●悪の組織『ワルドーラ』のアジト
玉座の間。豪奢な装飾が施されたクイーンの椅子に座り、ドーラ・ワルダーは優雅にグラスを傾ける。
グラスには緑色の液体。それはビタミン・ミネラルが豊富な野菜・果物を粉砕・撹拌した特製グリーンスムージー『ドーラドリンク』だった。
「あ、これですか……毎朝のルーティーンですの。わたくしはこれを一日たりとも欠かしたことはありません。“美は一日にしてならず”ですわよ。オーッホホホホ!!」
美は一日にしてならず。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸……美容に必須の栄養素を充分に摂取するだけでなく、毎日のエクササイズも欠かさない。
さらにしっかり睡眠を取りつつ朝晩のスキンケアも時間をかけて丁寧に行い、ドーラはシミ一つ無いきめ細やかな肌と、見る者を魅了する優美なボディを維持しているのだ。
「さて、今日もお仕事の時間ですわよ!」
「「「イエッサー!!」」」
軍隊のように統率の取れた動きで一斉に敬礼する怪人たち。
彼らは一様に、トゲトゲの首輪と腕輪を装着しており、体にはピチピチの全身タイツを纏っていた。いわゆるボンデージファッションである。
それは下僕改造を受けた証。彼らはドーラによって新たな生を受けた「下僕怪人」なのだ。
「最近、キマイラの女どもの間で美容サプリブームが到来しているようです。なんの努力もせずに、お手軽に美貌を手に入れようとする怠惰な女どもは、わたくしが下僕に改造して悔い改めさせてあげましょう」
ドーラはその瞳に残忍な光を宿し、下僕怪人たちを睥睨する。
「ゆけい、下僕怪人ども! 美容サプリに群がる、怠惰なキマイラ女どもを拐ってくるのです!」
「「「ワルドーラに栄光あれ!」」」
下僕怪人たちは右手を高らかに上げ、声を揃えるのだった。
●グリモアベース
「ワルドラ団がキマイラちゃんたちを誘拐してイロイロしちゃうみたい! ここはヒーローの出番だね☆」
逢川・思惟(AIオペレーター『ICちゃん☆』・f37133)は、予知の概要を楽しげに話し始める。
ワルドラ団とは……要するに猟書家幹部「ドーラ・ワルダー」が率いる悪の組織「ワルドーラ」のことである。ドーラ配下の「下僕怪人」たちがキマイラの人気スポットを襲撃し、キマイラたちを根こそぎ誘拐してしまう。これを阻止し、ついでにドーラを懲らしめてほしい。それが今回の依頼だった。
「ワルドラ団に連れ去られると、キマイラちゃんたちも下僕怪人に改造されちゃうのです! 絶対阻止して助けなきゃだね☆」
そう、ワルドーラがキマイラたちを誘拐する目的は、その命を奪い、忠実な下僕怪人として蘇らせるためである。軽いノリで悪事を行うワルドーラだが、やっていることは大量虐殺。ジェノサイドである。
「それでね。キミたちにこれから向かってもらうのは、キマイラちゃんたちに人気のドラッグストアなのです! 美容にいいサプリがたくさん売ってるんだよ☆」
キマイラフューチャーでは特定の場所を特定の時間にノックすれば無料でなんでも手に入るが、システムの法則性を完璧に把握している者はいない。欲しい物を探すのが面倒なので、特定のジャンルの品物を集めて販売する専門店が重宝されているのである。
そして、依頼の説明を終えた思惟は猟兵たちにグリモアの光を放つ。
「タイミング的にギリギリっぽいのです! 向こうについたらすぐにキマイラちゃんたちを助けてあげてね☆」
下僕怪人たちはドラッグストアを既に占拠し、キマイラたちの梱包作業を始めているという。
事態は一刻の猶予もない。絶体絶命のキマイラたちを救えるのは、猟兵たちだけなのだった。
刈井留羽
こんにちは。刈井留羽です。オープニングをご覧くださりありがとうございます。今回はキマイラフューチャーの猟書家幹部シナリオ(二章完結)です。
●目的
ドラッグストアに現れた下僕怪人倒し、キマイラたちを救出すること。
下僕怪人が倒されれば、例のごとくドーラ・ワルダーが現れるのでついでに懲らしめましょう。
●舞台
美容サプリを集めたドラッグストアです。
●第一章
大ピンチのキマイラ女子たちを救出しつつ、ワルドーラの下僕怪人を倒します。
カッコよく登場してキマイラ女子たちを熱狂させましょう。
●第二章
猟書家幹部「ドーラ・ワルダー」とのボス戦です。
ドーラは、悪の親玉的な力を用い、戦場を自らが支配する「決戦の場」へと変えてしまうので、そこでの戦いとなります。
キマイラ女子達も見守っているので、カッコよくドーラを倒しましょう。
補足は以上です。
今作は第一章、第二章ともに断章を執筆します。
プレイングは断章投稿後に受付開始。受付状況はページ上部のタグでお知らせします。
それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
第1章 集団戦
『フルーティートリオ』
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POW : スイカ怪人・ウェポン
【スイカ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レモン怪人・ジェノサイド
【レモン攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : リンゴ怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【リンゴ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ピチピチドラッグ
夏はお肌にとって受難の季節。
美容サプリの品揃えが豊富なドラッグストア『ピチピチドラッグ』は、大勢のキマイラ女子たちで賑わっていた。
「やっぱ定番のコラーゲンだよね♪」
「それならこの『濃厚フカヒレドリンク』でも買おっか♪」
「いいね♪ でもこっちの『プルプルなまこグミ』もオススメだよ♪」
「あっ、こっちの『手羽先サプリ』もよさげ♪ 濃縮コラーゲン100%配合だってさ♪」
SNSで入手した怪しげな口コミ情報を頼りに、片っ端からコラーゲン食品をカゴに入れていくキマイラ女子たち。すると――。
「ちょっと待ったぁあ!! キミたち、なんか間違ってるぞ!」
「「「誰!?」」」
キマイラ女子たちが背後を振り返ると、そこには|下僕怪人《フルーティトリオ》の一団が集合していた。
ジャジャーンと鳴り響く派手なサウンドエフェクト。
そして、下僕怪人たちが派手なポーズを決めていく。
「夏のお肌にリコピン、カリウム! スイカを食べて、アンチ、エイジンッ!」
「美容に必須のビタミンッ、スィー! レモンを食べて、ビハク、ビハク〜♪」
「デトックスにはアッポー、ペクチンッ! リンゴを食べて、カイチョー、カイベーン!!」
「「「我ら、三位一体! フルーティ、トリオ!!」」」
――ドッカァァン!!
何故かフルーティトリオの背後で小爆発が起こり、静まり返る店内。
あ、こいつらヤベェ奴だ。一瞬で理解するキマイラ女子たち。
「キャー!! ヘンタイよー!!」
「みんな、早く逃げましょ!」
「出口はあっちよー!!」
その声をきっかけに、店内にいた大勢のキマイラ女子たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていくも――。
「「「そうは問屋が卸さない!!」」」
店の出入り口はすべて下僕怪人たちに塞がれ、立ち往生。
あっさりと捕まったキマイラ女子たちは巨大なダンボール箱に次々に梱包されてしまう。
大混乱の店内。そのとき、グリモアの光とともに猟兵たちが現れる。
「な、なんだ、貴様らは!!」
ド定番の反応をする下僕怪人。猟兵たちは速やかに臨戦態勢を取るのだった。
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❖補足情報
第一章は下僕怪人『フルーティトリオ』の集団との戦いです。
梱包されて連れ去られようとしているキマイラ女子たちを助けてあげれば、猟兵たちに声援を送ってくれるでしょう。
●プレイングボーナス(独自)
|キマイラ女子たち《オーディエンス》にカッコいいところを見せる。
猟兵たちはキマイラたちにとっての「ヒーロー」です。
カッコよく名乗りをあげてド派手に戦えば、キマイラ女子たちの「いいね♪」が飛び交い、猟兵たちの力になるかもしれません。
補足は以上です。今作はとにかくノリと勢いでなんとかなる感じです。
なお、今回は早めにサポートをお借りしてテンポよく進めていく予定です。よろしくお願い致します。
レパル・リオン
ユーベルコードで呼び出した、今年の水着に早着替え!これでフォームチェンジよ!
そしてフィギュアスケートのように滑りながら、鋭いつま先や爪でダンボールを切り裂くわ!
救出からの名乗りよ!
ハードな夏に北風を!雪とツルのアイスダンス!
魔法猟兵イェーガー・レパル!スノークレイン!
フリフリ衣装は可愛いだけじゃない!凄いスピードで滑りながら、超冷たい爪で切り裂くわ!
レモン攻撃も滑ってよける!回り込んで、背中の翼でめった切りよ!
最後は必殺技・フリーズトゥループ(怪人の懐に滑り込み回転ジャンプ。足の刃で凍らせながら切り刻む技)をお見舞いよ!
アイスフルーツなら、美味しくて美容にもいいわよね!
●銀盤の妖精
「エッサ、ホイサ♪ エッサ、ホイサ♪」
ドラッグストアにガテン系の掛け声が響き渡る。
それは『梱包作業』を流れ作業で行う|下僕怪人《フルーティトリオ》たちから発せられていた。
捕まえたキマイラ女子の手足をガムテープで拘束して無造作にダンボールに放り込む。
その作業は慣れたもので、キマイラ女子を梱包した大量のダンボール箱が店中に置かれていく。
そして、梱包作業が進み、あとは搬出作業のみ。そのときだった――。
――フォームチェンジ!
そう高らかに叫び、|転衣召還《クロッシング・フォームチェンジ》を発動したレパル・リオン(f15574)は、虚空からコスチュームを引っ張り出して装着する。
ちなみに変身時間は一秒足らず。ユーベルコードの発動時に発せられる光の中で、超高速でシュバババッと着替えているのだろう。これも『ヒーローあるある』である。
そんなわけで、レパルが身にまとったのは、キュートかつ、マジカルでラブリーな水着衣装。
そして、レパルは「レガリアス・レパル・サンダル」を起動させ、ダンボール箱の間をフィギュアスケートのように滑り、鋭利な爪の生えた手を軽やかに振るう。
すると、切り裂かれたダンボール箱が次々に四散。同時にガムテープの拘束も解かれたキマイラ女子たちは四方八方に逃げていく。
「おい、こら! 貴様、何してんだ!」
そこでようやく異常事態に気づく下僕怪人たち。
レパルは軽やかにアクセルジャンプを決め、水面に降り立つ水鳥の如く優雅に着地する。
「ハードな夏に北風を! 雪とツルのアイスダンス! 魔法猟兵イェーガー・レパル! スノー・クレイン!」
スノー・クレイン。雪属性の魔力をその身に宿し、鶴の如き翼を背負うレパルの姿はさながら「雪の妖精」。ビシッと敵勢を指差し、凛々しく名乗りをあげるレパルに、キマイラ女子たちの歓声が響く。
「「「キャー! カッコカワイイ♪」」」
下僕怪人たちは歓声を上げるキマイラ女子たちを忌々しげに睨むも、今は眼前の敵への対処が先だった。
「小癪な奴め! 我々に逆らったことを墓場で後悔するがよい!」
悪役っぽい台詞を吐くと、一斉に向かってくるフルーティトリオの一団。
|三人一組《スリーマンセル》の下僕怪人の攻撃は連携が取れていたが、鋭角なターンを決めながら高速滑走するレパルを捉えることができない。
「そんな単調な攻撃では、あたしには勝てないわ!」
「ギャッ!!」
拳や蹴りの打撃攻撃。さらにショルダータックルで突撃してくる怪人たちの攻撃を見切り、冷却された爪によるカウンター攻撃を繰り出すレパル。爪で切り裂かれた箇所は瞬時に凍傷になり、敵の動きを着実に鈍らせていく。
「ぐぬぬっ、こうなったら、フォーメーション・イエローだ!」
フォーメーション・イエロー。それはレモン怪人を中心とした戦術。
スイカ怪人とリンゴ怪人が接近戦を引き受け、後方に下がったレモン怪人たちがユーベルコードを発動。新鮮なレモンを乱れ撃つ。
だが、レパルはスイカ怪人とリンゴ怪人をあっさりと躱し、さらに直線的な投擲攻撃を鋭角な軌跡を描いてすり抜け、レモン怪人たちの背後に回り込むと、鋭利な刃と化した翼で一閃。
「「「ぎゃぁあああ!!」」」
レモン怪人たちは断末魔を上げて斃れる。
「これで仕上げよ!」
そして、レパルは残った下僕怪人の群れに照準を定めると、サンダルから圧縮空気を噴き出して加速。一気に距離を詰め、地を蹴って跳躍すると、そのまま錐揉み回転し、氷の刃と化した足裏のブレードで怪人たちを切り裂いていく。
フリーズ・トゥループ。そう名付けられたレパルの必殺技は、自分の周囲に雪属性の斬撃を放つ範囲攻撃。錐揉み回転で竜巻のような風が発生。風で巻き上げられた「果汁」が猛烈な冷気を浴びて瞬時に氷結し、雪のように降り注ぐ。
「すっごく綺麗……♪」
「うんうん、|映える《ばえる》よね♪ 写真撮ってアップしよ♪」
「いいね♪ 絶対、バズるよ♪」
キラキラと輝く雪の中で舞い踊る、銀盤の妖精。
そのSNS映えする光景に、キマイラ女子たちはウットリと目を細めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はーっはっはっは! 妾、推っ参!
妾のキマフュでデカい悪事を行うその気概、実に良し!
だがのう…その達成は絶望的に困難であると知るがよい!
とゆーか、妾も気になってたお店でこういうことをされると普通に迷惑だ!
はっはっは、被害を受けた皆は、今回むしろラッキーだったと考えればよいのだ
なんせ妾のバトルを特等席で観戦できるのだからな!
怪人どもよ、さあ先手は譲ってやろう! 好きに攻めてくるがよい!
一方的に圧倒するバトルなんて、見る者を楽しませはせんからのう
ガードはさせてもらうが、その程度で妾をKOできるなどと思わんことだ!
生応援を受ける妾に勝てる道理など存在せん
左腕の一撃にボコられて、ド派手にブッ飛ぶがよい!
●バトルショー
「はーっはっはっは! 妾、推っ参!」
戦場に降り立った御形・菘(f12350)は、高笑いを響かせ、自らが君臨する世界で悪事を働く怪人どもを睥睨する。
「なんだ、貴様は!?」
「貴様、ワルドーラに逆らうつもりか!」
「逃げるなら、今のうちだぞ!」
|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》は声を荒らげて牽制するも、菘は泰然自若としていた。
「くっ! そっちがその気ならやってやるぜ!」
3人組のうちで一番男気があるスイカ怪人が叫ぶも、それが虚勢であることは丸わかりだった。
頬を伝う汗。引きつった表情。喉に流れ落ちる生唾。
怪人たちは菘の持つ圧倒的な存在感に怯み、喉元に刃物を突きつけられているような気分なのだろう。
(ほぅ、小奴らは身の程をわきまえていると見える……だが、これでは“撮れ高”が今ひとつだのう)
菘はAI制御で飛び回る|天地通眼《撮影用ドローン》のほうをチラリと見る。
そう、これは『ライブストリーマー』としてのステージなのである。
そして、菘はふと思いつく。
「怪人どもよ、先手は譲ってやろう! さあ好きに攻めてくるがよい!」
「なんだと!?」
菘の提案に殺気立つ下僕怪人たち。
だが、それは彼らにとって「渡りに船」とも言える状況だった。
「……その言葉、後悔させてやるぞ! 行くぞ! レモン、アッポー!」
そして、スイカ怪人は攻撃力重視のスイカウェポン『|西瓜鉄球《スイカメイス》』を召喚。さらに|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》は、フォーメーション・グリーンを発動する。
ちなみにフォーメーション・グリーンとは、殴打主体のレモン怪人、蹴り技主体のリンゴ怪人が先陣を切って敵に突っ込み、隙ができた瞬間にスイカ怪人が西瓜鉄球を叩き込む戦術である。
「さて、ガードくらいはさせてもらおうか……」
鷹揚につぶやく菘。その瞬間、彼女の口元に笑みが浮かび、瞳の奥に黒き光が満ちる。
それは逆境と引き換えに身体能力を大幅に強化するユーベルコード『|逆境アサルト《ギャッキョウアサルト》』が発動した|兆候《サイン》。攻撃を封印するという「不利な行動」をトリガーにしたのだろう。
「レモン、ラッシュ!」
「アッポー、回し蹴り!」
激しい拳撃の乱打を放つレモン怪人。派手に脚をぶん回すリンゴ怪人。
「なかなかやりおるな!」
菘は拳撃の乱打を邪神のオーラを宿した右腕で弾き、回し蹴りを尻尾で受け止める。
だが、その隙を狙って飛び込んでくるスイカ怪人。
「馬鹿め! スイカ、メガトンスマッシュ!」
「くっ!」
菘は異形の左腕を上げてガードするも、その衝撃で顔をしかめる。
当然、これも菘のパフォーマンスなのだが、戦いを観戦する|キマイラ女子たち《オーディエンス》の顔は一様に青ざめる。
「うわっ、あのお姉さん、大ピンチじゃない?」
「うん、防戦一方だね……ヤバイかも!」
「大丈夫だよ! ヒーローは絶対に負けないの! もっと応援するわよ!」
アンフェアな戦いする卑劣な怪人たちに、正義の鉄槌を下して欲しい。
|キマイラ女子たち《オーディエンス》はどんな困難をも乗り越え、勝利を掴むヒーローの姿を渇望し、必死で声を張り上げる。そして……。
「そろそろ、決着をつけようぞ!」
菘は肩で息をする|敵《モブ》を見据える。
対する|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》は殺意を全開にして突っ込んでくる。
「「「死ねぇええ!!」」」
その刹那、神をも屠りし菘の左腕が一回り大きくなり、脈動する。
「ごべっ!!」
左拳に顎を砕かれ、天井に激突するレモン怪人。
「ぶぼっ!!」
振り下ろされた拳に押し潰され、|鮮血《ジュース》をぶちまけるリンゴ怪人。
「ぶべらっ!!」
そして、強烈な左ストレートが直撃したスイカ怪人はド派手にぶっ飛ばされ、壁にヒトガタができる。
絶体絶命の状況からの大逆転。
驚くべき光景に、キマイラ女子たちは一瞬言葉を失うも、すぐに狂気的な歓声があがる。
これぞ、リアリティ・バトルショー。動画映えする戦闘を演出した菘は、|天地通眼《カメラ》に向かって微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
えぇいっ、怪しい奴らめ!(怪人なだけに)
大人しくその子達を解放するんだ!
戦場はドラッグストアの店内か…となると障害物が結構多いかもしれない
だが、逆にいえばそれを上手く利用出来れば敵を上手く追い詰める事が出来るかもしれない!
【召喚術】にて狼を召喚、その狼と共にUC発動!ふさふさのケモ耳+尻尾の存在へと姿を変える!
狼型の闘気弾を多数発射しつつ、敵陣へと切り込む
狼の狩りは集団戦だ!数で翻弄する!
UCを相殺させぬ為、店内の障害物を上手く使いながら身を潜ませ敵へと奇襲を仕掛ける
女の子達も不意を突かれ怪人達が混乱している間に助ければいい
トドメはUCで得られた狼の鋭い爪での切り裂き攻撃(【破魔】付与)
●獣化
ドラッグストア『ピチピチドラッグ』。
店内は普通の店より広大だが、商品を展示・収納する棚が等間隔に並ぶ、ごく普通のドラッグストアだった。
「これなら戦えそうだな……」
鳳凰院・ひりょ(f27864)は周囲を見回し小さくうなずくと、足元で輝く召喚魔法陣の中から一匹の狼が出現。小さく鳴き、親しげにすり寄る狼を優しく撫でてやると、ひりょは『|超獣化身《ビーストリンク》』を発動する。光輝に包まれる主従。やがて二つの影は融合し、一つの形を成す。
ピョコピョコと動く、ふさふさのケモ耳と尻尾。
それ以外は普段の彼とほとんど変わらぬ風貌。しかし、その身内には「狼」の力が宿っていた。
そう、これは彼が心を通わせた動物との合体技。ビーストマスターたるひりょの獣化形態だった。
(まだ梱包されたままの子が大勢いるようだな……)
店内には梱包されたままのダンボール箱がそこかしこに置かれている。
まずはキマイラ女子の救出が先だ。そう判断したひりょは『王者の咆哮』を上げ、自らの身体能力を底上げすると、手のひらに闘気を凝縮し、狼型闘気弾を次々に放っていく。
――ワォオオオオン!
「なんだ、なんだ!」
獣の声に反応し、|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》が周囲を見回す。その瞬間――。
「おわっ!!」
突然、飛び込んできた狼型闘気弾にみぞおちを穿たれ、倒れ込むレモン怪人。
それを見たリンゴ怪人とスイカ怪人が態勢を立て直すべく踵を返すも、背後から狼に襲われ、床に倒れ伏す。
「みんな、このまま追い込むぞ!」
ひりょの指示に呼応するように、闘気の狼たちが店内を縦横無尽に駆け回る。
「うおっ! あっちにも! こっちにも! こいつら、なんなんだよ!」
下僕怪人たちの視界を埋め尽くす、狼の大群。
まさに数の暴力。集団での狩りの如く地を駆ける狼の群れの襲撃を受け、下僕怪人たちは大混乱に陥る。
そして、ひりょは……。
(よし、今のうちに……)
混乱に乗じて店内のダンボール箱を次々に開封し、キマイラ女子たちを解放していく。
だが、下僕怪人たちもすぐに落ち着きを取り戻し、臨戦態勢。
「ぐぬぬっ、こうなったら、フォーメーション・レッドだ!」
フォーメーション・レッド。それはリンゴ怪人を盾のように配置し、ユーベルコードを相殺するリンゴによる弾幕を張る防御重視の戦術だった。
「ぬははっ! このまま押し返してやるぞ!」
正面から襲ってくる狼の群れにリンゴを投擲して相殺し、下僕怪人たちは勝ち誇る。ところが――。
「ぐはっ!」
突如、棚の裏に潜んでいた狼たちの奇襲を受け、リンゴ怪人の壁がなぎ倒される。
ドラッグストアには狼が隠れられる棚や平台が障害物のように置かれていた。
ひりょはこの地形を利用し、敵の死角になりやすい場所に狼型闘気弾を予め配置しておいたのである。
(今だ!)
そして、ひりょは一気に勝負をつけるために、地を蹴る。刹那、両腕で覚醒める狼の力。それは彼の両手に狼の鉤爪を顕現させる。
――ウォオオオオン!!
血に飢えた獣の眼差し。ひりょはまるで野生の本能を解放したかのように咆哮しながら、鉤爪が生えた両手を激しく振り回し、破魔の力を帯びた斬撃を繰り出す。
「くそっ! こいつ、手に負えねぇぞ!」
怪人の一人が慌てて踵を返すも、その直後、背中を切り裂かれて崩れ落ちる。
「ぐはっ!」
「ぐえっ!」
「ぐふっ!」
必死で応戦するも、一人、また一人と薙ぎ払われていく下僕怪人たち。
血飛沫が舞う中、驚異的な身体能力で鉤爪を振るうひりょを止められる者は誰もいなかった。
「やっぱ時代は、ワイルド系イケメンよね♪」
「普段の優しそうな雰囲気とのギャップが最高だよね♪」
「わたし、あのもふもふな手で撫でられた〜い♪」
戦いを見守っていたキマイラ女子たちは瞳を輝かせ、好き勝手なことを言っていたが、ひりょはそんなことは露知らず、下僕怪人たちを蹂躙していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
穢宮・風月
POW
一つ、ひょっこりこんにちは。
二つ、ふらりとこんにちは。
三つ、見切れてこんにちは。
誰何の声に、お店の窓をバリーンと突き破って登場するスーツの女
おりゃー!
どうも、猟兵です…
なんですか?あなたも「サプリでは取れない栄養が食品にはある、ちゃんと食事を取りなさい」という自然食信奉者ですか?
…そんなことはわかっているんです。ですが、サプリは手軽なんです。
ごはんを抜いてもちゃんと栄養取ってるんだぞ、っていう自己満足が出来るんです。
それを否定するなんて、あなたはわたしのお母さんですか?
…ふらちな悪は許しません…鉄拳制裁です!
忍者手袋+活性UCで大暴れ
【技能:リミッター解除、グラップル、見切り、受け流し】
●ウザい怪人に鉄槌を!
「キャー! 誰か助けてぇ!!」
「クククッ、貴様らのようなお手軽に美を手に入れようとする怠惰な女どもは、我々がたっぷりと教育的指導をしてやる!」
梱包途中で運良く逃げ出せたキマイラ女子達を追いかけ、壁際まで追い詰めた|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》は、ドーラ・ワルダーの影響で美容に詳しくなった意識高い系の怪人であった。
彼らはキマイラ女子たちの顔にフルーツをグイグイと押し付けながら、ウザい説教を始める。そのとき――。
――一つ、ひょっこりこんにちは。
どこからともなく聞こえてくる声。
――二つ、ふらりとこんにちは。
「なんだ、この声は!」
キョロキョロと周囲を見回す下僕怪人三人組。
――三つ、見切れてこんにちは。
「誰だ、貴様は!!」
業を煮やしたスイカ怪人が声を張り上げると……。
――バリーン!!
突然、近くの窓が破れ、店内に飛び込んでくるダークスーツの女。
そのままの勢いでキマイラ女子と怪人たちの間に割って入ると、穢宮・風月(f36880)はペコリと頭を下げる。
「どうも猟兵です……」
「あ、どうも、我々はフルーティトリオです……って、おい! 貴様、我々を愚弄するのか!」
「あなた達こそ、何様のつもりですか? この女の子達に偉そうに説教して!」
美容に最も大切なのは栄養バランスのよい食生活。
それ故、美容サプリは邪道なのだと、下僕怪人の男たちが力説するのを、風月は密かに聞いていたのである。
「……食事が大切なのはわたし達だってわかっているんです。ですが、サプリは手軽なんです。ごはんを抜いてもちゃんと栄養取ってるんだぞ、っていう自己満足が出来るんです。それを否定するなんて、あなたはわたし達のお母さんですか?」
ついサプリに頼ってしまう女性の気持ちを代弁する風月に、キマイラ女子たちも同意し、怪人たちに非難の目を向ける。
美容サプリは忙しい日々の中で、理想と現実の折り合いをつけながら生きる女性達の心強い味方。それをおっさんたちが偉そうに批判すべきではないのだろう。
そして、論破され、追い詰められた男たちは――。
「「「うるさぁああい!」」」
怒声を上げ、力づくで黙らせようとする。
風月はため息をつき、さりげなくキマイラ女子たちに避難を促す。
「……ふらちな悪は許しません……鉄拳制裁です!」
風月は悪党どもをキッと睨むと、イグニッションカードを掲げ、『忍者手袋』を装着。
さらに、ユーベルコード『|祖霊降臨《ソレイコウリン》』を起動。自らを依代にして穢宮の祭神――土蜘蛛「八握脛大明神」を召喚・憑依させる。
だが、『祖霊降臨』は攻撃力強化の代償に、攻撃の度に生命力を消費する諸刃の剣。できるだけ少ない手数で大勢の敵を倒す必要があった。
「行くぞ! この小娘を黙らせてやるのだ!」
そして、攻撃力重視のスイカウェポン『|西瓜鉄球《スイカメイス》』を装備したスイカ怪人を中心とした戦術「フォーメーション・グリーン」を発動し、|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》の一団が襲いかかってくる。
「レモン、ラッシュ!」
拳撃の連打を繰り出すレモン怪人。
「リンゴ、旋風脚!!」
派手な飛び蹴りを繰り出すリンゴ怪人。
「甘い!」
風月は二体の怪人の攻撃の軌道を見切って受け流すと、後方で隙を伺うスイカ怪人との間合いを一気に詰める。
「うわっ!」
素早い動きに驚き、慌ててメイスを振り上げるも、スイカ怪人は風月にボディーブローを叩き込まれ、あっけなく床を舐める。
足元に転がるメイス。風月はそれを素早く拾い、背後から迫る二体の怪人をメイスのひと振りでなぎ倒すと、救援に駆けつけたフルーティトリオの集団に向かって微笑む。
「これは、なかなかいい武器ですね」
「「「まさか!?」」」
そう、そのまさかである。風月は地を蹴り、一気に距離を詰め――。
「おりゃー!!」
――ドゴォオオオン!!
リミッターを解除した膂力で放つ、渾身のひと振り。
大きく円弧を描くように振るわれた西瓜鉄球に激突した下僕怪人の群れは、派手な爆発音を奏でながら弾け飛び、壊滅する。
「ふぅ……少し体力を消耗しましたね」
大暴れした風月は憑依を解いてため息をつく。すると、キマイラ女子の一人が駆け寄ってきて……。
「お疲れ様です♪ これ、どうぞ♪ 疲労回復効果もある美容ドリンクなんですよ♪」
「ありがとうございます……」
濃縮うなぎプルプルドリンク。その大胆なネーミングに戸惑いながらも、風月は差し出されたドリンクを笑顔で受け取るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
白嶺・踊子
レオタード姿で現れ
リボンの一振りで段ボールを斬り裂き
救出したキマイラ女子達の前で名乗りを上げるわ。
乙女の敵は美少女仕置人がお仕置きよ★
魅惑の新体操で懲らしめてあげる…
覚悟するのね!
レモン怪人ジェノサイドのレモン攻撃に対し
新体操の軽やかなステップや柔軟なポーズで回避、
すかさずUC「新体操舞闘術」で反撃するわ。
観客を魅了する華麗な演技は敵にとっては死の舞よ。
超高速のボールで叩き潰し、フープの刃で斬り刻み、
リボンで鞭打ち、締め上げて敵のUCを封じるわ。
トドメは鞭のようにしならせた脚で超高速キック連打よ!
美脚の鞭打ち刑でキリキリ舞いさせてあげる★
モデル立ちで敵を踏みつけて美しく勝利のポーズよ☆
●戦場を舞う蝶
ドラッグストア・ピチピチドラッグ。
店内にはキマイラ女子を梱包したダンボール箱が幾つも置かれていた。
「あんな狭いところに何人も押し込めるなんて、酷いことをするものね……」
新体操のレオタード姿で現れた白嶺・踊子(f36103)は、ダンボール箱に狙いを定め、地を蹴る。
彼女の手に握られているのは新体操で用いるリボンの持ち手。|指揮棒《タクト》のような持ち手を軽やかに振るうと、リボンが意思を持ったように舞い踊る。
そして、踊子はダンボール箱が散乱する通路を跳ねるように駆け抜けながら、リボンを放ってダンボール箱を切り裂くと、箱は次々に四散。
「「「キャッ!」」」
同時に拘束も解かれ、悲鳴とともに飛び出してくるキマイラ女子たち。
すると……。
「貴様は何者だ!」
異変を察知した|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》が立ちはだかる。
踊子はキマイラ女子たちを庇うように前に出ると、凛々しいポーズを決めながら名乗りを上げる。
「乙女の敵は、美少女仕置人がお仕置きよ★ 魅惑の新体操で懲らしめてあげる……覚悟するのね!」
「すごく綺麗ね……」
キマイラ女子の一人が抜群のプロポーションを持つ美少女の登場に思わず声を漏らすも、今はそんな余裕はなかった。
「早く逃げて! 怪人たちはわたしが引き受けるわ!」
踊子の鋭い声に我に返ったキマイラ女達は口々に礼を言い、逃げていく。
下僕怪人達も踊子の肢体を上から下まで眺めゴクリと喉を鳴らしたが、彼らとてドーラ・ワルダーの忠実な下僕。即座に敵意を燃やし臨戦態勢を取る。
そして、後方に陣取ったレモン怪人たちが大量のレモンを召喚し――。
「レモン・ジェノサイド!!」
技の名前を高らかに叫びながら、投擲する。
だが、頭部を狙い撃たれたレモンの弾丸を踊子は咄嗟にブリッジして躱し、そのままクルリと後方回転して立ち上がると、軽やかにステップを踏んで舞い踊り、的を絞らせない。
すると……。
「喰らえ!」
隙を突いて大柄なスイカ怪人がショルダータックルを仕掛けてくる。
「!!」
その刹那、踊子は『|新体操舞闘術《シンタイソウブトウジュツ》』を発動。リボンを鞭のように振るうと、スイカ怪人の足首に蛇のようにリボンが巻き付き、バランスを崩させ――。
「ぐわっ!!」
そのまま転倒して顔面を強打。スイカ型の顔面が陥没する。
「そこっ、見えてるわよ!」
さらに踊子はボールに持ち替えて、背後から忍び寄るリンゴ怪人を狙い撃つ。
「ぶべっ!!」
強烈なスピンをかけたボールが顔面を穿ち、ノックアウト。
「おのれ!」
今度は足元を狙ってスライディング攻撃を仕掛けてきたスイカ怪人を、踊子は綺麗な前後開脚ジャンプで躱し、陥没した顔面を踏みつける。すると、再び飛来するレモンの散弾。
「はっ!!」
対する踊子はフープに持ち替え、飛来するレモンを尽く弾き返しながら、一気に間合いを詰め、フープの刃でレモン怪人を切り刻む。その直後。
「グォオオオオオオオ!!」
倒れていた大柄なスイカ怪人が頭から果汁(?)を吹き出させながらゾンビの如く蘇り、雄叫びを上げる。完全にブチ切れたスイカ怪人は腕をブンブン振り回しながら突撃してくるも、その顔面に鞭のようにしなる脚から繰り出されたハイキックが直撃し――。
「まだよ!」
強烈な一撃を受けて動きを止めた相手に、踊子はキックの連打で追い打ちをかける。
「ゥガガガガガガッ!!」
奇妙なうめき声を上げ、ノーガードで鞭打ちのような蹴撃を受けるスイカ怪人。
その巨体はキックの衝撃で派手に舞い踊り、やがて力尽きて前のめりに倒れ――。
その瞬間、踊子は床を蹴って跳躍。
「ぐえっ!!」
倒れ伏すスイカ怪人の背中を、美脚を見せつけるようにモデル立ちで踏みつけ、勝利のポーズを決める。
「「「キャー♪ ステキ〜♪」」」
戦いを見守っていたキマイラ女子たちから歓声が上がる。
「まだ演技は始まったばかりよ! 応援よろしくね★」
余裕たっぷりに手を振ってウインクする踊子。ファンサを終えると、彼女は続々と集まってくる|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》の群れへと飛び込み、「演技」を再開する。
その華麗な演技は怪人たちにとっては、死の舞。
踊子は蝶のように美しく舞いながら怪人達を屠り、観客達を魅了していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ドーラ・ワルダー』
|
POW : わたくしにひれ伏しなさい!
【鞭】が命中した対象に対し、高威力高命中の【踏みつけ攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 下僕達、やっておしまいなさい!
戦闘用の、自身と同じ強さの【力自慢の下僕】と【テクニック自慢の下僕】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : こうなったら奥の手よ!
自身が戦闘で瀕死になると【巨大なびっくりメカ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ガジル・コリアンダー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ドーラ・ワルダー登場!
あっという間に|下僕怪人三人組《フルーティトリオ》を全滅させ、キマイラ女子たちを救出した|猟兵《ヒーロー》たち。これにて事件解決。そして、家路に就こうとしたときだった――。
――オーッホホホホ! オーッホホホホ!
どこからともなく響き渡るドーラ・ワルダーの高笑い。
すると、店内が突如として闇に包まれる。そして、突然、視界に広がる眩き光。
一同が周囲を見回すと、ドラッグストアの店内が、綺麗に磨かれたフローリングの床が一面に敷かれ、四方の壁に大型ミラーが設置された、ダンススタジオ風の部屋へと変貌を遂げていた。
「……なんでわたしたち、こんなところにいるの?」
「キャッ、丸々と太った豚が目の前に……ってこれ、鏡に映ったアタシじゃん!」
「ねぇねぇ、それよりあそこにすごく綺麗な人がいるよ♪」
突然の出来事に困惑するキマイラ女子たち。その中の一人が部屋の中央に立つドーラを見つけ、瞳を輝かせる。
「オーッホホホホ! ここはわたくしの“フィットネス・ルーム”ですの。貴方たちにはここで地獄のフィットネスをしていただきますわ。命が尽きるまでね!」
さらりと恐ろしいことを言い放ったドーラに、愕然とするキマイラ女子達。
そう、彼女たちは決戦の場に観客として招かれたわけではない。
ドーラは|猟兵《ヒーロー》たちを排除した後に、ここでキマイラ女子たちを「下僕怪人」に改造するつもりなのだ。
「それではヒーローの皆さん、かかってきなさい! フィットネス・バトルの開幕ですわよ!」
フィットネス・バトル。ドーラにとってこの戦いはフィットネス・ルームでのトレーニングと同等だという意味なのだろう。
ドーラはその美貌に高貴な笑みを湛え、ボン、キュッ、ボンのナイスなバディを誇示するかの如く扇情的なポーズを決めるのだった。
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❖補足情報
第二章はドーラ・ワルダーとのフィットネス・バトル(?)です。
相手は猟書家幹部。マジですごく強くてガチでヤバいヤツですが、キマイラフューチャーなのでシリアスにはなりません。愛と自由をその手に携え、ノリと勢いで戦いましょう。
●戦場
ピカピカに磨かれた硬いフローリングの床が一面に敷かれ、四方の壁に大型ミラーが設置された、ダンススタジオのような部屋です。
周囲を見渡せば定番のフィットネス器具が置かれているかもしれません。
戦場の端のほうで、キマイラ女子達が観戦しています。
彼女たちのいいね♪を力に変えて戦いましょう。
●プレイングボーナス(独自)
キマイラ女子達にカッコいいところを見せる。
●その他
WIZでは脂肪吸引ロボ『オクトパスくん』、SPDでは筋トレ怪人『鶏ささみ王子』とエアロビ怪人『鶏手羽姫』が召喚される可能性がありますが、ガチな感じではありません。
補足は以上です。プレイング受付中です。第二章もよろしくお願い致します。
レパル・リオン
フィットネスバトルですって!?
くっ、体を冷やしすぎるスノークレインじゃ勝てないわ!
だったら…変身よ!
燃えろ炎のハート!イェーガー・レパル、フォームチェンジ!とおっ!
(火の輪くぐりをして変身)
女の子だって燃えなくちゃ!
太陽の魔法、サンライズライオン!
激しいムチの攻撃、そして踏みつけが来る!うーっ、超痛い!
だけど、ここがチャンス!ドーラの足をガッシリと掴むわ!そしてマジカル気合を炎に変えて、足からドーラに流し込む!
お望み通り、二人で燃えるわよ!さらにさらに、燃えながらのジャイアントスイング!炎の嵐になるわ!
トドメ!サンセット・フィニッシュ!(相手を掴み大ジャンプからの急降下で地面に叩きつける荒技)
●完全燃焼
「それではフィットネス・バトルの開幕ですわよ! わたくしとともに脂肪を燃やし、美ボディになりましょう!」
「フィットネス・バトルですって!?」
ドーラ・ワルダーの言葉を聞き、レパル・リオン(f15574)は驚愕の声を上げる。
フィットネス・バトル。それは誰もが羨む|均整のとれた体《美ボティ》を手に入れるために行われる戦闘。
キマイラフューチャーの|地下闘技場《フィットネス・ジム》では、|美の探求者《フィットネス・バトラー》たちが、夜な夜な|熾烈な戦い《キャットファイト》を繰り広げている。それは真偽不明の噂に過ぎなかったが、レパルも噂を耳にしたことがあるのだろう。
そして、彼女は自らの衣装を見てハッと息を呑む。
「くっ、体を冷やしすぎるスノークレインじゃ勝てないわ!」
レパルは水着衣装に着替え、雪属性のスノー・クレイン|形態《フォーム》に変身していた。この形態では体がすぐに冷えて代謝が落ち、フィットネス・バトルでは不利な戦いを強いられるだろう。
「こうなったら、変身よ!」
状況を打開するために、レパルはユーベルコード「|変身《レパル・トランスフォーム》」を発動。
「燃えろ炎のハート! イェーガー・レパル、フォームチェンジ! とおっ!」
空中に出現した火の輪に向かって走り、跳躍。そのまま頭から飛び込むと、光に包まれるレパルの体。そして、スノークレインの水着衣装が、赤を基調とした魔法少女の衣装へと変わる。
「女の子だって燃えなくちゃ! 太陽の魔法、サンライズライオン!」
「「「キャー! カッコいい♪」」」
暁の太陽の如く赤々と発せられるオーラ。
ライオンのように勇ましいポーズを決めたレパルに、キマイラ女子たちも大興奮。
「これなら負けないわ! 覚悟しなさい!」
堂々と宣戦布告すると、レパルは拳を大きく振り上げ、突進していく。
対するドーラは不敵な笑みを浮かべ、両眼を黒き光で満たす。
「その程度の力でわたくしに勝とうなど、百年早いですわよ!」
そして、涼し気な顔で放たれる、漆黒の鞭。
鞭は驚異的な速度で振るわれ、衝撃波を伴った突風を引き起こす。
「え!?」
思わぬカウンターにレパルは驚愕し、咄嗟に回避を試みるも、間に合わない。
体に纏った熱気とともに後方に吹き飛ばされた無防備なレパルに、漆黒の鞭が襲いかかる。
「痛っ!!」
変幻自在の鞭による強烈な連撃を受けたレパルは立っていることもままならず、倒れ伏す。その隙にドーラは一気に距離を詰め、踏みつけ攻撃で追い打ちをかける。
「オーホホホホッ!! やはり見掛け倒しでしたわね!」
鋭利なヒールでガシガシとレパルの背中を踏みつけながら、勝ち誇るドーラ。
レパルはピクリとも動かない。
「「「負けないで!」」」
危機を察したキマイラ女子たちから声援が飛ぶ。
「もう応援しても無駄ですわ……え!?」
刹那、ドーラの両足首をガッチリと掴むレパルの両手。
「……みんなの熱い応援、しっかり届いたわよ!」
そして、レパルはマジカル気合を炎に変え、ドーラに一気に流し込む。
「きゃぁあああ!!」
炎に包まれるドーラ。敵が怯んだ隙に、レパルは足首を掴んだまま飛び起きる。
「お望み通り、二人で燃えるわよ!」
「燃えすぎですわぁあああ!!」
レパルに逆さ吊りにされたドーラはパニック状態。
脂肪燃焼どころではなく、全身が燃焼していたが、レパルはそのままドーラをぶん回す。
すると、豪快なジャイアントスイングの高速回転で紅蓮の炎が渦巻き、二人は「炎の嵐」と化す。
――ひぎゃぁああああ!!
絶望の悲鳴を上げるドーラ。
「はっ!!」
さらに、レパルは地面を蹴って大ジャンプ。瞬時に最高点まで到達すると、瞳に炎を宿す。
「これでトドメよ! サンセット・フィニッシュ!!」
ドーラを振り上げたまま、急降下するレパル。そして、地面に激突する寸前、ドーラの体を渾身の力で叩きつけ――。
――ズドォオオオオン!!
隕石が激突したかのような衝突音。
猛烈な熱風が吹き荒れる中、落下地点には、力強く大地を踏みしめる|炎を纏いし魔法少女《レパル・リオン》の姿があった。
既に満身創痍。だが、レパルはキマイラ女子たちに満面の笑顔を向け、拳を高らかに掲げるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
ノリノリのアドリブ歓迎
ここに来た人達は少なからず「自分を変えたい」という想いで来ているのだろう
だけど…無理強いは駄目だ!誰にでもペースはある、貴方と同じじゃない!
俺はそれなりには体鍛えているつもりだ
大事な人を、守りたい人達を助けられるように…と
ムキムキではないが中肉中背くらいにはなってる、無駄な脂肪はついてないはずだ
フィットネス対決でも戦闘でも、俺は受けて立つ!
純戦闘なら刀+護符を使った変化に富んだ戦い方で相手を攻撃
対決なら、持ち前の根性で切り抜ける
この場にいる方々を守り抜く事、それに一点集中だ!負けてなるか!
何度だって立ち上がって立ち向かってやる!
UCにより強化された肉体で困難に立ち向かう
●一意専心
「貴方たち、自分の立場がわかっていないようですわね!」
ドーラ・ワルダーはフィットネス・ルームの端で猟兵たちを応援するキマイラ女子たちに向け、魔力を放つ。すると、キマイラ女子たちの足元に突然、巨大なランニングマシンが出現する。
「さあ、命がけで走りなさい! 脱落者にはお仕置きですわよ! オーッホホホホ!」
ドーラは高らかに笑い、キマイラ女子たちは涙を流しながら必死で走る。そのとき――。
――無理強いは駄目だ! 誰にでもペースがある! 貴方と同じじゃないんだ!
諭すような声が響き渡り、乱舞する精霊の護符。それはランニングマシンの動力部を破壊し、ベルトの駆動を止めた。
「彼女たちに手を出すな! フィットネス・バトルは俺が受けて立つ!」
キマイラ女子たちの窮地を救った鳳凰院・ひりょ(f27864)は、ドーラを牽制するように声を張り上げる。
「いい度胸ですわね。では貴方にはこれをプレゼントいたしますわ!」
そして、ドーラがパチンと指を鳴らすと、ひりょの四肢が突然重くなる。
「うわっ、なんだこれは!?」
重くなった原因は、四肢に装着されたリストウエイトとアンクルウエイト。
「あなたにはそれを身に付けて『筋トレ』をしていただきますわ。貴方も、その引き締まった体を維持したいでしょう?」
これもフィットネス・バトルの一環。ドーラは自分がルールとばかりに豪語する。
「くっ! 卑怯だぞ!」
「卑怯? それはあくまでも『プレゼント』ですわよ。外して戦っても構いませんが……」
不敵な笑みを浮かべ、キマイラ女子たちに視線を向けるドーラ。その意味を察し、ひりょは沈黙する。
「わかった……」
敵は狡猾な猟書家幹部。相手の弱みに付け込むのは常套手段なのだろう。
ひりょは動きを阻害する「重り」を装着したまま、破魔刀を抜き放つ。
「潔い男は嫌いではありませんわ。さあ、一緒にフィットネスを楽しみましょう!」
言葉とは裏腹に、残忍な光を瞳に宿し、鞭を構えるドーラ。
かくして戦端が開かれ、ひりょは地を蹴って刀の間合いまで一気に接近を試みるも……。
――ヒュンッ!!
ドーラが放った鞭が複雑な軌跡を描き、向かってくる。
「くっ!」
慌てて飛び退き、距離を取るひりょ。
やはり手足が重すぎて思うように動けない。
それならばと、彼は精霊の護符に複数の属性の力を込め、それを組み合わせて多彩な攻撃を仕掛け、好機をうかがうも――。
「そんな子供騙し、わたくしには効きませんわよ!」
ドーラは鞭を激しく振り回し、飛来する護符を尽く粉砕。属性攻撃も瞬時に無力化してしまう。
(今だ!)
さらに、ひりょは敵が護符に気を取られた隙に回り込み、背後から間合いを詰めようとするも、即座に牽制の鞭が飛んできて足止めされてしまう。
「オーッホホホホ! これはいいフィットネスになりますわね」
余裕たっぷりに微笑み、ドーラは楽しげに鞭を振るう。
「俺は諦めない! 負けてなるものか!」
劣勢の戦況。それでも、ひりょは自分を鼓舞し、眼前の敵に意識を集中し続ける。そのとき――。
「これは一体、どういうことですの!?」
驚きの声を上げるドーラ。視線の先には全身からまばゆい光を放つひりょの姿があった。
(体中に精霊たちの力を感じる……ありがとう、みんな……)
どんな困難に直面しても決して挫けず、人々を守るために戦い続ける。
一意専心。ひりょの一途な想いに精霊たちが反応し、『|精霊の祝福《セイレイカラノゴホウビ》』が発動したのである。
全身に力がみなぎり、四肢の重さも全く感じない。
今ならやれる。ひりょは全身から精霊の光を発しながら、地を蹴る。
「俺は貴方を討ち、みんなを守り抜く!」
「またもや無謀な突撃ですわね。返り討ちにして差し上げますわ!」
ドーラは漆黒の鞭を激しく振り回し、自らの正面に猛烈な風と衝撃波を発生させる。
「くっ! だが、俺はここで止まるわけには、いかないんだぁあああ!!」
雄叫びを上げ、全身からオーラを噴き出させながら強引に突っ込むひりょ。
すると、ドーラの鞭が触手の如く飛んできて行く手を阻む。だが、ひりょは破魔刀を振り回してそれを薙ぎ払い、さらに加速。一気に懐に飛び込むと、渾身の斬撃を放ち――。
――ザンッ!!
迸る鮮血。フィットネス・ルームに、ドーラの苦悶の声が響き渡るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はっはっは、そうかフィットネス対決か!
今この瞬間において、妾が挑戦者なのは事実だ
ナイスバディ対決とか提案されたら、ルール無視して真顔でボコるところだったぞ? いやマジで
とゆーことで耐久腹筋対決だ!
美の求道者ならば、フィットネスの基本に立ち返ってもらおうか
さてお主の『キュッ』は本物かのう?
観戦者の皆には手拍子をお願いしよう
裏技や不正をしようと思えば、いくらでもできるであろうな
…そんなことするわけがなかろう!
此奴とのバトルの勝ち負けなど、ぶっちゃけ妾には結構どうでもよい!
腹筋する姿ですら皆を感動させ興奮させる、その為に限界を越えるのだ!
さあ、何千回でもいっそ何万回でも、とことん付き合ってもらうぞ!
●耐久腹筋対決
「さあ、フィットネス・バトルですわよ! このフィットネス・クイーンにかかってきなさ……」
「はっはっは、そうかフィットネス対決か……とゆーことで耐久腹筋対決だ!」
御形・菘(f12350)は、ドーラ・ワルダーの言葉を遮るように声をあげる。
「……耐久腹筋対決? 何を言っておりますの? わたくしはフィットネス・バトルを……」
唐突な申し出に困惑するドーラ。だが菘は全く意に介さず……。
「日々の努力なくして、美は得られぬのだろう? 美の求道者ならば、フィットネスの基本に立ち返ってもらおうか? さて、フィットネス・クイーンたるお主の『キュッ』は本物かのう? 果たしてそれが本物の努力によって造られたのか、ここで示してもらわなくてはな!」
他者に努力を強要するのならば、自ら手本を見せるのが筋というものだろう。
菘は格闘技のマイクパフォーマンスばりに声高に煽りまくり、さらに部屋の隅で戦いを見守るキマイラ女子達に視線を向ける。
「では、観戦者の皆には手拍子をお願いするとしよう!」
「「「了解です〜♪」」」
「ぐぬぬ……」
圧倒的な存在感を放つ菘に場を支配され、一歩も引けない状況に追い詰められたドーラはしばしの沈黙。
下僕怪人候補たちに実力を示さねば、女王としての沽券に関わるだろう。
「……いいでしょう。貴方の挑戦、受けて立ちますわ!」
菘は内心でほくそ笑む。その視線の先には、|天地通眼《AI搭載の撮影ドローン》が浮かんでいた。
そう、この対決は「悪の組織の女王と耐久腹筋対決をやってみた!」というタイトルで動画投稿する予定なのである。
そして、耐久腹筋対決が幕を開け、菘とドーラは並んで横たわり、観客たちの手拍子に合わせてテンポよく|腹筋運動《シットアップ》をこなしていく。
100回、200回、300回……と、淡々と続けられる腹筋運動。
傍から見れば地味でシュールな光景だが、アルティメットな雰囲気を醸し出す両者の対決は、回数を重ねるごとに盛り上がっていく。
「フンッ! フンッ! フンッ!」
「ヒッ、フー! ヒッ、フー! ヒッ、フー!」
腹筋運動を続けるには呼吸が大事。二人とも独特の呼吸を繰り返しながら、回数を重ねていく。猟兵とオブリビオン。さすがは人智を超越した生命体同士。回数が四桁に到達しても、全くペースが衰える気配はない。
そして、互いに5000回を超え、酷使し続けた腹直筋が悲鳴を上げ始める。
「お主、凄い汗であるぞ。そろそろ限界かのう?」
「貴方こそ、表情が引きつってますわよ。そろそろ限界が近いのではなくて?」
「妾をお主ような軟弱者と一緒にするでない! 斯様な運動は、児戯に等しいわ!」
どんなスポーツでもメンタルが大事。相手の限界を探りながら自らの優位を誇示しようと、舌戦が繰り広げられる。
しかし、8000回を超える頃には互いに沈黙し、己の限界との戦いへと変わっていく。
迸る熱気。飛び散る汗。苦痛と疲労に耐える形相。
宿敵たる相手に絶対に負けぬという、意地と意地がぶつかり合う、限界を超えた熱き展開。声援を送るキマイラ女子たちも、手に汗握る戦いに釘付けになる。
そして――。
(くっ! もう限界ですわ……)
既に腹直筋が痙攣していた。このままでは負けてしまう。
追い詰められたドーラは……。
(こうなったら、超疲労回復サプリですわ!)
胸元に隠していたピルケースをこっそり取り出す。その刹那、菘が口を開く。
「この状況なら裏技や不正をしようと思えば、いくらでもできるであろうな! だが、そんなことするわけがなかろう!」
不正を告発し、釘を刺すかの如く発せられた「独り言」。
ドーラはドクンと心臓が跳ね、その拍子に手からピルケースがこぼれ落ち、そのままコロコロと転がっていく。
(あ……!)
菘はユーベルコード『疾走エッジランナー』によってもたらされた「行動予測」に従っただけだが、この状況では効果抜群だった。
そして、「耐久腹筋対決の不正を阻止する」という行動に成功した菘は、ニヤリと笑う。
「さあ、ここからが本当の戦いだ。何万回、何十万回でもとことんつき合ってもらうぞ!」
これは観客を感動・興奮させるためのパフォーマンス。
最終的にどちらが勝つのか。菘にとって、ぶっちゃけどうでもいいことだ。
この不毛で不遜なエンドレス腹筋対決は、どちらかが力尽きるまで続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エリン・エーテリオン
アドリブOK
お前、この人?達に手を出すつもりなら容赦はしないぞ!
…よし私の新しい力見せてやる!
崩壊邪神王龍ブラッドムーンを自身の目の前に出し私は虹の炎に包まれる!そして、姿は人間だが、黒い触手が周りに生え、髪は龍を思わせる髪型になった。私の名は外道を叩き潰すただの新米猟兵!虹炎魔王エリン・エーテリオン!(ポーズを決めながら)
まずはドーラの奴が私に鞭を振るうが私は『空気』を掴んで鞭を跳ね返す。
驚いているところ悪いが上を見たほうがいいぜ?
この部屋の天井ぎりぎりまで『巨大化』してドーラを踏み潰す!
キマイラ女子達も私を応援してくれている。
なら、決めてやるぜ!巨大化を解除して、UC【虹炎巨神獣滅殺拳】!
●常識を逸脱せし者
「もういい加減、貴方たち、邪魔ですわ!」
苦戦が続き、憤懣やる方ないといった様子のドーラ・ワルダー。
その苛立ちの矛先は、のん気に猟兵たちの応援をしているキマイラ女子たちに向かう。
「運動嫌いの貴方たちには、超ビリビリトレーニングマシンをお見舞いしてあげますわよ!」
超ビリビリトレーニングマシン。
要するに電流を体に流すことで、筋収縮を促す筋トレマシンの強化版である。
そして、ドーラが危険なマシンを召喚するために魔力を集中させようとした、そのとき――。
「おい、お前、良からぬことを企んでいるな! あの人たちに手を出すつもりなら容赦しないぞ!」
怒気を帯びた声。背後から迫りくる猛烈な殺気。ドーラは反射的に振り返り、臨戦態勢を取る。その視線の先には、若い“人間の女”――エリン・エーテリオン(f38063)が立っていた。
「貴方、何者ですか?」
「ちょうどいい機会だ。よし、私の新たな力を見せてやる!」
エリンはドーラに言い放つと、自らの内に秘められし『崩壊邪神王龍ブラッドムーン』を具現化。同時に、虹色の炎の如き覇気が噴き出し、エリンの体を包み込む。
渦巻く虹の炎。その中で、ブラッドムーンとエリンのシルエットが一つに重なり、融合していく。
そして、虹の炎が晴れると、邪神王龍を纏う少女が勇ましいポーズを決めて立っていた。
「私は外道を叩き潰すただの新米猟兵! 虹炎魔王エリン・エーテリオン!」
竜を模したような特徴的な髪型。全身から炎のように立ち昇る虹色のオーラ。
かろうじて人間の形を残しているものの、その背には混沌を具現化させたかのような黒き触手が繁茂し、ウネウネと蠢く触手の群れは羽を広げた孔雀のような形を成していた。
それは常識という枷を崩壊させる自由の力を携える、覚醒世界の支配者の姿――。
覚醒したエリンを目の当たりにしたドーラは、警戒心を露わにする。
「……どうやら貴方は、わたくしたちの野望を脅かす危険な存在のようですわね。生かしておくわけにはいきません!」
かくしてフィットネス・バトルは虹炎魔王エリンの降臨によって崩壊し、ルール無用のガチ戦闘の様相を呈する。そして――。
「これを食らって、大人しく死になさい!」
ドーラは殺気を滾らせ、その手に持った鞭を振り回す。
目にも止まらぬ速さで振るわれる漆黒の鞭。
それは鋭い風切り音を奏でながら衝撃波を伴った打撃を生み出し、エリンに襲いかかる。
「くっ! なかなか気合が入った攻撃だな……」
激しい連撃を、エリンはオーラを帯びた触手でガード。
「そんなら、こいつで反撃だ!」
触手がガリガリと削られる中、手のひらの周囲の『空気』を固体化して掴み、投擲する。
――ドォオン!!
空気塊がぶち当たり、漆黒の鞭の連撃が止まる。
「なんて非常識な攻撃ですの!?」
「私が支配する“覚醒世界”では常識なんか無意味……まぁ、理屈なんかどうでもいいな。このままガンガン行くぜ!」
驚愕する相手を尻目に、エリンは左右の手、それぞれで空気を掴み、連射する。
対するドーラは鞭を振り回して空気の塊を次々に切り裂き、直撃を避けるも――。
「驚いているところ悪いが、上を見たほうがいいぜ?」
「え!?」
見上げると、いつの間にか巨大化していたエリンの姿。
振り下ろされた巨大な足が目前に迫る。
――うぎゃっ!!
避けきれずに足裏に潰されるドーラ。
「うぐぐっ!! なんなん、なんですの!?」
それでも、ドーラは即座に立ち上がり、目を白黒させながら天を仰ぐも、そこには誰もいない。
「くっ! こうなったら奥の手ですわよ!」
ドーラはユーベルコードを発動しようとしたが、そんな余裕はなかった。
巨大化を解除したエリンが正面から猛然と突進してきたからである。
「「「頑張って!!」」」
キマイラ女子たちの声援を背中に受け、拳を振り上げるエリン。
「喰らえ! 虹炎巨神獣滅殺拳!」
――ドゴォオオン!!
虹の炎を噴き出す拳が炸裂し、ドーラは炎に灼かれながら吹き飛ばされ――。
「どういうことなのぉおおおお!!」
フィットネスルームに絶叫が響き渡るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
穢宮・風月
SPD
出ましたね、諸悪の根源っ。
自分だけがフィットネスしているなんて傲慢な考え、捨てたほうが良いと思いますよ…?
自結社地下のジムで鍛え上げたバランスの良いメリハリボディをとよん、と誇示
ここもなかなか整った設備のようですが、わざわざ相手の領域で戦う必要性も無いわけで…
|水中戦《ウォーター・バトル》と洒落込みましょうか。
神酒「笑ひ蛇神」を周囲にぶちまけ、活性UCを発動
神酒を以て此処を神籬とす……関八州の水蛇神様よ、おいでませいっ!
忍小太刀を使い、水蛇神様と共にスタイリッシュに戦う
【筋トレ怪人】にはテクニックで対応
【エアロビ怪人】にはパワーで対応
【技能:リミッター解除、竜脈使い、見切り、受け流し】
●|水中戦《ウォーター・バトル》
「自分だけがフィットネスしているなんて傲慢な考え、捨てたほうが良いと思いますよ……?」
穢宮・風月(f36880)は、ジムで鍛え上げたバランスの良いメリハリボディをとよん、と誇示する。
「あら、挑戦的な方ですわね。貴方など、わたくしの足元にも及びませんわよ!」
ドーラ・ワルダーは自分のナイスなバディを誇示するように妖艶なポーズを決める。
自慢のボディを見せ合い、にらみ合う両者。
「あのお姉さんもすっごくスタイルいいよね〜♪」
「ウンウン♪ 甲乙つけ難いって感じ♪」
キマイラ女子達のヒソヒソ話はドーラにも届いていた。そして……。
「ではフィットネス・バトルで決着をつけましょう! 格の違いというものをお見せいたしますわ!」
敵意を燃やし鞭を構えるドーラに、風月は唐突に提案する。
「フィットネスといえば水泳ですよね! では|水中戦《ウォーター・バトル》と洒落込みましょうか?」
「貴方、何を言ってますの……?」
困惑するドーラに答えることなく、風月は突然、“神酒「笑ひ蛇神」”を周囲にぶちまけ、神降ろしの祝詞を唱える。
「神酒を以て此処を神籬とす……関八州の水蛇神様よ、おいでませいっ!」
そして、水練忍法「|関八州大蛇神瀑布《カンハッシュウ・ダイカガチバクフ》」が完了し、降臨した水蛇神様の御魂たちが一斉に水流ブレスを放つ。
「ぶべっ!!」
顔面に水流ブレスが直撃し、水に飲み込まれるドーラ。
そして、水流ブレスによって造られた透明な「水の檻」の内部が清浄な水で満されていき、瞬時に「透明な水槽」のようなバトル・フィールドが展開される。
「ぷはっ! これは一体どういうことですの!?」
水面から顔を出し、周囲を見回すドーラ。
「見ての通り“プール”を造りました。フィットネス・バトルといえば|水中戦《ウォーターバトル》ですからね!」
優雅に背泳ぎしながら、有無を言わさぬ勢いで言い放つ風月。
「何を勝手なことを……って貴方、いつの間に水着に!?」
「あ、これですか? これは今年新調した水着なんですよ♪」
そんなことは聞いていない。が、風月はノリノリで答える。
早着替えは忍者の基本技術。誰にも見られずに着替えることなど容易いのである。
ドーラは沈黙し、水着姿の風月をジト目で見つめる。
(ただ水着が着たかっただけですわね……)
とはいえ、ドーラは切り替えが早かった。
「せいぜいバカンス気分でいればいいですわ! 筋トレ怪人、エアロビ怪人、来なさい!」
ドーラは即座に筋トレ怪人『鶏ささみ王子』と、エアロビ怪人『鶏手羽姫』を呼び出す。
「ささみを食べて筋肉チャージ! 毎日筋トレ、マッソー、マッソー!!」
「鶏手羽はコラーゲンたっぷり! 毎日エアロビ、脂肪をファイヤー!」
筋骨隆々の海パン男と、レオタード風水着の女が、必死に立泳ぎをしながら名乗りを上げる。
「さあ、この生意気な小娘をやっておしまいなさい!」
「「イエッサー!!」」
威勢よく返事をし、水中にドボンと潜る二人の怪人。
「では水蛇神様、お願いします!」
小さくなった一柱の「水蛇神様の御魂」を背負った風月は忍小太刀を抜き、水中へと潜る。
透明度の高い水。視界は良好だが、水の抵抗が動きを阻む。
それでも、エアロビ怪人はエアロビで鍛えたしなやかな筋肉を活かして猛スピードで泳ぎ回り、風月を急襲する。
(エアロビ、スパイラルキック!!)
その瞬間、風月の背中に乗った水蛇神様が後方に水流ブレスを噴き出し、|水流噴出《ウォータージェット》推進で急加速。
(覚悟!!)
そのまま忍小太刀を突き出し――。
(ギャッ!!)
腹部を穿つと、相手の胸を蹴って刀身を引き抜きながら、離れる風月。
一撃必殺。エアロビ怪人はそのまま沈んでいくも、流れ出た鮮血が水中に拡散。視界を覆い尽くす。そのとき――。
(マッスル・ハリケーンアタック!!)
水底でスクワットしながら機会をうかがっていた筋トレ怪人が地を蹴り、腕を広げて錐揉み回転しながら猛然と突っ込んでくる。
(奇襲!?)
だが、風月は即座にその攻撃の軌道を見切ると、背後をちらりと見る。
そして、彼女の意思に呼応して背中の水蛇神様が横方向に水流ブレスを放ち、寸前で突進を回避。筋トレ怪人はそのまま水面に向かって突っ込んでいき――。
(ドーラ様ぁああああ!!!)
「ちょっと、どうしてこっちに突っ込んでくるのぉおおお!!」
――どぉおおおん!!
筋トレ怪人が、無防備な状態でプカプカと浮かんでいたドーラに激突。
水面にド派手な花火が打ち上がるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
白嶺・踊子
フィットネス・バトル、望むところよ!
新体操の実力、魅せてあげる☆
バレエやヨガだって練習に取り入れてるんだから
この戦場は庭みたいなものよ♪
敵の動きは周りの鏡を見れば把握できるわ。
鞭をリボンで迎え撃って真っ向勝負。
純白のレオタード姿の私と漆黒のドーラ…
対照的でペアの演技みたいで映えるでしょ☆
わざと敵にリボンを絡め取らせ、勝ち誇った隙に
フープでヒールの踵を引っ掛けて転ばせて挑発。
今のはちょっと美しくなかったわよ★
怒って【巨大なびっくりメカ】を召喚してきたら。
UC「寵姫の瞳」の【魅惑の視線】でメカを魅了して
ドーラと同士討ちするよう仕向けるわ。
乙女の魅力は敵をも虜にする究極の武器なのよ☆
「美の追求は常に自分自身との闘いよ。
貴女なら良く分かっているわよね。
存分に自分同士で美を磨いてね☆」
フィニッシュの演技、いくわよ!
フープのブーメランで一撃
ボールの乱れ撃ちで追撃
ロープで手足を縛りあげ
クラブの乱打で滅多打ちにして
トドメにリボンで首吊り処刑よ!
他の娘にも自分の美容法を強要する
心の醜さが貴女の美の敗因よ!
●美の共演
四方の壁に大型ミラーが設置された、ダンススタジオのようなフィットネス・ルーム。
その片隅でひときわ熱心に応援する集団がいた。
「「「踊子さ〜ん♪ 頑張って!」」」
下僕怪人との戦いで、白嶺・踊子(f36103)の華麗な演技に魅せられ、彼女のファンになったキマイラ女子達である。
それはドーラ・ワルダーにとっては由々しき事態。
キマイラ女子たちは将来の下僕怪人。このままでは女王としての沽券に関わる。
そんなわけで、ドーラは踊子をビシッと指差し、宣戦布告をする。
「貴方、わたくしとフィットネス・バトルで勝負なさい! 美の体現者が誰であるか、愚昧な女どもに教えて差し上げますわ!」
「フィットネス・バトル、望むところよ! 新体操の実力、魅せてあげる☆」
かくして戦端が開かれる。
「それではミュージック、スタートですわ!」
ドーラが指をパチンと鳴らすと突然サンバ調の音楽が流れ出し、ドーラは腰を振りながら軽快なリズムに乗り、高速かつ変則的なステップを踏む。
「わたくし、美容のためにダンスも嗜んでおりますの。貴方はこの動きについて来れるかしら?」
自信満々に言い、ドーラはさらに速度を上げて踊り狂う。
もちろん、踊子は受けて立つ。
「あなたにも、わたしの華麗な演技を見せてあげるわ!」
プリエの姿勢から翼のように腕を羽ばたかせ、白鳥の如く軽やかに舞う踊子。
純白のレオタードを纏う踊子が魅せるバレエと、漆黒の衣装を纏うドーラが踊るサンバダンス。
静と動。白と黒。清純と妖艶。どこまでも対照的な二人だが、それが互いを引き立てるように作用し、コンビネーションダンスの如くショーを彩っていく。
「素敵ね……」
「綺麗ね……」
「憧れちゃうね……」
二人のダンスに|恍惚《ウットリ》するキマイラ女子達。
とはいえ、これは|舞踊戦闘《ダンス・バトル》である。
「これでも、喰らいなさい!!」
激しいダンスをしながらも、ドーラは漆黒の鞭を振り回し、踊子を攻撃する。
対する踊子はリボンを構えて真っ向勝負。
「負けないわよ!」
鞭の激しい打撃を、螺旋の軌跡を描くリボンで弾き返すも、絶え間なく続く容赦のない攻撃に、踊子は次第に押され始め――。
「あっ!」
突然、驚きの声を上げる踊子。一瞬の判断ミスか、漆黒の鞭にリボンを絡め取られて持ち手がすっぽ抜け、その勢いで体勢を崩す。
「オーッホホホホ!! これでわたくしの勝ちですわね――」
勝負を決めるべく、一気に間合いを詰めるドーラ。
だが、踊子の手にはいつの間にかフープが握られており――。
「ギャッ!!」
地を這うように投擲されたフープがハイヒールの踵に引っかかり、盛大にすっ転ぶドーラ。
そして、体勢を立て直した踊子はニッコリと微笑む。
「今のはちょっと美しくなかったわよ★」
その挑発の言葉をきっかけに、観戦者のキマイラ女子達からも笑いが起こる。
「ぐっ……」
無様な姿を晒し、プライドはズタズタ。メンタル的に瀕死状態のドーラは、タコの如く顔を真っ赤にして立ち上がると、ユーベルコードを発動。床に描かれた召喚魔方陣が黒き光を放つ。
「もう、赦しませんわよ! オクトパス君、来なさい!」
――パスパス〜! パスパス〜!!
甲高い声で鳴き、ドーラの二倍ほどの大きさの巨大なタコ型びっくりメカ“脂肪吸引ロボ『オクトパス君』”が出現。それは美容器具に魔改造を施した恐るべき相手。攻撃手段は「鞭」のようにしなる八本の触手による打撃だった。
「さあ、あの小生意気な小娘をやっておしまいなさい!」
ドーラの命令を受け、標的に突進していくオクトパス君。
しかし、踊子は全く動じた様子はない。
「あなた、オクトパス君っていうの? かわいいね☆」
優美な微笑みを浮かべ、ウインクする踊子。
すると、オクトパス君の動きが止まり、目がハートになる。
――パス〜♥
戦意喪失し、求愛ダンスのようにクネクネと踊りだすオクトパス君を、踊子は満足げに見つめる。
乙女の魅力は敵をも虜にする究極の武器。
寵姫の瞳から放たれる『魅惑の視線』は、たとえ相手が機械であっても、魅了することができるのである。
「何をしているのですか!? 早く攻撃なさい!」
ドーラが声を荒らげるも、オクトパス君はガン無視。
そして、踊子は大きな触手を撫でながら口を開く。
「それじゃオクトパス君、お願いね! あの人をやっつけちゃって☆」
――パスパス!!
元気に返事をし、オクトパス君は踵を返すと――。
「ち、ちょっと、どうしてこっちに来ますの!?」
困惑する『元ご主人様』に触手を放つ。
「くっ!!」
ドーラは触手を鞭を振り回して弾き、勃発する同士打ち。
「美の追求は常に自分自身との闘いよ。貴女なら良く分かっているわよね。存分に自分同士で美を磨いてね☆」
漆黒の鞭と巨大な触手が激しくぶつかり合う中、踊子は高みの見物をするのだった。
◇ ◇ ◇
オクトパス君をなんとか破壊したものの、ドーラは疲労困憊だった。
しかし、その双眸は踊子への殺意に燃え――。
「貴方の醜い臓物を引きずり出してあげますわぁあああ!!」
美とはかけ離れた、悪鬼の如き形相で、ドーラはヒステリックに叫ぶ。
生意気な小娘を八つ裂きにし、臓物をぶちまけてやる。
邪悪な本性を露わにしたドーラは鞭を構えると、全身からどす黒いオーラを発しながら突進していく。
「さあ、フィニッシュの演技、いくわよ!」
キマイラ女子達の歓声が上がる中、踊子はフープを投げつけるも、その軌道はドーラから大きく逸れてしまう。
「ド下手ですわね!」
ほくそ笑むドーラ。その刹那、ブーメランのように弧を描いて戻ってきたフープが背後から直撃。
「ぎゃっ!!」
突撃の足が止まる。
しかし、そのダメージは軽微。すぐにドーラは鞭を振るって反撃を試みようとするも――。
「させないわよ!」
「ぶべっ!!」
追い打ちをかけるように踊子から乱れ打たれたボールが漆黒の鞭を弾き飛ばし、顔面にクリーンヒット。さらに踊子は敵が怯んだ瞬間にローブを放ち、ドーラの四肢を拘束すると、両手にクラブを握り――。
「あがががががっ!!」
流麗に舞い踊りながら、二本のクラブでドーラの全身を滅多打ち。
至近距離で機関銃を浴びたかのような怒涛の打撃を受け続け、ドーラは頭を垂れる。
「これでトドメよ!」
踊子は足元のフープを天井に向かって投擲。間髪入れず、リボンを放つ。
虚空を斬り裂くように飛翔するリボン。それがドーラの首にシュルシュルと巻き付くと、踊子は天井に深々と突き刺さったフープに通したリボンを引っ張って、ドーラの体を吊り上げ――。
「ぐげッ!!」
首にリボンが食い込み、首の骨が折れる音が小さく鳴った。
「他の娘にも自分の美容法を強要する……その心の醜さが貴女の美の敗因よ!」
容姿の美しさのみに拘泥し、自分の心の醜さに気にも留めなかった憐れな女の末路。
首吊り処刑の如く絶命したドーラに背を向けたまま、踊子は別れの言葉を紡ぐのだった。
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●後日談
猟兵たちの活躍でドーラ・ワルダーを撃退し、キマイラ女子達は無事に解放された。
そして、数日後、キマイラフューチャーではフィットネスブームが到来していた。
「美容サプリもいいけど、ちゃんとフィットネスもしないとね♪」
「だよね! わたし、今、スイミングスクールに通ってんるんだ♪」
「そうなの? 私もこの間、バレエのレッスンを始めたの♪」
「そうだ。みんな〜! 今度、耐久腹筋対決でもやろうよ!」
「「「いいね♪」」」
水泳、プロレス、耐久腹筋、バレエ、新体操、フィギュアスケート……女子達の話題は尽きることがない。
そう、彼女たちは猟兵達とドーラのバトルを観戦し、フィットネスに目覚めたのである。
美は一日にしてならず。美しさを保つには、それ相応の努力が必要だ。
それはある意味では正論だが、内面を伴わぬ美しさは空疎であり、独りよがりだ。
日々充実した生活を送り、内面も磨いていかなければならないのだろう。
そのことを、猟兵たちは彼女たちに身を以って教えたのであった。
大成功
🔵🔵🔵