サイバー世界のプロレス興行
サイバーザナドゥの世界では、暗黒メガコーポが蔓延り、生身ではまともに生きていくことすらできない。人々の日々は暗く、重苦しい。
そんなこの世界でも、この世界だからこそ、輝くリングがある。
ここはサイバースポーツが盛んな街、【ランナチャ・コロド】。スポーツ用品のメガコーポ【NITRO FIRE(略称NF)】が支配するこの街は、基本的にはNF傘下のヤクザが取り仕切るスポーツしか存在しない。
そういうスポーツは常に八百長に溢れており、真実を知るものからは、スポーツを金儲けの道具扱いしていると嫌悪する。
だからこそ真にスポーツを愛するものは、NFの目を掻い潜り、裏で本当のスポーツを行うのだ。
「皆が今回行くことになるバーで開かれるプロレスみたいにね」
案内人はグリモア猟兵クトゥルティア・ドラグノフ。
グリモア猟兵の案内ではあるが、今回は別に何か事件があるわけではないのだ。プロレスの選手としての因果か、こんな街があることを知ったクトゥルティアが、息抜きに遊びに行ってみないかと、スポットを紹介したという流れである。
「最初はバーで選手の皆さんと交流したり、仲間内で飲んだり、自由に遊んでいってね。その後本番のプロレス興行があるよ。飛び入り参加OKどころか推奨だから、遠慮なくリングに上がって皆で楽しんでほしいんだ。もちろん観戦するだけでもOKだよ! その後は選手の皆さんおすすめのバーで二次会予定になってるよ」
そう言ってクトゥルティアがテレポートを開く。既にバーは大盛りあがりのようだ。
「選手たちはみんな義体化しているから、観戦するなら大迫力。参戦するならかなり歯ごたえのある試合にできるかもね! それじゃあ、楽しんでいってらっしゃい!」
しじる
初めての方は初めて。そうでない方はお世話になっております。しじると申します。
今回は何か事件があるわけではなく、みんなで飲み食いして、プロレス観戦OR参戦楽しもうというシナリオになります!
プロレス知識がなくても楽しめるように、頑張らせていただきます!
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております!
第1章 日常
『サイバー居酒屋の夕暮れ』
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POW : 好きなメニューを好きなように飲み食いする
SPD : 店主や他の客のオススメを頼む
WIZ : 他の客との世間話を楽しむ
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ランナチャ・コロドでは、八百長されてるとはいえサイバースポーツが盛んなこともあり、居酒屋は多い。
今回猟兵が訪れることになったのはその中でも名店【バックスフォールーン】。旧遺体安置所を勝手に改造して作ったバーである。
いろいろな室内スポーツを行えるように、店の奥にはリングや卓球台、果てにはフットサルコートまである。
今回のプロレスを行うリングも店の奥にある。
店内は既にギャラリーや選手で盛り上がっている。悪酔いするものもいるが、アマプロ関係なく多くのプロレスラーがいるため、すぐにノサれて見世物になっている。
騒ぎに任せるもよし、端によって静かに飲むのもよし、プロレスラーたちに話しかけるのも良いだろう。
草剪・ひかり
WIZ判定
久しぶりに猟兵のお仕事に顔出した感じ!
え、過去の栄光にすがってるオバサンに出番はない?
失礼しちゃう!
まだまだ現役バリバリの世界チャンピオンだよ!
ともあれ、どこの世界でもプロレスのお仕事があれば顔も手も出す「超次元プロレス界の絶対女王」草剪ひかりが入場です!
もちろん、この後に開催される試合にも出場する気満々なので、服装は愛用のゼブラ模様のリングコスチュームの上に薄いパーカーを羽織るだけ
見る人が見ればすぐに私だってわかってくれるよね!
一応試合のこともあるからあんまり食べ過ぎ飲みすぎない程度に、他のお客や同席したレスラーの皆さんと歓談
たまにはこうして直接交流するのも良いものだよね!
久しぶりに猟兵としての仕事(厳密には今回仕事ではないが)に出て、バーの人々との交流に心躍らせているのは【剪・ひかり】である。
どこの世界でもプロレスのお仕事があれば顔も手も出す『超次元プロレス界の絶対女王』。その名に恥じはない。現にこうして次元を超えてサイバーザナドゥの世界に来ているのだから。
同時に猟兵から情報を貰っているのか、現地民もM.P.W.Cのことを多少知っているようだ。
「ひかり選手じゃないか! 引退して社長業に専念したもんかと」
「失礼しちゃう! まだまだ現役バリバリの世界チャンピオンだよ!」
愛用のゼブラ模様のリングコスチュームの上に薄いパーカーを羽織るだけの格好。わかる人にはすぐわかるようで、到着早々歓迎されている。
「その格好ということは……」
「勿論、この後の試合にも出るよ。皆も観に来てよ! 選手の皆は、お手柔らかに」
「あんたにお手柔らかにできる奴なんて、ここにいる奴でも一握り位だろうが」
その一言でバーに活気がさらにあふれる。
いつもはリングで魅せたり、競い合う者たちとの言葉を交えての交流。そういうのも悪くはない。
後の試合に響かない程度に、飲食を嗜みながらひかりはそう思った。
大成功
🔵🔵🔵
瀬登・久遠
「はぁ、なるほどね。プロレス……あんまりよく知らないのだけれども格闘技の一種という所かしらね」
パンダフードを被ったピンクの髪の少女は、バーの隅でお酒を飲んでいた。もちろんその後の事を考えて軽めの度数ではあるのだが。
「面白そうではあるから来てみたけど、予想外に盛り上がっているわね」
心なしかフロアも暑くて、ついついお酒が進む。お酒には強い方だが、こんなに飲んだことはないくらい飲んでいる。酔ってはいないのだが…
「こういう知り合いも持っておかないと不便ね」
片隅で様子を見ている少女はとりあえずお酒を飲んでその場をしのぐ事にした。
【アドリブ歓迎・他の人と絡ませるのもOKです】
このバーに来るもの全員がプロレスに詳しいわけではない。ただ騒ぎにのって、面白そうだからと来るものもいる。【瀬登・久遠】はそのタイプだ。
「はぁ、なるほどね。プロレス……あんまりよく知らないのだけれども格闘技の一種という所かしらね」
その後の試合に出るのか、それとも観戦に徹するのか。どちらにしても後に影響が出ないように、久遠は酒を控えめに飲むつもりで雰囲気を楽しんでいた。
「面白そうではあるから来てみたけど、予想外に盛り上がっているわね」
プロレスラー、ファン同士、実況者。様々な者同士の交流は熱狂を呼び、思った以上にバーは賑わいに満ちていて、この世界がメガコーポにより大変な目にあっていることを忘れさせる。
そんな空気感が、軽い度数とはいえ酒を呑む頻度を上げさせる。
「やあお嬢さん、良かったら一緒に話さない?」
片隅で飲んでいれば、プロレスラーっぽい人が話しかけてくる。ナンパではなさそうだ。純粋に会話を楽しみたいのだろう。
「……こういう知り合いも持っておかないと不便ね」
今後スポーツ関係で何かあるかもしれない。この街で問題が起きた時頼れるアテになるかもしれない。
久遠は今ある酒を呑み干し、男との会話を楽しむこととするのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『サイバー遊技場』
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POW : とにかく全力で遊びまくる
SPD : 自分の得意な分野で勝負する
WIZ : 策を巡らせ、一瞬の勝負を狙う
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バーの熱狂も最高潮に達するころ、ついにメインイベントが始まろうとしていた。
観客は観客席に急ぎだし、選手は控室に向かう。やがて割れんばかりの歓声の中審判がリングに上がった。
「さあ皆さんお立合い、第●●回ランナチャ・コロド裏興行NC杯、開催いたします!」
その一言で歓声はさらに盛り上がる。
この熱狂の渦の中、リングに立って戦うのか、観客として楽しみのか。それは君たち次第である。
瀬登・久遠
「えっ??」
観客がざわざわと騒ぎ始めたことに気が付いて、ふと飲み物から手を放す。
「ああ、プロレスだっけ?どんなスポーツなのかしらね…」
席を立って、何気なく人混みについて行くように歩いていく。そこには露出がそこそこあるまるで水着の様な格好のレスラー達が立っているのだろう。
彼女は……控室に歩いていた。
「………え?」
思考が一瞬止まるが、少し思い直す。至って冷静に。
「これは私も出る流れになるのかしら?」
格闘術は護身術を少し、もちろんプロレスなどしたことは無い…が好奇心には勝てなかったようで。適当に見繕ったコスチュームを選び、彼女はウォーミングアップをし始めた。
【アドリブ歓迎です】
観客が突然騒ぎ出す。何事かと【瀬登・久遠】は周りを見渡せば、全員が奥へ向かい、そこで騒ぎを起こしてることに気づく。
「ああ、プロレスだっけ? どんなスポーツなのかしらね……」
見れるなら自分も見てみたい。人の波に流されるまま久遠が足を進めれば、露出がそこそこあるまるで水着の様な格好のレスラー達が立っている。
そう、流されに流されてたどり着いたのは観客席ではない。控室だ。
「……え? これは私も出る流れになるのかしら?」
今更観客席に戻るのもなんとなく嫌に感じる。どのみち焦る必要はない、仮に負けたとしても死ぬわけではないのだから。何より、心から来る好奇心に勝つことができなかった。
適当に見繕った、パンダっぽいガラの入ったチャイナ風コスを着る。そうしてウォーミングアップが軽く終われば番号が呼び出される。
呼ばれればリングへと走り出す。先のリングに待っていたのは、バーで話したあの男であった。
「おや、君もレスラーだったのかい?」
「……まあね」
ついさっきなったとは言わずに、そのままファイティングポーズをとる。男……リングネーム『コンドルク』も構える。実況が開戦を告げる。
まず仕掛けたのは久遠だ。護身術とはいえ多岐にわたる。プロレスに仕えそうなものをチョイスして仕掛ける。タックルからの下段蹴り。体格差もあってこれは軽く受け止められる。
続いて上段蹴り。これもしっかり受けるが急所はハズしてあるだけ向こうもプロである。
「今度はこっちから行くぞ!」
反撃にコンドルクが久遠の手を取りぶん投げる。アームホイップは綺麗に決まって久遠をリングに叩きつける。
受け身は完璧だが痛いものはいたい。すぐに立ち上がればコンドルクがロープまで走っているのが見える。そのままロープに身を預け、加速した状態でドロップキックを繰り出そうという魂胆だ。
ならばとばかりに猟兵の身体能力を見せる。飛んできたドロップキック、すなわち久遠の丁度顔面に位置する場所よりさらに高く跳んだのだ。
約158センチ以上の垂直飛びは、まさしく人間離れ。サイボーグ化していても厳しいだろう跳躍は観客を魅了する。
「意外とできるもんね!」
そのままドロップキックを空振り仰向けになったコンドルク目掛けて、本来ならコーナーポールの上に乗ってやる業である、シューティングスタープレスに似たような軌道でボディプレスを繰り出した。
「そんなのマジかよ!? ガフッ!!」
肉と肉が激突する音が響く。さしもこれはきついだろう。とはいえ向こうもプロ、これでへばるほどではない。お互いすぐに起き上がり、しかし久遠は少し距離を取る。
まともに組みあってはダメだと最初の小出しで気づいたからだ。
とはいえ引けばいいということもない。無論相手は詰める。コンドルクは空中殺法は得意としてないが、引くならばその手も使えるくらいには器用である。
久遠の肩と股座を担いで投げてやるとばかりに突っ込む。これに対して久遠はさらに一歩引き、コーナーポールを蹴り飛ぶ。
そのまま先の驚異的跳躍でコンドルクの後ろに回れば、突進で浮いた腰をぶっこ抜き、投げっぱなしジャーマンとしてはなった。
相手がサイボーグ化してるからこそできる危険技は、それでもかなりの打撃である。だがまだ立つ。これぞプロレスラーとばかりに立つ。
「すごいわ……オブリビオンでもないのに」
「簡単に、倒れたら……プロレスラー名乗れないからね!」
お返しとばかりにタックル。これは近すぎたため避けきれない。久遠の両足が捕まれ、そのまま豪快に2、3回と回転する。ジャイアントスイング、ぶん投げて起こして、これまた豪快にパワーボム。リングが唸りを上げるたびに観客が沸く。
まだ止まらないとばかりにもう一度パワーボムを狙ったが、頭頂部まで来た直後にフランケンシュタイナーで久遠が投げる。
「二回も、あんな重たいもの貰いたくないわ……」
「ゲッホ……そりゃどうも!」
ぶん回された影響でまだ頭が回る上、パワーボムのダメージが重い久遠。投げられまくって返し技も貰ったコンドルク。最後に勝つのはどっちか。
互いに同じ狙いとなった最後の一発。首、違いはラリアットかアックボンバーかだった。そしてそれを制したのは久遠だ。
アックボンバーを繰り出される前、久遠は咄嗟に相手の手を後ろに回ってから掴み、そのままコンドルクを高速で回転させつつ自分に引き寄せたのだ。
ただのラリアットではない。久遠は知らないだろうが、その技は金の降る技とされた最高の一発だ。
偶然とはいえ生み出されたそれは、明らかに重い音を響かせてコンドルクの首に炸裂。そのままコンドルクをリングに沈めた。
息も絶え絶えとなって、久遠はコンドルクに覆いかぶさり、カウントは3を刻んで見せた。
割れんばかりの歓声が、久遠へと降り注ぎ、彼女はその中で勝利を実感した。
大成功
🔵🔵🔵
ミラン・アレイ
アドリブ大歓迎だよー!
プロレスめっちゃ楽しそうだねー。
血湧き肉おどるってやつ!
選手として参加しちゃおう!
衣装はそうだねー、普段着てる神竜の鎧がビキニアーマーでリングコスっぽいし、そのまんまでちょうどいいかなー?
お相手は巨体のごつマッチョのレスラーとかだったりするとテンション上がるかも!力比べ!拮抗したり苦戦したりするかなー?
【怪力】【グラップル】あたりを使った脳筋パワープレイでごりごり攻めちゃうよ!プロレス技もがんがんキメていきたいかも。とどめは【ジャンプ】を利用したフランケンシュタイナーで決めたいところ!
プロレスと聞いて血肉沸き踊るものもいるだろう。飛び入り参加を嬉々としてやってきた【ミラン・アレイ】もそのタイプである。
「プロレスめっちゃ楽しそうだねー。血湧き肉おどるってやつ! 選手として参加しちゃおう!」
普段着ている鎧がリングコスチュームに見えなくもなく、彼女はそのままの格好でリング入りを行う。
続いてやってくる選手は筋肉モリモリマッチョマン。明らかに体格差があっていないように見えるが、このサイバーザナドゥではサイボーグ化が普及している。小柄=非力にはならない。それがあるからこそ、相手である『タウロックス』も一切油断はしない。
「よう嬢ちゃん、どんな改造してんのか分かんねぇが、俺の馬力をなめたら痛い目見るぜ」
「あはは、その言葉そっくり返すよ!」
相手が力自慢と理解し、ミランもまたテンションが上がる。ミランもまたすさまじい筋力持ちであるからだ。純粋に、自分より筋力があるかどうか、知ってみたい。
筋力自慢がぶつかるとなれば、もうやることは一つしかない。ゴングがなれば互いに突進即座に組み付く。
それは流石に無謀でないかと思った観客もいた。大柄な男と148cm中の少女。改造の概念があるとはいえ、真っ向は流石に……その考えは覆る。ほぼ拮抗、若干ミランのほうが優勢という事態が起こっていた。
そのままミランがタウロックスを圧し、膝を付ければ片足を乗せて、もう片足でその顎へと膝を食らわせる。
大きくのけ反り倒れるタウロックスを追撃するように、ミランは倒れた彼の下半身を引き起こし、そのままストレッチマフラーホールドを狙う。辛うじて届くそれはタウロックスを海老反りにして更なる激痛を与える。
「それよいしょー!」
「ぬわあああああぬわああああ!!」
語尾がのびた可愛らしい言い方に反したえげつないキメ技に絶叫が走るが、すぐさまロープへとたどり着いてその地獄からタウロックスは抜け出す。
いきなりギブアップはあり得ない。足の調子を確かめてタウロックスは笑う。つられてミランも笑えばそのまま突っ込む。
「よくわかった嬢ちゃんの力は! だが負けるわけにはいかんな!」
「でも負けてもらうよー!」
突っ込んでくるミランを、タウロックスは軽々と跳びこえる。交わされたミランはロープへと身を預けてさらに突っ込む。それに対してタウロックスは深く腰を落としてショルダーで答えた。
まともに衝突するのはまずいと、ミランはあえてショルダーの球部に反るようにあたり、背の上を転がるように受ける。受けの体勢を取ったミランを逃さない、タウロックスが彼女が地に足を付くのに合わせて下から掬い上げるように掌底。顎を確実に捉えた。
まだ重心が上に位置しているミランはこの一撃で大きくのけ反る。そのまま体格差を生かしてチョークスラムを叩き込む。
絵面は大柄の男が小柄の少女にチョークスラムという酷いものだが、筋力はミランのほうが上なので絵面を気にしている余裕はない。
リングが叩きつけられた衝撃で揺れるが、追撃の手は止めない。そのまま起き上がらせてロープへと投げる。
ミランが走らされて、その首目掛けて丸太のようなタウロックスのラリアットが炸裂する……かと思いきやそのまま潜り抜けて背後をミランが羽交い絞めで獲る。
そのまま竜の名の入った技、ドラゴン・スープレックスを豪快に行って見せた。
148の少女が大柄の男をぶっこ抜いてフォールするのは、まさしく現実離れした光景。観客のどよめきに遅れて歓声が響き渡る。とはいえそのまま落とされてはたまらない。
スープレックスを喰らったという認識をするのが遅れ、カウント2.2でタウロックスが抜け起き上がる。
起き上がるの合わせてエルボーを狙ったミランの腹へとその胴体をぶち当て、強制的に止める。そのまま怯んだミランの頭を脇に固めて、上下が反転する。
「わぁあああ! い、嫌なよか……あ”っ”!?」
予感的中。持ち上げられたミランは、そのまま落とされるわけだが、頸椎がタウロックスの片膝に直撃する形で落とされたのだ。とある世界で牛の異名を持つプロレスラーを損傷させた恐ろしいその技は、牛殺しとも呼ばれる。
タウロックスの得技でもあり、フィニッシュホールドにも使う大技。もろに受けたミランは一瞬意識が飛ぶが、鳴るカウントの音で飛び起きる。
2.9で起き上がり、朦朧とする意識をはっきりさせて立ち上がる。とはいえ首へ受けたダメージは重い。すぐに回復するわけではない。
だからこそタウロックスはもう一発喰らわせるために突っ込む。そこへ合わせ、ミランは高く跳んだ。その両足は高い位置にあるはずのタウロックスの頭部を包み込み、両者ともに一回転。
フランケンシュタイナー、美しい流れで撃ちだされたそれにタウロックスはわずかに反応できなかった。
巨体が何度目かのマットに沈み、逆にタウロックスこそ起き上がることはなかった。
少しまだ首がぐらつく中、それでもミランは歓声にこたえるべく、立ち上がり観客に両手を振るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
草剪・ひかり
POW判定
アドリブ演出、お色気描写、他参加者との連携等歓迎
待ってましたのお仕事タイム
私にとってプロレスは猟兵のお仕事以上に「本業」だからね
私は外部からの参戦だから、試合順や相手は現場の仕切りにお任せ
そこそこ名前が知れてるのが吉と出るか凶と出るか
もちろん私はどんな巨漢相手とかでも全然問題ないよ
相手の強さは最初に触れればわかるから、あまり強くなければドロップキックやスリーパーホールド、ボストンクラブ等の基礎技、そして自慢の爆乳で相手を窒息させちゃうバストスリーパーで一蹴してからマイクアピール
「あらあら、噂に名高いランナチャ・コロドのレスラーはこんなものかな?」
上のランクのレスラーが出てきたら、相手の面子を潰さない様にしっかり技を受け、ダウンして魅せてから
得意のムーンサルトプレスやジャーマンスープレックスで盛り上げつつ、最後は必殺技のアテナ・パニッシャーを繰り出しての相打ちでWKO、引き分けって展開が美しいかな
先に立ち上がり相手を称えて、チャンピオンとしての懐の深さもアピールしたら大団円だね
夕陽・ガレッド
控室には無数のプロレスラー、自分より格上の人など沢山居るであろう。だが、彼女にはワクワクとした気持ちしかなかった。
つい先程の話、盛り上がるバーの中を歩いていると、ふと話を聞き興奮したように
「プロレスが出来るんですか!?やります!!」
控室で着替えていると色んな選手が目に入り緊張と興奮でワクワクしてくる。リングに立ち色んな選手と戦うことで交流してきた自分にとっては千載一遇のチャンスだった。
「うわぁ……凄いなぁ……」
つい声に出てしまった、それくらいの歓声、そして彼女はリングを目指して歩いていった。
【アドリブ歓迎です】
頭のレスラーたちの戦いは、まさしく魂を振るわせるに値する。
最高潮に達したリングに上がるのは、やはりこの女しかいない。
「待ってましたのお仕事タイム。私にとってプロレスは猟兵のお仕事以上に【本業】だからね」
【草剪・ひかり】。かつての“絶対女王”。次元を超えて知られる存在は、やはり大トリへ持ってこられた。
ランナチャ・コロドにいるレスラーも、外部からきたレスラーも、誰もが名前ぐらいは聞いたことがあるレジェンド。それに挑みたくあるのは、レスラーなら自然。
無数の歓声に包まれ、ひかりは誰もが知ったあの曲と共に入場を果たすのであった。
そんなリングが最高潮の熱気に包まれ、ひかりが複数のレスラーを連戦をし始めたころ、少し遅れてバーにたどり着いた少女がいた。名は【夕陽・ガレッド】。
まだファイターの世界に来て日の浅い彼女は、周りにいる試合終わりのレスラーや、奥と中継が繋がってるテレビの景色を見て興奮していた。
「私も……あそこに立ちたいな」
その言葉を聞いた一人の観客が、出ればいいじゃんといった。今日は無礼講、上も下もない。挑みたい奴に挑めばいいと。
「プロレスが出来るんですか!? やります!!」
無論答えは決まっていた。リングに立ち、色んな選手と戦うことで交流してきた自分にとっては千載一遇のチャンス。出れるなら出るに決まっていた。
そうして他の選手より少し遅れはしたが、それでも控室は多くの選手がいた。格上もきっといるだろう。だが緊張よりも興奮のほうが強かった。
そうして、誰とやろうかと考えていれば試合は、実は大トリまで来ていたことに気づく。
不味い、せめて一試合だけでも。その思いの先に待っているのは、まさにまさかのレジェンドなのである。
「あらあら、噂に名高いランナチャ・コロドのレスラーはこんなものかな?」
そんなマイクパフォーマンスも交えて、格下同格格上なんでもござれと連戦を重ねるひかり。
メンツをつぶさないように何度も技を受けては立ち上がり、時にはダブルKOとなっても先に立ち、相手を讃える。
底無しとも思われる体力と精神力は、絶頂期から劣ったとはいえそれでも常人のそれではない。そんなひかりと戦える選手も、多く減り、そろそろ試合も全部終わりかと思われた時である。
一人、新たにひかりへ挑戦するものがいた。それこそ、ガレッドであった。
「うわぁ……凄いなぁ……」
これほどの歓声は数えられるほどしかないだろう。今リングに立っているのは生きる伝説なのだから。だからこそ、だからこそである。ガレッドの心の中は燃え上がっていた。
「新しい挑戦者さんは、今度は可愛い女の子なのね」
「よ、よろしくお願いいたします!」
「あらあら、緊張しなくていいわ。手加減はしないけど、遠慮なくかかっていらっしゃい!」
「はい! 勿論胸を借りさせてもらいます!」
新時代の申し子か、かつての王者か。観客の熱狂が再点火するのに合わせてゴングは鳴り響いた。
「行きます!」
最初に仕掛けたのはガレッド。小柄なスピードファイターらしく速度戦を仕掛ける。走り出し、勢いのままひかりへと水平チョップを繰り出すが、連戦しているとはいえひかりはそれを苦もなく受けきる。
無論これが通用するとは思っていない。流れるように2、3と同じ場所へずれもなく叩き込めば、流石に少しはぐらつく。
その隙を逃さず、高く高く跳び、チョップを食らわした場所へ跳躍ローリングソバット。ぐらついたところへもろに受ければ体格差があっても押し下げられ、ロープがひかりの背に近づく。
追撃とばかりに少し距離を取ってから走り出し、ひかりの頭目掛けてドロップキックを放つ。それは打点が高く美しいが、それ以上に打点より頭の位置が高いというすさまじい跳躍もあった。これも避けないしっかり受けるひかりだが、威力が想像よりずっと高い。
ひかりは頭から吹っ飛び、ロープを超えて場外へと跳ぶ。その光を追って、ガレッドはポールを直ぐによじ登って、落ちたひかりへと身を投げた。
「ぬぐ!!」
「まだまだ行きま……あぁ!」
倒れたひかりを起こして、そのまま場外戦かと思いきや、ひかりがガレッドを先にがっしりと掴み、リングへと投げ戻す。そして自身もリングへと舞い戻った。
「危ないわね……こういう子は、自由にすればするほど怖いんだから」
「恐縮です!」
とはいえひかりも線歴が長い、ガレッドのようなスピード系はパワー系に弱いことは頭に入っている。要は捉えてしまえば何とでもなるのだ。
無論ガレッドも簡単に捕まる気はない。またも走り出すが、それは咎めると言わんばかりにひかりのラリアットが飛ぶが、ガレッドこれを跳ねて避け、さらに後方のロープで加速したならひかりに飛びつく。
コルバタである。それも回転が2回もある芸術点が高いもの。その遠心力は約2~30cm差をものともしない威力となる。ひかりの体が宙へと浮いて背をリングに打ちのめす。
倒れた隙を逃さない。ガレッドは身軽にポールへとよじ登り、観客の方を向く。
降り注ぐ歓声に軽く手を振り、そのままひかりに背を向けたまま宙を回転。大きく弧を描いて落下していくムーンサルトプレス。
だが何度も強力な飛び技を喰らい続けてやるほどひかりも甘くない。咄嗟に膝の剣山を生み出し、それがガレッドの腹に食い込む。
声にならない呻きを上げたガレッドの上体を起こし、その背中に先ほど受けたソバットのお返しとばかりに低めのソバットを打ち込む。
そのパワーは語るまでもない。ガレッドが吹っ飛びうつぶせに倒れる。
「それで終わりじゃないでしょう?」
倒れたガレッドを激高するように挑発すれば、勿論彼女は立ち上がって見せる。まだこの試合を終わらせたくないと奮い立つ。
それでこそと微笑むひかりにガレッドが突撃する。今度は流石に捕まってしまい、タックルのような形になる。
純粋なパワーではひかりが上、エルボーを叩き込まれて怯めば天地逆転、パワーボムの流れだ。
無論今のガレッドがひかりのパワーボムを喰らえばただで済まない。頭頂に来た瞬間フランケンシュタイナーに切り替えて投げ、フォールする。
が、カウント1でそれは終わり、距離が少し離れる。
既に互いは息も絶え絶えだが、闘志は互いに枯れていない。
走り出したのは同時であり、先にひかりがガレッドをアームホイップで投げようとする。が、これをガレッドは投げられないで、ひかりの腕を中心に一回転。仕返しとばかりに投げようとするがこちらも一回転。
らちが明かないと互いに選択した技はドロップキック。しかしこれは体の大きいひかりが有利。
足の裏と裏が激突するが、質量で負けてガレッドは弾かれる。
急いで起き上がろうとするガレッド。だが体が悲鳴を上げてその速度は遅い。
ひかりはそれを逃さない。本当は別の業にするつもりだったが、ここまでやってくれた相手に対してこれを使わないのは失礼と判断した。故に抜くのはただ一つ。
戦斧が大きく振りかぶられて、首をたたっ斬るごとく振るわれる。
“戦 女 神 の 断 罪 の 斧”。
明らかに人体から鳴ってはならない異音に合わせて、ガレッドの体がひかりの腕を中心に一回転してリングに落ちた。
荒れた息のままひかりはガレッドをフォール。意識はまだ残っていたガレッドだったが体が動かない。カウントが3つ刻まれて、終わりのゴングが鳴り響いた。
「う……ははは、いい試合だったよ」
「負けちゃいましたけどね……本当に、強かったです」
「勿論、まだまだ現役だもの。簡単に負けられないよ」
歓声と紙吹雪舞う中、ひかりはガレッドを起こす。ガレッドもまたそれにこたえてふらつく足で立ち上がる。
両者を讃える歓声は、バー全体を揺るがすほどにすさまじかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『二次会パーリナイ!』
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POW : 思いっきり夜更かししてあれこれ楽しむ
SPD : 面白そうな店やイベントに顔を出してみる
WIZ : 飲み物と会話を楽しみながらのんびり過ごす
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
あれほどに熱狂した試合も終わり、夜ももうじき深夜に差し掛かろうとしている。それでもまだ皆、興奮冷めやらぬ状態だ。
ならばやることは一つしかないだろう。
ランナチャ・コロド出身のレスラーや観客が、良い店を知っている。皆そこに駆け込むように向かう。
そうだ二次会だ。感想を言い合うのも良し、戦った相手と会話するのも良し、ゆっくり酒を嗜むのもいいだろう。
まだ熱狂の収まらない、熱い夜は続く。
ミラン・アレイ
アドリブ大歓迎だよー!
試合見てくれたノリノリの人たちから声かけられもみくちゃにされつつー。
戦ったタウロックスさんを見かけたら声かけて親睦を深めるよー!
よい試合だったよねーとか、パワフルだったし技のキレすごかったー!とか、色々話したいー!試合ほんとに楽しかったからねー!そしていい筋肉!筋肉はいいよね!胸筋とか上腕筋とか触らせてもらおうかなー!
タウロックスさんとか他の力自慢交えて腕相撲大会なんかも楽しそうー!
そんな感じで思いっきり夜更かし決め込むんだよー!
活躍した選手というものは、往々にして人に集られるものだ。【ミラン・アレイ】も先のナイスプレイによる勝利で、多くの人に集まられていた。
「わ、とと! 押さないで押さないでー!」
サインをせがむ者や、自分のところの事務所に付かないかなどの勧誘からファンサービスを望む声やら。集まった人たちの声に丁寧に応えつつ、カウンターへと向かう。
未成年故に酒は飲めなくとも、ジュースくらいは飲みたくなっても仕方ないほどの熱狂がそこにあった。
そうしてミランがカウンターへと座れば、偶然にもその隣に座っていたのは、先の試合で相手をしたタウロックスであった。
「よう嬢ちゃん、揉まれてんな! 首は大丈夫か?」
「あ、タウロックスさん!」
快活に笑いながらジョッキでビールではなくウィスキーを飲むタウロックス。アルコールに強いのかまだまだ酔わなさそうだ。
「良い試合だったよねー! パワフルだったし技のキレすごかったー!」
「なに、嬢ちゃんの桁外れたパワーと根性には負けたぜ。チューニングだけじゃなく自前でも鍛えたのにな! 全く驚きだ!」
互いに互いを讃え、ミランは店主のおごりで出たオレンジジュースで、タウロックスはウィスキーで、それぞれ乾杯しながら試合を振り返る。年の離れた兄妹ほどの年齢差だが、仲の良い友人となるまでに時間は分もいらなかった。
「良い筋肉だよね本当に! ねーねーせっかくだし色々触らしてー」
「いいぜ、嬢ちゃんみたいなカワイ子ちゃんならいくらでもだ!」
せっかくの機会を逃すわけもなく、ミランはタウロックスの胸筋や上腕二頭筋を触らしてもらうのであった。実に仕上がった良い筋肉であったと述べよう。
その後二人は、タウロックスのリベンジという形で腕相撲を行うが、結果はあえて明記しないことにしておこう。
大成功
🔵🔵🔵
瀬登・久遠
「興奮冷めやらぬ何とやらってやつかしらね」
それとなく居酒屋に入り一人酒、まさか自分が戦うことになるとは夢にも思わず。少し興奮していてかお酒も結構飲んでいた。
「貴重な経験だったわ、日記帳に書いておかなきゃ」
ふと取り出したのは日記帳ではなくメモ帳、ペンを取り出して目の前に置いてある料理のレシピを感覚だけで書いていく。
割と適当なレシピだが、そこはアレンジすれば何とかなるだろう。一通り書き終えてメモ帳をしまう。
「あ、そうだ…」
もう一度メモ帳を取り出して、今度はレシピとは違う服のイラストを描き始め……
「あのコスチューム良かったわね、今度裁縫士さんに頼んで作ってもらいましょ」
意外とお気に入りだったようだ…
「興奮冷めやらぬ何とやらってやつかしらね」
揉まれ押されしたが、何とか抜け出て一人カウンターに座るのは【瀬登・久遠】。ウェイトレスとして培った技術は伊達ではない。込み入った場所も苦も無く抜けたのだ。
そうして軽い酒を呷りながら今日を振り返る。
「まさか自分が戦うことになるとは……貴重な経験だったわ、日記帳に書いておかなきゃ」
興奮冷めやらぬのは彼女もそうなのだろう。酒を呑む速度はそこそこ早かった。
そうして肴に出された焼き鳥や培養ブロッコリーキッシュなどの大体のレシピを、己の味覚頼りにメモ帳に書いていく。
日記に書くのは後でもできるが、こういう料理のメニューは、舌が覚えているうちではないとなと。
「あ、そうだ……」
ふともう一つのメモ帳を取り出し、イラストを描き始める。それは先ほど着ることになったレスリングコスチュームであった。
「あのコスチューム良かったわね、今度裁縫士さんに頼んで作ってもらいましょ」
そう呟いて、無意識にふっと微笑む。自分で思っている以上に気に入ったようだ。
気のせいか、書かれたイラストのパンダガラも、不思議と笑っているように見えた。
大成功
🔵🔵🔵
夕陽・ガレッド
「は~……」
興奮冷めやらぬバーを横目に彼女は外に居た、お酒が飲めない年齢なのと匂いがキツくて慌てて外に出たのだった。
彼女の手はまだ震えている…
「勝ちたかったけど勝負は時の運って言いますしね。これからもっと色んな人と戦って……あの人にリベンジしたいなぁ…」
思い出すだけで胸が高鳴る、あれだけ熱狂していた会場の中心に立てた。勝負には負けたが特に悔いはない。ふと振り返ると高らかに乾杯をしている人々が見えて思わず笑ってしまう。
「今日は夜更かししてしまいましょうか、お酒は飲めないですけど美味しいご飯が食べたいです」
そう言うと、彼女はお店の方に向かって歩いていった。
【アレンジ歓迎です】
草剪・ひかり
Pow判定
アドリブ演出、お色気描写、他参加者との連携等歓迎
なかなか刺激的なリングだったね!
思わぬ若い挑戦者も出てきてくれて、ここまで足を運んだ甲斐があったというものだよ
試合コスにパーカーを羽織ったままの姿でお店をハシゴして、朝まで豪遊しちゃおう!
行く先々でお酒の瓶や樽をまとめて注文して皆に振る舞い
手合わせしたレスラー達と乾杯して
お客さんとも握手やサイン、ハグしたり……
もちろん、参加や手合わせした猟兵の仲間も一緒にね
なぜこんなにサービスが良いのかって?
プロレスの世界チャンピオンなんて、世界の皆に応援してもらって初めて意味のある存在だからね
時にはこういう形でお礼してみるのも、いいんじゃないかな!
「は~……」
少し痛む喉を触りつつ、興奮冷めやらぬ様子で店外に立つのは【夕陽・ガレッド】。いまだ震える手は、興奮と感動が同居していた。
「勝ちたかったけど勝負は時の運って言いますしね。これからもっと色んな人と戦って……あの人にリベンジしたいなぁ……」
夜空を見上げて呟く。いくつもの星が並ぶ空は、汚染された町でありながらも美しく輝いていた。その中の一等星、それこそあの人と言えるだろう。
あそこにいつかたどり着けるだろうか。並べるほどに輝けるだろうか。それはわからない。
悔いのない戦いを讃えるように、店の中はまだ騒がしい。
「今日は夜更かししてしまいましょうか、お酒は飲めないですけど美味しいご飯が食べたいです」
そう一人呟いて、ふっと微笑み店に戻ろうとすれば、集団が店を出ようとしていた。その人が中心にいた。
【草剪・ひかり】、彼女は彼女で、今から別の店に行こうとしていたようだ。
試合コスにパーカーを羽織ったままの姿で出ようとした彼女と視線が合う。
何かを言おうと迷うガレッドに、ひかりは手を出しながら口を開く。
「刺激のある良いリングだったよ。ここまで足を運んだ甲斐があったというものだよ!」
「あ、ありがとうございます!」
その手を受け取って、感謝を伝えるガレッド。
笑顔になる彼女を見て、そうだと他の猟兵にも声をかけ始める。巨漢の男とワイワイするもの。一人落ち着いて飲んでいたもの。それぞれにも次の店に行かないかと誘えば、二人も付いていくと答えてみる。
「あなたもいかない?」
「い、良いんですか?」
「勿論!」
そういって、全員で次の店へのハシゴを行う。その移動の最中、ガレッドは気になり聞くのである。
「ど、どうしてそんなに皆に気をかけてくれるんですか?」
「ん、どうしてって?」
その問いに、ひかりはガレッドがそうしたように夜空を見上げて答えた。
「プロレスの世界チャンピオンなんて、世界の皆に応援してもらって初めて意味のある存在だからね」
一等星も、他に輝く星が無ければ、ただの光である。無数の星が輝いて、その中でも最も大きいから美しく強く見えるのだ。一つだけでは無力で、そこになんの感傷もないだろう。
ひかりはそんな光と同じだ。皆で支えて競い合って、そしてここにいるのだ。
「時にはこういう形でお礼してみるのも、いいんじゃないかな!」
その屈託のない笑顔にこそ、彼女の強さがあるのだろう。
そのまま猟兵も観客もレスラーも、全員が全員朝まで騒ぐことになる。
この夜の思い出は、きっと全員にとって影替えのないものになるだろう。
薄暗いサイバーザナドゥで、ネオンでなく、星明りが満たす夜の日のことである。
大成功
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