2
大蛇は隠し芸がお好き

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




●あるひ、いずみのなか。
 暇だ!
 暇で暇で仕方がない!
 なにが『広い水辺や沼は大蛇がでるから近づくな』だ。そんなこと子供に教えてくれるな。お陰でこちらは暇をもて余してしまっているではないか。
 最近では話し相手に話す内容もマンネリ化してきてしまっている。
 人が上機嫌で話している内容を『それこの間聞いた』で一蹴される気持ちがわかるか。
 ……あぁ、暇だ。誰か来てくれないものか。

●第一回、大蛇の大蛇による大蛇のための隠し芸大会
「ここをこーして、こーすると……あにゃあ?」
 グリモアベースの片隅でセブンス・エデン(タマちゃんって言わにゃいで・f11788)が紐を使って何かをしている。
 どうやら結び目を作り、紐の端と端を引っ張ると結び目がほどけている! という手品のようだが、上手くいっていないようだ。他にも様々な手品グッズが目の前に堂々展開している。
 何をしているのだろう? 誰かが声を書けようとすると、セブンスはピョンと立ち上がって周囲にこう呼び掛けた。
「手品とか隠し芸とか、そんなのが得意か猟兵はいないかにゃ?」
 手品。隠し芸。心当たりのある猟兵がちらほらと集まってきたのを確認すると、セブンスは『まずこれを見てほしい』とチラシを見せてきた。
【第一回! 大蛇の大蛇による大蛇のための隠し芸大会! 参加者募集! 年齢性別種族職種不問!】
 ……えーと?
「アックス&ウィザーズの、ある森のなかの泉の大蛇が暇をもて余してるそうなのにゃ」
 この大蛇。もちろんオブリビオンなのだが、この地方の住人達は『広い水辺や沼は大蛇がでるから近づくな』と教えられて育っているため、泉に近づくことがほとんどないらしい。
 被害がでないのはよいことだ……と思ったらそう簡単にはいかないようで、大蛇は暇をもて余しているらしい。
 大蛇に戦ったり、人々に害意を及ぼす気は今はないらしく、彼いわく『とにかく暇だから誰か楽しませに来てくれないか』との事。
 ちなみにこのチラシは話し相手をやってる妖精さんの手作りだ。
「というわけで、みんなには大蛇を楽しませにいってもらいたいのにゃ」
 大蛇は心から楽しんだら満足して骸の海に還っていくようだ。
「ただし、大蛇を満足させられるか、妖精さん達のチェックがあるのにゃ。チェックを通過して大蛇のとこにたどり着いたら『隠し芸バトル』になるにゃ。がんばってほしいにゃ」
 つまり予選と本選があるらしい。レパートリー多目でいった方が良さそうだ。
「それじゃあいってらっしゃいにゃー。あたしはここでもうちょっとこれを……むむむむ。」
 猟兵を見送ったあと、セブンスは再び紐の手品に向き直るのだった。


樹志岐
 手品はできませんが、料理は得意です! 皆様ごきげんよう、樹志岐でございます。
 今回は暇で暇で仕方ない大蛇さんを満足させるシナリオです。

 【第1章】
『花と星の妖精』
 普段は大蛇の話し相手をしている妖精さんたちです。
 今回は皆様の芸が大蛇を満足させられるか? を試す審査員です。
 攻撃はしてきませんが、ユーベルコードを使用した隠し芸バトルを仕掛けてきます。

 【第2章】
『水の大蛇』
 オブリビオンの大蛇です。
 本来なら水辺を通りかかった人々などを襲う脅威……なのですが、この近辺の住人たちは英才教育を受けているため大蛇のいる泉に近づきません。
 結果、暇で暇で仕方ないので何か暇潰しを探している。といった有り様。威厳どこいった。
 こちらもユーベルコードを使った隠し芸バトルを仕掛けてきます。

 【第3章】
 大蛇の住まう森を散策できます。

 【その他】
 ユーベルコードの使用等自由です。使用しなくても技能とプレイングによっては大成功もあります。
 第2章から参加されるお客様は『描写はされなかったものの、妖精さんの試験を通過した』扱いとして描写します。

 それでは、みなさまの隠し芸をお待ちしています!
31




第1章 集団戦 『花と星の妖精』

POW   :    花を操る
自身が装備する【色とりどりの花】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    森の恵み
【食べると幻覚が見えるキノコ】【硬く巨大なきのみ】【どっしりと実った果実】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    星詠み
【占い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【様々な結果】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 きた? きた!
 ひとだ! いっぱいひとだ!
 まってた まってたよ!
 へびさんのおはなし あきちゃったの
 おはなし つまんないの!
 わたしたちのかわりに へびさんのおはなしきいたげて!
 ぼくたちのかわりに へびさんをたのしませてあげて!
 でも? でも! へびさんのとこにいくにはまず わたしたちが『しんさ』するよ!
 きみはどんなことができる? ぼくたちにみせてよ!
村井・樹
何はともあれ、まずは妖精さんを満足させなければ。

……えっ、メメ君が出たいんですか?
別に良いですけど……それなら『不良』には後で、大蛇の前で『別の仕事』をして貰いましょうかね?

オペラツィオン・マカブルを発動

偽メメ君を用いた『人形劇』を披露しましょう
本物の、UDCのメメ君にも協力願います

「今日は、私の友人を連れてきました。メメ君とメメちゃんです!どうです?二人とも可愛いでしょう?」

偽メメ君の方は、私の『ロープワーク』で本物の動きを再現しましょう

「さて、ここで質問です。メメ君とメメちゃん、どちらが『お人形さん』でしょう?」

『言いくるめ、誘惑』で、彼女達の心を此方に引き込みます

※アドリブ、絡み等大歓迎


春霞・遙
入院してる子たちを楽しませるヒントがないかなって参加してみました。オブリビオンさんのも他の猟兵の方のも楽しみです。

普段ちっちゃい子に見せている程度の物で妖精さんと似た出し物にはなってしまいますけど、折り紙で色々な花や動物を折って、それを【仕掛け折り紙】で動かして見せようと思います。
動かすだけではつまらなさそうだったら、よくある昔話みたいな物語を折り紙で再現してみる、かな。折り紙なら割と自由に色々なものが作れるので劇もできますし。

アドリブ・協力喜んで。



 楽しげに歓声をあげながらくるくる飛び回る妖精を村井・樹(Iのために・f07125)は微笑ましげに眺めている。
 他でもない敵対すべき相手ではあるが、こういう可愛くて健気なものを見ていると【僕】も喜ぶだろうか、見せてあげたいと思ってしまう。
「何はともあれ、まずは妖精さんを満足させなければ」
「そうね。……入院してる子たちをを楽しませるヒントがあればいいんだけど」
 呟いた樹にあれこれ思案を巡らせながらそんな風に答えたのは春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)。彼女は小児科の医師だ。
 何よりも子供のことを思う彼女は妖精たちに自身の患者達を重ねて見ているのだろう。
 妖精が二人の視線に気付き首をかしげた。
『おー? なんだー? ちょうせんしゃー?』
 二人がうなずくと妖精たちは歓喜の声をあげる。なんだかんだ、芸を持つものの来訪を一番待ち望んでいたのは彼らだったのかもしれない。
『じゃあまずわたしたちからいくね!』
 女の子の妖精がスイスイと泳ぐように猟兵の間を飛び、どこかへと消えていく。
 その直後、時間にして一分もたたないうちに妖精は戻ってきた。手にはたくさんの果実が、甘い香りを漂わせている。
『みてみて! わたしはおいしいきのみをみつけるのがとくいなの!』
 おひとつどうぞ、と差し出された果実に歯を立てると皮が弾け、みずみずしい果汁が口のなかに広がる。
『あなたたちはなにがとくい?』
 期待に満ちた目で彼女たちはこちらを見ている。
 【紳士】としては期待に応えない訳にはいかないだろう。予め【不良】とは打ち合わせ済みだ。
「そうですね、私の出し物は……、」
 その言葉は紫の影に遮られた。
 犯人は樹と協力関係にあるUDC、メメ君だ。ちなみに目がいっぱいあるからメメ君なんだとか。
「えっ、メメ君が出たいんですか?」
 でも今回は不良に頼んであるし……。断ろうとするがメメ君は断固譲らない。
「いいんじゃないですか? 私の出し物とうまく合わせられそうですし。たとえば、『それ』を使うとか」
 遥はくすくすと笑いながら、樹の持つ『あるもの』を指差した。

『はやくしてよー!』
 緊急の作戦会議で妖精達のブーイングが聞こえ始めた頃。二人の出し物はようやく始まった。
「はい、では今日は私の友人を連れてきました。メメ君とメメちゃんです!」
 樹の背後から現れたのは全く同じ容姿、同じ動きをする二つの謎生物。
 片方はUDCのメメ君で、もう片方はそれを模した人形の偽メメ君だ。
「メメ君とメメちゃんにはお友だちが沢山います。ほら、ここにも、そこにも」
 遥が言葉を挟むと白衣のポケットや妖精の側の草むらから顔を覗かせたさまざまな動物の形の折り紙。
 本来命を持たないはずのそれらは、遥の語る昔話に合わせて楽しげに飛び回り、走り回り、時に妖精たちにちょっかいを出したりしてみせる。
 それが不思議で、それでいてとても楽しくて。好奇心旺盛な妖精たちは折り紙に心を奪われ、メメ君と心を通わせようとおっかなびっくり近づいてはメメちゃんが大きく口を開けるのを見て一目散に距離を取るのを繰り返した。
『すごいね! すごい! こんなどうぶつみたことないや!』
『まるでいきてるみたいだね! わたしたちもうごかせるようになるかな?』
『かみでどうぶつができるの? やりかたをおしえてよ!』
 もはや隠し芸と言うよりもワークショップに近い雰囲気だが、これはこれでいいのかもしれない。
「さて、ここで質問です。メメ君とメメちゃん、どちらが『お人形さん』でしょう?」
 手品にはネタばらしも必要だったりする。樹は最後に妖精たちにこう訊ねた。
『おにんぎょうさんだったの!?』
『どっちもほんものだよ! そうでしょ?』
『そうだそうだ! ぼくらにとってはどっちもほんものだよ!』
『おりがみ? のどうぶつさんたちもほんもの! みんなほんもの!』
 本物の楽しい時間を過ごせた妖精たち。一次審査は満場一致で通過であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イリーツァ・ウーツェ
(飽きちゃった発言に対して)正直は美徳だが、残酷だな……。
こういうのは友人の方が得意なのだが、私でも出来ることはある。
気取られぬようUCを使い、周囲の地面を支配下に置く。
そして土を操り、ちょっとした人形芝居をしてみせよう。
そうだな……三十センチほどの泥で出来たドラゴンに、十センチほどの泥で出来た勇者が立ち向かうシーンなんてどうだ?
フェアリーにはちょうどいいサイズだろう。
風と砂を操って、ドラゴンのブレスまで再現できるぞ。
勇ましくも勇敢な人形劇をお目にかけよう。



(『飽きちゃった』、か……正直は美徳だが残酷だな……)
 素直すぎる妖精達の発言にイリーツァ・ウーツェ(不死盾・f14324)は深く長いため息をついた。
『ためいきつくと、しあわせにげてくぞおっさんー』
『そうだよおじさーん』
「心配ありがとう。だが俺はまだ25歳だ」
 丁寧に訂正すると妖精達は驚いたように固まった。どうやらそこまで若いとは思わなかったらしく、数名で身を寄せあってヒソヒソとなにかを話始めている。
(なんだろう、とても気を使われている気がするぞ)
 しかし妖精達の気がこちらに向いていないのは好都合かもしれない。
 ひそかにユーベルコードを発動させ、周囲の地形の支配権を得れば、ちょうど緊急会議を終えたらしい妖精達がイリーツァに話しかけてきた。
 その様子は恐る恐るといった具合だ。
『あのね、えっと……、さっきはごめんね、おにいさん?』
『これね、わたしたちからのおわびです』
 小さな妖精達の手の一つ一つには森のなかに咲いていたのだろう、かわいらしい花が握られている。
 彼らの芸のひとつ――ユーベルコードで召喚した花を思い思いに操る物――で呼び出した花なのだろう。
 妖精達がそれを持つと雨傘のような大きさで、『まさしくファンタジーな世界なんだなぁ』とどこかぼんやりと考えてからハッと我に帰った。
「いや、俺こそ。ところで隠し芸を見せに来たんだが少し下を見てくれないか?」
 言いながらイリーツァは下を指差す。
 好奇心の塊である妖精達が素直に下を向くと、足元には小さなドラゴンとそれに立ち向かう勇者の泥人形があった。
「さぁ、ドラゴン討伐にやって来た勇者。ドラゴンはやられまいとその大きな口から火を吐き出す。しかし勇者には精霊から賜った盾があり、ドラゴンの火を易々防いで……」
 イリーツァの物語りに合わせて勇者とドラゴンが動く。勇者のもつ剣の装飾や、ドラゴンが吐き出す炎まで再現された手の込みようだ。
『すっ……ごーい!』
『がんばれゆーしゃ! まけるなドラゴン!』
 ぽかんと口を開けていた妖精達はいつしか泥人形を囲み、彼らの戦いに声援を送る。
 これが結構ウケたようで、勇者はドラゴンを打ち倒したあとに、さらわれた姫を助け出して無事ハッピーエンドを迎えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


『ぼく、おもったことがあるんだ』
 一人の妖精が指をからめ、肘をついて神妙な面持ちで語りかける。
 そんなピリリとした空気にほかの妖精も『遊んでいる場合ではない』と手を止め足を止め、彼が重たい口を開くのを待つ。
『かくしげいのしんさ、あますぎじゃない?』
『そっ、そんなことないよ! ちゃんとまじめにやってるもん!』
 身内からの思わぬ指摘にあわてふためきながらも必死に弁明をしようとする。
『たしかにみんなすごい“げい”をもってるよ? でもそれにたいするぼくらのはんのうをおもいだしてごらんよ』
 そう投げ掛けられ、妖精達はそれぞれ、過去の三人の芸とその反応を思い起こしてみる。
『……。』
 結果、なにも言い返すことが出来ないと思い知らされることとなった妖精達の間に長く深い沈黙が訪れる。
『ね? これのだかいさくはただひとつだよ』
『つぎのしんさは!』
『からくちでいく!』
『がんばるぞー、おー!』
 一致団結し拳を天に突き上げる妖精達だが、その決意はどれほどのものだったのか……?
アーサー・ツヴァイク
※アドリブ共闘大歓迎

隠し芸か…任せろ!
使う武器はバスターホーンとライドラン、それとスライスネッカーだ。まあ、見た目はただの盾とバイクに、マフラーだ。
だが、俺が一声かければ…バスターホーンはハンマーに、ライドランはランスに、そしてスライスネッカーは鎌になるんだぜ!
更に【アニマル・カーニバル】の力で…出てこい!
バスターホーンからは白亜のユニコーンケモノイド【ヴァイス】を、ライドランからは蒼穹のドラゴンケモノイド【ザフィア】を、スライスネッカーからは紅蓮のスネークケモノイド【ロート】を召喚だ!
どうだい、武器から出てくるとは思わないだろ?
サイズも近いし皆良い子だ、よかったら仲良くしてくれよな!



 決意も新たに挑戦者を待ち構える妖精達。
 その目の前に現れたのは赤いマフラーを棚引かせたアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)だ。
 自身に満ち溢れた表情は『正義のヒーロー』と呼んでも差し障りはないだろう。
 その堂々たる佇まいに妖精達はキラキラと目を輝かせて……ふと思い出す。先程の決意を。
『ひーろーみたいなみためで、しんさをパスしようたって、そーはいかないんだからな!』
「いや、そんなつもりはないんだけど……」
 妖精達の決意をその場に居合わせなかったアーサーが知る筈もなく、ただ苦笑いを返す。
 しかし根の素直さや真面目さが言葉の端々から滲み出ている。非道になりきれない、といったところだろうか。
 ともあれ、アーサーは自分の持ち物のなかからいくつかのアイテムを妖精に見せる。
「これはなんだと思う?」
『まふらー!』
『たてー!』
『ばいくー!』
「うんうん、ただのマフラーに盾、バイクだ。そう見えるよな」
 だが面白いのはここからだ。よぉく観ておいてくれよ、といたずらな笑みを浮かべる。
「いくぜ! 悪を打ち破る光となれ!」
 ただ一言。それらはアーサーの声に共鳴するように震えると眩い光を放ち辺り一面を包む。
 その光はやがて少しずつ収まっていき、恐る恐る目を開くと眼前にはマフラーも盾もバイクもなく、代わりにマフラーの色に似た鎌、盾の圧をにじませたハンマー、風を切り走るバイクのように何物も切り裂く槍があった。
 ポカンと思考停止した妖精達だが、ハッと我にかえるとまだ強気の態度を崩さない。
『ふん、へんけいくらいでぼくたちはおどろかないよ!』
「だろうな。でも『面白いのはまだ終わってない』ぜ? 【Select…BEAST ACTION!】みんな…俺に力を貸してくれ!」
 それは彼の持つユーベルコードを起動する為の合言葉。
 彼の声質、音程、その暗号を受けて武器はぶるりと震える。
 それは神話の中の、石に変えられた者達がその呪縛から解き放たれるかのように。
 マフラーだった鎌は燃え盛る赤を思わせる蛇へ、盾だったハンマーは何にも汚されぬ白きユニコーンへ、そしてバイクだった槍は清きを称えるドラゴンへと。
 ただのアイテムだった武器が。意思を持つ個体へとその身を進化させる。
「どうだい? まさか武器から出てくるとは思わなかっただろう? 皆いい子達だからさ、良かったら……って、」
 あれ? とアーサーは首を傾げる。
 妖精達が一様に俯いているのだ。中には肩を震わせているものもいる。
 なにか、なにか悪いことをしてしまっただろうか。緊張が辺りを支配する。
 やがて、絞り出すように声をあげた妖精達は、震える声を押さえながらただ一言こう言った。
『ずるい』
『ずるい! こんなんかちめないじゃんかー!』
『わたし、ゆにこーんなんてはじめてみた! さわっていーい?』
『たいじゃさんよりやさしそーな
めをしてるね!』
『すごーい! ながーい!』
 “辛口評価”はどこへやら。三頭は瞬く間に妖精らの人気者となりもみくちゃにされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ええい、やかましいわ! なにごとか!』
 妖精達の歓声をやや不機嫌そうな声が諭す。
 それは『水』だ。意思を持ち、蛇のように体をくねらせた水は紅く光る瞳をこちらに向けている。
 普通の人ならば恐怖に立ちすくんでしまうことだろう。君たちがそうならなかったのは猟兵だからか、それとも――、
『へびさん! へびさんだ!』
 この妖精達のお陰か。ともあれ妖精達は『水』をみて『へびさん』と呼んだ。
 つまりこれこそが暇をもて余している大蛇なのだろう。
『あのね、わたしたち、へびさんのためにひとをよんだんだよ!』
『みんなすごいひとたちばかりだよ! へびさんのひまも、かいしょうできちゃうかもよ!』
 妖精達の拙い説明に『ほぅ、』と短く答えて、君達を値踏みするように見やる。
『ならば楽しませて貰おうではないか、忌々しき者共よ。我はそこな小さき者達のように甘くはないぞ』
 大蛇の言動に君たちが感じたのは威圧感だったかもしれない。
 しかし一次審査をクリアした君たちならきっと、目の前のオブリビオンを満足させることができるだろう。
 さぁ、君たちの本気を見せてやれ!

『あまくない、っていうけどぼくらにはあまあまだけどねー』
『おいしいきのみのあるばしょとか、おしえてくれるもんね』
 ねー。
『えぇい! 聞こえているぞ!』
村井・樹
『不良』、今度こそ『アレ』をやりますよ

「俺の出番はさっきメメに譲っただろ」ですって?
いえいえ、とんでもない
とっておきは、ここぞという時に見せるものでしょう?

修羅双樹を発動

『紳士と不良』と蛇さんでお喋りします

「初めまして、大蛇さん。『紳士と不良』です。
私が『紳士』の村井です。隣にいる彼は……あれ、どちら様です?」
と、私がボケ

不良には「もうわかってるだろ!『不良』だっつーの!他人の振りすんな!……人畜無害そうなこいつの空気に騙されるなよ、蛇。」
と、相槌を打っていて貰います


ここは我々の世界に大蛇を引き込むためにも、『言いくるめ、誘惑、催眠術』の使い所でしょうか?


後は流れで。

※アドリブ、絡み等大歓迎



『さて、最初は誰だ?』
 大蛇の問いかけに対し、真っ先に前に出たのは樹だった。
 ――今こそ『アレ』をやるときだ。
 【紳士】が【不良】にそう投げ掛けると不良は心底嫌そうな顔で紳士に答える。
『俺の出番はさっきメメに譲っただろう?』
「いえいえ、とんでもない。とっておきはここぞと言うときに見せるものでしょう?」
 【紳士】は口が上手い。こういうとき、いつも言い負かされるのは【不良】の方だ。
 今回も、なんやかんやうまいこと言いくるめられてしまった不良は渋々首を縦にふった。
「はい、というわけで。はじめまして大蛇さん。『紳士と不良』です」
 自分でぽすぽすと拍手をしながら中腰で登場し、やけに軽快なトークを始めた【紳士】。その後ろからどことなく億劫な空気を漂わせて着いてくるのは、紳士によくにた背格好の【不良】だ。
 同時に存在することが出来ない彼らはユーベルコードを駆使して同じ時、同じ空間にこうして立っている。
 そしてそんな彼らが見せる演目は、ズバリ漫才だった。
「私たちは所謂多重人格でして。私が『紳士』の村井です。隣にいる彼は……あれ、どちら様です?」
 紳士のボケに不良が噛みつく。
『もうわかってるだろ! 『不良』だっつーの! 他人の振りすんな!』
「えー? 自分で不良とか言っちゃうのですか? 不良なのは態度ではなくておつむなのでは?」
『余計な世話だ! 頭もよくはないが悪くもないっての!』
 大蛇が漫才の世界に入ってこれるような言い回しや空気感をつくりだすことを心がけ、テンポよく漫才を続けていく。 が、あるタイミングで大蛇は一言、『もういい』と発した。
『もういい。頭がおかしくなったものとその同棲者よ。これをやるから速やかに摂取し身体を休めよ』
 そういって大蛇が差し出したのは薬草の類いのもの。確か効能は……、
『……気付け薬を渡されたぞ、紳士』
「これは……、想定外でしたね」
 大蛇に漫才は難易度が高かったのか、ボケをボケと理解できなかったようで、『頭がおかしくなったもの』を見ていられなくなった大蛇の精一杯の優しさを受け取った樹はその場を後にしたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※アドリブ大歓迎

【アニマル・カーニバル】でさっき呼び出した3体のケモノイド、そして1体のケモノイドを追加召喚だ。射撃武器のレイシューターから、銀翼のイーグルケモノイド【ジルバ】を召喚!

さっきと同じ? ノーノー、本番はこれからだぜ!
行くぜ、新技…サンライザー・召喚!!

俺のコールに合わせて、ケモノイド達は合体ロボットに変形する! 上半身に【ヴァイス】、下半身に【ザフィア】、腰部に【ロート】、そして背中の翼に【ジルバ】を装着…!

完成! サンライザー・トリコロールジェット!!

どうだ! 武器から動物に、更にはロボットにまでなるんだぜ!
ちなみに組み合わせ次第で名前は変わるが…尺がないのでまたの機会だ!



「よし! 次は俺の番だ!」
 続いて名乗りをあげたのはアーサーだ。先ほど妖精達に見せた動物(ケモノイド)はそのままに、さらにもう一体、新たな仲間を呼び出した。
 射撃武器から現れたのはどんなものも射抜く鋭い眼をした銀翼の鷹。
『ふん、対したことはない。これでは
妖精どもから聞いたもの、そのままではないか』
 大蛇が鼻を鳴らす。
 それを受けアーサーは不敵に笑いながら指を左右に揺らした。
「さっきと同じ? ノーノー、本番はこれからだぜ!」
 そう、これはまだ序章に過ぎない。『その時』をケモノイドたちは今や遅しと待ち構えている。
「ヴァイス、ザフィア、ロート、ジルバ……いくぜ! サンライザー召喚!」
 それぞれのケモノイドの名を呼び、ただ一言。アーサーが大空に向かって叫べばその声に答えるかのようにケモノイドたちは姿を変えていく。
 ドラゴンであったザフィアが変形した強靭な足に、ユニコーンであったヴァイスの美しい上体。それらを腰部で支えるのロートはまるでチャンピオンベルトベルトを彷彿とさせる姿へとその身を変える。
 最後に背面に美しい銀翼……ジルバの翼がつけば
「完成! サンライザー・トリコロールジェット!!」
 アーサーのキメポーズとともにトリコロールジェットもポーズをキメる。背面から土煙を巻き上げ爆発したような音が聞こえたが、きっとそれは気のせいではない、はず。
『これは……、鉄でできた人形……か?』
「ロボットって言うんだけどな! ちゃんと戦えるんだぜ。しかも組み合わせ次第で名前も変わるんだ!」
『ほう、ろぼっと。これはまた面妖な』
 大蛇の言葉は固いものであったが、その目は面白いものを見つけた子供のように輝いているのをアーサーは見逃さなかった。

 トリコロールジェットとアーサー、大蛇と妖精を交え最後に全員でポーズを取れば、気難しそうな顔のなかにも満足げな雰囲気を感じられたかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
【悪霊祓いのまじない】を真面目に演じて奉納演舞みたいな感じにしてみようかな、と思います。
大蛇はUDCアースでは神様として祀られていたりもするんです。そして、神様を楽しませるためにお祭りをしたり舞を見せたりするんですよ、という他の「世界知識」の簡単な紹介を前座に「早着替え」で白いローブの真の姿になります。

ハシバミの枝に炎を灯して、言霊を詠唱して、この土地の永き平和への「祈り」を込めて舞いましょう。最後に地面に枝を落として地脈の流れを可視化しておしまい。

よく蛇神や龍神は川の象徴、水神として崇められるし、本来のこのまじないも水脈を見つけるためのものだから大蛇を照らすかもしれないですね。



「ご存じですか?」
 興奮覚めやまぬといった具合の大蛇の前に、遥はこう話を切り出す。
「“ある地域”では、あなたのような大蛇を神様として祀ったりしているんです。そして、神様を楽しませるために様々な祭りをしたり、舞を見せたりするんです」
 彼女が語るのはUDCアースやサムライエンパイアといった世界での風習。
 異なる世界が交わることはない。異なる世界の出来事はこの世界達の仕組みに合わせて改編されて大蛇の耳に入った。
 ――神の御前に立つのならば、それ相応の服装でそれ相応の敬意をもって。
 いつの間にか純白のローブを身に纏っていた遥が大蛇の前で頭を垂れれば、興奮していた大蛇もさすがに真剣な表情へと変わる。
「『夏至の夜を汚す悪しきものを追い払え、聖なる炎を消す水の流れを探し出せ』」
 凛とした声色で詠唱し、手にしたカタバミの枝に灯を点す。

 この世界が何者にも脅かされませんように。
 この世界が、永く続いていきますように。
 大蛇と呼ばれるこのモノの気持ちが、少しでも晴れますように。

 一つひとつの動作に永き平和への祈りを込めて、何者にも汚されぬ白が舞う。
 大蛇に……、オブリビオンにとって『人』とは小さくて弱くて、愚かな生き物であるのだろう。
 この舞いが始まるまで、大蛇もそう思っていた。しかし、ここにいるものたちはどうだろう。
『……美しい』
 目の前で舞う小さな白は今までに見たどの宝石よりも、どんな風景よりも美しいと。
 思わずそんな言葉がこぼれ落ちるほどに、大蛇の心は満たされていた。
 最後にカタバミの枝を地に落とすと、この土地を取り巻く地脈が誰の目にも解るように、炎のように一瞬揺らめいた。
『見事だ、人よ。お主は巫女の家系であったのか?』
「そんな、とんでもない。私はただの医者ですよ」
 ――これからの時代を担う、こども(たからもの)たちを助けるお医者さん。

成功 🔵​🔵​🔴​

ケイ・エルビス
プラシオライト(f15252)と参加
愛称「シオ」
「名付けて空中銃舞!信頼関係の為せる業を披露するぜ」

愛用銃はアサルトウェポン
弾は空砲と色の綺麗な煙幕弾
撃ち合い避け合う曲芸を披露

存在感あるガンアクションなら任せてくれよ
曲芸撃ちも朝飯前さ

舞台は地上から空へ
宙を舞うシオをオレが追うぜ

シオの補佐と合わせUCスカイ・ハイで連続空中ジャンプ
空中戦のように飛び回る
煙幕の色もお祭りみてえだろ

最後は蛇の前
シオの身体に鞭を絡ませ捉え
映画のように抱き合う形に

互いに銃口を当てた後
二人共姿を消し銃声が響く
地上で姿を現し一礼
「本当に実践しちまうなんてセンスあるよシオ。
ドキドキしてるのは多分慣れない事をしたからだろうな」


プラシオライト・エターナルバド
ケイ様(f06706)と参加
それでは大蛇様、ご覧下さいませ

愛用銃はエレノア
空砲とケイ様と同じ煙幕弾を使用
打ち合わせ通りに
ケイ様のガンアクションに合わせる

舞台は地上から空中へ
私が追われる役
ケイ様を翻弄するように、念動力で宙を舞う
クリスタライズで姿を消したり現したり

ケイ様のジャンプも補佐
大蛇には見えないように
時折トリックスターで足場を作る

クライマックスは大蛇の目の前
最後はケイ様に捕まり抱き合う形に
互いが互いに銃口を当てる
直後、二人共クリスタライズで姿を消す
鳴り響く銃声
二人は地上で姿を現し、一礼

お付き合い感謝致します、ケイ様
なるほど…
私もいつもより胸が高鳴る気がするのは、そのせいですね



 さぁ、次は自分達の出番だと。
 意気揚々と名乗りをあげたケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)の、やや後ろを付き従うようについて歩くのはプラシオライト・エターナルバド(かわらないもの・f15252)
「俺たちの出し物は名付けて『空中銃舞』! 信頼関係の為せる業を披露するぜ」
「それでは、大蛇様ご覧くださいませ」
 まるで対照的とも思える二人は互いに視線を交わして相槌をうつ。それが合図だった。

 舞台は空中。
 ユーベルコード【クリスタライズ】を使用し、消えたり現れたりを繰り返して逃げるように舞うプラシオライト。
 それを同じくユーベルコード【スカイ・ハイ】で空中を蹴りあげケイが追う。
 両者の手にはそれぞれ銃が握られている。色とりどりの煙幕弾は彼らの姿を隠し、或いは弾丸(空砲であるが)の道筋を示すための舞台装置でもあった。
 地上で生きていた男と、大地より生みだされる宝石のような髪を携えた美しい女。
 憎しみにも似た表情で、時に慈しみの瞳で両者は互いに銃を向ける。
 この二人はどのような関係で、どういった経緯で争わねばならなくなってしまったのか。
 それを思うと大蛇の体の中心が不思議と締め付けられるような錯覚に襲われた。
『(なんだこれは。この感覚を我は知らぬ。……いや)』
 似た感情ならば知っている。それはずっと、自分が抱いていたものとほぼ同じもの。
 その想い(いろ)の名前は 寂しさ。
『そうか、我はずっと淋しかったのだな……』
 妖精たちが死力を尽くしても埋められなかった寂しさ。その心に空いた隙間を忌々しい、それでいて愛おしい猟兵が埋めてくれたのだ。

 演舞もそろそろ終わりに近づいてきたのだろう。
 大蛇の目の前でケイが振るった鞭は、クリスタライズで姿を消していたプラシオライトが姿を表すタイミング通り出会った。
 傷つけるというよりは捕縛のために振るったそれにからめとられ、抱き締めるような形で両者の距離は急激に縮まる。
 二人は互いの顔をじっと見つめる。愛しさと、憎しみと、色々な感情が入り交じった表情で彼らは、銃口を相手に向けた。
「さよなら」
「元気で」
 短く交わした別れの言葉。二つの銃から発せられた銃声が、森の静寂に響いて――二人は姿を消した。

 鳥のように舞い、空に地があるように駆け抜けた二人の演舞は大蛇の心に響いたようだった。
 二人に労いの言葉をかける大蛇に、その前でひとつ礼をしたあとにケイは人懐こい笑顔で相棒を称える。
「本当に実践しちまうなんてセンスあるよシオ」
「こちらこそ。お付き合い感謝致します、ケイ様」
 ところで、普段より心臓が早く脈打っている気がする。
 胸に手を当てたプラシオライトが首をかしげるとケイは笑って、彼女の手を自分の胸に導いた。
「俺も心臓がドキドキしてる。多分慣れない事をしたからだろうな」
「なるほど……。私もいつもより胸が高鳴る気がするのは、そのせいですね」
 納得したように頷く。
 あぁ、本当に人間はめんどくさくて、そして美しい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『雨已まぬ森』

POW   :    木上に登り滝を望んだり、上からの光景を楽しむ

SPD   :    森の動物達と戯れたり、植物を調べたりする

WIZ   :    降り注ぐ雨を利用し魔法で色々試してみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『感謝を述べねばならぬな、忌々しき……いや、猟兵らよ』
 大蛇の声は満たされた、もう思い残すことはないと言った風であった。
『我は疲れた。暫し眠る。その間、この森を好きに散策するが良い。我が選び、長い年月守り続けたこの森を』
 次に会い見えるときはまた違ったかたちかも知れないが。それでもこのひとときは充実したものであったと。
 徐々に消えていく大蛇。それに比例するかのように森のなかには雨が降り注いでいった。

 ――ここは雨巳まぬ森。
 水の大蛇去りし今、ここに弔いの……否、祝福の雨を降らさん。
浅葱・水簾
雨已まぬ森……どんな花が咲いているのかしら
今は傘も無粋
天からの滴を纏いながら行きましょう

はじめはゆっくり、眼で見えるものを
ひととおり見終えたと感じたなら、此処に棲む動物たちと同じ視点で
森の中を花を目印に、そぞろ歩きのように
今まで目にしてきたものに似ているもの
まったく違うもの
こころ躍るひとときになりますわ

叶うならば、出会ったものから一輪だけ、連れて帰れれば嬉しい



 大蛇が去りてのち、ふわりと舞う散る雪のようにその地へ降り立った浅葱・水簾(絡繰泡沫・f14355)はその光景を見て目を細める。
 降り注ぐ雫が草木を叩き奏でるメロディー、強く香る土の匂い、。
 雨は空気を洗い流して、空気はどこまでもただひたすらに澄み切っている。
 ここでは傘をさすのは無粋というものだろう。思いつくまま、気の向くままに水簾は歩を進めていく。
 あの花はなんだろうか、この鳥はどんな声で鳴くのだろうか。
 あれこれ思いを馳せながら歩くのは楽しい。こうして自分の世界は広がっていくのだと実感できるこのひとときが嬉しい。
『たのしそうだねー』『ねー』
 ふと耳元で声が聞こえてその方へ目をやると小さな影が数人、こちらを伺うようにして見ていた。
 森の妖精たちは大蛇がいなくなってもここに留まっていたのだ。
 なぜ? 気になって水簾g訊ねると小さな彼らは大きく胸を張って、
『だってへびさんがもどってくるまでここにいなきゃ!』
『へびさんがもどってきたときに、わたしたちがいないとへびさんないちゃうかもあs!』
 と答えた。
「そう、……ねえ、もしよかったらここを案内してくださいません? あなたたちや、大蛇の好きだったものをみてみたいのだけれども」
 水簾の誘いを妖精たちは(文字通り)飛び跳ねて歓迎した。
 木の根の、ほんのわずかな隙間に咲いた小さな花や澄んだ水が流れる小川。そして大蛇が寝床にしていた大きな穴。
 案内が終わる頃には水簾は誰よりも森について詳しくっていたかもしれない。
『ありがとーおねーさん。またあそびにきてね!』
 明るく彼女を見送った妖精たちに手を振り応えた水簾の、その白く柔らかな髪には大蛇を思わせる青色の花が添えられていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
森にいた寂しがりの大蛇のことを付近の村に伝える目的で森の散策をしましょうか。
木の香り、水の冷たさ、空気の清らかさ、花の色と妖精たちの集める木ノ実の手触り。
その中に妖精たちの笑い声や大蛇の痕跡を思い出せるような自然の営みを探しながら風景を「撮影」します。
写真はこの世界では公開できないので自分の思い出用ですけど。

この森が平和で美しいこと、それを守っていた大蛇がいたこと、人の手で汚さず守っていってほしいことを広めたら、大蛇の眠る地に人が来て賑やかになって、大蛇が寂しくないといいな、と思います。



 遥はずっと考えていた。森で暮らしていた強がりで、他人思いで、寂しがりや出会った彼のことを。
「(彼のために、私ができることは)」
 心にそれを留めておくこと。水の冷たさや森の清らかな空気、花の色や木の実の手触りを記憶に焼き付けるように。
 そして伝えること。平和で美しいこの森に人々が集まり、また大蛇が現れたのならその時は寂しさを抱かないように。
『おいしゃさんなにしてるのー?』『それなにー?』
 自分の記録と記念用にとカメラを構えていたところに、声をかけてきたのはあの妖精だった。
 この世界に存在しないカメラを見られてしまった。好奇心の塊の妖精たちはさらにわらわらと集まってくる。
「これは私がここのことをずっと覚えておくために必要な箱よ」
 間違ったことは言っていない。本当のことを言っていないだけで。
 ほんの少しの罪悪感を抱えながらそう答えると、妖精からは歓声があがる。
『ぼくたちのこと、おぼえててくれるの?!』
『へびさんのことも?』
『ありがとう、おいしゃさん!』
 自分たちや、大蛇のことを覚えていてくれる存在ができたということ。それだけで妖精たちは嬉しいようだった。
 後日、現像した妖精たちと合わせて撮った写真には妖精の姿はなく、ほのかな色のキラキラが写っていたのは遥だけの秘密。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月01日


挿絵イラスト