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これはウナギだ、いいね?

#デビルキングワールド #戦後 #7thKING決定戦

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#デビルキングワールド
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#戦後
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#7thKING決定戦


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●OPでタイトル回収
 『7thKING WAR』は終わった。
 1stKING『魔王ガチデビル』が猟兵達によって再び倒された事で、デビルキングワールドでは『ワルい暮らし』より『タノしい暮らし』を求める悪魔が増え始めていると言う。
 その影響なのだろうか。
 『普通に美味しい魔界料理のレストランを作ろう』と志す悪魔も現れていた。
「皆。こちらが、魔界料理レストランを開こうとしているボード・フロント君だ」
「押忍!」
 覇痲無湖なる大きな毒々しい湖の畔で、ルシル・フューラー(新宿魚苑の鮫魔王・f03676)に紹介された角の悪魔もそんな悪魔達の1人である。
 黒服にグラサン、顔にはグラサンで隠しきれない傷跡と、どう見てもソッチ系な風貌だが、若手の悪魔シェフ(20)である。傷跡はただのフェイスペイントだ。
「フロント君から、メインの食材について相談があるそうだよ」
「まずは食材を見ていただきやす」
 ルシルの言葉に頷くと、フロント君は担いでいたクーラーボックスの中から肉の塊を取り出し、すぐそこの湖に向かってぶん投げる。
 ザバァッ!
『ジャアアアアッ!』
 毒々しい紫の水を押し上げて、巨大な何かが姿を現した。

 例えば、トンカツ屋でブタのマスコットキャラが看板に描かれていたりする事がある。
 だがこのデビルキングワールドの場合、『そういう生き物』の店だったりするのだ。『食べられるし食べられても死なないし食べられた箇所はその内復活する』そう言う類の。
「この『魔暴虫キング・ジャーゴー』も、どうやら食える奴らしいんっす。元々は、組で何かでけえワルさに使えねえかと、取り敢えず深く考えずに『覇王でも痲痺を無効に出来ない』程の毒性から名前が付いた覇痲無湖で養殖した結果、状態異常耐性高めになったのが野生化したものっすが……」
 取り敢えずでビルと見間違えそうな巨大怪物を魔改造的に養殖しないでいただきたい。
 フロント君、ツッコミどころが多そうだ。
「レストランを開きたいと相談したら、それなら食材に使ってくれとキング・ジャーゴーの方から。尻尾の方から30%くらいが、内臓もない部分でお勧めらしいっす」
『ジャッ♪ ジャッ♪』
 フロント君の言葉を肯定するように、キング・ジャーゴーが首を縦に振る。
「そのくらいなら、半月もあれば再生余裕ですしね。キング・ジャーゴー、成長限界ないんで」
 成長限界がないとか、わりとヤバい生物なのでは。
「と言うわけで、まずはキング・ジャーゴーを死なない程度に薙ぎ倒して、尻尾から3割程度を頂くのが最初のお仕事だよ」
 フロント君のツッコミどころは無視して、ルシルが今回の目的を告げる。
 だが、最初の、と言う事は、まだ続きがあると言うのか。
「できれば、見た目も何とかしたいんっす」
 その続きは、再びフロント君の口から語られた。
「まあ、キング・ジャーゴー。御覧の通りの、虫、なんで」
 うん。
「だからこう、見た目で誤魔化す詐欺りょ……げふんっ! 見た目のキング・ジャーゴー感があまりない、美味しい料理を作りたいんっす!」
 言いたいことはわかるが、どう料理すればいいのだろう。
「そこは私から説明するよ」
 ここまで、ほとんどの説明をフロント君に任せていたルシルが、代わって口を開いた。
「ところで――UDCアースだったらそろそろ夏だよね」
 いきなり何を言い出すのだろう。
「夏のスタミナ食材……あるよね」
 うん?

「と言うわけで、諸君――これはウナギだ、いいね!」

 後ろの巨大怪物を指差して、ルシルは無駄に声に力を込めて言い切った。
「ウナギで使える調理法なら大体美味しくなると、グリモアが告げている。だからこれはウナギだ。ぬめりがない代わりに、ビルにぶつかってもビルの方が壊れるくらいの硬い外骨格を持っていて、ちょっと足が多いだけの巨大なウナギだ、いいね!」
 ……。
「これはウナギだ、いいね?」
 さてはこのエルフ、ゴリ押す気だな。


泰月
 泰月(たいげつ)です。
 ウナギは蒲焼派です。異論は認める。

 急に暑くなりましたが、如何お過ごしでしょうか。
 土用の丑の日が近づいて、あちこちでウナギの予約のポスターなんかを見かける時期になってきましたので、ウナギシナリオを出すなら今だと(新世界も近いのに)ぶっ込んでみました。
 このシナリオはウナギシナリオです。
 食べたらウナギなんです!!!!!
 だから覇痲無湖は、某湖と同じ読みです。ほら、ウナギじゃん。

 と言うわけで、1章は食材集めです。まだ料理しません。
 キング・ジャーゴーも魔界の一般住民と同じく魔界の普通の動物な感じなので、死なない程度に薙ぎ倒して、尻尾の方の30%程度を頂いてください。
 外骨格をはぎ取って足をもぎ取ったあとは、綺麗な白身が待っています。
 2章で、フロント君のレストランのメインメニューに載る予定の、キング・ジャーゴー料理、もとい、ウナギっぽい白身食材を使った料理を作るパートになります。章開始時に記載する予定ですが、料理する以外にも味見係や店舗の内装係などでもOKです。

 なお、本シナリオは「7thKING決定戦」の対象依頼です。8/22までに、対象依頼での🔵ベスト10の猟兵が「KING候補者」となります。
 とは言え、現在の所の順位とか、KING狙ってるとかは気にせずに書きます。

 1章のプレイング受付は6/30(木)8:30~です。
 締め切りは別途告知します。再送はお願いするかもしれません。

 ではでは、よろしければご参加下さい。
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第1章 集団戦 『魔暴虫キング・ジャーゴー』

POW   :    ジャジャジャジャジャアアアアッ!!
単純で重い【突進や圧し掛かり】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ジジジヤアアアアゴオオオウッ!!
【激しい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ジィイヤアアアゴッ、ジャゴッ、ジャゴッ♪
戦闘中に食べた【仲間や家畜などの非常に美味しそうな餌】の量と質に応じて【僅かながら損傷個所の回復と巨大化を行い】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:FMI

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

乱獅子・梓
【不死蝶】
サーモンも実はニジマスだったりするし
あれも代用魚みたいなものだと考えれば
いけなくも……いやいや、無理があるだろ!
綾、知ってるか…ヤツメウナギは名前こそウナギだが
実はウナギじゃないし魚類ですらない何からしいぞ
あれ?じゃああいつヤツメウナギとしていける?(混乱

あとであれを料理しなきゃいけないのは
全く気が乗らないがやるしかない…!
UC発動し、奴が好みそうな餌っぽい見た目の料理を作る
これらを成竜化した焔と零に運んでもらい、奴の気を引く
その間に綾が尻尾部分を切り落としていくという作戦だ
料理を食べると負傷を治療してしまうが
うっかり死なせてしまう危険性も減るし
元気な分、いい食材が手に入るはず


灰神楽・綾
【不死蝶】
あんな風にたくさんの歯が生えたちょいグロなウナギ、
ネットで見たことあるよ
確か「ヤツメウナギ」って名前だったかな?
ほら、顔だけならそっくり(スマホで画像検索しつつ
あれも足さえ取っちゃえばウナギとしてイケるイケる

見た目こそアレだけど、自ら食材として使ってくれだなんて
献身的ないい子だよねぇ
それじゃあ遠慮なく頂いていきますか、っと
UC発動し、飛翔能力を使って尻尾の方へと移動
梓が獲物の気を引いてくれている間に
威力増強したEmperorで尻尾部分を思いっきり叩き切る
…うわぁ、切っても足がウニョウニョ動いてる
Duoに持ち替えて足をスパスパッと切り落としていこう



●ヤツメウナギに似てるとは、誰かが言うと思ったよ
『ジャアアアアッ!』
「あれを料理しなきゃいけないのは、全く気が乗らないが……」
「えー? 自ら食材として使ってくれだなんて、献身的ないい子じゃない?」
 溜息交じりな乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)に、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が笑って返す。
「ま、見た目こそアレだけど」
「その見た目が問題なんだ」
 綾の一言に、梓が呻くように返す。
「でも俺、あんな風にたくさんの歯が生えたちょいグロなウナギ、ネットで見たことあるよ。確か……『ヤツメウナギ』って名前だったかな?」
 綾が記憶を探るように視線を彷徨わせながら、スマホを取り出し、ポチポチと検索し始める。
「ほら、顔だけならそっくり」
 ややあって、綾が見せて来たヤツメウナギの画像は、梓も知っていた。
 それ以上の事も。
「綾、知ってるか……?」
「? 何を?」
 予想通りの綾の反応に、梓は小さく溜息を吐いてから告げる。
「ヤツメウナギは名前こそウナギだが、実はウナギじゃないし、魚類ですらない何からしいぞ」
「なん……だって……」
 梓の言葉で、綾の頭の中に背後に雷が落ちた様な衝撃が走る。
 慌ててスマホを操作してみれば、事実であった。
 UDCアースのヤツメウナギは円口類と言う、生きた化石とも言われる原始的な種である。同種とされているのヌタウナギと言う、これまたウナギと名がついているがウナギでない何かのみ。
「ってことは、やっぱりあれもウナギでイケるんじゃね?」
「あれ?」
 スマホから顔を上げた綾の返しに、梓の目がグラサンの向こうで丸くなった。
「言われてみれば……あいつヤツメウナギとしていける?」
 確かに、ヤツメウナギも食べられない事はない。
「サーモンも実はニジマスだったりするし、あれも代用魚みたいなものだと考えればいけなくも……」
「そうそう。足さえ取っちゃえばウナギとしてイケるイケる」
 傾き出した梓の思考の背中を、綾がグイグイと押していく。
「いやいや、無理があるだろ!」
「ちぇー」
 残念ながら、梓は我に返ってしまった。

●ギブ・アンド・テイク
 突如、響き渡る咆哮。
『ジャアアアアッ!』
 何か待ち草臥れたワンコみたいな感じで、キング・ジャーゴーが2人に向かって突っ込んで来た。
「やるしかない……!」
「それじゃあ遠慮なく頂いていきますか、っと」
 キング・ジャーゴーの突進を、梓と綾は左右に飛んで危なげなく避ける。
「さーて。食材にするなら、先に食わせてやるか!」
 梓はキング・ジャーゴーから大きく距離を取ってから、持ち歩いている『新鮮な食材』を広げた。
「奴が好みそうな餌を作って……奴の好みって、なんだ?????」
「雑食っす!」
 首を傾げかけた梓に、フロント氏が良いタイミングで顔を出してくれた。
「好き嫌いがないのは助かる! 綾、10秒頼む!」
「はーい。あんまり好きじゃないけどね、この姿」
 梓に頷いた綾の姿が、紅い蝶の群れに覆われる。

 オクスブラッド・エンペラー。

 綾の背中に、漆黒の翼が現れる。好きではないと言ったその姿は、ダンピールの持つヴァンパイアの血を全面に押し出したもの。
「ちょーっと待ってな。今、美味いもの作ってるから。俺じゃなくて梓がね!」
 ヴァンパイア化した綾は、キング・ジャーゴーの周りを高速で飛び回って気を引く。
 綾が稼いだ10秒。
 その間に、梓は超級料理人としての業で、凄まじい勢いで100を超える料理を仕上げていた。

 ウォー・アイ・満漢全席!

「零、先ずはそっちのサラダを! 次に焔は、そこの肉の丸焼き!」
『ガウ』
『キュー』
 冷たい料理は氷竜【零】、暖かい料理は炎竜【焔】に。
 成竜化させた竜達に、梓は料理を運ばせる。
「……そんな顔するな。後で食わせてやるから」
 竜達がもの欲しそうにしているので、後が大変になりそうだけれど。
『ジャ?』
 そうして運ばれてきた料理は、今まで見たことがなかったものだったのだろうか。キング・ジャーゴーは首を傾げるようにもたげながら、鋭い牙がびっしり生えた大口を開く。
 そこに、竜達によって料理が投げ入れられた。
『ジャジャジャジジジヤアアアアゴオオオウッ!!』
 その旨さに感激したのだろう。キング・ジャーゴーの大口と、幾つもの目から、謎の光が放たれる。
 味覚のエンペラー的な人が良く放つ系の光である。
 キング・ジャーゴーも、キングだし。
「うんうん。梓の飯は美味いよな、っと」
 その隙に、綾がキング・ジャーゴーに肉薄し――『Emperor』の斧刃が、キング・ジャーゴーの外骨格を砕いて肉を断ち切った。

『ジャッ♪ ジャッ♪』
 梓の料理をよほど気に入ったのか、キング・ジャーゴーが短くなった尾を振って、覇痲無湖の中に戻って行く。その切り口は、料理の効果で既に塞がりつつあった。
 一方、切り分けた尾の方だが――。
「……うわぁ、切っても足がウニョウニョ動いてる」
 綾が言う通り、そっちに残った足は、まだ元気に蠢いていた。
 虫あるあるである。
「元気な、良い食材じゃないか。俺は疲れたから、任せる」
 10秒で大量の料理を作るのは、並の戦いよりも大変だったのだろう。
「仕方ないなぁ」
 欠伸を噛み殺す梓に苦笑しながら、綾は斧槍を置いて、黒地に赤と、赤地に黒の一対の大鎌を手に取る。
「零、借りるね。冷凍保存」
 そして綾は、ウニョウニョ動く脚を、2つの大鎌でスパスパ切り落としていく。
 その切り口を、零が氷のブレスで凍らせていくのを、梓は焔に寄りかかって眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

結城・有栖
…外見に関してはこの際置いておきましょう。
でも、何で襲ってくるんです?

「テンションが上がって興奮してるんじゃないカナ?
相手も巨大だし、コッチもトラウムを呼んで対抗しようネ」

了解です、オオカミさん。

今回はキャバリアのトラウムに乗って出撃です。
攻撃を受けないようにシュトゥルムシステムで風を纏って飛翔しましょう。

そして、上からUCで実体化する幻影の竜巻を使った【範囲攻撃】を放って攻撃です。
相手の体を幻影の風で拘束し、戦闘力を奪って弱体化させ、大人しくしてもらいましょう。

後はシュトゥルムの烈風の刃で尻尾の方の30%程度を【切断】し、回収していきます。

…これ、まだ動いてません?

「新鮮な証拠じゃないカナ」



●切っても動いているのは、イカやタコでよくある事
「……外見に関してはこの際置いておきましょう」
 多くの猟兵が首を傾げたり頭を悩ませたキング・ジャーゴーの外見と言う問題を、結城・有栖(狼の旅人・f34711)はあっさりと頭の中で脇にどけた。
 実はあっさりではなかったかもしれない。葛藤はあったかもしれない。
 けれども、有栖がそう時間をかけずに、脇にどけられたのも事実だ。
 ――それは、キング・ジャーゴーよりも高い視点を得ていたからかもしれない。
『相手が巨大だから、コッチもトラウムを呼んで対抗して良かったネ』
「そうですね、オオカミさん」
 脳裏に響くオウガ――オオカミさんの声に返す有栖の姿は、コクピットの中にあった。魔女のような姿をしたキャバリア『トラウム』の。
『ジャゴッ、ジャゴゴッ』
「でも、何で襲ってくるんです?」
『テンションが上がって興奮してるんじゃないカナ?』
 キング・ジャーゴーはキャバリアをどう思ったのか、何故かトラウムの脚に纏わりついてきている。
『攻撃って感じもしないしネ』
「それは、まあ……」
 オオカミさんの声に、有栖は曖昧に頷いた。
 襲われてるように思えるだけ――なのかもしれない。突進でビルをも倒壊させるというキング・ジャーゴーが本気で巻き付いていたら、トラウムの装甲はもっとダメージを受けていてもおかしくない。
「まあとりあえず、大人しくしてください」
 雑にキング・ジャーゴーを引き剥がし、有栖は『シュトゥルムシステム』を起動。トラウムに風のオーラを纏わせ、上昇する。
「行きますよ、幻影乱舞です」

 想像具現――幻影乱舞。

 有栖の乗るトラウムの前に、風の渦が現れる。
 けれども周囲の風は、穏やかなものだった。
 竜巻は、幻影。有栖が想像力で作った、幻の竜巻。
 それは空から降り落ちて、キング・ジャーゴーにまとわりついて行く。
『ジャ? ジャゴゴ?』
 戦闘力を奪う幻影の効果に戸惑う様に大きな頭部を左右に振っていたキング・ジャーゴーの動きが、次第にゆっくりになっていった。
「30%だと……このくらいですかね」
 動きが止まった所に、有栖は烈風の刃を放ち、その巨体を切断する。
『ジャジャッ!』
 幻影を解除すれば、キング・ジャーゴーは『役目は終わった』と言わんばかりに、覇痲無湖の中へ、勢い良く飛び込んで行った。
 残されたのは、有栖が切った約3割。
「……これ、まだ動いてません?」
『新鮮な証拠じゃないカナ』
 トラウムの中から見えるそれは、やっぱりまだ、ビチビチウニョウニョ蠢いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
(…まぁ虫も食えるしお国柄によっては立派な食材だし
甘辛くした蒲焼なら大抵のは旨いだろ)
「って事で等価交換よろしく!」
何かここの水で養殖されてんならこの毒?が好き…なんじゃね?って事で染み込んでる土とかから植物生やして成長させ種収穫からのUC:苦離捌で栽培、繁殖力ってか寿命(ライフサイクルを短くする方向)を人間以上に高速化
飯を渡す代わりに身を削がせてもらう
自分で回復してくれるからな
楽だぜ

ついでに料理に使える…のか?わからんがまぁ食材も手に入って一石二鳥だな
「こいつがほしい奴は手前、または誰か仲間の肉な」
バトロワ始まるのを後目に俺は農作業に明け暮れるぜ

アドリブ・連携歓迎


ビスマス・テルマール
かなり変わった鰻ですが……ヌメリ(毒性)が無いと言う事は、他の世界の鰻よりかは、生食加工の手間が少ないかも知れません


●POW
同行者が居れば『集団戦術&団体行動』で連携しつつジャーゴさんの攻撃を『空中戦&推力移動』で駆けながら

『第六感』で『瞬間思考力&見切り』『残像&空中機動』で回避しつつ

手持ちの全ての遠距離武装での『弾幕』の『範囲攻撃』で『制圧射撃&一斉射撃』をし『早業』UC発動

ビスキャンサーを纏い『鎧無視攻撃&鎧砕き&怪力』込めた光学蟹鋏(ビームクローズ)突撃で『切り込み』

尻尾の方を頂いたら
生食(刺身やなめろうを作る)
出来る様に念の為『属性攻撃(焼酎)&オーラ防御』付与を

※アドリブ絡み大歓迎



●ウナギのヌメリと血中には毒がある
「かなり変わった鰻ですね……」
「え、いや……虫だよな?」
 たまさか聞こえて来たビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の声に、尾守・夜野(墓守・f05352)が目を瞬かせる。
 肉は鰻の味かもしれないが、虫にしか見えない。
 尾守・夜野(墓守・f05352)が感じているものは、他の猟兵達の多く同じようなものを感じていた。
 どちらかと言えば、『キング・ジャーゴー=ウナギ』とあっさり受け入れているビスマスの方が、少数派であろう。多分。
 だが、ビスマスにとって、重要なのは鰻かどうかではない。
 生食――なめろうに出来るかどうかという、その一点だ。
「ヌメリの毒性が無いと言う事は、他の世界の鰻よりは、生食加工の手間が少ないかも知れませんね。可食部を頂いた後は、血抜きをしてから、焼酎を……」
「いや。こいつらも、毒性を持ってるかもしれないぞ?」
 ブツブツと呟いているビスマスに、湖畔に膝をついた夜野が、声をかけた。
「この湖、結構ヤバめだ」
 今、夜野の脳内では、警鐘が鳴りまくっている。
 湖面で少しだけ濡らした指先に舌を付けてみれば、ビリビリとしたやばい感じが伝わって来たのだ。きっとこの世界の悪魔達でも、湖に落ちたら、ただでは済まないであろう水質。
 けれども、生息域が毒性だからと言って、毒を持っているとは限らない。
「いえ……チャレンジします! この鰻のなめろうに!」
(「……まぁ虫も食えるし、お国柄によっては立派な食材だし、甘辛くした蒲焼なら大抵のは旨いだろ」)
 それでもなめろうを諦めないビスマスに、夜野は胸中で溜息交じりに呟いた。

●空飛ぶキャンサー
『ジャジャジャアアアアッ』
 そこに響く、キング・ジャーゴーの咆哮。
「いきなり来ましたね!」
 何故か突っ込んできたキング・ジャーゴーの巨体から、ビスマスは上空へと飛び上がって回避する。空中で体勢を立て直し、『ディメイション・なめろうブレイカー改』の砲台を向けようと――。
「おや?」
 したところで、ビスマスは気づいた。
 キング・ジャーゴーに、殺意はおろか、攻撃的な意志が感じられない事に。
 今の突進も、どうも興奮して突っ込んできただけの様に思える。
「……まあ、それでも手は抜きません」
 ――Final build。
 ビスマスが自身の鎧装に触れると、そこから機械音声が響き出した。
 ――Bi! Bi! Bi! Biscancer!
「ビスキャンサー転送! 蒼鉛式生成戦術起動!」
 どこからともなく、ビスマスに向かって飛んで来る真紅の機体。それはビスマスに当たる直前でバラバラになって、ビスマスの全身に装着される。

 ファイナルビルド・ビスキャンサー。

 真紅の蟹鎧――頭部パーツは海老っぽい――鎧装ビスキャンサーを装着したビスマスの腕部の先から、光の鋏『光学蟹鋏』が現れる。
「その尻尾、頂きます!」
 背中と腰のブースターを一気に最大出力にして、ビスマスは飛び出した。
 海面を滑るカニかロブスターの様な勢いで、ビスマスはキング・ジャーゴーに肉薄し、光の鋏を一閃。
『ジャゴォォォォォッ!』
 ジュッと音を立てて、3割ほど切り飛ばされたキング・ジャーゴーの尾が湖畔に落ちた。

●豊穣の祭り
 夜野が、身を以て覇痲無湖の水質を確かめたのは、ただの好奇心ではない。
 そんな水の中で、キング・ジャーゴーは養殖されていた理由を推測する為。
 ただ漠然と、悪さに使おうとしていただけで、養殖地にこんな環境を選ぶものだろうかと。
「ここの水で養殖されて野生化したんならこの毒? が好き……なんじゃね?」
 未だ確証はないが、夜野の中で、その考えは確信に近いものになっていた。

「さぁ! 収穫祭の始まりだ!」
 湖畔の土に手をついて、夜野が声を張り上げる。

 【襲】穫祭――ハーヴェスト。

 夜野の周辺の無機物を植物へと変換する術。
 土が有機物か無機物であるかと言えば、どちらでもある。土の中には、植物の種や土生生物、目に見えないサイズの細菌などが紛れており、それらは有機物に当たる。だが、土の大半を構成しているであろう砂礫や微小な金属成分――要するに岩の欠片と言えるものは、無機物だ。
 たっぷりと覇痲無湖の毒素の染みたそれらを変換して、夜野が生み出した紫色の毒々しい草が芽吹いた。
『ジャ? ジャ?』
『ジャジャジャジャッ!?』
 突然の植物に、キング・ジャーゴーも困惑したように巨体をくねらせる。
「餌だ」
 そんな様子を見て、夜野は端的に告げる。
「飯を渡す代わりに身を削がせてもらう」
 キング・ジャーゴーの身体を食材として貰う代わりに、回復用の餌を提供する。
 夜野がわざわざそんな手間をかけたのは、勿論、理由がある。
 単に、ギブ・アンド・テイクの精神ではない。
「って事で等価交換よろしく! こいつがほしい奴は手前、または誰か仲間の肉な」
『ジャァァァァッ!』
『ジャーッ! ジャジャジャッ!』
 夜野の言葉が伝わったのか、キング・ジャーゴー同士が暴れ始めた。見たこともない植物を食べる権利を得る為に差し出す部位を、喰いちぎる為に。

 結果――夜野は『自分の手を汚す事無く、労力をかける事もなく、キング・ジャーゴーの身体を切って』肉を得る事に成功したのである。
 なお、ハーヴェストを解除した際に出来た種は、とても食べられそうにない、見るからに毒!って感じの種子であったそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

食品偽装というワルに加担できると聞きやってきました!
これからはこうったのも厳しく取り締まられちゃうんでしょうか?
もしそうなら悔いの残らないよう全力でワルに取り組みます!

(ジャーゴーの突進を『衝撃波』を使った『ダッシュ』で回避する)
なるほどぉ!確かにこれは活きの良いウナギさんですね!
ちょっと活きが良すぎなので『念動力』で押さえつけます!
動きが鈍くなったところでUC【至悪!罪業集塊理裂刃】で
30%ぶんキッチリ切り取らせていただきます!



●悪事も楽じゃない
 ザッパーンッ!
『ジャ……ジャジャジャジャッ!』
 派手な水音を立てて、覇痲無湖からキング・ジャーゴーの1体が巨体をうねらせて飛び出して来た。
 ドォンッ、と重たい音を響かせた着地の衝撃で、地面が陥没している。
「なるほどぉ! 確かにこれは活きの良いウナギさんですね!」
 感心したような声が、キング・ジャーゴーの近くから上がった。
「ですが、この私! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティことダーティ・ゲイズコレクターは、こんなものでやられはしませんわ!」
 ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)が、自慢げな声を高らかに響かせる。
『ジャジャッ』
「……あら?」
 どや顔のダーティに、ぐりんっと振り向いたキング・ジャーゴーの視線が向けられた。
 自慢げな声を上げたのがいけなかったのだろうか。
『ジャーッ!』
 再び突っ込んで来る、キング・ジャーゴー。
「ちょっと!?」
 衝撃波を利用しながら、避けるダーティ。
 何故か追いかけて突っ込んで来る、キング・ジャーゴー。
「活きが良すぎですわよっ!」
 何度か同じやり取りを繰り返した後で、ダーティは避けると同時に念動力をキング・ジャーゴーにぶつけ、その巨体の動きを封じんとする。
「っ……重……い、ですわね」
 だが、キング・ジャーゴーの巨体を抑えるのは、今のダーティの念動力ではまだ困難だった。
 長くは持たない。
 一撃で決めるしかない。
「常闇に蠢き今世を穢す背徳の力よ!」
 空いた片手を掲げ、ダーティが声を張り上げる。
「邪なる王の皮を切り裂きその鋒を示せ!」
 空に向けたダーティの掌から、赤紫色の輝きが迸る。

 ――至悪! 罪業集塊理裂刃!

 天を衝かんとするかの様に立ち昇った、魔界の空を指す赤紫光の矢印。127を1つに束ねたオーラの刃をダーティが振り下ろせば、キング・ジャーゴーの胴体をあっさりと両断した。

『ジャーッジャッ』
 尾を失った痛みを感じさせない動きで、キング・ジャーゴーが覇痲無湖に戻っていく。
「さて。これをどう食品偽装してやりましょうか」
 きっちり3割ほど頂いたキング・ジャーゴーの胴体を前に、ダーティはほくそ笑んでいた。
 ダーティが今回の件に首を突っ込んだのは、食品偽装というワルに加担できると思ったからだ。デビルキングワールドは、これから変わっていくだろう。
 もしかしたら、そういうワルをする機会は減るのかもしれない。
「ふ、ふふ、うふふ……悔いの残らないよう全力でワルに取り組みますわ!」
 ほくそ笑むダーティの後ろで、フロント氏が『見た目だけ誤魔化せば良いんっすけどね……』と言いたげな顔をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
ウナギに足は無いと思うたがまあいいんじゃないでござるかね、食えれば何でも

やけに協力的な素材でござるが流石の拙者もジャーゴーのクソデカボイスにはうるさすぎて耐えられない
外骨格の隙間から潜り込んでやわらかい肉を切り刻む向こう見ずなクッキングファイターが必要でござる
という訳で腕のツールに【コンソールコマンド】をポチっとな、いでよ拙者の相棒!【流体金属】君をバチクソに強化!後は任せたでござるよ!

流体金属君はこれでいいとして拙者に強化は無い…つまり素手で立ち向かわなきゃならん訳だが…やってやろうじゃねぇかよこの野郎!ガチンコ勝負だ!!!!!
と拙者が体張ってる隙に身体に張り付かせ尻尾を斬りとらせますぞ!



●そんな装備で大じょ(略)
『ジャージャジャジャジャァァァッ!』
「はて。ウナギに足は無いと思うたが」
 無数の脚がワキワキと蠢いているキング・ジャーゴーの巨体を見上げ、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)がぼやくように呟く。
「まあいいんじゃないでござるかね、食えれば何でも」
『ジャッ! ジャッ!』
 あっさりと疑問を棚上げしたエドゥアルトに同意するように、キング・ジャーゴーも巨体の頭部を何度も上下に振ってくる。
『ジジジヤアアアアゴオオオウッ!!』
 更に、空に向かって咆哮を響かせた。
 多分、歓喜の咆哮。
「え? なに? 遠吠え?」
 流石のエドゥアルトも、これにはちょっと困惑を隠しきれない。
「クソデカボイス、うるさすぎでござる……流石の拙者も耐えられない」
 胴体がでかいのだから、声もでかい。
「しっかしまぁ、やけに協力的な素材でござるな」
 うるさいとは言え、攻撃的なものは感じない。
 他の猟兵に向かって突進して行ってるのも目にしたが、そこにも殺意は感じなかった。あれだ。ワンコの突進と同じ感じである。
「とは言え、あの外骨格……向こう見ずなクッキングファイターが必要でござる」
 例え殺意はなくとも、巨体はそれだけで脅威だ。
 だからエドゥアルトは、腕部に装着した戦闘支援ツール『Pip-Boy』のコンソールに指を滑らせ、とあるコマンドを入力した。

 ――それは、エドゥアルトが装備中の全てのアイテムを纏めて強化する術式。

「いでよ拙者の相棒! 【流体金属】君!」
 その『全てのアイテム』の中には、自らの意思を持った流体金属生命体(オウガメタル)『Spitfire』も含まれている。
「強化された【流体金属】! 後は任せたでござるよ!」
 などと宣うエドゥアルトの手を離れた『Spitfire』は、普段の3倍の速さでキング・ジャーゴーの巨体に取り付くと、外骨格の隙間に潜り込んでいく。
「潜り込ませちまえば、中の肉は柔らかい筈。あとはその時間を――」
 言いかけて、エドゥアルトの動きが止まった。
 さっきまで大人しかったキング・ジャーゴーが、突然、暴れ出しているのだ。しかも、何故かエドゥアルトの方に向かってきている。内側から斬られたらさすがに痛いのだろうか。
 しかし、だ。コンソールコマンドで強化されたのは、装備中のアイテムのみ。エドゥアルト自身は、何も変わっていない。
「つまり拙者、素手で立ち向かわなきゃならん訳であるな?」
 どうしてこうなった。
「やってやろうじゃねぇかよこの野郎! ガチンコ勝負だ!!!!!」
 エドゥアルトは謎の覚悟を決めて、暴れ回るキング・ジャーゴーの前で仁王立ち。

「あっ」

 パァンッ。
 覚悟も空しく、あっさりと跳ね飛ばされたエドゥアルトは、空中でグルグルと回りながら高々と打ち上げられて――。
 ドシャァッ!
 派手な音を立てて、頭から地に落ち、倒れ伏す。
 ……。
 ……。
「ふぅ。危ない所でござった」
 数秒後、エドゥアルトはむくりと起き上がってきた。
 ヘルメットと防弾ベストも強化されていなかったら、魔界で入院コースだったかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】アドリブ歓迎です。
ほほほ、キング・ジャーゴーさんですか。
確かに見た目で敬遠される方も多そうですわねえ……
それでウナギと偽る。ワルですわね!
魔界以外でしたらバレたら炎上間違いなしですが、ここだとバレてもワルの所業という事で称えられるかもしれません。
まあ、その後客足が遠のきそうですからバレないに越したことありませんけれど。
料理方法は後で考えるとしてまずは食材集めですわね。
ユニさん、葛葉さん、ちゃっちゃと集めてしまいましょう!

『明星の栄光』を発動して戦闘力マシマシに!
敵POWUCをひらりと飛翔して躱して『クロノスの大鎌』で計ったように30%ほど尻尾部分を切り取りましょう!


ユニ・バンディッド
【魔王国】アドリブ歓迎
おぉ、いんぱくとすごい。
ボクはあらゆるものを盗む魔界盗賊なりに、調達・処理していくよー。
食材の下処理を兼ねて【ラス・オブ・バンディット】透過の穿掌で声帯、耐性、硬い外骨格、たくさんの足、あれこれ盗っ払って弱体化。
直感的に把握した解体新書(攻略データ)もあって、魔王様に葛葉さんが尻尾を処理しやすい様にしていくよ。更に見た目にも関わる要素も盗んで、よりウナギっぽくしていくね。
盗んだものはカードの中へ詰め込んで。えへへ、ボクはあくまで盗賊だもん。外骨格が欲しい、足がたくさん欲しいという悪魔さんもいるからね、これが終わったらいい値で取引できそう。……あ、買い戻す?安くしておくよ。


葛葉・御前
【魔王国】即興も連携も好きにして構わぬぞ。

食材の価値は美味いか、不味いかだけで良い。
本物の鰻か、そうでないかなど些末な事じゃの。そもそも虫を食する文化は世界中に存在するしの。

アルテミシアが食材を切り取り、ユニが下処理をおこなう。
それならば、妾は鮮度を保つために、それを『属性攻撃』と『高速詠唱』で急速冷凍しようかの。

相手は猟兵に協力的なようじゃが、念のために『結界術』の『多重詠唱』で皆の身を守護しておくとするかの。

さて。この鰻もどきの身を、どのように調理したものか。
今から考えておくとするか。



●魔王国――女帝と狐狸精と悪魔の狩り
「おぉ、いんぱくとすごい」
「これはまた……育ったものだのう」
 覇痲無湖から続々と上がって来るキング・ジャーゴーの群れを前に、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)は驚きに目を丸くし、葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)は黒扇で口元を覆い目を細めた。
「ほほほ、キング・ジャーゴーさんですか」
 アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)だけは、いつもと変わらぬ様子で余裕の笑みを浮かべている。デビルキングワールド制覇を目指す女帝として、敵が大きいだけで怯んではいられないのだろう。
「ユニさん、葛葉さん、ちゃっちゃと集めてしまいましょう!」
「はーい!」
「承知」
 アルテミシアの号令に、ユニと御前が応えた。

「さて。こちらに協力的なようじゃが、念のためじゃ。皆の身を守護しておくとするかの」
 まずは葛葉が霊符を切り、自分を含めた3人の身体に結界を纏わせる。
 他の猟兵とのやり取りを見る限り、キング・ジャーゴーが勢い余って突っ込んで来ることもありそうだ。

「ありがと、葛葉さん。それじゃ、盗ませて貰うよ!」
 それを待って、ユニは地を蹴って駆け出した。
 タン、トン、と。小さな足音と共に幾つかの足跡を刻んだところで――ユニの姿が消える。
「――熾烈に盗め、瞬蹄の盗賊。無数の蹄音。透過の穿掌」

 ラス・オブ・バンディット――盗賊の憤怒。

 ユニが独りで磨いた盗賊魔術が一つ。
 まさに文字通りの『目にも止まらぬ速さ』で、駆ける事を可能にする疾さを得る術。例え、キング・ジャーゴーに目が幾つあろうとも、関係ない。
 残像すら残さず、足音を置き去りに、ただ足跡だけを残し。ユニはキング・ジャーゴーに肉薄すると、その外骨格を駆け上っていく。
 そして――キング・ジャーゴーの脚が一つ、ゴトリと落ちた。
「あれもこれも盗んで抜いて、バラしちゃえ」
 ラス・オブ・バンディットは、ただ速く駆けるだけの術ではない。
 攻撃する事で敵の解体新書――攻略データ――を識り、盗む為の術でもある。
 今のユニが本気で盗もうとすれば、キング・ジャーゴーの心臓にすら手が届き得る。
「ま、今回は食材の下処理を兼ねて、ね」
 蠢く脚、硬い外骨格、毒の湖で肉体に蓄積された耐性――物質から概念まで、ユニは盗んで盗んで盗んで盗み続ける。
 あっという間に、キング・ジャーゴー周りには、尾の先から3割ほどの外骨格と脚が散乱し、その身体の一部は白身も露わな丸裸になっていた。

「ウナギっぽくしたよ、魔王様」
「さすがです、ユニさん」
 ユニが離れたのを見届けて、アルテミシアが背中の六翼を広げる。
「次はわたくしの番ですわ」
 黄金の光輪が輝き出し、その光はアルテミシアの全身に広がっていった。
「この力は全きもの、光をもたらすもの」

 明星の栄光――ルキフェル。

 無限の魔力を纏い、自身の戦闘力を高める術。
 アルテミシアが掲げた『クロノスの大鎌』から、光の刃が伸びて、伸びて、どんどん伸びていく。
「その肉、食材として頂きますわ」
 アルテミシアが大鎌を振り下ろせば、光の刃が振り下ろされる。光はスッと音もなく、丸裸になったキング・ジャーゴーの白身を切断した。

「ユニが下処理を行い、アルテミシアが食材を切り取る。ならば妾は鮮度を保つかの」
 それを見ていた葛葉が、ぱしっと黒扇を閉じる。
 その先端を、葛葉は空中に何かを描くように走らせた。

「水曜尾・滴水成氷」

 葛葉の九尾がゆらゆらと揺蕩い、緑の輝きが放たれる。
 葛葉とキング・ジャーゴーとの間の気温が急速に下がって、地面が霜に覆われる。
 その輝きは、冷気は。

 葛葉が九尾に宿した九曜の内の三つ目――水曜星の神氣。

 神氣を浴びたキング・ジャーゴーの身体だった肉塊が、あっと言う間に霜に覆われ、凍り付いていく。
 そして――葛葉が凍結させたのは、肉塊だけではなかった。
「協力的だった褒美じゃ。そのまま傷が開きっぱなしよりはよかろうて」
 キング・ジャーゴーの身体に残った切り口も、霜に覆われ白くなっていた。
 凍らせる事で、傷口を塞ぐと言う手段もある。

 外骨格や脚を盗っ払って、下処理。
 露わになった肉を光刃で、切り分け。
 九尾に秘めた神氣の冷気で、冷凍。
「こうして見ると、でかい切り落としじゃのう」
 流れるような3人の連携で得た、巨大な冷凍肉の塊を見上げ、葛葉がしみじみと呟いていた。
「さて。この鰻もどきの身を、どのように調理したものか」
「キング・ジャーゴーとなると、見た目で敬遠される方も多そうですわねえ……」
 葛葉の隣で、アルテミシアもしみじみと――。
「それでウナギと偽る。ワルですわね!」
 してなかった。アルテミシアは悪事の気配に目を輝かせていた。
「魔界以外でしたらバレたら炎上間違いなしですが、ここだとバレてもワルの所業という事で称えられるかもしれません」
「そんなものかのう」
 既に頭の中で計画(策謀ともいうかもしれない)を巡らせている様子のアルテミシアに、葛葉が首を捻る。
「妾は食材の価値は美味いか、不味いかだけで良いのじゃが」
 と葛葉。
「本物の鰻か、そうでないか、など些末な事じゃの。そもそも虫を食する文化は世界中に存在するしの」
「皆が葛葉さんの様に考えるのなら、炎上もしないのでしょうけどね」
 葛葉の言葉にアルテミシアが肩を竦める。
「まあバレた後、客足が遠のきそうですから、バレないに越したことありませんけれど」
「そうじゃのう……半端な偽りは毒になりかねん」
 アルテミシアの言葉に、葛葉がしみじみと返す。
 千年狐狸精だと言う葛葉の過去には、偽りを騙る事もあったのだろうか。
「贋作なら、ボクも手伝えることがあるかな」
 そこに、ユニが戻って来た。
「回収、お疲れ様ですの」
「えへへ、大漁だよ」
 アルテミシアに、ご満悦な様子の笑みを返して、ユニは手にしていたカードを胸元に近づける。
 胸元に吸い込まれるように消えたそのカードの中には、キング・ジャーゴーの外骨格や脚が収納されていた。
 2人がキング・ジャーゴーの肉塊を前に話をしている間、ユニは剥ぎ盗ったものを集めていたのだ。
 ただ、盗んで終わりにするつもりなどない。
 ユニが盗みの術を磨いたのは、稼ぐ為なのだから。
「外骨格も脚も、どっちも良い素材になりそう。外骨格が欲しい、足がたくさん欲しいという悪魔さんもいるかもしれないからね。これが終わったらいい値で取引できそう」
「この面子だと、ユニが一番、現金やもしれぬのう」
「えへへ、ボクはあくまで盗賊だもん」
 感心したように肩を竦める葛葉に、ユニは嬉しそうに笑って返していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、うなぎだって!

はいはい、料理はこのあともう少ししてからねー。
まずは新鮮な素材をゲットだぜ!

ん、礼儀は大事。きちんとご挨拶しよう!
手土産は何がいいかなあー。
寝床がわりの乾燥水苔(大量)とか、電動の自動団扇(巨大)とか?
制汗剤(消臭剤?)もいいかな、美味しくなりそうー♪

あー、こらこら。
ごめんねー、食べたくなると食べる気満々になる妹でー。
そうだ、痛くない切り開き方ってあるかなあ?
ん、このへんから一撃? まっかせてー♪

メカたまこたち、皮(外骨格)との境目に丁寧に刃……嘴を入れてね♪
うん、身をくるっと巻き上げて、金属板の上に並べてー♪

かば焼きと白焼き、どっちがいいかなー♪


木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

ひつまぶし、うな玉丼、うな重
う巻き、うざく…まつりんどれが好き?
わたし?…全部(照れながら

きりっと目前のうな…ジャーゴーを見据え
…3割
6割程度まで頂けない?
尻尾だけでなく滋養に良い目玉も少し頂きたい
脚はさっと唐揚げてぽりぽりしたいし…
どさくさに紛れて頂くのはマナー違反
どの程度までなら再生的に許容範囲かジャーゴーと交渉しよう
咆哮から聞き取る答え、よし
メイドさんズを呼んで人手を増やし、いざ、収穫

巨大な竹ざると魚さばきはさみにした灯る陽光を手に、巨体をジャンプで移動して

まつりんが取ってる部位とは別の部位を狙い、満遍なく美味しいを味わえるように切り取るね



●2人とも、称号どうした?
 味はウナギと言われても。
 キング・ジャーゴーの見た目がウナギとかけ離れている問題。
「アンちゃん、うなぎだって!」
 多くの猟兵が少なからず抱いたであろう疑念を、木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)は抱いていなかった。素直な良い子である。
「うなぎ……」
 木元・杏(アルカイックドヤ顔・f16565)も信じているのは、油断すればじゅるりと緩みそうな口元を必死に抑えているであろう、きりっと作った表情から伺える。
『ジャァァァァッ! ジャジャッ!』
『ジャゴジャゴジャーゴォォッ!』
 だからだろうか。いきなりキング・ジャーゴー数体に囲まれても、2人とも物怖じせずにいられるのは。
「新鮮な食材提供、ありがとう♪」
 祭莉など、礼儀は大事と、ご挨拶する余裕すらある。
「……3割」
 一方、杏はきりっとした顔のまま、キング・ジャーゴーに視線を向けていて――。
「6割程度まで頂けない?」
『ジャジャジャ――ジャ?』
 杏の口から、キング・ジャーゴーを凍り付かせる爆弾発言が飛び出した。
「あー、こらこら」
 凍り付いた空気を読んで、祭莉が杏にストップをかける。
「でも、まつりん。3割じゃ、足りないと思うの」
 貰える予定の尻尾から胴体にかけてを指差して、杏は祭莉に返す。
「ひつまぶし、うな玉丼、うな重。う巻き、うざく……まつりんどれが好き? わたし? ……全部」
「はいはい、料理はこのあともう少ししてからねー」
 何故か照れたように頬を染める杏を、祭莉は慣れた様子で現実に引き戻す。
「と言うわけで、3割と言わず、再生的に許容範囲まで頂きたい。モツが入っても大丈夫。美味しく料理してみせる。あと尻尾だけでなく滋養に良い目玉も少し頂きたい。脚はさっと唐揚げてぽりぽりしたいし……」
『ジャ……ジャ……』
『ジャゴォ……』
 食欲を全く隠そうとしない杏の周りから、キング・ジャーゴー達が後ずさる。
 キング・ジャーゴー達は察したのだろう。
 目の前のこの小さな猟兵が、捕食者であると言う事を。
「あー、ごめんねー、食べたくなると食べる気満々になる妹でー」
 ますます凍り付いた空気を察して、祭莉はフォローに回らざるを得なくなっていた。
 このまま、キング・ジャーゴーに湖に逃げ込まれでもしたら、うなぎ食べられなくなるからである。
(「かば焼きと白焼き、どっちがいいかなー♪」)
 結局、2人ともいつもの様に食欲旺盛であった。

 なお、祭莉がお土産にと持ってきたものだが。
 乾燥海苔は覇痲無湖に浮かべた途端にシューッと溶けてなくなり、電動の自動巨大団扇は電源確保の問題が壁となり継続使用の目処が立たず、制汗剤は1匹1本でも全然足りなかったと言う、ちょっと寂しい事に

 閑話休題。

『ジャァァァァゴォォォッ』
「よし。じゃあ3割で、代わりに目玉1つ頂くね」
 杏とキング・ジャーゴーの間の交渉が、白熱したやり取りの末、ようやく決着を迎えていた。
 きっちりと交渉し、杏は目玉を頂く許可をもぎ取ったのである。
 押さえきれない食欲でキング・ジャーゴーを怯えさせたりした杏だが、怯えさせるつもりなどなかったし、無理矢理頂いたり、どさくさに紛れて多めに頂く気もなかった。
 そんなのは、マナー違反。
「メイドさんズ、かもん」

 ――うさみみメイドさんΩ。

「目玉をやさしく頂いて……」
 120体以上に複製したうさみみメイドの数体を目玉の回収に向かわせ、杏自身はキング・ジャーゴーの胴体をよじ登る。
「ここでよろし?」
『ジャゴ』
「よし」
 キング・ジャーゴーに確認を取ると、杏は片手を掲げる。その掌から、白銀の光が伸びて――。
「いざ、収穫」
 巨大な魚さばきハサミとなった光剣『灯る陽光』で、杏はチョッキンッと、キング・ジャーゴーの胴体をバッサリと切断した。

「痛くない切り開き方ってあるかなあ? アンちゃんのやり方、大丈夫?」
 杏のやり方を見ていた祭莉が、キング・ジャーゴーに問いかける。
『ジャゴ。ジャジャゴウ』
「ん、このへんから一撃? どうやっても痛いは痛いと……」
 返って来た答えをそう解釈し、祭莉はしばし考え込む。
「まっかせてー♪」
 そして、にぱっと笑顔を浮かべた。
「毎日が修業! メカたまこ、召喚!」

 守護神降臨。

 祭莉の後ろに、123体の戦闘用ニワトリ型ロボが現れ――。
「メカたまこ、合体だ!」
 祭莉はその全てを、1つに合体させた。
 合体させないままで123体の嘴を外骨格の隙間に入れさせて――と言うのも考えたのだが、それでは一撃とは言えない。ただの123撃同時攻撃だ。
 だが合体させたメカたまこの嘴なら、一撃で外骨格を砕いて身を切る事も出来る筈。
「メカたまこ、ごー!」
『コォォオォッケェェェェッ!』
 空気を震わせる鳴き声を響かせて、合体メカたまこがキング・ジャーゴーに飛び掛かる。
『ジャゴ! ジャゴジャジャジャジャジャッ!』
 突然のメタリックなニワトリに驚き暴れ回るキング・ジャーゴーだったが、あっさりとメカたまこの足に押さえ付けられ、その胴体に、鋼の嘴を突き下ろされた。
 ゴシャッ!
 外骨格が砕ける鈍い音が響いて、キング・ジャーゴーの尾と胴体が切り離される。
(「たまこがムカデ捕まえた時に似てるなぁ……」)
 まだビチビチと動くキング・ジャーゴーの尾を咥えたメカたまこの姿に、祭莉の脳裏に木元村での日常を思い浮かぶ。ニワトリは、大抵の虫は食べる強い生き物である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アシズ・アナトテ
ほう、ウナギか……しかし、キング・ジャーゴーよ、良いのか?
汝はせっかく食材となるのに食した者はそれに気づかぬのだぞ?
良いと? ふむ、人の良いことだ。
では、我も協力することにしよう。

『魔皇降臨』で巨大化。戦闘モードへ。
シュルシュルと鋼より硬い『魔皇触手』が高速でしなって一閃、一閃、一閃!
足を削ぎ落し、甲殻を砕き、その身を切り取りましょう。
もちろん、本人(?)が望んでいる尻尾の方です。
『ジャジャジャジャジャアアアアッ!!』は正面から受け止めてその破壊力を吸収。触手の動きが良くなります。


鵜飼・章
ウナギの絶滅危惧問題には鵜飼章文明も懸念を表明しているよ
キング・ジャーゴーくんが日本の食卓を救うかもしれない…
僕はプロの魔獣解体士として立ち上がるよ

虫としてもいい感じのキモ可愛さだ
沢山いるし一匹ぐらい持ち帰れないかな
でも庭に毒沼を作らないと飼育は無理か…厳しいな

ジャーゴーくんは元気に吼えている
ひとまずなだめて落ち着かせよう
ジャゴォ、ジャゴッ?
ジャジャジジャー?ゴォォ…ゴオゴオ
(きみ、どうして食材になろうと思ったの?

動物会話力とコミュ力を発揮して
世間話をしている間にUCで外骨格と足を解体
麻酔を打ち素早く白身を剥ぎ取る
はい終わり、痛くなかったでしょう
ジャーゴーくん…元気な良い子に育つんだよ(なでる


龍巳・咲花
これはどう見てもムカデとかそういうたぐ……ウナギでござるか?
いやいや、良くてオニイソメとかそういう……ウナギでござるかあ!?
確に湖の名前も拙者が居た世界のウナギが有名な場所と読みは同じでござるが……これがホントにウナギ(と同じ)でござるか!!?

軽くカルチャーショックを受けていたでござるが、任務は任務でござるな!
龍脈鎖で動きを抑えつつ、時限爆弾化した鱗を、切断していい長さまでの節と節の隙間に一周囲むように投擲して爆破解体していくでござるよ!
切断部位を他の個体に食べられないように、そのまま鎖で引っ張って保護しておくのでござる

それにしても……これホントにウナギでござるかあ?(切り取った部位見ながら)



●魔皇と鵺と忍者、常識人は誰だ
 ザバァッと紫色の水が盛り上がって、中からキング・ジャーゴーが姿を現す。
「これはどう見てもムカデとかそういうたぐ……これがウナギでござるか?」
 その登場に、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は驚きを隠し切れずにいた。
「確に湖の名前も、拙者が居た世界のウナギが有名な場所と読みは同じでござるが……いやいや、良くてオニイソメとかそういう……ウナギでござるかあ!?」
「ああ、似てるね。オニイソメ」
 驚きと困惑が綯交ぜになった様な咲花に、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)が淡々と頷く。
「虫としても、いい感じのキモ可愛さだ。よし」
 それどころか、キング・ジャーゴーを品評する余裕があった。
 まあ、巨大な虫如きで動じるような細い神経など、彼は持ち合わせていないだろう。
「こんなに沢山いるし、一匹ぐらい持ち帰れないかな」
「持ちかっ……マジで言ってるでござるかあ!?」
 信じ難い言葉が聞こえて、咲花は思わず章に顔を向ける。
「本気だよ。でも庭に毒沼を作らないと飼育は無理か……厳しいな」
 ポタポタと、キング・ジャーゴーの身体から滴り落ちる紫の雫が掛かっているのだが、章は表情一つ変えていなかった。まあ、その程度でどうにかなる細い神経の持ち主ではない。

『ジジジヤアアアアゴオオオウッ!!』
 そうこうしている内に、キング・ジャーゴーの1体が咆哮を上げた。
 中々狩りに来ないから、焦れて来たのだろうか。
「っ! 凄い音でござるな……!」
 その音量に、咲花が思わず両手で耳を塞ぐ。
 攻撃的な意思は感じないが、それでも空気が震えるのと感じ取れる程だ。
「ジャーゴー君。元気なのは良い事だけど、落ち着くんだ」
『ジジジヤアアアア――!』
 章が宥めようとしても、咆哮は止まず――。
「ジャゴォ、ジャゴッ?」
『ジャ?』
 あ。鳴き真似で、止まった。
「え? それで通じるでござるか?」
「ジャジャジジャー? ゴォォ……ゴオゴオ?(きみ、どうして食材になろうと思ったの?)」
『ジャゴーッ! ジャージャジャッ、ジャジャンゴジャゴッ、ジャゴッ』
「そうか……ウナギの絶滅危惧問題には、鵜飼章文明も懸念を表明しているよ。キング・ジャーゴーくんが日本の食卓を救うかもしれないね……」
「これは一体、どう言う事でござる……? これがホントにウナギと同じでござるか!!?」
 何故か、章とキング・ジャーゴーの間で会話が成立した瞬間を目の当たりにして、咲花の困惑はますます深まってしまっていた。
 バビロニア忍者、今回の常識人枠かもしれない。

「ふむ。キング・ジャーゴーよ。それで良いのか?」
 そこに、新たな声が響いた。
 ――否。
 響いた、という表現では、適切ではないかもしれない。
 空気を伝って聞こえるのではなく、直接頭の中に響くように聞こえるその声は、2人の後ろでさっきからずっと漂っている3m近い肉塊――アシズ・アナトテ(魔皇・f34872)が発したものであった。
 こんななりだが、アシズも猟兵である。
「汝はせっかく食材となるのに、食した者はそれに気づかぬのだぞ?」
『ジャゴン! ジャゴジャゴ』
 アシズの声はキング・ジャーゴーにも届いていたようで、肯定する様に頷く。
「良いと? ふむ、当人の良いことだ。では、我も協力することにしよう」
 アシズも、普通にキング・ジャーゴーと会話が成立していた。
「…………」
 もう、咲花は言葉を失っている。
「終焉である」
 アシズの全身が蠢き、幾つもの触手がウゾゾッと生えて来た。
 触手だけではない。肉塊部分も、ズモモモッと巨大化していた。
 キング・ジャーゴーの巨体でも、受け止められそうな程に。

 ――魔皇降臨。

 あらゆる攻撃を吸収、ないしは反射する、アシズの戦闘形態の一つ。
「来るが良い。我が受け止めてやろう」
「ジャジャジャアアアアッ!!」
 理解して貰ったのが嬉しかったのか、早くと急かしたかったのか。キング・ジャーゴーが、遠慮のない勢いでアシズに突進し――ズドンッ!
「ほう――」
 巨大化したアシズの身体が数m、後ろに押しやられた。
「では望み通り、その身は頂く」
 しかしアシズは意に介した風もなく、その衝撃を取り込んで速度を増した『魔皇触手』をしならせ、縦横無尽に振り回す。
 ヒュンッヒュンッと風を切る音を響かせて、触手がキング・ジャーゴーの脚を切り落とし、触手を砕き、中の身を両断した。

「僕もプロの魔獣解体士として立ち上がるよ」
 アシズに向けたキング・ジャーゴーの答えを、やはり章も解していたらしい。
 鴉の羽根を思わせるフォルムの解体用の黒い鉈と、太めの針を手に、立ち上がる。
 1歩、2歩、3歩とキング・ジャーゴーに歩み寄って――。
「まあ、もう終わってるだけどね?」
 章の目の前で、キング・ジャーゴーの尾が胴体と別れていた。

 解剖実習――サイエンスフィクション。

『ジャ!? ジャ!!?』
「ジャーゴー君の心意気に応えて、少し急いだよ。麻酔も打ったから、痛くなかったでしょう」
 いつ斬られたのか判らず混乱するキング・ジャーゴーの外骨格に、章が手を伸ばす。
「ジャーゴーくん……元気な良い子に育つんだよ」
 毒々しい水が残っているのをものともせず、章はキング・ジャーゴーを撫でていた。

「……任務は任務でござるな!」
 軽い(?)カルチャーショックから立ち直った咲花の下にも、キング・ジャーゴーが迫っていた。
 早く捌いて欲しいのだろうか。
「少し押さえさせて貰うでござる」
 一度地面に手をついてから、咲花が大きく跳び上がる。その掌には、地面から伸びる鎖が繋がっていた。
 龍脈鎖――鎖状に変化させた龍脈の力をキング・ジャーゴーに放って巻き付けると、咲花はその巨体の上に降り立つ。
「龍陣忍法・バビロニアン・ムシュマフ・スケイル! の術でござる!」

 ムシュマフ――それは、古代バビロニア龍脈に眠る炎竜の名。
 その首に認められ、咲花は能力者から猟兵へと覚醒を果たした。その力の一端、炎竜の鱗を喚び出す術。

 咲花は炎竜ムシュマフの鱗を、キング・ジャーゴーの外骨格の隙間へ次々と放っていく。
 全てを、同じ1つの外骨格の隙間に。
「拙者、未だ修行中の身。痛みを与えてしまうでござるが、せめて一撃で解体するでござるよ」
 咲花は隙間に入れた鱗を全て、時限爆弾へと変換した。
「ニンニン」
 パシンッと咲花が手を叩けば、その全てが同時に爆発する。キング・ジャーゴーの外骨格の中で、その身体をぐるりと一周する様に、100を越える爆発が一度に起きて――。
 ゴトンッと重たい音を立てて、キング・ジャーゴーの尾から3割が落ちた。

「それにしても……これホントにウナギでござるかあ?」
 爆破解体した部位を龍脈鎖を巻きながら、咲花はまだ、それがウナギ代わりになるとは半信半疑だった。
 だが――。
「むむ? この匂いは……」
 爆発の熱を浴びたからかだろうか。
 咲花が引き寄せたキング・ジャーゴーの切断面から、香ばしい匂いが既に漂っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白・米澤
アド連○・POW
3割程を食材に?それなら【戦闘料理】である程度手伝えそうですね。
(Lvが低いので【料理】にも限界がありますし……Lvを上げて次回の料理で本領発揮しようかと♪)
では猟理器具【白澤11520つ道具】を持って襲いかかります。美味しい食材になってもらいましょうか。
【部位破壊】及び【解体】を駆使しつつ、【剥ぎ取り振動ナイフ】も併用して剥ぎ取ります。
突進や圧し掛かりは寧ろナイフの【貫通攻撃】でその部位を切り取ってしまいましょう。……頂きはしませんが、ここもすぐ再生するんですよね?

提案ですが、これは鰻との事ですが、白身魚として扱うならムニエルとかにも出来ると思います。鰻のムニエルも素敵では?



●謎の白い粉
「3割程を食材にして良いと? それなら手伝えそうですね」
 見上げる程に巨大なキング・ジャーゴーを前にして、白・米澤(猟理系ハクタク・f37764)は赤い目を爛々と輝かせていた。
 かつて山に住み、料理の研究をしていた米澤だ。
 山育ちならば虫は見慣れているのだろうし、未知の食材を前に、心が弾むのも仕方がないというもの。
「それに、どうやら外骨格は食べられない様子」
 既に、キング・ジャーゴーの尾から3割を切り分けた多くの猟兵達が、外骨格をそのまま残している。
 キング・ジャーゴーがビルをも砕く一因が、その外骨格だ。
 そんな硬いもの、いくら猟兵でも食えたものではない――そのままだったなら。
 米澤には、外骨格も美味しくする手段があった。
「全部まとめて、美味しい食材になってもらいましょうか」
 米澤の意を受けて、その掌中で『白澤11520つ道具』が形を変える。
 持ち手は長く、先端は大きくなり、先端部の両端はトゲトゲした形状に――。
「ハンマー……いえ、肉叩きですねこれは」
 米澤自身も一瞬そう思ってしまった程にハンマーな形だが、『白澤11520つ道具』は調理器具にしかならない筈なので、これは多分、大きな肉叩きなのだろう。
「いきます」
 それ以上は深く考えず、米澤はキング・ジャーゴーの尾側に回り込むと、飛び掛かると同時に肉叩きとなった『白澤11520つ道具』を叩きつけた。
 バキンッと鈍い音が響いて、砕けた外骨格の一部が落ちる。
 否。それはもう、キング・ジャーゴーの外骨格ではない。
 何故か、袋に入った白い粉になっているではないか。
「これは……小麦粉ですね!」
 米澤が袋を開けてみれば、何故か小麦の香りがふわりと広がって来る。

 ――戦闘料理。

 猟理器具――米澤の場合は『白澤11520つ道具』で攻撃した無機物と敵を、食材と変える業。
 それにしたって、なんで外骨格が小麦粉に変貌したのか――と言うのは謎だが、米澤がそれを必要とする料理を考えていたからかもしれない。
「うなぎと言う事ですが……白身魚として扱うならムニエルも出来ますよね。白身に小麦粉ときたら、むしろムニエルにするしかないのでは?」
『ジャゴジャゴ』
 米澤の言葉に同意するかの様に、キング・ジャーゴーも頭を上下振る。
 自分の砕けた外骨格が、謎の白い粉になったと言う現象は、どうやら気にしてないようだ。
「そうと決まれば、どんどん砕いて、解体させて貰います」
 『剥ぎ取り振動ナイフ』も手にして、米澤はキング・ジャーゴーの解体に勤しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『相手を騙せっ!詐欺料理コンテストっ!』

POW   :    味でビックリさせる事に重点を置き料理

SPD   :    量でビックリさせる事を重点に置き料理

WIZ   :    見た目で騙す事を重点に置き料理

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●詐g……誤魔化し料理のお時間だ
 覇痲無湖から出て来たキング・ジャーゴーから、それぞれに3割ほどの食材を頂けた。
 その数、キング・ジャーゴー十数体分。
「いや、頼んでおいてなんですけど……すげえっすね……ハハハ」
 文字通りの肉の山を前に、若手の悪魔シェフ、ボード・フロント君は驚愕で乾いた笑いを上げていた。
 彼が正気に戻るまでに、改めてキング・ジャーゴーの肉を検分しておこう。

 白身だ。綺麗な白身だ。
 毒々しい紫の湖に棲んでいると言うのに、その毒素が染み込んでいる様子はない。
 適度な弾力もあり、それでいて硬い様子もない。
 凍らせていない身の断面からは、ジワリと脂も滲んでいる。
 通常より大きいと大味になりやすい、などと言われる事もあるが、この分なら味も期待できそうだ。
 ただし、ウナギならばついている皮が無い。
 目打ちをしたり開く手間がない分、ウナギと勝手が違う部分もあるだろう。
 ウナギで使える調理法なら大体美味しくなると言う予知が出ている、事ではあるが――それは料理が成功が保証されている事と、イコールではない。
 なんだかんだ言っても、キング・ジャーゴー自体、未知の食材と言っていい。
 その上、求められているのは、キング・ジャーゴーの虫っぽさを薄れさせ、かつ美味しい料理。
 多少のチャレンジは、してみてもいいかもしれない。

「これだけあったら、失敗を気にせずメニュー開発していただけるってもんでさぁ!」
 丁度、フロント君も戻って来た。
「厨房は、ウチの店の使って貰ってイイっす」
 まだ新規開店前とは言え、レストランの厨房だ。調理器具や他の食材などは、揃っているだろう。
 別に使い慣れた調理器具や、自前の調味料を持ち込みで使っても構わない。
 ただひとつ、注意すべき点はある。
「あっしが再現できる料理で頼んます!」
 独自のユーベルコードや、他の世界から持ち込んだ食材が肝になるような料理では、後でフロント君が再現する事が出来ない。それでは意味がない。
 ただ、それは料理に限った話だ。
 料理以外――例えば、使う食器や店の内装と言った部分であれば、特に再現性を気にする必要もない。
「それじゃあ、よろしく頼んます!」

============================================================================

 と言うわけで、2章です。
 詐欺料理と言っても、美味しく食べて貰うための詐欺になります。
 なおフラグメントは料理になっていますが、食器や内装と言った部分でもOKです。

 プレイング受付は7/11(月)8:30~とさせて頂きます。

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アシズ・アナトテ
さてさて、ジャーゴーの献身。それに汝は応える義務がある。

とフロントの脳内に響く声。

猟兵達は様々なジャーゴー肉を食材とした料理を提示するであろう。
しかし、それらが如何にウナギに偽装できようとも、如何に美味かろうとも汝が再現できなければ意味がない。
そこでだ。汝の魔界料理レストランを成功させたいという欲望を叶える一助となるモノそれがコレだ。

そう響く声と共にお出しされるのは光り輝く(!)料理。
『魔皇贈物』で創造された一品だ。食せば多分、料理のスキルが爆上げである。

覚悟を決め、食するが良い。(圧)

と食べれば多分、どんな料理も再現可能なくらいの腕を手に入れられるんじゃないでしょうか。悪魔がする悪魔の契約。



●唐突に覚醒イベント
「そこなるコックよ――」
 猟兵達の料理の準備を手伝うフロント君の頭の中に、突如、声が響いた。
「誰っすか?」
「我である」
 フロント君が振り向いたそこに漂う、触手を揺らす肉塊――もとい、アシズ・アナトテ(魔皇・f34872)。
「さてさて、ジャーゴーの献身。それに汝は応える義務がある」
「あ、ラスボスの方っすね」
 アシズに気づいたフロント君は、驚くでもなく、完全に向き直って話を聞く顔になる。

 今、あなたの脳内に話しかけています――アシズがやっている事は、そう言う感じのアレなのだが、フロント君は全く動じていなかった。
 漂う肉塊も、脳内に直接語られるのも、この世界では驚くようなことではないのかもしれない。
「猟兵達はジャーゴー肉を食材とした、様々な料理を提示している」
「うすっ! それはわかるっす!」
 響くアシズの声に、フロント君は力強く頷く。
「しかし、それらが如何にウナギに偽装できていようとも、如何に美味かろうとも、汝がそれらを再現できなければ意味がない」
「……それは……っ」
 響くアシズの言葉に、フロント君は押し黙った。
 その沈黙こそが、答えだ。
「既に汝も解しているようだな。そこでだ。汝の魔界料理レストランを成功させたいという欲望を叶える一助となるモノを、我が授けてやろう」
「!」
 響き続けるアシズの声に、フロント君がぱっと顔を上げる。
「それがコレだ」
「っっ!?!?」
 ペカーッ!
 フロント君の前に、虹色の輝きが現れた。

 魔皇贈物――マオウノオクリモノ。

「汝の欲するモノだ」
 触手によってフロント君の眼前に差し出された『虹色に光り輝く料理』は、アシズの魔力で作られ対象の願いを叶えると言う特別な料理である。
「食するが良い。さすれば、汝の料理の腕は爆上がりであろう――多分」
 そう言われても、その輝きが眩すぎて、どんな料理なのかすらわからない。食器の類が見当たらないので、そのまま丸かじり出来るものなのだろうと、辛うじてわかるくらいだ。
「覚悟を決め、食するが良い」
 悪魔が持ち掛ける、悪魔の契約。
「……南無三!」
 脳内に響くアシズの声と、その圧に押され、フロント君は意を決して、虹色の物体を掴んで――躊躇いを捨てて、一口に放り込んだ。
「こ、これはぁぁぁぁぁっ!」
 咀嚼もそこそこにゴクンッと飲み下した瞬間、フロント君の全身が、アシズの料理と同じ虹色に包まれる。
 同じ光がフロント君の角から迸り、店内を明るく照らし――。
「?」
 光は直ぐに収まり、フロント君は同じ姿で立っていた。
 見た所、特に変化は見られない。
「見える……見えるっす!」
 後に判明する事だが――フロント君の料理の腕は確かに上がっていた。具体的には、この時点のアシズの『悪のカリスマ』のレベル分くらいは上がっていたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白・米澤
アド連歓迎
鰻のムニエルを【料理】しますね。
まずじっくりと火を通します。あ、柔らかくなくていいです。再現する時は固めでお願いします。
そして先程手に入れた小麦粉をまぶしまして、【白澤11520つ道具】をフライパンへと変形(今回は指定します)。
バターを敷いたら先程の鰻をフライパンで焼いて……
盛りつけにレモンでも乗せてみましょうか。レモンはありますか?

出来上がったらお皿に盛りつけてレモンを乗せ、フロントさんに試食してもらいましょう。
今回はこの世界限定の料理との事でしたが、オブリビオン料理や魔獣も美味ですよ。今度食べてみませんか?オブリビオンは無理?そうですか……。



●謎の白い粉の使い方
「再現できるように、と言う事ですので、どうせなら見てますか?」
「押忍!」
 準備が整った白・米澤(猟理系ハクタク・f37764)が、フロント君を調理場に招き入れる。
 遥か昔、山に住んでいた頃に訊ねて来た当時の帝に11520種もの料理を教えた事に比べれば、1人に料理の手順を見せる程度、大した苦労ではない。
「まずは、これに火を通します」
 米澤は塩を振ったキング・ジャーゴーの切り身に竹串を刺して、炭火を熾した七輪で炙っていく。
「焼き加減は柔らかくなくていいです。再現する時は固めでお願いします」
 通常のウナギの白焼きよりも、固めの焼き加減。
 この後の工程を考えれば、ふわっと焼き上げると崩れてしまうかもしれない。
「焼けたら熱い内に串を外して、これを使います」
 米澤が取り出したのは、麻袋にパンパンに詰まった白い粉――キング・ジャーゴーの外骨格を叩いて作った、言うなればキング・ジャーゴーの小麦粉である。
「例の白い粉っすね!」
 フロント君、言い方。
(「……この世界ですしね……」)
 米澤はそれを特に気にする事無く、調理の続きにに取り掛かった。
 器に開けた小麦粉を、白焼きにしたキング・ジャーゴーの両面にたっぷりとまぶす。
 あとは、仕上げだ。
「今度はこれで焼きます」
「これ?」
 焼く――そう言いながら包丁を手にした米澤に、フロント君が首を傾げる。
 だがその直後、【白澤11520つ道具】は、一瞬で包丁からフライパンに変化した。しかも、油がいい感じに馴染んでいる育ったフライパンである。
「なにソレ!? 欲し」
「駄目です」
 驚愕しつつ目を輝かせたフロント君を、米澤が食い気味にぶった切る。
「料理に戻りますよー」
 米澤は何だか慣れている様子だ。もしかしたら、過去にも似たような事があったのだろうか。1つで包丁にもフライパンにも使えるアイテムなんて、どこの世界の料理人でも欲しがるだろう。
「フライパンにバターを敷いて、両面を焼いていきます」
 フライパンの上でバターが溶けて、香ばしい匂いが漂い始める。
 そこに小麦粉をまぶした切り身を乗せれば、ジュッと脂が爆ぜる音が響いた。
「後は盛りつけに……レモンでも乗せてみましょうか」
 焼けるのを待っている間に、レモンをくし切りにしておく。
 あとは両面、まぶした小麦粉がカリッとなるまで焼いて、レモンを乗せればウナギ――もとい、キング・ジャーゴーのムニエルの完成だ。

「どうでしょう?」
「美味っ! 白い粉がカリッとして、中の身はふわっと……レモンの風味もあって、虫感全然ないっす。これがキング・ジャーゴーの味なのか……!」
 流れで試食役になったフロント君の評判も、上々。
「難しい手順もないし、これなら再現出来るっすね」
「それは良かったです」
 メニューの一つになりそうだと、米澤も一安心。
 ――安堵したら、違う欲が首をもたげた。
「ちなみにですね。今回はこの世界限定の料理との事でしたが、オブリビオン料理や魔獣も美味ですよ。今度食べてみませんか?」
 最近は別の雲海に浮かぶ世界に居を構える米澤は、魔獣料理に嵌っている。
 確かに、あの世界の魔獣は美味しい。だが、この世界ではオブリビオンは、すげえワルな存在だった。
「オブリ……ムムムム無理っす!?!?!!?」
「そうですか……」
 フロント君の反応も無理もないのだが、米澤はちょっと残念そうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
え!?私が調理するんですか!?
うぅ…料理は炊飯器でご飯を炊くぐらいしかやったことない私ができるんでしょうか…
(UC【害悪!穢憐人形魔叶令】が勝手に発動する)
『やってもいないのにどうして諦めるんですか!?』
え!?だ、誰!?
『頑張れ頑張れできるできるやれる気持ちの問題だ絶対できる!』
そ、そうですね…なんだかやれる気がしました!
『ネバーギブアップ!』
うおぉぉ!燃えてきました!
確か昔食べたウナギは甘いタレに浸かって美味しかった記憶があります!
なら私の{暗黒キャラメル}を溶かして作ったタレに漬け込めば美味しいはず!
いや絶対美味しい!料理は『気合い』だ!いくぞぉー!



●気合いはきっと足りていた
「キング・ジャーゴーの料理、よろしく頼んます!」
「……え!?」
 フロント君のその一言は、ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)にとって寝耳に水だった。
(「私が調理するんですか!? 食品偽装するのではなく?」)
 ちょっとだけ、思っていた事と違ったようだ。
(「うぅ……料理は炊飯器でご飯を炊くぐらいしかやったことない私ができるんでしょうか……」)
 何とか顔には出していない(と思う)が、内心、冷や汗ダラダラである。
 取り敢えず包丁を手にしてみたダーティだけれど、両手で握ったまま、数分もフリーズしている。

 ――いっそ、素直に料理が出来ない事を打ち明けて、味見係に徹してしまおうか。

 そんな考えすら、ダーティの脳裏に過ぎり始めた、その時だった。
 ダーティの周りの赤紫色の矢印が集まり、オーラの塊となったその中から『ソレ』が現れたのは。
『やってもいないのにどうして諦めるんですか!?』
「え!? だ、誰!?」
 背後に突然現れた『自分そっくりの姿の自動人形』に驚き、ダーティの肩がビクリと跳ねる。

 ――害悪! 穢憐人形魔叶令。

 オーラの塊の中から『デビルキングの座に一歩でも近づきたい』という願いを叶える為の自動人形を創造する術なのだが――何故かこの術、ダーティが挫けそうになると勝手に発動して、自動人形が現れる。
 大丈夫? 術と思いつつ、何かに憑かれてたりしない?
『頑張れ頑張れ! できるできるやれる! 気持ちの問題だ絶対できる!』
「そ、そうですね……なんだかやれる気がしました!」
 当のダーティは、驚きながらも自動人形の熱(苦し)い叱咤激励によって、暗くなっていた瞳に徐々に光が戻って来ていた。
『ネバーギブアップ!』
「うおぉぉ! 燃えてきました!」
 光が戻るどころか、瞳の中に炎が燃えてる勢いである。
 メーター振り切れてる。
 傍から見ると自分で自分を励ましている様にしか見えないが――ダーティが創造した自動人形が、ダーティ自身の中に在って内に隠れて出せなかった自信の現れだとしたら、そう不思議な事でもない。
「そうだ! 昔食べたウナギは美味しかった記憶があります!」
 そして自信が、過去の経験を呼び起こす。
「確かあの時は……甘いタレに浸かっていた筈」
 ダーティの前に見えた、美味しさへの光明。
「なら……私の『暗黒キャラメル』を溶かして作ったタレに漬け込めば美味しいはず!」
 だが閃きが全て美味しくなるなら、誰も料理を失敗しない。
「いや! はずじゃなく、絶対美味しい! 料理は『気合い』だ!いくぞぉー!
『気合だ! 気合だ! やればできる!』
 自動人形にも背中を押され、ダーティーは『一粒食べると悪事が浮かぶ』と言う売り文句(勿論ウソである)の暗黒キャラメルを一箱分、まとめて鍋に開けて火を付けた。
 中火でコトコト煮込んで溶かして出来た黒いキャラメルソースを、薄切りにしたキング・ジャーゴーの白身を両面焼いたものを漬け込んでたっぷり絡めれば――。
 見た目は、ウナギの蒲焼き風である。
「美味しいに決まって……美味しい……不味くは……」
 だが意気揚々と口に入れたダーティの表情が、段々曇っていく。
 料理の『さしすせそ』の『さ』は入っているとは言え、ほぼそれだけのようなものだ。
「珍味枠っすね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
「んー…虫っぽさなぁ
元が甲殻類にゃ近いとは聞いてるが…今回のこれ既に足とかねぇし繊維質でもない
言われなきゃ多分わからねぇんだよな」
身は白身の魚が近いか?
勿論骨も無さそうだ

「…ナスと組み合わせるか
ナスも蒲焼あるしな
…天ぷらは…普通の白身魚の天ぷらとして出した方が美味そうだな」

皮の代わりにナスで挟んで蒲焼にした物

それと(余った)ナスと白身魚()、大葉の天麩羅を作ろうかな

「挟み焼きの方は見た目まぁまぁか?でも焼き辛いな…焼いた後に皿の上で重ねるか
ついでに葱、錦糸卵、七味を散らせ…あー…下に米引こう」
米が欲しくなる味だった
「天麩羅は…何塩が合うか…利用者に選ばせるか」

UCは使うが人手増やす為だけだぜ



●1人より2人
「んー……虫っぽさを薄くなぁ」
 キング・ジャーゴーの肉塊を前に、尾守・夜野(墓守・f05352)は困った様に頬をかいていた。
「元が甲殻類に近いのは、見りゃわかるが……これ、既に脚とかねぇし、肉も繊維質でもないしな」
 夜野も、生きてるキング・ジャーゴーの外見は、はっきり覚えている。
 あれは虫っぽいと言われても仕方がないが、目の前にあるのは、滲み出る脂でツヤツヤと輝く肉塊だ。既に外骨格も外され、胴から切り落とした後でもワシャワシャと動いていた脚もない。
「キング・ジャーゴーだって言われなきゃ、多分わからねぇんだよな……」
 ぼやくように言いながら、夜野はキング・ジャーゴーの肉塊の端を小さく切って、口に入れてみる。
(「白身の魚が近いか? 毒は勿論、骨も無さそうだ……」)
 湖の水質を確かめた際、舌にビリッと感じた危うさは肉には感じられなかった。ウナギと同じ調理方法が出来ると言うのも、頷ける。
「……ナスと組み合わせるか。ナスも蒲焼あるしな。あとは……天麩羅……普通の白身魚の天ぷらとして出した方が美味そうだな」
 夜野の頭の中に、献立が浮かんで来た。

「ナスはこれで良いか」
「おう。皮がないからな。代わりにナスで挟むといいんじゃないかと」
 厨房の中で、2人の夜野が忙しそうに動いている。

 ――オルタナティブ・ダブル。

 もう一人の自分を作る術で、夜野は自分を増やしていた。料理には人手がいる。
「ほい、蒲焼きのタレ」
「よし。焼いてみるか」
 ちなみにタレを作っていた方が増えた夜野で、フライパンで焼き始めている方が夜野本人である。
 ややこしいので、夜野2Pとしておこう。
「見た目、まぁまぁだな」
「だが焼き辛いな……」
 今作っているのは、1cm程度の厚みに切ったキング・ジャーゴーの肉をナスで挟んで、醤油ベースの甘辛いタレを絡めて蒲焼き風にした『ナスとキング・ジャーゴーの挟み焼き』とでも言うべきものだ。
 ウナギなら皮があるが、キング・ジャーゴーの肉にはそれがないと言う問題点を、ナスの皮でカバー出来ないかと試してみたのだが、ナスが滑るので普通に焼きにくい。
「味もまぁまぁじゃねぇか」
 とは言え、夜野2Pの言う通り、味も悪くない。
 水分量の多いナスは、脂の多いものと一緒に焼くと、その脂を良く吸う。旨味と共に。キング・ジャーゴーの肉をナスと一緒に焼くのは、理に適っていると言えよう。
 発想は悪くないのだ。
「……焼いた後に皿の上で重ねるか。ついでに葱、錦糸卵、七味を散らせ……あー……下に米引こう」
「確かに、米が欲しくなる味だな」
 夜野の呟きに、夜野2Pが頷く。
 なんだか、五目うな重みたいなものになりそうだ。
「で、このナスの余った身は天麩羅にしてみようかと」
 ナスの皮を利用するつもりだったので、身の方が少し余っている。
 それを夜野2Pが用意しておいた、小麦粉を卵と氷水で溶いた衣に付けて、たっぷりの油で揚げる。ついでに、キング・ジャーゴーの白身と、大葉も。
 キング・ジャーゴーの天麩羅は、食感はきすやアナゴの天麩羅に近いものになった。
 ただ、尻尾や皮がないので、見た目はイカ天である。
「天麩羅は……何塩が合うか……」
「利用者に選ばせるか?」
 揚がった天麩羅を試食しながら、夜野達は味付けについて議論を交わすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
虫っぽい臭みが気になるならカレー粉でもまぶしておけばいいんでない?

拙者に料理技能を期待しても無駄なんだよね!ご当地もんを買うか強奪するか現地でサバイバルばっかだからな!
なのでお呼びしました、【知らない人】でござる!料理が出来る奴が出るまで何回か出したんだよ知らない人をな!なので店のそこら辺には知らない人達でいっぱいだァ!

知らない人が作ってる間拙者はいい感じのお皿見つけてくるね
(適度に肉をぶつ切り)
(肉をソテーし塩胡椒少々)
(魔ニンニク、魔界トマト、酒を入れて煮る)
…という訳でできたのがこのキングジャーゴーの魔煉獄(マレンゴ)風だそうでござる
煮込みなんで臭み消ししやすく作りやすいんだそうな



●ダレダコイツラ
 ――そのカオスは、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が厨房に入ってしばらくして起きた。
 厨房が、人で溢れているのだ。
「えー、君、料理出来る?」
「無理!」
「チェンジ! 次! 料理出来る?」
「出来ないでごわす」
「チェンジ! 料理……」
「出来ない」
「チェーンジ!」
 と言うか、現在進行形で、増えている。
 エドゥアルトが、喚び出しては料理出来ない人を脇にどけて、また新たに誰かを召喚し続けている。
 ――なんで?
「キャンユー料理?」
「いやだよ、おじいさん。ご飯はさっき食べ――」
「チェンジッ!!! 料理は出来るでござる?」
「おいおい。この格好で料理出来ないと思われたのか?」
 そしてついに――ついにエドゥアルトは何人目かで、コック服姿の青年を喚び当てた。
「騒がせたござるな。けれどお呼びしました、こちら――料理の出来る知らない人でござる!」
「知らない人なんっすかぁ?!」
 謎の青年コックを紹介するエドゥアルトの言葉に、フロント君がたまらずツッコミの声を上げる。
「なんで知らない人……どういう事……?」
「うんうん。わかるよ。誰? ねぇ……誰なの? ってなるでござるよな。怖いでござるよな」
 困惑で顔色まで変わっているフロント君の肩を、エドゥアルトの手がポン、と叩く。
 ――誰のせいだ。
「でも、拙者、料理技能は皆無でござる」
 別に料理が全く出来ないわけではないが、エドゥアルトがこれまでしてきた料理と言えば、ご当地ものを買うか強奪するか、サバイバル的な事ばかり。
「虫っぽさを隠す、と言われてもね……臭みが気になるなら、カレー粉でもまぶしておけばいいんでない? と思っても臭みなくねぇ? くらいしか判らんのでござる」
 じゃあ、判る人を召喚しよう――と思い立った結果が、この状況である。
 何か『知らない人』を召喚する術を、エドゥアルトは料理が出来る『知らない人』が出て来るまで、何度も何度も繰り返したのだ。
 ソシャゲの初回無限繰り返しガチャみたいに、ユーベルコードを使わないでいただきたい。
「と言うわけで、知らない人! この鰻的サムシングなお肉を料理してくれ。拙者は、その間にいい感じのお皿を見つけて――」
「ちょっと待て、でごわす」
 謎の青年コックに料理を丸投げしようとしたエドゥアルトの肩を、放置されていた知らない人の一人の大きな手がガシッと掴んだ。
「いつ帰れるんでごわす?」
「……料理終わったら?」
 エドゥアルトの肩がミシミシッと軋むくらい、コックじゃない知らない人の握力が強くなった。

 やや厚めに切ったキング・ジャーゴーの身を、魔界オリーブオイルを引いたフライパンに乗せる。
 塩胡椒を振りながら、両面を軽くソテー。
 一度フライパンから上げて、魔ニンニクスライスをまぶし、アルミホイルで包んで寝かせる。
 しばし経ったらフライパンに戻し、追加の魔ニンニク、魔界トマト、魔界の赤ワインを投入し、酒気が飛んでとろみがつくまで煮込めば――完成。
「出来たぞ。これでいいのか?」
 エドゥアルトが自分で振りまいたカオスによってプチピンチになっている間に、謎のコックが手際よく料理を作ってくれた。
「臭みがどうとか言ってたから、煮込みにしてみた」
「キングジャーゴーの魔煉獄(マレンゴ)風だそうでござる」
「うめぇ……うめぇっす!」
 これにはフロント君も、サムズアップ。
 相伴に預かった知らない人たちも、満足そうに送還されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
忍者には様々な技能が必要でござるからな
拙者も料理の勉強はしてるでござるよ
(レシピ通りに作れる可もなく不可もなしなレベル)

大抵のものは油を使えば食べられるって聞いた事あるでござるなあ
野菜とスパイスと合わせてアヒージョにしてみたり、素揚げやフライにムニエル、餃子や炒飯に混ぜてみるのも良いかもしれぬでござる?

もう一工夫となると、パテにしてみたり、デビキンの何かしらの香木を使って燻製にしてみるのも良いかもしれぬでござるなあ
さっぱり系でマリネにしてみるのもありでござろうか?

チャレンジは……お刺身とかお寿司でござる?
毒は無さそうでござるし、まあデビキンの住人達なら毒があってもへっちゃらでござろうが



●バビロニア忍者メシ
「野菜にスパイス……五魔油? こっちはオリーブオイルでござるか? 確かに色々揃ってるでござるな」
 厨房にあるものを一通り見て回り、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は感心したように頷いた。
 なにより、調理油の種類が多いのは、僥倖と言えよう。
(「大抵のものは油を使えば食べられるって、聞いた事あるでござるからなあ」)
 これなら何とかなりそうだと、咲花の口元に薄っすらと笑みが浮かぶ。
「何とかなりそうっすか?」
 その表情を見て、フロント君が声をかけて来た。
「色々思いつくでござるよ。例えば、野菜とスパイスと合わせてアヒージョにしてみたり、素揚げやフライにムニエル、餃子や炒飯に混ぜてみるのも良いかもしれぬでござる?」
 頭に浮かんだ様々な料理を、咲花は思いつくままに口に出してみる。
「それだけ作れるなんて、すげえっすね!」
「え? いや、拙者は、レシピ通りに作れるくらいで……」
 フロント君の素直な賛辞に、咲花の目が泳ぎ出す。
 咲花は猟兵に憧れ、覚醒するまで修行に明け暮れていたと言う。その結果、咲花は友人と呼べる関係がまだ少ない。要するに、褒められ慣れていないのである。
「忍者には、様々な技能が必要でござるので、料理も少しは……」
 形から入る部分がある咲花は、そうした『忍者像』に忠実に色々な勉強を重ねた。その中に、料理の勉強も含まれていた、程度に過ぎない。腕前としては、可もなく不可もなく、と言った所だろう。
 そう自覚しているのだが。
「いやいや。謙遜する事ないっす!」
「え、えと、その……」
 フロント君が咲花を褒める勢いは、妙に強かった。
 組とか言ってたし、下っ端だったのかもしれない。
「凄い事っすよ」
「凄いと言う料理にするなら……もう一工夫いるでござるね?」
 浴び続けた不慣れな賛辞が、忍者を木に昇らせる。
「フライにムニエル、アヒージョに似てる料理は他の方も作ってるでござるね。なら、細かく刻んでミンチにして練って固めてパテ風でござるか?
 ああ、燻製もいいかもしれないでござるな。この辺りに、香木……燃やすと煙と共に香りが含まれる樹木はないでござるか?」
「香りの出る木っすか……煙を吸うと幻覚が見えたり世界が回ったりして、ハッピーな気分になる木なら」
 咲花の問いに、明らかにやばい気配がする答えが返って来た。
「あ、聞かなかった事にするござる」
 求めているのは、そういう煙ではない。
(「燻製はダメ……お刺身とかお寿司でござる?」)
 見た所、キング・ジャーゴーの身に毒はなさそうだ。仮に、見た目で判らない毒素があったとしても、この世界の悪魔達ならへっちゃらだろう。
 しかし、だ――。
(「お刺身もお寿司も、油を使えないでござるな」)
 大抵のものは油を使えば食べられる――自分で思い出した言葉から外れていくのは、如何なものか。
 生に近い状態で、且つ油も使う料理。
 思い浮かぶレシピの中で、咲花が選んだのは――。

「さっぱり系でマリネにしてみるのもありでござろうか?」

 そうと決まれば、後は早かった。
 お酢に砂糖と塩胡椒、少々の醤油やレモン汁、香草などで味を調えて、最後にオリーブオイルを入れて良く混ぜ合わせる。
 肝心のキング・ジャーゴーの身は、本当に生そのままだとちょっと不安が残ったので、ざっと熱湯で湯通ししておいて、素揚げしたナスやオクラと一緒に、先ほどのマリネ汁にしばし漬け込めば、キング・ジャーゴーのマリネの完成である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜久・灯火
【黒猫】
手伝ってほしいと聞いて援軍に来たよー。
蒲焼とかは他の人が作るだろうし、ちょっと変わったのを作ろうかな。
有栖ちゃんもお手伝いよろしくね♪

まずはフライパンにオリーブオイル熱し、ジャーゴーの身を食べやすいサイズに切って中火で焼くよ。
両面を焼いたら弱火にして、刻みニンニクと鷹の爪を加え、香りが出たら有栖ちゃんに切ってもらった食材と水と白ワインを投入。

後は蓋をして5分ほど蒸したら、塩コショウで味を整え、黒オリーブとパセリを散らせばジャーゴーのアクアパッツァの完成♪
お好みでパスタを一緒に絡めればアクアパッツァパスタにもなるよー。

じゃあ、味見も兼ねて実食してみようか。
有栖ちゃん達もどうぞ♪


結城・有栖
【黒猫】
次は調理ですね。灯火さんも援軍感謝です。
ウナギっぽい調理って聞くと蒲焼が真っ先に思い浮かびますね。

「灯火は変わり種を作るみたいダシ、どんなのが出来るか楽しみダネ。」

そうですね。私達も頑張って手伝いましょう。

まずは食材を切っていきましょう。
にんにくと鷹の爪を刻み、マッシュルーム、ナスなどの食材は一口大に切り、しめじは石づきの部分を切って用意です。
後、ミニトマトは半分に切っていきます。
切り終わったら食材を灯火さんに渡しますね。

出来上がった料理はアクアパッツァですか…こうしてみると、白身の魚に見えますね。

「味はどうカナ?私も食べてみたいナー。」

では、オオカミさんも一緒に味見しましょうか。



●黒猫キッチン
「有栖ちゃん、手伝ってほしいと聞いて援軍に来たよー」
『待ってたヨ』
「援軍感謝です、灯火さん」
 厨房に入って来た夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)を、2人の結城・有栖(狼の旅人・f34711)が出迎えた。
「あ、もうオオカミさんいるんだ」
『これから調理だからネ』
「それでも自信が無くて……」
 片方が有栖の姿のオウガ、オオカミさんであると気づいた灯火に、有栖たちが苦笑を返す。
 まあ、食材が食材だ。
 援軍を呼んでも、仕方ないだろう。
 謎の人物を大量に呼び出したりするよりは、よほどマシである。
「これがその、キング・ジャーゴーの肉か……確かにウナギっぽいかも?」
 謎の巨大白身肉を前に、灯火のヒゲがヒクヒクと動く。
 別に異臭がしているわけでもなし、切り口は薄っすらと脂が浮いているくらいだ。
 元を直接見ていない灯火からすれば、結構イイ食材に見えた。
「どうしましょう。ウナギっぽい調理って聞くと蒲焼が真っ先に思い浮かびますけど」
「蒲焼とかは他の人が作るだろうし、ちょっと変わったのを作ろうか?」
 首を傾げる有栖に返す灯火の頭の中には、既に必要な食材と段取りが浮かんでいた。

「これと、これと……こんな所かな」
 ニンニクに鷹の爪、マッシュルームとしめじ、ナスとミニトマト――この世界では違う呼び名かもしれないが――灯火は選んだ食材を、有栖達の前に置いた。
「お手伝いよろしく♪」
「切ればいいんですか?」
「そう。ニンニクと鷹の爪は細かく刻んで。他のは一口大でいいよ」
 そちらは有栖達に任せて、灯火はキング・ジャーゴーの肉に向き直る。
 やや厚めに切り取った白身を、皿にサイズに切り分けておいて、フライパンにオリーブオイルを敷く。
「どんな料理になるんでしょう?」
 パチパチと言う油が爆ぜる音を聞きながら、有栖は言われたままにニンニクを刻んでいた。
「灯火に任せておけば大丈夫じゃないカナ。変わり種を作るみたいダシ、どんなのが出来るか楽しみダネ」
 オオカミさんも、ヘタを落としたナスをザクザク輪切りにしている。
 ニンニクの次は鷹の爪も同じく細かく刻み、マッシュルームとミニトマトは半分にすればOK。しめじは石突を落としておく。
 有栖達の手元にある食材は全て、特に皮むきなどの要らないものだ。ありものを適当に選んだような素振りだったが、灯火は頭の中で計算して選んだのだろう。
 そうしている内に、ジュゥッと言う音が聞こえて来た。
 視線を横にやれば、フライパンからキング・ジャーゴーの身が焼ける香ばしい匂いが漂って来る。
 両面に焼き目を付けた所で、灯火はそれらをフライパンから皿に移した。
「あれ? もう終わりですか?」
「一旦、ね。煮崩れるかもしれないから」
 首を傾げる有栖に答えながら、灯火は切り終わった食材を受け取る。
 火力と落とし、刻みニンニクと鷹の爪を投入。ニンニクの香りが昇って来た所で、切り分けたマッシュルームとナス、ツブのままのニンイクを追加。
 一旦火力を上げ、野菜に火が通ったら、皿に上げておいたキング・ジャーゴーの身を再び入れて、白ワインと水、ミニトマトも追加して、更に強火に。あとは蓋をして5分ほど、煮込みつつ蒸すだけ。
「海の魚ってわけじゃないから、塩は少し多めでも良いかな」
 最後に塩コショウで味を整えて、黒オリーブとパセリを散らせば完成。
「ジャーゴーのアクアパッツァだよ」
「わ、なんかすごいの来たヨ」
「アクアパッツァですか……こうしてみると、白身の魚に見えますね」
 灯火が仕上げた料理に、オオカミさんも有栖も目を丸くする。

 アクア・パッツァ。
 魚介類を、トマトや野菜と共に煮込む料理である。
 水分の多い煮込みであり、その名は直訳すると『奇妙な水』や『狂った水』と言う意味合いになる。キング・ジャーゴーなる未知の食材の虫っぽさを誤魔化すのに、名前的にもぴったりではなかろうか。

 実際、トマトで色づいた煮汁に浸ったキング・ジャーゴーの身は、白身魚にしか見えない。
「味はどうカナ? 私も食べてみたいナー」
「じゃあ、味見も兼ねて実食してみようか」
 ソワソワしているオオカミさんに苦笑しつつ、灯火は切り身を分けて取り分ける。
 ニンニクが効いた野菜に感じる慣れない旨味は、キング・ジャーゴーの身が持つものか。肝心の白身の方も、2種類のキノコとナスやトマトの旨味を吸っていて、美味しい。
 この料理が考案された元々の世界で魚を使う場合は、1匹丸ごと入れて、骨の旨味も取るのが一般的ではあるが、切り身でも充分に美味しく仕上がった。
「お好みでパスタを一緒に絡めれば、アクアパッツァパスタにもなるよー」
「しかもお手軽にリメイク可能ですか」
「スキがないネ……」
 灯火の解説に、有栖達は感心するばかり。
 周りのスープはキング・ジャーゴーの身も、野菜のエキスも全てが溶け出している。パスタに絡めれば、美味しくない筈がない。
「これもっ! うまいっ! っすね!」
 フロント君も気に入ってくれたようで、夜野を援軍に呼んだ甲斐もあったと言うものである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛葉・御前
【魔王国】即興も連携も自由にして構わぬぞ。

注文の多い店主じゃの。要するに簡単に調理できて、かつ食品偽装が露見せぬ美味なる料理を所望しておるのじゃろう。

妾であれば容易い事ぞ。

妾の眷属たる尾裂狐たちよ。御主たちに『料理』の技術を授けよう。店主の要望に応えてみせよ。

キング・ジャーゴーの肉と山芋をすりおろし、玉葱や人参の微塵切り、卵黄と混ぜて肉種にする。臭み消しにパセリをたっぷりと混ぜての。

この肉種を整形して、焼きあげれば、特製の鰻ハンバーグの完成じゃ。

論より証拠。
まずは食してみるが良いぞ。好きなソースをかけるが良い。和風も洋風も、どのような味にも合うからの。


アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】アドリブ歓迎
さあ、どうしましょうか。料理ができないことはありませんが偽装料理は難易度が高いですわねえ……
ここは味見係として客目線で騙せるかどうかチェックするといたしましょう。
店舗の内装などは『氷炎の魔王軍』で臣下を召喚して手伝わせておきましょうか。

ほほほ、ユニさんは流石ですわね。豪華な食器に目が奪われて、料理の方への意識が逸らされるでしょう。
葛葉さんの眷属の料理は完璧ですわね。超級料理人に勝るとも劣らない。それでいてフロントさんでも近いものは作れそうですし。これでしたらウナギか否かなどとの疑問を抱く余裕もなく美味しさの虜となる事でしょう。


ユニ・バンディッド
【魔王国】アドリブ歓迎
今度は贋作の悪魔の領分だね【ショータイム!】を高速展開、食器や調理器具を贋作生成し提供するよ。
手品の様に別のものへ注意を惹きつけて、白身から逸らすのも手だよね。そのためにD(おカネ)や宝石、財宝を模った贋作の調理器具や食器なんてどうかな。
偽物だから発熱する特性の、財宝を炭火代わりにしたり、食卓を煌びやかに彩っちゃえ。調理の様子が見えない?それなら巨大モニターで調理の様子だって映しちゃうよ(ウナギを使った映像に差し替えて)
それに豪華絢爛に緊張で味がわからなくして、思い込みを加速させる狙いも。落ち着いてきたら見た目が毒々しく変化する魔界調味料、デビルペッパーもお好みでどうぞ!



●適材適所
(「さて、どうしましょうか」)
 2人の仲間と厨房に立って、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は胸中で呟いていた。
 アルテミシアは別に、料理が出来ないわけではない。
 と言うか、人並み以上には出来ると言っても良いだろう。
(「できないことはありませんが、偽装料理は難易度が高いですわねえ……」)
 胸中で溜息を零しつつ、アルテミシアは2人の仲間に視線を向けた。
「葛葉さん、ユニさん。此度の偽装料理、何か案はありますか?」
「うん? 妾であれば容易い事ぞ」
「偽装、つまり贋作だよね。ボクの領分だよ」
 幸いにして、葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)とユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)は自信がおありな様子だ。自身にとっての難事ならば、出来る者に任せるのも女帝のあるべき姿であろう。
「でしたら、ここはあなた達に任せて、わたくしは味見係になりますわ。客目線で騙せるかどうかチェックするといたしましょう!」
 内心の葛藤をおくびにも出さず、アルテミシアは味見係に収まった。

●狐、9匹寄ればかしましい
「妾の眷属たる尾裂狐たちよ――顕現せよ」
 厨房の真ん中で、葛葉が膨らませた九尾がそれぞれ光を放つ。
 光の中から、尾が二股に判れた9匹の尾裂狐が現れた。

 尾裂・天佑神助。

 尾裂狐――九尾狐の毛が霊化した存在とも、九尾狐を封じた石の欠片から生まれたとも言われる狐精を、九曜星の神氣が宿る九尾から1体ずつ召喚する術。
「御主達に人の姿と、『料理』の技術を授けよう」
 尾裂狐達は葛葉が1体ずつ頭に指を当てると、その場で人化し始めた。
 葛葉の外見を10年くらい若返らせたような少女が9人。一気に厨房が華やかになる。
 別に料理だけなら、尾裂狐の姿のままでも熟せるだろう。
 だが、それではフロント君が見た時に参考にならない。
「此処の店主が、簡単に調理できて、かつ食品偽装が露見せぬ美味なる料理、を所望しておるのじゃ。要望に応えつつ、アルテミシアの舌を満足させる料理を作ってみせよ」
 葛葉の言葉に、尾裂狐達は顔を見合わせて――。
「もう、また料理ですか~」
「前に料理で喚ばれたの、いつでしたっけ?」
 その中の2体が、ひそひそと小声で囁き出した。
 狐達の言葉を信じるなら、葛葉が料理目的で尾裂狐を召喚したのは初めてではない、と言う事になる。
「今回、注文多いね」
「御前、料理はそこまで得意じゃありませんものねぇ」
「……」
 その真相はわからないが、押し黙っている葛葉の料理の技術が決して高くないのは、実の所事実である。
 そして、尾裂狐達が小声のつもりのひそひそは、葛葉に筒抜けであった。
「――御主達」
 葛葉の声のトーンに、2体の尾裂狐達の二股の尾がビクーンと跳ね上がる。
「御主達は玉葱を刻むのじゃ」
 逆らう事など許さない迫力に満ちた葛葉の一言に、2体の尾裂狐は無言で頷いた。

●贋作も使いよう
 ――時間は少し、遡る。
 葛葉が尾裂狐を召喚している頃、ユニはフロント君と共に開店前の店内にいた。
「ようは、虫っぽさを忘れて貰えばいいんだよね?」
「そうっス」
 ユニの問いに、頷くフロント君。
「だったら、料理で誤魔化すだけじゃなくって、手品の様に別のものへ注意を惹きつけて、白身から注意を逸らすのも手だよね。Dや宝石、財宝を模った贋作の食器なんてどうかな?」
「はっ……確かに!」
 ユニの言葉に、フロント君の口があんぐりと開かれた。
 その発想は、なかったらしい。
 そして始まる。
 虚構を重ね築く、真贋揺れる騙りの時間が。
「――大怪盗も真っ青、騙りの摩天楼」

 ショータイム!

「稀代の贋作師。偽物は真物に。真物は偽物に。偽りの王冠を腕輪に。始めよう、騙り語れ」
 ユニの周りに、幾つもの魔法陣が浮かび上がり錬成光の輝きが生まれる。
 その軌跡と光の中から、様々な物品が飛び出して来た。
「まずはこれ。炎の盾――の贋物。勝手に発熱するから、炭火代わりにどうかな?」
 焼き物の焼き加減を、客が自分で調整する事も出来る。
 そう言う事をできそうな料理を考案していた猟兵もいた。
「サラダ類には、この氷の欠片の贋物で保温出来るよ」
 冷気垂れ流しノンストップなので、普通に贋物に使うにはバレバレだが、保冷剤代わりには丁度いい。
「あとは、過去のデビルキングが使ったと言う触れ込みの宝石のお皿で、食卓を煌びやかに彩っちゃうとか」
「す、すげぇ……」
 次々と出て来る、この店には有用そうな贋物に、フロント君は言葉を失っていた。
「もっと豪華絢爛にしちゃう? 緊張で味が判らなくしたら、思い込みを加速できるんじゃないかな?」
「いや、そこまでは……俺の方が緊張するっす」
 ユニの提案に、ブロント君が首を左右に振る。
 考えただけで緊張しているのか、動きが硬かった。まあ、下っ端っぽいからね、彼。
「そっか。じゃあ、あと出来そうなのは……これ。巨大モニターで調理の様子だって映しちゃうよ」
 ユニは大きなモニターを壁にかけると、手早く配線をいじって――。
『こ゛せ゛ん゛~』
『たまねぎ、これでいいですか~』
 何故か涙目の尾裂狐達が、大写しになった。
『よかろう。山芋のすりおろしも終わったな? 卵黄と混ぜて肉種にするのじゃ。臭み消しにパセリをたっぷりと混ぜての』
 葛葉が仕切っている厨房の、なんだか修羅場っぽい一瞬が垣間見えてしまった。
「おっと、間違い間違い」
 ユニが再び配線を弄ると、モニターには全く別の光景が映し出された。
 葛葉も尾裂狐もいない。作務衣姿の職人が、黙々とウナギを捌いている光景だ。
「調理の様子が見えたらさ、もうウナギにしか思えなくなるんじゃないかな?」
 物事の過程を見せると言うのは、騙す上ではとても有用な手段だ。
「なんてこった……キング・ジャーゴーの殻を皿にするくらいしか、思いついてなかったっす」
 ユニの手練手管に、フロント君の目から鱗がポロポロ落ちていた。
「殻? 使う? 安くしておくよ?」
 その呟きを聞いたユニが、目を輝かせた。
 そして――。

●女帝の舌
 テーブルに着いたアルテミシアとフロント君の前に、葛葉(の尾裂狐たち)が作った料理が並べられた。
 2つのお皿はユニが用意した、煌びやかな宝石のお皿である。
「ほほほ、ユニさんは流石ですわね」
 それを一瞥したアルテミシアは、優雅な笑みを浮かべて頷いた。
「豪華な食器に目が奪われて、料理の方への意識が逸らされるでしょう」
 とは言え、肝心の料理の存在感がないかと言えば、そんな事はない。
 ほど良くつけられた焦げ目。まだ昇る微かな湯気が、食欲をそそる。
「葛葉さんの眷属の料理は完璧ですわね」
「特製の鰻ハンバーグじゃ」
 アルテミシアの言葉に、葛葉が満足げな笑みを浮かべて頷く。
 細かく刻んで叩きにしたキング・ジャーゴーの身に、すり下ろした山芋、刻んだ玉葱、人参、パセリ、卵黄と混ぜて捏ねて捏ねて、肉種にする。
 成形して焼き上げれば、繋ぎを使っていない、キング・ジャーゴー100%の鰻ハンバーグの完成だ。
 赤みの肉を使っていないので、所謂ハンバーグと比べると色は薄いが、その分柔らかい。
 アルテミシアがナイフを入れてみれば、力も入れずにスッとほぐれた。
「論より証拠。まずは食してみるが良いぞ。好きなソースをかけるが良い。和風も洋風も、どのような味にも合うからの」
 醤油ベースに酢を利かせ大根おろしを混ぜた和風ソースと、ケチャップベースの所謂バーベキューソース的な洋風ソース。葛葉は、二種類の味を用意させていた。尾裂狐達の苦労が偲ばれる。
「うっま……」
「和風は口当たりがさっぱりとしますわね。洋風はライスやパンに良く合いそうですわ。超級料理人に勝るとも劣らない出来かと思います」
 すっかり語彙力がなくなってるフロント君に対し、アルテミシアの口からは流れるように賛辞が続く。
 女帝たる者、配下を労うのは当然だ。
「それでいてフロントさんでも近いものは作れそうですし。これでしたらウナギか否か、などとの疑問を抱く余裕もなく、美味しさの虜となる事でしょう」
「は、はい。そうッスね」
 すっかり圧倒されっぱなしのフロント君に、反論などある筈もなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
UC常時
「ご主人サマ!虫だよ…大きな虫だよ…!!」
別に見てくれを気にする必要はねーと思うがな
それに美味しいなら問題ねーじゃねーか
虫なんて大概不味いんだし(幼少時の酷い経験を髣髴とさせる

【情報収集・視力】
まずこのキングジャーゴーを普通に焼いて調理
取り合えずウナギで使える調理法を試しつつ味を確認
そして見た目についても構造と性質を分析

別に今のままでもいいとは思いますが…王道でいくか

【料理・属性攻撃】
ジャーゴーの肉を十分にすり身にして適度に焼く
そして形を整え鰻風味に
ある程度切れ目を入れて小骨を抜いた風を装い
後はうなぎ用のたれを作り
後は御飯の上にのせればまさにうな丼という奴です

では…実食!!



●王道とは、最も適したやり方と言う意味もある
『ご主人サマ! 虫だよ……大きな虫だよ……!!』
「ああ。虫だ」
 銀髪の少女――の姿に変化したキャバリア『メルクリウス』――メルシーの驚きで興奮した声に、前を歩くカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はぶっきらぼうに返す。
 メルシーが何を見て騒いでいるのかは、確かめるまでもない。
 紫色の湖の中に見える、巨大な虫だ。
「これからアレを食うんだぞ」
「――え?」
 足を止めたカシムがそう告げれば、メルシーの目が点になった。
「食べるって……ご主人サマ、虫だよ?」
「だから見た目を料理でどうにかするんだと」
 信じられない様子のメルシーに、カシムは小さな溜息交じりに返していた。

 大抵の世界の食性で、虫は好まれるものではないだろう。
 それはカシムとて同じである。
(「美味しいなら問題ねーじゃねーか。虫なんて大概不味いんだし」)
 虫なんて大概不味い――声に出していないとは言え、そういう経験が無ければ出て来ない言葉だ。
 実際、カシムの脳裏には幼少時の酷い経験が思い起こされていた。
 暗澹とした気分になりそうになる。
「これだけ綺麗な白身なら、別に見てくれを気にする必要はねーと思うがな」
 これ以上、昔を思い出す前に済ませてしまおう。
 カシムはフライパンにごま油を引いて、火にかける。温まった所で、適当な大きさに切り取ったキング・ジャーゴーの身を投入した。
「いきなり焼くの?」
「取り敢えずな」
 怪訝そうなメルシーに返し、カシムはフライパンに蓋をする。
 しばらく焼いたらひっくり返し、反対も焼きを入れる。
 両面から火を通した身を皿に開け、カシムは口に入れてみた。
「……」
(「歯触り良し、臭み無し……まじで虫か? コレ」)
 ウナギに使える調理法なら、と言う事なので、取り敢えず特に味を付けずに白焼きにしてみたのだが、それだけなのにそこそこ美味い。
 ただ、何の肉かと言われると疑問が残る。赤身でないのだから、当然、牛の類とは思えないし、本物の鰻とはまた違う食感なのは確か。
「別に今のままでもいいとは思うが……王道で行くか」
 方針を決め、カシムは再びキング・ジャーゴーの身を塊から切り取った。

 切り取った白身を、細かく刻んで叩きにして、ボウルに開けてさらにすり潰す。
 キング・ジャーゴーのすり身を、開いたウナギ風の形に整える。
 その形が崩れない様に気を付けながら、フライパンで両面を焼いていく。形が崩れないくらい固まった所で一度フライパンから上げて、ウナギの小骨を取った風な細かい切れ目を入れていく。
 焼いたすり身を休ませておく間に、小鍋に料理酒とみりんを入れ、砂糖を溶かしながら酒精を飛ばす。醤油を加えながら煮詰めれば、タレの完成。
 あとはすり身に何度かタレを絡めながら、弱火でじっくり焼いて完全に火を通し、丼によそったご飯の上に乗せれば――完成。
 キング・ジャーゴーの蒲焼き丼、と言った所か。
 見た目は完全に、うな丼である。
「悪くないな」
 実食してみても、まさにうな丼そのものであった。
「……うっま!」
 フロント君の評判も、上々である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
いつも雑に焼くか揚げて終わりだけど
商品化となると一工夫必要だね
とりあえずジャーコーの蒲焼きを作ろう

フロントさん、お米はあるかな
お米の上に蒲焼きと余り物の葉菜を乗せ
出汁をかける…これだけで悪魔的美食の完成
そう、うな茶ならぬジャコ茶

出汁とタレの旨味で虫感も消え
薬味も添えればよりベター
もしジャーコーの在庫が切れても
出汁と米と具さえあれば
まず外さないし調理も簡単
茶漬って素晴らしい

出汁は鰹節の悪魔氏と昆布の悪魔氏から仕入れよう
居るよね
穏便にお風呂に浸かってもらうだけさ
いっそ温泉施設も併設する?

更にチャレンジメニューとして
覇痲無湖の水を一滴混ぜた覇王ジャコ茶を提供する
この店は流行る…試食する時は注意してね



●空気を読み過ぎたかもしれない
「――読めた」
 フロント君の店の片隅で、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)が静かに立ち上がる。
 ずっと目を閉じて佇んでいた章だが、何をしていたのかと言うと、鵜飼流人間奥義をしていた。

 平たく言うと、がんばって空気読んでた!

「大体、雑に焼くか揚げて終わりな僕だけど、商品化する料理となると一工夫必要だね」
 間違ってない。
「取り敢えず、ジャーゴー君の蒲焼きを作ろう」
 そして、作ろうとしている料理も普通だ。
 章は白身の肉塊からサクッと分けた切り身に、慣れた様子で串を打っていく。
 串もピンも、似たようなものだ。
 醤油とかミリンとか砂糖とかを適当に合わせて、焦がさない様に火にかけながら混ぜ混ぜして作ったタレをたっぷり絡めて、網の上で焼いていく。
 何度もタレを塗り直しながら焼いていく。染み出した脂と共に落ちたタレが、炭火に落ちてジュゥッと音を立てた。
「フロントさん、お米はあるかな」
「最高級米のアクマニシキで炊いてあるっス!」
 やや硬めにパラッと炊かれたご飯の上に、一口大に切り分けた香ばしいキング・ジャーゴーの蒲焼きを、ご飯が見えなくなるくらいたっぷり乗せ、その辺に余ってた草を刻んで振りかける。
「これが肝心。最後に、出汁をかける」
 章が出汁をかけると、蒲焼きの香ばしい匂いが薄い中にも複雑な出汁の香りに包まれて、得も言われぬ食欲をそそる匂いがふわりと広がっていく。
「これで悪魔的美食の完成だよ。うな茶ならぬ、ジャゴ茶だ」

 ――うな茶。

 それは、UDCアースの名古屋めしにして、ウナギ料理のひつまぶし。
 3段階の食べ方がある料理の、3膳目である。
「どうだい? 出汁とタレの旨味で虫感も消えているだろう? 薬味も添えればよりベターだ」
「美味いのは間違いないんっすけどね……」
 サラサラッと軽く完食した丼を置いて、フロント君は章に怪訝な目を向けた。

「この出汁……なんの出汁っすか?」

 尤もな疑問である。すごく美味しい出汁だ。この深みを、どうすれば出せるのか。
 料理人なら、気にならない筈がない。
「……」
 だが、章の口は急に重くなっていた。
「フロントさん……そこに気づいてしまったか……」
 特に意味はなく勿体ぶった素振りをしながら、章はパチンッと指を鳴らす。
「紹介しよう。鰹節の悪魔氏と昆布の悪魔氏だ」
 どこの魔界の辺境で見つけて来たんだろう。
「風呂に入ってればいい仕事と聞いて!」
「昼寝付きと聞いて!」
「え? 求悪魔出してないんっすけど……まあいっか、採用!」
 フロント君と、鰹節の悪魔と昆布の悪魔の間で、がっしりと握手が交わされた。
「いやぁ、すごいっす。出汁の契約も取って来てくれるなんて」
「いっそ温泉施設でも併設する?」
 フロント君の感激に満ちた視線に、章がさらりと無茶な事を返す。
「この辺、温泉出るんっすかね?」
「温泉の当てがないなら、チャレンジメニューだよ」
 フロント君も首を傾げると、章は更に考えていた工夫を言い出した。
「その名は、覇王ジャゴ茶」
「うわ、何かすごそう」
「作り方は簡単だよ。普通にお茶を淹れて、覇痲無湖の水を1滴」
 凄いと言うか、やばいものだった。
「いい刺激になると思うんだ。覇痲無湖の水を増やせば、段階を作れる。10滴の魔暴覇王を3分以内に飲み干せたら、ジャゴ茶を一杯無料とか」
 UDCアースで最近割と見る、辛さを調節できるラーメン系かな。
 と言うか、だ。良く考えたらこのチャレンジメニュー、もうキング・ジャーゴー直接関係ない。ただの生息域の水である。
「面白そうっすね!」
「だろう? この店は流行る……!」
 だが、フロント君の目の輝きを見るに、章のチャレンジメニューは採用されそうである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
あの外見からは想像出来ないくらい綺麗な白身だな
さっきは気が進まなかったが、これは料理しがいがありそうだ
綾、知っているか…(2回目)
「ウナギの刺身」をほぼ見かけない理由を
それはウナギの血には毒が含まれているからだ
少し知識のある奴にはバレかねないから
刺身はやめておいた方が無難だろう

というわけで、う巻きはどうだろうか
身の周りは卵焼きで包まれているから
パッと見で偽装だとは気付かれにくいだろう

まずはウナギ(虫)の蒲焼きを作り、それを卵に挟んで焼き…
よし、焦げ目無く美しく焼けたぞ!(ドヤ
シンプルなう巻きと、大葉を入れたバージョンも作る
完成したら、今にも食い付きそうな綾と仔竜たちに味見してもらおう


灰神楽・綾
【不死蝶】
うんうん、これは元が虫だなんて誰も気付かないだろうね
さて、どんな料理がいいかな
うな重やウナギの蒲焼きは定番だし
ちょっとレアなウナギ料理を作ってみたいよね
そうだ、ウナギの刺身とかどう?
こんなにプリプリで美味しそうな白身だし
なん…だって…(2回目)

へぇ、う巻きなんて料理があるんだ(スマホで画像検索
名前も見た目も何だか可愛いね

梓が蒲焼きを作っている間に、お手伝いとして
卵をボウルに割ってよくかき混ぜておく
あ~蒲焼きの時点でもう美味しそう
いい匂いに食欲を刺激される

やったぁ、いただきまーす
んーっ、美味しいっ
卵はふわふわで、ウナギ(虫)はふっくら香ばしくて絶品
大葉入りのも爽やかな風味がクセになるね



●イクチオヘモトキシンと言うらしい
「…………マジか」
 しばし固まっていた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の口から、絞り出すような声が零れる。
 目の前にあるのは、ツヤツヤとした白い肉塊。
 まさか、あのキング・ジャーゴーがこうなるなんて。
「あの外見からは想像出来ないくらい、綺麗な白身だな。さっきは気が進まなかったが、これは料理しがいがありそうだ」
「うんうん、これは元が虫だなんて誰も気付かないだろうね」
 これなら美味しいご飯が食べられそうだと、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)の声音に期待が滲む。
『キュ』
『ガゥ』
 綾に同意するかの様にな仔竜の焔と零の鳴き声が上がった。
 その声が後ろから聞こえた瞬間、梓がぐりんっと後ろを振り向く。
「――綾」
「う、うん?」
「虫なんていなかった。――いいな?」
「うん」
 いつにない梓の迫力に、綾が思わず息を呑んで頷いた。
 こういう時の梓に反論しない方が良いのは、良く知っている。
「それで、どんな料理がいいかな? うな重やウナギの蒲焼きは定番だし、他の人も作ってるみたいだし、ちょっとレアなウナギ料理を作ってみたいよね」
 綾はさらりと、話題を逸らす。
「レアなウナギ料理? 例えば?」
「うーん……そうだ、ウナギの刺身とかどう?」
 梓に問い返された綾は、しばし考え、そう口に出した。
「こんなにプリプリで美味しそうな白身だし――」
「綾」
 声を弾ませる綾を、梓が遮る。
 確かにウナギの刺身は、レアと言えるだろう。
 それには、事情があるのだ。
「知っているか……? 『ウナギの刺身』をほぼ見かけない理由を」
「?」
 その言葉に、綾が首を傾げるのは、梓の予想通りの反応だった。
「ウナギの血には毒が含まれているからだ」
「なん……だって……」
 綾の頭の中に、背後に雷が落ちたような衝撃が走る。(本日2回目)
 そう。ウナギの血と、ヌメりには毒がある。
 魚介類の毒筆頭であろうフグ毒辺りに比べれば弱い毒性と言えるが、大量に摂取すれば、結構な重たい症状が出てしまう事もあるし、調理中に目に入ったりしたら危ないものである。
「だけどその毒は熱に弱いんだ」
 60℃以上で数分加熱すると、その毒性は失われる。
 だから、蒲焼きの様に加熱調理されたウナギが市場に出回る事が多いのだ。
「この白身に毒はなさそうだけどな。ウナギと言い張るなら、刺身はやめておいた方が無難だろう。少し知識のある奴にはバレかねないから」
「成程なぁ」
『キュゥ』
『ガゥ』
 梓の解説に感心して頷く綾と、仔竜達。
「ま、確かにただ蒲焼きじゃ芸がないよな。う巻きはどうだろうか」
「へぇ、う巻きなんて料理があるんだ」
 梓の口から出て来た聞き覚えのない料理を、綾は早速スマホで検索を始める。
 出て来た画像は、黄色い卵焼きの様な料理だ。
 うなぎを巻いた卵焼き、で、う巻き、である。
「名前も見た目も何だか可愛いね」
「そうそう。身の周りは卵焼きで包まれているから、パッと見で偽装だとは気付かれにくいだろう」
 卵焼きで巻いてしまうのは、見た目を誤魔化すにはとても良い手段だろう。

●名前を付けるなら、ジャ巻き、だろうか
 と言うわけで、う巻き作りの始まりだ。
「まずはむ――ウナギの蒲焼き作りだ」
「なにか手伝う事ある?」
 うっかり虫、と言いかけたのはツッコまず、綾は梓に訊ねる。
「卵をボウルに割って、よくかき混ぜておいてくれ」
「はーい」
 梓に言われた通り、綾は卵に手を伸ばす。
 料理は大抵、梓に任せている綾だが、そのくらいなら出来る。
 コンコン、と卵をボウルの角に打ち付け――。
(「これ、何の卵なんだろ?」)
 気づいてしまった。
 見た目は、いわゆる鶏卵にそっくりなのだが、何せここはデビルキングワールド。巨大な虫でも、肉だけはウナギになってしまう世界である。何が卵を産むか、判ったもんじゃない。そう思ってよくよく見てみれば、鶏卵よりも少しだけ大きい様な――?
(「……気にしないでおこう」)
 綾はそんな疑問を頭の中から追いやって、無心で卵を割り続けた。
 割った時に異音がするとか、黄身が黄身じゃなくて黒いとか、そういう変な事はないのだ。中身は鶏卵と同じ丸い黄身ととろっとした白身なのだ。だから、問題ない。

 綾に卵を任せ、梓は切り分けたキング・ジャーゴーの白身を、焼き網に乗せて焼く作業に入った。タレはみりんや砂糖を混ぜて、醤油を味のベースに煮詰めて作ったものを付け、焼きながら何度も塗り直す。
「あ~、蒲焼きの時点でもう美味しそう」
 シャカシャカと卵をかき混ぜる綾の表情が、漂ういい匂いに食欲を刺激されて緩んでいた。
『キュゥゥ』
『ガーゥ』
「まあ待て待て」
 こちらも食欲刺激されてる様子の焔と零を宥めながら、梓は綾が混ぜ終えた卵液を受け取る。
 適量を四角いフライパンに流し込み、半熟になった所で端に蒲焼きを置く。
 そして蒲焼きを巻き込むように卵を巻いて、奥に寄せる。残りの卵液をボウルから追加して、さらに卵を巻いていく。
 そして――。

「よし、焦げ目無く美しく焼けたぞ!」
「やったぁ、いただきまーす!」
 目の前に置かれた出来立ての梓の料理に、今か今かと待っていた綾は躊躇なく、箸を伸ばした。
 出来栄えは、梓のドヤ顔が物語っている。美味しくない筈がない。
 半熟の内に巻かれた卵はふわふわ。中の蒲焼きは、タレの味が染み込んでいながらもふっくらと焼き上げられていて、卵の甘味と食感にマッチしている。こうなると、キング・ジャーゴーにウナギの様な皮が無いのは、むしろ良かったかもしれない。
「んーっ、美味しいっ」
『キュゥ……!』
 思わず相好が崩れる綾の横で、炎竜の焔が尾をパタパタさせていた。
 綾は続けて、もう1つのう巻きに箸を伸ばす。
 卵もたっぷりあるのだからと、梓が2種類のう巻きを作ったのだ。
 それは、卵焼きの中に緑色が見え隠れする、大葉――何故かこの世界のものは文字通り30㎝もある大きな葉だったが紫蘇の葉そのもの――を混ぜたタイプ。
 大きいだけなら、刻んでしまえば大葉と変わりない。
 口にすれば、仄かな苦みを持つ葉が、白身の脂をさっぱりとさせている。大根おろしも合いそうだ。
「ん。爽やかな風味がクセになるね」
『ガゥッ!』
 綾はどちらも気に入った様子だが、氷竜の零は大葉入りの方が好みの様だ。
 舌鼓を打つ1人と2匹の様子に、綾の口元に小さな笑みが浮かぶ。
 それを隠す様に、梓もう巻きを口に運んだ。
「……ほんっと、見た目以外は完全にウナギだな……」
 本当の鰻で作ったう巻きと、味の差はない様に思える。
「おおー。これまた、美味そうなものを……あれ? キング・ジャーゴーどこっすか?」
 様子を見に来たフロント君も、う巻きの何処にキング・ジャーゴーを使っているのかと首を傾げたので、虫っぽさを薄くする、という狙いも充分に果たせた様である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
【かんにき】に合流。

杏とまつりんがうなぎを食べさせてくれると聞いて、
ホクホク笑顔でやって来たよ。
確かニホンでは、夏にうなぎを食べる習慣があると聞いた。

「その…随分大きなうなぎだったんだね」
目玉のサイズからして、一般的うなぎとはスケールが違うのだろう…。
え、ジャジャー焼き…?この世界のうなぎは鳴くの?
手際よく調理を進める二人のアドバイスを聞いて、準備を進めていこう。
うなぎの蒲焼きは有名だが、ビビンバや炒飯もできるのだね。
それにしても香ばしい良い匂い…食欲をそそる。
煮物の味付けは難しいが…よし、調味料の計量はバッチリだ。
料理が食卓に並んだら、最後に木元村の鏡割酒を注いで…いただきます!


木元・杏
【かんにき】3人
ガーネットも来た
見て、つやっとした白身、ぷるぷるな目玉
どんな調理法をも受け入れると語っているかのようなその姿
ん、思う存分料理してガーネットにもお振る舞いする

用意する調理器具はこれ、そこらにある、岩(持ち上げ
これを割り(手刀でとおっ
火にかけ熱し
白身をのせ片面を軽く焼く(じゅー
ん…、皮っぽくなりうなぎに近付いた感

タレは甘辛
石炉で炙り焼きして蒲焼き完成
石の器にご飯と盛って石焼き鰻ビビンバ
湯通しした白身は鰻ざく
蒲焼き細かく切ってうな茶漬けとうな炒飯に
…うなぎの天ぷらは少し合わないけど、ジャコ白身はどうかな
チャレンジだけはしてみよう(こく

あと、シェフ
たまごをひとつお裾分け
ん、錦糸卵作り乗せれば彩り鮮やかで、おすすめ
ジャコと一緒に鶏も飼って、新鮮卵を毎日収穫するのもおすすめ

そして忘れてならぬ、目玉
これは薄味で煮付けてぷるぷるに
一玉丸ごと大皿にのせて皆で一緒に頂こう

さ、完成すればまつりん、ガーネット
お料理頂こう
席をたしたし叩いて2人をお誘いし、実食タイム
絶対おいしいすごくおいしい


木元・祭莉
ガーネット姉ちゃんを迎えた【かんにき】だ、ゼ!

わあい、でっかいー。白身白身ー♪(うひゃひゃ)
ね、美味しそうでしょ?
コレ、この店の名物になる予定なんだよ。
ドナー(三割)さんも、じゃーじゃー鳴いてたし、名物ジャージャー焼き、なんてどうだろ?

主菜はアンちゃんに任せて、おいらは付け合わせ考えよっかな。
茄子と胡瓜の飾り切りを浅漬けに!
紅生姜と削り氷の箸置き!
器は熊笹と竹皮でどうだー!

皮がないぶん崩れやすいから、笹で包んでさっと蒸し焼きに。(ばっさばっさ扇ぐ)
水気を飛ばして、臭みもなく、旨味を閉じ込め。
下ごしらえおっけー、味付けヨロシク!(捩り鉢巻)

木元村の名物も並べとこ♪(酒樽)
へへ、有名になるかなあ?



●いい食材にはいい道具を
「……この辺りの筈なんだが」
 覇痲無湖の湖畔を、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が何かを探して歩いていた。
 すぐそこの紫色の湖面には、何か巨大なものが見え隠れしている。
 ――ジャ、ジャーッ。
 謎の咆哮も聞こえてくるが、ガーネットは気にした風なく、のんびりと歩いていた。
 出身の宇宙世界には、宇宙怪獣も存在する。ちょっと巨大な虫の気配がある程度、騒ぐ事ではない。
 やがて、湖畔にぽつんと建ったレンガ造りの家屋が見えてきた。
 煙突からは、湯気が立ち昇っている。
「あ、ガーネット姉ちゃんだ。おーい、こっちこっち!」
 その前の庭で、気づいた木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)が手を振っていた。
「やあ、まつりん。……杏は?」
「アンちゃんなら、岩取りに行った。すぐ帰って来るよ!」
(「――岩?」)
 内心首を傾げたガーネットだが、祭莉の言葉の意味は直ぐにわかった。
 大きな岩が、ゆっくりと近づいてきたのだ。
 何故か少し上下しながら。
「あ、もう来てたんだ。いらっしゃい、ガーネット」
 それが誰かが持っているからだと判明するくらい近くなった時には、平然と岩を担いでいる木元・杏(アルカイックドヤ顔・f16565)が、岩の下からガーネットに手を振って来た。
「やあ、杏。……その岩は、一体?」
「これ? 調理器具」
 ガーネットの疑問に、杏は運んで来た岩を置く。
 そして――。
「とおっ」
 怪力の手刀一閃。岩を叩き割った。
 それを何度か繰り返す。
「む? ちょっとデコボコになってしまった」
 しかし、杏が取った一番大きな破片の断面は、綺麗な平面にならなかった。
 道具も使わず、素手で岩を割れば仕方のない事だが――これではいけない。
「焼きムラはダメ。思う存分料理してガーネットにもお振る舞いする」
(「流石、杏。拘るなぁ」)
 ガーネットの視線を背中に感じながら、杏は岩の断面を『灯る陽光』の白銀の光で滑らかにしていった。
「お肉と目玉、持ってきたよー」
 その間に、石造りの建物から祭莉が何かを持ってきた。
「!!」
 それを見たガーネットが、思わず息を呑む。
 米俵ほどもありそうな、巨大な白身の肉塊。そして、ボウルに入った拳大の――目玉?

 ――杏とまつりんがウナギを食べさせてくれる。

 ガーネットはそう聞いて、ホクホクでやって来たのだ。
 別の世界のニホンでは、夏にウナギを食べる習慣があると聞いた事もある。暑い日も増えてきているし、丁度良いだろうと。
 だが、祭莉が持ってきた食材は、ガーネットの知っているウナギではない。
「でっかいー。白身白身ー♪ 美味しそうでしょ?」
「見て、つやっとした白身、ぷるぷるな目玉。どんな調理法をも受け入れると語っているかのような姿」
 けれども、うしゃしゃと笑う祭莉と、きりっとした杏の様子を見るに、これは美味しい食材なのだろう。
 こと料理に関して、木元ブラザーズの目が確かなのは、ガーネットも良く知っている。
「その……随分、大きなウナギだったんだね」
 ――目玉のサイズからして、一般的なウナギとはスケールが違うのだろう。
 だからガーネットは、脳裏に浮かんだ幾つかの疑問を飲み込んだ。

●とある白身のフルコース
 祭莉と杏は、先ず割った岩の破片を幾つかの竈を組み上げた。
 それぞれに火を熾し、特に大きな竈の上に杏が均した岩板を置く。
 岩板が温まるまでの間、杏は蒲焼きのタレを作り始めた。木元村自家製のみりんと砂糖と料理酒を混ぜ、アルコール分を飛ばしてから醤油を加えてコトコト煮詰めていく。
 タレが出来上がる頃には、岩板に落とした水滴がコロコロと転がる温度になっていた。
 五魔油なるごま油そっくりの風味の油を引いて、大きく切った白身を置く。
 じゅーっ、と石の上で油が爆ぜる音が響く。杏は油跳ねが落ち着き出しても、白身をすぐにひっくり返そうとはせず、片面をしっかりと揚げ焼きにした。
「ん……、皮っぽくなりうなぎに近付いた感」
 岩板から上げた白身に、甘辛く仕上げたタレを絡めて串を刺し、炙っていく。
「香ばしい良い匂い……食欲をそそる」
 辺りに漂い出す滴り落ちたタレの焦げる香ばしい匂いに、ガーネットの喉がゴクリと鳴った。
「まつりんは、蒸し焼きか?」
 ちょっと冷静になろうとガーネットが視線を変えた先では、祭莉が同じ白身を長い葉で包んでいた。
「うん。皮がないぶん崩れやすいから、笹で包んでみたんだ」
 白身を包んだ笹の葉を竈の上に置いて、祭莉はバッサバッサと煽いで風を送って火勢を強める。
「コレも、アンちゃんが作ってるのも、この店の名物になる予定なんだよ」
 パチパチと焚き木が爆ぜる音が続く中、。
「三割頂いたドナーさんも、じゃーじゃー鳴いてたし、名物ジャージャー焼き、なんてどうだろ?」
「え? ジャージャー焼き?」
 祭莉が呟いた名称に、ガーネットの目が瞬いた。
(「ジャージャー鳴いてた? この世界のウナギは鳴くの?」)
 一度は飲み込んだ疑問が、ガーネットの中で膨らんで来る。
 一体、どんなウナギなのかと。
(「――さっき湖畔を歩いていた時、何か変な巨大虫がそんな鳴き声を上げていたような……?」)
 そう言えば、湖畔に軽い戦闘でもあったような痕跡も――。
「ふーっ」
 目を閉じ、大きく息を吐いて。
 ガーネットは再び、疑問を飲み込んだ。世の中、知らない方がいい事もあるのは良く知っている。

「蒲焼き、出来た」
 数度、タレを絡めながら焼いた蒲焼きを、杏は岩板の端よりに並べる。
 火元から遠い所なら温度も低く、保温に丁度いい。
 幾つも作った蒲焼き。
 まずはその1つを、ガツガツ石を砕いて作った丼にご飯を盛って、白髪ねぎ、蒲焼きを乗せ、岩板で作っておいた薄切り卵を錦糸卵にして散らし、タレをかけたら、別の竈に器ごと乗せる。
 続けて、杏は蒲焼きを数ミリ幅に細かく切って、岩板に五魔油を引いて白飯と共にタレを絡めつつ炒めて、パラッとしてきた所で溶き卵を加えて、卵が切れるまで炒める。
「下ごしらえおっけー、味付けヨロシク!」
 祭莉が笹の葉で包んで、高火力で一気に水気を飛ばし、旨味を閉じ込める蒸し焼きにして白身を、丸投げしてきた。
「ほぼ白焼き。なら……」
 杏はしばし考えた後、蒸し焼きの身を2~3㎝幅に切って、薄く輪切りにして御酢と和えたキュウリと、身が崩れない様にさっと混ぜ合わせる。
「まだまだある」
 流れるように3品作った杏だが、白身はまだまだ残っている。
 他にも何か作れそうだ。
「……」
 何を作ろうと思案する杏の目に、小麦粉の袋が入った。誰か他の猟兵が、大量に用意したとか。
 ――天ぷら?
 ウナギは身の脂が多い為、天ぷらに向かないと言われる事もある。
 だが、これはウナギと言いつつキング・ジャーゴーだ。
「チャレンジだけはしてみよう」
 杏はこくりと頷くと、深さのある鍋を取りに行った。

 トン、トン、トン、と包丁の音が響いている。
「まつりんは何をしているんだ?」
「主菜はアンちゃんに任せて、おいらは付け合わせ考えよっかなって」
 ガーネットに答えて、祭莉はヘタを残してガクを落としたナスに縦に細く包丁を入れていく。
 キュウリは半分に切ってから、ギザギザになるように断面に包丁を入れていく。
 それらを大きな袋に入れて、塩と少量の砂糖、酢とショウガを入れて――。
「はい、ガーネット姉ちゃん」
「うん?」
「揉んどいて」
 手伝えることがないかとガーネットが探しているのを察して、祭莉は浅漬けの最後の手順を任せる。
 まだ作らなければならないものがあるのに、祭莉は気づいてしまった。
 ――食器だ。
 まあそのくらい、フロント君の店にもあるだろう。
 けれども折角なら、食器も拘りたい。
 紅生姜と削り氷を箸置きに。
 各自の小皿代わりの器にと、祭莉は先ほど蒸し焼きにする時にも使った熊笹の様な葉と、デビル竹なる竹の皮を折って作り出した。

「杏、何か手伝う事はないか?」
 浅漬けの塩揉みが終わって手持無沙汰になったガーネットが、杏に何かないかと訊ねる。
「忘れてならぬものが、ある」
 天ぷらの準備をしていた杏は、小麦粉塗れの手で何かを指差した。
 ボウルに入った、大きな目玉。
「これは、薄味で煮付けにしようと思ってる」
「煮物か……味付けは難しいのでは?」
「ガーネット」
 煮物と聞いてやや不安そうなガーネットに、杏はきりっとした顔で告げる。
「煮物は調味料の分量を守れば大丈夫。恐くない」
「そうか……よし、計量なら得意だぞ」
 そしてガーネットは、杏に言われた通りに昆布で出汁を取り、塩で味を調え、大きな目玉を弱火でクツクツコトコトと煮込んでいった。

●ウナギじゃないけどウナギ尽くし
 ゴロゴロゴロ。
 祭莉が何か、樽を運んでいる。
「木元村の名物も並べとこ♪」
 屋外のテーブルの横に立てた樽には、木元村、と大きく書かれていた。
 酒樽である。
「これこれ」
 酒好きなガーネットが、早速木槌を取って、パカンッと樽を割った。
「へへ、有名になるかなあ?」
「この味が判る悪魔がいればな」
 にぱっと笑う祭莉に、中の清酒をグラスに注ぎながらガーネットが頷く。
「さ、まつりん、ガーネット。お料理頂こう」
 既に席に着いていた杏が、ソワソワした様子で席をタシタシ叩く。
 早く食べたい。
 杏の顔には、そう書いてあった。
 無理もない。テーブルの上には、ウナギと言う名のキング・ジャーゴーを使った料理が並んでいるのだ。

 ――石焼き鰻ビビンバ。
 ――ウナギ炒飯。
 ――蒸し焼き鰻ざく。
 ――ウナギの蒲焼き&蒸し焼きの天ぷら。
 ――ウナギの目玉のさっぱり煮込み。
 ――ナスとキュウリの浅漬け。

「絶対おいしい、すごくおいしい。いただきますs」
 シュバッと伸びた杏の手が、3つ作った石の器の1つを引き寄せる。
 石焼き鰻ビビンバ。
 蒲焼きにしたキング・ジャーゴーの身と、そのタレが掛かって石焼きにされたご飯と白ネギを混ぜて頂く。
「こっちも美味しいよ!」
 祭莉は、先にウナギ炒飯を口に運んでいた。
 先に炙ってからご飯と一緒に炒めた蒲焼きは、断面も火が通って、普通の蒲焼きとは歯触りも少し違う。白身から出た脂もあって、全体的にパラパラに仕上がっている。
「ウナギの蒲焼きは有名だが、ビビンバや炒飯もできるのだね」
「炒飯は出汁をかけると、ウナギ茶漬けになる」
 感心しているガーネットの前に、杏がスッと出汁たっぷりの丼を出して来た。
 その中に泳いでいる、大きな目玉。
「……」
 結局これは、どんなウナギの目玉なのだろう。出汁を炒飯にかけながら、またしても湧き上がった質問を飲み込んで、ガーネットは目玉にスプーンを入れてみた。
「こ、これは……」
 ガーネットの顔に驚きの色が浮かぶ。
「ぷるぷるだね」
 そう。杏の言う通り、目玉はプルプルだった。
 口に入れてみると、舌の上をつるっと滑っていく。
 美味しい。何の目玉かなんて、気にならなくなる。
 他の料理も、美味しかった。
 鰻ざくと浅漬けは、箸休めに丁度いい。
 チャレンジしてみた天ぷらも、脂がきついと言う事もなかった。
 天丼にしてもいいかもしれない。

「うわあ……凄い作ったっすね」
 料理の半分ほどが3人のお腹に消えた所で、フロント君が様子を見に現れた。
「あ、シェフ。これ、レシピ」
 杏が料理しながら作ったメモを、そっと差し出す。
「あと、たまごをひとつお裾分け」
 その横に、木元村で獲って来た卵も添えた。
 お裾分けなら、他の世界の食材でも大丈夫だろう。
「ん、錦糸卵作り乗せれば彩り鮮やかで、おすすめ。ジャコと一緒に鶏も飼って、新鮮卵を毎日収穫するのもおすすめ」
「――戦いになるけどね」
「戦いに、なるっすね……」
 杏の言葉と、その後にボソッと付け足した祭莉の言葉に、フロント君がしみじみと頷いた。
 もしかしたら――この世界にもいるのかもしれない。
 木元村のたまこに負けずとも劣らない鶏が。

●顛末
 ――キング・ジャーゴー肉、あります。
 覇痲無湖の畔、石造りの小屋の周りに、そんな幟がはためいている。
 キング・ジャーゴー亭と書かれた店の看板はキング・ジャーゴーの外骨格を加工した板で作られ、そこと暖簾にはキング・ジャーゴーをデフォルメしたイラストが入っている。
 フロント君は、キング・ジャーゴーである事を隠さずに開店したのだ。

 ――定番! ウナ丼。
 ――ナスとウナギの甘辛挟み焼き。
 ――何味だ! ウナギの魔煉獄風。
 ――これがバビロニアの忍者メシ。ウナギのマリネ。
 ――パスタに合う、ウナギのアクアパッツァ。
 ――特製ウナギハンバーグ。
 ――〆にどうぞ、ウナジャゴ茶。
 ――キング・ジャーゴーどこだ? ウ巻き。
 ――おコゲがたまらん、石焼きウナギビビンバ。
 ――この珍味を現す言葉がない、ウナギのキャラメルチョコレートソース和え。

 ――チャレンジャー求む。痺れる覇王ジャゴ茶。(レベル10飲めたら次回無料券)

 などなど、中のお品書きには、猟兵達が考案したキング・ジャーゴー料理の数々が書かれており、それらの隅には小さく『当店のウナギは全てキング・ジャーゴーです』と記されていた。
 詐欺っぽい書き方だが、フロント君とて、今までワルをがんばってた悪魔の一人だ。
 いきなり清廉潔白とはなれないのだろう。
 このキング・ジャーゴー亭が流行るか否かは、今はまだ未知数である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月17日


挿絵イラスト