6
東の街-楽園-

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




 皆さま、聞いてください。私はダンピールの聖者×精霊術士、赤月・句穏です。早速ではございますが、ダークセイヴァー世界で事件が起きることがわかりました。

●ダークセイヴァーの世界
 この世界は、オブリビオン達の完全な支配下にあります。100年ほど前に蘇ったヴァンパイア達が、今もオブリビオンを呼び寄せ続け、世界を破滅に導こうとしているのです。その為、この世界の人々は、ヴァンパイア達に圧政を強いられ生活しています。ひっそりと生きていくしかない彼らは、我々猟兵の存在を、全く知り得ません。…大抵の住民たちは、よそ者に強い警戒心を持っている事が、多いでしょう。彼らの主な移動手段は馬や馬車となります。特別な通信手段は、ありません。主な情報源は、吟遊詩人や、行商人からの風聞のみだといえます。

●ある町の噂
 毎日を生きる事に精一杯の彼らに、楽しみはとても少ない。だからこそ、稀に訪れる吟遊詩人の『語り歌』は貴重な娯楽の一つだ。
「おい、聞いたか?」
「ああ?この間の吟遊詩人の歌だろう?」
訪れた吟遊詩人の『語り歌』は直ぐに町中に広がってしまう。大体は夢物語の様に扱われ、遊び歌や子守歌になるものが多い。だが、今回は少し違った。歌はやたら詳しく、実在する街がモデルとなっていた。
「東の街って、あれだろう?随分前に、領主様の戯れで滅ぼされたとかいう…。」
「そうそう。新しい領主様が我々に優しいのだそうだ。町への移住希望者も多く、快く迎えてくれるそうだ。」
二人の男は、顏を見合わせる。

 吟遊詩人の『語り歌』にしては、確かに真に迫るものがあった。そんな話を耳にしてしまった、放浪する家族があった。ヴァンパイアに村を焼かれ、運よく生き残った親子は噂であろうと、縋るより道がない。
「かーさま、お腹空いた。」
小さな幼子が母親の手を握る。もう、ろくに食べていない。そう長くは持たないだろう。行く先々の村で食料を分けてもらっていた。しかし、どこの村も余裕がなく、受け入れてまでは貰えなかったのだ。
「この先に街があるから、そこまで頑張ろうね。」
母親が幼子を諭すように言った。彼女達は、身を寄せあうようにして、―東の街に辿り着くのだった。

●東の街
 一度は滅ぼされ焼け野原になったという町。学校や病院があり、健康診断なんてものまで整備されている。領主の行為により、食事は全て配給されている。税も驚くほどに良心的だ。決められた時間、決められた労働をする必要はある。だが、働く場所も衛生的で散歩や娯楽を楽しむ余裕もあった。今は、もうみられない『人間らしい』生活。門の外からみても、その明るい街並みは夢のようだった。すると、門番らしき男は声をかけた。ボロボロの衣服に、痩せた身体つきの母子をしげしげと眺めて男は言う。
「女と子供の二人組か。大変な旅をしてきたんだなぁ。…帰る場所も、ないのだろう。ここは来るものを拒まない。領主様に面会して住民にしてもらうといい。」
母子の顏がパッと明るくなる。神が居れば祈りたいと思う気持ちで門番の男に案内を受けた。男はそんな母子にポケットから、菓子を取り出す。貴族しかお目にかかれないような焼き菓子だ。
「腹、減っただろ?卵と小麦粉で作った焼き菓子だ。配給品だが、どうぞ。」
困惑する母は子に菓子を与え、門番にお礼をいうのだった。

 月が高く上がり、夜も耽った頃。大きな、何もない石造りの部屋に16歳くらいの少女ばかりが集められていた。身なりもよく、立ち振る舞う姿からある程度の教養も覗える。健康的な色の肌で、年相応の瑞々しい美しさがあるものばかりだ。彼女はみな清潔な衣服をまとい、簡素ではあるが着飾っている。
「どの娘をお連れになりますか?」
貴族の身なりをした男が貴婦人に声をかける。
「それでは、白い服の娘を。頬が薔薇色で愛らしいわ。ここの娘を食べてしまうと自領民の味では不味くて困りますわ。」
ころころと鈴の音を鳴らすような声で貴婦人は男にこたえる。
「あとは、青い服の娘を。主人にお土産にしたいので連れ帰りますわ。」
「畏まりました、マダム。」
優雅に礼をとる男は、使用人に命じる。
「いつものお部屋でいいわ。調味料はどうしましょうか。」
愉しげに微笑むと貴婦人は地下に降りていく。部屋の扉を開ける。鉄格子の檻の中に用意されたのは白い服の少女。鎖に拷問具が並べられた部屋には、高級な調度品で整えられている。大理石の浴槽や菓子類も用意されていた。

●願い
 ある街を調査して頂きたいのです。句穏は、集まってくれた仲間達を前に説明を続ける。私がみた予知は断片的ですがこの通りです。吟遊詩人の『語り歌』で、帰る場所を失った人々が東の街に集まっていく。しかし、そこは決して夢の楽園ではないのだ。吟遊詩人の足取りを掴むことは今回の予知では難しいだろう。
「たまに領主が、住民を選び貴族のお屋敷への働き口を斡旋していたり、領主の勧めで他の街へ引っ越す事になったり…と。出入りはあるようです。」
とても、無事とは思えませんが、と句穏は続ける。そして、恐らく―。
「今回は、街の調査の依頼ですが、裏で糸引く者との対面は避けられないでしょう。十分に気を付けてください。」
―戦いは避けられないだろう。
「…街の人は我々の存在はおろか、この街の住人は領主への信頼が厚く、不信感などもってはいないでしょうから協力者を作るのは難しいかもしれません。ですが、どうか街の人をお救いください。」
説明を終えると、句穏は静かに猟兵達に頭を下げた。


月灯
 月灯です。今作で7回目となります。よろしくお願い致します。今回は、ダークセイヴァーの世界です。情報はOPに出ているものが全てとなります。自由に動き回ってください。頑張って描写させて頂きます。
13




第1章 冒険 『美食倶楽部』

POW   :    片っ端から施設の破壊

SPD   :    先行侵入して街の絡繰を調査

WIZ   :    街の人を説得して逃す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

尾守・夜野
【SPD】判定

説得するも破壊をするも、証拠がねぇならこっちが悪だ
だからまずはこの町を調べる

移動手段?元より馬だ。
インフラが整ってるのか…
流れの商人に扮して仕入れとして訪れる

俺よりは【僕】…別の人格の方が向いているから変わる(コミュ力)

おぉ!ここがあの!風の噂に聞いて来たけど、実に素晴らしい領地じゃないか!
大袈裟に誉めそやして領民の警戒は解く

商品として、食料類…特に日持ちのする奴を買い漁りながらこの領地の良い所を聞いて回ろう

最初に悪い所を聞いていちゃあ
警戒されたりするだろうからな

ある程度聞いた所でそんな良いところばかり上げられて不安という体を取って悪い所や不可解な所を聞き出そうか



● 
 子供の遊び声が響き渡る。活気のある街並みの中、尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は馬を引き連れて潜入に成功していた。
(説得するも破壊をするも、証拠がねぇならこっちが悪だ。だからまずはこの町を調べる。)
学校に、病院まである街など殆どないだろう。特に、病院は大きく白い石造りで出来ていた。
「インフラが整ってるのか…。」
夜野は、ぽつりと呟く。公共的な構造が見て取れたのだろう。凡その外観の情報を入手した夜野は、流れの商人を装い街の住人から情報を収集するべく行動を開始する。
(俺よりは【僕】…別の人格の方が向いているから。)
考えるとほぼ同時に、身体はそのままに人格だけが交代される。
「おぉ!ここがあの!風の噂に聞いて来たけど、実に素晴らしい領地じゃないか!」
大袈裟に大きな声をあげる『流れの商人』は、持ち前の【コミュ力】を遺憾なく発揮した。商店街に近い広間の中央で夜野は注目を集める。すると、林檎を持った女が一人寄ってきた。
「そうでしょう?この街にきた商人さんも吟遊詩人さんも皆驚くのよ?」
瑞々しい林檎を手渡しながら女がにっこりと微笑む。
「僕も驚きましたよ。こんな夢のような街があるなんて、君もここの住人なのかい?」
誉めそやして同意する夜野に、女は気を良くして頷いた。
「おまけしておくよ。ここの領主さまは、行商人さんや吟遊詩人さんには良くしてあげる様にいつも言われてるんだ。」
夜野は林檎を受け取り、買い物を続ける。
「店主、干し肉と乾燥した果物はないかい?それにしても、立派な病院だねぇ。」
商品として、食料類を特に日持ちする物を選んで買い漁る姿は長い旅をする行商人そのものである。肉の加工品を扱う店前でにっこり営業スマイルを称える夜野に店主も機嫌よく答えた。
「そうだろう!うちの娘もあそこの病院で病気を治してもらったのだよ。」
何処へ行っても良い所を並べ立てて話す店主たち。どの店主も街の素晴らしさを夜野に語りきかせた。
「店主、逆に困ることはないのかい?」
夜野の言葉に店主は少し考える。
「そうだなぁ、あんまり同じ人間が長く居つく事がないよ。良い街なんだが領主が世話好きでね、器量の良い者には良い職場を紹介してしまう。俺の娘も仕事にでる予定だな、良い所で働けるらしいが、少し寂しいね。ああでも!新しい子ももうじき生まれるからな!」
よくしゃべる店主の話に頷きながら夜野は【情報収集】していく。
(最初に悪い所を聞いていちゃあ、警戒されたりするだろうからな。)
彼の思惑もあってか、疑われる事はなかったようだ。ここまでこれば、後は証拠を探すだけである。
(ある程度聞いた所でそんな良いところばかり上げられて不安という体を取って悪い所や不可解な所を聞き出そうか。)
何件目かの店主とのやり取りで、夜野は切り出す。
「店主、良い話ばかりで逆に不安だよ。…この街では何か困る事とか、事件とかはないのかい?」
その言葉に一瞬の間、それから―。
「ないよ。」
と、短く店主は答えた。夜野は違和感を感じて、通り過ぎる振りをして【聞き耳】をたてる。
『あの病院に月に3回呼ばれたら、帰ってこれねぇなんていえねぇよな。どうせ、誰も信じちゃくれねぇ。』
夜野は大きな病院を眺め、そして―証拠になり得る建物を一つ特定した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛河・燐
あー…………。やりにくいなー。
たとえ裏があってそれを知ったとしても…どれほどの人が
ここを離れようとするかねぇ。
たとえ生贄が必要であっても、外よりここは暖かいんだからさ?
たとえそれが血の温もりであっても。

まー真っ黒なのは領主の館で多分他には変な物はないと思うけど、一通り探すかー。
路地裏とかを【目立たない・忍び足・視力・クライミング】を使って細かく調査。
怪しい表通りとかの家やお店に繋がっていない扉があれば【鍵開け・早業】

住民に話を聞かないのかって? それで出るのはきっと思ってみれば引越しとかそういうのは一定の周期だなーくらいでしょ。
怪しまれない為の信用なんだから。

小を贄に大を救う。
楽園か…




「あー…………。やりにくいなー。」
ニヤニヤとした笑顏で、雛河・燐(笑って嗤って後悔を・f05039)は、ぐっと背伸びをする。
(たとえ裏があってそれを知ったとしても…どれほどの人が、ここを離れようとするかねぇ。)
懸念は、最もな内容だ。燐が周りを見渡せば、呑気に猫と日向ぼっこする人までいる。この世界の生活水準をみれば分かる事だ。この街は他に比べ恵まれすぎている。
「たとえ生贄が必要であっても、外よりここは暖かいんだからさ?」
誰に告げるわけでもなく、燐は呟く。温かい家と家族。張りぼてだろうと、それは間違いなく彼らの『日常』だ。この張りぼての幸せを壊したからって、彼らが喜ぶとは限らない。
(―たとえそれが血の温もりであっても。)
気乗りしない仕事とはいえ、依頼は依頼だ。
「まー真っ黒なのは領主の館で多分他には変な物はないと思うけど、一通り探すかー。」
燐はまず、人通りの少ない路地裏を調べることにした。【目立たない】ように、【忍び足】をつかって細かく調査していく。燐の【視力】をもってすれば、見逃す事はまずないだろう。白い石造りの塀を【クライミング】で登攀すると、塀の上から木へと飛び移り身を潜めた。(焦げた匂い・・・?)
その匂いの先を辿る。
「焼却炉…?」
炉を囲うように鉄条網、そして入口には鍵がかかっている。察しの良い燐は、すぐに嫌な想像に行き着いた。
(おいおいおいおいっ。)
素早く【鍵空け】を済ませると、焼却炉へと近づく。
(あー‥‥‥。やっぱり見つけるんじゃなかった。)
病院の裏手に位置するであろう、この場所は人気が全くなかった。迷うように焼却炉を眺める燐は諦めたように、ニヤけた顏のまま手を伸ばす。
「住民に話を聞かないのかって? それで出るのはきっと思ってみれば引越しとかそういうのは一定の周期だなーくらいでしょ。怪しまれない為の信用なんだから。」
だからって、こんなモノを見つけたかったわけではない。独り言のようにぶつぶつと言いながら燐は扉を開けて焼却炉の中を覗き見た。

―中身を確認すると、そっと焼却炉から離れる。そこには、使い終わった『残骸』が残されていた。何に使ったか分からないが、そういうことなのだろう。燃え残った幾らかの遺留品もあり証拠には十分だといえる。
(小を贄に大を救う。楽園か…。)
それでも彼らが『現実』と向き合うことができるかは、また別の話なのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・アイオライト
ふーん、ダークセイヴァーの人たちにとっての理想郷ってやつ?聞くだけじゃ良いことばかりだけど、『裏』がどうなってるかなんて、一般人には常に秘匿されてるものよ。

【変幻ナル闇ノ曙光】で闇に紛れながら『目立たない』ように『情報収集』するわよ。
特に一般人が全く近づかない領域や建物については徹底的にね。『第六感』『追跡』で怪しそうな痕跡、場所を探り出す。
……いえ、待って。確か配給品で菓子が出回ってるって言ってたわね。その菓子、どこから供給されてるのかしら。一応それも重点的に調査するわよ。

……権力を持つ奴らってのはとことん気に食わないわ。結局自分のところに利益が全て返ってくるシステムを作るんだから。




 長閑な昼下がり、皆お昼時である。仕事中の者も手を止めてお弁当にありついていた。お腹いっぱいになる事が少ないこの世界で、彼らは確かに、『幸せ』を享受している。 
(ふーん、ダークセイヴァーの人たちにとっての理想郷ってやつ?聞くだけじゃ良いことばかりだけど、『裏』がどうなってるかなんて、一般人には常に秘匿されてるものよ。)
煉瓦造りの建物の影でレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は銀の髪から赤い瞳をのぞかせる。呑気な幸せを享受する彼らから得られる情報なんてない。そう判断したレイは街の中へ視線を巡らせる。この街の住人の中で異質な者、人通りのない領域、場所や建物に向かう者を特に注意して観察する。
『あたしは影。あたしは闇。』
静かにレイの身体が闇に溶ける。『変幻ナル闇ノ曙光』を操る彼女にとって、『目立たない』ように闇に紛れ『情報収集』する事は容易かった。夜であれば、さらに有利だったかもしれない。
「おーい。配給のお菓子まだあったか?」
「いいや?」
「ああ。今日は来訪する人が多くてなー。分けてたらなくなっちまった。」
門番と同じ服装の男達が裏路地を歩いていく。
(……いえ、待って。確か配給品で菓子が出回ってるって言ってたわね。その菓子、どこから供給されてるのかしら。一応それも重点的に調査するわよ。)
警備の者達の配給品の菓子が気になったレイは、彼らを【追跡】する。
(……権力を持つ奴らってのはとことん気に食わないわ。結局自分のところに利益が全て返ってくるシステムを作るんだから。)
やがて、領主の屋敷に辿り着く。菓子は領主の屋敷から運ばれているようだった。調べると、配給先は学校や病院、門番等の自警団等々。ほぼ、街中の住人に配られている。レイは菓子を作っているらしい厨房を覗き込んだ。
「領主さまのいう通り、栄養価の高い最高のレシピで菓子を配るのだ。蜂蜜たっぷりでな。」
「はい。あー。料理長、『洗脳用』はどうしますか?」
「それは、学校に運んでおけ。種類が多くてかなわん。」
菓子には菓子で絡繰りがあるようだ。
(‥‥洗脳ね。)
そっと目を伏せる。こいつらを、捕まえて街の人の前で証言させれば証拠にはなるだろう。だが…。洗脳されている住人がいるとなると厄介である。
(もう少し、泳がせようかしら。)
レイは、そのまま菓子のルートの【追跡】を続ける事にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
結局のところ、吸血鬼は何処までも吸血鬼だ
ただひたすらに殺すか、選んで殺すか
それぐらいの違いでしかない訳だ

【SPD】
私は旅の者として街に入ろう
流れ者に貸す宿も無いほど窮している街ではあるまい
寧ろ裕福にすら見受けられる

潜入出来たら話しにあった内の学校とやらについて調べてみるか
この御時勢に真っ当な教育なんぞそうそうお目にかかれないからな

どんな者が選ばれ、何処で、何を学ぶのか…興味がある
私とて、真っ当な世であったなら教育を受けているであろう歳だからな

可能であれば学校にも潜入
裏口などから【目立たない】様に入り
関係者と接触しない様にしながら中の様子を確認
吸血鬼との繋がりを示すヒト、モノを探すぞ


加賀宮・識
行き場の無くなった者にとっては一縷の望み、なんて卑劣な手を使うんだ

【SPD】

気持ち的には片っ端から破壊したいがそれを我慢し『礼儀作法』と『聞き耳』を使う

あまり使いたくない手だが…里が襲撃された話を交えれば…うまくいけば潜り込めるかもしれない、一応それなりの格好をしていくか

私も里を焼かれ行き場がなく、さ迷い中にここの噂を耳にし、たどり着いたのですが…

まぁ、見た目は人畜無害に見えるだろうから大丈夫だろう
うまく話が聞き出せるといいんだが

しかし…万が一敵と遭遇したら自分を押さえられるかが不安の種だ、我慢我慢だ

(アレンジ大歓迎です)



● 
何処を見ても呑気な風景―。この世界では、とても異質なものだろう。門番を前に、ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)が、旅人だと名乗り街の中へ入りたいと願いでる。
「旅人さんですね。長旅、大変だったでしょう?どうぞお通りください。」
意外にも、あっさりと通されてしまった。行商人や吟遊詩人と同じ扱いなのだろう。ノワールは街の様子をぐるりと見渡していく。そこには、かつてオブリビオンがこの世界を制圧する前にあったかもしれない長閑な街並みだった。しかし、それは幻。所詮は吸血鬼達の仕組んだものだ。ノワールは彼らヴァンパイアのやり口を良く知るが故に、それがただの『張りぼて』である様にしか思えなかった。
(結局のところ、吸血鬼は何処までも吸血鬼だ。ただひたすらに殺すか、選んで殺すか。
それぐらいの違いでしかない訳だ。)
レイは、一通り見て回ると学校の方へと足を運ぶ。
「この御時勢に真っ当な教育なんぞそうそうお目にかかれないからな。」
学校の場所は直ぐに分かった。病院のすぐ隣、白い石造りで出来ている。ノワールは、校門より裏手にまわると、【目立たない】様にそっと潜入する。
「どんな者が選ばれ、何処で、何を学ぶのか…興味がある。私とて、真っ当な世であったなら教育を受けているであろう歳だからな。」
学校内部を見て回る。授業風景―。主に簡単な算数や読み書きに礼儀作法を教えられているようだった。
時間割表なんてものもある。
「成程、この時間割にそって勉強するのか。」
愛らしい折り紙や落書きのされた机―。レイは好奇心から、人気のない教室の教科書をそっと手にとり中を開いた。ぞくり、と背中に悪寒が走る。
「…所詮は、吸血鬼の仕切る学校だな。」
教科書の中身、領主への忠誠を言葉巧みに植え付ける言葉の羅列。そして、効率的な拷問の仕方等、事細かに書かれている。分かっていた事だった。この街にレイが思う『真っ当な教育』など、存在してはいなかったのである。


 街の門前で、加賀宮・識(焔術師・f10999)は苛立っていた。
(行き場の無くなった者にとっては一縷の望み、なんて卑劣な手を使うんだ。)
街の門に立つ男は二人。行商人や旅人なら簡単に通過できそうではある。
(あまり使いたくない手だが…里が襲撃された話を交えれば…うまくいけば潜り込めるかもしれない、一応それなりの格好をしていくか。)
旅人の、いかにも逃げてきたという格好で識は外套を深く被り門番に話しかける。
「私も里を焼かれ行き場がなく、さ迷い中にここの噂を耳にし、たどり着いたのですが…。」
門番は識の話をきくと、手持ちの菓子を識へと手渡す。
「それは、大変でしたね。お腹も空いたでしょう?どうぞ、お通りください。」
難なく中へ通された識は、そのまま街を案内される。問題なく人畜無害にみえたのだろう。
「ここは、学校になるのですが。住まいが決まるまでは寮が貸してもらえると思うので。」
そう告げると門番は、戻っていく。門番の案内は、テンプレート通りに近かった。質問に対しては決まった言葉しか返ってこない。彼らから、情報を引き出すのは難しそうだった。識は、礼儀正しく門番にお礼を伝え、学校の方をみる。
(白い石造り、病院らしい建物が隣…。繋がっているのだろうか。)
門を抜け学内に入る。いくつか教室があるが、生徒の姿が見当たらない。
(気持ち的には片っ端から破壊したいが…。)
識は、ぐっと我慢して『礼儀作法』を心がける。まずは、施設の人へ挨拶をしなければと人がいそうな場所を探した。
 廊下を歩き、下への階段を見つける。そこから、何やら話し声がした。【聞き耳】をたてる。
「はい。ご主人様のご命令に従います。」
「はい。ご主人様の望むままに。」
少女達の声だ。識は紫水晶のような色の瞳を見開く。
(当たり、か?だが、此処で騒ぎは、―我慢だ。我慢、我慢、我慢。)
乗り込んでいって、ぶち壊したい衝動にかられる識は―。我慢できなかった。

 そして、大きな破壊音が響き渡ることになるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


● 
何処を見ても呑気な風景―。この世界では、とても異質なものだろう。門番を前に、ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)が、旅人だと名乗り街の中へ入りたいと願いでる。
「旅人さんですね。長旅、大変だったでしょう?どうぞお通りください。」
意外にも、あっさりと通されてしまった。行商人や吟遊詩人と同じ扱いなのだろう。ノワールは街の様子をぐるりと見渡していく。そこには、かつてオブリビオンがこの世界を制圧する前にあったかもしれない長閑な街並みだった。しかし、それは幻。所詮は吸血鬼達の仕組んだものだ。ノワールは彼らヴァンパイアのやり口を良く知るが故に、それがただの『張りぼて』である様にしか思えなかった。
(結局のところ、吸血鬼は何処までも吸血鬼だ。ただひたすらに殺すか、選んで殺すか。
それぐらいの違いでしかない訳だ。)
ノワールは、一通り見て回ると学校の方へと足を運ぶ。
「この御時勢に真っ当な教育なんぞそうそうお目にかかれないからな。」
学校の場所は直ぐに分かった。病院のすぐ隣、白い石造りで出来ている。ノワールは、校門より裏手にまわると、【目立たない】様にそっと潜入する。
「どんな者が選ばれ、何処で、何を学ぶのか…興味がある。私とて、真っ当な世であったなら教育を受けているであろう歳だからな。」
学校内部を見て回る。授業風景―。主に簡単な算数や読み書きに礼儀作法を教えられているようだった。
時間割表なんてものもある。
「成程、この時間割にそって勉強するのか。」
愛らしい折り紙や落書きのされた机―。ノワールは好奇心から、人気のない教室の教科書をそっと手にとり中を開いた。ぞくり、と背中に悪寒が走る。
「…所詮は、吸血鬼の仕切る学校だな。」
教科書の中身、領主への忠誠を言葉巧みに植え付ける言葉の羅列。そして、効率的な拷問の仕方等、事細かに書かれている。分かっていた事だった。この街にレイが思う『真っ当な教育』など、存在してはいなかったのである。


 街の門前で、加賀宮・識(焔術師・f10999)は苛立っていた。
(行き場の無くなった者にとっては一縷の望み、なんて卑劣な手を使うんだ。)
街の門に立つ男は二人。行商人や旅人なら簡単に通過できそうではある。
(あまり使いたくない手だが…里が襲撃された話を交えれば…うまくいけば潜り込めるかもしれない、一応それなりの格好をしていくか。)
旅人の、いかにも逃げてきたという格好で識は外套を深く被り門番に話しかける。
「私も里を焼かれ行き場がなく、さ迷い中にここの噂を耳にし、たどり着いたのですが…。」
門番は識の話をきくと、手持ちの菓子を識へと手渡す。
「それは、大変でしたね。お腹も空いたでしょう?どうぞ、お通りください。」
難なく中へ通された識は、そのまま街を案内される。問題なく人畜無害にみえたのだろう。
「ここは、学校になるのですが。住まいが決まるまでは寮が貸してもらえると思うので。」
そう告げると門番は、戻っていく。門番の案内は、テンプレート通りに近かった。質問に対しては決まった言葉しか返ってこない。彼らから、情報を引き出すのは難しそうだった。識は、礼儀正しく門番にお礼を伝え、学校の方をみる。
(白い石造り、病院らしい建物が隣…。繋がっているのだろうか。)
門を抜け学内に入る。いくつか教室があるが、生徒の姿が見当たらない。
(気持ち的には片っ端から破壊したいが…。)
識は、ぐっと我慢して『礼儀作法』を心がける。まずは、施設の人へ挨拶をしなければと人がいそうな場所を探した。
 廊下を歩き、下への階段を見つける。そこから、何やら話し声がした。【聞き耳】をたてる。
「はい。ご主人様のご命令に従います。」
「はい。ご主人様の望むままに。」
少女達の声だ。識は紫水晶のような色の瞳を見開く。
(当たり、か?だが、此処で騒ぎは、―我慢だ。我慢、我慢、我慢。)
乗り込んでいって、ぶち壊したい衝動にかられる識は―。我慢できなかった。

 そして、大きな破壊音が響き渡ることになるのだった。
フィリリアンナ・フェアリーガーデン
初めて来ましたが…なんだか暗い雰囲気の世界ですねぇ
でもこの街は見た感じ整ってるみたいですね

どうやらいくつか選別用の施設があるみたいですね
飛び回って情報を集めたり、噂を聞いてみましょうか
んー、でも気になるのはやっぱり領主の館ですねぇ

領主の館に呼ばれてるらしい人が見つかれば、その人にシェイドを張り付けますよ
影に張り付く感じで…見つからないといいんですけど
ボク自身は見つからないように屋根とかに隠れますよ

動かしようがない証拠があれば住民たちにそれを伝えてひっそりと避難させていきたいですね
せめて戦場になりそうな館付近からは離しておきたいところです




 どんよりと空は暗く、オブリビオンによる搾取が日常となっている世界。そんな世界に降り立った妖精がいた。緑の髪に金の瞳が愛らしいフィリリアンナ・フェアリーガーデン(超ド級天才魔導妖精・f00685)だ。
「初めて来ましたが…なんだか暗い雰囲気の世界ですねぇ。」
何処も彼処も暗い世界にフィリリアンナもしょんぼりしている。
「でもこの街は見た感じ整ってるみたいですね。」
オブリビオンを倒す事を楽しみにしているフィリリアンナは街の人々を説得できる証拠を探していた。
「どうやらいくつか選別用の施設があるみたいですね。」
ぐるりと街中を飛び回って情報を集める。飛んでいても街の人がフィリリアンナの姿に違和感を覚える事はない。
「あのー。なにか面白いとか怖い噂話はないでしょうか?」
笑顔で尋ねると街の人の笑顔で答える。
「そうねぇ。・・・そうそう、近所のおばさんがこの間、行方不明になったのよ!」
「…みつかったのでしょうか?」
いきなり当たりを引き当てたとフィリリアンナは期待した。
「そ・れ・が!お屋敷の庭に穴が開いてて落ちてたみたいなのよぉー。領主さんところの衛兵さんが助けてくれたのよねぇ。」
まだまだ話足りなそうな街の人だが、これ以上有益な情報は得られないと思いフィリリアンナは、お礼を伝えて再び飛んでいく。
「んー、でも気になるのはやっぱり領主の館ですねぇ。」
お屋敷は、すぐに見つかった。とりあえず、フィリリアンナは領主の館に呼ばれているらしい人を探す。衛兵くらいしか見当たらなかった。
『闇精よ、昏き淵より呼びかけに応え具現せよ。…さ、行ってきて下さい』
ユーベルコード、サモン・シェイドによって、闇の精霊が現れ出でる。それは衛兵の影に紛れ追跡をはじめた。闇の精霊はフィリリアンナと五感を共有できる。精霊は衛兵の影に張り付くように移動している。
(…見つからないといいんですけど、さて。ボク自身は見つからないように屋根とかに隠れますよ。)
そっと屋敷の屋根を見上げる。3階建てである。フィリリアンナには余裕だった。ひょいと、飛び上がると難なく屋根の上へ。闇の精霊さんから視覚情報が送られてくる。
「厨房でしょうか。動かしようがない証拠があれば住民たちにそれを伝えてひっそりと避難させていきたいですね。」
フィリリアンナの予想では戦場はこの館。
「せめて戦場になりそうな館付近からは離しておきたいところです。」
屋敷が戦場となるかは分からないが、危ない事に違いはなかった。

 衛兵は屋敷の中を自由に歩いている。先ずは厨房で菓子を補充して、館の主の部屋の前でノックをした。暫くしても、反応はない。再び衛兵は厨房に戻った。
「ご領主さま、お留守のようだよ。はー。新しくきた娘さん用にお菓子調合頼むよ。」
「あいよ。紫のリボンのラッピングのやつ、もってってくれ。」
何気ない二人の会話が続く、フィリリアンナは闇の精霊を呼び戻した。それから、留守中の領主の部屋へ侵入する。
「確たる情報は―。」
それは直ぐに見つかった。彼女が見つけたのは『出荷予定リスト』。街の人の出荷予定表である。
「これがあれば、街の人も分かって下さるでしょう。」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『隷属から逃れる術を知らない少女達』

POW   :    命より重い忠誠を誓おう
【忠誠を誓った者から授かった力】に覚醒して【命を省みず戦う戦士】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    主のためなら限界すら越えて戦い続けよう
【主の命令書を読み限界を超えた捨て身の攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    主人に永遠の忠誠を誓おう
【忠誠を誓う言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の証拠の提供と説得に、一部の住人達は避難を受け入れてくれたようだった。ただし、残された住人達は現実を直視できずに街に残ったままである。しかし、その残された住人達も、学校の校舎からの大きな破壊音に驚くと、学校付近から避難する事にしたのだった。


 ガシャリ、と重い金属音が擦れ合う音がした。見れば、まだ頑是ない。細い身体の少女達は大きな首輪をはめられていた。引きずるように垂れ下がった鎖が嫌な音を立てる。その瞳に光はない―。
「はい。ご主人様のご命令に従います。」
「はい。ご主人様の望むままに。」
繰り返すように唇から漏れる言葉が地下に響き渡る。
「はい。ご主人様、ちゃんと殺せます。」
「はい。ご主人様、ちゃんと調理します。」
フォークとナイフの握る小さな手が動いた。虚ろな瞳で少女達は猟兵を捉える。
「はい。ご主人様、味付けは如何なさいますでしょうか?」
「はい。ご主人様、レアがお好みでございますね?」
ぞろぞろと学校の地下から現れた少女達が向かってくる。独り言の様に譫言を繰り返す少女は、空虚な瞳のまま微笑む。
「良い子にします。だから、褒めてください。」
「良い子にします…。だから、愛してください。」
ふらふらと、少女達はナイフを振り上げた。ただ、胸の奧に焼き付いた『ご主人様』の為に―。


戦闘となります。場所は学校の地下です。
階段を下がった場所に地下室の扉があります。
彼女達はただ譫言を繰り返し、襲ってきます。
雛河・燐
あっはっは。はいご主人様ですよー。
戯言だけどね。
でもさー俺ってさほら?甘ちゃんなんだよねー(けらけら
だからさ?助けられそうなら、救えそうなら救いたいじゃん?

だからまずは【時間稼ぎ】。騙して同調して大法螺吹いて、相手の武器を取ったり、相手が振るった手をとって挑発してるかのようにダンスするように逃げる。
【コミュ力・盗み攻撃、武器落とし・地形の利用、逃げ足】

スリ技術:すれ違い様に手に持っている物でも気づかれずに奪う
【盗み、早業】

助けられないなら、せめて褒めて、愛せはせずとも、笑顔を向けてあげようか。成功を君に
攻撃を避けずに迎え入れて抱きしめる。
そして【早業、暗殺】
よく頑張ったね。せめて次があるなら…




 破壊された扉の向こうにいたのは、首輪付けた少女達だった。ぐるりと一斉に侵入者の方を向く。
「はい。ご主人様…。」
細く白い肌、光のない瞳が雛河・燐(笑って嗤って後悔を・f05039)の姿を映し出す。
「あっはっは。はいご主人様ですよー。」
軽く手を挙げて返事をする燐は、少女達に向かって自己主張をした。ご主人様という単語にピクリと足を止めた少女達。騙して同調して大法螺吹いて【時間稼ぎ】を試みる。だが、少女達は、直ぐにまた歩きだす。あっけらかんと笑っていた燐は、口元の笑みを少しだけ緩めた。
「戯言だけどね。」
大人しく騙されて言う事を聞いてくれたならば―。燐の思惑など知らないという様に、少女達は一斉に襲いかかってくる。
「でもさー俺ってさほら?甘ちゃんなんだよねー。」
けらけらと笑いながら、燐は向かってくる少女達を難なくいなした。少女達の戦闘能力はお世辞にも高いとはいえない。振り上げられたナイフを盗むように奪い―少女の手を取り引き寄せる。円舞曲でも踊るような足運びで、少女の身体をリードすると、燐はその瞳を覗き見た。
「だからさ?助けられそうなら、救えそうなら救いたいじゃん?」
空虚な瞳だった。群がる少女達の攻撃を丁寧に避けながら燐は、踊り続ける。武器を奪い、無力化させる。それは直接、彼女達を傷つけるものではない。しかし、彼女達は再び武器を拾い、燐に向かっていく。
「はい、ご主人様。侵入者・・ちゃんと、戦えます。」
「はい、ご主人様。ちゃんと、殺します。だから、愛してください。」
ゆらりと立ち上がった少女が壁に貼り付けられた『ご主人様』からの命令書を見る。彼女達は、間違いなくオブリビオン―。燐はそれを肌で感じていた。では、心は―。オブリビオンになった段階で最早、人間ではない。燐の口元が悲し気に笑った。
(助けられないなら、せめて褒めて、愛せはせずとも、笑顔を向けてあげようか。成功を君に。)
限界を超えて少女がナイフを振り上げた。銀色をしたナイフが燐の身体に深く埋もれていく。燐は彼女の攻撃を避けなかった。迎え入れる様に攻撃を受け止めると、少女の身体をぎゅっと、抱きしめる。
「よく頑張ったね。せめて次があるなら…。」
優しい、優しい―笑顔。それが、少女の瞳が映した最後の姿。―それは一瞬の【早業】だった。少女の身体が崩れる。燐の短刀が、少女の命を奪う―支える様に抱きしめれば、その身体は砂塵となって、崩れてなくなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
【レイ・アイオライト(f12771)】と共に向かう。

可能なら助けてぇな。

自害される前にレイの捉えた奴に対して【吸血】からの【情報収集】でまだ人かどうか。
この状況が薬による物か呪詛とかか調べて見るか。

呪詛ならその呪詛へのハッキング及び上書きで主人認定にして命令で安全地帯に移動させる。

薬なら今すぐの対応厳しいし、戦闘に戻って四肢切断かね?
回復UCで血は止めた後、無力化した奴を相手が殺そうとする可能性あるし、呼んだ犬の一部に護衛させて安全地帯へ。

あ、自害されても叶わんから猿轡も噛ましとくぞ。

…胸糞わりぃ。
そん時は俺も混ぜろよ?大義も無くこんなことしてるならその時は…


レイ・アイオライト
何よこれ……まさか菓子で洗脳されてる?あたしじゃ確認できようもないし、【尾守・夜野(f05352)】と共闘よ。

【影ノ傷跡漏出:暗黒領域】で影の壁を作りながら『オーラ防御』、「浸蕀のソードブレイカー」で『武器受け』、防御主体で戦うわよ。

可能ならソードブレイカーで少女の武器を破壊する。

体に当たらないように首輪めがけて鋼糸の電撃『マヒ攻撃』、怯んだところで、鋼糸で拘束するわ(『罠使い』)。

夜野に少女がどういう状態か確認してもらう。現時点で手の施しようがないなら……夜野、後はお願い。

……こんなことをした黒幕、拷問さえも生ぬるい苦痛を与えて殺してやる。絶対に。




銀髪のポニーテールを揺らし、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は息をのむ。
「何よこれ……まさか菓子で洗脳されてる?あたしじゃ確認できようもないし…。」
レイの背中を預かるように立つと、尾守・夜野(墓守・f05352)は少女達を見る。
「可能なら助けてぇな。」
それが、難しい事であると夜野の【第六感】が囁く―。だが、可能性があるうちは諦めたくなどなかった。
「ご主人様。いますぐに、ただいまご用意致します…。」
手のひらを見つめた少女が、フォークを振り上げる。少女とは思えない俊敏さでもって―レイは難なく避けたが、―少女は、振り上げられたウォークを、只管に壁へと刺し続けた。少女一人の攻撃を如何にかするのは容易い。少女達の数は多く全てを避けるのは困難だ。武器を受け止め、防御を主体に守っているが、このまま取り囲まれれば退路も断たれてしまう。
『朔月に墜ちる影、全てを塗り潰す暗黒の結界、具現しなさい!』
逸早く、レイが動いた。夜野を守る様に展開されたそれは、壁となって少女達を遮った。完全なる闇の結界を前に、少女達は目標を見失い彷徨いはじめる。レイのユーベルコード、『影ノ傷跡漏出:暗黒領域』である。次いで、【オーラ防御】したレイが少女達の武器を狙い『浸蕀のソードブレイカー』を抜く—鉄を弾く音が響いた。瞬く間に少女達の武器を、折り破壊していく。
「そこよ。」
レイが鋼糸を少女の首に巻き付け、引き寄せる。鋼糸に電撃が走ると少女は痺れるように大きく震え、膝をついた。
「……夜野、後はお願い。」
頷いた夜野は手際よく、少女から【吸血】による【情報収集】を試みる。それは、解析するまでもなく直ぐに解った。―夜野はレイに向かい首を横に振る。
「オブリビオンだ。」
助けたかった。薬が原因であれば少女の四肢を封じてでも無力化し、時間がかかっても救いたい―。二人とも助ける覚悟を持って挑んでいた。だが、それは叶わない。
「ご主人様に全てを捧げましょう―!」
少女達の一人が叫びを上げる。その声に呼応するように彼女達は立ち上がり再び、銀のナイフが夜野に向かい振るわれた。全てを避けれないものの、大したダメージは負わず。
「…胸糞わりぃ。」
夜野が、敵―少女達を斬り伏せる。少女達は猟兵の攻撃に崩れ砂塵と化す。骸の海へと帰っていくのだろうか?それが過去の姿だとして再びこの世界に呼び出された少女達はヴァンパイアの愛玩具として飼われ続けている。今、この支配から解放する事が少女たちにとって 一時の安らぎとなるのだ。
「……こんなことをした黒幕、拷問さえも生ぬるい苦痛を与えて殺してやる。絶対に。」
レイが唇を強く噛んだ。目の前に転がり塵と消えゆく少女達。
「そん時は俺も混ぜろよ?大義も無くこんなことしてるならその時は…。」
戦いの中、夜野がふと少女達の向こう―戦闘音の響く地下に、掠れるような、呻くような泣き声に気が付いた。
「レイ、頼む。」
夜野が一気に駆け、扉を蹴り破る。

 そこにあったのは、檻に囚われ首輪に繋がれた少女達―。檻の中で膝を抱えていた少女達が檻の中で、怯え―。
「・・・あ・・ああ・・。ご主人様、言うことをききます・・、だから。」
そこには感情が見て取れた。夜野は直ぐに【吸血】から【情報収集】をする。毒物はない、呪術も見受けられない―。
「レイ、こっちは無事みたいだぜ。」
生きた人間だった。部屋に並ぶ拷問具―オブリビオンにされる以前に少女達が体験したであろう『過去』。檻の中の少女達は、その『過去』の再現をされている様にみえる。身体には傷が幾つもあり、手当もされた跡がある。薬物でも呪術でもない、ならば恐らく、少女達に行われたのは、調教だ―。夜野が、ユーベルコード、『黒妖犬召喚』で妖犬を呼びだす。鉄製の冷たい檻を黒剣で切断―ガシャンと、難なく檻が破壊され、少女達を怪犬達に担がせる。
「ご主人様。ちゃんと、殺します・・・。」
オブリビオン、少女達が行く手を阻む様に襲いかかってきた―。
「やらせねぇ。」
黒剣で攻撃を受け止め、そのまま弾き返す。使役する犬達が少女達を背に乗せ、階段を上がっていく。救出を見届けると、夜野とレイは再び戦闘へと身を投じる。今度は彼女達に終わりを迎えさせる為に―。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・秋星
「来い…。伐ってやる、その魂魄を縛り付ける因果ごと。」

敵が複数の為、本体である黒瘴とレプリカ・クラフトで作り出した影打の二刀で相対。主体は近接剣戟戦闘、補助的に格闘戦と離れた場合は衝撃波を使用した遠距離戦を行う。
戦闘では妖剣解放。赤黒い怨念を纏い交戦。攻撃には【生命力吸収】や【呪詛】を付与し敵を蝕みながら攻撃。怨念は通常は刀剣に纏わせる形で運用するが、離れた相手への攻撃時には赤黒い影の手の形となり敵を引き裂く。

「黒瘴抜刀、銀弾装填。掻き裂く…。」




 譫言を繰り返し、少女達は獲物を探す。ふらふらと歩く姿は、操り人形の様だ。
 「来い…。伐ってやる、その魂魄を縛り付ける因果ごと。」
黒装束のヤドリガミ、叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)が静かに刀に手を掛ける。ただ隷属し、『ご主人様』に忠誠を誓い、その愛を望む事。それを、強要された彼女達。骸の海より染み出たそれらは、最早伐る事でしか救われない。
「黒瘴抜刀、銀弾装填。掻き裂く…。」
その手には二振りの刀。秋星自身である『黒瘴』―そして、その複製『影打』。【妖剣解放】した秋星は、抜き身の刀を握る。刀身が赤黒い怨念で覆われていた。何処までも暗い、深い赤色だ。少女達は、秋星を囲む様に集まり——フォークを手に一斉に突き刺さんと、襲いかかってくる。二振りの刀が弧を描く。空を剣戟が凪いだ。——その刃は斬る者を呪い、斬り裂く相手の命を吸いとる。彼女達の攻撃は全て弾かれた。肉薄した近接戦闘に、剣戟が響き渡る。黒瘴で斬り払えば、影打で返し、受け止める。刃先を入れ替え、慣れた手つきで斬り伏せた。秋星の相手をするには、敵の技量が足りない。斬り伏せられた少女達は倒れ、そして砂塵となって崩れ消える。次いで、離れた少女達へと衝撃波が飛ぶ。
「はい。ご主人さ‥‥?」
突如、吹き飛ばされた少女達が、壁にぐしゃりと、叩きつけられる。そのまま―、ずるりと落ち、動かなくなった。受け身も、避けるという行動すら知らない少女達は、ただ秋星へと向かう。その手に握るフォークとナイフで攻撃を続けるのだ。そこに、圧倒的な力の差があったとしても、諦める事はない。彼女達の戦闘力は驚く程に低く―脆い。赤黒い怨念が無数の手を形どり一斉に伸びた。蛇がうねる様に自在に変形する怨念。群れる少女達の身体を貫き切り裂く。貫かれた少女達は、声もなく崩れ落ちて逝く。彼は、速やかに、迅速に―。全てを、還していった——。

大成功 🔵​🔵​🔵​

加賀宮・識
目にした少女達の姿に、光景に絶句する。なんだあの姿は…人を何だと思っているんだ

虚ろな瞳、生気が感じられない
でも、ただ脅されて洗脳されているなら助けたい

暗月鎖で威嚇、注意深く彼女達の様子を伺い少しでも反応があれば気絶させ暴れないように捕縛

人らしい反応がなくただひたすらに襲ってくるだけなら…
ブレイズフレイムで、私の焔で片を付けよう

もう、そんな命令をきかなくていい。
願わくば自由に、安らかに眠ってくれ。

助けてあげられなくて…すまなかった


(アドリブ、共闘大歓迎です)




 首に大きな首輪をはめられた少女達—。加賀宮・識(焔術師・f10999)はその光景に絶句する。
「なんだあの姿は…人を何だと思っているんだ。」
まだ年端もいかぬ娘ばかりだ。大きな紫水晶のような瞳が嫌悪に揺らぐ。
(虚ろな瞳、生気が感じられない。でも、ただ脅されて洗脳されているなら助けたい)
暗月鎖を握る手に力がこもる。
「はい。ご主人様・・・。すぐに、調理致します。」
「はい。ご主人様・・・。」
手に銀のフォークを握り、襲いくる少女達。鉄塊の如き巨大な剣を軽々と扱う識は、威嚇する様に暗月鎖を振り牽制する。
「ご主人様の為に。」
「ご主人様・・。」
注意深く、彼女達の様子を伺い立ち回る。助けられるのであれば、気絶させ無力化した後、その手立てを探したい―。
「ご主人様・・・。」
少女達が祈りを捧げる。忠誠を誓い、授かった力。命を省みず戦う戦士となる。—素早い動きで、識にフォークを突き刺す。咄嗟に避ける識は、しかし多勢に無勢だった。避けきれなかった攻撃に、鈍い痛みが走る。―限界を超え戦った少女達は、一斉に倒れ朽ちる。元来持たない戦士の力。その代償は彼女達の命―。
「ここまでか―。」
人らしい反応はなく、ただ襲ってくるだけの少女達―。助けられるはずもなかった。それでも、可能性を信じた識はギリギリまで彼女達を傷つけないように戦っていた。
「もう、そんな命令をきかなくていい。」
鮮やかな紅蓮の焔が、識の身体を包む。紅く―識の心を映すかの様な炎。彼女達をオブリビオンにまで追い込み、今も使役し続けるヴァンパイア達。
「願わくば自由に、安らかに眠ってくれ。」
救えなかった彼女達に―。識はブレイズフレイムを放つ。識の焔に彼女達は次々に倒れていく。
「助けてあげられなくて…すまなかった。」
地獄の炎。識の焔は優しく少女達を包んでいく。―燃え逝く少女達が、少しだけ微笑んだ気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九条・文織
【SPD判定】
・心情
忠誠、ね。
ここまで来ると洗脳って感じだけども。
閉じ込めてしまいたいと思う事はあるけど、
お人形遊びは好きじゃないんだよ。

反応が面白くないから。

人形に成り下がった者を見るのは、
昔の事を思いだして何だか気分が悪いね。

・防御
「捨て身の攻撃か。一つの美学としては悪くはないけどさ。
死んだら句穏に会えなくなっちゃうからね。私は遠慮させて貰うよ。」
超高速連続攻撃を『絶望の福音』で予知し、
【残像】【見切り】で回避しようとする。

・攻撃
「変えられない事も世の中にはあるけれど、
これ以上人形として呼び出されないと良いね。」
【気合】をいれた【二回攻撃】で、
的確に人体の急所部分を狙って倒そうとする




 銀髪、片違いの瞳を持つ九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)は、鎖を引きずる少女達を見て眉を顰めた。
「忠誠、ね。ここまで来ると洗脳って感じだけども。」
文織は少女達の姿を眺める。其処には、忠誠も、愛も、狂気すら感じられない―ただ、繰り返す譫言と条件付けされた人形が動いている。
「閉じ込めてしまいたいと思う事はあるけど、お人形遊びは好きじゃないんだよ。反応が面白くないから。」
少女達に囲まれた文織は、やれやれと刀に手をかける。
「人形に成り下がった者を見るのは、昔の事を思いだして何だか気分が悪いね。」
襲いくる少女達を斬り払いながら、文織は嫌な事を思い出したと内心、舌打ちする。目の前の少女達が、彼女の過去の記憶に被った。愛しい人の姿が脳裏を焼く。
「ご主人様・・・。」
少女の手には、しわくちゃの紙。その『命令書』を見た少女達がゆらりと、文織の方へ歩いてくる。刹那、超高速でナイフを握り少女が駆けた。
「捨て身の攻撃か。一つの美学としては悪くはないけどさ。死んだら句穏に会えなくなっちゃうからね。私は遠慮させて貰うよ。」
僅かな動きで、少女の攻撃を避ける。文織のユーベルコード、『絶望の福音』は10秒先の未来を視る力だ。少女達の攻撃を【見切り】、一刀で斬り伏せる。彼女達は文織の【残像】を攻撃し続けていた。刀を握る手に力をこめる。刹那―【気合】を入れ、刀が空を切裂いた。その速さは一刀で、【二回攻撃】を可能にする程―抜かれた刀は再び鞘に戻される。
「変えられない事も世の中にはあるけれど、これ以上人形として呼び出されないと良いね。」
的確に人体の急所部分を狙った攻撃。恐らくは何時斬られたかも、彼女達は把握できなかっただろう。
「それでは、少女達。良い夢を―。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
まあ…こんな事だろうとは思ったさ
どうせ帰ることは叶わないんだ。手早く終わらせてやる

【第六感】頼りで囲まれることのないように
適度に飛び、駆けて立ち回る
心亡くして、痛みも恐れも持たないか
兵士としても手駒としても優秀な限りだ
だがな…それは最早、亡者と何も変わるまいよ

届く言葉などありはしない
未来も、可能性も摘まれた者への施しは一つだけ
唯ひたすらに斬るのみ

両の手に構えた銀で【範囲攻撃】
一撃一撃を重く鋭く
囲まれる前にヒット&アウェイを繰り返し
相手にペースを握らせない様に戦う

別れの言葉も紡げずに逝くか
結局…この世界に於ける安寧など夢のまた夢、だな

弔ってやることも出来んが
せめて、元凶は始末しておいてやるさ




 重い鎖を引きずって、ご主人様の命令通りに動き続ける少女達―。そこには、血と、隷属と、死の匂いがした。ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)は、その光景をただ見つめる。
「まあ…こんな事だろうとは思ったさ。どうせ帰ることは叶わないんだ。手早く終わらせてやる。」
この世界において、とても稀有な街だった。どうせ、ヴァンパイア共の遊び場に過ぎないのだ。ノワールが銀色の愛剣を握る。―少女達は既にオブリビオン、帰る場所などない。淡々と自らに言い聞かせる。ならば、やる事は決まっていた。

 群がる少女達を、【第六感】を頼りに避ける。黒衣を翻し、彼女達の攻撃を避け立ち回る。少女達は何れも動くが遅く、ノワールの身軽さについて来れる者などいなかった。フォークを突き立て様と、ノワールに向かってくる彼女達を身軽に飛び、避ける。次いで、一気に駆け―ノワールの動きに少女達は翻弄される。
「ご主人様。ご主人様、の、為に—。」
「ご主人様。ご主人様、の力をお貸しください。」
ふらふらと少女達が動きを止める。嫌な予感がした。少女達の動きが止まる。命より重い『忠誠』という名の『隷属』。その思いは、少女達の戦闘能力が爆発的に増大させた。
「心亡くして、痛みも恐れも持たないか。兵士としても手駒としても優秀な限りだ。」
少女達が瞬発する―ノワールを追いかけ、攻撃を繰り返す。【第六感】の導きでノワールは寸で避け回避する。だが、全てを避けるのは至難、囲まれないように注意を払っていたからこそノワールは少女達の攻撃を巧みに回避した。―ゆらり、と少女達が動きを止める。時間切れ、戦士としての対価は命だ。少女達は電池でも切れた様に、バタバタと倒れていく。それでも、少女達はただ武器であるナイフを握り、ノワールを追いかけ続けた。悲し気に、赤い瞳が細められる。
「だがな…それは最早、亡者と何も変わるまいよ。」
二本一対の剣を構える。
「届く言葉などありはしない。未来も、可能性も摘まれた者への施しは一つだけ、唯ひたすらに斬るのみ。」
魔を祓う銀の剣、両の手に握った銀は―、一撃一撃が重く鋭い。確実に少女達を斬り、斬り裂き、倒していく。黒く長い髪が空を舞う。響く剣戟―同時に、その手の銀が弧を描いた。【範囲攻撃】で少女達を一刀で斬り伏せる。
「ご主人様・・・。」
崩れ逝く少女達、虚ろな瞳でノワールを見るめる。
「ご主人さ、ま。」
握ったナイフが、ガシャリと落ち。最期の一人もまた、崩れ落ちた。
「別れの言葉も紡げずに逝くか。結局…この世界に於ける安寧など夢のまた夢、だな。」
静寂の戻った戦場で、ノワールは自分を見つめたまま倒れる少女を見下ろす。この少女もまた、すぐに崩れ消え逝くのだろう。
「弔ってやることも出来んが、せめて、元凶は始末しておいてやるさ。」
手向けの言葉だった。

 ノワールの言葉が届いたのかは、分からない。ただ、今はもう少女達は動かず、ご主人様の呪縛から解放されている。オブリビオンである以上、それが本当の終わりとは限らない。それでも、今は―静かな深い眠りにつくのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 低く―。手を打つ音が鳴る。地下室で反響する音はゆっくりと近づいてきた。
「やぁ、猟犬諸君。ご機嫌用。私の可愛い少女達はどうだったかね?粗相などしなかったかい?」
優雅に微笑む男は、崩れ落ちた少女達だった残骸を見やる。
「少女達の黒く長い髪、白い身体―。光を宿さぬ暗い瞳。美しかっただろう?」
静まりかえった地下に現れたのはヴァンパイアだった。男は、猟兵を心配するように声をかける。
「なぁに、心配は無用だよ?君達を始末した後にまた幾らでも呼び戻せるからね。」
学校の外が騒がしい―。猟兵達に救われた少女が街の人に見つかったのだろうか。男は耳をぴくぴくと動かし外の状況を把握したようだ。
「―軌道にのった街だが、まぁいい。全部焼いて作りなおせばいい。」
小さく呟き、男は口元を歪めた。先程の優雅さは、全く感じられない笑みだ。
「愚かな人間共など幾らでも集まるのだからな!」

 学校の地下室から通路が伸びている。それは隣に並び立つ病院を抜け、領主の屋敷へとつながっていた。街の住人達を『管理』して、住人が増えれば、増えた分は間引く―。
「旅人を優遇し、街の評判を上げる。噂をききつけた人間達は、どんどん!街へと集まってくる!」
美しい者、美味しそうな者は愛玩用や食用にして、ゆっくり血を絞る。
「僕は、楽園を作りたかったのだよ。」
それは、ヴァンパイアの為の楽園。その為に街を焼き、新たに街を作った。
「人間は愚かだ、だがそこが良い。」
暖かく、幸せの中で育った人間の血は、絶望という落差でもって最高のスパイスを得る。この世界の人間達は、貧弱で絶望を受け入れすぎていて味が単調すぎた。いい加減飽きたのだと、ヴァンパイアは深く溜息をつく。
「勿体ないだろう?やはり美味しい方がいい。絶望に染まり、初めてを我々に捧げ―、血の一滴が無くなるまで奉仕する。我々は大切にするよ?」
実際、良い領主だったのだろう。大切にはしていた。ただし―。人としてではなく『商品』、『食料』としてだ。
「我々に仕え、死した後。いずれ、我らの仲間になれるのだ。これほどの光栄はないだろう。」
猟兵達の脳裏に浮かんだのは、鎖に繋がれた少女達の姿。
「さて、猟犬達。お前たちの始末が先だな」
血の様に紅い翼を広げヴァンパイアは愉し気に嗤った。
雛河・燐
吐き捨てるように。ヴァンパイアが口を挟んでも無視。
クソったれ。クソが。
ああ何時も通りさ。いつもどおり救えなかっただけだよクソが。
何度も何度も何度もやってきてまた救えなかった。
クソが…。

暫しの沈黙の後、顔に笑みを取り戻していつも通りに。

あっはっは。俺的には黒髪長髪も白い肌も好みだけどね?
暗い瞳はまぁ、嫌いじゃないよねー。王子様になりたくなるね?
(けらけら)
うんうん、実際人間の俺も人間って愚かだなーってよく思うよ。
どうしようもなく弱いし、すぐ状況に振り回される。
けれど、だからこそ……
(諦められないんだよ)

ウィザードミサイル【氷】による飽和攻撃。
100を越える氷の矢を地下室で避けられるか?
全力魔法




 拍手をしながら現れたヴァンパイアは、口上する。しかし、そんな言葉など無視する様に雛河・燐(笑って嗤って後悔を・f05039)は吐き捨てていた。
「クソったれ。クソが。」
僅かに俯き、燐が呟く。フードに隠れた表情は見て取れない。
「ああ何時も通りさ。いつもどおり救えなかっただけだよクソが。」
やるせない響きだった。
「度も何度も何度もやってきてまた救えなかった。」
少女達はオブリビオン―。助けられる筈もなかった。それでも、大切な者を失ってきた燐は思わずにはいられない。
「クソが…。」

 暫しの沈黙、燐は黙ったまま、ヴァンパイアの言葉を聞き流す。苛立ちと怒りが熱く胸を焼く―。そして、ゆっくりと冷えていった。
「あっはっは。俺的には黒髪長髪も白い肌も好みだけどね?」
語り続けていたヴァンパイアは、燐の言葉に頷く。
「おや。なかなか、良い趣味をお持ちのようだ。」
同調する返答に気を良くしたヴァンパイアは、再び紳士然とした態度に戻っていた。
「暗い瞳はまぁ、嫌いじゃないよねー。王子様になりたくなるね?」
けらけら、と笑いながら顏をあげた燐は、普段通りの笑顔を張り付けヴァンパイアに向ける。
「愚かな人間達も使い様。あれらはなかなかに良い人形になった。」
燐の笑顔が深みを増した気がした。
「うんうん、実際人間の俺も人間って愚かだなーってよく思うよ。」
目の前のヴァンパイアは、何も見えていない。人々の営みも、苦しみも。残された者の哀しみも―。
「どうしようもなく弱いし、すぐ状況に振り回される。」
オブリビオン故に、そうなのだろうと理解はできる。だが、許せるかといえば否だ。
「けれど、だからこそ……。」
急激に、室内の温度が下がる。
(諦められないんだよ)
声にならない想い。ニヤニヤと笑う燐の周囲には、いくつもの氷の矢が浮いていた。ヴァンパイアを取り囲む様に幾つも出現する。ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』だ。
「100を越える氷の矢を地下室で避けられるか?」
【全力魔法】で放たれた、【氷】による飽和攻撃が一斉にヴァンパイアに向かう。【地形の利用】をした燐の攻撃。
「おのれっ…。」
狭い地下においては飛ぶ事も儘ならないだろう。攻撃は―命中した。幾つもの氷の矢がヴァンパイアに穿たれた。―だが、大きな損傷は見受けられなかった。燐が舌打ちをする。攻撃の戦略において、彼は勝っていた。ただ、圧倒的に相性が悪かったのだ。ヴァンパイアは紅い翼を広げ眷属を呼びだす。シャドウバットだ。
「危ない、危ない―。」
影の蝙蝠を召喚したヴァンパイアは、闇に溶け込ませる。五感を共有する事が可能な眷属を多く放ち、戦場を掌握しようとしていた。
「まだだ。」
燐の攻撃は終わっていなかった。【2回攻撃】―部屋中に放たれた氷の矢は、ヴァンパイアを―影の蝙蝠を狙う。五感を共有するならば、触覚、痛みも共有している筈だ。
「っぐ・・・おのれっ。おのれぇぇぇ。」
燐の【2回攻撃】に不意を突かれたヴァンパイアは、影の蝙蝠を解除せざるを得ない。

 氷の矢がヴァンパイアの顏を切裂いていた―。

成功 🔵​🔵​🔴​

加賀宮・識
いつか大切な人に言われた事がある。分かりあえる同族がきっといる、と。
そんな奴らはいない、と心が…静かに凍る

【POW】

周りの仲間に注意を促す
多分放つ焔は感情に比例してしまう気がする

【ブレイズフレイム】を放ちながら暗月鎖で【鎧砕き】【鎧無視攻撃】

反撃された場合【フェイント】【第六感】【なぎ払い】で対応

お前はこの世界の害毒にしかならない…骨まで残さず消し去ってやろう。




 口が回るヴァンパイアの男を前に、加賀宮・識(焔術師・f10999)は、我知らず呟く。
「いつか大切な人に言われた事がある。分かりあえる同族がきっといる、と。
そんな奴らはいない。」
大切な人を思い出していた識は、しかし哀しい現実を目の当たりにしていた。ゆっくりと静かに、識の心は凍りつく。ダンピールである自身には半分、目の前のヴァンパイアの男と同じ血が流れている。今も、発作的に繰り返す―吸血衝動に似た飢餓が、此れから先も識にその現実を突きつけ続けるのだろう。深い絶望、冷えきった望み―。紫色の綺麗な瞳が翳る。
「やぁ。そちらは同胞ではないかね?」
紅い瞳を細めて、微笑むヴァンパイア。
「最も、猟犬風情に身を落とす出来損ないではあるようだが?なかなか美しい―。もう少し私好みに髪を伸ばせば完璧だ。」
識の口元が微笑む。
「戯言はその位にしてもらおう。」
ゆっくりと白い腕を切り裂く―、その傷口から赤い血が流れ出る筈だった。しかし、それは紅蓮の焔となって溢れ出す。紅く、紅い焔は、識の身体を包み込む程に苛烈に―鮮やかに燃え上がった。

 周りの仲間に注意を促し、識は地獄の炎を纏う。漆黒の刀身を持つ鉄塊剣、暗月鎖が空を裂いた。次いで接敵する。繰り出された一撃は―、ヴァンパイアの【鎧砕き】、破壊する。
「なん、だと!?」
鎧がみしり、と嫌な音を立てて砕けた。飛び退くヴァンパイア―それを、追いかけるように識は駆ける。闇夜に溶けるような暗い刀身は、鎧など物ともしない。このまま、一気に畳み込む。だが、識は嫌な予感を感じていた。彼女の【第六感】が警鐘を鳴らす。―にやりと、ヴァンパイアの口元が嗤った。
『動くな!』
一枚の契約書。―簡単な命令であればあるほど、その威力は高い。ピタリと、識は動きを止める。してやったりと、ヴァンパイアの顏が歪んだ。
「褒めてやろう!小娘がっ。」
識が動きを止めた事で優位に立ったと高笑うヴァンパイア。―だが、それは【フェイント】だ。動かずとも、識の焔はヴァンパイアを捉えていた。湧き上がる焔、―紅蓮の焔が契約書ごと、ヴァンパイアの身体を焼く。
「お前はこの世界の害毒にしかならない…骨まで残さず消し去ってやろう。」
漆黒の髪が紅蓮の焔に照らされる。紫水晶の瞳が、怒りに染まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
【レイ・アイオライト(f12771)】と共に向かう。

過去が今に手を出すんじゃねぇ!
いずれは確かに誰しもが過去になるんだろうさ!
だがそれは今じゃねぇんだよ!支配の時間は終わった!
彼女たちの代わりにてめぇに引導を渡してやんよ!

誓約書?それがどうした!
血で書かれてんだろ?
なら剣を突き刺して【吸血】で内容を白紙に。

内容がない物は破り用がねぇよな?
てめぇに啜られた命の分まで後悔しやがれ!
レイを攻撃してる剣に意識がいかねぇように【存在感】を出し【おびき寄せ】【恐怖を与え】強制的にこっちを意識させる。

意識してなかったら念力の制度落ちるだろう。

そして密着し【生命力吸収】しながら全身に細かい傷を負わせていくぞ。


レイ・アイオライト
アンタがこの『楽園』の支配者……そういうことなら、あたしも手加減なく戦えるわ。
こんなくだらない飼育箱、すぐに蹴飛ばしてぶっ壊してやるわ。

【尾守・夜野(f05352)】と共闘よ。

夜野とダブルアタックを仕掛ける。
【百雷束ネシ陰翳ノ楔】を発動しながら敵の刀剣を影の『オーラ防御・見切り・第六感』で回避、絶え間ない雷撃と影の刃を生成して刀を撃ち落とすわ。
魔刀の『クイックドロウ・鎧無視攻撃』、更に夜野の攻撃で負った『傷口をえぐる』わよ。

「こんな物じゃ生ぬるいわ!あの子たちが受けた苦しみ、しかとその体に刻みなさい!」

『殺気・恐怖を与える』。影の刃と雷撃の波に溺れなさい!




 猟兵の焔に身を焼かれたヴァンパイアが唸り声を上げ、その身の焔を消さんと翼を広げ風を巻き起こす。
「アンタがこの『楽園』の支配者……そういうことなら、あたしも手加減なく戦えるわ。
こんなくだらない飼育箱、すぐに蹴飛ばしてぶっ壊してやるわ。」
レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は銀の髪を揺らし武器を構える。
「猟犬風情がっ!」
嫌悪を露わに眉間に皺を寄せたヴァンパイアが吼えた。
「過去が今に手を出すんじゃねぇ!」
瞬発し―接敵したのは、尾守・夜野(墓守・f05352)だ。骸の海より染み出したオブリビオン。それは、未来へ進む為に世界から、廃棄された『過去』の集合体。過去の化身とも呼べる者。
「いずれは確かに誰しもが過去になるんだろうさ!」
「知った口を!」
強い【存在感】で、ヴァンパイアを【おびき寄せ】ようと夜野は挑発を続ける。
「だがそれは今じゃねぇんだよ!支配の時間は終わった!彼女たちの代わりにてめぇに引導を渡してやんよ!」
夜野の攻撃は浅く、細かく傷をつけていった。オブリビオンとはいえ、その犠牲となった少女達、そして街の人々。夜野もレイも看過できるものではなかった。

 同時に夜野の攻撃はヴァンパイアから【生命力吸収】していく。次いで、レイが踊りでた。夜野の攻撃に合わせ、隙を突く。浅く刻まれた傷口を、深く―抉り、広げていく。レイの特技である【クイックドロウ】で【傷口をえぐる】事は容易。―確実な連携で深手を負わせる二人。ヴァンパイアの体力を削り、奪っていく。痛みにヴァンパイアの顏が苦く歪んだ。
「黙れ!私の支配は永遠に続くのだ!」
取り出したのは契約書―。血で滴るその紙に、書かれたる文字を読み上げようとヴァンパイアは口を開く。だが、夜野は揺るがなかった。
「血で書かれてんだろ?」
不敵に笑んだ夜野は、ざくりと契約書を切り裂く。黒剣が、赤い文字を啜っていた。血液によって書かれた契約書は、白紙の状態にもどされていく。
「内容がない物は破り用がねぇよな?てめぇに啜られた命の分まで後悔しやがれ!」
とっておきの技を封じられたヴァンパイアは苦虫を齧った様な顔で夜野を睨んだ。
「この程度で、勝ったと思わぬことだ!」
ヴァンパイアの周りに幾つもの豪奢な刀剣が浮き上がる―。全て、バラバラに動き出した刀剣。夜野ではなく―、レイを狙って一斉に動き始めた。
「っくはは!ちょこまかと、私は残念ながら黒髪が好みでね!」
標的はレイへと移っていた。幾つもの刃がレイの身体に放たれる。【第六感】が避けきれないと悲鳴をあげた。咄嗟に【オーラ防御】で攻撃を受ける。皮膚を裂く痛み―。赤い血が流れ出る。
「黒髪ではないが―。その下の赤い血はなかなかに、そそるではないか!」
流れ出る血の香りに微笑むヴァンパイアは手を振り上げ、刀剣で再びレイを切裂こうとする。―夜野がレイを庇うように前へ出た。
「てめぇの相手はオレだ。」
鋭い眼光―。繰り出される剣戟が重さを増す。息をつく暇も許さない攻撃。その猛攻にヴァンパイアは恐怖を覚えて後ずさった。レイへ放たれた刀剣の動きが緩む―。

 黒剣を振る夜野の一閃―、ユーベルコード『ブラッド・ガイスト』自身の血を代償に封印を解いた武器で以て、ヴァンパイアを切裂いた。
「こんな物じゃ生ぬるいわ!あの子たちが受けた苦しみ、しかとその体に刻みなさい!」
次いでレイが剣戟する。ユーベルコード『百雷束ネシ陰翳ノ楔』、レイの影が揺らめく。纏うのは黒の鋼糸が絡み合う影。―瞬きの間に移動し、ヴァンパイアの死角より放たれる。黒影の刃は獲物を捕らえ、鋼糸より雷撃波が走った。
『覆い尽くす影に灼かれて消えなさい!』
「っぐ・・・・ぁあぁぁあぁあ!!おのれっ。」
発動にその寿命を対価とする大技。雷撃がヴァンパイアの身体を灼く―。
「影の刃と雷撃の波に溺れなさい!」
ヴァンパイアの身体に走る恐怖―。レイから迸る【殺気】を前に、舌打ちをするとオブリビオンは建物の一部を破壊する。そして―逃亡を図った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叢雲・秋星
「貴様の悪、削ぎ落す…悪斬の太刀として在る刀として。」

「黒瘴抜刀、銀弾装填。…斬り祓う、その悪を。」
妖剣解放で戦闘。赤黒い怨念を纏い、交戦する。敵の剣戟は、黒瘴と錬成カミヤドリで作り出した自身の影打ちの二刀で打ち払う。
相手との直接戦闘になれば作り出した刀は破棄、一本の刀で戦う。
離れれば三日月状の怨念の衝撃波で、近づけば怨念を纏った斬撃で。
斬られれば呪詛に犯される刃、可能な限り得手とする近接戦闘を心掛ける。


九条・文織
【SPD】判定

・心情
まぁ、偽善でも善は善。
知らなかったことは無かったことと同じ。
そう言う意味では良い領主なんだろうけどさ。
でも残念ながら、致命的なまでに人形に対する趣味が悪いよ。
これだけで万死に値するね。
楽園を壊す理由は、私にとってはこれだけで十分かな。

・攻撃
「我が刃は鋭さを増し、疾風の如く汝がその身を切り刻む。」
言霊を付与した『句切』を抜き【先制攻撃】で攻撃
【フェイント】で相手を惑わし、【二回攻撃】で斬りつけて。

・防御
「自分で武器を使おうとしないのは、手を汚したくないからかな?」
残像で幻惑しつつ、『絶望の福音』を使用して敵の攻撃を予測
【第六感】【見切り】を使って完全に回避しようとする。


ノワール・コルネイユ
これが楽園だと?笑わせてくれる
精々、家畜農場がいいところだろうが。この阿呆め

獣相手に話し合ったところで得るものはあるまいよ
お前達とは喰うか喰われるか。いつもそれだけだ

小細工を弄することはない
貴様は真正面から相手して、真正面から切り伏せてやる
【第六感】を働かせて襲い来る飛剣と蝙蝠を警戒しつつ
UCを攻撃回数重視で発動
距離を詰めて二振りの短剣で息もつかせぬ連続攻撃を繰り出し
相手の意識をこちらに逸らすことに注力

攻撃の中に【二回攻撃】、【鎧砕き】も織り交ぜ
一撃でも多く傷を負わせて食い下がってやる

殺したから、殺される…当然の帰結だろう?

お前は、お前が愚かだと断じた人間達に負けるんだ
格好が付かないものだな




 不利と見るや逃げようと踵を返すヴァンパイア。しかし、その行く手を遮る黒い影が一つ。
「貴様の悪、削ぎ落す…悪斬の太刀として在る刀として。」
漆黒の髪から瞳を覗かせて、叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)は敵の退路を塞ぐ。
「黒瘴抜刀、銀弾装填。…斬り祓う、その悪を。」
ゆらりと、赤黒い怨念が秋星を包むように纏わりついた。手に在るは二振りの刀―、彼自身でもある黒瘴と錬成カミヤドリで形を成した秋星の影打ち。
「っち。邪魔だ!!」
剣戟が響いた。無数の【豪奢な刀剣】が複製される。念力で全てばらばらに操作できる刀剣が、一斉に剣先を秋星に向けた。
「串刺しになればよい!」
雨のように降り注ぐ刀剣を避け―黒瘴で打ち斬り伏せ、影打ちで弾き返す―だが、全てを避けるには数が多すぎた。―秋星の皮膚が斬り裂かれる。次いで、鋭い刀剣が幾重にも秋星の身体を切り刻んだ。だが、どれも浅い。痛みに歪むはずの表情は、冷たく静かなままだ。

 秋星は一気に、ヴァンパイアに接敵する。空を凪ぐ様に風が動く―高速移動。使い手の寿命を対価に得た限界を超越した能力が、難なくそれを可能にする。秋星のその手の影打ちが溶けるように消えた。残るのは自身である黒瘴一振り。剣尖が見えなかった。秋星の黒瘴は、呪詛を孕み、その刃は斬ったモノを呪詛で犯す。
「っぐ・・・っカハッ。」
深く黒瘴がヴァンパイアの身体を貫いていた。赤黒い怨念が、呪詛となり傷口から侵食を始めるかの様に見えた。秋星はそのまま、一刀―ヴァンパイアの身体を斬り裂く。傷口を抑えたまま、ヴァンパイアは大きく飛び退いた。
「オブリビオンでも血は紅いか。」
興味の欠片もない声で呟くと、秋星は血振りをして、再び刀を構えた。


 深手を負ったヴァンパイアが、隙を見て逃げようと翼を広げた。ぼたりと血が溢れ出る。
「くそっ。くそっ!こんな筈ではなかったのだ。そうだ…そう!お前ら、この私が死んだら街は、どうなると思う!街の奴らは生き倒れる!分かっているのか!」
錯乱した様に叫ぶヴァンパイアに、呆れ声の女が声をかける。確かに街はヴァンパイア無しでは立ち行かないだろう。何も知らない住人達には楽園に違いない。
「まぁ、偽善でも善は善。知らなかったことは無かったことと同じ。そう言う意味では良い領主なんだろうけどさ。」
刀に手を掛けた彼女は、軽く肩を竦めて見せる。片色違いの瞳、九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)だ。
「そう!そうだろうとも、わた、私は!良い領主なのだよ!」
仮に、上手くこの場から逃げ延びたとして、所詮はヴァンパイアである。再び同じ様な、遊びに興じるのだろう。
「でも残念ながら、致命的なまでに人形に対する趣味が悪いよ。」
淡々とした口調だった。文織は口元だけ微笑ませる―。
「これだけで万死に値するね。」
文織の紅い瞳が少女達だったものを映し込む。砂塵の化したそれはもう形も留めていない。
「楽園を壊す理由は、私にとってはこれだけで十分かな。」
刀を手に、一閃―流れるように言葉を紡ぐ。
「我が刃は鋭さを増し、疾風の如く汝がその身を切り刻む。」
言葉は言霊となって、『句切』にその力を与える。ヴァンパイアが動くよりも早い―【先制攻撃】だ。凛とした、太刀筋―華麗な【フェイント】が織り交ぜられヴァンパイアを翻弄し、惑わせ一刀、次いで【二回攻撃】でヴァンパイアの羽根を切裂いた。
「…貴様ぁぁ!」
片翼を斬り裂かれヴァンパイアが怒声する。現れ出でたのは複製された豪奢な刀剣だ。その剣先は文織へ向き襲い掛かる―、刀剣が文織を串刺しにした。
「自分で武器を使おうとしないのは、手を汚したくないからかな?」
身を翻した文織は無傷だ。刀剣は、文織の残像を串刺していた。次いで、襲い来る刀剣を【見切り】、【第六感】も手伝って次々と襲い来る刀を全て避けていく。通常なら避けきれるとは思えない数の刀剣。10秒先の未来を予測する彼女のユーベルコード、『絶望の福音』が完全回避を可能にしていた。


 「なぜだ・・なぜ、私の作った楽園がっ。くそっ。」
片羽根を斬り裂かれ、満身創痍のヴァンパイアが壁を叩く。
「これが楽園だと?笑わせてくれる。精々、家畜農場がいいところだろうが。この阿呆め。」
一つに束ねた長い黒髪―。ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)の赤い瞳がヴァンパイアを捉える。
「話し合おうじゃないか。猟兵諸君―。この街は、私がいなくなれば荒廃する。」
取り繕うように笑みを浮かべるヴァンパイアにノワールは怯まない。
「獣相手に話し合ったところで得るものはあるまいよ。お前達とは喰うか喰われるか。いつもそれだけだ。」
吸血鬼狩りを生業にするからこそ、奴らの言葉に重みなどない事を知っていた。相手にするだけ無駄なのである。そして―、ノワールを苛む強烈な吸血衝動、自らの皮膚の下にも同じ獣の血が流れている。
「美しい黒髪じゃないか、ああ。こんな出会いですらなければ…しかし、猟犬は滅ぼさねばならないね。」
不敵に微笑んだノワールは、ヴァンパイアの言葉を全て聞き流していた。
「小細工を弄することはない。貴様は真正面から相手して、真正面から切り伏せてやる。」
ノワールは【第六感】を働かせる。だが、襲い来たのは飛剣でも蝙蝠を警戒でもない。ヴァンパイアが取り出したのは1枚の契約書だ。
「動くな!!!」
契約書をノワールに向かい突きつける。簡単な命令ほど破った時のダメージは大きい。だが、ノワールは構わなかった。ズンっと身体に重い痛みが走る。
『捉えた獲物を逃しはしない……!』
取り出したのは銀の短剣。ノワールのユーベルコード『魔を祓う銀の剣』が発動する。繰り出されるのは斬撃による連続攻撃―。息もつかせぬ程に鋭利に、銀色が煌めいた。肉薄したノワールはヴァンパイアの【鎧砕き】、次いで―【二回攻撃】、手を止める事なく短剣はヴァンパイアを切り刻んだ―。
「一撃でも多く傷を負わせて食い下がってやる。殺したから、殺される…当然の帰結だろう?」
逃げ場を失い、そして―避ける体力も残っていないヴァンパイアはそれでも往生際は、悪かった。
「何がいけないというのだね。我々にとって人間は糧だ。貴様らが牛や豚を食べるのと何が違うというのだね!傲慢なのはどちらだ!愚かな人間ども!」
嫌味を吐き、最期の刻―。
「お前は、お前が愚かだと断じた人間達に負けるんだ。格好が付かないものだな。」
銀の刃が、ヴァンパイアの首を貫いた。大きく目を見開いたヴァンパイアはやがて静かになる。そして、少女達の同じように倒れ砂塵と化していった。

 猟兵達によって、ヴァンパイアは倒された。―そして、楽園は終わる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月12日


挿絵イラスト