碎輝親分と大運動会2022夏
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「碎輝さんから依頼が来てるんだぞ! また皆と戦いたいんだって!」
グリモアベースで少年、エスクルール・ラカーユ(奇跡の迷子・f12324)が碎輝から貰ったらしい手紙を猟兵達に見える様に掲げた。
先に説明すると『碎輝』とはカクリヨファンタズムの竜神親分だ。彼は自他共に認める最弱の竜神であるが、他にはない永遠に成長する体質とユーベルコードを有している。放っておけば最強の竜神はおろか、カクリヨファンタズムを滅びに誘うカタストロフを起こしてしまう可能性も否定できない。ゆえに先の戦争まで彼は自ら封印されていたのだが――。
「碎輝さんはな、猟兵と戦って倒されると小学生の姿になってしばらく成長しなくなるんだ。成長しなければ無理に封印する必要もないだろ? だから僕たちは彼と定期的に戦っているんだぞ」
エスクルールが碎輝とまた戦うという事に?を浮かべていた猟兵向けに一言付け加える。
長い間封印されていた碎輝だが、ここ一年でカクリヨファンタズムの生活にも馴染んできた。ここは協力してまた彼を撃破しカクリヨ生活を続けてエンジョイしてもらうとしよう。
「碎輝さんは槍と電撃を主流に戦うぞ。あっ、彼は戦っていく間もずーっと強くなっていくから倒すなら一気に畳みかけるといいぞ。
あと黄金竜に姿を変えて襲い掛かってくる攻撃もしてくるから気を付けてね!」
それでは早速…と猟兵達が立ち上がろうとするのをエスクールが静止する。
「あのな、今碎輝さんは大事な仕事をしているからその後でお願いしたいんだぞ」
大事な仕事って何だ。と息をのむ猟兵達に少年は重々しく口を開いた。
「運動会なんだぞ」
「運動会」
猟兵達の口から鸚鵡返しで言葉が出てきた。
「そう、今カクリヨファンタズムのとある墓場で運動会しててな、碎輝さんはそこでお手伝いしてるんだって~」
エスクルールの呑気な返答に一部の猟兵がつい空を見やった。
まぁ碎輝みたいな青少年の男子は物の出し入れやら何やらの関係でいくらいても困らないが…親分が運動会の準備とは…。
「はいっ! これが運動会のプログラムだぞ」
猟兵はエスクルールから運動会のプログラムを受け取るとページをぺらぺらとめくった。
紙面には綱引きや借り物競争といった普通の物から、墓に供えられいる花に水を入れながらゴールへ進む障害物(?)レースやら墓石投げやら玉砂利入れといった墓ならでは?の競技の文字がつらつらと書かれている。
大丈夫なのだろうか、色々と。
ちなみにプログラムの最後にはきっちり『エキシビションマッチ~猟兵と竜神親分の戦い!』と書いてあり、此度の戦いは客寄せパンダにされているようだ。良いのか。
「せっかくだし戦う前に皆も運動会に参加して楽しんでもらいたいな。この運動会で碎輝さんと戦う何かのヒントが得られるかもなんだぞ!」
遭去
遭去です。夜は墓場で運動会。楽しいな。(怖い)
●1章
墓場で大運動会です。普通の運動会にあるような競技から献花に水やりレース、墓石投げて投擲距離競う物や白黒の玉砂利を籠に入れる競技などあります。OPやここで書いたもの以外の競技も思いつかれたらプレイングで書いていただければ採用するかもしれません(確約はできません)。
なお競技に参加以外にも運営、救護、お弁当売り等のお手伝いもできます。
碎輝にカッコイイ談義すると快く応じてくれます。
●2章
碎輝との戦闘です。1章で得たカッコイイシチュエーションや技を参考にして彼を倒してください。
戦場は墓が整然と並ぶ場所となります。通路も十分あるので広い場所で堂々と戦うのもよし、墓に身を隠しながら攻撃していくのもありです。
ちなみに多少暴れても住民には影響はありません。
それではよろしくお願いします。
第1章 日常
『ナイト・グレイヴヤード・大運動会!』
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POW : 綱引き・棒倒しなどパワー系競技に参加orお弁当販売のテントでお手伝い
SPD : 障害物競走・玉入れなどテクニック系競技に参加or運営テントでお手伝い
WIZ : 借り物競走・早着替えレースなどアイデア系競技or救護テントでお手伝い
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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カクリヨファンタズム、深夜の某墓所。
普段ならちょっと賑やかな位ば墓場だが今日は違っていた。
色々な姿かたちをした妖怪たちで賑わい、方々に今日のイベントで使うであろう大道具が仕舞われるテントや出店が立ち並んでいる。
そう、今日は大運動会なのだ。
「おっ、来てくれたのか!」
足を踏み入れた猟兵に溌溂とした男の声がかけられた。
振り向いた先には金髪の青年、竜神親分こと碎輝の姿があった。
「早速と言いたいが……この運動会終わるまでちょっと待っててくれよな」
あっ、と碎輝が何か思いついたように声を上げる。
「せっかくだ、運動会に参加してみないか? 飛び入り参加もできるし、何より各競技で入賞すれば豪華景品が出るぜ! ……と言っても手製のメダルだから金銭価値は無いけどな」
へへっ、と笑いながら碎輝が手に持っていた手製のメダルを見せる。彼曰く、村の子供たちが作った物だという。
じぃと見ればメダルは紙製の物から硬貨に穴を空けて紐を通したものと姿かたちはまちまちだ。
「あと見れば分かる通り運動会っていう名のお祭りみたいなもんだから、観戦だけでも全然問題ないぜ。よろしくな!」
ラファエラ・エヴァンジェリスタ
運動会…?参加したことがないな…
踵の高い靴で来てしまったゆえ、私は走らぬ
我が騎士よ、行って参れ
私はあのメダルがちょっと欲しい!
全力で献花に水をやれ、墓にかける勢いでやり尽くせ
でも私も何かしたい…何?救護?
良いとも、全力で救護するとも
メダルを貰えるくらい救護してやる
早く誰か怪我をせよ
怪我人が列をなすくらい皆怪我をしてくれて構わぬぞ、ほら早く!
我が騎士よ、誰か転ばせて参れ
…何?駄目?
碎輝とやらは花火以来か
カッコイイ談義…と言っても我が騎士は存在からして格好良いのでどうしたものか…
あぁ、そうだ
ひたすら苦戦してからの逆転など格好良いと思わぬか
…我が騎士よ、その目はやめよ
八百長って言うな
格好良いだろ!?
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その場は熱気に包まれていた。
観客の視線は一人の白い甲冑で身を固めた騎士の行動を一瞬たりとも見逃さんとばかりにギラギラとした視線を不躾にぶつける。
かの騎士はそのような視線を気にせず、得物で機械的にしかして美しき軌道を描く。
『すごいすごい、これはまさに神速です! これは手元が見えません!!』
熱こもる解説すらも置き去りにして騎士は何度目かの得物を振るう。
マントを靡かせ得物――水の入った柄杓を。
柄杓は神速の速さで振るわれると献花スレスレで止まり、花立てへと注がれる。
献花水やりレース(分類:障害物レース)は彼の動きに合わせ大歓声を上がった。
『へっ、さすがだな。一年前より動きが早くなってやがる……!』
「いや、我が騎士は一年前にこのような催し物に参加させておらぬが」
後方先輩面してる竜神親分『碎輝』の言葉にラファエラ・エヴァンジェリスタ(貴腐の薔薇・f32871)がツッコミを入れた。
花火はやったが、去年はこんなトンチキ競技に参加した覚えはないと。
『そりゃあそうだけどさ。おっ、そういうアンタも様になってきたじゃないか』
「そうだろうか……ほら、もういいぞ」
ラファエラが目の前の少女へと絆創膏を貼り終えると、少女はありがとうと言い走り去っていく。
ラファエラはヒールが高い靴を履いているためテントで怪我人の救護をしていた。幸いなことに軽い手当だけで済むような患者しかいないが。
とはいえラファエラは貴族ゆえにあまりこういった救護はしたことが無かったため最初こそ苦戦していたが、数をこなしていくうちに動きが早くなっていた。
「しかし思ったより暇よな……人を転ばせてこないだろうか。騎士が」
『物騒なこと言うなよ!?』
そうこうしている内に騎士がメダル(瓶の王冠に穴を空け紐を通したもの)を首にかけて戻ってきた。
『スゲーじゃないか、大会新記録だってよ! 全国大会出ても上位に食い込むレベルだぜ!?』
「大会新記録とは……」
碎輝の言葉にラファエラが意外と歴史ある競技なのか、あれ?なんて心の中で思っていると、騎士がラファエラに近づき首にかけているメダルに手をかける。
「よい。それはお前の功績だ。そのままかけておけ」
ラファエラは彼の行動を察知して静止した。
そして……彼女に近づくもう一つの影。
『あ、あの……』
「なんだ?」
視線を向ければそこには先ほど治療した少女の姿。
その手にはメダル紐と繋がったカラフルなペーパーフラワーが握られていた。
『あの救護頑張ってくれた人にこれをって』
「……そうか、感謝する」
柔らかい言葉と共にラファエラは白い花のメダルを受け取った。
ラファエラの目元を隠すレースが無かったら瞳が細められていたのが見えただろう。
「ところでカッコイイ談義だが」
『お、おう』
走り去った少女を目で追いながらラファエラが言葉を紡ぐ。
「ひたすら苦戦してからの逆転など格好良いと思わぬか……我が騎士よ、その目はやめよ」
それやるの私なんですがなんて思いがありありと伝わる視線が向けられる。
『確かに展開はカッコいいが、特に理由なく全力出さない結果追い詰められていたらちょっとな!』
フォローになっていないフォローをする碎輝の言葉に騎士はまた無言の圧を主へかける。
「八百長って言うな! 格好良いだろ!?」
そんな圧にラファエラは珍しく焦った声を上げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
盛り上げたい気持ちはあるけど僕は病弱で体力が無い
翼で飛ぶのはズルい気もする
となれば…
【指定UC】発動
皆がんばれー!
親衛隊(という名のこの世界の人達)を競技に参加させて応援しつつ
僕はテントの方手伝おうかな
歌唱で鍛えた滑舌と発声で応援実況も出来るし
多少の医療知識もあるから救護も出来るよ
応援団が必要ならそれもお任せあれ
…チアじゃないよ
チアじゃないからね(男だぞアピール
折角だからカッコイイ談義もしたいです
戦いで言うなら拳のぶつかり合いも
拮抗した実力の者同士が繰り広げる熱いバトルも
格上相手に知識と気合いで粘っての逆転劇も好き
だけど僕の見た目はこれだ
理想と現実の差
…どうしたらカッコ良くなれますかね(遠い目
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運動会は大盛り上がりを見せていた。
先の猟兵の活躍はもちろんだが、今年はなぜか参加人数が一段と多いようで、裏方もそこそこ忙しい。
『ん……?』
そんな中、休憩に入った碎輝がふらふらと裏通りを歩いていると体育座りをしている少女を見つけた。
『アンタも休憩か?』
「あっ、碎輝さん」
ぱっと顔を上げるのは少女――と見紛わんばかりのかわいらしさを備えた少年、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
体が弱い澪は競技に出られないため応援実況をメインとして裏方の仕事に従事していた。
『てか、人多いよな。去年からやってる奴に聞いたら過去最高に参加人数らしいぞ』
「ああ、僕の親衛隊にも出てもらってたからかな」
『親衛隊……?』
あっさり言う澪に碎輝は言葉を返す。
澪の愛らしい顔、歌声に惹かれてしまう人は全世界共通。その数は現在でも各世界600人はくだらない。そのファンに運動会を盛り上げてもらうべく参加をお願いしたら皆快く承諾したのだという。
『それでアンタは応援実況で盛り上げて……おかげで運動会も大賑わいだ、すげぇや!』
「うん……」
澪が浮かない顔で返答すれば、碎輝は心配そうに彼の顔を覗き込む。
『どうした、疲れてんなら無理しなくていいんだぞ?』
「……いや、カッコいいって何かなーって考えてたら」
『カッコいい?』
こぼれ落ちた澪の言葉に碎輝は首を傾げた。
カッコイイ。自身が好きな物だがなぜ彼はこんな事を聞くのだろうか。
「いや僕はね、戦いで言うなら拳のぶつかり合いも、拮抗した実力の者同士が繰り広げる熱いバトルも、格上相手に知識と気合いで粘っての逆転劇も好きなんだ」
『……いいじゃないか』
澪が連ねた言葉に碎輝は心なしかちょっとウキウキした声で言葉を返す。
上げられたものはどれも彼が大好きなシチュエーションだ。
「だけど僕の見た目はこれだよ。ガチンコバトルなんてできない、ひ弱な存在だ」
ため息をつきながら己の手をじっと見やる。
白く、細く、滑らかな指。とても拳のぶつかり合いができるはずがない。
かといって気合で粘って逆転できるほどの体力も無い。
「カッコいいのを夢想しても実行できない……理想と現実の差がさ……」
そう言うと澪はどこか遠くをみやる。あまりの差を直視したくなくて。
『あー……』
碎輝が頭をかきながら黙りこくるのを見て澪は焦る。
「いや、困らせるつもりは無かったんだ……」
『理想とは違うかもしれないが、アンタだってすっごくカッコいいぞ?』
碎輝から出た言葉に澪はますます焦った。
同情からなのか。と思ったが目の前の男はそんなことを言う存在ではない。
「えっ、でもさ、ぶつかり合いもできないし」
『ぶつかり合いっていっても何も言葉通りだけでもないだろ?
去年戦った時だって俺の攻撃を躱しながら味方のために足場作ってたじゃないか。敵に近づいて攻撃せずにサポートに徹するのは中々できる事じゃねぇぞ? すげーカッコいいと思ったんだがな』
昨年の大祓百鬼夜行の戦いで一戦交えていた二人。
味方のサポートをすべく己の雷撃を回避しながら飛び回っていた澪の勇姿は碎輝の脳裏にいまだ焼き付いていた。
『それでも拳のぶつかり合いができる方向でカッコよくなりたいならさ、一緒にカッコイイを作っていこうぜ!』
「本当?」
『ああ、まずは無理せず体力づくり……ランニングからな!』
そういうと碎輝はニッと笑い拳を突き出す。
「……うん!」
澪はその可憐な顔を綻ばせ、突き出されてた拳に自身の拳をぶつけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
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POW : 成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD : 黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。
イラスト:108
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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寅三つ時、現在で言うと約4時半ごろ。
夜を徹して行われてきた運動会の競技はほぼ終了し残すは最後のプログラムのみ。
『猟兵対竜神親分碎輝のエキシビジョンマッチ! さぁさぁ張った張った!』
『がんばれーりょうへいー!』
『さいきーかてにゃー!』
『……賭け事ってやって良いのかい?』
しかし観客の熱気は留まる事を知らず、むしろ最高潮。
会場――墓場の通路の周りには猟兵へ、もしくは碎輝に対して激励を飛ばす多くの観客が所狭しと集まり、賑わっている。
「いつの間にか賭けが始まってるしもう無茶苦茶だな」
運動会って何なんだろうな、なんて言いながら碎輝が苦笑するもその瞳に嫌悪はない。
「とはいえ賭けの対象になっていようとやる事は変わらないけどな」
碎輝が槍を構えると同時に彼の周りにぱちぱちと青白い電流が走った。
電流は男が呼吸すると合わせる様に点滅を繰り返しながらも光と力強さを増していく。
「これは俺の全力を賭した戦いだ。
だから猟兵。お前たちも出し惜しみなんてせず全力で来てくれ!
――いくぜ!」
栗花落・澪
僕の戦い方、覚えてくれてた事も嬉しかったから
折角だしあの時と同じ技で
【激痛耐性】を乗せた【オーラ防御】を纏って【指定UC】発動
【空中戦】で動き回りながら★マイクで【催眠術】を乗せた【歌唱】を奏で
メロディは五線譜のロープに
歌詞は物理的な巨大文字として量産
速度が厄介なら、抑え込むまでだよ
【聞き耳】で僅かな音も聞き取る事で反射的な回避を可能にし
戦場に罠のように五線譜を張り巡らせ
増え続ける文字を操り避雷針や障害物代わりにして
徐々に動きを制限していく
力の弱い僕に出来る
かっこいいの第一歩…ってね
★杖に【高速詠唱】で風魔法を纏わせフルスイング
物理に見せかけた風圧による【属性攻撃】で少しでも吹っ飛ばしたい
●
『一番手は澪か』
「よろしくね」
声援を背後に受けながら澪は翼をはためかせ宙に浮く。
『前戦った時からどんだけ強くなったか、見せてくれよな!』
二っと笑う碎輝の顔を見て澪の脳裏に浮かぶのは昨年戦い。
あの時は仲間の支援に回っていたし、今回はここにあの時の仲間はいない。それでも――。
「――あの時と同じ技で!」
花弁で形成されたマイクへと口を近づけ、歌を奏でる。
音は空気に触れた五線譜と歌詞は実体を持ち戦場へと展開される!
『へっ、来たなその技! だが対策してない俺じゃねぇぜ!』
碎輝が槍の穂先を天高く掲げると同時に白い閃光が皆の視界を焼いた。
『足場にならない位壊せば問題ないってな!』
「それって対策かなぁ……?」
視界が晴れたそこには青年の姿はなく、黄金の竜が咆哮し翼を羽ばたかせた。瞬間、澪の視界から竜の姿が消えた。
――
「っ!」
わずかな空気が揺れる音。それが何かと判断する前に澪は急下降。
瞬間、彼のいた空間に音速の巨体が通り過ぎていく!
(「やっぱり早い!」)
『どうした、お前の凄さはこんなんじゃないだろう!?』
「言われなくても!」
わずかに逃げ遅れた毛先が焦げる臭いを無視し、澪は歌い続ける。
澪の口から奏でられる歌と共に五線譜と歌詞が場に展開される続けるも、碎輝はスピードに任せた突撃と纏う雷撃を持って打ち砕いていく。
猛攻を続ける碎輝とその攻撃をギリギリのところで避けていく澪。端から見れば碎輝が優勢だと思うだろう。
実際澪の顔には汗が滴り余裕などない。
(『全然スピードが出ねぇ!』)
しかし、焦っているのは碎輝の方だった。
黄金竜の姿であれば時間と比例しスピードと反応速度が爆発的に上がる。しかし、時間が経過しても最初とあまり変わりがない事を碎輝は身をもって実感していた。
澪が先に展開していた五線譜と文字。それは単純に碎輝を攻撃するだけに非ず。
文字は攻撃や障害物に、五線譜はロープ。戦場に罠の様に展開されていたわけだが――自身がそれを見事にハマりながら攻撃を繰り返していたためだと気づいた時には碎輝の体にはロープの様に五線譜が纏わりつき、動きはかなり制限されている後だった。
動き回るなら不利だと悟った碎輝は動きを止め、咆哮。
『これで―!』
幾度目かの雷鳴が辺りに轟いた。稲妻は一直線に澪へと降り注ぎ――そして進路を変えて被弾していく。
『なんだっ!?』
「文字はっ! 足場だけじゃないんだよっ!」
進路を変えた先には物理化し砕け散った巨大な(元)文字。これらが避雷針となり雷の進路を変えたのだ。
碎輝の僅かな動揺を見逃さず澪は一気に距離を詰め、マイクスタンドを握り直す。
「力の弱い僕に出来る、かっこいいの第一歩……ってね」
にっと悪戯っ子の様な笑みと共に風魔法の力が込められたマイクによるフルスイングが碎輝へと振るわれた。
その一撃に竜の巨体は遠くへと吹っ飛んでいき――途中で宙返りをして澪へと向き直った。
『――っ、効いたぜ! さすが澪だ』
「ありがとうー!」
竜の姿で器用に指を立てた碎輝に、澪も笑顔で親指を上げて礼を返したのだった
大成功
🔵🔵🔵
ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)
ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。
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『これなかなか取れないな……』
戦場である墓場の上から声が響き渡る。
先の猟兵のユーベルコードにより実体化した音の破片が地上に刺さり、五線譜がロープの様に漂う戦場。
その中で黄金の竜に変身し宙を飛ぶ碎輝はロープの様に体中に巻き付く五線譜を体を捩ることで落としていた。
「碎輝さん、本当に戦うんですか……?」
そんな碎輝に地上から声をかけるは着流しを来た少年、ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)だ。
竜の姿をした碎輝を見上げるティモシーの顔には不安そうな表情をのぞかせている。
『おう、遠慮せずどーんと来てくれ!』
不安そうなティモシーに碎輝は快活な声をかけた。人間の姿であればにっと笑っていただろう。
何せ此度の戦いは命のやり取りではない。竜神親分碎輝の成長する力を削ぐために必要な戦いである。そも命のやり取りなら周りで妖怪たちが和気藹々と声援を送る事など無いだろう。
『だが勝負は勝負。全力で……』
「改めませんか? 今日の天気はあまりよろしくないようで」
碎輝のそんな声を聞いても水晶玉を覗き込むティモシーの表情は晴れない。
まるでこれから起こることが分かるっているかのように。
「今日は晴れのち雨が降るって占いの結果が出てるんです。
これはいけない……」
本体と称する水晶玉を再度覗き込むティモシーに対して碎輝は疑問符を浮かべる。
『天気ぃ? でもさっきまで雨が降るわけでもなさそうじゃ――』
碎輝の体より雷を起きているとはいえそれ以外は雲一つない天気。
そんな碎輝がふと上空を見ると、――酒瓶が降ってきたではないか!
『碎輝、すまーん! 手が滑ったー!』
『はぁ!? どうすればそうなるんだよ!』
観覧席から聞こえた声に碎輝には驚き混じりの悪態をつくと電撃を放ち酒瓶を破壊。
瞬間、大きな爆発が起きた。
気化したアルコールが雷撃によって出された火花によって爆発したのだ。
そんなあり得ないような事を皮切りに、またまたあり得ない不可思議な事が続き碎輝はその対処に追われていく。
『な、なん……えっ、もしかしてこれアンタの技か!?』
五線譜がなぜか増殖し動きが阻害され、実体化した文字の破片が足に直撃し悶絶する痛みを堪えながら碎輝は問う。
「ええ、今日の天気は晴れのち雨だと、占いの結果が出したんですが」
ティモシーは器用に空を飛ぶ碎輝の元へ実体化し、壊れた文字の破片に飛び乗り彼の元へ。
「……あんまり当たっていなかったですね」
『しまっ……!』
碎輝がティモシーに注意を向けた時はもう遅かった。
ティモシーはちょっと困った顔をしながら、翼の根元にルーンソードを走らせた。
成功
🔵🔵🔴
向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
大丈夫ですよぉ~、手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。
荒事以外の御用ならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。
特に読み物なんかは好きですねぇ~。
※アドリブ・連携歓迎
子犬丸・陽菜(サポート)
ダンピールの咎人殺し×聖者、15歳の女です。
「いっしょに苦しんであげるよ」
「臓物がはみ出したくらいで動けなくなると思った?」
「はらわたを搔き回される苦しみはどう?」
宝珠による臓物を掻き回しを多用し、知られざる枷を使います。怪我は厭わず積極的に行動、臓器の負傷でユーベルコードの威力が上がるので負傷は状況によりわざと受けたりもします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
潜在的なマゾヒストなのでユーベルコードの苦痛になにか感じる場面もあるかも?
負傷重症描写歓迎むしろ希望、内臓が出るくらいやっていただいて全く構いません!
よろしくおねがいします!
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『一回キャンセルだキャンセル!』
碎輝が吠えると巨体は人間の姿へと戻り、そのまま戦場である墓地へと華麗に着地。
『よしっ、これで動きを妨害するのは無くなったな!』
先の猟兵の実体化した五線譜が網の様に巻き付いていてそれからの解放感に浸るためかその場で一つ伸び。そして空から落ちてきた槍を掴むと再び猟兵達へと向き直った。
「碎輝さんお困りなのですよねぇ、お助けしますよぉ」
のんびりとした口調で言うも向・存(葭萌の幽鬼・f34837)は油断なく剣を構える。
『おう、助かる! だが手加減は無用だ、全力でかかってくれ!』
男の赤い目が爛々と輝いた。それと同時に手に持つ槍から雷を纏い始め――雷は巨大な黄金竜と成り、咆哮する!
「攻撃が当たったわけでもないのにびりびりと来ますねぇ」
「えっ……厄介な技だね」
子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)を油断なく武器を構える。いささか顔が紅潮しているのは気のせいだろう。
しかし厄介な技であることは変わりない。こうしている間にも黄金竜が纏う雷撃はどんどんと激しさを増していく。
ならば一気に畳みかけるしかない。
先に陽菜が動いた。雷撃が彼女の身を焼くことなどお構いなしに、その足取りは碎輝へと目掛け、駆けていく!
『ガチンコバトルだな! うけてたーつ!』
意図を察した碎輝が陽菜の拷問剣の刃を槍を持って出迎えた。
剣と槍がぶつかり合う度に火花が散り、激しく瞬く。
何度目かの切り結びが続くもお互いに大きな一撃は与えられない。
しかし、碎輝の雷はじわじわと陽菜の体を蝕み、動きを阻害していく。
「ガチンコなのにずるいじゃない!?」
『ズルじゃねぇ、戦略って奴だ! ……ん?』
直後、碎輝は背中にポスっと何かが当たる感触に一瞬後ろを振り向くと、そこには小さな雛鳥の姿。
『紛れ込んだのか……あだっ!』
直後、陽菜が繰り出した地面を抉る攻撃によって飛び散った小石が碎輝の脛に直撃する。
『碎輝すまーん! また酒瓶がー!』
『またかよっ! どうなってんだその酒瓶!』
連鎖するように観客席から酒瓶が上から降ってきたのを認めると転がって回避。
これ以外にも普段は起きないであろう謎の不慮の事故数々が碎輝の身へと降り注いでいく!
「朱雛ぁ、お疲れさまでしたぁ」
それを尻目に存は役目を終えて戻ってきた折り紙の雛鳥へと手のひらを向けると、雛鳥は手のひらに着地しぴっと一声鳴くと一枚の白い霊紙へと姿を変えた。
陽菜と碎輝が戦っている間に存は式紙朱雛という雛鳥を折り、碎輝へと放った。
雷撃を潜り抜け碎輝の元へとたどり着いた雛鳥はその小さなくちばしで碎輝を『攻撃』。それが切っ掛けにユーベルコード『連鎖する呪い』が発動、不慮の事故を発生させていったのだ。
しかしそんな事は碎輝は露知らず。先の猟兵でも起きた不慮の事故への対処に必死になっていた。
「ちょっとあたしの事忘れてないよね!?」
ちょっぴり不慮の事故に巻き込まれ、水を被った陽菜がプンプンと怒りながら武器を持ち替え、懐から宝珠を取り出した。
「身体の中までは鍛えられないでしょ?未知の苦痛をあなたにあげる」
そう、言葉にした瞬間。碎輝は臓物がぐちゃぐちゃにかき回され、握りつぶされるような苦痛に見舞われた。
ユーベルコード『臓物喰らい・悦』。宝珠より放たれた無数の半透明な霊は対象の臓物をかき回し、握りつぶす苦痛を与える。
『確かに内臓は無理だよなぁ……
でも、俺の成長はまだまだ止められねぇ!』
大量の汗をしたたらせ、左手で腹を押さえながらも碎輝は立ち上げった。その目にはまだ爛々と好戦的な光が灯りつづける。
しかし、既に満身創痍。
彼が膝をつくのも時間の問題だろう。
成功
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ラファエラ・エヴァンジェリスタ
碎輝とやら、貴公は成長し続ける存在であると聞き及ぶ
一年ぶりの手合わせだ、前回のようには行くまいが
あれ以来無数の死地を潜った我が騎士の剣もまた前回よりも冴え渡ろう
我が騎士よ!此度もまた完勝を命ず
…と言いつつ、ちょっとは苦戦してくれても良いのだぞ
事前に話した通り逆転に至るのならばそれもまた格好良いからな!
八百長って言うな
無論我が騎士の武勲に傷はつけさせまいよ
愛馬に【騎乗】し、後衛に控え
【全力魔法】で彼の攻守の援護をしつつ、「茨の抱擁」を嗾けて【吸血】を試みる
それ以上、男同士の戦いにか弱い私の出る幕などあるまい?
我が騎士よ――貴公が私の騎士である以上、負けて帰る場所があると思うな
【蹂躙】せよ
●
「……そなたも大変よな」
先の猟兵達の戦いを見ていたラファエラが目の前の男へ同情混じりの声をかける。
脛に石が当たったり上空から酒瓶が降ってきたり……現在は霊に臓物をかき乱されるような痛みに苛まれながらも碎輝はにっと笑みを浮かべ膝を折ることは無い。
『確かに不幸続きだが、こんな事で折れる俺じゃない。乗り越えてみせる……!』
そうして碎輝が槍を構えると彼の上空へと姿を現していた黄金竜の輝きが増していく。
「苦戦する場面だというのに戦意はあるな」
目の前の黄金竜の圧を感じながらもラファエラは扇で口元を隠しながら何やら思案すると。
「我が騎士……」
ちらと傍らに控える白銀の鎧を纏う騎士にちょっと期待を込めた視線を向けた。
『さっき言ったようにちょっと位苦戦してくれても良いのだぞ?』と。
それに対し騎士から『困ります』という念が送られた…気がしたのでラファエラは碎輝の方へと向き直り――。
「我が騎士よ! 此度もまた完勝を命ず」
そう告げると同時、ラファエラは傍らに現れた黒馬へと騎乗すると後方へと下がっていく。
騎士が恭しく礼をして彼女の姿を見送ると、彼もまた白馬へと跨り目の前の碎輝へと向き直った。
『アンタたちと戦うのは一年ぶりだな。この一年、どんな戦いをしてきたのか見せてくれ!』
声と連動するように黄金竜が吼えると、戦場に走る雷電がラファエラとその騎士、そして周囲の観衆の視界を白く染め上げる!
同時に白馬が駆ける。恐れを知らぬ白き馬は前方より来る雷電の隙間を縫うように走り、時には飛び越える事で攻撃を回避しながら距離を縮めていく。
『昨日より今日、今日より明日……!』
白い騎士が距離を縮めると共に強くなる闘志を肌で感じながらも、碎輝の顔から笑みは崩れず、
『俺は、どこまでも強くなる!』
裂帛の声と共に何度目かの雷撃が放たれ、その白い腕は遂に白馬の足を捉えた!
暴れる白馬から落とされた騎士が地面に叩きつけられるも、それは僅かな間。すぐに体勢を整え立ち上がった。
だがその僅かな時間。それは時と共に無限に成長する碎輝に与えてはならない物。
騎士が碎輝を向き直るのと、雷電が彼の視界を焼くのはほぼ同時――。
「苦戦しろとは言ったが負けろとは命じてないぞ」
優雅に、悠然とした声が戦場に響く。
同時に雷電と白い騎士の間に黒い茨が生え、雷電を弾きだす!
「我が騎士よ――貴公が私の騎士である以上、負けて帰る場所があると思うな」
蹂躙せよ。
主の声に押される様に白い騎士が駆ける。
騎士は行く。黄金竜を狩るべく。
『最後はガチンコって奴だな。良いぜ、受けて立つ!』
黄金竜が吠え、最大の雷撃を放つ。それは迎え来る勇気ある者の武勇を讃えるように。
――
剣を握り直すと騎士は大きく跳躍、そのまま雷撃放つ黄金竜へと刃を振り落とす!
白銀の剣は雷撃を真っ二つに切り裂き、やがて黄金竜をも両断する。
黄金竜を裂いた先、待ち構えていた男の槍の穂先が剣とぶつかると同時に大きな爆発が炸裂した――。
濛々と煙が立ち込める戦場。どうなったのかラファエラと周りの観客が固唾を飲む。
どのくらいの時間が経ったか。墓場に朝日が差し込むのと同時に煙が晴れていく。
そこに立つは微動だにしない二人の男の姿。
やがて金髪の男がにっと笑い、告げる。
『へっ――まだまだだな』
言葉と同時に二人が動いた。
一人は前のめりに崩れ落ちる竜神親分。
もう一人は白銀の騎士は剣を支えにしながらも決して膝を付けることはなく。それを祝福するように朝日が優しく彼を照らしていた。
大成功
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