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【サポート優先】縁はもう咲かない

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #書の悪魔ダンタリオン #迷宮大図書館

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#アルダワ魔法学園
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#猟書家の侵攻
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#猟書家
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#書の悪魔ダンタリオン
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#迷宮大図書館


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。


 迷宮大図書館。名の通り広大なこの場所はアルダワ魔法学園の迷宮内にある。
 そびえたつ書架。
 古びた本の匂いはされど朽ちゆくものではない。迷宮故に維持される空間。
 学生や教師の調査があるせいか、迷宮大図書館にとっては絶えず『侵入者』が訪れているようなものだ。
 時として定義できぬその日。書架から落ちた本のページが捲れ、書の悪魔ダンタリオンが訪れる。
 幾度となく学園を脅かす悪魔が、再びその仕込みをするのだ。
 手に取ったのは宝石を介す召喚の魔術書。
「書物に書かれたことは現実のものになりますわ」
 魔術書に埋め込んだ『災魔の卵』が召喚獣のページに巣食う。

 あるじ。
 呼んでくれる日を待ってる。
 いつでも。
 青石は色褪せない。
 いつまでも。

 卵が埋め込まれた書は、調査のために運ばれる。
「ええとこの本は……」
「召喚系かな」
 仕分けの最中に学園の生徒が本を開けば、場に冷たき雷が迸った。


「またまた猟書家の幹部が悪さをしているようです」
 集まった猟兵たちへ冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)が説明を始めた。
「アルダワ魔王戦争の時に発見された施設、迷宮大図書館に猟書家幹部のダンタリオンが現われたようなのです」
 書の悪魔ダンタリオンは、ミスター・グースの目論む『魔導蒸気文明の災魔化』を実現すべく行動している。
「ダンタリオンは魔導書内に生息する女性型の災魔なのですが、書物を侵食する能力によって、よくアルダワ魔法学園に攻撃を仕掛けているようなのです」
 既に一冊の書物が侵食されてしまい、アルダワ魔法学園内に運ばれてしまっていることをイロハは言った。
「迷宮大図書から運び込んだ書物たちは、ある部屋で分類別に分けられるのです。その確認の最中に災魔が発生します。――学生たちでは太刀打ちできないので、皆さんに災魔退治をお願いしたいのです」
 現れるのは本の内容を具現化したような災魔の群れ――宝石を使った召喚術の書から、獰猛な氷と雷の属性を持つ獣が出現する。
 使役されていた精霊獣のなれの果てだ。使役していた主以外は敵と認識している。
「現場には学生さんもいますので、協力して倒すことが可能です。仕分け部屋は迷宮を出たところにあるので、被害を最小におさめるためにも、一度例の書と災魔の獣を迷宮内に誘導するのも手かもしれませんね」
 出現した災魔を倒したら、騒動を起こした書の悪魔ダンタリオンの討伐となる。
「ダンタリオンは迷宮大図書館にいますので、見つけ次第撃破をお願いします」
 学生たちの案内があるので迷わずに辿りつけるだろう。
「……それにしても、本に災魔の卵を埋め込むなんて……本好きとしては許せませんね。けちょんけちょんにして骸の海へと還してください」
 そう言って猟兵たちを送りだすイロハであった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 サポート優先ですが、通常プレイングも受け付けてます。
 特に受付期間とかはなくふわっと進めていく予定です。

 プレイングボーナス(全章共通)は『学生達と協力する(学園や迷宮の地理には詳しいです)』

 集団戦、ボス戦。二章仕立ての純戦です。
 ではでは。よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『ベスティア・ザッフィーロ』

POW   :    《狂った番人》
自身の【主への忠誠心 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    《獰猛な雷獣》
自身の【額の宝石 】が輝く間、【纏う雷】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    《怒れる氷精》
【視線 】を向けた対象に、【氷結攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:白狼印けい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木元・祭莉
「おおー、いっぱいいるねー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、14歳の人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子です。

いつも深く考えず、楽しそうにテンション高く対応します。
どどーん、ばばーん、ひゅいーんなど、擬態語を多用します。

ユーベルコードは、補助的に使うことが多いです。
状況に応じて、グラップルでの接近戦、衝撃波でのなぎ払い、浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦のどれかで戦います。

多少の怪我は耐性で耐え、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直よくわかんにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ●すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれーりぃ(正統派なレディ?)』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ●おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」



 アルダワ魔法学園の迷宮近い一室には大図書館迷宮から運び込まれた書物の山。
 持ち出しの危うい書物は大図書館迷宮での研究が進められる。今回運ばれたのは安全な書物と判断されたものばかりだ。
 ――もっともそのなかに猟書家幹部によって埋め込まれた『災魔の卵』があるなど、学園の者は知る由もなく。

 猟兵たちが室内へと踏み入ったのは、災魔の冷たき雷が迸った瞬間であった。
「にゃっ!!」
 即座に動いたのはアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)。
 バックラーを構えて突撃。書から湧き出した災魔、ベスティア・ザッフィーロへとバックラーを叩きつけた。
『ぎゃん!』
 面を振りかざした一撃は一体のベスティアを叩き潰し、続く払いには何体かのベスティアが吹っ飛んだ。少し遠くで着地する。
「猟兵さん!?」
 驚く学生たちに向かってアイクルは告げる。
「ここはいったんあたしたちに任せるにゃ」
 ばりばりと放電し続けるベスティアは油断ならない。アイクルの死角に出現したベスティアが跳躍したその時、素早く誰かの手が伸びてベスティアの尻尾を掴んだ。
「おおー、いっぱいいるねー♪」
 木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)が捕まえたベスティアをぐるぐると回して放り投げる。
『あるじちがう』
『殺せころせ!』
 ベスティアが吠えるなか、一瞬キョトンとした祭莉が「分かった!」と閃きの表情。にぱっと笑顔になった。
「あるじくん? ちゃん? がいなくて寂しいんだね!」
「うにゃっ? そうにゃん?」
 遊ぼっかー、と拳を掌に打った祭莉に今度はアイクルがキョトンとした。
 一方、後ろでは学生に指示を出す猟兵の声も聞こえてくる。
 災魔を迷宮へと追い込んでいく作戦に出るようだ。
 ならば、と前衛に立った二人はなるべく災魔たちを惹きつけることにする。
『さみしくない!』
『舐めるなー!』
 素早い動きで猟兵を翻弄する災魔たち。
 彼らの連携のなか、一体だけを追う祭莉の一打が的確に入る。
 身体を自軸に身の丈よりも大きなハルバードを振るうアイクル。学生とともに追いやっては、危険な動きをする災魔を斬り払った。
 フシャァ! と目を吊り上げたベスティアが氷結魔法を展開すれば、鋭い氷柱が降り注ぐ。
「本が!」
 誰かの悲鳴を聞き、アイクルの体が反射的に動いた。書物群を庇うアイクル――同時に召喚した大地の巨人が広範の盾となる。
「おいたは駄目だよー」
 祭莉がのんびりと告げ、そして白炎が咲いた。
 彼ら――災魔がかつては召喚獣であったというのなら、彼らの主たちは魔術師などに類するものだっただろう。きっと書物を好んでいたはずだ。
 好きな人の好きな物を傷付けてしまう現在は、彼らの本意ではないだろう。
 ベスティアから放たれるサファイアの輝きを、氷柱が反映している。それが白炎に染められた。
 天地の綾帯を使った舞いに咲くは陽光の大輪。
 災魔の攻撃を遮断する陽光の舞歌はアイクルと大地の巨人、氷結と雷に傷付いたものを癒していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オルト・クロフォード
ムムムッ。本のおかげで外の世界に興味が持てて、救われた身としては本で悪さをするヤツは放っておけないナ! 協力するゾ!

とはいエ……本のある仕分け室で思い切りユーベルコードをぶっぱなすわけにもいかないからナ……私はサポートに回るゾ。

【時計仕掛けの魔法陣】で敵の動きや雷の速度を10分の1にすル。動きが遅くなって攻撃が見切りやすくなったり当てやすくなったりするはずダ。

学生達には魔法陣の範囲外から攻撃するなどして迷宮への追い込みを任せるゾ!

地理に詳しい学生達の方が追い立てるのは向いてると思うからナ。適材適所、と言うんだったカ。それダ。多分。



 学生が開いた書物から、その書に記された召喚獣でもある災魔ベスティア・ザッフィーロが出現する。
「うわっ!?」
 放電に生じる衝撃波。
 放たれる圧に書物は虚空へと吹き飛び、尻もちをつく学生を守るために駆ける猟兵たち。
 最接敵となるベスティアは仲間に任せ、オルト・クロフォード(クロックワーク・オートマトン・f01477)は室内に走った稲光に注意を向けた。
 ジグザグと読めぬ青の軌道が降り注がんとしている。
 咄嗟にショートハンド・ナイフを翻せば、時計仕掛けの魔法陣が発動した。
 しゃがむ学生たちを守るように虚空を刻む魔法陣が通過した落雷速度を落とす。劈きの光景は数多の稲妻ともあって神秘的だ。
「今ダ! 各自防御ヲ!」
 オルトの声掛けに、学生たちは飛び退いたり、得意の防衛術を施した。
『!』
『どうして!?』
 ベスティアが叫び、低く跳躍した。振るう前脚には鋭い爪。
 オルトが縦に魔法陣を展開すれば、瞬時に通過したベスティアの速度が落ちた。滞空は止まったかのようで学生の一人がベスティアを斬り払う。
「助かった! ……ええと」
「私はオルト。災魔の動きは出来るだけ抑えるかラ、君たちには迷宮への誘導を頼みたいゾ」
 ショートハンド・ナイフを僅かに動かせば魔法陣が同じように動き、ベスティアたちを牽制する。
 長針を模したロングハンド・ソードで動きの遅くなったベスティアを斬り上げながらオルトは言葉を続けた。
「本を傷付けるわけにもいかないしナ!」
 そう言えば学生たちは次々に同調した。
「おう、大事な資料だしな!」
「追いこむのは任せて!」
「こっちだよ」
 アルダワ魔法学園は災魔退治も担っているため、技術の研鑚や研究意欲は高いのだろう。大図書館迷宮の本の価値を理解している。打てば響く反応だ。
 仲間の猟兵も先陣を切るように、学生たちと一緒に迷宮へ。
「それにしても一体誰がこんな仕掛けを……」
 災魔を誘導しながら誰かが呟く。
「……まったくダ」
 オルトは頷いた。災魔の卵を本に埋め込んだ者は猟書家幹部――。
 本のおかげで外の世界に興味が持てて、救われた身としては今回の事件を放っておくことなどできない。
 生き方や生活の知識、武器の扱い、誰かの成長が記された物語やどこかの国の歴史。
 実際の記録であったり、架空の記録だったり。
 何処かを描いた風景だったり――。
 本はオルトをたくさん助けてくれた。
(「本で悪さをするヤツは放っておけないナ!」)
 災魔の攻撃を退けながら、オルトたちは十分に戦える迷宮へと到達するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
生徒さんの調査のためにも、頑張りませんとね。
それにしても迷宮大図書館……心安らぐ場所です
時々迷宮の深部である事を忘れてしまう程に

事前に何冊か本を見繕いましょう
手持ちの辞書を魔導書砲台に変換します
これで計20冊のファンネルが一時的に戦力に加わります
後で解除して返すので、生徒さんから本を足して頂けるなら、拒みません
漫画、ですか?ええ、使えますけど……教材なら大事にしてくださいね

その後、災魔を迷宮に誘導します
私は通路を塞ぐように障壁を展開し、攻撃を引き受け、反撃します
敵のUCは高命中率。狭い迷宮内で回避は難しいでしょうから

生徒さんとも協力。主に案内と後方からの射撃を頼みましょう



『迷宮大図書館』
 何とも心躍る言葉に、クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)の気持ちは少し軽やかなものになる。
 古びたインクに少しずつ違う手跡の本。
 ページを捲れば新しい文章に出会い、知識を得――彼女にとって書物は水のようになくてはならないものだ。
 見繕った本を開けば、そこが迷宮深部であることなど忘れてしまう。――彼女もまた迷宮大図書館で調査をすすめる者のひとりであった。

 ふとした瞬間に開かれた書物から、書に記された召喚獣でもある災魔ベスティア・ザッフィーロが放電とともに出現する。
 空気が震え発生する衝撃波。
「うわ……っ!」
 放たれる圧に書物は虚空へと吹き飛び、尻もちをつく学生を守るために駆ける猟兵たち。その布陣、後方にクララは立つ。
 学生を守るように動き指示する中衛、発生したベスティアの抑えとなる前衛。
「ライブラリアンズ――」
 持つ辞書を文字通りに手放せば、役目を与えられた書が力を持つ十冊へと切り換わる。
「グリモアカルキュレーション」
 雷気と冷気の波動によって嵐のようだった室内の魔術循環がぴたりと止まった。
『!』
『術が……! どうして』
 動かない魔力にベスティアたちが声を上げる。
 それでいて仲間の猟兵や防衛を行う他の学生たちの邪魔となってはいけない。針に糸を通すような力の操り。均衡を崩さぬようクララは僅かに術を書き換える。
 ユーベルコードが、学生の力が滞ることなく密接した場に発現できるようにと。
「今のうちです。災魔たちを迷宮内へ」
 クララが声を掛ければベスティアを惹きつけるようにして皆が下がり始める。
「わ、わかった!」
「階下にいま出現している迷宮は――」
「行くには、こっち!」
 背を向ける学生たちに獣の本能が刺激されたのか、追いかけるベスティア。
『逃がすな!』
『コロセ!』
 サファイアが煌き、吹雪が迷宮路に満ちる。その結晶は円刃のようだ。
「っ」
 仕分け部屋にはもう入れないよう、障壁を展開した。単純に手が――書が――……リーチが足りない。
「クララさん、これも使って!」
 そう声を掛けた学生は、迷宮大図書館に訪れる顔見知りの子だ。
 渡された書物は軽い。
「漫画、ですか?」
 目を瞬かせたクララの反応に学生はちょっと不安そうに伺う気配。
「使えそう?」
「ええ、使えますけど……教材ですか?」
 …………少女漫画っぽい表紙。教材といえば教材かな? という表情を浮かべる学生。
「お借りします。あとでちゃんとお返ししますね」
 クララの魔導書砲台が増え、障壁展開が吹雪の侵食を阻む。
 仲間の時間操作と共に災魔の追撃を遅滞させ、数ある災魔には一体ずつの確実な一撃を。
 迷宮内で敷かれた攻防戦。猟兵たちが協力し合い繰り出す手はまるで魔法陣のように精密であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
本を災魔に変えるなんて
文字通り悪魔の所業です

学生さん方をお守りしましょう
それに悪魔の手駒にされている召喚獣さん達もお可哀そうです
倒すことで支配から解放して差し上げましょう

助太刀に来ました!
敵を迷宮内へ誘導します
力を貸してください

学生さん方を庇うように前に出て攻撃して
獣さん達を引き付けるように立ち回って
迷宮内へと誘導します
鬼さんこちら~ですよ

この時は防御力重視です
雷を水でアースしたり
氷を炎で溶かしたりしながら
疾風纏って加速し迷宮へ

迷宮内に誘き寄せ完了しましたら
攻撃力強化
緋蒼翠の軌跡を残しながら剣を振るって撃破

その後は
破魔の旋律で災魔の卵を追い出して仕留めます

終幕
獣さんへ鎮魂の調べ
静かな眠りを



 ふとした瞬間。
 誰かが開いた書物から、書に記された召喚獣でもある災魔ベスティア・ザッフィーロが放電とともに出現した。
 空気が震え発生する衝撃波。明滅する青き光は目を灼く程だ。
「うわっ!?」
 放たれる圧に書物は虚空へと吹き飛び、尻もちをつく学生を守るために駆ける猟兵たち。
 次々に展開される猟兵たちのユーベルコードのなか、一陣の清涼な風。
「大丈夫ですか!? 助太刀にきました!」
 凛とした箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の声が渡った。猟兵の加速のユーベルコードに乗って颯爽と接敵した仄々はカッツェンナーゲルを翻す。
 災魔の柔らかな獣体を剣身で受け流し、フライ返しのように魔法剣を跳ねさせればそれだけで敵は翻弄された。
「猟兵さん……っ」
 積み上げられた本が崩れ落ち、落雷に破壊された本が散る。
 散開する電撃を蒼の格子が受け止める――水の魔力を渡らせて凌いだ。
 だが舞い上がったページが小さな敵の体を隠す。視界に入ってくる情報は乱雑過ぎた。
「迷宮に誘導しましょう」
 トリニティ・エンハンスを誘う仄々の決断は災魔出現から八拍も無い。防衛に動こうとした学生たちが「分かった」と応える。
『コロセ』
『主はドコだ!』
『いないのならば、この世界に用はない……!』
 青を輝かせるベスティアたちの唸り声は獰猛であったり嘆きであったり。
 狂った獣の番人たちに、
(「お可哀そうに……」)
 と感じる仄々であったがここは既に戦場。
「こっちです!」「いきましょう!」
 学生たちに促されるも――ベスティアの攻撃にまみれながら仄々は一旦前進した。
 ぼろぼろになってしまった書物を拾い上げる。バチッと彼の手を拒否するように、放電が一度。それは災魔が出現した魔導書だった。
 本がこれ以上、災魔を出さぬよう水の魔力で内包する雷気を抑え込む。

 猟兵の障壁と時の操作により、学生たちに追いつくことなく遅滞するベスティア。
 細い迷宮路から広い迷宮へと出た面々は振り返る。
「さあ、災魔を倒しましょう」
 風の魔力を漲らせた仄々が身を捻り剣を振らば鎌鼬の如き斬撃に。柄に吊るされた土鈴が祓いの鳴りを。
 複数体のベスティアが巻き込まれ、飛び退いた残敵の何体かが学生たちに討たれた。
『なぜ喚ばれたのか――』
『あるじ』
 ベスティアたちが心情を吐きながら骸の海へと還っていく。
 カッツェングロッケが弾むたびに、軽やかな音色が書を魔の気から解放していく。


 仄々が開いた書物には様々な召喚獣のことが記されていた。
 ベスティア・ザッフィーロ。サファイアの輝きを持つ召喚獣。
 『彼』がどんな主と日々を過ごしたのか――それは誰も知らない。
 けれども彼らの言葉には主への親しみや信頼が感じられた。
(「本を災魔に変えるなんて……」)
 名の通り、ダンタリオンは書の悪魔なのだろう。
 仄々の鎮魂の調べは子守唄のように、波音のように、郷愁を思わせる音色となるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『書の悪魔ダンタリオン』

POW   :    あなたの技をお返しいたします。
【魔導書】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、魔導書から何度でも発動できる。
SPD   :    尻尾乱舞
【尻尾】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    レインボー・ロード
【七色の竜巻】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はラウラ・クラリモンドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 災魔ベスティア・ザッフィーロを退け、迷宮大図書館へとやってきた猟兵たち。
 広大な図書館内に所狭しと並ぶ書架。
 積まれた本は持ち運ばれるのを待っているのだろうと分かる。
 アルダワ魔法学園の教師や生徒による調査は現在進行形なのだ。

 本に新たな災魔の卵を埋め込まれる前に、ダンタリオンを倒さねばならない。
 放っておけば大図書館は災魔が溢れる無法地帯ともなってしまうだろう。
「……あら? 災魔の書物が戻ってきた気配がしたかと思えば――」
 猟兵や学生の元に声が降ってきた。
「その書物、返してくださらない? 外へと災魔を放つ手の一つなのですよ」
 書架上で重厚な本を持ち、苛正しげに尻尾を振る書の悪魔・ダンタリオンがそこにいた。
 どうしてやろうかしら?
 冷たい眼で猟兵たちを見下ろした。
オルト・クロフォード
渡せと言われても渡さないゾ!
本を使って悪さなんて絶対させないからナ!

予め貴重な本とかがあったら避難させるように学生達にお願いしておくゾ!

うぉッ、あの竜巻、綺麗に見えるがヤバそうだナ……学生達に凌げそうな場所はないか聞きつツ、しっかり竜巻の動きを観察して【情報収集】した後、【ミレナリオ・リフレクション】を発動させ竜巻を相殺していき、敵を【おどろかせ】るゾ! 逃げてばかりだと思ったら大間違いダ!

その隙に氷の【属性魔法】で攻撃ダ!
学生達も今のうちに攻撃を頼むゾ!


木元・祭莉
「よっし、おいらに任せといてー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、14歳の人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子ですが、やる気だけは人一倍!

あまり悩まずさっと決断して、臨機応変に切り替えて、いつも楽しそうにテンション高く行動します。
本人マジメでも、結果コミカルになりがちです。

ユーベルコードは、地味に戦闘力底上げに使うことが多いです。
最後は、グラップルの正拳一撃で締めるのが理想形。

多少の怪我は耐性のおかげで気付かず、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!



 天井を仰げば書の悪魔・ダンタリオン。
 高低の差は明らかで、降ってくる殺意に学生たちが緊張の面持ちとなる。
 彼らの様子を見たオルト・クロフォード(クロックワーク・オートマトン・f01477)はどこか気づかわしげに声を掛けた。
「貴重な本は何処かへ避難させないとナ。皆に頼めるだろうカ?」
「うっ……どこもかしこも価値あるものばかりですが――分かりました」
 学生たちの何人かが動き始める。目録が作成された一帯なのだろう、より重要な本を選び取ろうとする。
 同時に仲間の猟兵が他の本たちを守るようにユーベルコードを展開した。
「まあ、それはわたくしの配下ともいえる大事な書物たちですわ。持ち出し厳禁、違反者には死を」
 と、言葉は丁寧ながらもおどろおどろしい声を放つダンタリオン。
「渡せと言われても渡さないゾ! 本を使って悪さなんて絶対させないからナ!」
 本があったからこそ世界を知ったオルトは否を告げる。
 オルトに「ね、ね」と声を掛ける木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)。
「あのおばちゃんの目を逸らす必要があるよねっ。おいらに任せといて!」
 綾帯を握って、にぱっと笑顔。
 白炎を纏った少年が跳躍すれば、そのままダンタリオンへと翔けていった。
「こっちだよー♪」
 虚空に段差があるかのようにぴょんぴょんと飛翔した祭莉がダンタリオンへと手を振る。そして敵の眼前へと迫る寸前、手のひらは拳となり鋭角な一打を繰り出した。
 風輪の疾走――その軌跡は指揮者であったかのように緩急的だ。
 自身の住まう巨大な書の天辺を傾け、白炎の一撃を掠めながらもダンタリオンが避けの体勢となる。
「ちょっと! 視界を遮らないでくださる?」
 わんこのように翔け回る祭莉にダンタリオンは冷たく言った。どちらかといえば昏き大図書館内。そのなかで白炎が動き回れば、それは敵にとって目障りでしかない。
 木を隠すなら森の中。魔導書で受け止めた祭莉のユーベルコードは、偽りの白き炎となって返される。
 吹き荒れた白炎は散り散りとなった時点で虹色を含み始めた。
 次の瞬間、七色の竜巻が発生する。縦長に伸びた竜巻は鋭く左右にうねった。
 強風に抗えばオブリビオンの力がオルトの体を蝕みだす。
「――うぉッ、この竜巻、綺麗に見えるがヤバそうだナ……書の悪魔に認識されないよう皆は一度隠れた方がいいかもしれなイ」
 竜巻は拡がるわけではなく、どこかへと進行していくもののようだ。
 その速度と方向を見極めて、オルトが学生たちに隠れるよう行先を示した。
「あーだめだめ、おばちゃーん! 悪魔さんコチラだよ~」
 弾丸の如き速度で祭莉が突撃していく。敵を叩く寸前に白炎が腕を覆い、読ませぬ鋭い打撃を放った。
「行くゾ!」
 オルトの呼びに応えるため、接敵していたダンタリオンを踏みつけて祭莉が跳ぶ。
 直後送られてきたのは七色の竜巻だ。双門であるかのように二つ。
「――なんですって!?」
 目を瞠るダンタリオン。
 驚くのも当然だろう、まごうことなきユーベルコード……彼女と同じ色を持つ力がオルトから放たれたのだ。還ることは当然拒否した敵にオルトのショートハンド・ナイフから魔力が透される。
 それは冷たき誘いだった。
 現世へと受肉した時間が再び過去の骸と化すための力。
 氷柱よりも鋭利な魔力が敵肉へと刺しこまれ、巡る血を凍らせる。
「ぐっ」
 一気に動きを鈍らせたダンタリオンへ「今ダ!」とオルトが告げた先には、書架の間から飛び出してきた学生たち。
 彼らの力を合わせた一撃が書の悪魔へと撃ちこまれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
災魔を迷宮の外へ放つだなんて
しかも本を無理やり災魔へ変えるだなんて
とんでないです
海へとお還りいただきましょう

綺麗な七色ですが
見惚れているわけにはいきませんね

竪琴を奏で調べで魔法の根源へ働きかけて
書架や書物を魔力へと変換

万が一悪魔さんに悪用されないように
戦いで本が傷んだりしなように、です

変換した魔力で渦を生し
七色竜巻へぶつけて押し返します
緋蒼翠の三色も綺麗でしょ?

その隙に学生さん方に
手近な書物を戦場から離すことを依頼

書の悪魔さんの竜巻は
おそらくすごい力でしょう
けれど演奏を続けていけば
広がる音が幾重にも重なり
相乗的に魔力は高まるのです

ですから
もしかすると七色の竜巻の構成成分である、
その色も魔力へと変換できるかも知れません

三色の魔力の渦で竜巻を霧散させたら
そのまま書の悪魔さんをキリキリ舞させて
吹き飛ばします
本を悪用した方は本によって倒れるが定めですよ

終幕
鎮魂の調べ
海での静かな眠りを願います

その後は学生さん方と
図書館の片付けや後始末をしたり
本の調査のお手伝いをします


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
出ましたね……書の悪魔ダンタリオン。
この本を返す訳にはいきません。
(と言いつつ、相手の派手な格好からは目を逸らし)

UCを発動。現地の学生さんや他の猟兵と協力します。
中には魔術の使い手もいるでしょうから、そこそこ効果が見込めるでしょう。
私は【高速詠唱】を交えた雷攻撃や邪眼など、軽めの攻撃を行います。
敵が隙を見せたら、味方に有利な位置に移動して貰いますね。

敵はこの技を奪って来るでしょうけど、一人では大きな効果を発揮しません。
こちらは意思統一を計りつつ、全員で削っていきましょう。
「書物は書き手の思いの結晶。
時と場所を超えて知識と感情を伝える、大切なもの。
決して悪用はさせません」



 七色の竜巻が霧散した。
 調査予定だったのだろう。突風に煽られ大図書館内に積み上げられていた本の一部が雪崩を起こして乱雑な山となる。
「なんてことを!」
 声を上げてカッツェンリートの弦を爪弾くは箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。ポロロンと流麗な音色が、天井の高い大図書館内に渡った。
 奏でる音に魔力を巡らせれば、石造りの書架、石板、無機物の書が緋、蒼、翠の色に解けて仄々の音色に応じて踊り出す。
「学生の皆さんは、今のうちに本の守れるようにしてください……!」
「まあ、わたくしの配下である書たちに何をするの――!?」
 お帰りになって。とダンタリオンが再び七色の竜巻を放った。
「見惚れそうな程に綺麗な七色ですが――」
 眺めている暇などない。と、仄々が竪琴の弦を連弾すれば、無機物を解いた魔力色が盾のように広く面を構築した。
 竜巻をいなし、その威力を削いでいく。
「緋蒼翠の三色も綺麗でしょう?」
 トリニティ・シンフォニー。その時ユーベルコードの力の輝きが増したことに仄々は気付いた。
 自身の竪琴から放つ魔力と、大図書館の無機物を解いた魔力。それらを調和させることは絵の具を混ぜていくようなもので――少しでも手を抜けばきっと色は濁ってしまうだろう――繊細な魔力変換を行うなか、誰かの真白のパレットが敷かれた気がした。いつもよりも思うままに、旋律ひとつ、まるで筆を使って魔力色を世界に引いていける。そんな錯覚。
「これは?」
 ダンタリオンへの警戒は解かぬまま、力の源を探ればその先にはクララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)がいた。
 雷の杖を手に宙へ迸らせる稲妻。少しずつ重ね掛けされる雷の力が辺りを帯電させていく。
 仄々の視線に気付いた彼女の表情がはっとして、慌てたものとなる。
「あっ……す、すみません、勝手に……。……皆さんの力を強化、調和しますので……えっと……戦場の魔術に関しては、お任せください」
 人と、自分を調和させることはちょっと苦手なんですけど。
 もごもごと呟いて、弱弱しくはにかむクララ。
 ふ、と仄々は微笑んだ。
「では、指揮をお願いしますね」
 集団で魔力を調和させていく。それはオーケストラに近いかもしれない。ユーベルコード『魔女戦術』により強化された各々の力。アルダワ魔法学園は特に魔法関係に強いだろうから、調整は助かる。
 思わぬ大役を任されてしまったクララは一瞬だけ陽だまり色の瞳を泳がせて、頷きを返した。
 すべては、本の敵ともいえる悪魔を倒すために。
「……書の悪魔ダンタリオン。あの本を返す訳にはいきません」
「――フン。書を好む方々は元々孤独を好くものですわ。力を合わせて、だなんて、分不相応だとは思いませんこと……? ――この! 大図書館において、団体行動など唾棄すべきものですわ!!!」
 七色の竜巻を伴い、ダンタリオンが突撃してくる。
「フェローチェをいなすにはカランドを、です」
 荒々しい敵の動き――飽和されゆく魔力の場。和らげる音色で仄々が応じた。
 クララの力を奪おうとするダンタリオンの書を煽ぎ、彼の猫の目は、竜巻の解く色の隙間を見つける。一色の線上へ音符を書き込むようにして、ダンタリオンの竜巻に一音を叩きつけた。
 続けざまの音が一筋の竜巻を引き剥がす。
「今ですよ!」
「はいっ」
 竜巻の大きな隙間が出来て、仄々の掛け声によって学生たちが魔法攻撃を行う。
 その間に、七色の竜巻を一色ずつ引き剥がしていく仄々。色の風が、飛行機雲のように大図書館の宙を彩った。
「わ、わたくしの竜巻が……!!?」
 まさか素として分解されるとは思っていなかったのだろう。ダンタリオンは驚愕した。
 仄々は告げる。
「書の悪魔さんの竜巻はすごい力です。――けれど演奏を続けていけば広がる音が幾重にも重なり、相乗的に、魔力は高まりました」
 加えて仄々たち猟兵と学生たちの陣営はクララの魔女戦術が施されている。勝鬨を抱く未来への展望は既に見えていた。
「書物は書き手の思いの結晶。時と場所を超えて知識と感情を伝える、大切なものです」
 そう言うクララによって大規模な戦術が描かれる。
「決して悪用はさせません」
 敵を呪いで侵食し弱らせるクララの邪眼、学生たちの魔法攻撃。
 ――大図書館におさめられた無機物の叡智は仄々の奏でによって、既に一時的に魔力化している。
 個々の力が組み合わされた術式は連弾のように魔法を叩きつけ、ダンタリオンを削いでいくものだった。
 現世に受肉した過去の異物。
「過去の叡智を施行する権利はわたくしのものなのに……っ」
 役不足だと言うの――?
 かすれた声。
 圧倒的魔力差は、存在すら許さぬ空間となっていた。
 ダンタリオンが骸の海へと還っていく。
「書を悪用した方は書によって倒れるが定めですよ」
 ポロン♪
 仄々が終息の旋律を弾けば、彼の彩りの魔力と化していたものが元の無機物へと戻っていく。
 ピィン、と戦いの調べを終えて。
 続いて爪弾かれる鎮魂の調べが大図書館に渡るのだった。


「石板もたくさんあるのですね」
 散乱する本を集めながら仄々が言った。
 中には石板といったものもあり、『書き残す』手段は色々あるのですねぇと彼は呟いた。
「そうですね。石板は写本をして保管となりますが……石自体に力があるものもありまして……」
 と、クララ。
 大図書館内で長時間の作業は出来ないだろうからと、持ち出すにも一苦労だ。
 保管には石が適していたのだろう。遠方の伝承や、暮らしの知恵が読み取れた。きっと地上や時代を長く旅してきたモノに違いない。
「あ……、ほら……仄々さん、音楽の魔術本もありますよ」
「はっ! 見せてください!」
 しゅぱっと飛ぶようにして仄々が寄ってきた。
 戦意を上げる鼓舞の術。
 治療を助ける安らぎの術。
 譜面で記されたそれに感嘆の息を零す仄々。
「美しい譜面ですねぇ」
 音楽が人に与える影響は、決して少なくはない。
 勇気を得て、癒しを得て、音楽がもたらす様々な効果を、演奏者の仄々は身を以て感じることが多々とあった。
「あ。魔法紙の調合法方がメモされています。楽譜にもできるでしょうか?」
「……!」
 仄々のふとした発見に今度はクララが反応する。
「こ、これは」
「持ち帰って調査してみたいです」
 音楽の魔術本を抱き、仄々がクララを見上げて言った。そうなれば、あとはもう。
 ――あ、では、これも。それも。
 ――この本も調査のために持ち帰りましょう。
 ……という次第。

 書の悪魔、ダンタリオンの脅威が一時的に去った今。
 猟兵たちの学園滞在はもう少しだけ、続きそうであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月10日


挿絵イラスト