな予感が彼の本能を刺激した。
(なんか巻き添えにされそうな嫌な予感がとてもするから、守り固めないと……)
予感に従い、規則正しいリズムで進めてきた歩みを止める。
一瞬遅れて後ろから響く、誰かの足音。
気配を隠して近づいてきた誰かがいる。わざわざそんな真似をするからには、決して有効的な存在ではないだろう。
そして、エライアーがその存在に気付いたことに、相手も気づいた。
間髪入れず、自慢の脚力でエライアーが走り出す。
後ろの追手も同時にこちらに走り出す。普通の人間の数倍は速い。
予想を超えたピンチだが、エライアーは焦らない。このくらいの修羅場はいくつも踏み越えてきた。
「ぽいぽい、と」
与えられた無限爆弾。それを足元に置いて全力ダッシュ。
無視して突っ切るか、爆発に巻き込まれないよう止まるか。後ろの誰かの逡巡が空気を通して背中に伝わる。
ここではない遠い別の世界で偶然知り合った人間が言っていた、有名なボンバーなゲームの話を不意に思い出す。
その世界に行くことがあればやってみようかと思いつつ、周囲に轟いた爆音に反応した周囲の人間たちがこちらを警戒した気配を壁ごしに感じた。
ユーベルコード:ムゲンの雲(クラウディ・ドリーム)
周囲に発生させた夢幻の雲で身を隠したり分かれ道での気配を消しながら、地獄の追いかけっこをやりすごす。
安全に。慎重に。
上の階を目指すことにしよう。
そこで何が待っているのかわからないけれど。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
【薄毛陣営】【攻略】
謎の塔…最上階のOTAKARA…ロマンあるよね!
願いと言ったら未知の遺跡に挑戦したい!とかだけどある意味挑戦自体で願い叶ってるような…ま、いいよね!
まずは第一階層の探索ガンバロー!
まずは普通に攻略してみるのがいいよね。
爆弾製造能力活かしつつどーしてもスキルとかで乗り越えられないのはどかーんと。
基本は翼で飛んだり宝探し能力で怪しいの見つけたり塔の建築様式から何かヒント見つける感じかな。
基本的に他の人には非干渉、物陰に隠れたりでやり過ごしたいかなー…積極的に狙ってくるようなら返り討ちにしちゃうけど!
見切って避けたり爆弾打ち返したり、火の粉は払わないとね!
※アドリブ絡み等お任せ
まだ地上一階のはずなのに、見上げる天井はぼんやりと高く、たとえ空を飛んだとしても手が届かないのではないかと思った。
「謎の塔……最上階のOTAKARA……ロマンあるよね!」
黄金に輝く肌。竜の特徴を色濃く残したドラゴニアン。
そして肌よりもきらめく眼差しを上に向けている少女。
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)だ。
「まずは第一階層の探索ガンバロー!」
かつて地球を救う戦士たちを導き、今度は自らが救う者として別世界に飛び込み、何の因果か今はこの不思議な塔に招かれている。
望むものは冒険。この冒険心を満たしてくれるもの。この塔に挑むこと自体、ある意味望みが叶っているのかもしれない。
ソニアは「薄毛」陣営に加わって攻略を開始した。
その手際は陣営のリーダーであるハーゲスト・キング大佐からも一目置かれているようだ。
無限爆弾を駆使してのルート開拓や壊せる壁と壊せない壁の発見、的確なマッピングや崩れた壁から出土する謎物品の管理など、八面六臂の活躍で薄毛陣営の進撃を引っ張っている。
そんな彼女が、ふと足を止めた。
考え込むように指を顎にあて、首をかしげる。
そして竜の翼を大きく広げて飛び立った。
気になったのは、この塔の様式だ。特定はできずとも、大まかな建築様式や年代が推定できれば、そこから逆算して進むべき道や隠されたものが分かるかもしれない。
そしてソニアも建築の歴史家や専門家でこそないものの、旺盛な好奇心で様々な世界を飛び回って蓄えた多くの知識がある。見下ろす景色からそれに照らし合わせて浮かんできたものは……
端的に言って素人感、というのが正直な印象だった。
その道に詳しくない人がイメージで作り上げたもの。時代的にも思想的にもチグハグな設計や装飾。それもけっこう荒っぽい。
そして、そんな程度の知識しかない誰かが、こんな巨大で不思議な塔を作り上げたということ。
それは技術など必要としない、超然とした――
「いたぞ、あそこだ!」
背筋に冷たいものが走りかけたソニアを、誰かの声が現実に引き戻す。
投げつけられた爆弾を急降下でかわし、爆風に煽られて墜落直前の状態から気合で無理やり上昇軌道に持ち直す。
着地して急いで物陰に隠れるが、おそらくヅラ陣営だろう数名はソニアの捜索を諦めない。
「これはもう、やっちゃっていいよね!」
覚悟を決めると、機を見て飛び出し、背中を見せていた追跡者に爆弾をぶつけて吹き飛ばす。
叫び声や物音を聞いて飛び出してきたヅラ陣営たちが爆弾を投げつけてくるが……
ユーベルコード:ドラゴンガジェット・イグニッション!
ソニアの姿を模したプラスチックブロック製のドラゴンを召喚し、動きを追随させることで、まだ爆発までの時間の制御の甘い爆弾を次々投げ返し、あるいは破壊できない壁に隠れて爆風をやり過ごす。
そうするうちに集まってきた仲間と協力し、瞬く間にヅラチームを追い返すことが出来た。
ほっと息を吐いた刹那。
「そう簡単に逃がすかよ!」
血気にはやった仲間の一人が逃げる敵を追撃していく。
そこまで深追いする必要はないとソニアが止める間もなく。
地震のような物音と共に、逃げていたヅラ陣営もろとも突然現れた巨大な影に吹き飛ばされた。
「見つけたようだな」
振り返った先にいたのは、陣営リーダーのハーゲスト・キング大佐。
「あれがこのフロアのガーディアン。ヤツが守っている先に、次のフロアへの階段があるはずだ」
大成功
🔵🔵🔵