【スナークゾーン】正義と悪、そして
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「ギャーッハハハ! 消し飛べェ!!」
ヴィラン軍の首魁たるクライング・ジェネシス。耳障りな喊声と共に放たれる馬鹿でかいガトリングガンからの一撃が、異形の群れを薙ぎ払っていく。
「……本当にあれは貴様の差し金ではないのか、クライング・ジェネシス」
俄かには信じがたいという様子で問いかけるのはヒーロー達を率いるジャスティス・ワンだ。その身体めがけて飛来する無数の矢を、全身を鋼鉄の鎧に変貌させて退けた。
「手下にヒーローでもヴィランでもねェ“第三の刺客”を装わせて戦場を混乱させ、その隙に勝利をもぎ取るってか?」
二人の先には、ヒーローでもヴィランでもない異形の存在。山羊頭のケンタウロスのような怪物が溢れかえり、携えた弓をひっきりなしに引き絞っている。その狙いにヒーローやヴィランの区別はなく、ただ生命というもの全てを根絶すべく牙を剥いているかのようだ。
「いかにも嘘とハッタリを好む貴様らしいと思うが?」
「否定はしねェ、こうやって貴様と肩を並べられりゃ不意を突いて殺す勝算も見えてくるってモンだしなァ!! ……だが」
ジャスティス・ワンが再び肉体を変化させ、両手に電磁波のナイフを出現させる。薄闇に刃がきらめいて、二体の異形が首を刎ねられ消滅していった。
「自分の弱さを隠しもせず、強ェ奴らにへりくだって生きてきたのは昔の話だ。油断させてヒーローを殺しまくり、その能力を移植したオレにゃ、もうあの時みたいに卑屈に生きるなんざ耐えられねェってもんだぜ」
「……」
唾棄すべき行為を自慢げにひけらかすクライング・ジェネシスを、ジャスティス・ワンは嫌悪を隠す事もせず睨みつける。ヒヒ、と喉を引きつらせるようにジェネシスは笑った。
「とにかく今のオレならもっと真っ向から、貴様を絶望に叩き落としながら殺してやりたいってなもんだ。それだけの恨みと、なによりそのための力が今のオレにはあるからなァ!!」
胸に移植した砲台が火を噴いた。濛々と硝煙が立ち込める空間を、あかあかと照らしながら。
「真っ向から絶望に叩き落とす、か。あの軍勢を率いているグレイト・スピリットも、似たような事を云っていたな」
「ああ。だからオレはあの悪しき魔術師が嫌いじゃなかったぜ。だがあいつはヒーローに敗れて死んだ。その筈だった」
「しかし蘇った」
「そんな離れ業が出来る奴ァ、少なくともオレの軍勢にはいねェな」
ヴィランを束ねる狡猾なる男の真意を測るように、ジャスティス・ワンは彼を注意深く観察しようとした。だが、すぐに凄まじい落雷に阻まれる。
「ひとまずは奴らを退けるしかないようだな」
「そういうこった。貴様と手を組むなんざオレのプライドが許せねェってモンだが、しゃしゃり出てきたよくわからねェ連中に好き勝手されるなんざますます気に食わねェからな」
剣呑な空気のまま、ヒーローとヴィランは一時休戦し、共通の敵へと立ち向かっていく。
時は1999年7月。ジャスティス・ウォーと呼ばれる世界大戦の時代。
オブリビオンと呼ばれる存在は、まだ地球では確認されていない、筈だった。
●
「オウガ・フォーミュラ『ミストレス・バンダースナッチ』の置き土産……かどうかはわからねェんだけど、ヒーローズアースのいたるところに『スナークゾーン』っていう空間が現れ始めててな」
集まった猟兵達への礼もそこそこに、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は話し始めた。
「スナークゾーンの中は『過去のヒーローズアース全て』を地球丸ごと再現した超広大な空間だ。とんでもねえ規模だが、名うてのスピリットヒーロー達でもその原理はわからねえって話だぜ。で、問題はここから。その中に、オブリビオンが現れ始めたんだ。しかも通常じゃ考えられねえレベルの規模で」
それこそ、猟兵とオブリビオンが真っ向からぶち当たったアースクライシスに匹敵するレベルの事件が起きるのだという。
「今回見つかったスナークゾーンは、ジャスティス・ウォーの時代……今から23年前、ヒーローとヴィランの一大決戦が行われた時代だ。その混乱に乗じて、オブリビオン軍団が進行を開始してる。率いているのはグレイト・スピリットっていう悪の魔術師なんだが、こいつがまたオブリビオン・フォーミュラレベルのとんでもねえ悪事を企ててるっぽいんだよな」
おそらくスナークゾーンという仮想空間だからこそ、そしてそこに適応したオブリビオン達だからこそ、現実世界では考えられないほどの力を発揮できるのだろうとジャスパーは付け足した。
「ヒーローとヴィランの混乱。狼狽。そういった“感情”を吸い上げて、何らかの魔導兵器を作り出そうとしているみたいだ。完成しちまったら多分――そうだな、最悪の場合、世界が丸ごと滅んじまうかもしれねえ」
猟兵達が息をのむ。まあ仮想空間ではあるんだけどさ、と落ち着かせるように云いながらも、ジャスパー自身の表情も険しい。
「そう。ここで起きるのはあくまで現実じゃねえ。でもスナークゾーンの原理がわからねえ以上、そこで起きたことが現実に影響を及ぼさねえとも限らねえ。第一、オブリビオンに苦しめられてる奴らがいる以上、そこで現実だの仮想だってのは野暮な話だろう? なあ、ヒーローさんよ」
転送ゲートを開きながら、ジャスパーは説明を続ける。
「このゲートを潜ったら、直に『スナークゾーン』の内部に到達する。『雷矢のラビラント』っていうオブリビオンが無数に現れてる真っただ中だ。現地のヒーローとヴィランは一時休戦してオブリビオンを迎え撃っている。それに加勢してやって欲しい。特にヒーローのリーダーである『ジャスティス・ワン』とヴィランのボスである『クライング・ジェネシス』は強力な味方になると思うぜ。二人の信頼を勝ち取って共闘すれば、オブリビオンのボスへの道も早く開けるだろうな」
ワンはさておきジェネシスと共闘するなんてな、とジャスパーは頭を掻きながらも、猟兵達を送り届けるのだった。
ion
●お世話になっております。ionです。
オープニングが長いのでざっくりまとめ。
23年ほど前、ヒーローVSヴィランの世界大戦時代を再現した仮想空間に、当時存在していなかった筈のオブリビオンが現れました。放っておけば仮想空間内の地球が丸ごと滅ぼされかねないので、ヒーローやヴィランと一緒にオブリビオンを倒しましょう。
ジャスティス・ワンは「身体をエナジー化させ、様々なものに変身する」力で戦います。
クライング・ジェネシスはこの時代ではオブリビオンではないため骸の海発射装置などの力は持っていませんが、「肉体に移植した様々なユーベルコード」を駆使して戦います。
どちらもプレイングで言及がなくてもそれなりに戦いますが、やってほしいことなどありましたらプレイングに書いて頂ければ取り入れます。それぞれの能力の範囲や個々の性格で矛盾がなさそうなものなら採用できると思います。
第一章は集団戦、第二章はボス戦です。
それぞれ章が始まる前に追加オープニングを投稿予定ですが、エッセンス的なものなので読んで頂かなくてもプレイングを書くのに支障はないと思われます。
プレイングは送れる状態ならいつ送って頂いても大丈夫です。締め切るタイミングだけアナウンス予定です。
第1章 集団戦
『暗黒面『雷矢のラビラント』』
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POW : 暗黒に堕ちる雷雨
レベル×5本の【闇と雷】属性の【心の闇を増幅させ暗黒面を解き放つ矢】を放つ。
SPD : 神と金を屠る者
自身の装備武器に【【神】と【機械】に対して非常に強い特攻】を搭載し、破壊力を増加する。
WIZ : 迷宮を冠する一面
自身からレベルm半径内の無機物を【触れると感電する雷の通路】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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硝煙に覆い尽くされる地上を照らすのは銃火器の閃光と、それからオブリビオンの放つ矢が呼び寄せる雷だった。
雷は時に迷宮を作り出しヒーローやヴィラン達の往く手を阻み、時に心の闇を増幅させる雷雨として彼らを混乱に陥れ、そして時には純然たる破壊力として地上の命へと降り注ぐ。
彼らを束ねる者の姿は、未だ見えない。
「オウ、あいつら数の制限ってものがねェのかよ」
斃しても殺しても無限に湧いてくるラビラント達に、クライング・ジェネシスが不快そうに唸った。
「こやつらをいつまでも相手していては埒があかない。グレイト・スピリットを見つけ出すべきかも知れんな」
ジャスティス・ワンの左目が青緑色の炎のようなエネルギーを纏っていく。
「だが、私達が二人とも欠けるわけにはいかなそうだ」
ワンとジェネシスがこの場に居て、状況はようやく拮抗か、ややヒーロー・ヴィラン軍が優勢といったところ。主戦力が抜ければ、あっという間にオブリビオン軍が優位に立ってしまうだろう。
「オレはそれでも構わねえぜ。ザコがいくら死んだところでオレがあの魔術師と、ついでに貴様を殺せば結果は同じだからな」
「彼らを見過ごすわけにはいかない。往くのならば貴様一人で行け、ジェネシス」
「ヘイヘイ。しっかしこれは口にするのも癪だが、正直なところオレ一人でグレイト・スピリットを倒せるかというとそれも疑問だなァ。あの女、もうオレ達が知っているあいつじゃなさそうだぜ」
「……ふむ」
会話の最中にも轟雷が轟き、ワンの、ジェネシスのユーベルコードがオブリビオン達を昏倒させていく。力を発揮できなくなった異形は消え、その代わりにまた新たな異形が召喚される。
万事休すか。
その時、硝煙に覆われた戦場に、銃火でも雷光でもない光が瞬いた。
「何だ?」
「あれは……」
光の中から現れたるはイェーガー。
ヒーローとヴィラン。その垣根を越えて活躍する人々。この世界の希望の光。
リーベ・ヴァンパイア
(ーー23年前。俺が産まれた年)(伯父に聞いたり、話して貰った事がある。あの頃は大変だったと、よく生き残れたなと。そしてそんな中、お前は産まれた。両親に祝福されて)
当時を生きた人間にとっては忘れたい年かもしれないが、俺にとってはーー大事な年だ
(ゆえに仮想空間といえど)
ーーオブリビオンの好きにさせる訳にはいかん
作戦
戦場に到着したら、まずはガン&ブレードのガンモードを空に向けて撃つ。目的は【陽動】だ。俺が敵を受け持つ間、彼等二人には少し休んで回復して貰う
クロスロッドで【攻夫】・棒術を使い敵と立ち回りながら、相手が技を仕掛けるタイミングで【戦闘知識+カウンター+早業】で相手よりも速く技を繰り出すー!
●
――戦乱の真っただ中。リーベ・ヴァンパイア(Notwendigkeit・f37208)という名の吸血鬼は生まれた。
ヒーローである叔父はよく話してくれたものだ。あの頃は大変だったと、よく生き残れたなと。そんなさなか、純粋な吸血鬼の血統を象徴するかのような赤い眸の子供が生まれた。両親に、家族に祝福され、戦乱を生き延びた子供は、周囲にも恵まれ幸せに暮らしていた――あの日までは。
「当時を生きた人間にとっては忘れたい年かもしれないが、俺にとっては――大事な年だ」
薄闇を裂くような一筋の光から、一人のヒーローが召喚される。後の世でwendigkeitとして知られる事になる彼の姿は、1999年現在の誰もがまだ知らない。
左手の手袋がリーベの血を硬化させ、銃を形成する。空に向かって放たれた轟音と閃光に、ラビラント達の視線が集中する。
(「ここが仮想空間であったとしても」)
「オブリビオンの好きにさせる訳にはいかん」
バイザー越しの瞳が鋭く彼らをねめつける。ラビラント達がぎりぎりと弓を引き絞った。矢の先端に蓄積された雷光が一斉に降り注ぐ。
マントを翻し、リーベは矢の雨を掻い潜っていく。ワンとジェネシスの前を通りかかる時、ちらと視線を寄越して頷いた。
「まァた妙なのが来やがったな」
「どうやら敵ではなさそうだ。だが……まさか彼は、一人であの大軍を請け負うつもりか」
「ギャハハ、マジかよ。とんだ無鉄砲野郎だぜ」
ワンは息を呑み、ジェネシスは嘲笑する。構わず駆けるリーベの手からはいつの間にか血の銃が消えていて、代わりにクロスレンチにも似た杖が握られていた。
(「相手は弓に特化している。ならば」)
雷の猛襲を恐れる事無く、リーベは敵の懐に飛び込み棒術の要領でラビラントを殴打する。返すように振るわれたロッドが別のラビラントの矢を弾き、地面に突き刺さった矢が広範囲に落雷を降り注がせて群れを痺れさせた。
集団での遠距離攻撃は厄介だが、それしか能がないのならば距離という優位性を封じてしまえばいい。相手の得意なレンジで戦い続ける程、Notwendigkeitの立ち回りは甘くはない。
「……無鉄砲というわけではなさそうだぞ、ジェネシス」
「やるじゃねェの。あの力、どうにかして奪えねェかな」
ワンの刺すような視線に、冗談だぜ、とジェネシスは肩を竦める。
「彼が敵を引きつけてくれるのなら、我々は首魁を探しに向かおう」
「ヘイヘイ」
二人の会話はリーベの耳には届いていなかったが、敵がますますリーベに狙いを定めてくることからも事が思惑通りに運んでいるのが察せられた。
より熾烈に降り注ぐ矢の雨の中を、雷よりも早くリーベは駆ける。
この程度で、歩みを止めるリーベではない。
両親を失った後、サイドキックとして七年、そして一人前のヒーローとなって五年以上、戦い続けてきたのだから。
何故か。その素質が彼の中にあったからか。
(「違う」)
必要だから、戦うんだ。
戦禍に、悲劇に、巻き込まれて命を失う人々を、自分の様に置いて逝かれる者を、ひとりでも減らすために。
大成功
🔵🔵🔵
シュワルベ・ポストボーテ
ハイ! お呼びでなくても飛び出てずんばらりん、なのですよっ!
そこの眼が燃えてる人とイチゴ頭の人、お困りですかねっ?
どっちが多く倒せるか競争してるですか?
なら、助太刀しますですよっ!
ばばーんと!
何もかもさかさまあからさまのオッペケペー、になる力を
ガッとやってどーんなのです!
ワタシの半径ン十m内、地面の石からヤギさんのマスクまで
地から天へ『まさかさっま』、なのですっ!
わきあがるなんかすごいパワーも、
地面の底に神様のいる時代なら
フルパゥワー☆でお届けできるのですっ!
あ、ワタシはレーザー銃でぱしゅぱしゅするくらいなのでねっ。
せめてヒーローらしくかけ声と行きましょうっ!
さあさ皆さん、やーってオシマイ!
●
グレイト・スピリットを探すジャスティス・ワンとクライングジェネシスの往く手を阻むように、新たなラビラント達が出現する。
「ギャハハ、キリがねェな」
「なるべく消耗は避けたいところだが……」
胸部に砲台を出現させるジェネシスと、両手を刃物に変形させるワン。
ラビラントは無機質な目で二人を見据え矢を番える。――と。
「ハイ! お呼びでなくても飛び出てずんばらりん、なのですよっ!」
場違いなほどに明るい声が戦場に響いた。横目で声のした方を追うワンとジェネシスが捉えたのは一羽のツバメだった。白と紺の体毛に、喉から顔にかけてだけが赤さび色。郵便局員風のユニフォームを纏い、大きなカバンを携えた彼はシュワルベ・ポストボーテ(愉快な仲間のソーシャルディーヴァ・f30877)。くるりと旋回して二人の前に止まり、鳥らしい良く通る声で問いかける。
「そこの眼が燃えてる人とイチゴ頭の人、お困りですかねっ? どっちが多く倒せるか競争してるですか?」
「それも悪くはないが、さっさと頭を叩きに行きたいところだな」
「オイオイオイ、誰がイチゴ頭だって?」
ワンのエネルギーが迸る左目と、シュワルベを順に見遣りながらジェネシスが吐き捨てた。
「随分ファンシーな呼び方しやがって。焼き鳥にしてやろうか」
「ピ! ワタシは美味しく無いですよ!?」
ひゅ、と飛来した矢を、刃のように変形したワンの手が弾き飛ばした。次の矢を番える暇もなくもう一方の腕に切り刻まれてラビラントは絶命する。
「仲間割れをしている暇はないぞ、ジェネシス」
「仲間ァ? この小鳥に何ができるってんだ」
「お任せください! こう見えてワタシ、ちょっとだけ不思議な力が使えるのです!」
誇らしげに翼で胸毛を叩くシュワルベ。
「不思議な力ァ?」
「はい。それはもうばばーんと! 何もかもさかさまあからさまのオッペケペー、になる力を、ガッとやってどーんなのです!」
ジェネシスが訝しげに次の言葉を紡ぐよりも、シュワルベが「ガッとやる」方が早かった。羽搏きと共に発生した強力な磁場が、ラビラントもワンもジェネシスも、それからそこいらに転がっていた色々なものも、天へと巻き上げていくではないか!
「うぉッ、なんだこれ!?」
「重力が……!?」
「ワタシの半径ン十m内、地面の石からヤギさんのマスクまで、地から天へ『まさかさっま』、なのですっ!」
ラビラント達は何が起きたのか分からず戸惑い、もがいては互いにぶつかり合って勝手に自滅している。重力反転の場を自由に飛び回りレーザー銃をぱしゅぱしゅするシュワルベに倣い、ワンも自らのエネルギーを翼のように変形させて戦場を駆ける。
「あっ、ずりィ」
ジェネシスもまた、体内に移植した空を飛ぶヒーローの力を駆使して戦場を自由に飛び回り敵を駆っていく。ただラビラントだけがこの場に適応する力を持たず、頼りなく宙を彷徨うばかりだ。
天地のひっくり返った世界では、地脈の力さえも『まさかさっま』。地の底に本当に神様がいる世界と時代、癒しを齎す地脈の力は普段の非ではないほどに強力だ。
「さあさ皆さん、やーってオシマイ!」
「小鳥に云われなくてもなァ!」
「任された! 一気に畳みかけるぞ!」
ジェネシスの砲撃が、ワンの刃が、ラビラント達をあっという間に葬っていった。
大成功
🔵🔵🔵
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから8年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!
あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ
商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします
陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「詳しい事情は分かりませんが、過ぎたおイタはいけませんわ」
お花のアップリケで飾り立てたブギーモンスターの布。愛くるしい見た目から紡がれる清楚なお嬢様言葉。
「ほな、参りましょか」
……ん? なんかちょっと違うような?
「勉強中なのですわ。堪忍してくださいな」
ともあれ納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)は今日も布を被り、ピンクのリボンをきゅっと結んだ「勇者の剣」を携えて、悪い子ちゃんたちをちょっぴりお仕置きに来たのである。
「要するに、あいつら全部まとめてぶっ飛ばせばいいんだろ?」
少女のような見た目にそぐわぬぶっきらぼうな口調で陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は吐き捨て、一振りの退魔刀を振り抜いた。
「なら遠慮はしねえぜ、そこを退きな!!」
先手必勝。ラビラントが矢を番える隙さえも与えず、山羊の身体に赤き筋を刻み込む。そこから血が流れ出るよりも早く、ぼっと炎が巻きあがった。瞬く間にラビラントを包み込み激しく燃え上がる。火車である柳火が最も得意とする、炎を用いた戦術だ。
ラビラント達がギィギィと喚き立て、柳火目掛けて矢を放つ。闇と雷の間を掻い潜りながら、柳火は退魔刀『マタタビ丸』の力を解放し斬りかかっていった。
「あなた達がジャスティス・ワンさんと、クライングジェネシスさんですの?」
強面二人にも物怖じする事無く、ピンチンはヒーローとヴィランのトップ二人に話しかける。
「まァな」
「ああ、そうだ。しかし今日は妙な事ばかり起きるな。未知の脅威が降りかかってきたと思えば、君達のようなとんでもない実力者達が助太刀に来てくれて」
「やっぱ、こいつらはテメェが率いてるヒーロー共でもないんだな?」
ジェネシスの言葉にワンは頷く。
「彼らほどの実力者がこちらの陣営にいたのなら、この大戦ももっと早く締結出来ていた事だろう」
「ハッ! 云うじゃねェか」
ぎりぎりと睨みつけてくるジェネシスの視線も意に介さず、ワンはピンチンと目線を合わせるように膝を折りながら問うた。
「君達は何者なんだ? ヒーローのように見える人もいるが、全員がそうとも云いきれないようだ」
「アタシ達は猟兵<イェーガー>。世界を越えて色々してる……まあ、便利屋みたいなものですわ」
「イェーガー?」
「便利屋?」
目をぱちくりさせる二人に、ピンチンはころころと笑い声をあげる。それから二人にはいっと何かを差し出した。
「これは」
「キャンディ?」
「いがみ合っているお二人が手を組んで強敵に立ち向かっていると聞いたからには、アタシも手を貸さずにはいられないのですわ」
仲良くね、とピンチンは布に描かれた青い目を片方、手で覆い隠してみせた。ウインクのつもりだろうか。
「ほな、アタシもちょっとばかし腕を振るいますわ~」
群れへ向かっていくピンチンに、二人はぽかんと口を開けたままだった。
「……世界を、超えて? 確かに彼らはまるで召喚されるかのように、いきなり現れていたが」
「外に世界があるってか。オレがぶっ潰さなきゃならねェもんが増えたじゃねェか」
まだイェーガーを知らぬ時代の二人は考え込む。
1999年。
八歳を名乗る『ピンチン』はまだ生まれていなかった頃か、あるいは――知恵の布を被る前、だったか。
●
妖力の過負荷に耐えきれなかった名刀が、ぼきりと根元から折れた。
「ありがとな、マタタビ丸」
何体ものラビラントを斬った武器に礼を云いながら、柳火は全く同じデザインの刀を抜いた。マタタビ丸は、修学旅行先のお土産屋の木刀並みに量産されている『名刀』なのである。
しかし量産品である事が質の悪さとは直結しない。ましてや数々の戦場に身を置き続けてきた柳火の手に掛かればなおさらだ。それに限界を超えるほどの妖力ですら数分間は耐えきれる性能は、名刀の名が決して大袈裟ではない事を雄弁に語っている。
「消し飛べェっ!!」
敵の数に臆する事無く、柳火は正面から斬り込んで叩き伏せる。マタタビ丸に力を乗せすぎて疲労に襲われれば、軽快な音楽でおなじみの猫用携帯食で英気を養った。大好きなかつお味なら、魔力もやる気も一気にフルチャージだ。
振る舞いは乱暴そのものだが、柳火の金の瞳はこの空間を脅かす悪たちへの怒りでぎらぎらと燃えている。
低い背に愛くるしい顔立ち、それを際立たせる猫耳や尻尾。見た目から舐められる事の多かった彼女は粗暴に振る舞いがちだが、故郷のカクリヨファンタズムでは自警団めいた事をしている正義漢だ。仮想空間だろうと何だろうと、『気に入らねえ奴』は全部ぶっ飛ばす。その信念のままに、彼女はスナークゾーンへと飛び込んできたのだ。
「お姉さん、とってもお強いですわ~。ほな、アタシもちょっと失礼して」
ピンチンが勇者の剣を振り上げた。戦火を受けて刃がきらめき、それがまっすぐラビラントへ振り下ろされ山羊の身体を切断する――と思いきや、くるりと向きを変えて刃のない部分が山羊の頭をばかんと叩いた。
「ギィェエエエエッ」
「安心してくださいな、ミネウチですわ」
情けない悲鳴を上げ、弓を棄てて頭を抱え込むラビラント。一瞬で絶命させられるよりも手痛い『お仕置き』になったようだ。
徒党を組んで向かって来るものに対しては、ピンチンが点線を刻み込む。そこいらにいた虫やら小動物やらが何故か無数にくすぐりにくる恐ろしい術中に嵌ったラビラント達が動きを止めれば、柳火の刃が彼らを仕留めていく。動物たちを巻き込まないように炎を纏わせず純粋な刃の力だけで戦う配慮も欠かさなかった。
二人の活躍もあって、ラビラント達は更に数を減らす事となる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雛里・かすみ(サポート)
バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能
接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります
その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用
猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。
魚目・めだか(サポート)
「戦場の矢面から些細な支援行動まで、めだかになんでもござれだぞ!」
普段の口調は「自分の名前(めだか)、~殿、だ、だな、だろう、なのか?」、適宜敬語も使用可です。
外見は少女ですが、判断基準や倫理観などは若い成人男性相当で、落ち着いた風を装った言動を心掛けていますが、精神が肉体に引っ張られて快活になりがちです。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
その他、連携・アドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか
太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ
正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな
それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ
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首魁たるグレイト・スピリットを討ち取りに行きたいのは山々だが、実力者であるジャスティス・ワンとクライング・ジェネシスが無数のラビラントを放置して索敵に集中してしまうと、戦場にいる他のヒーローやヴィランを危機に曝す事になる。
「だがこのままじゃジリ貧だぜ、多少手下を見棄てようがあの女魔導士を狩りに行くべきじゃねえか?」
「手下ではない。仲間だ」
眉を吊り上がらせるワンにジェネシスはへいへいと気のない素振りだ。実際、クライング・ジェネシスにとっては配下のヴィランなど捨て駒同然なのだろう。だが当然ヒーローたるジャスティス・ワンはそれを許す事などできない。本来は敵とはいえ手を組んだ以上、ヴィランの命も同様である。
「お仲間ごっこは好きにすりゃいいが、あんま時間をかけてグレイト・スピリットが超兵器とやらを作り上げちまったらどうする気だ? 雑魚どもの命なんか比べ物にならねえくらいの死者が出るぜ」
吐き捨てるような云い方に、ワンはおやと片眉を上げた。
「……貴様の狙いも似たようなものだと思っていたが、随分不快そうだな、ジェネシス」
「ったりめェだ。この腐り切った世界を滅ぼすのはオレの役目なんだよ。あんなクソに奪われてたまるか」
言葉の応酬のさなかにあっても、二人はそれぞれの獲物でラビラント達を屠っていく。
その手腕は極めて鮮やかだが、ラビラントの増殖スピードも目を見張るほどだ。オブリビオンという概念のない時代の二人にとって、無限に湧き出すエネミーというのは馴染みが無く、不気味な存在であった。
一進一退の攻防が長く続いた。
状況を一変させたのは、二人と敵襲の間に流星の如く割り入った宇宙バイクだった。
「どうやらお困りのようっすね~?」
搭乗者である青年――白い狐のお面を頭にくくりつけた軽薄そうな人物が二人に向かって手を挙げてみせる。
実際はその青年は依り代にすぎず、彼のつけた狐面の方がリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)という名の猟兵であるのだが。
「ウェーイ、チャラにちわ~っすよ。事情はグリモア猟兵から聞いたっす。こっちの味方が美女じゃなくてムサいおっさん二人なのはちょーっとばかり残念っすが、来たからにはヒーローとしてちゃーんと仕事するっすよ」
いかにもチャラそうな様子にワンは戸惑い、遠慮のないジェネシスなどは「大丈夫かよアイツ?」などとはっきり口に出してぼやいていたが、ひとたびリカルドが力を振るえばそれが過ちだったと気づかされる。
狐面が分身を作り出し、それをヒーローやヴィランの元へ飛ばしていく。受け入れて装着した者達はまるで『猟兵のように』凄まじい力を発揮し、今までとは比較にならない破壊力と正確さでラビラントを倒し始めたではないか!
――仮面憑きの舞闘会。装着者の身体を借りるヒーローマスクらしい能力だ。
「万全とはいえないっすけど、そこは自分がカバーするっす! 誰も死なせないから安心してくださいっすよ!」
代償がリカルド自身を蝕んでいる事はおくびにも出さず、彼自身も鎖鎌や鎖分銅で戦い始める。
リカルドの決心を察し、こくりとワンが頷いた。
「ここは彼に、そして我々の仲間に任せよう。必ずや本懐を遂げる」
「ああ。これでようやくまだるっこしい事態から抜けられそうだぜ」
●
グレイト・スピリットを探す二人の元に、新たなラビラントが出現する。
「前言撤回。まーた面倒な事になったぜ」
「なに、ここまで来たら問題ないだろう。全て吹き飛ばしてしまえばいい」
「……?」
傍らから聞こえてきた声にジェネシスが首を捻った。
「おいワン、随分物騒な事を云うようになったな。それに、何だその女みてえな声は」
「私は何もしゃべっていないぞ?」
「ん?」
共に疑問符を頭に浮かべながら、二人は視線を落とす。
いつの間にか、ジェネシスとワンの間に一人の幼い少女が居た。
「なんだ、めだかが手を貸すと云っているのだぞ。文句があるか?」
空を切り取ったかのような鮮やかなブルーの瞳、同じいろの艶めく長髪。
声の主である魚目・めだか(偽典の巫女・f36514)は大きく胸を張り二人を見上げるのだった。
「……エラソーなガキだなァ」
「失礼な。こう見えて、めだかは元々は大人の男性なのだぞ」
めだかはそう断言するが、どう見ても十歳にすら満たない子供である。ワンは目をぱちくりさせ、ジェネシスに至っては元々信じてもいない様子で「そりゃー失礼」と適当な相槌を打っていた。
「信じて貰えないのも無理はない。めだか自身記憶を失ってしまっているのだから」
云いながらも、めだかは得物を構える。
七歳の少女には持ち上げるだけでも重労働ないかつい重火器を、衝撃も反動も厭わず、一切の遠慮さえもなく、辺り一面に乱射した。
ジェネシスやワンといった名の知れた力量者ではない、幼い少女からのとんでもない攻撃にラビラントは狼狽え、大きく陣形を崩す。
「未だ、二人とも! ……ううん、二人とも大きすぎて目線を合わせるだけで首が痛くなるな」
めだかのぼやきは、続いて放たれたワンとジェネシスの銃撃によって掻き消された。
●
「水心子真峰、推参――さて、真剣勝負といこうか」
数多の戦場を駆け抜けてきた実戦刀は、研がれ続け針のように細くなり、もう抜かれる事はない。
佩いた本体を象徴するかのような宝石めいたきらめきの瞳や髪したヤドリガミ、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は、代わりに無数の“自分自身”を出現させる。
美しい刀だ。鞘に括られた飾り玉以外は目立った装飾の無い実直な刀だが、丹念に磨き上げられた刃は薄闇の中でも静謐な光を称えている。
百二十を優に超えるそれらが真峰の意のままに宙を舞い、オブリビオン達へと降り注いだ。
「ラビラント――といったかな、彼らは」
細い太刀が屠っていく者の名を、一文字一文字注意深く呟いた。敵襲が雷を呼び寄せれば、刀の何振りかを空高く舞い上がらせ、避雷針と成して自らと仲間達を護る。
真峰が指揮を振る刀舞の中を、本来手を組むはずの無かったヒーローとヴィランが背中合わせに立ち、それぞれの銃器からの乱射をオブリビオンへと浴びせかけている。その様子を澄んだ目でとらえながら、真峰はひとりごちた。
「ジャスティス・ワンに、クライング・ジェネシスか……どうもこの世界の人々は、舌を噛みそうな名前が多いな」
刀のヤドリガミらしい古風で生真面目な真峰だ。名を間違えては失礼だからと人名の抑揚には最大限の気を払うが、本来横文字は苦手なのである。
「スイシンシ・マミネの方がよっぽど舌噛みそうだぜ。ファミリーネームが早口言葉みたいじゃねえか」
「ふぁみりー、ねーむ……?」
途端に発音がたどたどしくなる真峰だった。
揶揄うジェネシスの背後から首を狙い雷矢を番うラビラントを、逆に真峰の操る太刀が背後から斬り伏せた。
「助かるぜ、舌噛みそうな嬢ちゃん」
「呼びづらければ真峰でいいぞ、それに私は少女では――」
嬢ちゃんと呼ばれた事に少しばかり反論しようとした真峰の言葉は、次々に矢を放つラビラント達に阻まれてしまったのだった。
ワンの、ジェネシスの銃撃が矢を破壊し、諦めたように嘆息を零す真峰の刃がオブリビオンを貫いていった。
●
「ふんふん、仮想世界? それに本来は敵だったはずのヴィランとヒーローの共闘? なんだかおもしろい事になっているみたいね!」
様々な事に興味津々なヴァーチャルキャラクター、雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)は、此度も興味の赴くままに戦場へと降り立った。
「あ、まだ名乗っていなかったわね。私は雛里・かすみ。そちらのお名前は伺ったわ。ワンさんにジェネシスさん、ちょっとだけ助太刀させてね!」
出逢ったばかりでもすぐに打ち解けるフレンドリーさは今日も健在。バーチャルキャラクターである彼女が創られる過程でそのように設計されたのか、あるいは彼女自身の才や努力によるものか。人を惹きつける不思議な笑みを惜しみなく二人に向ける。
そして、そんな彼女がひとたび振り返ってオブリビオンを見据えれば、その表情は一流の戦巫女らしく凛然として。
『私の魂よ、覚醒せよ。そして底に秘めた多大な力を放出せよ!』
纏うのは目も眩むほどの目映い後光。彼女が正義を信じ、それを貫くと決めた時、不屈の魂は彼女に多大なる加護を齎す。
たっぷりと布を用いた美しい真紅の袖をはためかせ、魂を輝かせながらかすみは空を翔ける。いかにラビラント達が雷を轟かせたとして、音速を遥かに凌ぐ速度で自在に飛ぶかすみを捉える事などできるものか。
「本当にイェーガーというのは、規格外な強さの者達ばかりだな」
ヒーローのリーダーであるワンすらも、狙撃の合間に彼女の快進撃を見上げては舌を巻いていた。
「あいつらが大体ヒーロー側ってのはやってられねェな、オレももっと力を吸収して強くなる必要がありそうだぜ」
「……貴様という奴は。状況が状況じゃなかったらこの場で仕留めていたところだぞ」
「おーこわ」
正史のクライング・ジェネシスはこの後、力を吸収し過ぎた副作用であっけなくこの世を去り、オブリビオンとなって蘇る事になるのだが、この場でイェーガー以外にそれを知る者は存在しない。
「喧嘩はあとあと! 今はとにかくこの場を切り抜ける事を考えましょ!」
「ギャハハ、貴様よりあの女の方が賢そうだぜ、ワン!」
ワンはジェネシスをひと睨みしただけで、すぐにラビラントを銃で迎え撃つ事に注力した。
イェーガー達の快進撃によって、状況は徐々にこちらの優勢に傾いている。
このままラビラントを迎え撃って行くうちに、首魁グレイト・スピリットへの道も開ける事だろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。
その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
久遠寺・遥翔(サポート)
UCでフレアライザーや派生形態に変身するか
イグニシオンに【騎乗】して戦う
死角を突いたりといった戦法に躊躇はない
戦いでは取れる手を全力でとる
ただ人質を取ったりなんて義にもとる真似はしないけどな
救助対象がいる場合それ優先で動くぜ
変身・騎乗どちらの場合でも基本的に【空中戦】を仕掛ける
飛行系UCの速度やワイヤーを使った【地形の利用】【ダッシュ】による高速機動戦闘だ
相手の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】や【各種耐性】で受け流しながら【カウンター】の
【生命力吸収】する黒焔で対象を【焼却】する【2回攻撃】【範囲攻撃】を叩き込む戦術になる
●
闇と雷を纏う矢が、驟雨の如く降り注ぐ。
人々の心の闇を増幅させるのだという雷雨の中を黒と赤、ふたつの色彩が駆け巡っていた。
赤はメイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)。緋色の髪をふたつに結った少女だ。全身を覆う紅き飛竜のオーラが、竜騎士たる彼女に力を与える。
「竜よ、私に力を貸してください。この悪夢を、一緒に打ち砕きましょう!」
竜は、幼い頃から彼女と共に在った相棒だ。オーラが形成する双翼と共に彼女は空を翔け、矢の嵐の中を掻い潜る。
そして黒は久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)。
「久遠寺遥翔、またの名を焔黒騎士フレアライザー……いざ、推して参るッ!!」
灰色の髪のごく普通の青年といった面影はそこにはなく、黒剣と融合した焔黒騎士フレアライザーとしての姿で戦場を駆け巡る。
「助太刀は有難ェけどよ」
砲撃でラビラントの群れを一掃しながら、ジェネシスが疑問を口にした。
「あのイェーガーとかいう連中、一体どこからやって来やがるんだ?」
「わからない……まさか本当に、ここではない次元から訪れたとでもいうのだろうか」
レーザー銃で敵を迎え撃ちながらワンも首を捻る。
「俄かには信じがたいが、そう考えた方がつじつまが合う」
「ここが仮想空間だのってのも云ってたな。考えてみりゃ、いくら窮地だからってオレと貴様が手を組むなんてのも変な話だぜ」
「……」
ワンは押し黙るが、そのまま思考の海に身を浸す事を許す程、ラビラント達は甘くはなかった。雷の矢が空を翔ける二人だけではなく、ワンとジェネシスにまで襲い掛かってきたのだ。
「考え事は後だな。彼らが手を貸してくれているうちに状況を打破するぞ、クライング・ジェネシス」
「ハッ! オレに命令するんじゃねェよ、ジャスティス・ワン!」
●
黒焔騎士を仕留めようと、薄闇を劈くように雷の矢が放たれる。
それは確かに騎士が飛翔する軌道に飛び込んだ、筈だった。
だが騎士の方が突然、慣性を無視したかのようなめちゃくちゃな角度で軌道を変えた。
破壊された建物の骨組みを利用してのワイヤーアクション。縦横無尽で予測不能な動きに翻弄されたラビラントは、瞬く間に黒焔の餌食となった。
「あの矢に打たれると、負傷だけではなく心の闇も増幅されてしまうようです」
ドラゴンランスを握りしめ、相棒たる竜にメイリンは語りかける。
「負の感情。心の闇。それこそが『グレイト・スピリット』の目的かもしれないという事でした」
「という事は、あの矢に当たるのは可能な限り避けた方がいいというわけだな」
ラビラントを黒き焔で焼却しながら、遥翔がメイリンへと声をかけた。
「えっ! えっと……は、はい! そういう事だと、思い、マスっ!」
急に話しかけられた事にあたふたして声を上擦らせるメイリン。ドラゴンランスに話しかけていた時とはあまりに違う様子に、遥翔は首を傾げた。
「悪い、なんか失礼なコト云ったか? ……ああ、ひょっとしてこの姿が怖かったかな」
無理もないか、と遥翔は肩をすくめる。オブリビオンの骸魂を宿した黒剣の力で変身した姿だ。遥翔の本質が正義の味方だろうと、禍々しさというものとはどうにも無縁ではいられない。
「えっと、あの……違います、ちょっと……人と話すのに、慣れてなく、て」
癖のようにドラゴンランスを握る手に力がこもる。幼い頃から心を通わせてきた竜とは落ち着いて話せるが、見知らぬ人相手には少しばかり緊張してしまうようだ。たどたどしく話す彼女の言葉に嘘が無いことを遥翔は感じ取った。
「それだけか。なら良かった」
「こちらこそ、嫌な思い、させてしまってたら……ごめんなさい」
あがり癖のせいで誤解を与えてしまう事態は防げたようで、メイリンはほっと胸をなでおろす。
しかし人と話す時はやや頼りない印象を与えてしまいがちなメイリンも、ひとたび竜槍を携えれば勇猛たる竜騎士である。
飛来した矢をドラゴンランスを回転させて弾き、飛竜のオーラを纏った一撃で確実に仕留めていく。
「いい調子だ、このまま突き進むぞ!」
「は、はい!」
黒と赤のツートンカラーの中に、ジェネシスやワンが放つ銃撃が混ざる。
ラビラントの群れを葬り去り、その奥に控えるものへの道が開ける時も近い。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ファファ・メーリィ
ふ〜ん、本来敵対するもの同士の共闘、なかなかアツいシチュエーションなんじゃないカシラ
それに割とイイ連携してるんじゃないノ?
ま、本人達はだいぶ不本意そうだけどー
ワタシ? ああ、人手が要りそうなら手伝うわヨ
観戦だけじゃ刺激が足りないモノ
愛用のメイクボックスからひらりと布を引っ張り出したら、
今日はこの世界に合わせてヒーロー系の衣装に
ライダースーツみたいなぴったりめ衣装にヒール、マントと、
原色に負けない鮮やかメイク
周辺が雷を纏おうと触れなければイイのよネ
ふわり浮かんでラビラントに突撃
Boooooom!!的な擬音エフェクト付きで
スナップ効かせたカートの角で殴る
このメイクボックスめっちゃ頑丈にできてるのヨ
●
硝煙と閃光のさなかであっても、こつこつと小気味よい靴音ははっきりと響いた。
金継ぎで繋ぎ合わせた羊角。同じように継ぎ接ぎだらけの身体。
けれどそれよりも、女性が纏う奇抜な服装こそが彼女の印象を決定づけている。
「ふ〜ん、本来敵対するもの同士の共闘、なかなかアツいシチュエーションなんじゃないカシラ」
よく通る声に、ジェネシス・ワンもクライング・ジェネシスも振り返る。
「それに割とイイ連携してるんじゃないノ? ま、本人達はだいぶ不本意そうだけどー」
「そういう君は誰だ?」
接近してきたラビラントを一匹仕留めながら、ワンが問うた。
「ワタシ? 名乗るほどの者じゃないけれど……ああ、人手が要りそうなら手伝うわヨ」
――観戦だけじゃ刺激が足りないモノ、ね。
愛用のメイクボックスからひらりと布を引っ張り出すと、元から特徴的だった彼女のファッションはますますオンリーワンのものへとトランスフォームする。
ライダースーツを思わせる身体に密着する衣装と、彼女の脚線美を強調する高いヒール。暗闇にも映える鮮やかなマントと、それに負けないくらい華やかなメイク。
衣装は、メイクは、人のあり方そのものだ。どう生きてきたか(あるいはどう死んだか)すらも反映される。逆にいえば、「こうありたい」と願う姿をなぞれば、その外見に自分自身が引っ張られる、ものだ。
かつて病床から出られなかった少女が、光と羨望を一身に浴びてランウェイを歩むモデルに憧れたように。そして彼女よりも先に旅立ってしまった人たちに、優しく紅を灯した日のように。
今は鼓動と引き換えに力を得た女性は、まだ存在しないインスピレーションを解き放つたびに思い通りの姿や道を切り拓く力を得る。まだ名前すらもないヒーローがマントをはためかせ悠然と空を飛んだ。
「気をつけなヒーロー、あいつら迷路に閉じ込めるだなんてオレ以上に卑怯な真似をしてくるぜ!」
茶化すようなジェネシスの声に、女性はわかったワと頷く。
「周辺が雷を纏おうと触れなければイイのよネ」
ならば話は早い。目にも止まらぬほどの飛翔能力を巧みに操り、雷の壁を避けながらラビラント達に接近した彼女は、手にしたものを振りかぶる。
――Boooooom!!
アメコミ的な描き文字が彼女の周囲に飛び交い、そのエフェクトに負けないくらいに痛そうな音が響いた。
頭を強打され、そのまま倒れて動かなくなるラビラント。ふう、と彼女は一息ついて。
「このメイクボックスめっちゃ頑丈にできてるのヨ」
「うーわ、痛そー」
「彼女がヴィラン側の人間ではなさそうで良かった」
悪役らしい威厳も忘れて身を縮こませるジェネシスと、心からの呟きを漏らすワンだった。
彼女がメイクボックスと呼ぶのは、文字通りありとあらゆるメイク用品を詰め込める、大きく頑丈な――キャリーバッグだったのだから。
中身がみっちり詰まったそれを、恐ろしいほどの飛翔速度でスナップ利かせて鈍器として使用し、しかもバッグには傷一つついていない。
命に等しいはずの――という言い回しがデッドマンに相応しいかはさておき――商売道具で殴り掛かるだけの事はある。呆気に取られる二人組に、ファファ・メーリィ(ゴーストアップル・f37551)はハァイ、と金色の瞳にも負けない鮮やかな彩を纏った瞼を片方、ぱちりと閉じるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手取るUCを
味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを
各個撃破の場合
UCの選択はマスターに任せ
戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人になろうと背伸びしてる途中
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的
最近の悩みは性別を間違えられることと年相応に見えないこと
最悪【幻想憑依・無想式】を使って誤魔化す
戦闘
【呪詛(腐敗)】を何かしらの形で使用する。昔機械相手にやって痛い目を見たのでその場合は使わない
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』
ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用する。
基本は隠密行動。
空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて攻守両方に利用し、敵の行動を阻害したところに穢れを知らぬ薔薇の蕾を併用して行動を封じる、もしくはそのまま糸で切り裂くのが主な攻撃方法。
もしくは徳用折り紙で作成した折り鶴を筆頭に折り紙動物たちをけしかけてのかく乱兼攻撃を行う。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
好奇心旺盛ではあるが、行動は慎重。
お宝大好き。宝石などは勿論素材になりそうな物も出来る限り確保しエプロンのポケットに格納する。
もふもふは抵抗できないよう拘束してからもふる。
アドリブはご自由に。
●
グレイト・スピリットの元へ急ぐジェネシス・ワンとクライング・ジェネシスの前に、またしても『雷矢のラビラント』の群れが立ちはだかる。
「ギャーッハハハ、何度来ても無駄だ! 全部吹き飛ばしてやる!」
ジェネシスが大きく胸を張り、中心に移植した砲台での砲撃準備を開始する。それを阻むようにラビラントが一斉に矢を放つが、全てジェネシスを捉えるには至らない。
「ッハハ、どこを狙ってやがる!」
「待て、様子がおかしいぞ」
あからさまに逸れた矢たちをワンが訝しむ。地面に落ちた矢がそれぞれ電気を帯び、それらが繋がるようにして雷で形成された壁が形成された。
「複雑に入り組んだ雷の迷路――というわけか」
ワンが両手を電磁波のナイフに形成して壁を破壊しようとするが、逆に強烈な電気に干渉されて刃がスパークしてしまう。手を引くワンの腕からはぶすぶすと黒い煙が上がり、肉の焦げる匂いがした。
気づけば迷路は天井も覆っており、空からの突破をも不可能としている。
「ここを抜けねばグレイト・スピリットの元へはたどり着けないというわけか」
更に、迷路の中を縦横無尽に駆けるラビラントが襲い掛かって来る。
「ハッ、オレ達相手にいい度胸じゃねぇか」
追いつめられても尚獰猛に笑うジェネシスが、胸の砲台ではなく腕を複数の銃身へと変化させるユーベルコードで迎え撃つ。だが迷路の構造を熟知したラビラント達は絶妙に壁の向こうへと身を隠し、逆にジェネシスとワンの死角から雷の矢を放ってくる。
矢を躱すために無暗に身を引けば、強力な電流の流れる壁に接触して感電して手痛いダメージを受ける危険もある。まどろっこしそうにジェネシスが舌打ちをした。
ひとまず目の前の事に対処しようと、ワンが負傷も厭わずナイフを振るう。刃を後ろに跳んで躱すラビラントの足が、くんっと何かに引っ掛かった。
足元を掬われ転倒して壁に激突し、感電して動かなくなるラビラント。仲間の異変を察知した他の個体もまた、尽く見えない何かに動きを封じられる。
「なんだァ……?」
呆気に取られるジェネシスの前で、感電を免れたラビラントの身体に茨が巻き付いていく。穢れを知らぬかのような純白の薔薇の蕾が、異形の血を吸い上げて真紅に染まっていく。
エネルギーを目元に集中させ、ラビラントを阻むものの正体を探っていたワンが目を見張った。
「蜘蛛の糸か? 違うな、細さも強度も比較にならない。これは一体……?」
研ぎ澄ませた視覚でラビラントの動きを封じた糸を辿っていく。そこにいたのは。
「妖精?」
世界を渡る存在を知らぬ彼らにしてみれば、フェアリーなどというのはお伽話の中でしかお目にかかったことはない。
ラビラント達に見つからないように隠れながら糸と蕾を行使していたフェアリーは、ワンに見つかった驚きに目を丸くし、
「さすがヒーローのリーダーね。素晴らしい洞察力だわ。ジェネシス・ワン……だったかしら?」
と微笑んだ。
「わたしはパルピ・ルプル・ペルポル。君たちの力になりに来たわ」
パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)はフルネームで名乗り、それから倒したラビラントに視線を落とした。
「うーん、動物型のオブリビオンって聞いてたけど……ちょっと毛が固そうね。それに可愛くもないし」
もふりすと的にはラビラントはお気に召さなかったらしい。
「それに仮面も弓矢も、お宝とはいえなそう」
今日は収穫なしかしら、なんて空っぽのポケットを残念そうにまさぐる。見た目はそれこそお伽話の妖精のように愛くるしいのに、喋ると案外ざっくばらんとしているのも彼女の魅力だ。
電撃迸る迷路の中を、ふと雷ではないきらめくものが飛ぶ。
氷柱のように研ぎ澄まされたブルーカルセドニーが、過去から生まれた怪物の脳天を射抜いて本来あるべき場所へ、骸の海へと還していった。
「蘇った過去が、命あるものを脅かす事はあってはいけませんわ。たとえそれが今を生きる命でなくとも、わたくしには瑣末なことです」
柔和に笑うソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)の、髪も膚も眸も煌矢と同じ透き通る色彩。美しいクリスタリアンは、怪物の耳障りな悲鳴にも臆する事無く再び矢を放つ。
「そうだね、私達の時代を生きる人たちだって、そうじゃなくたって関係ないよ!」
まるで舞台に上がったスタアのようによく通る声が響く。否、事実彼女は国民的スタアである。
シフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)が星屑のようにきらきら光るあたたかな光と共に歌を紡ぎ出す。――ショウ・マスト・ゴー・オン。朗々と響き渡る歌は“この時代”を生きるあまねく人々に希望を与える。そこにヒーローやヴィランといった垣根は存在しない。
(「みんなに元気になって欲しい。仮想空間だからって、誰かが悲しんでいたら放っておけないもの」)
そこに誰かを困らせる悪がいるのなら、勇者としてそれを討つ。そこに元気をなくしたひとがいるのなら、スタアとして歌や踊りで励ましてあげたい。それがシフィル・エルドラドという少女を突き動かす原動力だ。
人々を勇気づける笑顔と、魂を込めた歌声。それは彼女が物理的に纏っている後光以上に彼女を輝かせ、スターたらしめる眩い光となる。
「不思議な歌声だ。心の底から力が湧いてくるような……」
ワンが目を細める。それはジェネシスも、そしてラビラント達も同じようであった。
ただしシフィルの歌声に純粋に聞きほれているワンやジェネシスとは異なり、スタアの術中に嵌ったラビラント達は“歌をいつまでも聞いていたい”という意思を植え付けられ、戦闘行動をとることができない。
動きを止めた彼らを、ワンのナイフとジェネシスの銃が屠っていった。
ここが現実世界でなくともやる事は変わらないという想いはシフィルだけではなく、煌矢を放ち続けるソフィアもまた同じだ。
「わたくしはこの世の全てを愛しておりますわ。この時代があったからこそ、今のヒーローズアースがあるのです。たとえこの空間が現代に何の影響を及ぼさなかったとしても、人々の営みを捻じ曲げる事などあってはなりません」
愛。生命。ソフィアの慈しむ者たちの営みの積み重ねが歴史となる。それが『生命の敵』オブリビオンによって歪められるなら、ソフィアの狂信的とも呼べる博愛は恐ろしいほどに研ぎ澄まされた牙ともなる。
シフィルの術から解き放たれたラビラントがソフィアに向けて矢を放つ。それは彼女がきょうだいと呼び愛を注ぐ水晶髑髏に阻まれて届く事無く、逆にソフィアの矢によって返り討ちにされた。
「どうぞ行ってくださいまし、お二方」
「この空間にいる人たちが皆死んじゃうなんて、そんなのダメ。きっと止めてね、ワンさん、ジェネシスさん!」
ソフィアとシフィルに促されるまま、ワンとジェネシスは迷路の先へと急ぐ。
「しかしあの女ども、気になる事を云ってたな」
迷路の先に銃口を向けながら、ジェネシスがふと疑問を零した。
「時代。仮想空間。彼女達は世界を渡ると、先程“イェーガー”を名乗る少女が云っていたが……」
「それだけじゃなくて、時代だか次元だかも渡るって事か?」
「わからない。この戦いが終わった後にでも、ゆっくり訊ければよいのだが」
「ギャーッハッハ、そりゃあ生きて帰れねえ奴のセリフだぜ。まあオレとしちゃ貴様に死んでもらった方が助かるわけだが」
ジェネシスは嘲笑するが、だまし討ちや卑怯な手段でヒーローを仕留め続けてきたという彼にしては、今の混乱に乗じてワンを嵌めようとする素振りが見られない。それだけ首魁たるグレイト・スピリットを重く見ているのだろうとワンは推測した。その点においては、ワンもジェネシスに同意する。
●
再び現れたラビラント達。
二人が武器を構えるや否や、辺りに万食の稲妻が迸る。
雷を操る敵の能力を知る二人は咄嗟に防御反応を取るが、雷は二人を狙ったものではなかった。他ならぬラビラントが雷に打たれ、全身を灼かれて倒れていく。
よくよく目を凝らせば、天からは稲妻と同時に銀の雨が降り注いでいた。――詠唱銀の雨。超常的な存在が封じられた筈の世界に、常識外を齎すもの。
今眼下に広がるのは、それらをせき止める結界が崩壊し、降り注ぎ、無数のゴースト達が出現するという悪夢そのものの光景。そしてそれが示すものは、その悪夢すら自らの術として使いこなす存在。
それは狼だった。大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)という名の人狼は、携えた刀や深層意識に潜む魂の影響で見せられていた悪夢に打ち勝つ過程で、世界の悪夢さえもものにしてみせたのだ。
「オリジナルが覚醒しようと、俺自身のすることは変わらない」
地獄の底から這いあがるように出現した抗体ゴースト達がラビラントを食らう。その中を零児もまた妖刀を手に駆け斬り捨てていく。
悪夢を切り拓くように。
(「オブリビオンに脅かされた仮想空間。或いはこれも悪夢のようなものかも知れないな」)
ならばそれを切り抜けた先に待つものを、零児は知っている。
勇猛なる狼を祝福するように、ふわり、と桜が舞った。
場違いなそれにラビラントは勿論ワンやジェネシスも目を見張る。直後、風に煽られるように舞い上がった桜が一斉にラビラント達へと降り注いだ。
矢のように鋭く研ぎ澄まされた花弁が、彼らの身体を切り刻んでいく。
「かつての時代を切り取った空間。可能なら、ゆっくりと景色を楽しみたいところでしたが」
今しがた辺りを血飛沫に染めたとは思えぬほどの嫋やかさで微笑むのは姫神・咲夜(静桜・f24808)。歌うような美しい声で呟きながら周辺に目を遣った。
桜色の瞳が見回す周囲は電撃の迷路に阻まれているし、迷路を抜けたところで視界に収めることができるのは硝煙と閃光がせいぜいだろう。
残念です、と心から嘆くように口元を袖で隠した。きっとこの戦場の先には、この時代でしか見られない、今は失われてしまった景色があるはずなのに。
「目にすることは叶わなくとも、それらが破壊されてしまう事は防がなくてはなりませんね」
平和的に解決できるならそれに越したことはないというのが咲夜の信条だ。時に死者を、時に悪魔を使役し、猛然と牙を剥く桜を自在に操る術者でもある彼女だが、基本的には穏やかで争いを好まない性質の桜精である。
けれど相手はこの空間を破壊する事すら辞さないのだという。それも、彼らを従えるのは咲夜が愛する自然の力を悪しき野望の為に使う魔術師だ。
ならば宿った力を行使することに躊躇いは無い。
柔和に微笑む咲夜の心情を示すかのように、桜吹雪は激しく踊り狂うのだった。
●
ふと、ジャスティス・ワンが目を細める。
「あちらが明るいな」
微かな光を辿るように歩を進めると、雷の壁が形成する迷路の出口へととうとう辿り着いた。
その代わり、狭い迷路の中とは比較にならないほど無数のラビラント達が二人へと襲い掛かってきた。
「さっきみてェな小細工はもう通用しねェぜ」
ジェネシスの胸元が変化する。感電を恐れて小回りの利く武器を出現させていたジェネシスだが、最早その必要はない。出現した砲台からの閃光がラビラントの群れを焼き払っていった。
炎に包まれくずおれながらも、ラビラントが矢を放つ。
それがジェネシスに届くよりも早く、太刀を打ち直した魔剣が阻んだ。
腐敗の呪詛が染み出る魔剣での一閃を浴びた矢は瞬く間に輪郭を失い、ばらばらと崩れて地へと還っていった。
「やれやれ、単位が危ないからこんな事してる場合じゃないんだけどな」
アトシュ・スカーレット(境界の旅人・f00811)は肩を竦めてそう零すが、剣を振るう手は相変わらず鋭い。
ラビラントに刻まれた傷から肉が、骨が腐り、崩れていった。生きながら肉体を腐敗させられる苦痛にあがるけたたましい悲鳴を聞き流しながら、ジェネシスがアトシュに歩み寄る。
「ギャハハ、助かったぜボウズ」
「ぼう……」
女性に間違われなかったのはまだいいが、同時に子ども扱いもされたアトシュの心境は内心複雑だ。
決して高いとはいえない背に、中性的な顔立ちが密かな悩みのアトシュである。
失くした記憶を追い求めるアトシュの本当の歳が公証通りとは限らないが、少なくともその公証としては十八歳、高校三年生。銀誓館学園のあるシルバーレインでは成人と見做される年であるのに。
「はぁ……どうしてこんな目に遭ってしまったのかしら……」
そんなアトシュよりも更に沈んだ声が、迷路の内部から響いてきた。
出口からのそりと姿を現したのは音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)。どんよりと生気のない表情で大きなため息を吐いた。
「猟兵なんてどう考えても私の器じゃないのに結局召喚されるなんて……しかも迷路の真っただ中に」
どうやら事前情報もなしに迷路の中に放り出され散々迷ってきたらしい。愛らしい雪色ツインテールも心なしかぼさぼさだ。
「はぁ……あら?」
着メロと呼びたくなるようなレトロな着信音。鬱詐偽がスマホを取り出して電話に出る。
「はい、もしもしプロデューサー……えっ、セリフ? あれ恥ずかしいから好きじゃないんだけど……番組の為? ……うう、仕方ないわね」
陰湿・根暗・不幸と三拍子揃った彼女だが、かつてオブリビオンだった頃に触れた人のぬくもりがそうさせるのか、アイドル的に期待されると何だかんだ断れないのである。
ぼさついた髪を整え、物憂げな視線と共に決め台詞を放つ。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上……うう」
恥ずかしくて顔を背ける。その時バロックメイカーである彼女の精神で何かが起きた。
迷路で彷徨った不安や恐怖、トドメに決め台詞への羞恥。心の器の限界を超えた負の感情は怪物バロックレギオンを形成し、彼女をそんな目に遭わせたラビラント達へと襲い掛かる。
「ヒュウ!」
か弱そうな見た目とのギャップにジェネシスが口笛で称賛する。それほどまでにレギオンたちは容赦がなかった。
混乱に包まれるラビラント達をワンが、ジェネシスが屠っていく。
そしてアトシュもまた、剣聖式を展開させていく。
「呪いの剣よ、立ち塞がる全てを斬り伏せろ!」
無数に顕現した呪詛の魔剣がラビラント達を斬り刻み、腐敗させていった。
卒業がかかっているのにと口ではぼやきながらも、アトシュは戦いに胸が高鳴るのを感じていた。
悪ガキと呼ばれた子供時代。大人になろうと背伸びをしても、やっぱり戦い好きの性分は変わらないようだ。
そして、目の前で助けられる人を決して見棄てない精神も。
「強いのね、彼。やっぱり猟兵なんて私には無理だと思うわ」
アトシュの快進撃に目を背けて呟く鬱詐偽だが、彼女のバロックレギオンもラビラント達をどこまでも追跡し、確実に仕留めている。
猟兵達と、ヒーロー・ヴィランそれぞれのリーダー二名の力により、無数にいたラビラント達は瞬く間に一掃されていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『グレイト・スピリット』
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POW : カミカゼ・トルネード
【クンッと突き上げた指先】から【広範囲を切り刻む竜巻】を放ち、【一定時間巻き込む事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ナルカミ・サンダーボルト
自身からレベルm半径内の無機物を【速く動く物体ほど激しく撃たれる雷鳴の嵐】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ : 「あなた、イイわね。私のところに来なさい?」
【自身の掌】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の掌から何度でも発動できる。
イラスト:100
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠シュワルベ・ポストボーテ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「敵影が、消えた……?」
エネルギーを纏わせ研ぎ澄ませた視界で辺りを探っていたジャスティス・ワンが呟いた。
「オレらの勝利ってか。……いや」
クライング・ジェネシスが腕を振りかぶる。そこから発生した衝撃波は、突如巻きあがった竜巻によって分散され、無力化された。
「もう奴らを繰り出し続ける必要もなくなったって事か、グレイト・スピリット」
「うふふ。ご名答♪」
歌うような声が響く。
かつかつとヒールを鳴らし、暗闇から女が現れた。
女、と呼ぶ事に一瞬ためらいを感じさせるほどにその身体は逞しく、その背は巨漢であるクライング・ジェネシスと比べても遜色ないほどであった。肉感的なボディをヒーローズアースらしいぴったりとしたスーツで覆い、自らを誇示するように背筋を伸ばして歩み寄って来る。
「彼女が、グレイト・スピリット……」
息を呑むジャスティス・ワンに、スピリットは長い髪を揺らして微笑む。噎せ返るような花の匂いが辺り一面に漂って来る。
「随分と偉くなったモンだなァ、ええ?」
「貴方こそよ、クライング・ジェネシス。卑怯だけが取り柄の小男だったのに、まさかジャスティス・ワンと手を組むなんてね」
長い指をくんっと曲げれば、それだけで風刃吹きすさぶ竜巻が舞い起こる。ジェネシスは衝撃波で散らし、ワンは全身を巡るエネルギーを硬質化させてそれを退けた。
「お察しの通り、あの子達は心の闇、負のエネルギーを十分に集めてくれたわ。あとはこれを発動させるだけ」
突如、地面から凄まじいエネルギーが溢れだす。
大地が揺れ、地響きが轟き、亀裂が走る。ラビラントがいなくなった事に安堵していたヒーローやヴィラン達は、慌てて空を跳んだり、ヤモリのように辺りの壁にくっついたり、手からワイヤーを放出して捕まったりと、各々の能力を駆使して地割れに呑み込まれる事態から免れていた。
「うふふふふ……」
大地が崩れていく。その中をグレイト・スピリットは出逢った時のように悠然と歩み寄って来る。
「もうすぐこの大地は滅ぶわ。全ての生物は死滅し、選ばれた者達だけが新たな文明を築き上げる時代が訪れる。――悪い話じゃないでしょう、クライング・ジェネシス? それにジャスティス・ワンと、イェーガーという者達も……私の所に来るのならば、あなた達は見逃してあげる。私、強い人って好きなのよ」
彼女の言葉に、首を縦に振る者はいなかった。
自らに迎合しない世界を憎むクライング・ジェネシスですら。
「悪のトップは一人で充分だぜ、スピリット」
「……そう云うと思った。でもいいわ、私は優しいから、気が変わったらいつでも云いなさいな」
その心をへし折ってみせるという自信が、スピリットの全身からは溢れていた。
「あなたたちの蛮勇を称えて、いい事を教えてあげましょう。『超・超兵器』は悪用を防ぐべく、起動・停止スイッチは私の身体の内部に埋め込んでいるの。つまり、私を斃さない限り、あれを止める事は出来ないわ」
会話の間にも大地の崩壊は進み、ヒーローもヴィランも互いに協力しながら生き延びようともがいている。
今はまだ、崩壊は戦場にしか発生していない。能力を有するヒーローやヴィランならば、どうにか難を逃れることができるだろう。
しかし、これが人々の居住エリアにまで広がってしまったら。
己の身を護るだけで手一杯のヒーロー達では、救助活動さえもままならないだろう。
死者が出る前に、グレイト・スピリットを討伐し、兵器の停止スイッチを入手しなければならない。
リーベ・ヴァンパイア
レディのお誘いを断るのは忍びないが……すまないな、レディ。そのお誘いは……断らせて貰う。
気が変わる事はーー絶対ないのでな。
作戦
まずは【ダッシュ】して相手に接敵し、そして【神封じの鎖】を相手の指に放ち、相手の動きを制限する【先制攻撃+早業+捕縛】
貴女のあの台風、恐らくだが放つためには指を曲げなければならないのだろう? 悪いが、暫く貴女の指は縛らせてもらう
……とはいえ、長くは持たないだろう。縛れるのはほんの数分、いや、数秒か。
ーーならば、その間に蹴りを着ける!
鎖を解くと同時に【高位種の眼】で相手の動きを妨害し、その隙に更に相手に詰め寄り、【Blood blow】を放つーー!【功夫、咄嗟の一撃】
●
カミカゼ・トルネード。
万物を切り刻む自然現象を、“偉大なる魔術師”グレイト・スピリットはいとも容易く、指先一つで操ってみせる。
ジャスティス・ワンがエネルギーで作り上げる武器も、クライング・ジェネシスが全身に移植したユーベルコードの数々も、竜巻に阻まれて彼女には届かない。
「いくらでも抗うといいわ。貴方達には死か服従しか残されていないのだから」
そうでしょう? と彼女は二人に、そして二人と行動を共にする勢力たちへと目を向ける。
「貴方達もよ、イェーガー」
「レディのお誘いを断るのは忍びないが……」
リーベ・ヴァンパイア(Notwendigkeit・f37208)が、蝙蝠の羽を模った装飾つきのバイザー越しに彼女を見上げる。
「すまないな、レディ。そのお誘いは……断らせて貰う」
「そう」
せせら笑う女が何かを云おうとした。先回りしてリーベは告げる。
「気が変わる事は――絶対ないのでな」
「……」
女は相変わらず笑みを向けているが、どぎつい紫のシャドウに彩られた眼差しがすっと冷たくなっていくのをリーベは感じた。
女が手を挙げる。
それよりも速くリーベは駆けだしていた。
一瞬で距離を詰め、神さえも封じる鎖を放つ。今まさに竜巻を放とうとしていた女の指に巻き付き、ぴんと伸ばしたままの姿勢で雁字搦めにした。
「やったぜ」
後ろでクライング・ジェネシスが歓声を上げ、女へと引き金を絞る気配がした。手放しに喜ぶ彼と違い、縛り上げたリーベ自身は自らの力が及ぶ範囲を冷静に見定めていた。
(「長くは持たないだろう。縛れるのはほんの数分、いや、数秒か」)
女が鎖を掴み、引きちぎろうとしている。その力が鎖を持つリーベにも伝わってくる。
(「とんでもない力だ。たとえ魔力が底をついても恐ろしい敵には違いないだろう」)
ならば、する事はひとつ。
(「その間に蹴りを着ける!」)
一瞬のアドバンテージを活かし更に距離を詰め、大地を踏みしめる。高位種の眼が女の動きを阻害するが、これもまた繋ぎでしかない。
リーベの狙いは体重を乗せた掌底を至近距離で女へと叩き込む事。女の鳩尾に放った掌からは、己の血で作り上げた杭が打ち込まれる。血液を自在に操るリーベにとって、それは文字通り肉体を巡る牙である。
女がぐうと呻き、大きく後退する。
深々と突き刺さった杭を忌まわしげに引き抜いた。大量に流れ出る血を魔術で塞いでいくが、体力の消耗までは癒しきれないだろうとリーベは踏んだ。
――戦いは、まだ始まったばかり。
大成功
🔵🔵🔵
チル・スケイル(サポート)
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」
「では、吉報をお待ちください」
竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません
戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操ります。それ以外の属性は使いません
侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
スシが大好きです
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥
ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
サポートとして狂言回し。あると便利な舞台装置、デウス・エクス・マーキナー。
時間質量操作(先制攻撃)と、己の裡の世界観を瞬間的に切り替える魔術的パラダイムシフト(瞬間思考力)をコンセプトとする混沌魔術(多重詠唱結界術)の使い手。既存の技術を実在フィクション問わず借用(Sampling)し組み合わせ(MIX)自作(DIY)することで白兵戦、魔術戦、諜報戦とマルチに動けます。
依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
えっちなのうみそおいしいです♥
轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
いつものように共闘するメンバーたちに「よろしくお願いします」と、転送を司るグリモア猟兵に「では、吉報をお待ちください」を丁寧に告げ、チル・スケイル(氷鱗・f27327)は淡々と転送ゲートをくぐる。
一九九九年、ヒーローズアース。
特にヒーローやヴィランが多く存在する大国の文化を、チルはふと思い浮かべた。
(「この地にもスシがあるのでしたね。確か、独自の進化を遂げたものもあるとか」)
コメと魚の脂、酸味や塩味、場合によってはワサビの刺激が絶妙に合わさった繊細な味わいを思い浮かべれば、氷のように透徹なチルの表情も少しばかり緩む。
(「気になりますが、まずは目の前の事に集中しなければいけませんね」)
ぴっと表情を引き締め、ライフルの如き杖を握りしめる。
一人の猟兵として生真面目に取り組もうとする彼女とは対極的に、戦場でもあくまで、いや戦場だからこそ自分らしく振る舞うのはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)。桃色の唇をきゅっと上げて作られた笑みは、無邪気な少女のようにも、何人もの男女を手玉に取る妖艶な小悪魔のようにも見える。
「どちらかというとわたし、可愛かったり綺麗だったりする子が好みなんだけど……あなたのように逞しい人も悪くないわ、グレイト・スピリットといったかしら?」
「あら、光栄ね」
くっと喉を鳴らしてグレイト・スピリットが笑みを返す。
「私も貴方のように可愛い子は好きよ。素直に言う事聞いてくれるいい子ちゃんならもっと好き」
「さあ、それはどうかしら?」
わたし気紛れだもの、とアリスは煙に巻く。けれど“悪くないかも”と云ったのは本当だ、たまには――そう、本当にたまには、だけれども。好きになれる存在は、魂を味わえる誰かさんは、多い方がきっと楽しい。
「いいわ。ゆっくり時間をかけて、貴方達から服従の返事を引き出してあげる」
女が手を挙げると、空が瞬く間に黒雲に覆われていく。
真っ先に異変を察し、飛び退いたチルが立っていた場所に雷鳴が落ちた。次の瞬間にはアリスも、そして漆黒の髪を靡かせる轟木・黒夢(モノクローム・f18038)も身を翻し雷鳴を躱している。
「全く、随分と大掛かりな仕事が舞い込んできたものね」
黒夢はそっけなく云い放つが、だからといって彼女が今回の任務を軽視しているわけでは決してない事は、真っ直ぐにグレイト・スピリットを見据える双眸からも明らかだ。
(「自然を操る魔術師。私の拳がどこまで通用するかしら」)
幼い頃から幾度となく施されてきた改造手術。非凡である事に慣れ親しんだ身体は、今も降り注ぐ落雷を猛スピードで躱し続けている。
今日も消耗が激しそうだ、と黒夢は思った。強化の代償として黒夢の身体は多くのエネルギーを必要とする。
攻撃を掻い潜りながら、最初に仕掛けたのはチルだ。落雷が止んだほんの僅かな時間に足を止め、狙撃杖カシュパフィロへと己の魔力を注ぐ。性能を限界まで引き上げた氷弾が空気を劈き、スピリットの太腿を撃ち抜いた。
よろめき、苦痛に歯を食いしばりながらも、スピリットは唇の端を吊り上げる。
「ふふ。貴方も自然を操るのね」
チルは答えなかった。戦場でわざわざおしゃべりに興ずるのはチルの好むところではなかったし、チルは自然現象を広く扱うスピリットと異なり氷属性特化のウィザードであったし、そして何より――グレイト・スピリットという存在そのものが、チルにとっては決して相容れないものだったから。
真っ向から誇りを踏み躙り、絶望の淵に沈んだヒーローを自らの手下に招き入れるという傲岸さも。
ヒーローとヴィランが激しくぶつかり合い、互いに消耗している時を狙って仕掛けてくる狡猾さも。
より鋭く、より冷たく、研ぎ澄ませた氷弾が放たれる。それこそがチルの返答だった。
●
「うふふ、お姉さんったら見た目を裏切らず激しいのね♪」
(「あれは“動くもの”に対応しているのかしら? そうとも云いきれないわね。足を止めても雷は襲い掛かって来る」)
享楽的な物言いとは裏腹に、アリスは冷静にグレイト・スピリットの魔術を分析していた。既存の技術を実在・非実在問わず取り入れ、混ぜ合わせて自分のものにする魔術を得意とするアリスだ。“元”となるサンプルは多いに越したことはない。ユーベルコードの域にまで高めた詠唱技術や結界術で身を護りながら、彼女はスピリットの戦法を探り続ける。
(「分かったわ。あれはこちらが“速く動けば動くほど”速度を増す」)
数多のヒーローやヴィランを相手するのなら、半自動で厄介な個体から始末できるナルカミ・サンダーボルトはさぞ便利な術だった事だろう。しかし今はイェーガーというイレギュラーがいる。邪悪なる魔術師の術を見破る事の出来る、文字通り次元を超越した者達が。
「悪くない余興だったわ、でも前座はここまで」
すっかり分析を終えた事に満足したアリスが、今度は己の力を解き放つ。
「ね、もっと楽しい遊びをしましょ?」
――支配の烙印。世界を破壊させるオブリビオン因子のみを停止させる術が、スピリットへと刻まれる。
「く……っ」
雷の術が解除されていく。攻撃術を封じられたスピリットが歯噛みした。
「ふたりっきりだったらもう少し“お楽しみ”といきたかったけれど、そうもいかないみたいね?」
ざあんねん、と笑うアリスが目を遣るのは、隙を逃さず猛然と距離を詰める黒夢の姿。
●
氷の弾丸が女の足を止め、籠絡めいた刻印が女の術を止めた。
最早黒夢を阻むものは何一つない。振りかぶる拳を覆うのは、ありあわせのもので造られた簡易的な籠手ただひとつ。限界まで強化手術を、そして何より彼女自身が研鑽を積み重ねてきた格闘術には、大仰な武器など不要。研ぎ澄まされた拳が唸りをあげ、今まさに女へと打ち込まれる。
「ぐ……ッ」
初撃は、クロスさせた両腕に阻まれた。それでも反応はすさまじく、女の巨体が大きく後ろに下がる。追撃のために距離を詰める黒夢へと、女が蹴りを放った。避け切れずに直撃を貰ったかのように見えた黒夢の姿が――掻き消える。
「何!?」
女が狼狽える。視・聴覚どちらの感知からも逃れる影を纏った黒夢を見失った女は、ただ背後から猛烈な熱を感じて振り返った。
だがその時にはもう、漆黒の炎術士たる黒夢が鉄をも溶かす炎の拳を女へと浴びせかけていた。
一度杭を打たれて塞いだ、塞ぎ切れなかった女の傷へと。
女が血を吐き、大きく吹き飛ばされる。
(「あと、少し」)
チルがありったけの魔術を投じ、氷の弾丸で追撃を食らわせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シュワルベ・ポストボーテ
ここであったが百年目!
かっとべ! シュワルベ・トルネード……ピィ!!(弾かれる)
ワタシ、あなたには縁もゆかりもございませんが、
どうやら悪事をきっちり終わらせるお役目を頂いた様子。
なら、全力でお相手するのですよっ。
ワタシにできるのは荷物をお届けすること、なれば!
羽ばたきひとつであら不思議、どんなお荷物もひとっ飛び!
強磁界の迷路は受け止められても同じこと、
手数で勝るこちらが有利になるはずですっ。
そして、エネルギーそのものに変われる
グレートジャスティス・イチエモンさん!
アナタなら……あとはわかりますねっ?
攪乱にワタシは銃をぱしゅぱしゅしつつ、援護するのですっ。
さあ、配達料金の納め時ですよっ!
●
暗雲立ち込める空へと、一羽のツバメが身を躍らせる。
「かっとべ! シュワルベ・トルネード……ピィ!!」
きりもみ回転からの体当たりを、グレイト・スピリットは避ける事さえしなかった。
やたらと盛り上がった肩にぶつかって、弾かれ目を回したのは体当たりをしたシュワルベ・ポストボーテ(愉快な仲間のソーシャルディーヴァ・f30877)のほう。それだけツバメと女の体格差はすさまじかった。
「あら、何か当たったかしら?」
わざとらしく肩を払いながら辺りを見回すスピリットの視界に収まるように羽ばたいて、シュワルベは宣言する。
「ワタシ、あなたには縁もゆかりもございませんが、どうやら悪事をきっちり終わらせるお役目を頂いた様子。なら、全力でお相手するのですよっ」
「貴方が?」
くっ、とスピリットが喉を鳴らした。見え透いた挑発に、シュワルベは敢えて胸を張る。
「ワタシにできるのは荷物をお届けすること、なれば!」
小さく、ともすればか弱くも見えるツバメという鳥。けれど彼らの翼は、肉体は、何千メートルもの長旅を遂げる強靭さを秘めている。猟兵となれば尚のこと。
「羽ばたきひとつであら不思議、どんなお荷物もひとっ飛び!」
天地をひっくり返す力の次に披露したのは、強磁界が形成する磁場の迷路。ありとあらゆる方角から伸びる不可視の道の終着点は、勿論大魔術師グレイト・スピリット。
「はっ、こりゃあいい!」
クライング・ジェネシスがマシンガンをでたらめにぶっ放した。狙いさえもつけない考え無しの掃射ですら、お節介な配達人はきっちり決められたルートで『受取人』へとお届けする。
「へえ、面白い能力ね」
女が手を翳す。銃弾のひとつがそこにたどり着き、分厚い皮膚を抉る。噴き出る血ごと女は銃弾を握りしめた。
「貴方より一足先に、貴方の力だけ頂いていくわ」
受け止めた力をそのまま反射するように、女が磁場の迷路を形成していく。シュワルベのついでにジェネシスのユーベルコードまで拝借して、鉛玉をシュワルベへと降り注がせた。
「ピ! なんのなんの! 条件が同じなら、手数で勝るこちらが有利になるはずですっ」
器用に鉛の雨を躱しながら、とシュワルベは振り返る。
「エネルギーそのものに変われるグレートジャスティス・イチエモンさん! アナタなら……あとはわかりますねっ?」
「ああ」
そう。彼の変化の本質はエネルギー化。シュワルベの形成した『道筋』を、何者にも阻まれずに辿れる存在。
全身を青緑の炎のように変化させたイチエモン、もといジャスティス・ワンがスピリットへと駆けていく。援護するようにソーシャル・レーザーをぱしゅぱしゅしながらシュワルベは叫んだ。
「さあ、配達料金の納め時ですよっ!」
炎が唸る。
エネルギーの拳が、グレイトスピリットの頬にクリーンヒットし、巨体を宙へと打ち上げた。
大成功
🔵🔵🔵
ファファ・メーリィ
変身を維持したままヒールを鳴らして、
うふふ、と微笑んでグレイト・スピリットの前に立ったなら
あら素敵。アナタ少しだけワタシとキャラ被ってるわネ
なーんて言って胸を張る154cm(+ヒール)
どこが、なんて言う不届きモノはいないデショ?
誰よ!大人と子供かな?なんて考えてるのハ!!
そうネ、好みで言えば
アナタの鍛え上げられた肉体美にツヤのあるボディスーツは良いと思うワ
差し色も悪くない
風や雷に映えるには揺れモノや光りモノを増やすトカ
紅の色を変えるのも良いと思うノ
後はもう少しだけ筋肉を見せるのも一興ネ?
という訳で愛用の裁縫道具一式一斉に使って彼女をワタシ好みアレンジ対戦ヨ
多少手荒でも彼女ならきっと問題ないわネ
●
投げ出され、地面に叩きつけられる巨体の元に、一人の女性が靴音を鳴らしながら歩み寄る。
うふふ、と微笑むファファ・メーリィ(ゴーストアップル・f37551)の気配に、グレイト・スピリットがよろよろと立ち上がった。
「あら……」
女の顔をまじまじ見上げ、ファファが笑みを深くする。
「素敵。アナタ少しだけワタシとキャラ被ってるわネ」
沈黙。
グレイト・スピリットはもとより、ジャスティス・ワンもクライング・ジェネシスも咄嗟に云うべき言葉を失っていた。
「何ヨ、その沈黙? 誰よ! 「大人と子供かな?」なんて考えてるのハ!!」
わかっている。わかっているのだ。なまじちょっぴり傾向が似ているからこそ、余計に体格差が浮き彫りになる。規格外にでかいスピリットと、極端に小さいというほどではないがヒール分を足してようやく平均身長を超えるほどのファファである。だって仕方ないじゃない、“成長期”に健やかとは云い難い過ごし方を余儀なくされていたのだから。
「確かにね。私の隣に貴方がはべっていたら、とっても素敵だと思うわ」
誘う甘い声に、ファファは負けないくらい甘やかに囁く。
「そうネ、好みで言えば。アナタの鍛え上げられた肉体美にツヤのあるボディスーツは良いと思うワ。差し色も悪くない」
ん、とスピリットが眉を上げた。
「風や雷に映えるには揺れモノや光りモノを増やすトカ、紅の色を変えるのも良いと思うノ。後はもう少しだけ筋肉を見せるのも一興ネ?」
折角素敵な身体をしてるのだもノ、と微笑むファファが、羊みたいにもっこもこのピンクッションを取り出すのをスピリットは見逃さなかった。
成程、と唇が形作る。
「という訳で、ワタシ好みにアレンジしてアゲル!」
鋭く降られた手から放たれたのは銀色の雨。数々の裁縫針や、色とりどりのまち針が女へと降り注ぐ。布が裂け、かと思えばきらきら光る糸を編み込んだ装飾品が纏わりついていく。
弱々しい鼓動では具現化出来なかったインスピレーションは、鼓動を止めた今何物にも阻まれずに広がっていく。
女がファファの倍はありそうな巨大な手を広げ、針を掌で受け止めてへし折った。能力をコピーする力でファファのものよりも太く武骨な針を形成し、跳ね返す。
「同じ力でも完全に一緒という訳では無いのネ」
殺傷力だけに特化した針の雨を避けながらファファは尚も笑みを浮かべたままだ。
「自分らしさを演出できるって、やっぱりアナタとってもステキ!」
同じ道具で同じメイクをしたって、同じ服を着たって、同じようにはならないように。
――やがて。
今までのダメージの蓄積と、ファファが操る針での負傷によって、スピリットががくりと膝をつく。
ファファの全ての針が、ワンとジェネシスの攻撃が、女へと降り注ぐ。
途絶えていく意識の中で、小さな女がウインクするのをスピリットは見た。
目線を落とすと、レーザー銃の閃光を受けてきらきら映える「追加された」装飾品の数々と、ヒカリモノたちに負けないくらいに鮮やかに照る褐色の肌。
なるほど、とスピリットも笑んだ。確かに、悪くない。
●
「スイッチは体内に埋め込まれてるとかいったな?」
「待ってくれ。……胸元。ちょうど心臓の辺りだ」
エネルギーを対象に注ぎ込み、停止スイッチの位置を探っていたワンが云い終わるか終わらないかのうちに、ジェネシスは無遠慮にナイフで死体を斬り裂いて現れたスイッチを押していた。
「…………仮にも仲間だったのだろう。遠慮というものがないのか、貴様には」
「ギャーッハハ、んな甘っちょれえ事まだ言ってんのか」
「とにかく、不本意だが礼を云う。それに、誇り高きイェーガー達も……おや?」
ジャスティス・ワンが振り返るが、イェーガー達の姿は一人残らず掻き消えていた。
「あいつら、マジで何だったんだろうな」
「……わからない」
そう。この時代、正義と悪が複雑化せずはっきりと分かれていたこの時代に、彼らの存在はまだ一般的ではなかったのだ。
イェーガー。その名だけが、彼らの記憶に刻まれた。
――やがて時は巡る。
とはいっても、あれはあくまで仮想空間『スナークゾーン』の中での出来事だった筈だ。そのスナークゾーンもオブリビオンを倒したことで消え、全ては無かったことになった。
筈だった。
ある日、ヒーローズアースのフリーペーパーにこんな記事が掲載されていた。
かつて『生前』のクライング・ジェネシスも使っていたというヴィラン集団のアジトから、彼の手記が見つかったというのだ。
その中には、「にっくき正義野郎と、それからイェーガーと名乗る奇妙な連中と共に魔術師をブチのめした」と記されていたという。
そして不思議な事に、手記はそれを写真に収めようとした瞬間、最初から存在などしなかったかのように消えてしまったのだという。
――信じるか信じないかは、あなた次第。
記事は、そんな胡散臭い締め方をされていた。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2022年06月23日
宿敵
『グレイト・スピリット』
を撃破!
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