【サポート優先】機亡の轍
#クロムキャバリア
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🔒公式タグは編集できません。
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これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)
●修羅場 La BANG 破
「早速だけど、緊急の依頼だよ」
朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)はグリモアベースに集った猟兵達へ一礼すると、早速作戦概要の説明を始める。
「クロムキャバリアにある国のプラントが暴走し、自律型オブリビオンマシンを無尽蔵に生み出し始めたんだ」
その国は何も知らずキャバリアを生産し、周辺諸国へ出荷を行う工業国家。特にどことも交戦はしていないが、まさか戦争の火種たるオブリビオンマシンを製造しているとは思ってもいない。背後のスクリーンにはだだっ広い戦場MAPと相対する敵キャバリア、中量級『Sk-29 グローザ』と軽量級『VC2 サジッターリオ』の情報がずらりと並ぶ。
「これの殲滅が目的だ。ただ厄介な事に場所が地下空洞でね……」
暴走プラントは地下深くに建設されていた。しかも製造されたキャバリアは現時点では鳴りを潜めて、地上へ出荷されてから暴走するらしい。そうなる前に一網打尽にする事が、作戦の第二目標となる。では第一目標は? 手練れの猟兵がラヴィニアへ問う。
「殲禍炎剣の影響を受けにくいのは有難いんだけど、当然出入り口も限られる。だから」
ジィ、と電子音と共にスクリーンの一部が明滅。MAPにはプラントへの入り口が示され、立体表示でプラント内部の格納庫への道を示した。その奥にはだだっ広い組立ライン――主戦場は恐らくここになるだろう。どちらにせよ、崩落に気を付けて戦う他ない。つまりそこまで機体を運べなければ、それを現地で調達する他ない。
「その場で未稼働のキャバリアを奪取して、作戦を遂行してもらいたいんだ」
プラントの暴走に気付いていない軍人を避け、奪取出来るキャバリアはグローザタイプのみ。手段は自律兵器化のイニシャライズに割り込んで、ついでにある程度武装を調整する事も出来る。これで敵機とプラントを破壊する事が作戦の最終目標だ。では愛機がある自分達は? と誰かが訪ねる。
「勿論、自前の機体があればそれを使うに越した事はないけど、その場合は作戦の初期段階で陽動に回ってもらう事になる。それだけは注意しておいて」
入口は地上と地下を繋ぐ三つの搬入口のみ。そこで大立ち回りを演じ、内部に侵入した猟兵を援護するのが当座の役目となるだろう。しかし地下とは不穏だな、と誰かが呟く。
「地下帝国とは関係無い。だけど……嫌な感じはするよ」
答えるラヴィニア。同時にグリモアがゲートを展開し、吹き荒ぶ風が戦場の匂いをグリモアベースへと運んだ。
ブラツ
ブラツです。本シナリオはサポート優先シナリオです。
通常プレイングも受け付けてますが、受付期間は設けず、
書けるときに書くくらいのペースで進めて参ります。
第1章は冒険です。汚染されていないキャバリアを奪取しましょう。
第2章は集団戦です。重量級量産型キャバリアが相手です。
第3章は集団戦です。軽量級量産型キャバリアが相手です。
戦場は広い屋内戦です。場所は地下の秘密プラントになります。
オープニングにある通り、キャバリア戦のみが有効です。
敵は自律型オブリビオンマシンなので手加減無用です。
また、殲禍炎剣の影響により屋外での高高度高速飛行戦闘は不可能です。
その他、詳細はオープニングに準じます。
プレイングにおいてキャバリア所有者はそれを使用し、
未所持の方は第1章で奪取したキャバリアを使用します。
機種はSk-29『グローザ』タイプの汎用機ベースとなります。
シナリオ終了後に希望があれば譲渡可能です。
(アイテム化は自前でお願いします)
アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。
プレイングは開幕と同時に募集します。
但しサポート優先シナリオにつき、採用の確約は出来ません。
他、募集停止などの追記はタグにて行います。
何卒、ご了承いただければ幸いです。
それでは、よろしくお願い致します。
第1章 冒険
『キャバリア奪取任務』
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POW : 巡回中の軍人を襲ってキャバリアを奪取。強行突破で追手を振り切って脱出します
SPD : 巡回と巡回の間隙を縫って潜入しキャバリアを奪取。ハイスピードで追手を振り切って脱出します
WIZ : 綿密な潜入作戦を立ててキャバリアを奪取。頭脳的な作戦で追手を振り切って脱出します
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
寺内・美月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
※エロ・グロ・ナンセンスの依頼はご遠慮願います。
・依頼された地域に美月の副官であるトゥルパ(以下副官)と副官直轄RCTを派遣。美月がグリモアベースから到着するまで(サポート参加では現地にいない状態)、現地での活動に必要な権限を付与
・現地では他の猟兵や現地人と協力。探索や小規模な戦闘が生起するならば、副官は発見され難い特性を生かして行動する
・隷下部隊を投入する必要がある大規模な事態が発生、及び発生する可能性が高い場合、副官の判断(判断基準は緊急性・公共性・非代替性の三点)によりRCTを率いて防衛主体の軍事行動、救助活動及び復旧支援等を実施させる
●陽動作戦
某国、大型プラント防衛施設――静寂の中、軋む鋼の音が触れ得ざる者どもの存在を威圧的に知らしめる。精鋭キャバリア部隊と頑強な兵器群によって守られるこの地を攻め落とそうなどと考える者はいなかった。これまでは。
『――発砲音! 熱源多数。急速接近』
『攻撃だと? 全隊、防御陣形』
馬鹿な奴だ。そんな分かり易い攻撃を通すものか。方位さえ分かれば対処は容易い。施設のレーダーが即座に多数の飛翔体を感知しキャバリア部隊へ情報同期。陣を組みなおすキャバリアに合わせて、無数の対空砲火が嵐の様にその前を通過する。
『着弾確認。クソ、煙が深い……』
初手のミサイルは姿を眩ます奇襲の先触れか? だが、ここはキャバリア製造プラント。更に最新鋭の自律型操縦デバイスだってある。寡兵で叩ける場所では無い――しかし、ほくそ笑む防衛隊長は知る由も無かった。この戦いが只の非対称戦では無いという事を。
『フロンティヌス、索敵完了。敵キャバリアは一個中隊――いえ、大隊規模。中からぞろぞろと……随分と大仰ですね』
戦術支援サイキックキャバリア『フロンティヌス』からリアルタイムで送信される状況――その主たる寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)はここに居ない――を基に、戦場では美月の副官たるトゥルパが全隊の指揮を執っていた。
『それだけ重要なプラントなのだろう。12式の再装填急げ。敵の動きは?』
『一部が突出。警戒しつつ前進……まあ、位置はほぼバレてますからね』
先発として配された精鋭の直属戦闘団。主力戦車、地対艦ミサイル、自走榴弾砲で構成された即応砲撃部隊は、立ち昇る700mm特殊火砲の煙を遠目に見やり、じりじりと近付いて来る敵キャバリア部隊の足音を顔色一つ変えずに聞き澄ます。
『了解。セカンド、サード、両翼から10式で畳みかけろ』
ざり、と無線のノイズが響き、端的な符丁の後に凄まじい爆音が戦場に轟いた。
『こんな所で恥を晒すなよ。ファーストは20榴で牽制しつつ後退。12式再装填と同時に再度、敵防衛施設へ直接攻撃を実行する』
機関始動。狭苦しい指揮車両から身を乗り出して、トゥルパは戦場の震えを全身に浴びる。空襲は無い。ならば、我々の機甲戦というものを奴らに教えてやろうではないか。
『馬鹿な、これほどの敵がいつの間に!』
凄まじい火砲が防衛施設の左右から迫る。間断無く放たれる120mm特殊火砲の洗礼は、足を止めたキャバリア部隊をその場に縫い付ける様に威力を止めない。
『第2小隊はそのまま前進、第1と第3、第4と第5は両翼を囲う様に展開だ。残りは正面と……第二、第三搬入口の守りを固めろ!』
だが戦力は圧倒的にこちらが上なのだ。幾ら予想以上の攻勢とて、稼働出来る全キャバリアを投入すれば鎮圧は事も無い。即座に命令を下した防衛隊長の声と共に、わらわらと蟻の群れの様に無数のキャバリアが広域に展開していく。
『敵部隊、釣り針に掛かりました。作戦通りセカンドとサードを後退』
『了解。フォース以降は残りの入口を攻撃。タイミングは現場の判断に任せる』
その様を見やり、戦闘団は203mm特殊火砲を全車で交互に撃ちつつ後退。距離を取り700mm特殊火砲が火を噴けば、戦場は更に深い煙に包まれる。全隊が徐々に距離を取り多くの敵を誘き寄せれば、これからの仕事もやり易い筈だ。
『さて、どう守り抜こうか』
後は、生きるだけ。倒すべきは防衛部隊では無い。
狂気に染まった、地下施設の悪魔なのだから。
成功
🔵🔵🔴
エリカ・タイラー
●
※愛機は不使用でグローザ奪取に参加します。
「(潜入してキャバリアの奪取……量産型なら私でも。むしろキャバリアで闘っていくなら様々な機体を学ぶべきだ)」
「巡回と巡回の間隙を縫って潜入しキャバリアを奪取。ハイスピードで追手を振り切って脱出(SPD)」に挑戦。
ユーベルコード「絶望の福音」で10秒先の未来を予想して巡回や監視カメラ等を回避します。
(技能:忍び足、目立たない)
グローザのコックピットに乗り込んだらイグニッションカードでアンサーウェア姿に替わり、コックピットの汎用拡張スロットに簡易受光器を挿入してイニシャライズを掌握。
最後に機体外部にからくり人形を結わえてパーソナルマーク代わりにします。
●キャバリア強奪
「やけに外が騒がしいな。味方の陽動か?」
敵施設内の喧騒はエリカ・タイラー(騎士遣い・f25110)の想像以上だった。ガラガラと大音を立てる昇降機が続々とキャバリアを地上へ運び上げ、蟻の巣穴の様な細い搬入口――それでも人間にしてみれば大き過ぎる――から銃を片手に躍り出る。
(潜入してキャバリアの奪取……量産型なら私でも扱える筈)
そして内側から強襲――キャットウォークの物陰を軽やかに通り抜けるエリカは静かに気配を殺す。幸い外の喧騒に気を取られ、ここまで侵入されている事に気付く兵士はいない。このまま前進だ――何より。
(むしろキャバリアで闘っていくなら様々な機体を学ぶべきだ)
ダークセイヴァーと呼ばれる暗黒の世界を開放する為に、鋼鉄の巨兵の力を是が非でも自らのモノにしなければならない。それが例え、普段と違う機体であろうとも――故郷を想起させる狭く暗い施設の細道をゆっくりと進んだ刹那、眩い光と共に無数の炸裂音がエリカに迫った。
「――……!!」
待ち伏せ! 流石に戦慣れした連中だ。泳がされたの……だろうか? 視界が赤く染まり膝を突くエリカ。突き付けられた銃口から立ち昇る硝煙が鼻に突く――嗚呼、鬱陶しい。ここまでか……私の戦いは。
「――だが、そうはならなかった」
そのヴィジョンは『絶望の福音』――超常が見せたバッドエンドは辛くも回避される。囮のガラクタを投げて、警戒する歩哨が通り過ぎた刹那にエリカは闇に潜り込む。ここさえ抜ければ眼前にはコックピットを開いたままのキャバリア――グローザが一機。自律稼働直前のマシンはモニタに無数の記号と文字を滝の様に流して、悍ましき産声を上げる時を待つ。
「……悪いが頂いていく。仕事なんでね」
幸い周囲に敵の兵士はいない。ここまでの十秒は覗いたヴィジョン通り――であれば、仕上げの作業に入るとしよう。
「イグニッション――始めようか」
ジリ、と亜空より転送されたアンサーウェア『ドールマスター』に身を重ね、手にした『EPドールエクステンダー』をコックピットのスロットにそっと差す。
<<Warning! Unknown process started>>
「そう急くな。ちゃんと動かしてやるから」
途端、ぎらついた警告灯が一斉にエリカの頬を赤く染める。幸いコックピットの装甲に遮られ異変に気付く者はいない。すかさずエクステンダーの受光器にドールマスターから指令を流し、喚く赤子じみたグローザを丁寧にあやしていく。
「よーし、いい子だ」
繋がった――後は容易い。エリカは深く息を吸い、グローザと一つになるべく新たな主の言葉を紡いだ。
> Initialize Suspend ...... Restart
警告表示はとうに消え、グローザは二度目の産声を静かに上げる。ガントレット状のエクステンダーをコンソールの左右に配し、それを介してグローザの制御系は既に掌握した。止めどなくモニタに流れる文字の羅列はエリカへの忠誠の証。
> Control system update...control harness connection
> Driver installation...complete
> Fire control link...complete
> Operating system output...all green
> Main system startup
発達した科学が魔術に及ぶというならば、これらは呪文の類に過ぎない。であれば私にも操れる――エンブレム代わりに『からくり人形・ビルト』を正面装甲に括り付け、エリカはゆったりとシートに身を預ける。モニタには最後の選択を迫る文字が映されて。
> Are you ready? Y/N
言うまでも無い。人差し指で空に文字を描き、同時に苛烈な振動がエリカを襲った。唸りを上げる機関の爆音が今や頼もしい勝鬨に聞こえる。だが、まだ早い。
「それじゃあ行こうか」
鬨の声を上げるのは全てが片付いてから。新たな主を宿した鋼の巨兵は、ゆっくりと戦場へ歩を運んだ。
大成功
🔵🔵🔵
秋月・信子
●WIZ
無人化されたプラントであれば警備システムをどう欺くかで済むのですが、警備にあたる防衛部隊が配備されているとなれば一筋縄とは行きませんね
ですが、ここまでの大型プラントであれば厳重な警戒網に綻びがあるかもしれません
まずは私の影から『影の追跡者の召喚』を放ち、【偵察】と【情報収集】によって得られた地上施設内構造のデータをROSETTAに記録させます
あとはパイロットヘルメットのHMDと同期させて、ナビ通りに警備が手薄な最短ルートで格納庫へ向かえばいいのですが…ここで巡回している警備兵に気づかれては隠密作戦が台無しです
ここでも影の追跡者を警備兵の影に潜らせ、タイミングを見計らい潜入
どうしても排除せねばならなかったり、ロックされた扉や警備装置を解除する認証キーを持っていれば、麻酔弾を装填していてサプレッサーを装着したハンドガンで少しの間お休み頂きます
あとは機体をお借りするだけですが、最後の仕上げに陽動目的の【破壊工作】で弾薬庫に仕掛けた指向性地雷を無線起爆させ、混乱に乗じて地下施設へ突入です
●潜入任務
(無人化されたプラントであれば警備システムをどう欺くかで済むのですが……)
バイザー越しに曲がり角で通路を睨む秋月・信子(|魔弾の射手《フリーシューター》・f00732)は、自身の想定以上に配された警備兵の数に内心で溜め息を吐く。
「矢張り、一筋縄とは行きませんね」
機械だけが相手ならば物理的な障害は誤魔化せるが、意思を持つ人の集団が相手では想定外が起こりかねない。その為の訓練、目視。少なくともこの戦場にはうっかりやらかす猫めいた存在はいないだろう。だからこそ――。
「……と、大分集まりました。ここで巡回している警備兵に気づかれては隠密作戦が台無しですから」
視線の先には相変わらず警備兵。だが信子が見ているものはそれでは無い――『影の追跡者の召喚』たる|超常《ユーベルコード》が齎した情報の数々。人の手で守っているならば、ここまでの大型プラントであれば、きっと厳重な警戒網に綻びがある。
「……警備交代のタイミング、もう少しですね」
機械では無い警備故の欠点。如何に訓練された屈強な人間だろうと休まずにはいられない。僅かながら気の緩んだその時が進むべき機だ。
「慎重に行きましょう。タイミングをナビと同期して……」
手元の|端末《ROSETTA》に|影の追跡者《シャドウチェイサー》の情報を記録させ、被ったヘルメットのHMDに同期されたタイマーが表示される。やるべき事は最短で格納庫へ進む事。漆黒の戦闘服に身を包んだ信子は息を殺して、その一歩を踏み出した。
「ごめんなさい。ちょっと休んで貰いますよ」
先立って忍ばせた影の追跡者を囮に、背を向けた警備兵に麻酔弾を撃ち込む信子。倒れた警備兵が懐に忍ばせたカードキーを奪い、ナビに従い道を進んで行く。作戦は情報通りのタイミングが肝要――目の前には重苦しい鋼鉄の扉。この先が格納庫だ。
「この鍵で――開いた」
厳重なロックが静かに解除され、開かれた扉の先には主を待つ|鋼鉄《キャバリア》の数々。放っておけば自律型AIに侵食されオブリビオンマシンになる――その前に、と一体のコクピットへ滑り込み、端末をスロットに接続して信子は仕上げの作業に入った。
「後はOSを上書きして……」
万が一使用されてるOS自体に|悪意《オブリビオン》が仕込まれていては元も子もない。万全を期して|愛機《ピースメーカー》から複製したプログラムを慎重に仕込んでいく。
> ......SYSTEM CHECK
> Control system OK
> Residual fuel OK
> Firearm selection OK
明滅するランプとモニタに目を凝らし、排熱のファンの音だけが静かに響く密室ですぅと息を吸う信子。フォントは違えど見慣れた文字の羅列が視界に飛び込んで、信子はようやく緊張を解して身体を伸ばす。
「何というか、実家の様な安心感というか」
これなら大丈夫そうだ。全パラメータ正常/火器管制異常なし/エネルギー圧力規定範囲――補機の甲高い回転音が徐々に広がって、動力に生命が吹き込まれる。
> ......SYSTEM ALLGREEN
> Sk-29 <GROSSER> Ready to launch
動力接続――翻訳通りの“ドン亀”らしい、重厚な主機の駆動音が格納庫に響き渡る。スティックを小刻みに動かして反応速度を計測。OS書き換えの所為もあるだろうが、それなりにこの子は動いてくれるらしい。
「良い機体ですよ、思ったより」
準備は整った。狭苦しいシートに身体を押しつけて、信子は端末から|とっておき《指向性地雷》のスイッチを押す。
「ここから先は、派手に行きましょう――!」
途端、みしりと格納庫が揺れる。予め弾薬庫に仕掛けた爆薬が起動し、格納庫から離れた一角が炎に包まれた。モニタ越しに慌てて飛び出る警備兵を横目に、信子はゆっくりと機体を起こす。自分が向かうべき戦場はそこじゃない。目指すはここより深く、キャバリアの組立ラインだ。
大成功
🔵🔵🔵
支倉・錫華
潜入とか破壊工作なら得意分野だし、よければ参加させてもらおうかな。
地図はラヴィニアさんがくれたから、それを参考にするとして、
侵入は出入り口より換気口とかからいけると嬉しいな。
無理そうなら、陽動に乗じて【ノートゥ・スーツ】の光学迷彩で姿を隠していこう。
見つかりそうになったときは【金鳳風舞】を使って、相手を無力化して進んでいくことにしよう。
一般の人を殺しちゃうわけにはいかないもんね。
途中に情報室とかを見つけたら【クーリエポーチ】のデバイスを繋いで、状況を確認。
今現在解っている情報をできる限り集めていきたいな。
キャバリアのハンガーに着いたら、まだ火の入ってない『グローザ』を狙って起動準備。
アミシアにフォローしてもらいながら、
OSをクリーニングして書き換えたり、
機体のチューニングをしたりしてから起動することにしよう。
起動後のチェックも、アミシアと2人でダブルチェック。
万が一にもオブリビオンマシンになんてなられたら困るからね。
全部のチェックでグリーンならば、最後に武装を確認してから動かしていこう。
●翡翠の矜持
「潜入とか破壊工作なら得意分野だし……ね」
狭苦しい排気ダクトを蠢く影。支倉・錫華(Gambenero・f29951)は事前にラヴィニアから配布された地図を元に、音を殺してのそりと前へ進み続ける。
「ちょっと狭いけど、まあ大丈夫」
しなやかに身体をくねらせて、隙間から漏れ出る光と音を頼りに錫華は思考する。行き交う警備兵の数が徐々に増えている――そこいら中で怒号が響き、密やかに表へ出る事は最早叶わないだろうか。
(こっちも警備が厳しい感じ? そろそろ感づかれたのかな)
先の爆発音からダクトに広がる煙が“内部への侵入者”を示唆している事は明白だ。ならば……『ノートゥ・スーツ』の光学迷彩を起動して、胸の下の金網をゆっくりと外す錫華。
(一般の人を殺しちゃうわけにはいかないもんね。ちょっと退いて貰うよ)
彼等はオブリビオンに支配されている訳では無い。可能な限り無傷で警備網を突破すべく、静かに|超常《ユーベルコード》を発露する錫華。衣装に仕込んだ『金鳳風舞』がじわりと通路に広がって、途端、眼下の喧騒がゆっくりとその音を消していった。
『何か、だるい……』
放たれた超常は相手の全身を痺れさせるオキナグサの毒の成分――それは徐々に警備兵を蝕んで、ぽつりぽつりとその動きを止めていく。
『煙にやられたか……』
立ち止まっては危ないと警備兵が続々と退く。超常混じりの火災煙で人払いを済ませ、すかさず音も無く通路に降り立つ錫華――近くにいればその異変に気付いたかもしれない。光学迷彩で隠した姿が空間を揺らせて、錫華は一路格納庫へと向かう。これだけ派手に猟兵が暴れていれば、余り時間は残されていないだろうから。
「――現在不明な勢力と交戦中につき甲種警戒態勢」
狭苦しいコクピットで収集した情報を確認する錫華。道すがら『クーリエポーチ』で纏めて仕入れた現状を吟味しつつ、慣れた手付きで配線を解いていく。
「で、件のキャバリアは出荷を止めて緊急展開準備中、と」
基地の内外で不明勢力の攻撃を受けている。その所為でキャバリアの製造ラインは一時的に止まっている……と言うのが人間に齎されている情報。であれば組立ラインに人が残っている可能性は低い。残存戦力は恐らく迎撃に全て向かわされているだろう。
「その割にはここまで来れちゃうんだもんね。外向けの経過報告って奴?」
この騒ぎが沈静化した時の報告用に、オブリビオンマシンに侵されたプラントがでっち上げた欺瞞情報。確かに只の人が相手ならばそれでも良かっただろう。|只の人が相手ならば《・・・・・・・・・》。
「……オーケー、アミシア。さっさと仕上げちゃおう」
敵の誤算は相手が猟兵である事。彼彼女らに常識は通用しない。一しきり状況を把握した錫華は解いた配線に『|アミシア・プロフェット《補助端末》』を接続し、仕上げの作業に移行する。
> Operating System Cleanup Complete ...... Restart
直結でドライバーに割り込み汚染されたOSをクラック。同時にアミシアが真っ新な制御プログラムを上書きしながら、自身は|機体《グローザ》のパラメータチューニングに没頭する。
「ちょっと重たいからね。短期決戦だし、サーボの出力を上げておこう」
関節のリミッターを解除して最大トルクと回転数を上げる。こうすれば同型機が相手ならば少なくとも当たり負けはしない筈。
「センサの精度を上げて……多少ピーキーだけど大丈夫、だよね?」
稼働限界を計るパラメータを書き換えて、|強制停止《セーフティ》プログラムを無効化。後は自身の経験と勘で、この子の出来る事を最大限に生かすだけ。
> System all green
> All armament safety release...
> Combat Mode Start up
錫華とアミシアのダブルチェックの結果は|全て正常《オールグリーン》……人間ならばドーピングを重ねに重ねた|特別仕様《アンチェイン》だ。短い付き合いになるけれどよろしく頼むと、錫華はコンソールをそっと撫でた。
「じゃあ行こうか。ここからが本番だ」
途端、轟く機関の音が、吹き荒れる排気の熱量が、|拘束具《ベッド》を吹き飛ばしてマシンを雄々しく立たせる。
この先の悪意を討ち滅ぼす為――狂った|母《プラント》に引導を渡す為に。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『Sk-29『グローザ』』
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POW : 物量作戦
敵より【数的優位性を保っている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
SPD : 包囲殲滅
【敵陣突破】から【後方へ展開する戦術的機動】を放ち、【包囲攻撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 反応装甲
対象のユーベルコードに対し【爆発反応装甲を起爆し、生じた破片と衝撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
飯綱・杏子(サポート)
あの|食材《オブリビオン》を狩ればいいっすね? 任せるっす。
とりあえずヒト型でなければ食うことを考えるっす。
宇宙船やリビングアーマーの類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるっす。
何なら味付けでどうにかするっす。
一応【毒耐性】持ちなんで、毒は利かないっすよ。酔うけど。あと、腐敗も発酵もわたしには一緒っす。
多少の怪我は厭わず積極的に飲み食いします。他の猟兵に迷惑をかける絡み酒はしないっす。また素面の時は、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する絡み酒はたぶんしないっす。
あとはおまかせ。よろしくおねがいするっす!
北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。
●奇襲
「随分と不味そうな奴が相手っすねぇ……」
薄暗い地下施設、プラントへ続く道に屯するグローザの群れを見据えて飯綱・杏子(飯テロリスト・f32261)が呟く。自身も同じグローザ――両手に建材を加工した鈍器を手にして――の中で、識別信号を頼りに狙いを付ける。
「どう見ても食べられる相手じゃないだろう、アレは」
傍らには巨大なキャバリア用実体剣を手にしたグローザ――北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)が駆る機体が。杏子に溜息交じりの言葉を返し、同じく倒すべき相手を見定める。
(無人機か……ならば、言葉は不要)
降りた方が早そうだが、それでは敵味方の判断がつかない。相手は同じ外形……止むを得ずキャバリアに搭乗し、必要な情報と操作を把握して真っ先に飛び出した。
「まともなキャバリア戦は初めてだが……こうすればいいのか?」
その手並みは見事。巨体がもたらす振動を物ともせず、卓越した戦闘知識はマシンに優希斗の動きを重ね合わせ、しなやかな四肢の動きと共に刃をグローザの喉元へ滑らせる。
「おー、中々なお点前……でっ!」
闇からの奇襲。突如現れた優希斗に翻弄されるグローザの真上から、続けて杏子の重たい一撃が迫る。首を刎ねられたグローザへ畳みかける様に、二刀流の鈍器が両腕を地割れめいた大音と共に叩き潰した。爆発反応装甲もろとも、本体を破壊したのだ。
「肉は捌いたら叩いて解さないと!」
「だから食べられる相手じゃあ無いだろ……!」
敵グローザ達は距離を取り迎撃の火線を放つ。敵は少数、包囲すれば十分に殲滅出来るという合理的な判断――確かに、相手が只者ならば。
「矢張り、こういう機械は慣れないな……」
だからこそ、|こういう事が出来る《・・・・・・・・・》。
「――眠れや、眠れ咎人よ」
包囲射撃の弾幕が優希斗のグローザの駆動系に深刻なダメージを与えた。これではまともに動く事は難しいだろう……だからこそ。
「永遠の海の揺り籠の中で、永遠に」
だからこそ、|超常《ユーベルコード》は発露する。途端、優希斗達を囲んだグローザの更に外、無数のマシンの幻影が立ち上がって、幻影の一斉射が続々とグローザを撃ち倒していった。これが優希斗の『|闇技・蒼淵海滅波《アンギソウエンカイメツハ》』――蒼穹を思わせる骸の海が、葬られた過去が再び、現在へ牙を剥く超常。
「やー、今度はミンチよりひでぇって奴っすねー! こんなの――」
燃え盛る炎。規則正しい射撃音は一流シェフの調理の様に。素敵な|調理炎《フランベ》に包まれるグローザをウットリと眺めて、杏子はニヤリと口元を歪ませる。
「こんなの、|欲しく《殺したく》なっちゃうじゃあありませんか」
ぐぁん、と空が軋む音――同時に杏子のグローザの手元には、真っ赤に輝くリンゴの様なモノが現れる。
「なんだそれは」
「べらぼうなヤツっすよ」
手にした真紅は主の願いを叶える魔法の毒リンゴ。その毒の名は――|焼夷弾《サーメート》。
「そぅれ、アップルパイになるっすよー!」
頭上に高々と放り投げられた毒リンゴは光と共に、灼熱の礫を周囲に解き放つ。灼熱は擱座したグローザに纏わりついて、赤々とした炎と共に鋼鉄をドロドロに焼き溶かす。
「これなら……この柔らかさなら可食部も……!」
「火傷するぞ。もういいだろ……」
煌々と燃え盛る様はさながら鋼鉄のバーベキュー。その様を見やり二人は駆け出す。
「あー! まだ食べてないっすー!」
「お代わりは幾らでもあるんだ。進むぞ」
全ての悪を平らげるまで、猟兵の戦いは終わらない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
陽殿蘇・燐(サポート)
バーチャルキャラクターの寵姫×国民的スタア?いいえ、これでも(元)ラスボスな悪女NPCよ。
基本は高性能スマホを利用して、配信しつつの行動になるわね。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用するし、多少の怪我は厭わず積極的に行動するの。これでもバーチャルキャラクターだもの。
悪女たるもの、その行為は健全な世界あってこそなのよ。だから他の猟兵に迷惑をかける行為はないわ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしない。配信垢BANされちゃう。
あとはおまかせ。よきに計らいなさい(思い出した悪女ムーブ)
※
キマフュ出身なので、トンチキでも適応していきます。
●戦場の偶像
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん。ただいま参上……はぁ」
「あらぁ、随分とアンニュイなご様子だ事」
仄暗い戦場にぽつんと佇む巨大な影が二つ。音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)と陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)はバーチャルキャラクターの設定を生かして、巨大な鋼に受肉した。
「企画モノとはいえ、どうしてこんな暗い所で……暗い所は嫌いじゃないけど」
「そんな事言ってると派手な花火が――ってキタキタキタァーッ!!」
派手な花火――否、四体の敵グローザが一斉射で容赦無く二人を攻め立てる。軋む装甲、破裂する地面が赤黒い噴煙を巻き上げて、禍々しい色彩が空間を支配する。
「こんな演出聞いていませんわ! ちょっと! どうなってらっしゃるの!?」
「まあ……いい画が撮れれば別にいいけど……」
たたらを踏む巨体の周囲を小さな影が舞う。鬱詐偽の|超常《ユーベルコード》が生み出した動画撮影ドローンだ。そのレンズは一分の隙も無く、二人の猟兵が翻弄される様を|異世界《キマイラフューチャー》へライブ配信――何故ならば、二人はアイドルだから。
「ちょっと! 熱い! あつぅい!」
「いいですね、私の分も頑張ってください」
嫌ですわ! 叫ぶ燐の憐れな悲鳴も漏らす事無く、ドローンは刻々と真実を配信し続ける。アイドル地獄変……最早演技かどうかすら分からない迫真の表情はリスナーの心を鷲摑み。その声援が自分達の力になっている事を、燐はまだ知らない。
「というか……このままじゃ危ない、かも」
「大丈夫です……遅くなりました」
不意に通信が――いつの間にか一機のグローザが二人の機体の間にそっと現れていた。
「ちょっと怖いけど、やっと動かし方が分かったから……」
それはミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)の機体。キャバリアに乗ること自体はほぼ初めてだが、この世界での戦闘は幾度もこなしている。
「ここから、反撃です!」
叫ぶミスティ。同時に光が――爆光とは違う、柔らかな暖かい光が、猟兵のキャバリアをゆっくりと包み込んだ。
「これは……」
その光こそミスティの超常。自身の体力を引き換えに、全てを癒す『生まれながらの光』――歪んだ装甲は瞬く間に元の通りに、そして。
「映えますわ! つまり、行けますわ!」
「リスナーの応援も十分……ありがとう、ミスティさん」
状態は十全、むしろそれ以上。神々しい光を放つ猟兵のキャバリアは癒しの光を受けながら、その威を示さんと前線に躍り出た。
「それじゃあ……ここをハイライトにしよう」
鬱詐偽の機体が手にした迫撃砲を豪快にぶっ放す。目標は隊列を組んで制圧射撃を続けるグローザの足元――如何に堅牢な機体といえど、足場を崩されれば無事に立つ事は出来まい。狙いは地形の破壊だ。
「ええ、参りますわよ!」
燐の声と共に黒揚羽の群れが舞う。その黒は炎を纏い、燐の機体の手元で漆黒の巨剣と化した。しかし体勢を崩されたグローザは未だ、間断無く迎撃の火線を放ち続ける。
「させません。私は疲れても……」
それを遮る様に前へ出るミスティ。鈍重ながら堅牢な鋼の巨体は、燐へ迫る無数の悪意を撥ね退けた。マシンは未だ無事。ならば、敵の威を削ぐ事ぐらいは出来る筈!
「この子は無事です!」
「その通り! これで仕舞い――!?」
カメラ目線を送った燐の前でドローンが爆散する。爆発反応装甲――この期に及び、敵は自らの装甲を犠牲に最後の牙を解き放ったのだ。
「そう……終い、だから」
だが、装甲の無いグローザなどただのカカシ。闇に紛れた必殺の一射――リスナーの思いを乗せた鬱詐偽の一撃が、一機のグローザのコクピットを撃ち抜いた。
「ナイスですわ! そして!」
これで彼我戦力差は三対三。敵の物量作戦はここに瓦解した。
「クライマックスですのよッ!!」
炎が、赤黒い炎が残るグローザを包み込む。燐の『|炎術:灰塵悪《エンジュツカイジンアク》』は、肉体を傷つけずに対象の邪心や呪詛、悪意のみを攻撃する――つまり。
「これで全部カカシですわね」
「ミッション完了……でいいのよね?」
オブリビオンマシンの邪悪なプログラムのみを攻撃した超常は、その炎が消えると共に鈍色の骸を曝け出す。アイドルは仕事を見事にやり切った。
「はぁ……良かった、みんな無事で」
誰も死んではいない。これから死なす事も無い。その事実に安堵するミスティ。
闇は光によって還されたのだ、全て、あるべき場所へと。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
秋月・信子
●WIZ
…やはり軽快さでは|あの子《ピースメーカー》とは違いますね
『機体の随所に反応装甲が張られた重装甲の機体ですもの。ドン亀とはよく言ったものよ』
モニターの光に照らされている私の身体から浮かび上がる影とそのように会話を交えながら機体を進めていきます
『その分、力比べではこの子の方が上よ。|ドン亀《GROSSER》を|嵐《гроза》に変えるのも、パイロット次第ってところね……熱源反応。ここから気を引き締めなさい』
組立が終わった機体、そうでない機体も|悪意《オブリビオン》を宿しながら迎撃に打って出ましたか
|影《姉さん》からのアドバイス…パイロット次第でドン亀も嵐に…
確かにピースメーカーと同じ戦い方をすればドン亀のままです
ここは装甲の厚さと機体出力を生かして果敢に攻めるべきでしょう
ライフルで応戦しても反応装甲で無効化されてしまいますが…そこが狙い目です
剥き出しとなった装甲にめがけ、こちらの反応装甲をショルダータックルでぶつけて転倒を誘発
追い打ちをかけ、装甲が薄い箇所へ至近距離から射ち貫きます
●進撃
「……やはり軽快さでは|あの子《ピースメーカー》とは違いますね」
薄暗い巨大な通路を移動しつつ、グローザの機体チェックを慣れた手つきでこなしていく秋月・信子(|魔弾の射手《フリーシューター》・f00732)は|いつもと違う《・・・・・・》マシンの手応えに溜息をもらす。
『機体の随所に反応装甲が張られた重装甲の機体ですもの。ドン亀とはよく言ったものよ』
モニターの光に照らされた自身の影の声が脳裏に響く。それは『姉』の声――|超常の発露《ユーベルコード》が齎した奇跡の一端は、信子と同じ様に溜息を吐いて、静かに言葉を続けた。
『その分、力比べではこの子の方が上よ。|ドン亀《GROSSER》を|嵐《гроза》に変えるのも、パイロット次第ってところね……』
普段使いの『ピースメーカー』もそれなりに装甲で固められた機体だが、信子の反応に合わせて機動性をチューニングしてある。一方このグローザは元からピースメーカー以上の重装甲タイプ。OSの書き換えで反応速度を信子に合わせてはいるものの、機体の素性そのものは変えられない。だからこそ、普段とは違う戦い方を心掛けろ……と言う事か。
『熱源反応。ここから気を引き締めなさい』
「ええ。マニューバセット、クロスコンバット」
あわよくば同型機と言う事で見逃してくれるという事は……流石に無かった。それも承知の上、組み込んだ特製の|戦闘機動《マニューバ》をセッティングすると共に、グローザの重々しい駆動音が甲高い悲鳴の様な音へと変わる。
「組立が終わった機体、そうでない機体も|悪意《オブリビオン》を宿しながら迎撃に打って出ましたか」
左右に展開した敵機を見据え、手にした|突撃銃《RSライフル》を静かに上げて。銃口の先、敵も同じ重装甲機。狙うならば至近距離での装甲貫徹――!
「……|エンゲージ《攻撃開始》!」
勇ましい開戦の言葉と共に、鋼鉄の巨兵が火を噴いた。
初撃は信子の優勢だった。それは確かだ。的確に装甲の隙間を狙った三点バースト。これがピースメーカーだったら追い縋る前に一つ、敵機を火だるまに出来ただろう。
「! やっぱり、反応が鈍い……!」
だが思った以上にグローザの動きが遅すぎた。距離を詰める前に撃った弾は敵機の爆発反応装甲に遮られ、迂闊にも背後を取られて反撃の弾雨が襲い掛かる。
『こっちも重装甲だから持っている様なものよ。さあ、どうする?』
再び|影《姉》の声。確かにこの子は乱戦で器用に立ち回れる様な機体じゃない。幸い致命打は受けていないが、時間が経てば敵の数は増える一方……ならば、やるべき事は一つ。
「ええ、ピースメーカーと同じ戦い方をすればドン亀のままです――だから」
チェンジマニューバ――アサルト。ここは装甲の厚さと機体出力を生かして果敢に攻めるべき! 突撃銃を地面に向けて撃ち放ち、その反動で急旋回。よろけたまま、その勢いを正面突破の威力に変えて突き進む。
「この距離なら外しません……!」
行く手を遮る弾雨を掻い潜り、ひたすら突き進む信子のグローザ。逃がしはしない――既に爆発反応装甲を失くした一機に狙いを定め、肩口から思い切りぶち当たる。機体そのものを質量弾とした強引な戦法はそのまま相手をよろけさせ、動きを止めたその間隙に今度こそ銃口を捻じ込み、発砲。内側から爆発したグローザが四散して、その衝撃がコクピットを大きく揺らす。
「せめて、乗り心地がもう少し……」
『ワガママ言ってる場合なの? 次、来るわよ』
分かってる。でも、今の戦いでコツは掴んだ。これ以上同型に負けはしない。
噴き上がる黒煙を背に信子は狙いを定める。狩りはこれからだ、それに。
この子はもうドン亀じゃない――戦場の嵐なのだから。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『VC2『サジッターリオ』』
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POW : ティロ・ヴェローチェ
レベル分の1秒で【サブアームを展開し、搭載兵装】を発射できる。
SPD : フォルマ・デル・ヴィーコロ
【脚部を折り畳み、タイヤを展開。車両形態】に変形し、自身の【悪路走破性】を代償に、自身の【隠密性と、舗装路における機動性と走行性能】を強化する。
WIZ : インボスカータ
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【機関砲や対戦車ミサイル】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
イラスト:エンドウフジブチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
飯綱・杏子(サポート)
あの|食材《オブリビオン》を狩ればいいっすね? 任せるっす。
とりあえずヒト型でなければ食うことを考えるっす。
宇宙船やリビングアーマーの類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるっす。
何なら味付けでどうにかするっす。
一応【毒耐性】持ちなんで、毒は利かないっすよ。酔うけど。あと、腐敗も発酵もわたしには一緒っす。
多少の怪我は厭わず積極的に飲み食いします。他の猟兵に迷惑をかける絡み酒はしないっす。また素面の時は、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する絡み酒はたぶんしないっす。
あとはおまかせ。よろしくおねがいするっす!
●狩人の矜持
「うわ……鬱陶しいのがぞろぞろと……」
ギャラギャラと車輪をかき鳴らすマシンの集団。照明の光も僅かな地下空洞最下層――反響する騒音に顔をしかめる飯綱・杏子(飯テロリスト・f32261)は、先程とは打って変わった軽量級キャバリア部隊をじろりと一瞥。このままじゃ、運動性の差で取りつく事も儘ならない。
「あーいうのは筋が固そうっすからね。だったら」
ならばこっちのマシンも全力で走ればいい。足りぬ速さは――|力《パワー》で補う!
「こんなこともあろうかと、非常食ー!」
シート底部の備え付け緊急用糧食パックをバラリと開いて――目当ての品は乾燥肉。
「こっちもやっぱ固い……でも」
頬張りながら不満げな杏子――だが肉である事に変わりはない。即ち|超常《ユーベルコード》の開放には十分!
「ブッ叩いて解してやればいいっす! そぅれ!」
圧縮されたプロテインが杏子の血となり肉となり力となる――途端、鈍重なグローザは見違える様な速さで全力疾走。凄まじい振動が杏子を襲うものの、|全身の細胞が活性化《フードファイト・ワイルドモード》した肉体はびくともしない。
「そんなタタキじゃ倒れないっす……!」
従来の重装甲が火線を遮り、傾斜させた装甲板が副腕から放たれる榴弾を無力化。炎に包まれたままグローザは一直線――狙いは|敵機《サジッターリオ》の正面モノアイ!
「さあ、今後はこっちから……|解体《バラシ》の時間っす!」
途端、正面の隙間に銃口を捻じ込んで|三点射《バースト》/蹴倒して関節を|白熱刃《ヒートナイフ》で五体に断ち切る。一瞬の攻防――速やかに止めを刺す熟練の狩人の動き。無人機ながらマシンのAIにぞわりと、悪寒の様なモノが走った。
「さぁーて今宵は、鉄・三・昧!!」
グローザの両腕を広げ杏子が宣言する。狩りの時間が始まった事を。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「バトルの時間デース!」
雇われメイド、バルタン! 参上デース!
アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイルは物理系!
遠距離ならば、銃火器類の一斉発射が有効デース!
近距離ならば、武器を展開して白兵戦を挑みマース!
敵の数が多いor護衛対象がいるならば、バルタンズの使用もお勧めしマース!
状況に応じて行動して、他の猟兵のサポートに回っても大丈夫デス!
迎撃、防衛、襲撃、撤退戦。どのような戦場でも参戦OKデース!
指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
勝利のために頑張りマース!
●掃討戦
「Oh……厄介な喧しいのがぞろぞろと……」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は眼前に展開するサジッターリオの群れを見やり、薄暗いコクピット内で溜息を吐く。普段の機体とは違う重キャバリアの取り回しに苦慮し、対する相手は軽量級……車輪をかき鳴らし滑る様に地を駆ける敵機は、その姿を照星に捉えるだけでも難しい。このまま正面からぶつかれば不利である事は明白だった。
「|スコール《愛機》より重くて遅い……デスが」
だからこそ、数多の世界を渡り歩いた彼女の経験がものを言う。機械同士のぶつかり合いなら|これまで幾度と無く圧倒して来た《・・・・・・・・・・・・・・・》――不敵に微笑む戦闘メイドの胸中には僅かな昂りと、絶対勝利の方程式が既に組み上がっていた。
「お勤めに支障はありまセーン! さあバトルの時間デース!」
途端、無数の火線がバルタンのグローザを狙う。サブアームを展開し放たれた嵐のようなロケットの弾幕を掻い潜り、爆炎を振りほどいて向かった先は――主無きマシンの墓標か。そのガラクタの山の上に立ち、バルタンは自らの|超常《ユーベルコード》を発揮した。
「――骸式兵装展開、械の番。|模倣様式・戦闘機械都市《イミテーションスタイル・マザー・コンピュータ》!」
それは|異世界《アポカリプスヘル》の恐るべき力の発露。バルタンの澄んだ声と共にグローザの全身から脈打つコードの束が全周へと放たれて――ガラクタの隙間へ貪る様に入り込んだそれらが、再びマシンの戦う意志に火をつける。
「本来は仲間が乗り込むはずだったモノ……であれば」
戦う意志は力となって、バルタンのグローザを中心に巨大な鋼鉄の威力を顕現した。はち切れんばかりに肥大化した動力が、装甲が、瞬く間に巨大な人型を形作って。
「これでまとめてお掃除、一石二鳥と言う奴デース!」
無数のキャバリアが融合した戦闘兵器――まるでキャバリアの巨人と呼べるような、超越の機動兵器が立ち上がる。その威を止めんとサジッターリオの追撃が再び猛火を放つ。
「Oh……しつこいデス。しかし効きまセーン!」
爆炎が巨体を包み込む――だが、超越の装甲はそれらを意に介さない。立ち上がった機動兵器を止める術はもう、無いのだ。
「それでは、ゴミ掃除の時間デース!」
ターゲット・ロックオン。全身に格納された誘導弾、機関砲、迫撃砲が反撃の牙を剥く。如何に素早く立ち回ろうと、高所から範囲攻撃を見舞われれば回避など出来よう筈がない。着弾と同時に爆ぜ散らかされた無数の鉄塊がガンと衝撃を、オイルの血飛沫が続けて大地を黒く塗りつぶす。そして炎が、戦場を包み込んだ。
「まさに|この世の地獄《キャバリアヘル》、でしょうか」
スンとしおらしく戦況を眺めるバルタン。赤々と燃える炎の中、巨人はただ静かに聳え立つ。
成功
🔵🔵🔴
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
●鋼に酔う
「あー……もう……!」
地下プラントへ潜り込む為に乗ったものの、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は狭いコクピットの中でずっと苛立っていた。
「やっぱりこれ、使い難い!」
ここまで見つからずに来れたのは良いが、このままグローザに乗って戦うなんて自分の流儀じゃない。それに。
「――相手が強ければ強いほど」
敵は鋼の巨体。軽量級とは言え生身の人間が相手にするには荷が勝ちすぎる代物だ。だからこそモニタ越しで軽やかに駆けるサジッターリオを見やり、透乃の心は熱く昂りを告げている。だから。
「燃えるって……もんでしょ!」
バンッ! と威勢よくハッチを蹴り開けて緋色の戦鬼が躍り出る。突然現れた生体反応にサジッターリオは対人攻撃用のSマインをばら撒き、跳ね回る透乃の行く手を遮らんと陣を組んだ。
「遅い! 私の方がッ! 早いッ!」
サブアームを展開しSマインを投射する刹那、軌道を見切って気合いで遮蔽物をブン投げる透乃。空中に跳ねた地雷から放たれる散弾の死角を影が舞い、甲高い跳弾音を響かせながら前へ、前へ。
「――この距離なら避けられないよね!」
あらかじめ進路に投げ込まれた遮蔽物の影より飛び出た緋色は左手の長大な|重戦斧《緋月》を高々と掲げ、正面の鋼鉄の巨人に鉄槌を下さんと雄々しく吼えた。
「喰らえッ! 必殺の! 左ッ!」
力の限り破壊をもたらす『|緋迅滅墜衝《ユーベルコード》』――風を突き破る轟音が戦場に響くと共に、ぐしゃりと重々しい破裂音が大地を叩き割る。
「これで一つッ!」
透乃の着地と共に溢れる爆光。火薬とオイルと鋼が焼き焦げる戦場の臭いが一面に広がって――その災禍を断たんと無数の火線が透乃に迫る。
「まだまだぁッ! 遅いって言ってんでしょ!」
それも織り込み済み。返す刃が、逆袈裟に振るわれた重戦斧の暴風が瓦礫と残骸を巻き上げて即席の壁を形作り、その影を縫う様に緋色が疾る。
「これで二つッ! 次!」
再び振るわれた鉄槌がサジッターリオを鉄屑に変えるのに時間は掛からない。爆光を背に戦鬼が荒ぶる。煤けた髪をかき上げ、ニタリと口を歪ませて。
こんなものでは、到底足りないと。
成功
🔵🔵🔴
クリスティナ・バイエンス(サポート)
火の神の名を持つキャバリアに選ばれたサイキックキャバリア乗り
水着みたいな格好なのは、コックピットが蒸し風呂みたいに熱いから仕方なくだからね
正直キャバリアを降りての戦闘はあまり得意じゃないのよ
でもキャバリアを使っての戦いは任せてね、みんな炎で薙ぎ払ってやるわ
とはいえ、必要ないところで炎を使うつもりはないの危ないもんね
使わなくても私の〔炎神機カグツチ〕は十分強いもの
よろしくね!
●炎刃
「全く、遅いし重いし……」
殺到するサジッターリオの連撃を掻い潜り、クリスティナ・バイエンス(炎のキャバリア乗り・f30044)のグローザはひたすらに前へ進む。そこかしこで爆ぜる榴弾がじわりと機体を焼き焦がし、真っ新だった重厚な鋼は煤けた鈍色に変わり果てた。
「多少頑丈なのは良かったけど、カグツチ程の火力も無い!」
|自身の愛機《炎神機カグツチ》と比較して明らかに劣る|今の機体《グローザ》――それでも、クリスティナの卓越した操縦センスが辛うじて威力を維持する。迎撃の対空砲火がさながら鼠花火の様に鮮やかな火線を描き、返す刃の徹甲弾が僅かに足を止めたサジッターリオを一つ、また一つと容赦なく屠っていく。だが彼我の戦力差は絶対。数で押し切られるのも時間の問題か――。
「空調以外ろくな機能が無いわね。でも」
クリスティナの狙いは各個撃破では無い。わざと外した機関砲が地下施設の壁を抉り、広範に展開したサジッターリオの背後を塞ぐ。積み上がった瓦礫が徐々に、包囲陣形の範囲を狭めれば散らばったサジッターリオは前に出ざるを得ない。既に各機は目と鼻の先――距離を詰めた分苛烈な反撃がクリスティナのグローザを襲うも、致命的な一打は未だに喰らってはいない。重装甲は伊達では無い――そして。
「これだけあれば、十分……!」
トリガーを離し詠唱――カグツチそのものが無くても、|こいつらならこれで十分《・・・・・・・・・・・》! 途端、無手のグローザの掌に凄まじき烈火の威力が顕現した。
「RX焔ノ剣、FCS同期クリア! ターゲット……全部!」
現れた炎は渦を巻き、巨大な真紅の柱と化す。その高熱が空を歪め、センサが一時的に狂ったサジッターリオ達が足を止めた、その時。
「いっけぇぇぇぇ!」
横一文字、鮮やかな炎の軌跡が立ち並んだキャバリアを物言わぬ鉄塊に……否、跡形も無いどろりとした灼熱の塊へ変貌せしめる。一瞬だった。白熱化した鋼が空間を照らし、大地すら溶かす熱量が呻き声の様な鋼の断末魔を響かせて。
「……っと、これ以上はこの子も持たない、か」
半身が玉虫色の鋼と化したグローザの手元から灼熱が消える。一瞬だけカグツチの力を顕現、発動した代償――矢張り、あの子じゃないと本来の力は発揮出来ないか。
それでも、地下に蠢く悪意を屠るには十分。|炎の神《カグツチ》の力は伊達では無い。
成功
🔵🔵🔴
秋月・信子
●SPD
『ここがオブリビオン・プラント化して暴走した秘密プラントね。信子、交代よ』
「地上施設と同じ様に製造された弾薬やエネルギーインゴット炉に爆弾を仕掛けたり、制御装置を弄って反応暴走を引き起こしたりする【破壊工作】ですね」
『グローザは私が操縦してオブリビオンマシンの注意をこちらに向けるから、万事よろしくね』
「ええ、姉さんこそ頼みましたよ?」
さて、ここからが本番ね
グローザの癖は信子の操縦を陰ながら見ていたからだいたい分かるけど、やっぱり馬力はあるけど反応性はピースメーカーの方が上…と
ロードランナーのように車両形態にちょこまかと動くオブリビオンマシンに合わせるつもりはないわ
こっちに合わせて貰うわよ
プラントの破壊活動がてら、グローザの【怪力】を活かして通路を瓦礫で散乱させて悪路を作るわ
で、思うように動けないところを頂きって訳
本当はグローザを乗り捨てるつもりだったけど…よく考えたらOSを書き直してるし、|私達《猟兵》が暗躍した痕跡を残す訳にも行かないわよね?
そんな訳でグローザごと転送で帰還よ
●機亡
荒ぶる炎神の権能が戦場を焼き焦がす。煤けた大気が視界を濁し、バイザーに纏わりついたそれを払いながら、秋月・信子(|魔弾の射手《フリーシューター》・f00732)は息を殺して目標――暴走プラントの元へ歩を進める。
『ここがオブリビオン・プラント化して暴走した秘密プラントね――!』
「姉さん!?」
|超常《ユーベルコード》が齎す二重身、姉なる影にグローザを任せた信子は無線越しの爆音に心が揺れる。大丈夫よ――戦闘だけなら姉さんの方が上手。自らを奮い立たせ、一拍置いて状況を精査する信子。敵部隊は大半が猟兵の猛攻で殲滅された。残りは単機でも十分だ……問題はプラントの破壊工作に時間が掛かる事。
『っと……中々にしぶといわね。大丈夫よ、信子』
「すいません。こちらもようやく目標地点に着きました」
健在な姉の声に安堵する。どうやら車両形態に変形したサジッターリオの旋回包囲に手を取られたらしい。
『了解。グローザで私がオブリビオンマシンの注意をこちらに向けるから、万事よろしく』
「ええ、姉さんこそ頼みましたよ?」
通信終了。言い切るという事はそういう事なのだろう。ならば私は、私が成すべき事をするまでだ。
『さて、ここからが本番ね』
レーダーに映る光跡が目まぐるしく位置を変える。ロードランナーの様にちょこまかとよく動く……だけど。
『合わせるつもりは無いわ。|合わせて貰うから《・・・・・・・・》』
宣戦と同時にスティックの|登録行動《プリセット》を操作。OSを書き換えたとはいえ、馬力はあるけど反応性はピースメーカーの方が断然上。ならば追い回すより払い落とす方が|この子《グローザ》には向いている。
『照準セット、ファイア』
狙いはサジッターリオでは無い。地下プラントを構成する建材――狙い所を間違えれば崩落しかねない、頑丈な鋼鉄の柱を削る様に、グローザの迫撃砲が雄々しく白煙を撒き散らした。
『――――!!』
途端、崩れ落ちた鉄塊が大地を揺らし、サジッターリオの視界と進路を続々と塞いでいく。刻々と変わりゆく地形、轍を残したなだらかな平地から凹凸まみれの荒地に変貌した戦場で、サジッターリオは止む無く足を止めた――その時。
『残念ながらコースアウトよ。お疲れさん』
峻烈な一射がコクピットのある中枢を穿つ。高速徹甲弾――書き換えたOSで制御された精緻な一撃がまずは一つ、無人の悪機の息の根を止めた。
『悪いけどここはサーキットじゃ無いのよ』
グローザの連弾が続々と鉄屑の山を積み上げる。刻々と変わる戦場に対応出来なければ死あるのみ……そんな基本も分からない無人機にやられるほど、|姉《影》の腕は鈍らでは無い。
『馬鹿ねえ、だからと言って脚を生やしたら』
車両形態ではこの地形の踏破は不可能。だが足を止めれば最後、|のろま野郎《グローザ》の逆襲が始まる前に機体を歩行形態に変形させなければ――その判断が、サジッターリオの最後の命取りとなる。
『狙い撃ちじゃ無いの。まるで射的の的だわ』
僅かに挙動が緩んだ瞬間、再びマシンに火の手が上がる。最早この戦場に、猟兵を止められるモノは無い。
「姉さん、お待たせしました。こちらの作業は完了です」
『あら、思ったより早かったわね』
信子から姉へと通信が入る。幸い敵機は粗方片付けた。タイミングとしては最良だったが……これ程の規模のプラントをこの短時間で破壊する段取りを終えたとは、訝しむ姉に信子が苦笑交じりに言葉を返した。
「同業者の手を借りました。本職の|工作員《エージェント》の方がいましたから」
『成程。こちらも同業者の手で退路は確保されてるわ。さて……』
潜入時に同道した味方か――いつの間にか潜入工作を行い、もう一人は殿を務めて戦域の拡大を食い止めてくれていた。これほど助かる話は無い、と息をついた所で、グローザのコクピットハッチが勢いよく跳ね上がる。
「只今戻りました……と」
『おかえりなさい』
影は信子の身体へと戻り、コクピットには一人信子のみ。後は撤退するだけだ……二人掛かりで狭い思いをする必要も無いだろう。それに。
『本当は乗り捨てるつもりだったけど……よく考えたらOSを書き直してるし、|私達《猟兵》が暗躍した痕跡を残す訳にも行かないわよね?』
「それじゃ――」
グローザごと転送で帰還。激しい爆発音を背に、柔らかな光がグローザごと信子の身体を包み込んだ。
プラントは破壊された。これでもう、暴走したキャバリアがいたずらに戦火を広げる事は無いだろう。
公には事故として処理されるだろうが……いや、それでいい。
万事を知る事が幸いでは無い。特に|災厄の種火《オブリビオンマシン》が絡んだ、こんな事件ならば。
大成功
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