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銀河帝国攻略戦⑯~心歪めゆく音

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 快進撃を続ける『解放軍』は「エンペラーズマインド」を突破しさらに勢いづいていた。このままいけば、銀河帝国に勝つのも絵空事ではない。そう思う者も多く居る。
「あの宇宙要塞を突破できたんだ、オレたちも帝国に一泡吹かせてやろうぜ!」
「もちろんよ! 他の奴らに遅れはとらねぇ!」
 戦闘による興奮もあり、彼らの士気は高い。このまま帝国旗艦に向かって『解放軍』の宇宙船が突き進もうとした、その時。

 割れたスピーカーから流れたような音楽が鳴り響いた。

 それは耳障りでありながら心をひきつけ、バラバラのようで歌として聞こえてくる。其れなのに、歌詞は耳に残らず、されど精神を浸していく。
「あ、ああぁ……なんだ、これ……っ」
「頭が、頭が引っ掻き回されてるみたいだ……」
 その音楽は宇宙船のあらゆる場所から聞こえ、反響し、それを聞いた人々の頭に沁み込んでいく。まるで熱にでも浮かされたかのように喘ぐ男が、隣で他愛ない話をしていた相手を見ると。
 その顔がぐにゃりと歪んだ。


「皆さん、大変です!」
 順調に攻略を進め、次はどう手を進めるか思案する猟兵たちの元へアルトリンデが駆けこんできた。いつもよりも慌てた様子にただ事ではないと感じた猟兵たちが視線を向ける。

「知っての通り、エンペラーズマインドを突破した『解放軍』の宇宙船は現在、敵主力へ向かい進軍中です。ですが銀河帝国もその進撃を看過するつもりはないようで、黒騎士アンヘル配下の『クライングシェル』艦隊が『洗脳音楽通信』による妨害を行なってきました。」

 その通信を受けた宇宙船は船内に強制的にその音楽を流されているという。それを聞いた者は戦える状態ではないという。いや。
「流されている音楽を聞いた人は“心を歪め”られます。精神を壊す、と言っても過言ではないかもしれません。」
 頭をかき乱すようなその音楽は、意識や認識を歪めていき、最終的には耐え切れなくなった者の心を壊すのだという。

「この音楽に対抗するには、こちらも音楽しかありません。心を歪められた人も音楽で救えるはずです。」
 ただ音を消すだけならば大音量の何かを流せばいいかもしれない。だが、すでに出ている影響を消して『解放軍』を救うには猟兵たちの想いの乗った音楽が必要だ。
「そのために放送設備を増強した芸能船を手配してもらいました。そこで皆さんの音楽を思いっきり演奏してください。」
 歌でもいいし、楽器を奏でてもいいだろう。誰かの演奏をバックに想いを叫ぶのもいい。その想いを人々に届け、悪しき『洗脳音楽通信』を退けるのだ。

「敵もただの音楽をして精神攻撃の域まで高めています。こちらの音楽に対抗してくるかもしれません。ですが、皆さんならば必ず『解放軍』を救えると信じています。」
 集まった猟兵たちを鼓舞するように言葉を括り、アルトリンデは芸能船の音楽設備、広大なスタジオのような場所へと誘うのだった。


こげとら
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 再び戦争に参加のこげとらです。よろしくお願いします。

 音楽対決、となっておりますが音楽が得意な方はもちろんの事、そうでない方も難しく考えずにご参加いただければと思います。音に乗せればだいたい大丈夫。作詞作曲できなくても、手拍子に合わせて想いを叫ぶとかでもいいと思いますよ!
 設備から放送されるのは音と希望があれば映像となりますので、これらに訴えるパフォーマンスをする形になります。決まった形式はありませんので、洗脳を吹っ飛ばすような熱い想いを乗せてみてください。

 途中、敵も張り合ってくるかもしれません。負けないように想いをぶつけましょう。

 なお、存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。ご注意ください。
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第1章 冒険 『洗脳音楽通信を撃ち破れ!』

POW   :    激しいビートで、魂を揺さぶり、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

SPD   :    超絶的な技巧で、聴く者を圧倒して、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

WIZ   :    心に響く歌声で、感情を揺り動かして、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ソフィア・テレンティア
【WIZ】
音楽とは人を楽しませ、時には癒すものです。
それを洗脳に利用しようなどとは言語道断。
歌うために作られた人形として、許すわけにはまいりませんね。
オブリビオンの洗脳音楽を打ち消すようにソフィアの【歌唱魔導蒸気機関】により【歌唱】。
さらにUC【シンフォニック・キュア】で洗脳音楽の影響を受けた方の心を癒します。
オブリビオンが精神を壊す音楽を流すというのなら、ソフィアは癒しの歌で対抗いたしましょう。
他に歌っている方や演奏している方がいらっしゃいましたら、協力するのもよいですね。


三影・サイ
音楽による洗脳、そんなことも出来るんですね。
何であろうと、敵の思い通りにはさせません。

既に敵の音楽が始まっているなら、それに乗せて歌います。
歌詞なんてない、ただ敵の音楽に私の歌声を調和させて、洗脳効果のない普通の音楽に変えてしまいたいです。
敵が対抗して曲調を変えてくるならこちらも合わせて、洗脳音楽の中和を諦めません。

音楽は全ての人が穏やかに、音を楽しむものであると教わりました。
同じ思いの味方がいらっしゃるならお互いの方法を問わず、セッションを楽しみたいです。


ミュリエル・フォルクエイン
「私も一曲歌わせていただきますね」
シンフォニックデバイスを起動し、ユーベルコード込みの全力で歌います
「作詞は経験がないので自信はありませんが」
そこは振付や勢いでカバーしましょう
身体を揺らしてステップをとりつつ歌うとか
このビキニアーマーは軽量ですから激しい動きになっても大丈夫なはず
以下歌の歌詞。急いで書き上げたので曲名はまだありません

もういいと 仕舞ってた
密かな気持ちに 指が触れ
思い出し、切なくなる
息は白く 君は遠く

会いたいと 呟いて空を仰ぐ
叶わないと 知りながらも
ねぇ どこにいますか
わたしはまだ あの時のまま

だけど でも
あなたには 前を向いていてほしい
遠くから ただ願う
あなたの夢が かなう様に


ニキ・エレコール
【WIZ】
うう、人前で歌うのは初めてだなぁ…。
えっと、私に出来るのは、声と言葉に素直な気持ちを込めること。
ここに込める私の気持ちは、この戦いは必ず勝ちたいこと、勝つまで戦うっていうこと。
せめて身につけた『コミュ力』も意識しながら歌ってみるね…。

忘れない 雨と傷
戻らない 刻と君
握りしめた手はもう解かぬように
終わらない戦い立ち止まらぬように
夢は遠くとも 道は長くとも
旅立つ声よ この空へ
響いて届け あの星へ

あぅ、結局私の事を歌っただけになっちゃった…!
でもきっと皆にも伝わる、よね?
……はう(黒い頬をほんのり赤く染めてすたこら退場)



 『クライングシェル』艦隊による『洗脳音楽通信』を受けた船内では、そこかしこで人が倒れ苦しんでいた。視界は歪み、思考は掻き回されたが如く千々に乱れて纏まらず。このまま、この苦しみが続くならばいっそ……過ぎる思いに耐える人々の耳に届いたのは。
「歌が、聞こえる……」
 猟兵たちの歌が、想いが届いてきたのだった。

 少し時間は遡る。用意された芸能船、そのスタジオの中に4人の猟兵が集まっていた。

「私も一曲歌わせていただきますね。」
「うう、人前で歌うのは初めてだなぁ……。」

 歌唱の準備を始めるミュリエル・フォルクエインに緊張を隠せないニキ・エレコール。対照的な二人の傍で三影・サイも準備を進めていた。

「音楽は全ての人が穏やかに、音を楽しむものであると教わりました。」

 今は敵の手により洗脳兵器へと転用されている音楽に、サイはそんなことも出来るんですねと思ったものだ。だからこそ。

「何であろうと、敵の思い通りにはさせません。」
「ええ。音楽とは人を楽しませ、時には癒すものです。それを洗脳に利用しようなどとは言語道断。」

 ソフィア・テレンティアが言葉を重ねる。癒しの歌の歌い手として、看過できる事ではない。4人は手早く使う機器の調整を済ませると、歌唱を開始した。

 もういいと 仕舞ってた
 密かな気持ちに 指が触れ
 思い出し、切なくなる
 息は白く 君は遠く

 作詞は経験がないので自信はありませんが、と言っていたミュリエルだが、ステップを踏み勢いをつけて歌うその姿は見る者を引き付けるだろう。その歌声に合わせるようにソフィアが歌唱魔導蒸気機関に歌を乗せる。

「オブリビオンが精神を壊す音楽を流すというのなら。」

 二人の【シンフォニック・キュア】が響き合い、洗脳音楽に晒される人々に届く。この歌声が、心が歪み壊れる前に人々を救えるように。

「ソフィアは癒しの歌で対抗いたしましょう。」

 二人のデバイスが奏でる歌は高らかに宙へと響く。だが、それに抗するように敵も洗脳音楽を強めてくる。単純にぶつけ合うだけでは十全な効果は望めないだろう。ならば、洗脳音楽の効力を削げばいい。サイの歌声がその圧に染み渡るように響く。

「ただ敵の音楽に私の歌声を調和させて、洗脳効果のない普通の音楽に変えてしまえばいいのです。」

 歌詞なんてない、だからこそ他の猟兵の歌声を妨げる事もない。洗脳音楽の力が弱まったその隙にニキが己が想いを込め、言葉を届かせる。

 忘れない 雨と傷
 戻らない 刻と君

 握りしめた手はもう解かぬように
 終わらない戦い立ち止まらぬように

 その想いはこの戦いは必ず勝ちたい、勝つまで戦うこと。それは洗脳に屈しかけていた人々に思い出させる。何のために、自分たちは此処へ来たのか。何を望み、何を叶える為なのか。ニキの歌は聞く者に親しみやすく、人々に寄り添うようにその心に響いていく。
 ならば、その音を打ち消す音圧を叩き付けんと『クライングシェル』艦隊がその曲調を変える。だが、それもサイの想定の内。

「どんな曲調でも合わせます。洗脳音楽の中和は諦めません。」

 その音楽すら猟兵たちのバックコーラスへとしてしまうように、サイの歌声が音の質を変える。洗脳音楽たらしめる根底の音を的確に打消し、残る音程を調整する。
 今ならば、残った洗脳の影響を癒せるかもしれない。洗脳音楽を、その洗脳効果を癒しの歌で打ち消していたソフィアはここが正念場、とその歌声をより強く、響かせる。それは人々の心に残る穢れを洗い流す清流のように流れていった。

 会いたいと 呟いて空を仰ぐ
 叶わないと 知りながらも
 ねぇ どこにいますか
 わたしはまだ あの時のまま

 だけど でも
 あなたには 前を向いていてほしい
 遠くから ただ願う
 あなたの夢が かなう様に

 全力で歌い続けるミュリエルの歌声、まだ曲名もないその歌に合わせて軽やかにステップを踏んで舞い踊る。軽量なビキニアーマーなればこそ鎧を着たままでも可能な芸当だった。時に激しく身体を揺らすようなステップを踏む姿は人々の心を勇気づけ、気力を取り戻させていく。

 夢は遠くとも 道は長くとも

 旅立つ声よ この空へ
 響いて届け あの星へ

 ニキもその歌声を気持ちと共に人々に届ける。その歌は他の歌声に寄り添い、お互いを響かせながらより強くなって響いていく。結局、自分の事を歌っただけになっていたが、だからこそ。その想いは親しみやすかったのだろう。
 もはや洗脳音楽に苦しむ人々は居なかった。ただ流れる歌声を楽しみ、その曲の流れに身を任せる。人々の心に沁み込んでいくその歌声が、洗脳音楽の残滓をも解かし流していく。そして、その歌声は洗脳音楽を発信していた『クライングシェル』艦隊にも届いていた。徐々に弱まっていく洗脳音楽。それは艦隊のオブリビオンの力が削がれていっているからだ。そして。
「『洗脳音楽通信』途絶しました……!」
「やった、助かったんだ!!」
 それはオブリビオンの心をも癒したのか。その存在する根幹を解かされた『クライングシェル』艦隊は骸の海へと還ったのだった。

 船内を歓声が満たしている。それはモニターに映る4人の歌姫への歓声だ。誰もがその心に注がれた想いを自分たちの想いに重ねている。銀河帝国との戦いも佳境に入るだろう。だがこの想いを胸に戦えばきっと勝てる。そう思えるだけの力を、猟兵たちは贈ったのだった。

 一方、芸能船で声援を受けていた4人であったが。

「……はう。」

 ちゃんと想いが伝わった事への安堵、そして自分の事を歌っていた事とそれを受けての割れんばかりの歓声。ニキは黒い頬をほんのり赤く染めてすたこら退場してしまった。それを見送った三人も顔を合わせる。
 帰還すればまた次の戦いが待っているかもしれない。だが今は、この声援を送ってくれている人々を、自分たちが救った人々の笑顔に浸るのもいいだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト