熾火は赫く昌盛・カオス
●東のラスボス
東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんは、暴走前の段取りと挨拶回りに定評のある悪魔の中の悪魔である。
『7thKING WAR』においても、その挨拶回りと段取りへの熱き取り組みは遺憾なく発揮され、それはもう大変に大好評いただける暴走であった。
大好評な暴走とは一体なんであるのか。
説明しろと言われても、こればかりは筆舌に尽くしがたい。
それはもう見事な暴走であったと言う他無いからである。まあ、雑に言うと猟兵に自宅用の羊羹奪われてぶっ飛ばされた。以上。
である。
そんなざっくりした前フリをしておいてなんであるが、デビキン……即ちデビルキングワールドの何処にも『スーパーカオスドラゴン』さんの姿がないのである。
報告、連絡、相談。
それらを欠かさぬ『スーパーカオスドラゴン』さんらしからぬ事態にデビルキングワールドの悪魔たちは心配していた。
どうしたのだろう。
あの見事な暴走はもう見られないのか。
あーん!『スーパーカオスドラゴン』さんー!
とまあ、そんな具合に悪魔たちは口々に『スーパーカオスドラゴン』さんロスに暮れていた。
だが心配ご無用である。
グリモア猟兵の予知に掛れば、『スーパーカオスドラゴン』さんがどこに言ってしまったのかなんて、まるっとぐるっとつるっとお見通しなのである――!
●親の顔より見た異世界ファンタジー
「もしかして」
「ゲヒャッ!」
「オレサマってば、異世界転生してるんだゼぇ~!?」
三つ首の凶悪なる竜。
それこそが『スーパーカオスドラゴン』さんの異様であった。それは異世界であっても関係なく発揮され、もしもこの世界の人々に発見されたのならば、即座に邪竜として退治されてしまうことであったことだろう。
いやまあ、邪竜って言葉の響きがカッコイイので、それはそれでいいかもなって思ってしまう『スーパーカオスドラゴン』さんであったが、事態はわりと深刻である。
彼の根城であった『カオスの暴走』に『魔王ガチデビル』が生前に撒いた『悪魔契約書』が混じってしまって、異世界に飛ばされてしまったのである。異世界転生ではない。だって、悪魔は強いので。ぶっ飛ばされただけで、死んではいないのである。
「しかし、参ったゼぇ~……タイガー印の羊羹を猟兵さんにカツアゲされていなければ……あっ、いや、進呈していなければ、この事態もどうにかできたかもしれないんだゼぇ!」
「いや、それでもオレサマの『混沌魔法』がこの世界に与える影響の方を考えれば、下手に動けないのは今と変わりなかったはずだゼぇ!」
「ゲヒャ、ゲヒャヒャッヒャッヒャ! どっちにしろ、この世界に混沌を齎す危険性が在る以上は、此処にとどまるしかないんだゼぇ!」
三つ首がそれぞれ現状を正しく理解している。
そう、彼が飛ばされた異世界とは即ち『ブルーアルカディア』である。
その浮島の一つに『スーパーカオスドラゴン』さんは潜み、じっとしているのである。
彼の『混沌魔法』は強力無比である。しかし、ここはデビキンではない。もしも、混沌によってこの世界の人々にご迷惑が懸ってしまっては、東のラスボスとしての名折れ。関係各所に下手に挨拶回りすることもできない。
ここに来て『スーパーカオスドラゴン』さんの段取りができないことは、痛手であった。
「それにあれ……」
「ああ、あれ……」
「ゲヒャッ! あれ困るんだゼぇ……」
三つ首が見やる先にあったのは『エンパイア・ロケット・クルセイダー』が空を飛び、己を探している姿であった。
見るからに邪竜な『スーパーカオスドラゴン』さんを捕らえて手駒にしようとしている屍人帝国の尖兵であった。
だが、『スーパーカオスドラゴン』さんが本気を出せば、屍人帝国なぞ相手にはならないだろう。
けれど、さっきも言った通り『スーパーカオスドラゴン』さんは己の『混沌魔法』による危険性を重々承知しているのである。だから下手に動けない。
「こんな時に猟兵さんたちが着てくれたら、オレサマの『混沌魔法』を弱めてもらえるのになぁ……」
「煽って喧嘩をふっかけて負ければ、この島に与えている影響も弱まるはずなんだゼぇ……!」
「ゲヒャッ! どうにかなれ~!」
そんなふうに『スーパーカオスドラゴン』さんは一つの浮島にジッとしながら、徐々に『混沌魔法』の影響を受けてカオス化し始めている島の様子に危機感を募らせるのであった――。
●7thKING決定戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。皆さんはすでにご存知のこととは思われますが、『7thKING WAR』は終結しました。『ジャッジメントガール』の裁定により、『7thKING』は『猟兵全員が7thKING』ということになりましたが、名誉職として一人を決めようという『7thKING決定戦』が開始されることと相成りました」
ナイアルテはタイガー印の羊羹を誰にはばかること無く口に運んでいる。
そう、それは『スーパーカオスドラゴン』さんの定評ある挨拶回りの折に頂いた手土産である。
お茶ととても合うんですよ、と微笑むナイアルテの顔は完全に羊羹堕ちしている顔である。
「ですが、東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんの姿がデビルキングワールドの何処にも見当たらないのです。どうやら生前に『魔王ガチデビル』がばらまいた『悪魔契約書』の一枚が打ち上げ帰りの『スーパーカオスドラゴン』の自宅……もとい根城であった『カオスの暴走』に混ざり、異世界へと飛ばされてしまったようなのです」
緑茶をすすっているナイアルテ。
大丈夫? 今、グリモアベースだよ? 仕事だよ?
「こほん。『スーパーカオスドラゴン』さんが飛ばされたのは大空の世界、『ブルーアルカディア』です。どうやら『屍人帝国』の軍勢が『スーパーカオスドラゴン』さんを捕らえて手勢に加えようとしているのです。どうせ無駄だと思いますけれど。『スーパーカオスドラゴン』さんとても強いので」
確かに、悪魔という種族を考えた時、『スーパーカオスドラゴン』さんが屍人帝国の手に落ちるとは考えにくい。
放置してもいいんじゃね? て猟兵のみんなは思ったかも知れない。
けれど、ところがどっこいである。
「『スーパーカオスドラゴン』さんの『混沌魔法』によって島がカオス化しているのです。『スーパーカオスドラゴン』さんは島のカオス化を懸念し、動けません」
なるほど。
そこで猟兵たちの出番というわけである。
屍人帝国は見るからに邪悪な『スーパーカオスドラゴン』さんを助けようとしている猟兵達に訝しみ、初動が鈍い。
これをうまいこと利用してぶっ飛ばし、異世界から『スーパーカオスドラゴン』を救うのだ!
「では、よろしくお願いたしますね」
緑茶が染みる、とナイアルテは息を吐きだし、なんとも緊張感のない面持ちで猟兵たちを見送るのであった。
真面目にやれ――!
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは2章構成の戦後シナリオとなります。
『スーパーカオスドラゴン』さんin『ブルーアルカディア』! というわけで『スーパーカオスドラゴン』さんが飛ばされてしまった異世界『ブルーアルカディア』に赴き、狙われているピンチ姫な『スーパーカオスドラゴン』さんを救うシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
『スーパーカオスドラゴン』さんが身を潜めている浮島を包囲している屍人帝国……多分『オーデュボン』と呼ばれる帝国のオブリビオンである『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちとの戦いになります。
ですが、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはみなさんが『見るからに邪悪なドラゴン』と言った風体の『スーパーカオスドラゴン』さんを助けようとしていることが理解できず、勘ぐって『もしかしてここに重要な財宝があるのか?』とか、『なにか別の思惑があるんじゃなかろうか?』と勝手に対応力を下げています。
これを利用するなどすれば、戦いが優位に運ぶでしょう。
●第二章
ボス戦です。
『スーパーカオスドラゴン』さんが身を潜めている浮島は、どうやら『混沌魔法』の影響を受けて『カオス化』しようとしています。
そのためか『スーパーカオスドラゴン』さんは島の環境の変化が気がかりな様子。屍人帝国をぶっ飛ばしても帰ろうとはしません。
さらには、あろうことか助けに来た皆さんに喧嘩をふっかけてきます。なんていうワル!
ですが、ご乱心したわけではありません。
『スーパーカオスドラゴン』さんは、皆さんに喧嘩をふっかけ、負けることによって『混沌魔法』を弱めようとしているのです。
しかしながら混沌魔法『カオスヘッダー』は凄まじい力を持っています。
次々と『新たなスーパーカオスドラゴン』が生み出され、生まれた『スーパーカオスドラゴン』さんもまた『完全同一存在』であるがために、さらに『カオスヘッダー』でもって倍々に増えていきます。
一体だけでも倒すことができれば、『完全同一存在』ゆえに、全ての『スーパーカオスドラゴン』さんは爆発し、一体に戻って『混沌魔法』の力が弱まり、デビルキングワールドに変えることでしょう。
爆発しても死にません。安心してください。東のラスボスで悪魔ですよ。
それでは、7thKING決定戦を戦い抜く皆さんの物語となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』
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POW : 我ら聖なる槍を振りかざし
【ロケット噴射】によりレベル×100km/hで飛翔し、【狂える信仰心】×【狂える正義】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 神は己のものを知り給う
自身が戦闘不能となる事で、【攻撃中の】敵1体に大ダメージを与える。【己が信仰する神への祈りと願い】を語ると更にダメージ増。
WIZ : 神の御業は偉大なり
【不屈の覚悟と不屈の信仰を込めた言葉】によって【天から射す聖なる光】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:スダチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
屍人帝国『オーデュボン』の尖兵である『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは浮島にて一匹の三つ首竜が潜む姿を確認していた。
あれだけの凶悪な威容に彼等は己たちの戦列に加える魔獣としての価値を見出す。
確かにその眼は正しい。
しかしながら、彼等は知らない。
『スーパーカオスドラゴン』がクッソ強い悪魔であることを。
いいか、耳をかっぽじってよく聞けよ!
あれなるは東のラスボス!
混沌の体現者『スーパーカオスドラゴン』さんやぞ!
とまあ、こんな地の文が彼等に届いているわけないのである。
そんなことなど露知らず、彼等は浮島を包囲する。
そんでもって『スーパーカオスドラゴン』さんが『混沌魔法』によって、己が潜む浮島を『カオス化』させぬために敢えてひっそり潜んでいる事もわからず、彼等は返り討ちにあうこと必至な突撃を行おうとしていた。
「突撃準備は良いか」
「ハッ! すでに捕縛の手はずも整えてあります!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはまだ『スーパーカオスドラゴン』さんを魔獣の類だと思っているのだろう。
無知とは罪である。
「――……なんだ? あれは……猟兵か!」
彼等は気がつく。
続々と転移してくる猟兵たちの姿に。彼等が何故か『スーパーカオスドラゴン』を護るように布陣し、己たちと敵対しようとしている。オブリビオンである以上、猟兵と戦うことは当然のこと。
だが、あれだけ凶悪な姿をしている邪竜の如き『スーパーカオスドラゴン』を救おうとするように動いていることに彼等は訝しむ。
「何故、あれを助けようとする……? まさかっ!」
「あの浮島に財宝が……いや、レジスタンスの残党がいるのかもしれません!」
「ならば、奴らの妙な動きにも納得できる。どうする……どちらを優先すべきだ……!?」
彼等は勝手に誤解し、勝手に二の足を踏んでいる。
柔軟な対応を奪われ、初動が遅れた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たち。彼等をぶっ飛ばし、今こそ『スーパーカオスドラゴン』さんを救うときである――!
月夜・玲
あー、羊羹こっちに飛ばされてたんだ…
見た目も無駄に強そうだし帝国も躊躇してるや
ウケる
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:UG】を起動して私も飛翔
戦闘を始める前に、一声掛けておこう
ふっふっふ…オーデュボン帝国も気が付いたようだね
奴の持つ秘宝に
タイガー印の羊羹、奴の持つ甘味
その重要性に!
だが、君達に渡すわけにはいかないのだよ!
というわけで、話している間に戦場全体に自重で潰れるほどの重力放射
そして動きが鈍った敵に『斬撃波』を放って落としていこう
更に加速してすれ違いざまに『なぎ払い』撃墜していこう
羊羹の魅力に人は抗えない…
それは帝国も同じって事かな
違う?
そうだと言え!
大空の世界『ブルーアルカディア』に『悪魔契約書』によって転移してしまった東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さん。
今は浮島でじっとしているが、それを包囲するように取り囲む屍人帝国『オーデュボン』の『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはどうにも攻めあぐねていた。
何故ならば、浮島に転移してきた猟兵たちが、あの邪悪な竜の如き威容を誇る『スーパーカオスドラゴン』を倒すのではなく、まるで助けるように展開しているからだ。
「……やはり、あの竜は猟兵たちにとっても重要な位置づけのようだな……」
「ここは奴らに先んじて、この浮島に存在しているであろう情報を本国に持ち帰るのが先決かと」
「よし、ならば奴らを殲滅し、我ら『オーデュボン』の威光を空に示すのだ!」
彼等は狂える信仰心と共に空を駆け抜ける。
ジェット噴射は凄まじい加速で持って『スーパーカオスドラゴン』さんに迫るのだ。
彼等は勘違いしていた。
『スーパーカオスドラゴン』は確かに怖そうな顔をしている。
けれど、彼は悪魔であり、性根も善良そのもの。さらには暴走前の段取りと挨拶回りに定評のある東のラスボスであるのだ。ラスボスの意味とは。
「あー、羊羹こっちに飛ばされてたんだ……見た目も無駄に強そうだし、帝国も躊躇してるや」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、ぷすーって笑っていた。ウケるって、ぷーくすくすぷーって笑っていた。
しかも今、『スーパーカオスドラゴン』さんのこと羊羹って言った?
いやまあ、羊羹持って挨拶回りしていたし、玲さん羊羹カツアゲしていたし、『スーパーカオスドラゴン』さんの印象が羊羹で固定されていたのだろうけれど、流石にそれどうなのかなぁって思わないでもない。
けれど、玲さんは一味違うワルである。
転移して即座にためらっていた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを前に言い放つのだ。
「ふっふっふ……『オーデュボン』帝国も気がついたようだね」
すごい意味深!
なんかオーラからして緊迫した雰囲気が漂っている! 玲さんは演技派であった。さっきまでプークスクス笑っていた人とは思えないワルな顔をしている。
あれ、どっちが屍人帝国かなって感じであるが其処は置いておく。
「やはり……! 猟兵、貴様たちの狙いは……!
「そう、奴の持つ秘宝……」
くっ! と『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは己たちの判断の遅さに歯噛みした。発見した時に即座に攻撃を仕掛けけていれば、あの邪竜を護るように転移してきた猟兵たちをだしぬけたというのに。
なんていうことだ、と彼等は己たちの失態を取り戻さんと空を駆ける。
「……タイガー印の羊羹、奴のもつ甘味。その重要性に! だが、君たちに渡すわけにはいかないのだよ!」
……なんて?
一瞬時が止まる。
羊羹? タイガー印? あの猟兵は一体何を言っているんだと『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは首を傾げた。
え、羊羹? 今羊羹って言った? あの黒くて甘くって、ねっとりしている? たまに栗が入っていると嬉しくなるあれ?
あ、つぶあん派? 俺は塩羊羹派! 抹茶もいいぞ! と『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは手を挙げる。
完全に隙だらけであった。
なんか緊張感がなくなったが、玲さんは狙い通りと瞳をユーベルコードに輝かせる。
「というわけで雑に、重力制御開始。地の理は今此処に――Code:U.G(コード・アンロック・グラビティ)!」
重力制御形態に変身した玲さんの抜き払った模造神器より放たれる重力波。
それは放射され、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちのジェット噴射の推力すらも抑え込み、空に固定するのだ。
「ぐぅ!? 馬鹿な……! 塩分も糖分もスムーズに補給できる塩羊羹が至高だと何故わからん!」
「抹茶の風味の良さがわからないで何が甘味だ!」
「って、言ってる場合じゃ――!?」
ぐわーって派閥が出来ていがみ合っていた『ロケット・エンパイア・クルセイダー』たちが玲さんの放った雑な斬撃波にぶっ飛ばされて落ちていく。
「ふっ……羊羹の魅力に人は抗えない……それは帝国も同じってことかな」
いや、違うと思う。
うん、違う。けれど、玲さんの眼は笑っていなかった。あっ。マジのやつだこれ。
そうだと言え! と眼力が言ってる。
有無を言わさぬ玲さんに浮島でジッとしていた『スーパーカオスドラゴン』さんは、カツアゲのシーンを思い出してブルってしまうのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
タイガー印のようかん、おいしそうだったですー
くぬぎもようかん食べたいです
スーパーカオスドラゴンさん、ポケットに入れたままわすれてるようかんとかないですかね?
そんなことかんがえてたら、なんかいっぱいひとがきたです
まさか、あのひとたちもようかんをねらってるですか?
あんなにたくさんきたら、もしようかんがあったとしても、あっというまに無くなっちゃうです!
タイガー印のようかんはくぬぎがいただくですよ!
お宝(ようかん)はくぬぎのものですー!
敵のひとたちがこっちの様子を見てるうちに、フェニックスキャノンで即攻撃しちゃうですよ
あとは放っといても勝手に燃え続けるです
もきゅー、ようかん食べたいですー
三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)はモーラットである。
毛玉のような愛くるしい姿。
探検大好き、好奇心いっぱいで何でも触ったり食べたりするのが好きなモーラット。くそぅ、可愛いなぁ!
しかしながら、探検中は何でもかんでも触ったり食べたりするせいか、体にいろんな耐性ができているのは、モーラット故であろうか。それとも猟兵であるからであろうか。
今日もご主人からもらったお花型お虫かごと虫取りアミでもって、大空の世界『ブルーアルカディア』を探検するのである。
しかし、彼女が見たのは一つの浮島。
そう、ここにはデビルキングワールドに存在した東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんがジッと隠れているのである。
「タイガー印のようかん、おいしそうだったですー」
くぬぎも羊羹食べたいです、と呟く彼女にグリモア猟兵は一口あげなかったのだろうか。あげてもいいじゃないか! 帰ってきたら食べましょうね!
いや、もしかしたら『スーパーカオスドラゴン』さんのポッケに入れ忘れたままとかないだろうかと、くぬぎは思わないでもない。
そういうこともあるかもしれないと一縷の望みを捨てないのは良いことだ。
そんなことを考えていたら、くぬぎの周囲に飛び交うジェット噴射の噴射煙。
「む……っ! ここにも猟兵がいるか! やはり、あの邪竜の如き魔獣は奴らにとって捨て置けぬ存在であるということか!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが、くぬぎの姿を認めて、彼女の周囲を取り囲む。
「まさか、あのひとたちもようかんをねらってるですか?」
「ヨウカン……それが財宝の名か!」
違う。違う。違う。誤解ですってば! となるほどの勘違い。入れ違い、錯綜する情報!
くぬぎは首をかしげるも、もしも、羊羹が残っていたら『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに根こそぎ奪われてしまうと思ってしまった。
ならば、どうするか。
話は簡単である。オブリビオンである『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはぶっ飛ばす! そんでもって!
「タイガー印のようかんはくぬぎがいただくですよ! お宝はくぬぎのものですー!」
あ、そんなふうに声をあげてしまえば、敵の注目を浴びてしまう。
けれど、くぬぎはそんなこと意に介さないのである。彼女の瞳がユーベルコードが煌めく。
「フェニックスキャノンですー!」
くぬぎの体から膨れ上がる炎が、不死鳥のオーラとなって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちへと放たれる。
それは不意打ちというか、なんていうか、こっちの様子を伺っている隙を突いたものであった。
まあ、なんていうか『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが勝手にこっちの目論見を推察して間違って勝手に攻めあぐねていただけなのであるから、不意打ちっていうのもまた違う気がする。
その不死鳥のオーラは消えることのない魔炎である。
「消えぬ……! このユーベルコードの炎は!」
「あとは放っておいても勝手に燃え続けるです」
そう、くぬぎの炎はファイアフォックスの炎。消えることのない魔炎は一度、その身に宿ればどうあっても消えることはない。
くぬぎはモーラットであるがゆえに、己の体を常に露出している。そうなれば、その威力はさらに跳ね上がり『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが抵抗するまもなく燃え尽きてしまうだろう。
「くっ、クソ! やはりあの浮島に居る邪竜は猟兵たちにとって重要なものか……ぐわー!?」
すごく雑にであるが、くぬぎの炎が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを燃やし続ける。
そう、くぬぎは燃えていた。
何にって言えば、羊羹のためにである。あの美味しそうな羊羹。
もしも、『スーパーカオスドラゴン』さんがポッケに忘れたままであったのならば、くぬぎは一緒に食べさせてもらおうと思っていたのである。
「もきゅー、ようかん食べたいですー」
その言葉を『スーパーカオスドラゴン』さんは浮島でジッとしながらポッケの中を弄る。いや、ポッケって何処に在るんだ? と思わないでもなかったが、それはそれである。そういうもんなのである。あれだよ、異次元式のなんかそういう便利アイテムがあんだよ! と言う具合である。
果たして、くぬぎはタイガー印の羊羹にありつけるのか、ありつけないのか。
此度のくぬぎの冒険は、まさに今クライマックスに差し掛かろうとしていた!
……クライマックス、早くない――?
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷
やれやれ、『静かなる者』の懸念が当たったか…。
しかも、知っとる相手が巻き込まれるとは。
霹靂に乗っていこう。
重要なものがあるのだ、蔓延らせぬて!(嘘は言ってない)
さて、近づかぬようにせねばな…というわけで、炎+生命力吸収をつけたUCにて遠目より射撃攻撃である。そのまま、落ちるがよいよ。
まあ、霹靂が羽による雷属性結界張っておるから、簡単には近づけぬがな?
※
陰海月、スーパーカオスドラゴンのファン。心配。ぷきゅー。
霹靂、まさかの故郷騒動にビックリ。クエッ!?
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『静かなる者』は懸念していた。
それは『魔王ガチデビル』がバラ撒いた『悪魔契約書』の処遇である。
生前にバラ撒いていた『悪魔契約書』の多くは猟兵達によって回収されていた。けれど、僅かな一枚が『スーパーカオスドラゴン』の根城である『カオスの暴走』に巻き込まれ、その力を発揮してしまっていたのだ。
「やれやれ、『静かなる者』の懸念が当たったか……しかも、知っとる相手が巻き込まれるとは」
『侵す者』は、浮島にてジっとしている『スーパーカオスドラゴン』さんの姿を認め、息を吐き出す。
わりと『スーパーカオスドラゴン』さんは洒落にならん強さを持つ悪魔である。
東のラスボスと言わしめた力は、言うに及ばず。
『混沌魔法』である『カオスヘッダー』によって『完全同一存在』を倍々に増やしていく力は、まさに混沌の体現者。
あの強力な邪竜のごとき威容は伊達ではないのである。
しかも、挨拶回りと段取りに定評がある! なんとも素晴らしいことであろうか。
だがしかし、転移した先が『ブルーアルカディア』であるというのは、不幸中の幸いであったことだろ。
「あやつの『混沌魔法』の影響があるのは言うに及ばず……されど、浮島だけで、他に波及するのに時間がかかるのは行幸であったな」
そう、もしも、ここがUDCアースや他の世界であったのならば、『混沌魔法』の影響は地続きに広がり手が付けられなくなっていたかもしれない。
というか、まあ、そのー、『スーパーカオスドラゴン』さんの姿かたち的に、『ブルーアルカディア』が一番似合っているような気がしないでもないからっていう偶然も働いていたのかも知れない。
「猟兵どもめ、やはり集まってくる……!」
「あれがやはり奴らの狙いか!」
『侵す者』は『霹靂』にまたがり、空を駆ける。敵である『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの足並みが揃わぬ今こそが好機なのだ。
「重要なものがあるのだ、蔓延らせぬて!」
そう告げ、『侵す者』は空を疾走する。嘘は言っていない。確かに重要なものである。羊羹とかね。割と重要であるし、あと『スーパーカオスドラゴン』さんも重要な存在である。
彼の力が暴走してしまえば、世界はたちまちにカタストロフ真っ逆さまの急転直下の怒涛の破滅模様になってしまうからだ。
空模様が荒れ狂ってしまっては、この世界に生きる人々が危うい。
「我らが神に奉ずる!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』の一体が、己たちの不手際を補うように、己の肉体すらも贄としてユーベルコードを発露させる。
その力はユーベルコードの光となって『侵す者』へと迸る。
だが、その一撃が放たれるより早く、打ち込まれるは呪詛によって黒くそまった弓から放たれる分裂し、追尾する矢であった。
「四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)――近づかせぬよ」
炎をまとった矢が空中を走り抜け、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの体を射抜く。
さらに迸るユーベルコードの輝きは、『霹靂』の翼が雷の力でもって結界を張り巡らせ、『侵す者』には届かせない。
「クエッ!」
影の中では『陰海月』が『スーパーカオスドラゴン』さんのファンゆえに心配している。
ならば、己の友が心配する『スーパーカオスドラゴン』さんのためにこそ『霹靂』はがんばる。というか、故郷での騒動に今もちょっとびっくりドキドキである。
『侵す者』はもう祖父気分であるから、彼等の動揺やら、憧れの『スーパーカオスドラゴン』さんにもう一度会えるとワクワクドキドキしている孫たちの姿にニッコニコしているかもしれない。
ともあれ、『スーパーカオスドラゴン』さんとの握手会。いや、そんなのないけど、彼のためにこそ戦う『侵す者』の矢は『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを逃さない。
そう!
「悪霊からは逃げられない――」
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
何も知らない方からしたら魔獣にしか見えないのは当然ですわ
大暴れされる前に元の世界へお帰り願うのですわ
本日のヴリちゃんはゲイルカイゼルですわ
戦う前に一応警告しておくのですわ
もしもーし!オーデュボンの方!
そのドラゴンに近付いてはなりませんわ!怒らせたら世界がカオスアルカディアになってしまいますわよ!
聞き入れて貰えないのは分かっておりますわ
言葉が通じない相手には…デストロイですわ!
ヴリちゃん!ハイパーブーストで体当たり勝負ですわ!
真正面から突撃してデストロイですわ
向こうも突っ込んで来ますのでマシンガンを連射して速度を鈍らせておくのですわ
体当たりしたら大きくぐるっと旋回してまたしても体当たりですわ
東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』の威容は、確かに邪竜であった。
三つ首に翼、獰猛なる顔。
まさにラスボスの中のラスボス。
世界だって普通に滅ぼせそうな姿である。はっきり言って怖い。
だが、それは『スーパーカオスドラゴン』さんのことを何も知らないからである。もしも、『スーパーカオスドラゴン』さんのことを知っていたのならば、彼がどれだけ暴走前の挨拶回りと段取りに長けた気遣いの悪魔であるかがわかるだろう。
けれど屍人帝国『オーデュボン』のオブリビオンである『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちにはわからないことである。
完全に見た目だけで、こいつはきっと強い魔獣であるぞと判断したのだろう。いやまあ、それは確かに間違ってはいないのである。
確かに強い。
強いけど、彼等では御しきれないたぐいのやつである。
「何も知らない方からしたら魔獣にしか見えないのは当然ですわ。大暴れされる前に元の世界にお帰り願うのですわ」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は同じく凶暴な風貌をした己の乗機である『ヴリトラ・ゲイルカイゼル』を駆り、大空の世界『ブルーアルカディア』を飛ぶ。
とにかく速い。
それが『ヴリトラ・ゲイルカイゼル』の特徴であった。
「もしもーし!『オーデュボン』の方!」
メサイアは全周囲に向かって音声を届け、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに呼びかける。
戦場にあって、そのように呼びかけることなど普通はない。というか、オブリビオンと猟兵の間柄は滅ぼすか滅ぼされるかでしかない。
ならば、そうやって呼びかけるのはなにか裏があるのではと思わざるを得ないのだろう。『エンパイア・ロケット・クルセイダ-』たちの動きが止まる。
「そのドラゴンに近づいてはなりませんわ! 怒らせたら世界がカオスアルカディアになってしまいますわよ!」
その言葉に真実はあるのか。
いや、わりとある。マジでそうなる。『混沌魔法』は周囲に影響を及ぼす。『スーパーカオスドラゴン』さんが今ジッとしているのは、その力によって周囲をやたらめったらにカオス化させないためなのだ。
流石気遣いの悪魔!
だが、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは聞き入れない。
「いいや、お前達猟兵は、我らを謀ろうとしているな!」
「この浮島、そしてあの魔獣が守っているであろう財宝を我らに横取りされぬための方便と見た!」
メサイアは悲しげに……いや、そんなに悲しげな顔をしていない。
むしろ、こうなるであろうことは予想できていた。わかっていたのだ。ならばどうするか。
答えは簡単である。
「言葉が通じない相手には……デストロイですわ!」
メサイアの瞳がユーベルコードに煌めく。
瞬間、『ヴリトラ・ゲイルカイゼル』の推進装置が凄まじい勢いで噴射光を放つ。その加速は、一瞬で最高速度へと機体を到達させる。
この大空の世界にあって空を飛ぶことは当然のこと。『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちもまた大空の覇者。しかし、『ヴリトラ・ゲイルカイゼル』は、その速度を更に上回る。
「ヴリちゃん!」
メサイアの言葉に応えるように『ヴリトラ』のアイセンサーが煌き、暴竜猛襲(ハイパーブースト)たる勢いで真正面からデストロイである。
そう、サーチ・アンド・デストロイ。
いやさ、デストロイ・アンド・デストロイ! 見敵必殺もびっくりなくらいの勢いで『ヴリトラ』は加速を一切緩めぬままに『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちをぶっ飛ばしていくのである。
牽制のマシンガンの連射なんて必要なかったんじゃないか? というくらいに『ヴリトラ』の速度に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはついていけない。
「速い……――ッ!?」
その言葉が彼等の最期の言葉であった。
メサイアの言葉通り『ヴリトラ』は次々と飛翔する彼等と激突し、ぶっ飛ばす。一撃で倒せなければ、ぶっ飛ばせるまでぐるっと旋回し、またしても体当たりするのだ。
その姿はまさに暴竜そのもの。
メサイアの手繰る暴竜こそが、この場において『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちにとって妥当しなければならない魔獣であったのだ。
けれど、気付くことが遅かった。
最早、彼等に慈悲はない。
そう此処にあるのは!
「当たって砕くのですわ!」
そう、『スーパーカオスドラゴン』さんの暴走に匹敵する爆走暴竜であったのだから――!
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎
人(悪魔)を見かけで判断するとは……。
まだまだデスネ、オーデュボンのオブリビオン!
スーパーカオスドラゴン殿には手出しさせマセーン!
「六式武装展開、雷の番!」
全身を帯電させて高速突進!
空中を縦横無尽に滑走して、グレネードランチャーや火炎放射器を放ちマース!
HAHAHA!
そちらが槍でのチャージ(突進)を得意とすることは見てわかるので、周囲に気を配り包囲されないよう動きつつ、距離を取って射撃武器での攻撃で落としマショー!
状況次第では真っ向勝負でも良かったのデスガ、今回の目的はスーパーカオスドラゴン殿の救出でありますからな。
不要な疲弊を避けて、堅実に戦って参りマース!
人は見かけによらないものである。
雨の降りしきる中、捨て猫に傘をさしてあげるツッパリ少年にトゥンク……ってする文学少女がいるように、己の混沌魔法に世界を巻き込まぬために敢えてジッとして、暴走をこらえているラスボスだっているのだ。
だがしかし、屍人帝国『オーデュボン』の『エンパイア・ロケット・クルセイダー』達はそれを解することはない。
オブリビオンに情緒を察しろというのが無理な話なのだ。いやそうでもない気もするけれど、少なくとも『オーデュボン』のオブリビオン、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』はそうではなかったのだ。
「人を見かけで判断するとは……」
あ、悪魔ね。ルビで悪魔って打ってます。
彼等の行いにバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はため息を吐き出す。
そう、彼等は『スーパーカオスドラゴン』さんをただの魔獣だと思っているのだ。
馬鹿め、そこにいるのは東のラスボスだぞ!
いや、世界がヤバいことには変わりない。
「まだまだデスネ、『オーデュボン』のオブリビオン!『スーパーカオスドラゴン』殿には手出しさせマセーン! 六式武装展開、雷の番!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
全身を迸る電撃で覆い、高まっていくの乗れの気合のボルテージに比例するように彼女は全身に帯電させた力でもって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』に突撃する。
空中を縦横無尽に滑走し、グレネードランチャーや火炎放射器でもって彼等を翻弄するのだ。
「HAHAHA!」
「奇っ怪な笑い声を上げおってからに!」
「やはり、あやつらが此処まで出張るということは、あの魔獣は相当に重要な役割があると見た!」
彼等の言葉は確かに正しい。
けれど、バルタンは笑う。彼等の推察が正しいか正しくないかなど、この期に及んで必要なことではない。
何故ならば、どれだけ彼女を攻撃しようが、上がりっぱなしの気合によってバルタンを『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが捉えられないからだ。
「槍の届かぬ場所で……! こちらが一方的にやられるだと!」
グレネードの爆発が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを飲み込んでいく。
そう、彼等は大空の覇者であるが、遠距離の攻撃手段を持っていない。
バルタンは槍による突進をさせぬため、距離を開けたまま迎撃しているのだ。
「不要な疲弊は避けるが吉デース!」
バルタンにとって、彼等の排除は二の次である。
今回の戦いにおいて必要なのは『スーパーカオスドラゴン』の救出だ。ここで目的を履き違えては、戦いの意義の根底がひっくり返るというもの。
バルタンは、聞きようによっては奇っ怪に聞こえる笑い声をあげているが、しかしながらクレバーな戦術家でもあるのだ。
彼女は間違えない。
「見る目がないから敵との間合いを測れないのデース!」
火炎放射器の炎が近づこうとする『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを退け、さらに放たれるグレネードの爆発の中に飲み込ませていく。
戦いは数ではあるが、ここまで極端に速度が違えばブルーアルカディアで戦い慣れたオブリビオンであったとしても彼女の敵ではない。
「堅実に戦って参りマース!」
そう、今回のバルタンはひと味違う。
クレバーでありハイソサエティ!
頭脳戦でもって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』との戦いを制した彼女は、次なる戦いへと視線を向ける。
そう、この次に控えているのは、毎度おさわがせします!『スーパーカオスドラゴン』さんであるからだ――!
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
私達がタイガー印の羊羹を頂いた結果、スーパーカオスドラゴンさんがご近所に挨拶回りできなくなって困らせてしまったかも💦
お助けに参りましょう!
ブルーアルカディアに合わせてETママチャリで空を移動しますよ~。
クルセイダー達の攻撃は、第六感で予測して、見切り・運転・空中機動で躱します。場合によっては念動力で真横に移動して回避。
念の為、オーラ防御も纏います。
天候操作で雲を出したり、大型化させた天耀鏡で【天から射す聖なる光】を塞ぎ、UC:煌月舞照にてクルセイダー達を包囲攻撃です。
必要に応じて雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱による雷をぬいぐるみの目から発射(スナイパー・貫通攻撃)!
撃ち抜いて倒しますよ。
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、ちょっとしまったなーって顔をしていた。
なんでそんな顔をしているのかというと、彼女の手元にあるタイガー印の羊羹のせいである。
いや、羊羹一つでそんな憂いを帯びた顔をできるのは、やはり神性であるからであろうか。女神ともくれば、どんなことでも秒で泣けるのかもしれない。あるわけないだろそんなこと。
しかし、現に詩乃は憂いていた。
じゃあ何をって話になるのであるが、彼女は『スーパーカオスドラゴン』の身をあんじているのである。
「私達がタイガー印の羊羹を頂いた結果、『スーパーカオスドラゴン』さんがご近所に挨拶回りできなくなって困らせてしまったかも……」
そう、手元にタイガー印の羊羹があれば、きっとブルーアルカディアであっても暴走の段取りをとって、関係各所に挨拶回りしていたはずなのだ。
けれど、それが出来ていないということは、想定外に多く配りすぎてストックがなくなったからだと彼女は思っているのだ。
違うぞ。
猟兵に羊羹のカツアゲされたからだぞ。
羊羹のカツアゲとは一体……となるが、詳しくはWebで!
「お助けに参りましょう!」
そんな事情なんてまるで知らない詩乃は、すっかり急ぎ足でママチャリで来た! いや、なんて?
ママチャリ? なんで?
説明しよう!
詩乃の駆るママチャリは、天使核を動力としたママチャリである! カゴには宇宙人のぬいぐるみが鎮座している。
やべーぞ! 訴えられたら負けるやつじゃんこれ! そんな危険な乗り物に乗った詩乃はさっそう空を飛び、浮島に駆けつけるのだ。
「……なっ、なんだあれは!?」
「しゃ、車輪の意味は……というか、どういう原理で浮いているのだ!?」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは動揺している。
しかし、詩乃的にはブルーアルカディアに合わせているつもりなのである。正直世界観ちょっとこう、えっと……そのぉってなる感じであるのだが、詩乃事態は大真面目である。
そんな顔していたら、オブリビオンだって動揺するってもんである。
「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」
ユーベルコードによって生み出された神力によるオリハルコンの薙刀の群れ。
それは自在に空中を飛翔し、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを包囲し、次々と雲海に叩き落としていくのである。
さらにカゴに鎮座した宇宙人のぬいぐるみの瞳から雷が発射される。
もうどうなってんだよ! とツッコミ役がいたのならば、そうツッコまれても仕方のないほどのカオスな状況。
詩乃が大真面目であればあるほどに、この状況を説明し、取りまとめることは困難になっていく。
東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんだってちょっとためらうほどのカオスっぷり。というか、完全に詩乃は暴走している。っていうか、やりたい放題である。
乱舞する薙刀。
眼からビームっていうか、雷ぶっぱする宇宙人のぬいぐるみ。空飛ぶママチャリ。
一体誰がこれを想像できるだろうか。
「こ、こんな馬鹿なことがあってたまるか……! なんだ、あのでたらめな数は!」
「それよりも、あの奇っ怪な生物……生物なのか、あれ? あれから打ち出される雷がヤバい!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは、動揺しまくりである。
むしろ、よく今までがんばってこれたなって具合でもあった。
しかし、詩乃は容赦しない。
大真面目な顔してユーベルコード、煌月舞照(コウゲツブショウ)の力を振り絞るのだ。
「私達のせいで『スーパーカオスドラゴン』さんが大変なのです。私達ががんばらないでどうするのです!」
いや、頑張る方向性が違う気がする。
けれど、多分誰も詩乃を止めないだろう。いや、止めようがないっていうのが正しいのかも知れない。
それほどまでに苛烈にして真剣な詩乃の神力の発露は、大空に迸るのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
羊羹貰ってたんなら仕方ないネ
後で略奪するか!
雑な攻撃でもいいよね!必殺技をくらえ!
敵を前にして唐突にズギャーz_ン!な感じの無駄に洗練された無駄のない無駄にカッコイイポーズ!
別にふざけてる訳ではないでござるよ、拙者はふざけながら戦ってるだけでござる!
拙者のこのグラ…UCは視線を向けた先に突如爆発を起こすワザ…つまり動きはあくまで敵の自爆発動のタイミングを外させる偽装なんでござる
見切れるかな?拙者のカッコいいポーズの合間に繰り出される攻撃をなァ!
サイドチェスト!ラットスプレッドバック!飛び六方からのイヨォー!(ポンポン)
ポージングも飽きてきたな…面倒でござるし羊羹食いながら撃つか…
袖の下って大切である。
おおっぴらに受け取るのは憚られるし、そしてもらったからといて応える義理もないものである。
けれど、大切なのは心配りなのだ。
それを身を以て証明しているのが悪魔の中の悪魔、東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんである。
彼は暴走前に必ず挨拶回りと段取りの確認を行う、大変にワルな悪魔なのだ。
ゆえに、タイガー印の羊羹は大切なものなのだ。
「羊羹貰ってたんなら仕方ないネ。後で略奪するか!」
物騒なことを物騒な顔で言うエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。
羊羹は奪うものって授業でも習ったもんね。仕方ないね。ってなるわけがない。奪うな、勝ち取れ! さすればあたえられん!
そんな具合で彼はブルーアルカディアに転移する。親の顔より見た異世界。いや、そんなに見ているわけではないはずであるのだけれど、よくあるゲームの名前的なそんな意味でよく見る感じであった。
大丈夫? メタの壁ぶちぬいてない?
「というわけで必殺技をくらえ!」
すごく雑に登場したエドゥアルト。
なんか奇妙なポーズをしている。具体的に言えば、ズギャーz_ン! なるほどわからん。
けれど、そのポーズが無駄に洗練された無駄の無い無駄にかっこいいポーズであることがわかる。
具体的に言えば、エドゥアルトの奇妙な冒険ってタイトルのコミックスの表紙になっていそうな感じのポーズであろう。多分。自信ないけど。
そんなエドゥアルトに『ロケット・エンパイア・クルセイダー』たちは戸惑いっぱなしである。
完全に虚をつかれていた。
ていうか、何かの見間違いかなって思うほどであった。
「な、何をふざけているのだ!」
「別にふざけている訳ではないでござるよ、拙者はふざけながら戦っているだけでござる!」
「じゃあ、ふざけてんじゃねーか!」
そんな彼等のツッコミをエドゥアルトはさらりと受け流し、キラリと瞳をユーベルコードに輝かせる。
わー、すごい雑ぅー!
「リア充爆発しろ!」
サイコフォースの一撃がグラビティを射出することによって、彼が視認した全てに突如として発生する爆発でもって攻撃するのだ。
そう、このグラ……今、グラビティって言おうとした? そのユーベルコードは視線を向けるだけで爆発させる恐るべき力。
カッコイイポーズは、あくまで敵の自爆発動タイミングを外させるための偽装なのであるが、エドゥアルトは不敵に笑っていた。
その笑い方嵌りすぎである。
どう見たって嘘くさい。怪しさプンプンしている。
「見きれるかな? 拙者のカッコイイポーズの合間に繰り出される攻撃をなァ!」
どっちが悪役かわからん。
はい、サイドチェスト! ばりーんって服が脱げることはない。そのポーズするなら服爆発して脱げないといけないだろ! って色々危ない橋を渡るエドゥアルト。
さらには、ラットスプレッドバック! 広背筋が天使の翼に見えてくる! お前の広背筋、鬼神が宿ってる! オーガもびっくりだよ!
そんでもって飛び六方!
いやもうマスキュラー的なあれは関係ない!
節操なしすぎるエドゥアルトのポージングに『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは翻弄されっぱなし。
「イヨォー!」
ぽんぽんって鼓の音が聞こえてくる始末。
もはや戦場はエドゥアルトという混沌に支配されていた。爆発が響き渡り、鼓の音なんて多分もう敵には聞こえていないだろうけど、そんなことぁ関係ない!
大事なのはやり抜くことなんだよ!
「ポージングも飽きてきたな……面倒でござるし羊羹食いながら撃つか……」
めんどくせってエドゥアルトは完全に飽きた顔で羊羹をかじりながら、ねぞべりながら雑に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを爆発させていく。
どうしてそんなひどいことするんです? 泣いている『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちだっているんですよ――!?
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
うーむ。よりによってあやつか……
なんか縁でもあったの?前世とかに
という訳で困っている者(現地民じゃないが)がいる訳なので助太刀するぞ!
向こうが混乱しているのなら思いっきりやった方がよいよな?
という訳でちょっと翼を肉体改造で大きくして……こんなもんかな?
よし、思いっきり飛翔、奴らの前に姿を晒しブレスを吹き付け威圧しつつ、
さあ来るがよい【天空魔王城塞】&『ワルルンガーΣ』!
更に浮島上に堕天使隊長率いる死人兵の群れと堕天使衛生兵を出現させるぞ!
ついでに吹き付けるブレスにも幻惑の力を籠める。
期待したもの。恐れるもの。同僚の不快な秘密。各々好きなようにこの島で「目撃」させてやろう!
※アドリブ他◎です
せーの!
わるるんー!
からの掛け声で始まる百胎堕天竜魔王の異世界探訪のお時間である。いや、そんな番組はないが、なんとなくそんな感じで始まったのがブルーアルカディアにおける『スーパーカオスドラゴン』救出作戦の始まりであった。
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は言わずと知れた魔王である。
多頭多翼の竜の体躯から堕天使少女の上半身の生えた姿。記憶喪失であるが、『他者の欲望を満たすため』に戦う悪魔なのである。例にもれず悪魔なので性根が善良なので、ブルーアルカディアを放っておけなくて転移してきたのである。
「うーむ。よりによってあやつか……」
でもちょっとお顔が曇っている。
まあ、わからんでもない。
混沌の体現者、『混沌魔法』、『カオスヘッダー』の凄まじさを思い出したら、そんな顔にもなろうもんである。
正直、何度も戦いたいって思う相手ではないだろう。とにもかくにも強いから。
「なんか縁でもあったの? 前世とかに」
だがしかし、ワルルーナはそんな『スーパーカオスドラゴン』を放ってはおけないのだ。
だって、あれだけの凶悪な面構えの『スーパーカオスドラゴン』さんがいたのならば、さぞや現地民は怖がっているだろうし、困っているはずだ。
だから、助太刀するのだ。至極当然のことをしているまで。
それを他世界では良い子っていうんだけど、まあ、今はまだ知らなくてもいいことである。
「しかし、連中思っきり混乱しているなぁ……なら、思いっきりやったほうがよいよな?」
それじゃあ、こうしようと己の体を肉体改造し、多翼を更に巨大化する。
この原理不明にして、荒唐無稽なる行いができるのまた強大な種族である悪魔の為せる技。ワルルーナは、巨大化した翼で持って飛翔し、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの前に姿を顕す。
その姿は『スーパーカオスドラゴン』を凌ぐほどの異形であり、彼等にとっては驚愕するほどの威容であった。
「な、なんだ、もう一体魔獣が……!?」
混乱する彼等に放たれるブレスの一撃。
凄まじい衝撃波が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに襲いかかり、彼等は隊列を崩されながら飛翔する。
「くっ……奇襲とは卑怯な!」
体制を整えた彼等がワルルーナを罵る。だが、卑怯とはデビキン的に言えば、褒め言葉である。え、あ、それほどでもってまんざらでもない感じなってしまうワルルーナ。
だが、ワルルーナは美学持つ自称魔王である。
指を打ち鳴らした瞬間、空より浮島に粉塵撒き散らしながら着陸するのは魔王軍第1冠所属:天空魔王城塞(フハハヒトガゴミノヨウダ)と『ワルルンガーΣ』である。
要塞と巨大な自立歩行要塞。
どっちも要塞であることに違いはないが、禍々しい浮遊要塞と二足歩行するほぼロボな要塞とでは雲泥の差があるのである。
どっちもカッコイイのでヨシッ!
「さあ征くが良い!」
ワルルーナの号令と共に浮遊要塞から落雷と共に堕天使隊長率いるアンデッド軍団が出現する。
さらにワルルーナのブレスは幻惑の力が込められている。
実際にはアンデッド軍団によって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは圧倒されているが、彼等の脳裏に浮かぶのは、己たちが期待するのも、恐れるもの、同僚の不快な秘密などなどを幻惑によって見せられているのだ。
「うっ……まさか、お前がこしあん派だったとは……!」
「そういうお前は塩羊羹が最高だって夕焼けの河川敷で語り合ったのに……!」
「嘘だ、嘘だー! 羊羹は脳への最高のガソリンだって、あんなに笑っていたのに! チョコレートに浮気するなんて!」
とかとか。
なんか阿鼻叫喚の地獄絵図に突入している。
ワルルーナは、なんか悪い子としたなぁって気持ちになったが、これもまたワルの道を征く定め。
むしろ、このワルさこそがクールそのもの。
巷ではデビルキング法からの脱却も試みられているようであるが、今はそんな事関係ないのである。
今のわるるん……もとい、ワルルーナは最高にワルな感じで『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを圧倒し、勝ち誇ったように笑い声をこだませているのだから――!
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
……よくわかんないですけど、他の猟兵の発言を盗み聞きした感じ、
あの魔獣じゃないみどりいのを助けると羊羹とかお菓子が出てくる……です?
ならしょーがないです。報酬が期待できないなら食べ物でもいいです
それに、屍人帝国は私の敵、です。
『エル・セプス』で出撃、まず遠くから『A.F.C.』で砲撃を仕掛けて散開させるです
そのまま強襲、飛空艇形態から人型外装形態に変形後、
隊列からはぐれたのがいれば『ケルベロスファング』から【ケルベロスバイト】!
先端部を食い込ませて固定、鎖ごと出力全開の怪力でぶん回し周りの奴にぶつけてやるです
(敵に)……うるさいです。羊羹のためにさっさと退場しろ、です
※アドリブ歓迎、です
羊羹。
それは黒き甘味。
練羊羹。水ようかん。蒸し羊羹。
まあ、名前は色々であるが甘さの極地と言っても差し支えのないほどの食べ物であり、また糖度が高く少量でも高カロリー。
大したものですね、羊羹は体内ですぐにエネルギーに変換されることからスポーツ補給食としても注目されているのですね。
おいおいアイツ骸の海に還されるわ、的なやりとりがオブリビオンである『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの間でなされたかどうかはわからないが、とにもかくにもヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)はお腹が空いていた。
なんでそんなにと思わないでもない。
これには事情がある。彼女は飛空艇と強化外装の二つの姿を取る専用可変型飛空艇『エル・セプス』を駆るパイロットである。
生活と飛空艇建造時に両親が抱えた多額の借金返済に追われているがため、彼女は常に腹ペコなのである。
そんな彼女を前にしてグリモアベースで、羊羹の話をヴィクトリアは盗み聞きいてしまっては腹の虫が大合唱するってものである。
「あの魔獣じゃないみどりいのを助けると羊羹がとかお菓子が出てくる……です?」
あっ、これはお腹の空きすぎて都合のいい感じに言葉を解釈しているやつではないだろうか。
「ならしょーがないです」
彼女は借金に追われているが、しかし時にはお金でなくたって報酬は現物支給であっても構わないのだ。
羊羹。少しでもエネルギーに変換される魔法の食べ物。
それを求めて今日も彼女は空を征く。まあ、それ以前に屍人帝国は彼女の敵であるので、ついでにぶっ飛ばすのである。
『エル・セプス』に携行された魔導砲から『エンパイア・ロケット・クルセイダー』へと砲弾が放たれ、彼等の機先を削ぐ。
「――……ッ! 飛空艇か、勇士も集まってきたか!」
空を自在に駆けるロケット噴射で『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは砲撃を躱す。
この大空の世界にあって、空の機動力は必要不可欠。
強襲では彼等の隊列を崩すことは叶わなかった。
けれど、ヴィクトリアは構わない。なぜなら、彼女の駆る飛空艇はただの飛空艇ではないからだ。
空高く舞い上がった彼女の駆る飛空艇が太陽の輝きに照らされて影となって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに落ちる。
「なんだ……!?」
「……うるさいです」
太陽の光に眼を焼かれながら彼等は見ただろう。その影を。
飛空艇のシルエットはもう何処にもない。あるのは人型。そう、ヴィクトリアの駆る『エル・セプス』は可変型飛空艇。
可変した飛空艇は彼女を纏うように外装となって力を発露する。
「羊羹のためにさっさと退場しろ、です」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
咆哮するかのように『エル・セプス』の腕部装甲が牙のように展開する。その共振するかのような輝きは、空より一閃され『エンパイア・ロケット・クルセイダー』の頭部を噛み砕く。
「さあ食らいつくです、ケルベロスファング!」
食い込んだ鉤爪からエネルギーがヴィクトリアに流れ込んでくる。お腹が空いてもエネルギーは満タンだ。
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』の頭部に噛み付くようにして食い込んだ鉤爪の腕をそのまま振り回し、彼等の隊列を力づくで乱すのだ。
「ケルベロスバイト……! 出力全開、です」
ふるう力は凶悪そのもの。
ユーベルコードの煌きにヴィクトリアは瞳を輝かせながら、大空の覇者を食らう獣の顎を持って引き裂く。
目指す羊羹が手に入らないかもしれない。
けれど、それでもヴィクトリアは己の敵である屍人帝国を許しはしないだろう。でもでも、それでも羊羹が食べられるのなら、それにこしたことはないと彼女は思いつつ、おなかの虫をなだめすかすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
ガチデビルのせいで
よそ様に大変ご迷惑をお掛けしちゃってます!
悪魔の評判を落とさないためにも
デビルキング法がないこの世界で
嘘をつくことお許しください!
({ダーティウイング}で『空中浮遊』しながら{ダーティグリーヴ}で虚空を蹴り上げ、敵に向けて『斬撃波』を放つと名乗りを上げる)
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
わかりますか?魔王です!王様です!
だからこの島は私の領土です!
オーデュボン帝国の皆さんは即刻退去してください!
信じられませんか?なら私の曇りなき眼を見てください!
これが嘘をつく目に見えますか!?
(UC【梟悪!穢瞳瞬刻禍】発動)
デビルキング法とは、デビルキングワールド独自の法律である。
ワルこそクール。正義こそダッセぇ! というのがまあ、その、デビルキング法である。善悪の基準が反転しているのだ。
けれど、それはデビルキングワールドのみで通じる事柄であることを猟兵となった悪魔たちは知るだろう。
カルチャーショック此処に極まれりである。
そんでもって、悪魔とは元来性根が善良なる良い子の種族である。
だからだろうか。
「『ガチデビル』のせいで他所様に大変ご迷惑をお掛けしちゃってます!」
ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は、そんな悪魔である。視線誘導の悪魔と呼ばれ、それはもう大変に視線を誘導されまくる性質を持っている。
何がとは言わない。
色んな人の名誉のために。
しかしながら、ダーティは大空の世界『ブルーアルカディア』に転移してしまった『スーパーカオスドラゴン』さんを助けるために駆けつけた猟兵の一人でも在るのだ。
「悪魔の評判を落とさないためにも、デビルキング法がないこの世界で嘘をつくことをお許しください!」
真面目か!
本当に良い子の種族なのである。ダーティは視線を変換し赤紫の矢印オーラを蓄えた自慢の翼――ダーティウィングををはばたかせながら、千里を奔ると言われるダーティグリーヴでもって虚空を蹴り、飛ぶ。
赤紫色の飛行機雲をブルーアルカディアの空に刻み、彼女は名乗るのだ。
そう、いつものやつである!
「私は、ダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
ばーん!
そう、彼女こそ魔王ダーティ!
ダーティウィングは飛行力! ダーティグリーヴは跳躍力! ダーティアイは千里眼! ダーティテイルは便利力! そんでもってダーティガントレットは悪手力!
なんだ悪手力って。
「なんだ悪手力って」
思わず『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはツッコんでいた。
いや、それよりも突っ込むところがあっただろう。魔王って言っていたし、自分で凶悪極悪劣悪最悪って名乗っていた。
そこはいいんだ? って思わないでもない。けれど、ダーティはあれ!? って顔をする。なんか前口上の通りが悪い気がする。
「わかりますか? 魔王です! 王様です!」
もう一回言う。
けれど、なんかこう、から回っているような。いや、っていうか違うな。これ『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは自然とダーティを眼で負っていた全然話聞いていない。
しかし、ダーティはお構いなしに視線誘導しまくりながら告げるのだ。
「だから、この島は私の領土です!『オーデュボン』帝国の皆さんは即刻退去してください!」
あ、嘘ってこれのことなのだろうか。
嘘も方便っていう言葉があることをダーティは知らないのかも知れない。けれど、基本、嘘ってワルなことなのでデビルキングワールドでは美徳である。
でも、ここはそうじゃない。
だから、ダーティは先に懺悔していたのだ。真面目! 良い子!
「何を言う。如何に此処が貴様の領土であろうが、我らが簒奪することに変わりはない。強奪、略奪。それこそが我らの使命よ」
「信じられないのですね、なら私の曇り無く眼を見てください! これが嘘を付く目に見えますか!?」
くわっ!
眼力すんごい。
けれど、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは、論点そこじゃないとばかりに襲いかかってくる。
「知らん! というわけで覚悟!」
雑ぅ!
まあ、オブリビオンと猟兵であるから滅ぼし滅ぼされる間柄でしかないのだ。こういう場合如何に法律的なことやら大義的なことを掲げたってやることは一緒だオラァ! という具合に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちがダーティに襲いかかる。
だが、真の魔王は目でオブリビオンをぶち抜くのである!
「いいから見てくださいな!」
ビッカー! と両目から赤紫の矢印の姿をしたオーラの矢が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』を撃ち抜く。
それは早打ちとかそんな次元のものではなかった。凄まじい速度で打ち出されたオーラの矢。
それこそが彼女のユーベルコード、梟悪!穢瞳瞬刻禍(アイドウシュンコクカ)である!
「ば、ばかな……一瞥で倒される、など……!」
「これが魔王の力です!」
ところがどっこい、これが現実である。
さっきダーティアイは千里眼って言ったが、ダーティアイはビームである。嘘つきの名を受けて戦う魔王。それがダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター!
すべてを捨てないで、戦う視線誘導の悪魔なのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ドウジ・ユークレナ
『7thKING WAR』ある日突然開戦したと思ったら、ある日突然終戦した…。
そんな印象受けた戦争でありましたなぁ…。
デビルキングワールドからブルーアルカディアへ…思えば遠くに来たものだ…。
さて、『スーパーカオスドラゴン』めんどくさいから以下SCDに略。
SCDを探しに、ストームエンゼルに乗り込んで『飛空艇操作』であります。
ブルズアイ・マニューバーで『空中戦』を仕掛けるのであります。
『レーザー射撃』と『誘導弾』による『一斉発射』であります。
【進行する神へ祈りと願い】?華麗な『空中機動』の『ダンス』で空に残った『残像』にで話てやがれであります。
「天使とダンスでもしてなッ!!」
『7thKING WAR』はドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)にとってある日突然始まった戦いであったし、ある日突然終戦した戦いでもあった。
そう、早すぎたのである。
何がって、猟兵たちの進撃速度がである。
猟兵たちの一気呵成なる戦いぶりに『魔王ガチデビル』も涙目である。何がガチデビルじゃ、ガチイェーガーじゃろがい! ってなるのもわからんでもない。
そんな印象を受けた戦争だったなぁってドウジは遠い目をしていた。
そんな戦いの余波がこの大空の世界『ブルーアルカディア』に及んでいることもまた時の移ろいを感じさせるものであった。
「デビルキングワールドからブルーアルカディアへ……思えば遠くに来たものだ……」
大丈夫? なんか壮年の男性が呟くあれな感じなっているが。
ドウジはなんともまあ、遠い目をしている。
そんでもってこのブルーアルカディアに波及したデビルキングワールドの戦いの余波、即ち東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんの所在を巡って浮島を包囲している屍人帝国『オーデュボン』のオブリビオン、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの姿を見やる。
「次から次に猟兵がやってくる……!」
「やはりあの邪竜が何かしら守っていると考えるが道理か!」
「おー、いい具合に勘違いしてくれているでありますな」
ドウジは彼等の足並みが揃わぬ理由を知っている。
完全に邪竜の類にしか見えない『スーパーカオスドラゴン』さんを扱いあぐねていたのだろう。そこに猟兵達が彼を守ろうとしているところをみて、なんで? って戸惑っていたのだ。
だからこそ、ドウジは『ストームエンゼル』に乗り込み、一気に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに空中戦を仕掛けるのだ。
ブルズアイ・マニューバーによる自在なる操縦技術は『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを圧倒するのだ。
「我らが報じる神への祈りすらも届かぬか!」
「『スーパーカオスドラゴン』を探しにいかなないといけないのに面倒くせー連中でありますな! いやもう、『スーパーカオスドラゴン』っていうのも面倒くせーであります! 略して以下『SCD』であります!」
それはあんまりな略し方であった。
ていうか、それを言うなら『エンパイア・ロケット・クルセイダー』も大概である。略したい。略してしまいたい。
「何をごちゃごちゃと! わからぬことを!」
放たれるレーザー射撃を躱しながらロケット噴射でもって迫る『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たち。
それを華麗な空中機動によってドウジは躱す。
まるでダンスを踊るかのように飛空艇である『ストームエンゼル』が残像を起こすほどの速度で駆け抜ける。
「頭上を取られた……!」
「残像だと……なら、奴は……!」
彼等が見失ったドウジは、彼等の遥か頭上にある。残像で持って彼等を振り切り、大空の元駆け上がっていく。誰ももう止められないのだ。
「天使とダンスでもしてなッ!!」
放たれる誘導弾が空中を舞う『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに追いすがり、その背に打ち込まれ爆発を起こして雲海に消えていく。
ドウジは『スーパーカオスドラゴン』略して『SCD』を探して浮島へと飛ぶ。
浮島はもう浮島と呼ぶにはあまりにもカオスな状況へと変わり始めていた。これが『混沌魔法』。
カオスの体現者、『スーパーカオスドラゴン』さんの力のほとばしり。
ジッとしていても、これだけのカオスを齎す東のラスボスたる彼の力の凄まじさの一端を垣間見、そして同時に暴走まで秒読み段階であることを知るだろう。
「わりとはた迷惑でありますな! ですが、自分たちが着たからにはもう大丈夫であります!」
ドウジは『ストームエンゼル』より変わりゆく浮島を見下ろし、これから巻き起こるであろう大暴走に立ち向かうことを心に決意するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…いや…外来種の放流は拙いでしょう…スーパーカオスドラゴンさん…ほら…油断すると増えるし…
…島一つ覆ったりする前に止めてあげないとね…名刺交換した仲だし…
…さてまずは…うーん…事情を飲み込めてないクルセイダー達か…
横やり居られるのも困るし先に対応しておこう…
…傷を癒やしたり再行動したりするらしいけど…落ちちゃえば関係無いよね…
【星を墜とす大地の手】を発動…飛んでるクルセイダー達を地へと引きずり下ろすよ…
…下に地面がなかった人はご愁傷様…次の機会にご期待ください…
…地面で動けなくなっているクルセイダーは黎明剣【アウローラ】からの矢雷撃で倒してしまうね…
…スカドラさんに手を出したの運の尽きだよ…
他世界に悪魔を輸出するという『魔王ガチデビル』の目論見は猟兵達によって阻止された。
最強の種族と呼ばれる悪魔たちが他世界に輸出されてしまっては、他世界同時カタストロフが起こってもおかしくない事態に陥るのは想像に難くない。
「……いや……外来種の放流は拙いでしょう……『スーパーカオスドラゴン』さん……ほら……油断すると増えるし……」
なんともな言い草であるが、まあ概ね事実である。
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は仕方ないなぁって顔をしながら、以前交換した名刺をひらひらさせる。
そう、『スーパーカオスドラゴン』さんは混沌の体現者。混沌魔法『カオスヘッダー』でもって倍々に増えていく力を持っている。
しかも暴走する。
暴走する前に段取りと挨拶回りに定評があるのであるが、それはデビルキングワールドであればの話だ。
今はブルーアルカディアの浮島の一つに暴走するまいとジっとしているのである。なんともまあ、泣かせる話である。そうかな?
「……島一つ覆ったりする前に止めてあげないとね……」
名刺交換した仲であるしね!
とは言え、浮島を包囲している『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが邪魔である。
横槍を入れられるのは正直面倒であるし、先に対応しようとメンカルは動き出す。
「次から次へと……! やはりあの邪竜になにか関係があると見る!」
「ならば、我らの神の為に貴様たちを屠るまで!」
大空を駆け抜ける彼等がメンカルへと迫る。
しかし、メンカルは慌てない。どれだけ彼等が凄まじい速度を持っているのだとしても、所詮は直線的な移動しかできない存在である。
ユーベルコードで傷を癒やし、再行動するのであったとしても、此処は大空の世界である。
雲海に鎮めば、オブリビオンであろうが島だろうが飛空艇だろうが即座に霧消してしまう運命。
ならばどうするか。
ハエたたきである。
なんて?
「重き力よ、掴め、落とせ。汝は重圧、汝は天墜、魔女が望むは底より出でし昏き腕」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
それは星を墜とす大地の手(スターライト・フォール)。
空にあるものを天から地に引きずり下ろす疑似重力術式である。彼女のユーベルコードは空を飛ぶ者全てに等しく影響を及ぼす術式で持って己に迫る『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを叩き落とす。
ハエたたきっていったのは、もうちょっと言い方なかったのかと思わないでもないが、まあ、ハエみたいなものでしょ。
「……下に地面がなかった人はご愁傷さま……次の機械にご期待ください……」
メンカルは雲海に沈んだ『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを見送り、大地に叩きつけられている彼等に向き直る。
だが、その重力術式は大地に落とすだけではなく、彼等はその場に縛り付ける力でもある。
のしかかる凄まじい重力に彼等がうめいている。
もうこうなっては、戦いというほどのものすら起こらないだろう。メンカルは手にした黎明剣『アウローラ』から放つ雷撃の矢でもって彼等を貫き、霧消させていく。
その姿はあれ……えっと、あれ、あの梱包材のプチプチを潰す感じ!
「……スカドラさんに手を出したのが運の尽きだよ……」
スカドラ……。
あっ、『ス』ーパー『カ』オス『ドラ』ゴンさんって……こと!?
新たな略称を見出しながら、メンカルは『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを排除していく。
だって、もう名刺交換したしね。一度名刺交換したのなら友達。飲みに言ったらマブダチっていうのと同じ理屈理論である。
メンカルは、徐々に混沌魔法の影響を受けてカオスとかしていく浮島を見やり、これはまた骨が折れることになりそうだとため息一つ突くかもしれない。
けれど、これも名刺交換しちゃった縁。袖振り合うも多生の縁ってやつなのである――!
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
やれやれ…戦争は終わったってのにこれだとまるで戦争後こそがデビキンの本当の始まりっぽいな
「そういう事もあるよ☆より楽しい事になってるね☆」
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵陣の動きと攻撃の癖
UCで効率的に殲滅するに必要な立ち回り
後ナイアルテのあのプリンを作るために必要なデータ
それらを収集し解析(ん?
「等しく重要情報は収集しないとね☆スタイルも☆」
カオスドラゴンにお土産用意しないといけないからな(きり
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠しつつ水障壁で熱源と音隠蔽
UC詠唱開始
【二回攻撃・切断・念動力・弾幕】
近づいた敵は念動光弾で迎撃
更に来たのは切り捨て
十分時間を稼いだらUC発動!
「やれやれ……戦争は終わったってのにこれだとまるで戦争後こそがデビキンの本当のはじまりっぽいな」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、混沌めいた浮島の様相を見やり呟く。
そう、『魔王ガチデビル』の目論んだ悪魔の他世界輸出は阻止された。
けれど、彼のバラ撒いた『悪魔契約書』の一枚が『スーパーカオスドラゴン』さんの根城に紛れ込んでしまったから、さあ大変。
『スーパーカオスドラゴン』さんはブルーアルカディアに転移してしまって、浮島でジッとしているのである。何故ならば、混沌魔法によってこの世界を彼自身がカオスへと叩き込まぬためである。
なんて出来た悪魔であろうか。
『そういうこともあるよ☆ より楽しいことになってるね☆』
『メルシー』はあくまで他人事であるし、また楽しいのであれば構わないといった風でもあった。
「とは言え放っておくわけにはいかんだろ」
カシムは『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが浮島を包囲しているのを見上げ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
彼等の動きは洗練されたものだ。
この大空の世界であって必要なのは空戦能力。
それを個人で突き詰めたのが、あの『エンパイア・ロケット・クルセイダー』であり、それを集団で行うために編み上げたのが彼等のユーベルコードでもあった。
しかし、それらは時に体系化され、情報となって対峙するものに齎されるものである。カシムはそれを知るからこそ、彼等を効率的に殲滅するために必要な立ち回りを模索するのだ。
「あとあのプリンを作るために必要なデータ、それらを収集し解析しなきゃな!」
あのプリンってなんだ。
どうした? いきなり何いい出してんだ? と『メルシー』は突っ込まない。
『等しく重要情報は収集しないとね☆ スタイルも☆』
あっ、これは同類ってやつである。キリってしているのがなおのこと困惑を生むだろう。っていうか、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは余計に混乱している。
プリン?
財宝でなく? え、一体自分たちは何のために戦っているんだとデビキン時空に引きずり込まれている。
デビキン時空とはギャグ時空のことだよ! そんなもんはないけど、多分ある。メイビー。
「『スーパーカオスドラゴン』にお土産容易しないといけないからな、きりっ」
キリ、じゃないが。
カシムは混乱続ける『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちから身を隠し、己のキャバリアに迷彩を施し、完全なる隠蔽でもってユーベルコードの詠唱を続ける。
「万物の根源よ…帝竜眼よ…我が呼びかけに答え…我が力に応え…我が叫びに応え…無限に強くなり続ける可能性の竜の力を今此処に示せ…!!」
プリンだか、ぷるんだか、プルーンだか、言っていなければもっと威力が上がったんじゃないかなぁって思わないでもないが、割ともう十分である。
外典帝竜眼「碎輝」(ムゲンニセイチョウシツヅケルモノ)は瞬時に成長し、自ら増殖するドラゴンブレスを大空の直線状に打ち出す。
その威力は凄まじいものである。
雷のブレスは、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを撃ち落としていく。
特にセリフがないのは、結構雑にブッパしたからである。
『ご主人サマのやることえげつなーい☆』
「いんだよ、こういうのは雑にブッパで。もうどうせデビキン時空に引きずり込まれてるんだからな」
カシムが見やる浮島の様相はもうカオスそのもの。
そう、『スーパーカオスドラゴン』さんの在る所こそ『カオスの暴走』なのである。
彼の混沌魔法は其処に在るだけで影響を及ぼす強大な力。
彼がもし、善良なる悪魔の種族でなかったのならば、それはとても恐ろしい使い方でもって必ずや世界に破滅を齎したことだろう。
けれど、そうはならない。
今も尚、『スーパーカオスドラゴン』さんは性根の善良な、段取りと挨拶なしで暴走しないプロフェッショナルなのだから――!
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!!(お約束
今回は2回前口上しないといけない感じがします!
そしてナイアルテさんがお仕事終わったら羊羹くれるって言っていたので!(言ってない
サージェ、いっきまーす!
ところでお宝って?(たゆん
真面目な話
下手にブルディアの世界を傷つけてしまったとかいう事態になると
スーパーカオスドラゴンさんが再起不能になりかねないので
全力で屍人帝国排除です全力です!
っていうか空飛んでるだけで不利ということを知りなさい!
地対空・必殺【VR忍術】大竜巻の術!!
どれだけ早く飛ぼうとも空にある限り
風の壁と渦を抜けられると思わないよーに!
大空の世界に木霊するのはワルの笑い声ではなく、屍人帝国『オーデュボン』のオブリビオン、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの奏でるジェット噴射の音であった。
彼等は邪竜の如き威容を持つ『スーパーカオスドラゴン』さんを己たちの手勢、即ち魔獣の駒として手に入れようと浮島に迫っている。
いいのか、お前達がて名付けようとしているのはただの魔獣ではない。東のラスボスこと『スーパーカオスドラゴン』さんだぞ! と誰か教えてあげて欲しい。
木っ端の如きオブリビオンがどうこうできる存在ではないのである。
混沌魔法でもって浮島とか世界に影響を及ぼさないようにジっとしてくれているだけで、一度動き出せばお前らなんぞなー! って気持ちになるのだが、そういうのをぐっと堪えるのが大人ってもんである。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもん!!」
そんなことあるもん!!
それくらいにサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)のボディは、我儘ボディであった。自己主張が強すぎるバディは、忍びとかそんなの関係ねぇ! って具合に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを凍りつかせた。
いきなりなにあれこわ……ってなっているのである。
「今回は二回前向上しないといけない気がします!」
いや、気のせいだと思う。
そんでもってサージェは思うのだ。
このお仕事終わったら、グリモア猟兵から羊羹をもらって、あーんしてもらってお茶飲んでキャッキャウフフするんだって。
いや、言ってない。
一言もそんな約束してない。けれど、サージェの中ではすでに確定しいてるのである。ならば、それはもう事実。流石クノイチ。さすくの。
「サージェ、いっきまーす!」
たゆんたゆんと何が揺れているとは言わないが、なんかそんな感じでサージェは雑に大空の世界、ブルーアルカディアに飛び出すのだ。
「ところでお宝って?」
もうあるじゃろがい! ふたつも! と誰かが言ったかもしれないが、そういうのは気にしないでいい。
しかし、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちはそうではない。やはり、と彼等は思うのだ。
サージェはクノイチである。クノイチであれば、敵を欺くのもまたやりそうなことであると判断したのだ。このブルーアルカディアにクノイチって概念があるのかどうかは知らん!
だがしかし、真面目な話をすると、『スーパーカオスドラゴン』さんが下手に動くと世界を傷つけてしまいかねない。となると『スーパーカオスドラゴン』さんが再起不能に為るのは、大変に困ったことに為る。
ならば全力で屍人帝国『オーデュボン』を排除するのだ! 全力だ!
「っていうか、空を飛んでいるだけで不利ということを知りなさい!」
サージェの瞳が雑に輝く。
専用メモリをくるくるっと手で回し、コンソールにインストールしたサージェが手繰るはVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)。
様々な現象を再現するバーチャル忍術!
とっても便利!
それによって生み出された大竜巻が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを巻き込んで舞い上げていく。
たとえ、ジェット噴射によって逃れようとしても、サージェの操る忍術の前には抵抗しようもない。
「どれだけ早く飛ぼうとも空に在る限り、風の壁と渦を抜けられるとは思わないよーに!」
ヨッ、ブルーアルカディアいち!
そんな具合にサージェはわがままボディを揺らしながら、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを雑にぶっ飛ばし、カオスの様相を呈してきた浮島の惨状に向き直る。
そう、戦いはこれから。
二度目の前口上をあげるときだ――!
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
あらあら屍人帝国の皆さんはわたくし達がスーパーカオスドラゴンさんを助けようとしている動機が分からず困惑している見たいですわね。
悪魔の世界があって、その世界で起きた大きな戦いの余波でラスボスの大物が転移してきたことを予測できないとはまだまだですわねえ!
ということでこの世界から退場して骸の海で勉強しなおして来なさいな!
『地母神の戦域』を発動。
戦場全体を輝く霧で包み込み、同時に神炎で屍人帝国の騎士達を焼き尽くします。敵SPDUCの『攻撃中』の前段階で発動しちゃいましょう。もちろん、語る時間などありませんわよ!
「クソッ! 結局猟兵たちの狙いはなんなんだ!?」
「財宝が在るという話であったはずだ……! だが、それではあの邪竜を護るような動きが理解できぬ!」
「こちらを惑わす陽動ではないのか!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは戸惑っていた。
これまで多くの猟兵たちが転移し、この浮島にて鎮座している邪竜の如き魔獣を護るように戦っている姿と、己たちが感知した所の財宝の情報とでは動きが食い違っているのだ。
それもそのはずである。
だって、東のラスボスである『スーパーカオスドラゴン』さんの威容はマジでワルである。
三つ首だし、翼あるし、見た目怖いし。
それはそうでしょってなる見た目なのだ。ラスボスの名に恥じぬ威容であるがゆえに、猟兵たちもかの魔獣をぶっ倒すだろうと思っていたら逆に守っているのだ。
「あらあら屍人帝国の皆さんは、わたくしたちが『スーパーカオスドラゴン』さんを助けようとしている動機がわからず困惑している見たいですわね」
さもありなんってアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は頷く。
金色の御髪をふぁっさーってしながら転移したアルテミシアの姿はいっそ神々しいなって思う風貌であった。
しかし、こう見えてアルテミシアもまた世界征服というワルをなさんとしている魔王っていうか女帝なのである。
「悪魔の世界があって、その世界で起きた大きの戦いの余波でラスボスの大物が転移してきたことを予測できないとはまだまだですわねえ!」
いや、できるわけがない。
むしろ、やれっていうほうが無理な話である。
だって、どう見たって『スーパーカオスドラゴン』さんはラスボスである。世界だって滅ぼしていたっておかしくない風貌なのである。
しかしながら、その性根は善良そのものであり、似非乱暴者である。
知っているか、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』よ。
『スーパーカオスドラゴン』さんは暴走前の段取りと挨拶回りに定評があるんだぞ!
「ということでこの世界から退場して骸の海で勉強しなおして来なさいな!」
アルテミシアの瞳がユーベルコードに輝く。
いいのかな、すごく雑に敵を処理する未来が見えた気がした。気のせいかな?
いいや、気の所為ではない。
もしかしてー地母神の戦域(ティアマト)ですか? イエスイエス! てやつである。
戦場にミチルは輝く霧。
その霧は、魂魄まで焼き尽くす金色の神炎となって『エンパイア・ロケット・クルセイダーズ』たちを包み込む。
こちらに攻撃を仕掛ける暇すら与えぬ。
神に報じる祈りすらも上げる時間さえない。まさに無慈悲!
「語る時間などありませんわよ!」
アルテミシアのユーベルコードは雑に敵を焼き払っていく。
その姿はまさに黄金の女帝。
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは戦慄しただろう。
あとついでに、彼女の語る言葉は何一つ理解できなかった。
悪魔の世界? ラスボス? 転移?
「一体全体何がどうなっているというのだ!?」
「貴方が知る必要はございませんことよ。この戦場はわたくしの支配下にあります。もはや抵抗は無意味」
微笑むアルテミシアのご尊顔の素晴らしいこと。
どっちかっていうと、アルテミシアの方がラスボスっていうか裏ボスって雰囲気があるのだが、それはそれである。
アルテミシアは圧倒的な神炎と共に『エンパイア・ロケット・クルセイダーズ』を屠りさり、カオス化しかけている浮島に向き直る。
むしろ、これからが本番なのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎
んもー(ぱくぱく)
また羊羹食べてるー(むしゃむしゃ)
太るよー?(まむまむ)
いやー普通に馴染んでるしもうここ住みしちゃえばいんじゃない?
ご近所の浮き島に引っ越しそばとか羊羹とか配りに行って襲撃と勘違いされに行こうよ!
きっと大歓迎してくれると思うよ!
●空を駆ける神
ぱたぱた[スニーカー]で空を走って彼らを襲撃していこう!
彼らの突進に【第六感】でもってばっちりUC『神撃』でのカウンターを決めてドーーーンッ!!
彼らの乗ってきた船もあればドドーーーンッ!!
ふぅーこれは羊羹100本分は働いたねボク!
「んもー」
ぱくぱく。
むしゃむしゃ。
まむまむ。
なんか擬音ばっかり聞こえてきている気がするが気の所為ではない。
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)がなんやかんや羊羹食べている音である。
なんで羊羹? って思わないでもない。
羊羹はガソリン。
そう、糖分が多く吸収に優れ、最近ではスポーツ補給食としても注目されているエリート食。それが羊羹! YOUKAN!
ロニほどの神性であれば、それを食してパフォーマンスを上げることなど最早常識なのである。そうかな。そうなのかな。そうであれ!
「いやー普通に馴染んでるし、もう此処住みにしちゃえばいいんじゃない?」
ロニはカオスと化している浮島の様相を見やりながら呟く。
馴染んでないし、いるだけで混沌魔法の影響を世界に及ぼしてしまうのは迷惑極まりないので『スーパーカオスドラゴン』さんもジッとしているのである。
そういう善良な所、とてもイエスだよね。
しかし、ロニは違う。
「ご近所の浮島に引っ越しそばとか羊羹とか配りにいって襲撃と勘違いされに行こうよ! きっと大歓迎してくれると思うよ!」
いやまあ、それも魅力的な提案であろう。
ワルとしては見過ごせない提案であったが、それをやっちゃうと世界が滅ぶのでノーサンキューってことで一つ。
「やはり、あの邪竜こそが猟兵たちの狙い!」
「あの力を持って我らを打倒せんとするか!」
いい感じに誤解してくれている『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちがロニ迫る。
「んもーまだ食べてるでしょー!」
食っちゃ寝は太る! だから動かねばならない! ロニは一気にスニーカーでぱたぱたと空を走っていく。
空を走るってできるのだろうか? できんだよ!
「というわけでド―――ンッ!!」
雑に神撃(ゴッドブロー)がぶっ放される。
信心無き者にも、信心ある者にも神々しさを感じさせる拳の一撃は『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちをぶっ飛ばしていく。
ばっちり第六感でカウンターを決める。
いや、第六感でカウンターってズルない? しかし、ロニはそんなこと考えてもいない。
直感で行動するのだ。
己の道を遮るものがあるのならば、それをぶっ飛ばして進むのが神の拳ってもんである。
空中を駆け抜けるロニの拳が振るわれる度に、また一騎、また一騎と雲海の中に消えていく。
「あー!?」
うーん、やられ方もまた雑ぅ。
けれど、ロニは大いに笑うばかりである。良い運動になったと額に汗一つかいてないんけれど、拭うような仕草をして、己の働きぶりを自己評価するのだ。
「ふぅーこれは羊羹百本分は働いたね、ボク!」
そうかな?
いや、そうなのかもしれないが、その羊羹百本分は何処に請求するつもりなのだろうか。できれば自前でどうにかして欲しい。
領収書も切ってほしくないし、絶対経費で落ちないアレな感じがする――!
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
なるほど。
ドラゴンさんは自分の力を弱めたい。
わたしはナイアルテさんのファンクラブメンバーとして、貢ぎ物を捧げたい。
ドロップ品が羊羹ってことなら、win-winってことだね。
そういうことなら、まずは邪魔をするロボットを蹴散らさないと!
ここは【セレステ】……いや、いっきにいくためには【ネルトリンゲン】かな。
出撃したら、問答無用の一斉射撃で蹴散らしていこう。
武装は【E.C.O.M.S】と【M.P.M.s】でいこう。
『希』ちゃん、視界内のロボットに照準ロック。
羊羹への道は、わたしが切り拓く!
推しへの熱い想いをUCに込めて! 全弾発射ー!
これでナイアルテさんの羊羹堕ちがまた見られ……おっとよだれが。
「なるほど」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は全ての事情をぐるっとまるっとつるっと全て理解していた。
東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』さんは『悪魔契約書』に巻き込まれてブルーアルカディアに転移してきていた。
それは『魔王ガチデビル』の仕業であり、このままではブルーアルカディアの世界が混沌魔法の影響に寄ってカオス化してしまう。
その危険性を鑑みて『スーパーカオスドラゴン』さんはジっとしているのである。
彼が動けば、オブリビオンである『エンパイア・ロケット・クルセイダー』は簡単にぶっ飛ばせるだろう。
けれど、その余波は世界に影響を及ぼす。
しかも、ただジっとしているだけでも、彼が座す浮島はカオスの様相を魅せ始めているのだ。
これは由々しき事態である。
「ドラゴンさんは自分の力を弱めたい」
そうである。流石聡明な理緒である。とても賢い可愛いやったー!
「わたしはファンクラブメンバーとして、貢物を捧げたい」
そうそう、貢物をね。
……なんて?
「ドロップ品が羊羹ってことなら、Win-Winってことだね」
え、こわっ。今ドロップ品って言った? なんでもゲーム感覚のゲーム脳って、こと!?
いや違う。決してそうじゃないけれど、理緒の瞳に映る『エンパイア・ロケット・クルセイダー』はすでに邪魔をするロボット軍団にしか見えていないし、もう奴らを蹴散らすことしか考えていない。
目指すはドロップアイテムの羊羹である。いや、ドロップしない。レアドロップでもない。
けれど、理緒は『ネルトリンゲン』――ミネルヴァ級空母でもって出撃する。
巨大な空母はそれだけでもって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを驚愕させただろう。
巨大な飛空艇があるにはあるが、ここまで大きな飛空艇は稀である。
しかも理緒は問答無用でミサイルランチャーやらなんやらで凄まじい弾幕でもって襲いかかってくるのだ。
多少雑になっても構わない。レアドロップさせるためには質より数なのである。レアドロップアイテムを手に入れるためには殲滅しかないのである。サーチ・アンド・デストロイ。
それを地で行くような理緒の艦砲射撃っていうかE.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)の凄まじさ。
もう何がなんだかわからないうちに『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは雲海に鎮められてしまうのだ。
「羊羹への道は、わたしが切り拓く! 推しへの熱い想いをユーベルコードに込めて! 全弾発射ー!」
もうやりたい放題である。
理緒をサポートするAIである『希』ちゃんもなにか言って欲しい。いや、もう諦めているのか? それとも同じ思いなのだろうか。
いや、絶対冷めた目で理緒を見ているに違いない。もう何を言っても止まらないからって諦めているのかもしれない。
だが、そんな思いとは裏腹に理緒のボルテージは上がりっぱなしの天井知らずである。
羊羹。羊羹。羊羹。
もうそればっかりである。何故、理緒がそこまで執着するのか。
いくらなんでも、羊羹に執着しすぎである。そんなに貢ぎたいのだろうか?
いやまあ、喜んではくれるだろうけど、なんか理緒の様子を見ていると違うんじゃない? って気持ちにもなるのである。
しかしそれは簡単な理屈で説明できるのである。
「羊羹さえあれば、また羊羹堕ちがまた見られ……おっとよだれが」
あっ。察し。
これは確実にやべー事態である。理緒の手に羊羹が渡った瞬間、理緒は己の欲望に忠実に為るであろうことが予想される。
その口の端から溢れるよだれが証拠!
助けて――!!!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』
|
POW : ハイパーカオスチャージ
【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : アンリミテッドカオスファング
【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : マッドカオスフレイム
自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』達は猟兵たちの活躍に寄って雑にぶっ飛ばされ全滅する。
デビルキングワールドの流儀に則って戦うのならば、こうもなろうというものである。ここはブルーアルカディアであるが、すでに『スーパーカオスドラゴン』さんの混沌魔法に寄って浮島事態がカオス化しかけているのである。
さもありなんって感じ。
しかし、この事態は冗談では済まされない。
「ゲヒャ! ゲヒャッヒャッヒャ! 流石は猟兵さんたちだゼぇ!」
「だが……このままでは、この浮島事態がカオス化してしまいかねないんだゼぇ!」
「これはオレサマの段取りではないゼぇ! ならば、やることは一つ。立つ鳥跡を濁さずだゼぇ!」
ひゃっはー! って混沌魔法が煌めく。
え、なんで。って猟兵達は思ったかも知れない。あれは混沌魔法『カオスヘッダー』!
詳しいことを説明するのはちょっと面倒くさいので端的に言うと、『スーパーカオスドラゴン』さんが倍々に増えていく魔法である。
しかも、『完全同一存在』。
劣化なし! 全部『スーパーカオスドラゴン』さんなのである!
しかも、『完全同一存在』であるから、生み出された『スーパーカオスドラゴン』さんもまた『カオスヘッダー』でもって倍々に増えていく。
ねずみさんもびっくりである。
まさかのご乱心。なんでそんなことするんです! てなるのだが、『スーパーカオスドラゴン』さんは訥々と語る。
「仕方ないんだゼぇ……オレサマの力を弱めるためには、猟兵さんたちにぶっ飛ばされるしかないんだゼぇ!」
「そう、オレサマをぶっとばし、弱体化すれば元のデビキンんい戻れるのだゼぇ!」
「そんでもって、この浮島のカオス化ももとに戻るんだゼぇ! そうじゃないと、これ……流石に、その、世界観ぶち壊しなんだゼぇ!」
その三つ首が示す先にあるのは、全てが黒くきらめく羊羹へと変わっている浮島の大地である。
そう、混沌魔法の影響か、それとも先の戦いで自宅用のタイガー印の羊羹をカツアゲされてしまったがためか!『スーパーカオスドラゴン』さんが羊羹食べたいなぁって思ったからか!
なんか浮島の大地が羊羹に変わっていっているのである!
「これは流石に拙いんだゼぇ!」
「だから猟兵さん、頼んだんだゼぇ!」
「ゲヒャッ!」
あっ、全部こっちに丸投げした!
なにか抗議する前に、猟兵達は見ただろう。羊羹化していく浮島の中心で、倍々に増えていく『スーパーカオスドラゴン』さんの姿を。
一体でもいい、『スーパーカオスドラゴン』さんをぶっ倒さなければ、世界が羊羹に染まるカタストロフを迎えてしまう――!
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
空の世界に羊羹が……!
これはこれで、食糧補給基地として運用すれば良さそうな……。
まー、世界観は大事デスカナ? HAHAHA!
お任せを、スーパーカオスドラゴン殿!
ワタシたちが、ぶっ飛ばしてあげマース!
ねずみ算で増えるというのに3rdKINGの雰囲気を感じつつ、空中機動で戦闘開始!
展開するのはパイルバンカー!
イエス、前回御身の逆鱗を貫いた武器デース!
天丼という奴デスネ?
突進のタイミングに合わせて、カウンターUC起動!
「六式武装展開、煙の番!」
他のスーパーカオスドラゴン殿の視界から身を隠し、突進してきたスーパーカオスドラゴン殿の逆鱗に再び一撃を叩き込むであります!
「空の世界に羊羹が……!」
浮島にひろがる光景を目の当たりにして、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は思わず呻いていた。
そう、『スーパーカオスドラゴン』さんの混沌魔法は在るだけで周囲をカオスへと導く。
浮島にジッとしていて影響を与えぬようにしていても、その力は漏れ出し浮島を徐々に羊羹に変えてしまっていた。
大地がぷるっと揺れる。
川は水ようかんかな? そんでもって木々は多分練羊羹。葉っぱは抹茶羊羹。多分、そんな感じ。
そんなに羊羹食べたかったのか、『スーパーカオスドラゴン』さん……ってなるほどの光景を前にしてバルタンは色々考える。
いや、これって逆に食料補給基地として運用すれば、とってもいいのではないかとさえ考えられる。っていうか、むしろ良くない? 羊羹の浮島。
「まー、世界観は大事デスカナ? HAHAHA!」
「ゲヒャ! 大事だゼぇ!」
「どんなときにも世界へのリスペクトは必要なんだゼぇ!」
「というわけで、喰らえ、ハイパーカオスチャージ!」
すごく雑に始まる『スーパーカオスドラゴン』さんとの戦い。『カオスヘッダー』によって倍々に増えていく巨体。
それら全てがカオスを極めたかのような予測不能な突撃で持ってバルタンに殺到するのだ。
ねずみ算式で増えていく『スーパーカオスドラゴン』さんの力にバルタンは植物怪獣軍団を生み出していた宝珠の力を想起させられる。
けれど、今はそんなこと言っていられない状況なのだ。
「ワタシたちが、ぶっ飛ばしてあげマース!」
遠慮は無用!
行くゼぇ!! ってなもんでバルタンに迫る三つ首。いや、増えているから……えーと、えーと、数えるのが面倒になるくらいの数の顎がバルタンへと襲いかかる。
弱体化させてほしいが手は抜かない。
それが『スーパーカオスドラゴン』さんのプロフェッショナルというものだ!
「って、それは!」
「まさか、あの棘っとしたのは! 鉄杭は!」
「ゲヒャ!?」
「イエス、前回御身の逆鱗を貫いた武器デース! あ、これが天丼という奴デスネ?」
通用した手は中居でもやる。天井をこすり続けるかの如く有効な戦術は使い続ける。敵に対策されるまでやり続けるのが戦法ってもんである。
しかも、今回はハイパーカオスチャージの突進に合わせたカウンターである。バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
煙が噴出する中、バルタンは迫りくる『スーパーカオスドラゴン』さんに備える。
「六式武装展開、煙の番!」
これこそが粉塵纏・破城槌(ヴァニッシング・バトリングラム)。
パイルバンカーの機構が唸りを上げる音を立て、煙の排出とともに打ち込まれる鉄杭の一撃。
絶大なる威力を誇る一撃は、確かに凄まじい。
けれど、デメリットもあるのだ。そう、それは射程距離である。僅か30cmに至らなければ撃ち込むことの出来ぬユーベルコード。
そのデメリットを打ち消すための煙。
煙を貫き、バルタンのパイルバンカーが『スーパーカオスドラゴン』さんの逆鱗へと打ち込まれる。
これで二度目。
されど、その一撃が『スーパーカオスドラゴン』さんに与える一撃は痛烈なるもの。
「前回、白羽の矢が立っていた場所を思い返してみれば、狙いすますことなど容易なのデース!」
轟音と共に煙の外に打ち上げられる『スーパーカオスドラゴン』さん。
ぐへー! って声が上がっているのがなんか緊張感に欠けるが、確実に一体の『スーパーカオスドラゴン』さんを追い込んでいることは事実。
膨れ上がる『スーパーカオスドラゴン』さんたち。
けれど、バルタンはすでに一度戦った相手に負けるような猟兵ではない。
そう、猟兵に同じユーベルコードは二度通じぬ! 最早これ常識! いや、常識ではないけれど、二度目の戦いともなれば、初見殺しでもない限り猟兵達はぶっ飛ばす。
「これが猟兵の戦いデース! さあ、さっさと弱体化してハウスに戻るのデース!」
バルタンはたまやーって打ち上げた『スーパーカオスドラゴン』に笑い掛けながら、その巨体が大地を揺らす音に大地から数センチ足が浮く感覚にまた爽快に軽快に笑うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
今回の混沌は、そういう方向か…(困惑)
有識者(?)陰海月「ぷきゅーぷきぷきゅぷきゅ、ぷきぷき!(スーパーカオスドラゴンさんの望みだし、戦おう!)」
…陰海月、汲み取りすぎじゃて。
というわけでの、霹靂に乗りつつ、一体に定めて突撃である。
高速で噛みついてくるようだが、風の流れを読み、雷属性の結界で弾いていく。
そして…定めた一体に黒燭炎による呪いを付与しよう。これ、マーキングなのよな。そう、それに集中できるようにな!
そして、その一体に突撃を続けようぞ!
※
陰海月、今度ブロック玩具で羊羹大陸再現する計画。羊羹は我慢。
霹靂、混沌広がらないように頑張る!
浮島の中心からひろがる羊羹の輪。
いや、羊羹の輪?
というか、これがカオス化ということなのかと馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は困惑していた。
いや、中の三柱たちも同様であったことだろう。
なんで羊羹?
今回の混沌はこういう咆哮なのかと困惑しきり。されど、有識者『陰海月』さんに聞いてみることになれば、このカオスの様相を呈する浮島から『スーパーカオスドラゴン さんの意を汲み取ることなど造作もない。
『ぷきゅーぷきゅぷきゅ、ぷきぷき!』
翻訳するのなら、『スーパーカオスドラゴンさんの望みだし、戦おう!』ということであろう。
いや、わからんでもない。
確かに『スーパーカオスドラゴン』さんの混沌魔法は強力である。『カオスヘッダー』に至っては、マジで世界を滅ぼせるたぐいの力である。
それを己の我欲ではなく、他者を慮るためにジッとこらえていた『スーパーカオスドラゴン』さんの心意気に『陰海月』は胸を打たれたのだ。
「……『陰海月』、くみ取りすぎじゃて」
『侵す者』は流石にそこまで汲み取れなかった。
っていうか、そこまで汲み取れるのは、やっぱりファンだからであろうか。ともあれ、『スーパーカオスドラゴン』をぶっ飛ばさない限り、彼をデビルキングワールドに連れ戻すことは難しいだろう。
兎に角ぶっ飛ばして弱体化するという雑な方策であるが、これが最も簡単なことであり、同時に最も困難を極める戦いでもあった。
なぜなら、『カオスヘッダー』によって倍々に増えていく『スーパーカオスドラゴン』が同時に放つ三つ首の顎の噛みつき攻撃は、まるで迫りくる大波を止めるかのように至難の業であったからだ。
「『霹靂』……頼んだぞ」
『侵す者』は『霹靂』にまたがり、一心同体となって飛ぶ。
彼等が目指すは一体の『スーパーカオスドラゴン』さんのみ。狙いを絞り、『完全同一存在』である特性を利用し、一体を撃破することに務めるのだ。
そうすれば、『完全同一存在』であるがゆえに、一体を撃破すれば連鎖して他の『スーパーカオスドラゴン』さんも爆発して消えるのである。
「風の流れを読み、結界で防げば……!」
「ゲヒャッヒャッヒャ! それで防げるオレサマの牙じゃねぇゼぇ!」
「油断大敵だぜ、猟兵さん!」
「というわけで、ガブっといっちまうゼぇ!」
おらー! って『スーパーカオスドラゴン』さんの牙が迫る。
それを『侵す者』は己の手にした黒槍でもって呪いを付与するように戦いこむ。それはマーキングだ。
他の猟兵が消耗した一体を見定めるために必要な印。
これさえあれば、こちらの戦力が分散することはない。幸いにして、すでに先行した猟兵の一撃が一体の『スーパーカオスドラゴン』さんを消耗に追い込んでいる。
「さあ、共に駆け抜けようぞ、『霹靂』!」
『クエッ!』
嘶きと共に空を駆け抜ける『霹靂』。
迫りくる牙を、顎を躱し、さっそうと空へと飛び上がる。
ユーベルコードに煌めく瞳が見据えるのは、『スーパーカオスドラゴン』の一体のみ。
呪いのマーキングが、そのオーラをもって巨体を目立たせている。
倍々に増える『スーパーカオスドラゴン』さんの中に紛れても、そのオーラが在る限り、敵を過つことはないだろう。
「四更・火(シコウ・カ)! わしらの前に、防護など無駄よ!」
『霹靂』、『陰海月』、『侵す者』。
三者の意志はまとまって……。
「ぷきゅ!」
いや、まとまってないな。『陰海月』は羊羹大陸をブロック玩具で再現する計画を頭の中で打ち立てている。
あの羊羹色のブロックってあったかな。なかったらどうするんだろうって思いながら、羊羹を我慢する代わりにあれやこれやと思いを巡らせているのだ。
しかし、それもまた知育。
楽しむことこそが学びにつながるのならばと祖父魂燃える『侵す者』は大空から『スーパーカオスドラゴン』の頭に槍の一撃を痛烈に叩き込むのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
『諦めてるに決まってます。わたしに実体がなくてちょっと安心してるんですから』
と、章をまたいでツッコミをする『希』ちゃんの後ろで、
羊羹化した浮島を見て欲望に塗れながら、悪い笑いをしちゃうね。
これだけあれば羊羹に沈めてあげることもできそう。
っていうか、わたしもいっしょに沈みたーい(くねくね)
よーし、ちゃっちゃとドラゴン焼いて倉庫に詰めに行くよー♪
ってあれ? なんで『希』ちゃん、スンっ、てなってるの?
倉庫ならあとで洗うからだいじょぶだよ!?
ということで、いっきにいくよ!
【テスカポリトカの鏡】で進路上のドラゴンを焼き墜としたら、
最大船側で羊羹島にごー! 倉庫に詰め込めるだけ詰め込まないとね!
あ、羊羹回収中は【M.P.M.S】と【D.U.S.S】で対空防御も忘れないよ。
これだけアヘ羊羹があれば、喜んでもらえるよね!
いや……これだけの羊羹、『しべ●あ』とかも作ったりしていいかも。
羊羹だけでアレなら『し●りあ』を食べたら、あーんな表情や、こーんなポーズとか見られちゃうかも!
でへへへへ……おっと鼻血が。
サポートプログラムAIである『希』は語る。
「諦めているに決まってます。わたしに実体がなくてちょっと安心しているんですから」
なんか章をマタイでのツッコミをする『希』。
その言葉の端々から伝わる雰囲気に我々は息を吐き出すしかなかった。ご心労わかります、とは口が裂けても言えない。言ってはならない。
それはプロフェッショナルたる『希』の矜持を傷つけることであったからだ。
しかし、ミネルヴァ級空母『ネルトリンゲン』の艦橋から睥睨する菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の瞳は欲望に塗れていた。
何故ならば、『スーパーカオスドラゴン』さんの混沌魔法の余波でもって浮島はカオスと化していた。
いやまあ、カオスって言ってもあれである。浮島が羊羹に変わっていっているのである。
それだけみれば、まあ、そんなに……? ってなる変わり様であった。
仕方のないことでも在っただろう。
なにせ、『スーパーカオスドラゴン』さんは羊羹カツアゲされているのである。自宅用にと思っていた羊羹も取り上げられ、挨拶回りもできず、己の力の見せ所である段取りも組めなかった。
その鬱憤っていうか、ストレスっていうか、そういうのが噴出した結果なのかなぁって思わないでもない。
「これだけあれば羊羹に沈めて上げることもできそう」
ワルな顔で笑っている理緒。
はっきり言って、こっちのが絶対悪役である。確実に良からぬことを考えている顔であることが万人にもわかることだろう。
そう、彼女が狙っているのは、羊羹風呂! なんだそれってなるであろうが、そう言葉で表現するのが最も適当であるのだから仕方ない。
彼女はグリモア猟兵を羊羹風呂に沈めようとしているのだ!
「っていうか、わたしも一緒に沈みたーい!」
くねくねしている理緒に『希』は何も言わない。その矛先が自分に向いていないことに安堵しているのかもしれないし、グリモア猟兵の未来をあんじているのかもしれない。
いや、あんじていてくれ頼む!
「よーし、ちゃっちゃとドラゴン焼いて倉庫に詰めにいくよー♪」
にっこにこである。
というか『スーパーカオスドラゴン』さん逃げて! ってなるのは確実によくない兆候ではないだろうか?
「ってあれ? なんで『希』ちゃん、スンっ、てなってるの? 倉庫なら後で洗うから大丈夫だよ!?」
そういうことじゃないのである。
我が主ってこんな感じだったっけ? あ、そうでしたわって感じの『スンっ』である。
「ゲヒャッヒャッヒャ! そうはさせるかだゼぇ!」
「オレサマたちのハイパーカオスチャージ、受けきれるか! だゼぇ!」
「そのデカブツで躱せるわけないんだゼぇ!」
吹き荒れる混沌魔法『カオスヘッダー』によって倍々に増えていく『スーパーカオスドラゴン』さんたちの群れ。
その突進の威力は、まるでカタパルトのように増えた『スーパーカオスドラゴン』さんが敷き詰められ、協力することに寄って強化されるのだ!
もう『スーパーカオスドラゴン』さんを止められるものなんていないんだゼぇ! てな具合である。
だが、理緒は悪い顔をしたまま、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「射線クリア。いっちゃえー!」
えっ。
それは戦闘艦を船体外部に装備された大口径主砲の発射形態へと変形させ、その手法の火力を最大値にまで引き上げるユーベルコード。
名をテスカトリポカの鏡(テスカトリポカノカガミ)。
あらゆるものを焼き滅ぼす太陽の光。
その砲撃はカタパルトのようになろうとしていた『スーパーカオスドラゴン』たちをぶっ飛ばし、最大船速で『ネルトリンゲン』は羊羹島へとレッツラドンである。
ものすごい音を立てて『スーパーカオスドラゴン』たちを蹴散らし、『ネルトリンゲン』が着艦する。
えっ、『スーパーカオスドラゴン』さんをぶっ倒して弱体化するっていう目的を既に忘れていらっしゃる!?
だが、『希』は突っ込まない。突っ込まないと決めたら突っ込まないのである。
自分に塁が及ばなければいいのかもしれない。そんなー!
「これだけアヘ羊羹があれば、喜んでもらえるよね!」
いや、何を言っているのだろう。理緒は『スーパーカオスドラゴン』さんには脇目も振らず、『ネルトリンゲン』の倉庫に詰め込めるだけ羊羹を切り分けて詰め込むのである。
詰め込んでいる間、対空防御を忘れないところがなんというか、理緒らしいっていうか、欲望に忠実な人間ってこんな感じになるんだなぁって思い知らされる次第である。
いやっていうか、流石に戦おう?
『スーパーカオスドラゴン』さんもなんかドン引きしているのである。
「いや……」
理緒はハッとする。
流石に周囲の反応に気がついたのかな?
「これだけの羊羹、『しべ●あ』とか作ったりしていいかも!」
あ、違った。
ダメだ。これはダメである。理緒さんが確実にあかん感じなっている。だが、誰も止めない! 止められないのである!
「羊羹だけでアレなら『し●りあ』を食べたら、あーんな表情や、こーんなポーズとか見られちゃうかも!」
ないわ。
そんなことないわ。
絶対にないわ。あれは緑茶と羊羹のマリアージュだから得られる表情なのである! 言うてしまえば、あれはチル! 圧倒的チル・タイム!
ゆえに安らぎと心地よさが同居した羊羹チルなのである!
理緒さんが期待しているような感じでは決して無いとだけ名誉のために言わせていただこう!
しかし、理緒さんはかんけーねー! とばかりに想像の翼を広げ、羊羹を『ネルトリンゲン』に詰め込んでいく。
詰め込められる限り詰め込むという強欲。
あんなこといいな、そんなこといいな、できたらいいなって、はい『しべり●』~って具合に鼻歌歌っている理緒さんは思わず鼻を抑える。
「でへへへへ……おっと鼻血が」
なんで?
なんで鼻血が出るの!? そんなツッコミは何処にも響かない。
『希』は後に語る。
ああなった理緒はもう誰にもとめられない。たとえ、東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』さんの放つ混沌であってもだ――!!
大成功
🔵🔵🔵
ドウジ・ユークレナ
スーパーカオスドラゴンー以下SCDの混沌魔法は相変わらずなカオスでありますなぁ。
…あれ?これって食料に難ありなアポカリプスヘル辺りだったらSCDって大救世主だったんでね?
…SCDの遺志(注:死んでない)は受け取ったのであります。遠慮なくボコりでありますよ。
戦闘は引き続き、ストームエンゼルで戦うであります。
『飛空艇操作』で『空中戦』を仕掛けるであります。
オーバーブースト・マキシスパイダーを発動であります。
UCで加速した『空中機動』の『残像』効果で噛付き攻撃を回避しつつ、『レーザー射撃』と『誘導弾』そして反応弾の『一斉発射』であります。
SCD良いラスボスを無くしたであります(ぶわッ)
『カオスヘッダー』によって浮島に溢れかえる『スーパーカオスドラゴン』さんたち。
その姿は混沌そのものであった。
混沌の体現者ってそういうことなのって理解できるほどの暴力的なまでの物量。
だが、それ以上に目を引いたのは浮島の中心から広がっていく羊羹ワールド。
思わず口の中が甘くなってしまうほどの光景。
黒光りする大地。
木々の葉に至るまで、全てが羊羹に変わっていくカオス。
「ここまでやらかしてしまうと後がとても大変だゼぇ!」
「ゲヒャッヒャッヒャ! だが、羊羹ってことは食べられるってことだゼぇ!」
「うんま~い!」
いや、そうはならんやろっていう感じで『スーパーカオスドラゴン』さんたちが大喜びである。
余程羊羹が食べたかったのだろう。
「『スーパーカオスドラゴン』以下『SCD』の混沌魔法はあいかわらずカオスでありますなぁ」
ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は感心するやらそうでないやらなんとも微妙な顔で羊羹と化していく浮島の景色を見つめる。
全部羊羹。
美味しい羊羹。練羊羹に水羊羹、抹茶に塩にとまあ、いろんな羊羹があるのである。羊羹の可能性を見出すような光景であったが、ドウジが至ったのはそこではない。
「……あれ? これって食料に難ありなアポカリプスヘルあたりだったらSCDって大救世主だったんでね?」
それはそうかも。
でもなぁ。毎食羊羹ってどうなのだろう? 絶対飽きるし、血糖値とかなんかそんなところがこう、ね? アレなことになりかねない。
それにアポカリプスヘルに生きる人々のたくましさは、そんなもんだって乗り越えられるのである。
しかし、ドウジは、くぅっ! と男泣きするように決意するのだ。
「……SCDの遺志は受け取ったであります。遠慮なくボコりでありますよ」
『ストームエンゼル』と共にドウジは戦場を駆け抜ける。
空を舞い、迫る『スーパーカオスドラゴン』の迫る三つ首の牙を躱し、空中戦を仕掛けるのだ。
「ゲヒャッヒャッヒャ! オレサマの顎に噛み砕かれちまいなぁ!」
「牙は鋭いから気をつけるんだゼぇ!」
「右左下上斜め下! 来るゼぇ!」
予め攻撃の方角を教えてくれているところからして、段取りは万全である。これが段取りと挨拶回りに定評のあるラスボス!
ドウジは戦慄した。
それなら別にユーベルコード使わなくても大丈夫なんじゃね? と。けれど、そうはいかんのである。
やるからには盛大にぶっ飛ばさなければならない。
オーバーブースト・マキシスパイダーによって加速したドウジの駆る『ストームエンゼル』は凄まじい勢いで、追いすがる三つ首の顎を躱し、くるりと空中で一回転する。
その残像の軌跡を『スーパーカオスドラゴン』ことSCDは見ただろう。
「こしゃくな、だゼぇ!」
「空中で体勢を整える前に!」
「危ないから脱出するんだゼぇ!」
あ、こういう状況でも気遣いするんだなぁって思いながらドウジはレーザー射撃と誘導弾、さらには主翼パイロンに装着していた反応弾をありったけ打ち込むのである。
凄まじい爆炎の中に消えていく『スーパーカオスドラゴン』さん。
その揺らめく炎を見下ろしながらドウジは『ストームエンゼル』と共に大空を舞う。
「SCD、良いラスボスを失くしたであります……」
ぶわって涙するドウジ。
けれど、安心して欲しい。まだ死んでないし、ぶっ飛ばされてない。
そう、オレサマたちの戦いはこれからだ――!
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ま、ぶっ飛ばすのは既定路線でござるし何も問題はないでござるね!
派手にやりたい…やりたくない?
ドラゴンにはドラゴンをぶつけるんだよ!!【架空兵器】的なものを空にポン!と創造でござる
こいつはゲッ…機械仕掛けのドラゴンでござる、昔どこかで見たことあるやつですぞ
深堀しないのはまあそういう事だ
頭から緑色した謎ビームを撃ちつつスーパーカオスドラゴンと空中戦!やったーカッコイイー!
そしてスーパーカオスドラゴンの大軍と拙者の出したドラゴンの正面からの激突合戦…などと思ったか!激突寸前でドラゴンを自爆だ!!何しろこいつは拙者の想像でござるので突然自爆機能が生えても問題なし!
時に想像は爆発するもんだからネ!
東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』さんを取り巻く状況は、ようやくにして好転する。
これまで浮島を取り囲んでいた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは排除され、猟兵達は『スーパーカオスドラゴン』を元の世界に戻すべく作業を開始しようとして、突如として彼に襲われる。
乱心!
いや違う。これは『スーパーカオスドラゴン』さんの気遣いである。
すでに彼の混沌魔法は強くなりすぎてしまった。このままではデビルキングワールドに帰れない。
ならばどうするか。
そう、雑に喧嘩売って猟兵さんにユーベルコードでぶっ飛ばしてもらって己を弱体化してもらおうと思っているのだ。
「ゲヒャッヒャッヒャ! これでオレサマのちからは倍々になるんだゼぇ!」
「『カオスヘッダー』はねずみ算式でオレサマの『完全同一存在』を生み出す混沌魔法!」
「だが、『完全同一存在』であるがゆえに、一体でも倒されたら全部爆発して消えるんだゼぇ!」
全部言った。
普通なら秘匿しておくべき弱点である。けれど、そこは段取りをちゃんと組む『スーパーカオスドラゴン』であればこそ!
「ま、ぶっ飛ばすのは既定路線でござるし何の問題もないでござるね!」
そんな気遣いがあろうがなかろうが、ぶっ飛ばすことには変わりねぇ! ってエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)はヒャッハーしている。
そう、エドゥアルトは派手にやりたい。
なんかラノベかコミックのタイトルにありそうなことを考えている。派手派手にやりたいって気持ちはわかる。
目立ってなんぼである。
この戦いにおいて必要なのはなにか。
「そう、ドラゴンにはドラゴンをぶつけるんだよ!!」
ビカッ! ってエドゥアルトの瞳がユーベルコードに煌めく。
例のアレがこの世界に現れたようです(クロスオーバートカカイニュウトカソウイウヤツ)。
何、例のアレって。霊に例を掛けてるって……コト!? 違う。多分。
エドゥアルトのユーベルコードに寄って生み出されたのは、架空兵器。見た目がなんかモザイク画みたいになってるのはどういうことか。
みなまで言うな。
訴えられないために決まってんでしょ! 確実にヤバい。オープンゲットしそうな見た目。
権利元に見られたら、絶対に負ける。
そう思わしめるデザインのアレがこう、その、ほら、あれだよ。アレっていうしか無い状況に打ち込まれる。
派手にやっていいとは言ったが、無理すんな!
「深掘りしないのはまあそういうことだ」
やだー! 絶対起こられるやつじゃんー!
「それよりも見るでござるよ。あれ、拙者が生み出したんでござるよ」
いや、思いっきりあれじゃん! ゲッ……ってなるやつじゃん!
謎の緑のビームをブッパするところなんてマジ、それじゃん! やったーカッコイイー! じゃないんだよ!
「これは流石に拙いんだゼぇ!」
「ゲヒャ! それ以前に強いんだゼぇ!?」
「これがゲッ……ビームッ!」
正面から激突する大怪獣ドラゴン軍団対架空兵器。正式名称は絶対に出さない。出してはならないという強い意志を感じる……!
そんな戦いを前にエドゥアルトは笑う。
そう、正面切ってエドゥアルトが戦うわけがない。こんな確実に焼くなら世界まるごとみたいなやり方をするのはエドゥアルトしかいないわけで、そんな人が真正面から戦うなんてありえないのである。
「激突寸前でドラゴン自爆だ!!」
今ドラゴンって言った? ゲッ……ドラゴンって言った?
言ってない言ってない。何も言ってない。
ボカーン!
って髑髏のマークの爆風が浮島に上がる。
あ、これおしおきだべ~って奴? エドゥアルトは後で自転車帰ってくるように。
そもそもなんで自爆装置があるのか。
「なにしろあれは拙者の想像でござるので、突然自爆機能が生えても問題なし!」
いや、絶対証拠隠滅用だぞ。
「時に想像は爆発するもんだからネ!」
うまいこと言って締めようとしたってそうはさせねぇ! 自転車で帰ってこい――!
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
ママチャリ(スカイサイクルという、一応この世界の正式アイテム)を駐輪して、ぬいぐるみ中心に結界術による防御結界で保護。
水筒のお茶と、その辺から取った羊羹を少し頂きます。
美味しい(ホッコリ)♪
でも世界中が羊羹だと、さすがのナイアルテさんも飽きちゃいますよね~。
とお仕事開始。
ハイパーカオスチャージに対応して、第六感で軌道をよそ…面倒くさいから催眠術・捕縛で「皆さん、止まって下さいね~♪」とお願い。
私、知っています。
スーパーカオスドラゴンさんはとてもワルい子(いい子)ですから、素直にお願いを聞いてくれるって。
止まったところに、皆さんもご帰還を待っていますよ~、とUCを使用して愛の鞭を放つのでした♪
浮島に一台のママチャリが駐輪する。
チリンチリンってベルの音が聞こえるのはご愛嬌である。
前に取り付けられたカゴの宇宙人のぬいぐるみが揺れる。可愛いか……可愛いかな……ってなる微妙なデザインライン。
そのぬいぐるみを中心に結界術が展開し、ママチャリを保護している。
防犯意識まで高い神性ってなんか親しみあるなって思ってしまう。
そんな意識高い神性こと大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、ふぅって息を吐き出す。
もうすぐ夏。
春がすぎ、梅雨になる頃合いである。そろそろ暑くなりますねぇって世間話でも始まりそうな雰囲気であったが、事態はそうはいかんのである。
ここ浮島は『スーパーカオスドラゴン』の滞在によって混沌魔法から染み出した力で持ってカオス化が進んでいる。
具体的に言うと羊羹になってる。なんで?
なんでって言われてもそういうものだしって押し切れてしまうのが混沌魔法の便利なところである。
「ゲヒャッヒャッヒャ! これで羊羹食べ放題だゼぇ!」
「あま~い!」
「オレサマの頭脳が漲ってくるぅ~!!!」
『スーパーカオスドラゴン』さんは『カオスヘッダー』によって倍々に増えまくっている。
猟兵たちが戦っているから、まだこんなもんで済んでいるのである。
しかし、さっきから詩乃さんがカメラに映っていない気がするんだけど、どうしたことかとカメラをパンすると、そこにあったのは水筒のお茶とそのへんから撮った羊羹を頂いて、ほっこりしている詩乃の姿があった。
あ、小休止!?
神性であっても休息は必要なのである。仕方のないことなのである。
美味しい♪ってやられてしまえば、それはそうですよね、仕方ないですよねってそらカメラマンさんもなるわ。ならんわ!
「でも世界中が羊羹だと流石に飽きちゃいますよね~」
美味しい羊羹とお茶のマリアージュは素晴らしいものである。だからこそ、時たまでいいのだ。
どんなごちそうだって食べ過ぎれば体に毒だし、飽きる。
重たい腰をあげて詩乃は立ち上がる。お仕事開始だおらー!
「というわけで、よろしいですか!」
「ハイパーカオスチャージだゼぇ!!」
「くらえい!」
てな感じで雑に突撃してくる『スーパーカオスドラゴン』さんたち。
だが、そんな彼等を前に詩乃は、ピッ! って何処からか出したのかわからんホイッスルを鳴らし止めるのだ。
「皆さん、止まってくださいね~♪」
詩乃のにこやかな笑顔が眩しい。
なんで止まらんとならんのか。ワルは急には止まれねぇのである! だがしかし!
「私、知っています」
私、気になります! みたな感じで言われても何を知っているというのだろうか。なんだ、薔薇色になるのか?
「『スーパーカオスドラゴン』さんはとてもワルい子ですから、素直にお願いを聞いてくれるって」
ワルい子イコール良い子である。
ぐっ、と突進が止まる。
そんなふうに言われたら言うこと聞いてしまうに決まってるじゃん! そんでもってみんな止まっちゃうじゃん!
だが、詩乃の瞳がユーベルコードに輝いている。
「これは愛の鞭ですよ~」
にこり。
みんな、『スーパーカオスドラゴン』の帰還を待っているのである。詩乃はデビキンの悪魔たちの声を代弁するかのように、ぴたっと止まった『スーパーカオスドラゴン』さんの背後に立つ。
超高速かつ大威力の平手が『スーパーカオスドラゴン』のお尻の部分に、ばちこーん! って打ち込まれる。
盛大に響き渡る音!
「ひぇっ!?」
「なんで!? なんでケツ叩きなんだゼぇ!?」
「思わず、笑い方忘れたんだゼぇ!?」
「これは改心の一撃(トテモイタイアイノムチ)です。真人間に……いえ、真悪魔担って欲しいという私の願いです!」
痛いですけど、死にませんよ、とにっこり微笑んで詩乃は凄まじい平手打ちで持って愛情たっぷりに『スーパーカオスドラゴン』さんをぶっ叩く。
ものすごい音がブルーアルカディアに響き渡り、真っ赤な紅葉が『スーパーカオスドラゴン』に咲くのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
お羊羹地獄ですわ!
スーパーヨウカンドラゴンのお間違いではなくって?
けれどこれだけのお羊羹があれば当分食べるものに困らなさそうですわ…
なんですヴリちゃん?絶対飽きる?
それもそうですわね
ではお望み通りぶっ飛ばしておうちにお帰り願いますわ!
とは言ってもとんでもない強敵ですわ
すんげぇパワーをビンビン感じますわ
なんですヴリちゃん?ならこちらもパワーアップすればよいと?
そんな簡単に出来たら苦労しません…わぎゃー!!
ヴリちゃんがでっけぇドラゴンに化けましたわ!
これが真のお姿?
こまけぇこたぁよろしいですわ
因みにわたくしはヴリちゃんの頭に乗っておりますわ
一体でも倒したらお勝利ですわ
なので一体を集中攻撃するのですわ
ヴリちゃん!突撃してきたところをラースオブザパワーで捕まえますのよ!
掴んでいれば吹っ飛ばされても道連れですわ
他のスーパーヨウカンドラゴン様が突撃してきたら捕まえたそれを盾にして受け止めますわ
ヨウカンにはヨウカンをぶつける理論ですわ
そして首を掴んでジャイアントスイングですわ!怪獣プロレスですわ!
浮島の中心は『スーパーカオスドラゴン』を起点として羊羹まみれというカオスと化していた。
あまりにもあんまりな光景。
何処を見ても甘い匂いが漂ってきそうである。
大地は練羊羹、川は水羊羹、樹木の葉っぱまで抹茶羊羹。凄まじいまでの小豆と寒天と砂糖の消費。
これだけあれば、諸々の食糧事情が解決できてしまうのではないかと思われるほどであったが、そんなことあるわけないのである。
「お羊羹地獄ですわ!」
おハーブみたいな言い方するなぁって感じでメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は驚嘆した。
「『スーパーヨウカンドラゴン』のお間違いではなくって?」
そのあまりの光景に思わず『スーパーカオスドラゴン』の名前を間違えてしまう。
そんでもってこれだけのお羊羹があれば当分食べるものに困らなくていいですわ、と思ったが、『ブリトラ』の言葉を聞いて確かにってメサイアは思うのである。
「絶対飽きますわね。それもそうですわ。では、お望み通りぶっ飛ばしておうちにお帰りいただきますわ!」
しかし、メサイアは感じ取っていた。
目の前の三つ首の邪竜の如き『スーパーカオスドラゴン』さんの重圧を。これまで対峙してきたオブリビオンに勝るとも劣らない力。
さらには『カオスヘッダー』によって倍々に増えていく巨体。
もう浮島が羊羹化しているなんてことが些細なことに思えてくるほどに覆い尽くす『スーパーカオスドラゴン』さんたちの姿。
正直言って、これ普通に倒せるのか? と疑念を抱くには十分であった。
けれど、メサイアは知っている。すんげぇパワーをビンビンに感じながらも、己がまったく負ける気がしていないことを。
「なら、こちらもパワーアップすればよいと? そんな簡単に出来たら苦労しません……わぎゃー!!」
メサイアは己が何故負ける気がしないのかを悟るだろう。
そう、己の乗機である『ヴリトラ』の真なる姿。
オーバーロードに至る『ヴリトラ』の巨躯は、まさに『スーパーカオスドラゴン』を凌ぐほどの凶悪なる見た目!
あれ、どっちがどっちでしたっけってなるが、見分けるコツは三つ首かそうでないかだ!
「はえー……すっごいですわ。ヴリちゃんがでっけぇドラゴンに化けましたわ!」
これが真の姿。
オーバーロードに至りし『ヴリトラ』の至高なる姿。暴力の権化! 暴風の象徴! そんな感じで今や『ヴリトラ』の威容は天に凄まじいオーラとなって放たれているのだ。
だが、メサイアはそれを気にしない。
「こまけぇこたぁよろしんですわ」
メサイアはいつもどおりである。どんな姿になっても、どんな力を得ても、変わりないことこそが彼女の強さであったのかもしれない。たぶん。きっとそう、たぶん。ちょっと自信ないけど、そういうことなのだと思う。
ふわっふわした言い方であるが、『ヴリトラ』の真の姿は『スーパーカオスドラゴン』さんとの姿と相まって、大怪獣大決戦の様相である。
「一体でも倒したらお勝利ですわ」
「そのとおりだゼぇ!」
「オレサマたちは『完全同一存在』! 一体でも倒されてしまえば、連鎖的に爆発するんだゼぇ!」
「ゲヒャッヒャッヒャ! 勝負だゼぇ!」
激突する『スーパーカオスドラゴン』と『ヴリトラ』。
おらぁ! って無数の『スーパーカオスドラゴン』たちが『ヴリトラ』に掴みかかるが、『ヴリトラ』も負けては居ない。
ユーベルコードに輝く瞳が、これまで猟兵たちの攻撃によって消耗させられている一体を捉える。
「ヴリちゃん!」
メサイアの言葉に応えるように『ヴリトラ』が咆哮する。
掴みかかった『スーパーカオスドラゴン』の巨体を持ち上げ、凄まじい力の発露と共にそれを大地に叩きつける。
だが、叩きつけてもまだ『ヴリトラ』は『スーパーカオスドラゴン』を手放さい。
それは、憤怒の剛力(ラースオブザパワー)であるがゆえに。
まだ倒せていない。
しかし、そんな『ヴリトラ』に分裂した『スーパーカオスドラゴン』がタックルをぶちかまし、機体が揺れる。
メサイアは『ヴリトラ』の頭部にいるので、ぐわんぐわんとめちゃくちゃに揺れる。三半規管がヤバい! げぼーってなりそうなくらいの、それこそ虹色のキラキラシーンが差し込まれてしまうそうなくらいに揺れるのだ。
ぶっ飛ばされながらも『ヴリトラ』は踏みとどまる。
羊羹の大地が簡単にえぐれ、沈みかける。
だが、『ヴリトラ』の瞳が輝く。
「ヨウカンにはヨウカンをぶつける理論ですわ!」
あ、『スーパーカオスドラゴン』のことね。ヨウカンがヨウカンでヨウカンなヨウカンになりそうなヨウカン・パンデミックになりそうな戦場である。
その言葉に応えるように『スーパーカオスドラゴン』を『ヴリトラ』は叩きつけ、さらに首を掴んでのジャイアントスイング!
「や、やりすぎじゃないか、だゼぇ!?」
「これぞ怪獣プロレスですわ!」
「じゃあ、せめてブック用意しおくのが普通じゃないんだゼぇ!?」
「ゲヒャッヒャッヒャ!?!?!」
ぶおんぶおんと風を斬る音。
それは首根っこひっつかんで『ヴリトラ』が『スーパーカオスドラゴン』の巨体をぐるぐるとぶん回す音。
これからどうするかって?
簡単であるし、メサイアも言っていた。今はちょっとゲーってしそうなので、うっぷってなっているので、敢えてこちらで言わせてもらおう。
『スーパーカオスドラゴン』には『スーパーカオスドラゴン』をぶつけんだよ!
ぶん投げた『スーパーカオスドラゴン』に『スーパーカオスドラゴン』が激突してドミノ倒しのようにぶっ飛ばされていく。
化け物には化け物をぶつけんだよ理論の実証はここに相成ったというように『スーパーカオスドラゴン』は涙目になりながら羊羹の大地にぶっ刺さるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
({暗黒キャラメル}を噛みながら何かに気づいた表情をする)
嘘から出た実にすれば私は嘘をつかなかったことになるのでは!?
ナイスアイデア!では早速この浮き島を占拠し…ってなんじゃこりゃー!
緊急事態発生!国防軍出動せよ!
(UC【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】発動)
皆さん!我がダーティ魔王国が羊羹に侵略されつつあります!
私が『地形破壊』と『トンネル堀り』で塹壕を掘り進めますので
力を合わせてスーパーカオスドラゴンさんを倒してください!
むっ!ここから先は羊羹のようですね!
地味な作業の塹壕堀りは私に任せて!
皆さんは大いに活躍して目立ちまくってください!
(『大食い』で羊羹を食べながら檄を飛ばす)
悪魔とは基本、善い子の種族である。
どれだけデビルキング法によってワルこそがクールでカッコイイことと言われていたとしても、どうしようもなく性根が善良であるからこそ、悪いことをした時、心にある良心の呵責というのに苛まれるのかもしれない。
あっ、違う?
もごもごとダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は、『一口食べると悪事が浮かぶ』とキャッチフレーズでおなじみの『暗黒キャラメル』を食べながら次なる悪事がおも浮かぶのを待っていた。
ちなみにキャッチフレーズは嘘である。
通常の世界であれば、商品名に偽り在りで咎められるところであるが、善悪が逆転したデビルキングワールドにおいては、むしろ大人気商品足り得るスペックとなるのである。
「……」
もごもごとまだダーティはやっている。
なんでこんなに真剣な顔をしているのかと言うと、先程『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを退けた時、吐いた嘘がどうにか真にならんかと頭をひねっているのである。
「嘘から出た実にすれば私は嘘をつかなかったことになるのでは!?」
ひらめいた!
ナイスアイデア! ダーティはやっぱり『暗黒キャラメル』すごいと目に闘志を燃やしながら、『スーパーカオスドラゴン』が座していた浮島を実効支配しようと……して……。
「なんじゃこりゃー!」
そう、浮島は今中心部から混沌魔法によって羊羹化しているのである。
何を言っているのかさっぱりわからんと思うが言葉通りである。地面は練羊羹で、木々の葉っぱは抹茶羊羹。川とか水は水羊羹である。
正直意味わからん。
けれど、これがカオス。カオスの暴走たる所以である!
「緊急事態発生! 国防軍出動せよ!」
ダーティの言葉と共にダーティの姿をした兵士たちが召喚される。
積悪!穢澱虚兵蹂躙陣(アイデンキョヘイジュウリンジンである。これは彼女の力量に左右されるが、それでも百を超える兵隊たちがずらりと居並ぶ光景は壮観であった。
その兵士たちを前にダーティは声高らかに告げるのだ。
「皆さん! 我がダーティ魔王国が羊羹に侵略されつつあります!」
そんでもってダーティは浮島に溢れまくっている『スーパーカオスドラゴン』の姿を認める。
倍々に増えていく『スーパーカオスドラゴン』はもう真正面から戦うなんて馬鹿らしいほどの数となっているし、どうにかできるのかなぁってなるほどの数であった。
けれど、これをどうにかしないことにはダーティのアイデアである嘘を真にするという作戦が破綻してしまう。
ここは無謀であっても突き進まねばならない時なのだ!
しかし、彼女には策があるのだ。
「私が塹壕を掘り進めますので、皆さんは力を合わせて『スーパーカオスドラゴン』さんを倒してください!」
さあ、いきますわよ! とダーティはがりごりとダーティガントレットでもって浮島の地面を掘り進めていく。
ダーティガントレットは掘削力であったか。
結構浮島の地面は硬かったが、急に柔らかくなる。そう、浮島の中心に近づいたということは羊羹になっている場所に出たということだ。
「むっ! ここからは先は羊羹のようですね! 地味な作業の塹壕掘りは私に任せて!」
もちゃもちゃとダーティは羊羹を食べていく。
兵士たちは、えーずるーって顔をしているし、なんなら普通に掘り進めた塹壕をアリの巣穴みたいに広げていく。
甘いものは善いもの。
甘味があれば大体元気。それが悪魔ってもんである。いや、そういう事実はないが、甘味は心の栄養でも在るのだ。多分そういうもんである。
「皆さんは大いに活躍して目立ちまくって……ってえー!?」
ダーティは見ただろう。
己が掘り進めた塹壕もとい、羊羹トンネル。しかし、兵士たちはみんなダーティの姿をしている。となれば、性格だって甘いものが食べたい気持ちだって同じである。
みんな思い思いに羊羹トンネルを食べ進めてしまうのだ。
「ちょ、ちょっとお待ちになってください。皆さんの出番はこの後ですよ!?」
しかし、全然言うことを聞いてくれない。
みんな羊羹の魔力に当てられたように羊羹を貪り食っているのである。
このままではどうにもならない。
しかし、ダーティの懸念は杞憂に終わる。
彼女たちが掘り進めた羊羹トンネルは一本であれば、地上でどんぱちやっている『スーパーカオスドラゴン』や猟兵たちの戦いを支えることができただろう。
けれど、百人を超えるダーティ兵士たちが思い思いに羊羹トンネルを掘り進めてしまえばどうなるか。
そう、地面が羊羹で出来ているからもろくなって、『スーパーカオスドラゴン』さんたちは底なし沼みたいに羊羹の沼にハマってしまうのだ!
「……お、終わりよければ全てよしです!」
ダーティは羊羹の沼に塗れながら、結果オーライというように羊羹色の沼からサムズアップするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
すごいです、ようかんがいっぱいですー♪
おみやげに持って帰れるですかね?
ダメージを受けてるスーパーカオスドラゴンさんを指定して、UCをつかうです
発動するまではがんばってにげまわるですよ
突進してきたらうえに避難です
スーパーカオスドラゴンさんみどり色だから、いっぱいいるとちょっとバッタさんの大群にも見えるですね
……ご主人といっしょに来なくてよかったです。スーパーカオスドラゴンさん、きっと標本にされちゃうです
時間ですね! 集合ですー!
あつまったモーラットがじゃれついてるのにまぎれて、注射器銃で麻痺毒を打つです
ついでにガブッて噛みついちゃうですよ!
くぬぎは牙があるタイプのモーラットなのです!
『スーパーカオスドラゴン』の座す浮島は、混沌魔法の影響に寄って何もかもが羊羹化していた。
羊羹化ってなんだそれって思わないでもないが、全部ったら全部である。大地は練羊羹。流れる水は水羊羹。木々は塩羊羹だし、葉っぱは抹茶羊羹。
あっけに取られる光景であったことだろう。
しかし、地中を掘り進んでいた猟兵に寄って、すでに島の中心部は羊羹沼になっていた。阿鼻叫喚地獄絵図。
多くの『スーパーカオスドラゴン』が沼にハマって身動きが取れない状態であった。
けれど、大丈夫。
『カオスヘッダー』は、そんな状態からでも分裂して『完全同一存在』を生み出す混沌魔法である。
「ゲヒャッヒャッヒャ! この程度でオレサマをとめられると思ったんだゼぇ!?」
「羊羹うまい」
「というわけで雑に行くゼぇ~!!」
三つ首が羊羹をもしゃもしゃしている。よかったね、食べられて。
しかし、そんな『スーパーカオスドラゴン』は倒さなければならない。ぶっ飛ばして弱体化しなければならないのだ。
三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)もそれを承知していたはずである。
けれど、そんなことよりも大切なことがあったのだ。
「すごいです、ようかんがいっぱいですー♪」
楽しげな声。そう、目の前にあるのはタイガー印ではないけれど、羊羹なのだ。くぬぎが食べたいなぁって思っていた羊羹。
これってお土産で持って帰れるものだろうかと、くぬぎはワクワクしている。いいぞ。たくさんお土産にするといい。よくあるどんでん返しはないので、たくさんお食べ。
「あー、あそこにあるのは皆さんにぶっ飛ばされ続けている『スーパーカオスドラゴン』さんですね」
くぬぎが見つけたの消耗した一体。
猟兵のユーベルコードに寄ってぶっ飛ばされたりしている以上に、マーキングのオーラがあるからわかりやすい。
「みんなー! 集合ですー!」
くぬぎの瞳がユーベルコードのきらっと空が焼く。
彼女のユーベルコードは発動しても即座に効果が及ぶものではない。彼女の力量の時間だけ時間がかかるが、それだけ多くのモーラットを呼び寄せるものだ。
だから、くぬぎは逃げ回るのだ。
「そうはさせるか! 雑に行くゼぇ! ハイパーカオスチャージ!」
「食べてしまうゼぇ!」
「羊羹のほうがよくない?」
溢れるようにして、くぬぎへと襲いかかる『スーパーカオスドラゴン』さんたち。その大波みたいな都心から、くぬぎは飛んで空に逃げる。
緑色をしているドラゴンは飛蝗に見えないこともない。そうかな。わりと三つ首の時点でアウトって感じするけど。
「……ご主人といっしょに来なくてよかったです。『スーパーカオスドラゴン』さん、きっと標本にされちゃうです」
思わずボソッと呟く。
そう、くぬぎのご主人は昆虫採集か何かが好きなのかな。割と今とんでもないことさらっと言ったけど『スーパーカオスドラゴン』さんにとっては聞き捨てならない言葉であった。
昆虫扱いされたことに、ではない。
自分を標本にしよって思う人がいるってことにビクっとなった。動きが止まる。
え、えぇ……標本? 標本ってあれ? ピンで止められる奴? それともホルマリンなアレで漬けこまれるやつ?
どっちにしても、なにそれこわいって状態に為るのである。
「あ、時間ですね!」
『スーパーカオスドラゴン』さんはくぬぎに、その是非を問いかけようとしたがもう遅い。
そう、すでにもふもふパレード(モフモフパレード)は始まっているのである。
くぬぎを中心に集まった百を超えるモーラットたち。
ふかふか毛玉のモーラットたちはつぶらな瞳で増えるワカメみたいに増えている『スーパーカオスドラゴン』を見上げている。
うっ、愛くるしい。
これをどうにかできる人いるのだろうか、いやいない。
「ゲヒャッヒャッヒャ……! これは……!」
「手が出せないゼぇ!」
「傷つけるのが怖いゼぇ!」
やさしっ! けれど、モーラットたちには関係ないのである。じゃれるモーラットたちに紛れて、くぬぎは標的にされている『スーパーカオスドラゴン』さんに注射器銃でぶすっと麻痺毒を撃ち込む。
後ついでにガブって噛み付いてしまう。
「ゲひゃー!?」
「ふふん、くぬぎは牙があるタイプのモーラットなのです!」
そうなの!? 無いタイプもあるの!?
脱線しそうであるが、麻痺毒プラス牙。
くぬぎの愛らしくも可愛らしいガブっと攻撃に『スーパーカオスドラゴン』さんはぐらつきながら迂闊に手の出せぬモーラットたちのじゃれ付きを前に、ただただ弛緩するしかないのであった。
わかる。
可愛いものね――!
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
羊羹の浮島とはやりますわね!
それにしても制御が甘い。本質が『混沌』であるスーパーカオスドラゴンさんですから是非もなしかしら?
良いでしょう。どのみち助けに来たのです。
お望み通り、ぎったんぎったんにして弱らせてあげましょう!
敵SPDUCは発動のタイミングを見極めて初動を回避。
(瞬間思考力×見切り)
威力は大きいですが当たらなければ、という奴ですわね!
途中で止められる様に改善するべきでしょう。そうでないと――
『黄金の暴嵐』を発動。
戦場全体に神雷と滅びの嵐を吹き荒ばせて、無限増殖するスーパーカオスドラゴンさんをまとめてスタン!
後は手近な首を『クロノスの大鎌』でサクッと刈っておしまいです!
大空の世界に浮かぶ島。
それは浮島と呼ばれ、人々の生きる大地である。しかし、今そんな浮島の一つは中心部から羊羹化しはじめていた。
大地は練羊羹。流れる水は水羊羹。
何いってんだコイツと思われてしまうかも知れないが事実である。浮島は『スーパーカオスドラゴン』の混沌魔法の影響を受けてカオス化している。
その結果、緑の葉は抹茶羊羹になっているし、木々は塩羊羹で出来ている。
正直、何だこの状況はと思わないでもなかったが。
「羊羹の浮島とはやりますわね!」
アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は寧ろちょっとごきげんであった。
なんでそんなに笑っていられるんです? 女帝ゆえの余裕であろうか。
どちらにしたって暴走の段取りが出来ていない以上、『スーパーカオスドラゴン』さんにとっては由々しき事態である。
さらに『カオスヘッダー』によって倍々に増えていく『完全同一存在』。
もはや羊羹とドラゴンのカオス状態。
「それにしても制御が甘い。本質が『混沌』である『スーパーカオスドラゴン』さんですから是非もなしかしら?」
「そのとおりだゼぇ!」
「このオレサマこそが混沌の体現者。暴走とは常に混沌を生み出すものなんだゼぇ!」
「ゲヒャッヒャッヒャ! だが、暴走の前には段取りが必要なんだゼぇ! よりよい暴走を求めた結果、挨拶回りが大切なことに気がついたんだゼぇ!」
三つ首がそれぞれに言う。
いや、よくわからんなーって思ってしまうのは一般の善悪観あればこそである。しかし、同じくデビルキングワールドに生きるアルテミシアによっては、うなずけるものであった。
「良いでしょう。どのみち助けに来たのです。お望み通り、ぎったんぎったんに弱らせてあげましょう!」
「というわけで喰らえ、アンリエットカオスファング!」
「ゲヒャ!『カオスヘッダー』によって増えたオレサマたちの顎から逃れられるかだゼぇ!」
「ガブっと行くので、さっと避けてください。あっ、攻撃は大体左右からきますんではい」
なんか八百長の匂いがする。
「威力は大きいですが当たらなければ、というやつですわね!」
アルテミシアの瞳がユーベルコードに輝く。
黄金の暴嵐(ルドラ)がアルテミシアの掌から放たれ黄金の神雷と滅びの暴風となって『スーパーカオスドラゴン』へと迸る。
「それに途中で止められるように改善すべきでしょう。そうでないと――」
戦場に吹き荒れる黄金の暴風。
それは『スーパーカオスドラゴン』さんたちを纏めてぶっ飛ばすのではなく、その実を縛る力。
今もなお、猟兵たちの麻痺毒やら羊羹沼にハマって動けない『スーパーカオスドラゴン』さんたちはさらに動きを止めてしまう。
それでは、『スーパーカオスドラゴン』の強みである数と膨大な手数を活かすことはできない。
「無限増殖に頼りきりで!」
「それがカオスってもんなんだゼぇ!」
「誰も予測できないことをやってのけるからこそのカオスの暴走!」
「だが、暴走前の段取りもあってこそ!」
何だよ結局良い人なんじゃん! ってなるのが『スーパーカオスドラゴン』さんというか、悪魔である。
ついでにいうとアルテミシアもそうである。
魔王であるが、基本善良なのである。
スタンしている『スーパーカオスドラゴン』さんの口上に付き合ってからふるう大鎌の一撃はみねうちである。
大鎌でみねうちって難しくね? って思われるかも知れないが、こう、その、ほら、あれですよ。
柄の部分を遠心力でズガン! ですよ――!!
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
島が不安定なようだし早速UCでワルニクス(例の第4の魔将)の献上品を使おう、いでよ【(前略)T-801】!
おー、我を模したメカか!これなら(魔王城の件は)許してやらなくもないな!
で、使い方は……えーと「T-801(ちびメカわるるん801型)の使い方」ふむふむ?
「投げつけるか自爆させるか立体映像で囮にすればいいっすよー」
えぇ……そういうの……?
でも考えたら我の分裂体(部下ではなくちびわるるん)の扱いもあまり変わらんな……
よし。いくつか我の姿に変えて囮に、一人を狙いブレス吐きつつ近いのから投げつけ、奴のUC使用に対し投げつけたり囮にしたのに噛み付こうとしたその口元で爆破させるぞ!
「ふむ……島が不安定なようだし、早速ワルニクスの献上品を使おう」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は、『スーパーカオスドラゴン』さんの座す浮島の様相を見やり、そう決断した。
今や混沌魔法の影響を受けて、浮島は羊羹化していた。
羊羹化ってなんだそれって思われるかも知れない。具体的に言えば、川は水羊羹になって、木々は塩羊羹と抹茶羊羹である。
そんでもって大地は練羊羹である。
ちょっと耐久性に難あり。そのせいもあいまってか、猟兵たちの活躍に寄って『スーパーカオスドラゴン』さんは羊羹沼にハマっている。
身動きが取れなくても、そこは『スーパーカオスドラゴン』、東のラスボスである。即座に無限増殖する『カオスヘッダー』によって『完全同一存在』である『スーパーカオスドラゴン』さんを生み出して対処しているのである。
「オレサマの暴走はおわらねぇ!」
「もっともっと暴走するんだゼぇ! ゲヒャッヒャッヒャ!」
「あっ、今からアンリミテッドカオスファング、いきますので、躱すのよろしくお願いいたします」
折り目正しい『スーパーカオスドラゴン』さん。
攻撃を宣誓するところからして、流石というほかない。
「その意気やヨシッ!」
わるるんことワルルーナは例の第4の魔将から献上された魔王軍第4冠所属:T-801(チビメカワルルンハチマルイチガタ)を召喚する。
第4の魔将謹製のメカちびワルルーナたちが……。
「わるるんッ!」
それは掛け声なのか?
「おー、我を模したメカか! これなら魔王城の件は許してやらなくもないな!」
魔王城の件とはあれである。
勝手に人型要塞に改造したあれである。メカちびワルルーナといい、そういう趣味なのか? 良い酒が飲めそうである。
「で、使い方は……えーと……」
「雑に不意打ちするんだゼぇ!」
「喰らえ、アンリミテッドカオスファング!」
「ガブっていっちまうぜぇ!」
迫る無数の牙。しかし、ワルルーナはメカちびワルルーナの説明書を見ているのに夢中である。
「えーと『T-801』の使い方……ふむふむ。『投げつけるか自爆させるか立体映像で囮にすればいいっすよー』……えぇ……そういうの?」
それじゃあ、あんまりである。
こんなにかわいいのに! なんでそんなひどいこと考えつくんです? けれど、ワルルーナは違う。っていうか、わりといつもの自分のやり方ではないか? と思ったのだ。
メカになっただけじゃない? と。
あんまり扱い変わらんよなーって思いながらワルルーナはメカちびワルルーナたちを囮にして惹きつけつつ、『スーパーカオスドラゴン』さんの猛攻を凌ぐのだ。
「やった!『熾火は赫く昌盛・カオス』第二章、完!!!」
「いや、それはフラグってやつなんだゼぇ!?」
「ゲヒャッヒャッヒャ!!」
そう、ワルルーナの放ったメカちびワルルーナは囮。じぶんそっくりなメカちびワルルーナを咥えた『スーパーカオスドラゴン』さんは勝ちを確信した瞬間、自爆に顔面巻き込まれながら盛大に黒焦げになる。
「ふふん、これこそ我が魔将の我への忠誠と親愛の証!」
でもその親愛の証が自爆と囮とっていうのはどういう意図なのかなって思わないでもない。第4の魔将ことワルニクスさんの弁明はあるのだろうか。
しかし、そんなことはワルルーナにとって些細なことである。
この羊羹島の戦いを制することこそが、今のワルルーナの頭を占める全て。
大事の前に小事である。
「うむ、悪くないな! 流石は我が魔将! 褒めてつかわす、ワルニクス!」
ごきげんなワルルーナ。
まっ黒焦げになった『スーパーカオスドラゴン』さんは思った。
あの魔王様、わりとちょろいな、と――!
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
召喚された召喚獣の暴走ってやつ、です?まあ珍しくはないですけど
うーん……分かったです。それが依頼ならやっつけるです
……ところでその羊羹って食べても大丈夫な奴です?
まずは空中からA.F.C.で羊羹島を砲撃してくです
向こうも飛んだら空中戦です
軌道が不規則でも結局「私の位置」に来るのは変わらないですし、
気流に比べればまだ見える分楽です
相手の突進を推力移動で避け、合わせてファングを発射、すれ違いさまに食い込ませ、エンジェリックドライブ、精霊機関を出力全開
引き寄せるのと同時にミスリルレイバーで追撃しつつUCを発動、勢いつけてパンチして、
そのままぶん回して羊羹の大地に頭から落とすです!
※アドリブ他歓迎です
浮島の戦いはカオスを極めていた。
羊羹沼にハマった『スーパーカオスドラゴン』さんをしばき倒す猟兵達。
その戦いは、傍から見たら地獄絵図かな? ってなくらいの混沌めいたものであった。おおよそ戦いっていう感じではない。
無限増殖する『スーパーカオスドラゴン』さんが咆哮し、猛烈なる突進を見舞うのだ。
玉突き事故っていうか、渋滞事故っていうか。
もう浮島は大混雑である。シッチャカメッチャカっていうのがしっくり来るほどの光景を前にヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は割と落ち着いていた。
「召喚された召喚獣の暴走ってやつ、です? まあ、珍しくはないですけど」
えっ、そうなの!?
ヴィクトリアはわりともう慣れっこですけどって顔をしながら浮島を見やる。
羊羹沼。
あれは食べ物であっているのか? むしろ、食べたい。食べてもいいやつ? とわりと食欲に意識が持っていかれてしまっている。
確かに暴走した召喚獣をはっ倒すのまたヴィクトリアのお仕事の範疇であるのかもしれない。それが依頼ならやっつけるのが筋ってもんである。
「ゲヒャッヒャッヒャ! タイガー印の羊羹には及ばねぇが!」
「この羊羹も割と行けるんだゼぇ!」
「地面は練羊羹、川は水羊羹! 木々は塩羊羹で葉っぱは抹茶羊羹だゼぇ!」
『スーパーカオスドラゴン』さんはヴィクトリアにサムズアップする。どうやってサムズアップしているのかというと三つ首できようにこう、そんな感じに見えるようにくねくねしているのである。
どこまでも気遣いの悪魔! もう東のラスボスっていう名前返上したら? ってなるほどの気遣い。
そんな『スーパーカオスドラゴン』さんのサムズアップ(?)にヴィクトリアは頷く。
ならば、依頼を達成してから羊羹を頂くこととするのである。
「その突進は確かに脅威、です。でも……軌道が不規則でも結局『私の位置』に来るのは変わらない、です」
そう、どれだけ不規則でカオスめいた予測不可能な軌道を描くハイパーカオスチャージであっても、結局ヴィクトリアめがけてくるというのならば、ヴィクトリアにとってそれは気楽なものであった。
「しゃらくせぇ!」
「この数を前にしても言えるか、なんだゼぇ!」
「これぞ『カオスヘッダー』の真骨頂! いくゼぇ、オレサマぁ!!」
無限増殖した『スーパーカオスドラゴン』たちがカタパルトになって『スーパーカオスドラゴン』を打ち出す。
そのすさまじい勢いは衝撃波を生み出し、羊羹の木々をなぎ倒してヴィクトリアに突っ込むのだ。
だが、ヴィクトリアはそれを躱す。
「気流に比べれば、まだ見える分楽です」
そう、これまでヴィクトリアは目に見えぬ空気の流れを相手に大空を駆け抜けてきたのだ。
どれだけ早くても認識できるのならばヴィクトリアにとってカウンターを決めることなど容易。ケルベロスファングの一撃が『スーパーカオスドラゴン』に打ち込まれ、己の身にまとった飛空艇の天使核、その動力を廻す。
光の翼が噴射するように出力が全開になったことをしめし、サブ動力が精霊の力を借りてヴィクトリアは、ケルベロスファングの鎖を引きつける。
『スーパーカオスドラゴン』さんの巨体をぶん回すように引き寄せ、魔法剣による一撃を見舞う。
さらに拳が『スーパーカオスドラゴン』さんの顔面を捉える。
「ゲヒャー?!」
「さあ、次は地面です。羊羹の部分に叩き落としますので」
ヴィクトリアも段取りができている! 鎖につながった『スーパーカオスドラゴン』を風を斬るようにぶん回して、『スーパーカオスドラゴン』の巨体を羊羹の沼に頭から叩き落とす!
これが後に語られる『スーパーヨウカンパイルドライバー』である――!
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……あ…いたいたスーパーカオスドラゴンさん……え、羊羹……羊羹?
…真面目に生態系に影響でそうな変化でちゃったか…確かに羊羹の島が許されるのはぎりぎりグリードオーシャンまでだね…元に戻そう…
…えー……相変わらずの混沌の炎は術式組紐【アリアドネ】で構築した結界で防いで…あ、羊羹が新鮮になってる…回復するんだこれ…
…【竜屠る英雄の詩】を発動…黎明剣【アウローラ】に竜殺しの概念を付与…
…魔力の刃を伸ばしてスーパーカオスドラゴンさんをしばきに掛るよ…大丈夫、(両刃だし竜は触れただけでダメージだけど)峰打ちではたくから…ちょっとかなり痛いだけで済むから……きっと……たぶん……恐らく……
猟兵たちとの戦いで浮島はひどい有様であった。
しかし、一番ひどい目にあっているのは『スーパーカオスドラゴン』さんであった。彼が望んだことであるが、正直、これはひどいってなる状況であった。
ぐずぐずになった羊羹の大地。
もはや沼である。その沼に頭から打ち込まれた一体の『スーパーカオスドラゴン』さんは混沌魔法『カオスヘッダー』の攻略のために欠かせぬ、『一体でも倒せば残りのスーパーカオスドラゴンも連鎖して爆発する』という弱点のために集中的に攻撃されていたのである。
ちゃんとオーラでマーキングしてくれた猟兵がいるので、標的を違えることのない安心設計である。
そんな『スーパーカオスドラゴン』さんは頭からパイルドライバーを決められながらも三つ首全部を羊羹沼から頭を引っこ抜いて身震いする。
「と、とんでもねーんだゼぇ!」
「ゲヒャー!」
「弱体化してほしいとはいったけど、ここまで完璧に弱らせてくるとは、流石猟兵さん、ワルなんだゼぇ!」
「……あ……いたいた『スーパーカオスドラゴン』さん……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は企業ブースで以前名刺交換したくらいの仲というくらいのきやすさで戦場に降り立って駆け寄ってきていた。
彼女は浮島の惨状に戸惑っていたが、まあ、それもカオスのせいかって割り切っていた。今更何が起こっても驚かない。いや、驚いたけど。羊羹? なんで? って思ったのは秘密である。
というか、それ以前に真面目に生態系に影響がでそうな変化である。
『スーパーカオスドラゴン』さんが影響を恐れてジッとしていた理由がよく分かる。
「……羊羹の島が許されるのはギリギリ、グリードオーシャンまでだね……」
あとはキマフューとかね。
「あっ、メンカルさんだゼぇ!」
「これはこれは、この度は大変ご迷惑をおかけして……」
「挨拶もそこそこに喰らえ! 雑にマッドカオスフレイム!」
ごばー! って挨拶代わりの属性変わり続ける炎! 不意打ち! 流石、ワル! こんな状況にあってもワルの心を忘れないのが『スーパーカオスドラゴン』さんである。
しかし、そんなワルにもドウジないのがメンカルである。
すでに構築していた術式組紐による結界で防いでいる。しかもマッドカオスフレイムによって羊羹が元通りになってる。
散々に猟兵たちが暴れまわった後であっても、すっかり元通りである。いや、もとに戻っては居ないが。
「……えー……」
メンカルはなんとも言えない気持ちになりながら、ユーベルコードを発動させる。こっちもなんか雑だなーって思わないでもない。
手にした黎明剣『アウローラ』に付与された竜殺しの概念。
それは竜屠る英雄の詩(ドラゴンスレイヤーズ・バラッド)。竜に関するもの絶対殺すユーベルコードである。
「げぇっ!?」
「竜殺しのユーベルコード!」
「それずっこくない!?」
竜であればなんであれ殺す。竜でなくても、竜だろって言い張ればいいし、なんだったら竜の概念を貼り付ければいいのである。
魔力の刃が煌々とメンカルの顔を照らす。なんか影が出来て、どっちが悪役かわからん。
「……大丈夫」
何が?
「峰打ちではたくから……ちょっとかなり痛いだけで済むから……きっと……たぶん……恐らく……」
「それ多分絶対大丈夫じゃないやつなんだゼぇ!?」
「竜殺し付与されている時点でオーバーキルするつもり満々じゃないですかやだー!」
「メンカルさんワルすぎるんだゼぇ!?」
『スーパーカオスドラゴン』たちはみんな怯えていた。だが、安心して欲しい。はっ倒すのは一体だけである。
も、もしかして。
「……うん、オーラでマーキングされている『スーパーカオスドラゴン』さんだけ。大丈夫……痛いのは一瞬だから。たぶん。うん、たぶん……おそらく……」
ふわっとしてる受け答え。
メンカルはいつもの表情のまま、変わらぬ抑揚の語り口で近づき、『スーパーカオスドラゴン』のケツをしばき倒す。
悲鳴が、羊羹島に響き渡った――!
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
羊羹発見!
さあ、早くジャンプしてスーパーカオスドラゴンを出すんだよ!!
でも…流石に羊羹大陸持って帰るのはまずいか
仕方ないなあ…はい、羊羹
これ渡すから羊羹ごと増えて
出来る出来ないじゃなくて、増えて
ジャストドゥイット!
●
【Ex.Code:A.P.D】
雷龍と融合し、カツ…戦闘開始
羊羹ごと増えたカオスドラゴンを1匹ずつしばく!
ほら、さっき羊羹渡したから持ってるんだろ…羊羹?
どうぞどうぞ噛みついて、私今物理攻撃無効だから
でもやられたらやり返す…『カウンター』!
雷鳴電撃を纏わせた剣で『なぎ払い』と『串刺し』!
持ち物は何処に仕舞ってるの?
さっき渡した羊羹、収するからさ
さて爆発されないよう適度に殴って回収回収
カツアゲ。
それは恫喝に寄る搾取の隠語である。
総じてガラの悪い人たちのやることである。だから、善悪の価値基準が逆転しているデビルキングワールドにおいて、カツアゲとは割とこう、善いことなのである。
なので、『スーパーカオスドラゴン』にとって、カツアゲとは有名人との悪手とかハグとか、そんな感じのアレなのである。
傍から見たら、完全に輩のやっていることであるが、概ね肯定的に捉えられているのはデビルキングワールドならではであろう。
他の世界であってたまるかというのがまあ、大体の人の感想であろうが。
「羊羹発見! さあ、早くジャンプして『スーパーカオスドラゴン』出すんだよ!!」
逆ぅー! ってツッコミは誰もしない。ていうか出来ない。それくらいの勢いで月夜・玲(頂の探究者・f01605)さんは、抜き払った模造神器の峰で『スーパーカオスドラゴン』の頬をビンタしていた。
おらぁ! ってやるのはもういつもどおりじゃないかなって思うほどの玲さんの平常運転に『スーパーカオスドラゴン』さんは、突っ込めなかったのである。
「ゲヒャっ!?」
「で、でも、その、ここの土地の所有者の方に羊羹にしてしまった謝罪をしないとですしぃ……」
「そのぉ、羊羹化していても? 所有権はその方にあるっていうかぁ……」
ビキィッ! って音が聞こえたような気がしたけど、気の所為である。
だがしかし、玲さんも大人である。クールなレディなのである。25歳なのである。
びーくーる。そーくーる。
「……仕方ないなぁ……はい、羊羹」
はい、って手渡される羊羹。タイガー印。これってもしかして!
「玲さん……!」
「差し入れあざっす!」
「自分感激してるっす!」
そんな感じで『スーパーカオスドラゴン』さんは感激した。玲さんは奪うばっかりの輩じゃなかった! ちゃんとこうしてリターンもあるワルなのだと感激したのだ!
だが、その感激はさらなるワルで上書きされる。
「じゃあ、羊羹ごと増えて」
え、と三つ首が首をひねる。どういうこと? あっ、もしかして、『カオスヘッダー』で羊羹ごと増えろっておっしゃられる?
「出来る出来ないじゃなくて、増えて」
目がマジである。
答えはハイかイエスしかないやつである。玲さんの目は本気である。出来ないって言おうものならしばき倒される。出来てもしばき倒されて羊羹奪われる。
でもでも、『スーパーカオスドラゴン』は悪魔である。デビルキング法で育った悪魔である。
善悪が逆転している。
今、玲さんはキラキラしているのである。なんか少女漫画フィルターが懸っている。ドキンッ! っていうか、トゥンク……! ってやつである。ときめきが止まらない! いやそれ多分恐怖から来る動悸だよ。
「ジャストドゥイット!」
壁ドンならぬ羊羹ドンである。
えーい! どうにかなれー! ってやけくそで『スーパーカオスドラゴン』さんは『カオスヘッダー』で羊羹ごと増える。できた。できたじゃん! って喜ぶのも束の間。
ばしん!って平手打ちが走る。
え……って呆然とする『スーパーカオスドラゴン』さん。それはEx.Code:A.P.D(エクストラコード・アヴァタールプラズマドラグーン)によって稲妻の龍と融合した玲さんによるビンタであった。
雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力という、なにそれどこのチート? ってなるほどの能力を得た玲さんによるビンタであった。
「ほら、さっき羊羹渡したから持ってるんだろ……羊羹?」
イケボ。
「お生憎様! 玲さんみたいな横柄な人に渡す羊羹なんてないんだからね!」
「誰でも彼でもみんな玲さんに羊羹渡すなんて思わないでよね!」
「さっさとどいてよ!」
なんか時空歪んでない? ふーん、おもしれー『スーパーカオスドラゴン』。こう、雑に顎がガキーンて玲さんに突き立てられる……いや、突き立てられない。
そう、今の玲さんは物理無効!
でも、やられたらやりかえす! 手にした模造神器が迸る雷撃が『スーパーカオスドラゴン』をまたビンタする。
「で、持ち物は何処にしまってるの? さっき渡した羊羹、収するからさ」
おらおら! ここか! ここに隠してんの? と玲さんは『スーパーカオスドラゴン』さんを蹂躙する。
それはもう善い子のみんなにも悪い子のみんなにも見せられない。
テロップが流れ、一時騒然とした浮島。
そんな中、数多の『スーパーカオスドラゴン』の上に玲さんは立ち、増えたタイガー印羊羹を回収してホクホクしているのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
およびとあらば参じましょう!
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことあるもん!?(天の声に驚愕
馬鹿な…え?忍べてますよね私?
あれ?
いえ、とにかくスーパーカオスドラゴンさんの前で名乗りたかっただけだったりします
クノイチですよろしくお願いします!
そんなわけで
キミの転転転移から
私はあなたを助けに来ました!
というわけでぶっとばしまーす!(デビキン思考
頭数なら負けませんよー
【かげぶんしんの術】で増えた私の数に勝てますか!
いえ、最終的な数は負けるんですが
私一気に増えるので
局所的には数の暴力で
ちぇすとー!!
って感じです!
かげぶんしんがかげぶんしんの術を使うとひどいことになるので
やめておきますね(汗
「およびとあらば参じましょう! 私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことあるもん!?」
天の声に反応するんじゃあない!
あるじゃろがい! どう考えてもそのナイスバディは隠しくれるもんじゃないじゃろうがい! っていうなんかよくわからなん声を受信したサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は一人、羊羹浮島で驚愕する。
「馬鹿な……え? 忍べてますよね私?」
さっと『スーパーカオスドラゴン』さんたちが視線をそらす。
めちゃくちゃ『カオスヘッダー』で増えた『スーパーカオスドラゴン』たちですら、目を背けたく為る現実。
そう、これが現実である。
忍べてない。
忍びなのに、クノイチなのに忍べてない。
「あれ?」
首をひねっても事実は変わらんのである。そんな目立つクノイチが居てたまるか! 否! いていい! むしろ、居てくれ! 頼む! 非実在クノイチとかそんなんどうでもいいのである。
ロマンとは斯くあるべし! いたっていい……! たゆたゆしたクノイチがいたって……!!
そんな熱き慟哭を聞いたか聞いてないかわからないけれど、とにかく『スーパーカオスドラゴン』さんの前でサージェは名乗りたかっただけなのである。
それが成功したかどうかはまあ、別の話であるが。
「クノイチですよろしくおねがいします!」
「正々堂々名乗るクノイチって……」
「げひゃ……」
「忍ぶ以前の話なのでは……」
『スーパーカオスドラゴン』さんたちはみんな冷静であった。クノイチって名乗り上げるものだったっけ? とかそんな野暮な事を考えていたし、実際口に出していた。
しかし、そんな彼等をよそにサージェは、よーしぶっとばす! というデビキン式思考でもって羊羹浮島の戦場に増えるわかめ的な意味で、かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)を敢行する。
数には数で対抗すんだよ! てな具合である。
「そんなわけでキミの転転転移から私はあなたを助けに来ました!」
大ヒット曲にあやかったようなことをいうサージェは一気に増える。増えるわかめだってここまで増えねーぞ!
「私の数に勝てますか!」
「今は負けてても、そのうちにうわまわるのが『カオスヘッダー』だゼぇ!」
「つまり、今のうちに圧倒しなければならないってわけだゼぇ!」
「雑に喰らえ、マッドカオスフレイム!」
ごばー! って炎が噴出する。その炎は属性を変え、凄まじい勢いでサージェに迫る。
だが、今はサージェの数のほうが多い。
ならば、ここで速攻する。幸いにして猟兵たちの攻撃に寄って消耗している一体はオーラでもってマーキングされているからわかりやすい。
なんかどっかでしばき倒されていたりもするが、それはそれである。
今は一体をけちょんけちょんのなっすなすにして、ぶっ飛ばすのが先決。
『完全同一存在』であるがゆえに、一体さえ倒してしまえば、他の増殖体も消えるのである!
「ちぇすとー!!」
しかし、ちょっと考えてしまえばわかるかもしれないが、サージェのかげぶんしんの術は、本人と同じ分身を作り出す。
じゃあ、かげぶんしんで増えるワカメしたサージェが、かげぶんしんの術を使ったら?
「それはひどいことになるのでやめておきますね!」
「もっとカオスになるからなァ!」
「うぅ……調子こいて増えるワカメ処理できなくなった苦い思い出が蘇るゼぇ!」
「ゲヒャ! そういうわけで、勝負だゼぇ、クノイチ!」
うおおー! 私達の戦いはこれからだ! という感じでサージェの分身たちと『カオスヘッダー』によって増えた『スーパーカオスドラゴン』との一大決戦が巻き起こる。
羊羹もう関係ないねってなる戦いであるが、まあ、そういうこともあるでしょ。
なにせクノイチとは、忍ぶものではなく、多分ここでは、規格外のモノを示す言葉であるからだ。
忍んでいるとか、忍んでいないとかは、些細なことなのだ。その心にある忍への想いがあるかぎり、どんな人でもクノイチになれるのだから。
そうったら、そうなのだと綺麗に纏めるしかないのだ――!!
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
羊羹島!
いいじゃんいいじゃん!
え?ダメ?そっかー
でも考えてもみて?
ここは剣と魔法とその他色々のファンタジー世界だよ?
そんな世界でダークドラゴンとして大悪事!
勇者パーティと戦ったりなんかして!
ワルとして最高の舞台じゃない?
え?ここだと保険特例の適用外だからダメ?そっかー
●ぎゅん!ときてぐわっ!となったとこをドーーーンッ!!
カオスで予測不可能な軌道で突っ込んでくるHKDくんたちを【第六感】に任せて打ち出すUC『神撃』でドーーーーンッ!!
ドドーーンッ!!ドーーンッ!
これで羊羹が100本!これで羊羹が200本!これでry
アハハッハ!もっとどんどん増えるといいよー!!
浮島は中心から羊羹に変わっていっていた。
そう、それこそが混沌魔法の影響である。『スーパーカオスドラゴン』は其処に在るだけでカオス化させてしまうほどの混沌の体現者。
そんな彼がブルーアルカディアにとどまれば、ある意味で世界の破滅よりもひどいことになりそうな予感さえさせる。
「羊羹島! いいじゃんいいじゃん!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、むしろ、そんな光景を大歓迎していた。
何もかもが羊羹になるカオス。
それが今この浮島を襲っている現象だ。大地は練羊羹。川は水羊羹。樹木は塩羊羹と抹茶羊羹である。
正直、どこもかしこも羊羹だらけで羊羹パンデミックである。
「え? ダメ? そっかー」
「げひゃ、その通りだゼぇ!」
「いくら羊羹が美味しいからって言っても限度があるんだゼぇ!」
「やり過ぎ食べ過ぎは健康的にもよくないんだゼぇ!」
『スーパーカオスドラゴン』の言葉にロニは、そうかーって納得する。けれど、でもでもねってロニは提案するのだ。
「でも考えて見て? ここは剣と魔法とその他色々のファンタジー世界だよ?」
今ファンタジー世界って言った。
「そんな世界でダークドラゴンとして大悪事! 勇者パーティと戦ったりなんかして!」
血湧き肉躍る大冒険。
そこに立ち塞がる巨悪。
お姫様もさらっておくべきであろうか。塔の高いところに鎮座するのもいい。無意味に背景に稲妻走らせるのもいいだろう。
「ワルとして最高の舞台なんじゃない?」
それは悪魔の囁きであった。
仮にも神性なのだけれど、そういうのっていいのかなって思わないでもないが、まあ、いいんじゃないかなっていうのもまた神様らしいといえばらしいものであった。
しかしながら、『スーパーカオスドラゴン』さんは悪魔である。
此処で言う悪魔とは即ち、善い子の種族である。であるからして、基本真面目で善良なのだ。
「いや、ここだと保険の適応外なんだゼぇ!」
「保証がきかない場所で暴走するのはダメだゼぇ!」
「ゲヒャッヒャッヒャ! 特約がないとオレサマの暴走は世界も受け止められねぇんだゼぇ!!」
だから、無理って突っぱねる『スーパーカオスドラゴン』さん。流石プロフェッショナルである。
そっかーってロニは頷く。
なら、やることは一つである。そう!
ぎゅん! ときてぐわっ! となったところをド―――ンッ!! ってやつである。
それでわかるんだ!?
「ぎゅん!」
「ぐわっ!」
「ド―――ンッ!! 了解だゼぇ!」
わかるんだ!? わかるの!? え、マジで!? 『スーパーカオスドラゴン』はロニの説明にさっくり理解を示して、予測不可能なハイパーカオスチャージでもって突撃する。
えぇ……って色んな意味で置いてけぼりにされてしまっているが、そんなこたぁ関係ないのである。
雑に輝くユーベルコード。
それは神撃(ゴッドブロー)の一撃。
なんかよくわからんけど、ドド―――ンッ!! ド―――ンッ!! ってやっている。
映像化できんのかこれっていう光景である。
羊羹の木々が揺れ、羊羹の大地が砕ける。まるで何をやっているかわからんけど、とにかくすごい光景であることだけがわかる。
「これで羊羹が百本! これで羊羹が二百本! これで……」
あ、もしかしてこれ羊羹の大地を砕いている感じ? 羊羹換算の拳って……コト!?
何一つ理解が及ばぬ光景。
人智及ばぬ現象とはこのようなことを指すのだろう。
ロニと『スーパーカオスドラゴン』の戦いは両者にしか通じぬ言語……多分肉体言語とかそんな感じ。
それに寄ってなされ、戦いは佳境へと進む。
ただ敵をぶっ飛ばすだけじゃあない。羊羹を得てこそ戦いであると示すように、ロニのユーベルコードに輝く拳は、器用に長方形の立方体を作り出して、箱詰めしていくのであった。
一体全体何がどうなっているのかわからないと思う。けれど、これだけは言える。
考えるな、感じろ。羊羹の脈動を――!
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマ!羊羹だよ!」
うん!美味しいな!こういうメルヘンってちょっと憧れてました!(二人でむっしゃぁ!
あ、この間はお土産ありがとうございます!
お礼と言っては何ですが
【料理】
ナイアルテのお顔をデフォルメで模したナイアルテプリンパフェです!
「どんなプリンを用意していると思った?えっち☆」
ふっ…版権には気を使います(??
「きっと後で怒られるけど可愛いあの子が見れるからOK☆」
ってこの茶番でオバロってるじゃねーか!
【情報収集・視力・戦闘知識】
カオス軍団の状況把握
その攻撃パターンも今迄の依頼と己の経験則も踏まえ分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠しその上水の障壁で匂いや熱源も隠蔽
更に立体映像を無数に展開して囮にして攻撃を誘い
回避成功したら即UC発動
僕らに速さで
「簡単に勝てると思うなだぞ☆」
【念動力・弾幕・スナイパー】
超高速で飛び回り一体に狙いを絞れば念動光弾乱射して蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超高速で突撃して集中攻撃
更に連携斬撃
隠し持ってるのも盗んじゃう!!
『メルシー』は大喜びしていた。
何にって、浮島が混沌魔法の影響を受けてカオス化し、羊羹へと変わっていっている光景に対して、である。
あらゆるものが羊羹に置換されていく。
大地は練羊羹。川は水羊羹。木々は塩羊羹と抹茶羊羹に。そんでもって色在るものは全て紅茶羊羹とか、なんかこういろいろな羊羹でもって表現されていく。
雑だなぁって思う仕事もあるけれど、概ねそれは童話に出てくるお菓子の家みたいなロマンがあったのだ。
『ご主人サマ! 羊羹だよ!』
「うん! 美味しいな! こういうメルヘンってちょっと憧れてました!」
二人でむっしゃーってやっているのは、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と『メルシー』であった。
そのひとみに輝くのは超克。
まあ、オーバーロードってやつですわ。
「ゲヒャッヒャッヒャ!」
「カオス化した羊羹を食べながら戦いに赴く、オレサマにはできないことをやってのける!」
「そこにしびれる憧れるゥ!」
『スーパーカオスドラゴン』もにっこにこですわ。
「あ、この間はお土産ありがとうございます! お礼と言ってはなんですが」
カシムは、先日の戦いにおける挨拶回りのお礼というように、なんか銀トレーに乗せられたものを『スーパーカオスドラゴン』の前に差し出す。
なんかグリモア猟兵のデフォルメされた顔が乗っかっているプリンパフェである。
『どんなプリンを用意していると思った? えっち☆』
『メルシー』がなんかカメラ目線で、そう言うのだ。
「ふっ……版権には気を使います」
謎の言葉を言うカシム。
当日販売権利システムというのなら、許諾した覚えはねーぞ! というか、裏切ったぁぁ! よくも裏切ってくれたなぁぁぁ! って感じである。
カシムと『メルシー』的にはうまいことやってやったって感じなのだろう。こんなことにオーバーロードするっていうのもなんかこう、そのー、えぇ……って感じであるのだが、ヨシッ! って言葉で全部解決されるのである。世の中そういうものである。
『きっと後で怒られるけど可愛いあの子が見られるからOK☆』
よくねーわ。
確信犯的犯行じゃねーか!
「まあ、茶番ですし」
ぷひゅーってカシムが口笛吹いているが、『スーパーカオスドラゴン』さんをぶっ飛ばすことを忘れていないだろうか。
「というわけで雑にいくゼぇ!」
「プリンパフェ美味しかったです」
「ぷるんぷるんだゼぇ!」
いらんことを教え込まれたかのように『スーパーカオスドラゴン』さんが咆哮し、最後の力を振り絞って、雑に三つ首の顎がカシムたちに迫る。
ここまで『スーパーカオスドラゴン』を追い込んだ猟兵たちの戦い。
それは蓄積したダメージでもあったし、こう、なんやかんやあった後でもあった。筆舌に尽くしがたいって言いながら、ちゃんとやることはやっているのである。
諸々シバかれたり、羊羹沼に打ち込まれたり、大真面目な戦いは何一つなかったかもしれないが、とにかく!
「すでにパターンは解析されてんですよ!」
カシムはすでに『スーパーカオスドラゴン』たちの戦い方を知っている。だって一度戦ったし、それにその経験が生きるのならば、『スーパーカオスドラゴン』の突撃は、わりと雑であった。
そんでもって、ついでにいうと、親切丁寧に、上! 下! 下! 右! ってな具合に教えてくれるのである。
いいのかなぁ、そういうのって八百長っていうんでしょって『メルシー』は思ったかも知れないけれど、無数の立体映像を展開し、囮として攻撃を誘いながら不発を狙う。
一度外れてしまえば止まれなく鳴ってしまうのが『スーパーカオスドラゴン』さんの攻撃の弱点だ。
『簡単に勝てると思うなだぞ☆」
念動力に寄って展開される弾幕。
唐突に入るカットイン。
「いくぞ『メルシー』! 魔力と思考をリンクさせろ!」
『ラジャったよご主人サマ♪』
あ、これ知っている。シュミレーションゲームのデモ映像とかそんなのでよく見る戦闘ムービーでしょ?
必殺技の欄にあるのは、メルシー&カシム『ロバーズランペイジ』(キシントトウゾクノダイジュウリン)ってある名前。
多分。
輝くユーベルコード。
凄まじい速度で飛翔するカシムと『メルシー』。
二人の軌跡が描く軌道は無限大。更に通常の三倍の速度で加速して行われる高機動連携攻撃は、念動光弾。
縦横無尽に『スーパーカオスドラゴン』に打ち込まれる光弾が爆発し、さらに加速する二人。
「速い……!」
「やってやる、やってやるぞぉ!! だゼぇ!」
「ぐわー!」
『スーパーカオスドラゴン』さんもノッてくれているところを見るに、多分これが正しいやつ。
「隠し持ってるものがあるだろう!」
『それも盗んじゃう!!』
二人の連携に寄って、次々と『スーパーカオスドラゴン』の体が消耗させられていく。体に満ちる混沌魔法のカオス。それが引き剥がされていくのだ。
けれど、二人の言葉に『スーパーカオスドラゴン』は首を振る。いやもう持ってないんですけど!?
カツのアゲをされた後の『スーパーカオスドラゴン』さんはもうすかんぴんなのである。
マジでぺんぺん草も生えない状態なのである!
けれど、カシムと『メルシー』はそんなことあるはずないとばかりにオラオラぁ! って『スーパーカオスドラゴン』をしばき倒す。
「だから本当に持ってないんですー!?」
「ゲヒャッ!」
「しかし、これでオレサマも弱体化される……! あとは!」
転移するだけである。
カシムの一撃が『スーパーカオスドラゴン』をぶっ飛ばし、周囲にあった『完全同一存在』の増殖体たちが爆発していく。
浮島も元に戻っていく。
ちょっと惜しい気がする。けれど、これで『スーパーカオスドラゴン』さんはデビキンに戻れるであろう。
しかし、忘れることなかれ。
混沌とは何処にでもある。そして、何処からでも湧き上がるものである。
だからこそ、言おう。
To Be Continued――!
大成功
🔵🔵🔵