エキシビジョンマッチ~風雲ジャッジメント城ですわ!
●
「こんにちは。集まってくれてありがとー!あたしポーラリア・ベル(冬告精・f06947)!」
グリモアベースの一室に、グリモア猟兵のポーラリアは猟兵達を集めた。
「今日はねー、お手紙が来てて。もしかしたらデビルキングワールドに転送しちゃう案件かもだから皆に集まってもらったのー。」
その手紙の差出人はアイスエイジクイーン。
『指定の時間に映像をつけて欲しいですわ』
との内容で。
「そろそろ時間だからつけるね?この機械、いつもはグリモアの予知が映る筈なんだけど。」
ポーラリアはぱちんと映像をつけた。
魔界『デビルキングワールド』。
KING決定戦争が終わっても冷めやらぬ悪事と戦いの熱は今でも魔界中を取り巻いていた。
ここは全ての映像が全魔界に配信される事でお馴染みの魔界テレビ局。
「「ぐぬぬぬぬぬ」」
映像の中では魔界テレビ局の最上階でアイスエイジクイーンとジャッジメントガールが真っ向から戦闘をしていた。
お互い手四つで手と手を掴みあげながらぎりぎりと拮抗している。
「お……お~っほっほっほ!」
「この……その程度で倒せると思うなっスー!」
互いの手が押し離され、氷のメイスを生み出したアイスエイジクイーンとジャッジメントハンマーを手にしたジャッジメントガールが打ち合う。
アイスエイジクイーンはジャッジメントガールのハンマーと打ち合う度、ジャッジメントガールに証拠品押収能力で武器を消滅させられるが、消滅した端から新たな氷の武器を魔法によって生成し打ち合いを続けている。
ジャッジメントガールのハンマーの降り下ろしをアイスエイジクイーンが武器で防ぐ!
だがそのままジャッジメントガールは力を入れて、アイスエイジクイーンを武器ごと地面に叩き伏せてしまう!
「ふぎゃっ!!」
「全魔界のお茶の間に向けてひれ伏すがいいっスよ!招集!裁判官!」
そしてジャッジメントガールはアイスエイジクイーンを取り囲むように絶対冤罪裁判官を召喚した。
「判決!魔界テレビ局に不法侵入の罪で――」
ふとジャッジメントガールはある事に気がついた。
「そういえばいつも乗っている氷鎧の『絶晶』、なんで装備してこなかったっスか?……まさかっス!?」
その直後、絶対冤罪裁判官達はジャッジメントガールに武器を向けた。
「お~っほっほっほ!今貴女が召喚した絶対冤罪裁判官を見るがいいですわ」
「なっ!」
ジャッジメントガールの周囲を取り巻くは氷河期の魔力を有した、絶対零度の如き表情で彼女らを見下す絶対冤罪裁判官の姿。
この裁判官はジャッジメントガールの配下ではない!アイスエイジクイーンが召喚した絶滅悪魔軍団の裁判官だ!
「弾劾裁判と行きますわよ……判決!」
アイスエイジクイーンと絶対冤罪裁判官達から一斉に氷河期魔法がジャッジメントガールに放たれた。
「魔界テレビ局に不法侵入の罪で拘束刑。懲役一日!ですわー!」
「うおおっスー!」
「お、おのれー!これで重罪になると思ったら大間違いっス~!」
首から下を氷漬けにされたジャッジメントガールはアイスエイジクイーンの四天王に運ばれ奥の部屋に連れ去られて行った。
後には戦闘のダメージで膝をついて息絶え絶えなアイスエイジクイーン。
彼女は呼吸を整えると、カメラの前に立ち、グリモアベースに向かって高らかに宣言した。
「魔界テレビ局を占領しましたわーーー!!!」
「ふぇあああぁぁぁ!!?」
●
「というわけで猟兵の皆様方あと一般参加悪魔様方に突発企画『風雲ジャッジメント城』の説明を致しますわ!」
「いきなり何を言い出すの!?」
グリモアベースの映像越しにアイスエイジクイーンが高らかに告げた。
「ご覧の通りわたくし西のラスボスことアイスエイジクイーンが魔界テレビ局をぶんどって参りましたわ。このテレビ局を解放したければわたくしを倒すしかありません事よ!」
映像が切り替わる。
魔界テレビ局の各スタジオ内の様子だ。
「なのですが、このテレビ局を牛耳っていたジャッジメントガール様は先んじて危険な悪魔王遊戯(デビルアトラクション)をお造りになっていたのですわ。折角ですのでこれら各地のアトラクションをクリアした者に、わたくしと戦う挑戦権を設けたいと思いますわー!」
そこには様々なアスレチックコースが散りばめられていた。
猟兵達が参加する前から既にかなりの悪魔達が突撃しているように見えた。
大岩が転がる坂。
泥の海に突き落とそうとする動く壁。
見えないレベルで高速回転する鬼棍棒が設置された足場。
飛び石を思わせる様な雪だるまの頭がたくさん浮かんでいる液体窒素の池。
上から衛星砲の様な極太ビームが定期的に降り注いでいるハニカム状のガラスのラビリンス。
何かめっちゃ揺れてる表面の凍った吊り橋と、横からガトリング大砲で狙撃してくる四天王。
飛び込んだ悪魔達がボウリングのピンみたいな形状の雪だるまにされているボウリング場。
爆弾と植木鉢が仕込まれた壁。
カラオケボックス。
ドミノ。
やたら揺れてる一般悪魔家庭のリビング。
空中でダブルラリアットしている『絶晶』に飛び移って移動する大穴。
沢山の穴の中からシバべロスの鳴き声がする穴ぼこ地帯。
等……。
「わたくしの四天王達による突貫工事が間に合ってちょっとだけわたくし色に染め上がりましたわ。」
アトラクションの一部がちょっと氷雪寄りなのはそういうアレなのだろう。
「あなた方はこれから各テレビ局内にあるアトラクションに転送されますわ。各アトラクションをクリアして、見事わたくしとお戦いにおなりあそばせ!」
アイスエイジクイーン傘下の絶対冤罪裁判官達が説明しているアイスエイジクイーンにメイクや装備の補修を施している。
「ですが各アトラクションは本気であなた方を倒しに行くような罠が満載!更にわたくしの忠実な部下である四天王達が様々な武器を手に全力で妨害を施して来ますわ!あとわたくしも待っているのは暇ですので、適度に直接手を下しに参りましてよ。」
更に映像が切り替わると、各種アトラクションでガトリングやチェーンソー、氷河期ボクシンググローブ付き鎧など、様々なごつい装備を施された兎獣人の悪魔が、各地の一般参加悪魔達をぶっ飛ばしていた。
「わたくしはいずれデビルキングになる西のラスボス、アイスエイジクイーン。一度魔界最強の悪魔たるジャッジメントガール様よりもラスボスである事を知らしめるため、この様な企画を開催するに至りましたの!(正直返り討ちにされかけてどうなる事かと思いましたわ。)喜んで参加するといいですわ!いえ参加なさいませ!この様な機会をそうそう作れるわけではございませんので!いいですわね!お~っほっほっほっほ!」
高笑いするアイスエイジクイーンの手には氷河期魔法で作った武器でなく、先程のジャッジメントガールの武器であるジャッジメントハンマーが握られていた。
●
「正気?」
映像が終わった後、そんな言葉をポーラリアは呟いた。
「と、兎に角挑戦状か何かだと思うのよ!放っておいてもテレビ局がおかしなことになっちゃうから、転送するね!」
ポーラリアはグリモアを展開し、転送光を猟兵達に浴びせていく。
「……実はジャッジメントガールお姉さんもテレビ局の人じゃなくて、勝手に居座ってるだけの悪魔さんなのは内緒だよ。気をつけてー!」
古塔
古塔マスターと申します。宜しくお願いします。
目的……魔界テレビ局を乗っ取ったアイスエイジクイーンを倒す。
戦いは魔界中に生放送でお送りされるそうです。
●1章
誰かが何処かで見たことがあるかもしれないようなアトラクションの中を突き進んでください。
なんか大岩や鉄球が飛んできたり、飛び石を渡ったり揺れる吊り橋だったりなアスレチックを潜り抜けるのが主です。
どんなアトラクションを突破するのかをプレイングに指定されましたらそんな感じのアトラクションとなります。
(指定が無ければマスターが見繕います。)
なお、1体程度の四天王(集団敵)とアイスエイジクイーンが全力で妨害してきます。
四天王として立ちはだかるラビチャンは、あらかじめアイスエイジクイーンに何らかの強力な武器(チェーンソーやホーミングミサイルランチャーなど。プレイングで指定可)を支給されています。
WIZでいくと群がってきた兎を媒体にアイスエイジクイーンが『ディノ・ホロボシータ』(全員で合体させて放つ巨大氷魔法)を繰り出してきます。
ついでにぶっ飛ばしましょう。
※ドミノやカラオケ、地震家庭など、四天王のラビチャンと戦い合うタイプのアトラクションもあります。
※アイスエイジクイーンは2章でないと倒せません。
●2章
アイスエイジクイーンとの決戦です。
彼女はジャッジメントガールの武器『ジャッジメントハンマー』を片手に、絶滅悪魔軍団として呼び出した『絶対冤罪裁判官』達と共に猟兵達に襲い掛かってきます。
彼女らは何故か『絶晶』(アイスエイジクイーンが乗ってるでかい氷鎧)っぽいデザインのカートに乗って戦います。
このカートは猟兵達にも支給されます。残念ながら水鉄砲は無しです。
※冤罪裁判官達はジャッジメントガールの呼ぶそれと違い生命力を共有していないので、1体倒したら全員が倒れたりはしません。
裁判官達を潜り抜けながらうまい事アイスエイジクイーンをしばき倒しましょう。
第1章 集団戦
『ラビチャン』
|
POW : ラビットアーツ
【うさパンチ】【うさキック】【うさヒップ】【可愛らしい鳴き声】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : ナンデモニウム・センス
技能名「【その辺で拾った武器マスタリー】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : キャロットカタストロフ
レベル×5本の【にんじん】を投げると群がってくる【兎】属性の【兎】の【蹂躙攻撃】を放つ。
イラスト:枸杞葉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
【風雲ジャッジメント城!】
アイスエイジクイーンは難攻不落といわれるジャッジメントガールが居座る魔界テレビ局を乗っ取ったラスボスである。
ジャッジメントガールは先んじて魔界テレビ局の各スタジオを大胆にも丸ごと改造しアトラクションを建設。
天を突きそびえ立つこの魔界テレビ局を、悪魔達は「ジャッジメント城」と呼ぶ。
液体窒素の上を浮き沈みする雪だるまを渡るアイスエイジ池。
ガラスの迷宮で四天王が待ちうける四天王の館。
アイスエイジクイーンがゴール付近でめっちゃ揺らしてくる吊り橋の上を渡る地獄橋海峡。
命知らずのシバべロス達がおやつを欲しそうに潜む魔喰い穴といった様々な難関を張り巡らした。
これらの手をすり抜けた精鋭達だけが「ジャッジメント城」の最上階に辿り着くことができるのだ。
しかし油断してはならない。各地にはアイスエイジクイーン軍から選び抜かれた四天王(兎獣人)(沢山いる)(何らかの凶悪な武器を持っている)が邪魔をする。
彼女らの猛攻を果たして潜り抜ける事が出来るだろうか!
今まさにこのテレビ局を巡って、壮絶なる戦いの火蓋が切って落とされようとしていた……!
各スタジオの遥か上空で、突如クレーンに宙づりされている悪魔が現れた。
「お、おのれー!これで重罪になると思ったら大間違いっス~!」
先にテレビ局に居座っていた魔界裁判長、ジャッジメントガールだ!
「あっ、みんな来てくれたっスか?こんな状況っスけど折角なので場を盛り上げる為、今は猟兵部隊の『隊長』を買って出るっス!」
何か噴き出そうなホースがジャッジメントガールの周囲に伸びながらも、ジャッジメントガールは手振りで合図する。
「アイスエイジクイーンさんに囚われた自分の為にも、この不毛な戦いを終わらせるためにも、あとこの番組の高視聴率の為にも。」
「行けええええっスー!!」
カシム・ディーン
「ご主人サマ!これあれだよ!風雲たけ」
それ以上言うんじゃねー!怒られるだろ!
【情報収集・視力・戦闘知識】
取り合えずアトラクションの構造を把握(今回はMSにお任せ
中々えげつない妨害もしてくるじゃねーか
「それならあれでいく?」
おう
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し同時に水の障壁で嗅覚も隠蔽
【念動力・弾幕・スナイパー】
そういう蹂躙はな
「そっちだけじゃないぞ☆」
念動光弾の弾幕を展開して蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
連携による連続斬撃から人参を強奪してラビチャンに放り蹂躙を味合わせる
残念ながら他には金目の物はもってなさそうだからな?
吹っ飛ばしたら慎重にアトラクション突破!
●
「ご主人サマ!これあれだよ!風雲た」
「それ以上言うんじゃねー!怒られるだろ!」
まず(二つの意味で)突っ込んできたのは焦げ茶色のショートヘアな魔術盗賊の少年、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と、銀の長髪をした白き装いの少女にして賢者の石の機神の少女体、『メルシー』の、カップルみたいなコンビだ。
彼らの目の前には巨大な吊り橋があった。
不安定を形にしたかの様にぐらぐら揺れており、下はご丁寧にネットが敷かれている。
ゴール付近ではアイスエイジクイーンが今にも転覆させようと『絶晶』に乗って吊り橋を掴んでいる。
「これアレですよ!ジブラルt」
「だからそれ以上言うな!駄目だメルシー!」
「だってゴール前で大ボスがちょっかい出してくる所まで同じじゃ」
「だああ!」
慌ててメルシーの口を塞ぐ。
危険だ。この戦いはカシムを疲労させる為に作られたかの様だ。
「お~っほっほっほ!……あら、あらあらあら。貴方達もしかするとカップルでのご出場かしら?それでしたら一旦止めですわ。」
ゴール付近にいたアイスエイジクイーンが吊り橋から手を離し、指を打ち鳴らすと、戦場が揺れて沈んでいき、新しい戦場が浮き出ようとしていた。
「何だ?」
「実はですわね、夫婦や子連れには特別なアトラクションが用意されてるとジャッジメントガール様のマニュアルに……」
「何だろうな何か嫌な予感がするな」
「……カップルの片方を氷漬けにして乗せる達磨落とし……見るからに力仕事ができる挑戦者では無いですわね。没。」
「後は取り押さえて気絶させた夫を無数のベッドの1つに隠して時間以内に妻に探してもらうゲーム……それもいいのですけれど、おふた方は協力して戦いたそうにしている様子。」
「夫……カップル……ご主人サマ!私達悪魔公認夫婦になったよ☆」
「ちょっとその話はややこしくなるから置いとこうな。」
嫌がるカシムにぐいぐいとくっつき、熱く抱き寄ってくるメルシー。
「メルシー、それ置いとかなくてもいいと思うんだよね☆今まであんな事(水着)したりとかこんな事(温泉アイコン)したりとかしてきたし☆」
「いやそれはだな」
「メルシーに乗ってくれたのはお遊びだったって事~?」
「機神の事だろそれ誤解を招く言い方はよそうな!?」
「あは☆」
困り果てるカシムの前に新たな戦場が浮上してきた。
それは幾重にも並べられたシーソーで出来た足場の上を渡るアトラクションだ。
「ご主人サマ!これは!参加者が夫婦の時限定で行われたという愛の」
メルシーが叫ぶ。
「そう!カップル限定アトラクションの一つ、ヘビーラヴァーですわー!」
「英語にすれば許されると思うなよ!」
「ヘビーラヴァーは二人が息を合わせてシーソーで出来た足場の上を渡っていくシンプルかつコンビネーションが要求されるアスレチック・アトラクションですわ!」
「くそっ、事前の情報収集じゃそんなの無かったぞ。」
「ご主人サマ!任せて!メルシーすぐに構造とか把握するから☆」
メルシーは機神ことキャバリアの機能を自身の瞳に投影してアトラクションの仕様と構造を計算していく。
「これはまずいですね。横にして並んだシーソーの上を渡っていくのですが、中心の軸が脆く作られてます。二人揃ってシーソーの端に立って上手い具合に渡っていかないと崩れて落ちる仕様になってるみたい☆」
「飛んで行くことはできるか?」
「できなくないけど、特殊な重力魔法的なのがかかってて、跳躍以外の、ホバリングとかジェットが思いっきり落とされるみたい。あのシーソーに足が着くギリギリを飛ぶので精一杯。一度落ちたらそれ以上に飛べないみたいな結果☆」
「めんどくさいな……」
そして横を見ると浮遊砲台に乗る兎獣人が、シーソーに乗る挑戦者を落とさんと狙いをつけている。
「アレが四天王って奴か。上手く躱してゴールすればいいんだな」
「そんな事より大事な点があるじゃない?」
「え、何だ?」
メルシーはうるうるしてカシムに縋り付く。
「これ、二人がシーソーの端に乗り渡っていくようにできてるんだよ!?メルシー、ご主人サマと離れ離れになっちゃう!」
「いやちょっと距離置くだけだろ大丈夫だろ。」
「やだやだ!メルシーご主人サマと一緒にいる!こうなったら無理してでも中央突破でいかない?」
「それは計算で駄目だったんだろ! まあ、少しくらい離れてもお前の事はわかるし、このアトラクションは二人の連携が大事だ。頼りにしてるよ。メルシー」
「……!それでこそだよご主人サマー!」
更にぐりぐりと抱き着いた後、意を決してメルシーは離れ、準備を整えた。
「お~っほっほっほ!では開始ですわね!わたくしが直接妨害するタイプでは無いので一時失礼しますわ。ごゆっくり。」
離れていくアイスエイジクイーンをよそに、二人はぐらぐら揺れるシーソーの足場を渡っていく。
「落ちるとアイスエイジクイーンゆかりの(?)液体窒素……かと思ったけど、普通に泥の海だね☆」
「乗っ取ってから一日も経たずに改造するには無理があったんだろ。特別枠らしいし」
二人はシーソーの端に乗ると、揺れるのも厭わずに即座に飛び移っていく。
素早く、素早く、傾くのもお構いなしの連続跳躍だ。
「ご主人サマったらせっかち☆」
「僕のジョブを忘れたのか?」
「ううん。シーフだよね。でもなんだか気を遣われてる気がする☆ もしかしてメルシーの為?きゃー♪気遣い上手☆」
――ややメタな話になって申し訳ないのだが、メルシーの体重はアンノウン(不明)である。
浮遊やキャバリア的な重量操作やら何かがあるかもしれないが、そんな事をすれば逆にカシムの体重でシーソーが傾きメルシーが跳ね飛ばされかねない。
ここでカシムが取った行動は、兎に角シーソーが傾く前に跳ぶ。
これで心配なのはメルシーがシーソーに着いた瞬間どれ程傾くかだが、それも見る前に跳べば関係ない。
だがメルシーも負けてはいなかった。
サイキックキャバリア:タイプにカテゴライズされる彼女の得意技は加速能力。
シーソーに着いた瞬間すごい勢いでシーソーを蹴り、次のシーソーに跳躍していた。
要するに二人の考えは奇跡的に同じだったのである。
「「(傾く前に、跳ぶ!)」」
同時に蹴られたシーソーにかかる力は全くの互角。まるでそういう打ち合わせをしていたかのように息ピッタリの連携でシーソーを微動だにさせなかった。
すると横からジェットで浮遊して二人を追ってくる影が見えた。
四天王の兎獣人、ラビチャンである。
ラビチャンのキャノン砲が二人を落とさんと狙い、放たれていく。
単純にでかい爆発を引き起こす砲弾の様であった。
「させるか!」
カシムは回避しながら跳び続ける。
「ご主人サマ!守りに跳んできてくれてもいいんだよ☆」
「傾くっての!メルシー悪いけど頑張れ!」
メルシーも負けじと跳躍を続けている。
「あはは、こういうのも楽しいね☆」
シーソー台が大砲の弾で破壊されるも、その前に同時跳躍して破壊されていないシーソーに飛び移っていく。
するとラビチャンは突如出力を上げて二人を追い越していくと、下の泥の海に対しものすごい量の人参を落としていった。
「何だ?」
シーソーの下から泥まみれの兎が大量に出現!
ここから先のシーソーに群がり、這い上がって、無理矢理傾けさせたり、二人がシーソーを蹴るのを邪魔しようとしてきたではないか。
「中々えげつない妨害してくるじゃねーか」
「ご主人サマ!兎くん、踏まない様にしないとだめだよ!可愛いし」
「無茶言うな!って泥だらけだな。洗浄ついでだ、迷彩使うぞメルシー!」
「あれでいくんだね!了解だよ☆」
「おう」
カシムとメルシーは自身の服に水と光のルーンを刻むと、光学迷彩で姿が消え、水の念動バリアを体の表面に沿って展開する。
シーソーの上で傾き合いっこする兎達の上で、水のルーンでステップを踏み空中ジャンプだ!
同時に足から水が放たれ、勢いよく泥が洗い流されながら吹き飛んでいく兎達。
むむう、と怒ったラビチャンは、キャノンにいっぱいの人参を詰め込んで、空中に向けて一斉放射。
人参の弾幕、それに向かって飛び掛かる兎の群れが空中でカシム達に襲い掛かる!
「そういう蹂躙はな」
「そっちだけじゃないぞ☆」
カシムは念動光弾の弾幕を放つ。
それは強烈な照明となって兎達の目を奪い、怯ませる。
その隙に二人は素早い手つきで兎達と人参を確保すると、着地する前に空中でラビチャン目掛けて兎と人参を投げ放った!
「!!!」
兎だけでなく人参が大量に砲台に投げ込まれたラビチャンに向かって沼から大量の兎が飛び掛かる!
あわや、兎で一杯になった浮遊砲台は重さで落下していき、ラビチャンごと泥の海の中へと沈んでいったのだった。
「やったよ!ご主人サマ!褒めて褒めて!ぎゅーってして!」
「おう、よくやったな。ってそれはいつもしてるだろ」
無事にアトラクションを突破したメルシーはカシムにお姫様抱っこされながら、アイスエイジクイーンのもとへと向かう。
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
うーん…まさにこの世界に相応しいカオス具合ですね…
とりあえず【野生の勘】でトラップを避けて突破していきます!
しかしその先で待ち受ける四天王(たくさん)に行く手を阻まれてしまいます
同じ兎さんとして負けられません!が…ひぁああ!?武器持ってるだけでこれだけ難易度が上がるなんて…っていうかガラスの迷宮で実弾は危なすぎます!
このままでは…どうせやられるのであれば一気に距離を近づけて…【フラグ建築一級感染】でわたしの周りの四天王達の足元のガラスの床が都合よく割れて一緒に落ちていき…一番下の泥の海に皆まとめて沈んでいき…最終的には全員泥まみれのまま冷気によって固まってしまいます…
●
「うーん…まさにこの世界に相応しいカオス具合ですね…」
次の挑戦者は兎獣人キマイラの男の娘、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)だ。
「お~っほっほっほ!アナタに相応しいアトラクションはこれですわ!」
テフラを待ち受けていたのはハニカム状に仕切られたガラスのラビリンスだ!
透明なガラスの迷宮。だが地面、というかガラスの足場の下にはドロドロと溶ける様な泥の海に満ちている。
かのアトラクション名は『四天王の館』。
あろうことかルールを破って複数の四天王のラビチャンがラビリンスのあちこちで凶悪武器を装備して待ち構えている。
恐らくガラスの地面はどこかで都合よく割れる仕様もあるだろう。
「でも負けませんよ!負けませんからね!泥の海には負けません!」
ガラスの迷宮は?
一瞬負けフラグを確定的に生んだかのような台詞を放ちながらテフラは泥の海に……違った。ガラスの迷宮に飛び込んだ。
「待てウサー!」
「その命泥の海に鎮めてやるウサー!」
ラビチャンだ!
床ごとガラスを破壊しようとするトゲトゲのごっついハンマーを抱えている。
「同じ兎さんとして負けられません!」
野生の館でぶんぶん振ってくるデビルなハンマーを避けながら、床下を砕くように誘導していく。
「あっ!しまっ」
ガシャンと壊れるガラスの床に落ちていくラビチャン。間一髪で飛び込……むのはこらえて、別の通路に飛び移るテフラ。
すると踏んだ床があっという間に音を立ててひび割れようとしているではないか。
「と、トラップ!?違う!?上から音がします!?」
銃声だ!
ふと見上げると何という事か!ガラスのラビリンスの壁の上に陣取った新たなラビチャンが、アサルトなマシンガンを抱えて乱射している!
「ひぁああ!?武器持ってるだけでこれだけ難易度が上がるなんて…っていうかガラスの迷宮で実弾は危なすぎます!」
テフラは急いで避けながらラビチャンに切迫しようとよじ登……駄目だ!壁にも銃撃を起こして即座に離脱していく!
壁と床が瞬く間に破壊されて落ちそうになる!テフラは反対側の通路に向かって勢いよく壊れそうな壁を蹴り飛び移ると、更に飛んでくる銃撃から、壊れる迷宮の床から全力で逃げる。
行き止まりにぶち当たれば終わりだ!
それを狙う様に、ガラスの壁から壁に飛び移るラビチャンは誘導射撃を続ける。
「さっきの四天王は一番の雑魚……アイスエイジクイーン様と戦うなんて100年早いウサ!ここで落ちるウサー!」
「ど、どうせやられるのであれば……!もう我慢しないですぅ!」
テフラは……泥の海に飛び込んだ!!
「じ、自爆ウサー!?」
だがその時不思議な事が起こった。
壊れたガラスの床から飛び込もうとした瞬間に、上手い具合にガラスのヒビが迷宮全体にいきわたり。
「へ?」
――何と、全てのガラスの床と壁が一斉に壊れた。
「は、はああぁぁぁ!!?」
「おまっ、ラビビ撃ちすぎ」
「耐久力どうなってるのー!!」
「なんでこうなってるウサー!?」
「ぎゃー!サボって泥に汚れないようにしてたのにぎゃー!」
「あーっ!!」
阿鼻叫喚。当アトラクションの全ての兎達(猟兵含む)はあえなく泥の海に沈んだ。
泥の中は底なし沼の様になっており、誰一人這い上がってこようとはしなかった……。
ばきん、ばきん。
ゴールに向けて、何か盛り上がる泥が一つあった。
泥まみれのテフラは道具入れから、『フローズンヨーグルとりもち』を取り出し。
上手い具合に泥の海を階段状に冷気で固め、自力で這い上がってきたのだった。
「(も、もうげんか……い……)」
悲壮なのにどことなく幸せそうな表情を浮かべた泥人間のまま凍り固まったテフラの泥の像が、ゴールに足を踏み入れた瞬間に完全に固まり、凍てつく泥の像として床に転がり。
そのアトラクションは動く者のいない、静かな空気に包まれ続けた。
成功
🔵🔵🔴
サハリエ・ステーロ
兎の"悪魔"か。
(僕もそうだったら良かったんだがな……。
まぁ仕方がない、このどうしようも無い気持ちはここでぶつけるとしよう)
フーハッハッハッ、宙も跳ねるこの兎魔王サハリエ様が君達の攻撃を対処しながらもアトラクションを華麗に攻略してやろう!
同じ兎だからと手を抜くと思うなよぉ!
UC【兎魔王流:占星魔法『Lepus』】使用
リミッターは解除する!
UCで上がった身体能力に合わせながら
【兎のプライド】属性を纏わせ魔王笏でラビチャンを叩く(技能【属性攻撃】)
出来るかどうかは関係ないこのままその氷のチェーンソゥも魔王笏で受け止めてやる!うぉぉおぉ!
※アドリブ・連携歓迎
●
「兎の"悪魔"か。」
赤い瞳に黒髪の女性。
その身は人型ながらにして、兎耳(と多分兎尻尾)の生えし者。
彼女の名はサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)。
由緒正しきラスボス魔王の一族に産まれた次世代の魔王である。
かのアトラクションの向こうで待ち構えるは、茶毛の兎の獣人系、悪魔。
魔界の獣人の中では一般的。とりわけおてんばとの情報もある。
(僕もそうだったら良かったんだがな……。)
サハリエは魔王である。
……が、厳密には時計ウサギであり、それがコンプレックスを生んでいた。
(まぁ仕方がない、このどうしようも無い気持ちはここでぶつけるとしよう)
今回サハリエの目前に現れたのは……『アイスエイジ池』だ!
液体窒素で満たされた池の上に浮かぶ雪だるまの上を跳び乗って、遥か先のゴールを目指すのだ。
雪だるまの頭はすぐに沈んでしまうタイプもあるらしい。
(どうも、このアトラクションはアイスエイジクイーンによって改装が間に合ったらしい。)
「どうせなら雪兎を浮かべて欲しくもあったかな。まあどうでもいい事だ。」
サハリエはウサギ時計と魔王笏を手に、今、液体窒素の池に飛び込んだ!
「フーハッハッハッ、宙も跳ねるこの兎魔王サハリエ様が君達の攻撃を対処しながらもアトラクションを華麗に攻略してやろう!」
宙に舞い、魔王笏に力を込めると、兎の形をした魔のオーラがみなぎっていく。
それと同時に遥か上空に、うさぎ座の星座が浮かび上がる。
今のサハリエは雪原を駆ける兎。
大丈夫な足場でさえ転がり、滑り落ちて氷漬けになってしまう世界で、雪だるまの頭の雪をしっかりその足でフィットさせ、沈む前から即座に跳んで行く。
「ひゃっはー!切り刻んでやるうさー!」
氷のチェーンソーを手に同じように飛び移るラビチャンが見えた!
「来たな、悪魔。同じ兎だからと手を抜くと思うなよぉ!」
唸るチェーンソー!飛び交う二人。
魔王笏とチェーンソーが空中で打ち合いながら、落下地点を調整し足場に乗り、回転して落ちようとする足を即座に跳ばしまた宙に舞う。
「うぉぉおぉ!」
魔王笏にチェーンソーの刃が絡み合う。
「出来るかどうかは関係ないこのままその氷のチェーンソゥを叩き折ってやる!」
兎のオーラが魔王笏に満ちる。
「うさああぁ!」
この兎、力が強い!
削り斬られようとする魔王笏から、突如鋼鉄の頭が姿を現す。
「『マシンタートル』っ!」
一瞬、巨大な機械亀の頭が姿を現すと、巨大な口が横に捻られ、氷のチェーンソーを噛み、……そのまま、砕いた!
「なあぁーっ!!」
「兎魔王サハリエ様の人徳ならぬ悪魔徳と言う奴だ。」
バランスを崩して落下、あわや液体窒素の池に真っ逆さまのラビチャン。
『お~っほっほっほ!アナタの力はその程度かしら?』
その時、横殴りの猛吹雪が池を襲う!
「くっ、これはアイスエイジクイーンか……!」
『パワーアップの時間ですわー!』
サハリエはうまく足場に乗るが、ラビチャンは……アイスエイジクイーンが乗っているような氷鎧の小型版に乗って、液体窒素の池に着地。
液体窒素の表面を凍らせてスケートの様に滑り、サハリエに迫る!
「もはやルールも無視か。流石は悪魔といった所。」
横っ飛びに雪だるまの頭を踏み跳んで、サハリエはゴールへ急ぐ。
しかし跳躍より素早い、液体窒素の上での滑走で氷鎧に乗ったラビチャンが巨大な氷の剣を握りしめ突撃する。
ラビチャンが氷の大剣を横薙ぎに振るう!
それをサハリエは真上に跳躍して躱す。
落下地点に向けてラビチャンが大剣の横薙ぎを振るう!
それをサハリエは見切り、軌道に沿って振られる大剣に手を添えながら空中で回転する様にして回避する。
まだ沈まないでいてくれた足場を跳んで更に前へ跳ぶ。
「まだまだいくウサー!」
今度は氷の大剣を投げようと振りかぶるラビチャン!だが次の足場に乗ったサハリエは、後ろに跳躍。つまりラビチャンに飛び込んだのだ!
「うあっ!」
「リミッターは解除する」
予想以上の強烈で素早い飛び込みに動きが硬直してしまうラビチャン。
テンポを遅らせながらも振りかぶりの一撃に切り替えようとした大剣の横に潜り込むと、魔王笏に力を込める。
「『ダイク・イッカク』、頭突きを頼む!」
魔王笏から一瞬召喚された1本角の悪魔の強烈な頭突きがラビチャンの氷鎧のどてっぱらを撃ち抜いた!
「ば、馬鹿なーっ!ウサーっ!」
重たそうな氷鎧が浮き上がり、宙に舞い、そのままバランスを取れず、液体窒素の池へと沈み込んだ。
「フーハッハッハ。いい余興だったぞ。」
氷鎧ごと狼狽えた姿勢のまま氷漬けになって浮かび上がったラビチャンの氷塊を一瞥すると、サハリエはそのまま足場を跳躍し、ゴールへと向かって行ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
四王天・燦
クイーンって暇でしょ…
生放送されているので醜態は晒せねえ
アトラクションはジャンプやダッシュと言った身体技能を用いて突破する
平常心を失ったら負けるので落ち着きを持って切り抜けるぜ
あと凍結耐性だわな
そして綱渡りを希望する
戦争で相まみえたマッドピエロ(ラビチャン?)と因縁の戦いを演じたい
兎が群れてきてディノホロボシータが飛んできたら堪ったものじゃねえ!
アークウィンドを振るって風属性攻撃の衝撃波で人参を撃墜しとくぜ
残像で的を絞らせず突破するよ
密かに真威解放で蛇化した黒曜石の杖にラビチャンを追跡させ、騙し討ちでお胸に噛みつかせてお茶の間に石化ショーをお送りしよう
次はお前だとクイーンの方角に宣戦布告するぜ
●
白い灰髪の妖狐、四王天・燦(月夜の翼・f04448)が次の挑戦者だ。
「クイーンって暇でしょ…」
開幕一番、ため息をつきながらも挑戦に望む。
その時、映像的な視線が体に纏わりついた。
「っと、生放送されてるんだったな。醜態は晒せねえ。」
魔界で生放送されている今の状況に少しの危機感を感じるも、やる事はいつもの通りだ。
燦の目の前に現れたのは……普通の総合アスレチック・アトラクションだ!
下には改装が済まされたのか、液体窒素の海で満たされている。
「これこれ。風雲といやあな。」
突き出る壁、悪魔が潜む穴、回転するローラー、吊り橋、そそり立つ壁、丸っこい足場。
様々なトラップの中を、燦は駆けだした。
「平常心を失ったら負ける。落ち着きを持って切り抜けるぜ」
「うおおおお!落ちろおおお!」
開幕早々横から飛び掛かる、大盾を持った悪魔による突撃。
「へへっ、こっちだぜ!」
それを跳躍で躱していく。
回転するトゲローラー&足場が待ち構える。
「折角だから利用させてもらうぜ!」
ローラーを刺さらぬ様に掴むと、そのままグルグル回り、慣性をつけて手を離して飛び、一気にショートカットする。
そそり立つ壁――。
「シーフのアタシには十八番だよ!」
黒曜石のナイフを生み出し軽々とロッククライミングを図る。
乗り越えた瞬間、足場が突如消える。
高高度から、ほぼほぼ人間大のゴムボールの足場目掛けて落下していく燦。
「だったら中心目掛けて、ほいっと!」
さかさまに落下して手を伸ばし、ゴムボールに全体重をかけて手を着くと、そのままジャンプ。
空中で回転しながらゴムボールの更に先の足場へと着地したのだった。
「後はこいつか。」
最後の難関は吊り橋だった。
「全力で駆け抜けるぜ!」
燦は足を踏み入れる。
「かかったウサ!」
橋の向こうに居たラビチャンが、足場を繋ぎ止めているロープを切る!
「うおぉ!」
すぐさま駆け抜けたいが、手前から奥、奥から手前などと言う崩れ方でなく、一斉に横に傾いて落ちていく吊り橋。
燦の目の前の足場は、咄嗟に掴みぶら下がった、吊り橋の足場を止めていたロープ1本だけとなった。
「はっ、ロープ1本の綱渡りとか、シーフらしい残し方をありがとよ!」
燦はそのロープの上に易々と飛び乗り、綱渡りの様に駆けていくのだった。
「諦めの悪い奴ウサ。アイスエイジクイーン様!お願いします!」
ラビチャンはそんなか細い1本のロープに向かって大量の人参をぶん投げた。
「おおっと!」
その人参を取らんとすべく、ロープの上に大量の兎が現れ、ロープを占領し、揺らす!
更に兎の1羽1羽に冷気が込められていく。
人参を咥えた兎達から、一斉に吹雪が放たれようとしていた。
「ピンポイントの、ディノ・ホロボシータウサー!」
「させるかよ!」
燦はその場でバランスよく立ち止まり、アークウィンドを振るって風属性攻撃の衝撃波をぶんぶんと連続で放つ!
超巨大な合体吹雪を放とうとしていた兎達はたちまち吹き飛ばされ、空中で雪と氷の嵐を吹き放っていた。
「そ、そんなウサー!?」
その隙に燦は遂にロープの先まで渡りきり、ラビチャンに切迫する。
「お前が四天王か?」
「そ、そうウサよ!こうなったら格闘戦ウサ!」
「マッドピエロとか言う奴はいない?」
「あー…うちの四天王、企画や話によって移り変わるから、今回は居ないウサ。」
「ちぇー。それならいっそピエロみたいな恰好して氷のナイフでも持ってりゃいいのに」
「注文が多いウサね!?」
「ああ、注文と言えば、だ。」
燦はどこから取り出したのか、ジョッキビールをラビチャンに手渡そうとする。
「戦争で相まみえたあいつに餞別としてまた送りたかったんだよ。ビール」
「う、ウサ?これはどうもどうも。でもあたしはどちらかと言うとキャロットジュー……ウっ!?」
ビールを受け取ろうとしたラビチャンの胸に、1匹の蛇が噛みついていた。
それは燦が後ろ手に持っていた『黒曜石の杖』から放っていた、石化毒の黒蛇である。
「あ……あ……から……だが……」
何かを受け取ろうと片手を差し出したままの姿で、ラビチャンはたちまち真っ黒な黒曜石の像と化した。
そんな黒曜石の像の頭にジョッキを傾け、びちゃびちゃとビールがかけられていく。
「見ているかアイスエイジクイーン!次はお前だぜ!」
燦は生放送の映像に、盛大な宣戦布告を言い渡したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「手助けが必要と聞いて参りました。」
夕焼け空の様な橙色の髪をした、お嬢様柄の少女、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)が現れた。
「そのアトラクションとやら、優雅に突破させて頂きますわ。」
そうしてローズが入ったスタジオは、なにやらこじんまりとした扉だ。
中には……普通のカラオケボックス空間があった。
「は?」
「来ましたわね!ここでのアトラクションは『カラオケテレビ』ですわー!」
「は?」
「アクションばかりではつまらないでしょう?ですから趣向を変えたアトラクションもご用意していましたの。1曲歌ってもらいますわよ」
そんなアイスエイジクイーンのアナウンスと共に、壁からテレビとマイク、あと喉が渇いた時のドリンクがせり出てくる。
「お題に出された曲を歌い切ればクリアですわ。ですが歌詞を一つでも間違えれば、即座にわたくしの四天王が現れ、装備させた、空間を削るごんぶとブラックホール砲を発射してカラオケボックスごとこの場から消滅してもらいますわー!」
「ペナルティが理不尽に大き過ぎません事!?」
部屋の外から気配がするので多分本当に用意させているのだろう。
こんなのが常在する番組で普通の悪魔は死なないとか本当だろうか。
「嗜みとはいえ、デビルキングの世界で聴き知らぬ曲が出てきては困りますわね。」
そこでローズはソファに座り、バイオリンを取り出すと、曲がかかる前に弾き始めた。
~♪ ~♪
「薔薇園狂詩曲(ローズガーデン・ラプソディ)」
ヴァイオリンの曲で対象の心を強く震わせるユーベルコードだ。
「現れなさい、そこの四天王。私の代わりに貴方が歌いなさい。」
「あ……あ……」
ヴァイオリンの美しい音色に魅入られて、裏口の扉から現れた四天王のラビチャンが、おもむろにマイクを取る。
カラオケボックスに曲が鳴り響いた。
ラビチャンが可愛らしい声で歌い、ローズが曲に合わせて演奏を続ける。
今時流行りの曲だったので、苦も無くラビチャンは曲を歌い終えたのだった。
「なっ……そ、そんなのアリだとお思いになって!」
アイスエイジクイーンのアナウンスが聞こえる。
「何も歌うのは私でなくても宜しいのでしょう?」
「確かに言ってはいませんでしたわね……してやられましたわ!」
アイスエイジクイーンはローズの変化球を認め、奥へと進む扉を開けたのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『西のラスボス『アイスエイジクイーン』解』
|
POW : 氷河期召喚術『ジュデッカ』
レベル×1体の【絶滅悪魔軍】を召喚する。[絶滅悪魔軍]は【氷】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 氷河期魔法『アイスエイジ』
戦場全体に【悪魔も凍てつく氷河期の寒波と吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【量産型「絶晶」の装着】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ : 合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』
自身と仲間達の【放つ、氷属性の攻撃魔法】が合体する。[放つ、氷属性の攻撃魔法]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
イラスト:屮方
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「よくぞ生き残ったっス、自分を助けに来た猟兵達よ!」
時刻はいつの間にか夜。
猟兵達は魔界テレビ局の屋上にいた。広々とした空間に、端には申し訳程度のフェンス。
夜空には禍々しい月夜と、その光に映し出される首から下が氷漬けのジャッジメントガール。遥か上空のクレーンによって宙吊りにされながらもこの番組の司会を続けている。
「自己紹介とかするっスか?漫才は予算の都合でカットっス!あと、できれば自分のそれを取り返して――」
「お~っほっほっほ!」
高笑いが響き渡ると、闇の中から西のラスボスが現れた。
「よくぞここまで来ましたわね!わたくしがアイスエイジクイーン!わたくしを倒さぬ限りこの番組は終わりませんわ!見事倒しに来てくださいまし!」
いつも乗っている巨大ロボットめいた氷鎧『絶晶』がカートの形に加工されたものを乗って運転している、氷で出来ているかの如く真っ白で美しい少女の様なラスボスが現れた。
その周囲からも、何十体とも思える様な、冷気を纏って顔を隠した不気味な裁判官が、同じ『絶晶』デザインのカートに乗って登場している。
アイスエイジクイーンと裁判官、その手には……かのジャッジメントガールの愛用武器『ジャッジメントハンマー』が装備されているではないか!
「お~っほっほっほ!これまで幾多の魔王とラスボスの力を再現してきましたけれども、ジャッジメントガール様がまだでしたわね。ですが彼女は魔界の現役裁判官。再現するよりその力の源ジャッジメントハンマーを奪えば宜しくてよ!」
「き、気をつけるっス!アイスエイジクイーンはそのハンマーでここを裁判場にしてくるつもりっス!あと終わったらちゃんと返して欲しいっス」
あ、それは約束しますわよとちらりとジャッジメントガールを見やりながらも、アイスエイジクイーンはぱちんと指を鳴らす。
猟兵達の目の前に『絶晶』デザインのカートが現れた。
「宜しければそれに乗ってお戦い下さいませ。予算の都合で搭載武器は無くってよ。水鉄砲とか自前で用意くださいな。」
彼女は何を言ってるのだろうか。
「お~っほっほっほ!なぜこの番組がアイスエイジ城でなくジャッジメント城と呼ばれているか、今から教えて差し上げますわ!」
「第n回ジャッジメント裁判、裁判長をわたくしとしてここに開幕ですわ!」
「貴方の罪を教えなさい!このハンマーと氷河期魔法で、全て軽犯罪に押し込んで差し上げますわー!!」
※特殊ルール
アイスエイジクイーンとの決戦です。
彼女と、無数の護衛敵「絶対冤罪裁判官」は『絶晶』の力を得た氷のカート(素早い)に乗ってジャッジメントハンマーを振り回して戦ってきます。
あなたの目の前にも『絶晶』カートがエンジンかかって登場しています。乗って戦うかはお任せします。
アイスエイジクイーンはジャッジメントハンマーの力により、氷河期魔法や表示されているユーベルコードの他に、以下のユーベルコードを同時に使ってきます!
POW●証拠品押収!
【ジャッジメントハンマー】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【証拠品入れ】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
SPD ●絶極双晶舞
【もう1つの自動鎧「極晶(きょくしょう)」】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
※量産型絶晶もレベル×1体の絶滅悪魔軍団(裁判官)も既に発動し尽くしているので、こちらのコードを使う様です。
WIZ●ジャッジメントエコー
戦場内に【ハンマーで台座を叩いた音】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
「それでは力を合わせて頑張って欲しいっス!大丈夫っスね!」
上空のジャッジメントガールが開戦の合図を叫ぶ。
「乗り込めっスー!!」
カシム・ディーン
「ご主人サマ!決戦だよ!」
確かあの番組でも此処までは来るけど人数不足でほぼほぼ敗北してたよな…
さてどうすっか
「メルシーに乗っちゃおうよ☆」
…しかたねーな
【情報収集・視力。戦闘知識】
クィーンの動きと攻撃の癖と極晶の動きも把握
【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し
随分と僕のシリアスイメージを壊しやがったなこのやろー
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
UC発動
超高速で飛び回りながら念動光弾を叩き込む
後は身ぐるみ剥ぐ
は
「ご主人サマ!たけ◎城は最後までヤバかったよ!」
取り合えず鈴の演出をしましょう
取り合えず…お前らが僕を殺そうってなら全霊で抵抗します
僕は静かに暮したいだけですよ
●
「ご主人サマ!決戦だよ!」
銀髪の少女、メルシーがカシムに呼びかける。
「確かあの番組でも此処までは来るけど人数不足でほぼほぼ敗北してたよな」
「簡単に勝っちゃったら番組盛り上がらないよね☆」
「…さてどうすっか」
目の前には用意された絶晶カート。しかし乗らずに戦ってもいいらしい。
「メルシーに乗っちゃおうよ☆」
「…しかたねーな」
銀髪の少女は光を放ち、巨大な機神、キャバリアの『メルクリウス』に変身。
カシムがそのキャバリアのコクピットに乗り込んだ。
「お~っほっほっほ!いきますわよ!」
アイスエイジクイーンとカートに乗った裁判官達がメルクリウスに切迫する。
そのサイズ差は圧倒的。圧倒的に敵側が蹴散らされるような未来しか見えない。
……といった所でアイスエイジクイーン達はカートから、戦車かと思えるようなやたらごつい砲台を生やしてきたではないか。
「なんだそれ」
「こちらの武器は充実していましてよ!」
吹雪の塊がそのままビームになったかの様な大砲が放射され続ける。
夜空に消えていく白き光砲の雨、ちょっとジャッジメントガールにもかすりかける。「危ないっスー!」
カシムは躱す為、メルクリウスのスラスターを小刻みに機能。ジグザグに避けながら。
「メルクリウス」
「ご主人サマ、了解だよ☆」
メルクリウスは光を放つと、光学迷彩を起こして姿を消した。
「こざかしいですわ!全部凍らせてしまえば逃げ場も無くってよ!」
姿がくらまされた戦場でやたらめったらにアイスエイジクイーン側から吹雪が放射される中。
1体、1体、謎の死角から光が放たれたかと思うと、裁判官を乗せたカートが吹き飛んでいく。
「これは!」
「随分と僕のシリアスイメージを壊しやがったなこのやろー」
迷走するアイスエイジクイーン達に対しメルクリウスは空を飛んでいた。
空中から万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』による念動光弾で撃ち抜いていく。
「後はお前ひとりだ」
裁判官達を吹き飛ばしたメルクリウスに向かって走るアイスエイジクイーンの絶晶カート。
「やってくれましたわね。かくなる上は『極晶』!」
そこにどこからともなく無人の氷のカートが現れた。
それはアイスエイジクイーンの乗る絶晶のカートとぶつかり合うと、光を放ちながらガシャガシャと変形、合体していく。
やがて光が収まると、キャバリア級の巨大氷鎧にアイスエイジクイーンが搭乗しているではないか!
「は?」
「キャバリアにはキャバリアですわ!」
アイスエイジクイーンは改めてその手に氷の武器を生み出すと、威風堂々と仁王立ちしていた。
スケートをする様に地面を凍らせながら滑って、メルクリウスの攻撃を躱すアイスエイジクイーン。
彼女が武器を振るうと、辺り一面に吹雪を起こり、視界が閉ざされる。
「ご主人サマ!熱源増幅システムで防寒!ついでにサーチもしておいたからセンサー上に表示するよ☆」
「助かる」
「でも吹雪が強すぎて長くは持たなさそう。3分以内に決めないとカチンコチンって予測されてるよ☆」
「嫌だなそれは……3分もあるなら十分だ。」
そんな会話をするメルクリウスも、徐々に凍り付き光を失っていく。
そこへ自然発生するかのような無数の氷柱がメルクリウスに襲い掛かる。
メルクリウスは鎌剣を豪快に振るって光を散らしながら氷柱を弾き飛ばす。
ふと気づくと、メルクリウスは氷の部屋に閉じ込められていた。
「氷河期魔法『ニヴルフィヤル』。押しつぶされるがいいですわ!」
極太の氷柱が全方位からメルクリウスに向けて伸び粉砕機の如く押しつぶしにかかる。
「罪状!わたくしより大きな出で登場した罪!ですが大きな悪魔などここでは一般的!更にラスボスは変身して巨大化するなど当たり前!とりあえずわたくしの目の前に立った罪として一日おしおき氷牢刑ですわー!」
「硬度計算完了!ちょっと内側からは難しいかもだよ!ご主人サマ!ここは武器一つ爆破するくらい派手にいっちゃう?」
「いや。遠隔召喚と操作を頼む。」
巨大な氷のキューブの中でメルクリウスが氷に潰され圧殺されようとしている……。
その時、どこからともなく強烈な光の帯が氷に向かって放たれたではないか。
「これは!?」
アイスエイジクイーンが見やると、そこには巨大な大戦艦。
カシムの所持する帝竜時空大戦艦『竜眼号』がメルシーによって一時召喚され、支援砲撃を行ったのだ。
「おのれ援軍ですわね!よくぞわたくしの刑罰を打ち破ってくれましたわね!勝負ですわよー!」
アイスエイジクイーンが氷の部屋を破壊したメルクリウスに間髪入れずに切迫する。
かたやメルクリウスはBX鎌剣『ハルペー』による回転弾き。
かたやアイスエイジクイーンは氷河期巨大メイスとジャッジメントハンマーの2刀流で邪悪かつパワフルにボコンボコンと鈍器連打をかます。
鈍い音が幾度も幾度も真正面からぶつかり合っていく。
パワーであれば何という事か。アイスエイジクイーンの方が上だ。
このままでは押し負けて潰される未来を迎えるだろう。
「お前達の癖は見切った」
幾度目かの打ち合いの際にカシムがそう呟いた。
「――なんですって?」
眉間に皺を寄せたアイスエイジクイーンの目の前で、メルクリウスが消える。
それもさっきの光学迷彩では無く、物理的な超加速である。
『加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!』
メルクリウスはすごい勢いで飛翔し、加速してアイスエイジクイーンを四方八方から斬りつけに行く。
「飛翔の二番煎じなど、わたくしには造作もない事ですわー!」
アイスエイジクイーンも氷河期魔法で自身の氷河期キャバリアの背中に氷の翼を生やし、凄いスピードで飛び上がると、魔界テレビ局の上空でメルクリウスと打ち合いに行く。
スピードを互角に迫らせるアイスエイジクイーン。空中で幾度となくすれ違い、ハンマー&メイスと鎌剣が鍔迫り合い、交差する。
だがその交差の刹那刹那にて、アイスエイジクイーンの装甲にいなしたはずの一撃が加わり、斬撃がかかる。
裂傷が増えていく。
「まだですわ。このキャバリアは自己再生しましてよ!」
水が凍って氷になる様な勢いでダメージが再生していく。
そこへ横っ腹を貫かんと竜眼号が砲撃を放つ。
「待っていましたわよ!おバリアとおビームをお喰らいなさいませ!」
アイスエイジクイーンは砲撃に合わせて攻撃を反射する氷の鏡を周囲に展開。
弾き、自身の全身を覆う様に反射し続けて隙の無い光のバリアの如く操
「メルシー!」
メルクリウスが更に速度を上げていく。
「な、なんですの!?」
眼にも留まらぬ三倍速となったメルクリウスが鎌剣を投げる様に放つ。
それは砲撃が乱反射されるバリアの目を縫って確実にアイスエイジクイーンのキャバリアに傷をつけては、着弾後に弾き飛んだ鎌剣をキャッチする。
「こ、んな!」
鎌剣が投げられ、斬りつけられ、攻撃を躱し。
鎌剣をキャッチし、再び投げ、攻撃を躱し、バリアの隙間を飛び。
鎌剣が投げられ、回る様に回避し、斬撃が着撃し、振られる攻撃を躱し。
鎌剣をキャッチし、砲撃が追加され、再び投げられ、着撃し。
飛び、投げ、斬り、撃ち、躱し、回り、投げ、飛び、斬り、構え、投げ、
斬り、躱し、撃ち、回り、投げ、躱し、斬り、回り、投げ、躱し、投げ、
躱し、掴み、投げ、斬り、躱し、掴み、投げ、斬り、掴み、躱し、投げ、
「お、おのれ!おのれですわこんな!あっ!」
とどめと言わんばかりに砲撃の隙間を縫って超高速で飛んできたメルクリウスのキックが直撃し、アイスエイジクイーンは地面へと叩きつけられた。
「ご主人サマ!風雲◎◎◎(事情により規制)城は最後までヤバかったよ!」
勝利の鈴が(メルクリウスの音声機能によりセルフで)鳴り響く。
「くっ、まだですわ!まだ終わっていませんわ!」
壊れたキャバリアの中から再び氷のカートと裁判官部隊を構築しようとするアイスエイジクイーン。
遠くの空でメルクリウスは武器を突きつけ、宣言する。
「取り合えず…お前らが僕を殺そうってなら全霊で抵抗します。僕は静かに暮したいだけですよ」
大成功
🔵🔵🔵
星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「いきます!」
緑髪の星の剣士、星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)が勢いよくお出しされたカートに飛び乗った。
「杏梨さん、来てたんだ。」
続いて現れたのは黒髪でゴスロリの人形の様な少女、禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)。
彼女らは同じ旅団に所属する知り合いの様だ。
「黒絵さんも乗る?」
杏梨がカートの相乗りを促す。
「遊んでくれるの?」
「い、いや。あここにいるアイスエイジクイーンっていう悪魔?と遊ぶんだよ。」
「わかった。」
黒絵が杏梨のカートの後ろに乗り、アイスエイジクイーンへとカートは駆けだした。
「いきますわよ!」
アイスエイジクイーンと裁判官達が手を掲げると幾重もの大量の氷の槍が出現し、走り回りながら杏梨達に放たれた。
「そこ。」
黒絵が指示をする。
「こっちかな?」
すごい勢いでハンドルを回し、巧みな操縦で杏梨は大量の氷の槍の中を潜り抜けていく。
黒絵の『絶望の福音』による未来予知だ。
「避けごっこ」
「避けるだけじゃだめだよ。私達も反撃しなくちゃ」
「何ごっこ?」
「えっと……射撃もアリなチャンバラみたいな?」
「ちゃんばら」
黒絵は呪いのクマのぬいぐるみを抱えだし、クマの手をフリフリさせて、空中に沢山の闇のアリスランスを浮かばせ、放つ。
お互い8の字に旋回しながら氷の槍とアリスランスがぶつかり合っていく。
数は杏梨達の方が遥かに少ないが、相殺し損ねた槍は予知コードによって巧みに躱されていくのだった。
「埒があきませんわね。倍にいたしましてよ!」
アイスエイジクイーンが吹雪を放つ。
それと同時に氷のカートと、カートに乗った裁判官達の数が2倍に増えだした。
カートには三又の氷槍が先端に付けられており、接触すると串刺しにされて危ない。
「さむい。くまー」
黒絵の攻撃の手が緩んだ。
鼻水が出そうな吹雪の寒さで凍り付きながらクマのぬいぐるみをモフモフさせて暖をとることに集中しているからだ。
その脇にはアンブレラを挟んで積もる雪を振り払っている。
ざくりざくり、氷の槍と、突撃する裁判官達の猛攻が危ない。
予知での回避もぎりぎりになってきた。
「杏梨さん、まだ?」
「もうちょい引き付けて欲しいかな。」
「わかった。」
予知による回避が更にぎりぎりになっていく。
「あら。避けるだけで精一杯なら追い打ちもいきましてよ!」
アイスエイジクイーンの号令と共に魔法が地面から放たれる。
地面が急速冷凍されて氷の柱が瞬間精製され、杏梨達を閉じ込めんとしてきたのだ。
そのギリギリを回避するも、ざくん、ざくん、どんどんとカートの表面がえぐられ続ける。
もう少しでもたないかもしれない。そんな状況だが、杏梨達はアイスエイジクイーンのカートに切迫した。
「今だ。私もチャンバラに参加せてもらうよ。『この剣に、私の誓いを込めて』!」
杏梨の身体に煌めく星々の聖なる魔力が宿る。
瞬間、杏梨は消えて、アイスエイジクイーンのカートに乗って切迫した。
「来ましたわね!?」
目を見開きながらも氷のメイスとジャッジメントハンマーでがきん、がきんと、杏梨の流星の聖剣と打ち合っていくアイスエイジクイーン。
「聖剣!つまり勇者ですわ!この西のラスボスたるわたくしにいい度胸ですわね!その剣押収致しますわー!」
ジャッジメントハンマーの力によって聖剣を奪おうとするアイスエイジクイーン。
だが、聖剣は聖なる斬撃波を以て攻撃している為、間接攻撃である。まともな打ち合いでないがために押収することができない!
「『星々の加護よ、私に力を与えなさい。そして全てを断ち切る力を分け与えよ!』」
一瞬隙が空いた所を必殺の『コメット・ブレイド』で一閃。
杏梨はアイスエイジクイーンをぶった切りながら飛び抜けていった。
「楽しかった?」
「ん、まあ。とりあえず一撃は入れられたよ。技の情報知らなかったら聖剣取られてたかも。」
「えらい」
「黒絵さんそんなキャラだっけ?」
杏梨に変わってカートを操縦している黒絵が飛んできた杏梨の着地先に回って、カートに乗せた後。
杏梨は黒絵によって片手で撫でられたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
四王天・燦
《うさぎつね》
クイーンと友達になるべく終わったら夕食に行こうと誘ってみる
テフラも行こうぜー
ラビチャンの次はタンクか
企画としてベストマッチだね
カートは罠使いで確認しておく
クイーン側の機体も確認させてくれと頼んで時限爆弾カウントダウンを仕込みます
社交辞令です
テフラとサインを決めておき、ジャッジメントエコー対策対策として氷属性攻撃の符で鼓膜を凍らせておくぜ
残像で攪乱しながらカートを走らせ、稲荷符から炎属性攻撃の狐火を乱れ撃ちして牽制する
テフラにトドメを任せるよ
ホロボシータの予備動作を見切ったら、やられる前に氷華艶舞で敵陣営を氷漬けにしてやるぜ
フラグ故にテフラが巻添えなのはご愛敬
ジャッジメントガールは故意に巻き込むぜ
お茶の間に彼女の氷漬けショーをお届けするのだ
クイーンからのミッションだとマジで思ってます
あとは決戦だ
テフラの氷塊を盾にしてホロボシータを凌ぎ、冷気の合間を見てクイーンに突撃
ジャンプでカートを飛び移って零距離で氷華艶舞を見舞ってやる
これがアタシの氷河期魔法だ!
不慣れな属性だし相打ちかも
テフラ・カルデラ
《うさぎつね》
まだちょっと固まった泥が付着しつつも、なんだかんだで燦さんと合流
わ…わたしもクイーン様とお友達に…(イケナイ妄想)あっ!わたしも同伴したいですぅー!
と、言う事で燦さんとサインを決めて、わたしもカートに乗り込みます
ジャッジメントエコーは【氷結の指輪】で氷のドームを作って防音によって防いで…そして全力の【メデューサの矢】をクイーンに撃ち込みます!
ひゃわわ!?合体氷河期魔法が来ます…あ…あれ?燦さん…?
ちょちょちょ…もしかしてわたしどころかジャッジメントガールさんまで巻き込まれて―――
(氷像と化す兎、その後も燦の盾にされてしまう)
●
「風雲ジャッジメント城も大詰めっス!」
宙ぶらりんにクレーンで吊るされているジャッジメントガールが叫ぶ。
「最期の挑戦者がやってきたっスよ!どんな戦い方を見せてくれるか大注目っス!」
ハンマーを取られた事などもうすっかり落ち込みも消えて実況を嬉々として続けている。強者である。
「…………」
前回のアトラクションで泥の像と化していたテフラが、燦によってずりずりと運ばれている。
「よっしこの辺でいいかな。神鳴!」
「…………しびびばばば!!?」
突き刺した刀から流れる電気によってテフラを固めていた泥は電解し、崩れ落ちて自由を戻した。
「はっ!?ここはどこですか!?目の前にアイスエイジクイーンさんが居ます!?」
「おはようテフラ。大丈夫か?今からアイスエイジクイーンの所だけど気張れる?」
「え!?アイスエイジクイーンさんですか!?」
「そうそう。お前の力が必要なんだ。チーム組もうぜ」
「急な展開ですね!でもわたし一人ではフラグとか妖精さんに頼りっぱなしになる所でしたから、ぜひぜひ!」
「よっし!じゃあチーム名は、狐のあたしと兎のお前と狐のアタシで《うさぎつね》だ!」
「《うさぎつね》……!」
テフラはその響きにどこか感嘆する。
「終わったら夕食に行こうぜ。友達になるべくクイーンも誘ってさ。」
「え!?アイスエイジクイーンさんともですか!?」
急な友好手段がテフラに舞い降りてきた。
実際状態変化フェチである彼らにとって、アイスエイジクイーンは色々と刺激的な存在であった。
「わ…わたしもクイーン様とお友達に…」
テフラはあれこれといけない妄想を始めた。
冷たい食べ物をごちそうされて凍ったり。
ちょっと氷河期魔法を悪戯で使われて凍ったり。
ふとした拍子にいけない感じに凍ったり。
凍ったり……。
「そろそろカートに乗ろうぜー!」
燦がテフラを促した。
「あっ!わたしも同伴したいですぅー!」
「いやお前とは別々にで頼むわ。作戦的に」
「作戦ですか…?」
二人はいざカートに乗り込もうとする。
その前に燦はそのカート、アイスエイジクイーンから支給された絶晶っぽい氷のカートを細部まで確認する。
「罠は無しか」
「お~っほっほっほ!送った塩に爆弾を仕込むタイプだと思って?」
「へっ、ありがてえ。クイーン側の機体も確認させてくれ」
そんな燦の提案に。
「え、嫌ですわよ?ご用意に違法行為なんでもありのバトルなのに何を確認するというのかしら」
アイスエイジクイーンは拒否を唱えた。
「えーっ。そんな事言わずにさ。うちらと性能が違い過ぎたらアンフェアじゃん?」
「その為にカート以外の登場も許可した事ですわよ。先程はキャバリアに乗られて勝負を挑んだ方も居ましてよ。」
先に言うと、燦は送った塩に爆弾を仕込むタイプの猟兵である。
気づいてか気いてないか、アイスエイジクイーンは確認を断固拒否していた。
「……! あ、あの、アイスエイジクイーンさんのそのカートかっこいいですね!」
急に何かを感じたテフラはアイスエイジクイーンのカートを誉めだした。
「お~っほっほっほ!急におだててきましたわね!あたりまえでしょう!ラスボスたるわたくしのカートですわよ!」
「美しいです!」
「お~っほっほっほ!」
「間近でじっくり見たいです!」
「いいですわよいいです事よ!ちょっと裁判官手出しは抜きで。どうぞ。見るだけならタダでしてよ!」
アイスエイジクイーンはテフラに気を許し、騎乗している絶晶のカートを確認させる事にした。
「(ナイスだテフラ!やっぱり持つべきものは同行者だぜ!)」
じっくり、アイスエイジクイーンの立派なカートを眺めまわし、ちらっと座席も見て「うわぁ…!」とその細工に声を漏らす、テフラ。
「やっぱりラスボスさんのカートみたいですっごい立派な作りですー!」
「あ、うん。それで。」
「?」
「……あっ!」
燦はテフラの機転に気を許して、その際にセットする爆弾を渡すのを忘れていた!
「ちょっと、ちょっとこっち戻ってこいテフ」
その時アイスエイジクイーンはがっちりテフラを抱き上げた。
「お~っほっほっほ!うさみみ猟兵確保ですわー!」
「うわああぁぁぁあ!!?」
「テフラー--っ!!!くっそお前なんて羨ましい!」
「間髪入れずにバトルを始めますわよ!最終決戦スタートですわー!」
ガンガンとジャッジメントハンマーを地面に打ち付けるアイスエイジクイーンの号令と共にカートが一斉に走り出す。
最終決戦の火蓋は落とされたのだった。
「ええいままよ!今助けに行ってお茶の間に氷漬けショーを開催してやるからな待ってろー!」
「えええ!?巻き込む気満々ですかー!?」
「ああいやアイスエイジクイーンに言ったんだよ!調子狂うな!」
絶晶カートに乗り込んだ燦。座席が氷でとても冷たいが、幾度もこの手の手合いと戦った燦にはもういつもの事としか思えない。我慢は容易かった。
いかなる動力かアクセルを踏むと凄い勢いでカートは走った。しかも自動操縦機能付きである「こいつはいいな!」。
一斉に走って迫り来る絶滅悪魔裁判官軍団。
燦は稲荷符をばらまいて残像を作り出し、走りながら狐の炎を宿した札を投げまくり弾幕を張る。
「生意気な事を致しますわね!」
氷で出来ている裁判官故に炎の弾幕は効果があり、着弾時に裁判官を少しずつ溶かす。
「その炎、貴方も喰らうといいですわ!裁判を開始しますわー!」
アイスエイジクイーン達が一斉にその手のジャッジメントハンマーを打ち鳴らしに行く。
「(今だ!)」
燦はその動作に連動して狐のサインを手に掲げる。
「(燦さん!)」
何でしたっけ…?と言う風にテフラは兎耳を傾ける。
「バカ!その仕草可愛いなおい。じゃなくて、くそっ!」
燦は稲荷符をぱんと自身の耳に当てると、凍り出し、氷のヘッドホンが取り付けられる。耳栓の様にジャッジメントハンマーの音をかき消していき、洗脳効果をシャットアウトしていく。
さっきのサインはハンマーの音が来るから防音しろというサインだったのだ。
「テフラとか言いましたわね!」
「ひゃわ!?」
いつの間にかアイスエイジクイーンにお姫様抱っこされているテフラ。
「何をしようとしたか正直にお答えなさい!」
つぅ、と身体に這わされる指が氷河期の如く冷たくて、テフラは喘ぎ声を思わず上げた。
「あえっ!っ、ぁ、えっとぉ……たぶん防音しろと言う事かとぉ……」
「貴方は兎でやりづらそうですわね。どうやって防ぐつもりでしたの?」
「魔法で氷のドームを作って、トーチカみたいな状態になって攻撃ごと防ぐつもりでし、ひやん!」
テフラがいけない声を放つ。変な所に指が当たったようだ。
「あらごめん遊ばせ。ところでいい作戦ですわね。気に入りましたわよ」
「へ?」
「ドームと言わず球状でやっておしまいくださいませですわー!」
テフラの指の氷の指輪が勝手に光り輝いていく。
「う、うわーっ!!?」
「なんだありゃ!?」
燦の目の前でアイスエイジクイーンのカートを包むように巨大な氷のボールが出来上がる。
絶晶カートは氷のボールの中をハムスターが遊ぶ滑車の様に走り続ける事で氷のボールをごろんごろんと転がしていく!
結構分厚いのか、周囲の地面がミシミシと転がった跡を残している。重そうだ。
「このまま丸潰しにいたしましてよー!」
「ふざけんなこのやろー!」
燦はハンドリングを利かせてなんとか戦場を回る様に走り続ける。
その間にもやって来る裁判官達のハンマーと氷魔法の攻撃!
「うおおぉ!」
氷魔法は炎の符で相殺し、ハンマーは何とか屈んでやり過ごしていく。
その隙間にも炎の符の弾幕をアイスエイジクイーンに放ってボールを溶かそうともしていく。
「このままじゃ埒があかねえぜ!」
「そうですわね埒があきませんわね」
アイスエイジクイーンは氷河期魔法で氷のボールに幾つか穴を開けた。
そしてカァンカァンと氷のボールにジャッジメントハンマーを打ち付けて、テフラに命令する。
「テフラ、あの穴に向かって射撃を行いなさい。やろうとしていたユーベルコードがあったでしょう?」
「お、お見通しですか…!?」
テフラはこの後石化の矢を放ってアイスエイジクイーンを石化し自由を奪わせ、その隙に燦が畳みかける作戦であったのだ。
今はジャッジメントハンマーの力によって逆にテフラの自由が奪われている。言いなりである。
「撃ってくれたなら懲役10年級、あの猟兵に命中させて石化させたなら1発につき更に20年級の重罪を与えて差し上げますわよ!」
「え、えええ!?いやですー!なんで罪が重くなっていくのですか!?」
「知りませんこと!?この世界ではワルさが命。罪が重い程ワルくて強くて偉くなるのですわよ!」
「その辺の倫理観混乱して意味わからないのですー!!」
「お~っほっほっほ!日々悪くなれですわ!さあ狙って狙って」
「ごめんなさい燦さん。でも石化してくれたらそれはそれで嬉しいので容赦なくいきますね。」
「あら容赦ない」
『刺されば痛み無く生きたまま永久なる石像へ…』
氷のボールの隙間から突如大量の石化の矢が飛んできた!
「うおおおああぁああぁ!?!!テフラが寝返ってきたー!!」
燦は必至にハンドルを切り裁き何とか石化の矢の弾幕に対応しようとする!
ジグザグに避けると、更に左右から裁判官が迫ってくる!
更に更に正面からは氷のボールが押しつぶそうと転がってくるではないか。
万事休すではないだろうか……!
「こうなりゃヤケだぜ!折角余ったこいつをくらえーっ!」
燦はヤケバチになって懐からあるものを取り出し、突如方々にばらまいた。
先程アイスエイジクイーンのカートに取り付けようとしていた、『カウントダウン』と呼ばれる時限爆弾である!
「カウントは取らねぇ!我慢すんなすぐいけ!!!0だ!!!!!」
「!!!!!!」
燦を中心に戦場のあちこちで時限爆弾が次々と爆発していく!
爆風を受けて吹っ飛んでいく絶滅悪魔裁判官達!
爆風を受けて吹き飛ばされていく大量の石化の矢!
「燦さんー!」
「むちゃくちゃやりますわー!」
氷のボールが壊されて吹っ飛んでいくアイスエイジクイーン!
と同時に、燦も爆発と石化でボロボロになっていたカートから飛び出し、アイスエイジクイーンへと切迫する!
「カートは飾りだ!やっぱり直接対決が華ってね!」
「ついに決戦と言うわけですわね…!」
壊れた絶晶カートの残骸を周りに、アイスエイジクイーンと燦は対峙する。
「あ、燦(あきら)さん…!」
アイスエイジクイーンの胸にはお姫様のように抱きかかえられているテフラ。
「これより審判を下しますわ。燦。カートを次々と事故によって壊してしまった罪から無意識下の過失罪で、1日氷漬けの刑と致しますわ!」
「その刑はお茶の間でアンタがするんだよアイスエイジクイーン。そしてその後アタシ達と夕食を共にするんだぜ」
「お~っほっほっほ!ちょっと意味が解りませんが懐の広い悪魔とお見受けしましたわ!やれるものならやってみなさいな」
「……両手塞がってるけど、大丈夫か?」
「ほほ……」
じわりと空気が冷たくなっていく。
「『御狐・燦が命ず。符よ、氷河期魔法と合わさり、凍れる花となりて美しく舞え!』」
燦の手から無数の凍てつく氷河期の花びらが嵐の様に放たれる。
ジャッジメントハンマーの音が鳴り響く。
「『アイスエイジクイーンが命ず。特殊系ドMウサギキマイラよ、わたくしの盾となりなさい!』」
「ちょちょちょちょちょちょちょおーっ!!?」
掲げたテフラから氷魔法が放たれ再び氷の壁が出来、凍てつく花びらが氷で防がれていく!
「今ですわ裁判官!」
周りの裁判官が冷気の魔法を燦に合わせて、極大の氷河期魔法を放とうとする…!
「テフラ、テフラー!」
「ごめんなさいボクもうアイスエイジクイーン様に逆らえないんで…すぅ?」
なんだか体の自由が利く様な気がした。
回り込んだ氷河期の花弁が……テフラの耳についている!
痛みと冷たさでテフラの耳が凍り、ジャッジメントの音をシャットアウトしたのだ!
「まだまだ防ぎなさいませテフラ!氷河期魔法、まだ時間がかかりますわ」
アイスエイジクイーンのジャッジメントハンマーの音が鳴り響く。だがもうテフラにも効かない。
「こ、こうなったら諸共にです!わたくしごとお願いしますぅー!」
テフラが氷の壁を…解除した!
「来たか!」
これこそが燦の策略!後はがら空きのアイスエイジクイーンを氷の花びらで氷漬けに。
「このままテフラを盾にして零距離で仕留めますわーっ!」
「ひやー----っ!!!」
「うおおおおぉお!!!」
テフラ・カルデラに冷気の輝きが増す!こいつテフラをそのまま氷河期魔法の触媒武器にしてやがる!
「ひやあああ!!凍ってしまいますうううう!!」
そしてテフラは正面から来る燦の"氷華艶舞"(アイスエイジ・ブルーム)の氷河期花嵐の直撃も受けてしまう!
たちまち体が氷像の様に凍っていく!
「ひやああああ!!凍ってます凍ってますうううう!!!」
「ショータイムだアイスエイジクイーン!アタシはお前をお茶の間で氷漬けにする為にここまで来た!」
「やれるものならやってみるがいいですわー!」
「これがアタシの氷河期魔法だーっ!」
猟兵達の全方位とテフラから放たれるアイスエイジクイーンの合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』が。
それを放つ事になってしまった完全に凍り付き輝く冷気を漏らし続ける氷像と化したテフラから零れ落ちる氷の涙が。
燦の渾身のユーベルコード"氷華艶舞"(アイスエイジ・ブルーム)が。
一斉に戦場で炸裂した!
極大の冷気の爆発と渦が、テレビ局の屋上で炸裂する。
白き煙、吹雪、凍てつき氷の世界と化した戦場。
カメラが映し出す戦場の中心には。
「「「……………………」」」
氷山の様な氷の塊に閉じ込められた3人の姿が、美しく輝きを放ちながらその場に佇んでいた。
息を呑むような透明な氷にアイスエイジクイーンと、テフラと、燦。
3人はもう動く事も無く冷たく輝きと冷気を放ち続けたまま、お茶の間に静寂を起こし続ける。
「……………………」
それを見ていた空中のジャッジメントガールが、「え、これどうするっスか……?」な雰囲気に包まれる。
それを見ていた、取り囲んでいる裁判官達は……腕を上に交差させて×の字を作った!
戦闘続行不能、降参の合図である!
「おおっとー!これ以上アイスエイジクイーンさんは戦闘不可能みたいっス!なんだか相打ちって感じになったっスねー!」
ジャッジメントガールが纏め出してきたぞ!
「引き分けと言いたい所っスが、これまでにも善戦された猟兵達の活躍も加味して……この勝負、猟兵の勝ち!猟兵の勝ちで決着っスー!」
猟兵の勝利!
それと同時に鳴り響く鈴、巻き起こるファンファーレ!巻き上がる花火!
「よくぞここまで奮闘したっス!今一度、勝者の雄叫びをどうぞっス!」
「「「……………………」」」
氷漬けになった彼らからは返事がない。
「勝利に酔う暇も無いという事っスね!何という強者っス!これにて風雲ジャッジメント城は終了!終了っス!みんなよくぞここまで戦ってくれたっス!ありがとう!ありがとう!」
裁判官達のスタンディングオベーション、そしてエンディングロールの曲が流れ始める。
「だが、ラスボスが倒れても魔界には第2第3のラスボスが現れる。ついでに自分ことジャッジメントガールも現れるっス。この戦いで調子づいた画面の外のアナタ、次回に向けていつでも調子をぶっこいて、挑戦機会を待つといいっスー!」
捲し立てられる様に終幕が降りていく。
「それではごきげんようっス!次回の風雲ジャッジメントも(あれば)、こぞって参加を宜しくっス!その時までには自分のジャッジメントハンマーもかえしてもらえてる筈っス!挑戦待ってるっスー!」
ワイプして消えていくジャッジメントガール。そして画面。
魔界のお茶の間にエンターテインメントを残して、その戦いは終焉を迎えたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴