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私を宝に連れてって

作者：椿油

●朽ちた宇宙戦艦島「フ・ソー」
　銀河を越え世界も越え、グリードオーシャンへ。墜ちてから年月が経った船内は水浸しになっていた。
　だが、その機能が尽きる事は無く……横断するカニをレーザーがこんがり焼いたり、うかつにボタンを噛んで押したサメは見せられないぐらい解剖されたりしている。

　そんな島を、メリー・バーミリオンが狙っているのだとか。
『ねえここに宝があるんでしょう!?　あるんでしょうねえ!!　宝置いてけ!!』
　メリーが船から叫ぶ。

　冒険商人がそんな現場を見ていた。
「美しくありませんねぇ……もっと美しくトレビア～ンに宝は探すものですぞ、ンッン～」
　若干クセが強いが、一応彼は猟兵の味方側だ。名前をピエールと言い、宝に関して美意識の強い男である。

●グリモアベース
「メリー・バーミリオンも諦めないわね！　という訳で猟書家戦よ。その前に危険な戦艦島内の探索だけどね」
　グリモア猟兵、ジェルダ・ヒーメィ（銭の亡者・f27900）がそう告げる。

「いわゆる『まだ生きてる』って戦艦ね、船内はトラップもそこかしこにあるわよ！　レーザーとかついついポチっと押したくなるボタンとか」
　そこで幾多もの修羅場を潜り抜けてきたピエールの出番というわけである。
「ピエールが協力してくれる事になったから、一緒に先に宝にたどり着くのよ！　メリー来ちゃったら……ピエールは戦えないけど商品から補助出来そうな物をくれるわ、タダで」

　説明をあらかた終え、グリモアでの転移を開始するジェルダ。
「トレビアンに戦って来てね！」
　猟兵達をアディオスと見送るのだった。

第1章 冒険 『沈んだ宇宙戦艦に潜むモノは？』

POW   :    肉体の挑戦、水浸しの通路を息を止めて一気に突き進め！ SPD   :    これは罠か、目覚めた迎撃システムを華麗にすり抜けろ！ WIZ   :    変な光が？　僅かに動く艦内の制御システムを利用せよ！ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

「なかなかに癖の強いヒトだけど、きっと熱心な商人のはず……だよね？　何はともあれピエールさんよろしくね」
「ン～ッ、麗しいレディーと探索出来るとは心躍りますぞ！」
　ピエールが喉を唸らせつつ、ニクロムは共に探索を開始した。

「それにしてもこれだけボロボロでもまだトラップが生きているなんて厄介だね？　でも任せて、ボクもトレビアンに罠を攻略して見せるから！」
「おぉ楽しみですなぁ……いかにトレビアァ～ンな物になるのか！」
　ピエールは目を閉じて両小指を立てながら、胸元のナプキンをピッと弾かせた。

「さあ、反抗せよ」
　UC《反抗地帯》を発動したニクロムは、周囲に散らばる部品を蒼焔の盾と重力槍に変えていき、通行を遮断するレーザーの射出口などのあからさまなトラップを重力槍で破壊していく。

「おぉ素晴らしきかな！　そういえばその辺りに私の勘ですとビーム射出装置がありそうですぞ！」
　ニクロムの重力槍がピエールの指差した位置にあったビーム射出装置を貫き、火花が散る。
「ありがとうピエールさん」
「それ程でもないですぞ、ンッン～～ッ」

　そういえばトレビアンってどういう意味なんだろうと思いながら、ニクロムは蒼焔の盾でピエールと自らを守りながら罠を破壊して進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「……この人と、行くの？」
　希亜はピエールを怪しげに見つめていた。
「そうですぞ、ンンッもしかして怪しいと思ってますな～？　トレビアンに冒険するトレビアンな商人ピエールとは私の事！」
　ピエールはくるりと一回転した。
「ねえ、この先どう進んで行けばいいの？」
　シホが先を指差すと、水たまりというよりは、ヘコミでちょっとした潜水ポイントになっていた。
「ンン～ッ、潜るしかありませんなぁ……」
「水泳ですか……」
　深雪は顎に手を当てていた。この人数で協力して上手く行く方法を考えているようだ。
「ともかく、やってみるのにゃ！」
　ミルディアが水抜きのポーズをしながら潜水ポイントへと駆けていく。

　ピエールは各自にアドバイスをしていく。
「たかが潜水、されど潜水。水の中にも罠はありますぞ！　トレビア～ンに避けて下され！」
「はい、やってみますね」
　深雪は水抜きをしつつ、潜ってみる。まず視界に映ったのは怪しげなライトだ。少し進むと、怪しげなライトの隣には蛍光緑に光る小さなライトが見える。恐らく、センサーのセーフ・アウトの管理をする物だろう。怪しげなライトに程よく近づくと、蛍光緑は赤色へと変わり、急激に水流が発生した。
「っ……！」
　元々送風機だった物が水流を発生させているらしく、逆流になって流されていく。一旦戻る事にした深雪。

「ぷはっ、センサーライトがありました。細工をしないと逆流が発生してしまうようです」
「センサーを壊せばいいのかな？　シホがやってみるね！」
　小さな身体で潜っていくと、怪しげなライトの死角を発見したシホ。ルーンソード【宝石剣エリクシア】を思いっきり怪しげなライトに突き刺すと、蛍光緑は黒色へと変化した。どうやらこれで逆流は発生しなくなったようだ。もう少し進んでみると、あからさまに数本の槍がこちらを向いている。
「(あれも壊さなくちゃダメかも……)」
　一旦戻って、戦力を要請する事にしたシホ。

「どうだったにゃ？」
　ミルディアが訪ねる。
「戦力が足りないかも、もう少し来て！　逆流は発生しないから」
「……分かった、行く」
「ええ、ピエールさんは念の為安全が確認出来てからお願いします」
　希亜と深雪、そしてミルディアが潜っていく。
「ンンッ、中々に深い。息継ぎが必要そうですぞ！」
　待ち時間の間優雅にクロールを決めていたピエールだった。

「(槍があったにゃ)」
　ミルディアは【クランケヴァッフェ】で攻撃してみる。射出される様子はない。
「(何も、起きなければいいけど……)」
　クランケヴァッフェに続き、【拾った懐刀】で槍のうち一個を破壊する希亜。
「(突然飛び出して来そうですが)」
　【麟楔刀】を繰り出して壊す深雪。とりあえず通れる隙間が発生したので、シホから上に出る事に。

「ふぅ、問題ないみたい！」
　どうやら槍を射出する機構はあるものの、壊れていたようだ。全員が陸に上がったのち、ピエールがゆっくりとついてくる。
「ンンッ、やはりびしょ濡れですぞ」
「乾けば問題ありません、進みましょう」
　深雪は奥の道を指差す。
「……敵も、この道通る？」
　希亜のふとした疑問に、ミルディアが頷く。
「一本道だから通ると思うにゃ」

「罠を排除した事で通りやすくなってしまうのは想定内ですぞ、それより我々が先にお宝を拝見するのが先かと思われますぞ！」
「じゃあ早く行ってみるのにゃ！　お宝を見てみたいのにゃ！」

　水場を通り抜けた後は、針が飛んでくるなど至って普通の罠がある程度だった。射出口を武器で壊す事で無効化が出来たので、無事に宝のある部屋の前へ辿り着いた一行。
「確かこのパスワードで合っているはずですぞ、2-S0っと」
　ピエールが手元のメモを見ながらパスワードを入力すると部屋の扉が開く。部屋の中央には、トレビアンなお宝が輝いていた。
「おぉ、あれですぞ！　名宝『竜の腰掛』は！」

　背後からびしょびしょに濡れたメリー・バーミリオンが近づいて来ている事にまだ、この時は誰も気付かないのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ！ レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。［海賊船団員］は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。 SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜 対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。 WIZ   :    大逆転！ 元の木阿弥大津波 自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。 イラスト：和狸56 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

『中々に苦労したけど道を作ってくれてありがとうね！』
　メリー・バーミリオンが高らかに笑う。水路と化した道を通ったのでびしょ濡れである。
『さて、その宝を私に寄越すのよ！　宝置いてけぇぇ!!』
　サーベルを取り出してすぐさま戦いにでも入ろうかという様子。未だびしょ濡れだが、恐らく彼女も動いていくうちに乾いていくだろう。

　お宝『竜の腰掛』は中央の台座で猟兵とメリー・バーミリオンを見つめるのだった。


「やって来たね猟書家、悪いけどお宝はキミには渡さないよ――反抗の空を」
　ニクロムは早速UC《反抗の意志を翼に変えて》を発動し、自身を強化する。
『野郎共、あの宝を持って帰れぇ！』
　メリー・バーミリオンも下っ端団員を多数召喚した。

「ボクには通用しないよ」
　反抗の翼の力で空を飛んでいるニクロム。天井が高いおかげで自由に飛び回れている為、下っ端の攻撃が届かない。そして、超重力領域で動きを封じにかかる。

『げぇっ重い！』
『ボス、動けやせん！』
『野郎共何やって……重いっ!!』
　メリー・バーミリオンも一緒に重くなっていた。

「キミ達は骸の海で冒険でもしているほうがお似合いだよ？」
　そして空からの蒼焔による絨毯爆撃。下っ端は重力があるせいで爆撃で吹っ飛ぶ事も出来ず、その場に立つ意思を失って倒れ込んでいく。

『お、おのれぇぇ……！　その宝、よ、こ、せぇぇ!!』
　意地だけはあるメリー・バーミリオン。屈する事なくジリジリと近づくも、再び蒼焔を喰らう。
『ぐふっ……』

「お宝はキミには渡さないよ、って言ったよね」
　ニクロムはメリー・バーミリオンが疲れて動けなくなった頃合いを見て、そっと降りたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　ティエルは、メリー・バーミリオンの見えない所から攻撃を放つべく空中で待機している。
「(そーっとだよ、そーっと)」
　死角に入ればメリー・バーミリオンが飛ばない限りは見えまい。

　一方の松座衛門は鬼猟流・戦闘用人形「暁闇」を用いて戦闘を開始した。
「暁闇の一撃、喰らえ！」
『人形遣い!?　くっ、本体に攻撃が届かないわね』
　メリー・バーミリオンが人形に気を取られている間に、ティエルは急降下して突撃していく。UC《妖精の見えざる一刺し》を発動し、レイピアは急所目掛けて進んでいった。
『痛っ!!　なっ、不意打ち……!?　もう一人居たっていうの!!』
「ついでに風の攻撃もくらえー！」
　風を纏わせたレイピアでチクチクと刺していくティエル。
『痛いったらもう!!』

「がら空きだ!!」
　松座衛門が反対側から攻めていく。この二つの手を対処するには、レイピアを止めつつ人形の攻撃を受け流すしかないメリー・バーミリオン。
『くっ、難易度が高いわね……！』
「えいえい、風の力を侮ると痛い目にあうよ！」
　風も纏っているレイピアの攻撃、止めようとしても切り傷が出来そうだ。

『こうなったら、やってみるしかなさそうね……！』
　左右から来る攻撃を、一気に後ろに引いて避けたメリー・バーミリオン。
「わわっ！」
「おっと！」
　二人が衝突しそうになった所でお互い急ブレーキをかけ、何とか衝突は免れた。

『体勢立て直しは成功よ……さあ！　今度はまとめてボコボコにしてやるわ!!　後ろの宝さえ置いて行けば悪くはしない、宝置いてけ！』
　メリー・バーミリオンが吠える。
「置いてくわけないよ！　猟書家に宝は盗らせない！」
「ああ、この宝はお前の物じゃない！」

『ならば強行突破するしかないわ！　宝置いてけぇぇ!!』
　サーベルを構えて突撃するメリー・バーミリオン。松座衛門が咄嗟に暁闇で阻止し、メリー・バーミリオンと揉みあう事で強行突破は回避した。
『おのれぇぇ!!』

　彼女の執念は、まだまだ続きそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「断罪します」
　春沙は簒奪者の鎌【断罪の緋鎌】を構えてメリー・バーミリオンに立ち向かう。
「宝は渡さないわ！」
　杏梨は【流星の聖剣】をメリー・バーミリオンへと向ける。

『だったら無理やり奪うまでよ！』
　メリーは吠える。
「そうですか。ならば、これはどうでしょうか」
　UC《処刑の庭》を発動した春沙。拷問と処刑用の道具で出来た迷路がメリー・バーミリオンとこの大部屋を包んでいく。

『き、危険すぎる！　とっとと抜けるしかないわね』

　メリー・バーミリオンが危険な迷路を抜けているその間に、UC《ステルス・インフィニット》を発動して透明になっていた杏梨は、準備体操をしながら迷路の途中で立ちはだかる。

『えーっと、ここは通った。そっちも通ったから……』
　正解の道を進むメリー・バーミリオンに、勢いよく飛びかかった杏梨。
「えいっ!!」
『なっ!?』
　倒し込んだその方向は、拷問器具のある壁側。中に吸い込まれるように拷問器具に攻撃されるメリー・バーミリオン。
『ぎゃああああ!?』

　出血しながらも出て来たメリー・バーミリオンはかなり怒っていた。
『ええい、高みの見物してるんじゃないわよ!!』
　サーベルから波を周囲に放つメリー・バーミリオン。すぐ近くに居た杏梨は流され、押されていく。
「痛っ！」
　壁の拷問器具に当たったようだが、大した怪我ではない。

「そろそろ決めますよ」
　接敵し、断罪の緋鎌を振ってメリー・バーミリオンに刺していく春沙。杏梨も流れに逆らうように合流し、流星の聖剣で斬撃を与える。
『ぐあっ……！』
　力が抜けて膝から倒れるメリー・バーミリオン。
「とりあえず、確実に倒しときましょうか」
　杏梨がトドメを差すと、骸の海に消えていくメリー・バーミリオン。

　この戦艦島の宝は守られた。だが、メリー・バーミリオンの脅威は彼女が完全に倒されるまでまだ続くだろう。

「ミッションコンプリートね」
　杏梨が役目を終えて消える迷宮を見つめる。
「帰還しましょう」
　春沙は杏梨と共に、戦艦島から脱出するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年06月14日