加熱された欲望(主に食の)
●豚と肉欲
アルダワ魔法学園、そこは猟書家の侵略が始まると当時にその侵攻に晒された世界。そして猟書家の一人『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』は後発組でありながら、敵本拠地とも言える学園地下に潜り込むという快挙を見せた存在だ。
アルダワ魔王戦争の舞台となったファーストダンジョン、その隠しフロアに鎮座するダンジョンメーカー。そこにヴァルサリッサは、アルダワ猟書家の秘密兵器である『災魔の卵』を埋め込んだ。異常な駆動音とともにダンジョンメーカーが起動し、周囲に迷宮を作り上げていく。
出来上がった迷宮は、焼けた鉄板が敷き詰められた灼熱地獄の如き迷宮。そして呼び出された災魔は。
「なんだぁ……ここは?」
でっぷりと肥え太った豚の獣人。突き出た腹と醜悪な顔立ちを持ち、粘液を滴らせて背から生えた触手をぐちゅぐちゅと卑猥に動かすそれは『ウォークグルェート』。迷宮古参でありある方面で有名な災魔『ウォーク』のボス級個体である。
ダンジョンメーカーは起動した者であっても、呼び出す災魔は選べない。まさに女の敵と言える彼がヴァルサリッサの前に出てきてしまったのは、不幸な偶然としか言えないことだろう。グルェートは目の前に立つ己の半分程度の小柄な少女……ヴァルサリッサを見て、欲望に目をぎらつかせ舌なめずりをする。
「ぐへへ、貧相な体だが、キツさは上等そうだ。なぁに、痛いのは最初だけだ、すぐ俺様から離れられなくなるからよぉ……」
相手が災魔として格上であることは分かっている。だが、己の触手を受けて堕ちぬ雌などいないと、ヴァルサリッサの服に触手を伸ばすグルェート。それに対しヴァルサリッサは。
「超魔王的に理解した! 今日のメニューは焼き豚ね! その触手もいい感じ! 大丈夫、痛いのは最初だけ!」
「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
欲望に目をぎらつかせ舌なめずりをするのであった。
●豚に捨てるところなし
「あなたのメルでございます。今日はアルダワ魔法学園での依頼でございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵たちに豚カルビを配る。
「本日はアルダワ魔王戦争の舞台となったファーストダンジョン、その奥にある隠しフロアへと行っていただきます。知っての通りここには迷宮の元となるダンジョンメーカーがあるのですが、『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』という猟書家がこれに『災魔の卵』を埋め込んで隠しフロアのさらに奥に新たなダンジョンを作り上げてしまいました。ダンジョンメーカーでダンジョンを作るのは猟兵もやっていることなのですが、災魔を召喚し討伐を目的としてやっている我々とは逆に、彼女はダンジョンを作る方をメインの目的としてこれをやっています」
彼女は大魔王を超える『超魔王』を名乗る存在であり、隠しフロア奥に自らの居を構えることでいわばアルダワ迷宮の真の裏ボスを目指しているような存在だという。
「ですがそれでも結局災魔は出てきてしまうわけで。今回出てきた災魔は『ウォークグルェート』。アルダワの名物災魔『ウォーク』の強力な個体です」
その名を聞いた途端、何人かの猟兵は嫌悪や羞恥、あるいは期待にも見える表情で身を震わせた。
「知っている方もいるようですが、彼もまたウォークらしく欲望に忠実で、粘液を滴らせ蠢く触手を持ち、また体防具を破壊し肌を曝させる技も持っています。彼は今隠しフロア入り口部分で……」
卑猥極まる種族の、その中でも優秀な個体。一体如何な悍ましい所業に耽っているのか。
「ヴァルサリッサから逃げ回っています」
……は?
「このダンジョンはどうやら焼けた鉄板が多数敷き詰められた灼熱地獄のようなダンジョンなのですが、そこに豚型の災魔が現れたことで、ヴァルサリッサは超魔王的思考の元これを自分に供物として捧げられた豚肉一頭買いと判断。真裏ボスに相応しい体力をつけるべく彼をサムギョプサルとか焼きとんにして食べようとしたようで」
なぜか黍団号乗員が予知すると火だの肉だのばかり予知にかかるアルダワ猟書家。今回もまたその運命から逃れられなかったようだ。
「とりあえず彼は今入り口付近に身を潜めています。ただそれはつまりもう少しすれば逃げ切って外に出てきてしまうということでもあるので、そうなる前にこちらから乗り込んで彼を調理してしまってください」
こんな状態でも根はボス級の卑猥災魔だ。外に出せばどんな被害を齎すか分からない。
「そして首尾よく彼を平らげたら、そのままの勢いでヴァルサリッサも倒してしまってください。もちろん彼女も猟書家、その実力はウォークグルェートとは比較になりません。多種の属性を攻撃と防御に使う他、ダンジョンや戦場自体を弄り回してこちらの行動を阻害してきます」
色々残念な感じが漂う子だが、実力は本物だ。
「そして猟書家と言えば一般人が協力してくれることも多いですが、今回もやはりアルダワ学園生徒の皆さんが協力してくれます。彼らは種族もジョブも様々ですが、皆若くお腹を減らしています。彼らはウォークグルェートにも果敢に立ち向かってくれるでしょう。ヴァルサリッサには当然叶いませんが、きっと懸命に陽動に務めてくれるはずです」
言っていることはまともなのだが、恐らく字面通りの意味ではあるまい。そう思われているのを察したか、メルはにこやかに続ける。
「まあ、具体的に言えばこのウォークグルェートの触手部分は中々いい味していまして。豚とはいえ獣人を食べるのはちょっと……という方でもそちらなら抵抗薄目にいけるかもしれないので、そこの確保のために張り切っています。そしてヴァルサリッサ戦ではそれを用いてバーベキューし、豚肉を食べ損ねた彼女の気を散らすことができます」
学生たちにとっても猟兵はヒーローである。空腹を満たしてその手伝いができるなら喜んでやるだろう。
「敵も味方も欲まみれですが、皆様もそれに負けず貪欲に勝利をもぎ取ってきてくださいませ。もちろん、それ以外の余禄を欲張るのも大いに結構。それでは、行ってらっしゃいませ」
そう言ってメルはグリモアを起動し、猟兵を欲望渦巻く灼熱のダンジョンへ送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。焼肉を食べるとなぜかアルダワが書きたくなります。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス(全章共通)……学生達と協力する』
アルダワ腹減り学生の皆さんが豚肉確保とバーベキューの為に同行してくれます。種族、ジョブはアルダワ魔法学園準拠。年齢は大体10~20代の若者です。
第一章では『ウォークグルェート』とのボス戦。彼は必死に逃げようとしており、WIZ技は性欲よりむしろ生存欲が理性を凌駕しています。触手は肉のようなイカのような珍味です。ウォークは古参災魔なため、捌き方や美味しい食べ方は学生たちが割と知っています。
第二章では『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』とのボス戦。彼女は豚肉を食べ損ねてお腹が減っているので、近くで学生たちがバーベキューを始めると気が散ります。SPD技やWIZ技は直接殺傷力のない技なので、学生たちにぶつけさせてしまうのもありかもしれません。ただしガチバトルになれば相応に強いので、丸投げはやめた方がいいでしょう。
戦場となる迷宮はそこら中に焼けた鉄板があり、迂闊に転倒したりすれば全身を焼かれます。立ち位置を注意したり、何らかの手段で熱を遮断するなどして危険を回避してください。逆にうまくそこに敵を追いこんで利用したり、あるいは学生に指示を出して何がしかに利用させたりすれば有利に立ち回れるかもしれません。
まあこんな感じなのでネタ寄りの依頼です。お色気要素は多分ありませんが、お好きに楽しんでください。
それでは、欲望のままにプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ウォークグルェート』
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POW : 大斧の一撃 + 服破り + ずぶ濡れ
【触手から吐き出した粘液】が命中した対象に対し、高威力高命中の【防具を破壊する大斧での一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 触手乱撃 + 捕縛 + うごめき
【悍ましい触手】【粘液まみれの触手】【いやらしい触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 悲しき性質 + 壊アップ + 狙アップ
自身の【欲望が理性を上回る性質】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:因果
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠茲乃摘・七曜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ファーストダンジョン隠しフロア入口。そこはダンジョンメーカーの効果によって、焼けた鉄板が敷き詰められた灼熱地獄と化していた。
そこにへたり込む肥え太った一匹の豚獣人。
「ぶひ、ひ、ひぃぃ……」
だらだらと全身から汗を流しているが、それは決して周囲の熱気から来るものだけではない。そして彼の心胆は、周囲の温度と反比例するように冷え切っていた。
「な、なんだ、あれは……じょ、冗談じゃねぇ、俺様はそっちは専門外……」
自他ともに認める性欲の塊である彼だが、今はもう繁殖も快楽も捨てて自身の生存を最優先に考えていた。
あの少女が向けてきたのはまさに捕食者の目。肉に対する欲にぎらついたあの目は、百戦錬磨(性的な意味で)を誇る己をして恐怖に陥れるもの。
雌から逃げてはウォークの恥などという下らぬプライドは最早ない。ただ生きるため、豚は命を懸けて灼熱の洞窟を駆けてきたのだ。
そしてようやくたどり着いたこの場所。すぐそこにあるはずの生への出口から、まるで彼を押しとどめるかのように多くの足音が聞こえてきた。
「うわっ、あっつ!」
「いやでもこれくらいの方が盛り上がるってもんだし!」
「あ、見て、ウォークがいるよ!」
本能的に知っている。彼らはこのダンジョンの上に立つアルダワ魔法学園の学生。いずれも生気に満ちた瑞々しい肉体を持った、健康的な若者たちばかりだ。
雄はどうでもいいがそんな雌は恰好の獲物……そう思う前に、その目が彼を射抜いた。
知っている。あれは、あの目は。
「あの触手、肉とイカのいいとこどりな食感なんだよ!」
「粘液は塩で洗うと落ちやすいよ!」
「私トントロ食べたい」
あれはあの少女と同じ、捕食者の目。そしてそこから放たれる、最後の絶望の言葉。
「よし、協力は惜しまないよ! やっちゃおう、猟兵さん!」
「ぶひぃぃぃぃぃ!? 猟兵ぃぃぃぃ!?」
前に天敵、後ろに捕食者を負った哀れなる豚『ウォークグルェート』。猟兵よ、腹減り学生と共に、この豚を死を持って恐怖から解放してやるのだ!
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK NGなし
ドラゴニアンと人間の女学生3人と行動。三人共劣らぬグラマーな体躯で反応するのをなんとか抑える。
「だ、大丈夫だ」
散々されてきたせいで求めてしまうがみっともない姿は見せまいと獣の盟約を抜いて対峙する。
相手の動きを見ながら動き回避するも擦れるせいで集中できず。
(身体が、疼いて)
堕とされれば奉仕を始めて。
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK NGなし
女学生たちに挨拶し、クロタを呼び出し進む。
(大丈夫よ、なんとか堪えれば)
話を聞いてから襲われる期待を抱きつつ前進し、対峙すれば焔雷姫を形成して対峙する。
見切りで避けるものの過去を思い出して動きが鈍くなり。
「まさかあの豚を奉仕するつもりか?」
クロタも攻撃の手を緩めて睨むように見る。
「奉仕なら主人にするものであろう?あの娘たちも含めてな」
理性が負けてしまえばいつものように快楽を求めて。
藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK NGなし
「よろしくお願いしますね」
挨拶を終えたら前進。四人共快楽主義に染まり切っており触手への期待を秘めている。
援護射撃を行いつつ指示を出す。
「協力お願いします」
三人にも協力を要請してアリス、エルーゼと共に戦ってもらう。
ノーブルラウンドを撃ち込み、胸や腿を大きくして感度を上げつつ発情しやすい体質への肉体改造を行う。
「奉仕の仕方を教えますね♥」
逃げられない様に囲んでからせめるようにして。
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK NGなし
「よろしくお願いいたします」
挨拶を済ませ前進を始め、アンスウェラーを用意しておく。
他の三人同様に快楽を求めてしまうというのはあり、肉欲もそちら側と言える程。
遭遇すれば戦乙女を創り出すが何時もより官能的で刺激を与えるようにしている。
(はあ、あの触手……魅力的で疼きが)
色々想像しつつわざと胸元を見せたりする。
華澄のUCをエルーゼやアリス共々受けてより肉感的な肉体へと肉体改造を行い逃げられない様にしてから奉仕を。
ファーストダンジョン隠しフロア、今は灼熱の鉄板地獄と化したその場所に、一匹の豚がいた。
彼はアルダワ迷宮古参の災魔ウォーク、その中でも優秀な個体に授けられる『グルェート』の称号を持つ者だ。
本来ならば、多少優秀であってもアルダワの一般学生が叶う相手ではない。だが、今彼を前にした学生は恐るべき欲望にその身を委ねていた。
「触手! 触手!」
触手を見て興奮するのはドラゴニアンと人間の女学生3人。飛び跳ねればゆさゆさ揺れる豊満な姿態を持つ者ぞろいだが、本来それを放っておかないはずのウォークグルェートだが、その顔は恐怖にひきつっている。
「あの触手、おいしいんだよね!」
何しろ彼女たちもまた、ウォークを食材と見てこの迷宮に乗り込んできた腹減り学生の一団なのだ。さっきから散々餌扱いされているグルェートにはまさに恐怖の対象。
それでも腐ってもボス級災魔、相手が一般学生なら恐怖を抑え込み戦うこともできるだろう。だが、彼の敵はそれだけではなかった。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だ」
そう答えるアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は災魔の天敵たる猟兵。だが、その動きは極めてぎこちない。
「よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いいたします」
同様に挨拶する藤宮・華澄(戦医師・f17614)とベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)も同様だ。
既に述べた通り、ウォークは古くからアルダワで活動している古参の災魔である。それ故に彼らの毒牙にかかったことのある猟兵も多く、彼女たちもまたそうであったのだ。
ぬめるグルェートの触手を見れば、そういう依頼ではないと聞いていたとしてもどうしても意識はそちらへ向いてしまう。とりわけ『雄』の特性を持つアリスなどは、学生たちの豊満な体にまで反応してしまう程であった。
とりあえず武器を構え、また各々ユーベルコードで追加の仲間を呼び出してみるが、その動きはおよそ戦うに相応しいとは言い難い。
(大丈夫よ、なんとか堪えれば)
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)はそう考えるが、この状態でそれは余りにも楽観が過ぎるというもの。あるいは、最早そうされることを期待しているのか。
片手には炎宿す剣を持つが、握る手も弱弱しくまるで玩具でも握っているようでしかない。
(はあ、あの触手……魅力的で疼きが)
ベアトリスはわざと胸元を見せ、その召喚物である戦乙女たちも本来の無敵など一切なく、ただされるがままを望むような姿勢を見せている。
「まさかあの豚を奉仕するつもりか?」
エルーゼに召喚された邪神クロタも攻撃の手を緩めて睨むように見る。
「奉仕なら主人にするものであろう? あの娘たちも含めてな」
だが、そこにあるのは止める意図ではなく、自分が主導権を握るのだという傲慢なる意思。邪神を名乗る彼女であるが、その本質には変化が見え始めている。豚を殺して奪い取るのではなく混ざるという発言は、それが今回に関しては最悪の方向に向いてしまったということだろう。
恐怖に支配されていたグルェートだが、目の前でまるで自分を誘うような雌の姿に自らの誇り、存在意義を取り戻した。
「ぶひ、俺様は……俺様はウォークグルェートだぁぁぁ!!」
触手をのたうたせ、雌たちに襲い掛かるグルェート。その触手を猟兵たちは何とか避けようとするが、その動きは余りにも鈍く避けることなど出来はしなかった。
あっという間に捉えられ、ウォークの『本分』を始められる猟兵たち。
(身体が、疼いて)
アリスは瞬く間に奉仕を初め、ベアトリスは戦乙女たちと触手を取り合うように求めていく。
「協力お願いします」
一見助けを求めるような華澄の言葉だが、それで行うのは【ノーブルラウンド】による自分も含めた仲間たちの胸と腿のサイズ強化。
「奉仕の仕方を教えますね♥」
その胸をグルェートに押し付け、搾り出すよう促す一同。さらにアリスに至っては本来ない追加の部位まで肥大させ、そこさえもグルェートに搾り取らせる。
「そうだ……俺様は、これがしたかったんだぁぁぁぁぁ!!」
本来の自分を取り戻し、猛り狂うグルェート。この勢いであの魔王を名乗るも触手の餌食に……
「触手、いただき!」
その為の触手が、無残にも切り落とされた。地面に落ちてびちびちと跳ねる触手を拾ってエルーゼとクロタが楽しみだすが、その間にも別の触手がざくざく切り落とされていく。
「そっちの玩具の分は残しとくから、私達は食べる分貰ってくね!」
学生たちが目の前の痴態にもひるむことなく、グルェートの触手に襲い掛かっていたのだ。その方面に興味がないのかウォークに『やられた』ことがないのか、彼女たちの行動理念である食欲はこの状況でも微塵も揺らぐことはなかったようだ。その豊満な体はなんのため……とも思えるが、この状況ではその食い意地がありがたい。
そして男が最も無防備になるのはあの瞬間、とばかりに猟兵に目が言っていたグルェートは、本来敵しえないはずの生徒たちの攻撃を受けて簡単に触手を切り落とされていく。
「ぶ、ぶひぶひぃぃぃぃぃ!?」
そしてそのざまは、この場での彼本来の立場、即ち『食われる者』を思い出させてします。
「奉仕、奉仕させてぇ」
だがそんなグルェートの恐怖など知ったことではなく、猟兵たちは触手に群がっていく。自分が招いた状況であれ、もはやその迫り方にグルェートは触手を離して逃げることもできない。
「ぶひぃぃぃぃぃ!!」
結果として一度本分を忘れたグルェートは、二つの意味で女たちに『食われる』側となってしまうのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
美味しいというのは、興味が有りますねぇ。
参りましょう。
『FAS』を使用して飛行し『鉄板』への接触を遮断、【耀衣舞】を発動し『光の結界』を展開した上で、『FES』の属性結界を重ね『冷気』を放射、内部の温度を保ちますぅ。
そして、上記と『FIS』を除く『F●S』全てをエネルギー供給に使用、『反動』も許容し威力を上げ『光速突進』を行いますねぇ。
『粘液』が放たれたら『FIS』の転移で大きく回避、落下後の隙を狙い再度『突進』、『鉄板の上』に吹き飛ばしましょう。
学生さん達には、折角の食材を失わない様『美味しい部位の伝授』と『解体の手伝い』をお願い出来ましたら。
御土産にもしたいですが。
所詮自分は食われる側だ。それをたっぷりと思い出されてしまったウォークグルェート。
「美味しいというのは、興味が有りますねぇ。参りましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言葉は彼に対しそんな自らの立場を改めてはっきりと突きつけた。その豊満極まる体も、もはや欲情の対象ではなくエネルギーの摂取、蓄積を思わせる恐怖の塊でしかない。
「ぶ、ぶひ、くるんじゃねぇ!」
彼女と鉄板を挟む場所に移動し、相手が一足飛びには近づいてこれないような位置を取るグルェート。ウォークは大概知性は低い者が多いのだが、危機に瀕して生存に関する知恵は研ぎ澄まされているのだろうか。
しかし、そんな僅かな成長も猟兵の力の前にはあっけなく覆される。るこるは『FAS』を飛行能力として使用、そのまま鉄板を飛び越え最短距離でグルェートへと迫って来た。
「ぶひぃぃぃぃ!?」
残念ながらウォークは陸生生物である。さらに基本パワーと触手頼みなので魔法の類にも疎く、こういった空中戦はいささか苦手とも言える。
だが、鉄板の上を飛ぶということはその熱に直に炙られるということ。いかに猟兵と言え、その熱は長く耐えられるものではないだろう。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて舞を捧げましょう」
そこに【豊乳女神の加護・耀衣舞】の結界を張り熱を遮断するるこる。さらには内部に冷気属性を宿した知恵の布『FES』を置いておくことで結界内を冷やし、蒸し焼きになることも防いだ。それはさながら空調のきいた一人焼肉用ブースのごとし。
食べるのは自分、焼かれるのは相手の方というスタンスを決して崩さないその姿はやはりグルェートにとっては恐怖そのもの。そしてその体が、文字通りの光の速さで突っ込んできた。
「ぶひゃぁ!?」
装備のほとんどをエネルギー供給に回した体当たりは威力抜群。ボス級としては並程度の力しかないウォークグルェートはあっさり跳ね飛ばされる。さらに何とか反撃として粘液を吐き出すも、それは唯一残しておいた瞬間移動用装備を使ってあっさりと回避され焼けた鉄板の上におちた。
激しい音を立て一瞬で粘液が干からびていくが、それを見てグルェートははっとしたような表情になる。
「そ、そうか! 粘液をかければ一時的に鉄板が……」
危機に瀕して何かの能力が上がっているのか、ウォークとしては革新的とも言える閃きを得たグルェート。だがそれを活かす機会など全くなく、そのまま再度の突撃によってそのまま鉄板の上に転がされることとなった。
「あぢゃあああああ!!」
鉄板の上で焼き豚にされるグルェート。それを見て、るこるは後ろに控える学生たちの元へ戻り彼らに質問をした。
「折角の食材を失わない様『美味しい部位の伝授』と『解体の手伝い』をお願い出来ましたら」
それには学生たちが各々答え始める。
「悍ましい触手は意外と外皮が固いから、一枚剥いてから焼いた方がいいっすよ!」
「粘液触手は粘液取らないと臭いけど、全部取れば意外とさっぱり!」
「いやあの匂いがいいんだろ。通はわざと中の粘液を残すんだよ」
「私トントロ食べたい」
なんか一部自分の欲望を言っているだけだが、どうやら一見同じに見える触手でも部位ごとに味と捌き方が違うらしい。そして曲がりなりにも知的生物ということを気にさえしなければ、豚部分もしっかり食べられるようだ。
そのまま彼らの知識と共に、触手中心に焼きながらの解体にかかるるこる。
「御土産にもしたいですが」
そうは思うもののこの腹減り学生の集団と、なにより目の前で自分を誘うかの如く焼き色がついていく触手。その前にそれだけの分が残るのか。それは甚だ疑問の残るところなのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD
【火炎耐性・環境耐性】で熱は平気。
ウォークを【念動力】で引き寄せ
私ごと【結界術】に軟禁するも【祈り・医術】で治療
こんなに怯えて可哀想に。私が貴方を救うわ。
その代わり、私を愛して?
文句を言う学生は【怪力・踏みつけ・地形破壊】と
「私は吸血鬼よ。お前達こそ喰われたいの?」の一言で黙らせ
裸でウォークを【誘惑】
触手責めにされつつも【催眠術】のおねだりと
媚毒【呪詛】体液で彼を【鼓舞】
キスして♥
おっぱいしゃぶって♥
貴方のソーセージが欲しいの♥
UC封印されても守護霊の憑依【ドーピング】で
UC級の強化を得て【慰め・生命力吸収】
最期を看取ったら
『八艘後光刃』で切り取った触手だけを学生達に投げ渡す
熱気あふれる鉄板洞窟。そこはただいるだけで汗が噴き出し体力が奪われていく灼熱地獄だ。そこに居続けるなら、何かしらの対策は必要だろう。あるいは正負問わず、それを凌駕するほどの昂った感情か。
だとすれば己のもつ耐性で熱を遮断しているドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、食欲や別の強烈な感情ではなく冷静な思考のままここに立っているということか。
ドゥルールは学生たちには目もくれず、倒れるウォークを念動力で引き寄せ自ら諸共結界に閉じ込めることで周囲と遮断した。
その結界の中、ドゥルールは座り込んで自分の膝にウォークグルェートの頭を乗せ、その前で祈るような仕草を見せる。そうすると涼やかな光がグルェートを包みこみ、焼けただれた体を癒し切り落とされた触手も再生させた。
回復したことで意識が戻り目を開けるが、目の前にいるのが学生には見えない者……猟兵であることを認識し体をばたつかせて逃げようとする。
そのグルェートを、ドゥルールは優しく抱き寄せた。
「こんなに怯えて可哀想に。私が貴方を救うわ。その代わり、私を愛して?」
今までかけられたことのない言葉にグルェートが戸惑う。嫌がる雌を無理矢理手籠めにしてきたことは数えきれないほどあるし、自ら求めてくるものがいたとしてもそれは快楽堕ちし理性を失ったものばかり。有名であれど災魔としての格が高いとは言えないウォークは、彼に限らず他者から愛されたことなどないのが当然であった。
「何考えてるか知らねぇが……雌の分際で生意気な! どうせ騙し討ちとかそんなとこだろ!」
知性が高くないウォーク故の精一杯の勘繰り、そして愛を知らぬ故の発想にドゥルールは自らの服を脱いで裸体を曝し答える。
「作戦にしたってやり過ぎじゃ……」
結界外部の学生たちも理性が残ったままウォークを求めるものがいるなど想像もしておらず彼女の行動を訝るが、その言葉が耳に入ったドゥルールが冷たく彼らを睨みつける。
「私は吸血鬼よ。お前達こそ喰われたいの?」
グルェートに向けたものと真逆の殺意の籠った言葉と共に灼熱の鉄板すら踏み抜くほどの足踏みを見せれば、学生たちのもそれ以上は何も言えない。
そうしてこれこそが本分と言わんばかりのグルェートの触手攻めを、ドゥルールはそのまま受け入れる。
「キスして♥おっぱいしゃぶって♥貴方のソーセージが欲しいの♥」
それはまさにウォークに落とされた雌の如く。だが、相手の精神に働きかけて恐怖を忘れさせ、相手の精力を増強する媚毒を自ら噴き出し提供し、己の本分を全うできるよう彼を鼓舞する。主導権を握っているのは明らかにドゥルールの側だったし、それは快楽に堕ちての媚態ではなく相手の為にその喜ぶべきを成す本当の意味での『奉仕』であった。
それに応えるように触手を振るい、大量の粘液を吐き出すグルェート。そしてドゥルールの粘液濡れになった顔を、グルェートは眼を合わせて覗き込んだ。
「ぐへへ……雌の癖に生意気なことするじゃねぇか……だがよ、俺様は、ウォークなんだ……」
その言葉に、ドゥルールは彼の『ソーセージ』から、大量の生命力を吸収した。その勢いに思わず……あるいは自ら、グルェートは触手の戒めを離した。
そうしてドゥルールをわざとらしく捨てるように地に置いた後、それに背を向け学生の方に向き直る。
「ぐへへ、俺様はウォークグルェート! グルェートなウォークなんだぁ!」
その背でのたうつ触手を、ドゥルールは【八艘後光刃】で切断した。
「ぶっひぃぃぃぃぃ!!」
悲鳴を上げ前のめりに倒れるグルェート。後ろをちらと振り返ったその目が、ドゥルールと合う。
本当なら彼の最期を看取ってからこうしてやりたかったが、ウォーク故の変なところで高い生命力と、何より最期までウォークグルェートたらんとする彼の姿勢がそれをさせなかった。ウォークに愛などあってはならぬ、最後まで嫌悪されながら戦い、その死に唾を塗られねばならぬのだ。
鋭く、早く、痛みなく切り離された触手を、ドゥルールは乱雑に学生の方に投げ渡した。なんだかんだ腹の減っている学生たちはそれを喜んで手に取り食欲にわき出す。
その姿と、一瞬グルェートが自分に向けた目。ドゥルールの心の中でそれがどう比べられるかは、彼女にしか分からぬところであった。
大成功
🔵🔵🔵
ジョウ・クロビス
アドリブ・絡みOK
人間の男子学生とドラゴニアンの女子学生と行動。
ヨル、エルザ、サソナを呼び出す。雑談するうちに想いを抱いていると密かに話される。
「私達はお前が臆病者だとは言わん」
自ら臆病だと言う男子学生にそう返して準備を始める。
霊符による茂みを作り出し、そこにマヒ攻撃を行う霊符を置いていく。
オールバックに髭を生やした日本軍の狙撃兵である小崎を呼び出す。
「あの底の読めぬ野心家には気をつけておけ」
掴みどころのない道化の様な小崎にサソナは警告をする。
ヨルは指を鳴らして前方に火を飛ばし、エルザが銃撃で学生二人の援護を行う。
サソナも属性攻撃で攻めて追い立てる。
小崎は射程距離にある罠にかかった所を狙い撃つ準備をして待ち構える。
相手の攻撃には指先から風の属性攻撃、両手で短距離の水の円刃で迎撃。見切りによる回避も行う。
肉目当てに洞窟にやってくる学生たちだが、彼らは全員が一つの集団というわけではない。話を聞いて各々やって来たり、あるいは所属は同じでもさらにその中でグループに分かれていることも多くあった。
ジョウ・クロビス(グレイブと霊子ワイヤーを用いる浄化師・f37038)と共に来たのは、人間の男子学生とドラゴニアンの女子学生の二人組。周囲が一斉に迷宮に行くのに便乗する形でここに来た知り合い同士であるらしい。
召喚術を得意とするジョウは話し相手も兼ねて女戦士エルザ、魔術師ヨル、そして欺瞞の神サソナを召喚していた。
エルザが女子、ヨルが男子と主に話してみれば、どうやらこの二人は互いに友人以上の感情を持っているようだがそれを相手に伝えられていないらしい。特に男子学生の方は成績や能力が全体的に彼女より劣る傾向があるらしく、例え大集団への同行、かつ猟兵の手を借りられるとあっても迷宮の奥深くに彼女と共に来るのを躊躇していたらしい。
「私達はお前が臆病者だとは言わん」
本来迷宮探索は危険なもの。それを恐れるのは正しい判断だと伝えるジョウ。こう言った者たちと関わるのは初めてなはずなのに、何故か共に思い合いながら苦難の道を歩く少年と少女、そしてそれを導く自分……あるいは別の男がちらつくのは洞窟の熱気に中てられているだけか。それを表には出さず、ジョウは戦闘の準備を進めていた。
熱気滾る迷宮では、触手生物ウォークグルェートが既に戦う構えを見せている。
「ぶひぃ……俺様は諦めねぇぞ……!」
何としても逃げるのだと、グルェートは触手をのたうたせ出口を塞ぐものを排除せんとしていた。それに対し、これ以上は行かせぬとジョウは鉄板の隙間に霊符を敷き詰めて麻痺呪の茂みを発生させ、相手が通る道を全て潰していく。
そしてその足元の罠を飛び越えて、一発の銃弾がグルェートを撃ち抜いた。
撃ったのは今までいなかったオールバックに髭を生やした男。アルダワ魔法学園には似つかわしくない時代がかったミリタリースタイルは、時代的に昭和期の日本軍あたりか。だが過剰な精神論によって滅びたと揶揄されるその軍のものとしては、その態度は余りにつかみどころがない。
「あの底の読めぬ野心家には気をつけておけ」
サソナがジョウにそっと耳打ちした。彼自身もまた敵に向けているようで己にすら欺瞞の言葉を吐く存在だが、それが警告してくるとはこの小崎なる男はどれほどのものなのか。
だが、少なくともその狙撃技術は間違いなく本物。前方を防がれたグルェートを抑え込み、強引な鉄板の突破さえ許さない。
そこに重ねるようにヨルが指を鳴らし、鉄板の熱を飛ばすかの如く炎をグルェートへと撃ちかけた。かつて別の戦場で召喚された時は氷の魔法を得意としていた彼だが、決してそれしかできぬわけではないとばかりに炎を操りグルェートを足止めする。
さらにエルザも自身の銃でグルェートを狙いその動きを完全に封じていくが、あくまで致命傷は狙わず足止めに徹している。そうしながら、彼女は二人の学生に目を向ける。
その戦い方から、ここは遠距離攻撃が有効と、それぞれに精霊銃や蒸気ライフルを持って攻撃する学生たち。いかにグルェートの触手が巧みに動けるとはいえ根元は体にくっついている近距離武器なのだ。銃の射程に適うものではない。
「ぶひ……ぶひぃぃぃぃぃぃ!!」
咆哮を上げ、触手を振り回して力尽くで突破を試みるグルェート。それをジョウも魔法を用い、風で押し返し届いたものを圧縮した水の円刃で切り落とす。切断された触手が下の鉄板に落ち、じゅうじゅうといい音を立てて焼け始めた。
そしてその頭に、巨大な岩塊が落下した。どこか得意げにしているサソナの様子から見るに、彼が落としたのだろう。火、風、水と用いられたので、土属性をおまけで足しておいたという彼なりの戯れか。
最後に強引に麻痺の茂みを踏み越えようと足を踏み入れれば当然動きは鈍り、そこを簡単に小崎の銃弾が撃ちぬいた。
オーバーロードを用いて敷かれた徹底した道の遮断。それをグルェートとはいえ一介のウォークたる彼が踏み越えられるはずもなく、ただ彼は目の前で落とされた自分の触手が焼けるのを見ているほかはなかった。
その焼ける触手を、長いガジェットを使って男子学生が拾い上げ、女子学生に渡す。
彼からすればトングで肉を取った程度の感覚なのだろう。だが、自分の能力で正しく目的を果たしたと考えれば、それは彼が自分の力を正当に見極め発揮したと言える。
やはりお前はただの臆病ではない。その姿に、ジョウは心の中で彼を激励するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
七詩野・兵衛
アドリブ等歓迎
この事件に対して「我輩はアルダワ魔法学園『轟嵐会』団長 七詩野 兵衛である!」
「アルダワ魔法学園生徒諸君バーベキューがしたいかー!」
という感じで参加します。
(なおメタな話あまり活動してない?ので知名度があるかは不明)
(キャラ的にはお構いなしに応援)
戦闘は、WIZで相手のWIZに対抗、
「どちらの強化が上なのだろうな?いくぞ応援活法『言轟動団』」
作戦は、機動力のあるジョブで誘導。
例えばスカイダンサーならば空を舞えば問題ないだろう。
そしてバーバリアンなどのパワータイプを集めた場所に誘導し、
ボコボコにすることで肉を柔らかくする下ごしらえは完了だ。
暑さ?気合と肉を喰らうための情熱で耐えろ!
ヴィクトリア・ノウェム
お肉、です。
……でも私は捌くのは上手くないから、慣れている人にお願いするです
エル・セプス(人型外装形態)だと少し狭いかもしれないですけど、逆に動き回れないから都合がいいかもしれないです
逃げようとするならまずは捕まえるです
逃げようとした先へ『デビルアベンジャー』からくっついてべたべたする「ガム弾」をばらまいて逃げ道をふさいで、『ケルベロスファング』を喰い付かせて捕まえて引っ張るです
通路とかに逃げ込まれるようならUC【ハウンド・ライトニング】を使用、13の雷を放ち通路内を反射させ広い場所に狩り出して、改めてファングで捕まえるです
大人しくするです。〆る前に暴れると肉質が落ちるって聞いたです
鉄板の熱で空気まで燃えているのかと思う程の灼熱地獄と化した洞窟。だがここに、その熱気すら塗り替える程の暑苦しい声が響き渡った。
「我輩はアルダワ魔法学園『轟嵐会』団長 七詩野 兵衛である!」
その名乗りの通り、彼は七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)、アルダワ魔法学園に在籍する現役学生であり、応援団『轟嵐会』団長の男子学生である。
「え……誰?」
ちなみに彼の応援する範囲はアルダワ学生に留まらない。行ける世界全てを飛び回り様々な者たちを応援する猟兵であるため悲しいかな相対的にアルダワ学生を応援する頻度は減ってしまっており、同じ学生でありながら彼の名を知らない者も多かった。
だが、そんなことで声を静める兵衛ではない。
「アルダワ魔法学園生徒諸君バーベキューがしたいかー!」
ここに集った者の目的は分かっているのだ。それを改めて大声で確認すれば、彼の熱気が伝播したかの如く学生たちの熱はさらに滾る。
「おー!」
洞窟全体を揺るがすかのごとき大声の号令。そしてその中に、一つだけ学生でない声が混ざっていた。
「お肉、です。……でも私は捌くのは上手くないから、慣れている人にお願いするです」
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)はブルーアルカディア出身のエンジェルであり可変型飛空艇パイロットである。
彼女の飛空艇は彼女の為にロマン全開、採算度外視で両親が建造した特別製である。当然ながらそのコストは半端ではなく、両親が行方不明になった後その借金は全て彼女が負うこととなった。それ故お金の絡まない依頼には本来消極的である彼女だが、こんな腹減り貧乏学生の集団に同道したわけは。
「報酬は……むぅ、お金がないならご飯でもいい、です」
食べることが大好きだからだ。なお大好きだからと言って栄養吸収の効率がいいかはまた別問題らしい。
そんな彼女は件の愛機『エル・セプス』を外骨格の如き動力甲冑へと変形させてこの場に乗り込んだ。人型とはいえ元は飛空艇。そのサイズは巨人やキャバリアなど目じゃないほどのもの。当然狭い洞窟内にはぎゅうぎゅうに詰まって動けないが、焼けた鉄板が敷かれ迂闊に動いてはいけないここではかえって都合がいい。
その巨体と足元に集う学生集団に、ウォークグルェートは最後まで交戦して突破するつもりだ。
「食欲なんぞより性欲の方が強いんだおらぁぁぁぁ!!」
己の本能を全開にし、多勢に挑む無謀な特攻。だが性、そして生への執着のためのその行動は彼にウォークの限界を超えた強化を与えていた。
その強さを、兵衛は真っ向から迎え撃たんとする。
「どちらの強化が上なのだろうな? いくぞ応援活法『言轟動団』」
灼熱の空気を構わず肺一杯に吸い込む兵衛。
「我輩の「気合」と「情熱」を受け取るのである! 速き者、空を舞え! 強き者、地を征せ!」
サブジョブがスカイダンサーなどの機動系ジョブの者にウォークを誘導させ、バーバリアンなどの力強いジョブの者が待ち構える場所へと誘い込む。己を強化するためあえて無謀な行動をとらざるを得ないグルェートはその誘いに引っかかり、宙舞う精霊術士を追っては待ち構えるマジックナイトに叩き潰されてしまう。
「ぶ、ぶひ……!」
【応援活法『言轟動団』】の力で強化された学生たちはグルェートにも引けを取らぬ戦闘力だ。
「団長! 凄いけど暑苦しいっす!」
「暑さ? 気合と肉を喰らうための情熱で耐えろ!」
戦法は理に適っているが原動力は欲と根性。そこは妥協するなと団長の檄が飛ぶ。そして強化が通じぬと引こうとしたグルェートを、ヴィクトリアは逃さない。
「逃げようとするならまずは捕まえるです」
非殺傷用ガトリングガン『デビルアヴェンジャー』からガム弾を撒き、相手の周囲を逃げられない粘着地獄へと変える。さらにはフックショット『ケルベロスファング』を相手に食い込ませ、強引な突破さえ阻害しこちら側から離脱するのを許さない。
「逃げるのも駄目。無駄に体をぶつけるのも駄目。見つけた……逃がさない、です」
どこかへ逃げ込むのも、無駄な抵抗をするのも許さない。【ハウンド・ライトニング】の反射でグルェートの全方位を囲い、稲妻の屠殺場をその場に作り上げるヴィクトリア。
「大人しくするです。〆る前に暴れると肉質が落ちるって聞いたです」
「その後はボコボコにすることで肉を柔らかくする下ごしらえは完了だ」
そして下る猟兵たちからの食肉加工の指示。
「ぶっひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
かくしてウォークグルェートはグルェートな味と食感の食肉へと下ろされた。だが油断してはいけない。この肉に目を付け喰らわんとしているのは、学生たちだけではないのだ……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』
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POW : 不滅進化~超魔王には同じ手は通じない~
【受けた攻撃の属性に耐性を持つドレス姿】に変身する。変身の度に自身の【攻撃に付与される属性】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD : 運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~
【運命操作の魔力】を解放し、戦場の敵全員の【プレイングボーナス】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ : 創世魔術~超魔王の意に従い世界は作り変えられる~
【ダンジョンメーカーの光】を降らせる事で、戦場全体が【敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場】と同じ環境に変化する。[敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:香
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠幻武・極」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
かくして食肉加工されたウォークグルェート。その肉を持ってバーベキューに適した場所を求め少しダンジョン内を進めば、奥部から軽い足音と騒がしい声が聞こえてきた。
「トンテキ! 肉野菜炒め! ローストポーク!」
なんか色々豚肉料理を叫んでおり、学生たちもそれもいいなと聞き入っている。そんなことをしているうちに現れたのは、黒衣を纏った小柄な少女だった。
少女は前方に学生の集団を見つけると、立ち止まって首をかしげる。
「あれ、あなた達誰? 私の豚肉は?」
そう言いながら学生たちを見回せばその手には豚肉、そして新鮮な触手が。それを見た瞬間少女の目がつり上がる。
「超魔王的に推理するに……さては盗んだな! 私の豚肉!」
豚肉抱えてダンジョンに潜る謎集団を見てそこにすぐ思い当たるのは凄いのか凄くないのか。とはいえ彼女の場合、単純に自分がそうしようと思っていたからそちらに思考が行っただけだろう。
そう、彼女こそが『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』。ダンジョンメーカーを用いて迷宮隠しフロアに新たな迷宮を作り、大魔王を超えた超魔王にならんとする猟書家だ。
ダンジョンメーカーによって自らに捧げられた(と思い込んでいる)肉を奪った不埒者を許さぬとばかりにヴァルサリッサは杖を振り上げる。
「許さないからね! 返しなさいよ、私のムーピン! カルニタス! シュバイネハクセ!」
豚を焼いた料理というのは実に色々あるものだ。なんか鉄板一枚じゃ作れなさそうなものも混じっているが、そこは超魔王的パワーでなんとかするのだろう、多分。
戦闘の構えを取るヴァルサリッサだが、その目は学生たちの持つ触手と豚肉に釘付けだ。もし彼らがここでこれを焼き始めようものなら、きっとそちらに目を奪われ集中などできないことだろう。彼らの実力はヴァルサリッサとは比べるべくもないものだが、空腹と食欲の前に実力差など関係はあるまい。
そしてもちろん肉をやれば収まるということもなく、彼女が猟書家である以上は腹が満ちれば迷宮の凶悪化や地上への侵攻など、猟書家としての務めを始めてしまうのだ。
猟兵よ、この腹減り超魔王に豚肉と触手肉の代わりに、猟兵の技をたっぷり食らわせてやれ!
七詩野・兵衛
アドリブ絡み時々はカオスも歓迎
「なるほど、超魔王を名乗るだけはある理不尽な能力」
「俺も『気合』と『情熱』で己を『鼓舞』し奮い立たたせていこう」
この事件に対してこう感じ、猟兵として普通に戦闘します。
対策は可能な限りの『覚悟』で一撃必殺!
学生達に気を逸らしてもらい、確実に叩き込める隙を作れるか?
「我が力お前に託す。行ってこいレキ!応援殺法『轟砲雷落』ッ!」
不滅進化(POW)に対し、
応援殺法『轟砲雷落』を可能な限りの技能を使い叩き込む!
「受けてから変身するなど欠陥技ではないか?」
我輩の攻撃が回復を上回れば、ではあるが。
ところで、肉は余っているだろうか?
気を逸らす回数によっては、全て喰われてないか?
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
『お腹一杯になったら海に帰る』なら、一緒にお食事でも良いのですが。
より良い香りがした方が、更に気は散るでしょう。
『FTS』から調味料各種を用意、生徒さん達に提供しBBQをお願いしますぅ。
そして【宝創】を発動、嘗てカルロスさんが使った『鉄鎖ドローミ』の複製を形成、放ちますねぇ。
超魔王さんの『進化』は『攻撃を受けた後』に使う方が有用、且つBBQに気を取られている状況となれば、此方の『鎖』が早い筈ですぅ。
捕えてしまえば『ドローミ』の力で【UC】を封じられますから、後は『F●S』各種を集中、外れるまでの間に叩きますねぇ。
空腹は可哀想ですし、『海』に帰る際にお土産位は差上げても?
灼熱の迷宮の中、姿を現した超魔王ことヴァルサリッサ・アフトクラトラス。彼女は当然学生たちとは初対面であるのだが、まるで彼ら全員が不俱戴天の仇であるかの如く学生たちを睨みつけていた。その理由は、彼らの持っているものにある。
「私の豚肉! 返しなさいってば!」
学生たちが持っている大量の肉類。それは直前に豚の災魔であるウォークグルェートを狩って手に入れたものであり、その災魔自体はヴァルサリッサがダンジョンを作った際一緒に出てきたものであった。
その災魔を自分が食べるために捧げられたものだと思っていた彼女にとっては、逃げた豚を勝手に捌いて自分のものにしている学生たちなど不届きな盗人にしか見えないことだろう。
「『お腹一杯になったら海に帰る』なら、一緒にお食事でも良いのですが」
学生たちを率いるように前にいた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がそう提案してみるが、ヴァルサリッサは勢いよく首を横に振った。
「何の為に肉食べると思ってるの!? 超魔王となるためのパワーのためにがっつり肉食べて体力つけるんだから! それでなんやかんややって魔導蒸気文明を災魔化させるのよ」
そう、彼女はただの痛々しい思春期少女ではない。歴とした上級の災魔であり、アルダワ迷宮に居を構える猟書家なのだ。魔王の名乗りもただの妄言ではなく、その後釜を本気で狙っての事。
その能力の一端を見せるかの如く、彼女の黒い服が少しずつ赤みを帯び、洞窟に敷き詰められた焼けた鉄板の熱を吸収するとともに彼女自身へのその影響を遮断し始めていた。
「なるほど、超魔王を名乗るだけはある理不尽な能力」
攻撃を受ける程にそれへの耐性を獲得していく彼女の力を、七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)はそう見定めた。彼女の言はただのビッグマウスではない。自信を持つに値する実力に裏付けられたものだと。
だが、その威の前に膝を折り頭を垂れることは出来ぬ。強敵に挑む時こそ心の強さが支えになるのだ。
「俺も『気合』と『情熱』で己を『鼓舞』し奮い立たたせていこう」
アルダワ魔法学園「轟嵐会」団長のエールは、発した己自身さえも震わせるものなのだ。
そして、強敵を前にさらなる力になる者がもう一つある。
「より良い香りがした方が、更に気は散るでしょう」
るこるが『FTS』から取り出したのは各種調味料。塩胡椒はもちろん唐辛子を始めとする各種スパイス、さらに人によっては敬遠されそうな少々においの強い香草など、肉との相性がよさそうなものを大量に出し、学生たちへと渡した。もちろんこれが何を意味するのか分からぬ腹減り学生たちではない。
「時は来た! 全力で食らうのだアルダワ学生諸君!」
兵衛の力強い後押しの元、学生たちはちょうどいい位置に置かれていた鉄板を使い各々持っていた肉を焼き始めた。
じゅうじゅうと大きな音を立てて瞬く間に肉が焼けていき、香ばしい匂いが辺りに立ち込めていく。
「あ、こら、私の肉……」
ヴァルサリッサはすっかりそちらをガン見である。その目の前でいい感じに焼き色がついた肉が持ち上げられ、学生たちの口に入れられた。
「肉のジューシーさとイカの柔らかさ! これこそウォーク触手の醍醐味!」
「ん~、やっぱこの臭みが癖になるんだよ粘液触手」
「叩いて柔らかくしてあるだけあって、肉の方も食べやすい!」
「いやらしい触手は脂が多いから焼き過ぎると燃えるぞ!」
食べるごとに欲が増えていくと言わんばかりに肉欲に溺れていく若者たち。確実に叩き込める隙を作れるか? と考えた兵衛だったが、完全に動きの止まっているヴァルサリッサの姿を見ればその答えは明白だろう。
「大いなる豊饒の女神、その名の下に宝物を形作り捧げましょう」
その隙だらけの所に、るこるが【豊乳女神の加護・宝創】で作り出したメガリス『鉄鎖ドローミ』を射出した。相手を捕らえるまでどこまでも伸びる鎖だが、相手が動かないので伸びる必要はない。ユーベルコードさえ封じる鎖に絡めとられて、ヴァルサリッサはようやく今は戦闘中だということを思い出した。
「超魔王を封印しようなんて……生意気よ! 切り裂け、斬撃波!」
絡められた手を動かして杖を振れば、そこから斬属性の魔力が巻き起こる。ユーベルコードでない魔法であっても鉄鎖をも切り裂くほどの斬撃を起こせるのは、彼女の超魔王の名乗りに偽りなしということだろう。
そうして戒めが緩めば、再び湧き上がるユーベルコードの力が今度は拘束への耐性を彼女に着けていく。そしていざ反撃……
「私トントロ食べたい」
「山盛りとっといて何言ってんだ」
「もっと食べたい。ガリガリの塩とレモンで」
と思ったところで、やっぱり聞こえた声に手は止まる。
「我が力お前に託す。行ってこいレキ! 応援殺法『轟砲雷落』ッ!」
そこに投げつけられるのは、兵衛の【応援殺法『轟砲雷落』】。覚悟を決めて己を鼓舞した彼は、ただ一つの勝利を祈り、一点集中、気合一閃団旗『霹靂一声』を投げつけた。もちろん精神だけではなく、その槍に込められるのは確かな高い投擲技術。
その穂先がヴァルサリッサを穿ち、そしてドラゴン『レキ』へと変じて続けざまのブレスを彼女に浴びせかけた。
「きゃあああああ!!」
無防備なところにここぞと研ぎ澄ました一撃を受け、ヴァルサリッサが悲鳴を上げる。
「受けてから変身するなど欠陥技ではないか?」
我輩の攻撃が回復を上回れば、ではあるが。そう仮定した兵衛の前で防御と回復を図るヴァルサリッサの動きは鈍く、それは彼の仮定が正しかったことを示す証左だ。
そして、そこにさらなる攻撃が叩き込まれる。
「では、これでぇ」
るこるが戦輪『FBS』を主体に攻撃をかければ、刺突と高熱のブレスへの耐性を得たドレスを纏ったヴァルサリッサが簡単に切り裂かれる。そして体制を齎すドレスが切り裂かれれば、改めて炎熱系の兵装や、兵衛の追撃も十全に通ってしまう。
「お腹さえ……お腹さえ一杯ならこんな……!」
恨めし気に肉を焼く学生たちを見ながら膝をつくヴァルサリッサ。それに対しトントロを皿に山盛りにした学生は、無情にも横を向くことで応えた。
「空腹は可哀想ですし、『海』に帰る際にお土産位は差上げても?」
「それは構わんが、ところで、肉は余っているだろうか? 気を逸らす回数によっては、全て喰われてないか?」
今のところまだおかわりは残っているが、流石にヴァルサリッサも猟書家、まだこの程度では倒れはしない。もし決着までこの戦法を続けた時肉がそこに残っているのか……そんな兵衛の疑問は、他ならぬるこる自身が誰より否定できないものであった。
大成功
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ヴィクトリア・ノウェム
いきなり現れて分け前をよこせとか盗人もいいとこです
大体、所有権を主張するなら管理ちゃんとしとくです。名前書くとか
デビルアヴェンジャーでガム弾(べたつく)とボム弾(音響弾)をばら撒いて牽制し接近阻止、その間に肉焼きの準備しててもらうです
同時に『A.F.C.』に魔力チャージ(魔力溜め・リミッター解除)、閉所に誘導して【G.A.F.C.】をぶっ放すです(鎧無視攻撃・貫通攻撃・砲撃)
耐性を得るのならそもそも一発で決めてしまえばいいです
限界までチャージしたA.F.C.は「防護」も「障害」も、耐性も迷宮の壁も何もかも全部無視するです
これで私もガス欠です。この一撃、耐えられるもんなら耐えてみればいい、です
超魔王を自称する猟書家ヴァルサリッサ・アフトクラトラス。魔王を名乗る彼女は本来ならダンジョン最奥部に控えているべき存在である。そんな彼女が入口からさして遠くないこの場所まで来ている理由。それは偏に『肉』のためであった。だがそんな彼女の追撃もむなしく既に肉は学生たちの腹の中に収められつつあり、ヴァルサリッサは腹減り……もとい腹立ちまぎれに学生と猟兵に攻撃を始めていた。
「いきなり現れて分け前をよこせとか盗人もいいとこです」
彼女のそんな姿勢を、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)が淡々と非難する。
「いやそれ元々私の肉だし! 盗人はそっちでしょうが!」
まあ確かに最初にダンジョンメーカーを起動して迷宮を作り、ついでにウォークグルェートを召喚したのは彼女なのでその主張は間違ってはいない。
「大体、所有権を主張するなら管理ちゃんとしとくです。名前書くとか」
「食べるものに名前なんて書くかー!」
「いや書いとかないと取られるよ。寮の棚のお菓子とか」
横から入ってくる腹減り学生特有の無法に基づいた意見。ちなみにひどい時は書いておいても取られたりするし、その上で饅頭一つの為に苛烈な犯人捜しからの私刑執行があったりするのだがそれはそれ。ヴィクトリアはウォークグルェートにも用いた非殺傷ガトリングガン『デビルアヴェンジャー』からガム弾と音響弾を放ち、ヴァルサリッサの足と耳を攻め動きを封じにかかる。
「やっ、ちょ、うるさい!」
非殺傷に特化しているだけあり、その分鎮圧効果は非常に高い。ヴァルサリッサも思わず耳を塞ぎ、足を粘性の物体に絡めとられてバランスを崩し動けなくなってしまった。
「さあ、今のうちに」
そしてこの機を逃さぬよう学生たちに指示すれば、彼らは再び肉を焼き始める。自分たちの楽しみのためというのはもちろんだが、猟兵たちが先よりさらに真剣に戦っているのを見た故か、作戦行動としてわざわざ鉄板の上を仰いで肉焼きの匂いをヴァルサリッサの方へ流す者も出始めた。
「な、なによ……もうこんなの効かないんだから!」
ヴァルサリッサは杖を一振りし、自身に耳まで覆う巨大なヘッドドレスと足を覆うブーツを纏わせた。ブーツには氷属性の魔力が込められているのか、足元から立ち上る熱気を遮断するとともにまとわりついたガム弾を凍らせ、粘性を失わせている。
そしてそれと同時に小柄だった彼女の身長は一気に伸び、ヴィクトリアや学生たちを軽く見降ろす3メートル近いサイズへと巨大化した。これこそが彼女の超魔王たる奥義の一つ、【不滅進化】だ。
その姿にヴィクトリアはもう一度デビルアヴェンジャーを撃ちかけるが、今度はヴァルサリッサは音圧にもたじろぎもせず、ガム弾もブーツの足で蹴飛ばして自身につくことを許さない。
「なるほど……これは」
その衣装と体躯はこけおどしではないとみるが、それでもヴィクトリアはガトリングガンを撃ち続ける。だが最早ヴァルサリッサは防御すらすることはなく、平然と鉄板に足をはみ出させてすらいる。
「超魔王的に考えるに……その武器じゃ最初から相手を倒せないでしょ? 何か隠してるな!」
非殺傷武器での攻撃を繰り返すヴィクトリアの姿勢を見て、何か隠し玉があるだろうことを看破するヴァルサリッサ。それに備えるためか、杖を正面に構え姿勢を低くし防御の姿勢を見せる。堅守の構えを取ることでその隠し玉に耐え、それへの耐性さえも付けて相手の手を封じようという魂胆だろう。
その姿勢が的を射ていた故か、ヴィクトリアもそれ以上の攻撃はしない。あるいは敵の狙い故に動けないのか。
「ほらほらどうしたの? 攻めなきゃ勝てないよ?」
相手が手を出しかねていると見て挑発するヴァルサリッサ。だがそれに、ヴィクトリアは冷静に答えた。
「あなたこそ、のんびりしていたら肉がなくなりますよ」
その言葉に、一瞬肉焼き学生の方に目をやってしまうヴァルサリッサ。その瞬間、ヴィクトリアの隠していた武器が抜き放たれた。
「限界チャージ……! G.A.F.C.……耐えられるものなら、耐えてみればいい、です……!」
携行式魔導砲『A.F.C.』から放たれる極大の魔力光線。それにすぐにヴァルサリッサは杖を構えて防御の姿勢に戻るが、その杖、そして防御の魔法を魔力光線は易々と弾き飛ばす。
「耐性を得るのならそもそも一発で決めてしまえばいいです。限界までチャージしたA.F.C.は「防護」も「障害」も、耐性も迷宮の壁も何もかも全部無視するです」
ヴィクトリアは決して手をこまねいて攻めなかったのではない。自身のエネルギー全てを込める大技【G.A.F.C.】、その力を溜める時間稼ぎとして、非殺傷攻撃のみを行っていたのだ。
そうして放たれた最大の一撃は、巨大化し狭い洞窟で動きづらくなったヴァルサリッサを飲み込んでいく。
「きゃああああああ!!」
魔力の奔流に吹き飛ばされ転がっていくヴァルサリッサ。その体からドレスがはがされ、体のサイズも元に戻っていくのが閃光の中僅かに見えた。
「これで私もガス欠です。この一撃、耐えられるもんなら耐えてみればいい、です」
口調こそ変わらないが、最低限のエネルギーしか残っていない体で僅かに浮くヴィクトリア。そんな彼女に同じガス欠……腹減り仲間である学生たちからよく焼けた肉が差しだされるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
やや暴力的
SPD
引き続き【火炎耐性・環境耐性】で熱は平気。
【念動力】で学生達から肉を奪い、彼女に与えるわ
空腹の貴女に勝っても意味が無いのよ
満腹になった彼女が運命操作しても
技能100で既にUC級の守護霊の憑依【ドーピング】を『永遠の愛』で
1260に昇華し【気合い】も漲った私は
運命をも【ハッキング】して幸運を【盗み】返せる
幸運を奪った気でいる彼女の攻撃を【見切り・残像】で避け
食べた肉を戻す程の【怪力・功夫】の腹パンから
踵落としで【踏みつけ】る【カウンター・2回攻撃】
自らの嘔吐物に塗れさせるわ
獣人型の災魔を食べ物扱いした事は赦せないけど
肉が食べたかっただけなのに散々な目に遭って泣き出す彼女の姿に
怒りは静まり、罪悪感が
私は第2の骸の海。遍く災魔の楽園の女王。
貴女を私達の楽園に御招待します
【化術】で触手と肉棒を生やし【捕縛】
菊門を舌で【慰め】広げた後【串刺し】にして
媚毒の【呪詛】体液を【乱れ撃ち】
愛でお腹は満たせるのですよ♥
お腹ぽっこり・メロメロになった彼女と
対面座位で愛し合い【生命力吸収】
ダンジョンメーカーによって作られた灼熱の迷宮。ウォークグルェートと戦った入り口部分でさえ相当な熱気であったが、そこから少し入ったこの場所は熱の逃げ場もなく空気が揺らめくほどの温度となっていた。
そこに平然と立つドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。彼女は先にウォークグルェートと見えた時に用いていた熱の耐性をさらに高め、汗一つかかない様子でヴァルサリッサの前に立った。
「どーせやせ我慢してるんでしょ。あなたにこんな超魔王的能力あるわけないものね!」
そう言うヴァルサリッサも暑さにやられている様子はない。長くこの場所にいたことで彼女の魔力が熱気を学習し、ただ立っている程度なら何ともない耐性を獲得してしまったのだろう。
「ま、もし本当に耐えられるとしたって関係ないけどね。何しろ私は超魔王で……」
その上でなんか色々言っているが、その視線はがっつり学生たちの焼いている肉に釘付けである。
その視線を察したドゥルールは念動力を学生の方にぶつけ、そこで焼いている肉を大量に奪い取った。それを目の前で食べることでよりヴァルサリッサの心を乱すつもりか。
だがその肉を、ドゥルールはあろうことか全てヴァルサリッサに渡してしまった。突然のことにヴァルサリッサは思わず肉とドゥルールの顔を見比べる。
「え、何? え……毒とか? それとも実はすごい不味かったとか……」
「空腹の貴女に勝っても意味が無いのよ」
困惑するヴァルサリッサに冷たく言うドゥルール。その言葉を聞いて値踏みするような眼をしていたヴァルサリッサだが、やがて大きく頷いた。
「超魔王的に理解した! いわゆるあれね、全力のお前と戦いたいとか言って戦う前に全快させてくれるボス的なあれね! そう言うのは本当は私がやることだけど、まあ貰えるものは貰う! 超魔王は下らぬ体面などにこだわらないのだ!」
めっちゃ言い訳がましく言いながら肉に食らいつくヴァルサリッサ。ここまで散々肉欲を叫んでいただけあって、勢いはすさまじい。数人の皿からまとめて奪った肉が細い体の中に見る見るうちに消えていった。
「さあ、肉も食べたし、超魔王の恐ろしさ見せてあげる!」
明らかに活力を増した様子で杖を振り上げるヴァルサリッサ。
「今、私に宿る全ての魂の鼓動が一つになっている」
それに対してドゥルールは【永遠の愛】を用い、守護霊の力をその身と心に滾らせる。その力の高まりはヴァルサリッサも見て感じ取れるところだが、彼女にそれを恐れる様子は一切なかった。
「ふふん、なるほど、何かでパワーアップしてるわけね。だけどその力も超魔王の前では無意味! 運命逆転、弱者は超魔王に抗う事すらできない!」
杖を振り上げ、運命を逆転させる魔法を放つヴァルサリッサ。因果律さえ捻じ曲げるかの如き魔力が場を支配し、全てがヴァルサリッサの都合の良いように書き換えられる……
「……あれ?」
そのはずであった。だが溢れ出した魔力は何も変えることはなく、行き場を失くしそのまま消えていく。
それもそのはず。この魔法はグリモアの予知によって得られた優位を取るための条件を奪い去るための魔法。今回の場合それはヴァルサリッサの空腹と豚肉への欲求だ。そしてそれは、既に満たされたことで意味をなさなくなっていた。
だがならば既に幸運は奪ったも同然、それを用い攻めようとするヴァルサリッサの眼前に、ドゥルールが一瞬で踏み込んだ。
「邪魔よ!」
そこに放たれるのは熱遮断の魔力を発展させた氷の嵐。灼熱の洞窟をも凍てつかせん吹雪が巻き起こりドゥルールの体を包み込む。
「運が良ければ氷が溶けるかもね……うぶっ!?」
その幸運は奪ったが、そういう間もなくヴァルサリッサの腹に強烈な衝撃が走った。強烈な嘔吐感にヴァルサリッサがしゃがみ込むと、その脳天に固いものが叩きつけられ、ヴァルサリッサは食べたものを吐き戻しながら倒れ込む。
「ど、うして……」
腹を殴り、頭を踏みつけたドゥルールが冷たくヴァルサリッサを見下ろす。確かに運命逆転の魔法は不発だったが、それでも自身のコンディションは整っていたはずだし相手が強化していたのは気合いと一時強化のみのはず。
その種は猟兵が猟兵を超える力、オーバーロード。ユーベルコードによって直接強化されたのはドーピングと気合の力のみだが、超克をもってすることで副次的に他の力をも高精度で用いることができた故に幸運を奪い返し、相手の攻撃を見切り避けることも可能にした。
「うぅぅ……何よぉ……私は、お肉が食べたかっただけなのにぃ……」
涙声を上げるヴァルサリッサ。彼女をここまで追い込む苛烈な攻めは、獣人型の災魔を食べ物扱いした彼女への怒りがさせたものだ。
だが、その惨めな姿にドゥルールの怒りも徐々に静まっていき、代わりに罪悪感が湧き上がってくる。
「私は第2の骸の海。遍く災魔の楽園の女王。貴女を私達の楽園に御招待します」
いうが早いか汚れた彼女の服を裂き、体からウォークの如き触手と『武器』を生やしそれでヴァルサリッサを攻めはじめるドゥルール。果たしてそれは最後までウォークとしての生き方を貫いたあのグルェートを意識したものか。やはり彼の如く太く厚くなった舌でヴァルサリッサを舐めまわすドゥルール。
「や、これ、なによぉぉぉぉ!?」
ただの化術でしかないそれが、正にウォークの触手の如く恐るべき武器になるのもまた超克ゆえか。口調を上級オブリビオンに対してのものに変え、ドゥルールがヴァルサリッサに囁く。
「愛でお腹は満たせるのですよ♥」
その言葉を実践すると言わんばかりに、文字通りの『お腹いっぱい』になるほどに呪詛の液を注ぎ込み代わりに生命力を吸い上げていく。
そのままヴァルサリッサが『満腹』になるまで、ドゥルールの触手攻めは続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK
エイルに前衛を任せて学生たちの傍にいて護衛と手伝いに回る。
「……山猫」
気配を感じつつ刀を抜き、対峙する。
相手への妨害を行わせながら攻撃、連携しつつ行動をする。
「気を散らせれば有利にはなれる」
アリスたちは学生たちと共ににおいを相手に流して有利になるように仕向ける。
鉄板への対処として結界術による断熱を行う。
見切りからのカウンターの二回攻撃、乱れ撃ちによる連撃を行う。
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK
クロタを呼び出し前衛を任せる。
「魔王か。面白そうな相手ではあるな」
紅い光剣を構えつつ相対する一方で視線を感じ取る。
「山猫か。獲物を狙っているのか」
どこにいるかは読めないが気にせず戦闘に入る。
空中浮遊で熱した鉄板の上を移動したりして誘い込んだりする。
二回攻撃をメインにしつつフェイントを織り交ぜたりして攻める。
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK
前衛に立たずに後方で援護に回る。
過去に赤と黒の鎧を纏った古代兵とロボットを合せたような巨人、二メートル程までサイズを縮めた兵を創り出す。
防御のみでカウンターで溜まったダメージを衝撃波として放出する。
藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK
ラヴェンツァを呼び出し学生たちと援護(食べる方)に回る。
「山猫……ですか?」
エイルの言葉に首を傾げつつライフルを手にして前に出る。
結界術で鉄板からの熱を遮断しつつ援護射撃を繰り出す。
呼び出されたジヴァ・アラスと共闘する。
「狙撃を学ぶなら小崎を頼るといい。実力は確かだ」
心理、持久、狙撃手としての実力は称賛するが心の問題を話す。
「己の心が生み出した亡霊は死してなお」
「消えないのですね」
人と共に歩むのであれば避けられぬと教えられる。
ジョウ・クロビス
【トゥットファーレ】
絡み・アドリブOK
真の姿:容姿は変わらず、グレイブが大鎌になる
先程のメンバーに加えてアラスことジヴァ・アラスとヤマトを付け足す。
小崎が男子学生を連れていなくなった為の穴埋めと言える。
ヨルが炎のリボルバーを形成、エルザが別方向から銃撃から絶対零度のナイフを投擲、サソナが属性攻撃による援護を行う。
グレイブを持ち、ヤマトと前に出て応戦する。
乱れ撃ちによる乱撃や蹴撃、地形の利用で鉄板なども使って攻める。
「殺してみろ!俺は不死のジョウ・クロビスだ!」
鼓舞してさらに大鎌になった黒銀の滅牙を振って炎を飛ばしたり地面に叩きつけ炎を走らせる。
「あとで好きなだけ食えばいい」
小崎は男子学生に色々と用意させ、迷彩で隠れて狙撃するタイミングを伺う。
持久戦、呼吸も最小に抑えて動きを分からなくする。
(優迫殿)
隣に立つ制服姿で制帽を深くかぶって目は見えず、口は笑いながら頭から血を流す青年に一瞬視線を送って直ぐに標的の急所に狙いを付けてその時を待つ。
時が来れば引き金を引く。
「うぅぅ……私は超魔王なのよ……なのに何でこんな目にあってるわけ……?」
魔法で新たなドレスを作り出しそれを纏うヴァルサリッサ。肉は食えないし戦えば劣勢になると、まるで思い通りにいかない状況に歯噛みする。
見れば学生たちの持つ肉も、最後の締めの段階に入ったのか焼きそばだの焼き飯だのを焼いてその具にする方向に入り始めている。そしてそれを手伝っているのは、藤宮・華澄(戦医師・f17614)だ。
彼女自身は完全に食べる方に専念しているが、その代わりとして【蒼き旅人ラヴェンツァ】を召喚、結界を張って周囲の熱を遮断した上で前に立ち、ライフルでの援護射撃の構えを取らせていた。
「山猫か。獲物を狙っているのか」
そのラヴェンツァの隣で呟くのは、エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)の召喚した邪神クロタ。エルーゼや華澄ともどもウォークの虜になってしまっていた彼女だが、他の猟兵に倒された影響かとりあえずは彼女は元の意識を取り戻しているらしい。
「山猫……ですか?」
まさかこのような場所に本物の猫がいるはずもない。何かの例えか、あるいは仇名のようなものだろうとは推察されるがそれが何を意味するかはラヴェンツァには分からなかった。
「……山猫」
一方、何か分かったようにしているのはアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)の召喚したエイル。召喚主のアリス本人はやはり後ろに下がり、肉焼きを手伝いながら匂いを相手に流して気を散らせるようにする。やはりウォークグルェートにやられた後遺症が深いのか、召喚主たちは揃って前線には出ずに学生の補佐や召喚した存在の制御に当たっていた。
「魔王か。面白そうな相手ではあるな」
クロタが言いながらかかっていくが、ヴァルサリッサは杖を振り上げ彼女の紅刃を軽くいなす。
「本体がそんな調子じゃたかが知れてるってもんだからね!」
踏まないよう空中を舞うクロタを、風で熱気を巻き上げそれで焼こうとするヴァルサリッサ。
「気を散らせれば有利にはなれる」
エイルも手助けするように乱れ打ちに攻撃をかけていくが、ヴァルサリッサは鉄板を跳ね上げて盾にしそれさえも防いでいく。
「多少焦げても肉は肉! 燃え尽きちゃえ!」
熱気を凝縮し突風に乗せることで、前方を焼き払う魔法とするヴァルサリッサ。辺りを飲み込み焼き尽くそうとするそれは、しかし一体の巨人が盾となって防いだ。
それはベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)が召喚した赤と黒の鎧を纏った古代兵とロボットを合せたような兵。ベアトリス自身はやはり後方に下がり肉焼きの手伝い程度しかできない状態だが、その状態で半端に攻めるよりはと防御に特化した存在を呼び出したのは好判断だろう。
その意を汲んでいるのか、兵はそこから動かず自ら攻めることもなく、ただ敵の攻撃を受けそのエネルギーを自分の中に引き受けることに徹している。元より攻めての数だけは十分ということもあり、分業としては正解だろう。
「そんなに頭数揃えて、どうしても私の邪魔をしたいわけね。でも! 運命は超魔王の足元に跪く! 運命よ、逆転しろ!」
ヴァルサリッサが杖を振り上げて叫ぶと、再び周囲を因果律さえ捻じ曲げる力が飲み込んでいく。その力の渦に巻き込まれ、学生たちが焼いていた肉やその他の具材は次々とヴァルサリッサの元へ飛ばされて行った。
「ふふん、結局はこの肉は私が食べる運命なのよ! それじゃ、いただきまーす!」
運命を捻じ曲げてまですることがそれかというツッコミが何処かから入りそうだが、間違いなくこの戦場に置いてヴァルサリッサの行動を大きく阻害するための条件は肉を焼くこと。彼女のユーベルコードへの対処を誰も考えていなかったこともあり、ベストな焼き加減と味付けの豚肉と触手肉が存分にヴァルサリッサの腹の中へと入れられて行った。
「さーて、これでもう肉に惑うこともない! お腹いっぱいになった超魔王の力、見せてあげる!」
ヴァルサリッサの杖から再び風が巻き起こるが、今度は鉄板の熱そのものさえ吸い上げ灼熱の奔流と化して彼女の眼前で渦を巻く。
そしてそれが明確な攻撃として放たれ女たちと学生たちを飲み込もうとした、その瞬間。
「凍れ!」
一本のナイフがその奔流の前に突き刺さり、大量の水蒸気を上げてその熱気を吸収した。それに続き灼熱を打ち返すが如き弾丸がヴァルサリッサを襲い、さらに鋭利な刃と化した風がその身を切り裂かんとする。
「なによ、誰!?」
新たな乱入者にヴァルサリッサが声を荒げると、その前に男が颯爽と現れた。
「殺してみろ! 俺は不死のジョウ・クロビスだ!」
劣勢に陥った味方を鼓舞するが如き、ジョウ・クロビス(グレイブと霊子ワイヤーを用いる浄化師・f37038)のその名乗り。その称号はやはり大仰な二つ名を名乗るヴァルサリッサにとっても聞き流せぬものであった。
「そりゃ誰だって生きてるうちは死んだことないわよ! この超魔王の前でそんな風に名乗ったのを後悔しなさい!」
明確にジョウを敵とみなすヴァルサリッサ。だが彼女は知らぬことだが、ジョウは猟書家よりさらに強大な悪の前で不死を名乗り、そして生還した実績がある。
ジョウはグレイブを振るい鬼の如き巨漢……もとい巨女ヤマトとともにヴァルサリッサに攻めかかった。ウォークグルェートと戦った時はいなかったそれは、まさに鬼神の如き力を持ってヴァルサリッサの小さな体を叩き潰さんとする。
「どうした、この不死のジョウを殺してみろ!」
もう一度、ことあるごとに超魔王と名乗るヴァルサリッサにあてつけるように不死を名乗り周囲を鼓舞するジョウは、それに自ら奮い立つが如くグレイブを大鎌に変えヴァルサリッサの身を深く裂いた。
突如として前線で始まった激しい戦い。それは後ろで押されていた者たちに立て直しの余裕を与えた。
「狙撃を学ぶなら小崎を頼るといい。実力は確かだ」
ラヴェンツァに話しかけるのは、戦神の名を持ちヤマトの乳であるジヴァ・アラス。心理、持久、狙撃手としての実力は称賛するが心の問題があると、彼はラヴェンツァに話した。
「己の心が生み出した亡霊は死してなお」
「消えないのですね」
自分の中の不安、恐怖、負の感情が生み出した者は実態を持たないが故、恐れる限り無限に強くなる。その会話には加わらないがそれはベアトリス、そして彼女と共に行動したある男が嘗ての戦争で経験したことであった。
「えぇい、どんなに強く経って運命には逆らえない! 運命よ、逆転しろ!」
三度、運命を逆転させる魔法が放たれた。今度こそ学生たちの肉を根こそぎ奪おうとするが、しかし先と違いヴァルサリッサに幸運が流れ込んでは来ない。
「なんで、どうして!?」
運命の助太刀をするのは学生たち。その手助けを奪えば自らの力になるはず。それが成らぬことにヴァルサリッサは驚き、苛立つ。
その様子を、戦場から離れた場所に伏せてみる者がいた。
「あとで好きなだけ食えばいい」
服を着替え、顔に色を塗り地に伏せる男。アルダワに似つかわしくない兵士の格好をしたその男は、アラスがラヴェンツァに紹介した小崎なる男であった。
小崎は同様の格好をして傍らに伏せる男子学生に、蒸気ライフルを用いての狙撃術を指導していた。
持久戦、呼吸も最小に抑えて動きを分からなくする。背景と同化し、徹底的に待ちに待って確実な一射にて仕留める姿勢を伝えるのは、自らを臆病と評するその学生がその恐れこそ武器とできる確殺の技を身に着ける才があると見たからか。
(優迫殿)
隣に立つ制服姿で制帽を深くかぶって目は見えず、口は笑いながら頭から血を流す青年に一瞬視線を送って直ぐに標的の急所に狙いを付けてその時を待つ。あるいは恐るべき存在と呼ばれた彼でさえ何がしかの感情を持つその男はまた如何なる者か。
時が来れば引き金を引く。その時は今だと小崎が示せば、学生もまた引き金を引きその一射がヴァルサリッサを撃ち抜いた。
「うそっ……!?」
力なき学生の弾丸が超魔王樽自分を貫く。それに信じられぬと目を見開くヴァルサリッサ。だが、これこそ運命逆転の魔法が十全に機能しなかった絡繰り。学生の利用を予知に示唆されたものとは別の形で行ったことが、吸い上げる幸運から彼の存在を外したのだ。本来ならば指示を無視する悪手になるそれは、しかし多数の召喚を分けて十全に動かすジョウの力とオーバーロードによって埒外の一手へと変じた。
そして揺らいだヴァルサリッサに、ここぞと全員が攻めかかる。クロタとエイルの刃がヴァルサリッサを裂き、それをラヴェンツァの弾丸が後押しし、反撃があれば巨躯の兵がそれを自らのみに吸収する。
本体を狙おうにも、ユーベルコードには無防備であってもより分かりやすく差し迫る鉄板の熱には多くの女たちが警戒をしていた故に地を利用した熱攻撃はここから押し返すには威力不足。そうして一気呵成に攻められたヴァルサリッサの身に、ついに大鎌の刃がかけられた。
「魔王は倒されるものだ」
様々な世界で実践されてきたその運命は逆転できぬと、不死の男の鎌がついに超魔王を切り裂いたのであった。
創造主の死とともに攻略されたダンジョンは消えていき、ダンジョンメーカーのおかれた隠しフロアへと戻る。折角のバーベキュー会場がなくなってしまったことに少々落胆しつつも、学生たちは豚肉と触手肉で腹を満たし悠々と帰路についた。
だが、どんなに食っても明日になれば腹は減る。あるいはこの尽きぬ欲こそが、若者たちを次の探索へ駆り立てるエネルギーになるのかもしれない。
大いに食べ、そして動くのだ。若者よ。
大成功
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